説明

ベルトコンベヤ

【課題】設置場所に制限を受けにくいベルトコンベヤを提供する。
【解決手段】ベルトコンベヤ1は、エンドローラ6と、このエンドローラ6のローラ本体部7に巻き掛けた無端状の搬送ベルト2とを備える。ベルトコンベヤ1は、軸用孔部32および一端部が軸用孔部32に向って開口しかつ他端部が所定面30で開口する案内孔部33を有する案内体31と、案内孔部33内に移動可能に位置しローラ軸部8の前後方向の位置を位置決めする位置決め体41と、位置決め体41を移動させるための操作ねじ51とを備える。所定面30が上面となるように案内体31の向きを設定すると操作ねじ51を上方から操作可能であり、所定面30が下面となるように案内体31の向きを設定すると操作ねじ51を下方から操作可能であり、所定面30が側面となるように案内体31の向きを設定すると操作体51を側方から操作可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設置場所に制限を受けにくいベルトコンベヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載されたベルトコンベヤが知られている。
【0003】
この従来のベルトコンベヤは、ローラ本体部およびこのローラ本体部から突出するローラ軸部を有するローラと、ローラ本体部に巻き掛けられ物品を搬送方向に向けて搬送する無端状の搬送ベルトと、ローラ軸部が挿入される軸用孔部および一端部が軸用孔部に向って開口しかつ他端部が側面で開口する案内孔部を有する案内体と、案内孔部内にこの案内孔部の案内方向に沿って移動可能に配設されローラ軸部の搬送方向に沿った方向の位置を位置決めする位置決め体と、位置決め体を移動させるための操作ねじとを備えている。そして、搬送ベルトの蛇行調整の際には、操作ねじを側方から回動操作して位置決め体を移動させる。
【特許文献1】特開2008−100812号公報(図9、図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のベルトコンベヤでは、操作ねじを側方からしか操作できないため、例えば複数のベルトコンベヤを並列に設置できない等、設置場所に制限を受けるおそれがある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、設置場所に制限を受けにくいベルトコンベヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載のベルトコンベヤは、ローラ本体部およびこのローラ本体部から突出するローラ軸部を有するローラと、前記ローラ本体部に巻き掛けられ、物品を搬送方向に向けて搬送する無端状の搬送ベルトと、前記ローラ軸部が挿入される軸用孔部および一端部が前記軸用孔部に向って開口しかつ他端部が所定面で開口する案内孔部を有する案内体と、前記案内孔部内にこの案内孔部の案内方向に沿って移動可能に配設され、前記ローラ軸部の前記搬送方向に沿った方向の位置を位置決めする位置決め体と、この位置決め体を移動させるための操作体とを備え、前記所定面が上面となるように前記案内体の向きを設定した場合には、前記搬送ベルトの蛇行調整時に前記操作体を上方から操作可能であり、前記所定面が下面となるように前記案内体の向きを設定した場合には、前記搬送ベルトの蛇行調整時に前記操作体を下方から操作可能であり、前記所定面が側面となるように前記案内体の向きを設定した場合には、前記搬送ベルトの蛇行調整時に前記操作体を側方から操作可能であるものである。
【0007】
請求項2記載のベルトコンベヤは、請求項1記載のベルトコンベヤにおいて、位置決め体は、一端側が軸用孔部内に位置しかつ他端側が案内孔部内に位置する軸当接部材と、前記案内孔部内に案内方向に並んで位置する複数の球状部材とを有するものである。
【0008】
請求項3記載のベルトコンベヤは、請求項1または2記載のベルトコンベヤにおいて、操作体は、案内孔部の他端部に螺入された操作ねじであるものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、設置場所に応じて案内体の向きを設定することにより、搬送ベルトの蛇行調整時に操作体を所望方向から操作できるため、設置場所に制限を受けにくい。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、位置決め体は、一端側が軸用孔部内に位置しかつ他端側が案内孔部内に位置する軸当接部材と、案内孔部内に案内方向に並んで位置する複数の球状部材とを有するため、ローラのローラ軸部の搬送方向に沿った方向の位置を適切に位置決めできる。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、操作体は、案内孔部の他端部に螺入された操作ねじであるため、操作性が良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のベルトコンベヤの一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0013】
図1および図2において、1はベルトコンベヤで、このベルトコンベヤ1は、例えば物品Wを搬送ベルト2上に載せて水平な搬送方向に向けて搬送する前後方向長手状の直線型のコンベヤ装置である。
【0014】
ベルトコンベヤ1は、前後方向長手状の本体フレーム3を備え、本体フレーム3は、複数本の脚4にて支持されている。本体フレーム3の前後方向両端部の左右両側には、搬送ベルト2の蛇行調整をするための軸支持手段であるベルト蛇行調整手段5が設けられている。そして、互いに離間対向する左右のベルト蛇行調整手段5間には、ベルトコンベヤ1の前後方向両端部に位置し左右方向に軸方向を有するローラであるエンドローラ6が設けられている。
【0015】
各エンドローラ6は、図3および図4等に示されるように、外周面が円筒面状のローラ本体部7と、ローラ本体部7を回転可能に支持しローラ本体部7の端面から突出する水平状のローラ軸部8とを有し、ローラ軸部8の軸方向端部がベルト蛇行調整手段5にて支持されている。各エンドローラ6のローラ本体部7には、所定方向に回行して物品Wを水平な搬送方向に向けて搬送する無端状の搬送ベルト2が巻き掛けられている。搬送ベルト2は、エンドローラ6、駆動ローラ11およびガイドローラ12に巻き掛けられ、所定の張力が付与された状態で駆動ローラ11から駆動力を受けて所定方向に回行する。駆動ローラ11は、チェーン或いはベルト等からなる伝動手段13を介して駆動手段である駆動モータ14に接続されている。例えば図示しないが、伝動手段を用いずに、駆動ローラ11に駆動モータ14を直接接続してもよい。なお、洗浄時等には、張力付与を解除して搬送ベルト2をエンドローラ6等から取り外すことが可能である。
【0016】
そして、アタッチメント方式のベルト蛇行調整手段5は、図3および図4等に示すように、本体フレーム3の繋ぎ板部20の内面に固定されたハウジング21を備えている。ハウジング21には、エンドローラ6のローラ本体部7に向って開口する収容空間部22が形成されている。また、ハウジング21には、収容空間部22に連通する取付用孔部23および操作用孔部24a,24b,24cが形成されている。操作用孔部24aは収容空間部22から上方に延びた孔であり、操作用孔部24bは収容空間部22から下方に延びた孔であり、操作用孔部24cは収容空間部22から外側方に延びた孔である。なお、例えば3つの操作用孔部24a,24b,24cを形成せず、3つのうち必要な操作用孔部のみを形成するようにしてもよい。
【0017】
また、ベルト蛇行調整手段5は、図5ないし図9に示すように、ハウジング21に取付ボルト等の取付具25にて取り付けられハウジング21の収容空間部22内に収容された位置決め体保持手段である案内体31を備えている。案内体31は、例えば合成樹脂等にて一体に形成されたもので、エンドローラ6のローラ軸部8の軸方向端部が搬送方向に沿った方向である前後方向に移動可能に挿入された軸用孔部32と、一端部が軸用孔部32に向って開口しかつ他端部が平面状の所定面30で開口するトンネル形状のガイド溝部である案内孔部33とを有している。案内孔部33は、例えば略く字状をなす断面略円形のトンネル形状に形成され、軸用孔部32に連通している。案内孔部33の一端部は、等径状に形成された他の部分に比べて径小な径小部34となっており、この径小部34が軸用孔部32に繋がっている。案内体31における案内孔部33の他端部に臨む面には、ねじ溝(図示せず)が形成されている。
【0018】
さらに、ベルト蛇行調整手段5は、案内体31の案内孔部33内にこの案内孔部33の案内方向に沿ってスライド移動可能に配設されエンドローラ6のローラ軸部8の外周面と当接しこのローラ軸部8の搬送方向に沿った方向である前後方向の位置を位置決めするベルト蛇行調整用の位置決め体41を備えている。
【0019】
位置決め体41は、一端側が軸用孔部32内に位置しかつ他端側が案内孔部33内に位置する略軸状の1つの軸当接部材(軸押し金具等)42と、案内孔部33内にこの案内孔部33の案内方向に並んで位置し隣り合うもの同士が互いに接触した複数、例えば3個の球状部材(鋼球等)43とを有している。軸当接部材42は、案内孔部33の径小部34に挿通され先端面にエンドローラ6のローラ軸部8の外周面が当接した軸部44と、軸部44の基端に設けられ球状部材43が当接した円板状或いは矩形状等の板部(当接部)45とにて構成されている。
【0020】
なお、エンドローラ6は搬送ベルト2の張力に基づいてベルトコンベヤ1の前後方向中心側に向って付勢されているため、ローラ軸部8の外周面は軸当接部材42の軸部44の先端面に常時圧接した状態で当接しており、軸当接部材42の移動によりローラ軸部8が前後方向に移動する。
【0021】
また、ベルト蛇行調整手段5は、搬送ベルト2の蛇行調整時において案内体31の案内孔部33内で位置決め体41を案内方向に沿ってつまり案内孔部33に沿ってスライド移動させるための軸状の操作体である操作ねじ51を備えている。
【0022】
操作ねじ51は、例えば六角孔付止めねじ等で、案内体31の案内孔部33の他端部に螺入されている。すなわち案内体31における案内孔部33の他端部に臨む面のねじ溝に、操作ねじ51が螺合されている。操作ねじ51の一端面である先端面が球状部材43に当接し、操作ねじ51の他端面である基端面には六角棒スパナ等の工具(図示せず)と係合する係合凹部52が形成されている。
【0023】
次に、上記ベルトコンベヤ1の作用等を説明する。
【0024】
例えば図1の2点鎖線で示すように一のベルトコンベヤ1の側方に他のベルトコンベヤ1を並べて設置する場合つまり複数のベルトコンベヤ1を並列に設置する場合や、ベルトコンベヤ1の側方に壁或いは他の機械等がある場合等には、図5および図6に示すように所定面30が上面となるように案内体31の向きを設定するか、或いは、図7に示すように所定面30が下面となるように案内体31の向きを設定する。
【0025】
図5および図6に示すように所定面30を上面にして案内体31を軸受補助プレート等の補助部材53とともにハウジング21に取り付けた場合には、搬送ベルト2の蛇行調整時に、図示しない工具を上方に向って開口した操作用孔部24aから挿入して係合凹部52に係合させ、その工具にて操作ねじ51をベルトコンベヤ1の上方から回動操作可能である。
【0026】
図7に示すように所定面30を下面にして案内体31を補助部材53とともにハウジング21に取り付けた場合には、搬送ベルト2の蛇行調整時に、図示しない工具を下方に向って開口した操作用孔部24bから挿入して係合凹部52に係合させ、その工具にて操作ねじ51をベルトコンベヤ1の下方から回動操作可能である。
【0027】
そして、工具を用いて操作ねじ51を回動操作すると、軸当接部材42および球状部材43が案内体31の案内孔部33内で案内方向に沿って移動し、この移動に応じてエンドローラ6のローラ軸部8の軸方向端部が前後方向に移動し、その結果、例えばエンドローラ6の軸方向が左右方向に対してやや傾斜した状態になる。そして、このエンドローラ6の傾斜角度の微調整により、搬送ベルト2の蛇行が修正される。
【0028】
なお、例えばベルトコンベヤ1の側方にスペースがある場合には、図8および図9に示すように所定面30が外側面となるように案内体31の向きを設定し、その案内体31を補助部材53とともにハウジング21に取り付ければよい。つまり、所定面30を外側面にして案内体31を補助部材53とともにハウジング21に取り付けた場合には、搬送ベルト2の蛇行調整時に、図示しない工具を外側方に向って開口した操作用孔部24cから挿入して係合凹部52に係合させ、その工具にて操作ねじ51をベルトコンベヤ1の外側方から回動操作可能である。
【0029】
そして、このようなベルトコンベヤ1によれば、例えば使用現地等でその設置場所に応じて案内体31の向きを設定することにより、搬送ベルト2の蛇行調整時に操作ねじ51を所望方向、つまり上方、下方および側方の中から設置場所に応じて選択した一の方向から操作できるため、従来のように操作ねじを側方からしか操作できないものに比べて、設置場所に制限を受けにくくでき、多様な設置環境に適切に簡単に対応でき、よって大幅に利便性が向上する。
【0030】
また、案内体31の案内孔部33内に収容配設する位置決め体41は、一端側が軸用孔部32内に位置しかつ他端側が案内孔部33内に位置する軸当接部材42と、案内孔部33内に案内方向に並んで位置する複数の球状部材43とを有するため、エンドローラ6のローラ軸部8の搬送方向に沿った方向の位置を適切に位置決めできる。
【0031】
なお、上記実施の形態では、位置決め体41が複数のボール等の球状部材43を有する構成について説明したが、例えば位置決め体41が複数の円柱状或いは円筒状のコロを有する構成等でもよい。
【0032】
また、位置決め体41を移動させるための操作体は、押しねじ等の操作ねじ51には限定されず、例えば流体圧シリンダ、電磁石或いはモータ等を用いたものでもよい。
【0033】
さらに、位置決め体41は複数の部材からなるものには限定されず、例えば案内孔部33に対応した形状をなす単一部材からなるものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施の形態に係るベルトコンベヤの概略平面図である。
【図2】同上ベルトコンベヤの概略側面図である。
【図3】同上ベルトコンベヤの案内体を取り付ける前の状態の部分平面図である。
【図4】同上ベルトコンベヤの案内体を取り付ける前の状態の部分側面図である。
【図5】所定面が上面となるように案内体の向きを設定した状態の部分側面図である。
【図6】所定面が上面となるように案内体の向きを設定した状態の部分平面図である。
【図7】所定面が下面となるように案内体の向きを設定した状態の部分側面図である。
【図8】所定面が側面となるように案内体の向きを設定した状態の部分平面図である。
【図9】所定面が側面となるように案内体の向きを設定した状態の部分側面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 ベルトコンベヤ
2 搬送ベルト
6 ローラであるエンドローラ
7 ローラ本体部
8 ローラ軸部
30 所定面
31 案内体
32 軸用孔部
33 案内孔部
41 位置決め体
42 軸当接部材
43 球状部材
51 操作体である操作ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラ本体部およびこのローラ本体部から突出するローラ軸部を有するローラと、
前記ローラ本体部に巻き掛けられ、物品を搬送方向に向けて搬送する無端状の搬送ベルトと、
前記ローラ軸部が挿入される軸用孔部および一端部が前記軸用孔部に向って開口しかつ他端部が所定面で開口する案内孔部を有する案内体と、
前記案内孔部内にこの案内孔部の案内方向に沿って移動可能に配設され、前記ローラ軸部の前記搬送方向に沿った方向の位置を位置決めする位置決め体と、
この位置決め体を移動させるための操作体とを備え、
前記所定面が上面となるように前記案内体の向きを設定した場合には、前記搬送ベルトの蛇行調整時に前記操作体を上方から操作可能であり、
前記所定面が下面となるように前記案内体の向きを設定した場合には、前記搬送ベルトの蛇行調整時に前記操作体を下方から操作可能であり、
前記所定面が側面となるように前記案内体の向きを設定した場合には、前記搬送ベルトの蛇行調整時に前記操作体を側方から操作可能である
ことを特徴とするベルトコンベヤ。
【請求項2】
位置決め体は、
一端側が軸用孔部内に位置しかつ他端側が案内孔部内に位置する軸当接部材と、
前記案内孔部内に案内方向に並んで位置する複数の球状部材とを有する
ことを特徴とする請求項1記載のベルトコンベヤ。
【請求項3】
操作体は、案内孔部の他端部に螺入された操作ねじである
ことを特徴とする請求項1または2記載のベルトコンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−64809(P2010−64809A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−230425(P2008−230425)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(000103426)オークラ輸送機株式会社 (84)