説明

ベルトコンベヤ

【課題】ベルトの脱着手段及び蛇行調節手段を簡素に構成したベルトコンベヤの提供。
【解決手段】無端状のベルト50を走行可能に巻き掛けた搬送端部における一方の第1シャフト30と、第1シャフト30の一端部30aに装備された蛇行調節手段と、第1シャフト30の他端部30bに装備されたベルト脱着手段を備え、蛇行調節手段は、操作部材68の回動に伴いねじ棒64を搬送方向に移動させて第1シャフト30をその他端部30bを支点に搬送方向に傾動させベルト50の蛇行を修正可能に構成され、ベルト脱着手段は、第2操作部材72によるスライド部材38との係合解除操作により、スライド部材38を搬送方向に移動させ第1シャフト30をその一端部30aを支点に傾動させることで、ベルト50を弛めて、第1シャフト30の他端部30bに引き出し可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端状のベルトの脱着及び蛇行修正を簡易にし得るベルトコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無端状のベルトを巻き掛け支持する回転体の支持位置をずらして、ベルトの張力を弛めて、ベルトコンベヤ本体からベルトを簡易に取り外すベルト脱着手段が配設されたベルトコンベヤが知られている。例えば、特許文献1に示されたベルトコンベヤにおいては、上述のベルト脱着手段の構成以外に、ベルトコンベヤの作動時において無端状のベルトの蛇行を簡易に修正するための蛇行調節手段が配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−44892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のベルトコンベヤにおいては、ベルト脱着手段と蛇行調節手段の両部品がそれぞれ独立して配設されているため、構成が複雑になっている。
【0005】
而して、本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、ベルトの脱着手段及び蛇行調節手段を簡素に構成したベルトコンベヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のベルトコンベヤは次の手段をとる。
先ず、請求項1に係る発明は、無端状のベルト(50)を走行可能に巻き掛けた搬送端部における一方の回転体(30)と、該回転体(30)の一端部(30a)に装備された蛇行調節手段と、前記回転体(30)の他端部(30b)に装備されたベルト脱着手段を備え、前記蛇行調節手段は、前記回転体(30)の一端部(30a)に係合し搬送方向に移動可能に配設されたねじ棒(64)と、外部から操作可能な箇所に露出し、前記ねじ棒(64)に螺合した操作部材(68)とを有し、該操作部材(68)の回動に伴い前記ねじ棒(64)を搬送方向に移動させて前記回転体(30)をその他端部(30b)を支点に搬送方向に傾動させベルト(50)の蛇行を修正可能に構成され、前記ベルト脱着手段は、前記回転体(30)の前記他端部(30b)に配設された係合部(38、39)と、該係合部(38、39)を搬送方向に移動可能に支持する支持体(26)と、前記係合部(38、39)と係脱可能な第2操作部材(72)を有し、前記第2操作部材(72)による前記係合部(38、39)との係合解除操作により、該係合部(38、39)を搬送方向に移動させ前記回転体(30)をその一端部(30a)を支点に傾動させることで、ベルト(50)を弛めて、前記回転体(30)の他端部(30b)側に引き出し可能に構成されている。
【0007】
この請求項1に係る発明によれば、蛇行調節手段のねじ棒(64)が搬送方向に移動することで、回転体(30)をその他端部(30b)を支点に搬送方向に傾動させベルト(50)の蛇行を簡易に修正可能に構成されている。また、ベルト(50)のベルト脱着手段の第2操作部材(72)の係合解除操作によって、回転体(30)を支持する係合部(38、39)を搬送方向に移動させ回転体(30)をその一端部(30a)を支点に傾動させることで、ベルト(50)を弛めて、回転体(30)の他端部(30b)に簡易に引き出し可能に構成されている。これら蛇行調節手段、ベルト脱着手段は共に一個の回転体(30)側に集約され該回転体(30)を傾動させるよう構成されており、例えば、ベルト(50)の蛇行を修正しても、ベルト脱着手段における第2操作部材(72)と係合部(38、39)との係合状態が維持でき、また、蛇行調節手段は、第2操作部材(72)による係合が解除される前と再び係合された後で蛇行修正状態を維持することができる。そのため、無端状のベルト(50)の脱着手段及び蛇行調節手段を簡素に構成したベルトコンベヤ(10)とすることができる。
【0008】
次に、請求項1に従属する請求項2に係る発明は、前記回転体(30)は、前記ベルト(50)が巻き掛けられたローラ(32)と、該ローラ(32)を回転可能に支持する支持シャフト(34)を有し、該支持シャフト(34)は、一端部(30a)に前記ねじ棒(64)と係合する凹部(35)を有することを特徴とする。
【0009】
この請求項2に係る発明によれば、ローラ(32)を回転可能に支持する支持シャフト(34)は、回転することなく一端部(30a)の凹部(35)でねじ棒(64)と係合するため、凹部(35)におけるねじ棒(64)との磨耗を抑制することができる。
【0010】
次に、請求項1又は請求項2に従属する請求項3に係る発明は、ベルトコンベヤ(10)が複数、直列に隣接して配設されていることを特徴とする。
【0011】
この請求項3に係る発明によれば、前記蛇行調節手段と、前記ベルト脱着手段を具備するベルトコンベヤ(10)を直列に隣接して配設することで、夫々のベルト(50)を他端部(30b)に引き出す際には、回転体(30)をその一端部(30a)を支点にベルト(50)が弛むよう傾動させるため、隣接したベルトコンベヤ(10)を移動させることなくベルト(50)を引き出すことができる。
また、蛇行調節手段における操作部材(68)を、例えばベルトコンベヤ(10)の上方から操作可能な箇所に露出するよう設けることで、作業者がベルトコンベヤ(10)に対して、回転体(30)の一端部(30a)側から近づけないようベルトコンベヤ(10)が配設された作業環境においては、特に簡易にベルト(50)の蛇行を修正できる。
【0012】
次に、請求項1から請求項3のいずれかに従属する請求項4に係る発明は、前記回転体(30)の他端部(30b)は、前記支持体(26)によって搬送方向へのみ移動が許容されていることを特徴とする。
【0013】
この請求項4に係る発明によれば、ベルト(50)の張力は、回転体(30)の他端部(30b)が搬送方向へ移動することで開放される。ここで、回転体(30)の他端部(30b)は、支持体(26)によって搬送方向へのみ移動が許容されている構成とすることで、第2操作部材(72)による係合部(38、39)との係合を解除した際に回転体(30)の他端部(30b)は搬送方向へのみ移動するため搬送端部間でベルト(50)を大きく弛めることができる。よって、ベルト(50)が引き出し易くなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上記各発明の手段をとることにより、無端状のベルトの脱着及び蛇行修正を簡素に構成したベルトコンベヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(A)図は、第1の実施形態に係るベルトコンベヤが複数、直列に隣接して配設された概略構成を示す側面図である。(B)図は、(A)図の第1の実施形態の平面図である。
【図2】図1のA−A箇所における部分断面図である。
【図3】第1の実施形態に係るベルトコンベヤの蛇行調節手段の作動図である。(A)図は、ねじ棒が初期位置に位置する図である。(B)図は、操作部材を操作してねじ棒を搬送方向に移動させた図である。
【図4】第1の実施形態に係るベルトコンベヤのベルト脱着手段の作動図である。(A)図は、第2操作部材が第1シャフトの他端を支持する図である。(B)図は、第2操作部材を解除操作して第1シャフトの他端を搬送方向に移動させた図である。
【図5】第2の実施形態に係るベルトコンベヤの蛇行調整手段の作動図である。(A)図は、ねじ棒が初期位置に位置する図である。(B)図は、操作部材を操作してねじ棒を搬送方向に移動させた図である。
【図6】(A)図は、第3の実施形態に係るベルトコンベヤの概略構成を示す側面図である。(B)図は、(A)図のB−B箇所における部分断面図である。
【図7】第3の実施形態に係るベルトコンベヤのベルト脱着手段の作動図である。(A)図は、第2操作部材が第1シャフトの他端を支持する図である。(B)図は、第2操作部材を解除操作して第1シャフトの他端を搬送方向に移動させた図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、第1の実施形態について図1〜4を用いて説明する。図1のごとく、搬送方向に向けて立設された長板状の本体フレーム12にベルトコンベヤ10が直列に4つ隣接して配設されている。
各ベルトコンベヤ10には、無端状のベルト50が第1シャフト30(回転体)と第2シャフト40とその下方に配設された駆動シャフト28によって所定の張力で張られた状
態で走行可能に巻き掛けられている。
各ベルト50は、本体フレーム12に配設された夫々のサーボモータ(不図示)の駆動で駆動シャフト28が同方向に夫々回転駆動されることにより、第1シャフト30側から第2シャフト40側に水平に物品を搬送する。即ち、各ベルトコンベヤ10は、搬送端部が第1シャフト30と第2シャフト40付近に形成される。
なお、本実施の形態における各ベルトコンベヤ10は、実質的に同じであるため、代表して一つのベルトコンベヤについて説明する。
図1、図2のごとく、ベルトコンベヤ10には、支持板14が本体フレーム12から水平方向に延設され、該支持板14の搬送方向における上流側に第1シャフト30が配設されると共に下流側に第2シャフト40が配設されている。
支持板14の中央部には、吸引用の孔15が形成されている。孔15は、不図示の負圧手段に接続されると共にベルト50に形成された吸引孔52と連通して、ベルト50上で搬送時に物品の位置ずれを防ぐために形成されている。
第1シャフト30は、ベルト50が巻き掛けられるローラ32と、該ローラ32を回転可能に支持する支持シャフト34を有している。
第1シャフト30の一端部30aとして、ローラ32から本体フレーム12側に延出した支持シャフト34は、支持板14の一部から搬送方向上流側に平行に張り出した上下一対の平板状の案内板24の間に配設されることで、上下方向の移動が規制された状態で支持されている。
また、ローラ32を挟んで一端部30aとは相反する側の第1シャフト30の他端部30bにおいては、支持シャフト34に装着された後述するスライド部材38が、支持板14の一部から搬送方向上流側に平行に張り出した上下一対の平板状の第2の案内板26(支持体)の間に配設されることで、上下方向の移動が規制された状態で支持されている。
なお、これらの案内板24、26によって支持シャフト34は水平に支持されており、第1シャフト30の一端部30aには蛇行調節手段が装備され、第1シャフト30の他端部30bにはベルト脱着手段が装備されている。
【0017】
支持板14には、ベルト50が走行する領域より本体フレーム12側に寄った箇所に軸孔20と該軸孔20と直交する切欠き溝22が形成されている。
軸孔20は、一対の案内板24の間で、第1シャフト30の一端部30a側における支持シャフト34に対向する支持板14の対向面(不図示)から搬送方向(第2シャフト40と直交する方向)に支持板14内に形成され、支持板14を上下方向に貫通形成された切欠き溝22に支持板14内で連通している。
切欠き溝22には操作部材68が嵌込まれ、その状態で軸孔20内部には、ねじ棒64が操作部材68と螺合するよう嵌入されている。
操作部材68は、ねじ孔69を有す円筒形状であり、切欠き溝22に対し搬送方向にガタツキがなく、作業者などによる上方からの外部操作により回動し得る大きさである。
そして、切欠き溝22内で操作部材68が回動すると、ねじ棒64が搬送方向にのみ移動するよう構成されている。
ねじ棒64は、先端部64a、中間部64b、後端部64cからなり、最も大径の中間部64bの外周には雄ねじ67が切られている。
先端部64aは、軸孔20から第1シャフト30の一端部30aに突出しており、漸次先細りに形成されたテーパー面65より先端側に小径の小径軸部66を有している。
そして、先端部64aのテーパー面65及び小径軸部66は、支持シャフト34に形成された凹部35内に受入れられる。
支持シャフト34の凹部35には、孔部36と該孔部36の一端側から径方向に広がったテーパー面37が支持シャフト34を貫通するよう形成されている。
凹部35のテーパー面37は、ねじ棒64の小径軸部66を孔部36に案内してテーパー面65と当接するよう形成されていると共に、ねじ棒64のテーパー面65に当接した状態で、ねじ棒64に対し支持シャフト34が大きく傾動し得るよう、ねじ棒64のテーパー面65の斜面より緩やかに形成されている。
なお、図3(A)のごとく、ベルト50が走行可能に巻き掛けられた状態では支持シャフト34がベルト50によって搬送方向下流側に押圧されるため、図3(B)のように支持シャフト34が大きく傾動しても、ねじ棒64のテーパー面65と支持シャフト34のテーパー面37との当接は維持される。
【0018】
第1シャフト30の他端部30bには、図1、2、4のごとくスライド部材38が支持シャフト34に回動可能に装着されている。
スライド部材38は、上下一対の第2の案内板26間のガイド溝27内を搬送方向に摺接しながら移動可能とされ、ガイド溝27の内面に摺接する面が上下共に水平とされ、それらの先端に係合部としての凸曲面39を有する。
凸曲面39は、スライド部材38を一対の第2の案内板26間のガイド溝27に嵌挿し易くすると共に、後述するカム部材78と係合するよう形成されている。
ガイド溝27より搬送方向下流側における支持板14には、第2操作部材72が支軸76を中心に回動可能に軸支されている。
第2操作部材72は、図4(A)(B)のごとく、略半円板状に形成されたカム部材78と該カム部78から搬送方向下流側で延出した棒状の把持部74を有している。
支軸76を介して把持部74の対向位置におけるカム部材78の外周には、図4(A)のごとく、スライド部材38の凸曲面39と係合するように、支軸76側に窪んだ凹曲面79が形成されている。
なお、カム部材78の外周をなす半円の中心は、支軸76より搬送方向上流側に置かれているため、図4(B)のごとく、把持部74を下方に回動させる係合解除操作により、カム部材78が支軸76を中心に回動させると、凸曲面39と凹曲面79との係合状態が解除され、その後、凸曲面39からカム部材78の外周迄の距離が序々に遠くなる。
【0019】
第2操作部材72は、そのカム部材78とスライド部材38が係合する状態においては、ベルト50に張力がかかった状態で第1シャフト30の他端部30bを支持する。
一方、第2操作部材72を回転させて、カム部材78とスライド部材38の係合を解除すると第1シャフト30に装着されたスライド部材38がベルト50の張力によって第2の案内板26、26の間を搬送方向下流側に移動する。これにより、ベルト50が弛んで第1シャフト30の一端部30aにおける凹部35のテーパー面37がねじ棒64のテーパー面65に当接する箇所を支点として、第1シャフト30の他端部30bが搬送方向に移動して第1シャフト30が傾動する。このため、ベルト50を弛めた状態で作業者にとって手前側になる第1シャフト30の他端部30b側(回転体の他端部側)に簡易に引き出すことが可能となる。
【0020】
以上のように、ベルトコンベヤ10には、第2操作部材72によりスライド部材38(係合部)の凸曲面39(係合部)との係合解除操作により、スライド部材38を搬送方向に移動させ第1シャフト30(回転体)をその一端部30aを支点に傾動させることで、ベルト50を弛めて第1シャフト30の他端部30b側に簡易に引き出し可能にするベルト脱着手段が装備されている。
更に、ベルトコンベヤ10は、ねじ棒64に螺合した操作部材68が外部から回動操作されると、ねじ棒64が搬送方向に移動し、第1シャフト30(回転体)の他端部30bにおける凸曲面39が第2操作部材72の凹曲面79に係合する箇所を支点として、第1シャフト30を搬送方向に傾動させベルト50の蛇行を修正可能にする。
即ち、ベルトコンベヤ10には、このようにベルトの蛇行を修正可能にする蛇行調節手段が装備されている。
【0021】
以上のことから蛇行調節手段、ベルト脱着手段は共に一個の第1シャフト30側に集約して構成されている。例えば、ベルト50の蛇行を修正しても、ベルト脱着手段における第2操作部材72とスライド部材38の凸曲面39(係合部)との係合状態が維持でき、また、蛇行調節手段は、第2操作部材72による係合が解除される前と再び係合された後で蛇行修正状態を維持することができる。そのため、ベルト脱着手段及び蛇行調節手段を簡素に構成したベルトコンベヤ10とすることができる。
【0022】
また、ローラ32を回転可能に支持する支持シャフト34は、回転することなく一端部30aの凹部35でねじ棒64と係合するため、凹部35におけるねじ棒64との磨耗を抑制することができる。
【0023】
また、蛇行調節手段と、ベルト脱着手段を具備するベルトコンベヤ10を直列に隣接して配設することで、夫々のベルト50を他端部30b側に引き出す際には、第1シャフト30をその一端部30aを支点にベルト50が弛むよう傾動させるため、隣接したベルトコンベヤを移動させることなくベルト50を引き出すことができる。
また、蛇行調節手段における操作部材68を、例えばコンベヤ10の上方から操作可能な箇所に露出するよう設けることで、作業者がベルトコンベヤ10に対して、第1シャフト30の一端部30a側から近づけないようベルトコンベヤ10が複数、直列に隣接して配設された作業環境や、本体フレーム12や本体フレーム12等に配設される不図示のモータなどによって一端部30b側から作業者が操作し難い、或は、操作できない場合においては、特に簡易にベルト50の蛇行を修正できる。
【0024】
また、ベルト50の張力は、第1シャフト30の他端部30bが搬送方向へ移動することで開放される。ここで、第1シャフト30の他端部30bは、第2の案内板26(支持体)によって搬送方向へのみ移動が許容されている構成とすることで、例えば、第2操作部材72による係合部38、39との係合を解除した際に第1シャフト30の他端部30bは搬送方向へのみ移動するため搬送端部間でベルト50を大きく弛めることができる。よってベルト50が引き出し易くなる。
また、第1シャフト30の一端部30aにおいては、凹部35がねじ棒64のテーパー面65に当接と共に、ねじ棒64の小径端部66を受け入れているため、第2操作部材72による係合解除によりベルト50が引き出された後に、第1シャフト30を取り外すことができる。よって、第1シャフト30の交換や清掃、点検などの作業性を向上させることができる。
【0025】
次に、第2の実施形態におけるベルトコンベヤ110を図5に基づき説明する。
なお、第2の実施形態では、蛇行調整手段における第1シャフト130とねじ棒164の構成が第1の実施形態とは一部相違しており、該相違する箇所については、符号を新たに付して説明する。
第1シャフト130は、ベルト50が巻き掛けられるローラ132が支持シャフトと共に一体回転するよう構成されており、第1シャフト130の一端部130a側における支持シャフトが凸部133として球面状に形成されている。
なお、支持シャフトの他端部30b側におけるベルト脱着手段については、第1の実施形態と同じである。
ねじ棒164は、支持ブロック164bを有している。
支持ブロック164bは、外側に球面状に凹み形成された凹部164eと搬送方向に貫通した孔部164dを有しており、該孔部164dは先端部164aを回転可能に支持している。
先端部164aには、Cリング等からなる抜止め164cが取着されることにより、先端部164aに対して支持ブロック164bの搬送方向への移動が規制されている。
支持ブロック164bは、上下一対の案内板24の間に配設され、両案内板24によって上下方向の移動が規制され、操作部材68が回動操作された際には搬送方向にのみ移動し得るよう支持されている。
支持ブロック164bの凹部164eは、図5(B)のごとく第1シャフト130が大きく傾動し得るよう凸部133を受け入れて、第1シャフト130を回転可能に支持している。
【0026】
以上のように、ベルトコンベヤ110における、蛇行調節手段は、第1シャフト130の一端部130aに係合し搬送方向に移動可能に配設されたねじ棒164と、外部から操作可能な箇所に露出し、ねじ棒164に螺合した操作部材68とを有している。図5(B)のごとくこの操作部材68の回動に伴いねじ棒164が搬送方向に移動することで、第1シャフト130をその他端部30bを支点に搬送方向に傾動させベルト50の蛇行を簡易に修正可能に構成されている。また、第2操作部材72による係合部38,39との係合解除操作によりベルト50を弛めて第1シャフト130の他端部30b側にベルト50を引き出すベルト脱着手段においては、第1シャフト130の一端側130aにおける凸部133が凹部164eに当接する箇所を支点として第1シャフト130の他端部30bが搬送方向に移動して第1シャフト130が傾動するよう構成されている。これら蛇行調節手段、ベルト脱着手段は共に一個の第1シャフト130側に集約され第1シャフト130を傾動させるよう構成されている。これにより、ベルト脱着手段及び蛇行調節手段を簡素に構成したベルトコンベヤ110とすることができる。
【0027】
次に、第3の実施形態におけるベルトコンベヤ210を図6、図7に基づき説明する。
ベルトコンベヤ210は、2つのローラ32を回転可能に支持する支持シャフト234を有した第1シャフト230によってベルト50が走行可能に巻き掛けられている。
なお、第3の実施形態においては、第1の実施形態よりベルト50、支持板14が幅広とされていることから、第1シャフト230の支持シャフト234を補強フレーム233で補強すると共に、支持シャフト234と共に蛇行調節手段における第1シャフト230の一端部230aを補強フレーム233で構成している。
また、第3の実施形態では、水平方向に回動する第2操作部材272によってベルト脱着手段を構成している。これらの点が第1の実施形態とは相違しており、これらの相違する箇所について、符号を新たに付して以下、説明する。
【0028】
補強フレーム233は、第1シャフト230の一端部230aとして支持シャフト234を回転可能に支持すると共に2つのローラ32の間で支持シャフト234を回転可能に支持している。第1シャフト230の一端部230aは、上下一対の平板状の案内板24の間に配設され、両案内板24によって上下方向の移動が規制され、搬送方向にのみ移動し得るよう支持されている。
補強フレーム233における案内板24の間に位置する部位には、ねじ棒64における先端部64aのテーパー面65及び小径軸部66が受け入れられる凹部235が形成されている。凹部235は、支持シャフト34に直交する方向に形成された孔部236と、該孔部236の開口端から径方向に広がった方向に形成されるテーパー面237を有している。
このことにより、第1の実施形態の凹部35とねじ棒64との係合と同様の係合状態が補強フレーム233の凹部235とねじ棒64との間で生じる。
【0029】
第1シャフト230の他端部230bとしてスライド部材238が、図6(A)(B)のごとく支持シャフト234に回動可能に装着されると共に補強フレーム233に連結され、上下一対の平板状の第2の案内板26(支持体)の間に配設されることで、上下方向の移動が規制された状態で支持されている。
スライド部材238は、上下一対の第2の案内板26間のガイド溝27内を搬送方向に摺接しながら移動可能とされ、ガイド溝27の内面に摺接する面が上下共に水平とされ、それらの先端に係合部としての凸曲面239を有する。
【0030】
ガイド溝27内において、支持板14には第2操作部材272が配設されている。
第2操作部材272は、図7(A)(B)のごとく、略矩形状に形成されたカム部材278と該カム部278から搬送方向上流側に延出した棒状の把持部274を有しており、支軸276を中心に水平方向に回動可能に軸支されている。
カム部材78の外周には、図7(B)のごとく、スライド部材238の凸曲面239と係合するように、支軸276側に窪んだ凹曲面279が形成されており、把持部74を搬送方向下流側に水平回動させる係合解除操作により、カム部材278が支軸276を中心に回動すると、凸曲面239と凹曲面279との係合状態が解除される。
【0031】
第2操作部材272は、そのカム部材278とスライド部材238が係合する状態においては、ベルト50に張力が、かかった状態で第1シャフト230の他端部230bを支持する。即ち、操作部材68の回動に伴ったねじ棒64の搬送方向への移動により、ベルト50の蛇行を修正する蛇行調節手段においては、第1シャフト230における凸曲面239が凹曲面279に当接する箇所を支点として、第1シャフト230の一端部230aが搬送方向に移動して、第1シャフト230が傾動するよう構成されている。
また、第2操作部材272による係合部239との係合解除操作により、ベルト50を弛めて第1シャフト230の他端部230b側にベルト50を引き出すベルト脱着手段においては、第1シャフト230の一端部230aにおける凹部235がねじ棒64のテーパー面65に当接する箇所を支点として、第1シャフト230の他端部230bが搬送方向に移動して、第1シャフト230が傾動するよう構成されている。
【0032】
これら蛇行調節手段、ベルト脱着手段は共に一個の第1シャフト230側に集約され該第1シャフト230を傾動させるよう構成されており、例えば、ベルト50の蛇行を修正しても、ベルト脱着手段における第2操作部材272の凹曲面279とスライド部材238の凸曲面239との係合状態が維持でき、また、蛇行調節手段は、第2操作部材272による係合が解除される前と再び係合された後で蛇行修正状態を維持することができる。そのため、ベルト脱着手段及び蛇行調節手段を簡素に構成したベルトコンベヤ210とすることができる。
また、第1シャフト230の支持シャフト234を補強フレーム233で補強することで、ベルト50の蛇行修正に伴いねじ棒64が搬送方向に移動する際に、ねじ棒64によって支持シャフト234の一端部230aが押圧されること等で、支持シャフト234の変形を防ぎ、ベルト50の蛇行を適切に修正することができる。
また、支持シャフト234の変形を防ぐことによって、係合部としてのスライド部材238の凸曲面239と第2操作部材272の凹曲面279との係合状態を良好に維持することができる。
【0033】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明のベルトコンベヤは、本実施形態に限定されず、その他各種の形態で実施することができるものである。
【0034】
例えば、蛇行調節手段とベルト脱着手段は、搬送端部である第2シャフト40に装備しても良い。
また、第2操作部材をスライドさせて、係合部との係合及び係合解除を行うように構成してもよく、第2操作部材における把持部や、カム部材や、係合部などの構成は限定されない。
また、ねじ棒に螺号した操作部材は、外部から操作可能な箇所であれば、ベルトコンベヤの側方でもよい。
また、回転体が傾動する際の角度によって一端部における支点又は、他端部における支点の位置が変化するように、ねじ棒又は第2操作部材が回転体に当接する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0035】
ベルトコンベヤ10,110,210、第2の案内板(支持体)26、第1シャフト(回転体)30,130,230、第1シャフトの一端部30a,130a,230a、第1シャフトの他端部30b,230b、ローラ32、支持シャフト34,234、スライド部材(係合部)38,238、凸曲面(係合部)39,239、ベルト50、ねじ棒64,164、操作部材68、第2操作部材72,272


【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状のベルトを走行可能に巻き掛けた搬送端部における一方の回転体と、該回転体の一端部に装備された蛇行調節手段と、前記回転体の他端部に装備されたベルト脱着手段を備え、
前記蛇行調節手段は、前記回転体の一端部に係合し搬送方向に移動可能に配設されたねじ棒と、外部から操作可能な箇所に露出し、前記ねじ棒に螺合した操作部材とを有し、該操作部材の回動に伴い前記ねじ棒を搬送方向に移動させて前記回転体をその他端部を支点に搬送方向に傾動させベルトの蛇行を修正可能に構成され、
前記ベルト脱着手段は、前記回転体の前記他端部に配設された係合部と、該係合部を搬送方向に移動可能に支持する支持体と、前記係合部と係脱可能な第2操作部材を有し、
前記第2操作部材による前記係合部との係合解除操作により、該係合部を搬送方向に移動させ前記回転体をその一端部を支点に傾動させることで、ベルトを弛めて、前記回転体の他端部側に引き出し可能に構成したベルトコンベヤ。
【請求項2】
前記回転体は、前記ベルトが巻き掛けられたローラと、該ローラを回転可能に支持する支持シャフトを有し、
該支持シャフトは、一端部に前記ねじ棒と係合する凹部を有することを特徴とする請求項1に記載のベルトコンベヤ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のベルトコンベヤが複数、直列に隣接して配設されていることを特徴とするベルトコンベヤ。
【請求項4】
前記回転体の他端部は、前記支持体によって搬送方向へのみ移動が許容されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のベルトコンベヤ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−10596(P2013−10596A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144057(P2011−144057)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000136387)株式会社フジキカイ (129)