説明

ベルト保持機構

【課題】分割ビードを用いたベルトに用いられるベルト保持機構において、ベルトおよび分割ビードの耐久性を向上し、摩滅を低減する。
【解決手段】カーブベルト13の周縁部に分割ビード16を設ける。分割ビード16の突起部16Aにベアリングローラ17を係合させる。板状の支持部材20の基端部20Bに対して屈曲された先端部20Aにベアリングローラ17を回転自在に取り付ける。ベアリングローラ17の回転面をベルト面に対してθ(30°以下)に傾けて配置する。ベアリングローラ17の回転面と先端部20Aを所定距離離して配置する。カーブベルト13に過大な力が掛かると、支持部材20の板バネ効果によりベアリングローラ17が僅かに移動され、緩衝機能が果たされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトコンベヤに用いられる無端ベルトの位置ズレを防止するためのベルト保持機構に関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトコンベヤでは、エンドローラに掛け回されたベルトがローラの軸方向にずれるのを防止するための機構が一般に設けられる。特に、カーブコンベヤでは、一対のエンドローラが所定の中心角を隔てて配置され、これにベルトが掛け回されて扇状に張設されるため、駆動中ベルトには扇形中心に向かう向心力が働く。したがって、カーブコンベヤでは特に位置ズレを防止する機構が必要である。
【0003】
従来のカーブコンベヤとしては、カーブベルトの外周側縁に沿ってウレタンゴム製のビードが縫着され、このビードにコンベア本体に固定されたベアリング(ローラ)を係合させて、ベルトを周方向に送りながらも径方向への移動を規制したものが知られている。また、ベルトの着脱、あるいはビードの取り替えの簡易化や、小径のエンドレスローラに対応するためにビードを周方向に細かく分割(分割ビード)するとともに、分割ビードに硬質材料を用いたものが知られている(特許文献1)。
【0004】
しかしビードを細かく分割すると、分割ビード間の隙間とベアリング(ローラ)との間の干渉により騒音が発生する。そこで、分割ビードを用いた引用文献1のベルトコンベヤでは、ベアリング(ローラ)に替えてビードの外周縁に沿って湾曲され、分割ビードと摺接する円弧状のガイド部材がビード保持手段として用いられる。
【特許文献1】特開2002−338024号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
分割ビードの扇形中心からの距離は、寸法誤差などから場所により僅かに異なる。したがって、ガイド部材で固定的に分割ビードを保持すると、一部の分割ビードに過大な力が掛かることとなり、ベルトの耐久性を低下させる。また、ガイド部材では分割ビードとの間の摺動摩擦抵抗が増大するため、各部材は早期の摩滅する。
【0006】
本発明は、分割ビードを用いたベルトに用いられるベルト保持機構において、ベルトおよび分割ビードの耐久性を向上し、摩滅を低減することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るベルト保持機構は、分割ビードを用いたベルトを保持するためのベルト保持機構であって、分割ビードの突起部に係合するベアリングローラと、ベアリングローラを保持するベアリング保持部材と、ベアリングローラに掛かる力に対し緩衝機能を果たす緩衝機構とを備えたことを特徴としている。
【0008】
ベアリングローラの回転面は、ベルト面に対して30°以下の角度で傾いていることが好ましい。また、ベアリング保持部材は、弾性を備える板部材からなることが好ましく、緩衝機構が板部材の屈曲による板バネ効果により構成されることが好ましい。更に、ベアリングローラは樹脂モールドタイプであることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、分割ビードを用いたベルトに用いられるベルト保持機構において、ベルトおよび分割ビードの耐久性を向上し、摩滅を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態であるカーブベルトを用いたベルトコンベヤの概観を模式的に示す斜視図である。
【0011】
本実施形態のカーブコンベヤ10では、一対のエンドローラ11、12の回転軸が所定の中心角度(図では略90°)をなすように配置され、このエンドローラ11、12にカーブベルト13が掛け回される。カーブベルト13は、接頭円錐台形状の無端ベルトからなり、搬送面(上面)は、支持板14によって支持される。エンドローラ11、12において折り返されたベルトは、支持板14の下において、例えば図示しない駆動ローラとピンチベアリングの間に挟まれ駆動ローラの回転により駆動される。また駆動ローラは、原動モータ15によって回転駆動される。
【0012】
カーブベルト13の外周縁には、周縁に沿って金属や硬質プラスチックなどの硬性部材からなる分割ビード16が放射状に取り付けられる。分割ビード16には後述するように突起部16Aが設けられており、突起部16Aには支持板14に固定されたベアリングローラ17が係合され、カーブベルト13が向心力により扇形の中心に向けてずれるのを防止している。図1では、ベルト周縁に沿って略等間隔で配置された3対のベアリングローラ17(計6個)によってカーブベルト13の径方向の運動が規制されている。
【0013】
図2は、カーブベルト13の周縁部近傍の部分拡大図であり、分割ビード16の周方向に沿った配置を示す。また、図3は、本実施形態におけるベルト保持機構の構成を示す側断面図であり、分割ビード16とベアリングローラ17の係合状態が示されている。
【0014】
図2に示されるように、カーブベルト13の周縁には、短冊状の分割ビード16が、放射状に各々僅かな隙間18を隔てて取り付けられる。図3に示されるように、分割ビード16には、ベルト面に略垂直に突出する突起部16Aを備え、例えばピン19Aやフック19Bなどによりカーブベルト13の表面に取り付けられる。
【0015】
ベアリングローラ17は、回転軸Xの回りに回転自在であり、支持部材20に取り付けられる。本実施形態において、支持部材20は、例えば先端部20Aが屈曲された金属板(弾性板部材)からなり、基端部20Bは支持板14に設けられた固定台21に固定される。ベアリングローラ17の回転軸Xは、先端部20Aに垂直に取り付けられる。
【0016】
このとき、先端部20Aは、ベアリングローラ17の回転面がベルト面(支持板14)に対して30°または30°以下の角度(θ)で傾いて配置されるように屈曲されており(回転軸Xはベルト面に対して90°−θとなる)、ベアリングローラ17の回転面は先端部20Aから所定距離離れた位置に配置される。
【0017】
すなわち、本実施形態のベルト保持機構の構成によれば、分割ビード16からベアリングローラ17に掛かる力が増大すると、ベアリングローラ17により先端部20Aに与えられるモーメントが増大し、板バネ効果により先端部20Aが基端部20Bに対して更に屈曲されるので、ベアリングローラ17が僅かに径方向に移動され一時的に増加した力が吸収される。
【0018】
また、ベルト面に対するベアリングローラ17の回転面の角度θを30°以下としたことで、分割ビード16が引っ張られて板バネ効果で先端部20Aが屈曲してもベアリングローラ17の垂直方向への移動量が小さく抑えられるので、このような撓みが発生した場合にも、ベアリングローラ17から分割ビード16がはずれることを防止できる。更に、角度θが30°以下とされたため、ベアリングローラ17から分割ビード16への抗力の垂直下向き成分が小さく抑えられるため、摺動摩擦力が押されられ走行抵抗が低減される。
【0019】
また、ベアリングローラ17には、樹脂モールドタイプが用いられることが好ましい。すなわち、ベアリングローラの保持機構に緩衝機能を設けたことで、ベアリングローラに掛かる最大荷重を低減することができるため、従来よりも柔らかい樹脂素材を用いたローラの採用が可能となる。これにより、分割ビード間の隙間18とベアリングローラ17との干渉により発生する騒音を低減することができる。
【0020】
以上のように、本実施形態のベルト保持機構によれば、板バネ効果によりベアリングローラに掛かる過大な力を吸収することができ、ベアリングローラ、分割ビード、およびベルトに掛かる負荷を低減し、ベルトの耐久性を向上するとともに、摩耗および騒音を低減できる。なお、板バネ以外の従来周知の構成を緩衝機構に用いることもできる。
【0021】
また、本実施形態では、ベルトの下側を支持板で支持し、分割ビードおよびベアリングローラは、ベルト上面にのみ設けられたが、分割ビードをベルトの表裏の両方に設け、本実施形態と同様の方法で、ベルトの裏側においても分割ビードとベアリングローラを係合させ、ベルトを表裏一対のベアリングローラで保持する構成としてもよい。
【0022】
また、本実施形態のベルト保持機構は、図4に示されるように、通常の直線コンベヤの両側縁に分割ビードを取り付けたものにも適用できる。すなわち、直線ベルト22の両側縁に配列された分割ビード23の突起部23Aに、ベアリングローラに係合させることにより、ベルトの蛇行を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態であるカーブベルトを用いたベルトコンベヤの概観を模式的に示す斜視図である。
【図2】カーブベルトの外周縁部の部分的な拡大平面図である。
【図3】本実施形態のベルト保持機構の側断面図である。
【図4】本実施形態のベルト保持機構が適用可能な直線ベルトの部分的な平面図である。
【符号の説明】
【0024】
10 カーブコンベヤ
11、12 エンドローラ
13 カーブベルト
14 支持板
15 原動モータ
16 分割ビード
17 ベアリングローラ
20 支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分割ビードを用いたベルトを保持するためのベルト保持機構であって、
前記分割ビードの突起部に係合するベアリングローラと、
前記ベアリングローラを保持するベアリング保持部材と、
前記ベアリングローラに掛かる力に対し緩衝機能を果たす緩衝機構と
を備えることを特徴とするベルト保持機構。
【請求項2】
前記ベアリングローラの回転面が、前記ベルト面に対して30°以下の角度で傾いていることを特徴とする請求項1に記載のベルト保持機構。
【請求項3】
前記ベアリング保持部材が、弾性を備える板部材からなり、前記緩衝機構が前記板部材の屈曲による板バネ効果により構成されることを特徴とする請求項2に記載のベルト保持機構。
【請求項4】
前記ベアリングローラが樹脂モールドタイプであることを特徴とする請求項1に記載のベルト保持機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−297154(P2007−297154A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−124989(P2006−124989)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000111085)ニッタ株式会社 (588)
【Fターム(参考)】