説明

ベルト及びベルトの製造方法

【課題】エチレン−α−オレフィンゴム組成物と心線との接着性が高く、且つ、環境に負荷を与えないベルト、及び、このベルトの製造方法を提供する。
【解決手段】Vリブベルト1は、心線3がベルト長手方向に沿って埋設された接着ゴム層2と、接着ゴム層2の一方の面に設けられた圧縮ゴム層4と、接着ゴム層2の他方の面に設けられた伸張ゴム層5とを有する。接着ゴム層2は、エチレン−α−オレフィンゴム組成物で構成されている。心線3の外周部には、第一被膜7、第二被膜8、及び、第三被膜9が心線3側から順に形成されており、第一被膜7は、イソシアネート化合物とエポキシ化合物の少なくとも一方を含んでおり、第二被膜8は、ブタジエンゴム組成物を含んでおり、第三被膜9は、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレン−α−オレフィンゴム組成物を主成分とするベルト、及び、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車用エンジン等に用いられる動力伝動用ベルトとしては、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴムが用いられてきた。しかし、近年、省エネルギー化及びコンパクト化の社会的要請を背景に、自動車のエンジンルーム内の部品が密集して配置される傾向があり、それに起因してエンジンルーム内の温度は従来に比べて上昇してきている。そして、このような高温雰囲気下においては、前述のようなゴムの層が硬化して、このゴム層に早期にクラックが生じるという問題が発生していた。
【0003】
このようなベルトの早期破損現象に対し、従来から使用されているクロロプレンゴムの代わりに、耐熱性に優れたエチレン−プロピレン系ゴム(EPR)あるいはエチレン−プロピレン−ジエン系ゴム(EPDM)等のエチレン−α−オレフィンゴムを使用した動力伝動用ベルトが採用されている。
【0004】
しかし、エチレン−α−オレフィンゴムは、心線などの繊維との接着性が低いという問題がある。そこで、繊維とエチレン−α−オレフィンゴムを良好に接着させる方法が種々提案されている。例えば、特許文献1には、繊維材料をレゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス液(レゾルシン−ホルマリン−ラテックス液)で処理した後、ハロゲン化ポリマーに架橋剤を添加した処理液で処理し、エチレン−α−オレフィンゴム組成物と加硫接着する方法が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2000―234277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載された方法で製造されたベルトは、心線との接着性は高いが、ダイオキシンの発生につながるハロゲンを含有する。環境対策として、環境負荷物質であるハロゲンを含有することなく、エチレン−α−オレフィンゴム組成物と心線との接着性に優れたベルトが求められる。
【0007】
そこで、本発明は、エチレン−α−オレフィンゴム組成物と心線との接着性が高く、且つ、環境に負荷を与えないベルト、及び、このベルトの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
請求項1に記載のベルトは、ベルト長手方向に沿って心線が埋設された、エチレン−α−オレフィンゴム組成物からなるゴム層を有するベルトであって、前記心線の外周部に、第一被膜、第二被膜、及び、第三被膜が順に形成されており、前記第一被膜が、イソシアネート化合物とエポキシ化合物の少なくとも一方を含んでおり、前記第二被膜が、ブタジエンゴム組成物を含んでおり、前記第三被膜が、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体を含んでいることを特徴とする。
【0009】
一般的に、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)は濡れ性が悪いため、水をはじきやすく、反応性に乏しい。しかし、ブタジエン(BR)ゴムラテックスは、EPDMゴムとの相溶性は比較的高い。また、BRゴムは、ジエン量が多く、二重結合が多いため、第二被膜のBRゴムと第三被膜のEPRDゴムとの界面での架橋密度は高くなる。これらにより、第二被膜と第三被膜との接着性は高くなり、その結果、心線とゴム層との接着性が優れたベルトを実現できる。さらに、本発明のベルトは、環境負荷物質であるハロゲンを含有していない。
【0010】
請求項2に記載のベルトは、請求項1において、 前記第二被膜及び前記第三被膜が、共に硫黄加硫されたものであることを特徴とする。この構成によると、第二被膜に含まれるBRゴムと第三被膜に含まれるEPDMゴムとは、加硫接着により強固に接着されているため、第二被膜と第三被膜との接着性が高くなる。
【0011】
請求項3に記載のベルトは、請求項1又は2において、前記第二被膜が、ラテックスとして少なくともブタジエンラテックスを用いたレゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックスから得られたものであることを特徴とする。レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス(RFL)は、一般的に、ゴムと繊維との接着材として用いられ、レゾルシンとホルムアルデヒドの初期縮合物をゴムラテックスと混合したものである。このRFLのラテックスとして、ブタジエンラテックスを用いることにより、心線とゴム層との接着性の優れたベルトを実現できる。
【0012】
請求項4に記載のベルトは、請求項3において、前記ラテックスの固形分中のブタジエンの割合が少なくとも50質量%であることを特徴とする。この構成により、心線とゴム層との接着性により優れたベルトを実現できる。
【0013】
請求項5に記載のベルトは、請求項3又は4において、前記レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックスのレゾルシノールとホルムアルデヒドのモル比が、1:2〜2:1であり、レゾルシノール−ホルムアルデヒドの初期縮合物とラテックスとの固形分質量比が、1:2〜1:8であることを特徴とする。レゾルシンとホルムアルデヒドのモル比が1/2未満では、レゾルシン−ホルムアルデヒド樹脂の三次元化反応が進み過ぎてゲル化し、一方2/1を超えると、逆にレゾルシンとホルムアルデヒドの反応があまり進まないため、接着力が低下する。また、レゾルシン−ホルムアルデヒドの初期縮合物とラテックスの固形分質量比が1/2未満の場合には、レゾルシン−ホルムアルデヒドの樹脂分が多くなり、RFL皮膜が固くなり動的な接着が悪くなり、他方1/8を超えると、レゾルシン−ホルムアルデヒドの樹脂分が少なくなるため、RFL皮膜が柔らかくなり、接着力が低下する。従って、レゾルシンとホルムアルデヒドのモル比、及び、レゾルシン−ホルムアルデヒドの初期縮合物とラテックスの固形分質量比は、それぞれ上記範囲内に設定することにより、心線とゴム層との接着性が向上する。
【0014】
請求項6に記載のベルトは、請求項1〜5の何れかにおいて、前記第三被膜が、ジエン含有量が5〜12.5質量%のエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体を用いて形成されたものであることを特徴とする。第三被膜を形成するために用いたEPDM中のジエン含有量が少なすぎる場合、第二被膜に含まれるBRゴムとの界面における架橋密度が低下するため、第二被膜と第三被膜との接着性が低下する。逆に、EPDM中のジエン含有量が多すぎる場合、第二被膜と第三被膜との界面の架橋密度が高くなりすぎて、界面付近が脆くなる。従って、第三被膜を形成するために用いるEPDMとしては、ジエン含有量が5〜12.5質量%のものを使用することにより、第二被膜と第三被膜との接着性が良好なベルトを実現することができる。
【0015】
請求項7に記載のベルトは、請求項1〜6の何れかにおいて、前記心線が、ポリエステル繊維又はアラミド繊維からなることを特徴とする。上記の構成によると、用途に応じたベルトを得ることができる。
【0016】
請求項8に記載のベルトは、請求項1〜7の何れかにおいて、前記ベルトがベルト長手方向に沿って所定間隔で配置された複数の歯部を有する歯付ベルトであることを特徴とする。これにより、心線とゴム層との接着性の優れた歯付ベルトを提供することができる。
【0017】
請求項9に記載のベルトは、請求項1〜7の何れかにおいて、前記ベルトがベルト長手方向に延びる複数のリブ部を有するVリブドベルトであることを特徴とする。これにより、心線とゴム層との接着性の優れたVリブドベルトを提供することができる。
【0018】
請求項10に記載のベルトは、請求項1〜7の何れかにおいて、前記ベルトがベルト長手方向を直交する断面がV字状のVベルトであることを特徴とする。これにより、心線とゴム層との接着性の優れたVベルトを提供することができる。
【0019】
請求項11に記載のベルトの製造方法は、ベルト長手方向に沿って心線が埋設された、エチレン−α−オレフィンゴム組成物からなるゴム層を有するベルトの製造方法であって、前記心線を、イソシアネート化合物とエポキシ化合物の少なくとも一方からなる第一処理液で処理した後、ブタジエンラテックスを含む第二処理液で処理し、その後、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体を含む第三処理液で処理することを特徴とする。
【0020】
ブタジエン(BR)ゴムラテックスは、EPDMゴムとの相溶性が比較的高く、さらに、BRゴムはジエン量が多く、二重結合が多い。そのため、第二処理液に含まれるBRゴムと第三処理液に含まれるEPDMゴムと界面の架橋密度が高くなり、BRゴムとEPDMゴムの接着性は高くなる。従って、エチレン−α−オレフィンゴム組成物からなるゴム層と心線との接着性に優れたベルトを製造することができる。また、心線の処理にハロゲンを用いていないため、環境に負荷を与えずにベルトを製造することができる。
【0021】
請求項12に記載のベルトの製造方法は、請求項11において、前記第三処理液で処理した後、前記第二処理液のブタジエンラテックスと、前記第三処理液のエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体とを、硫黄加硫にて加硫して接着させることを特徴とする。第二処理液に含まれるBRゴムと第三処理液に含まれるEPDMゴムとは、加硫接着によって強固に接着されるため、ゴム層と心線との接着性が高くなる。
【0022】
請求項13に記載のベルトの製造方法は、請求項11又は12において、前記第二処理液が、レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス処理液であり、ラテックスとして少なくともブタジエンラテックスを含むことを特徴とする。レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス(RFL)は、一般的に、ゴムと繊維との接着材として用いられる。このRFLのラテックスとして、ブタジエンラテックスを用いることにより、心線とゴム層との接着性の優れたベルトを製造することができる。
【0023】
請求項14に記載のベルトの製造方法は、請求項13において、前記ラテックスの固形分中のブタジエンの割合が少なくとも50質量%であることを特徴とする。この構成により、心線とゴム層との接着性により優れたベルトを実現できる。
【0024】
請求項15に記載のベルトの製造方法は、請求項13又は14において、前記レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックスのレゾルシノールとホルムアルデヒドのモル比が、1:2〜2:1であり、レゾルシノール−ホルムアルデヒドの初期縮合物とラテックスとの固形分質量比が、1:2〜1:8であることを特徴とする。レゾルシンとホルムアルデヒドのモル比が1/2未満では、レゾルシン−ホルムアルデヒド樹脂の三次元化反応が進み過ぎてゲル化し、一方2/1を超えると、逆にレゾルシンとホルムアルデヒドの反応があまり進まないため、接着力が低下する。また、レゾルシン−ホルムアルデヒドの初期縮合物とラテックスの固形分質量比が1/2未満の場合には、レゾルシン−ホルムアルデヒドの樹脂分が多くなり、RFL皮膜が固くなり動的な接着が悪くなり、他方1/8を超えると、レゾルシン−ホルムアルデヒドの樹脂分が少なくなるため、RFL皮膜が柔らかくなり、接着力が低下する。従って、レゾルシンとホルムアルデヒドのモル比、及び、レゾルシン−ホルムアルデヒドの初期縮合物とラテックスの固形分質量比は、それぞれ上記範囲内に設定することにより、心線とゴム層との接着性が向上する。
【0025】
請求項16に記載のベルトの製造方法は、請求項11〜15の何れかにおいて、前記第三処理液のエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体中のジエン含有量が5〜12.5質量%であることを特徴とする。第三処理液のEPDM中のジエン含有量が少なすぎる場合、第二処理液に含まれるBRゴムラテックスとの界面における架橋密度が低下するため、BRゴムとEPDMゴムとの接着性が低下する。そのため、心線とゴム層との接着性が低くなる。逆に、EPDM中のジエン含有量が多すぎる場合、BRゴムとのEPDMゴムとの界面の架橋密度が高くなりすぎて、界面付近が脆くなる。従って、第三処理液のEPDMとしては、ジエン含有量が5〜12.5質量%のものを用いることにより、心線とゴム層との接着性が良好なベルトを製造することができる。
【0026】
請求項17に記載のベルトの製造方法は、請求項11〜16の何れかにおいて、前記心線が、ポリエステル繊維又はアラミド繊維からなることを特徴とする。上記の構成によると、用途に応じたベルトを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の実施の形態について説明する。本実施形態は、Vリブドベルトに本発明を適用したものである。
【0028】
図1(a)に示すように、Vリブドベルト1は、心線3がベルト長手方向に沿って埋設された接着ゴム層2(ゴム層)と、この接着ゴム層2の一方の面に設けられた圧縮ゴム層4と、接着ゴム層2の他方の面に設けられた伸張ゴム層5とを有する。圧縮ゴム層4には、ベルト長手方向に延びる断面V字状の複数のリブ部6が形成されている。
【0029】
接着ゴム層2は、ゴム成分としてエチレン−α−オレフィンゴムを含むゴム組成物で構成される。エチレン−α−オレフィンゴムとは、エチレンとα−オレフィン(プロピレン、ブテン、ヘキセン、あるいはオクテン)の共重合体、又は、エチレンと上記α−オレフィンと非共役ジエンの共重合体であり、具体的にはエチレン−プロピレンゴム(EPR)やエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)からなるゴムをいう。上記ジエン成分としては、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1、4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネンなどの炭素原子数5〜15の非共役ジエンが挙げられる。
【0030】
上記ゴム組成物には、硫黄、有機過酸化物、金属酸化物などが架橋剤として配合されることが好ましい。また、必要に応じて、カ−ボンブラックやシリカなどの増強剤、炭酸カルシウム、タルクなどの充填剤、脂肪酸や脂肪酸誘導体などの加工助剤、可塑剤、安定剤、老化防止剤などが配合される。
【0031】
圧縮ゴム層4は、接着ゴム層2を構成する上記ゴム組成物と同じゴム組成物で構成することが可能であり、また、それ以外のゴム組成物で構成することもできる。
【0032】
伸張ゴム層5は、短繊維を含有するゴム組成物で構成される。短繊維を含有することにより、耐摩耗性や、耐引裂性が向上する。ゴム組成物としては、接着ゴム層2を構成するゴム組成物と同じものを使用することが可能であり、また、それ以外のゴム組成物を使用することもできる。尚、伸張ゴム層5はゴム組成物で構成される代わりに、繊維素材からなるカバ−帆布で構成されてもよい。
【0033】
また、圧縮ゴム層4及び伸張ゴム層5を、接着ゴム層2を構成するゴム組成物以外のゴム組成物で構成する場合には、ゴム成分として、例えば、エチレン−α−オレフィンゴム単独、又は、エチレン−α−オレフィンゴムとその他の種類のゴムを混ぜ合わせたブレンドゴムなどが挙げられる。エチレン−α−オレフィンゴムにブレンドするゴムの種類としては、ブタジエンゴム(BR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、天然ゴム(NR)の少なくとも一種のゴムを挙げることができる。尚、Vリブドベルト1を構成するゴム組成物の全てを、エチレン−α−オレフィンゴム組成物で構成することにより、耐熱性が優れるという効果がある。
【0034】
心線3は、例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維(PET繊維)、ポリエチレンナフタレート繊維(PEN繊維)、ポリトリメチレンテレフタレート繊維(PTT繊維)等のポリエステル繊維や、アラミド繊維等を材料として、撚り合わされた繊維コ−ドが用いられる。特に、ポリエステル繊維又はアラミド繊維を用いることが好ましい。ポリエステル繊維は、熱による収縮があるため、ベルトの張力維持性に優れている。一方、アラミド繊維は、ポリエステル繊維よりも引張強度が高いため、高張力、高負荷に要求に対して、ポリエステル繊維では実現しない部分を補うことができる。但し、アラミド繊維は、熱収縮が実質的に無いため、ベルト張力を一定に保つには、オートテンショナ装置が必要となる。このように、心線3として、ポリエステル繊維又はアラミド繊維を用いることにより、用途に応じたVリブドベルト1を得ることができる。
【0035】
図1(b)に示すように、心線3の外周面には、第一被膜7、第二被膜8、及び第三被膜9が、心線3側から順に形成されている。
【0036】
第一被膜7は、心線3の外周面に形成されており、イソシアネート化合物とエポキシ化合物の少なくとも一方が含まれる。第一被膜7は、心線3となる未処理の繊維コ−ドを、エポキシ化合物とイソシアネート化合物の少なくとも一方を含有する第一処理液に浸漬させた後、高温で乾燥させることにより形成される。第一処理液は、イソシアネート化合物とエポキシ化合物の少なくとも一方を、例えば、トルエン、メチルエチルケトン等の有機溶剤に混合したものである。
【0037】
第一被膜7に含まれるイソシアネート化合物としては、例えば、4、4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレン2、4−ジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリアリ−ルポリイソシアネート(例えば商品名としてPAPIがある)等がある。また、上記のイソシアネート化合物にフェノ−ル類、第三級アルコ−ル類、第二級アルコ−ル類等のブロック化剤を反応させてポリイソシアネートのイソシアネート基をブロック化したブロック化ポリイソシアネートであってもよい。
【0038】
また、エポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコ−ル、グリセリン、ペンタエリスリト−ル等の多価アルコ−ルや、ポリエチレングリコ−ル等のポリアルキレングリコ−ルとエピクロールヒドリンのようなハロゲン含有エポキシ化合物との反応生成物や、レゾルシン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルメタン、フェノ−ル.ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシン.ホルムアルデヒド樹脂等の多価フェノ−ル類やハロゲン含有エポキシ化合物との反応生成物などが挙げられる。
【0039】
第二被膜8は、第一被膜7の外周面に形成され、ブタジエン(BR)ゴム組成物を含有する。第二被膜8を構成するブタジエンゴム組成物には、硫黄系架橋剤が含有される。硫黄系架橋剤としては、単体の硫黄や、単体の水分散タイプのコロイド状硫黄や、水溶性タイプのマレイミド等の含硫黄架橋剤が挙げられる。第二被膜8は、第一被膜7が形成された繊維コードを、BRラテックスを用いたレゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス液(RFL液)からなる第二処理液に浸漬させた後、熱処理を行うことにより形成される。尚、この熱処理は、第二処理液の溶媒を蒸発させるため行うものであり、BRラテックスを加硫するための処理ではない。
【0040】
RFL液は、一般的に、ゴムと繊維との接着材として用いられ、レゾルシンとホルムアルデヒドの初期縮合物をゴムラテックスと混合したものである。第二処理液では、ゴムラテックスとしてBRゴムラテックスが用いられる。
【0041】
レゾルシンとホルムアルデヒドのモル比は1:2〜2:1にすることが接着力を高める上で好適である。モル比が1/2未満では、レゾルシン−ホルムアルデヒド樹脂の三次元化反応が進み過ぎてゲル化し、一方2/1を超えると、逆にレゾルシンとホルムアルデヒドの反応があまり進まないため、接着力が低下する。
【0042】
また、レゾルシン−ホルムアルデヒドの初期縮合物とラテックスの固形分質量比は1:2〜1:8が好ましく、この範囲を維持すれば接着力を高める上で好適である。上記の比が1/2未満の場合には、レゾルシン−ホルムアルデヒドの樹脂分が多くなり、RFL皮膜が固くなり動的な接着が悪くなり、他方1/8を超えると、レゾルシン・ホルムアルデヒドの樹脂分が少なくなるため、RFL皮膜が柔らかくなり、接着力が低下する。
【0043】
第三被膜9には、第二被膜8の外周面に形成され、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)を含有する。このEPDMゴム中のジエン含有量は、5〜12.5質量%とすることが好ましい。また、第三被膜9を構成するEPDMゴム組成物には、第二被膜8のBRゴム組成物と同じく、硫黄系架橋剤が含有される。また、第三被膜9は、必要に応じて、カ−ボンブラックやシリカなどの増強剤、炭酸カルシウム、タルクなどの充填剤、脂肪酸や脂肪酸誘導体などの加工助剤、可塑剤、安定剤、老化防止剤などの配合剤を含む。
【0044】
第三被膜9は、第二被膜8が形成された繊維コードを、未加硫のEPDMを含む第三処理液に浸漬させ、熱処理を行うことにより形成される。尚、この熱処理は、第三処理液の溶媒を蒸発させるため行うものであり、EPDMゴムを加硫するための処理ではない。第三処理液は、EPDMを主成分として、上記の配合剤が配合されたEPDM配合ゴムを、例えば、トルエン、メチルエチルケトン等の有機溶剤に溶かしたものである。
【0045】
一般的に、EPDMゴムは、濡れ性が悪いため水をはじきやすい性質を有する。しかし、第二処理液のラテックスに用いるBRラテックスは、EPDMゴムを含む第三処理液との相溶性が比較的高い。そのため、第二被膜8と第三被膜9との接着性が向上する。尚、第二処理液のラテックスとして、EPDMラテックスを用いた場合、EPDMゴムを含む第三処理液との相溶性は比較的高いが、後述する理由により、第二被膜と第三被膜との接着性は低くなる。
【0046】
第二被膜8に含まれるBRゴムと第三被膜9に含まれるEPDMゴムとは、Vリブドベルト1を製造する際、後述するベルトスリーブの加硫工程において、硫黄加硫によって加硫されて接着されている。つまり、第二被膜8と第三被膜9の界面で起きた硫黄による架橋反応によって、両被膜8、9は化学的に接合されている。このように、第二被膜8と第三被膜9は、加硫接着によって強固に接着されている。尚、上記の加硫工程の際、第三被膜9と接着ゴム層2も加硫接着される。
【0047】
硫黄による架橋は、ゴム分子鎖の二重結合を外して、外れた分子鎖と分子鎖とを硫黄を媒介として結合させて分子量を大きくする化学反応である。
ここで、第二処理液のラテックスとして、EPDMラテックスを用いた場合、上述したようにEPDMゴムとの相溶性は比較的高いが、EPDMはBRよりもジエン量が少ない(即ち、二重結合が少ない)。そのため、第二被膜と第三被膜の界面における架橋密度が低いため、第二被膜と第三被膜との接着性が低い。
一方、第二処理液のラテックスとして、BRラテックスを用いると、BRゴムはEPDMよりもジエン量が多い(即ち、二重結合が多い)ため、第二被膜8と第三被膜9との界面での架橋密度が高くなる。そのため、第二被膜8と第三被膜9との接着性が高くなる。
【0048】
また、第三処理液のEPDM中のジエン含有量が少なすぎる場合、第三被膜9と第二被膜8との界面における架橋密度が低いため、第二被膜8と第三被膜9との接着性が低下する。逆に、EPDM中のジエン含有量が多すぎる場合、第二被膜8と第三被膜9との架橋密度が高くなりすぎて、界面付近が脆くなる。従って、第三処理液のEPDMとしては、ジエン含有量が5〜12.5質量%のものを用いることにより、第二被膜8と第三被膜9との接着性が良好なVリブドベルト1を製造することができる。
【0049】
次に、上記の処理済の繊維コードを心線3として用いて、Vリブドベルト1を製造する方法について説明する。以下の方法は、公知のVリブドベルトの製造方法の一例である。
【0050】
先ず、円筒状の成形ドラムの周面に伸張ゴム層5を構成する部材と接着ゴム層2を構成する接着ゴムシ−トとを巻き付けた後、この上に、第一被膜7、第二被膜8、及び、第三被膜9に覆われた処理済の繊維コ−ドからなる心線3を螺旋状にスピニングし、更に圧縮ゴム層4を構成する圧縮ゴムシ−トを順次巻き付けて積層体を形成した後、加硫し、架橋スリーブを得る。次に、架橋スリーブを駆動ロールと従動ロールに掛架し、所定の張力下で走行させ、更に、回転させた研削ホイ−ルを走行中の架橋スリーブに当接するように移動してスリーブの圧縮ゴム層4の表面に3〜100個の複数の溝状部を形成する。このようにして得られたスリーブを駆動ロールと従動ロールから取り外し、他の駆動ロールと従動ロールに掛架して走行させ、カッターによって所定の幅に切断して個々のVリブドベルト1に仕上げる。
【0051】
上述した通り、第二被膜8と第三被膜9は強固に接着されている。従って、上記の製造方法によって得られたVリブドベルト1は、エチレン−α−オレフィンゴム組成物からなる接着ゴム層2と心線3との接着性に優れている。さらに、この製造方法によって得られたベルトは環境負荷物質であるハロゲンを含んでいない。
【0052】
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を用いて適宜その説明を省略する。
【0053】
1]第二被膜8は、BRゴムに加えて、スチレン−ブタジエン−ビニルピリジン三元共重合体(VP)ゴムや、NBRゴム、HNBRゴム、EPDMゴム等を含むものであってもよい。即ち、第二処理液のラテックスとして、BRラテックスに加えて、上記ゴムのラテックスを併用してもよい。但し、ラテックスの固形分中のブタジエンの割合が少なくとも50質量%であることが好ましい。これにより、心線3と接着ゴム層2との接着性に優れたVリブドベルトを得る事ができる。
【0054】
2]先の実施形態では、本発明をVリブドベルト1に適用しているが、Vリブドベルトに限らず、Vベルト、歯付ベルト、平ベルトなど他の種類のベルトにも本発明を適用することができる。本発明をVベルト20に適用した例を図2に示す。Vベルト20は、ベルト長手方向を直交する断面がV字状のベルトであり、心線22がベルト長手方向に沿って埋設された接着ゴム層21(ゴム層)と、接着ゴム層21の一方の面に設けられたと圧縮ゴム層23と、接着ゴム層21の他方の面に設けられた伸張ゴム層24と、伸張ゴム層24の表面に設けられた補強布25とを有する。心線22の外周面には、図示しない第一被膜、第二被膜、及び、第三被膜が、心線22側から順に形成されている。また、接着ゴム層21は、エチレン−α−オレフィンゴム組成物から構成される。圧縮ゴム層23及び伸張ゴム層24も同一のゴム組成物で構成することができる。また、圧縮ゴム層23及び伸張ゴム層24を接着ゴム層21とは異なるゴム組成物で構成することも可能である。尚、補強布25は設けなくてもよい。
【0055】
3]また、本発明を歯付ベルト30に適用した一例を図3に示す。歯付ベルト30は、ベルト長手方向に沿って所定間隔で配置した複数の歯部33と、心線32を埋設した背部31(ゴム層)と、歯部33の表面に設けられた歯布34とを有する。心線32の外周面には、図示しない第一被膜、第二被膜、及び、第三被膜が、心線32側から順に形成されている。背部31は、エチレン−α−オレフィンゴム組成物から構成される。歯部33も背部31と同一のゴム組成物で構成することができる。また、歯部33を背部31とは異なるゴム組成物で構成することも可能である。尚、歯布34は設けなくてもよい。
【実施例】
【0056】
以下、具体的な実施例を伴って本発明の効果を検証する。尚、以下の表1、2、表4〜6はそれぞれ配合薬品の質量割合を示したものである。
【0057】
実施例1〜4及び比較例1〜4として、1100dtex/1×5の、ポリエチレンテレフタレート繊維(PET繊維)の未処理の繊維コードを準備する。そして、ポリメリックイソシアネートをトルエンに混合して得られた表1に示す第一処理液に、この未処理の繊維コードを浸漬させた後、180℃で4分間加熱し乾燥させた。
【0058】
【表1】

【0059】
次に、上記繊維コードを、表2に示すRFL液(第二処理液)にそれぞれ浸漬させた後、230℃で2分間熱処理を行った。実施例1〜4及び比較例1〜4の第二処理液のレゾルシンとホルムアルデヒドのモル比(R/Fモル比)、及び、レゾルシン−ホルムアルデヒドの初期縮合物とラテックスの固形分質量比は、それぞれ1/2と1/6である。また、実施例1、2の第二処理液には、固形分濃度の異なるBRラテックスをそれぞれ用いた。また、実施例3、4の第二処理液には、BRラテックスとスチレン−ブタジエン−ビニルピリジン三元共重合体(VP)ラテックスとを併用した。BRラテックスとVPラテックスの質量比は、実施例3では3:1であり、実施例4では1:1である。
【0060】
【表2】

【0061】
次に、表3に示すEPDM配合ゴムをトルエンに溶解させて得られた表4に示す第三処理液に、繊維コードを浸漬させた後、150℃で4分間熱処理を行った。表3に示すとおり、EPDM中のジエン含有量は、12.5質量%である。
【0062】
【表3】

【0063】
【表4】

【0064】
そして、上記の処理済みの繊維コードとEPDMゴムとの接着力を測定した。具体的には、表5に示す未架橋のEPDM配合ゴムの上に、処理済みの繊維コードを25mm幅に並べ、プレス板で圧力をかけ、2つの異なる条件で加硫し、2種類の剥離試験用の試料A、Bを作製した。試料Aは160℃で30分加硫したものであり、試料Bは180℃で60分加硫したものであり、過加硫状態となっている。そして、試料A、Bについて、それぞれJISK6256に従ってT型剥離試験を行い、繊維コードとゴム間の接着力(加硫接着力)を室温雰囲気下で測定した。その結果を表2に示す。
【0065】
【表5】

【0066】
さらに、上記の処理済みの繊維コードを心線として、EPDMゴム組成物で構成されるVリブドベルトを作製し、心線とEPDMゴム組成物との接着力を測定した。Vリブドベルトの製造方法は公知の方法を用いた。まず、円筒状の成型ドラムに伸張ゴム層を構成する部材を巻いた後、接着ゴム層を構成する接着ゴムシートを巻き付けて、心線をスピニングする。そして、圧縮ゴム層を構成する圧縮ゴムシートを配置した後、加硫し、架橋スリーブを得た。この架橋スリーブの圧縮ゴム層の表面に研削ホイールによってリブ部を形成し、所定の幅に切断し、個々のベルトに仕上げた。尚、接着ゴム層はEPDMゴム組成物から構成される。また、作製されたVリブドベルトは、幅方向の長さが10.7mmであり、長手方向に沿って等間隔に10本の心線が接着ゴム層に埋設されている。このVリブドベルトをベルト幅方向に切断し、切断された端部側の心線の外周面の接着ゴム層を所定長さ除去し、心線を露出させた。そして、露出した心線のうち中央の2本の心線を垂直方向に引き起こし、心線が剥離したときの剥離力(心線接着力)を室温雰囲気下で測定した。その結果を表2に示す。
【0067】
表2の結果から、第二処理液のラテックスとしてVP、NBR、CRをそれぞれ用いた比較例1〜3は、何れも加硫接着力、心線接着力が低く、EPDMゴム組成物との接着性が乏しいことがわかる。また、ラテックスとしてEPDMを用いた比較例4は、試料Aの加硫接着力は比較的高いが、試料B(過加硫時の)加硫接着力は低く、心線接着力も低い。一方、ラテックスとしてBRラテックスを用いた実施例1、2は、加硫接着力、心線接着力がともに高く、EPDMゴム組成物との接着性に優れていることがわかる。
【0068】
また、実施例3、4の結果から、BRラテックスとVPラテックスとを併用した場合、BRラテックスの割合がVPラテックスと同等以上であれば、良好な接着性を示すことがわかった。
【0069】
次に、実施例5〜7及び比較例5、6として、第三処理液のEPDMポリマーのジエン含有量が異なる点以外は、実施例1と同様の処理済み繊維コードを作製した。実施例5〜7及び比較例5、6のジエン含有量は、表6に示す通りである。そして、上記の処理済みの繊維コードを用いて、実施例1と同様の試験を行った。その結果を表6に示す。
【0070】
【表6】

【0071】
その結果、ジエン含有量が4%である比較例6は、ジエン含有量が5%である実施例5よりも明らかに加硫接着力及び心線接着力が低いことがわかった。また、ジエン含有量が5%以上である実施例5〜7は、加硫接着力及び心線接着力が高いことがわかった。また、実施例5〜7の接着力には大差がないが、これは、繊維コード(心線)の周囲のゴム(接着ゴム層)自体に亀裂が生じたためである。
【0072】
次に、実施例8〜12及び比較例7〜9として、第二処理液のR/Fモル比、及び、RF/L質量比が異なる点以外は、実施例1と同様の処理済み繊維コードを作製した。R/Fモル比及びRF/L質量比は、表7に示す通りである。そして、上記の処理済みの繊維コードを用いて、実施例1と同様の試験を行った。その結果を表7に示す。
【0073】
【表7】

【0074】
その結果、R/Fモル比が1/3である比較例7は、第二処理液(RFL液)がゲル化して接着処理が不能であった。また、RF/L質量比の条件が同じ場合で比較すると、R/Fモル比が3/1である比較例8は、R/Fモル比が2/1である実施例10に比べて、加硫接着力及び心線接着力が明らかに低く、一方、R/Fモル比が1/2〜2/1である実施例8〜10は、良好な接着性を示すことがわかった。また、R/Fモル比の条件が同じである実施例8、11、12及び比較例9の結果から、RF/L質量比は、1/2〜1/8の範囲で、高い加硫接着力及び心線接着力を示すことがわかった。
【0075】
次に、実施例13として、PET繊維の繊維コードの代わりに、1670dtex/1×2のアラミド繊維の繊維コードを用いて、実施例1と同様の処理済み繊維コードを作製した。つまり、実施例13は、第二処理液のラテックスとして、実施例1と同じBRラテックスを用いている。
また、比較例10として、第二処理液のラテックスとしてNBRラテックスを用いる点以外は、実施例13と同様の処理済み繊維コードを作製した。そして、実施例13及び比較例10の処理済み繊維コードを用いて、実施例1と同様に試料Aを作製し、加硫接着力を測定した。その結果を表8に示す。
【0076】
【表8】

【0077】
表8の結果から、第二処理液のラテックスとしてNBRラテックスを用いた比較例10の加硫接着力はかなり低いことがわかった。一方、ラテックスとしてBRラテックスを用いた実施例13の加硫接着力は高く、表2に示す実施例1の試料Aの加硫接着力とほぼ同等であることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】(a)は本発明の実施形態に係るVリブドベルトの断面斜視図であり、図はその拡大図である。
【図2】本発明の実施形態に係るVベルトの断面斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る歯付ベルトの断面斜視図である。
【符号の説明】
【0079】
1 Vリブドベルト
2 接着ゴム層(ゴム層)
3 心線
4 圧縮ゴム層
5 伸張ゴム層
6 リブ部
7 第一被膜
8 第二被膜
9 第三被膜
20 Vベルト
21 接着ゴム層(ゴム層)
22 心線
23 圧縮ゴム層
24 伸張ゴム層
25 補強布
30 歯付ベルト
31 背部(ゴム層)
32 心線
33 歯部
34 歯布

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト長手方向に沿って心線が埋設された、エチレン−α−オレフィンゴム組成物からなるゴム層を有するベルトであって、
前記心線の外周部に、第一被膜、第二被膜、及び、第三被膜が順に形成されており、
前記第一被膜が、イソシアネート化合物とエポキシ化合物の少なくとも一方を含んでおり、
前記第二被膜が、ブタジエンゴム組成物を含んでおり、
前記第三被膜が、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体を含んでいることを特徴とするベルト。
【請求項2】
前記第二被膜及び前記第三被膜が、共に硫黄加硫されたものであることを特徴とする請求項1に記載のベルト。
【請求項3】
前記第二被膜が、ラテックスとして少なくともブタジエンラテックスを用いたレゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックスから得られたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のベルト。
【請求項4】
前記ラテックスの固形分中のブタジエンの割合が少なくとも50質量%であることを特徴とする請求項3に記載のベルト。
【請求項5】
前記レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックスのレゾルシノールとホルムアルデヒドのモル比が、1:2〜2:1であり、
レゾルシノール−ホルムアルデヒドの初期縮合物とラテックスとの固形分質量比が、1:2〜1:8であることを特徴とする請求項3又は4に記載のベルト。
【請求項6】
前記第三被膜が、ジエン含有量が5〜12.5質量%のエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体を用いて形成されたものであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のベルト。
【請求項7】
前記心線が、ポリエステル繊維又はアラミド繊維からなることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のベルト。
【請求項8】
前記ベルトがベルト長手方向に沿って所定間隔で配置された複数の歯部を有する歯付ベルトであることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のベルト。
【請求項9】
前記ベルトがベルト長手方向に延びる複数のリブ部を有するVリブドベルトであることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のベルト。
【請求項10】
前記ベルトがベルト長手方向を直交する断面がV字状のVベルトであることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のベルト。
【請求項11】
ベルト長手方向に沿って心線が埋設された、エチレン−α−オレフィンゴム組成物からなるゴム層を有するベルトの製造方法であって、
前記心線を、イソシアネート化合物とエポキシ化合物の少なくとも一方からなる第一処理液で処理した後、ブタジエンラテックスを含む第二処理液で処理し、その後、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体を含む第三処理液で処理することを特徴とするベルトの製造方法。
【請求項12】
前記第三処理液で処理した後、前記第二処理液のブタジエンラテックスと、前記第三処理液のエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体とを、硫黄加硫にて加硫して接着させることを特徴とする請求項11に記載のベルトの製造方法。
【請求項13】
前記第二処理液が、レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックス処理液であり、ラテックスとして少なくともブタジエンラテックスを含むことを特徴とする請求項11又は12に記載のベルトの製造方法。
【請求項14】
前記ラテックスの固形分中のブタジエンの割合が少なくとも50質量%であることを特徴とする請求項13に記載のベルトの製造方法。
【請求項15】
前記レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ラテックスのレゾルシノールとホルムアルデヒドのモル比が、1:2〜2:1であり、
レゾルシノール−ホルムアルデヒドの初期縮合物とラテックスとの固形分質量比が、1:2〜1:8であることを特徴とする請求項13又は14の何れかに記載のベルトの製造方法。
【請求項16】
前記第三処理液のエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体中のジエン含有量が5〜12.5質量%であることを特徴とする請求項11〜15の何れかに記載のベルトの製造方法。
【請求項17】
前記心線が、ポリエステル繊維又はアラミド繊維からなることを特徴とする請求項11〜16の何れかに記載のベルトの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−236311(P2009−236311A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−99067(P2008−99067)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(000006068)三ツ星ベルト株式会社 (730)
【Fターム(参考)】