説明

ベルト定着装置及び画像形成装置

【課題】ニップ部での加圧によって樹脂層や弾性層に亀裂が生ずることのないベルト定着装置。
【解決手段】無端状の定着ベルトと、前記定着ベルトの内側に配置された加圧ローラと、前記定着ベルトを前記加圧ローラに圧接させる加圧部材と、を有し、前記定着ベルトと前記加圧部材との間に形成されたニップ部で記録材上のトナー像を定着するベルト定着装置において、前記加圧ローラはソリッドゴムから形成された弾性層を有すると共に、該弾性層は樹脂層にて被覆され、複数の切れ目が前記樹脂層の周方向に並設されて形成されていること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材上のトナー像を加熱・加圧して定着するベルト定着装置、及び該ベルト定着装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、及びこれらの諸機能を備えた複合機等の電子写真方式の画像形成装置においては、原稿に対応した潜像を感光体に形成し、この潜像にトナーを付与することによって顕像化し、この顕像化されたトナー像を記録紙上に転写し、この後、記録紙上に転写されたトナー像を定着して排紙している。
【0003】
また、カラー画像を形成する場合には、原稿色に対応したY,M,C,Kの潜像を4個の感光体ドラムに形成し、顕像化された4色のトナー像を無端状ベルトからなる中間転写体に一次転写した後、記録紙上に二次転写して、記録紙上に転写されたトナー像を定着して排紙している。
【0004】
このようにトナー像を定着する定着装置として、ハロゲンヒータ等の加熱手段を内蔵した加熱ローラと加圧ローラとに張架されて循環駆動される無端状の定着ベルトと、定着ベルトを介して加圧ローラを加圧する外部加圧ローラを有し、定着ベルトと外部加圧ローラとによって形成されたニップ部で、トナー像が転写された記録紙を挟持・搬送しながら、加熱・加圧するベルト定着方式の定着装置があり、このようなベルト定着装置は定着ベルトの加熱ローラの熱容量が小さいので、ウオーミングアップタイムが短縮し、省エネになるという利点を有している。
【0005】
このようなベルト定着装置において、より高速での定着を可能にするためには、ニップ部の幅を大きく取ることが必要である。また、定着ベルトからの分離性能を向上させるためには、定着ベルトにおける分離部の曲率を大きく取ることが必要である。そのいずれに対しても、加圧ローラの弾性層をより低硬度にすることが有効である。
【0006】
スポンジは低硬度を容易に得られるが、加圧ローラの弾性層に用いると、粗密があるためニップ部内での圧力が不均一になり、画像に微小な光沢むらが生じ、画質が低下する。また、スポンジを用いたローラは耐久性能が劣る。
【0007】
ソリッドゴムは均一な圧力が得られ、このような画質低下や耐久性能不足はないが、低硬度のゴムを用いると、タック性という問題が生じ、密着性が高くて粘着に類似した状態になる。ニップ部内では、高い荷重によってソリッドゴム層が押しつぶされ、ソリッドゴム表面はニップ侵入前に一旦縮み、ニップ部内での圧力増大と共に次第に伸ばされ、最大圧力領域経過後に逆の経過をたどる。
【0008】
一方、ベルト基体はニッケル電鋳等の金属やポリイミド等の高強度耐熱樹脂から形成され、ゴムと比較して弾性率が大きく、殆ど伸縮しない。従って、ニップ部内で定着ベルト内面と加圧ローラ表面は滑る必要があるが、タック性が高いと容易に滑ることができず、両者が無理矢理滑って大きな異音が発生したり、定着ベルトが負けて定着ベルトに皺が生ずる等の不具合が起きる。
【0009】
これを回避するために、加圧ローラのソリッドゴム表面を研磨して適度な粗さにし、滑りやすくすることも可能である。しかし、低硬度ゴムではゴムが砥石により引きちぎられるときに大きな塊になり易く、適度な粗さにするためには研磨条件の管理を非常に厳しくしなくてはならず、また研磨粉や引きちぎられる寸前の部分が表面に残り易い。定着装置に組み込まれた後に、これらの研磨粉やちぎれた破片によりニップ部で不均一な圧力分布が生ずる。また、研磨粉等が定着ベルトや加熱ローラに転移して、加熱ローラからの熱伝導が不均一になり、この結果、定着ベルトの温度が不均一になる。これらの圧力や温度の不均一は光沢むらのような画像欠陥になる。また、表面が低硬度ゴムであることは変わりがないため、ある程度のタック性が残り、定着ベルトや加圧ローラの駆動はできても、定着装置の組み立て時に定着ベルト内面に加圧ローラが貼り付いたような状態になって、組み立て性が著しく損なわれる。また、無理に組み立てようとすると、定着ベルトが直ぐに破損してしまう。
【0010】
そこで、加圧ローラの表面のタック性を防止するため、加圧ローラに設けたソリッドゴムの表面を低摩擦の樹脂であるPFA(パーフルオロアルコキシ)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)のチューブで被覆したり、コーティングしたりすることが考えられる。このように構成すると、樹脂層により定着ベルトとの滑り性は向上する。
【0011】
なお、加圧ローラのシリコーンゴム層にPFAチューブ等で被覆した定着装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0012】
また、複写機等に用いる弾性ローラの表面には、記録紙との摩擦を確保するために、用途に応じた表面粗さが要求される。しかし、弾性ローラを小径化した場合、弾性層の厚さも小さくなるため、弾性層の硬度を低くする必要がある。このような弾性ローラを形成する際に、従来の研削加工や放電加工等では表面に微細な凹凸を均一に形成することはできないため、弾性層に複数の微細な溝を軸方向に形成した弾性ローラが特許公報に開示されている。なお、微細な溝の形成は、砥石の研削加工により製作した母型より金型を形成し、この金型を用いた射出成型によって行う(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−94079号公報
【特許文献2】特開平10−156841号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
加圧ローラの表面にPFAやPTFEからなる樹脂層を形成すると、定着ベルトとの滑り性が向上し、定着ベルトの回転に異常が生じないので、記録紙に皺が発生したり、異常音が発生したりすることがなく、定着装置の組立の作業効率が低下するという問題も生じない。
【0014】
しかし、前述の如く、ニップ部内で圧力が掛かると、加圧ローラの低硬度ソリッドゴムは押しつぶされ、表面は伸縮しようとする。幅広いニップ部や高い分離曲率を得るため、ソリッドゴムは大きく変形し、樹脂層がなければ10%前後の伸縮率になる。初期状態では樹脂層がこの変形を妨げ、支えるような状態になるが、加圧ローラの柔らかさを損なわないように、樹脂層は10〜50μmと非常に薄く形成されているので、いつまでも支えることはできない。樹脂層はゴムのような伸縮性がないため、ニップ部の通過を繰り返すうちに次第に伸ばされ、やがて伸ばされたときに亀裂が発生する。亀裂の部分では樹脂層による支えがないため、その部分のゴム層に変形が集中し、樹脂層だけでなくゴム層にも亀裂が進行する。こうなると、亀裂の部分では定着圧力が充分に掛からなくなり、光沢むらや定着不良が生ずる。そして、最悪の場合には加圧ローラのゴム層の破断に至る。
【0015】
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、ベルト定着装置における加圧ローラの弾性層をPFAやPTFEからなる樹脂層で被覆しても、ニップ部での加圧によって樹脂層や弾性層に亀裂が生ずることのないベルト定着装置、及び該ベルト定着装置を備えた画像形成装置を提案することを目的とする。
【0016】
なお、特許文献1においては、PFAチューブやシリコーンゴム層が裂けるといった問題は記載されておらず、ましてこのような問題への対応策については全く記載されていない。
【0017】
また、特許文献2においては、弾性ローラは芯材の外周に弾性層が形成されるのみであって、弾性層の表面粗さを均一にするために微細な溝を形成するものである。従って、弾性層を更に樹脂層で被覆する構成は記載されておらず、弾性層に亀裂が生ずるといった問題やこれへの対策については全く記載されていない。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記目的は、下記に記載した発明により達成される。
1.無端状の定着ベルトと、
前記定着ベルトの内側に配置された加圧ローラと、
前記定着ベルトを前記加圧ローラに圧接させる加圧部材と、を有し、
前記定着ベルトと前記加圧部材との間に形成されたニップ部で記録材上のトナー像を定着するベルト定着装置において、
前記加圧ローラはソリッドゴムから形成された弾性層を有すると共に、該弾性層は樹脂層にて被覆され、複数の切れ目が前記樹脂層の周方向に並設されて形成されていることを特徴とするベルト定着装置。
2.前記定着ベルトは加熱手段によって加熱される加熱ローラと前記加圧ローラとに巻回されていることを特徴とする1に記載のベルト定着装置。
3.前記定着ベルトは少なくとも耐熱樹脂層を有することを特徴とする1又は2に記載のベルト定着装置。
4.前記定着ベルトは少なくとも金属層を有することを特徴とする1〜3の何れか1項に記載のベルト定着装置。
5.複数の前記切れ目は前記樹脂層の周方向に概ね等間隔で形成されていることを特徴とする1〜4の何れか1項に記載のベルト定着装置。
6.前記切れ目は、前記樹脂層の外表面に間隙がある溝に形成されていることを特徴とする1〜5の何れか1項に記載のベルト定着装置。
7.前記切れ目は、前記加圧ローラが変形していないときは前記樹脂層の外表面に間隙がなく密着していることを特徴とする1〜5の何れか1項に記載のベルト定着装置。
8.前記切れ目は、前記加圧ローラの軸方向の一端から他端まで連続して形成されていることを特徴とする1〜7の何れか1項に記載のベルト定着装置。
9.前記切れ目は、前記加圧ローラの未使用時には軸方向の一端から他端まで不連続に形成されており、前記加圧ローラの使用時には連続した切れ目になることを特徴とする1〜7の何れか1項に記載のベルト定着装置。
10.前記切れ目は、前記加圧ローラの軸方向と概ね平行に形成されていることを特徴とする1〜9の何れか1項に記載のベルト定着装置。
11.前記切れ目は、軸方向の中央部の一方の側と他方の側に、前記定着ベルトの回転方向に沿って前記中央部の方向に向かって旋回する複数の螺旋により形成されていることを特徴とする1〜9の何れか1項に記載のベルト定着装置。
12.前記樹脂層に、回転方向に沿った複数の切れ目が更に形成されていることを特徴とする10又は11に記載の記載のベルト定着装置。
13.前記樹脂層に形成された複数の切れ目は、一方の方向に旋回する複数の螺旋と他方の方向に旋回する複数の螺旋により形成されていることを特徴とする1〜9の何れか1項に記載のベルト定着装置。
14.前記樹脂層は、耐熱性樹脂のチューブの被覆によって形成されていることを特徴とする1〜13の何れか1項に記載のベルト定着装置。
15.前記樹脂層は、耐熱性樹脂のコーティングによって形成されていることを特徴とする1〜13の何れか1項に記載のベルト定着装置。
16.1〜15の何れか1項に記載のベルト定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明のベルト定着装置及び画像形成装置によれば、定着ベルトの破損や皺、定着ベルトの駆動時の異常音、定着装置の組み立て性の低下、光沢むら、加圧ローラ表面の亀裂やそれに起因する画像不良、加圧ローラの破断等の不具合を何れも防止しながら、高速定着に対応する広いニップ幅や高い分離性能を実現することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に本発明の画像形成装置に関する実施の形態を図を参照して説明する。
【0021】
先ず、画像形成装置の一例を図1の構成図に基づいて説明する。
【0022】
本画像形成装置は画像形成装置本体GHと画像読取装置YSとから構成される。
【0023】
画像形成装置本体GHは、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、複数組の画像形成部10Y,10M,10C,10K、ベルト状の中間転写体6、給紙搬送手段及び定着装置9等からなる。
【0024】
画像形成装置本体GHの上部には、自動原稿送り装置201と原稿画像走査露光装置202から成る画像読取装置YSが設置されている。自動原稿送り装置201の原稿台上に載置された原稿dは搬送手段により搬送され、原稿画像走査露光装置202の光学系により原稿の片面又は両面の画像が走査露光され、ラインイメージセンサCCDに読み込まれる。
【0025】
ラインイメージセンサCCDにより光電変換されて形成された信号は、画像処理部において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等が行われた後、露光手段3Y,3M,3C,3Kに送られる。
【0026】
イエロー(Y)色の画像を形成する画像形成部10Yは、感光体ドラム1Yの周囲に帯電手段2Y、露光手段3Y、現像装置4Y及びクリーニング手段8Yを配置している。マゼンタ(M)色の画像を形成する画像形成部10Mは、感光体ドラム1Mの周囲に帯電手段2M、露光手段3M、現像装置4M及びクリーニング手段8Mを配置している。シアン(C)色の画像を形成する画像形成部10Cは、感光体ドラム1Cの周囲に帯電手段2C、露光手段3C、現像装置4C及びクリーニング手段8Cを配置している。黒(K)色の画像を形成する画像形成部10Kは、感光体ドラム1Kの周囲に帯電手段2K、露光手段3K、現像装置4K及びクリーニング手段8Kを配置している。そして、帯電手段2Yと露光手段3Y、帯電手段2Mと露光手段3M、帯電手段2Cと露光装置3C、及び帯電手段2Kと露光装置3Kは、潜像形成手段を構成する。
【0027】
なお、現像装置4Y,4M,4C,4Kは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び黒(K)の小粒径のトナーとキャリアからなる2成分現像剤を内包する。
【0028】
中間転写体6は、複数のローラにより巻回され、循環駆動される。
【0029】
定着装置9は、加熱ローラ92と加圧ローラ93とに張架されて循環駆動される無端状の定着ベルト91と、定着ベルト91を介して加圧ローラ93を押圧する外部加圧ローラ94とを有し、定着ベルト91と外部加圧ローラ94との間に形成されたニップ部で記録材(記録紙)P上のトナー像を加熱・加圧して定着する。
【0030】
かくして、画像形成部10Y,10M,10C,10Kより形成された各色の画像は、回動する中間転写体6上に転写手段7Y,7M,7C,7Kにより逐次転写されて(1次転写)、カラー画像合成されたトナー像が形成される。給紙カセット20内に収容された記録材Pは、給紙手段21により給紙され、給紙ローラ22A,22B,22C,22D,レジストローラ23等を経て、転写手段7Aに搬送され、記録材P上にカラー画像が転写される(2次転写)。カラー画像が転写された記録材Pは定着装置9において加熱・加圧され、記録材P上のカラートナー像が定着される。その後、排紙ローラ24に挟持されて機外の排紙トレイ25上に載置される。
【0031】
一方、転写手段7Aにより記録材Pにカラー画像を転写した後、記録材Pを曲率分離した中間転写体6は、クリーニング手段8Aにより残留トナーが除去される。
【0032】
なお、以上はカラー画像を形成する画像形成装置であるが、本発明はモノクロ画像を形成する画像形成装置にも適用可能である。
【0033】
次に、本発明に係わるベルト定着装置について、図2の断面図に基づいて説明する。
【0034】
定着ベルト91は、無端状に形成され、例えば、基体として厚さ70μmのPI(ポリイミド)や厚さ40μmのニッケル電鋳を用い、基体の外周面を弾性層として厚さ200μmの耐熱性のシリコンゴム(硬度JIS−A30°)で被覆し、更に、厚さ30μmのPFA(パーフルオロアルコキシ)チューブの樹脂層で被覆している。なお、内径寸法は例えば80mmである。
【0035】
加熱ローラ92は、定着ベルト91を加熱する加熱手段としてのハロゲンランプ92Aを内蔵し、例えば、アルミニュウム等から形成された肉厚2mmの円筒状の芯金92Bの外周面を、厚さ30μmの耐熱性樹脂であるPFAでコーティングした樹脂層92cで被覆している。なお、外径寸法は例えば52mmである。
【0036】
また、ハロゲンランプ92Aとしては、異なる幅の記録材Pに対応するため、軸方向に例えば930Wと600Wの部分を設けて異なる発熱分布にしてある。
【0037】
加圧ローラ93は、鉄等の金属から形成された中実の芯金93Aを、弾性層93Bとして厚さ7mmの耐熱性のソリッドゴムであるシリコンゴム(硬度JIS−A10°)で被覆し、更に、厚さ30μmの低摩擦で耐熱性樹脂であるPFAでコーティングした樹脂層93Cで被覆している。なお、外径寸法は例えば40mmである。
【0038】
外部加圧ローラ(加圧部材)94は、定着ベルト91を加熱する加熱手段としてのハロゲンランプ94Aを内蔵し、アルミニュウム等から形成された肉厚2mmの円筒状の芯金94Bの外周面を、弾性層94Cとして厚さ2mmの耐熱性のシリコンゴム(硬度JIS−A20°)で被覆し、更に、厚さ30μmのPFAチューブの樹脂層94Dで被覆している。なお、外径寸法は例えば50mmである。
【0039】
そして、不図示の付勢手段により、外部加圧ローラ94が定着ベルト91を加圧ローラ93に圧接させている。
【0040】
また、ハロゲンランプ94Aとしては、例えば530Wで軸方向に均一な発熱分布である。
【0041】
更に、定着ベルト91の巻き掛け部での温度を検知する温度センサS1、ニップ部直前での定着ベルト91の温度を検知する温度センサS2、及び外部加圧ローラ94の温度を検知する温度センサS3が設けられている。
【0042】
なお、樹脂層92C,93C,94DをPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の耐熱性、高離型性樹脂のチューブの被覆やコーティング加工によって形成してもよい。
【0043】
また、定着ベルト91を加熱する加熱手段として、どのような加熱手段を用いてもよく、例えば励磁コイルを用いた誘導加熱発熱体を用いてもよい。また、加熱手段は、必ずしも加熱ローラ92等の中に配置されていなくてもよく、どこに配置されていてもよい。
【0044】
また、定着ベルトを押圧するテンションローラを設けた定着装置であってもよい。
【0045】
以上の構成において、不図示の駆動手段によって加圧ローラ93を時計方向に回転させると、定着ベルト91及び加熱ローラ92も時計方向に回転し、外部加圧ローラ94は反時計方向に回転する。なお、外部加圧ローラ94を駆動してもよい。また、加熱ローラ92に当接する定着ベルト91はハロゲンランプ92Aにより加熱され、外部加圧ローラ94もハロゲンランプ94Aによって加熱される。そして、不図示の付勢手段によって外部加圧ローラ94が加圧ローラ93の方向に付勢されているので、加圧ローラ93に巻回された定着ベルト91と外部加圧ローラ94との間のニップ部Nで、給紙された記録材Pが加熱・加圧されて、記録材P上のトナー像が定着される。
【0046】
なお、図2に示した定着装置においては、加熱ローラ92が加圧ローラ93の真上にあって互いの中心を通る直線上にニップ部Nが形成されているが、これに限定されるものではなく、加熱ローラ92が加圧ローラ93の横方向にあって、前記直線上ではない部分にニップ部Nが形成されていてもよい。
【0047】
以上のベルト定着装置において、加圧ローラ93の弾性層93BにPFAやPTFEからなる樹脂層93Cを被覆した際に、ニップ部Nでの加圧によって樹脂層93Cや弾性層93Bが変形し亀裂が生ずる虞がある。
【0048】
そこで、図3に示す如く、加圧ローラ93の少なくとも樹脂層93Cに軸方向に沿った複数の切れ目93C1を設ける。これにより、ニップ部Nで加圧された際に切れ目93C1が周方向に広がる。
【0049】
本実施の形態においては、ニップ部Nの幅は12mm程度であり、周方向に0.5mm間隔で切れ目93C1を設けているので、ニップ部Nでの切れ目93C1は20本以上になる。切れ目93C1はニップ部Nで加圧ローラ93の弾性層93Bが変形するのに伴って広がる。切れ目93C1がない場合には、樹脂層93Cに意図しない亀裂が生ずると、最初に生じたその1本の亀裂に周囲の変形が集中するが、この構成では20本以上の切れ目93C1に分散することになる。このため、切れ目93C1の1本毎の広がりは小さく、ニップ部Nを繰り返して通過しても切れ目93C1が拡大することはない。また、切れ目93C1の深さは樹脂層の厚さ程度で極く小さく、定着ベルト91を介して未定着画像を加圧しても画像に影響を及ぼさない。
【0050】
なお、加圧ローラ93の切れ目93C1はV字形やU字形の樹脂層93Cの外表面に間隙がある溝であってもよいし、加圧ローラ93が変形していないときは切れ目93C1が樹脂層93Cの外表面に間隙がないように密着していてもよい。
【0051】
このように、加圧ローラ93に多数の切れ目93C1を設ける加工方法の一例として、図4に示すような治具を用いる加工方法がある。
【0052】
図4において、図4(a)は加圧ローラ93を挿脱する方向から見た治具Jの図、図4(b)は治具Jの内周面の拡大展開図である。
【0053】
治具Jは円筒状の支持部材J1の内周面に複数の刃J2を有している。支持部材J1の内周面の内径は、加圧ローラ93の外径より僅かに小さく形成されていて、例えば−50μm〜−300μmに形成されている。
【0054】
支持部材J1の内周面から複数の刃J2が円周方向に所定の間隔で突出しており、加圧ローラ93を治具Jの一方の側から挿入し、他方の側から抜脱すると、加圧ローラ93の樹脂層93Cには図3に示す如く軸方向に沿った複数の切れ目93C1が形成される。
【0055】
切れ目93C1が円周方向に例えば0.5mm間隔で形成されるようにした場合、各々の刃J2を支持部材J1の内周面に0.5mm間隔で配置することは困難である。そこで、図4(b)に示す如く、刃J2を軸方向に4群に分けて配置し、第1群の刃J21、第2群の刃J22、第3群の刃J23、第4群の刃J24をそれぞれ円周方向に2mmの等間隔で配置する。また、第1群の刃J21に対して第2群の刃J22を円周方向に0.5mmの値で位相をずらして配置する。第2群の刃J22に対する第3群の刃J23、及び第3群の刃J23に対する第4群の刃J24に関しても全く同様である。このように刃J2を各々配置することにより、各々の切れ目93C1は円周方向に0.5mmの等間隔で形成される。
【0056】
なお、切れ目93C1の円周方向の間隔は、0.1mm〜2mmが望ましく、0.3mm〜0.5mmが更に望ましい。即ち、間隔が狭いと、刃J2の配置が困難になると共に、加工も困難になる。また、間隔が広いと、切れ目93C1で応力集中し、切れ目93C1が拡大する虞がある。
【0057】
また、切れ目93C1の間隔があまり不均一だと応力集中が生じたり、弾性層93Bが強度不足になる虞があり、概ね等間隔であることが望ましい。
【0058】
また、図5(a)に示す如く、切れ目93C1は樹脂層93Cを完全に切断していなくてもよく、加圧ローラ93がニップ部Nで加圧されたときに樹脂層93Cが分割されれば、充分である。一方、図5(b)に示す如く、切れ目93C1が樹脂層93Cを突き抜けて、弾性層93Bも切断されていても、浅い量ならば問題ない。しかし、弾性層93Bが深く切断されていると、ニップ部Nでの加圧による変形によって切れ目93C1が成長し、弾性層93Bが破断する虞がある。
【0059】
これにより、切れ目93C1の深さは、樹脂層93Cと弾性層93Bの境界面93Dを基準として、−10μm〜+100μmが望ましく、0μm〜30μmが更に望ましい。なお、「−」の数値は切れ目93C1が境界面93Dまで達していない状態に相当し、「+」の数値は切れ目93C1が境界面93Dより深い位置まで達している状態に相当する。
【0060】
また、樹脂層93Cとしては、低摩擦樹脂であることが望ましいが、ポリイミド、ポリアミドイミド等の耐熱性樹脂でもよい。また、チューブの被覆でなく、コーティングで形成してもよい。一方、弾性層93Bとしてはシリコンゴム以外にフッ素ゴムも用いることができる。
【0061】
付言すれば、樹脂層93Cとしてチューブを用いたときに、チューブを弾性層93Bに接着しているので、樹脂層93Cを切れ目93C1で完全に切断しても、樹脂層93Cが剥離することはない。
【0062】
更に、図2により説明した定着装置9を用い、以上の如く樹脂層に切れ目93C1を設けて、連続給紙を行った。
【0063】
定着装置92の実験条件は下記の通りである。
・定着荷重:700N
・定着ベルト張力:42N
・給紙速度:150〜300mm/s
・定着ベルト制御温度:150〜210℃
・外部加圧ローラ制御温度:120〜160℃
・通紙枚数:60万枚
この実験の結果、問題は全く生じなかった。
【0064】
以上の如く、加圧ローラ93に切れ目93C1を設けることにより、ニップ部Nで加圧ローラ93の樹脂層93Cが定着ベルト91に接触する際に微小な滑りが可能になり、定着ベルト91を損傷させることがなく、異常音が発生することもない。また、切れ目93C1は極く小さく、しかも多数あるので、切れ目93C1の拡大が分散する。従って、従来の如く生じた切れ目が成長して、弾性層93Bの破壊につながるようなことは生じない。
【0065】
また、定着装置の組み立て時には、低硬度の弾性層93Bではなく、樹脂層93Cが定着ベルト91と接触する。従って、加圧ローラ93は定着ベルト91の内部でよく滑り、容易に組立を行うことができる。
【0066】
また、加圧ローラ93に設ける切れ目に関しては、図3に示した如く軸方向に平行に設けた切れ目に限定されるものではなく、各種の変形例が考えられる。これを図6に示す。図6はいずれも加圧ローラ93の外周面を展開した図であり、横方向が軸方向である。
【0067】
図6(a)においては、切れ目が加圧ローラ93の軸方向の両端部より中央部に向かって傾斜して、円周上では螺旋状に形成されている。そして、本図においては矢印方向に定着ベルト91が回転する。従って、前述の効果に加えて、加圧ローラ93の長手方向の偏りも是正することができる。
【0068】
図6(b)においては、軸方向に設けた切れ目に対して直交する複数の切れ目が形成されている。実際には、ニップ部Nでの押圧によって加圧ローラ93の樹脂層93Cや弾性層93Bは軸方向にも変形する。この際に、軸方向中央部では何ら問題はないが、軸方向端部では端部側に弾性層93Bが逃げる変形が大きくなる。従って、上記効果に加えて軸方向端部の変形による樹脂層93C等の亀裂の発生を防止することができる。
【0069】
図6(c)においては、複数の傾斜方向の異なる切れ目が螺旋状に形成されている。従って、軸方向に平行な切れ目を設けた場合と比較して、切れ目の間隔が粗くても切れ目の間隔を狭めた場合と同様の効果が生ずる。
【0070】
なお、螺旋状の切れ目を形成する加工方法としては、加圧ローラ93若しくは治具Jを回転させながら軸方向に移動させればよい。この場合、図4(b)に示した第1〜4群の刃の位置を治具を回転させるために補正し、周方向に等間隔になるようにする。また、軸方向と直交する切れ目を形成する加工方法としては、軸方向に複数の刃を有する治具を配置し、加圧ローラ93を当接させて回転させればよい。
【0071】
更に、加圧ローラ93に切れ目を形成する加工方法として、レーザー加工が挙げられ、これについて詳述する。
【0072】
この場合は、加圧ローラ93の樹脂層93Cにレーザー光を照射すればよい。但し、樹脂層93Cを通過したレーザー光が弾性層93Bに過剰な損傷を加えないように、樹脂層93Cとして例えばPFAチューブにカーボンブラックを含有させ、樹脂層93Cにレーザー光が効率的に吸収されるようにすることが望ましい。なお、1〜15%のカーボンブラックを含有させることが好ましい。また、吸収率向上のための添加物して、カーボンブラックに代えて各種の顔料を用いてもよい。なお、加圧ローラ93はトナー画像と接触する外部加圧ローラ94よりは離型性が要求されないので、上記の添加物を加えても問題は生じない。
【0073】
レーザーによる加工方法としては、先ず加圧ローラ93を軸方向に移動させながら、加圧ローラ93の全長に渡って外周面にレーザー光を照射する。続いて、加圧ローラ93を中心軸を中心に例えば0.5mm〜2mm回転させ、前述と同様にレーザー光を照射する。これを繰り返せば、図3に示す如く加圧ローラ93の軸方向に沿った複数の切れ目93C1が形成される。
【0074】
また、加圧ローラ93を軸方向には移動させずに、ポリゴンミラーやガルバノミラーでレーザー光を走査するようにしてもよい。
【0075】
レーザー出力、照射ビーム径、走査速度は、PFAチューブ等の樹脂層93Cが溶融し、ニップ部への加圧時に切れ目93C1に沿って樹脂層93Cが広がり、且つ弾性層93Bへの損傷が最小になるように設定する。なお、弾性層93Bに形成される切れ目93C1の深さは200μm以下となることが望ましい。また、レーザー光を照射した場合は、樹脂の樹脂層93Cが一旦熱で溶融するため、切れ目93C1に樹脂層93Cと弾性層93Bとが剥離する原因となるめくれが生じ難く、前述の如き治具Jを用いて切削加工した場合と比較して耐久性に勝る。
【0076】
この場合も、樹脂層93Cとしては、低摩擦樹脂であることが滑り性の点で望ましいが、ポリイミド、ポリアミドイミド、PTFE等の一般的な耐熱性樹脂でもよい。また、チューブの被覆でなく、コーティングで形成してもよい。
【0077】
一方、弾性層93Bとしてはシリコンゴム以外にフッ素ゴムも好適である。樹脂層93Cにフッ素樹脂を用いる場合は、樹脂層93Cと弾性層93Bとの接着性の点でフッ素ゴムがより好ましい。また、熱伝導性を向上させる等の目的で、金属酸化物等を添加したゴムが多く用いられているが、本構成の加圧ローラ93には熱伝導性は必須ではなく、むしろ熱の流失を抑制するためには低熱伝導の方が好ましい。
【0078】
そこで、レーザー光による弾性層93Bの損傷を最低限に抑えるために、ゴムへの添加物を減らすか添加物をなくして透明若しくは半透明のゴムにし、ゴムによるレーザー光の吸収を分散させると、弾性層93Bの損傷を最低限に抑えることができる。
【0079】
更に、レーザー加工により樹脂層93Cに切れ目93C1を形成し、治具Jにて切れ目93C1を形成したときと同一実験条件で60万枚の連続給紙を行った。この実験の結果、問題は全く生じなかった。そして、治具Jにて切れ目93C1を形成したときと同様の効果が得られた。
【0080】
また、レーザー加工により樹脂層93Cに切れ目93C1を形成する場合も、ニップ部Nでの周方向への変形の吸収以外に他の機能を満足させるために、図6(a)〜(c)の如く加工してもよい。
【0081】
更に、レーザー加工の場合は任意の加工が可能であるので、軸方向に連続した波形の切れ目や連続した山形の切れ目等の任意のパターンの切れ目を形成してもよい。
【0082】
なお、本発明の効果を得るための切れ目の分布パターンは、以上の如く例示したものに限定されるものではない。軸方向の任意の位置で、加圧ローラ表面を周方向に走査したとき、適切な間隔で適当な深さの切れ目が存在すればいよい。また、切れ目は一方の軸方向端部から他方の軸方向端部まで連続していなくて不連続に形成されていても、加圧ローラの使用時に連続した切れ目になればよい。
【0083】
また、加工時に切れ目やその分布パターンが上記要件を満たしていなくても、ニップ部で変形したときに即座に上記要件を満たすものであれば、同様の効果を得ることができる。例えば、加圧ローラの弾性層に被覆する前の樹脂層に適切なパターンの溝やミシン目を設けておき、加圧ローラがニップ部で荷重を受けて変形したときに、その溝やミシン目に沿って樹脂層が裂けるようにしてもよい。また、これらの溝やミシン目は樹脂層を弾性層に被覆した後で加工してもよい。
【0084】
以上の図2に示したベルト定着装置は、画像面側に定着ベルトを用いる上ベルト方式であり、熱効率の観点から定着ベルトからの供給量を増すため、定着ベルトの設定温度を高くする必要がある。必然的に定着ベルトの内側に配置する加圧ローラの温度が高くなって、弾性層の弾性率が低下する。このため、ニップ部での変形率が大きくなって、本発明の課題がより大きなものとなって、効果が特に顕著となる。
【0085】
しかし、加圧ローラに上述の如き複数の切れ目を形成すべきベルト定着装置としては、図2に示した構成のベルト定着装置に限定されるものではなく、他の形態のベルト定着装置であっても同様な効果が得られる。そこで、図7乃至図10に他の形態のベルト定着装置を示す。
【0086】
図7に示すベルト定着装置は、定着ベルト191が加熱ローラ192と、所定の厚みの弾性層と樹脂層を有する加圧ローラ193以外に案内部材195にも張架され、不図示の支持部材に支持されて、外部加圧ローラ(加圧部材)194に対して荷重が付与されている。また、加圧ローラ193と案内部材195の間に配置されたシリコーンゴム製の押圧パッド196により定着ベルトベルト191の内側から定着ベルトベルト191を外部加圧ローラ194に圧接している。これにより、ニップ部Nの幅がより増している。そして、加圧ローラ193に前述の如き複数の切れ目が形成されている。なお、押圧パッド196に代えてローラを用いてもよい。
【0087】
図8に示すベルト定着装置は、定着ベルト291が所定の厚みの弾性層と樹脂層を有する加圧ローラ293と二つのローラ294,295に巻回され、定着ベルト291の外周面を加熱ローラ292(加圧部材)が圧接している。また、定着ベルト291の内周面を押圧パッド296が保持している。これにより、ニップ部Nの幅がより増している。そして、加圧ローラ293に前述の如き複数の切れ目が形成されている。また、加圧ローラ293は記録材を分離する分離ローラとして作用し、分離ローラは荷重が高く、弾性層の変形率も大きいので、前述の如く複数の切れ目を形成した場合の効果が大きい。
【0088】
図9に示すベルト定着装置は、定着ベルト391が加熱ローラ392と一方の加圧ローラ393に張架され、他方の加圧ローラ394には二つのローラ395と共に圧着ベルト396が張架されている。なお、加圧ローラ393,394はそれぞれ所定の厚みの弾性層と樹脂層を有する。そして、加圧ローラ394が圧着ベルト396及び定着ベルト391を介して加圧ローラ393を押圧している。記録材Pの未定着画像はニップ部Nの前で圧着ベルト369上に保持され予熱されることにより、高い定着性が得られると共に、ニップ部Nを通過した後も記録材Pは圧着ベルト369により安定して搬送される。この場合は、加圧ローラ394が加圧ローラ393に対する加圧部材に相当するが、加圧ローラ393が加圧ローラ394に対する加圧部材としてもよく、加圧ローラ393及び加圧ローラ394の双方に前述の如く複数の切れ目を形成することが望ましい。
【0089】
また、加圧ローラ394に代えて押圧パッドを加圧部材として用いてもよい。
【0090】
図10に示すベルト定着装置は、定着ベルト491が加熱ローラ492と二つの加圧ローラ493,494に張架され、圧着ベルト495が他の加熱ローラ496と他の二つの加圧ローラ497,498に張架されている。なお、加圧ローラ493,494,497,498はそれぞれ所定の厚みの弾性層と樹脂層を有する。そして、加圧ローラ497が加圧ローラ493に、加圧ローラ498が加圧ローラ494に、それぞれ圧着ベルト495及び定着ベルト491を介して圧接している。これにより、ニップ部Nの幅が広く確保できる。また、このニップ部Nで高い定着性と高い分離性能を両立させている。この場合は、加圧ローラ497が加圧ローラ493に対する加圧部材に相当し、加圧ローラ498が加圧ローラ494に対する加圧部材に相当するが、これを逆にしてもよく、加圧ローラ493,494,497,498に前述の如く複数の切れ目を形成することが望ましい。
【0091】
なお、本発明において、加圧ローラと称したローラ群は記録紙等の転写材上の画像に対し圧力を付与するための部材を意味し、実際にどの部材を固定し、どの部材をバネ等で付勢して対向する部材に荷重を加えるか、或いは、接離を伴う構成でどちらを移動させるか等は限定されるものでない。
【0092】
例えば、図2の定着装置において、加圧ローラ93を固定して外部加圧ローラ94をバネで付勢するか、或いは、外部加圧ローラ94を固定して加圧ローラ93、若しくは加圧ローラ93、定着ベルト91、加熱ローラ92等を一体化してバネで付勢するかは、本発明の効果を得る上でどちらかに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】画像形成装置の構成図である。
【図2】定着装置の断面図である。
【図3】切れ目が形成された加圧ローラの斜視図である。
【図4】切れ目を形成する治具の図である。
【図5】切れ目の深さを示す図である。
【図6】切れ目の変形例を示す図である。
【図7】他の形態のベルト定着装置の断面図である。
【図8】他の形態のベルト定着装置の断面図である。
【図9】他の形態のベルト定着装置の断面図である。
【図10】他の形態のベルト定着装置の断面図である。
【符号の説明】
【0094】
91,191,291,391,491 定着ベルト
92,192,292,392,492 加熱ローラ
93,193,293,393,394,493,494,497,498 加圧ローラ
93B 弾性層
93C 樹脂層
93C1 切れ目
94 外部加圧ローラ
P 記録材
N ニップ部
J 治具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状の定着ベルトと、
前記定着ベルトの内側に配置された加圧ローラと、
前記定着ベルトを前記加圧ローラに圧接させる加圧部材と、を有し、
前記定着ベルトと前記加圧部材との間に形成されたニップ部で記録材上のトナー像を定着するベルト定着装置において、
前記加圧ローラはソリッドゴムから形成された弾性層を有すると共に、該弾性層は樹脂層にて被覆され、複数の切れ目が前記樹脂層の周方向に並設されて形成されていることを特徴とするベルト定着装置。
【請求項2】
前記定着ベルトは加熱手段によって加熱される加熱ローラと前記加圧ローラとに巻回されていることを特徴とする請求項1に記載のベルト定着装置。
【請求項3】
前記定着ベルトは少なくとも耐熱樹脂層を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のベルト定着装置。
【請求項4】
前記定着ベルトは少なくとも金属層を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のベルト定着装置。
【請求項5】
複数の前記切れ目は前記樹脂層の周方向に概ね等間隔で形成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のベルト定着装置。
【請求項6】
前記切れ目は、前記樹脂層の外表面に間隙がある溝に形成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のベルト定着装置。
【請求項7】
前記切れ目は、前記加圧ローラが変形していないときは前記樹脂層の外表面に間隙がなく密着していることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のベルト定着装置。
【請求項8】
前記切れ目は、前記加圧ローラの軸方向の一端から他端まで連続して形成されていることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のベルト定着装置。
【請求項9】
前記切れ目は、前記加圧ローラの未使用時には軸方向の一端から他端まで不連続に形成されており、前記加圧ローラの使用時には連続した切れ目になることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のベルト定着装置。
【請求項10】
前記切れ目は、前記加圧ローラの軸方向と概ね平行に形成されていることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載のベルト定着装置。
【請求項11】
前記切れ目は、軸方向の中央部の一方の側と他方の側に、前記定着ベルトの回転方向に沿って前記中央部の方向に向かって旋回する複数の螺旋により形成されていることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載のベルト定着装置。
【請求項12】
前記樹脂層に、回転方向に沿った複数の切れ目が更に形成されていることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の記載のベルト定着装置。
【請求項13】
前記樹脂層に形成された複数の切れ目は、一方の方向に旋回する複数の螺旋と他方の方向に旋回する複数の螺旋により形成されていることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載のベルト定着装置。
【請求項14】
前記樹脂層は、耐熱性樹脂のチューブの被覆によって形成されていることを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載のベルト定着装置。
【請求項15】
前記樹脂層は、耐熱性樹脂のコーティングによって形成されていることを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載のベルト定着装置。
【請求項16】
請求項1〜15の何れか1項に記載のベルト定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−310224(P2008−310224A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−159964(P2007−159964)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】