説明

ベルト搬送装置及び画像形成装置

【課題】 より簡単な構成で、応答性が良く、ベルトへの負荷の少ないベルトの片寄り解消機構を備えたベルト搬送装置を提供する。
【解決手段】 ベルト1の内周面で幅方向端部に設けられたリブ12a,12bと、テンションローラ4の回転中心上で該テンションローラ4の幅方向端部に設けられ、該テンションローラ4に対して独立して回転可能なコロ16a,16bとを有し、ベルト1がテンションローラ4上で一方向に寄った場合に何れかのコロ16a,16bがリブ12a,12bからベルト1の回転力を受けて回転し、該コロ16a,16bの回転力によってテンションローラ4の回転中心を駆動ローラ2の回転中心に対して傾けることで、ベルト1を寄り方向とは逆方向に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端状のベルトを複数の張架部材によって張架しつつ回転移動させるベルト搬送装置に関し、特に電子写真方式を利用したプリンタ、複写機等の画像形成装置に用いられるベルト搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を利用したプリンタや複写機等の画像形成装置の中には、無端状のベルトを複数の張架ローラによって張架しつつ回転移動させるベルト搬送装置を用いたものがある。このようなベルト搬送装置においては、ベルトを回転移動させた際にベルトが幅方向(張架ローラの軸方向)に片寄りしてしまう問題がある。
【0003】
この問題を解決する技術として、張架ローラの傾きを自動補正することによってベルトの片寄りの発生を防止する機構が開示されている。
【0004】
特許文献1には、ベルトが寄ったときに該ベルトと接して回転するコロよって張架ローラを傾けることによってベルトの片寄りを解消する機構が示されている。
【0005】
特許文献2には、ベルトが寄ったときに該ベルトと接触して回転するコロと、該コロが回転することで張架ローラの位置を移動させるレバーとを有する。そして、前記コロの回転をレバーに伝達して張架ローラを傾かせることによってベルトの片寄りを解消する機構が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平06−99055号公報
【特許文献2】特開2005−092153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の構成は、ベルト内周面とコロ斜面との摩擦力を利用しており、実際にコロにトルクが加わるには、ある程度、ベルトがコロの斜面に乗り上げる必要がある。このため、ベルトが移動できるだけの幅方向の大きさを確保しておく必要があり、装置を小型化しようとする際には、よりベルトの移動量が少なくても機能する機構が求められる。また、ベルト内周面が長時間コロと摺動するため、強度の高いベルトを使用する必要があり、安価なベルトを使用することによってコストダウンを図る際には、ベルトへの負荷がより少ない機構が求められる。
【0008】
また、特許文献2の構成は、コロの回転をネジやギア、レバー等の部品を介して駆動ローラに伝達しているため機構が複雑で部品点数が多くなっており、更なるコストダウンを図るためにより簡易な構成で実現することが求められる。
【0009】
本発明は、より簡単な構成で、応答性が良く、ベルトへの負荷の少ないベルトの片寄り解消機構を備えたベルト搬送装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するための本発明に係るベルト搬送装置の代表的な構成は、回転可能な無端状のベルトと、前記ベルトを張架して回転可能な第1の張架部材と、前記ベルトを張架して回転可能な第2の張架部材と、前記ベルトが該ベルトの回転方向と直交する方向に寄った場合に前記第1の張架部材の回転中心と前記第2の張架部材の回転中心との成す角度を変更することで前記ベルトの寄りを戻す寄り戻し手段とを有し、前記寄り戻し手段は、前記ベルトの内周面で幅方向端部に設けられた凸部と、前記第2の張架部材の回転中心上で前記第2の張架部材の幅方向端部に設けられ、該第2の張架部材に対して独立して回転可能な回転部材とを有し、前記ベルトが前記第2の張架部材上で一方向に寄った場合に前記回転部材が前記凸部から前記ベルトの回転力を受けて回転し、前記回転部材の回転力によって前記第2の張架部材の回転中心を前記第1の張架部材の回転中心に対して傾けることで、前記ベルトを寄り方向とは逆方向に移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記構成によれば、ベルトの片寄りによって、ベルトの内周面で幅方向端部に設けられた凸部と、第2の張架部材の回転中心上に設けられた回転部材とが接触する。それによって発生する回転部材の回転力で第2の張架部材を直接傾かせることができる。このため構成が簡単であり、応答性が良く、ベルトへの負荷が少ないベルトの片寄り解消機構を備えたベルト搬送装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るベルト搬送装置を中間転写ユニットとして備えた画像形成装置の構成を断面説明図である。
【図2】本発明に係るベルト搬送装置の第1実施形態の構成を示す斜視説明図である。
【図3】ベルトの構成を示す斜視説明図である。
【図4】ベルトの構成を示す断面説明図である。
【図5】第1実施形態の第2の張架部材の構成を示す斜視説明図である。
【図6】第1実施形態の第2の張架部材の構成を示す断面説明図である。
【図7】第1実施形態の第2の張架部材の構成を示す断面説明図である。
【図8】第1実施形態の第2の張架部材の構成を示す部分拡大図である。
【図9】第1実施形態のベルト搬送装置の構成を示す斜視説明図である。
【図10】第1実施形態のベルト搬送装置の構成を示す斜視説明図である。
【図11】第1実施形態の自動調心機構の動作を説明する部分拡大図である。
【図12】第1実施形態の自動調心機構の動作を説明する断面説明図である。
【図13】本発明に係るベルト搬送装置の第2実施形態の構成を示す部分拡大図である。
【図14】第2実施形態のベルト搬送装置の構成を示す斜視説明図である。
【図15】本発明に係るベルト搬送装置の第3実施形態の構成を示す断面説明図である。
【図16】本発明に係るベルト搬送装置の第4実施形態の構成を示す斜視説明図である。
【図17】第4実施形態の自動調心機構の動作を説明する部分拡大図である。
【図18】本発明に係るベルト搬送装置の第5実施形態の構成を示す部分拡大図である。
【図19】第5実施形態のベルト搬送装置の構成を示す斜視説明図である。
【図20】本発明に係るベルト搬送装置の第6実施形態の構成を示す斜視説明図である。
【図21】本発明に係るベルト搬送装置を転写材搬送ユニットとして備えた画像形成装置の構成を断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図により本発明に係るベルト搬送装置を備えた画像形成装置の一実施形態を具体的に説明する。
【実施例1】
【0014】
先ず、図1〜図12を用いて本発明に係るベルト搬送装置を中間転写ユニットとして備えた画像形成装置の構成について説明する。
【0015】
<画像形成装置の全体構成>
図1は本発明に係るベルト搬送装置を中間転写ユニットとして備えた画像形成装置100の構成を示す。本実施形態の画像形成装置100は、電子写真方式のカラーレーザービームプリンタの一例を示す。但し、本発明はこれに限定されるものではなく、電子写真方式を用いた画像形成装置に広く適用可能なものである。
【0016】
画像形成装置100は、該画像形成装置100に通信可能に接続された図示しないパーソナルコンピュータ等の外部機器から送られてきた画像信号に従って、電子写真方式により、記録シート、OHPシート等の転写材20にカラー画像を形成することができる。
【0017】
画像形成装置100内には、複数の画像形成手段として、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー画像を形成する複数の画像形成ユニット110Y,110M,110C,110Kが略水平方向に直線状に配置されている。そして、各画像形成ユニット110Y,110M,110C,110Kに対向するようにベルト搬送装置となる中間転写ユニット120が配置されている。
【0018】
中間転写ユニット120は、像担持ベルトとしての中間転写ベルトからなる回転可能な無端状のベルト1を、各画像形成ユニット110Y,110M,110C,110Kと対向して周回移動可能に構成されている。
【0019】
本実施形態ではベルト1の移動に伴って、その上に各画像形成ユニット110Y,110M,110C,110Kにて形成したトナー画像を順次転写する。その後、転写材20に一括して転写することによって、転写材20に所望の色数のトナー画像が転写されたカラー画像を形成することができる。
【0020】
各画像形成ユニット110Y,110M,110C,110Kは、それぞれ形成するトナー画像の色が異なることを除けば、同一の構成、作用を有するものである。このため、以下、特に区別を要しない場合は、各画像形成ユニット110Y,110M,110C,110Kのいずれかに属する要素であることを示すためにY、M、C、Kの添え字は省略して単に画像形成ユニット110で代表させて説明する。関連する各画像形成プロセス手段についても同様とする。
【0021】
画像形成ユニット110では、周知の電子写真画像形成プロセスによってトナー画像を形成する。つまり、画像形成ユニット110には、静電潜像が形成される像担持体として円筒型の電子写真感光体からなる感光ドラム111が図1の矢印方向に回転可能に設けられている。画像形成動作においては、まず回転する感光ドラム111の表面を、帯電手段となる帯電ローラ112によって一様に帯電させる。
【0022】
次いで、コンピュータから送られてきた信号に従って、露光手段としてのレーザスキャナ130からレーザが発光し、帯電した感光ドラム111上を走査露光することによって該感光ドラム111上に静電潜像が形成される。感光ドラム111上(像担持体上)に形成された静電潜像には現像手段となる現像装置113が現像剤としてトナーを供給し、トナー画像として現像して可視像化する。
【0023】
こうして感光ドラム111上に形成されたトナー画像は、一次転写手段となる一次転写ローラ121の作用によってベルト1上に静電的に転写される。一次転写ローラ121は、一次転写ニップ部T1においてベルト搬送装置となる中間転写ユニット120に設けられたベルト1を挟んで感光ドラム111とは反対側に配置される。
【0024】
上記のような画像形成プロセスによって、ベルト1の移動とタイミングをとって各画像形成ユニット110の感光ドラム111上に形成されたトナー画像は、順次、ベルト1上に重ね合わせて転写される。
【0025】
一方、転写材収容部140からピックアップローラ141等によって送り出された転写材20が、レジストローラ142においてタイミングをとって、二次転写手段となる二次転写ローラ143とベルト1とが当接する二次転写ニップ部T2へと搬送されてくる。ベルト1上に転写されたトナー画像は二次転写ニップ部T2において二次転写ローラ143の作用によって転写材20に静電的に転写される。
【0026】
次いで、転写材20はベルト1から分離されて定着ユニット150へと搬送され、ここで、転写材20上のトナー画像は加圧、加熱され、該転写材20上に強固に定着される。その後、転写材20は排出ローラ160によって搬送され、排出トレイ170上に排出される。
【0027】
本実施形態の画像形成装置100では、各画像形成ユニット110の感光ドラム111、帯電ローラ112、現像装置113は枠体によって一体的にカートリッジ化されて画像形成装置100に対して着脱可能なプロセスカートリッジとして構成されている。また、中間転写ユニット120も画像形成装置100に対して着脱自在とされている。
【0028】
<ベルト搬送部>
次に、本実施形態にて最も特徴的なベルト搬送装置となる中間転写ユニット120におけるベルト搬送部200の構成について説明する。
【0029】
まず、図2を参照して中間転写ユニット120のベルト張架部の全体構成について説明する。図2は本実施形態における中間転写ユニット120の外観を示す斜視図である。
【0030】
ベルト搬送部200には、ベルト1と、該ベルト1を張架して回転可能に支持するための複数の張架部材として、ベルト1を駆動するための第1の張架部材となる駆動ローラ2が設けられる。更に、ベルト1に従動回転する従動ローラ3及び第2の張架部材となるテンションローラ4が設けられる。即ち、3つのローラによりベルト1が回転可能に張架されている。
【0031】
駆動ローラ2、従動ローラ3は、それぞれ長手方向両端部を軸受5a,5b,6a,6bによって、それぞれ回転可能に支持されている。そして、装置フレームに固定される側板7a,7bが、2つのローラを支持する軸受5a,5b,6a,6bをそれぞれ保持する。駆動ローラ2は、画像形成装置100に設けられた図示しないモータ等の駆動源から駆動が伝達されて回転する。これにより、ベルト1は図2の矢印B方向に周回移動する。従動ローラ3は、駆動ローラ2によってベルト1を移動させることで従動回転する。また、従動ローラ3は駆動ローラ2と略平行に支持される。
【0032】
テンションローラ4は、図2の矢印T方向に移動可能に保持されている。即ち、テンションローラ4の両端部には、該テンションローラ4の回転軸8を軸支する軸受9a,9bが設けられており、該軸受9a,9bは、側板7a,7bにそれぞれ設けられた細長形状の軸受保持穴10a,10bに沿って滑動可能に保持されている。軸受9a,9bは、付勢手段として弾性部材となるバネ11a,11bによって付勢されており、これによってベルト1に張力を与えている。駆動ローラ2によってベルト1を移動させることでテンションローラ4はベルト1に従動回転する。
【0033】
<ベルト調心機構>
ベルト搬送部200には、ベルト1が該ベルト1の回転方向と直交する方向となるテンションローラ4の回転軸8方向に寄った場合に、駆動ローラ2の回転中心となる回転軸2aと、該テンションローラ4の回転中心との成す角度を変更する。これによりベルト1の寄りを戻す寄り戻し手段としてのベルト調心機構を備える。
【0034】
図3は本実施形態におけるベルト1の構成を示す斜視図、図4はベルト1の幅方向の断面図である。図3及び図4に示すように、ベルト1の内周面側で幅方向端部には凸部となるリブ12a,12bが離間間隔Laを有して取り付けられている。リブ12a,12bはベルト1の内周面に略垂直方向に起立し、該ベルト1の全周に亘って連続的に設けられている。
【0035】
次に、図5〜図9を参照して、テンションローラ4の構成について説明する。
【0036】
図5はテンションローラ4の斜視図、図6はテンションローラ4の幅方向断面図である。図5及び図6に示すように、テンションローラ4は中空のパイプ形状のスリーブ13と、該スリーブ13内に挿通された回転軸8を有して構成されている。ベルト1はスリーブ13の外周面に巻き付けられている。回転軸8にはベルト1の幅方向の略中央部に軸受14が設けられており、スリーブ13の軸方向の略中央部において該スリーブ13が軸受14と揺動自在に当接することによって該スリーブ13を保持し、バネ11a,11bによる付勢力を伝達している。即ち、スリーブ13は軸受14によって軸方向の略中央部の一箇所のみで支持されている。
【0037】
軸受14はスリーブ13の内径よりも小さい外径を有して構成される。このため、スリーブ13は回転軸8の外径と、フランジ部材15a,15bの内径との間に設けられた隙間21により軸受14を中心として傾斜することが可能である。これによりテンションローラ4の回転中心を回転軸8に対して傾斜させることが出来る。尚、軸受14として、内周面に対して外周面が傾くことが可能な既知の自動調心タイプの軸受を使用し、その外周面とスリーブ13の内周面とを嵌合させて構成することでも良い。
【0038】
図6に示すように、スリーブ13の両端には筒状のフランジ部材15a,15bが固定して設けられている。フランジ部材15a,15bはスリーブ13の内部に嵌入して固定される嵌入部15a1,15b1を有する。更に、スリーブ13の端部に当接するフランジ部15a2,15b2と、回転部材となるコロ16a,16bを回転自在に支持するボス部15a3,15b3とを有する。
【0039】
フランジ部材15a,15bはスリーブ13と一体的に回転する。フランジ部材15a,15bの内周径は、回転軸8の外周径よりも大きくなっている。これにより、スリーブ13が回転軸8に対して軸受14を中心に傾くことができる。また、フランジ部材15a,15bの外端部が装置フレームに固定された側板7a,7bに設けられた軸受9a,9bにそれぞれ当接することによってスリーブ13の軸方向の移動を規制している。
【0040】
フランジ部材15a,15bには、該フランジ部材15a,15bのボス部15a3,15b3に対して回転自在にコロ16a,16bが嵌合される。回転部材となるコロ16a,16bは、第2の張架部材となるテンションローラ4の回転中心と同一の回転中心で回転するフランジ部材15a,15bのボス部15a3,15b3上(回転中心上)で該テンションローラ4の幅方向端部に設けられる。そして、該テンションローラ4に対して独立して回転可能に設けられる。コロ16a,16bはスリーブ13とフランジ部材15a,15bに対して同一の回転中心上で自由に回転できる。
【0041】
図7はテンションローラ4の両端部の拡大図、図8はテンションローラ4の一方の端部の斜視図である。図7及び図8に示すように、コロ16a,16bは、フランジ部材15a,15bのボス部15a3,15b3に嵌合された状態でスリーブ13の外径と略同一の外径を有するベルト当接部16cを有する。更に、該ベルト当接部16cに対して、ベルト1の内周面に設けられたリブ12a,12bの高さよりも大きい段差が形成される外径を有するリブ離間部16dを有する。更に、該ベルト当接部16cとリブ離間部16dとを繋ぐ斜面からなるリブ当接部16eとを有する。尚、リブ当接部16eはコロ16a,16bの軸方向と垂直な面で構成しても良い。
【0042】
図7に示すように、コロ16a,16bのリブ離間部16dにはベルト1及びリブ12a,12bは接触しない。また、ベルト1が図7の左右方向に移動すると、リブ12a,12bの何れかの側面がコロ16a,16bの何れかのリブ当接部16eに接触する。尚、本実施形態においては、リブ当接部16eの傾斜角度はコロ16a,16bの軸方向に対して80度の傾斜角度に設定されている。
【0043】
また、図7に示すように、ベルト1の幅方向両端部に設けられたリブ12a,12bの離間間隔Laは、コロ16a,16bのそれぞれのリブ当接部16eのリブ12a,12bが当接する位置の離間間隔Lbよりも大きく設定されている。コロ16a,16bはテンションローラ4の両端部に設けられる。これにより、何れか一方のリブ12a,12bのみがコロ16a,16bのそれぞれのリブ当接部16eに当接するようになっている。
【0044】
コロ16a,16bのリブ離間部16dのさらに外側にはカム部16fがそれぞれ設けられており、該カム部16fはベルト1の幅方向の外側に位置している。
【0045】
図9はベルト搬送部200においてベルト1を省略した図である。装置フレームに固定される側板7a,7bには、テンションローラ4の回転中心から離れた位置に固定して設けられた固定部となるストッパ部17a,17bが設けられている。一方、コロ16a,16bにはストッパ部17a,17bに接触可能な接触部となるカム部16fがそれぞれ設けられている。
【0046】
ベルト1がテンションローラ4(第2の張架部材上)で一方向に寄ったときに該ベルト1の内周側端部に設けられたリブ12a,12bが、該リブ12a,12bに対向して設けられたコロ16a,16bのリブ当接部16eに当接する。すると、その接触摩擦力により該何れかのコロ16a,16bがベルト1の回転力を受けて回転する。すると、該コロ16a,16bに設けられたカム部16fの先端が何れかのストッパ部17a,17bに接触して当接した状態で係止され、該コロ16a,16bの何れかの回転が規制される。
【0047】
そして、図12に示すように、回転軸8の外周面とフランジ部材15a,15bの内周面との間に設けられたクリアランスとなる隙間21によりコロ16a,16bの回転中心となるフランジ部材15a,15bの位置が上昇して変位する。そして、該コロ16a,16bの回転中心となるフランジ部材15a,15bの変位によってテンションローラ4の一端部が上方に持ち上がる。そして、該テンションローラ4の回転中心を回転軸8に対して傾斜させる。即ち、テンションローラ4の回転中心を駆動ローラ2の回転中心となる回転軸2aに対して傾ける。
【0048】
このとき、コロ16a,16bは、フランジ部材15a,15b及びスリーブ13に対して自由に回転できる。このため、該コロ16a,16bの回転が停止しても、該コロ16a,16bを保持しているフランジ部材15,15b及びスリーブ13はベルト1に従動して回転し続けることができる。
【0049】
次に、図10〜図12を参照して、テンションローラ4の傾きによる調心機構の作用について説明する。
【0050】
図10はベルト搬送部200においてベルト1を省略した図である。ベルト1が駆動ローラ2によって駆動されて図10の矢印B方向に周回移動している状態において、前述のような構成により、ベルト1が図10の矢印M方向または矢印N方向に移動する。すると、ベルト1に設けられたリブ12a,12bがコロ16a,16bのリブ当接部16eに接触して、該コロ16a,16bに回転力が加えられる。
【0051】
リブ12a,12bはリブ当接部16eの外側に設けられているため、ベルト1が図10の右方向(矢印M方向)に移動した場合は図10の左側のコロ16aに回転力が加わる。ベルト1が図10の左方向(矢印N方向)に移動した場合は図10の右側のコロ16bに回転力が加わる。
【0052】
即ち、本実施形態では、ベルト1が該ベルト1の幅方向他端の内周面側に設けられた第2の凸部となるリブ12b側(第2の凸部側)に寄った場合がある。その場合に第1の回転部材となるコロ16aが該ベルト1の幅方向一端の内周面側に設けられた第1の凸部となるリブ12aからベルト1の回転力を受けて回転する。逆に、ベルト1が第1の凸部となるリブ12a側(第1の凸部側)に寄った場合に第2の回転部材となるコロ16bが第2の凸部となるリブ12bからベルト1の回転力を受けて回転する。
【0053】
図11は、コロ16a,16bのカム部16fがストッパ部17a,17bに当接したときの状態を説明する図である。図11に示すように、コロ16a,16bはリブ12a,12bから受ける回転力によって図11の矢印E方向に回転しようとする。しかし、カム部16fがストッパ部17a,17bに突き当たることによって回転できなくなる。その反作用として図11の破線の位置から実線の位置に押し上げられる。コロ16a,16bが押し上げられることによって、該コロ16a,16bと同軸上に嵌合しているフランジ部材15a,15b及び該フランジ部材15a,15bに固定されたスリーブ13の端部も持ち上げられることになる。
【0054】
図12は、このときのテンションローラ4の状態を示す断面図である。図12の左側のコロ16aが図11のように作用した場合、スリーブ13は前述したように軸受14によって回転軸8に中央部のみで支持されているため、該軸受14を支点として図12の矢印F方向に回転して図12の破線で示す水平位置から実線の位置に傾く。
【0055】
ここで、ベルト1が図10の矢印M方向に寄った場合について説明する。この場合、図10の左側のリブ12aがコロ16aのリブ当接部16eに接触し、リブ12aとコロ16aのリブ当接部16eとの摩擦力によってコロ16aに回転力が加わる。コロ16aはカム部16fがストッパ部17aに当接して回転できず、前述のようにフランジ部材15a及びスリーブ13の端部が図12に示す矢印G方向(上方)に移動され、スリーブ13は軸受14を支点に傾く。
【0056】
このとき、スリーブ13の反対側の図12の右側の端部は図12の矢印H方向(下方)に移動するが、コロ16bのリブ当接部16eはリブ12bとは接触しない位置に移動されているためコロ16bには回転力が加わっていない。このため、スリーブ13が図12の矢印H方向に移動する妨げにはならない。
【0057】
このように、テンションローラ4のスリーブ13が駆動ローラ2及び従動ローラ3に対して傾くと、ベルト1は図10の矢印M方向への寄り傾向が減退し、反対に図10の矢印N方向に寄り始めるため、リブ12aはコロ16aのリブ当接部16eから離間する。
【0058】
この作用によって、当初、ベルト1が図10の矢印M方向に寄った場合は、リブ12aとコロ16aのリブ当接部16eとの接触が無くなるまでベルト1の寄り傾向を打ち消す方向にスリーブ13の傾きが調整される。
【0059】
同様に、ベルト1が図10の矢印N方向(上記とは逆方向)に寄った場合は、反対側のコロ16bのリブ当接部16eにリブ12bの側面が接触し、同様の作用によってスリーブ13が上記とは逆向きに傾く。これによって、ベルト1が図10の矢印M方向に移動するようになる。
【0060】
このように、ベルト1が片寄ることによって該ベルト1に取り付けられた何れかのリブ12a,12bがコロ16a,16bの何れかのリブ当接部16eに接触して該コロ16a,16bの何れかに回転力が加えられる。その力でコロ16a,16bによって直接、スリーブ13を傾けることができる。即ち、ベルト1の片寄り力を直接、テンションローラ4を傾ける力に変換することができ、その結果、テンションローラ4を駆動ローラ2及び従動ローラ3に対して傾かせることができる。
【0061】
尚、本実施形態ではベルト搬送部200は、駆動ローラ2、従動ローラ3及びテンションローラ4の3本のローラを使用してベルト1を回転可能に張架した。他に、少なくとも駆動ローラ2及びテンションローラ4の2本のローラを使用すれば良い。また3本以上のローラの場合においても少なくとも1つのローラに本実施形態のテンションローラ4の傾きによる調心機構を設けることで、ベルト1の調心作用を作動させることが可能である。
【0062】
以上、本実施形態によれば、ベルト1を回転可能に張架する張架部材であるローラの精度や平行度、ベルト1やリブ12a,12bの精度を厳しく管理する必要がない。そして簡易な構成で設置時の装置のゆがみや耐久使用によるベルト1の寄り傾向をリアルタイムに自動的に補正することにより、ベルト1の寄りを解消することができる。
【実施例2】
【0063】
次に、図13及び図14を用いて本発明に係るベルト搬送装置及びそれを備えた画像形成装置の第2実施形態について説明する。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。前記第1実施形態では、ベルト1の幅方向両端部にリブ12a,12bを設けると共に、テンションローラ4の両端部に該リブ12a,12bにそれぞれ対向するリブ当接部16eを設けたコロ16a,16bを設けて構成した。
【0064】
本実施形態では、ベルト1を一方向のみに寄りが発生する構成とした。そして、ベルト1の幅方向一端のみにリブ12aを設けると共に、テンションローラ4の前記リブ12a側(凸部側)のみに該リブ12aに対向するリブ当接部16eを設けたコロ16aを設けて構成した。そして、ベルト1が一方向に寄った場合に、コロ16aがリブ12aからベルト1の回転力を受けて回転するように構成した。
【0065】
図13は、本実施形態のベルト搬送部200の斜視図であり、テンションローラ4の一方の側を拡大した図である。尚、ベルト1は省略してある。図13に示すように、フランジ部材15aのボス部15a3の先端にコロ16aとは別体の軸受部材18を回動自在に嵌合させ、該軸受部材18の一部に係合されたバネ19によって該軸受部材18を図13の下方に付勢する。これによって、スリーブ13を常に一方に傾ける力を与えている。これにより、ベルト1を一方向(図14の左方向)のみに寄りが発生する構成とした。
【0066】
ここでは、この付勢機構を図14に示すテンションローラ4の左側端部に設けられるフランジ部材15aに設けた場合について説明する。バネ19の付勢力によってスリーブ13が図14の左側端部が下方(矢印P方向)に移動し、図14の右側端部が上方(矢印R方向)に移動するように傾いているため、図14の矢印B方向に周回移動するベルト1は図14の矢印M方向に片寄る。
【0067】
ベルト1が図14の矢印M方向に寄ると、前記第1実施形態で説明したように、リブ12aがコロ16aのリブ当接部16eに接触して該コロ16aにベルト1の回転力が加わることによってコロ16aのカム部16fがストッパ部17aに当接して係止される。そしてスリーブ13の左側端部を図14の上方(矢印Q方向)に移動させようとする力が発生する。
【0068】
バネ19による付勢力を、コロ16aによるスリーブ13を持ち上げる力よりも十分に小さく設定することによって、コロ16aによってスリーブ13はバネ19の付勢力に抗して図14の左側端部が上方(矢印Q方向)に移動する。そして、図14の右側端部が下方(矢印S方向)に移動するように傾く。これによって、ベルト1はこれまでとは逆に図14の矢印N方向に移動し始める。
【0069】
ベルト1が図14の矢印N方向に移動すると、リブ12aがコロ16aのリブ当接部16eから離間し、該コロ16aにかかっていた回転力がなくなるため、該コロ16aがスリーブ13の図14の左側端部を持ち上げる力が働かなくなる。そのため、バネ19の付勢力によってスリーブ13は再度、図14の左側端部が下方(矢印P方向)に移動し、図14の右側端部が上方(矢印R方向)に移動するように傾き、ベルト1は再度、図14の矢印M方向に移動し始める。
【0070】
このように、ベルト1は図14の矢印M方向に移動したときは、コロ16aの作用で図14の矢印N方向に移動するようにスリーブ13の傾きが補正される。また、図14の矢印N方向に移動したときは、バネ19の作用で図14の矢印M方向に移動するようにスリーブ13の傾きが補正される。これを繰り返すことで、ベルト1が一方に寄り続けることを防止することができる。従って、前記第1実施形態のように、図14の右側端部には反対側のリブ12bやコロ16bは必要なく、テンションローラ4の片側のみに本実施形態の調心機構を設けることでベルト1の片寄りを解消することが可能である。これにより、更なる構成の簡略化、コストの削減が可能である。
【0071】
尚、本実施形態ではバネ19によってスリーブ13を所定方向に付勢する構成を説明したが、他の方法によってスリーブ13が一方に傾くような機構を設けても良い。他の構成は前記第1実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【実施例3】
【0072】
次に、図15を用いて本発明に係るベルト搬送装置及びそれを備えた画像形成装置の第3実施形態について説明する。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。前記第1実施形態では、ベルト1の幅方向両端部にリブ12a,12bを設けると共に、テンションローラ4の両端部に該リブ12a,12bにそれぞれ対向するリブ当接部16eを設けたコロ16a,16bを設けて構成した。
【0073】
そして、ベルト1が片寄った側と反対方向のリブ12a,12bのみがそれに対向するコロ16a,16bのリブ当接部16eに当接する構成とした。本実施形態では、ベルト1の片寄りに関係なく、常時、両方のリブ12a,12bがそれに対向するコロ16a,16bのリブ当接部16eにそれぞれ当接する構成とした。
【0074】
図15は、本実施形態のテンションローラ4の両端部の拡大図である。本実施形態においては、図15に示すように、ベルト1の幅方向両端部の内周面側に設けられたリブ12a,12bの離間間隔をLaとする。そして、テンションローラ4の両端部に設けたコロ16a,16bのリブ当接部16eの離間間隔をLbとする。そして、離間間隔Laと離間間隔Lbとの関係を、Lb>Laとなるように設定されている。尚、Lb=Laとなるように構成しても良い。
【0075】
これによって、両方のコロ16a,16bのリブ当接部16eに常にリブ12a,12bが当接し、ベルト1の回転力が常時、加わった状態になる。この構成において、ベルト1の片寄りが発生すると、ベルト1の両側のリブ12a,12bと、コロ16a,16bのリブ当接部16eとのそれぞれの当接力に差が生じる。
【0076】
そして、ベルト1の片寄り方向と反対側でより大きな当接力が発生したコロ16a,16bが、その反対側のコロ16a,16bの回転力に打ち勝って回転力が加わる。しかし、回転力が打ち勝った側のコロ16a,16bはカム部16fがストッパ部17a,17bに当接して回転できない。そして、前記第1実施形態と同様にベルト1の片寄り方向と反対側のフランジ部材15a,15b及びスリーブ13の端部が図15の上方に移動され、スリーブ13は軸受14を支点に傾く。
【0077】
例えば、ベルト1が図10の矢印M方向に寄った場合、図15のコロ16aに加わる回転力がコロ16bに加わる回転力よりも大きくなる。このため、コロ16aの回転力がコロ16bの回転力に打ち勝ってスリーブ13を図10の矢印G方向に移動させる。これによって、ベルト1の図10の矢印M方向への寄り傾向が減退し、図10の矢印N方向に寄り始めるため、前記第1実施形態と同様の効果を得ることが可能である。更に、本実施形態では、ベルト1が寄った場合の調心動作の反応時間を早めることができる。
【0078】
尚、リブ12a,12bが弾性体で構成されている場合、例えばベルト1が図10の矢印M方向に寄ってリブ12aがコロ16aのリブ当接部16eに当接したときに、その当接力によってリブ12aが弾性変形する。そして、リブ12aが変形した分だけ、その復元力が作用して更にベルト1が図10の矢印N方向に移動する。
【0079】
このとき、反対側のリブ12bがコロ16bのリブ当接部16eから離間するように構成しても良い。この場合、コロ16bにはベルト1の回転力が働かなくなる。このため、コロ16aがスリーブ13を図10の矢印G方向に移動させるときにコロ16bの回転力に打ち勝つ必要は無い。他の構成は前記第1実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【実施例4】
【0080】
次に、図16及び図17を用いて本発明に係るベルト搬送装置及びそれを備えた画像形成装置の第4実施形態について説明する。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。前記各実施形態では、ベルト1の幅方向両端部に設けたリブ12a,12bの内側にコロ16a,16bのリブ当接部16eを配置して構成した。本実施形態では、ベルト1の幅方向両端部に設けたリブ12a,12bの外側にコロ16a,16bのリブ当接部16eを配置して構成した。
【0081】
前記各実施形態では、リブ12a,12bの内側にコロ16a,16bのリブ当接部16eを配置し、ベルト1が寄った場合に、寄った方向と反対側のリブ12a,12bが、そのリブ12a,12bに対向するコロ16a,16bのリブ当接部16eに当接する。その当接した側のスリーブ13を押し上げる構成について説明した。
【0082】
図16に示す本実施形態のように、リブ12a,12bの外側にコロ16a,16bのリブ当接部16eを配置する。そして、ベルト1が一方向に寄った場合に、該寄った方向側のリブ12a,12bが、そのリブ12a,12bに対向するコロ16a,16bのリブ当接部16eに当接する。その当接した側のスリーブ13を押し上げる構成とすることも可能である。
【0083】
図16は本実施形態のベルト搬送部200のテンションローラ4の一方の端部を示す斜視図である。ただし、ベルト1は省略している。図16に示すように、リブ12aの外側にコロ16aのリブ当接部16eが設けられている。また、カム部16fと、該カム部16fが当接するストッパ部17aは、前記第1実施形態の構成に対して180度回転させた位置付近に配置されている。
【0084】
この構成において、例えば、図16の矢印B方向に周回移動しているベルト1が図16の矢印N方向に寄った場合、リブ12aの外側がコロ16aのリブ当接部16eに接触することで、コロ16aにベルト1の回転力が加えられる。
【0085】
このとき、図17に示すように、コロ16aがリブ12aから受ける回転力によって、図17の矢印U方向に回転しようとする。しかし、カム部16fがストッパ部17aに当接することによって、コロ16aは図17の破線の位置から実線の位置に前記第1実施形態とは逆に押し下げられる。コロ16aが押し下げられてスリーブ13の端部が図16の下方(矢印T方向)に傾くことによって、ベルト1の図16の矢印N方向への寄り傾向が減退し、図16の矢印M方向に寄り始める。このため、前記第1実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0086】
即ち、本実施形態では、ベルト1が該ベルト1の幅方向一端に設けられた第1の凸部となるリブ12a側(第1の凸部側)に寄った場合に第1の回転部材となるコロ16aが該リブ12aからベルト1の回転力を受けて回転する。また、ベルト1が該ベルト1の幅方向他端に設けられた第2の凸部となるリブ12b側(第2の凸部側)に寄った場合に第2の回転部材となるコロ16bが該リブ12bからベルト1の回転力を受けて回転する。他の構成は、前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【実施例5】
【0087】
次に、図18及び図19を用いて本発明に係るベルト搬送装置及びそれを備えた画像形成装置の第5実施形態について説明する。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。前記各実施形態では、テンションローラ4のスリーブ13の端部を上下方向に傾ける構成とした。本実施形態では、テンションローラ4のスリーブ13の端部をベルト1の搬送方向に沿って傾ける構成とした。
【0088】
前記各実施形態においては、テンションローラ4を傾ける方向をベルト1のテンション方向(図19の矢印B方向)と略垂直方向として説明した。他に、ストッパ部17a,17bの配置位置によってコロ16a,16bの回転が規制されたときの力のかかる方向を変える。これにより、例えばテンション方向(図19の矢印B方向)に沿った方向(図18の矢印V方向)にテンションローラ4を傾けることでもベルト1の片寄り方向を制御することができる。
【0089】
図18は本実施形態に係るベルト搬送部200のテンションローラ4の一方の端部を示す斜視図である。ただし、ベルト1は省略している。本実施形態では、図18に示すように、コロ16aのカム部16fが当接するストッパ部17aを前記第1実施形態の構成に対して90度回転させた位置付近に配置している。
【0090】
ベルト1が図19の矢印B方向に周回移動しているときに該ベルト1が図19の右方向となる矢印M方向に寄った場合、リブ12aがコロ16aのリブ当接部16eに接触することで、コロ16aにベルト1の回転力が加えられる。コロ16aが回転することによって、カム部16fがストッパ部17aに当接して係止され、コロ16aが図18の矢印V方向に押されてスリーブ13の端部が図18の矢印V方向に傾く。これによりスリーブ13をベルト1のテンション方向に沿った方向である図18の矢印V方向に傾けることができる。
【0091】
従って、例えばベルト1が図19の矢印M方向に寄ると、リブ12aがコロ16aのリブ当接部16eに接触して該コロ16aにベルト1の回転力が加わる。これによってスリーブ13の図19の左側端部が図19の矢印V方向に移動するように傾く。これによって、ベルト1の図19の矢印M方向への寄り傾向が減退し、逆に図19の矢印N方向に移動し始めるため、前記第1実施形態と同様の効果を得ることが可能である。他の構成は前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【実施例6】
【0092】
次に、図20を用いて本発明に係るベルト搬送装置及びそれを備えた画像形成装置の第6実施形態について説明する。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。前記各実施形態では、テンションローラ4のスリーブ13を回転軸8に対して軸受14を中心に傾斜可能に構成した。本実施形態では、ベルト1を張架して回転可能な第2の張架部材となるテンションローラ24を回転可能に支持する支持フレーム23を中間転写ユニット120の装置フレーム120aに対して支点22を中心に図20の矢印W方向に回動自在に取り付けた。
【0093】
前記第1実施形態においては、テンションローラ4の構成として、円筒状のスリーブ13の内側で軸方向中央部に軸受14を設ける構成で該軸受14を中心に該スリーブ13が傾く構成とした。本実施形態では、テンションローラ24を保持する別体の支持フレーム23を設けて、その支持フレーム23の中央部を支点22で回動自在に保持することで前記各実施形態と同様に、テンションローラ24が傾けられるような構成にした。
【0094】
図20は本実施形態のテンションローラ24の構成を示す斜視図である。ただし、ベルト1は省略している。図20のように、テンションローラ24は支持フレーム23に前記第1実施形態と同様に両端を回転自在に支持されている。また、支持フレーム23は、幅方向略中央部の1点において、支点22を中心に図20の矢印W方向に回動自在に装置フレーム120aに支持されている。
【0095】
従って、テンションローラ24は装置フレーム120aに対して支点22を中心に図20の矢印W方向に自在に傾くことができる。テンションローラ24の両端部に前記第1実施形態と同様に該テンションローラ24に対して回転自在にコロ16a,16bを設ける。これによって、前記第1実施形態と同様にベルト1の調心作用を作動させることが可能である。他の構成は、前記第1実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【実施例7】
【0096】
次に、図21を用いて本発明に係るベルト搬送装置及びそれを備えた画像形成装置の第7実施形態について説明する。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。前記各実施形態では、本発明に係るベルト搬送装置を中間転写ユニット120として備えた画像形成装置100の構成の一例を示した。本実施形態では、本発明に係るベルト搬送装置を転写材搬送ユニット116として備えた画像形成装置101の構成の一例を示す。
【0097】
前記各実施形態では、ベルト1は中間転写体となる中間転写ベルトとして説明した。他に本実施形態のように転写材担持体として用いられるベルト1であっても良い。即ち、当業者には周知の通り、静電潜像が形成される一つ以上の像担持体となる感光ドラム111上に形成したトナー画像を、その感光ドラム111と対向して周回移動可能なベルト1上に担持されて搬送される転写材20に転写する。その後、トナー画像が転写された転写材20をベルト1から分離して、トナー画像を転写材20上に定着させて記録画像を得る方式の画像形成装置101としても良い。
【0098】
図21は、このような方式の画像形成装置101の一例の概略断面構成を示す。図21の例では、画像形成装置101は、複数の画像形成手段として、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー画像を形成する各画像形成ユニット110Y,110M,110C,110Kを有する。各画像形成ユニット110は各感光ドラム111上(像担持体上)に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する。
【0099】
各画像形成ユニット110において感光ドラム111上にトナー画像を形成するプロセスは、前記第1実施形態で説明したものと同様である。このため前記第1実施形態の画像形成装置100と同一若しくは相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0100】
各画像形成ユニット110における感光ドラム111上へのトナー画像の形成と同期するように、図示しない転写材供給ユニットから転写材20が送り出される。そして、感光ドラム111に対向して配置されるベルト搬送装置となる転写材搬送ユニット116に設けられるベルト1上に供給される。そして、各感光ドラム111上に形成された各色のトナー画像が、ベルト1を介して各感光ドラム111に対向して配置された転写手段となる転写装置117の作用によって、ベルト1により搬送される転写材20上に順次転写される。
【0101】
この転写工程が終了すると、転写材20は、ベルト1から分離されて図示しない定着手段となる定着装置に搬送され、ここで、未定着トナー画像の定着処理を受けた後、機外に排出される。
【0102】
このように、転写材担持体として用いられるベルト1を備える画像形成装置101にも前記各実施形態で説明したベルト1の寄りを戻す寄り戻し手段としての調心機構を好適に適用し得る。即ち、図21の画像形成装置101において、転写材搬送ユニット116が前記各実施形態で説明した調心機構を備えたテンションローラ4を有するベルト搬送部200を備えた構成とすることで、前記各実施形態と同様の作用効果を奏し得る。尚、転写材搬送ユニット116は画像形成装置101本体に対して着脱可能であっても良いし、固定であっても良い。他の構成は前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得るものである。
【符号の説明】
【0103】
1 …ベルト
2 …駆動ローラ(第1の張架部材)
4 …テンションローラ(第2の張架部材)
8 …回転軸
12a,12b …リブ(凸部)
16a,16b …コロ(回転部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な無端状のベルトと、
前記ベルトを張架して回転可能な第1の張架部材と、
前記ベルトを張架して回転可能な第2の張架部材と、
前記ベルトが該ベルトの回転方向と直交する方向に寄った場合に前記第1の張架部材の回転中心と前記第2の張架部材の回転中心との成す角度を変更することで前記ベルトの寄りを戻す寄り戻し手段と、
を有し、
前記寄り戻し手段は、前記ベルトの内周面で幅方向端部に設けられた凸部と、
前記第2の張架部材の回転中心上で前記第2の張架部材の幅方向端部に設けられ、該第2の張架部材に対して独立して回転可能な回転部材と、
を有し、
前記ベルトが前記第2の張架部材上で一方向に寄った場合に前記回転部材が前記凸部から前記ベルトの回転力を受けて回転し、前記回転部材の回転力によって前記第2の張架部材の回転中心を前記第1の張架部材の回転中心に対して傾けることで、前記ベルトを寄り方向とは逆方向に移動させることを特徴とするベルト搬送装置。
【請求項2】
前記凸部は、前記ベルトの幅方向一端に設けられた第1の凸部と、前記ベルトの幅方向他端に設けられた第2の凸部とを有し、
前記回転部材は、前記第1の凸部側に設けられた第1の回転部材と、前記第2の凸部側に設けられた第2の回転部材とを有し、
前記ベルトが前記第2の凸部側に寄った場合に前記第1の回転部材が前記第1の凸部から前記ベルトの回転力を受けて回転することを特徴とする請求項1に記載のベルト搬送装置。
【請求項3】
前記凸部は、前記ベルトの幅方向一端に設けられた第1の凸部と、前記ベルトの幅方向他端に設けられた第2の凸部とを有し、
前記回転部材は、前記第1の凸部側に設けられた第1の回転部材と、前記第2の凸部側に設けられた第2の回転部材とを有し、
前記ベルトが前記第2の凸部側に寄った場合に前記第2の回転部材が前記第2の凸部から前記ベルトの回転力を受けて回転することを特徴とする請求項1に記載のベルト搬送装置。
【請求項4】
前記ベルトは一方向にのみ寄りが発生するものであり、
前記凸部は、前記ベルトの幅方向一端のみに設けられ、
前記回転部材は、前記凸部側のみに設けられ、
前記ベルトが前記一方向に寄った場合に前記回転部材が前記凸部から前記ベルトの回転力を受けて回転することを特徴とする請求項1に記載のベルト搬送装置。
【請求項5】
前記第2の張架部材の回転中心から離れた位置に固定して設けられた固定部と、
前記回転部材に設けられ、前記固定部に接触可能な接触部と、
を有し、
前記ベルトが一方向に寄ったときに、前記回転部材が前記ベルトの回転力を受けて回転することで、前記接触部が前記固定部に接触して前記回転部材の回転中心の位置が変位し、該回転部材の回転中心の変位によって前記第2の張架部材の回転中心を前記第1の張架部材の回転中心に対して傾けることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のベルト搬送装置。
【請求項6】
静電潜像が形成される像担持体と、
前記像担持体上に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する画像形成手段と、
前記像担持体に対向して配置される請求項1〜5のいずれか1項に記載のベルト搬送装置と、
前記ベルト搬送装置に設けられる前記ベルトを挟んで前記像担持体とは反対側に配置され、該像担持体上に形成されたトナー画像を前記ベルトに転写する一次転写手段と、
前記ベルトに転写されたトナー画像を転写材に転写する二次転写手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
静電潜像が形成される像担持体と、
前記像担持体上に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する画像形成手段と、
前記像担持体に対向して配置される請求項1〜5のいずれか1項に記載のベルト搬送装置と、
前記ベルト搬送装置に設けられる前記ベルトにより搬送される転写材に、前記像担持体上に形成されたトナー画像を転写する転写手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−76863(P2013−76863A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216933(P2011−216933)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】