説明

ベルト搬送装置

【課題】搬送コンベアの一部を上下方向に折り曲げることなく、容易に搬送ベルトの着脱を行うことが可能なベルト搬送装置を提供する。
【解決手段】第3搬送部3cでは、搬送ベルト17が巻き掛けられた一対のローラ13・15を備えており、このローラ13・15の間に支持フレーム31が設けられている。支持フレーム31の内部には、ローラ13を搬送方向において往復移動させるとともに、その移動を規制する第1・第2リンク部材32・33を含むベルト着脱機構30が収納されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端状の搬送ベルトを張架した状態で搬送ベルト上に載置された物品を所定の方向へ搬送するベルト搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、駆動ローラと従動ローラとに対して巻き掛けられた無端状の搬送ベルトを回転させて所定の方向に物品を搬送するベルト搬送装置が用いられている。
このようなベルト搬送装置では、例えば、食品等の搬送を行う場合には搬送ベルトを常に清潔に保つために、搬送ベルトを装置本体から着脱して搬送ベルト上に付着した食品のカス等を洗い流す必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、搬送コンベアの一部を上下方向に折り曲げることで、搬送ベルトにかかっていたテンションを緩めて容易に搬送ベルトの着脱を行うことが可能な振分装置(搬送装置)が開示されている。
【特許文献1】特開2003−26324号公報(平成15年1月29日公開)
【特許文献2】特許第3457893号公報(平成15年8月1日登録)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の振分装置(搬送装置)では、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示された装置では、搬送ベルトのテンションを緩めるために、搬送コンベアの一部を上下方向に折り曲げている。このため、搬送コンベアの一部分に上下方向における剛性が弱い部分が形成されてしまうおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、搬送コンベアの一部を上下方向に折り曲げることなく、容易に搬送ベルトの着脱を行うことが可能なベルト搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係るベルト搬送装置は、無端状の搬送ベルトと、駆動ローラと、従動ローラと、張架調整機構と、を備えている。無端状の搬送ベルトは、上面に載置された物品を所定の方向に搬送する。駆動ローラは、搬送ベルトの内側に配置されており、搬送ベルトを回転させる。従動ローラは、搬送ベルトの内側に配置されており、駆動ローラとともに搬送ベルトを張架する。張架調整機構は、駆動ローラと従動ローラとの間において長手方向が物品の搬送方向に沿って配置されたフレームと、フレームの内部に設けられており駆動ローラまたは従動ローラの物品の搬送方向における移動を規制するロック部材と、を有している。そして、張架調整機構は、駆動ローラおよび従動ローラのうちの少なくとも一方を、フレームに沿って移動させて搬送ベルトのテンションを調整する。
【0007】
ここでは、搬送ベルト上に載置された物品を所定の方向へ搬送する搬送装置であって、駆動ローラと従動ローラとによって張架された(テンションが掛けられた)無端状の搬送ベルトの張架状態を調整するための機構として、駆動ローラおよび従動ローラの少なくとも一方を物品の搬送方向に沿って移動させる張架調整機構を備えている。そして、搬送ベルトを張架している駆動ローラと従動ローラとの間にフレームを設け、さらにそのフレーム内に駆動ローラまたは従動ローラを搬送ベルトが張架された状態でロックするロック部材を設けている。
【0008】
ここで、張架調整機構としては、例えば、トグル機構やリンク機構等を利用して搬送ベルトを内側から張架するローラを物品の搬送方向に沿って往復移動させる機構が含まれる。
これにより、搬送ベルトの清掃や交換等の作業を行う際に搬送ベルトの着脱を行う場合でも、搬送ベルトにかかるテンションを緩めるために、搬送ベルトによって形成される搬送面の一部を上下方向に折り曲げる必要がない。そして、駆動ローラまたは従動ローラの搬送方向における移動を規制するロック機構を、フレーム内に収納することができる。この結果、装置を大型化することなく、容易に搬送ベルトの着脱を行うことができ、かつ搬送面に交差する方向における剛性が大きい搬送装置を得ることができる。
【0009】
第2の発明に係るベルト搬送装置は、第1の発明に係るベルト搬送装置であって、張架調整機構は、フレームの内部に設けられており、駆動ローラまたは従動ローラを、物品の搬送方向に沿って移動させてロック部材によるロックおよび解除を行うリンク部材を、さらに有している。
ここでは、搬送ベルトを張架している駆動ローラと従動ローラとの間に設けられたフレーム内に、搬送ベルトによる物品の搬送方向に沿って移動させてロック部材によるロックおよびその解除を行うリンク部材をさらに設けている。
【0010】
これにより、駆動ローラと従動ローラとの間に配置されたフレーム内にロック部材およびリンク部材を収納することで、これらの部材を追加することによって装置が大型化することを回避することができる。この結果、装置の省スペース化に対応可能なベルト搬送装置を得ることができる。
【0011】
第3の発明に係るベルト搬送装置は、第2の発明に係るベルト搬送装置であって、フレームの側面には、物品の搬送方向に沿って形成された開口が形成されており、開口からはリンク部材の一部であるレバー部材が突出している。
ここでは、搬送ベルトの着脱を行う際には、フレームの側面に形成された開口から突出するリンク部材の一部(レバー部材)を操作する。
【0012】
これにより、フレームの側面から突出したレバー部材を操作するだけで、容易に駆動ローラまたは従動ローラのロックおよびロック解除を行うことができるため、搬送ベルトの着脱を容易に行うことができる。
なお、フレームの側面に形成された開口から突出するレバー部材は、数mm程度であることが好ましい。これにより、ベルト搬送装置の側方のスペースがほとんどない場合でも、駆動ローラまたは従動ローラのロックおよびその解除を容易に行うことができる。
【0013】
第4の発明に係る振分装置は、第1から第3の発明のいずれか1つに係るベルト搬送装置と、搬送ベルトの全体を上下方向において回動させる振分機構と、を備えている。
ここでは、上記ベルト搬送装置と、ベルト搬送装置に含まれる搬送ベルト全体を上下方向において回動させる振分機構とを備えた振分装置として本発明を特定している。
これにより、搬送ベルトの上下方向における十分な剛性を有し、容易に搬送ベルトの着脱を行うことが可能な振分装置を得ることができる。
【0014】
第5の発明に係る計量搬送装置は、第1から第3の発明のいずれか1つに係るベルト搬送装置と、ベルト搬送装置において搬送される物品の計量を行う計量部と、を備えている。
ここでは、上記ベルト搬送装置と、ベルト搬送装置において搬送される物品の計量を行う計量部とを備えた計量搬送装置として本発明を特定している。
これにより、搬送ベルトの上下方向における十分な剛性を有し、容易に搬送ベルトの着脱を行うことが可能な計量搬送装置を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のベルト搬送装置によれば、装置を大型化することなく、容易に搬送ベルトの着脱を行うことができ、かつ搬送面に交差する方向における剛性が大きい搬送装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係るベルト搬送装置を搭載した重量チェッカ(計量搬送装置、振分装置)1について、図1〜図10を用いて説明すれば以下の通りである。
なお、以下の説明で用いる「前」、「後」については、被計量物Xの搬送方向における前後方向を意味するものとする。
[重量チェッカ1全体の構成]
本実施形態に係る重量チェッカ1は、図1に示すように、主に、平ベルト式のコンベア装置3と、被計量物Xの計量を行うロードセル5(図3参照)と、床面の振動による影響を検出するロードセルであるAFV(Anti Floor Vibration)6(図3参照)と、ロードセル5およびAFV6を収納する筐体7と、筐体7を固定する前後一対の脚部10,11(図2参照)と、AFV6を内部空間に収納するフレーム20(図3参照)と、を備えている。また、重量チェッカ1は、生産ラインを構成する最後部の装置として配置されており、コンベア装置3において矢印A方向に搬送しながら、例えば、図示しない製袋包装機から供給された被計量物Xの計量を行う。そして、重量チェッカ1は、良品か不良品かの判定を行った後、良品と判定された被計量物Xだけを下流側に配置された図示しない金属検知機等に搬送する一方、不良品と判定された被計量物Xを搬送径路外へ振り分ける。
【0017】
コンベア装置3は、図1に示すように、被計量物Xの搬送方向Aにおける上流側から順に、第1搬送部3a、第2搬送部3b、第3搬送部(ベルト搬送装置)3cを設けている。これらの第1〜第3搬送部3a〜3cは、図2に示すように、さらにそれぞれ搬送方向に対して直交する方向に並んだ3連のコンベア3aa〜3ac,3ba〜3bc,3ca〜3ccを含むように構成されている。そして、各コンベア3aa〜3ccは、前後一対のローラ13,15間に搬送用ベルトとしての無端状の搬送ベルト17(図6参照)が巻き掛けられている。なお、最下流側に配置された第3搬送部(ベルト搬送装置)3cの詳しい構成については、後段において詳述する。
【0018】
搬送方向Aにおける下流側のローラ13は、駆動ローラであるローラ15からの回転駆動力が搬送ベルト17を介して伝達されて回転する従動ローラである。一方、上流側のローラ15は、後述する駆動モータM1,M2(図3参照)および駆動ローラM3(図6参照)によって回転駆動力が伝達される駆動ローラである。
第1搬送部3aは、搬送方向Aにおける最上流側に配置されており、重量チェッカ1の上流側に配置された図示しない製袋包装機から送られてくる被計量物Xを受け取って搬送方向Aに向かって搬送し、第2搬送部3bに対して被計量物Xを受け渡す。
【0019】
第2搬送部(計量部)3bは、第1搬送部3aと第3搬送部3cとの間に配置されており、ここで被計量物Xを搬送しながら、上記ロードセル5およびAFV6を用いて計量が行われる。なお、この第2搬送部3bにおける被計量物Xの計量については、後段にて詳述する。
第3搬送部3cは、搬送方向Aにおける最下流側に配置されており、図1に示すように、上流側の端部を中心として回動する。これにより、第2搬送部3bにおける計量結果に基づいて被計量物Xの振り分けを行う。具体的には、第2搬送部3bにおける計量結果が所定の重量範囲内である場合には、第3搬送部3cを図1に実線で示す略水平状態とし、被計量物X(良品)をそのまま下流側へと搬送する。一方、第2搬送部3bにおける計量結果が所定の重量範囲外であった場合には、図1に点線で示す斜め下方状態まで第3搬送部3cを回動させて、規定の搬送路外へと被計量物X(不良品)を搬送する。
【0020】
駆動モータM1は、図3に示すように、最上流側の3つのコンベア3aa〜3acごとにそれぞれ設けられており、各コンベア3aa〜3acの下部に配置されている。また、駆動モータM1は、各コンベア3aa〜3acのローラ15に対して駆動ベルトを介して回転駆動力を伝達する。
駆動モータM2は、図4に示すように、最上流側のコンベア3aa〜3acと最下流側のコンベア3ca〜3ccの間に設けられた3つのコンベア3ba〜3bcの下部に配置されており、各コンベア3ba〜3bcのローラ13に対して駆動ベルトを介して回転駆動力を伝達する。また、駆動モータM2は、ローラ13に対して回転駆動力を伝達する際に熱を放出する熱源となる。
【0021】
ロードセル5は、図1および図3等に示すように、重量物である駆動モータM2と同じ筐体7の内部において、長手方向が搬送方向Aに沿う向きで配置されている。また、ロードセル5は、図4に示すように、駆動モータM2に隣接するように固定端5bに対して取付けられており、自由端5c側に接続されたアーム部材21を介してコンベア3ba〜3bc上に被計量物Xが載置されて生じる歪みの変化を検出して被計量物Xの計量を行う。
【0022】
固定端5bおよび自由端5cは、図4に示すように、ロードセル5の前後方向に位置している。固定端5bは、剛性が高く軽量で熱伝導率の高いアルミ合金等の材料によって形成されており、上述した一対の脚部10,11に図示しない複数の部品を介して接続されている。このため、駆動モータM2から放出される熱が固定端5bに対して伝達された場合でも、その熱を脚部10,11を介して逃がすことができる。そして、固定端5bは、ロードセル5と重量物である駆動モータM2との間に配置されていることで、駆動モータM2の駆動中に生じる風がロードセル5の方へ流れ込まないようにするための防風壁として機能する。一方、自由端5cは、固定端5bと同様に、剛性が高く軽量で熱伝導率の高いアルミ合金等の材料によって形成されており、アーム部材21を介してコンベア3ba〜3bcにそれぞれ連結されている。このため、コンベア3ba〜3bc上に被計量物Xが載置されると、ロードセル5の自由端5c側に鉛直方向下向きの荷重が掛かることで生じた歪みを検出して電気信号に変換し、この電気信号に基づいて計量を行う。
【0023】
AFV6は、図3および図4に示すように、フレーム20の内部空間において、長手方向が搬送方向Aに沿う向きで取り付けられており、床面からの振動を検出する。より詳細には、AFV6は、図5に示すように、固定用金具41,42,43にねじによって固定された後、固定用ブロック46に対して固定される。そして、この状態で、カバー部材47の内部に収納された後、フレーム20の内部空間における上面に対して吊り下げられるようにして固定される。
【0024】
フレーム20は、図3に示すように、搬送方向Aに直交する方向に延伸しており、搬送方向Aに対して直交する方向に配置された3つのAFV6を内部空間に収納している。
[第3搬送部3cの構成]
第3搬送部3cは、上述したように、第1搬送部3aおよび第2搬送部3bとともに構成するコンベア装置3の中で最も下流側に配置されている(図1および図2参照)。そして、第3搬送部3cは、図6に示すように、上述したローラ13,15および搬送ベルト17に加えて、搬送ベルト17の着脱を行うためのベルト着脱機構(張架調整機構)30と支持機構40と、駆動部50と、を備えている。
【0025】
(ベルト着脱機構30)
ベルト着脱機構30は、図6〜図10に示すように、支持フレーム(フレーム)31、第1リンク部材(ロック部材、リンク部材)32、第2リンク部材(ロック部材、リンク部材)33、連結部材34、コの字型フレーム35、ねじ36およびシャフト37を有している。
【0026】
支持フレーム31は、図6等に示すように、搬送方向における両端に配置されたローラ13,15の間に配置されている。そして、支持フレーム31は、その側面に搬送方向に延びる開口31aが形成されている。この開口31aからは、後述する第1リンク部材32の端部に設けられたレバー(レバー部材)32aが突出しており、このレバー32aを開口31aに沿って前後に移動させることで、ローラ13を移動させて搬送ベルト17のテンションを緩めることができる。
【0027】
第1リンク部材32および第2リンク部材33は、図8および図10等に示すように、支持フレーム31の内部に収納されており、ローラ13を搬送方向において往復移動させることで、搬送ベルト17のテンションをかけたり緩めたりする。また、第1・第2リンク部材32・33は、搬送ベルト17のテンションを強めた状態、つまり搬送方向においてローラ13がローラ15から最も遠い位置にある状態(図10(a)参照)で、ローラ13が搬送方向において移動しないようにロックするロック機構としても機能する。第1リンク部材32は、細長い板状の部材であって、その中心部分付近において第2リンク部材33と連結されている。第2リンク部材33は、第1リンク部材32および連結部材34に対する連結部分においてそれぞれ回動可能な状態で取り付けられている。
【0028】
連結部材34は、図8および図10に示すように、第1・第2リンク部材32・33と同様に、支持フレーム31の内部に収納されており、ローラ13を支持するコの字型フレーム35の後端部と上記第2リンク部材33とを連結する。
コの字型フレーム35は、図9に示すように、搬送方向における前側に相当する、平面視におけるコの字型の開放部分においてにローラ13を支持している。そして、コの字型フレーム35は、後端側が、連結部材34を介して第1・第2リンク部材32・33と接続されており、第1・第2リンク部材32・33によって搬送方向において前後に移動する。これにより、搬送ベルト17が巻き掛けられたローラ13・15間の距離を調整して、搬送ベルト17に対するテンションが調整される。なお、このようなコの字型フレーム35の搬送方向における前後への移動は、図6〜図8等に示すように、支持フレーム31に固定されたねじ36が差し込まれたコの字型フレーム35の側面に形成された誘導溝35aに沿って行われる。そして、コの字型フレーム35の搬送方向における移動限界は、誘導溝35aの搬送方向における長さによって設定される。
【0029】
ねじ36は、図6等に示すように、支持フレーム31の側面における前端部分に固定されており、その先端部がコの字型フレーム35の側面に形成された誘導溝35a内に挿入されている。このため、第1・第2リンク部材32・33によって移動するコの字型フレーム35を搬送方向に沿って移動させることができる。
シャフト37は、図7および図8に示すように、支持フレーム31の下方において、被計量物Xの搬送方向に対して略直交する向きに配置されている。そして、シャフト37には、後述する支持機構40に含まれるヘッド41に形成されたU溝の部分が引っ掛けられる。これにより、支持機構40によって支持フレーム31を水平方向において保持することができる。
【0030】
ボス39は、後述する駆動部50側に形成された誘導溝52に沿って移動し、最も奥側(後側)の端部においてストッパ51によって保持される。第3搬送部3cでは、被計量物Xの振り分けを行う際には、誘導溝52の後端部においてボス39が保持された状態において、ボス39を回動中心として、支持フレーム31を上下に回動させることができる。
【0031】
(支持機構40)
支持機構40は、ヘッド41、アーム42およびシリンダ部43を備えている。
ヘッド41は、支持機構40の先端部分に取り付けられており、ベルト着脱機構30に含まれるシャフト37にU溝の部分を引っ掛けることで、支持フレーム31を支持する。
アーム42は、シリンダ部43から出入りする棒状の部材である。
【0032】
シリンダ部43は、アーム42が露出する長さを調整する機構であって、上述した第2搬送部3bにおける計量の結果、良品と判定された被計量物Xと不良品と判定された被計量物Xとを振り分ける際に、図8に示すように、アーム42の露出する長さを調整して、搬送ベルト17上に形成される搬送面を上下方向において切り替える。具体的には、良品と判定された被計量物Xについては、水平方向に沿って配置されるようにアーム42の長さを最大限になるように調整する(図中実線の状態参照)。一方、不良品と判定された被計量物Xについては、搬送方向における前方に向かって下方傾斜するように、アーム42の長さを最小限になるように調整する(図中2点鎖線の状態参照)。これにより、良品の被計量物Xについては、水平に搬送されてそのまま下流側に配置された図示しない金属検出装置等へ搬送することができ、不良品の被計量物Xについては、斜め下に配置された図示しない廃棄箱等に被計量物Xを搬送することで良品と不良品とを振り分けることができる。
【0033】
(駆動部50)
駆動部50は、駆動側のローラ15に対して回転駆動力を付与する機構であって、駆動モータM3、ストッパ51、誘導溝52、タイミングプーリ53および本体54を有している。
駆動モータM3は、図6に示すように、本体54の内部に収納されており、タイミングプーリ53を回転駆動することで、タイミングベルト16を介して駆動側のローラ15に対して回転駆動力を付与する。
【0034】
ストッパ51は、図7に示すように、本体54の上部において搬送方向に直交する方向における両端部に取り付けられており、支持フレーム31の後端側部に設けられたボス39を引っ掛けるようにして固定する。
誘導溝52は、支持フレーム31の後端部に形成されたボス39が差し込まれて誘導され、支持フレーム31が本体54に対して取り付けられる。
【0035】
タイミングプーリ53は、本体54の一方の側面に設けられており、駆動モータM3によって回転駆動される。また、タイミングプーリ53には、タイミングベルト16が巻きかけられており、このタイミングベルト16を介して駆動側のローラ15に対して回転駆動力を伝達する。
本体54は、搬送ベルト17や支持フレーム31等が取り付けられており、支持機構40によってこれらを支持する。また、本体54は、側面に設けられたタイミングプーリ53を回転させる駆動モータM3を内部に収納している。
【0036】
<搬送ベルト17の着脱方法>
本実施形態の重量チェッカ1では、第3搬送部3cにおいて、被計量物Xを搬送方向に向かって搬送する搬送ベルト17が被計量物X等によって汚れた場合等には、以下に示すような手順によって搬送ベルト17の着脱を行う。
すなわち、搬送可能時の状態としては、第3搬送部3cは、図10(a)に示すように、ローラ13が搬送方向における前端部にあってローラ13・15間が最長になっており、搬送ベルト17にテンションが掛かった状態となっている。このとき、ローラ13は、いわゆるトグル機構を利用して前端部において搬送方向において移動しないようにロックされている。詳細には、第1リンク部材32を回動させることによってローラ13が前端部へ移動すると、第2リンク部材33が平面視において搬送方向に平行な方向よりも若干奥側へ移動する。これにより、いわゆるトグルがかかった状態になって搬送方向への移動をロックすることができる。
【0037】
そして、搬送ベルト17を取り外す際には、図10(a)に示す搬送ベルト17にテンションが掛かった状態で、図7に示すように、まずは駆動部50側から搬送ベルト17をローラ13・15や支持フレーム31ごと分離する。
この場合の具体的な作業手順としては、最初に、支持機構40のヘッド41と支持フレーム31のシャフト37とのロック状態を解除してこれらを分離する。続いて、ストッパ51を後側の端部を支点として回動させるように持ち上げて誘導溝52内に収納していた支持フレーム31側のボス39の保持を解除する。そして、支持フレーム31のボス39が誘導溝52に沿って移動するように、支持フレーム31全体を前方へ引き出すことで、支持フレーム31を、ローラ13・15や搬送ベルト17ごと駆動部50側から分離することができる。
【0038】
次に、搬送ベルト17の着脱を行う際には、図10(b)に示すように、開口31aから露出している第1リンク部材32のレバー32aの部分をつまんで回転軸32bを中心に反時計回りに回転させる。すると、図10(c)に示すように、第1リンク部材32の中心部分付近に連結されている第2リンク部材33が、連結部材34とともにコの字型フレーム35を搬送方向における後方側へと移動させる。
【0039】
そして、さらに第1リンク部材32を反時計回りに回転させると、図10(d)に示すように、ローラ13がさらに搬送方向における後方側へと移動して搬送ベルト17のテンションが緩められる。これにより、搬送ベルト17を支持フレーム31の側方から取り外すことで、搬送ベルト17の着脱を行うことができる。
[第3搬送部3cの特徴]
(1)
本実施形態の第3搬送部3cでは、図8に示すように、搬送ベルト17が巻き掛けられた一対のローラ13・15を備えており、このローラ13・15の間に支持フレーム31が設けられている。そして、支持フレーム31の内部には、ローラ13を搬送方向において支持フレーム31に沿って往復移動させるとともに、その移動を規制する第1・第2リンク部材32・33を含むベルト着脱機構30が収納されている。
【0040】
これにより、搬送ベルト17の清掃や交換等の作業を行う際に搬送ベルト17の着脱を行う場合には、搬送ベルト17が巻き掛けられた一方のローラ13の位置を後方側へと移動させて搬送ベルト17に係るテンションを緩めることで容易に搬送ベルト17の着脱を行うことができる。そして、このとき、搬送ベルト17によって形成される搬送面の一部を上下方向に折り曲げる必要がないため、搬送面に交差する方向における剛性を大きくすることができる。さらに、ローラ13を搬送方向において往復移動させ、かつその移動を規制するロック機構としての第1・第2リンク部材32・33を、支持フレーム31内に収納することができるため、装置を大型化することなく、容易に搬送ベルトの着脱を行うことができる。
【0041】
(2)
本実施形態の第3搬送部3cでは、搬送ベルト17の着脱を行う際に搬送ベルト17のテンションを緩め、ローラ13の移動をロックあるいはロック解除する機構として、支持フレーム31内に収納された第1・第2リンク部材32・33を採用している。
これにより、このようなローラ13を移動させる機構を支持フレーム31内に収納することで、装置を大型化することなく、省スペース化に対応可能なベルト搬送装置とすることができる。
【0042】
(3)
本実施形態の第3搬送部3cでは、搬送ベルト17の着脱を行う際に、ローラ13を搬送方向において往復移動させる機構として搭載している第1・第2リンク部材32・33のうち、第1リンク部材32の端部(レバー32a)を支持フレーム31の側面に形成された開口31aから突出させている。
【0043】
これにより、搬送ベルト17の着脱を行う場合には、支持フレーム31の側面に形成された開口31aから突出しているレバー32aを操作することで、容易にローラ13を搬送方向において移動させたり、ロックしたりすることができる。
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0044】
(A)
上記実施形態では、いわゆるトグルロック機構を利用した第1・第2リンク部材32・33を用いてベルト着脱機構を構成した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、ローラ13を搬送方向において移動させることで搬送ベルト17のテンションを緩める機構としては、他の往復移動機構を採用してもよいし、他の構成部材からなるリンク機構を採用してもよい。ただし、上記実施形態のように、トグルロック機構を利用した機構を採用することで、簡易な構成であってもローラの往復移動とともにロック機構まで兼ね備えた機構を形成できるという点では、上記実施形態のような構成を採用することがより好ましい。
【0045】
(B)
上記実施形態では、張架調整機構としてのベルト着脱機構30が従動ローラ側のローラ13を搬送方向において往復移動させて搬送ベルト17のテンションを調整する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、駆動側のローラ15を搬送方向において往復移動させて搬送ベルト17のテンションを調整する機構であってもよい。あるいは、駆動側、従動側のローラ13,15の双方を搬送方向において往復移動させて搬送ベルト17のテンションを調整する機構であってもよい。いずれの場合であっても、被計量物の搬送面に対して交差する方向における剛性が大きく、容易に搬送ベルトの着脱を行うことができるという上記と同様の効果を得ることができる。
【0046】
(C)
上記実施形態では、被計量物Xの搬送方向において直列に配置された3つの搬送部3a〜3cのうち、最下流側に配置された第3搬送部3cに対して本発明を適用した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、上流側の第1搬送部3aあるいは第2搬送部3bに対して本発明を適用することもできるし、全ての搬送部3a〜3cについて本発明を適用することもできる。
【0047】
(D)
上記実施形態では、被計量物の計量を行い、その計量結果に基づいて所定重量範囲内の良品と所定重量範囲外の不良品とを振り分ける重量チェッカ1に対して本発明を適用した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、振分け機構を持たない計量搬送装置に対して本発明を適用することもできるし、計量搬送機構を持たない振分装置に対して本発明を適用することもできる。さらには、重量チェッカ以外にも、コンベア搬送装置を搭載した各種装置に対して本発明を適用することもできる。この場合でも、装置を大型化することなく、搬送ベルトの着脱を容易に行うことができるとともに、搬送面に交差する方向における剛性が大きい搬送装置を得ることが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明のベルト搬送装置は、装置を大型化することなく、容易に搬送ベルトの着脱を行うことができ、かつ搬送面に交差する方向における剛性が大きい搬送装置を得ることができるという効果を奏することから、コンベアによって物品の搬送を行う各種装置に対して広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態に係るベルト搬送装置を搭載した重量チェッカの外観を示す正面図。
【図2】図1の重量チェッカを示す平面図。
【図3】図1の重量チェッカに含まれる第2搬送部周辺の構造を示す拡大図。
【図4】図3の第2搬送部の部分をさらに拡大した図。
【図5】図4の第2搬送部に含まれるロードセルの吊り下げ取付構造を示す斜視図。
【図6】図4のベルト搬送装置における最下流側に配置された第3搬送部を示す斜視図。
【図7】図6の第3搬送部に含まれる搬送ベルト側と支持機構側とを分解した分解図。
【図8】図6の第3搬送部において被計量物を振り分ける際の動きを示す側面図。
【図9】図6の第3搬送部の搬送ベルトを支持するフレーム内に収納されたベルト着脱機構を示す平面図。
【図10】(a)〜(d)は、図9のベルト着脱機構による搬送ベルトの着脱の流れを示す平面図。
【符号の説明】
【0050】
1 重量チェッカ
3 コンベア装置
3a 第1搬送部
3b 第2搬送部
3c 第3搬送部(ベルト搬送装置)
3aa〜3ac コンベア
3ba〜3bc コンベア
3ca〜3cc コンベア
5 ロードセル
5b 固定端
5c 自由端
6 AFV
7 筐体
10,11 脚部
13 ローラ(駆動ローラ)
15 ローラ(従動ローラ)
16 タイミングベルト
20 フレーム(支持部材)
21 アーム部材
30 ベルト着脱機構(張架調整機構)
31 支持フレーム(フレーム)
31a 開口
32 第1リンク部材(ロック機構)
32a レバー
33 第2リンク部材(ロック機構)
34 連結部材
35 コの字型フレーム
35a 誘導溝
36 ねじ
37 シャフト
39 ボス
40 支持機構
41 ヘッド
42 アーム
51 ストッパ
52 誘導溝
53 タイミングプーリ
M1〜M3 駆動モータ
X 被計量物


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に載置された物品を所定の方向に搬送する無端状の搬送ベルトと、
前記搬送ベルトの内側に配置されており、前記搬送ベルトを回転させる駆動ローラと、
前記搬送ベルトの内側に配置されており、前記駆動ローラとともに前記搬送ベルトを張架する従動ローラと、
前記駆動ローラと前記従動ローラとの間において長手方向が前記物品の搬送方向に沿って配置されたフレームと、前記フレームの内部に設けられており前記駆動ローラまたは前記従動ローラの前記物品の搬送方向における移動を規制するロック部材と、を有しており、前記駆動ローラおよび前記従動ローラのうちの少なくとも一方を前記フレームに沿って移動させて前記搬送ベルトのテンションを調整する張架調整機構と、
を備えているベルト搬送装置。
【請求項2】
前記張架調整機構は、前記フレームの内部に設けられており前記駆動ローラおよび前記従動ローラの少なくとも一方を前記物品の搬送方向に沿って移動させて、前記ロック部材によるロックおよび解除を行うリンク部材を、
さらに有している請求項1に記載のベルト搬送装置。
【請求項3】
前記フレームの側面には、前記物品の搬送方向に沿って形成された開口が形成されており、
前記開口からは、前記リンク部材の一部であるレバー部材が突出している、
請求項2に記載のベルト搬送装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のベルト搬送装置と、
前記搬送ベルトの全体を上下方向において回動させる振分機構と、
を備えている振分装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載のベルト搬送装置と、
前記ベルト搬送装置において搬送される前記物品の計量を行う計量部と、
を備えた計量搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−106523(P2007−106523A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−297108(P2005−297108)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】