説明

ベルト検査装置

【課題】ベルトの深さ方向の傷の検出精度を向上させるベルト検査装置を提供する。
【解決手段】所定方向に形成された内側平坦部20及び外側平坦部22と、湾曲側部29a、29bとを輪郭とする略矩形断面を呈する薄型金属ベルト18の表面に存在する傷を検査するベルト検査装置30であって、内側平坦部20側から照明光を湾曲側部29a、29bに出力する赤色光源48、50と、外側平坦部22側から、前記湾曲側部によって反射された照明光を撮影するカラーカメラ40、42と、カラーカメラ40、42が照明光を撮影した画像に基づいて薄型金属ベルト18の表面状態を判定する表面状態判定部78とを備え、表面状態判定部78は、撮影された照明光の幅を計測し、該照明光の幅に基づいて、薄型金属ベルト18に、所定方向を深さ方向とする傷があるか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定方向に形成された内側平坦部及び外側平坦部と、前記内側平坦部及び前記外側平坦部間の湾曲側部とを有するベルトの表面状態を検査するベルト検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エンジンの駆動力をドライブシャフトに伝達する手段として、金属ベルトが用いられる。金属ベルトは、薄型金属ベルトを複数枚積層して形成されており、ドライブシャフトに対して駆動力を支障なく且つ円滑に伝達するため、傷のない状態に形成されることが要求される。
【0003】
そのため、下記特許文献1に示すように、金属ベルトにおける傷の有無を自動的に検査し、且つ、傷とほこりとを区別することのできるベルト検査装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4611404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した特許文献1に記載の技術では、前記内側平坦部及び前記外側平坦部と平行する方向(前記所定方向)を深さ方向とする全ての傷を正確に検出することができない。
【0006】
そこで、本発明は、係る従来の問題点に鑑みてなされたものであり、ベルトの深さ方向の傷の検出精度を向上させるベルト検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、所定方向に形成された内側平坦部及び外側平坦部と、前記内側平坦部及び前記外側平坦部間の湾曲側部とを輪郭とする略矩形断面を呈するベルトの表面に存在する傷を検査するベルト検査装置であって、前記内側平坦部側又は前記外側平坦部側から第1照明光を前記湾曲側部に出力する第1光源と、前記外側平坦部側又は前記内側平坦部側から、前記湾曲側部によって反射された前記第1照明光を撮影する撮影部と、前記撮影部が前記第1照明光を撮影した画像に基づいて前記ベルトの表面状態を判定する表面状態判定部と、を備え、前記表面状態判定部は、前記撮影部が撮影した前記第1照明光の幅を計測し、該第1照明光の幅に基づいて、前記ベルトに、前記所定方向を深さ方向とする傷があるか否かを判定することを特徴とする。
【0008】
前記表面状態判定部は、前記第1照明光の幅の中心線と基準線との距離差が第1の閾値以上の場合は、前記ベルトに前記深さ方向の傷があると判定してもよい。
【0009】
前記表面状態判定部は、前記第1照明光の最大幅から最小幅を減算した値が第2の閾値以上の場合は、前記ベルトに前記深さ方向の傷があると判定してもよい。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、所定方向に形成された内側平坦部及び外側平坦部と、前記内側平坦部及び前記外側平坦部間の湾曲側部とを輪郭とする略矩形断面を呈するベルトの表面に存在する傷を検査するベルト検査装置であって、前記所定方向に沿って、第2照明光を前記湾曲側部に出力する第2光源と、前記外側平坦部側又は前記内側平坦部側から、前記湾曲側部によって反射された前記第2照明光を撮影する撮影部と、前記撮影部が前記第2照明光を撮影した画像に基づいて前記ベルトの表面状態を判定する表面状態判定部と、を備え、前記表面状態判定部は、前記撮影部が撮影した前記第2照明光の幅を計測し、該第2照明光の幅に基づいて、前記ベルトに深さ方向の傷があるか否かを判定することを特徴とする。
【0011】
前記表面状態判定部は、前記第2照明光の幅から基準幅を減算した値の絶対値が第3の閾値以上の場合は、前記ベルトに前記深さ方向の傷があると判定してもよい。
【0012】
前記撮影部は、カラー撮影が可能であってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、内側平坦部側又は外側平坦部側から湾曲側部に出力され、該湾曲側部を反射した第1照明光を、外側平坦部側又は内側平坦部側から撮影し、撮影した画像の第1照明光の幅に基づいてベルトに深さ方向の傷があるか否かを判定するので、深さ方向の傷の検出精度を向上させることができる。
【0014】
また、本発明によれば、所定方向に沿って湾曲側部に出力され、該湾曲側部を反射した第2照明光を外側平坦部側又は内側平坦部側から撮影し、撮影した画像の第2照明光の幅に基づいてベルトに深さ方向の傷があるか否かを判定するので、深さ方向の傷の検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のベルト検査装置の検査対象である金属ベルトの構成図である。
【図2】積層金属ベルトの部分拡大断面図である。
【図3】図2に示す1本の薄型金属ベルトのIII−III線断面図である。
【図4】本実施形態のベルト検査装置の構成図である。
【図5】本実施形態のベルト検査装置を構成する光源から出力される照明光の波長の説明図である。
【図6】本実施形態のベルト検査装置の制御回路ブロック図である。
【図7】埃や傷がない良好な定常状態のときの薄型金属ベルトを、カラーカメラで撮影して得られた定常画像を示す。
【図8】ベルト検査装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】異なる形状の傷を有する薄型金属ベルトの一部断面図と、該異なる形状の傷を有する該薄型金属ベルトを側部平坦部の正面から撮影したときの画像及び該異なる形状の傷を有する薄型金属ベルトを外側平坦部側から撮影したときの画像とを示す図である。
【図10】異なる形状の傷を有する薄型金属ベルトの一部断面図と、該異なる形状の傷を有する該薄型金属ベルトを側部平坦部の正面から撮影したときの画像及び該異なる形状の傷を有する薄型金属ベルトを外側平坦部側から撮影したときの画像とを示す図である。
【図11】図8に示す幅傷判定処理の動作を示すサブフローチャートである。
【図12】図8に示す深さ傷判定処理の動作を示すサブフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明に係るベルト検査装置について、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明のベルト検査装置の検査対象である金属ベルト10の構成図である。金属ベルト10は、左右に溝12L、12Rを有した複数のエレメント14と、エレメント14の溝12L、12Rに係合する左右一対の積層金属ベルト16、16とから構成される。
【0018】
積層金属ベルト16は、図2の部分拡大断面図に示すように、複数本の薄い薄型金属ベルト18を積層してなる。図3は、1本の薄型金属ベルト18の断面図である。薄型金属ベルト18は、金属ベルト10の内周側に配置される内側平坦部20と、金属ベルト10の外周側に配置される外側平坦部22と、金属ベルト10の両側部に配置される側部平坦部24、26と、内側平坦部20と側部平坦部24との間、側部平坦部24と外側平坦部22との間、内側平坦部20と側部平坦部26との間、及び、側部平坦部26と外側平坦部22との間に形成される湾曲部28a〜28dとを有する。なお、側部平坦部24及び湾曲部28a、28bは、湾曲側部29aを構成し、側部平坦部26及び湾曲部28c、28dは、湾曲側部29bを構成する。この内側平坦部20と外側平坦部22は所定方向に沿って形成されており、薄型金属ベルト18は内側平坦部20、外側平坦部22、及び、湾曲側部29a、29bを輪郭とする略矩形断面を有する。
【0019】
図4は、図3に示す1本の薄型金属ベルト18の表面状態を検査するベルト検査装置30の構成図である。ベルト検査装置30は、基台32上に固定される3本のフリーローラ34a〜34cと、基台32上のガイドレール36a、36bに沿って移動可能な駆動ローラ38とを備え、これらフリーローラ34a〜34c及び駆動ローラ38間に検査対象である薄型金属ベルト18が張架される。
【0020】
フリーローラ34cと駆動ローラ38との間には、薄型金属ベルト18の一方の側部側に設けられた光を撮影するカラーカメラ(撮影部)40と、薄型金属ベルト18の他方の側部側に設けられた光を撮影するカラーカメラ(撮影部)42と、カラーカメラ40、42に照明光を導く導光部材44、46とが配設される。
【0021】
薄型金属ベルト18の内側平坦部20側には、赤色(R)の照明光(第1照射光)を、斜め左上、斜め左下から湾曲側部29a、29bに向かって照射する赤色光源(第1光源)48、50が配設され、薄型金属ベルト18の外側平坦部22側には、青色(B)の照明光(第1照明光)を斜め右上、斜め右下から湾曲側部29a、29bに向かって照射する青色光源(第1光源)52、54が配設される。また、カラーカメラ40、42には、緑色(G)の照明光(第2照明光)を薄型金属ベルト18の前記所定方向に向かって湾曲側部29a、29bに照射する緑色光源(第2光源)56、58が設けられる。なお、カラーカメラ40、42と緑色光源56、58との間には、照明光を導光部材44、46に導く一方、導光部材44、46からの照明光をカラーカメラ40、42に導くビームスプリッタ57、59が配設される(図6参照)。
【0022】
ここで、赤色光源48、50、青色光源52、54、及び、緑色光源56、58は、LEDによって構成することができる。赤色光源48、50、青色光源52、54、及び、緑色光源56、58は、図5に示すように、それぞれ波長Bλ、Rλ、Gλを中心として、互いに異なる特定の波長域の照明光を出力するが、波長域の一部が重複している。したがって、赤色光源48、50、青色光源52、54、及び緑色光源56、58には、図6に示すように、重複する波長域の光をカットするカットフィルタ60a〜60fを配設することが好ましい。この場合、例えば、赤色光源48、50に配設されるカットフィルタ60a、60bは、波長域が異なる緑色光源56、58の波長λ1以上の光をカットし、青色光源52、54に配設されるカットフィルタ60c、60dは、波長域が重なる緑色光源56、58の波長λ2以下の光をカットし、緑色光源56、58に配設されるカットフィルタ60e、60fは、波長域が重なる赤色光源48、50の波長λ1以下、及び、青色光源52、54の波長λ2以上の光をカットする。
【0023】
図6は、ベルト検査装置30の制御回路ブロック図である。ベルト検査装置30は、照明光を出力する赤色光源48、50、青色光源52、54、及び、緑色光源56、58を制御する光源制御装置68と、カラーカメラ40、42が撮影した光情報(画像データ)を処理する情報処理装置70とを備える。
【0024】
情報処理装置70は、カラーカメラ40、42により撮影された薄型金属ベルト18の画像を処理する画像処理部72と、画像処理された薄型金属ベルト18の画像を表示する表示部74と、データやプログラムを記憶する情報記憶部76と、画像処理された画像情報に基づいて、薄型金属ベルト18の表面状態を判定する表面状態判定部78とを備える。情報処理装置70は、例えば、CPU等を有するコンピュータによって構成され、情報記憶部76に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、本実施の形態の情報処理装置70として機能する。
【0025】
導光部材44、46は、図6に示すように、薄型金属ベルト18の湾曲部28a、28c及び側部平坦部24、26(湾曲側部29a、29bの内側)で反射された照明光をカラーカメラ40、42に導くビームスプリッタ(第1光学部材)62と、薄型金属ベルト18の湾曲部28b、28d及び側部平坦部24、26(湾曲側部29a、29bの外側)で反射された照明光をカラーカメラ40、42に導くビームスプリッタ(第2光学部材)64と、湾曲側部29a、29bで反射された照明光をカラーカメラ40、42に導く透光部材(第3光学部材)66とから構成される。ビームスプリッタ62は、湾曲側部29a、29bの内側で反射した照明光をカラーカメラ40、42に導くので、カラーカメラ40、42は、内側平坦部20側から撮影したのと同じ内容の画像を撮影することができる。また、ビームスプリッタ64は、湾曲側部29a、29bの外側で反射した照明光をカラーカメラ40、42に導くので、カラーカメラ40、42は、外側平坦部22側から撮影したのと同じ内容の画像を撮影することができる。
【0026】
赤色光源48、50から出力され、内側平坦部20及び湾曲部28a、28cで反射された赤色の照明光の一部は、ビームスプリッタ62により反射され、透光部材66を透過してカラーカメラ40、42に導かれ、撮影される。また、赤色光源48、50から出力され、湾曲部28a、28cで反射された赤色の照明光の一部は、直接透光部材66を透過してカラーカメラ40、42に導かれ、撮影される。また、赤色光源48、50から出力され、側部平坦部24、26で反射された赤色の照明光の一部は、ビームスプリッタ64により反射され、透光部材66を透過してカラーカメラ40、42に導かれ、撮影される。
【0027】
青色光源52、54から出力され、外側平坦部22及び湾曲部28b、28dで反射された青色の照明光の一部は、ビームスプリッタ64により反射され、透光部材66を透過してカラーカメラ40、42に導かれ、撮影される。また、青色光源52、54から出力され、湾曲部28b、28dで反射された青色の照明光の一部は、直接透光部材66を透過してカラーカメラ40、42に導かれ、撮影される。また、青色光源52、54から出力され、側部平坦部24、26で反射された青色の照明光の一部は、ビームスプリッタ62により反射され、透光部材66を透過してカラーカメラ40、42に導かれ、撮影される。
【0028】
緑色光源56、58から出力され、側部平坦部24、26で反射された緑色の照明光の一部は、直接透光部材66を透過してカラーカメラ40、42に導かれ、撮影される。また、緑色光源56、58から出力され、湾曲部28a、28cで反射された緑色の照明光の一部は、ビームスプリッタ62により反射され、透光部材66を透過してカラーカメラ40、42に導かれ、撮影される。また、緑色光源56、58から出力され、湾曲部28b、28dで反射された緑色の照明光の一部は、ビームスプリッタ64により反射され、透光部材66を透過してカラーカメラ40、42に導かれ、撮影される。
【0029】
カラーカメラ40、42は、入射した照明光を撮影することで、薄型金属ベルト18の内側平坦部20、外側平坦部22、側部平坦部24、26、及び、湾曲部28a〜28dの画像を同時に撮影することができる。
【0030】
図7は、埃や傷がない良好な定常状態のときの薄型金属ベルト18を、カラーカメラ40で撮影して得られた定常画像を示す。定常画像は、照明光の色にしたがって、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に着色された一様な画像である。撮影して得られた画像の領域80aは、薄型金属ベルト18の湾曲側部29a、29bを正面から撮影した画像に相当し(ビームスプリッタ62、64で反射されることなく透光部材66を透過した光の画像を示し)、領域80bは、内側平坦部20側から撮影した画像に相当し(ビームスプリッタ62で反射され透光部材66を透過した光の画像を示し)、領域80cは、外側平坦部22側から撮影した画像に相当する(ビームスプリッタ64で反射され透光部材66を透過した光の画像を示す)。
【0031】
次に、ベルト検査装置30の動作を図8のフローチャートにしたがって説明する。
【0032】
まず、光源制御装置68を駆動して、赤色光源48、50、青色光源52、54、及び、緑色光源56、58を点灯して、ベルト検査装置30にセットされた薄型金属ベルト18に照明光を照射し、カラーカメラ40、42は、薄型金属ベルト18を反射して入射した照明光を撮影することで、薄型金属ベルト18の内側平坦部20、外側平坦部22、湾曲側部29a、29b(側部平坦部24、26及び湾曲部28a〜28d)を同時に撮影する(ステップS1)。
【0033】
ここで、薄型金属ベルト18のベルト検査装置30へのセットは、まず、薄型金属ベルト18をフリーローラ34a〜34c及び駆動ローラ38の張架し、駆動ローラ38を矢印方向に移動させて薄型金属ベルト18に所定の張力を付加させるとともに、薄型金属ベルト18の両側部に対して、図6に示すように、導光部材44、46をセットする。
【0034】
次いで、表面状態判定部78は、カラーカメラ40、42によって撮影され、画像処理部72によって所定の画像処理が施された画像データに基づいて、薄型金属ベルト18に幅方向の傷があるか否かを判定する幅傷判定処理を行う(ステップS2)。薄型金属ベルト18の幅方向とは、薄型金属ベルト18の厚さ方向つまり、内側平坦部20及び外側平坦部22間の方向(図3の矢印A方向)である。この幅傷判定処理については後で詳細に説明する。
【0035】
次いで、表面状態判定部78は、ステップS2で幅方向に傷があると判定したか否かを判断し(ステップS3)、判定結果が幅方向に傷ありと判断すると、表面状態判定部78は、画像処理部72によって所定の画像処理が施された前記画像データに基づいて、薄型金属ベルト18に深さ方向の傷があるか否かを判定する深さ傷判定処理を行う(ステップS4)。薄型金属ベルト18の深さ方向とは、前記所定方向(図3の矢印B方向)である。この深さ傷判定処理については後で詳細に説明する。
【0036】
表面状態判定部78は、ステップS4で深さ方向に傷があると判定したか否かを判断し(ステップS5)、判定結果が深さ方向に傷ありと判断すると、幅方向の傷があると判定された場所(箇所)と深さ方向の傷があると判定された場所とが同じであるか否かを判断する(ステップS6)。つまり、同じ場所に幅方向の傷と深さ方向の傷とがあるか否かを判断する。幅方向の傷と深さ方向の傷とが共にある場所が1つ以上あれば、ステップS6で、幅方向の傷があると判定された場所(箇所)と深さ方向の傷があると判定された場所とが同じと判断する。
【0037】
ステップS6で、幅方向の傷と深さ方向の傷とが同じ場所にあると判断した場合は、薄型金属ベルト18に傷がありと判定する(ステップS7)。一方、ステップS3で、判定結果が幅方向の傷なしであると判断した場合、ステップS5で、判定結果が深さ方向の傷なしであると判断した場合、ステップS6で、幅方向の傷と深さ方向の傷とが同じ場所にないと判断した場合は、薄型金属ベルト18に傷がなしと判定する(ステップS8)。なお、図8のフローチャートに示す動作は、駆動ローラ38を駆動させて薄型金属ベルト18を走行させながら、所定の周期で行う。
【0038】
このように、幅方向の傷及び深さ方向の傷があるか否かを判定し、幅方向の傷及び深さ方向の傷があると判定し、且つ、幅方向の傷がある場所と深さ方向の傷があると判断した場所が同じの場合は、薄型金属ベルト18に傷があると判定するので、薄型金属ベルト18にある傷の検出精度を向上させることができる。
【0039】
次に、薄型金属ベルト18の幅方向の傷の判定原理について説明する。図9、図10は、異なる形状の傷を有する薄型金属ベルト18の一部断面図と、該異なる形状の傷を有する該薄型金属ベルト18を側部平坦部24の正面から撮影したときの画像及び該異なる形状の傷を有する薄型金属ベルト18を外側平坦部22側から撮影したときの画像とを示す図である。
【0040】
図9、図10には、異なる形状の傷を有する薄型金属ベルト18の一部断面図が複数示されており、この薄型金属ベルト18を撮影したときの画像を一部断面図の下に示す。この図9、図10で示されている上の段の画像は、図7の領域80aに相当する画像(側部平坦部24を正面から撮影した画像)であり、下の段の画像は、図7の領域80cに相当する画像(外側平坦部22側から撮影した画像)である。なお、断面番号1の一部断面図は、傷がない薄型金属ベルト18の一部断面図を示し、断面番号2の一部断面図〜断面番号10の一部断面図は、傷がある箇所における薄型金属ベルト18の一部断面図である。
【0041】
図9、図10に示すように、薄型金属ベルト18にある傷の形状によって、側部平坦部24の正面から薄型金属ベルト18を撮影した画像、及び、外側平坦部22側から薄型金属ベルト18を撮影した画像に表される各色(R、G、B)の幅が変わる。ここで、断面番号1に示す薄型金属ベルト18を側部平坦部24の正面から撮影した場合の青色の幅、緑色の幅、赤色の幅をそれぞれ、正常青色幅、正常緑色幅、正常赤色幅と呼ぶ。
【0042】
断面番号2、3、4に示す薄型金属ベルト18を側部平坦部24の正面から撮影した場合、傷がある箇所において緑色の幅が正常緑色幅より長くなる。したがって、緑色の幅が正常緑色幅より大きい幅である第1閾値以上の場合は、薄型金属ベルト18には幅方向の傷があると判定することができる。なお、断面番号5、6、9に示す薄型金属ベルト18を側部平坦部24の正面から撮影した場合であっても、同様に、緑色の幅が第1閾値以上となるので、薄型金属ベルト18には幅方向の傷があると判定することができる。
【0043】
断面番号5、6、7に示す薄型金属ベルト18を側部平坦部24の正面から撮影した場合、傷がある箇所において青色の幅、緑色の幅、赤色の幅が正常青色幅、正常緑色幅、正常赤色幅より長くなったり、短くなったりする。したがって、青色の幅と緑色の幅との差の絶対値が第3閾値以上の場合、又は、赤色の幅と緑色の幅との差の絶対値が第3閾値以上の場合は、薄型金属ベルト18には幅方向の傷があると判定することができる。なお、断面番号2、3、4、8、9、10に示す薄型金属ベルト18を側部平坦部24の正面から撮影した場合であっても、同様に、青色の幅又は赤色の幅と緑色の幅との差の絶対値が第3閾値以上の場合もあるので、かかる場合は、薄型金属ベルト18には幅方向の傷があると判定することができる。
【0044】
断面番号8に示す薄型金属ベルト18を側部平坦部24の正面から撮影した場合、傷がある箇所において緑色の幅が、正常緑色幅より短くなる。したがって、緑色の幅が正常緑色幅より小さい幅である第2閾値以下の場合は、薄型金属ベルト18には幅方向の傷があると判定することができる。また、この場合、傷がある箇所において青色の幅が正常青色幅より長くなる。したがって、青色の幅が正常青色幅より大きい幅である第4閾値以上の場合は、薄型金属ベルト18には幅方向の傷があると判定することができる。
【0045】
また、赤色光源48、50と青色光源52、54の配置位置を逆にした場合は、図9、図10に示す画像の青色が着色される領域と赤色が着色される領域とが逆になるので、この場合は、傷がある箇所において、赤色の幅が正常赤色幅より長くなる。したがって、赤色の幅が正常赤色幅より大きい幅である第4閾値以上の場合は、薄型金属ベルト18には幅方向の傷があると判定することができる。
【0046】
なお、断面番号7、10に薄型金属ベルト18を側部平坦部24の正面から撮影した場合であっても、緑色の幅が第2閾値以下となる場合もあるので、かかる場合は、薄型金属ベルト18には幅方向の傷があると判定することができる。また、断面番号7に示す薄型金属ベルト18を側部平坦部24の正面から撮影した場合であっても、同様に、青色の幅又は赤色の幅が第4閾値以上となるので、薄型金属ベルト18には幅方向の傷があると判定することができる。
【0047】
断面番号9に示す薄型金属ベルト18を側部平坦部24の正面から撮影した場合は、傷がある箇所において、青色の幅と緑色の幅と赤色の幅との合計幅が、定常青色幅と定常緑色幅と定常赤色幅とを合計した合計定常幅より長くなる。したがって、合計幅が合計定常幅より大きい第5閾値以上の場合は、薄型金属ベルト18には幅方向の傷があると判定することができる。なお、断面番号4、7、8に示す薄型金属ベルト18を撮影した場合であっても、合計幅が第5閾値以上となるので、薄型金属ベルト18には幅方向の傷があると判定することができる。
【0048】
断面番号10に示す薄型金属ベルト18を側部平坦部24の正面から撮影した場合は、傷がある箇所において、青色の幅と緑色の幅と赤色の幅との合計幅は、定常青色幅と定常緑色幅と定常赤色幅とを合計した合計定常幅より短くなる。したがって、合計幅が合計定常幅より小さい第6閾値以下の場合は、薄型金属ベルト18には幅方向の傷があると判定することができる。この第1閾値〜第6閾値は、情報記憶部76に記憶されている。
【0049】
次に、幅傷判定処理の動作を図11のサブフローチャートにしたがって説明する。なお、カラーカメラ40によって撮影された画像に基づく幅傷判定処理の動作とカラーカメラ42によって撮影された画像に基づく幅傷判定処理の動作は同様なので、図11においては、カラーカメラ40によって撮影された画像に基づいて幅傷判定処理の動作を行ったときの動作について説明する。
【0050】
図8のステップS2で、幅傷判定処理を開始すると、図11のステップS11に進み、表面状態判定部78は、撮影された画像のうち、図7に示す領域80aに相当する画像に基づいて、各色(青色、赤色、緑色)の幅を測定する。
【0051】
次いで、表面状態判定部78は、緑色の幅が第1閾値以上であるか否かを判断する第1閾値判断処理を行う(ステップS12)。次いで、表面状態判定部78は、ステップS12の第1閾値判断処理の結果に基づいて、幅方向に傷があるか否かを判断する(ステップS13)。表面状態判定部78は、第1閾値判断処理により緑色の幅が第1閾値以上であると判断した場合は、幅方向に傷ありと判断する。
【0052】
ステップS13で、幅方向に傷ありと判断すると、表面状態判定部78は、カウント値c1をインクリメントして、つまり、カウント値c1=c1+1にして(ステップS14)、ステップS15に進む。このとき、表面状態判定部78は、幅方向に傷ありと判断された場所を情報記憶部76に記憶させる。一方、ステップS13で、幅方向に傷なしと判断すると、そのままステップS15に進む。なお、幅傷判定処理を開始する際に、カウント値c1は0にリセットされるものとする。
【0053】
ステップS15に進むと、表面状態判定部78は、緑色の幅が第2閾値以下であるか否かを判断する第2閾値判断処理、又は、青色又は赤色の幅が第4閾値以上であるかを判断する第4閾値判断処理を行う。
【0054】
次いで、表面状態判定部78は、ステップS15の第2閾値判断処理又は第4閾値判断処理の結果に基づいて、幅方向に傷があるか否かを判断する(ステップS16)。表面状態判定部78は、第2閾値判断処理により緑色の幅が第2閾値以下であると判断した場合、第4閾値判断処理により青色又は赤色が第4閾値以上であると判断した場合は、幅方向に傷ありと判断する。
【0055】
ステップS16で、幅方向に傷ありと判断すると、表面状態判定部78は、カウント値c1をインクリメントして(ステップS17)、ステップS18に進む。このとき、表面状態判定部78は、幅方向に傷ありと判断された場所を情報記憶部76に記憶させる。一方、ステップS16で、幅方向に傷なしと判断すると、そのままステップS18に進む。
【0056】
ステップS18に進むと、表面状態判定部78は、青色の幅又は赤色の幅と緑色の幅との差の絶対値が第3閾値以上であるか否かを判断する第3閾値判断処理を行う。
【0057】
次いで、表面状態判定部78は、ステップS18の第3閾値判断処理の結果に基づいて、幅方向に傷があるか否かを判断する(ステップS19)。表面状態判定部78は、青色の幅又は赤色の幅と緑色の幅との差の絶対値が第3閾値以上であると判断した場合は、幅方向に傷ありと判断する。
【0058】
ステップS19で、幅方向に傷ありと判断すると、表面状態判定部78は、カウント値c1をインクリメントして(ステップS20)、ステップS21に進む。このとき、表面状態判定部78は、幅方向に傷ありと判断された場所を情報記憶部76に記憶させる。一方、ステップS19で、幅方向に傷なしと判断すると、そのままステップS21に進む。
【0059】
ステップS21に進むと、表面状態判定部78は、青色の幅と緑色の幅と赤色の幅との合計幅が、第5閾値以上であるか否かを判断する第5閾値判断処理を行う。
【0060】
次いで、表面状態判定部78は、ステップS21の第5閾値判断処理の結果に基づいて、幅方向に傷があるか否かを判断する(ステップS22)。表面状態判定部78は、青色の幅と緑色の幅と赤色の幅との合計幅が第5閾値以上であると判断した場合は、幅方向に傷ありと判断する。
【0061】
ステップS22で、幅方向に傷ありと判断すると、表面状態判定部78は、カウント値c1をインクリメントして(ステップS23)、ステップS24に進む。このとき、表面状態判定部78は、幅方向に傷ありと判断された場所を情報記憶部76に記憶させる。一方、ステップS22で、幅方向に傷なしと判断すると、そのままステップS24に進む。
【0062】
ステップS24に進むと、表面状態判定部78は、青色の幅と緑色の幅と赤色の幅との合計幅が、第6閾値以下であるか否かを判断する第6閾値判断処理を行う。
【0063】
次いで、表面状態判定部78は、ステップS24の第6閾値判断処理の結果に基づいて、幅方向に傷があるか否かを判断する(ステップS25)。表面状態判定部78は、青色の幅と緑色の幅と赤色の幅との合計幅が第6閾値以下であると判断した場合は、幅方向に傷ありと判断する。
【0064】
ステップS25で、幅方向に傷ありと判断すると、表面状態判定部78は、カウント値c1をインクリメントして(ステップS26)、ステップS27に進む。このとき、表面状態判定部78は、幅方向に傷ありと判断された場所を情報記憶部76に記憶させる。一方、ステップS25で、幅方向に傷なしと判断すると、そのままステップS27に進む。
【0065】
ステップS27に進むと、表面状態判定部78は、現在のカウント値c1が0よりも大きいか否かを判断する。ステップS27で、カウント値c1が0よりも大きいと判断すると、薄型金属ベルト18に幅方向の傷があると判定し(ステップS28)、カウント値c1が0よりも大きくない、つまり、カウント値c1が0と判断すると、薄型金属ベルト18に幅方向の傷がないと判定する(ステップS29)。
【0066】
このように、所定方向に沿って湾曲側部29a、29bに緑色光源56、58から出力され、該湾曲側部29a、29bを反射した照明光を、湾曲側部29a、29bの正面から撮影し、撮影した画像の該第1照明光の幅に基づいて、薄型金属ベルト18に幅方向の傷があるか否かを判定するので、幅方向の傷の検出精度を向上させることができる。
【0067】
次に、薄型金属ベルト18の深さ方向の傷の判定原理について説明する。図9、図10に示すように、薄型金属ベルト18にある傷の形状によって、外側平坦部22側から薄型金属ベルト18を撮影した画像に表される各色(R、G、B)の幅が変わる。
【0068】
断面番号2、3、4、7、8に示す薄型金属ベルト18を外側平坦部22側から撮影した場合は、傷がある箇所においては赤色の幅の中心線と基準線(例えば、定常画像における赤色の幅の中心線)との距離差が第7閾値以上となる。赤色光源48、50と青色光源52、54との配置位置を変えた場合は、図9、図10に示す画像の赤が着色される領域と青が着色される領域とが逆になるので、この場合は、傷がある箇所においては青色の幅の中心線と基準線との距離差が第7閾値(第1の閾値)以上となる。したがって、赤色の幅又は青色の幅の中心線と基準線との距離差が第7閾値以上の場合は、薄型金属ベルト18には深さ方向の傷があると判定することができる。
【0069】
なお、断面番号5、6、9、10に示す薄型金属ベルト18を外側平坦部22から撮影した場合も、赤色の幅又は青色の幅の中心線と基準線との距離差が第7閾値以上となる場合もあるので、かかる場合は、薄型金属ベルト18には深さ方向の傷があると判定することができる。
【0070】
断面番号5、6に示す薄型金属ベルト18を外側平坦部22側から撮影した場合は、傷がある箇所において赤色の最大幅から赤色の最小幅を減算した値が第8閾値(第2の閾値)以上となる。なお、断面番号5、6では、赤色及び緑色の領域内に、色(赤色、緑色、及び青色)が着色されていない領域があるが、赤色の幅を計測する際には、色が着色されていない領域を無視し、色が着色されていない領域の赤色と緑色との境界線は、定常画像(断面番号1の薄型金属ベルト18を外側平坦部22側から撮影した画像)における赤色と緑色との境界線に置き換える。
【0071】
また、赤色光源48、50と青色光源52、54との配置位置を変えた場合は、図9、図10に示す画像の赤色が着色される領域と青色が着色される領域とが逆になるので、この場合は、傷がある箇所において青色の最大幅から青色の最小幅を減算した値が第8閾値以上となる。したがって、赤色又は青色の最大幅から赤色又は青色の最小幅を減算した値が第8閾値以上の場合は、薄型金属ベルト18には深さ方向の傷があると判定することができる。
【0072】
なお、断面番号3、4、8、9、10の薄型金属ベルト18を外側平坦部22から撮影した場合であっても、同様に、赤色又は青色の最大幅から赤色又は青色の最小幅を減算した値が第8閾値以上となる場合もあるので、かかる場合は、薄型金属ベルト18には深さ方向の傷があると判定することができる。
【0073】
断面番号9、10に示す薄型金属ベルト18を外側平坦部22側から撮影した場合は、傷がある箇所において緑色の幅から定常画像の緑色の幅(基準幅)を減算した値の絶対値が第9閾値(第3の閾値)以上となる。したがって、緑色の幅から基準幅を減算した値の絶対値が第9閾値以上の場合は、薄型金属ベルト18に傷があると判定することができる。なお、断面番号9では、緑色及び青色の領域内に、色が着色されていない領域があるが、緑色の幅を計測する際には、色が着色されていない領域を無視し、色が着色されていない領域の緑色と青色との境界線は、定常画像における緑色と青色との境界線に置き換える。
【0074】
なお、断面番号2、7、8に示す薄型金属ベルト18を外側平坦部22から撮影した場合であっても、同様に、緑色の幅から基準幅を減算した値の絶対値が第9閾値以上となる場合もあるので、かかる場合は、薄型金属ベルト18に傷があると判定することができる。この第7閾値〜第9閾値は、情報記憶部76に記憶されている。
【0075】
次に、深さ傷判定処理の動作を図12のサブフローチャートにしたがって説明する。図8のステップS4で、深さ傷判定処理を開始すると、図12のステップS51に進み、表面状態判定部78は、撮影された画像のうち、図7に示す領域80b又は領域80cの画像に基づいて、各色(青色、赤色、緑色)の幅及びその中心線を測定する。
【0076】
次いで、表面状態判定部78は、赤色の幅又は青色の幅の中心線と基準線との差の絶対値が第7閾値以上であるか否かを判断する第7閾値判断処理を行う(ステップS52)。
【0077】
次いで、表面状態判定部78は、ステップS52の第7閾値判断処理の結果に基づいて、深さ方向に傷があるか否かを判断する(ステップS53)。表面状態判定部78は、第7閾値判断処理により赤色の幅又は青色の幅の中心線と基準線との差の絶対値が第7閾値以上であると判断した場合は、深さ方向に傷ありと判断する。
【0078】
ステップS53で、深さ方向に傷ありと判断すると、表面状態判定部78は、カウント値c2をインクリメントして、つまり、カウント値c2=c2+1にして(ステップS54)、ステップS55に進む。このとき、表面状態判定部78は、深さ方向に傷ありと判断された場所を情報記憶部76に記憶させる。一方、ステップS53で、深さ方向に傷なしと判断すると、そのままステップS55に進む。なお、深さ傷判定処理を開始する際に、カウント値c2は0にリセットされるものとする。
【0079】
ステップS55に進むと、表面状態判定部78は、赤色又は青色の最大幅から赤色又は青色の最小幅を減算した値が第8閾値以上であるか否かを判断する第8閾値判断処理を行う。
【0080】
次いで、表面状態判定部78は、ステップS55の第8閾値判断処理の結果に基づいて、深さ方向に傷があるか否かを判断する(ステップS56)。表面状態判定部78は、第8閾値判断処理により赤色又は青色の最大幅から赤色又は青色の最小幅を減算した値が第8閾値以上であると判断した場合は、深さ方向に傷ありと判断する。
【0081】
ステップS56で、深さ方向に傷ありと判断すると、表面状態判定部78は、カウント値c2をインクリメントして(ステップS57)、ステップS58に進む。このとき、表面状態判定部78は、深さ方向に傷ありと判断された場所を情報記憶部76に記憶させる。一方、ステップS56で、深さ方向に傷なしと判断すると、そのままステップS58に進む。
【0082】
ステップS58に進むと、表面状態判定部78は、緑色の幅から基準幅を減算した値の絶対値が第9閾値以上であるか否かを判断する第9閾値判断処理を行う。
【0083】
次いで、表面状態判定部78は、ステップS58の第9閾値判断処理の結果に基づいて、深さ方向に傷があるか否かを判断する(ステップS59)。表面状態判定部78は、第9閾値判断処理により緑色の幅から基準幅を減算した値の絶対値が第9閾値以上であると判断した場合は、深さ方向に傷ありと判断する。
【0084】
ステップS59で、深さ方向に傷ありと判断すると、表面状態判定部78は、カウント値c2をインクリメントして(ステップS60)、ステップS61に進む。このとき、表面状態判定部78は、深さ方向に傷ありと判断された場所を情報記憶部76に記憶させる。一方、ステップS59で、深さ方向に傷なしと判断すると、そのままステップS61に進む。
【0085】
ステップS61に進むと、表面状態判定部78は、現在のカウント値c2が0よりも大きいか否かを判断する。ステップS61で、カウント値c2が0よりも大きいと判断すると、薄型金属ベルト18に深さ方向の傷があると判定し(ステップS62)、カウント値c2が0よりも大きくない、つまり、カウント値c2が0であると判断すると、薄型金属ベルト18に深さ方向の傷がないと判定する(ステップS63)。
【0086】
このように、内側平坦部20側に設けられた赤色光源48、50又は外側平坦部22側に設けられた青色光源52、54から湾曲側部29a、29bに出力され、湾曲側部29a、29bを反射した照明光を、外側平坦部22側又は内側平坦部20側から撮影し、撮影した画像の照明光の幅に基づいて、薄型金属ベルト18に深さ方向の傷があるか否かを判定するので、深さ方向の傷の検出精度を向上させることができる。
【0087】
また、所定方向に沿って緑色光源56、58から湾曲側部29a、29bに出力され、該湾曲側部29a、29bを反射した照明光を、外側平坦部22側又は内側平坦部20側から撮影し、撮影した画像の照明光の幅に基づいて、薄型金属ベルト18に深さ方向の傷があるか否かを判定するので、深さ方向の傷の検出精度を向上させることができる。
【0088】
また、上記実施の形態においては、カラー画像を撮影することができるカラーカメラ40、42を用いて照明光を撮影するので、傷か埃かを区別することができる。埃の場合は、該箇所が無彩色となり、傷の場合は、該箇所が有彩色となるからである。
【0089】
なお、上記実施の形態では、緑色光源56、58に替えて、赤外光を照射する赤外光源を設けるようにしてもよい。赤外光を用いた場合は、青色の照明光及び赤色の照明光との間の波長を大きく設定することができるため、埃や傷の有無の判定を一層正確に行うことが可能となる。
【0090】
また、上記実施の形態では、湾曲側部29a、29bを、正面から撮影した画像(領域80aに相当する画像)、湾曲側部29a、29bを内側平坦部20側から撮影した画像(領域80bに相当する画像)、及び、湾曲側部29a、29bを外側平坦部22側から撮影した画像(領域80cに相当する画像)を、カラーカメラ40、42を用いて、1枚の画像として撮影するようにしたが、湾曲側部29a、29bを正面から撮影するカメラ、湾曲側部29a、29bを内側平坦部20側から撮影するカメラ、及び湾曲側部29a、29bを外側平坦部22側から撮影するカメラを別個に設けて、それぞれ撮影を行ってもよい。
【0091】
以上、本発明について好適な実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0092】
10…金属ベルト 18…薄型金属ベルト
20…内側平坦部 22…外側平坦部
24、26…側部平坦部 28a〜28d…湾曲部
29a、29b…湾曲側部 30…ベルト検査装置
40、42…カラーカメラ 44、46…導光部材
48、50…赤色光源 52、54…青色光源
56、58…緑色光源 57、59、62、64…ビームスプリッタ
60a〜60f…カットフィルタ 66…透光部材
68…光源制御装置 70…情報処理装置
72…画像処理部 74…表示部
76…情報記憶部 78…表面状態判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に形成された内側平坦部及び外側平坦部と、前記内側平坦部及び前記外側平坦部間の湾曲側部とを輪郭とする略矩形断面を呈するベルトの表面に存在する傷を検査するベルト検査装置であって、
前記内側平坦部側又は前記外側平坦部側から第1照明光を前記湾曲側部に出力する第1光源と、
前記外側平坦部側又は前記内側平坦部側から、前記湾曲側部によって反射された前記第1照明光を撮影する撮影部と、
前記撮影部が前記第1照明光を撮影した画像に基づいて前記ベルトの表面状態を判定する表面状態判定部と、
を備え、
前記表面状態判定部は、前記撮影部が撮影した前記第1照明光の幅を計測し、該第1照明光の幅に基づいて、前記ベルトに、前記所定方向を深さ方向とする傷があるか否かを判定する
ことを特徴とするベルト検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載のベルト検査装置であって、
前記表面状態判定部は、前記第1照明光の幅の中心線と基準線との距離差が第1の閾値以上の場合は、前記ベルトに前記深さ方向の傷があると判定する
ことを特徴とするベルト検査装置。
【請求項3】
請求項1に記載のベルト検査装置であって、
前記表面状態判定部は、前記第1照明光の最大幅から最小幅を減算した値が第2の閾値以上の場合は、前記ベルトに前記深さ方向の傷があると判定する
ことを特徴とするベルト検査装置。
【請求項4】
所定方向に形成された内側平坦部及び外側平坦部と、前記内側平坦部及び前記外側平坦部間の湾曲側部とを輪郭とする略矩形断面を呈するベルトの表面に存在する傷を検査するベルト検査装置であって、
前記所定方向に沿って、第2照明光を前記湾曲側部に出力する第2光源と、
前記外側平坦部側又は前記内側平坦部側から、前記湾曲側部によって反射された前記第2照明光を撮影する撮影部と、
前記撮影部が前記第2照明光を撮影した画像に基づいて前記ベルトの表面状態を判定する表面状態判定部と、
を備え、
前記表面状態判定部は、前記撮影部が撮影した前記第2照明光の幅を計測し、該第2照明光の幅に基づいて、前記ベルトに深さ方向の傷があるか否かを判定する
ことを特徴とするベルト検査装置。
【請求項5】
請求項4に記載のベルト検査装置であって、
前記表面状態判定部は、前記第2照明光の幅から基準幅を減算した値の絶対値が第3の閾値以上の場合は、前記ベルトに前記深さ方向の傷があると判定する
ことを特徴とするベルト検査装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のベルト検査装置であって、
前記撮影部は、カラー撮影が可能である
ことを特徴とするベルト検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−24668(P2013−24668A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158539(P2011−158539)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】