説明

ベルト着脱式ベルトコンベア装置

【課題】左右の長尺板材の前後に取付けた前板材及び後板材の変形やぐらつきがなく、しかもドライブプーリの一端側に取りつけた歯車と駆動側の歯車の噛合も円滑に行うベルト着脱式ベルトコンベア装置を提供する。
【解決手段】ヘッドプーリ35及びテールプーリ50と、これらを架台フレーム18の左右の長尺板材11、12に取付ける前板材26、27及び後板材44、45ごと長尺板材11、12から取外し可能とし、前板材26、27及び後板材44、45をそれぞれ複数の前側繋ぎステー30、31及び後側繋ぎステー48、49で補強した強固な構造とし、更に、ドライブプーリ73を駆動する第1の歯車77を、減速モータ82に連結されて回転駆動する第2の歯車78に下方から噛合させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等の放置すると腐敗又は悪化する可能性のある物を輸送する場合に使用するベルト着脱式ベルトコンベア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生菓子、野菜、肉等の製造工場や梱包工場においては、これらをベルトコンベア装置によって搬送することが一般に行われている。これらの食品はコンベアベルトに付着したまま残ると、腐敗し次に搬送される食品に付着する恐れがあるので、コンベアベルトは使用の前後に洗浄されている。このベルトコンベア装置の洗浄にあっては、コンベアベルト(無端ベルト、以下、単に「ベルト」という)の取付けフレームの前側及び/又は後側を中折れさせて、ベルトの張設状態を緩めて、プーリやベルトの表裏を洗浄していたので、死角が多く洗い残しがあるという問題があった。
【0003】
これらの問題を解決するため、特許文献1に記載のような食品搬送用ベルトコンベアが提案されている。この食品搬送用ベルトコンベアは、前側に従動プーリを後側に駆動用プーリを配置し、洗浄等を行う場合には、コンベアフレームの前側を折り曲げ、ベルトを緩めて、駆動用プーリ、ベルト受けローラ、従動プーリを取り外して、ベルトを外せる構造となっている。ところが、特許文献1記載の技術においては、駆動用プーリ、ベルト受けローラ、従動プーリの全てを取り外すようにしているので、ベルトを取り外す作業が煩雑であり、一般に駆動用プーリは重いので、取付け取外しや移動が容易でないという問題があった。
【0004】
そこで、本発明者は、先に特許文献2に示すように、駆動用プーリ(ドライブプーリ)を搬送除去する必要がなく、しかも、送り側ベルトの搬送面の水平性がよく、分解掃除を簡単に行える、図6〜図8に示すようなベルト着脱式ベルトコンベア装置100を提案した。このベルト着脱式ベルトコンベア装置100は、平行配置された左右2本の支持部材101、102を上部に備える架台フレーム103と、支持部材101、102の前後にそれぞれ設けられたヘッドプーリ106及びテールプーリ107と、ヘッドプーリ106及びテールプーリ107に掛け渡され、上が送り側ベルト108を下が帰り側ベルト109を形成する無端ベルト110と、架台フレーム103の中間位置に設けられて、帰り側ベルト109にテンションプーリ111及びガイドプーリ112を介して掛けられるドライブプーリ113と、送り側ベルト108の直下に配置された送りベルト受け部材114とを有している。この送りベルト受け部材114は左右の受け板材114a、114bと、中央のキャリアローラ114cを有している。
【0005】
左右2本の支持部材101、102は、それぞれ左右2本の長尺板材116、117と、この長尺板材116、117のそれぞれ前後に、対となるピン(ボルト)118、119を中心にして回動可能に設けられて、それぞれ対となる前板材120及び後板材121とを有している。左右対となる前板材120の前端側に設けられている第1の掛止溝122にヘッドプーリ106の両端軸を取り外し可能に装着し、左右対となる後板材121の後端側に設けられている第2の掛止溝123にテールプーリ107の両端軸を取り外し可能に装着している。この左右の支持部材101、102は、その下部に取付けられた左右複数対の補助板125〜127を介して繋ぎステー128で連結されている。なお、左右の支持部材101、102には前後左右の取付け板129を介して脚部材129aが設けられ、架台フレーム103を構成している。
【0006】
そして、図8に示すように、ドライブプーリ113の一端側は、支持部材101の一部である長尺板材116の中間位置下部に設けられた補助支持板130に蝶番131を介して回動可能に設けられた支持板132に取付けられ、ドライブプーリ113の他端側は、支持部材102の一部である長尺板材117の中間位置下部に設けられた補助支持板130aに把手付き固定手段(ねじ把手)133を介して取付けられた取付け部材134に固定されている。ドライブプーリ113の他端には歯車135が設けられ、減速モータ136の出力軸に取付けられている歯車137に水平方向から噛合している。
【0007】
このベルト着脱式ベルトコンベア装置100の一応の使用が完了して、ベルト着脱式ベルトコンベア装置100を洗浄する場合には、前板材120及び後板材121を長尺板材116、117に固定しているノブ付き雄ねじ140、141を緩めて、前板材120及び後板材121をピン118、119を中心にして、上側に折り曲げて、ヘッドプーリ106及びテールプーリ107にかかっている無端ベルト110を緩める。そして、左右の受け板材114a、114bを、それぞれ把手孔142に手を入れて架台フレーム103から取り外し、次に、キャリアローラ114cを取り外し、ヘッドプーリ106及びテールプーリ107を取り外す。
【0008】
次に、把手付き固定手段133を緩めて取付け部材134を補助支持板130aから外し、蝶番131を中心にして、ドライブプーリ113を下側に回動させ、架台フレーム103とドライブプーリ113の他側との間に隙間を形成する。このような状態で無端ベルト110を隙間から下側に引っ張ると取り外せる。なお、無端ベルト110を装着する場合は、取り外しと逆の手順によって行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実開平7−19224号公報
【特許文献2】実用新案登録第3142253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このベルト着脱式ベルトコンベア装置100においては、以下のような問題があった。
(1)無端ベルト110を取り外す場合に、左右の長尺板材116、117の前側及び後側に取付けられている前板材120及び後板材121を、ピン118、119を介して第1の掛止溝122及び第2の掛止溝123が上方向に移動するように折り曲げる必要がある。この場合、ヘッドプーリ106は第1の掛止溝122から外れ、左右の前板材120は左右の長尺板材116、117でピン118を介して緩く連結され、更に左右の前板材120の中間位置下部にそれぞれ設けられている補助板127を連結する繋ぎステー128で連結されているのみであるので、左右の前板材120がふらふらし、菱形変形する等して安定性が悪いという問題があった。
【0011】
(2)また、テールプーリ107を取付ける左右の後板材121も、テールプーリ107は第2の掛止溝123から外れ、左右の後板材121は左右の長尺板材116、117にピン119を介して緩く連結され、更に左右の後板材121の中間位置下部にそれぞれ設けられている補助板125を連結する繋ぎステー128で連結されているのみであるので左右の後板材121がふらふらし、菱形変形する等して安定性が悪いという問題があった。
【0012】
(3)そして、前記したベルト着脱式ベルトコンベア装置100においては、減速モータ136の出力軸に設けられている歯車137に水平方向から噛合している歯車135を、図7、図8に示すように、蝶番131を介してドライブプーリ113を押し下げ回動することによって外すので、歯車137と歯車135の噛み合いに無理を生じ、更に歯車137は減速モータ136の出力軸に取付けられているので容易に回転せず、歯車135が歯車137から外れ難く、更に組み立てる場合も歯車135と歯車137の噛合がうまく行かず、作業が手こずるという問題があった。
【0013】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、無端ベルトを外すために、左右の長尺板材の前後に取付けた前板材及び後板材の変形やぐらつきがなく、しかもドライブプーリの一端側に取りつけた歯車と駆動側の歯車の噛合も円滑に行われるベルト着脱式ベルトコンベア装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的に沿う本発明に係るベルト着脱式ベルトコンベア装置は、上部に平行配置された左右2本の長尺板材及びこれに連結される脚を備える架台フレームと、前記左右の長尺板材の前後にそれぞれ左右対となる前板材及び後板材を介して取付けられたヘッドプーリ及びテールプーリと、前記ヘッドプーリ及び前記テールプーリに掛け渡され上が送り側ベルト、下が帰り側ベルトとなる無端ベルトと、前記架台フレームの中間位置に設けられて、前記帰り側ベルトにテンションプーリ及びガイドプーリを介して掛けられるドライブプーリと、前記ドライブプーリの駆動軸の一端側に取付けられた第1の歯車に噛合し、減速モータによって回転駆動される第2の歯車と、前記送り側ベルトの直下に配置された送りベルト受け部材とを有するベルトコンベア装置において、
(1)前記左右対となる前板材は複数の前側繋ぎステーによって固定連結されると共に、前記左右対となる前板材の先側(前側)にそれぞれ設けられている貫通孔に前記ヘッドプーリの支持軸が装着固定され、
(2)前記左右対となる前板材の基側にはそれぞれ第1、第2の掛止溝が設けられて、前記左右の長尺板材にそれぞれ設けられている第1、第2のピンが前記第1、第2の掛止溝にそれぞれ嵌入し、前記左右対となる前板材の中間位置には、下向き開口の第1、第2の切欠きがそれぞれ設けられて、前記左右の長尺板材の前記第1、第2のピンより前側位置に螺合している第1、第2のノブ付き雄ねじが前記第1、第2の切欠きにそれぞれ嵌入可能となって、
(3)前記左右対となる後板材は複数の後側繋ぎステーによって固定連結されると共に、前記左右対となる後板材の先側(後側)にそれぞれ設けられている貫通孔に前記テールプーリの支持軸が装着固定され、
(4)前記左右対となる後板材の基側にはそれぞれ第3、第4の掛止溝が設けられて、前記左右の長尺板材にそれぞれ設けられている第3、第4のピンが前記第3、第4の掛止溝にそれぞれ嵌入し、前記左右対となる後板材の中間位置には、下向き開口の第3、第4の切欠きがそれぞれ設けられて、前記左右の長尺板材の前記第3、第4のピンより後側位置に螺合している第3、第4のノブ付き雄ねじが前記第3、第4の切欠きにそれぞれ嵌入可能となって、
(5)前記ドライブプーリの駆動軸の他端側は、前記長尺板材の一方の下部に設けられている補助取付け材に蝶番を介して回動可能に取付けられている補助板材に軸受を介して取付けられ、前記ドライブプーリ及び該ドライブプーリの駆動軸の一端側に取付けられている前記第1の歯車が、前記蝶番を介して回動し、前記第2の歯車に前記第1の歯車が下方から噛合する。
【0015】
本発明に係るベルト着脱式ベルトコンベア装置において、平面視して前記ドライブプーリの前側又は後側に前記減速モータが配置され、前記第2の歯車には軸心を合わせて第1のスプロケットが設けられ、前記減速モータの出力に取付けられている第2のスプロケットとは、無端チェーンによって連結されているのが好ましい。なお、減速モータとドライブプーリは、第1、第2の歯付きプーリと歯付きベルトによって回転伝達を行うこともできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るベルト着脱式ベルトコンベア装置においては、架台フレームを構成する左右の長尺板材の前側に取り外し可能に固定される対となる左右の前板材は、それ自体複数の前側繋ぎステーによって固定され、かつ左右の前板材の先側に設けられている貫通孔にヘッドプーリの支持軸が固定されているので、この左右の前板材は架台フレームから取り外しても、一定の間隔を有してその形状を頑強に保持でき、ぐらつき又は菱形変形等はしない。そして、左右の長尺板材への前板材の取付けにあっては、左右の前板材の基側にそれぞれ設けられている第1、第2の掛止溝に、左右の長尺板材にそれぞれ設けられている第1、第2のピンを嵌合させ、更に左右の前板材の中間位置には、下向き開口の第1、第2の切欠きが設けられて、左右の長尺板材の第1、第2のノブ付き雄ねじが第1、第2の切欠きにそれぞれ嵌入可能となっているので、ヘッドプーリが固定された左右の前板材を、左右の長尺板材に簡単に取付け及び取り外しができる。この左右の前板材が左右の長尺板材の前側に取付けられた状態では、第1、第2の掛止溝に、第1、第2のピンが嵌合し、第1、第2の切欠きには、第1、第2のノブ付き雄ねじが嵌入して第1、第2のノブ付き雄ねじによって強固に螺着される。
【0017】
そして、架台フレームを構成する左右の長尺板材の後側に取り外し可能に固定される対となる左右の後板材は、それ自体複数の後側繋ぎステーによって固定され、かつ該左右の後板材の先側に設けられている貫通孔にテールプーリの支持軸が固定されているので、この左右の後板材は架台フレームから取り外しても、一定の間隔を有してその形状を頑強に保持でき、ぐらつき又は菱形変形等はしない。そして、左右の長尺板材への後板材の取付けにあっては、左右の後板材の基側にそれぞれ設けられている第3、第4の掛止溝に、左右の長尺板材にそれぞれ設けられている第3、第4のピンを嵌合させ、更に左右の後板材の中間位置には、下向き開口の第3、第4の切欠きが設けられて、左右の長尺板材の第3、第4のノブ付き雄ねじが第3、第4の切欠きにそれぞれ嵌入可能となっているので、テールプーリが固定された左右の後板材を、左右の長尺板材に簡単に取付け及び取り外しができる。この左右の後板材が左右の長尺板材の後側に取付けられた状態では、第3、第4の掛止溝に、第3、第4のピンが嵌合し、第3、第4の切欠きには、第3、第4のノブ付き雄ねじが嵌入して第3、第4のノブ付き雄ねじによって強固に螺着可能となっている。
【0018】
ドライブプーリの駆動軸の他端側は、長尺板材の一方の下部に設けられている補助取付け材に蝶番を介して回動可能に取付けられている補助板材に軸受を介して取付けられ、ドライブプーリの駆動軸の一端側に取付けられている第1の歯車が、蝶番を介して回動し、回転駆動される第2の歯車に下方から噛合するので、第1、第2の歯車の噛合が円滑に行われ、第1、第2の歯車の異常摩耗や無理な噛み合い等が発生しない。
【0019】
特に、ドライブプーリの第2の歯車に第1のスプロケットを、減速モータの出力軸に第2のスプロケットをそれぞれ設け、横に並べた第1、第2のスプロケットを無端チェーンによって連結した場合には、平面視して、減速モータをドライブプーリの横に配置できて、減速モータがドライブプーリを傾斜させて無端ベルトを外す場合の障害にならない。また、第1、第2の歯車の噛合時に発生する荷重を、減速モータが受けなくて済むので、減速モータの出力軸の変形を含む減速モータの故障が減少する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態に係るベルト着脱式ベルトコンベア装置の斜視図である。
【図2】同ベルト着脱式ベルトコンベア装置の側面図である。
【図3】同ベルト着脱式ベルトコンベア装置の一部省略断面図である。
【図4】同ベルト着脱式ベルトコンベア装置の一部を取り外している状態の斜視図である。
【図5】(A)は長尺板材と前板材の連結状態を示す部分拡大図で、(B)は前板材の側面図である。
【図6】従来例に係るベルト着脱式ベルトコンベア装置の側面図である。
【図7】従来例に係るベルト着脱式ベルトコンベア装置の一部を分解した斜視図である。
【図8】従来例に係るベルト着脱式ベルトコンベア装置の一部省略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1〜図4に示すように、本発明の一実施の形態に係るベルト着脱式ベルトコンベア装置10は、平行配置された左右2本の長尺板材11、12と、これに連結板13を介してその上部が固定された脚14〜17を備える架台フレーム18を有している。脚14、15と脚16、17の下部は水平部材20、21によって連結され、脚14、15と脚16、17の上部にある連結板13はそれぞれ連結ロッド22、23によって連結され、更に、水平部材20、21は1又は複数の連結材24で連結され、全体が強固な架台フレーム18となっている。
【0022】
そして、長尺板材11、12の前側には、左右対となる前板材26、27が取り外し可能に設けられている。この前板材27(26も同様)は、図2、図5(A)、(B)に示すように、1)基部に第1、第2の掛止溝28が設けられ、2)中間位置下部には底部が円弧状となって下向き開口の側面視してU字状の第1、第2の切欠き29が設けられ、3)この第1、第2の切欠き29とは異なる中間位置には、丸棒からなる前側繋ぎステー30、31の端部が嵌入する丸孔32、33が、4)先側には貫通孔34がそれぞれ設けられている。
【0023】
前側繋ぎステー30、31の端部は、前板材26、27の丸孔32、33にそれぞれねじ固定され、この状態で、左右対となる前板材26、27及び前側繋ぎステー30、31は剛体となって、容易に変形しない構造となっている。そして、前板材26、27の前側に設けられている貫通孔34には、ヘッドプーリ35の支持軸36が嵌入してナット37によってねじ止めされて、ヘッドプーリ35を回転自由に支持すると共に、更に左右の前板材26、27の連結を図って、その変形を防止している。なお、38、39は前側継ぎステー30、31の端部に螺合するナットを示す。
【0024】
左右の前板材26、27を架台フレーム18を構成する長尺板材11、12に固定する場合には、長尺板材11、12の前側中間位置の内側にそれぞれ設けられている第1、第2のピン40を第1、第2の掛止溝28に嵌入させ、長尺板材11、12の前側所定位置(第1、第2のピン40より前側位置)に設けられた雌ねじ41にそれぞれ螺合している第1、第2のノブ付き雄ねじ42の雄ねじ部分を、前板材26、27の第1、第2の切欠き29に嵌入させる(図5参照)。この状態で、長尺板材11、12の先部に前板材26、27が直線的に連結されるので、第1、第2のノブ付き雄ねじ42を雌ねじ41に螺合させて、前板材26、27を長尺板材11、12に締結する。これによって、ヘッドプーリ35が装着された前板材26、27を長尺板材11、12に取付けることができる。なお、ヘッドプーリ35を架台フレーム18から取り外す場合は、前記した操作の逆の操作を行う。
【0025】
長尺板材11、12の後側には、1)左右対となる後板材44、45(前板材26、27と同一構造)が取り外し可能に設けられている。この後板材44、45は、図4に示すように、1)基部に第3、第4の掛止溝46が設けられ、2)中間位置下部には底部が円弧状となって下向き開口の側面視してU字状の第3、第4の切欠き47が設けられ、3)この第3、第4の切欠き47とは異なる中間位置には、丸棒からなる後側繋ぎステー48、49の端部が嵌入する丸孔が、4)先側にはテールプーリ50の支持軸が嵌入する貫通孔がそれぞれ設けられている。
【0026】
後側繋ぎステー48、49の端部は、前側繋ぎステー30、31と同様な構造で、後板材44、45の丸孔にそれぞれねじ固定され、この状態で、左右対となる後板材44、45及び後側繋ぎステー48、49は剛体となって、容易に変形しない構造となっている。そして、後板材44、45の後側に設けられている貫通孔には、テールプーリ50の支持軸が嵌入してナット37aによってねじ止めされて、テールプーリ50を回転自由に支持すると共に、更に左右の後板材44、45の連結を図って、その変形を防止している。なお、38a、39aは後側継ぎステー48、49の端部に螺合するナットを示す。
【0027】
左右の後板材44、45を架台フレーム18を構成する長尺板材11、12の後側に固定する場合には、前記した前板材26、27を長尺板材11、12の先側に取付ける工程と同様な方法で行う。42aは、後板材44、45の第3、第4の切欠き47に嵌入させて後板材44、45を長尺板材11、12に固定する第3、第4のノブ付き雄ねじを示す。
【0028】
長尺板材11、12の前側中間位置及び後側中間位置の上端には角溝状の切欠き49a、49b、49c、49dが設けられている。そして、2枚の板材51、51aを少しの隙間を設けて、底面に当接して配置された図示しない4本の角パイプで連結して、平面状となった送りベルト受け部材52の側方突出部53、53aが、切欠き49a、49b、49c、49dに嵌入している。なお、この2枚の板材51、51aと隙間を設けて配置された4本の角パイプとはそれぞれ複数の皿ビス54によって連結され、それぞれの中央には取り出し時に手を入れる開口54a、54bが設けられている。このような構造となって、図2に示すように、ヘッドプーリ35及びテールプーリ50間に一部がかけ渡される無端ベルト55(即ち、送り側ベルト)の下側に送りベルト受け部材52が取り外し可能に配置されている。なお、送りベルト受け部材52の中央部分の左右両側は補強のため折り曲げ部56が設けられている。なお、無端ベルト55は前記した送り側ベルトを上に有し、その直下に帰り側ベルトを備えている。
【0029】
長尺板材11、12の前側中間位置の下側には、補助取付け材58、58aが対向して取付けられている。この補助取付け材58、58aには、テンションプーリ59とガイドプーリ60が設けられている。ガイドプーリ60は、図3に示すように、中央の支持軸61の両端が補助取付け材58、58aにねじ取付けされ、固定取付けられた支持軸61に左右のベアリング62、62aを介してローラ本体63が取付けられている。この構造は、テンションプーリ59、ヘッドプーリ35、テールプーリ50においても同様である。
【0030】
テンションプーリ59の支持軸64の両端部はそれぞれ、補助取付け材58、58aに設けられた水平長孔65内に挿通され、補助取付け材58、58aの外側にそれぞれ固定された雌ねじ板66に水平方向から螺合する雄ねじ67によって前方に押されている。これによって、テンションプーリ59を通る無端ベルト55の周知のベルト張り機構を構成している。
【0031】
補助取付け材58には、複数の蝶番69を介して回動可能に補助板材70が設けられている。この補助板材70には2本の連結ロッド71、71aを介して対向補助板材72が設けられ、更に補助板材70と対向補助板材72との間には、ドライブプーリ73がそれぞれ軸受74、74aを介して取付けられている。補助板材70と対向補助板材72との間隔は、補助取付け材58、58aの間隔と同一となって、ドライブプーリ73が水平になった状態で、補助取付け材58aの下端が対向補助板材72の上端に当接し、この状態をロックする掛止錠(例えば、パッチン錠)75が設けられている。なお、このドライブプーリ73の取付け位置は、平面視してガイドプーリ60とテンションプーリ59の中央位置となっている。また、ドライブプーリ73は無端ベルト55の帰り側ベルトにテンションプーリ59とガイドプーリ60を介して掛けられる。
【0032】
ドライブプーリ73の駆動軸76の一端は軸受74aから突出し、その端部には第1の歯車77が取付けられている。この第1の歯車77の直上には第2の歯車78が設けられ、この第2の歯車78は、回転軸79及び回転軸79を回転自由に支持する軸受80を介して補助取付け板58aに取付けられている。なお、第2の歯車78の内側には、第1のスプロケット81が軸心を合わせて設けられている。
【0033】
軸受80は補助取付け材58aの内側にできる限り突出しないようになっていると共に、軸受80の水平方向後部には、減速モータ82が設けられている。この減速モータ82は補助取付け材58aに取付けられ、その出力軸には、第2のスプロット83が設けられている。第1、第2のスプロケット81、83は並べて配置され、無端チェーン84がかけ渡され、減速モータ82の回転により、第2の歯車78が回転し、第1の歯車77が回転するようになっている。
なお、平面視してドライブプーリ73の後側に減速モータ82を配置したが、ドライブプーリの前側に減速モータを配置してもよい。また、図4において、85、86はそれぞれ第2の歯車78、第1の歯車77を覆うカバーを示す。
【0034】
このベルト着脱式ベルトコンベア装置10を使用する場合には、1)ヘッドプーリ35及びテールプーリ50が組付けられ、前側繋ぎステー30、31及び後側繋ぎステー48、49でそれぞれ補強された前板材26、27及び後板材44、45を長尺板材11、12(以下、これらを「ヘッドプーリセット」、及び「テールプーリセット」という)から外し、2)送りベルト受け部材52を長尺板材11、12から外し、3)掛止錠75を外してドライブプーリ73を蝶番69を介して傾斜させた状態で、無端ベルト55をドライブプーリ73を中に入れた状態で、ガイドプーリ60、テンションプーリ59を通して、ベルト着脱式ベルトコンベア装置10の本体にあらかた装着する。
【0035】
この状態で、送りベルト受け部材52を無端ベルト55の中に入れて、送りベルト受け部材52を長尺板材11、12の上に取付ける。この状態で、ヘッドプーリセット、及びテールプーリセットを無端ベルト55の中に入れて、これらを長尺板材11、12の前後に前述のようにして取付ける。
そして、緩めた状態のテンションプーリ59を締め付けて、無端ベルト55を緊張状態でベルト着脱式ベルトコンベア装置10に装着する。
【0036】
無端ベルト55を取り外す場合には、以上と逆の動作を行って、無端ベルト55を取り外すことになる。
なお、この実施の形態に使用した無端ベルト55は内側中央に蛇行防止用の線状突起があり、ヘッドプーリ35、テールプーリ50、テンションプーリ59、ガイドプーリ60、送りベルト受け部材52の中央に、前記した線状突起が通過する溝がある。
【0037】
以上説明したように、本発明のベルト着脱式ベルトコンベア装置10は、脚14〜17を有し、ドライブプーリ73がヘッドプーリ35とテールプーリ50の中間位置(の下部)にあるセンタードライブのコンベアでありながら、無端ベルト55を工具なしで容易に架台フレーム(コンベア本体)18から着脱できると共に、ドライブプーリ73を持ち運びせずに洗浄ができるコンベアである。
なお、この実施の形態においては、ヘッドプーリ35、テールプーリ50の直径が35〜45mm程度であり、ドライブプーリ73の直径は80〜120mmであるが、本発明はこの数字に限定されない。
また、本発明は以上の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲での形状変更、機構変更を行う場合も、本発明は適用される。
【符号の説明】
【0038】
10:ベルト着脱式ベルトコンベア装置、11、12:長尺板材、13:連結板、14〜17:脚、18:架台フレーム、20、21:水平部材、22、23:連結ロッド、24:連結材、26、27:前板材、28:第1、第2の掛止溝、29:第1、第2の切欠き、30、31:前側繋ぎステー、32、33:丸孔、34:貫通孔、35:ヘッドプーリ、36:支持軸、37〜39、37a〜39a:ナット、40:第1、第2のピン、41:雌ねじ、42:第1、第2のノブ付き雄ねじ、42a:第3、第4のノブ付き雄ねじ、44、45:後板材、46:第3、第4の掛止溝、47:第3、第4の切欠き、48、49:後側繋ぎステー、49a〜49d:切欠き、50:テールプーリ、51、51a:板材、52:送りベルト受け部材、53、53a:側方突出部、54:皿ビス、54a、54b:開口、55:無端ベルト、56:折り曲げ部、58、58a:補助取付け材、59:テンションプーリ、60:ガイドプーリ、61:支持軸、62、62a:ベアリング、63:ローラ本体、64:支持軸、65:水平長孔、66:雌ねじ板、67:雄ねじ、69:蝶番、70:補助板材、71、71a:連結ロッド、72:対向補助板材、73:ドライブプーリ、74、74a:軸受、75:掛止錠、76:駆動軸、77:第1の歯車、78:第2の歯車、79:回転軸、80:軸受、81:第1のスプロケット、82:減速モータ、83:第2のスプロケット、84:無端チェーン、85、86:カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に平行配置された左右2本の長尺板材及びこれに連結される脚を備える架台フレームと、前記左右の長尺板材の前後にそれぞれ左右対となる前板材及び後板材を介して取付けられたヘッドプーリ及びテールプーリと、前記ヘッドプーリ及び前記テールプーリに掛け渡され上が送り側ベルト、下が帰り側ベルトとなる無端ベルトと、前記架台フレームの中間位置に設けられて、前記帰り側ベルトにテンションプーリ及びガイドプーリを介して掛けられるドライブプーリと、前記ドライブプーリの駆動軸の一端側に取付けられた第1の歯車に噛合し、減速モータによって回転駆動される第2の歯車と、前記送り側ベルトの直下に配置された送りベルト受け部材とを有するベルトコンベア装置において、
(1)前記左右対となる前板材は複数の前側繋ぎステーによって固定連結されると共に、前記左右対となる前板材の先側にそれぞれ設けられている貫通孔に前記ヘッドプーリの支持軸が装着固定され、
(2)前記左右対となる前板材の基側にはそれぞれ第1、第2の掛止溝が設けられて、前記左右の長尺板材にそれぞれ設けられている第1、第2のピンが前記第1、第2の掛止溝にそれぞれ嵌入し、前記左右対となる前板材の中間位置には、下向き開口の第1、第2の切欠きがそれぞれ設けられて、前記左右の長尺板材の前記第1、第2のピンより前側位置に螺合している第1、第2のノブ付き雄ねじが前記第1、第2の切欠きにそれぞれ嵌入可能となって、
(3)前記左右対となる後板材は複数の後側繋ぎステーによって固定連結されると共に、前記左右対となる後板材の先側にそれぞれ設けられている貫通孔に前記テールプーリの支持軸が装着固定され、
(4)前記左右対となる後板材の基側にはそれぞれ第3、第4の掛止溝が設けられて、前記左右の長尺板材にそれぞれ設けられている第3、第4のピンが前記第3、第4の掛止溝にそれぞれ嵌入し、前記左右対となる後板材の中間位置には、下向き開口の第3、第4の切欠きがそれぞれ設けられて、前記左右の長尺板材の前記第3、第4のピンより後側位置に螺合している第3、第4のノブ付き雄ねじが前記第3、第4の切欠きにそれぞれ嵌入可能となって、
(5)前記ドライブプーリの駆動軸の他端側は、前記長尺板材の一方の下部に設けられている補助取付け材に蝶番を介して回動可能に取付けられている補助板材に軸受を介して取付けられ、前記ドライブプーリ及び該ドライブプーリの駆動軸の一端側に取付けられている前記第1の歯車が、前記蝶番を介して回動し、前記第2の歯車に前記第1の歯車が下方から噛合することを特徴とするベルト着脱式ベルトコンベア装置。
【請求項2】
請求項1記載のベルト着脱式ベルトコンベア装置において、平面視して前記ドライブプーリの前側又は後側に前記減速モータが配置され、前記第2の歯車には軸心を合わせて第1のスプロケットが設けられ、前記減速モータの出力に取付けられている第2のスプロケットとは、無端チェーンによって連結されていることを特徴とするベルト着脱式ベルトコンベア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−225296(P2011−225296A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94278(P2010−94278)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(508093034)
【出願人】(508093045)株式会社エムテクノ (1)