説明

ベルト自動梱包装置及びその梱包方法

【課題】ベルトを帯ケースに自動的に梱包する際に、梱包状態のバラツキをなくすとともに、ベルトを帯ケースの中に2つに折りたたんで梱包する際には、ベルトを帯ケースの中にきれいに折り畳んで梱包することができるベルト自動梱包装置を提供することにある。
【解決手段】ベルト自動梱包装置1において、第1ベルト供給手段4としてのベルト掛け台4aとベルト受け渡し治具4bとは、帯ケース3の開口部3aと掛止部8との間にベルト2の中央部分2aが配置されるようにベルト2を供給し、ベルト引込装置7は、ベルト2の中央部分2aのベルト2における外面2cを掛止部8により掛止して帯ケース3の中に引き込むようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輪状のベルトを帯ケースの中に自動的に梱包するベルト自動梱包装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ベルト伝動機構等においてプーリ間に巻き掛けて使用されるベルトを出荷する際に、当該ベルトを帯ケースに梱包する作業が行われる。この梱包作業は、作業者が手作業で行うのが一般的であった。しかし、手作業であるとベルトの梱包状態に作業者によるバラツキが出たり、ある程度の時間梱包作業を続けると疲労・集中力の低下によりベルトの梱包状態にバラツキが出たりする場合がある。
【0003】
この点、梱包作業の自動化を図るべく特許文献1には、完成品のVベルト2を梱包用ケース3に自動的に梱包することができるVベルト梱包装置1が開示されている。このVベルト梱包装置1は、一対のシンクロベルト5がVベルト2の両側を挟持し、シンクロベルト5とVベルト2との間の摩擦力を利用してVベルト2を梱包用ケース3の中に押し込み梱包している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−32225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1に記載のVベルト梱包装置1を使用すれば、確かに、完成品のVベルト2を梱包用ケース3に自動的に梱包することができる。しかしながら、Vベルト2の形状が一様ではなくくせ(型)がついていた場合、一対のシンクロベルト5がVベルト2の両側を挟持して梱包用ケース3の中に押し込む際、Vベルト2の両側で摩擦力に差異が生じて、図13(a)に示すように梱包用ケース3に完全に入りきらないことがある。即ち、Vベルト2の梱包状態にバラツキが出ることがある。また、Vベルト梱包装置1を使用して長尺のVベルト2を梱包用ケース3の中に2つに折りたたんで梱包しようとした場合、図13(b)に示すようにVベルト2の折り曲げ部分2pを規制する手段がないためVベルト2を梱包用ケース3の中にきれいに折り畳んで梱包することができないことがある。
【0006】
そこで、本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ベルトを帯ケースに自動的に梱包する際に、梱包状態のバラツキをなくすとともに、ベルトを帯ケースの中に2つに折りたたんで梱包する際には、ベルトを帯ケースの中にきれいに折り畳んで梱包することができるベルト自動梱包装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための第1の発明は、輪状のベルトを帯ケースの中に自動梱包するベルト自動梱包装置であって、帯ケースの両端の開口部を拡張する拡張手段と、前記ベルトを掛止する掛止部を有し、当該掛止部に掛止された前記ベルトを前記帯ケースの中に挿入するベルト挿入手段と、を備え、前記ベルト挿入手段は、前記帯ケースの一方の開口部から延出された前記掛止部に前記ベルトを掛止して前記帯ケースの中に引き込む、又は、前記掛止部に前記ベルトを掛止して前記開口部を通して前記帯ケースの中に押し込んで挿入することを特徴としている。
【0008】
上記の構成によれば、拡張された帯ケースの開口部から延出された掛止部にベルトを掛止して帯ケースの中にベルトを引き込む、或いは、掛止部にベルトを掛止して拡張された開口部を通して帯ケースの中にベルトを押し込むことにより当該ベルトを帯ケースに梱包することができる。これによれば、ベルトを掛止した掛止部が帯ケースの中を通り要望の位置にくるまでベルトを確実に導くことができ、ベルトを帯ケースに梱包する際の梱包状態を均一にすることができる。
【0009】
また、ベルトの形状が一様ではなくくせ(型)がついていた場合、上記特許文献1に記載のVベルト梱包装置1では、一対のシンクロベルト5がVベルト2の両側を挟持して梱包用ケース3の中に押し込む際、Vベルト2の両側で摩擦力に差異が生じてVベルト2の梱包状態にバラツキが出ることがある(図13(a)参照)。これは、一対のシンクロベルト5がVベルト2を梱包用ケース3の中に押し込む際に、Vベルト2の両側(2箇所で接触)を利用することに起因すると考えられる。これに対して、本願のベルト自動梱包装置では、ベルト挿入手段の掛止部がベルトを掛止する際に接触箇所を1つにしていることにより、形状が一様ではなくくせ(型)がついたベルトであっても帯ケースに均一に梱包することができる。
【0010】
また、第2の発明は、第1の発明に係るベルト自動梱包装置において、前記ベルトを供給するベルト供給手段を更に備え、前記ベルト供給手段は、前記帯ケースの一方の開口部と前記掛止部との間に前記ベルトの中央部分が配置されるように前記ベルトを供給し、前記ベルト挿入手段は、前記ベルトの中央部分におけるベルトの外面を前記掛止部により掛止して前記帯ケースの中に挿入することを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、ベルト供給手段が、帯ケースの一方の開口部と掛止部との間にベルトの中央部分が配置されるようにベルトを供給する。そして、ベルト挿入手段が、ベルトの中央部分におけるベルトの外面を掛止部により掛止して帯ケースの中に挿入することによりベルトを帯ケースに梱包することができる。このため、輪状のベルトを中央部分で折り返した形状で帯ケースに均一に梱包することができる。たとえば、長尺のベルトを帯ケースの中に2つに折り畳んで梱包する際に、ベルトを帯ケースの中にきれいに折り畳んで梱包することができる。
【0012】
また、第3の発明は、第2の発明に係るベルト自動梱包装置において、前記ベルト供給手段は、2つの受渡用掛止部を備え、前記2つの受渡用掛止部を前記ベルトの内側に挿入し、前記2つの受渡用掛止部間の距離を拡げて伸張させた前記ベルトの中央部分を前記帯ケースの一方の開口部と前記掛止部との間に配置することを特徴としている。
【0013】
上記の構成によれば、2つの受渡用掛止部の間に掛けられたベルトを拡げて伸張させ、伸張したベルトの中央部分を帯ケースの一方の開口部と掛止部との間に配置することができる。これによれば、ベルトの中央部分を帯ケースの一方の開口部と掛止部との間に配置する際に、ベルトに弛みがなく伸張しているためベルトの中央部分を正確に位置決めすることができる。たとえば、長尺のベルトを帯ケースの中に2つに折り畳んで梱包する際に、ベルトを帯ケースの中により正確に折り畳んで梱包することができる。
【0014】
また、第4の発明は、第2の発明に係るベルト自動梱包装置において、前記ベルト供給手段は、前記掛止部に前記ベルトを掛けるように前記ベルトを供給し、前記ベルト挿入手段は、前記ベルトの内面を前記掛止部により掛止して前記帯ケースの中に挿入することを特徴としている。
【0015】
上記の構成によれば、ベルト供給手段が、ベルト挿入手段の掛止部にベルトを掛けるようにベルトを供給し、ベルト挿入手段が、掛止部によって輪状のベルトの内面を掛止して帯ケースの中に挿入することによりベルトを帯ケースに梱包することができる。このため、輪状のベルトの内面を掛止した掛止部が帯ケースの中を通り要望の位置にくるまでベルトを確実に引っ張ることができ、ベルトを帯ケースに梱包する際の梱包状態を均一にすることができる。
【0016】
また、第5の発明は、第1〜第4の発明の何れかに係るベルト自動梱包装置において、前記拡張手段は、前記帯ケースの上面及び下面の少なくとも1つの面を吸着する吸着パッドであることを特徴としている。
【0017】
上記の構成によれば、吸着パッドが帯ケースの上面及び下面の少なくとも1つの面に吸着して帯ケースの両端の開口部を上下に拡張することができる。これによれば、帯ケースの両端の開口部を確実に上下に拡張することができる。
【0018】
ここで、拡張手段の他の手段としては、帯ケースの内側に拡張手段を配して、帯ケースの内側から開口部を上下に拡張することも考えられるが、本願では掛止部が帯ケースの中を通る構成としているため、帯ケースの内側に配した拡張手段が掛止部が通る箇所を塞ぐことになり不都合となる場合がある。また、帯ケースの両サイドを押し込んで帯ケースを上下方向に拡張することも考えられるが、帯ケースの上面や下面が内側にへこんでしまい帯ケースの開口部が上下方向に拡張しない場合がある。これに対して、本願の吸着パッドを使用すれば確実に帯ケースを拡げることができる。
【0019】
また、第6の発明は、第1〜第5の発明の何れかに係るベルト自動梱包装置において、前記帯ケースに引き込まれる直前のベルトが幅方向にふくらむのを規制するベルト幅規制手段を更に備えたことを特徴としている。
【0020】
上記の構成によれば、帯ケースに引き込まれる直前のベルトの幅方向のふくらみを規制して、ベルトを帯ケースに収納しやすくすることができる。
【0021】
また、第7の発明は、第6の発明に係るベルト自動梱包装置において、前記ベルト幅規制手段は、一対の回転ローラであり、当該一対の回転ローラは、開口部が上下に拡張された前記帯ケースの前記開口部の幅よりも小さい間隔で配置されていることを特徴としている。
【0022】
上記の構成によれば、一対の回転ローラが、帯ケースに引き込まれる直前のベルトの幅方向のふくらみを、上下に拡張された帯ケースの開口部の幅よりも小さく規制して、ベルトを帯ケースにより収納しやすくすることができる。
【0023】
また、第8の発明は、輪状のベルトを帯ケースの中に自動梱包するベルト自動梱包方法であって、帯ケースの両端の開口部を拡張する拡張過程と、前記ベルトを掛止する掛止部を前記帯ケースの一方の開口部から延出させる延出過程と、前記帯ケースの一方の開口部と前記掛止部との間に前記ベルトの中央部分が配置されるように前記ベルトを供給するベルト供給過程と、前記ベルトの中央部分におけるベルトの外面を前記掛止部により掛止して前記帯ケースの中に引き込むベルト引込過程と、前記帯ケースの中に引き込まれて梱包された前記ベルトを押し出すベルト押出過程と、を含むことを特徴としている。
【0024】
上記の方法によれば、ベルトを掛止した掛止部が帯ケースの中を通り要望の位置にくるまでベルトを確実に導くことができ、ベルトを帯ケースに梱包する際の梱包状態を均一にすることができる。また、輪状のベルトを中央部分で折り返した形状で帯ケースに均一に梱包することができる。たとえば、長尺のベルトを帯ケースの中に2つに折り畳んで梱包する際に、ベルトを帯ケースの中にきれいに折り畳んで梱包することができる。
【発明の効果】
【0025】
ベルトを帯ケースに自動的に梱包する際に、梱包状態のバラツキをなくすとともに、ベルトを帯ケースの中に2つに折りたたんで梱包する際には、ベルトを帯ケースの中にきれいに折り畳んで梱包することができるベルト自動梱包装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】ベルト自動梱包装置の平面図である。
【図2】ベルト自動梱包装置の側面図である。
【図3】ベルト自動梱包装置の動作過程における拡張過程を説明した説明図である。
【図4】ベルト自動梱包装置の動作過程における延出過程を説明した説明図である。
【図5】ベルト自動梱包装置の動作過程におけるベルト供給過程を説明した第1説明図である。
【図6】ベルト自動梱包装置の動作過程におけるベルト供給過程を説明した第2説明図である。
【図7】ベルト自動梱包装置の動作過程におけるベルト引込過程を説明した第1説明図である。
【図8】ベルト自動梱包装置の動作過程におけるベルト引込過程を説明した第2説明図である。
【図9】ベルト自動梱包装置の動作過程におけるベルト押出過程を説明した説明図である。
【図10】ベルト自動梱包装置の動作過程における第2ベルト供給過程を説明した説明図である。
【図11】ベルト自動梱包装置の動作過程における第2ベルト引込過程を説明した説明図である。
【図12】変形例に係るベルト自動梱包装置の平面図である。
【図13】従来のVベルト梱包装置によるベルトの梱包状態を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(実施形態)
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。本実施形態に係るベルト自動梱包装置1は、輪状のベルト2・12を帯ケース3に自動的に梱包する装置である。先ず、図1及び図2を参照しつつ、ベルト自動梱包装置1の構成について説明し、次に、図3〜図11を参照しつつ、ベルト自動梱包装置1の動作過程を説明する。図1は、ベルト自動梱包装置1の平面図である。図2は、ベルト自動梱包装置1の側面図である。
【0028】
(ベルト自動梱包装置の構成)
図1及び図2に示すように、ベルト自動梱包装置1は、輪状のベルト2・12を帯ケース3に自動的に梱包する装置で、帯ケ−ス3の両端の開口部3a・3bを拡張する吸着パッド6a・6b(拡張手段)と、ベルト2・12を掛止する掛止部8を備えたベルト引込装置7(ベルト挿入手段)と、ベルト12より長尺のベルト2を位置P1に供給する第1ベルト供給手段4と、ベルト2より短尺のベルト12を位置P2に供給する第2ベルト供給手段5と、帯ケース3に梱包されたベルト2・12をかご13に入れる押出装置14と、一対の回転ローラ11a・11b(ベルト幅規制手段)とを備えている。なお、ベルト自動梱包装置1の各構成要素は、台1aの上にレイアウトされている。
【0029】
吸着パッド6a・6bは、図2及び図3に示すように、帯ケース3の上側に配置される吸着パッド6aと帯ケース3の下側に配置される吸着パッド6bから構成されている。吸着パッド6bは、台1aの中に配置されている。また、吸着パッド6aは、図では省略しているが帯ケース3の上方に配置されている。この2つの吸着パッド6a・6bがそれぞれ帯ケース3の上面3c及び下面3dを真空吸着して、帯ケース3の開口部3a・3bを上下方向に拡張する。これにより、ベルト2・12を帯ケース3に梱包し易くする。
【0030】
また、図2及び図9に示すように、帯ケース3の下面3dの下方にあたる台1aには、4つの支持台15が上下方向に移動可能に設けられている。この4つの支持台15が上方向に移動することにより帯ケース3の中に梱包されたベルト2・12を上方へ持ち上げることができる。なお、所定の位置に帯ケース3を重積させて、ここから帯ケース3を吸着パッド6aによって真空吸着して、4つの支持台15の上に搬送するようにしてもよい。
【0031】
ベルト引込装置7は、図2及び図3に示すように、レール9と、レール9上を摺動可能とされた摺動部材10aと、摺動部材10a上に配置され前方に突出した引込アーム10bと、引込アーム10bの前端に設けられた円柱状の掛止部8から構成されている。この掛止部8にベルト2・12を引掛けた後、摺動部材10aを後方に移動させることによりベルト2・12を帯ケース3の中に引き込むことができる。なお、掛止部8が円柱状をしているのは、ベルト2・12を帯ケース3の中に引き込む際、掛止部8と接触するベルト2・12に損傷を与えないためである。
【0032】
第1ベルト供給手段4は、ベルト掛け台4aとベルト受け渡し治具4bによって構成されている。ベルト掛け台4aは、図1に示すように、レール4cに沿って1本ずつ搬送されているベルト2を、フック4dに掛けた状態で保持するものである。ベルト受け渡し治具4bは、図1、図2及び図5に示すように、2本のアーム4e及びアーム4fの一方の端部を軸4jとし、アーム4e及びアーム4fの他方の端部にそれぞれベルト2を掛けるための受渡用掛止部4h・4iが設けられたうえで、軸4jに連結されたシリンダー付の支持アーム4gによって支持されている。そして、図示しないコントローラからの制御指令により支持アーム4gに設けられたシリンダーの拡縮運動によりアーム4e及びアーム4fの成す角度が変化して受渡用掛止部4hと受渡用掛止部4iとの間の距離が拡縮する。また、ベルト受け渡し治具4bは、支持アーム4gが回転及び平行移動することにより、受渡用掛止部4hと受渡用掛止部4iとを結んだ線が水平面に対して垂直の状態から水平の状態への90°の回転移動及び平行移動が可能となる。このベルト掛け台4aとベルト受け渡し治具4bからなる第1ベルト供給手段4によって、帯ケース3の開口部3aと掛止部8との間にベルト2の中央部分2aが配置されるようにベルト2を供給する(図1の位置P1参照)。
【0033】
第2ベルト供給手段5は、図2及び図10に示すように、レ−ル5aに沿って1本ずつ搬送されているベルト12を、フック5bに掛けた状態で移動して位置P2に供給するものである。第2ベルト供給手段5は、ベルト引込装置7の掛止部8にベルト12の内側を引っ掛けるようにベルト12を供給する。
【0034】
押出装置14は、図1及び図9に示すように、帯ケース3が4つの支持台15により持ち上げられた高さで台1aに設けられており、アーム14aが伸縮自在に備えられている。このアーム14aが伸びることにより、帯ケース3が4つの支持台15により持ち上げられた帯ケース3の側面に当接する。そして、アーム14aが更に伸びることにより帯ケース3に梱包された状態のベルト2・12をかご13の中へと押し出す。
【0035】
一対の回転ローラ11a・11bは、帯ケース3の開口部3aの手前に配置されており、その間隔は、開口部3a・3bが上下に拡張された帯ケース3の開口部3a・3bの幅よりも狭くなっている。この一対の回転ローラ11a・11bにより、帯ケース3に引き込まれる直前のベルト2・12が幅方向にふくらむのを規制する。また、回転ローラ11a・11bとベルト2・12が接触した際は、回転ローラ11a・11bが回転することによりスムーズにベルト2・12を帯ケース3の中に案内することができる。
【0036】
(ベルト自動梱包装置の動作)
次に、図3〜図11を参照しつつ、ベルト自動梱包装置1の動作過程を説明する。図3は、ベルト自動梱包装置1の動作過程における拡張過程を説明した説明図である。図4は、ベルト自動梱包装置1の動作過程における延出過程を説明した説明図である。図5は、ベルト自動梱包装置1の動作過程におけるベルト供給過程を説明した第1説明図である。図6は、ベルト自動梱包装置1の動作過程におけるベルト供給過程を説明した第2説明図である。図7は、ベルト自動梱包装置1の動作過程におけるベルト引込過程を説明した第1説明図である。図8は、ベルト自動梱包装置1の動作過程におけるベルト引込過程を説明した第2説明図である。図9は、ベルト自動梱包装置1の動作過程におけるベルト押出過程を説明した説明図である。図10は、ベルト自動梱包装置1の動作過程における第2ベルト供給過程を説明した説明図である。図11は、ベルト自動梱包装置1の動作過程における第2ベルト引込過程を説明した説明図である。
【0037】
先ず、図3(a)に示すように、吸着パッド6a・6bが、吸着パッド6aと吸着パッド6bとの間に供給された帯ケース3の上面3c及び下面3dを真空吸着して、帯ケース3の開口部3a・3bを上下方向に拡張する(図3(b)参照)(拡張過程)。
【0038】
次に、図4に示すように、引込アーム10bの前端に設けられた掛止部8が帯ケース3の開口部3bを通って開口部3aから完全に延出するようにレール9上の摺動部材10aを前方向Tに移動させる(延出過程)。
【0039】
次に、図5に示すように、ベルト掛け台4aは、レール4cに沿って1本ずつ搬送されているベルト2の一つを、フック4dに掛けた状態で保持する。そして、受渡用掛止部4hと受渡用掛止部4iとを結んだ線が水平面に対して垂直の状態に保たれたベルト受け渡し治具4bを、受渡用掛止部4hと受渡用掛止部4iとがフック4dに掛けられたベルト2の内側に入るように移動させる。次に、コントローラからの制御指令により支持アーム4gに設けられたシリンダーの拡張運動によりアーム4e及びアーム4fの成す角度が大きくなるようにして受渡用掛止部4hと受渡用掛止部4iとの間の距離を拡げる。すると、受渡用掛止部4hと受渡用掛止部4iとの間に掛けられたベルト2が伸張した状態になる。そして、支持アーム4gを回転及び平行移動させることにより、ベルト受け渡し治具4bを、受渡用掛止部4hと受渡用掛止部4iとを結んだ線が水平面に対して垂直の状態から水平の状態に回転させつつ平行移動させる。すると、図5に示すように、受渡用掛止部4hと受渡用掛止部4iとの間に掛けられたベルト2を、帯ケース3の開口部3aと掛止部8との間にベルト2の中央部分2aが配置される位置まで移動させることができる。次に、コントローラからの制御指令により支持アーム4gに設けられたシリンダーの縮小運動によりアーム4e及びアーム4fの成す角度が小さくなるようにして受渡用掛止部4hと受渡用掛止部4iとの間の距離を縮める。すると、図6に示すように、受渡用掛止部4hと受渡用掛止部4iとの間に掛けられたベルト2が弛み、ベルト2の中央部分2aが引込アーム10b上(位置P1)に載置される(ベルト供給過程)。なお、ベルト受け渡し治具4bは、ベルト2を位置P1に供給した後、当初の受渡用掛止部4hと受渡用掛止部4iとを結んだ線が水平面に対して垂直の状態に保たれた位置に戻る。
【0040】
次に、図6及び図7に示すように、引込アーム10b上(位置P1)に載置されたベルト2の中央部分2aにおけるベルト2の外面2cを掛止部8により掛止した状態でレール9上の摺動部材10aを後方向Bに移動させる(ベルト引込過程)。すると、ベルト2が一対の回転ローラ11a・11bと接触することにより、ベルト2は幅方向にふくらむのを規制されつつスムーズに帯ケース3の中に引き込まれていく。
【0041】
そして、図8に示すように、レール9上の摺動部材10aを所定の位置まで後方向Bに移動させると、ベルト2を帯ケース3の中にきれいに折り畳んだ状態で梱包することができる。
【0042】
最後に、帯ケース3の下面3dを4箇所で支持している支持台15が帯ケース3の中に梱包されたベルト2を上方へ持ち上げる。続いて、押出装置14に設けられたアーム14aが伸びることにより、帯ケース3の側面に当接する。そして、アーム14aが更に伸びることにより帯ケース3に梱包された状態のベルト2をかご13の中へと押し出す(ベルト押出過程)。これにより、帯ケース3に梱包されたベルト2がかご13の中に逐次格納されていく。
【0043】
次に、図10及び図11を参照して、ベルト自動梱包装置1を使用して、第2ベルト供給手段5から供給されるベルト12が帯ケース3に梱包される動作を説明する。なお、上記説明と同様の箇所は説明を省略する。
【0044】
先ず、拡張過程及び延出過程は、上記と同様の動作であるので説明を省略する。次に、図10に示すように、第2ベルト供給手段5、レ−ル5aに沿って1本ずつ搬送されているベルト12を、フック5bに掛けた状態で移動して位置P2に供給する。このとき、第2ベルト供給手段5は、ベルト引込装置7の掛止部8にベルト12の内面を引っ掛けるようにしてベルト12を供給する(第2ベルト供給過程)。
【0045】
次に、図11に示すように、ベルト12の内面を掛止部8により掛止した状態でレール9上の摺動部材10aを後方向Bに移動させる(第2ベルト引込過程)。すると、ベルト12が一対の回転ローラ11a・11bと接触することにより、ベルト12は幅方向にふくらむのを規制されつつスムーズに帯ケース3の中に引き込まれていく。
【0046】
そして、図11に示すように、レール9上の摺動部材10aを所定の位置まで後方向Bに移動させると、ベルト12を帯ケース3の中にきれいに楕円形状で梱包することができる。その後、上記と同様にベルト押出過程があり、帯ケース3に梱包されたベルト12がかご13の中に逐次入れられていく。
【0047】
このように本発明に係るベルト自動梱包装置1は、第1ベルト供給手段4及び第2ベルト供給手段5の2つのベルト供給手段を備えている。これは、ベルトの長短に合わせて選択的に帯ケース3への梱包の仕方を変えていることによるものである。具体的に言えば、ベルトの長さが帯ケース3の奥行きよりも比較的長く2つに折り畳んで収納したい場合、第1ベルト供給手段4から長尺のベルト2を供給して、長尺のベルト2を帯ケース3の中に2つに折り畳んで梱包している。また、ベルトの長さがベルト2よりも比較的短く帯ケース3にそのまま収納したい場合、第2ベルト供給手段5から短尺のベルト12を供給して、ベルト12を帯ケース3の中にそのまま楕円形状で梱包している。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係るベルト自動梱包装置1は、ベルト引込装置7は、吸着パッド6a・6bによって上下に拡張された帯ケース3の開口部3aから延出された掛止部8にベルト2・12を掛止して帯ケース3の中に引き込む構成としている。これによれば、ベルト2・12を掛止した掛止部8が帯ケース3の中を通り要望の位置にくるまでベルト2・12を確実に導くことができ、ベルト2・12を帯ケース3に梱包する際の梱包状態を均一にすることができる。また、ベルト自動梱包装置1では、ベルト引込装置7の掛止部8がベルト2・12を掛止する際に接触箇所を1つにしていることにより、形状が一様ではなくくせ(型)がついたベルト2・12であっても帯ケース3に均一に梱包することができる。
【0049】
また、ベルト自動梱包装置1は、第1ベルト供給手段4としてのベルト掛け台4aとベルト受け渡し治具4bとを備え、ベルト掛け台4aとベルト受け渡し治具4bとは、帯ケース3の開口部3aと掛止部8との間にベルト2の中央部分2aが配置されるようにベルト2を供給し、ベルト引込装置7は、ベルト2の中央部分2aのベルト2における外面2cを掛止部8により掛止して帯ケース3の中に引き込むことによりベルト2を帯ケース3に梱包する。これによれば、輪状のベルト2を中央部分2aで折り返した形状で帯ケース3に均一に梱包することができる。たとえば、長尺のベルト2を帯ケース3の中に2つに折り畳んで梱包する際に、ベルト2を帯ケース3の中にきれいに折り畳んで梱包することができる。
【0050】
更に、ベルト自動梱包装置1は、第1ベルト供給手段4としてのベルト受け渡し治具4bに2つの受渡用掛止部4h・4iを備え、この2つの受渡用掛止部4h・4iがベルト2の内側に入るようにベルト受け渡し治具4bを移動させて、2つの受渡用掛止部4h・4i間の距離を拡げて伸張させたベルト2の中央部分2aを帯ケース3の開口部3aと掛止部8との間に配置させている。これによれば、ベルト2の中央部分2aを帯ケース3の開口部3aと掛止部8との間に配置する際に、ベルト2に弛みがなく伸張しているためベルト2の中央部分2aを正確に位置決めすることができる。たとえば、長尺のベルト2を帯ケース3の中に2つに折り畳んで梱包する際に、ベルト2を帯ケース3の中により正確に折り畳んで梱包することができる。
【0051】
また、ベルト自動梱包装置1は、第2ベルト供給手段5を備え、第2ベルト供給手段5は、掛止部8にベルト12を掛けるようにベルト12を供給し、ベルト引込装置7が、掛止部8によって輪状のベルト12の内面を掛止して帯ケース3の中に引き込むことによりベルト12を帯ケース3に梱包する。これによれば、輪状のベルト12の内面を掛止した掛止部8が帯ケース3の中を通り要望の位置にくるまでベルト12を確実に引っ張ることができ、ベルト12を帯ケース3に梱包する際の梱包状態を均一にすることができる。
【0052】
また、ベルト自動梱包装置1は、帯ケース3の上面3c及び下面3dを吸着する吸着パッド6a・6bを備えている。これによれば、吸着パッド6a・6bが帯ケース3の上面3c及び下面3dに吸着して帯ケース3の両端の開口部3a・3bを上下に拡張することができる。
【0053】
ここで、拡張手段の他の手段としては、帯ケース3の内側に拡張手段を配して、帯ケース3の内側から開口部3a・3bを上下に拡張することも考えられるが、本実施形態では掛止部8が帯ケース3の中を通る構成としているため、帯ケース3の内側に配した拡張手段が掛止部8が通る箇所を塞ぐことになり不都合となる場合がある。また、帯ケース3の両サイドを押し込んで帯ケース3を上下方向に拡張することも考えられるが、帯ケース3の上面3cや下面3dが内側にへこんでしまい帯ケース3の開口部3a・3bが上下方向に拡張しない場合がある。これに対して、本実施形態のように吸着パッド6a・6bを使用すれば確実に帯ケース3を拡げることができる。
【0054】
また、ベルト自動梱包装置1は、一対の回転ローラ11a・11bを備え、当該一対の回転ローラ11a・11bは、開口部3a・3bが上下に拡張された帯ケース3の開口部3a・3bの幅よりも小さい間隔で配置されていることを特徴としている。これによれば、一対の回転ローラ11a・11bが、帯ケース3に引き込まれる直前のベルト2・12の幅方向のふくらみを、上下に拡張された帯ケース3の開口部3a・3bの幅よりも小さく規制して、ベルト2・12を帯ケース3により収納しやすくすることができる。
【0055】
また、上記説明では、ベルト自動梱包装置1を使用して輪状のベルト2・12を帯ケース3の中に自動梱包する方法として、拡張過程と、延出過程と、ベルト供給過程と、ベルト引込過程と、ベルト押出過程とを含む方法としている。これによれば、ベルト2・12を掛止した掛止部8が帯ケース3の中を通り要望の位置にくるまでベルト2・12を確実に導くことができ、ベルト2・12を帯ケース3に梱包する際の梱包状態を均一にすることができる。また、輪状のベルト2を中央部分2aで折り返した形状で帯ケース3に均一に梱包することができる。たとえば、長尺のベルト2を帯ケース3の中に2つに折り畳んで梱包する際に、ベルト2を帯ケース3の中にきれいに折り畳んで梱包することができる。
【0056】
従来、手作業でベルト2・12を帯ケース3に梱包する場合、作業者1人で、1時間あたり200本程度であったが、本実施形態にかかるベルト自動梱包装置1を使用すれば、1時間あたり500本以上となり大幅に処理能力が向上した。また、手作業に比して梱包状態も安定している。
【0057】
(変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。
【0058】
例えば、上記実施形態において、ベルト幅規制手段は、一対の回転ローラ11a・11bであるが、これに限らず、回転しない一対のポールや、帯ケース3の開口部3aから外に向かってハの字型に形成された板などでもよい。
【0059】
また、上記実施形態におけるベルト自動梱包装置1では、ベルト挿入手段としてベルト引込装置7を用いて、帯ケース3の開口部3aから延出された掛止部8にベルト2・12を掛止して帯ケース3の中に引き込む構成としている。しかし、これに限らず、図12に示すように、ベルト挿入手段としてベルト押込装置27を用いて、掛止部8にベルト2・12を掛止して前方向Tにベルト押込装置27を移動させることにより、ベルト2・12を開口部3aを通して帯ケース3の中に押し込む構成としてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 ベルト自動梱包装置
2・12 ベルト
2a ベルトの中央部分
2c ベルトの中央部分における外面
3 帯ケース
3a・3b 開口部
4 第1ベルト供給手段
4a ベルト掛け台
4b ベルト受け渡し治具
5 第2ベルト供給手段
6a・6b 吸着パッド
7 ベルト引込装置
8 掛止部
11a・11b 回転ローラ
14 押出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輪状のベルトを帯ケースの中に自動梱包するベルト自動梱包装置であって、
帯ケースの両端の開口部を拡張する拡張手段と、
前記ベルトを掛止する掛止部を有し、当該掛止部に掛止された前記ベルトを前記帯ケースの中に挿入するベルト挿入手段と、
を備え、
前記ベルト挿入手段は、前記帯ケースの一方の開口部から延出された前記掛止部に前記ベルトを掛止して前記帯ケースの中に引き込む、又は、前記掛止部に前記ベルトを掛止して前記開口部を通して前記帯ケースの中に押し込んで挿入することを特徴とするベルト自動梱包装置。
【請求項2】
前記ベルトを供給するベルト供給手段を更に備え、
前記ベルト供給手段は、前記帯ケースの一方の開口部と前記掛止部との間に前記ベルトの中央部分が配置されるように前記ベルトを供給し、
前記ベルト挿入手段は、前記ベルトの中央部分におけるベルトの外面を前記掛止部により掛止して前記帯ケースの中に挿入することを特徴とする請求項1に記載のベルト自動梱包装置。
【請求項3】
前記ベルト供給手段は、2つの受渡用掛止部を備え、
前記2つの受渡用掛止部を前記ベルトの内側に挿入し、前記2つの受渡用掛止部間の距離を拡げて伸張させた前記ベルトの中央部分を前記帯ケースの一方の開口部と前記掛止部との間に配置することを特徴とする請求項2に記載のベルト自動梱包装置。
【請求項4】
前記ベルト供給手段は、前記掛止部に前記ベルトを掛けるように前記ベルトを供給し、
前記ベルト挿入手段は、前記ベルトの内面を前記掛止部により掛止して前記帯ケースの中に挿入することを特徴とする請求項2に記載のベルト自動梱包装置。
【請求項5】
前記拡張手段は、前記帯ケースの上面及び下面の少なくとも1つの面を吸着する吸着パッドであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のベルト自動梱包装置。
【請求項6】
前記帯ケースに引き込まれる直前のベルトが幅方向にふくらむのを規制するベルト幅規制手段を更に備えたことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のベルト自動梱包装置。
【請求項7】
前記ベルト幅規制手段は、一対の回転ローラであり、
当該一対の回転ローラは、開口部が上下に拡張された前記帯ケースの前記開口部の幅よりも小さい間隔で配置されていることを特徴とする請求項6に記載のベルト自動梱包装置。
【請求項8】
輪状のベルトを帯ケースの中に自動梱包するベルト自動梱包方法であって、
帯ケースの両端の開口部を拡張する拡張過程と、
前記ベルトを掛止する掛止部を前記帯ケースの一方の開口部から延出させる延出過程と、
前記帯ケースの一方の開口部と前記掛止部との間に前記ベルトの中央部分が配置されるように前記ベルトを供給するベルト供給過程と、
前記ベルトの中央部分におけるベルトの外面を前記掛止部により掛止して前記帯ケースの中に引き込むベルト引込過程と、
前記帯ケースの中に引き込まれて梱包された前記ベルトを押し出すベルト押出過程と、
を含むことを特徴とするベルト自動梱包方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図6】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−189944(P2011−189944A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55952(P2010−55952)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000006068)三ツ星ベルト株式会社 (730)
【Fターム(参考)】