ベルト蛇行検知装置、このベルト蛇行検知装置を備えたベルトユニット、及びこのベルトユニットを備えた画像形成装置
【課題】ベルトの幅方向の片側だけに配置されて、ベルトの蛇行方向及び蛇行量を検知でき、小型化・低コスト化を図ることができるベルト蛇行検知装置を提供する。
【解決手段】中間転写ベルト14の幅方向の片側にのみ2個の検知手段(第1検知手段55及び第2検知手段56)を配置してある。そして、この2個の検知手段(第1検知手段55及び第2検知手段56)は、中間転写ベルト14の蛇行を、蛇行許容範囲内(a−1,a−2)の蛇行、蛇行許容範囲を越えて右側へ蛇行した蛇行状態(b−1)、この(b−1)の蛇行を越えて更に右側へ蛇行した蛇行状態(c−1)、蛇行許容範囲を越えて左側へ蛇行した蛇行状態(b−2)、この(b−2)の蛇行を越えて更に左側へ蛇行した蛇行状態(c−2)の5段階に検知できる。
【解決手段】中間転写ベルト14の幅方向の片側にのみ2個の検知手段(第1検知手段55及び第2検知手段56)を配置してある。そして、この2個の検知手段(第1検知手段55及び第2検知手段56)は、中間転写ベルト14の蛇行を、蛇行許容範囲内(a−1,a−2)の蛇行、蛇行許容範囲を越えて右側へ蛇行した蛇行状態(b−1)、この(b−1)の蛇行を越えて更に右側へ蛇行した蛇行状態(c−1)、蛇行許容範囲を越えて左側へ蛇行した蛇行状態(b−2)、この(b−2)の蛇行を越えて更に左側へ蛇行した蛇行状態(c−2)の5段階に検知できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端状のベルトの蛇行方向及び蛇行量を検出することが可能なベルト蛇行検知装置、このベルト蛇行検知装置を備えたベルトユニット、及びこのベルトユニットを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリンタ,複写機,ファクシミリ装置等の画像形成装置において、シート(コピー用紙,プラスチックフィルム,封筒等)をシート搬送方向に沿って搬送するために、複数のローラに掛け渡した無端状のベルトを回動させ、そのベルトでシートを搬送するようにしたものが知られている。
【0003】
このようなシート搬送手段としてベルトを使用するベルトユニットは、シートを円滑且つ確実に搬送するため、ベルトの蛇行を検知し、ベルトの蛇行を適正に矯正する必要がある。そのため、図11に示すように、従来のベルトユニット101は、ベルト102の幅方向(回動方向に対して直交する方向)の右側に、ベルト102の幅方向に沿って所定間隔だけ離れて位置する2個のセンサ103Ra,103Rbからなる右側センサユニット(ベルト蛇行検知装置)103Rを設置すると共に、ベルト102の幅方向の左側に、ベルト102の幅方向に沿って所定間隔だけ離れて位置する2個のセンサ103La,103Lbからなる左側センサユニット(ベルト蛇行検知装置)103Lを配置し、ベルト102の幅方向一方側又は他方側への蛇行量を2段階に(寄り正常範囲と寄り異常範囲として)検知するようになっている。そして、図11に示すベルトユニット101は、その一対のセンサユニット103R,103Lの検知結果に応じて、ベルト102が掛け渡されるローラ104,105の一方のアライメント(ローラ軸の角度)を調整し、ベルト102の蛇行を矯正するようになっている。
【0004】
すなわち、図11に示すベルトユニット101は、ベルト102が図中右側に蛇行し、右側センサユニット103Rの内側(図中左側)のセンサ103Raがベルト102の端部を検知した場合、ベルト102が第1段階の寄り異常範囲に達したと制御手段(図示せず)で判断し、その制御手段によってローラ104,105の一方の第1段階のアライメント調整が行われる。この第1段階のアライメント調整が行われても、なおベルト102が図11中右側方向へ移動し、右側センサユニット103Rの外側(図中右側)のセンサ103Rbがベルト102の端部を検知した場合、ベルト102が第2段階の寄り異常範囲に達したと制御手段で判断し、その制御手段によってローラ104,105の一方の第2段階のアライメント調整(第1段階のアライメント調整時よりもローラ軸の角度を大きく傾けるような調整)が行われる。そして、この第2段階のアライメント調整が行われた後、所定時間経過してもセンサ103Rbがベルト102を検知している場合には、ベルト102の破損防止のために、制御手段がベルトユニット101の作動を停止させるようになっている。
【0005】
また、図11に示すベルトユニット101は、ベルト102が図中左側方向への寄り異常を生じた場合、左側センサユニット103Lが右側センサユニット103Rと同様にベルト102を検知し、図示しない制御手段によって作動が制御されるようになっている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−33227号公報(特に、段落番号0097〜0104、図9参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図11に示したベルトユニット101は、ベルト102の幅方向の両側にそれぞれセンサユニット103R,103Lを設置し、ベルト102の蛇行量を合計4個のセンサ103Ra,103Rb,103La,103Lbで検知するようになっているため、センサユニット103R,103Lの設置スペースをベルト102の幅方向の両側に設ける必要があり、センサユニット103R,103Lの構成が小型化・低コスト化を図る上での障害になっていた。
【0008】
そこで、本発明は、ベルトの幅方向の片側だけに配置されて、ベルトの蛇行方向及び蛇行量を検知できるベルト蛇行検知装置を提供する。また、本発明は、このベルト蛇行検知装置を備えることによって、小型化・低コスト化を図ることができるベルトユニット及び画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、複数のローラに巻き掛けられて回動させられる無端状のベルトの蛇行量を検知するベルト蛇行検知装置に関するものである。この発明において、前記ベルトの幅方向の一端部側には、第1検知手段と第2検知手段とが配置されている。また、この発明のベルト蛇行検知装置は、(1)前記ベルトの前記幅方向の一端部が蛇行許容範囲内にある場合に、前記第1検知手段と前記第2検知手段が共に前記ベルトを検知し、(2)前記ベルトの前記幅方向の一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の一方側へ蛇行すると、前記幅方向にずれて位置する前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか一方が前記ベルトを検知し、前記幅方向にずれて位置する前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか他方が前記ベルトを検知せず、(3)前記ベルトの前記幅方向の一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の一方側へ所定寸法だけ蛇行すると、前記第1検知手段と前記第2検知手段が共に前記ベルトを検知せず、(4)前記ベルトの前記幅方向の一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の他方側へ蛇行すると、前記幅方向にずれて位置する前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか他方が前記ベルトを検知し、前記幅方向にずれて位置する前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか一方が前記ベルトを検知せず、(5)前記ベルトの前記幅方向の一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の他方側へ所定寸法だけ蛇行すると、前記第1検知手段と前記第2検知手段が共に前記ベルトを検知しないようになっている。そして、前記第1検知手段と前記第2検知手段とによって、前記ベルトの蛇行量を前記(1)〜(5)の5段階に検知するようになっている。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係るベルト蛇行検知装置において、前記ベルトの前記一端部で且つ前記ローラから離れた位置には、支軸を揺動中心として揺動可能に支持されたアームがばねで付勢されて当接するようになっている。また、前記アームの長手方向には、前記支軸寄りの箇所に前記第1検知手段を配置すると共に、この第1検知手段よりも前記支軸から離れた箇所に前記第2検知手段を配置してある。また、前記ベルトの前記一端部が前記蛇行許容範囲を越えて前記幅方向の一方側へ蛇行する場合に対し、前記ベルトの前記一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の他方側へ蛇行する場合には、前記アームの揺動方向が逆になるように構成されている。また、前記ベルトの前記一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の他方側へ所定寸法だけ蛇行すると、前記アームの揺動をストッパによって阻止するようになっている。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1の発明に係るベルト蛇行検知装置において、前記ベルトの前記幅方向の一端部側で且つ前記ベルトの外周面には、一定幅(X)の光反射材が全周にわたって配置されて光反射領域を区画形成してある。また、前記第1検知手段と前記第2検知手段は、発光部と受光部を共に有する光学式センサであり、前記ベルトの前記幅方向に沿って、前記一定幅(X)よりも小さな寸法(Y)だけ離して配置されている。そして、前記ベルトの前記一端部が前記蛇行許容範囲内にある場合に、前記第1検知手段と前記第2検知手段が、共に前記光反射領域からの反射光を受光できるようになっている。また、前記ベルトの前記一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の一方側又は他方側へ蛇行すると、前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか一方が前記光反射領域から反射光を検知でき、前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか他方が前記光反射領域からの反射光を検知できないようになっている。また、前記ベルトの前記一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の一方側又は他方側へ所定寸法だけ蛇行すると、前記第1検知手段と前記第2検知手段が共に前記光反射領域からの反射光を検知できないようになっている。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1の発明に係るベルト蛇行検知装置において、前記ベルトの前記幅方向の一端部側で且つ前記ベルトの外周面には、一定幅(X)の着磁領域が全周にわたって配置されている。また、前記第1検知手段と前記第2検知手段は、磁気センサであり、前記ベルトの前記幅方向に沿って、前記一定幅(X)よりも小さな寸法(Y)だけ離して配置されている。そして、前記ベルトの前記一端部が前記蛇行許容範囲内にある場合に、前記第1検知手段と前記第2検知手段が、共に前記着磁領域を検知できる。また、前記ベルトの前記一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の一方側又は他方側へ蛇行すると、前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか一方が前記着磁領域を検知でき、前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか他方が前記着磁領域を検知できないようになっている。また、前記ベルトの前記一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の一方側又は他方側へ所定寸法だけ蛇行すると、前記第1検知手段と前記第2検知手段が共に前記着磁領域を検知できないようになっている。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかの発明に係るベルト蛇行検知装置を備えたベルトユニットに関するものである。すなわち、本発明のベルトユニットは、複数のローラと、この複数のローラに巻き掛けられる無端状のベルトと、前記複数のローラを介して前記ベルトを回動させるベルト駆動手段と、前記請求項1乃至4のいずれかの発明に係るベルト蛇行検知装置と、前記ベルト蛇行検知装置の検知結果に基づいて前記ベルト駆動手段を作動制御する制御手段と、を備えている。
【0014】
請求項6の発明は、請求項5の発明に係るベルトユニットを備えた画像形成装置に関するものである。すなわち、本発明の画像形成装置は、請求項5の発明に係るベルトユニットと、このベルトユニットによって搬送されるシートに画像を形成する画像形成部と、を備えている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ベルトの幅方向の片側にのみ2個の検知手段(第1検知手段及び第2検知手段)を配置して、ベルトの蛇行を5段階に検知し、ベルトの蛇行方向及び蛇行量を検知できるため、ベルト蛇行検知装置,これを備えたベルトユニット及び画像形成装置の小型化・低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例を説明するための模式的構造図であり、画像形成装置の内部構成を正面側(画像形成装置の使用時にユーザが位置する側)から見て示す模式的構造図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の中間転写ユニットに取り付けられたベルト蛇行補正機構を模式的に示す図であり、中間転写ユニットを図1のA方向から見て示す図である。
【図3】ベルト蛇行検知装置が設置された中間転写ユニットを斜め下方から見て模式的に示す斜視図である。
【図4】図3の中間転写ユニットのうちのベルト蛇行検知装置が設置された部分を拡大して示す斜視図である。
【図5】図4において中間転写ベルトを省略して示す斜視図である。
【図6】ベルト蛇行検知装置を拡大して示す斜視図である。
【図7】ベルト蛇行検知装置の第1例を示す図であり、中間転写ベルトの位置とベルト蛇行検知装置の作動状態との関係を示す図である。
【図8】ベルト蛇行検知装置の第1例を示す図であり、中間転写ベルトの位置とベルト蛇行検知装置の第1検知手段及び第2検知手段との関係を模式的に示す平面図である。
【図9】ベルト蛇行検知装置の第2例を示す図であり、中間転写ベルトの位置とベルト蛇行検知装置の第1検知手段及び第2検知手段との関係を模式的に示す平面図である。
【図10】本発明に係るベルト蛇行検知装置を備えた中間転写ユニットの制御ブロック図である。
【図11】従来のベルトユニットを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づき詳述する。
【0018】
(画像形成装置)
図1は、本発明に係る画像形成装置1の一例を説明するための模式的構造図である。この図1に示す画像形成装置1は、電子写真方式の4色フルカラーのプリンタであり、タンデム方式、中間転写方式を採用している。そして、この画像形成装置1は、画像形成装置本体2内に、シート給紙部3と、画像形成部4と、定着部5と、シート再給紙部6とが設けられている。
【0019】
シート給紙部3には、複数の給紙カセット7と、各給紙カセット7に対応して配設されたピックアップローラ8と、給送ローラ10と、リタードローラ11と、レジストローラ対12とが配設されている。各給紙カセット7内には、複数枚のシートPが積層状態で収納されている。給紙カセット7内のシートPは、ピックアップローラ8により給紙カセット7内から送り出された後、給送ローラ10及びリタードローラ11によって重送が防止されて、一枚だけシート搬送路13へ送り出される。シート搬送路13に送り出されたシートPは、停止中のレジストローラ対12のニップに先端部が当接させられ、斜行が矯正されるとともに一時停止される。その後、一時停止されたシートPは、中間転写ベルト(ベルト)14上のトナー像が中間転写ベルト14の矢印R14方向の回転に伴って2次転写部T2に搬送されるのと同期して2次転写部T2に位置するように、レジストローラ対12の回転によって2次転写部T2へ向けて供給される。なお、シート搬送路13には図示しない搬送コロが配置され、その搬送コロがシートPをシート搬送路13に沿って搬送する。
【0020】
画像形成部4には、4個の画像形成ステーション16M,16C,16Y,16BKと、中間転写ユニット(ベルトユニット)15とが配設されている。4個の画像形成ステーション16M,16C,16Y,16BKは、中間転写ベルト14の回転方向上流側から、マゼンタ(M)の画像形成ステーション16M,シアン(C)の画像形成ステーション16C,イエロー(Y)の画像形成ステーション16Y,ブラック(BK)の画像形成ステーション16BKの順に配設されている。これら4色の各画像形成ステーション16M,16C,16Y,16BKは、使用する現像剤を除き、同様に構成されている。マゼンタの画像形成ステーション16Mを例に説明すると、感光ドラム(像担持体)17と、帯電器18と、露光装置20と、現像装置21と、クリーニング装置22とを有している。一方、中間転写ユニット15は、転写フレーム23と、この転写フレーム23によって回転可能に支持された複数のローラ(すなわち、駆動ローラ24,従動ローラ25,1次転写ローラ26,2次転写対向ローラ27,複数のテンションローラ等)と、これらローラに張架された(テンションをかけた状態で巻き掛けられた)無端状の中間転写ベルト14とを備えている。中間転写ベルト14は、駆動ローラ24の矢印方向(図1中の時計回り)の回転により、矢印R14方向に回転する。また、中間転写ユニット15の全体は、画像形成装置本体2の正面側(図1の紙面に垂直な方向)から画像形成装置本体2に対して着脱できるように構成されている。
【0021】
マゼンタの画像形成ステーション16Mにおいて、感光ドラム17は、駆動手段(不図示)によって所定のプロセススピード(周速度)で矢印方向(図1中の反時計回り)に回転駆動され、その表面(外周面)が帯電器18によって所定の極性・電位に一様に帯電される。帯電後の感光ドラム17の表面は、露光装置20によって画像情報に応じた露光がなされ、露光部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置21によってマゼンタのトナーが付着されてマゼンタのトナー像として現像される。マゼンタのトナー像は、1次転写ローラ26によって1次転写部T1において中間転写ベルト14上に転写される。トナー像転写後の感光ドラム17は、表面に残った転写残トナーがクリーニング装置22によって除去されて次の画像形成に供される。
【0022】
同様にして、シアン,イエロー,ブラックの画像形成ステーション16C,16Y,16BKの一次転写部において、各感光ドラム17上にそれぞれ形成されたシアン,イエロー,ブラックのトナー像は、1次転写ローラ26によって中間転写ベルト14上のマゼンタのトナー像に順次に重ね合わされるようにして1次転写される。こうして中間転写ベルト14上で重ね合わされた4色のトナー像は、中間転写ベルト14の回転によって2次転写部T2に搬送される。これと並行して、レジストローラ12対が回転することでシートPが2次転写部T2に供給される。中間転写ベルト14上の4色のトナー像は、2次転写ローラ28によってシートP上に一括で2次転写される。2次転写後の中間転写ベルト14は、ベルトクリーナ30によって表面に残った転写残トナーが除去される。一方、トナー像転写後のシートPは、搬送ベルト31によって定着部5に搬送される。
【0023】
定着部5には、定着ローラ32と、これに圧接されて定着ニップ部Nを構成する加圧ローラ33とを有する定着装置34が配設されている。定着装置34に搬送されたシートPは、定着ニップ部Nを通過する際に、加熱・加圧されて、表面にトナー像が定着される。トナー像定着後のシートPは、排紙ローラ対35によって排紙トレイ36上に排出される。これにより、1枚のシートPの片面に対する4色フルカラーの画像形成が終了する。
【0024】
なお、片面が印刷済みのシートPの裏面(未印刷面)にも画像形成を行う場合、シート再給紙部6に配設されたフラッパ37,38、反転パス40等によって表裏反転されたシートPは、再給紙パス41等を介して、再度、画像形成部4に供給され、上述と同様にして、裏面(未印刷面)にトナー像が転写され、定着された後、排紙トレイ36上に排出される。
【0025】
(ベルト蛇行補正機構)
図2は、画像形成装置の中間転写ユニット15に取り付けられたベルト蛇行補正機構42を模式的に示す図であり、中間転写ユニット15を図1のA方向から見て示す図である。
【0026】
この図2に示すように、ベルト蛇行補正機構42は、中間転写ユニット15を構成する従動ローラ25のローラ軸43の一端側で、且つ、中間転写ベルト14の幅方向端部から外方へ突出するローラ軸43の一端部に接続されている。そして、このベルト蛇行補正機構42は、中間転写ユニット15の転写フレーム23に支持された従動ローラ25を制御コントローラ44からの制御信号に基づいて揺動させ、従動ローラ25のアライメント調整を行うことができるようになっており、ローラ軸43の他端側を揺動支点43aとして、従動ローラ25を2δの角度だけ揺動させることができる。
【0027】
このベルト蛇行補正機構42は、制御コントローラ44からの制御信号に基づいて微小角度ずつ回転することが可能なステッピングモータ等のモータ45と、このモータ45の回転に基づいてローラ軸43を揺動させる動力伝達機構部46と、を備えている。そして、動力伝達機構部46は、モータ45によって回動させられるカム(図示せず)、カムによって揺動させられるレバー(図示せず)、モータ45によって回動させられるギヤトレイン(図示せず)等を適宜選択して組み合わせることによって構成され、従動ローラ25を微小角度づつ高精度に揺動させることができるようになっている。
【0028】
ここで、従動ローラ25は、ローラ本体25aの外表面に中間転写ベルト14が張架されており(所望の張力が作用する状態で巻き掛けられており)、ローラ本体25aが中間転写ベルト14の幅方向の両側に出っ張るような軸方向長さに形成されている。そして、従動ローラ25は、ローラ軸43の他端側が軸受48を介して中間転写ユニット15の転写フレーム23に支持されており、軸受48のローラ軸支持点を揺動支点43aとして、反時計回り方向又は時計回り方向へ揺動させられる。なお、従動ローラ25のローラ本体25aは、中間転写ベルト14が許容される蛇行量だけ蛇行したとしても、中間転写ベルト14の幅方向外方側へ出っ張るだけの軸方向長さに形成されており、中間転写ベルト14の内周面側を確実に支持することができるようになっている。
【0029】
(ベルト蛇行検知装置の第1例)
図3乃至図6は、画像形成装置1の中間転写ユニット15に取り付けられたベルト蛇行検知装置50の第1例を示すものである。
【0030】
これらの図3乃至図6に示すように、ベルト蛇行検知装置50は、中間転写ベルト14の幅方向の一端部側で且つ中間転写ベルト14が掛け渡された従動ローラ25から離間した位置であって、従動ローラ25よりも中間転写ベルト14の回動方向R14に沿った上流側の位置に配置されている。このベルト蛇行検知装置50は、転写フレーム23に図示しないねじで固定される支持板51と、この支持板51の一対の軸支持部52,52に両端が回動可能に支持された支軸53と、支持板51に支軸53で揺動可能に支持されたアーム54と、このアーム54の長手方向に所定寸法だけ離して配置した一対の検知手段(第1検知手段55と第2検知手段56)とを有している。
【0031】
アーム54は、支軸53から中間転写ベルト14の回動方向(矢印R14で示す方向)へ向かうように延びており、中間転写ベルト14のうち、従動ローラ25とテンションローラ57との間を平板状に移動する中間転写ベルト14の一部14Aの表面とほぼ同一の平面内において揺動するようになっている。そして、このアーム54のうちの中間転写ベルト14の一端部側の端面14bに対向する側面54aで且つ支軸53寄りの側面54aには、ベルト当接片58が中間転写ベルト14の一端部側へ向けて突出するように位置している。なお、ベルト当接片58は、アーム54の一部を構成しており、アーム54の側面54aに一体形成されるか、又はアーム54の側面54aに固定されている。
【0032】
そして、このアーム54は、ばね60によって中間転写ベルト14の一端部側へ向けて付勢され、ベルト当接片58の先端58aが中間転写ベルト14の一端部の端面14bに当接し、中間転写ベルト14の蛇行に伴って揺動できるようになっている。ここで、アーム54は、図7(a−1)〜(c−1)に示すように、中間転写ベルト14の一端部の端面14bが基準位置(図8(a−1)の二点鎖線で示す位置であって、初期セット位置)から幅方向の一方側(図8(a−1)の右側)に蛇行する場合、中間転写ベルト14が図示しない蛇行ストッパ壁に当接して、中間転写ベルト14の蛇行が阻止されるまで、中間転写ベルト14の蛇行に伴って矢印R1で示す方向(図7における反時計回り方向)へ回動できるようになっている。一方、アーム54は、図7(a−2)〜(c−2)に示すように、中間転写ベルト14の一端部の端面14bが基準位置(図8(a−2)の二点鎖線で示す位置であって、初期セット位置)から幅方向の他方側へ(図8(a−2)の左側)に蛇行する場合、転写フレーム23から延びる支持フレーム(図示せず)に固定されたストッパ61に当接するまで、矢印R2で示す方向(図7における時計回り方向)へばね60で付勢されて回動することができるようになっている(図6参照)。なお、図7の(a−1)〜(c−1)は、図8の(a−1)〜(c−1)にそれぞれ対応している。また、図7の(a−2)〜(c−2)は、図8(a−2)〜(c−2)にそれぞれ対応している。
【0033】
また、図4乃至図7に示したように、中間転写ベルト14の一端部の端面14bに対向するアーム54の側面54aには、支軸53からアーム54の先端に向かって、ベルト当接片58,第1検知手段55,第2検知手段56の順に、ベルト当接片58,第1検知手段55,第2検知手段56が間隔をあけて設置されている。
【0034】
第1検知手段55及び第2検知手段56は、図4乃至図6に示すように、共に発光部62と受光部63とが中間転写ベルト14の表裏方向(厚さ方向)に対向配置された光学式センサであり、発光部62と受光部63との間に中間転写ベルト14の一端部側を受け入れることができるように、略コ字形状に形成されている。そして、第1検知手段55及び第2検知手段56は、発光部62と受光部63を接続する基部64がアーム54の側面54aに取り付けられている。なお、発光部62と受光部63は、中間転写ベルト14の表裏に対し、図4乃至図6に示す態様とは逆にして配置される場合もある。また、図7及び図8において、第1検知手段55における光学的検知部分55a及び第2検知手段56の光学的検知部分56aを丸印で示している。また、図7は、アーム54の側面54aから第1検知手段55の光学的検知部分55aまでの寸法を、アーム54の側面54aから第2検知手段56の光学的検知部分56aまでの寸法よりも短くしているが、これに限られず、例えば、アーム54の側面54aから第2検知手段56の光学的検知部分56aまでの寸法と同一寸法にしてもよい。
【0035】
このように構成されたベルト蛇行検知装置50は、中間転写ベルト14が基準位置CL(図7(a−1)、図8(a−1)の二点鎖線で示す位置)から幅方向の一方側(図7(a−1)の下側、図8(a−1)の右側)へ蛇行する場合、アーム54のベルト当接片58が中間転写ベルト14の一端部の端面14bに当接した状態で、アーム54が中間転写ベルト14の蛇行動作に伴って矢印R1方向へ回動する(図7(a−1)参照)。そして、中間転写ベルト14が基準位置CLから幅方向の一方側へ所定寸法(+L1)の範囲(基準位置CLから+方向への蛇行許容範囲)だけ蛇行しても、第1検知手段55及び第2検知手段56の発光部62と受光部63の間に中間転写ベルト14が位置しており、第1検知手段55及び第2検知手段56の発光部62からの光が中間転写ベルト14で遮られて受光部63で受光できず、光学的検知部分55a,56aで中間転写ベルト14を検知した状態になっている(図4、図7(a−1)、図8(a−1)参照)。
【0036】
図7(b−1)及び図8(b−1)に示すように、中間転写ベルト14の一端部の端面14bが蛇行許容範囲(+L1)を超えて幅方向の一方側へΔLa蛇行すると、アーム54の回動角度が大きくなり、第1検知手段55の光学的検知部分55aで中間転写ベルト14の一端部を検知し、第2検知手段56の光学的検知部分56aで中間転写ベルト14の一端部を検知できない状態となる。すなわち、第1検知手段55の発光部62からの光が中間転写ベルト14によって遮られて受光部63で受光できないが、第2検知手段56の発光部62からの光が中間転写ベルト14で遮られずに受光部63で受光できるようになっている。
【0037】
図7(c−1)及び図8(c−1)に示すように、中間転写ベルトの一端部の端面14bが蛇行許容範囲を越えて幅方向の一方側へ所定寸法(ΔLb>ΔLa)だけ蛇行すると、アーム54の回動角度が更に大きくなり、第1検知手段55の光学的検知部分55a及び第2検知手段56の光学的検知部分56aが中間転写ベルト14の外側に外れてしまい、第1検知手段55及び第2検知手段56で中間転写ベルトを検知できない状態になる。
【0038】
図7(a−2)及び図8(a−2)に示すように、中間転写ベルト14が基準位置CLから幅方向の他方側(図7(a−2)の上側、図8(a−2)の左側)へ蛇行する場合、中間転写ベルト14の一端部の端面14bが基準位置CLから幅方向の他方側へ所定寸法(−L1)だけ蛇行し、中間転写ベルト14の一端部の端面14bが蛇行許容範囲の限界位置まで達すると、ばね60で付勢されたアーム54のベルト当接片58がストッパ61に当接し、アーム54のR2方向への回動が阻止される。この場合、中間転写ベルト14は、第1検知手段55の光学的検知部分55a及び第2検知手段56の光学的検知部分56aによって検知される。すなわち、第1検知手段55及び第2検知手段56の発光部62からの光は、第1検知手段55及び第2検知手段56の発光部62と受光部63の間に中間転写ベルト14が位置しているため、中間転写ベルト14で遮られて受光部63で受光できないようになっている。
【0039】
図7(b−2)及び図8(b−2)に示すように、中間転写ベルト14の一端部の端面14bが蛇行許容範囲(−L1)を超えてΔLcだけ幅方向の他方側へ蛇行すると、ばね60で付勢されたアーム54の回動がストッパ61で阻止されているため、中間転写ベルト14がアーム54のベルト当接片58から離れて他方側へ移動し、第1検知手段55の光学的検知部分55aで中間転写ベルト14を検知できず、第2検知手段56の光学的検知部分56aで中間転写ベルト14を検知できるようになっている。
【0040】
図7(c−2)及び図8(c−2)に示すように、中間転写ベルト14の一端部の端面14bが蛇行許容範囲(−L1)を超えて幅方向の他方側へ所定寸法(ΔLd>ΔLc)だけ蛇行すると、第1検知手段55の光学的検知部分55a及び第2検知手段56の光学的検知部分56aが中間転写ベルト14を検知できない状態になる。
【0041】
このようなベルト蛇行検知装置50による中間転写ベルト14の蛇行検知の結果を表1にまとめて表示した。
【0042】
【表1】
【0043】
この表1に示すように、ベルト蛇行検知装置50は、中間転写ベルト14の幅方向の一端部側にのみ配置した2個の検知手段(第1検知手段55及び第2の検知手段56)によって、中間転写ベルト14の基準位置CLからの蛇行方向を検知できると共に、中間転写ベルト14の蛇行量を5段階で検知できるため、中間転写ベルト14の幅方向の両側にそれぞれ2個ずつ検知手段を配置する従来例に比較し、ベルト蛇行検知装置50,これを備えたベルトユニット15及び画像形成装置1の小型化・低コスト化を図ることができる。
【0044】
(ベルト蛇行検知装置の第2例)
図9は、画像形成装置1の中間転写ユニット15に取り付けられたベルト蛇行検知装置50の第2例を示すものである。
【0045】
この第2例に係るベルト蛇行検知装置50は、中間転写ベルト14の幅方向の一端部側で且つ中間転写ベルト14の外周面には、一定幅(X)の光反射材(アルミニウム等の光反射材料からなる被膜)が全周にわたって固定されることにより、光反射部材による光反射領域70が区画形成されている。そして、中間転写ベルト14の幅方向の一端側には、光反射領域70に対応するように第1検知手段71及び第2検知手段72が配置されている。第1検知手段71及び第2検知手段72は、発光部と受光部を共に有する反射式の光学センサであり、中間転写ベルト14の幅方向に沿って離して(中間転写ベルト14の幅方向に沿った離間距離(Y)が光反射領域70の幅寸法(X)よりも小さな寸法となるように)配置されている。そして、第1検知手段71及び第2検知手段72は、発光部から出射した光が中間転写ベルト14の光反射領域70で反射されると、その反射光を受光部で受光できるようになっている。なお、第1検知手段71及び第2検知手段72は、図示しない転写フレームに取り付けられたセンサホルダに固定されており、中間転写ベルト14が転写フレームに対して移動したとしても(幅方向へ蛇行したとしても、即ち従動ローラ25の軸方向に沿って蛇行したとしても)、転写フレームに対する姿勢を変化させることがない。また、この第2例においては、第2検知手段72が第1検知手段71に対して図9(a−1)の左側にずれて配置されている。
【0046】
このようなベルト蛇行検知装置50は、中間転写ベルト14の幅方向の一端部が蛇行許容範囲内にある場合に、第1検知手段71と第2検知手段72が共に光反射領域70からの反射光を受光できるようになっている。
【0047】
中間転写ベルト14の幅方向の一端部が基準位置(図9(a−1),(a−2)の二点鎖線で示す位置、即ち光反射領域70の幅方向の中心位置と、第1検知手段71と第2検知手段72の中間転写ベルト14の幅方向に沿った中間位置とが合致する位置)から中間転写ベルト14の幅方向に沿って一方側(図9(a−1)の右側)へ蛇行し、その中間転写ベルト14の一端部が蛇行許容範囲((X−Y)/2)を超えて幅方向の一方側へ蛇行すると(図9(b−1)参照)、第1検知手段71が光反射領域70からの反射光を検知でき、第2検知手段72が光反射領域70からの反射光を検知できない。
【0048】
さらに、図9(c−1)に示すように、中間転写ベルト14の一端部が蛇行許容範囲を超えて中間転写ベルト14の幅方向の一方側へ所定寸法だけ蛇行すると、第1検知手段71及び第2検知手段72が共に光反射領域70からの反射光を検知できない。
【0049】
図9(a−2)に示すように、中間転写ベルト14の幅方向の一端部が基準位置から中間転写ベルト14の幅方向に沿って他方側(図9(a−2)の左側)へ蛇行し、その中間転写ベルト14の一端部が蛇行許容範囲((X−Y)/2)を超えて幅方向の他方側へ蛇行すると(図9(b−2)参照)、第2検知手段72が光反射領域70からの反射光を検知でき、第1検知手段71が光反射領域70からの反射光を検知できない。
【0050】
さらに、図9(c−2)に示すように、中間転写ベルト14の一端部が蛇行許容範囲を超えて中間転写ベルト14の幅方向の他方側へ所定寸法だけ蛇行すると、第1検知手段71及び第2検知手段72が共に光反射領域70からの反射光を検知できない。
【0051】
この図9に示すように、ベルト蛇行検知装置50は、中間転写ベルト14の幅方向の一端部側にのみ配置した2個の検知手段(第1検知手段71及び第2の検知手段72)によって、中間転写ベルト14の基準位置からの蛇行方向を検知できると共に、ベルトの蛇行量を5段階で検知できるため、中間転写ベルト14の幅方向の両側にそれぞれ2個ずつ検知手段を配置する従来例に比較し、ベルト蛇行検知装置50,これを備えたベルトユニット15及び画像形成装置1の小型化・低コスト化を図ることができる。
【0052】
(ベルト蛇行検知装置の第3例)
ベルト蛇行検知装置50の第3例としては、上記第2例において、光反射部材に代えて磁性部材を中間転写ベルト14に固定し(酸化鉄(III)等の磁性材料からなる被膜を形成し)、その磁性材料の被膜を着磁して着磁領域とし、この着磁領域を光反射領域の代わりとすると共に、第1検知手段及び第2検知手段としての光学センサに代えて磁気センサ(例えば、ホール素子)を使用したものでもよい。
【0053】
この第3例に係るベルト蛇行検知装置50は、中間転写ベルト14の蛇行方向を検知できると共に、中間転写ベルト14の蛇行量を2個の磁気センサのオン・オフによって5段階で検知でき、第2例に係るベルト蛇行検知装置50と同様の効果を得ることができる。
【0054】
(中間転写ユニットの作動制御)
以下、ベルト蛇行検知装置50の検知結果を利用した中間転写ユニット15の作動制御を説明する。
【0055】
図3及び図10に示すように、制御コントローラ44は、ベルト蛇行検知装置50の第1検知手段55(71)及び第2検知手段56(72)のオン・オフ信号が入力されるようになっており、第1検知手段55(71)及び第2検知手段56(72)からのオン・オフ信号に基づいてベルト蛇行補正機構42のモータ45に制御信号を出力して、ベルト蛇行補正機構42のモータ45の駆動制御をするか、又は中間転写ベルト14が巻き掛けられる駆動ローラ24を回転駆動させる駆動用モータ(ベルト駆動手段)65に制御信号を出力し、駆動用モータ65の作動を制御するようになっている。なお、以下の説明において、第1検知手段55(71)及び第2検知手段56(72)が中間転写ベルト14を検知するとは、上記第1例においては中間転写ベルト14を検知する場合をいい、上記第2例においては光反射領域70を検知する場合をいい、上記第3例においては着磁領域を検知している場合をいうものとする。そして、第1検知手段55(71)と第2検知手段56(72)は、中間転写ベルト14を検知している場合に、オン信号を制御コントローラ44に出力し、また、中間転写ベルト14を検知していない場合に、オフ信号を制御コントローラ44に出力するようになっている。
【0056】
制御コントローラ44のベルト蛇行異常判断手段73は、ベルト蛇行検知装置50の第1検知手段55(71)がオンで第2検知手段56(72)がオフの場合、中間転写ベルト14が基準位置から図8(a−1)及び図9(a−1)の右側(幅方向の一方側)方向へ向かって蛇行していると判断する(図8(a−1)〜(b−1)、図9(a−1)〜(b−1)参照)。
【0057】
そして、制御コントローラ44のベルト蛇行異常判断手段73は、ベルト蛇行検知装置50の第1検知手段55(71)がオンで第2検知手段56(72)がオフとなった時からタイマー74を作動させ、中間転写ベルト14の蛇行時間を計測する。
【0058】
中間転写ベルト14の蛇行時間がt1だけ経過し、第1検知手段55(71)及び第2検知手段56(72)が共にオフとなると(図8(c−1)、図9(c−1)参照)、制御コントローラ44は、ベルト蛇行速度算出手段75によって、中間転写ベルト14の図8(b−1)及び図9(b−1)における右側方向への蛇行量(メモリ76に予め保存された値(ΔLb−ΔLa))とその蛇行に要した時間(t1)から蛇行速度(v1)を算出する。
【0059】
次に、制御コントローラ44は、そのベルト蛇行速度算出手段75の算出結果に基づいて、ベルト蛇行補正機構42のモータ45の回転量(駆動パルス数)を蛇行補正値算出手段77によって算出し、この蛇行補正値算出手段77の算出結果に基づいてベルト蛇行補正機構42のモータ45を回動させる。これによって、制御コントローラ44は、中間転写ベルト14の蛇行速度を零に近づけることができる。
【0060】
ここで、制御コントローラ44のベルト蛇行異常判断手段73は、ベルト蛇行補正機構42を作動させた後に、所定時間(t3)経過しても第1検知手段55(71)がオンにならない場合、中間転写ベルト14の位置が異常であると判断し、中間転写ベルト14の駆動用モータ65への通電を遮断すると共に、表示手段(表示パネル,警告ランプ等)78に中間転写ベルト14の異常を表示させる。これによって、中間転写ベルト14の過剰な蛇行に起因する、中間転写ベルト14の破損等の不具合の発生を未然に防止できる。
【0061】
なお、蛇行補正値算出手段77は、予め、モータ45の回動量に対する従動ローラ25のローラ軸43の揺動角度が求められており、また、ローラ軸43の揺動角度及び中間転写ベルト14の回動速度と中間転写ベルト14の蛇行速度との関係が求められているため、中間転写ベルト14の蛇行速度から中間転写ベルト14の蛇行速度を零に近づけるために必要とされるモータ45の駆動用パルス数を算出できるようになっている。
【0062】
また、制御コントローラ44のベルト蛇行異常判断手段73は、ベルト蛇行検知装置50の第1検知手段55(71)がオフで第2検知手段56(72)がオンの場合、中間転写ベルト14が基準位置から図8(a−2)及び図9(a−2)の左側(幅方向の他方側)方向へ向かって蛇行していると判断する(図8(a−2)〜(b−2)、図9(a−2)〜(b−2)参照)。
【0063】
そして、制御コントローラ44のベルト蛇行異常判断手段73は、ベルト蛇行検知装置50の第1検知手段55(71)がオフで第2検知手段56(72)がオンとなった時からタイマー74を作動させ、中間転写ベルト14の蛇行時間を計測する。中間転写ベルト14の蛇行時間がt2だけ経過し、第1検知手段55(71)及び第2検知手段56(72)が共にオフとなると、制御コントローラ44の蛇行補正値算出手段77は、ベルト蛇行速度算出手段75によって、中間転写ベルト14の図8(b−2)及び図9(b−2)における左側方向への蛇行量(メモリ76に予め保存された値(ΔLd−ΔLc)とその蛇行に要した時間(t2)から蛇行速度(v2)を算出する。
【0064】
次に、制御コントローラ44は、そのベルト蛇行速度算出手段75の算出結果に基づいて、ベルト蛇行補正機構42のモータ45の回転量(駆動パルス数)を蛇行補正値算出手段77によって算出し、この蛇行補正値算出手段77の算出結果に基づいてベルト蛇行補正機構42のモータ45を回動させる。これによって、制御コントローラ44は、中間転写ベルト14の蛇行速度を零に近づけることができる。
【0065】
ここで、制御コントローラ44は、ベルト蛇行補正機構42を作動させた後に、所定時間(t3)経過しても第2検知手段56(72)がオンにならない場合、中間転写ベルト14の位置が異常であると判断し、中間転写ベルト14の駆動用モータ65への通電を遮断すると共に、表示手段78(表示パネル、警告ランプ等)に中間転写ベルト14の異常を表示させる。これによって、中間転写ベルト14の過剰な蛇行に起因する、中間転写ベルト14の破損等の不具合の発生を未然に防止できる。
【0066】
また、制御コントローラ44は、中間転写ベルト14の駆動用モータ65を作動させる際に、第1検知手段55(71)及び第2検知手段56(72)が共にオフの場合、中間転写ベルト14の位置が異常であると判断し、中間転写ベルト14の駆動用モータ65への通電を遮断すると共に、表示手段78(表示パネル、警告ランプ等)に中間転写ベルト14の異常を表示させる。
【0067】
(その他の変形例)
なお、本発明のベルト蛇行検知装置50は、上述のような、ベルトが中間転写ベルト14である中間転写ユニット15に適用される場合に限定されるものではなく、シートを表面に担持して各画像ステーション(タンデム方式の4色の画像ステーション)に搬送する搬送ベルトや、ベルト状の感光体である感光体ベルト等のベルトユニットに対してもほぼ同様に適用することができ、この場合にも上記実施形態とほぼ同様の効果を奏することができる。
【0068】
また、本発明に係るベルト蛇行検知装置50は、電子写真方式の画像形成装置であって、中間転写方式の4色フルカラーの画像形成装置1に適用した場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、無端状のベルトを有する種々の画像形成装置、例えばインクジェット記録方式の画像形成装置や、モノクロ印刷用の画像形成装置に対しても広く適用することができる。
【0069】
また、本発明の上記第1例〜第3例に係るベルト蛇行検知装置50は、例えば、中間転写ベルト14の周長が800mmであり、中間転写ベルト14が4秒で1周回動し、中間転写ベルト14の外周面の線速が200mm/secであり、中間転写ベルト14の経時的変化等によって生じる中間転写ベルト14の蛇行速度が0.0125mm/sec程度の条件下において使用されることが好ましい。なお、ここで説明した数値は、本発明の理解を助けるためのものであり、本発明に係るベルト蛇行検知装置50の使用条件を限定するものではない。
【0070】
また、本発明に係るベルト蛇行検知装置50は、図示しないベルト蛇行速度検出装置と共に使用し、この図示しないベルト蛇行速度検出装置の検知結果に基づいてベルト蛇行補正機構を作動させ、ベルト蛇行速度を零に近づけることにより、カラー印刷時の色ズレを防止すると共に、中間転写ベルト14の破損を防止するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1……画像形成装置、4……画像形成部、14……中間転写ベルト(ベルト)、15……中間転写ユニット(ベルトユニット)、24……駆動ローラ(ローラ)、25……従動ローラ(ローラ)、44……制御コントローラ(制御手段)、50……ベルト蛇行検知装置、55,71……第1検知手段、56,72……第2検知手段、65……駆動用モータ(ベルト駆動手段)、P……シート
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端状のベルトの蛇行方向及び蛇行量を検出することが可能なベルト蛇行検知装置、このベルト蛇行検知装置を備えたベルトユニット、及びこのベルトユニットを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリンタ,複写機,ファクシミリ装置等の画像形成装置において、シート(コピー用紙,プラスチックフィルム,封筒等)をシート搬送方向に沿って搬送するために、複数のローラに掛け渡した無端状のベルトを回動させ、そのベルトでシートを搬送するようにしたものが知られている。
【0003】
このようなシート搬送手段としてベルトを使用するベルトユニットは、シートを円滑且つ確実に搬送するため、ベルトの蛇行を検知し、ベルトの蛇行を適正に矯正する必要がある。そのため、図11に示すように、従来のベルトユニット101は、ベルト102の幅方向(回動方向に対して直交する方向)の右側に、ベルト102の幅方向に沿って所定間隔だけ離れて位置する2個のセンサ103Ra,103Rbからなる右側センサユニット(ベルト蛇行検知装置)103Rを設置すると共に、ベルト102の幅方向の左側に、ベルト102の幅方向に沿って所定間隔だけ離れて位置する2個のセンサ103La,103Lbからなる左側センサユニット(ベルト蛇行検知装置)103Lを配置し、ベルト102の幅方向一方側又は他方側への蛇行量を2段階に(寄り正常範囲と寄り異常範囲として)検知するようになっている。そして、図11に示すベルトユニット101は、その一対のセンサユニット103R,103Lの検知結果に応じて、ベルト102が掛け渡されるローラ104,105の一方のアライメント(ローラ軸の角度)を調整し、ベルト102の蛇行を矯正するようになっている。
【0004】
すなわち、図11に示すベルトユニット101は、ベルト102が図中右側に蛇行し、右側センサユニット103Rの内側(図中左側)のセンサ103Raがベルト102の端部を検知した場合、ベルト102が第1段階の寄り異常範囲に達したと制御手段(図示せず)で判断し、その制御手段によってローラ104,105の一方の第1段階のアライメント調整が行われる。この第1段階のアライメント調整が行われても、なおベルト102が図11中右側方向へ移動し、右側センサユニット103Rの外側(図中右側)のセンサ103Rbがベルト102の端部を検知した場合、ベルト102が第2段階の寄り異常範囲に達したと制御手段で判断し、その制御手段によってローラ104,105の一方の第2段階のアライメント調整(第1段階のアライメント調整時よりもローラ軸の角度を大きく傾けるような調整)が行われる。そして、この第2段階のアライメント調整が行われた後、所定時間経過してもセンサ103Rbがベルト102を検知している場合には、ベルト102の破損防止のために、制御手段がベルトユニット101の作動を停止させるようになっている。
【0005】
また、図11に示すベルトユニット101は、ベルト102が図中左側方向への寄り異常を生じた場合、左側センサユニット103Lが右側センサユニット103Rと同様にベルト102を検知し、図示しない制御手段によって作動が制御されるようになっている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−33227号公報(特に、段落番号0097〜0104、図9参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図11に示したベルトユニット101は、ベルト102の幅方向の両側にそれぞれセンサユニット103R,103Lを設置し、ベルト102の蛇行量を合計4個のセンサ103Ra,103Rb,103La,103Lbで検知するようになっているため、センサユニット103R,103Lの設置スペースをベルト102の幅方向の両側に設ける必要があり、センサユニット103R,103Lの構成が小型化・低コスト化を図る上での障害になっていた。
【0008】
そこで、本発明は、ベルトの幅方向の片側だけに配置されて、ベルトの蛇行方向及び蛇行量を検知できるベルト蛇行検知装置を提供する。また、本発明は、このベルト蛇行検知装置を備えることによって、小型化・低コスト化を図ることができるベルトユニット及び画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、複数のローラに巻き掛けられて回動させられる無端状のベルトの蛇行量を検知するベルト蛇行検知装置に関するものである。この発明において、前記ベルトの幅方向の一端部側には、第1検知手段と第2検知手段とが配置されている。また、この発明のベルト蛇行検知装置は、(1)前記ベルトの前記幅方向の一端部が蛇行許容範囲内にある場合に、前記第1検知手段と前記第2検知手段が共に前記ベルトを検知し、(2)前記ベルトの前記幅方向の一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の一方側へ蛇行すると、前記幅方向にずれて位置する前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか一方が前記ベルトを検知し、前記幅方向にずれて位置する前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか他方が前記ベルトを検知せず、(3)前記ベルトの前記幅方向の一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の一方側へ所定寸法だけ蛇行すると、前記第1検知手段と前記第2検知手段が共に前記ベルトを検知せず、(4)前記ベルトの前記幅方向の一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の他方側へ蛇行すると、前記幅方向にずれて位置する前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか他方が前記ベルトを検知し、前記幅方向にずれて位置する前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか一方が前記ベルトを検知せず、(5)前記ベルトの前記幅方向の一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の他方側へ所定寸法だけ蛇行すると、前記第1検知手段と前記第2検知手段が共に前記ベルトを検知しないようになっている。そして、前記第1検知手段と前記第2検知手段とによって、前記ベルトの蛇行量を前記(1)〜(5)の5段階に検知するようになっている。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係るベルト蛇行検知装置において、前記ベルトの前記一端部で且つ前記ローラから離れた位置には、支軸を揺動中心として揺動可能に支持されたアームがばねで付勢されて当接するようになっている。また、前記アームの長手方向には、前記支軸寄りの箇所に前記第1検知手段を配置すると共に、この第1検知手段よりも前記支軸から離れた箇所に前記第2検知手段を配置してある。また、前記ベルトの前記一端部が前記蛇行許容範囲を越えて前記幅方向の一方側へ蛇行する場合に対し、前記ベルトの前記一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の他方側へ蛇行する場合には、前記アームの揺動方向が逆になるように構成されている。また、前記ベルトの前記一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の他方側へ所定寸法だけ蛇行すると、前記アームの揺動をストッパによって阻止するようになっている。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1の発明に係るベルト蛇行検知装置において、前記ベルトの前記幅方向の一端部側で且つ前記ベルトの外周面には、一定幅(X)の光反射材が全周にわたって配置されて光反射領域を区画形成してある。また、前記第1検知手段と前記第2検知手段は、発光部と受光部を共に有する光学式センサであり、前記ベルトの前記幅方向に沿って、前記一定幅(X)よりも小さな寸法(Y)だけ離して配置されている。そして、前記ベルトの前記一端部が前記蛇行許容範囲内にある場合に、前記第1検知手段と前記第2検知手段が、共に前記光反射領域からの反射光を受光できるようになっている。また、前記ベルトの前記一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の一方側又は他方側へ蛇行すると、前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか一方が前記光反射領域から反射光を検知でき、前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか他方が前記光反射領域からの反射光を検知できないようになっている。また、前記ベルトの前記一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の一方側又は他方側へ所定寸法だけ蛇行すると、前記第1検知手段と前記第2検知手段が共に前記光反射領域からの反射光を検知できないようになっている。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1の発明に係るベルト蛇行検知装置において、前記ベルトの前記幅方向の一端部側で且つ前記ベルトの外周面には、一定幅(X)の着磁領域が全周にわたって配置されている。また、前記第1検知手段と前記第2検知手段は、磁気センサであり、前記ベルトの前記幅方向に沿って、前記一定幅(X)よりも小さな寸法(Y)だけ離して配置されている。そして、前記ベルトの前記一端部が前記蛇行許容範囲内にある場合に、前記第1検知手段と前記第2検知手段が、共に前記着磁領域を検知できる。また、前記ベルトの前記一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の一方側又は他方側へ蛇行すると、前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか一方が前記着磁領域を検知でき、前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか他方が前記着磁領域を検知できないようになっている。また、前記ベルトの前記一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の一方側又は他方側へ所定寸法だけ蛇行すると、前記第1検知手段と前記第2検知手段が共に前記着磁領域を検知できないようになっている。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかの発明に係るベルト蛇行検知装置を備えたベルトユニットに関するものである。すなわち、本発明のベルトユニットは、複数のローラと、この複数のローラに巻き掛けられる無端状のベルトと、前記複数のローラを介して前記ベルトを回動させるベルト駆動手段と、前記請求項1乃至4のいずれかの発明に係るベルト蛇行検知装置と、前記ベルト蛇行検知装置の検知結果に基づいて前記ベルト駆動手段を作動制御する制御手段と、を備えている。
【0014】
請求項6の発明は、請求項5の発明に係るベルトユニットを備えた画像形成装置に関するものである。すなわち、本発明の画像形成装置は、請求項5の発明に係るベルトユニットと、このベルトユニットによって搬送されるシートに画像を形成する画像形成部と、を備えている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ベルトの幅方向の片側にのみ2個の検知手段(第1検知手段及び第2検知手段)を配置して、ベルトの蛇行を5段階に検知し、ベルトの蛇行方向及び蛇行量を検知できるため、ベルト蛇行検知装置,これを備えたベルトユニット及び画像形成装置の小型化・低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例を説明するための模式的構造図であり、画像形成装置の内部構成を正面側(画像形成装置の使用時にユーザが位置する側)から見て示す模式的構造図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置の中間転写ユニットに取り付けられたベルト蛇行補正機構を模式的に示す図であり、中間転写ユニットを図1のA方向から見て示す図である。
【図3】ベルト蛇行検知装置が設置された中間転写ユニットを斜め下方から見て模式的に示す斜視図である。
【図4】図3の中間転写ユニットのうちのベルト蛇行検知装置が設置された部分を拡大して示す斜視図である。
【図5】図4において中間転写ベルトを省略して示す斜視図である。
【図6】ベルト蛇行検知装置を拡大して示す斜視図である。
【図7】ベルト蛇行検知装置の第1例を示す図であり、中間転写ベルトの位置とベルト蛇行検知装置の作動状態との関係を示す図である。
【図8】ベルト蛇行検知装置の第1例を示す図であり、中間転写ベルトの位置とベルト蛇行検知装置の第1検知手段及び第2検知手段との関係を模式的に示す平面図である。
【図9】ベルト蛇行検知装置の第2例を示す図であり、中間転写ベルトの位置とベルト蛇行検知装置の第1検知手段及び第2検知手段との関係を模式的に示す平面図である。
【図10】本発明に係るベルト蛇行検知装置を備えた中間転写ユニットの制御ブロック図である。
【図11】従来のベルトユニットを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づき詳述する。
【0018】
(画像形成装置)
図1は、本発明に係る画像形成装置1の一例を説明するための模式的構造図である。この図1に示す画像形成装置1は、電子写真方式の4色フルカラーのプリンタであり、タンデム方式、中間転写方式を採用している。そして、この画像形成装置1は、画像形成装置本体2内に、シート給紙部3と、画像形成部4と、定着部5と、シート再給紙部6とが設けられている。
【0019】
シート給紙部3には、複数の給紙カセット7と、各給紙カセット7に対応して配設されたピックアップローラ8と、給送ローラ10と、リタードローラ11と、レジストローラ対12とが配設されている。各給紙カセット7内には、複数枚のシートPが積層状態で収納されている。給紙カセット7内のシートPは、ピックアップローラ8により給紙カセット7内から送り出された後、給送ローラ10及びリタードローラ11によって重送が防止されて、一枚だけシート搬送路13へ送り出される。シート搬送路13に送り出されたシートPは、停止中のレジストローラ対12のニップに先端部が当接させられ、斜行が矯正されるとともに一時停止される。その後、一時停止されたシートPは、中間転写ベルト(ベルト)14上のトナー像が中間転写ベルト14の矢印R14方向の回転に伴って2次転写部T2に搬送されるのと同期して2次転写部T2に位置するように、レジストローラ対12の回転によって2次転写部T2へ向けて供給される。なお、シート搬送路13には図示しない搬送コロが配置され、その搬送コロがシートPをシート搬送路13に沿って搬送する。
【0020】
画像形成部4には、4個の画像形成ステーション16M,16C,16Y,16BKと、中間転写ユニット(ベルトユニット)15とが配設されている。4個の画像形成ステーション16M,16C,16Y,16BKは、中間転写ベルト14の回転方向上流側から、マゼンタ(M)の画像形成ステーション16M,シアン(C)の画像形成ステーション16C,イエロー(Y)の画像形成ステーション16Y,ブラック(BK)の画像形成ステーション16BKの順に配設されている。これら4色の各画像形成ステーション16M,16C,16Y,16BKは、使用する現像剤を除き、同様に構成されている。マゼンタの画像形成ステーション16Mを例に説明すると、感光ドラム(像担持体)17と、帯電器18と、露光装置20と、現像装置21と、クリーニング装置22とを有している。一方、中間転写ユニット15は、転写フレーム23と、この転写フレーム23によって回転可能に支持された複数のローラ(すなわち、駆動ローラ24,従動ローラ25,1次転写ローラ26,2次転写対向ローラ27,複数のテンションローラ等)と、これらローラに張架された(テンションをかけた状態で巻き掛けられた)無端状の中間転写ベルト14とを備えている。中間転写ベルト14は、駆動ローラ24の矢印方向(図1中の時計回り)の回転により、矢印R14方向に回転する。また、中間転写ユニット15の全体は、画像形成装置本体2の正面側(図1の紙面に垂直な方向)から画像形成装置本体2に対して着脱できるように構成されている。
【0021】
マゼンタの画像形成ステーション16Mにおいて、感光ドラム17は、駆動手段(不図示)によって所定のプロセススピード(周速度)で矢印方向(図1中の反時計回り)に回転駆動され、その表面(外周面)が帯電器18によって所定の極性・電位に一様に帯電される。帯電後の感光ドラム17の表面は、露光装置20によって画像情報に応じた露光がなされ、露光部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置21によってマゼンタのトナーが付着されてマゼンタのトナー像として現像される。マゼンタのトナー像は、1次転写ローラ26によって1次転写部T1において中間転写ベルト14上に転写される。トナー像転写後の感光ドラム17は、表面に残った転写残トナーがクリーニング装置22によって除去されて次の画像形成に供される。
【0022】
同様にして、シアン,イエロー,ブラックの画像形成ステーション16C,16Y,16BKの一次転写部において、各感光ドラム17上にそれぞれ形成されたシアン,イエロー,ブラックのトナー像は、1次転写ローラ26によって中間転写ベルト14上のマゼンタのトナー像に順次に重ね合わされるようにして1次転写される。こうして中間転写ベルト14上で重ね合わされた4色のトナー像は、中間転写ベルト14の回転によって2次転写部T2に搬送される。これと並行して、レジストローラ12対が回転することでシートPが2次転写部T2に供給される。中間転写ベルト14上の4色のトナー像は、2次転写ローラ28によってシートP上に一括で2次転写される。2次転写後の中間転写ベルト14は、ベルトクリーナ30によって表面に残った転写残トナーが除去される。一方、トナー像転写後のシートPは、搬送ベルト31によって定着部5に搬送される。
【0023】
定着部5には、定着ローラ32と、これに圧接されて定着ニップ部Nを構成する加圧ローラ33とを有する定着装置34が配設されている。定着装置34に搬送されたシートPは、定着ニップ部Nを通過する際に、加熱・加圧されて、表面にトナー像が定着される。トナー像定着後のシートPは、排紙ローラ対35によって排紙トレイ36上に排出される。これにより、1枚のシートPの片面に対する4色フルカラーの画像形成が終了する。
【0024】
なお、片面が印刷済みのシートPの裏面(未印刷面)にも画像形成を行う場合、シート再給紙部6に配設されたフラッパ37,38、反転パス40等によって表裏反転されたシートPは、再給紙パス41等を介して、再度、画像形成部4に供給され、上述と同様にして、裏面(未印刷面)にトナー像が転写され、定着された後、排紙トレイ36上に排出される。
【0025】
(ベルト蛇行補正機構)
図2は、画像形成装置の中間転写ユニット15に取り付けられたベルト蛇行補正機構42を模式的に示す図であり、中間転写ユニット15を図1のA方向から見て示す図である。
【0026】
この図2に示すように、ベルト蛇行補正機構42は、中間転写ユニット15を構成する従動ローラ25のローラ軸43の一端側で、且つ、中間転写ベルト14の幅方向端部から外方へ突出するローラ軸43の一端部に接続されている。そして、このベルト蛇行補正機構42は、中間転写ユニット15の転写フレーム23に支持された従動ローラ25を制御コントローラ44からの制御信号に基づいて揺動させ、従動ローラ25のアライメント調整を行うことができるようになっており、ローラ軸43の他端側を揺動支点43aとして、従動ローラ25を2δの角度だけ揺動させることができる。
【0027】
このベルト蛇行補正機構42は、制御コントローラ44からの制御信号に基づいて微小角度ずつ回転することが可能なステッピングモータ等のモータ45と、このモータ45の回転に基づいてローラ軸43を揺動させる動力伝達機構部46と、を備えている。そして、動力伝達機構部46は、モータ45によって回動させられるカム(図示せず)、カムによって揺動させられるレバー(図示せず)、モータ45によって回動させられるギヤトレイン(図示せず)等を適宜選択して組み合わせることによって構成され、従動ローラ25を微小角度づつ高精度に揺動させることができるようになっている。
【0028】
ここで、従動ローラ25は、ローラ本体25aの外表面に中間転写ベルト14が張架されており(所望の張力が作用する状態で巻き掛けられており)、ローラ本体25aが中間転写ベルト14の幅方向の両側に出っ張るような軸方向長さに形成されている。そして、従動ローラ25は、ローラ軸43の他端側が軸受48を介して中間転写ユニット15の転写フレーム23に支持されており、軸受48のローラ軸支持点を揺動支点43aとして、反時計回り方向又は時計回り方向へ揺動させられる。なお、従動ローラ25のローラ本体25aは、中間転写ベルト14が許容される蛇行量だけ蛇行したとしても、中間転写ベルト14の幅方向外方側へ出っ張るだけの軸方向長さに形成されており、中間転写ベルト14の内周面側を確実に支持することができるようになっている。
【0029】
(ベルト蛇行検知装置の第1例)
図3乃至図6は、画像形成装置1の中間転写ユニット15に取り付けられたベルト蛇行検知装置50の第1例を示すものである。
【0030】
これらの図3乃至図6に示すように、ベルト蛇行検知装置50は、中間転写ベルト14の幅方向の一端部側で且つ中間転写ベルト14が掛け渡された従動ローラ25から離間した位置であって、従動ローラ25よりも中間転写ベルト14の回動方向R14に沿った上流側の位置に配置されている。このベルト蛇行検知装置50は、転写フレーム23に図示しないねじで固定される支持板51と、この支持板51の一対の軸支持部52,52に両端が回動可能に支持された支軸53と、支持板51に支軸53で揺動可能に支持されたアーム54と、このアーム54の長手方向に所定寸法だけ離して配置した一対の検知手段(第1検知手段55と第2検知手段56)とを有している。
【0031】
アーム54は、支軸53から中間転写ベルト14の回動方向(矢印R14で示す方向)へ向かうように延びており、中間転写ベルト14のうち、従動ローラ25とテンションローラ57との間を平板状に移動する中間転写ベルト14の一部14Aの表面とほぼ同一の平面内において揺動するようになっている。そして、このアーム54のうちの中間転写ベルト14の一端部側の端面14bに対向する側面54aで且つ支軸53寄りの側面54aには、ベルト当接片58が中間転写ベルト14の一端部側へ向けて突出するように位置している。なお、ベルト当接片58は、アーム54の一部を構成しており、アーム54の側面54aに一体形成されるか、又はアーム54の側面54aに固定されている。
【0032】
そして、このアーム54は、ばね60によって中間転写ベルト14の一端部側へ向けて付勢され、ベルト当接片58の先端58aが中間転写ベルト14の一端部の端面14bに当接し、中間転写ベルト14の蛇行に伴って揺動できるようになっている。ここで、アーム54は、図7(a−1)〜(c−1)に示すように、中間転写ベルト14の一端部の端面14bが基準位置(図8(a−1)の二点鎖線で示す位置であって、初期セット位置)から幅方向の一方側(図8(a−1)の右側)に蛇行する場合、中間転写ベルト14が図示しない蛇行ストッパ壁に当接して、中間転写ベルト14の蛇行が阻止されるまで、中間転写ベルト14の蛇行に伴って矢印R1で示す方向(図7における反時計回り方向)へ回動できるようになっている。一方、アーム54は、図7(a−2)〜(c−2)に示すように、中間転写ベルト14の一端部の端面14bが基準位置(図8(a−2)の二点鎖線で示す位置であって、初期セット位置)から幅方向の他方側へ(図8(a−2)の左側)に蛇行する場合、転写フレーム23から延びる支持フレーム(図示せず)に固定されたストッパ61に当接するまで、矢印R2で示す方向(図7における時計回り方向)へばね60で付勢されて回動することができるようになっている(図6参照)。なお、図7の(a−1)〜(c−1)は、図8の(a−1)〜(c−1)にそれぞれ対応している。また、図7の(a−2)〜(c−2)は、図8(a−2)〜(c−2)にそれぞれ対応している。
【0033】
また、図4乃至図7に示したように、中間転写ベルト14の一端部の端面14bに対向するアーム54の側面54aには、支軸53からアーム54の先端に向かって、ベルト当接片58,第1検知手段55,第2検知手段56の順に、ベルト当接片58,第1検知手段55,第2検知手段56が間隔をあけて設置されている。
【0034】
第1検知手段55及び第2検知手段56は、図4乃至図6に示すように、共に発光部62と受光部63とが中間転写ベルト14の表裏方向(厚さ方向)に対向配置された光学式センサであり、発光部62と受光部63との間に中間転写ベルト14の一端部側を受け入れることができるように、略コ字形状に形成されている。そして、第1検知手段55及び第2検知手段56は、発光部62と受光部63を接続する基部64がアーム54の側面54aに取り付けられている。なお、発光部62と受光部63は、中間転写ベルト14の表裏に対し、図4乃至図6に示す態様とは逆にして配置される場合もある。また、図7及び図8において、第1検知手段55における光学的検知部分55a及び第2検知手段56の光学的検知部分56aを丸印で示している。また、図7は、アーム54の側面54aから第1検知手段55の光学的検知部分55aまでの寸法を、アーム54の側面54aから第2検知手段56の光学的検知部分56aまでの寸法よりも短くしているが、これに限られず、例えば、アーム54の側面54aから第2検知手段56の光学的検知部分56aまでの寸法と同一寸法にしてもよい。
【0035】
このように構成されたベルト蛇行検知装置50は、中間転写ベルト14が基準位置CL(図7(a−1)、図8(a−1)の二点鎖線で示す位置)から幅方向の一方側(図7(a−1)の下側、図8(a−1)の右側)へ蛇行する場合、アーム54のベルト当接片58が中間転写ベルト14の一端部の端面14bに当接した状態で、アーム54が中間転写ベルト14の蛇行動作に伴って矢印R1方向へ回動する(図7(a−1)参照)。そして、中間転写ベルト14が基準位置CLから幅方向の一方側へ所定寸法(+L1)の範囲(基準位置CLから+方向への蛇行許容範囲)だけ蛇行しても、第1検知手段55及び第2検知手段56の発光部62と受光部63の間に中間転写ベルト14が位置しており、第1検知手段55及び第2検知手段56の発光部62からの光が中間転写ベルト14で遮られて受光部63で受光できず、光学的検知部分55a,56aで中間転写ベルト14を検知した状態になっている(図4、図7(a−1)、図8(a−1)参照)。
【0036】
図7(b−1)及び図8(b−1)に示すように、中間転写ベルト14の一端部の端面14bが蛇行許容範囲(+L1)を超えて幅方向の一方側へΔLa蛇行すると、アーム54の回動角度が大きくなり、第1検知手段55の光学的検知部分55aで中間転写ベルト14の一端部を検知し、第2検知手段56の光学的検知部分56aで中間転写ベルト14の一端部を検知できない状態となる。すなわち、第1検知手段55の発光部62からの光が中間転写ベルト14によって遮られて受光部63で受光できないが、第2検知手段56の発光部62からの光が中間転写ベルト14で遮られずに受光部63で受光できるようになっている。
【0037】
図7(c−1)及び図8(c−1)に示すように、中間転写ベルトの一端部の端面14bが蛇行許容範囲を越えて幅方向の一方側へ所定寸法(ΔLb>ΔLa)だけ蛇行すると、アーム54の回動角度が更に大きくなり、第1検知手段55の光学的検知部分55a及び第2検知手段56の光学的検知部分56aが中間転写ベルト14の外側に外れてしまい、第1検知手段55及び第2検知手段56で中間転写ベルトを検知できない状態になる。
【0038】
図7(a−2)及び図8(a−2)に示すように、中間転写ベルト14が基準位置CLから幅方向の他方側(図7(a−2)の上側、図8(a−2)の左側)へ蛇行する場合、中間転写ベルト14の一端部の端面14bが基準位置CLから幅方向の他方側へ所定寸法(−L1)だけ蛇行し、中間転写ベルト14の一端部の端面14bが蛇行許容範囲の限界位置まで達すると、ばね60で付勢されたアーム54のベルト当接片58がストッパ61に当接し、アーム54のR2方向への回動が阻止される。この場合、中間転写ベルト14は、第1検知手段55の光学的検知部分55a及び第2検知手段56の光学的検知部分56aによって検知される。すなわち、第1検知手段55及び第2検知手段56の発光部62からの光は、第1検知手段55及び第2検知手段56の発光部62と受光部63の間に中間転写ベルト14が位置しているため、中間転写ベルト14で遮られて受光部63で受光できないようになっている。
【0039】
図7(b−2)及び図8(b−2)に示すように、中間転写ベルト14の一端部の端面14bが蛇行許容範囲(−L1)を超えてΔLcだけ幅方向の他方側へ蛇行すると、ばね60で付勢されたアーム54の回動がストッパ61で阻止されているため、中間転写ベルト14がアーム54のベルト当接片58から離れて他方側へ移動し、第1検知手段55の光学的検知部分55aで中間転写ベルト14を検知できず、第2検知手段56の光学的検知部分56aで中間転写ベルト14を検知できるようになっている。
【0040】
図7(c−2)及び図8(c−2)に示すように、中間転写ベルト14の一端部の端面14bが蛇行許容範囲(−L1)を超えて幅方向の他方側へ所定寸法(ΔLd>ΔLc)だけ蛇行すると、第1検知手段55の光学的検知部分55a及び第2検知手段56の光学的検知部分56aが中間転写ベルト14を検知できない状態になる。
【0041】
このようなベルト蛇行検知装置50による中間転写ベルト14の蛇行検知の結果を表1にまとめて表示した。
【0042】
【表1】
【0043】
この表1に示すように、ベルト蛇行検知装置50は、中間転写ベルト14の幅方向の一端部側にのみ配置した2個の検知手段(第1検知手段55及び第2の検知手段56)によって、中間転写ベルト14の基準位置CLからの蛇行方向を検知できると共に、中間転写ベルト14の蛇行量を5段階で検知できるため、中間転写ベルト14の幅方向の両側にそれぞれ2個ずつ検知手段を配置する従来例に比較し、ベルト蛇行検知装置50,これを備えたベルトユニット15及び画像形成装置1の小型化・低コスト化を図ることができる。
【0044】
(ベルト蛇行検知装置の第2例)
図9は、画像形成装置1の中間転写ユニット15に取り付けられたベルト蛇行検知装置50の第2例を示すものである。
【0045】
この第2例に係るベルト蛇行検知装置50は、中間転写ベルト14の幅方向の一端部側で且つ中間転写ベルト14の外周面には、一定幅(X)の光反射材(アルミニウム等の光反射材料からなる被膜)が全周にわたって固定されることにより、光反射部材による光反射領域70が区画形成されている。そして、中間転写ベルト14の幅方向の一端側には、光反射領域70に対応するように第1検知手段71及び第2検知手段72が配置されている。第1検知手段71及び第2検知手段72は、発光部と受光部を共に有する反射式の光学センサであり、中間転写ベルト14の幅方向に沿って離して(中間転写ベルト14の幅方向に沿った離間距離(Y)が光反射領域70の幅寸法(X)よりも小さな寸法となるように)配置されている。そして、第1検知手段71及び第2検知手段72は、発光部から出射した光が中間転写ベルト14の光反射領域70で反射されると、その反射光を受光部で受光できるようになっている。なお、第1検知手段71及び第2検知手段72は、図示しない転写フレームに取り付けられたセンサホルダに固定されており、中間転写ベルト14が転写フレームに対して移動したとしても(幅方向へ蛇行したとしても、即ち従動ローラ25の軸方向に沿って蛇行したとしても)、転写フレームに対する姿勢を変化させることがない。また、この第2例においては、第2検知手段72が第1検知手段71に対して図9(a−1)の左側にずれて配置されている。
【0046】
このようなベルト蛇行検知装置50は、中間転写ベルト14の幅方向の一端部が蛇行許容範囲内にある場合に、第1検知手段71と第2検知手段72が共に光反射領域70からの反射光を受光できるようになっている。
【0047】
中間転写ベルト14の幅方向の一端部が基準位置(図9(a−1),(a−2)の二点鎖線で示す位置、即ち光反射領域70の幅方向の中心位置と、第1検知手段71と第2検知手段72の中間転写ベルト14の幅方向に沿った中間位置とが合致する位置)から中間転写ベルト14の幅方向に沿って一方側(図9(a−1)の右側)へ蛇行し、その中間転写ベルト14の一端部が蛇行許容範囲((X−Y)/2)を超えて幅方向の一方側へ蛇行すると(図9(b−1)参照)、第1検知手段71が光反射領域70からの反射光を検知でき、第2検知手段72が光反射領域70からの反射光を検知できない。
【0048】
さらに、図9(c−1)に示すように、中間転写ベルト14の一端部が蛇行許容範囲を超えて中間転写ベルト14の幅方向の一方側へ所定寸法だけ蛇行すると、第1検知手段71及び第2検知手段72が共に光反射領域70からの反射光を検知できない。
【0049】
図9(a−2)に示すように、中間転写ベルト14の幅方向の一端部が基準位置から中間転写ベルト14の幅方向に沿って他方側(図9(a−2)の左側)へ蛇行し、その中間転写ベルト14の一端部が蛇行許容範囲((X−Y)/2)を超えて幅方向の他方側へ蛇行すると(図9(b−2)参照)、第2検知手段72が光反射領域70からの反射光を検知でき、第1検知手段71が光反射領域70からの反射光を検知できない。
【0050】
さらに、図9(c−2)に示すように、中間転写ベルト14の一端部が蛇行許容範囲を超えて中間転写ベルト14の幅方向の他方側へ所定寸法だけ蛇行すると、第1検知手段71及び第2検知手段72が共に光反射領域70からの反射光を検知できない。
【0051】
この図9に示すように、ベルト蛇行検知装置50は、中間転写ベルト14の幅方向の一端部側にのみ配置した2個の検知手段(第1検知手段71及び第2の検知手段72)によって、中間転写ベルト14の基準位置からの蛇行方向を検知できると共に、ベルトの蛇行量を5段階で検知できるため、中間転写ベルト14の幅方向の両側にそれぞれ2個ずつ検知手段を配置する従来例に比較し、ベルト蛇行検知装置50,これを備えたベルトユニット15及び画像形成装置1の小型化・低コスト化を図ることができる。
【0052】
(ベルト蛇行検知装置の第3例)
ベルト蛇行検知装置50の第3例としては、上記第2例において、光反射部材に代えて磁性部材を中間転写ベルト14に固定し(酸化鉄(III)等の磁性材料からなる被膜を形成し)、その磁性材料の被膜を着磁して着磁領域とし、この着磁領域を光反射領域の代わりとすると共に、第1検知手段及び第2検知手段としての光学センサに代えて磁気センサ(例えば、ホール素子)を使用したものでもよい。
【0053】
この第3例に係るベルト蛇行検知装置50は、中間転写ベルト14の蛇行方向を検知できると共に、中間転写ベルト14の蛇行量を2個の磁気センサのオン・オフによって5段階で検知でき、第2例に係るベルト蛇行検知装置50と同様の効果を得ることができる。
【0054】
(中間転写ユニットの作動制御)
以下、ベルト蛇行検知装置50の検知結果を利用した中間転写ユニット15の作動制御を説明する。
【0055】
図3及び図10に示すように、制御コントローラ44は、ベルト蛇行検知装置50の第1検知手段55(71)及び第2検知手段56(72)のオン・オフ信号が入力されるようになっており、第1検知手段55(71)及び第2検知手段56(72)からのオン・オフ信号に基づいてベルト蛇行補正機構42のモータ45に制御信号を出力して、ベルト蛇行補正機構42のモータ45の駆動制御をするか、又は中間転写ベルト14が巻き掛けられる駆動ローラ24を回転駆動させる駆動用モータ(ベルト駆動手段)65に制御信号を出力し、駆動用モータ65の作動を制御するようになっている。なお、以下の説明において、第1検知手段55(71)及び第2検知手段56(72)が中間転写ベルト14を検知するとは、上記第1例においては中間転写ベルト14を検知する場合をいい、上記第2例においては光反射領域70を検知する場合をいい、上記第3例においては着磁領域を検知している場合をいうものとする。そして、第1検知手段55(71)と第2検知手段56(72)は、中間転写ベルト14を検知している場合に、オン信号を制御コントローラ44に出力し、また、中間転写ベルト14を検知していない場合に、オフ信号を制御コントローラ44に出力するようになっている。
【0056】
制御コントローラ44のベルト蛇行異常判断手段73は、ベルト蛇行検知装置50の第1検知手段55(71)がオンで第2検知手段56(72)がオフの場合、中間転写ベルト14が基準位置から図8(a−1)及び図9(a−1)の右側(幅方向の一方側)方向へ向かって蛇行していると判断する(図8(a−1)〜(b−1)、図9(a−1)〜(b−1)参照)。
【0057】
そして、制御コントローラ44のベルト蛇行異常判断手段73は、ベルト蛇行検知装置50の第1検知手段55(71)がオンで第2検知手段56(72)がオフとなった時からタイマー74を作動させ、中間転写ベルト14の蛇行時間を計測する。
【0058】
中間転写ベルト14の蛇行時間がt1だけ経過し、第1検知手段55(71)及び第2検知手段56(72)が共にオフとなると(図8(c−1)、図9(c−1)参照)、制御コントローラ44は、ベルト蛇行速度算出手段75によって、中間転写ベルト14の図8(b−1)及び図9(b−1)における右側方向への蛇行量(メモリ76に予め保存された値(ΔLb−ΔLa))とその蛇行に要した時間(t1)から蛇行速度(v1)を算出する。
【0059】
次に、制御コントローラ44は、そのベルト蛇行速度算出手段75の算出結果に基づいて、ベルト蛇行補正機構42のモータ45の回転量(駆動パルス数)を蛇行補正値算出手段77によって算出し、この蛇行補正値算出手段77の算出結果に基づいてベルト蛇行補正機構42のモータ45を回動させる。これによって、制御コントローラ44は、中間転写ベルト14の蛇行速度を零に近づけることができる。
【0060】
ここで、制御コントローラ44のベルト蛇行異常判断手段73は、ベルト蛇行補正機構42を作動させた後に、所定時間(t3)経過しても第1検知手段55(71)がオンにならない場合、中間転写ベルト14の位置が異常であると判断し、中間転写ベルト14の駆動用モータ65への通電を遮断すると共に、表示手段(表示パネル,警告ランプ等)78に中間転写ベルト14の異常を表示させる。これによって、中間転写ベルト14の過剰な蛇行に起因する、中間転写ベルト14の破損等の不具合の発生を未然に防止できる。
【0061】
なお、蛇行補正値算出手段77は、予め、モータ45の回動量に対する従動ローラ25のローラ軸43の揺動角度が求められており、また、ローラ軸43の揺動角度及び中間転写ベルト14の回動速度と中間転写ベルト14の蛇行速度との関係が求められているため、中間転写ベルト14の蛇行速度から中間転写ベルト14の蛇行速度を零に近づけるために必要とされるモータ45の駆動用パルス数を算出できるようになっている。
【0062】
また、制御コントローラ44のベルト蛇行異常判断手段73は、ベルト蛇行検知装置50の第1検知手段55(71)がオフで第2検知手段56(72)がオンの場合、中間転写ベルト14が基準位置から図8(a−2)及び図9(a−2)の左側(幅方向の他方側)方向へ向かって蛇行していると判断する(図8(a−2)〜(b−2)、図9(a−2)〜(b−2)参照)。
【0063】
そして、制御コントローラ44のベルト蛇行異常判断手段73は、ベルト蛇行検知装置50の第1検知手段55(71)がオフで第2検知手段56(72)がオンとなった時からタイマー74を作動させ、中間転写ベルト14の蛇行時間を計測する。中間転写ベルト14の蛇行時間がt2だけ経過し、第1検知手段55(71)及び第2検知手段56(72)が共にオフとなると、制御コントローラ44の蛇行補正値算出手段77は、ベルト蛇行速度算出手段75によって、中間転写ベルト14の図8(b−2)及び図9(b−2)における左側方向への蛇行量(メモリ76に予め保存された値(ΔLd−ΔLc)とその蛇行に要した時間(t2)から蛇行速度(v2)を算出する。
【0064】
次に、制御コントローラ44は、そのベルト蛇行速度算出手段75の算出結果に基づいて、ベルト蛇行補正機構42のモータ45の回転量(駆動パルス数)を蛇行補正値算出手段77によって算出し、この蛇行補正値算出手段77の算出結果に基づいてベルト蛇行補正機構42のモータ45を回動させる。これによって、制御コントローラ44は、中間転写ベルト14の蛇行速度を零に近づけることができる。
【0065】
ここで、制御コントローラ44は、ベルト蛇行補正機構42を作動させた後に、所定時間(t3)経過しても第2検知手段56(72)がオンにならない場合、中間転写ベルト14の位置が異常であると判断し、中間転写ベルト14の駆動用モータ65への通電を遮断すると共に、表示手段78(表示パネル、警告ランプ等)に中間転写ベルト14の異常を表示させる。これによって、中間転写ベルト14の過剰な蛇行に起因する、中間転写ベルト14の破損等の不具合の発生を未然に防止できる。
【0066】
また、制御コントローラ44は、中間転写ベルト14の駆動用モータ65を作動させる際に、第1検知手段55(71)及び第2検知手段56(72)が共にオフの場合、中間転写ベルト14の位置が異常であると判断し、中間転写ベルト14の駆動用モータ65への通電を遮断すると共に、表示手段78(表示パネル、警告ランプ等)に中間転写ベルト14の異常を表示させる。
【0067】
(その他の変形例)
なお、本発明のベルト蛇行検知装置50は、上述のような、ベルトが中間転写ベルト14である中間転写ユニット15に適用される場合に限定されるものではなく、シートを表面に担持して各画像ステーション(タンデム方式の4色の画像ステーション)に搬送する搬送ベルトや、ベルト状の感光体である感光体ベルト等のベルトユニットに対してもほぼ同様に適用することができ、この場合にも上記実施形態とほぼ同様の効果を奏することができる。
【0068】
また、本発明に係るベルト蛇行検知装置50は、電子写真方式の画像形成装置であって、中間転写方式の4色フルカラーの画像形成装置1に適用した場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、無端状のベルトを有する種々の画像形成装置、例えばインクジェット記録方式の画像形成装置や、モノクロ印刷用の画像形成装置に対しても広く適用することができる。
【0069】
また、本発明の上記第1例〜第3例に係るベルト蛇行検知装置50は、例えば、中間転写ベルト14の周長が800mmであり、中間転写ベルト14が4秒で1周回動し、中間転写ベルト14の外周面の線速が200mm/secであり、中間転写ベルト14の経時的変化等によって生じる中間転写ベルト14の蛇行速度が0.0125mm/sec程度の条件下において使用されることが好ましい。なお、ここで説明した数値は、本発明の理解を助けるためのものであり、本発明に係るベルト蛇行検知装置50の使用条件を限定するものではない。
【0070】
また、本発明に係るベルト蛇行検知装置50は、図示しないベルト蛇行速度検出装置と共に使用し、この図示しないベルト蛇行速度検出装置の検知結果に基づいてベルト蛇行補正機構を作動させ、ベルト蛇行速度を零に近づけることにより、カラー印刷時の色ズレを防止すると共に、中間転写ベルト14の破損を防止するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1……画像形成装置、4……画像形成部、14……中間転写ベルト(ベルト)、15……中間転写ユニット(ベルトユニット)、24……駆動ローラ(ローラ)、25……従動ローラ(ローラ)、44……制御コントローラ(制御手段)、50……ベルト蛇行検知装置、55,71……第1検知手段、56,72……第2検知手段、65……駆動用モータ(ベルト駆動手段)、P……シート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のローラに巻き掛けられて回動させられる無端状のベルトの蛇行量を検知するベルト蛇行検知装置において、
前記ベルトの幅方向の一端部側には、第1検知手段と第2検知手段とが配置され、
(1)前記ベルトの前記幅方向の一端部が蛇行許容範囲内にある場合に、前記第1検知手段と前記第2検知手段が共に前記ベルトを検知し、
(2)前記ベルトの前記幅方向の一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の一方側へ蛇行すると、前記幅方向にずれて位置する前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか一方が前記ベルトを検知し、前記幅方向にずれて位置する前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか他方が前記ベルトを検知せず、
(3)前記ベルトの前記幅方向の一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の一方側へ所定寸法だけ蛇行すると、前記第1検知手段と前記第2検知手段が共に前記ベルトを検知せず、
(4)前記ベルトの前記幅方向の一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の他方側へ蛇行すると、前記幅方向にずれて位置する前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか他方が前記ベルトを検知し、前記幅方向にずれて位置する前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか一方が前記ベルトを検知せず、
(5)前記ベルトの前記幅方向の一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の他方側へ所定寸法だけ蛇行すると、前記第1検知手段と前記第2検知手段が共に前記ベルトを検知しないようになっており、
前記第1検知手段と前記第2検知手段とによって、前記ベルトの蛇行量を前記(1)〜(5)の5段階に検知する、
ことを特徴とするベルト蛇行検知装置。
【請求項2】
前記ベルトの前記幅方向の一端部側で且つ前記ローラから離れた位置には、支軸を揺動中心として揺動可能に支持されたアームが配置され、
前記アームは、前記ベルトの前記幅方向の一端部にばねで付勢されて当接し、前記ローラから離れた位置の前記ベルトの外周面とほぼ平行な面内で揺動するようになっており、
前記アームの前記支軸寄りの箇所には、前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか一方が配置され、
前記アームのうちで、前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか一方よりも前記支軸から離れた箇所には、前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか他方が配置され、
前記ベルトの前記幅方向の一端部が前記蛇行許容範囲を越えて前記ばねの付勢方向へ所定寸法だけ蛇行すると、前記アームの揺動をストッパで阻止するようになっている、
ことを特徴とする請求項1に記載のベルト蛇行検知装置。
【請求項3】
前記ベルトの前記幅方向の一端部側で且つ前記ベルトの外周面には、一定幅(X)の光反射材が全周にわたって配置されることにより、前記光反射部材による光反射領域が区画形成され、
前記第1検知手段と前記第2検知手段は、発光部と受光部を共に有する光学式センサであり、前記ベルトの前記幅方向に沿って、前記一定幅(X)よりも小さな寸法(Y)だけ離して配置されており、
前記ベルトの前記一端部が前記蛇行許容範囲内にある場合に、前記第1検知手段と前記第2検知手段が、共に前記光反射領域からの反射光を受光でき、
前記ベルトの前記一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の一方側又は他方側へ蛇行すると、前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか一方が前記光反射領域からの反射光を検知でき、前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか他方が前記光反射領域からの反射光を検知できず、
前記ベルトの前記一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の一方側又は他方側へ所定寸法だけ蛇行すると、前記第1検知手段と前記第2検知手段が共に前記光反射領域からの反射光を検知できない、
ことを特徴とする請求項1に記載のベルト蛇行検知装置。
【請求項4】
前記ベルトの前記幅方向の一端部側で且つ前記ベルトの外周面には、一定幅(X)の着磁領域が全周にわたって配置され、
前記第1検知手段と前記第2検知手段は、磁気センサであり、前記ベルトの前記幅方向に沿って、前記一定幅(X)よりも小さな寸法(Y)だけ離して配置されており、
前記ベルトの前記一端部が前記蛇行許容範囲内にある場合に、前記第1検知手段と前記第2検知手段が、共に前記着磁領域を検知でき、
前記ベルトの前記一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の一方側又は他方側へ蛇行すると、前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか一方が前記着磁領域を検知でき、前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか他方が前記着磁領域を検知できず、
前記ベルトの前記一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の一方側又は他方側へ所定寸法だけ蛇行すると、前記第1検知手段と前記第2検知手段が共に前記着磁領域を検知できない、
ことを特徴とする請求項1に記載のベルト蛇行検知装置。
【請求項5】
複数のローラと、
前記複数のローラに巻き掛けられる無端状のベルトと、
前記複数のローラのうちの少なくとも一つを回転駆動して、前記ベルトを回動させるベルト駆動手段と、
前記請求項1乃至4のいずれかに記載のベルト蛇行検知装置と、
前記ベルト蛇行検知装置の検知結果に基づいて前記ベルト駆動手段を作動制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とするベルトユニット。
【請求項6】
前記請求項5に記載のベルトユニットと、
前記ベルトユニットで搬送されるシートに画像を形成する画像形成部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
複数のローラに巻き掛けられて回動させられる無端状のベルトの蛇行量を検知するベルト蛇行検知装置において、
前記ベルトの幅方向の一端部側には、第1検知手段と第2検知手段とが配置され、
(1)前記ベルトの前記幅方向の一端部が蛇行許容範囲内にある場合に、前記第1検知手段と前記第2検知手段が共に前記ベルトを検知し、
(2)前記ベルトの前記幅方向の一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の一方側へ蛇行すると、前記幅方向にずれて位置する前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか一方が前記ベルトを検知し、前記幅方向にずれて位置する前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか他方が前記ベルトを検知せず、
(3)前記ベルトの前記幅方向の一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の一方側へ所定寸法だけ蛇行すると、前記第1検知手段と前記第2検知手段が共に前記ベルトを検知せず、
(4)前記ベルトの前記幅方向の一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の他方側へ蛇行すると、前記幅方向にずれて位置する前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか他方が前記ベルトを検知し、前記幅方向にずれて位置する前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか一方が前記ベルトを検知せず、
(5)前記ベルトの前記幅方向の一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の他方側へ所定寸法だけ蛇行すると、前記第1検知手段と前記第2検知手段が共に前記ベルトを検知しないようになっており、
前記第1検知手段と前記第2検知手段とによって、前記ベルトの蛇行量を前記(1)〜(5)の5段階に検知する、
ことを特徴とするベルト蛇行検知装置。
【請求項2】
前記ベルトの前記幅方向の一端部側で且つ前記ローラから離れた位置には、支軸を揺動中心として揺動可能に支持されたアームが配置され、
前記アームは、前記ベルトの前記幅方向の一端部にばねで付勢されて当接し、前記ローラから離れた位置の前記ベルトの外周面とほぼ平行な面内で揺動するようになっており、
前記アームの前記支軸寄りの箇所には、前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか一方が配置され、
前記アームのうちで、前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか一方よりも前記支軸から離れた箇所には、前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか他方が配置され、
前記ベルトの前記幅方向の一端部が前記蛇行許容範囲を越えて前記ばねの付勢方向へ所定寸法だけ蛇行すると、前記アームの揺動をストッパで阻止するようになっている、
ことを特徴とする請求項1に記載のベルト蛇行検知装置。
【請求項3】
前記ベルトの前記幅方向の一端部側で且つ前記ベルトの外周面には、一定幅(X)の光反射材が全周にわたって配置されることにより、前記光反射部材による光反射領域が区画形成され、
前記第1検知手段と前記第2検知手段は、発光部と受光部を共に有する光学式センサであり、前記ベルトの前記幅方向に沿って、前記一定幅(X)よりも小さな寸法(Y)だけ離して配置されており、
前記ベルトの前記一端部が前記蛇行許容範囲内にある場合に、前記第1検知手段と前記第2検知手段が、共に前記光反射領域からの反射光を受光でき、
前記ベルトの前記一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の一方側又は他方側へ蛇行すると、前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか一方が前記光反射領域からの反射光を検知でき、前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか他方が前記光反射領域からの反射光を検知できず、
前記ベルトの前記一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の一方側又は他方側へ所定寸法だけ蛇行すると、前記第1検知手段と前記第2検知手段が共に前記光反射領域からの反射光を検知できない、
ことを特徴とする請求項1に記載のベルト蛇行検知装置。
【請求項4】
前記ベルトの前記幅方向の一端部側で且つ前記ベルトの外周面には、一定幅(X)の着磁領域が全周にわたって配置され、
前記第1検知手段と前記第2検知手段は、磁気センサであり、前記ベルトの前記幅方向に沿って、前記一定幅(X)よりも小さな寸法(Y)だけ離して配置されており、
前記ベルトの前記一端部が前記蛇行許容範囲内にある場合に、前記第1検知手段と前記第2検知手段が、共に前記着磁領域を検知でき、
前記ベルトの前記一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の一方側又は他方側へ蛇行すると、前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか一方が前記着磁領域を検知でき、前記第1検知手段と前記第2検知手段のいずれか他方が前記着磁領域を検知できず、
前記ベルトの前記一端部が前記蛇行許容範囲を超えて前記幅方向の一方側又は他方側へ所定寸法だけ蛇行すると、前記第1検知手段と前記第2検知手段が共に前記着磁領域を検知できない、
ことを特徴とする請求項1に記載のベルト蛇行検知装置。
【請求項5】
複数のローラと、
前記複数のローラに巻き掛けられる無端状のベルトと、
前記複数のローラのうちの少なくとも一つを回転駆動して、前記ベルトを回動させるベルト駆動手段と、
前記請求項1乃至4のいずれかに記載のベルト蛇行検知装置と、
前記ベルト蛇行検知装置の検知結果に基づいて前記ベルト駆動手段を作動制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とするベルトユニット。
【請求項6】
前記請求項5に記載のベルトユニットと、
前記ベルトユニットで搬送されるシートに画像を形成する画像形成部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−243791(P2010−243791A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−92584(P2009−92584)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]