説明

ベルト蛇行防止装置

【課題】搬送ベルトの蛇行を効果的に防止できるベルト蛇行防止装置を提供する。
【解決手段】ベルト蛇行防止装置8a,8bは、ローラ支持回動体18,18bと、ローラ支持回動体18,18bにて支持したガイドローラ体20,20bとを備える。ベルト蛇行防止装置8a,8bは、ローラ支持回動体18,18bと係合してガイドローラ体20,20bをその回転中心軸線Xが平面視で搬送ベルト2の幅方向に一致する状態に位置させるストッパ体21,21bと、ローラ支持回動体18,18bをストッパ体21,21b側に向けて付勢する付勢体23,23bとを備える。搬送ベルト2に蛇行が発生した場合、ローラ支持回動体18,18bが付勢体23,23bの付勢に抗して回動し、ガイドローラ体20,20bがその回転中心軸線Xが平面視で搬送ベルト2の幅方向に対して傾斜した傾斜状態になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトコンベヤの搬送ベルトの蛇行を効果的に防止できるベルト蛇行防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば駆動ユニットと頭尾部プーリとの間におけるコンベヤフレームの下部または側部の対向する位置に少なくとも2組のブラケットを設け、各ブラケットに搬送ベルトの幅方向端縁側を大径にし小径側を所定の間隔をおいて向かい合わせた截頭円錐形ローラを有するテーパガイドローラ体のローラ支軸を固着して、ベルトコンベヤの搬送ベルトの復路面部(帰り側ベルト)を押上げ支持するようにしたベルト蛇行防止装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−56708号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のベルト蛇行防止装置のように、テーパガイドローラ体のローラ支軸をブラケットに固着する構成では、ベルト蛇行防止の効果が不十分で、搬送ベルトの蛇行を防止できないおそれがある。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、ベルトコンベヤの搬送ベルトの蛇行を効果的に防止できるベルト蛇行防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載のベルト蛇行防止装置は、ベルトコンベヤの搬送ベルトの蛇行を防止するベルト蛇行防止装置であって、ローラ支持回動体と、このローラ支持回動体にて支持され、前記搬送ベルトと接触するガイドローラ体と、前記ローラ支持回動体と係合し、前記ガイドローラ体をその回転中心軸線が平面視で前記搬送ベルトの幅方向に一致する状態に位置させるストッパ体と、前記ローラ支持回動体を前記ストッパ体側に向けて付勢する付勢体とを備え、前記搬送ベルトに蛇行が発生した場合、前記ローラ支持回動体が前記付勢体の付勢に抗して回動し、前記ガイドローラ体がその回転中心軸線が平面視で前記搬送ベルトの幅方向に対して傾斜した傾斜状態になるものである。
【0006】
請求項2記載のベルト蛇行防止装置は、請求項1記載のベルト蛇行防止装置において、搬送ベルトの蛇行発生時にローラ支持回動体と係合し、このローラ支持回動体が所定角度以上回動するのを規制する傾斜制限用ストッパ体を備えるものである。
【0007】
請求項3記載のベルト蛇行防止装置は、請求項1または2記載のベルト蛇行防止装置において、ローラ支持回動体にて支持され、搬送ベルトの蛇行発生時にこの搬送ベルトの幅方向端面と接触するサイドガイドローラ体を備えるものである。
【0008】
請求項4記載のベルト蛇行防止装置は、請求項1ないし3のいずれか一記載のベルト蛇行防止装置において、ローラ支持回動体が上下方向に回動調節可能となっているものである。
【0009】
請求項5記載のベルト蛇行防止装置は、ベルトコンベヤの搬送ベルトの蛇行を防止するベルト蛇行防止装置であって、互いに離間対向して位置する一方側ローラ支持回動体および他方側ローラ支持回動体と、これら一方側ローラ支持回動体および他方側ローラ支持回動体にて両持状態に支持され、前記搬送ベルトと接触するガイドローラ体と、前記一方側ローラ支持回動体および他方側ローラ支持回動体とそれぞれ係合し、前記ガイドローラ体をその回転中心軸線が平面視で前記搬送ベルトの幅方向に一致する状態に位置させる一方側ストッパ体および他方側ストッパ体と、前記一方側ローラ支持回動体を前記一方側ストッパ体側に向けて付勢する一方側付勢体と、前記他方側ローラ支持回動体を前記他方側ストッパ体側に向けて付勢する他方側付勢体とを備え、前記搬送ベルトに一方側への蛇行が発生した場合、前記一方側ローラ支持回動体が前記一方側付勢体の付勢に抗して回動し、前記ガイドローラ体がその回転中心軸線が平面視で前記搬送ベルトの幅方向に対して傾斜した傾斜状態になり、前記搬送ベルトに他方側への蛇行が発生した場合、前記他方側ローラ支持回動体が前記他方側付勢体の付勢に抗して回動し、前記ガイドローラ体がその回転中心軸線が平面視で前記搬送ベルトの幅方向に対して傾斜した傾斜状態になるものである。
【0010】
請求項6記載のベルト蛇行防止装置は、請求項5記載のベルト蛇行防止装置において、搬送ベルトの一方側への蛇行発生時に一方側ローラ支持回動体と係合し、この一方側ローラ支持回動体が所定角度以上回動するのを規制する一方側傾斜制限用ストッパ体と、前記搬送ベルトの他方側への蛇行発生時に他方側ローラ支持回動体と係合し、この他方側ローラ支持回動体が所定角度以上回動するのを規制する他方側傾斜制限用ストッパ体とを備えるものである。
【0011】
請求項7記載のベルト蛇行防止装置は、請求項5または6記載のベルト蛇行防止装置において、一方側ローラ支持回動体にて支持され、搬送ベルトの一方側への蛇行発生時にこの搬送ベルトの幅方向一端面と接触する一方側サイドガイドローラ体と、他方側ローラ支持回動体にて支持され、搬送ベルトの他方側への蛇行発生時にこの搬送ベルトの幅方向他端面と接触する他方側サイドガイドローラ体とを備えるものである。
【0012】
請求項8記載のベルト蛇行防止装置は、請求項5ないし7のいずれか一記載のベルト蛇行防止装置において、一方側ローラ支持回動体および他方側ローラ支持回動体の各々が、上下方向に回動調節可能となっているものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、搬送ベルトに蛇行が発生した場合、ローラ支持回動体が付勢体の付勢に抗して回動し、ガイドローラ体がその回転中心軸線が平面視で搬送ベルトの幅方向に対して傾斜した傾斜状態になり、この傾斜状態のガイドローラ体にて搬送ベルトの蛇行を適切に修正できるため、ベルトコンベヤの搬送ベルトの蛇行を効果的に防止できる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、搬送ベルトの蛇行発生時にローラ支持回動体と係合し、このローラ支持回動体が所定角度以上回動するのを規制する傾斜制限用ストッパ体を備えるため、ガイドローラ体が必要以上に傾斜してしまうことがなく、搬送ベルトの蛇行を確実に修正できる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、ローラ支持回動体にて支持されたサイドガイドローラ体を備えるため、ベルトコンベヤの搬送ベルトの蛇行をより一層効果的に防止できる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、ローラ支持回動体が上下方向に回動調節可能となっているため、ガイドローラ体の回転中心軸線を水平面に対して傾斜させることができる。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、搬送ベルトに一方側への蛇行が発生した場合、一方側ローラ支持回動体が一方側付勢体の付勢に抗して回動し、ガイドローラ体がその回転中心軸線が平面視で搬送ベルトの幅方向に対して傾斜した傾斜状態になり、この傾斜状態のガイドローラ体にて搬送ベルトの一方側への蛇行を適切に修正できるため、ベルトコンベヤの搬送ベルトの蛇行を効果的に防止でき、また、搬送ベルトに他方側への蛇行が発生した場合、他方側ローラ支持回動体が他方側付勢体の付勢に抗して回動し、ガイドローラ体がその回転中心軸線が平面視で搬送ベルトの幅方向に対して傾斜した傾斜状態になり、この傾斜状態のガイドローラ体にて搬送ベルトの他方側への蛇行を適切に修正できるため、ベルトコンベヤの搬送ベルトの蛇行を効果的に防止できる。
【0018】
請求項6に係る発明によれば、搬送ベルトの一方側への蛇行発生時に一方側ローラ支持回動体と係合し、この一方側ローラ支持回動体が所定角度以上回動するのを規制する一方側傾斜制限用ストッパ体を備えるため、ガイドローラ体が必要以上に傾斜してしまうことがなく、搬送ベルトの一方側への蛇行を確実に修正でき、また、搬送ベルトの他方側への蛇行発生時に他方側ローラ支持回動体と係合し、この他方側ローラ支持回動体が所定角度以上回動するのを規制する他方側傾斜制限用ストッパ体を備えるため、ガイドローラ体が必要以上に傾斜してしまうことがなく、搬送ベルトの他方側への蛇行を確実に修正できる。
【0019】
請求項7に係る発明によれば、一方側ローラ支持回動体にて支持された一方側サイドガイドローラ体と、他方側ローラ支持回動体にて支持された他方側サイドガイドローラ体とを備えるため、ベルトコンベヤの搬送ベルトの蛇行をより一層効果的に防止できる。
【0020】
請求項8に係る発明によれば、一方側ローラ支持回動体および他方側ローラ支持回動体の各々が上下方向に回動調節可能となっているため、ガイドローラ体の回転中心軸線を水平面に対して傾斜させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明のベルト蛇行防止装置の第1の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0022】
図1ないし図3において、1はベルトコンベヤで、このベルトコンベヤ1は、物品Wを載置搬送する無端状の平ベルト等の搬送ベルト2を備えている。
【0023】
搬送ベルト2は、長手状のコンベヤフレーム5の長手方向両端部に設けられた互いに離間対向する対をなす巻き掛け部であるエンドローラ6間に回行可能に巻き掛けられている。
【0024】
そして、ベルトコンベヤ1の正転運転時には、搬送ベルト2は、モータ等の駆動手段(図示せず)からの動力に基づいて回行して物品Wを往路面部3上に載せて所定方向に(図1中、左方向)搬送する。ベルトコンベヤ1の逆転運転時には、搬送ベルト2は、モータ等の駆動手段(図示せず)からの動力に基づいて回行して物品Wを往路面部3上に載せて所定方向(図2中、右方向)搬送する。
【0025】
また、ベルトコンベヤ1は、正転運転時に搬送方向上流側における搬送方向左右両側に位置して搬送ベルト2の蛇行を復路面部4で防止する1対の正転用のベルト蛇行防止装置8a,8bと、逆転運転時に搬送方向上流側における搬送方向左右両側に位置して搬送ベルト2の蛇行を復路面部4で防止する1対の逆転用のベルト蛇行防止装置8c,8dとを備えている。
【0026】
なお、正転用のベルト蛇行防止装置8a,8bと逆転用のベルト蛇行防止装置8c,8dとは、搬送方向に対して前後対称に配置されている点が異なるのみで構成は同一であるため、以後は正転用のベルト蛇行防止装置8a,8bを中心に説明する。
【0027】
また、1つの正転用のベルト蛇行防止部を構成する2つで1組の正転用のベルト蛇行防止装置8a,8bは、搬送方向に対して左右対称に配置されている点が異なるのみで構成は同一であるため、以後は2つのベルト蛇行防止装置8a,8bのうちの一方のベルト蛇行防止装置8aを中心に説明し、ベルト蛇行防止装置8bの各構成部材は、ベルト蛇行防止装置8aの対応する各構成部材の符号に「b」を付す。
【0028】
ユニット状のベルト蛇行防止装置(ベルト自動調整ユニット)8aは、図4に示されるように、コンベヤフレーム5の下部に固着された水平状の略板状のベース体11と、ベース体11の内端部にコンベヤフレーム5の長手方向に沿った水平方向の軸12を中心として上下方向に回動可能に設けられた略板状の上下回動体13とを備えている。なお、上下回動体13の水平面に対する傾斜角度αは、ベース体11のねじ孔部(図示せず)に螺合されナット14で緩み防止された角度調整用の押しボルト15の回動操作によって調整可能となっている。
【0029】
また、ベルト蛇行防止装置8aは、図5ないし図8に示されるように、上下回動体13に搬送ベルト2の幅方向中央寄りに位置する上下方向の軸16を中心として回動可能に設けられた略板状のローラ支持回動体18と、このローラ支持回動体18にて片持状態に支持され搬送ベルト2の復路面部4の上下面のいずれか一方、例えば下面と接触するガイドローラ体20と備えている。なお、ローラ支持回動体18は、角度調整用の押しボルト15の回動操作によって上下回動体13とともに上下方向に回動調節可能となっている。
【0030】
さらに、ベルト蛇行防止装置8aは、ベース体11に立設されローラ支持回動体18と係合、例えば当接してガイドローラ体20をその回転中心軸線Xが平面視で搬送ベルト2の幅方向に一致する状態に位置させる上下方向の軸状のストッパ体21と、ローラ支持回動体18をストッパ体21側に向けて付勢する付勢体23とを備えている。また、ベルト蛇行防止装置8aは、ベース体11に立設され搬送ベルト2の蛇行発生時にローラ支持回動体18と係合、例えば当接してこのローラ支持回動体18が所定角度以上回動するのを規制する上下方向の軸状の傾斜制限用ストッパ体22を備えている。
【0031】
ここで、ローラ支持回動体18は、略板状の上下回動体13の上に略重なった状態で位置する略矩形状の基板部26と、基板部26の搬送ベルト2の幅方向端部側の端部から立ち上がった立上板部27と、基板部26の搬送ベルト2の幅方向端部側の端部両側に突設された2つの突出板部28,29とを有している。
【0032】
そして、ローラ支持回動体18の立上板部27によって、ガイドローラ体20が片持状態に支持されている。ガイドローラ体20は、水平状に位置するローラ軸部材31と、このローラ軸部材31にて回転可能に軸支され回転中心軸線Xを中心として回転する外周面が円筒面状をなすローラ部材32とを有し、ローラ軸部材31の片方の端部が立上板部27に固着されている。
【0033】
また、ローラ支持回動体18の2つの突出板部28,29のうち、正転運転時における搬送ベルト2の復路面部4の進行方向上流側に位置する片方の突出板部29によって、搬送ベルト2の蛇行発生時にこの搬送ベルト2の復路面部4の幅方向端面と接触するセンサーローラ手段であるサイドガイドローラ体35が支持されている。サイドガイドローラ体35は、垂直状に位置するローラ軸部材36と、このローラ軸部材36にて回転可能に軸支され外周面が円筒面状をなすローラ部材37とを有し、ローラ軸部材36の下端部が片方の突出板部29に固着されている。
【0034】
なお、ローラ支持回動体18は、突出板部29のみを有する構成でもよく、また立上板部27を一対設けてガイドローラ体20を両持状態で支持する構成でもよい。
【0035】
付勢体23は、例えば引張コイルばねにて構成され、ベース体11とローラ支持回動体18との間に設けられている。ベース体11には複数、例えば5個の孔部41が搬送ベルト2の幅方向に沿って並設され、これら複数の孔部41の中から選択された1つの孔部41に棒状のばね受け部材42が脱着可能に取り付けられている。ローラ支持回動体18のサイドガイドローラ体35が取り付けられた側の突出板部29には、棒状のばね受け部材43が立設されている。
【0036】
そして、付勢体23の一端部がベース体11側のばね受け部材42に取り付けられ、付勢体23の他端部がローラ支持回動体18側のばね受け部材43に取り付けられ、このローラ支持回動体18が付勢体23にてストッパ体21側に向って常時付勢されている。なお付勢体23の端部をローラ支持回動体18に直接取り付けるようにしてもよい。
【0037】
次に、ベルト蛇行防止装置8aの動作等を図面を参照して説明する。
【0038】
図5に示すように、搬送ベルト2の復路面部4が所定方向(図5中、下方向)に向って進行する正転運転状態において、搬送ベルト2の復路面部4の通常進行時には、ローラ支持回動体18が付勢体23の付勢に基づいてストッパ体21と係合して位置決めされることによって、ガイドローラ体20は、回転中心軸線Xが平面視で搬送ベルト2の復路面部4の幅方向に一致した非傾斜状態で、搬送ベルト2の復路面部4と接触する。このため、ガイドローラ体20は、搬送ベルト2の復路面部4の進行に対して悪影響を及ぼさない。
【0039】
また、図1および図6に示すように、ベルトコンベヤ1の正転運転状態において、搬送ベルト2の復路面部4が幅方向一方側、例えば図5中、左方向に向って大きく蛇行し復路面部4全体が片寄って復路面部4の幅方向端面がサイドガイドローラ体35に接触すると、ベルト蛇行防止装置8aのローラ支持回動体18が軸16を中心として付勢体23の付勢に抗して回動して傾斜制限用ストッパ体22と係合し、ガイドローラ体20が復路面部4の幅方向中心側を向くように回転中心軸線Xが平面視で搬送ベルト2の復路面部4の幅方向に対して傾斜した最大の傾斜状態となって搬送ベルト2の復路面部4と接触する。
【0040】
なお、搬送ベルト2の蛇行量によっては、ローラ支持回動体18は傾斜制限用ストッパ体22と係合する位置までは回動せず、ガイドローラ体20は、最大の傾斜状態時に比べて小さい傾斜角度をもって搬送ベルト2の蛇行量に対応した傾斜状態となって搬送ベルト2の復路面部4と接触する。
【0041】
そして、傾斜状態のガイドローラ体20のローラ部材32の回転中心軸線Xを中心とする回転によって、このローラ部材32から搬送ベルト2の復路面部4へ蛇行修正方向の力が働き、搬送ベルト2の蛇行が修正される。なお、ガイドローラ体20は、ローラ支持回動体18が傾斜制限用ストッパ体22との係合によって所定角度以上回動しないため、必要以上に傾斜して内向きになることがない。また、蛇行要因発生により搬送ベルト2に蛇行が発生し上記のようにして蛇行修正が修正されると、ほとんどの場合は完全にはもとの状態(図5に示す状態)には戻らず、若干いずれかに片寄った状態でバランスがとられる。
【0042】
なお、ベルトコンベヤ1の正転運転状態では、逆転用のベルト蛇行防止装置8c,8dのローラ支持回動体18が、常にストッパ体21と係合して所定状態に位置決めされているため、逆転用のベルト蛇行防止装置8c,8dのガイドローラ体20は、回転中心軸線Xが平面視で復路面部4の幅方向に一致した状態に保持され、復路面部4の進行に対して悪影響を及ぼすことがなく、正転用のベルト蛇行防止装置8a,8bの蛇行防止機能を阻害することがない。
【0043】
また、図示しないが、ベルトコンベヤ1の正転運転状態において、搬送ベルト2が幅方向他方側、例えば図5中、右方向に向って蛇行した場合、ベルト蛇行防止装置8aに代わって、ベルト蛇行防止装置8bのガイドローラ体20bが回転中心軸線Xが平面視で復路面部4の幅方向に対して傾斜した傾斜状態となって搬送ベルト2の復路面部4と接触して蛇行防止機能を発揮する。
【0044】
なお、図2に示すように、ベルトコンベヤ1の逆転運転状態において、搬送ベルト2が幅方向一方側に向って蛇行した際には、ベルト蛇行防止装置8cのガイドローラ体20が平面視で復路面部4の幅方向に対して傾斜した傾斜状態となって復路面部4と接触して蛇行防止機能を発揮し、搬送ベルト2が幅方向他方側に向って蛇行した際には、ベルト蛇行防止装置8dのガイドローラ体20bが平面視で復路面部4の幅方向に対して傾斜した傾斜状態となって復路面部4と接触して蛇行防止機能を発揮する。
【0045】
そして、ベルト蛇行防止装置8aによれば、搬送ベルト2に蛇行が発生した場合、ローラ支持回動体18が付勢体23の付勢に抗してその蛇行量に対応して回動し、ガイドローラ体20がその回転中心軸線Xが平面視で搬送ベルト2の幅方向に対して傾斜した傾斜状態になり、この傾斜状態のガイドローラ体20にて搬送ベルト2の蛇行を適切に修正できるため、搬送ベルト2の蛇行を効果的に防止できる。
【0046】
また、搬送ベルト2の蛇行発生時にローラ支持回動体18と係合しこのローラ支持回動体18が所定角度以上回動するのを規制する傾斜制限用ストッパ体22を備えるため、ガイドローラ体20が必要以上に傾斜してしまうことがなく、搬送ベルト2の蛇行を確実に修正できる。
【0047】
また、ローラ支持回動体18にて支持されたサイドガイドローラ体35を備えるため、ガイドローラ体20を搬送ベルト2の幅方向に対して確実に傾斜状態にでき、搬送ベルト2の復路面部4の蛇行をより一層効果的に防止できる
さらに、ローラ支持回動体18が上下方向に回動調節可能となっているため、ガイドローラ体20の回転中心軸線Xを水平面に対して傾斜させることができ、例えば搬送ベルト2の両側においてローラ支持回動体18を水平面に対して傾斜させることで、搬送ベルト2がすり鉢状となって幅方向中央に寄るようにでき、蛇行調整機能の向上を図ることができる。
【0048】
また、搬送ベルト2の復路面部4の蛇行発生の際に、復路面部4の幅方向端面がサイドガイドローラ体35と接触する前の段階から、ローラ支持回動体18が前後に傾斜して復路面部4から受ける力で回動を開始するとともにローラ支持回動体18が上下に傾斜して復路面部4を受けるため、復路面部4の幅方向端面とサイドガイドローラ体35とが強く衝突することがなく、搬送ベルト2を保護でき、搬送ベルト2の寿命を延ばすことができる。
【0049】
またさらに、図1に示すように4つのベルト蛇行防止装置8a,8b,8c,8dを搬送方向上下流の左右両側に配設した場合には、正転運転時の幅方向一方側および他方側への蛇行と逆転運転時の幅方向一方側および他方側への蛇行とをそれぞれ効果的に防止でき、正逆運転に適切に対応できる。なお、逆転運転を行わないベルトコンベヤ1においては、図9に示すように、正転用の2つのベルト蛇行防止装置8a,8bを搬送方向上流の左右両側に配設するようにしてもよい。
【0050】
なお、ベース体11に形成された複数の孔部41に対するばね受け部材42の取付位置の変更により付勢体23の付勢力の調整を行えるようにした構成には限定されず、例えば図10に示すように、ベース体11に形成された搬送ベルト2の幅方向に長手状の長孔部41aに対するばね受け部材42の取付位置の変更によって付勢体23の付勢力が調整可能となっている構成でもよい。
【0051】
また、図11に示すように、ねじ46およびロックナット47からなる調整手段48によって付勢体23の付勢力が調整可能となっている構成でもよい。
【0052】
次に、本発明のベルト蛇行防止装置の第2の実施の形態を図12ないし図17を参照して説明する。なお、第1の実施の形態と同一の構成部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0053】
図12ないし図17に示すベルトコンベヤ1は、正転運転時に搬送方向上流側、つまり復路面部4の進行方向下流側に位置して搬送ベルト2の蛇行を復路面部4で防止する1つの正転用のベルト蛇行防止装置51aと、逆転運転時に搬送方向上流側つまり復路面部4の進行方向下流側に位置して搬送ベルト2の蛇行を復路面部4で防止する1つの逆転用のベルト蛇行防止装置51bとを備えている。
【0054】
なお、正転用のベルト蛇行防止装置51aと逆転用のベルト蛇行防止装置51bとは、搬送方向に対して前後対称に配置されている点が異なるのみで構成は同一であるため、以後は正転用のベルト蛇行防止装置51aを中心に説明する。
【0055】
ベルト蛇行防止装置51aは、図14ないし図17に示すように、前記第1の実施の形態に係るベルト蛇行防止装置8a,8bの片持ちのガイドローラ体20,20に代えて、両持ちの1本のガイドローラ体52を設けた構成である。
【0056】
すなわち例えばベルト蛇行防止装置8aのローラ支持回動体18、ストッパ体(第1ストッパ体)21、傾斜制限用ストッパ体(第2ストッパ体)22、付勢体23およびサイドガイドローラ体35にて、それぞれベルト蛇行防止装置51aの一方側ローラ支持回動体、一方側ストッパ体、一方側傾斜制限用ストッパ体、一方側付勢体および一方側サイドガイドローラ体が構成され、ベルト蛇行防止装置8bのローラ支持回動体18b、ストッパ体21b、傾斜制限用ストッパ体22b、付勢体23bおよびサイドガイドローラ体35bにて、それぞれベルト蛇行防止装置51aの他方側ローラ支持回動体、他方側ストッパ体、他方側傾斜制限用ストッパ体、他方側付勢体および他方側サイドガイドローラ体が構成されている。
【0057】
そして、軸方向長さが搬送ベルト2の幅方向長さと略同じ1本のガイドローラ体52は、互いに離間対向して位置する一方側ローラ支持回動体18の立上板部27と他方側ローラ支持回動体18bの立上板部27bによって両持状態に支持されている。
【0058】
このガイドローラ体52は、水平状に位置するローラ軸部材53と、このローラ軸部材53にて回転可能に軸支され回転中心軸線Xを中心として回転する外周面が円筒面状をなすローラ部材54とを有している。ローラ軸部材53の軸方向一端部は一方側ローラ支持回動体18の立上板部27に形成された軸受け孔(図示せず)に遊嵌され、ローラ軸部材53の軸方向他端部は他方側ローラ支持回動体18bの立上板部27bに形成された軸受け孔(図示せず)に遊嵌されている。
【0059】
そして、図14に示すように搬送ベルト2の復路面部4の通常進行時には、一方側ローラ支持回動体18が一方側ストッパ体21と係合して位置決めされかつ他方側ローラ支持回動体18bが他方側ストッパ体21bと係合して位置決めされることによって、ガイドローラ体52は、回転中心軸線Xが平面視で搬送ベルト2の復路面部4の幅方向に一致した非傾斜状態で、搬送ベルト2の復路面部4と接触する。
【0060】
また、図15に示すように搬送ベルト2の復路面部4の幅方向一方側への蛇行発生により復路面部4の幅方向一端面がサイドガイドローラ体35に接触すると、他方側ローラ支持回動体18bが停止したまま、一方側ローラ支持回動体18が一方側付勢体23の付勢に抗して回動して一方側傾斜制限用ストッパ体22と係合し、ガイドローラ体52が回転中心軸線Xが平面視で搬送ベルト2の復路面部4の幅方向に対して傾斜した最大の傾斜状態となって搬送ベルト2の復路面部4と接触し、その結果、ガイドローラ体52のローラ部材54から搬送ベルト2の復路面部4へ蛇行修正方向の力が働き、搬送ベルト2の蛇行が修正される。なお、搬送ベルト2の蛇行量によっては、一方側ローラ支持回動体18は一方側傾斜制限用ストッパ体22と係合する位置までは回動せず、ガイドローラ体52は、最大の傾斜状態時に比べて小さい傾斜角度をもって搬送ベルト2の蛇行量に対応した傾斜状態となる。
【0061】
さらに、図16に示すように搬送ベルト2の復路面部4の幅方向他方側への蛇行発生により復路面部4の幅方向他端面がサイドガイドローラ体35bに接触すると、一方側ローラ支持回動体18が停止したまま、他方側ローラ支持回動体18bが他方側付勢体23bの付勢に抗して回動して他方側傾斜制限用ストッパ体22bと係合し、ガイドローラ体52が回転中心軸線Xが平面視で搬送ベルト2の復路面部4の幅方向に対して傾斜した最大の傾斜状態となって搬送ベルト2の復路面部4と接触し、その結果、ガイドローラ体52のローラ部材54から搬送ベルト2の復路面部4へ蛇行修正方向の力が働き、搬送ベルト2の蛇行が修正される。なお、搬送ベルト2の蛇行量によっては、他方側ローラ支持回動体18bは他方側傾斜制限用ストッパ体22bと係合する位置までは回動せず、ガイドローラ体52は、最大の傾斜状態時に比べて小さい傾斜角度をもって搬送ベルト2の蛇行量に対応した傾斜状態となる。
【0062】
このようにベルト蛇行防止装置51aでも、傾斜状態のガイドローラ体52にて搬送ベルト2の蛇行を適切に修正できるため、搬送ベルト2の蛇行を効果的に防止できる等、上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0063】
なお、図示しないが、逆転運転を行わないベルトコンベヤ1においては、正転用の1つのベルト蛇行防止装置52aのみを搬送方向上流に配設するようにしてもよい。
【0064】
また、ガイドローラ体20,52が搬送ベルト2の復路面部4の下面と接触する構成には限定されず、ガイドローラ体20,52が搬送ベルト2の復路面部4の上面と接触する構成でもよく、またガイドローラ体20,52が搬送ベルト2の往路面部3の上下面のいずれか一方と接触するようにして往路面部3で蛇行を防止するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るベルト蛇行防止装置を備えたベルトコンベヤの正転運転時の平面図である。
【図2】同上ベルトコンベヤの逆転運転時の平面図である。
【図3】同上ベルトコンベヤの概略側面図である。
【図4】同上ベルトコンベヤの部分正面図である。
【図5】同上ベルト蛇行防止装置の平面図である。
【図6】同上ベルト蛇行防止装置の蛇行発生時の平面図である。
【図7】同上ベルト蛇行防止装置の斜視図である。
【図8】同上ベルト蛇行防止装置の側面図である。
【図9】正転運転のみ行うベルトコンベヤの場合の変形例である。
【図10】同上ベルト蛇行防止装置の変形例を示す平面図である。
【図11】同上ベルト蛇行防止装置の他の変形例を示す平面図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係るベルト蛇行防止装置を備えたベルトコンベヤの正転運転時の平面図である。
【図13】同上ベルトコンベヤの逆転運転時の平面図である。
【図14】同上ベルト蛇行防止装置の平面図である。
【図15】同上ベルト蛇行防止装置の蛇行発生時の平面図である。
【図16】同上ベルト蛇行防止装置の蛇行発生時の平面図である。
【図17】同上ベルト蛇行防止装置の部分正面図である。
【符号の説明】
【0066】
1 ベルトコンベヤ
2 搬送ベルト
8a,51a ベルト蛇行防止装置
18 ローラ支持回動体(一方側ローラ支持回動体)
20 ガイドローラ体(一方側ガイドローラ体)
21 ストッパ体(一方側ストッパ体)
22 傾斜制限用ストッパ体(一方側傾斜制限用ストッパ体)
23 付勢体(一方側付勢体)
35 サイドガイドローラ体(一方側サイドガイドローラ体)
18b 他方側ローラ支持回動体
21b 他方側ストッパ体
22b 他方側傾斜制限用ストッパ体
23b 他方側付勢体
35b 他方側サイドガイドローラ体
52 ガイドローラ体
X 回転中心軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトコンベヤの搬送ベルトの蛇行を防止するベルト蛇行防止装置であって、
ローラ支持回動体と、
このローラ支持回動体にて支持され、前記搬送ベルトと接触するガイドローラ体と、
前記ローラ支持回動体と係合し、前記ガイドローラ体をその回転中心軸線が平面視で前記搬送ベルトの幅方向に一致する状態に位置させるストッパ体と、
前記ローラ支持回動体を前記ストッパ体側に向けて付勢する付勢体とを備え、
前記搬送ベルトに蛇行が発生した場合、前記ローラ支持回動体が前記付勢体の付勢に抗して回動し、前記ガイドローラ体がその回転中心軸線が平面視で前記搬送ベルトの幅方向に対して傾斜した傾斜状態になる
ことを特徴とするベルト蛇行防止装置。
【請求項2】
搬送ベルトの蛇行発生時にローラ支持回動体と係合し、このローラ支持回動体が所定角度以上回動するのを規制する傾斜制限用ストッパ体を備える
ことを特徴とする請求項1記載のベルト蛇行防止装置。
【請求項3】
ローラ支持回動体にて支持され、搬送ベルトの蛇行発生時にこの搬送ベルトの幅方向端面と接触するサイドガイドローラ体を備える
ことを特徴とする請求項1または2記載のベルト蛇行防止装置。
【請求項4】
ローラ支持回動体が上下方向に回動調節可能となっている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載のベルト蛇行防止装置。
【請求項5】
ベルトコンベヤの搬送ベルトの蛇行を防止するベルト蛇行防止装置であって、
互いに離間対向して位置する一方側ローラ支持回動体および他方側ローラ支持回動体と、
これら一方側ローラ支持回動体および他方側ローラ支持回動体にて両持状態に支持され、前記搬送ベルトと接触するガイドローラ体と、
前記一方側ローラ支持回動体および他方側ローラ支持回動体とそれぞれ係合し、前記ガイドローラ体をその回転中心軸線が平面視で前記搬送ベルトの幅方向に一致する状態に位置させる一方側ストッパ体および他方側ストッパ体と、
前記一方側ローラ支持回動体を前記一方側ストッパ体側に向けて付勢する一方側付勢体と、
前記他方側ローラ支持回動体を前記他方側ストッパ体側に向けて付勢する他方側付勢体とを備え、
前記搬送ベルトに一方側への蛇行が発生した場合、前記一方側ローラ支持回動体が前記一方側付勢体の付勢に抗して回動し、前記ガイドローラ体がその回転中心軸線が平面視で前記搬送ベルトの幅方向に対して傾斜した傾斜状態になり、
前記搬送ベルトに他方側への蛇行が発生した場合、前記他方側ローラ支持回動体が前記他方側付勢体の付勢に抗して回動し、前記ガイドローラ体がその回転中心軸線が平面視で前記搬送ベルトの幅方向に対して傾斜した傾斜状態になる
ことを特徴とするベルト蛇行防止装置。
【請求項6】
搬送ベルトの一方側への蛇行発生時に一方側ローラ支持回動体と係合し、この一方側ローラ支持回動体が所定角度以上回動するのを規制する一方側傾斜制限用ストッパ体と、
前記搬送ベルトの他方側への蛇行発生時に他方側ローラ支持回動体と係合し、この他方側ローラ支持回動体が所定角度以上回動するのを規制する他方側傾斜制限用ストッパ体とを備える
ことを特徴とする請求項5記載のベルト蛇行防止装置。
【請求項7】
一方側ローラ支持回動体にて支持され、搬送ベルトの一方側への蛇行発生時にこの搬送ベルトの幅方向一端面と接触する一方側サイドガイドローラ体と、
他方側ローラ支持回動体にて支持され、搬送ベルトの他方側への蛇行発生時にこの搬送ベルトの幅方向他端面と接触する他方側サイドガイドローラ体とを備える
ことを特徴とする請求項5または6記載のベルト蛇行防止装置。
【請求項8】
一方側ローラ支持回動体および他方側ローラ支持回動体の各々が、上下方向に回動調節可能となっている
ことを特徴とする請求項5ないし7のいずれか一記載のベルト蛇行防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−308236(P2007−308236A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137466(P2006−137466)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000103426)オークラ輸送機株式会社 (84)
【Fターム(参考)】