説明

ベルト蛇行防止装置

【課題】簡単な構造と制御方法で、ベルトの蛇行を修正できる制御手段を有するベルト駆動装置を提供する。
【解決手段】回動する無端ベルト1の蛇行量をベルトエッヂ位置検出手段21により検出し、回動する無端ベルト1の蛇行量をベルトエッヂ位置検出手段21であらかじめ定めた二つの基準位置の間に収める手段を提供するものである。その手段は回動する無端ベルト1があらかじめ定めた二つの基準位置範囲を超えたら駆動ロー4及び従動ローラ3若しくは駆動ローラ4ないし従動ローラ3を、二つの基準位置から発生する制御信号に基づき、ローラ傾動手段53,54,63,64を動作させて、上下方向ないし前後方向に傾動させて無端ベルト1の蛇行をあらかじめ定めた二つの基準位置範囲の間に収めるベルト蛇行防止方法を有するベルト駆動装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に食品・飲料容器搬送コンベヤ,半導体組立検査用搬送コンベアなど菌の付着及び塵埃の発生を嫌い、清潔さを必要とするベルトコンベヤに適用できる無端ベルトコンベヤ機の蛇行防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無端ベルトコンベアは各種物品の搬送機器として用いられる他に複写機やプリンタ等の画像形成装置の中で定着ベルト、中間転写ベルト、感光体ベルト、用紙搬送ベルトとして利用されている。一般に無端ベルトは、複数のロ−ラで支持され、いずれかのロ−ラを回転駆動することで無端ベルトを走行させる。この無端ベルトの走行中に、ベルトの幅方向(ベルトの走行方向と直交する方向)に移動する現象が起こり、これを蛇行という。蛇行現象は、プリンタ等で中間転写ベルト上の各色、例えばイエロ−、マゼンダ、シアン、ブラックの画像を重ねて転写する際に、各色の画像の位置がずれ、ひいては色ずれ等の原因となるため好ましくない。同様に食品や液晶ガラス基板、電子部部品、半導体組立検査用搬送ベルトコンベヤにおいてもベルトの蛇行は各工程間でワ−クの位置ずれをもたらし、次工程での正確な作業の妨げになる。
【0003】
ベルトの蛇行を修正する方法として、これまでにいくつかの技術が提案されている。それらの技術の要素技術は、ベルトの蛇行を検出し、その蛇行量を制御信号として受け取り支持ロ−ラを操作してベルトの蛇行を修正するための技術である。
【0004】
ベルトの蛇行を検出する方法として、ベルトの端部にサイドロ−ラ、フランジロ−ラを接触してベルト端部の位置を検出する方法や超音波センサ、磁気センサ、光学センサによる非接触検知方法がある。
【0005】
制御方法として、所定位置にベルトの端部が来たときに信号を発するデジタル式と蛇行量の電気信号をリニアに検知するアナログ式があり、その制御信号で支持ロ−ラを操作するにはパルスモ−タ、サ−ボモ−タ、カムなどが用いられている。
【0006】
また、ベルトの蛇行を修正する方法として一般的に用いられているのは、ベルトの幅方向の張力を調整する方法で、テ−パローラ、両端を縮径したクラウンローラの使用、水平もしくは上下に揺動ないし傾斜させるローラの利用などがある。
【0007】
また、その他の方法として無端ベルトを使ったコンベヤ機の蛇行防止にベルト幅方向の中央裏面にベルト幅方向の動きを規制するゴムなどの蛇行防止部材としてリブを1〜数条配し、そのリブに対応する溝を駆動ローラ及び従動ローラに設けて勘合させるガイドに沿って無端ベルトを走行させ、ベルトの蛇行をなくす方法の提案もある。
【0008】
また、シャフトとドラムの連結に可撓性材料を配設した自動調芯ローラが提案されている。
【0009】
【特許文献1】特開平06-074306
【特許文献2】特開平09-060693
【特許文献3】特開平09-012173
【特許文献4】特開2000-159374
【特許文献5】特開2002-002934
【特許文献6】特開2004-353688
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ベルトの蛇行を修正する方法として一般的に用いられているロ−ラ傾斜方法では、「ベルトは張力減少方向に移動する。」という現象に基づくもので、従動ロ−ラをベルト進行方向に平行に傾動させる方法(日本機械学会論文集(C編)66巻647号(2000-7)「ベルトのスキューに関する研究」)、または従動ロ−ラをベルトの進行方向に対して上下に傾動させる方法(〔03-1〕日本機械学会2003年度年次大会講演論文集(4)p-235 「ベルトのスキューに関する研究」)が知られている。
【0011】
すなわち従動ローラ水平傾動方式では、ベルトが蛇行した側のベルト張力を増すように従動プ−リは蛇行側の方を水平後方に傾動する。また、従動ローラ上下傾動方式の場合には、従動ローラはベルトが蛇行した側を上方に傾動させるとよい。
【0012】
また、蛇行するベルト端部の位置を検出した信号から蛇行を修正する最も簡単な制御方法として、基準位置からベルトが外れたら外れている間は一定の力でモータないし流体圧シリンダ−を用いてローラを傾動させ続けるON-OFF制御がある。
【0013】
しかし、このベルト蛇行修正の制御方法ではベルト端面の真直性が不良の場合には、ラインセンサーが検出した位置ではローラを傾動させてベルト位置が修正されて正常な位置になっても、引き続いてはベルトがまだ適正位置から外れているとの信号になり、必要以上にローラを傾動させ続けてベルトの移動が過剰になり、適正な範囲を逆方向に外れる結果となる。すなわち二つの基準線範囲を大きく往復することになる。
【0014】
この基準範囲の左右を外れる往復運動を無くするため傾動力を弱めればいい。しかしながらベルト走行において偏荷重による大きな摩擦変動、ローラとベルト間への搬送物の挟み込み、ベルトエッヂの損傷などが起きるとこの弱い傾動力ではベルトを元に戻しきれなく、二つの基準線の更に外側に設けた異常検出線までベルトが移動してしまいベルト走行停止になる。
【0015】
そこで、本発明の目的は、簡単な構造と制御方法で、上述したような問題を解決する制御手段を有することを特徴とするベルト駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、駆動ロ−ラと従動ロ−ラから成る複数ロ−ラと駆動ロ−ラを駆動するモ−タと前記複数のロ−ラに張架される無端ベルトを備え、モ−タにより駆動ロ−ラを駆動することにより無端ベルトを走行させるベルト駆動装置において、駆動ローラないし従動ローラもしくは駆動ローラ及び従動ローラをベルト進行方向平面に対して前後方向に傾動させる手段を備え、無端ベルトの幅方向の位置を検出できるラインセンサーを1個設け、各ラインセンサーにベルトの幅方向に相当するあらかじめ定めた二つの基準位置の範囲を無端ベルトの端部が外れたら制御信号を発生させ、その信号に基づいて一定の待機時間(T)ごとに一回、一定の指令時間 (t)だけ、駆動ローラないし従動ローラもしくは駆動ローラ及び従動ローラをベルト進行方向平面に対して前後方向に傾動することを特徴とする。
【0017】
次に駆動ロ−ラと従動ロ−ラから成る複数ロ−ラと駆動ロ−ラを駆動するモ−タと前記複数のロ−ラに張架される無端ベルト備え、モ−タにより駆動ロ−ラを駆動することにより無端ベルトを走行させるベルト駆動装置において、駆動ローラないし従動ローラもしくは駆動ローラ及び従動ローラをベルト進行方向平面に対して上下方向に傾動させる手段を備え、無端ベルトの幅方向の位置を検出できるラインセンサーを2個設け、各ラインセンサーにベルトの幅方向に相当するあらかじめ定めた二つの基準位置の範囲を無端ベルトの端部が外れたら制御信号を発生させ、その信号に基づいて一定の待機時間(T)ごとに一回、一定の指令時間 (t)だけ、駆動ローラないし従動ローラもしくは駆動ローラ及び従動ローラをベルト進行方向平面に対して上下方向に傾動することを特徴とする。
【0018】
請求項3の発明は、請求項1,2のベルト駆動装置においてローラ傾動手段が圧搾空気,ないし油圧を使用する流体圧シリンダーであることを特徴とする。
【0019】
請求項4の発明は、請求項1,2のベルト駆動装置において前記ローラの傾動手段が直流モータであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、ベルトの端面に真直性が無い場合やベルト走行において偏荷重による大きな摩擦変動、プーリとベルト間への搬送物の挟み込み、ベルトエッヂの損傷などが起きるような場合であっても、弱いプ−リの傾動力で二つの基準線範囲内に容易にかつ確実にベルト位置を確保し、また、ゴムなどの蛇行防止部材、ベルトエッヂを押さえ込む突き当てガイド、ローラ両端耳部付き自動調芯機構などを使用しないので、雑菌発生、塵埃発生の恐れなどがなく,かつ長時間運転しても破損の恐れのない、信頼性の高い制御方法で、しかも簡単な構造で、特にそのような用途に最適な金属製であるところのものを含むベルトの確実な蛇行防止方法を有するベルト駆動装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明によるベルト駆動装置の第1の実施の形態を示す図である。以下の説明では、ベルト1の上面の進行方向に沿って右側か左側かと表示する。すなわち図1の平面図においてベルト1は左方から右方に上面が移動するので、図1の平面図の上方が左側であり、下方が右側とする。ベルトエッヂ位置検出ラインセンサー21の発光素子211と受光素子212(図2)は、無端ベルト1を挟んで上下に対称配置され、従動ロ−ラ3の近くにそれぞれ一対、無端ベルトコンベア機のフレーム7に備えられている。ラインセンサ−21は、図2に示すように、ベルトの進行方向に対し直角方向0〜10mmの範囲内で二つの基準位置、基準線1と基準線2を設定して発受光信号が制御され、無端ベルトエッヂがこの二つの基準位置の範囲を逸脱したら常に制御信号を発生するように設定しておく。
【0022】
無端ベルト1の駆動ロ−ラ側または従動ロ−ラ側が進行方向に対して右側に寄るケースを考える。ベルト1の端部がラインセンサー21の二つの基準位置の基準線1を超えたので右からの制御信号が発生する。これは従動ローラ3の右側の張力が弱いため無端ベルト1が右に寄ったのであるから、従動ローラ3の右を張力増加方向のベルト進行方向後方に水平傾動すればよい。
【0023】
保持ブラケット35に固定され、従動ローラ軸右31に直結しているエアシリンダー53,電空レギュレータ63に定めた増加一定圧により、また保持ブラケット36に固定され、従動ローラ軸左32に直結しているエアシリンダー54,電空レギュレータ64に定めた減少一定圧により一定の待機時間(T)ごとに一回、一定の指令時間 (t)だけ従動ローラ3の右を張力増加方向に左を張力減少方向に水平傾動し無端ベルト1を蛇行方向とは反対の左側に寄るように修正する。
【0024】
反対に無端ベルト1が進行方向に対して左側に寄る場合は、基準線2を超えて左の制御信号に基づいて、保持ブラケット35に固定され、従動ローラ軸右31に直結しているエアシリンダー53,電空レギュレータ63が作動し、あらかじめ定めた減少一定圧により、また保持ブラケット36に固定され、従動ローラ軸左32に直結しているエアシリンダー54,電空レギュレータ64に定めた増加一定圧により従動ローラ3を一定の待機時間(T)ごとに一回、一定の指令時間 (t)だけ従動ローラ3の右を張力減少方向に左を張力増加方向に水平傾動し無端ベルト1を蛇行方向とは反対の右側に寄るように修正する。
【0025】
以上の動作により無端ベルト1のエッジはあらかじめ定めた二つの基準位置の範囲から外れることなくベルトコンベヤは回動する。なお、二つの基準位置は無端ベルトコンベヤ機の無端ベルトの長さ、幅、厚さなどにより異なる蛇行量に応じて自由に変えられるようにしてある。
【0026】
次に、一定の待機時間(T)ごとに一回、一定の指令時間 (t) だけ傾動指令を出すことについて図3に基づき説明する。ラインセンサーはベルト1のエッヂがラインセンサーに定めた基準線1を右方に越えると、Hi信号を出す。しかし、ベルト1のエッヂに真直性が無いのでラインセンサーの出力はHi信号のON―OFFを繰り返す。このON―OFFの繰り返しの最初に出たHi信号に基づき一定時間(t)だけ、ローラ傾動手段のエアシリンダーないし直流モータに指令して、ベルト1が反対方向に移動するようローラを傾動動作させる。
やがてベルト1はもう一つの基準線2を越えると、ラインセンサーは左の制御信号のHi信号を出すが、反対方向への傾動動作指令は最初の傾動動作指令から一定待機時間(T)の間は出さず、この一定時間(T)を経過して、かつ左のHi信号が出ているときにベルト1が反対方向へ移動するためのローラ傾動指令を(t)秒間」出す。これを繰り返すことにより負荷変動等による大きな摩擦変動があっても蛇行が一定の範囲内に収まるようにベルト回動が出来る。
【0027】
実施例として、ベルト幅300mm、ベルト厚0.2mm、コンベアの軸間9mで、ベルト速度500mm/秒で走行した場合、一定待機時間60秒、作動指令時間0.3秒で、蛇行は2mm以下であった。
【0028】
通常ベルトの蛇行には2種類の現象がある。これについて図4を参照して説明する。1つは従動ロ−ラ3側のベルトが右方に寄ると駆動ロ−ラ4側のベルトが左方に寄り、逆に従動ロ−ラ3側のベルトが左方に寄ると駆動ロ−ラ4側のベルトが右に寄る、いわゆる「たすき掛け蛇行」であり、他の1つは従動ロ−ラ3側のベルトと駆動ロ−ラ4側ベルトの蛇行方向が同じになる。つまり従動ロ−ラ3側のベルトが右方に寄ると駆動ローラ4側のベルトも右方に寄り、逆に従動ロ−ラ3側のベルトが左方に寄ると駆動ロ−ラ4側のベルトも左方に寄る、いわゆる「平行蛇行」である。
【0029】
発生する蛇行の具体例を表1に示す。
【0030】
【表1】


なお、「右」は、ベルトの端部があらかじめ定めた二つの基準線1の右方に越えた場合、
「左」は、ベルトの端部があらかじめ定めた二つの基準線2の左方に越えた場合、「中」は、ベルトの端部があらかじめ定めた二つの基準線の中間にあることを示す。
ここで例5は、蛇行がない状態であり、例1、例9は、「平行蛇行」、例3,例7は「たすき掛け蛇行」であり、例2,例4,例6,例8は「平行蛇行」のままか「たすき掛け蛇行」になるかの中間状態である。
【0031】
請求項2に述べる方法は、いわゆる「たすき掛け蛇行」に対して特に有効である。図4において従動ローラ3側で無端ベルト1が右に寄りラインセンサー21の基準線範囲の右側、基準線1を越え、駆動ローラ4側で無端ベルト1が左に寄りラインセンサー22の基準線範囲の左側、基準線2を左方に越えた場合を例にとって説明をする。ベルトエッジが基準位置範囲を逸脱したときに発生する信号により、図示しない制御器による制御によって、コンプレッサ−60、分配機68,レギュレ−タ61,62を経てエアシリンダ−51,52が作動して、従動ローラ3の右側が上方に、駆動ローラ4の左側が上方に一定の待機時間(T)ごとに一回、一定の指令時間 (t)だけ傾動させ「たすき掛け蛇行」を修正するものである
【0032】
すなわち、従動ロ−ラ保持ブラケット35に固定され、従動ローラ軸31に直結しているエアシリンダー51,電空レギュレータ61に定めた増加一定圧により、また、従動ロ−ラ保持ブラケット36に固定され、従動ローラ軸32に直結しているエアシリンダー52、電空レギュレータ62に定めた減少一定圧により一定の指令時間(t)だけ従動ローラ3の右側を上方に左側を下方に傾動し、無端ベルト1を従動ローラ側では左側に寄せる。
【0033】
一方、コンベアフレーム右72に固定されているエアシリンダー55,電空レギュレータ65に定めた減少一定圧により、またコンベアフレーム左71に固定されているにエアシリンダー56,電空レギュレータ66に定めた増加一定圧により駆動ロ−ラ保持ブラケット45、46を一定の待機時間(T)ごとに一回、一定の指令時間(t)だけ上下することにより駆動ローラ4の右側を下方に左側を上方に傾動し、無端ベルト1を駆動ローラ側では右側に寄せるものである。
【0034】
図5はたすきがけ蛇行のベルト蛇行修正の状況図で、上記の例の場合における図4の左方から見た従動ロ−ラと駆動ロ−ラの傾動状態を示す。プーリ上側がベルト引っ張り側なので従動ロ−ラは右側、駆動ロ−ラは左側が上方に傾動することによって、従動ロ−ラ側ではベルトの左側の張力が減少するように作用し、駆動ロ−ラ側ではベルトの右側の張力が減少するように作用する。すなわち、従動ロ−ラ側ではベルト1が左方に移動し、駆動ロ−ラ側ではベルト1は右方に移動して、蛇行が修正される。
【0035】
本発明の蛇行修正では、一定の待機期間内に一定の指令時間だけロ−ラを動作させるだけでいいので、エアシリンダーの制御も圧力指令を変えるだけの簡単なものであり、かつ9mコンベアではベルト初期張力と傾動力を含めて片側1,000Nで制御する場合でも、□60mm、長さ140mmの小型エアシリンダーで十分実施できている。
【0036】
次に請求項2に記載のローラ傾動手段として請求項4の直流モータを用いる発明の実施例について図6に従って説明する。動作原理は前述の
【0037】
の実施形態で説明してあるものと同じであって傾動手段を片側だけに設置し、図4記載のエアシリンダー51,52、55,56の代わりに、従動ローラ側では従動ローラ保持ブラケット右35に固定されている直流モータ81の軸83を従動ローラ軸31に、駆動ローラ側ではコンベアフレーム右72に固定されている直流モータ82の軸を駆動ローラ保持ブラケット右45にねじ込んで従動ローラ3,駆動ローラ4を上下に傾動動作させる。
【0038】
次に図7は、簡単な装置でも小型コンベアに有効な対策である。ラインセンサ−21は、従動ロ−ラ3側にだけ設置し、制御信号に基づいて従動ロ−ラ3を直流モ−タ81によってベルト1の走行方向に対して水平に前後方向に傾動するだけで蛇行を防止する。
【0039】
なお、サーボモータ,ステップモータなど高機能のモータを必要としないばかりでなく、下記のようにサーボモータ,ステップモータに比し小型安価な制御機構を提供できる。
【0040】
【表2】

【0041】
実施例として、ベルト幅300mm、ベルト厚0.2mm、コンベアの軸間2mで、ベルト速度330mm/秒で走行した場合、一定待機時間60秒、作動指令時間0.3秒で、蛇行は1mm以下であった。
【0042】
なお、ベルトとローラの結合を良くすることと,ローラによる蛇行制御能力を付加するため、ローラにはクラウンを設けてある。
また、請求項2でラインセンサー2個で従動ローラ,駆動ローラを傾動しているが、(0029)で記述してある例2,例4,例6,例8の「平行蛇行」のままか「たすき掛け蛇行」なるかの中間状態である場合に対して、ラインセンサー1個で従動ロールだけを傾動させても蛇行防止に対して有効である例も実証してある。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明が適用される従動ローラを前後に水平傾動する蛇行防止を有する無端ベルト駆動装置でローラ傾動手段として圧搾空気を使用するエアシリンダーを用いる実施図,図(1)の(A)は平面図、図(1)の(B)は正面図、図(1)の(C)は側面図
【図2】ラインセンサーの具体的な構成を示す概略図
【図3】ローラ傾動制御の制御信号および一定待機時間とロ−ラ傾動指令時間の関係を示す図
【図4】本発明が適用される駆動ローラ,従動ローラを上下に傾動する蛇行防止を有する無端ベルト駆動装置でローラ傾動手段としてエアシリンダーを用いる実施図、図4の(A)は平面図、図4の(B)は正面図、図4の(C)は側面図
【図5】従動ロ−ラと駆動ロ−ラの上下傾動の状況図
【図6】本発明が適用される傾動ローラ,従動ローラを上下に傾動する蛇行防止を有する無端ベルト駆動装置でローラ傾動手段として直流モータを用いる実施図、図6の(A)は平面図、図6の(B)は正面図、図6の(C)は側面図
【図7】小型コンベアへの適用例を示す図、図7の(A)は平面図、図7の(B)は正面図、図7の(C)は側面図
【符号の説明】
【0044】
1・・・無端ベルト、
21,22・・・ラインセンサー、
211,221・・・発光素子、
212,222・・・受光素子、
3・・・従動ローラ、
31,32・・・従動ローラ軸心、
35,36・・・従動ローラ保持ブラケット、
4・・・駆動ローラ、
45,46・・・駆動ローラ保持ブラケット、
51,52,53,54,55,56・・・流体圧シリンダー、
60・・・コンプレッサー、
61,62,63,6465,66・・・電空油レギュレータ、
68・・・分配器、
7・・・コンベアフレーム、
71・・・コンベアフレーム左、
72・・・コンベアフレーム右、
81,82・・・直流モータ、
83,84・・・直流モータ軸端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動ロ−ラと従動ロ−ラから成る複数ロ−ラと駆動ロ−ラを駆動するモ−タと前記複数のロ−ラに張架される無端ベルトを備え、モ−タにより駆動ロ−ラを駆動することにより無端ベルトを走行させるベルト駆動装置において、駆動ローラないし従動ローラもしくは駆動ローラ及び従動ローラをベルト進行方向平面に対して前後方向に傾動させる手段を備え、無端ベルトの幅方向の位置を検出できるラインセンサーを1個設け、そのラインセンサーにベルトの幅方向に相当するあらかじめ定めた二つの基準位置の範囲を無端ベルトの端部が外れたら制御信号を発生させ、その信号に基づいて一定の待機時間ごとに一回、一定の指令時間だけ、駆動ローラないし従動ローラもしくは駆動ローラ及び従動ローラをベルト進行方向平面に対して前後方向に傾動することを特徴とするベルト蛇行防止方法を有するベルト駆動装置。
【請求項2】
駆動ロ−ラと従動ロ−ラから成る複数ロ−ラと駆動ロ−ラを駆動するモ−タと前記複数のロ−ラに張架される無端ベルトを備え、モ−タにより駆動ロ−ラを駆動することにより無端ベルトを走行させるベルト駆動装置において、駆動ローラないし従動ローラもしくは駆動ローラ及び従動ローラをベルト進行方向平面に対して上下方向に傾動させる手段を備え、無端ベルトの幅方向の位置を検出できるラインセンサーを2個設け、各ラインセンサーにベルトの幅方向に相当するあらかじめ定めた二つの基準位置の範囲を無端ベルトの端部が外れたら制御信号を発生させ、その信号に基づいて一定の待機時間ごとに一回、一定の指令時間だけ、駆動ローラないし従動ローラもしくは駆動ローラ及び従動ローラをベルト進行方向平面に対して、上下方向に傾動することを特徴とするベルト蛇行防止方法を有するベルト駆動装置。
【請求項3】
請求項1,2のベルト駆動装置においてローラ傾動手段が圧搾空気,ないし油圧を使用する流体圧シリンダーであることを特徴とするベルト蛇行防止方法を有するベルト駆動装置。
【請求項4】
請求項1,2のベルト駆動装置において前記ローラの傾動手段が直流モータであることを特徴とするベルト蛇行防止方法を有するベルト駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−195463(P2008−195463A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−29930(P2007−29930)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(599124426)株式会社ディムコ (11)
【Fターム(参考)】