説明

ベルト駆動装置

【課題】 ローラの熱容量の増加を防止するとともに、ローラと蛇行防止部材の隙間にベルトが食い込むことを防止することのできるベルト駆動装置を提供する
【解決手段】 ローラ間に張架されたベルト1と、前記ローラ4の端部に設けられ前記ベルト1のローラ軸方向への蛇行を規制する蛇行防止部材11とを備え、前記ベルト1の駆動を行うベルト駆動装置において、ローラ端面側に開口しローラ軸方向に延びる切り欠き4aを設け、この切り欠き4aに差し込まれる凸部11aを前記蛇行防止部材11の内周に設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト駆動装置、特に複写機やプリンタ等に組み込まれているベルト駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機やプリンタ等に組み込まれたベルト駆動装置は、各ローラの寸法誤差や取り付け誤差が原因となって、ベルトがローラ軸方向、即ち横方向へ蛇行するという問題がある。この問題が解決するため、例えば、特許文献1のベルト駆動装置は、ローラの端部に、ローラの外周方向に切れ目を有するC形状の蛇行防止部材を取り付けることにより、ベルトのローラ軸方向への蛇行を規制している。
【0003】
しかし、ベルトは可撓性に富む薄い弾性材料から成るため、特許文献1のように、ローラの端部に蛇行防止部材を取り付ける場合は、ローラ外径と蛇行防止部材内径の寸法誤差により、ローラ外周面と蛇行防止部材内周面とが接触する接触部分に隙間ができ、その隙間にベルトが食い込むおそれがあった。このようにローラと蛇行防止部材の隙間にベルトが食い込んだまま回転すると、ベルト端部が破損するおそれがあった。
【0004】
そこで、このような課題を克服するため、図17に示すように、ローラ104の外周のうち、ベルト101の張架されている中央部104dと蛇行防止部材111が取り付けられる両端軸部104cとで外径に差を設け、中央部104dを大径、両端軸部104cを小径にすることによりローラ外周に段差を持たせ、蛇行防止部材111の側面にベルト101を当接させる構成にし、ローラ104と蛇行防止部材111の隙間にベルト101が食い込むことを回避していた。なお、図17中、105はヒータランプ、114は軸受け、115はベルト定着器の側板、116はストップリングをそれぞれ示している。
【特許文献1】特開平8−119484号公報(図2等参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような段差をローラに形成する場合、厚みが肉厚の薄い円筒型芯金を使用して芯金の両端部を絞ったり、別途準備した小径の軸部材を芯金の両端に取り付けたりする工程は手間とコストがかかるため、通常は肉厚の厚い円筒型芯金の両端部の外周を一定の厚みで切削することにより作製している。従って、ローラの両端軸部の強度を維持し、かつ、充分な段差を設けようとすると肉厚の厚い芯金を使用する必要があり、図17に示すように、ローラ104の肉厚が中央部104dで厚くなることを避けられない。
【0006】
従って、このベルト駆動装置が図17のようにベルト定着器として使用された場合(ローラ104の中空内に棒状のヒータランプ105が配置されている構成を参照)、ローラ自体の熱容量が大きくなってしまい、ベルトに定着熱を充分に伝えられないという問題が発生する。
【0007】
本発明は、従来の課題に鑑みてなされたものであり、ローラの熱容量の増加を防止するとともに、ローラと蛇行防止部材の隙間にベルトが食い込むことを防止することのできるベルト駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、ローラ間に張架されたベルトと、ローラの端部に設けられ前記ベルトのローラ軸方向への蛇行を規制する蛇行防止部材とを備え、前記ベルトの駆動を行うベルト駆動装置において、前記蛇行防止部材の内周と前記ローラの外周との間に凹凸嵌合機構を設けたことを特徴とする。
【0009】
また、ローラ間に張架されたベルトと、前記ローラの端部に設けられ前記ベルトのローラ軸方向への蛇行を規制する蛇行防止部材とを備え、前記ベルトの駆動を行うベルト駆動装置において、ローラ端面側に開口しローラ軸方向に延びる切り欠きを設け、この切り欠きに差し込まれる凸部を前記蛇行防止部材の内周に設けたことを特徴とする。
【0010】
そして、前記蛇行防止部材は、一体形状で作製されたリング状の部材であることを特徴する。
【0011】
また、ローラ間に張架されたベルトと、前記ローラの端部に設けられ前記ベルトのローラ軸方向への蛇行を規制する蛇行防止部材とを備え、前記ベルトの駆動を行うベルト駆動装置において、前記ローラの外周を貫通して穴を設け、この穴に嵌合される凸部を前記蛇行防止部材の内周に設けたことを特徴とする。
【0012】
そして、前記蛇行防止部材は、分割形状で作製された複数のブロックから成るリング状の部材であることを特徴とする。さらに、ブロック同士の継ぎ目部分のうち回転方向下流側であって前記ベルトに隣接する部位をテーパ形状としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、蛇行防止部材の凸部の側面部にベルトの縁部が当たり、ローラの外周と蛇行防止部材の内周との隙間にベルトが食い込むのを防止して、ベルトがローラの軸方向へ蛇行するのを防ぐことができる。また、ローラとして肉厚の薄い既存のものを用いることができるため、ローラの熱容量の増加を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0015】
本発明に係るベルト駆動装置の実施例1について添付図面を参照して説明する。本実施例は、ベルト駆動装置をベルト定着器として使用する場合について説明する。図1は複写装置のベルト定着器とその周囲の概略構成を示す。ベルト定着器は、概略、定着ベルト1、駆動ローラ2、バックアップローラ3、テンションローラ4及びオイル塗布ローラ9にて構成されている。定着ベルト1は、駆動ローラ2及びテンションローラ4に張り渡され、駆動ローラ2によって矢印A方向に周回駆動される。この定着ベルト1は40μmの厚さのニッケル薄板の無端ベルトであって、外周表面にシリコンゴム膜等のオフセット防止材がコーティングされている。
【0016】
駆動ローラ2に対置したバックアップローラ3は、ローラ2との間に複写用紙を挟んで、複写用紙を定着ベルト1の下部走行部に圧接する。ローラ2,3はゴムローラである。テンションローラ4は定着ベルト1にテンションを与えるものであり、肉厚が軸方向で一定の円筒型をしたアルミ管でできている。このテンションローラ4の中空内に棒状のヒータランプ5が配置されている。このヒータランプ5がテンションローラ4を介して定着ベルト1を加熱する。
【0017】
オイル塗布ローラ9は、オフセット防止用オイルを定着ベルト1の上部走行部に供給するものである。定着ベルト1の周囲には定着前ガイド6、定着後ガイド7,8及び一対の搬送ローラ10a,10bが配設されている。定着前ガイド6は感光体ドラムから搬送されてきた複写用紙をベルト定着器の方へ、すなわち矢印B方向へ搬送するためのものである。複写用紙は定着前ガイド6の部分でヒータランプ5の熱により予備加熱された後、定着ベルト1に圧接されて加熱され、複写用紙に転写されているトナー像が定着される。定着後ガイド7,8及び搬送ローラ10a,10bは、定着工程が終了した複写用紙を複写装置外に設けられたトレイに排出するためのものである。
【0018】
次に、定着ベルト1のローラ軸方向への蛇行を規制する蛇行防止部材11の作用効果について実施例を挙げて説明する。図2及び図3に示すように、二つの蛇行防止部材11はテンションローラ4の端部にそれぞれ取り付けられている。二つの蛇行防止部材11間の距離は定着ベルト1の幅より若干広い寸法に設定する。このテンションローラ4は、蛇行防止部材11が取り付けられた部分の外側の部分にて、回転自在の状態で軸受け14に支持されている。この軸受け14はベルト定着器の側板15に取り付けられている。軸受け14は、蛇行防止部材11の抜け止めとしても機能している。またその外側のテンションローラ4の端部にC型ストップリング16を装着することにより、軸受けの抜け止めを図っている。
【0019】
図4及び図5に示すように、テンションローラ4の端部には、ローラ端面側に開口しローラ軸方向に延びる2つの切り欠き4a,4aが互いに対向する位置に設けられている。蛇行防止部材11は一体形状で作製されたリング状の部材であり、その内周面には2つの四角柱形状の凸部11aが軸方向に延びて互いに対向する位置に凸設されている。テンションローラ4の外径と蛇行防止部材11の内径とはほぼ等しくなるように設定されている。
【0020】
蛇行防止部材11をテンションローラ4に取り付ける際は、図4に示すように、テンションローラ4のローラ軸方向外側から蛇行防止部材11をテンションローラ4の端部外周に同軸にスライドさせるように嵌める。このとき、蛇行防止部材11の各凸部11aをテンションローラ4の各切り欠き4aの開口側から差し込むようにする。
【0021】
この構成により、図5に示すように、蛇行防止部材11の凸部11aの側面部に定着ベルト1の縁部が当たり、テンションローラ4の外周と蛇行防止部材11の内周との隙間に定着ベルト1が食い込むのを防止して、定着ベルト1がテンションローラ4の軸方向へ蛇行するのを防ぐことができる。また、テンションローラ4として肉厚の薄い既存のものを用いることができるため、テンションローラ4の熱容量の増加を防止することができる。
【実施例2】
【0022】
次に、本発明に係るベルト駆動装置の実施例2について添付図面を参照して説明する。本実施例の説明において、上記実施例1に係るベルト駆動装置と同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0023】
図6及び図7に示すように、テンションローラ4の端部には、ローラの外周を貫通して2つの矩形の穴4b,4bが互いに対向する位置に設けられている。蛇行防止部材11は分割形状で作製された2つの同形状のブロック12,12から成るリング状の部材であり、各ブロック12の内周面の周方向中央部には四角柱形状の凸部12aが軸方向に延びて凸設されている。また、各ブロック12の外周面の周方向両端部には接続片12bがそれぞれ凸設されており、各接続片12bの先端には鉤型の爪12cが一体形成されている。テンションローラ4の外径と蛇行防止部材11の内径とはほぼ等しくなるように設定されているが、この蛇行防止部材11をテンションローラ4の端部外周に取り付けた状態では、ブロック12の周方向端面間に隙間が形成されるようにブロック12の周方向長さは半円よりも若干短くなるように設定されている(図7(b)参照)。
【0024】
蛇行防止部材11をテンションローラ4に取り付ける際は、図6に示すように、テンションローラ4のローラ軸に直交する方向の外側から2つのブロック12をテンションローラ4の端部外周を挟み込むように嵌める。このとき、各ブロック12の凸部12aをテンションローラ4の各穴4bに嵌合するようにする。また、両ブロック12,12間の接続は、向かい合う接続片12b,12b同士に耐熱性のゴムベルト(図示せず)を張架し、両者の爪12c,12cに引っかけることによって行う。
【0025】
この構成により、図7に示すように、ブロック12の凸部12aの側面部に定着ベルト1の縁部が当たり、テンションローラ4の外周と蛇行防止部材11の内周との隙間に定着ベルト1が食い込むのを防止して、定着ベルト1がテンションローラ4の軸方向へ蛇行するのを防ぐことができる。また、テンションローラ4として肉厚の薄い既存のものを用いることができるため、テンションローラ4の熱容量の増加を防止することができる。
【0026】
特に、本実施例によると、ブロック12,12同士の周方向端面間に隙間が形成されているため、テンションローラ4がヒータランプ5によって加熱され、熱変形または熱膨張しても、その変形量をその隙間が吸収して収縮するので、蛇行防止部材11自体に機械的ストレスがかからず、破損を防止することができる。また、図7(a)に示すように、テンションローラ4の端部の外周面の穴4bにブロック12の凸部12aが嵌り込んでいるため、蛇行した定着ベルト1に押されて蛇行防止部材11がテンションローラ4の軸方向にずれるのを防止することができる。
【0027】
さらに、図8に示すように、ブロック12,12同士の継ぎ目部分のうち回転方向下流側であって定着ベルト1に隣接する部位をテーパ形状12dとすることにより、回転時に定着ベルト1が破線位置のようにねじれたとしても、回転方向下流側のブロック12の継ぎ目部分になだらかに当たることにより、継ぎ目部分への定着ベルト1の引っかかりを防止しすることができる。
【実施例3】
【0028】
本発明に係るベルト駆動装置の実施例3について添付図面を参照して説明する。本実施例の説明において、上記実施例1に係るベルト駆動装置と同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0029】
図9及び図10に示すように、テンションローラ4の端部には、芯金の絞り加工により中央部4dよりも小径の軸部4cが形成されている。この軸部4cの形成方法として、切削加工で行う場合は軸部4cと中央部4dとの段差を直角に加工することは比較的容易であり(図11(a)参照)、軸部4cの外周にリング状の蛇行防止部材11を装着すれば蛇行防止部材11の端面が段差の壁面に密着する形となり定着ベルト1の段差部への潜り込みを防止することができる(図12(a)参照)。一方、絞り加工の場合は、芯金の肉厚が薄くなるほど絞り部分がだれてしまい(図11(b)参照)、軸部4cの外周にリング状の蛇行防止部材11を装着すると、絞り部分に隙間ができ、その隙間に定着ベルト1が潜り込んで定着ベルト1の巻き込みや破損の原因となる(図12(b)参照)。
【0030】
本実施例では、絞り部分にできる隙間の問題を克服するための構成を備えた点に特徴がある。
【0031】
図9及び図10に示すように、テンションローラ4の絞り部分を横切って中央部4dに延びるように外周を貫通して2つの矩形の穴4b’,4b’が互いに対向する位置に設けられている。蛇行防止部材11は一体形状で作製されたリング状の部材であり、その内周は、軸方向一端側に小内径部11d、軸方向他端側に大内径部11eを有するように直角の段差を備えた形状となっている。大内径部11eの内周面には2つの四角柱形状の凸部11a’が軸方向に延びて互いに対向する位置に凸設されている。この凸部11a’の高さは小内径部11dの内周面と面一になる高さとなっている。テンションローラ4の軸部4cの外径と蛇行防止部材11の小内径部11dの内径とはほぼ等しく、テンションローラ4の中央部4dの外径と蛇行防止部材11の大内径部11eの内径とはほぼ等しくなるように設定されている。
【0032】
蛇行防止部材11をテンションローラ4に取り付ける際は、図9に示すように、テンションローラ4のローラ軸方向外側から蛇行防止部材11をテンションローラ4の端部外周に同軸にスライドさせるように嵌める。このとき、蛇行防止部材11の各凸部11a’をテンションローラ4の各穴4b’の軸方向開口側から差し込むようにする。
【0033】
この構成により、図10に示すように、蛇行防止部材11の凸部11a’の側面部に定着ベルト1の縁部が当たり、テンションローラ4の外周と蛇行防止部材11の内周との隙間に定着ベルト1が食い込むのを防止して、定着ベルト1がテンションローラ4の軸方向へ蛇行するのを防ぐことができる。また、テンションローラ4として肉厚の薄い既存のものを用いることができるため、テンションローラ4の熱容量の増加を防止することができる。
【0034】
特に、本実施例によると、図10に示すように、蛇行防止部材11によってテンションローラ4の絞り部分が覆われ、蛇行防止部材11の他端面がテンションローラ4の中央部4dの外周に位置することになるので、絞り部分に隙間を作らないようにすることができ、定着ベルト1の潜り込みを防止することをできる。
【実施例4】
【0035】
本発明に係るベルト駆動装置の実施例4について添付図面を参照して説明する。本実施例の説明において、上記実施例1に係るベルト駆動装置と同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0036】
本実施例では、上記実施例3と同様にテンションローラ4の絞り部分にできる隙間の問題を克服するための構成を備えた点に特徴がある。
【0037】
図13及び図14に示すように、テンションローラ4の絞り部分を横切って軸部4c及び中央部4dに跨って延びるように外周を貫通して2つの矩形の穴4b,4bが互いに対向する位置に設けられている。蛇行防止部材11は分割形状で作製された2つの同形状のブロック13,13から成るリング状の部材であり、各ブロック13の内周面の周方向中央部には四角柱形状の凸部13aが軸方向に延びて凸設されている。また、各ブロック13の外周面の周方向両端部には接続片13bがそれぞれ凸設されており、各接続片13bの先端には鉤型の爪13cが一体形成されている。ブロック13の内周は、軸方向一端側に小内径部13d、軸方向他端側に大内径部13eを有するように直角の段差を備えた形状となっている。テンションローラ4の軸部4cの外径とブロック13の小内径部13dの内径とはほぼ等しく、テンションローラ4の中央部4dの外径とブロック13の大内径部13eの内径とはほぼ等しくなるように設定されている。
【0038】
蛇行防止部材11をテンションローラ4に取り付ける際は、図13に示すように、テンションローラ4のローラ軸に直交する方向の外側から2つのブロック13をテンションローラ4の軸部4c外周を挟み込むように嵌める。このとき、各ブロック13の凸部13aをテンションローラ4の各穴4bに嵌合するようにする。また、両ブロック13,13間の接続は、向かい合う接続片13b,13b同士に耐熱性のゴムベルト(図示せず)を張架し、両者の爪13c,13cに引っかけることによって行う。
【0039】
この構成により、図14に示すように、ブロック13の凸部13aの側面部に定着ベルト1の縁部が当たり、テンションローラ4の外周と蛇行防止部材11の内周との隙間に定着ベルト1が食い込むのを防止して、定着ベルト1がテンションローラ4の軸方向へ蛇行するのを防ぐことができる。また、テンションローラ4として肉厚の薄い既存のものを用いることができるため、テンションローラ4の熱容量の増加を防止することができる。
【0040】
特に、本実施例によると、図14に示すように、蛇行防止部材11によってテンションローラ4の絞り部分が覆われ、ブロック13の他端面がテンションローラ4の中央部4dの外周に位置することになるので、絞り部分に隙間を作らないようにすることができ、定着ベルト1の潜り込みを防止することをできる。また、本実施例によると、ブロック13,13同士の周方向端面間に隙間が形成されているため、テンションローラ4がヒータランプ5によって加熱され、熱変形または熱膨張しても、その変形量をその隙間が吸収して収縮するので、蛇行防止部材11自体に機械的ストレスがかからず、破損を防止することができる。また、図14に示すように、テンションローラ4の端部の外周面の穴4bにブロック13の凸部13aが嵌り込んでいるため、蛇行した定着ベルト1に押されて蛇行防止部材11がテンションローラ4の軸方向にずれるのを防止することができる。
【0041】
なお、本発明に係るベルト駆動装置は前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変形することができる。例えば、テンションローラと蛇行防止部材との間の凹凸の関係を上記とは逆、すなわちテンションローラから凸部を出し、蛇行防止部材側に設けた穴に勘合させる構成としても良いし、このような凹凸嵌合機構は、テンションローラの周方向に3つ以上あっても構わない。この場合、凹凸嵌合機構を等間隔で設けるのが望ましい。また、上記第2、第3の実施形態で分割するブロック数は3つ以上としてもよい。さらに、隣接するブロック間の接続に使用する弾性部材もゴムベルトに限らず、引っ張りバネ等を使用することもできる。また、ブロック同士を接続することなく、軸受けやベアリング等のテンションローラを回転可能に支持するための構成を用いてブロックの外周側から押圧するような固定方法を採用してもよい。例えば、上記実施例2において、図15及び図16に示すように、蛇行防止部材11を小外径部12c及び大外径部12dの2段階の外径を有する2つのブロック12として形成し、この蛇行防止部材11をテンションローラ4に取り付けた際にテンションローラ4の端部側に配置されるその小外径部12cに軸受け14を配置するとともに、その軸方向外側に蛇行防止部材11の抜け止めとしてC型ストップリング16を嵌め込むような構成としても構わない。この場合、軸受け14としては、ボールベアリングを備えた軸受けが望ましい。なお、図15の斜視図では図示を省略したが、図16の断面図に示すようにストップリング16が配置されるテンションローラ4の外周部には該ストップリング16を填め込むための溝が全周に設けられている。
【0042】
さらに、前記実施例はベルト駆動装置をベルト定着器として使用した場合について説明したが、ベルト定着器以外に、感光体ベルト装置等として使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、画像形成装置のベルト駆動装置、例えば、ベルト定着器、感光体ベルト装置等として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】は、本発明の実施例1に係るベルト駆動装置を組み込んだ複写装置のベルト定着器周囲の概略構成図である。
【図2】は、図1に示したベルト駆動装置の軸受け及びストップリングを省略して示す斜視図である。
【図3】は、図2のIII−III断面図である。
【図4】は、上記実施例1に係るベルト駆動装置の定着ベルト、軸受け及びストップリングを省略して示すテンションローラ一端部の分解斜視図である。
【図5】は、図4の軸方向断面図(a)及びそのx−x断面図(b)である。
【図6】は、本発明の実施例2に係るベルト駆動装置の定着ベルト、軸受け及びストップリングを省略して示すテンションローラ一端部の分解斜視図である。
【図7】は、図6の軸方向断面図(a)及びそのx−x断面図(b)である。
【図8】は、上記実施例2に係るベルト駆動装置の他の例を示すテンションローラ一端部の平面図である。
【図9】は、本発明の実施例3に係るベルト駆動装置の定着ベルト、軸受け及びストップリングを省略して示すテンションローラ一端部の分解斜視図である。
【図10】は、図9の軸方向断面図である。
【図11】は、切削加工(a)又は絞り加工(b)によってテンションローラ端部に小径の軸部を形成した場合にローラ外周に形成される段差形状の相違を説明する断面図である。
【図12】は、図11(a)のテンションローラ(a)又は図11(b)のテンションローラ(b)の軸部外周にリング状の蛇行防止部材を装着した場合にローラ外周の段差形状の相違による定着ベルトの動作の相違を説明する断面図である。
【図13】は、本発明の実施例4に係るベルト駆動装置の定着ベルト、軸受け及びストップリングを省略して示すテンションローラ一端部の分解斜視図である。
【図14】は、図13の軸方向断面図である。
【図15】は、本発明の実施例2の他の例に係るベルト駆動装置の定着ベルトを省略して示すテンションローラ一端部の分解斜視図である。
【図16】は、図15の軸方向断面図である。
【図17】は、従来のベルト駆動装置のテンションローラ一端部の軸方向断面図(a)及びそのx−x断面図(b)である。
【符号の説明】
【0045】
1 定着ベルト
4 テンションローラ
4a 切り欠き
4b 穴
4c 軸部
4d 中央部
5 ヒータランプ
11 蛇行防止部材
11a 凸部
12 ブロック
12a 凸部
12d テーパ形状
13 ブロック
13a 凸部
13d 小内径部
13e 大内径部
14 軸受け
16 ストップリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラ間に張架されたベルトと、ローラの端部に設けられ前記ベルトのローラ軸方向への蛇行を規制する蛇行防止部材とを備え、前記ベルトの駆動を行うベルト駆動装置において、前記蛇行防止部材の内周と前記ローラの外周との間に凹凸嵌合機構を設けたことを特徴とするベルト駆動装置。
【請求項2】
ローラ間に張架されたベルトと、前記ローラの端部に設けられ前記ベルトのローラ軸方向への蛇行を規制する蛇行防止部材とを備え、前記ベルトの駆動を行うベルト駆動装置において、ローラ端面側に開口しローラ軸方向に延びる切り欠きを設け、この切り欠きに差し込まれる凸部を前記蛇行防止部材の内周に設けたことを特徴とするベルト駆動装置。
【請求項3】
前記蛇行防止部材は、一体形状で作製されたリング状の部材であることを特徴する請求項2に記載のベルト駆動装置。
【請求項4】
ローラ間に張架されたベルトと、前記ローラの端部に設けられ前記ベルトのローラ軸方向への蛇行を規制する蛇行防止部材とを備え、前記ベルトの駆動を行うベルト駆動装置において、前記ローラの外周を貫通して穴を設け、この穴に嵌合される凸部を前記蛇行防止部材の内周に設けたことを特徴とするベルト駆動装置。
【請求項5】
前記蛇行防止部材は、分割形状で作製された複数のブロックから成るリング状の部材であることを特徴とする請求項4に記載のベルト駆動装置。
【請求項6】
ブロック同士の継ぎ目部分のうち回転方向下流側であって前記ベルトに隣接する部位をテーパ形状としたことを特徴とする請求項5に記載のベルト駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−143417(P2006−143417A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−337151(P2004−337151)
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】