ベルト
【課題】 磨耗による劣化を抑制することができ、また、コストダウンを図ることができるベルトを提供する。
【解決手段】 側面が横揺れ防止用のガイド部に接触しながら移動可能に構成され、かつ複数の歯を有するベルトであって、大部分が屈曲性を有する樹脂材料により構成されたベルト本体100と、ベルト本体100に着脱自在に構成され、かつ前記歯を有する装着部材200と、を備え、装着部材200の側面が、ガイド部に接触する接触面となり、かつ、装着部材200の構成部分のうち少なくとも歯の表面部分と接触面の表面部分は、ベルト本体100の大部分を構成する樹脂材料よりも耐磨耗性に優れた素材により構成されることを特徴とする。
【解決手段】 側面が横揺れ防止用のガイド部に接触しながら移動可能に構成され、かつ複数の歯を有するベルトであって、大部分が屈曲性を有する樹脂材料により構成されたベルト本体100と、ベルト本体100に着脱自在に構成され、かつ前記歯を有する装着部材200と、を備え、装着部材200の側面が、ガイド部に接触する接触面となり、かつ、装着部材200の構成部分のうち少なくとも歯の表面部分と接触面の表面部分は、ベルト本体100の大部分を構成する樹脂材料よりも耐磨耗性に優れた素材により構成されることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯付ベルトやロボットのキャタピラ(クローラベルト)など、複数の歯を有するベルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
搬送用や車両走行用のベルトとして、ポリウレタンなどの屈曲性を有する弾性プラスチックにより構成された歯付ベルトが知られている。歯付ベルトは、例えば、無端状ベルトとして構成され、一対のプーリに組み込まれた状態で使用される。そして、歯付ベルトの両面のうちの一方の面には、プーリの歯に噛み合う複数の歯が設けられており、プーリの回転により歯付ベルトは駆動される。また、歯付ベルトは、一般的に、その両側面がプーリに備えられたフランジや一対のプーリ間に設けられたガイドレールに接触しながら移動することによって、横揺れが防止される。
【0003】
このような歯付ベルトにおいては、プーリと噛み合う歯や、フランジやガイドレールに摺動する両側面が、摺動磨耗などによって消耗してしまう。そのため、歯付ベルトの素材としては、耐磨耗性が要求される。しかしながら、歯付ベルトは、プーリの歯に噛み合う過程において曲げられるため、屈曲性も要求される。これら耐磨耗性と屈曲性を同時に満たす素材の選択は難しく、材料選択の幅が狭いという問題がある。また、摺動磨耗が一定以上進んだ場合には、歯付ベルト全体を交換しなければならないことから、コスト上の問題もある。
【0004】
また、歯付ベルトにおける歯が設けられた面とは反対側の面に磁石を設けることで、搬送用ベルトとして用いる場合に搬送対象物を磁気吸着により固定させたり、車両走行用ベルトとして用いる場合に歯付ベルト自体を磁性体からなる走行路に磁気吸着させたりするものも知られている。このような歯付ベルトの場合には、磁石あるいは磁石を保持する部材が負荷を受けたり摺動したりするため消耗する。そのため、これらが劣化や破損した場合にも、歯付ベルト全体を交換しなければならず、上記の場合と同様にコスト上の問題がある。
【0005】
なお、歯付ベルトだけでなく、ロボットや車両を移動させるためのキャタピラ(クローラベルト)も同様の構成であり、同様の問題を有している。
【0006】
関連する技術としては、特許文献1に開示されたものがある。
【特許文献1】特許第3569725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、磨耗による劣化を抑制することができ、また、コストダウンを図ることができるベルトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0009】
すなわち、本発明は、
側面が横揺れ防止用のガイド部に接触しながら移動可能に構成され、かつ複数の歯を有するベルトであって、
大部分(ここでは、全体のうちの一部を除く部分の場合のほか、全体の場合も含むもの
とする)が屈曲性を有する樹脂材料により構成されたベルト本体と、
ベルト本体に着脱自在に構成され、かつ前記歯を有する装着部材と、
を備え、
該装着部材の側面が、前記ガイド部に接触する接触面となり、
かつ、該装着部材の構成部分のうち少なくとも前記歯の表面部分と前記接触面の表面部分は、ベルト本体の大部分を構成する樹脂材料よりも耐磨耗性に優れた素材により構成されることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、磨耗により消耗し易い歯の表面やガイド部に接触する面の表面部分が耐磨耗性に優れた素材により構成されるため、磨耗による劣化を抑制することができる。また、屈曲性が要求されるベルト本体と、耐磨耗性が要求される部分を含む構成部(装着部材)が別体で構成されるため、それぞれ異なる材料を選択でき、材料選択の幅が広がる。更に、歯やガイドに接触する部分が磨耗などにより劣化した場合には、装着部材のみを交換すればよいので、コストを抑えることもできる。
【0011】
また、本発明は、
側面が横揺れ防止用のガイド部に接触しながら移動可能に構成され、かつ複数の歯を有するベルトであって、
大部分(ここでは、全体のうちの一部を除く部分の場合のほか、全体の場合も含むものとする)が屈曲性を有する樹脂材料により構成されたベルト本体と、
ベルト本体に着脱自在に構成され、かつ前記歯を有する装着部材と、
を備え、
該装着部材の側面側に、前記ガイド部表面を転がる転動体が設けられると共に、
該装着部材の構成部分のうち少なくとも前記歯の表面部分は、ベルト本体の大部分を構成する樹脂材料よりも耐磨耗性に優れた素材により構成されることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、磨耗により消耗し易い歯の表面部分が耐磨耗性に優れた素材により構成されるため、磨耗による劣化を抑制することができる。また、ガイド部に接触する部分は、ガイド部表面を転がる転動体により構成されるため、摺動による摩擦が生じず(あるいは、抑制でき)、磨耗による劣化を防止(又は抑制)することができる。また、屈曲性が要求されるベルト本体と、耐磨耗性が要求される部分を含む構成部(装着部材)が別体で構成されるため、それぞれ異なる材料を選択でき、材料選択の幅が広がる。更に、歯や転動体が磨耗などにより劣化した場合には、装着部材のみを交換すればよいので、コストを抑えることもできる。
【0013】
一つの装着部材に対して一つの歯が設けられているとよい。
【0014】
こうすることで、磨耗などによって装着部材を交換する必要が生じた場合であっても、交換する部分を少なくすることができる。また、一つの歯に対して一つの装着部材で済むので、装着部材の剛性が高かったとしても、ベルト本体の屈曲性を妨げてしまうことを防止できる。
【0015】
前記装着部材には、歯が設けられた面とは反対側の面に磁石が設けられているとよい。
【0016】
この場合にも、磁石が劣化または破損した場合には、装着部材のみを交換すればよい。
【0017】
前記装着部材は、内部に金属製の補強部材が埋め込まれた樹脂材料により構成されるとよい。
【0018】
このようにすれば、装着部材の強度と軽量化の両立を図ることができる。
【0019】
ベルト本体は、複数の金属製の心線が内部に埋め込まれた樹脂材料により構成されると共に、
前記心線は部分的に樹脂材料から露出されており、心線の露出された部分は、前記装着部材によって覆われるとよい。
【0020】
これにより、心線の劣化を抑制することができ、また、心線が露出した部分を覆うために、別途部品等を必要とすることもない。
【0021】
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、屈曲性が要求されるベルト本体に、磨耗され易い箇所が耐磨耗性の高い素材で構成された装着部材が装着されるため、磨耗による劣化を抑制することができる。また、磨耗劣化等が生じた場合には、装着部材のみ交換すれば良いので、コストダウンを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0024】
図1〜図15を参照して、本発明の実施例1に係る歯付ベルトについて説明する。
【0025】
<歯付ベルトの使用例>
特に、図1及び図2を参照して、本発明の実施例1に係る歯付ベルトの使用例を説明する。図1は本発明の実施例1に係る歯付ベルトの使用状態を示す側面側から見た概略図である。図2は本発明の実施例1に係る歯付ベルトの使用状態を示す正面側から見た概略図である。
【0026】
本実施例に係る歯付ベルト10は、図示のように無端状のベルトとして好適に用いられる。このように無端状にされた歯付ベルト10は、一対のプーリ20に組み込まれた状態で使用される。そして、無端状にされた歯付ベルト10の内面側には複数の歯が設けられており、これらの歯がプーリ20の歯に噛み合うことで、プーリ20の回転に伴って、歯付ベルト10は駆動される。すなわち、図1に示すように、プーリ20が図中矢印方向に回転すると、歯付ベルト10も同方向に回転する。なお、一般的な装置の場合、一対のプーリ20のうちの一方が直接的に回転駆動力を受けて回転し、他方は、歯付ベルト10の回転に伴って従動する。
【0027】
そして、歯付ベルト10が搬送ベルトとして用いられる場合には、図1に示すようにベルトの上に搬送対象物30が載置され、この搬送対象物30は歯付ベルト10の回転に伴って搬送される。また、歯付ベルト10が車両走行用として用いられる場合には、例えば、車両側に備えられた歯付ベルト10の外面側に磁石を設け、この磁石を磁性体からなる走行路に吸着させ、歯付ベルト10の回転に伴って車両を走行路に沿って移動させることができる。
【0028】
ここで、歯付ベルト10は、図1から明らかなように、一対のプーリ20間では直線的な形態となるのに対して、プーリ20に噛み合う部分ではプーリ20に沿って湾曲する。
そのため、歯付ベルト10には屈曲性がなければならない。
【0029】
また、歯付ベルト10は、駆動時に横揺れ(蛇行)が防止されるように、その側面が横揺れ防止用のガイド部に接触しながら移動するように構成される。例えば、図2に示すように、プーリ20の両側にフランジ21が設けられることにより、歯付ベルト10の横方向(幅方向)への移動が規制される。なお、通常は、歯付ベルト10の側面とフランジ21との間は僅かに隙間が設けられ、歯付ベルト10が横方向に移動した場合にのみ、歯付ベルト10の一方の側面とフランジ21が摺動するように構成される。また、通常は、図2にも示すように、歯付ベルト10の両側にフランジ21がそれぞれ設けられるが、歯付ベルト10が横方向の片側方向にのみ移動してしまう特性を有するような場合には、片側のみにフランジを設ければ良い。また、本実施例では、歯付ベルト10の横揺れを防止するガイドとして、プーリ20に設けたフランジ21の場合を示したが、一対のプーリ20間の直線的な部分に、歯付ベルト10の横方向への移動を規制するガイドレールを設けても良い。勿論、プーリ20のフランジ21とガイドレールの両方を併用することもできるし、いずれか一方のみを用いることができることは言うまでもない。
【0030】
<歯付ベルトの全体構成>
特に、図3〜図7を参照して、本発明の実施例1に係る歯付ベルト10の全体構成について説明する。図3は本発明の実施例1に係る歯付ベルトの平面図の一部である。歯付ベルトが無端状のベルトとして用いられる場合には、図3はその外面側の図に相当する。図4は本発明の実施例1に係る歯付ベルトの側面図の一部である。図5は本発明の実施例1に係る歯付ベルトの底面図の一部である。歯付ベルトが無端状のベルトとして用いられる場合には、図5はその内面側の図に相当する。図6は図3におけるAA断面図である。図7は図3におけるBB断面図である。
【0031】
なお、以下の説明においては、歯付ベルトの歯が設けられた側(図5に示す底面側)の面を歯面、その反対側(図3に示す平面側)の面を背面と称する。
【0032】
本発明の実施例1に係る歯付ベルト10は、ベルト本体100と、ベルト本体100に対して着脱自在に構成される装着部材200とを備えている。ベルト本体100は、その大部分が屈曲性を有する樹脂材料により構成されている。このベルト本体100に対して、複数の装着部材200が装着される。各装着部材200は、一定の隙間を空けてベルト本体100に対して装着される。そのため、装着部材200自体は剛性が高く屈曲性を有しないが、当該隙間の部分でベルト本体100が屈曲可能であるため、歯付ベルト10全体では屈曲性を有する。
【0033】
装着部材200は、歯面側に設けられる第1パーツ210と、背面側に設けられる第2パーツ220とから構成される。この装着部材200の幅は、ベルト本体100の幅よりも広く、その両端がベルト本体100の両側面よりも外側に突出している。これら両側の突出した部分において、ボルト231とナット232により、第1パーツ210と第2パーツ220が固定されている。なお、本実施例では、ボルト231とナット232によるねじ締結により、第1パーツ210と第2パーツ220を固定する場合の例を示すが、一方のパーツにめねじを形成すれば、ボルト231だけで両者を固定できることは言うまでもない。
【0034】
<ベルト本体>
特に、図8〜図10を参照して、ベルト本体について詳しく説明する。図8は本発明の実施例1に係るベルト本体の平面図の一部である。図9は本発明の実施例1に係るベルト本体の側面図の一部である。図10は本発明の実施例1に係る歯付ベルトの底面図の一部である。なお、ベルト本体100の断面図については、図6や図7に示すとおりである。
【0035】
ベルト本体100は、屈曲性を有する熱可塑性の弾性プラスチック(例えば、ポリウレタン)を材料とする成形品であり、内部に複数の金属製の心線(ワイヤ)Wが埋め込まれた構成である。なお、図8,図10では、内部に設けられた心線Wを点線にて示している。このベルト本体100における歯面側には、複数の凸部101が一体的に設けられている。この凸部101は2本を1組として、一定の間隔でベルト本体100全体に亘って設けられている。
【0036】
<装着部材>
特に、図11〜図15を参照して、装着部材について詳しく説明する。図11は本発明の実施例1に係る装着部材を構成する第1パーツの平面図である。図12は本発明の実施例1に係る装着部材を構成する第1パーツの底面図である。図13は本発明の実施例1に係る装着部材を構成する第2パーツの平面図である。図14は本発明の実施例1に係る装着部材を構成する第2パーツの正面図である。図15は本発明の実施例1に係る装着部材を構成する第2パーツの底面図である。なお、第1パーツ210及び第2パーツ220の側面図、及び断面図については、図4,図6及び図7に示す通りである。
【0037】
第1パーツ210は、円柱を中心軸に沿って縦に半分に切断したような形状の部材であり、歯付ベルト10の歯を構成する部材である。この第1パーツ210は、その上面側に長手方向(ベルト本体100の幅方向に相当)に伸びる一対の凹部211が設けられている。この一対の凹部211は、上述のベルト本体100に設けられた、2本を1組とする凸部101に嵌合するように構成されている。なお、図4及び図6には、これらが嵌合された様子が示されている。
【0038】
また、第1パーツ210の両端部付近には、それぞれボルト231が挿通される貫通孔212が設けられている。なお、この貫通孔212の内周面にめねじを形成しておけば、上記の通り、ナット232は不要となる。
【0039】
第2パーツ220は、直方体形状のものに、断面矩形の溝221が形成された形状の部材である。この第2パーツ220の両端部付近にも、それぞれボルト231が挿通される貫通孔222が設けられている。なお、この貫通孔222の内周面にめねじを形成した場合でも、図7に示す場合とは異なり、ボルト231を歯面側から挿通させれば、ナット232は不要となることは言うまでもない。
【0040】
また、第1パーツ210と第2パーツ220は、耐磨耗性に優れた(少なくとも、ベルト本体100の樹脂材料よりも耐磨耗性に優れた)素材により構成されている。なお、具体的な材料としては、耐磨耗性の優れたウレタンやナイロンなどの樹脂や金属などを挙げることができる。
【0041】
以上のように構成される装着部材200は、第1パーツ210を歯面側に、第2パーツ220を背面側にして、両者でベルト本体100を挟み込むようにして、ベルト本体100に装着される。このとき、ベルト本体100は、第2パーツ220に形成された溝221と第1パーツ210の上面側の面により形成される断面が略矩形の貫通孔に挿通された状態となる。また、上記の通り、ベルト本体100に設けられた凸部101と第1パーツ210に設けられた凹部211が嵌合された状態となる。このようにして、装着部材200は、ベルト本体100に対して位置決めされる。
【0042】
ベルト本体100に対して装着部材200を位置決めさせると、第1パーツ210に設けられた貫通孔212と第2パーツ220に設けられた貫通孔222が連通し、1本の貫通孔が一対形成される。これら一対の貫通孔にそれぞれボルト231を通し、ナット23
2あるいはいずれかのパーツの貫通孔内周に形成されためねじにねじ込むことによって、第1パーツ210と第2パーツ220は固定される。以上のようにして、装着部材200はベルト本体100に位置決め固定される。また、ボルト231を外すだけで、装着部材200をベルト本体100から簡単に取り外すことができる。
【0043】
<本実施例の優れた点>
本実施例によれば、装着部材200が、ベルト本体100の両側面よりも外側に突出している。そのため、装着部材200の両側面が、プーリ20のフランジ21などの横揺れ防止用のガイド部に接触する接触面となる。また、プーリの歯に噛み合う歯も装着部材200に設けられている。このように、摺動磨耗等により消耗し易い部分は、ベルト本体100よりも耐磨耗性の高い素材から構成された装着部材200に設けられている。従って、本実施例によれば、磨耗による劣化を抑制することができる。
【0044】
また、屈曲性が要求されるベルト本体100と、耐磨耗性が要求される部分を含む構成部(装着部材200)が別体で構成されるため、それぞれ異なる材料を選択でき、材料選択の幅が広がる。更に、横揺れ防止用のガイド部に接触する接触面や、プーリの歯に噛み合う歯が磨耗等により消耗してしまった場合には、装着部材200のみを交換すればよいので、コストも抑えることができる。
【0045】
また、本実施例によれば、一つの装着部材200に対して一つの歯(第1パーツ210に相当)が設けられているので、消耗部品の交換を最小限に抑えることができる。これに伴い、コストを抑えることができる。また、装着部材200の剛性が高くて屈曲性を有していなくても、隣り合う装着部材200間の隙間によってベルト本体100は屈曲可能であるため、歯付ベルト10自体の屈曲性を妨げることもない。
【0046】
<その他>
本実施例では、内部に複数の心線Wを有した高強度のベルト本体100を例にして説明したが、弾性プラスチックなどの樹脂材のみから構成されるベルト本体の場合であっても、本実施例に示した構成を適用することができる。
【0047】
装着部材200を構成する第1パーツ210及び第2パーツ220の素材は、上記の通り、耐磨耗性に優れた材料が用いられるが、耐磨耗性が要求される部分(歯の表面を含む表層部分(第1パーツ210の円弧面の表層部分)と第2パーツ220の両側面の表層部分)のみに、耐磨耗性に優れた材料を用いても良い。
【0048】
また、本実施例では、搬送用や車両走行用に用いられる歯付ベルトを例にして説明したが、これに限らず、その他の用途の歯付ベルトや、ロボットや車両を移動させるためのキャタピラ(クローラベルト)にも、本実施例に示した構成を応用することができる。
【実施例2】
【0049】
図16には、本発明の実施例2が示されている。本実施例では、上記実施例1における装着部材の変形例を示す。その他の基本的な構成および作用については実施例1と同一なので、構成の異なる点のみを説明する。
【0050】
図16は本発明の実施例2に係る歯付ベルトの断面図である。なお、この断面図は、上記実施例1で説明した図3のBB断面図に相当する。
【0051】
上記実施例1では、第2パーツ220に断面矩形の溝221を形成する場合を説明した。これに対して、本実施例に係る歯付ベルト10aにおいては、第1パーツ210aに断面矩形の溝211aを設け、第2パーツ220aには溝を設けていない。このような構成
の場合も、ベルト本体100は、第1パーツ210aに形成された溝211aと第1パーツ210aの下面側の面により形成される断面が略矩形の貫通孔に挿通され、装着部材200はベルト本体100に対して位置決め固定される。
【0052】
以上のように構成される本実施例の場合にも、上記実施例1の場合と同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
【実施例3】
【0053】
図17には、本発明の実施例3が示されている。本実施例では、上記実施例1における装着部材の変形例を示す。その他の基本的な構成および作用については実施例1と同一なので、構成の異なる点のみを説明する。
【0054】
図17は本発明の実施例3に係る歯付ベルトの断面図である。なお、この断面図は、上記実施例1で説明した図3のBB断面図に相当する。
【0055】
上記実施例1,2では、装着部材が2種類のパーツからなる場合の構成について説明した。これに対して、本実施例では、装着部材が3種類のパーツからなる場合の構成を説明する。
【0056】
本実施例に係る歯付ベルト10bにおける装着部材は、上記実施例1で示した第1パーツ210と、実施例2で示した第2パーツ220aとを備え、更に、板状の第3パーツ240を一対備えている。すなわち、お互いに断面矩形の溝を備えていない第1パーツ210と第2パーツ220aを用いた場合には、ベルト本体100の両側に空間が形成されるため、この空間を埋めるように、一対の第3パーツ240が設けられる。
【0057】
なお、この第3パーツ240にもボルト挿通用の貫通孔241が形成されることは言うまでもない。また、第3パーツ240は、第1パーツ210又は第2パーツ220aのいずれかに予め溶着等によって固定させておいても良い。
【0058】
以上のように構成される本実施例の場合にも、上記実施例1の場合と同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
【実施例4】
【0059】
図18には、本発明の実施例4が示されている。本実施例では、上記実施例1における装着部材の変形例を示す。その他の基本的な構成および作用については実施例1と同一なので、構成の異なる点のみを説明する。
【0060】
図18は本発明の実施例4に係る歯付ベルトの断面図である。なお、この断面図は、上記実施例1で説明した図3のBB断面図に相当する。
【0061】
本実施例に係る歯付ベルト10cにおける装着部材は、上記実施例3で示した装着部材の構成のうち、第3パーツ240の代わりに転動体としてのローラ250を用いた構成である。すなわち、本実施例では、ボルト231aを軸としてローラ250が回転可能に構成されており、このローラ250がプーリ20のフランジ21などの横揺れ防止用のガイド部表面を転がるように構成されている。なお、本実施例に用いるボルト231aは、ローラ250の回転を妨げないように、少なくともローラ250の内周面が摺動され得る部分にはおねじが設けられていないものを利用する必要がある。
【0062】
以上のように構成される本実施例の場合にも、上記実施例1の場合と同様の効果を得ることができ、更に、ガイド部に接触する部分は、ガイド部表面を転がるローラにより構成
されるため、摺動による摩擦が生じず(あるいは、著しく抑制でき)、磨耗による劣化を防止(又は著しく抑制)することができる。なお、ガイド部表面を転がるものであれば、ローラに限らず、その他の転動体(球体など)を用いても良い。
【実施例5】
【0063】
図19には、本発明の実施例5が示されている。本実施例では、上記実施例1における装着部材の変形例を示す。その他の基本的な構成および作用については実施例1と同一なので、構成の異なる点のみを説明する。
【0064】
図19は本発明の実施例5に係る歯付ベルトの断面図である。なお、この断面図は、上記実施例1で説明した図3のBB断面図に相当する。
【0065】
装着部材を構成するパーツの素材には、耐磨耗性に優れた材料を用いることは、既に説明したとおりであるが、具体的には、例えば、強度を優先する場合には金属のみを用いることもできるし、軽量化を優先する場合には樹脂のみを用いることもできる。本実施例では、両者の利点を活かすべく、これら2種類の材料を用いる場合の構成を説明する。
【0066】
本実施例に係る歯付ベルト10dにおける装着部材は、上記実施例1と同一の形状からなる第1パーツ210bと第2パーツ220bとを備えている。
【0067】
そして、本実施例に係る第1パーツ210bは、金属製かつ円筒形状の一対の第1補強部材261と平板状の第2補強部材262を内部に埋め込むようにして成形された樹脂材料からなる成形体である。第1補強部材261は、円筒形状の内側の部分がボルト挿通孔として用いられる。この第1補強部材261を設けることによって、ボルト締結による負荷に対して耐え得る十分な強度を得ることができる。第2補強部材262は、第1パーツ210bの内部に、第1パーツ210bを上面または下面から見た場合の略全範囲を占めるように配置される。これにより、第1パーツ210b全体の強度を高めている。なお、第2補強部材262には、第1補強部材261を挿通させるための一対の貫通孔262aと、樹脂材料との接着性を高めるために、第2補強部材262の両面側の樹脂材料部分を連通させるための一対の貫通孔262bが形成されている。
【0068】
また、第2パーツ220bも同様に、金属製かつ円筒形状の一対の第1補強部材263と平板状の第2補強部材264を内部に埋め込むようにして成形された樹脂材料からなる成形体である。第1補強部材263は、円筒形状の内側の部分がボルト挿通孔として用いられる。この第1補強部材263を設けることによって、ボルト締結による負荷に対して耐え得る十分な強度を得ることができる。第2補強部材264は、第2パーツ220bの内部に、第2パーツ220bを上面または下面から見た場合の略全範囲を占めるように配置される。これにより、第2パーツ220b全体の強度を高めている。なお、第2補強部材264には、第1補強部材263を挿通させるための一対の貫通孔264aと、樹脂材料との接着性を高めるために、第2補強部材264の両面側の樹脂材料部分を連通させるための一対の貫通孔264bが形成されている。
【0069】
以上のように構成される本実施例の場合にも、上記実施例1の場合と同様の効果を得ることができ、更に、装着部材の強度と軽量化の両立を図ることができる。
【実施例6】
【0070】
図20には、本発明の実施例6が示されている。本実施例では、上記実施例1における装着部材の変形例を示す。その他の基本的な構成および作用については実施例1と同一なので、構成の異なる点のみを説明する。
【0071】
図20は本発明の実施例6に係る歯付ベルトの断面図である。なお、この断面図は、上記実施例1で説明した図3のBB断面図に相当する。
【0072】
本実施例に係る歯付ベルト10eにおける装着部材を構成する第2パーツ220cには、その背面側に溝221cが形成されている。この溝221c内には磁石270が嵌め込まれている。これにより、実施例1で説明したように、搬送対象物を磁気吸着により歯付ベルト10eに固定させたり、歯付ベルト10e自体を磁性体からなる走行路に吸着させたりすることができる。
【0073】
以上のように構成される本実施例の場合にも、上記実施例1の場合と同様の効果を得ることができることは言うまでもない。なお、本実施例では、磁石270や磁石270を保持する第2パーツ220cが劣化したり破損したりする場合があるが、その場合でも、装着部材のみ、あるいは第2パーツ220cのみを交換できるので、コストを抑えることができる。
【実施例7】
【0074】
図21及び図22には、本発明の実施例7が示されている。本実施例では、上記実施例1における更なる具体的な例を説明する。なお、実施例1と同一の構成については、同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。図21は本発明の実施例7に係る歯付ベルトの側面図の一部である。図22は本発明の実施例7に係る歯付ベルトの底面図の一部である。なお、図22においては、装着部材200のうちの一部(図中上側の一部)を破断したものを示している。
【0075】
上記実施例1で説明した、内部に複数の心線Wを有し、かつ、複数の歯形状の凸部を有するベルト本体100は、例えば、特公昭62−015350号公報に開示された製法により好適に製造することができる。この公報に開示された製法は、歯車に複数の心線Wを巻き付けておき、歯車の回転によって心線Wを繰り出しながら歯車の歯の部分に樹脂材料を吐出して歯付ベルトを成形するというものである。この製法により、好適にベルト本体100を製造できるものの、この製法を用いた場合には、心線Wのうち、心線Wと製造用の歯車との接触部に相当する部分が樹脂材料から露出してしまうという欠点がある。図21,22中、102が心線Wの露出部である。なお、図22においては、心線Wのうち、露出された部分は実線で示され、内部に埋め込まれている部分は点線で示されている。
【0076】
この心線Wの露出部102は、錆びてしまったり傷ついてしまったりするおそれがあるため、一般的には、他の部品を埋め込んだり、樹脂材料によって更に成形したり、塗料を塗ったりされることで保護される。
【0077】
しかしながら、本実施例によれば、装着部材200を構成する第1パーツ210が、この心線Wの露出部102を覆うため、この露出部102を覆うために別途他の部品等を必要とすることがない。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】図1は本発明の実施例1に係る歯付ベルトの使用状態を示す側面側から見た概略図である。
【図2】図2は本発明の実施例1に係る歯付ベルトの使用状態を示す正面側から見た概略図である。
【図3】図3は本発明の実施例1に係る歯付ベルトの平面図の一部である。
【図4】図4は本発明の実施例1に係る歯付ベルトの側面図の一部である。
【図5】図5は本発明の実施例1に係る歯付ベルトの底面図の一部である。
【図6】図6は図3におけるAA断面図である。
【図7】図7は図3におけるBB断面図である。
【図8】図8は本発明の実施例1に係るベルト本体の平面図の一部である。
【図9】図9は本発明の実施例1に係るベルト本体の側面図の一部である。
【図10】図10は本発明の実施例1に係る歯付ベルトの底面図の一部である。
【図11】図11は本発明の実施例1に係る装着部材を構成する第1パーツの平面図である。
【図12】図12は本発明の実施例1に係る装着部材を構成する第1パーツの底面図である。
【図13】図13は本発明の実施例1に係る装着部材を構成する第2パーツの平面図である。
【図14】図14は本発明の実施例1に係る装着部材を構成する第2パーツの正面図である。
【図15】図15は本発明の実施例1に係る装着部材を構成する第2パーツの底面図である。
【図16】図16は本発明の実施例2に係る歯付ベルトの断面図である。
【図17】図17は本発明の実施例3に係る歯付ベルトの断面図である。
【図18】図18は本発明の実施例4に係る歯付ベルトの断面図である。
【図19】図19は本発明の実施例5に係る歯付ベルトの断面図である。
【図20】図20は本発明の実施例6に係る歯付ベルトの断面図である。
【図21】図21は本発明の実施例7に係る歯付ベルトの側面図の一部である。
【図22】図22は本発明の実施例7に係る歯付ベルトの底面図の一部である。
【符号の説明】
【0079】
10,10a,10b,10c,10d,10e 歯付ベルト
20 プーリ
21 フランジ
30 搬送対象物
100 ベルト本体
101 凸部
102 露出部
200 装着部材
210,210a,210b 第1パーツ
211 凹部
211a 溝
212 貫通孔
220,220a,220b,220c 第2パーツ
221 溝
221c 溝
222 貫通孔
231,231a ボルト
232 ナット
240 第3パーツ
241 貫通孔
250 ローラ
261 第1補強部材
262 第2補強部材
262a 貫通孔
262b 貫通孔
263 第1補強部材
264 第2補強部材
264a 貫通孔
264b 貫通孔
270 磁石
W 心線
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯付ベルトやロボットのキャタピラ(クローラベルト)など、複数の歯を有するベルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
搬送用や車両走行用のベルトとして、ポリウレタンなどの屈曲性を有する弾性プラスチックにより構成された歯付ベルトが知られている。歯付ベルトは、例えば、無端状ベルトとして構成され、一対のプーリに組み込まれた状態で使用される。そして、歯付ベルトの両面のうちの一方の面には、プーリの歯に噛み合う複数の歯が設けられており、プーリの回転により歯付ベルトは駆動される。また、歯付ベルトは、一般的に、その両側面がプーリに備えられたフランジや一対のプーリ間に設けられたガイドレールに接触しながら移動することによって、横揺れが防止される。
【0003】
このような歯付ベルトにおいては、プーリと噛み合う歯や、フランジやガイドレールに摺動する両側面が、摺動磨耗などによって消耗してしまう。そのため、歯付ベルトの素材としては、耐磨耗性が要求される。しかしながら、歯付ベルトは、プーリの歯に噛み合う過程において曲げられるため、屈曲性も要求される。これら耐磨耗性と屈曲性を同時に満たす素材の選択は難しく、材料選択の幅が狭いという問題がある。また、摺動磨耗が一定以上進んだ場合には、歯付ベルト全体を交換しなければならないことから、コスト上の問題もある。
【0004】
また、歯付ベルトにおける歯が設けられた面とは反対側の面に磁石を設けることで、搬送用ベルトとして用いる場合に搬送対象物を磁気吸着により固定させたり、車両走行用ベルトとして用いる場合に歯付ベルト自体を磁性体からなる走行路に磁気吸着させたりするものも知られている。このような歯付ベルトの場合には、磁石あるいは磁石を保持する部材が負荷を受けたり摺動したりするため消耗する。そのため、これらが劣化や破損した場合にも、歯付ベルト全体を交換しなければならず、上記の場合と同様にコスト上の問題がある。
【0005】
なお、歯付ベルトだけでなく、ロボットや車両を移動させるためのキャタピラ(クローラベルト)も同様の構成であり、同様の問題を有している。
【0006】
関連する技術としては、特許文献1に開示されたものがある。
【特許文献1】特許第3569725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、磨耗による劣化を抑制することができ、また、コストダウンを図ることができるベルトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0009】
すなわち、本発明は、
側面が横揺れ防止用のガイド部に接触しながら移動可能に構成され、かつ複数の歯を有するベルトであって、
大部分(ここでは、全体のうちの一部を除く部分の場合のほか、全体の場合も含むもの
とする)が屈曲性を有する樹脂材料により構成されたベルト本体と、
ベルト本体に着脱自在に構成され、かつ前記歯を有する装着部材と、
を備え、
該装着部材の側面が、前記ガイド部に接触する接触面となり、
かつ、該装着部材の構成部分のうち少なくとも前記歯の表面部分と前記接触面の表面部分は、ベルト本体の大部分を構成する樹脂材料よりも耐磨耗性に優れた素材により構成されることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、磨耗により消耗し易い歯の表面やガイド部に接触する面の表面部分が耐磨耗性に優れた素材により構成されるため、磨耗による劣化を抑制することができる。また、屈曲性が要求されるベルト本体と、耐磨耗性が要求される部分を含む構成部(装着部材)が別体で構成されるため、それぞれ異なる材料を選択でき、材料選択の幅が広がる。更に、歯やガイドに接触する部分が磨耗などにより劣化した場合には、装着部材のみを交換すればよいので、コストを抑えることもできる。
【0011】
また、本発明は、
側面が横揺れ防止用のガイド部に接触しながら移動可能に構成され、かつ複数の歯を有するベルトであって、
大部分(ここでは、全体のうちの一部を除く部分の場合のほか、全体の場合も含むものとする)が屈曲性を有する樹脂材料により構成されたベルト本体と、
ベルト本体に着脱自在に構成され、かつ前記歯を有する装着部材と、
を備え、
該装着部材の側面側に、前記ガイド部表面を転がる転動体が設けられると共に、
該装着部材の構成部分のうち少なくとも前記歯の表面部分は、ベルト本体の大部分を構成する樹脂材料よりも耐磨耗性に優れた素材により構成されることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、磨耗により消耗し易い歯の表面部分が耐磨耗性に優れた素材により構成されるため、磨耗による劣化を抑制することができる。また、ガイド部に接触する部分は、ガイド部表面を転がる転動体により構成されるため、摺動による摩擦が生じず(あるいは、抑制でき)、磨耗による劣化を防止(又は抑制)することができる。また、屈曲性が要求されるベルト本体と、耐磨耗性が要求される部分を含む構成部(装着部材)が別体で構成されるため、それぞれ異なる材料を選択でき、材料選択の幅が広がる。更に、歯や転動体が磨耗などにより劣化した場合には、装着部材のみを交換すればよいので、コストを抑えることもできる。
【0013】
一つの装着部材に対して一つの歯が設けられているとよい。
【0014】
こうすることで、磨耗などによって装着部材を交換する必要が生じた場合であっても、交換する部分を少なくすることができる。また、一つの歯に対して一つの装着部材で済むので、装着部材の剛性が高かったとしても、ベルト本体の屈曲性を妨げてしまうことを防止できる。
【0015】
前記装着部材には、歯が設けられた面とは反対側の面に磁石が設けられているとよい。
【0016】
この場合にも、磁石が劣化または破損した場合には、装着部材のみを交換すればよい。
【0017】
前記装着部材は、内部に金属製の補強部材が埋め込まれた樹脂材料により構成されるとよい。
【0018】
このようにすれば、装着部材の強度と軽量化の両立を図ることができる。
【0019】
ベルト本体は、複数の金属製の心線が内部に埋め込まれた樹脂材料により構成されると共に、
前記心線は部分的に樹脂材料から露出されており、心線の露出された部分は、前記装着部材によって覆われるとよい。
【0020】
これにより、心線の劣化を抑制することができ、また、心線が露出した部分を覆うために、別途部品等を必要とすることもない。
【0021】
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、屈曲性が要求されるベルト本体に、磨耗され易い箇所が耐磨耗性の高い素材で構成された装着部材が装着されるため、磨耗による劣化を抑制することができる。また、磨耗劣化等が生じた場合には、装着部材のみ交換すれば良いので、コストダウンを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0024】
図1〜図15を参照して、本発明の実施例1に係る歯付ベルトについて説明する。
【0025】
<歯付ベルトの使用例>
特に、図1及び図2を参照して、本発明の実施例1に係る歯付ベルトの使用例を説明する。図1は本発明の実施例1に係る歯付ベルトの使用状態を示す側面側から見た概略図である。図2は本発明の実施例1に係る歯付ベルトの使用状態を示す正面側から見た概略図である。
【0026】
本実施例に係る歯付ベルト10は、図示のように無端状のベルトとして好適に用いられる。このように無端状にされた歯付ベルト10は、一対のプーリ20に組み込まれた状態で使用される。そして、無端状にされた歯付ベルト10の内面側には複数の歯が設けられており、これらの歯がプーリ20の歯に噛み合うことで、プーリ20の回転に伴って、歯付ベルト10は駆動される。すなわち、図1に示すように、プーリ20が図中矢印方向に回転すると、歯付ベルト10も同方向に回転する。なお、一般的な装置の場合、一対のプーリ20のうちの一方が直接的に回転駆動力を受けて回転し、他方は、歯付ベルト10の回転に伴って従動する。
【0027】
そして、歯付ベルト10が搬送ベルトとして用いられる場合には、図1に示すようにベルトの上に搬送対象物30が載置され、この搬送対象物30は歯付ベルト10の回転に伴って搬送される。また、歯付ベルト10が車両走行用として用いられる場合には、例えば、車両側に備えられた歯付ベルト10の外面側に磁石を設け、この磁石を磁性体からなる走行路に吸着させ、歯付ベルト10の回転に伴って車両を走行路に沿って移動させることができる。
【0028】
ここで、歯付ベルト10は、図1から明らかなように、一対のプーリ20間では直線的な形態となるのに対して、プーリ20に噛み合う部分ではプーリ20に沿って湾曲する。
そのため、歯付ベルト10には屈曲性がなければならない。
【0029】
また、歯付ベルト10は、駆動時に横揺れ(蛇行)が防止されるように、その側面が横揺れ防止用のガイド部に接触しながら移動するように構成される。例えば、図2に示すように、プーリ20の両側にフランジ21が設けられることにより、歯付ベルト10の横方向(幅方向)への移動が規制される。なお、通常は、歯付ベルト10の側面とフランジ21との間は僅かに隙間が設けられ、歯付ベルト10が横方向に移動した場合にのみ、歯付ベルト10の一方の側面とフランジ21が摺動するように構成される。また、通常は、図2にも示すように、歯付ベルト10の両側にフランジ21がそれぞれ設けられるが、歯付ベルト10が横方向の片側方向にのみ移動してしまう特性を有するような場合には、片側のみにフランジを設ければ良い。また、本実施例では、歯付ベルト10の横揺れを防止するガイドとして、プーリ20に設けたフランジ21の場合を示したが、一対のプーリ20間の直線的な部分に、歯付ベルト10の横方向への移動を規制するガイドレールを設けても良い。勿論、プーリ20のフランジ21とガイドレールの両方を併用することもできるし、いずれか一方のみを用いることができることは言うまでもない。
【0030】
<歯付ベルトの全体構成>
特に、図3〜図7を参照して、本発明の実施例1に係る歯付ベルト10の全体構成について説明する。図3は本発明の実施例1に係る歯付ベルトの平面図の一部である。歯付ベルトが無端状のベルトとして用いられる場合には、図3はその外面側の図に相当する。図4は本発明の実施例1に係る歯付ベルトの側面図の一部である。図5は本発明の実施例1に係る歯付ベルトの底面図の一部である。歯付ベルトが無端状のベルトとして用いられる場合には、図5はその内面側の図に相当する。図6は図3におけるAA断面図である。図7は図3におけるBB断面図である。
【0031】
なお、以下の説明においては、歯付ベルトの歯が設けられた側(図5に示す底面側)の面を歯面、その反対側(図3に示す平面側)の面を背面と称する。
【0032】
本発明の実施例1に係る歯付ベルト10は、ベルト本体100と、ベルト本体100に対して着脱自在に構成される装着部材200とを備えている。ベルト本体100は、その大部分が屈曲性を有する樹脂材料により構成されている。このベルト本体100に対して、複数の装着部材200が装着される。各装着部材200は、一定の隙間を空けてベルト本体100に対して装着される。そのため、装着部材200自体は剛性が高く屈曲性を有しないが、当該隙間の部分でベルト本体100が屈曲可能であるため、歯付ベルト10全体では屈曲性を有する。
【0033】
装着部材200は、歯面側に設けられる第1パーツ210と、背面側に設けられる第2パーツ220とから構成される。この装着部材200の幅は、ベルト本体100の幅よりも広く、その両端がベルト本体100の両側面よりも外側に突出している。これら両側の突出した部分において、ボルト231とナット232により、第1パーツ210と第2パーツ220が固定されている。なお、本実施例では、ボルト231とナット232によるねじ締結により、第1パーツ210と第2パーツ220を固定する場合の例を示すが、一方のパーツにめねじを形成すれば、ボルト231だけで両者を固定できることは言うまでもない。
【0034】
<ベルト本体>
特に、図8〜図10を参照して、ベルト本体について詳しく説明する。図8は本発明の実施例1に係るベルト本体の平面図の一部である。図9は本発明の実施例1に係るベルト本体の側面図の一部である。図10は本発明の実施例1に係る歯付ベルトの底面図の一部である。なお、ベルト本体100の断面図については、図6や図7に示すとおりである。
【0035】
ベルト本体100は、屈曲性を有する熱可塑性の弾性プラスチック(例えば、ポリウレタン)を材料とする成形品であり、内部に複数の金属製の心線(ワイヤ)Wが埋め込まれた構成である。なお、図8,図10では、内部に設けられた心線Wを点線にて示している。このベルト本体100における歯面側には、複数の凸部101が一体的に設けられている。この凸部101は2本を1組として、一定の間隔でベルト本体100全体に亘って設けられている。
【0036】
<装着部材>
特に、図11〜図15を参照して、装着部材について詳しく説明する。図11は本発明の実施例1に係る装着部材を構成する第1パーツの平面図である。図12は本発明の実施例1に係る装着部材を構成する第1パーツの底面図である。図13は本発明の実施例1に係る装着部材を構成する第2パーツの平面図である。図14は本発明の実施例1に係る装着部材を構成する第2パーツの正面図である。図15は本発明の実施例1に係る装着部材を構成する第2パーツの底面図である。なお、第1パーツ210及び第2パーツ220の側面図、及び断面図については、図4,図6及び図7に示す通りである。
【0037】
第1パーツ210は、円柱を中心軸に沿って縦に半分に切断したような形状の部材であり、歯付ベルト10の歯を構成する部材である。この第1パーツ210は、その上面側に長手方向(ベルト本体100の幅方向に相当)に伸びる一対の凹部211が設けられている。この一対の凹部211は、上述のベルト本体100に設けられた、2本を1組とする凸部101に嵌合するように構成されている。なお、図4及び図6には、これらが嵌合された様子が示されている。
【0038】
また、第1パーツ210の両端部付近には、それぞれボルト231が挿通される貫通孔212が設けられている。なお、この貫通孔212の内周面にめねじを形成しておけば、上記の通り、ナット232は不要となる。
【0039】
第2パーツ220は、直方体形状のものに、断面矩形の溝221が形成された形状の部材である。この第2パーツ220の両端部付近にも、それぞれボルト231が挿通される貫通孔222が設けられている。なお、この貫通孔222の内周面にめねじを形成した場合でも、図7に示す場合とは異なり、ボルト231を歯面側から挿通させれば、ナット232は不要となることは言うまでもない。
【0040】
また、第1パーツ210と第2パーツ220は、耐磨耗性に優れた(少なくとも、ベルト本体100の樹脂材料よりも耐磨耗性に優れた)素材により構成されている。なお、具体的な材料としては、耐磨耗性の優れたウレタンやナイロンなどの樹脂や金属などを挙げることができる。
【0041】
以上のように構成される装着部材200は、第1パーツ210を歯面側に、第2パーツ220を背面側にして、両者でベルト本体100を挟み込むようにして、ベルト本体100に装着される。このとき、ベルト本体100は、第2パーツ220に形成された溝221と第1パーツ210の上面側の面により形成される断面が略矩形の貫通孔に挿通された状態となる。また、上記の通り、ベルト本体100に設けられた凸部101と第1パーツ210に設けられた凹部211が嵌合された状態となる。このようにして、装着部材200は、ベルト本体100に対して位置決めされる。
【0042】
ベルト本体100に対して装着部材200を位置決めさせると、第1パーツ210に設けられた貫通孔212と第2パーツ220に設けられた貫通孔222が連通し、1本の貫通孔が一対形成される。これら一対の貫通孔にそれぞれボルト231を通し、ナット23
2あるいはいずれかのパーツの貫通孔内周に形成されためねじにねじ込むことによって、第1パーツ210と第2パーツ220は固定される。以上のようにして、装着部材200はベルト本体100に位置決め固定される。また、ボルト231を外すだけで、装着部材200をベルト本体100から簡単に取り外すことができる。
【0043】
<本実施例の優れた点>
本実施例によれば、装着部材200が、ベルト本体100の両側面よりも外側に突出している。そのため、装着部材200の両側面が、プーリ20のフランジ21などの横揺れ防止用のガイド部に接触する接触面となる。また、プーリの歯に噛み合う歯も装着部材200に設けられている。このように、摺動磨耗等により消耗し易い部分は、ベルト本体100よりも耐磨耗性の高い素材から構成された装着部材200に設けられている。従って、本実施例によれば、磨耗による劣化を抑制することができる。
【0044】
また、屈曲性が要求されるベルト本体100と、耐磨耗性が要求される部分を含む構成部(装着部材200)が別体で構成されるため、それぞれ異なる材料を選択でき、材料選択の幅が広がる。更に、横揺れ防止用のガイド部に接触する接触面や、プーリの歯に噛み合う歯が磨耗等により消耗してしまった場合には、装着部材200のみを交換すればよいので、コストも抑えることができる。
【0045】
また、本実施例によれば、一つの装着部材200に対して一つの歯(第1パーツ210に相当)が設けられているので、消耗部品の交換を最小限に抑えることができる。これに伴い、コストを抑えることができる。また、装着部材200の剛性が高くて屈曲性を有していなくても、隣り合う装着部材200間の隙間によってベルト本体100は屈曲可能であるため、歯付ベルト10自体の屈曲性を妨げることもない。
【0046】
<その他>
本実施例では、内部に複数の心線Wを有した高強度のベルト本体100を例にして説明したが、弾性プラスチックなどの樹脂材のみから構成されるベルト本体の場合であっても、本実施例に示した構成を適用することができる。
【0047】
装着部材200を構成する第1パーツ210及び第2パーツ220の素材は、上記の通り、耐磨耗性に優れた材料が用いられるが、耐磨耗性が要求される部分(歯の表面を含む表層部分(第1パーツ210の円弧面の表層部分)と第2パーツ220の両側面の表層部分)のみに、耐磨耗性に優れた材料を用いても良い。
【0048】
また、本実施例では、搬送用や車両走行用に用いられる歯付ベルトを例にして説明したが、これに限らず、その他の用途の歯付ベルトや、ロボットや車両を移動させるためのキャタピラ(クローラベルト)にも、本実施例に示した構成を応用することができる。
【実施例2】
【0049】
図16には、本発明の実施例2が示されている。本実施例では、上記実施例1における装着部材の変形例を示す。その他の基本的な構成および作用については実施例1と同一なので、構成の異なる点のみを説明する。
【0050】
図16は本発明の実施例2に係る歯付ベルトの断面図である。なお、この断面図は、上記実施例1で説明した図3のBB断面図に相当する。
【0051】
上記実施例1では、第2パーツ220に断面矩形の溝221を形成する場合を説明した。これに対して、本実施例に係る歯付ベルト10aにおいては、第1パーツ210aに断面矩形の溝211aを設け、第2パーツ220aには溝を設けていない。このような構成
の場合も、ベルト本体100は、第1パーツ210aに形成された溝211aと第1パーツ210aの下面側の面により形成される断面が略矩形の貫通孔に挿通され、装着部材200はベルト本体100に対して位置決め固定される。
【0052】
以上のように構成される本実施例の場合にも、上記実施例1の場合と同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
【実施例3】
【0053】
図17には、本発明の実施例3が示されている。本実施例では、上記実施例1における装着部材の変形例を示す。その他の基本的な構成および作用については実施例1と同一なので、構成の異なる点のみを説明する。
【0054】
図17は本発明の実施例3に係る歯付ベルトの断面図である。なお、この断面図は、上記実施例1で説明した図3のBB断面図に相当する。
【0055】
上記実施例1,2では、装着部材が2種類のパーツからなる場合の構成について説明した。これに対して、本実施例では、装着部材が3種類のパーツからなる場合の構成を説明する。
【0056】
本実施例に係る歯付ベルト10bにおける装着部材は、上記実施例1で示した第1パーツ210と、実施例2で示した第2パーツ220aとを備え、更に、板状の第3パーツ240を一対備えている。すなわち、お互いに断面矩形の溝を備えていない第1パーツ210と第2パーツ220aを用いた場合には、ベルト本体100の両側に空間が形成されるため、この空間を埋めるように、一対の第3パーツ240が設けられる。
【0057】
なお、この第3パーツ240にもボルト挿通用の貫通孔241が形成されることは言うまでもない。また、第3パーツ240は、第1パーツ210又は第2パーツ220aのいずれかに予め溶着等によって固定させておいても良い。
【0058】
以上のように構成される本実施例の場合にも、上記実施例1の場合と同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
【実施例4】
【0059】
図18には、本発明の実施例4が示されている。本実施例では、上記実施例1における装着部材の変形例を示す。その他の基本的な構成および作用については実施例1と同一なので、構成の異なる点のみを説明する。
【0060】
図18は本発明の実施例4に係る歯付ベルトの断面図である。なお、この断面図は、上記実施例1で説明した図3のBB断面図に相当する。
【0061】
本実施例に係る歯付ベルト10cにおける装着部材は、上記実施例3で示した装着部材の構成のうち、第3パーツ240の代わりに転動体としてのローラ250を用いた構成である。すなわち、本実施例では、ボルト231aを軸としてローラ250が回転可能に構成されており、このローラ250がプーリ20のフランジ21などの横揺れ防止用のガイド部表面を転がるように構成されている。なお、本実施例に用いるボルト231aは、ローラ250の回転を妨げないように、少なくともローラ250の内周面が摺動され得る部分にはおねじが設けられていないものを利用する必要がある。
【0062】
以上のように構成される本実施例の場合にも、上記実施例1の場合と同様の効果を得ることができ、更に、ガイド部に接触する部分は、ガイド部表面を転がるローラにより構成
されるため、摺動による摩擦が生じず(あるいは、著しく抑制でき)、磨耗による劣化を防止(又は著しく抑制)することができる。なお、ガイド部表面を転がるものであれば、ローラに限らず、その他の転動体(球体など)を用いても良い。
【実施例5】
【0063】
図19には、本発明の実施例5が示されている。本実施例では、上記実施例1における装着部材の変形例を示す。その他の基本的な構成および作用については実施例1と同一なので、構成の異なる点のみを説明する。
【0064】
図19は本発明の実施例5に係る歯付ベルトの断面図である。なお、この断面図は、上記実施例1で説明した図3のBB断面図に相当する。
【0065】
装着部材を構成するパーツの素材には、耐磨耗性に優れた材料を用いることは、既に説明したとおりであるが、具体的には、例えば、強度を優先する場合には金属のみを用いることもできるし、軽量化を優先する場合には樹脂のみを用いることもできる。本実施例では、両者の利点を活かすべく、これら2種類の材料を用いる場合の構成を説明する。
【0066】
本実施例に係る歯付ベルト10dにおける装着部材は、上記実施例1と同一の形状からなる第1パーツ210bと第2パーツ220bとを備えている。
【0067】
そして、本実施例に係る第1パーツ210bは、金属製かつ円筒形状の一対の第1補強部材261と平板状の第2補強部材262を内部に埋め込むようにして成形された樹脂材料からなる成形体である。第1補強部材261は、円筒形状の内側の部分がボルト挿通孔として用いられる。この第1補強部材261を設けることによって、ボルト締結による負荷に対して耐え得る十分な強度を得ることができる。第2補強部材262は、第1パーツ210bの内部に、第1パーツ210bを上面または下面から見た場合の略全範囲を占めるように配置される。これにより、第1パーツ210b全体の強度を高めている。なお、第2補強部材262には、第1補強部材261を挿通させるための一対の貫通孔262aと、樹脂材料との接着性を高めるために、第2補強部材262の両面側の樹脂材料部分を連通させるための一対の貫通孔262bが形成されている。
【0068】
また、第2パーツ220bも同様に、金属製かつ円筒形状の一対の第1補強部材263と平板状の第2補強部材264を内部に埋め込むようにして成形された樹脂材料からなる成形体である。第1補強部材263は、円筒形状の内側の部分がボルト挿通孔として用いられる。この第1補強部材263を設けることによって、ボルト締結による負荷に対して耐え得る十分な強度を得ることができる。第2補強部材264は、第2パーツ220bの内部に、第2パーツ220bを上面または下面から見た場合の略全範囲を占めるように配置される。これにより、第2パーツ220b全体の強度を高めている。なお、第2補強部材264には、第1補強部材263を挿通させるための一対の貫通孔264aと、樹脂材料との接着性を高めるために、第2補強部材264の両面側の樹脂材料部分を連通させるための一対の貫通孔264bが形成されている。
【0069】
以上のように構成される本実施例の場合にも、上記実施例1の場合と同様の効果を得ることができ、更に、装着部材の強度と軽量化の両立を図ることができる。
【実施例6】
【0070】
図20には、本発明の実施例6が示されている。本実施例では、上記実施例1における装着部材の変形例を示す。その他の基本的な構成および作用については実施例1と同一なので、構成の異なる点のみを説明する。
【0071】
図20は本発明の実施例6に係る歯付ベルトの断面図である。なお、この断面図は、上記実施例1で説明した図3のBB断面図に相当する。
【0072】
本実施例に係る歯付ベルト10eにおける装着部材を構成する第2パーツ220cには、その背面側に溝221cが形成されている。この溝221c内には磁石270が嵌め込まれている。これにより、実施例1で説明したように、搬送対象物を磁気吸着により歯付ベルト10eに固定させたり、歯付ベルト10e自体を磁性体からなる走行路に吸着させたりすることができる。
【0073】
以上のように構成される本実施例の場合にも、上記実施例1の場合と同様の効果を得ることができることは言うまでもない。なお、本実施例では、磁石270や磁石270を保持する第2パーツ220cが劣化したり破損したりする場合があるが、その場合でも、装着部材のみ、あるいは第2パーツ220cのみを交換できるので、コストを抑えることができる。
【実施例7】
【0074】
図21及び図22には、本発明の実施例7が示されている。本実施例では、上記実施例1における更なる具体的な例を説明する。なお、実施例1と同一の構成については、同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。図21は本発明の実施例7に係る歯付ベルトの側面図の一部である。図22は本発明の実施例7に係る歯付ベルトの底面図の一部である。なお、図22においては、装着部材200のうちの一部(図中上側の一部)を破断したものを示している。
【0075】
上記実施例1で説明した、内部に複数の心線Wを有し、かつ、複数の歯形状の凸部を有するベルト本体100は、例えば、特公昭62−015350号公報に開示された製法により好適に製造することができる。この公報に開示された製法は、歯車に複数の心線Wを巻き付けておき、歯車の回転によって心線Wを繰り出しながら歯車の歯の部分に樹脂材料を吐出して歯付ベルトを成形するというものである。この製法により、好適にベルト本体100を製造できるものの、この製法を用いた場合には、心線Wのうち、心線Wと製造用の歯車との接触部に相当する部分が樹脂材料から露出してしまうという欠点がある。図21,22中、102が心線Wの露出部である。なお、図22においては、心線Wのうち、露出された部分は実線で示され、内部に埋め込まれている部分は点線で示されている。
【0076】
この心線Wの露出部102は、錆びてしまったり傷ついてしまったりするおそれがあるため、一般的には、他の部品を埋め込んだり、樹脂材料によって更に成形したり、塗料を塗ったりされることで保護される。
【0077】
しかしながら、本実施例によれば、装着部材200を構成する第1パーツ210が、この心線Wの露出部102を覆うため、この露出部102を覆うために別途他の部品等を必要とすることがない。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】図1は本発明の実施例1に係る歯付ベルトの使用状態を示す側面側から見た概略図である。
【図2】図2は本発明の実施例1に係る歯付ベルトの使用状態を示す正面側から見た概略図である。
【図3】図3は本発明の実施例1に係る歯付ベルトの平面図の一部である。
【図4】図4は本発明の実施例1に係る歯付ベルトの側面図の一部である。
【図5】図5は本発明の実施例1に係る歯付ベルトの底面図の一部である。
【図6】図6は図3におけるAA断面図である。
【図7】図7は図3におけるBB断面図である。
【図8】図8は本発明の実施例1に係るベルト本体の平面図の一部である。
【図9】図9は本発明の実施例1に係るベルト本体の側面図の一部である。
【図10】図10は本発明の実施例1に係る歯付ベルトの底面図の一部である。
【図11】図11は本発明の実施例1に係る装着部材を構成する第1パーツの平面図である。
【図12】図12は本発明の実施例1に係る装着部材を構成する第1パーツの底面図である。
【図13】図13は本発明の実施例1に係る装着部材を構成する第2パーツの平面図である。
【図14】図14は本発明の実施例1に係る装着部材を構成する第2パーツの正面図である。
【図15】図15は本発明の実施例1に係る装着部材を構成する第2パーツの底面図である。
【図16】図16は本発明の実施例2に係る歯付ベルトの断面図である。
【図17】図17は本発明の実施例3に係る歯付ベルトの断面図である。
【図18】図18は本発明の実施例4に係る歯付ベルトの断面図である。
【図19】図19は本発明の実施例5に係る歯付ベルトの断面図である。
【図20】図20は本発明の実施例6に係る歯付ベルトの断面図である。
【図21】図21は本発明の実施例7に係る歯付ベルトの側面図の一部である。
【図22】図22は本発明の実施例7に係る歯付ベルトの底面図の一部である。
【符号の説明】
【0079】
10,10a,10b,10c,10d,10e 歯付ベルト
20 プーリ
21 フランジ
30 搬送対象物
100 ベルト本体
101 凸部
102 露出部
200 装着部材
210,210a,210b 第1パーツ
211 凹部
211a 溝
212 貫通孔
220,220a,220b,220c 第2パーツ
221 溝
221c 溝
222 貫通孔
231,231a ボルト
232 ナット
240 第3パーツ
241 貫通孔
250 ローラ
261 第1補強部材
262 第2補強部材
262a 貫通孔
262b 貫通孔
263 第1補強部材
264 第2補強部材
264a 貫通孔
264b 貫通孔
270 磁石
W 心線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面が横揺れ防止用のガイド部に接触しながら移動可能に構成され、かつ複数の歯を有するベルトであって、
大部分が屈曲性を有する樹脂材料により構成されたベルト本体と、
ベルト本体に着脱自在に構成され、かつ前記歯を有する装着部材と、
を備え、
該装着部材の側面が、前記ガイド部に接触する接触面となり、
かつ、該装着部材の構成部分のうち少なくとも前記歯の表面部分と前記接触面の表面部分は、ベルト本体の大部分を構成する樹脂材料よりも耐磨耗性に優れた素材により構成されることを特徴とするベルト。
【請求項2】
側面が横揺れ防止用のガイド部に接触しながら移動可能に構成され、かつ複数の歯を有するベルトであって、
大部分が屈曲性を有する樹脂材料により構成されたベルト本体と、
ベルト本体に着脱自在に構成され、かつ前記歯を有する装着部材と、
を備え、
該装着部材の側面側に、前記ガイド部表面を転がる転動体が設けられると共に、
該装着部材の構成部分のうち少なくとも前記歯の表面部分は、ベルト本体の大部分を構成する樹脂材料よりも耐磨耗性に優れた素材により構成されることを特徴とするベルト。
【請求項3】
一つの装着部材に対して一つの歯が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のベルト。
【請求項4】
前記装着部材には、歯が設けられた面とは反対側の面に磁石が設けられていることを特徴とする請求項1,2または3に記載のベルト。
【請求項5】
前記装着部材は、内部に金属製の補強部材が埋め込まれた樹脂材料により構成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のベルト。
【請求項6】
ベルト本体は、複数の金属製の心線が内部に埋め込まれた樹脂材料により構成されると共に、
前記心線は部分的に樹脂材料から露出されており、心線の露出された部分は、前記装着部材によって覆われることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のベルト。
【請求項1】
側面が横揺れ防止用のガイド部に接触しながら移動可能に構成され、かつ複数の歯を有するベルトであって、
大部分が屈曲性を有する樹脂材料により構成されたベルト本体と、
ベルト本体に着脱自在に構成され、かつ前記歯を有する装着部材と、
を備え、
該装着部材の側面が、前記ガイド部に接触する接触面となり、
かつ、該装着部材の構成部分のうち少なくとも前記歯の表面部分と前記接触面の表面部分は、ベルト本体の大部分を構成する樹脂材料よりも耐磨耗性に優れた素材により構成されることを特徴とするベルト。
【請求項2】
側面が横揺れ防止用のガイド部に接触しながら移動可能に構成され、かつ複数の歯を有するベルトであって、
大部分が屈曲性を有する樹脂材料により構成されたベルト本体と、
ベルト本体に着脱自在に構成され、かつ前記歯を有する装着部材と、
を備え、
該装着部材の側面側に、前記ガイド部表面を転がる転動体が設けられると共に、
該装着部材の構成部分のうち少なくとも前記歯の表面部分は、ベルト本体の大部分を構成する樹脂材料よりも耐磨耗性に優れた素材により構成されることを特徴とするベルト。
【請求項3】
一つの装着部材に対して一つの歯が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のベルト。
【請求項4】
前記装着部材には、歯が設けられた面とは反対側の面に磁石が設けられていることを特徴とする請求項1,2または3に記載のベルト。
【請求項5】
前記装着部材は、内部に金属製の補強部材が埋め込まれた樹脂材料により構成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のベルト。
【請求項6】
ベルト本体は、複数の金属製の心線が内部に埋め込まれた樹脂材料により構成されると共に、
前記心線は部分的に樹脂材料から露出されており、心線の露出された部分は、前記装着部材によって覆われることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のベルト。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2007−84263(P2007−84263A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−274564(P2005−274564)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(502145313)ユニマテック株式会社 (169)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(502145313)ユニマテック株式会社 (169)
【Fターム(参考)】
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