説明

ベンズアミジン誘導体の結晶

【課題】 活性化血液凝固第X因子阻害剤、血液凝固性疾患の予防及び/又は治療剤の製造原体として有用な、ベンズアミジン誘導体の結晶を提供する。
【解決手段】
下記一般式(I):
【化1】


で表される化合物の結晶。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた活性化血液凝固第X因子阻害活性を有し、さらに、保存安定性、取り扱い容易性にも優れるベンズアミジン誘導体の結晶、及び、ベンズアミジン誘導体の結晶を有効成分として含有する医薬(特に、活性化血液凝固第X因子阻害剤、又は、血液凝固性疾患の予防及び/若しくは治療剤)に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2001−192366号公報(WO01/30756号パンフレット)(特許文献1)、特開2003−2832号公報(特許文献2)、特開2003−40773号公報(WO02/89803号パンフレット)(特許文献3)には、後述の式(I)で表されるベンズアミジン誘導体(以下、化合物(I)と記す。)が開示されている。化合物(I)は、優れた活性化血液凝固第X因子阻害活性(抗ファクターXa活性)を示し、活性化血液凝固第X因子阻害剤、又は、血液凝固性疾患の予防及び/若しくは治療剤としての有用性が期待される。
【0003】
しかしながら、化合物(I)は、無定形固体(アモルファス)であるため、保存安定性に乏しく、取り扱いが容易でないなど、医薬として実用化するには問題があった。
【特許文献1】特開2001−192366号公報(WO01/30756号パンフレット)
【特許文献2】特開2003−2832号公報
【特許文献3】特開2003−40773号公報(WO02/89803号パンフレット)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明者等は、保存安定性、取り扱い容易性に優れる新規な結晶を提供することを目的として鋭意検討を行った。その結果、極めて保存安定性、取り扱い性に優れ、医薬の有効成分として有用且つ好適な結晶を見出し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明は、
(1) 下記一般式(I):
【0006】
【化1】

【0007】
で表されるベンズアミジン誘導体の結晶、
(2) 上記(1)に記載のベンズアミジン誘導体の結晶において、銅のKα線(波長λ=1.54オングストローム)の照射により得られる粉末X線回折において、面間隔が16.35、5.45、4.83、4.45、4.23、3.79、3.57及び3.52オングストロームに主ピークを示す結晶(A結晶)、
(3) 上記(1)に記載のベンズアミジン誘導体の結晶において、銅のKα線(波長λ=1.54オングストローム)の照射により得られる粉末X線回折において、面間隔が16.98、6.38、4.18、4.06、4.00及び3.96オングストロームに主ピークを示す結晶(B結晶)、
(4) 上記(1)乃至(3)から選択されるいずれか1項に記載のベンズアミジン誘導体の結晶を有効成分として含有する医薬組成物、
(5) 上記(1)乃至(3)から選択されるいずれか1項に記載のベンズアミジン誘導体の結晶を有効成分として含有する活性化血液凝固第X因子阻害剤、及び
(6) 上記(1)乃至(3)から選択されるいずれか1項に記載のベンズアミジン誘導体(I)の結晶を有効成分として含有する血液凝固性疾患の予防及び/又は治療剤
である。
【0008】
また、本発明は、上記(1)乃至(3)から選択されるいずれか1項に記載されたベンズアミジン誘導体(I)の結晶、上記(4)に記載の医薬組成物、上記(5)に記載の活性化血液凝固第X因子阻害剤、又は、上記(6)に記載の血液凝固性疾患の予防及び/又は治療剤を、温血動物(好ましくはヒト)に投与することからなる、血液凝固性疾患の予防及び/又は治療方法も提供する。
【0009】
本発明の結晶は、その内部構造が三次元的に構成原子(又はその集団)の規則正しい繰り返しでできている固体をいい、そのような規則正しい内部構造を持たない無定形固体とは区別される。
【0010】
同じ化合物の結晶であっても、結晶化の条件によって、複数の異なる内部構造及び物理化学的性質を有する結晶(結晶多形)が生成することがあるが、本発明の結晶は、これら結晶多形のいずれであってもよく、2以上の結晶多形の混合物であってもよい。
【0011】
本発明の化合物(I)を含有する結晶の一形態として、例えば、銅のKα線(波長λ=1.54オングストローム)の照射で得られる粉末X線回折において、面間隔d=16.35、5.45、4.83、4.45、4.23、3.79、3.57及び3.52オングストロームに主ピークを示す結晶を挙げることができる。ここで主ピークは、面間隔d=16.35オングストロームを示すピークの強度を100としたときの相対強度が50%以上のピークである。
【0012】
なお、面間隔dは、式2dsinθ=nλにおいてn=1として算出することができる。
【0013】
また、例えば、銅のKα線(波長λ=1.54オングストローム)の照射で得られる粉末X線回折において、面間隔d=16.98、6.38、4.18、4.06、4.00及び3.96オングストロームに主ピークを示す結晶を挙げることができる。ここで主ピークは、面間隔d=6.38オングストロームを示すピークの強度を100としたときの相対強度が40%以上のピークである。
【0014】
本発明の化合物(I)の結晶を大気中に放置したり、水又は有機溶媒と混和することによって水又は溶媒を吸収し水和物又は溶媒和物を形成する場合があり、これらの水和物及び溶媒和物も本発明の化合物(I)に含まれる。また、本発明の化合物(I)の結晶は、
25℃乃至80℃で乾燥させることによって無水物となる場合があり、このようにして得られる無水物も本発明の化合物(I)に含まれる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一般式(I)を有する化合物の結晶は、保存安定性、取り扱い容易性に優れることから、工業生産において大量合成される医薬[特に活性化血液凝固第X因子阻害剤、血液凝固性疾患(例えば、脳梗塞、心筋梗塞又は末梢循環障害等の血栓疾患)の予防及び/若しくは治療剤]の製造原体として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の化合物(I)は、特開2001−192366号公報、特開2003−40773号公報に開示された方法又はそれに準じた方法により製造できる。
【0017】
化合物(I)の結晶は、化合物(I)を適当な溶媒に溶解し、pHの調整、溶液の濃縮、冷却、良溶媒と貧溶媒の混合等を行い、化合物(I)を過飽和状態に導いて析出させることによって製造することができる。
【0018】
また、ある結晶又は無定形の固体を適当な溶剤に懸濁し、スラリー状態にした後、攪拌することにより、他の結晶へ溶媒媒介転移させることもできる。
【0019】
結晶の析出は、反応容器中で自然に開始し得るが、種結晶の接種、超音波刺激、反応器の表面を擦る等の機械的刺激を与えることによっても開始又は促進させることができる。
【0020】
化合物(I)を結晶化させるための温度としては、通常、0乃至60℃であり、好適には、5乃至45℃である。
【0021】
化合物(I)の溶液を濃縮する方法としては、例えば、ロータリーエバポレータ等を用いて常圧若しくは減圧下で加温しながら溶媒を蒸発させて濃縮する方法、逆浸透膜を用いて濃縮する方法などがある。水溶液の濃縮に使用する逆浸透膜としては、例えばポリアクリロニトリル系膜、ポリビニルアルコール系膜、ポリアミド系膜、酢酸セルロース系膜等から選択することができる。
【0022】
化合物(I)のA結晶を製造する場合の良溶媒としては、例えば、水、ジメチルスルホキシド、メタノールを挙げることができるが、好適には、水である。
【0023】
化合物(I)のB結晶を製造する場合の良溶媒としては、例えば、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、メタノールを挙げることができるが、好適には、水である。
【0024】
化合物(I)のA結晶を製造する場合の貧溶媒としては、エタノールである。
【0025】
化合物(I)のB結晶を製造する場合の貧溶媒としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノールのような炭素数2乃至4個のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステル類;アセトニトリルのようなニトリル類等を挙げることができるが、好適には、エタノールおよびアセトニトリルであり、最も好適にはアセトニトリルである。
【0026】
化合物(I)の結晶を製造するための出発原料として、化合物(I)の無定形固体(アモルファス)を凍結乾燥粉末として既に単離したものを用いてもよいが、結晶化により精製することも可能であるので、化合物(I)を含む合成反応粗生成物の溶液を使用することもできる。
【0027】
過飽和状態は、例えば、化合物(I)の水溶液を30乃至60℃の加温下に飽和状態まで濃縮し、0乃至10℃まで、徐々に冷却することによって、或いは、飽和状態の水溶液にエタノールまたはアセトンのような貧溶媒を徐々に加え、必要に応じて冷却することによって得ることができる。
【0028】
析出した結晶は、例えば、ろ過、遠心分離、または傾斜法によって単離することができる。単離した結晶は必要に応じて適当な溶媒で洗浄してもよい。洗浄は、例えば、水;エタノール、イソプロパノールのようなアルコール類;アセトンのようなケトン類;ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステル類;トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;アセトニトリルのようなニトリル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類等の溶媒及びこれらの混合溶媒を用いて行なうことができるが、アセトニトリルを用いて行なうのが好適である。
【0029】
単離した結晶は、通常、10乃至100℃で、好適には、30乃至50℃で重量がほぼ一定になるまで乾燥させる。結晶の乾燥は、必要に応じて、シリカゲルまたは塩化カルシウムのような乾燥剤の存在下、または、減圧下で行うこともできる。
【0030】
乾燥した結晶は、通常、10乃至30℃の温度で、かつ、20乃至90%の相対湿度で、好適には、20乃至30℃の温度で、かつ、50乃至80%の相対湿度で重量がほぼ一定になるまで吸湿させてもよい。
【0031】
得られた結晶は、再結晶やスラリー精製によって、その純度及び品質を向上させることができる。
【0032】
再結晶は、化合物(I)の結晶を、(1)加熱溶解した後冷却する方法、(2)溶解後、溶媒を留去して濃縮する方法、(3)良溶媒に溶解し、貧溶媒を加えることによって結晶を析出させる方法等、有機合成化学の分野で通常使用される方法によって達成される。
【0033】
スラリー精製とは、化合物の結晶を適当な溶媒に懸濁して、その懸濁液を撹拌し、結晶を再び採取する精製法である。
【0034】
化合物(I)のA結晶のスラリー精製に使用される溶媒としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステル類;塩化メチレン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類;トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;エタノール;ヘキサンのような脂肪族炭化水素類;ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテルのようなエーテル類等の溶媒及びこれらの混合溶媒を挙げることができ、好適には、エタノールである。
【0035】
また、化合物(I)のB結晶のスラリー精製に使用される溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類;酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステル類;アセトニトリルのようなニトリル類;塩化メチレン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類;トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;エタノール、イソプロパノールのようなアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミドのようなアミド類;水;ヘキサンのような脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテルのようなエーテル類等の溶媒及びこれらの混合溶媒を挙げることができ、好適には、水およびアセトニトリルの混合溶媒である。
【0036】
再結晶及びスラリー精製で得られた結晶についても、上記と同様にして単離することができる。
【0037】
化合物(I)の結晶は、活性化血液凝固第X因子阻害活性(抗ファクターXa活性)を示した。従って、化合物(I)の結晶は、医薬、特に、活性化血液凝固第X因子阻害剤、血液凝固性疾患(例えば、脳梗塞、心筋梗塞又は末梢循環障害等の血栓疾患)の治療剤又は予防剤として有用である。
【0038】
化合物(I)の結晶は、活性化血液凝固第X因子阻害活性(抗ファクターXa活性)を示した。従って、化合物(I)の結晶は、医薬、特に、活性化血液凝固第X因子阻害剤、血液凝固性疾患(例えば、脳梗塞、心筋梗塞又は末梢循環障害等の血栓疾患)の予防及び/若しくは治療剤として有用である。
【0039】
化合物(I)の結晶を医薬、特に、活性化血液凝固第X因子阻害剤、血液凝固性疾患の治療剤または予防剤として使用する場合には、それ自体、あるいは適宜の薬理学的に許容される賦形剤、希釈剤等と混合し、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、注射剤、軟膏剤、液剤、懸濁剤、エアゾール剤、トローチ剤等によって、経口的または非経口的に投与することができる。
【0040】
これらの製剤は、賦形剤(例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニット、ソルビットのような糖類;トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、α−デンプン、デキストリン、カルボキシメチルデンプンのようなデンプン誘導体;結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、内部架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;プルラン;軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウムのような珪酸塩類;リン酸カルシウムのようなリン酸塩類;炭酸カルシウムのような炭酸塩類;硫酸カルシウムのような硫酸塩類等)、結合剤(例えば、前記の賦形剤;ゼラチン;ポリビニルピロリドン;マクロゴール等)、崩壊剤(例えば、前記の賦形剤;クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドンのような化学修飾された、デンプンまたはセルロース誘導体等)、滑沢剤(例えば、タルク;ステアリン酸;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムのようなステアリン酸金属塩;コロイドシリカ;ビーガム;ビーズワックス、ゲイロウのようなワックス類;硼酸;グリコール;フマル酸、アジピン酸のようなカルボン酸類;安息香酸ナトリウムのようなカルボン酸ナトリウム塩;硫酸ナトリウムのような硫酸類塩;ロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウムのようなラウリル硫酸塩;無水珪酸、珪酸水和物のような珪酸類;前記の賦形剤におけるデンプン誘導体等)、安定剤(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベンのようなパラヒドロキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾールのようなフェノール類;チメロサール;無水酢酸;ソルビン酸等)、矯味矯臭剤(例えば、通常使用される、甘味料、酸味料、香料等)、懸濁化剤(例えば、ポリソルベート80、カルボキシメチルセルロースナトリウム等)、希釈剤、製剤用溶剤(例えば、水、エタノール、グリセリン等)等の添加物を用いて周知の方法で製造される。
【0041】
経口的投与に適した剤形としては、例えば、錠剤、コーティング剤、カプセル剤、トローチ剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、ドライシロップ剤等の固体製剤、或いはシロップ剤等の液体製剤を挙げることができる。非経口投与に適した剤形としては、例えば、注射剤、点滴剤、座剤、経皮剤(例えば、イオントフォレーシス用製剤)等を挙げることができる。また、局所投与に適した剤形としては、例えば、軟膏剤、チンキ剤、クリーム剤、ゲル剤等を挙げることができる。これらの製剤は製剤学の分野でそれ自体公知の方法で調整することができる。
【0042】
その使用量は投与される者の症状・体重・年齢等により異なるが、経口投与の場合には、1回当り下限0.01 mg/kg(好適には、0.1 mg/kg)、上限10 mg/kg(好適には、5 mg/kg)を、静脈内投与の場合には、1回当り下限0.005 mg/kg(好適には、0.05 mg/kg)、上限5 mg/kg(好適には、2.5 mg/kg)を成人に対して、1日当り1乃至6回症状に応じて投与することが望ましい。
【0043】
以下に実施例、試験例及び製剤例を示し、本発明を更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0044】
(実施例1)<A結晶>
特開2003−40773号公報の実施例161の化合物、N−[4−(1−アセトイミドイルピペリジン−4−イルオキシ)−3−カルバモイルフェニル]−N−[3−(3−アミジノフェニル)−2−フルオロ−2−(Z)−プロペニル]スルファモイル酢酸 2塩酸塩(2.00g)にエタノール(40ml)を加え溶解し、25℃で1時間攪拌した。さらに0℃まで冷却し、1時間30分攪拌した。析出した結晶をろ取し、これを減圧乾燥することにより、目的の結晶1.72g(収率86%)を得た。
【0045】
図1に、得られた結晶について、銅のKα線(波長λ=1.54オングストローム)の照射により得られる粉末X線回折パターンを示す。
【0046】
面間隔d=16.35、5.45、4.83、4.45、4.23、3.79、3.57及び3.52オングストロームに主ピークを示した。
【0047】
なお、粉末X線回折パターンの縦軸は回折強度をカウント/秒(cps)単位で示し、横軸は回折角度2θの値を示す。
【0048】
(実施例2)<B結晶>
特開2003−40773号公報の実施例161の化合物、N−[4−(1−アセトイミドイルピペリジン−4−イルオキシ)−3−カルバモイルフェニル]−N−[3−(3−アミジノフェニル)−2−フルオロ−2−(Z)−プロペニル]スルファモイル酢酸 2塩酸塩(1.00g)を水(18.6ml)およびアセトニトリル(1.4ml)の混合溶媒に溶解し、0℃で3時攪拌した後、4℃で2日間静置した。析出した結晶をろ取し、これを減圧乾燥することにより、目的の結晶0.71g(収率71%)を得た。
【0049】
図2に、得られた結晶について、銅のKα線(波長λ=1.54オングストローム)の照射により得られる粉末X線回折パターンを示す。
【0050】
面間隔d=16.98、6.38、4.18、4.06、4.00及び3.96オングストロームに主ピークを示した。
【0051】
(製剤例1)
<ハードカプセル剤>
50mgの粉末状の実施例2の化合物、128.7mgのラクトース、70mgのセルロース及び1.3mgのステアリン酸マグネシウムを混合し、60メッシュのふるいを通した後、この粉末250mgを3号ゼラチンカプセルに入れ、カプセル剤とする。
【0052】
(製剤例2)
<錠剤>
50mgの粉末状の実施例2の化合物、124mgのラクトース、25mgのセルロース及び1mgのステアリン酸マグネシウムを混合し、打錠機により打錠して、1錠200mgの錠剤とする。この錠剤は必要に応じてコーティングや糖衣を施すことができる。
【0053】
(製剤例3)
<液剤>
実施例2の化合物が10%(W/W)、塩化ベンザルコニウムが0.04%(W/W)、フェネチルアルコールが0.40%(W/W)、精製水が89.56%(W/W)となるように液剤を調製する。
【0054】
(製剤例4)
<注射剤>
1.5重量%の実施例2の化合物を、10容量%のプロピレングリコール中で攪拌し、次いで、注射用水で一定容量に調整した後、滅菌して注射剤とする。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】実施例1で得られた、一般式(I)で表される化合物の結晶の粉末X線回折図。(本発明結晶)、図の縦軸は、回折強度をカウント/秒(cps)単位で示し、横軸は回折角度2θの値を示す。
【図2】実施例2で得られた、一般式(I)で表される化合物の結晶の粉末X線回折図。(本発明結晶)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I):
【化1】


で表されるベンズアミジン誘導体の結晶。
【請求項2】
請求項1に記載のベンズアミジン誘導体の結晶において、銅のKα線(波長λ=1.54オングストローム)の照射により得られる粉末X線回折において、面間隔が16.35、5.45、4.83、4.45、4.23、3.79、3.57及び3.52オングストロームに主ピークを示す結晶。
【請求項3】
請求項1に記載のベンズアミジン誘導体の結晶において、銅のKα線(波長λ=1.54オングストローム)の照射により得られる粉末X線回折において、面間隔が16.98、6.38、4.18、4.06、4.00及び3.96オングストロームに主ピークを示す結晶。
【請求項4】
請求項1乃至3から選択されるいずれか1項に記載のベンズアミジン誘導体の結晶を有効成分として含有する医薬組成物。
【請求項5】
請求項1乃至3から選択されるいずれか1項に記載のベンズアミジン誘導体の結晶を有効成分として含有する活性化血液凝固第X因子阻害剤。
【請求項6】
請求項1乃至3から選択されるいずれか1項に記載のベンズアミジン誘導体の結晶を有効成分として含有する血液凝固性疾患の予防剤又は治療剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−297332(P2007−297332A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−126502(P2006−126502)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000001856)三共株式会社 (98)
【Fターム(参考)】