説明

ベンズアミドグルコキナーゼ活性化剤

本発明は、N-ヘテロアリール-ベンズアミド、それを含む製剤組成物、ならびにその使用方法に関する。N-ヘテロアリール-ベンズアミドは、グルコキナーゼにより媒介される疾患または医学的症状に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、N-ヘテロアリール-ベンズアミド、それを含む製剤組成物、ならびにその使用方法に関する。N-ヘテロアリール-ベンズアミドは、グルコキナーゼにより媒介される疾患または医学的症状に有用である。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
グルコキナーゼ(GK)は、哺乳類において見出される4つのヘキソキナーゼのうちの1つである。ヘキソキナーゼは、グルコースの代謝における第一ステップ、即ちグルコース-6-ホスフェートへのグルコースの転化を触媒する。グルコキナーゼは、限定された細胞分布を示し、これは膵臓ベータ細胞および肝実質細胞中に主に見出される。さらにGKは、全身グルコース恒常性において重要な役割を演じることが既知であるこれら2つの種類の細胞におけるグルコース代謝のための速度制御酵素である。GKを活性化し、それによりGKセンサー系の感受性を増大する化合物は、GKにより媒介される疾患または医学的症状の治療に有用である。グルコキナーゼ活性化剤は、ベータ細胞および肝細胞におけるグルコース代謝の流動を増大し、そしてこのような作用物質はGKにより媒介される疾患または医学的症状を治療するために有用である。いくつかのGK活性化剤が既知である(例えばUS 2004/0014968 (Hofmann-La Roche Inc.)、WO 2004/002481 (Novo Nordisk A/S)およびWO 03/015774 (AstraZeneca UK Limited)参照)。
【発明の開示】
【0003】
発明の要約
一態様において、本発明は、グルコキナーゼにより媒介される疾患または医学的症状の治療に用いるための薬剤の調製におけるN-ヘテロアリール-ベンズアミドまたはその製薬上許容可能な塩の使用を提供する。
【0004】
別の態様では、本発明は、製薬上許容可能な担体ならびに治療的有効量の本発明の少なくとも1つの化合物またはその製薬上許容可能な塩を含む新規の製剤組成物を提供する。
別の態様では、本発明は、新規のN-ヘテロアリール-ベンズアミドまたはその製薬上許容可能な塩を提供する。
【0005】
以下の詳細な説明中に明らかになるこれらのおよびその他の目的は、以下の式I:
【化1】

の化合物がグルコキナーゼにより媒介される疾患または医学的症状の治療に有用である本発明人等の発見により達成された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の詳細な説明
グルコキナーゼ(GK)は、哺乳類において見出される4つのヘキソキナーゼのうちの1つである[Colowick, S.P., in The Enzymes, Vol. 9 (P. Boyer, ed.) Academic Press, New York, N.Y., pages 1-48, 1973]。ヘキソキナーゼは、グルコースの代謝における第一ステップ、即ちグルコース-6-ホスフェートへのグルコースの転化を触媒する。グルコキナーゼは、限定された細胞分布を示し、これは膵臓ベータ細胞および肝実質細胞中に主に見出される。さらにGKは、全身グルコース恒常性において重要な役割を演じることが既知であるこれら2つの種類の細胞におけるグルコース代謝のための速度制御酵素である[Chipkin, S.R., Kelly, K.L., and Ruderman, N.B. in Joslin’s Diabetes (C.R. Khan and G.C. Wier, eds.), Lea and Febiger, Philadelphia, Pa., pages 97-115, 1994]。GKが最大半活性を実証するグルコースの濃度は、約8 mMである。他の3つのヘキソキナーゼは、はるかに低い濃度(<1 mM)でグルコースで飽和される。したがって、血中グルコースの濃度が空腹時(5 mM)から炭水化物含有食事後の摂食後レベル(約10〜15 mM)に増大すると、GK経路を通るグルコースの流動が生じる[Printz, R.G., Magnuson, M.A., and Granner, D.K. in Ann. Rev. Nutrition Vol. 13 (R.E. Olson, D.M. Bier, and D.B. McCormick, eds.), Annual Review, Inc., Palo Alto, Clif., pages 463-496, 1993]。これらの知見は、過去10年に亘って、GKがベータ細胞および肝細胞においてグルコース・センサーとして機能する、という仮説の一助となった(Meglasson, M.D. and Matschinsky, F.M. Amer. J. Physiol. 246, E1-E3, 1984)。近年、トランスジェニック動物における研究は、GKが実際、全身グルコース恒常性において重要な役割を演じる、ということを確証した。GKを発現しない動物は誕生のその日のうちに重症糖尿病で死亡し、一方、GKを過剰発現する動物はグルコース寛容性改善を示す(Grupe, A., Hultgren, B., Ryan, A. et al., Cell 83, 69-78, 1995;Ferrie, T., Riu, E., Bosch, F, et al., FASEB J., 10, 1213-1218, 1996)。グルコース曝露の増大は、ベータ細胞中のGKを介して、インスリン分泌増大と、そして肝細胞では、グリコーゲン沈着増大と、そしておそらくはグルコース産生低減と結び付けられる。若年者のタイプ2成人発症型糖尿病(MODY-2)がGK遺伝子における機能突然変異の喪失により引き起こされるという知見は、GKがヒトにおけるグルコース・センサーとしても機能する、ということを示唆する(Liang, Y., Kesavan, P., Wang, L. et al., Biochem. J. 309, 167-173, 1995)。ヒトでのグルコース代謝の調節におけるGKに関する重要な役割を支持する付加的証拠は、酵素活性増大を示す突然変異体形態のGKを発現する患者の同定により提供された。これらの患者は、不適切上昇レベルの血漿インスリンに関連した空腹時低血糖症を示す(Glaser, B., Kesavan, P., Heyman, M. et al., New England J. Med. 338, 226-230, 1998)。GK遺伝子の突然変異はタイプ2糖尿病を有する患者の大多数において見出されるわけではないが、しかしGKを活性化し、それによりGKセンサー系の感受性を増大する化合物は、グルコキナーゼにより媒介される疾患または医学的症状の治療においてやはり有用である。
【0007】
糖尿病は、それ自体症状発現するグルコース代謝障害、特に糖尿病患者における血糖レベル上昇によるものにより特性化される。根本的欠陥により、糖尿病は以下の2つの主要群に分類される:タイプ1糖尿病、またはインスリン要求性真性糖尿病(IDDM)(患者がそれらの膵臓腺中のインスリンを産生するβ細胞を欠く場合に生じる)、およびタイプ2糖尿病、または非インスリン依存性真性糖尿病(NIDDM)(一連の他の異常のほかに、β細胞機能障害を有する患者において生じる)。
【0008】
タイプ1糖尿病患者は一般にインスリンで治療されるが、一方、タイプ2糖尿病患者の大多数は、β細胞機能を刺激するスルホニル尿素で、またはインスリンに対する患者の組織感受性を増強する作用物質で、またはインスリンで治療される。インスリンに対する組織感受性を増強するために適用される作用物質の中で、メトフォルミンは代表的一例である。
【0009】
スルホニル尿素がNIDDMの治療に広範に用いられたとしても、この療法は、ほとんどの場合、要求を満たしているというわけではない:NIDDM患者の多数において、スルホニル尿素は血糖レベルを正常化するのに十分ではなく、したがって患者は、糖尿病性合併症に罹る危険が高くなる。さらにまた、多数の患者はスルホニル尿素による治療に対して応答する能力を漸次喪失し、したがって次第にインスリン治療を余儀なくされる。経口低血糖薬からインスリン療法への患者のこの移行は、通常は、NIDDM患者におけるβ細胞の消耗の結果である。
【0010】
正常被験者においては、糖尿病被験者におけると同様に、低血糖症を回避するために、肝臓はグルコースを産生する。このグルコース産生は、グリコーゲン貯蔵所からのグルコースの放出からまたはグルコース新生(グルコースのde novo細胞内合成である)から得られる。しかしながらタイプ2糖尿病では、肝臓グルコース排出量の調節は十分に制御されず、増大され、そして一晩絶食後には倍加され得る。さらに、これらの患者においては、空腹時血漿グルコースレベル増大と肝臓グルコース産生速度との間に強力な相関が認められる。同様に、当該疾患がインスリン治療により適正に制御されない場合、肝臓グルコース産生はタイプ1糖尿病において増大される。
【0011】
糖尿病の療法の現行形態は十分な血糖症制御をもたらさず、したがって要求を満たさないため、新規の治療アプローチが大いに必要とされている。
動脈の疾患であるアテローム硬化症は、米国および西欧における死亡の主因であると認識されている。アテローム硬化症および閉塞性心疾患をもたらす病理学的連続が周知である。この連続の最初期段階は、頚動脈、冠動脈および大脳動脈における、そして大動脈における「脂肪線条」の形成である。これらの病変は、主に平滑筋細胞内、ならびに動脈および大動脈の内膜層のマクロファージ中に見出される脂質沈着物の存在のために、黄色である。さらに、脂肪線条内に見出されるコレステロールのほとんどが、順次、脂質を積載され、そして細胞外脂質、コラーゲン、エラスチンおよびプロテオグリカンにより取り囲まれた内膜平滑筋細胞蓄積からなる「繊維性プラーク」の発生を生じる、と仮定される。細胞にマトリックスを加えると、細胞破砕屑のより深い沈着物およびより多くの細胞外脂質を覆う繊維性キャップが形成される。脂質は主に、遊離およびエステル化コレステロールである。繊維性プラークは徐々に生じ、そしてそのうち石灰化され、壊死するようになって、「併発病変」に進み、これが動脈閉塞、ならびに進行性アテローム硬化症を特性化する壁在血栓症および動脈筋肉痙攣に向かう傾向の原因となる。
【0012】
疫学的証拠は、アテローム硬化症のために心臓血管性疾患(CVD)を引き起こす場合の主要危険因子としての高脂血症をしっかり確立した。近年、医者仲間の指導者は、CVDの防止における必須ステップとして、血漿コレステロールレベル低下、特に低密度リポタンパク質コレステロールを特に新しく強調した。「正常」の上限は、今まで理解されたよりも有意に低いことが、今や既知である。その結果、西欧集団の広い層は、特に高い危険に直面していると、目下、実感されている。個々の危険因子としては、グルコース不耐性、左心室肥大、高血圧、および男性であることが挙げられる。心臓血管性疾患は、糖尿病被験者の間で特に一般的であるが、これは、少なくとも一部は、この集団における多数の個々の危険因子の存在のためである。一般集団における、そして特に糖尿病被験者における、高脂血症の上首尾の治療は、したがって、異例の医学的重要性を有する。
【0013】
高血圧症(または高血圧)は、種々の他の障害、例えば腎動脈狭窄、褐色細胞腫または内分泌障害に派生する二次症候としてヒト集団に起こる症状である。しかしながら高血圧症は、原因性作因または障害が未知である多数の患者においても立証されている。このような「本態性」高血圧症はしばしば、肥満症、糖尿病および高トリグリセリド血症のような障害と関連しているが、これらの障害間の関係は解明されていない。付加的には、多数の患者が、疾患または障害の任意の他の徴候の完全非存在下で、高血圧の症候を示す。
【0014】
高血圧症は心不全、腎不全および卒中(脳出血)を直接的にもたらし得る、ということが既知である。これらの症状は、患者において短期死亡を引き起こし得る。高血圧症は、アテローム硬化症および冠動脈疾患の発症にも関与し得る。これらの症状は患者を漸次弱らせて、そして長期死亡をもたらし得る。
【0015】
本態性高血圧症の正確な原因は未知であるが、しかし多数の因子が疾患の開始に関与すると考えられる。このような因子には、ストレス、非制御化情動、非調節化ホルモン放出(レニン、アンギオテンシンアルドステロン系)、腎臓機能障害のための過剰な塩および水、血管収斂を引き起こす血管系の壁肥厚および肥大、ならびに遺伝的因子がある。
【0016】
本態性高血圧症の治療は、前記因子に留意しながら着手されてきた。したがって広範囲のベータ遮断薬、血管収縮薬、アンギオテンシン転換酵素阻害薬等が開発され、抗高血圧薬として市販されてきた。これらの化合物を利用する高血圧症の治療は、心不全、腎不全および脳出血のような短期間死亡の防止において有益であることを立証した。しかしながら長期間に亘る高血圧症のためのアテローム硬化症または心疾患の発症は、依然として問題である。これは、高血圧は低減されているが、しかし本態性高血圧症の根本的原因はこの治療に応答していない、ということを意味する。
【0017】
高血圧症は、高インスリン血症として既知の症状である血中インスリンレベル上昇に関連付けられてきた。その主な作用がグルコース利用、タンパク質合成、ならびに中性脂質の形成および貯蔵を促すことであるペプチドホルモンであるインスリンは、特に、血管細胞増殖を促進し、そして腎臓ナトリウム貯留を増大するためにも作用する。これら後者機能はグルコースレベルに影響を及ぼすことなく成し遂げられ、そして高血圧症の既知の原因である。例えば末梢血管系増殖は末梢毛細血管の狭窄を引き起こし得るが、一方、ナトリウム貯留は、血液量を増大する。したがって高インスリン血症においてインスリンレベルを低下させることは、高インスリンレベルにより引き起こされる異常血管増殖および腎臓のナトリウム貯留を防止し、それにより高血圧症を軽減し得る。
【0018】
心肥大は、突然死、心筋梗塞およびうっ血性心不全の発症における有意の危険因子である。これらの心臓事象は、少なくとも一部は、虚血および再還流後の心筋損傷に対する感受性増大によるものであり、これは、外来患者ならびに手術中設定において起こり得る。不都合な心筋術中結果、特に術中心筋梗塞を防止するかまたは最小限にする未だ満たされていない医学的必要性が存在する。非心臓および心臓手術はともに、心筋梗塞または死に対する実質的危険と関連する。非心臓手術を受けている約700万人の患者は、いくつかのシリーズでは20〜25%という高さの術中死および重篤な心臓合併症の発生率で、危険に直面していると考えられる。さらに、冠動脈バイパス手術を受けている年間400,000人の患者のうち、術中心筋梗塞は5%に起こり、1〜2%が死亡する。術中心筋虚血からの心臓組織に対する損害を低減し、あるいは虚血性事象に対する心臓抵抗性を増大する薬剤療法はこの領域では一般的に存在しない。このような療法は、救命性であると予測され、そして高危険患者の入院を低減し、ライフ・オブ・クオリティーを増強し、そして全体的健康管理を低減する。
【0019】
肥満症は、多数の非常に一般的な疾患、例えばアテローム硬化症、高血圧症および糖尿病の発症に関する周知の危険因子である。肥満体の人々、それによるこれらの疾患の発生率は、全工業化世界全体で増大しつつある。運動、食事および食事制限を除いて、体重を有効に且つ許容可能的に低減するための説得力のある薬理学的処置は一般に存在しない。しかしながら、致命的および一般的疾患における危険因子としてのその間接的ではあるが重要な作用のため、肥満症のための治療および/または食欲調節の手段を見出すことが重要である。
【0020】
肥満症という用語は、脂肪組織の超過を意味する。この情況では、肥満症は、健康上の危険を付与する任意程度の過剰脂肪症と考えられるのが最も望ましい。正常個体と肥満個体との間の切り離しはただ単に概算され得るが、しかし肥満により付与される健康上の危険は、おそらくは、漸増脂肪症と一続きである。フラミンガム研究は、望ましい重量を20%上回る超過は明らかに健康上の危険を付与する、ということを実証した(Mann GV N. Engl. J. Med 291: 226, 1974)。米国では、国立健康研究所の肥満症に関するコンセンサスパネルは、相対体重の20%増または青年に関する85百分位数を上回る身体質量指数(BMI=体重(kg)/伸長(m)2)が、健康上の危険を構成する、ということに同意した。これらの判定基準の使用により、米国における成人男性の20〜30%および成人女性の30〜40%は肥満である(NIH, Ann Intern Med 103: 147, 1985)。
【0021】
軽症肥満症でさえ、早期死亡、糖尿病、高血圧症、アテローム硬化症、胆嚢疾患およびある種の癌の危険性を増大する。工業化西欧世界では、肥満症の蔓延は過去数十年に有意に増大してきた。肥満症の高度蔓延およびその健康上の結果のため、その防止および治療は大きな公共の健康優先事項であるべきである。
【0022】
エネルギー摂取が消費を超える場合、過剰熱量が脂肪組織中に貯蔵され、そしてこの正味の正の平衡が長期化されると、肥満が引き起こされ、即ち、体重平衡への2つの構成成分が存在し、そしていずれかの側(摂取または消費)に関する異常が肥満をもたらし得る。
【0023】
摂食行動の調節は、十分に理解されているわけではない。ある程度まで、食欲は視床下部中の別個の領域:視床下部の腹外側核(VLH)における摂食中枢、ならびに腹内側視床下部(VMH)の満腹中枢:により制御される。大脳皮質は、摂食を刺激する摂食中枢からの正のシグナルを受け取り、そして満腹中枢は、摂食中枢に抑制インパルスを送ることによりこのプロセスを調整する。いくつかの調節プロセスは、これらの視床下部中枢に影響を及ぼし得る。満腹中枢は、食後の血漿グルコースおよび/またはインスリンの増大により活性化され得る。食事誘導性胃拡張は、もう一つの考え得る抑制因子である。
【0024】
さらに視床下部中枢はカテコールアミンに感受性であり、そしてベータアドレナリン作動性刺激は摂食行動を抑制する。最終的に、大脳皮質が摂食行動を制御し、そして摂食中枢から大脳皮質へのインパルスは1回だけの入力である。心理学的、社会的および遺伝的因子も、食物摂取に影響を及ぼす。
【0025】
目下、初期体重減少を達成するために、種々の技法が利用可能である。残念ながら、初期体重減少は最適治療目標ではない。むしろ問題は、ほとんどの肥満患者が結局は彼らの体重を取り戻す点である。体重減少を確立しおよび/または持続するための有効な手段は、今日、肥満症の治療における大きな挑戦である。
【0026】
一態様において、本発明は、グルコキナーゼにより媒介される疾患または医学的症状の治療に用いるための薬剤の調製における、式I:
【化2】

(式中、Bは、直接結合または-O-であり;
1は、C1-6-アルキル、C1-4-アルコキシ-C1-4-アルキル、C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキル-C1-4-アルキルまたはC3-7-シクロアルキル-オキシ-C1-4-アルキルであって、これらは各々、R3から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換され;
3は、ヒドロキシ、-CF3、メチルまたはFから独立して選択され;、
Xは、-O-Z-またはO-Z-O-Z-から独立して選択されるリンカーであって、この場合、Oはフェニル環と結合され;
Zは、各々独立して、直接結合、C2-6-アルケニレンおよび-(CH2p-C(R102-(CH2q-から選択され;
【0027】
Yは、アリール-Z1、5〜10員ヘテロシクリル-Z1-(ここで、ヘテロシクリルは炭素原子、ならびにO、NおよびS(O)tから選択される1〜4個の異種原子からなる)、C3-7-シクロアルキル-Z1、C1-6-アルキル、C2-6-アルケニル、C2-6-アルキニル、-(CH21-4-CH2F、-(CH21-4CHF2、-(CH21-4CF3、-CH(OH)CH2F、-CH(OH)CHF2および-CH(OH)CF3から選択され、この場合、Yは各々、R4から独立して選択される1〜3個の置換基で任意に置換され;
1は、独立して、直接結合、C2-6-アルケニレンおよび-(CH2p-C(R102-(CH2q-から選択され;
pは独立して、0、1、2および3から選択され;
qは独立して、0、1、2および3から選択され;
p+qは、0、1、2および3から選択され;
4は、独立して、R5-X1-、Cl、F、Br、I、CH2F、CHF2、CF3、シアノ、アミノ、C1-6-アルキル、-O-C1-6アルキル、カルボキシ、-C(O)OR7、ヒドロキシおよびフェニル(任意にC1-6アルキルまたは-C(O)OR7により置換される)から選択され、ここで、X1は上記Xと同様に定義され;
【0028】
5は、H、C1-6-アルキル、CH2F、CHF2、CF3、フェニル、ナフチル、5〜10員ヘテロシクリル(炭素原子、ならびにO、NおよびS(O)tから選択される1〜4個の異種原子からなる)、およびC3-7シクロアルキルから選択され、この場合、R5は各々、R6から独立して選択される1つまたは複数の置換基により任意に置換され;
6は、独立して、Cl、F、Br、I、C1-6-アルキル、-OC1-6アルキル、CH2F、CHF2、CF3、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C(O)OHまたは-C(O)OC1-6アルキルから選択され;
7は、独立して、C1-8-アルキルおよびC3-8-シクロアルキルから選択され;
Aは、5〜10員ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、炭素原子、ならびにO、NおよびS(O)tから選択される1〜4個の異種原子からなる)(R8で置換される)であり;
【0029】
8は、独立して、-(CH21-2-COOH(R9から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される)から選択され;
9は、独立して、C1-4-アルキル、ヒドロキシまたはFから選択され;
10は、独立して、H、Cl、F、Br、I、C1-6-アルキルおよび-C2-4-アルキル-O-C1-4アルキルから選択され、
tは、独立して、0、1および2から選択される)
で表される化合物またはその塩の使用を提供する。
【0030】
態様2 グルコキナーゼにより媒介される疾患または医学的症状の治療に用いるための薬剤の調製に用いるための態様1記載の式Iの化合物を製薬上許容可能な希釈剤または担体を一緒に含む製剤調製物。
【0031】
態様3 式Ib:
【化3】

(式中、Bは、直接結合または-O-であり;
1は、C1-6-アルキル、C1-4-アルコキシ-C1-4-アルキル、C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキル-C1-4-アルキルまたはC3-7-シクロアルキル-オキシ-C1-4-アルキルであって、これらは各々、R3から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換され;
3は、ヒドロキシ、-CF3、メチルまたはFから独立して選択されるが;
但しY-X-はCH3-O-、C25-O-またはCH3C(O)-O-ではあり得ず;
Xは、-O-Z-またはO-Z-O-Z-から独立して選択されるリンカーであって、ここで、Oはフェニル環と結合され;
Zは、各々独立して、直接結合、C2-6-アルケニレンおよび-(CH2p-C(R102-(CH2q-から選択され;
【0032】
Yは、アリール-Z1、5〜10員ヘテロシクリル-Z1-(ここで、ヘテロシクリルは炭素原子、ならびにO、NおよびS(O)tから選択される1〜4個の異種原子からなる)、C3-7-シクロアルキル-Z1、C1-6-アルキル、C2-6-アルケニル、C2-6-アルキニル、-(CH21-4-CH2F、-(CH21-4CHF2、-(CH21-4CF3、-CH(OH)CH2F、-CH(OH)CHF2および-CH(OH)CF3から選択され、この場合、Yは各々、R4から独立して選択される1〜3個の置換基で任意に置換され;
1は、独立して、直接結合、C2-6-アルケニレンおよび-(CH2p-C(R102-(CH2q-から選択され;
pは独立して、0、1、2および3から選択され;
qは独立して、0、1、2および3から選択され;
p+qは、0、1、2および3から選択され;
4は、独立して、R5-X1-、Cl、F、Br、I、CH2F、CHF2、CF3、シアノ、アミノ、C1-6-アルキル、-O-C1-6アルキル、カルボキシ、-C(O)OR7、ヒドロキシおよびフェニル(任意にC1-6アルキルまたは-C(O)OR7により置換される)から選択され、ここで、X1は上記Xと同様に定義され;
5は、H、C1-6-アルキル、CH2F、CHF2、CF3、フェニル、ナフチル、5〜10員ヘテロシクリル(炭素原子、ならびにO、NおよびS(O)tから選択される1〜4個の異種原子からなる)、およびC3-7シクロアルキルから選択され、この場合、R5は各々、R6から独立して選択される1つまたは複数の置換基により任意に置換され;
【0033】
6は、独立して、Cl、F、Br、I、C1-6-アルキル、-OC1-6アルキル、CH2F、CHF2、CF3、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C(O)OHまたは-C(O)OC1-6アルキルから選択され;
7は、独立して、C1-8-アルキルおよびC3-8-シクロアルキルから選択され;
Aは、5〜10員ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、炭素原子、ならびにO、NおよびS(O)tから選択される1〜4個の異種原子からなる)(R8で置換される)であり;
8は、独立して、-(CH21-2-COOH(R9から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される)から選択され;
9は、独立して、C1-4-アルキル、ヒドロキシまたはFから選択され;
10は、独立して、H、Cl、F、Br、I、C1-6-アルキルおよび-C2-4-アルキル-O-C1-4アルキルから選択され、
tは、独立して、0、1および2から選択される)
で表される化合物またはその塩。
【0034】
態様4 Bが直接結合である態様1〜3のいずれか一つによる化合物。
態様5 Bが-O-である態様1〜3のいずれか一つによる化合物。
態様6 R1がC1-6-アルキルまたはC1-4-アルコキシ-C1-4-アルキルであって、これらが各々、R3から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される態様1〜5のいずれか一つによる化合物。
態様7 R1がメチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピル(これらは各々、R3から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される)、または-CH2(R3)-C1-5-アルキルである態様6による化合物。
【0035】
態様8 R1がメチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピルであって、これらが各々、R3から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される態様7による化合物。
態様9 R1が-CH2(R3)-C1-5-アルキルである態様7による化合物。
態様10 R1が-CH2-C1-4-アルコキシまたは-CH2-CH2-C1-4-アルコキシである態様6による化合物。
態様11 R1が-CH2-O-CH3、-CH2-O-CH2-CH3、-CH2-CH2-O-CH3または-CH2-CH2-O-CH2-CH3である態様10による化合物。
態様12 R1が-CH2-CH2-O-CH3である態様11による化合物。
【0036】
態様13 R1がC3-7シクロアルキル、C3-7シクロアルキル-C1-4-アルキルまたはC3-7シクロアルキル-オキシ-C1-4-アルキルであって、この各々がR3から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される態様1〜5のいずれか一つによる化合物。
態様14 R1がC3-7シクロアルキルまたはC3-7シクロアルキル-C1-4-アルキルであって、この各々がR3から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される態様13による化合物。
態様15 R3が-CF3、メチルまたはFである態様1〜14のいずれか一つによる化合物。
態様16 R3が-CF3である態様15による化合物。
態様17 R3がメチルである態様15による化合物。
態様18 R3がFである態様15による化合物。
態様19 Xが-O-Z-である態様1〜18のいずれか一つによる化合物。
態様20 XがO-Z-O-Zである態様1〜18のいずれか一つによる化合物。
【0037】
態様21 Zが直接結合または-(CH2p-C(R102-(CH2q-である態様1〜20のいずれか一つによる化合物。
態様22 Zが直接結合である態様21による化合物。
態様23 Zが-(CH2p-C(R102-(CH2q-である態様21による化合物。
態様24 R10がCH3である態様1〜23のいずれか一つによる化合物。
態様25 R10がHである態様1〜23のいずれか一つによる化合物。
態様26 Yがフェニル-Z1、ナフチル-Z1、5〜10員ヘテロシクリル-Z1-(ここで、ヘテロシクリルは炭素原子、ならびにO、NおよびS(O)tから選択される1〜4個の異種原子からなる)、またはC3-7-シクロアルキル-Z1であって、Yが各々、R4から独立して選択される1〜3個の置換基で任意に置換される態様1〜25のいずれか一つによる化合物。
【0038】
態様27 Yがフェニル-Z1、5〜10員ヘテロシクリル-Z1-(ここで、ヘテロシクリルは炭素原子、ならびにO、NおよびS(O)tから選択される1〜4個の異種原子からなる)、またはC3-7-シクロアルキル-Z1であって、Yが各々、R4から独立して選択される1〜3個の置換基で任意に置換される態様26による化合物。
態様28 Yがフェニル-Z1(R4から独立して選択される1〜3個の置換基で任意に置換される)である態様27による化合物。
態様29 Z1が直接結合または-(CH2p-C(R102-(CH2q-である態様1〜28のいずれか一つによる化合物。
態様30 Z1が直接結合である態様29による化合物。
態様31 R10がCH3である態様26〜30のいずれか一つによる化合物。
態様32 R10がHである態様26〜30のいずれか一つによる化合物。
態様33 pおよびqがともに0である態様1〜32のいずれか一つによる化合物。
態様34 R4が独立してR5-X1-、Cl、Fまたは-O-C1-6アルキルである態様1〜33のいずれか一つによる化合物。
【0039】
態様35 R4が独立してCl、F、メトキシまたはエトキシから選択される態様34による化合物。
態様36 R4がメトキシである態様35による化合物。
態様37 R4がR5-X1-である態様34による化合物。
態様38 X1がOである態様1〜37のいずれか一つによる化合物。
態様39 R5がC1-6アルキル、CH2F、CHF2またはCF3であり、R5が各々、R6から独立して選択される1つまたは複数の置換基により任意に置換される態様1〜38のいずれか一つによる化合物。
態様40 R5がメチル、エチルまたはプロピルである態様39による化合物。
態様41 R6がCl、Fまたはメチルである態様1〜40のいずれか一つによる化合物。
【0040】
態様42 R7がC1-8-アルキルである態様1〜41のいずれか一つによる化合物。
態様43 R7がメチル、エチルまたはプロピルである態様42による化合物。
態様44 tが0である態様1〜43のいずれか一つによる化合物。
態様45 Aがチアゾリル、1,2,4-チアジアゾリルまたは1,3,4-チアジアゾリル(R8で置換される)である態様1〜44のいずれか一つによる化合物。
【0041】
態様46 Aが、
【化4】

である態様45による化合物。
態様47 Aが、
【化5】

である態様46による化合物。
態様48 Aが、
【化6】

である態様47による化合物。
態様49 Aが、
【化7】

である態様47による化合物。
【0042】
態様50 R8が、-CH2COOH(R9から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される)である態様1〜49のいずれか一つによる化合物。
態様51 R8が-(CH22-COOH(R9から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される)である態様1〜49のいずれか一つによる化合物。
態様52 R9がメチルである態様1〜51のいずれか一つによる化合物。
【0043】
態様53 式Ic:
【化8】

(式中、Bは、直接結合または-O-であり;
1は、C1-6-アルキル、C1-4-アルコキシ-C1-4-アルキル、C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキル-C1-4-アルキルまたはC3-7-シクロアルキル-オキシ-C1-4-アルキルであって、これらは各々、R3から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換され;
3は、ヒドロキシ、-CF3、メチルまたはFから独立して選択され;
Yは、-CH3または-C25から選択され;
Aは、5〜10員ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは炭素原子、ならびにO、NおよびS(O)tから選択される1〜4個の異種原子からなる)(R8で置換される)であり;
1は、独立して、直接結合、C2-6-アルケニレンおよび-(CH2p-C(R102-(CH2q-から選択され;
pは独立して、0、1、2および3から選択され;
qは独立して、0、1、2および3から選択され;
p+qは、0、1、2および3から選択され;
8は、独立して、-(CH21-2-COOH(R9から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される)から選択され;
9は、独立して、C1-4-アルキル、ヒドロキシまたはFから選択され;
10は、独立して、H、Cl、F、Br、I、C1-6-アルキルおよび-C2-4-アルキル-O-C1-4アルキルから選択され、
tは、独立して、0、1および2から選択される)
による化合物またはその塩。
【0044】
態様54 Bが直接結合である態様53による化合物。
態様55 Bが-O-である態様53による化合物。
態様56 R1がC1-6-アルキルまたはC1-4-アルコキシ-C1-4-アルキルであって、これらが各々、R3から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される態様53〜55のいずれか一つによる化合物。
態様57 R1がメチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピル(これらは各々、R3から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される)、または-CH2(R3)-C1-5-アルキルである態様56による化合物。
態様58 R1がメチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピルであって、これらが各々、R3から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される態様57による化合物。
【0045】
態様59 R1が-CH2(R3)-C1-5-アルキルである態様57による化合物。
態様60 R1が-CH2-C1-4-アルコキシまたは-CH2-CH2-C1-4-アルコキシである態様56による化合物。
態様61 R1が-CH2-O-CH3、-CH2-O-CH2-CH3、-CH2-CH2-O-CH3または-CH2-CH2-O-CH2-CH3である態様60による化合物。
態様62 R1が-CH2-CH2-O-CH3である態様61による化合物。
【0046】
態様63 R1がC3-7シクロアルキル、C3-7シクロアルキル-C1-4-アルキルまたはC3-7シクロアルキル-オキシ-C1-4-アルキルであって、この各々がR3から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される態様53〜55のいずれか一つによる化合物。
態様64 R1がC3-7シクロアルキルまたはC3-7シクロアルキル-C1-4-アルキルであって、この各々がR3から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される態様63による化合物。
態様65 R3が-CF3、メチルまたはFである態様53〜64のいずれか一つによる化合物。
態様66 R3が-CF3である態様65による化合物。
態様67 R3がメチルである態様65による化合物。
態様68 R3がFである態様65による化合物。
態様69 Yが-CH3である態様53〜68のいずれか一つによる化合物。
態様70 Yが-C25である態様53〜68のいずれか一つによる化合物。
態様71 tが0である態様53〜70のいずれか一つによる化合物。
態様72 Aがチアゾリル、1,2,4-チアジアゾリルまたは1,3,4-チアジアゾリル(R8で置換される)である態様53〜71のいずれか一つによる化合物。
【0047】
態様73 Aが、
【化9】

である態様72による化合物。
態様74 Aが、
【化10】

である態様73による化合物。
態様75 Aが、
【化11】

である態様74による化合物。
態様76 Aが、
【化12】

である態様74による化合物。
【0048】
態様77 R8が、-CH2COOH(R9から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される)である態様53〜76のいずれか一つによる化合物。
態様78 R8が-(CH22-COOH(R9から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される)である態様53〜76のいずれか一つによる化合物。
【0049】
態様79 R9がメチルである態様53〜78のいずれか一つによる化合物。
態様80では、態様1〜79のいずれか一つに従って、本発明は、グルコキナーゼにより媒介される疾患または医学的症状の治療に用いるための薬剤の調製における本発明の化合物またはその塩の使用を提供するが、この場合、疾患または症状は、代謝障害、血糖低下、高血糖症、耐糖能異常(IGT)、X症候群、多嚢胞性卵巣症候群、空腹時血糖異常(IFG)、タイプ1糖尿病、タイプ2糖尿病への耐糖能異常(IGT)の進行の遅延、インスリン要求性タイプ2糖尿病への非インスリン要求性タイプ2糖尿病の進行の遅延、異脂肪血症、高脂血症、高血圧症、肥満の治療または予防、食物摂取の低下、食欲調節、摂食行動の調節、ならびにエンテロインクレチンの分泌増強である。
態様81 疾患または医学的症状がタイプ1糖尿病である態様80による使用。
【0050】
態様82 疾患または医学的症状がタイプ2糖尿病である態様80による使用。
別の態様83において、本発明は、2 mMのグルコース濃度で本明細書中に開示された「グルコキナーゼ活性化検定(I)」で試験した場合、グルコキナーゼの活性化剤である上記の態様のいずれかによる化合物を提供する。
別の態様84では、本発明は、10〜15 mMのグルコース濃度で本明細書中に開示された「グルコキナーゼ活性化検定(I)」で試験した場合、グルコキナーゼの活性化剤である上記の態様のいずれかによる化合物を提供する。
【0051】
別の態様85では、本発明は、2 mMのグルコース濃度での本明細書中に開示された「グルコキナーゼ活性化検定(I)」におけるグルコキナーゼの少なくとも1.5倍、例えば少なくとも1.7倍、例えば少なくとも2.0倍の活性化を、30 μMの濃度で、提供し得る上記の態様のいずれかの化合物を提供する。
【0052】
別の態様86では、本発明は、10〜15 mMのグルコース濃度での本明細書中に開示された「グルコキナーゼ活性化検定(I)」におけるグルコキナーゼの少なくとも1.5倍、例えば少なくとも1.7倍、例えば少なくとも2.0倍の活性化を、30 μMの濃度で、提供し得る上記の態様のいずれかの化合物を提供する。
別の態様87では、本発明は、2 mMのグルコース濃度での本明細書中に開示された「グルコキナーゼ活性化検定(I)」におけるグルコキナーゼの少なくとも1.5倍、例えば少なくとも1.7倍、例えば少なくとも2.0倍の活性化を、5 μMの濃度で、提供し得る上記の態様のいずれかの化合物を提供する。
【0053】
別の態様88では、本発明は、10〜15 mMのグルコース濃度での本明細書中に開示された「グルコキナーゼ活性化検定(I)」におけるグルコキナーゼの少なくとも1.5倍、例えば少なくとも1.7倍、例えば少なくとも2.0倍の活性化を、5 μMの濃度で、提供し得る上記の態様のいずれかの化合物を提供する。
【0054】
別の態様89では、本発明は、グルコキナーゼ活性における増大を提供する上記態様のいずれかの化合物を提供するが、この場合、化合物により提供されるグルコキナーゼ活性における増大は漸増濃度のグルコースに伴って増大する。
【0055】
別の態様90では、本発明は、15 mMのグルコース濃度での本明細書中に開示された「グルコキナーゼ活性化検定(I)」におけるグルコキナーゼ活性における増大を提供する上記態様のいずれかの化合物を提供するが、この増大は、5 mMのグルコース濃度での本明細書中に開示された「グルコキナーゼ活性化検定(I)」における化合物により提供されるグルコキナーゼ活性における増大より有意に高い。
【0056】
別の態様91では、本発明は、15 mMのグルコース濃度での本明細書中に開示された「グルコキナーゼ活性化検定(I)」におけるグルコキナーゼ活性における増大を、10 μMの化合物濃度で、提供する上記態様のいずれかの化合物を提供するが、この増大は、5 mMのグルコース濃度での本明細書中に開示された「グルコキナーゼ活性化検定(I)」における10 μMの化合物濃度での化合物により提供されるグルコキナーゼ活性における増大より有意に高い。
【0057】
別の態様92では、本発明は、15 mMのグルコース濃度での本明細書中に開示された「グルコキナーゼ活性化検定(I)」におけるグルコキナーゼ活性における増大を、10 μMの化合物濃度で、提供する上記態様のいずれかの化合物を提供するが、この増大は、5 mMのグルコース濃度での本明細書中に開示された「グルコキナーゼ活性化検定(I)」における10 μMの化合物濃度での化合物により提供されるグルコキナーゼ活性における増大より少なくとも1.1倍高い、例えば少なくとも1.2倍高い、例えば少なくとも1.3倍高い、例えば少なくとも1.4倍高い、例えば1.5倍高い、例えば少なくとも1.6倍高い、例えば少なくとも1.7倍高い、例えば少なくとも1.8倍高い、例えば少なくとも1.9倍高い、例えば少なくとも2.0倍高い。
【0058】
別の態様93では、本発明は、グルコースに応答してインスリン分泌における任意の増大を誘導することなく、肝臓におけるグルコース利用を化合物が増大する上記態様のいずれかの化合物を提供する。
【0059】
別の態様94では、本発明は、Ins-1細胞における化合物の活性と比較して、単離肝細胞において有意に高い活性を化合物が示す上記態様のいずれかの化合物を提供する。
別の態様95では、本発明は、上記態様のいずれかの化合物であって、「グルコキナーゼ活性検定(III)」に記載されたように測定したIns-1細胞中の化合物の活性と比較して、「グルコキナーゼ活性検定(II)」に記載されたように測定した単離肝細胞中では有意に高い活性を示す化合物を提供する。
【0060】
別の態様96では、本発明は、上記態様のいずれかの化合物であって、その活性が、「グルコキナーゼ活性検定(III)」に記載されたように測定したIns-1細胞中の化合物の活性より少なくとも1.1倍高い、例えば少なくとも1.2倍高い、例えば少なくとも1.3倍高い、例えば少なくとも1.4倍高い、例えば1.5倍高い、例えば少なくとも1.6倍高い、例えば少なくとも1.7倍高い、例えば少なくとも1.8倍高い、例えば少なくとも1.9倍高い、例えば少なくとも2.0倍高い、例えば少なくとも3.0倍高い、例えば少なくとも4.0倍高い、例えば少なくとも5.0倍高い、例えば少なくとも10倍高い、「グルコキナーゼ活性検定(II)」に記載されたように測定した単離肝細胞中の活性を示す化合物を提供する。
【0061】
別の態様97では、本発明は、上記態様のいずれかの化合物であって、「グルコキナーゼ活性検定(III)」に記載されたように測定したIns-1細胞中での活性を示さない化合物を提供する。
【0062】
別の態様98では、上記態様のいずれかに従って、本発明は、グルコキナーゼにより媒介される疾患または医学的症状の治療方法であって、薬学的有効量の上記態様のいずれかの化合物を個体に投与することを包含する方法を提供するが、この場合、疾患または症状は、代謝障害、血糖低下、高血糖症、耐糖能異常(IGT)、X症候群、多嚢胞性卵巣症候群、空腹時血糖異常(IFG)、タイプ1糖尿病、タイプ2糖尿病への耐糖能異常(IGT)の進行の遅延、インスリン要求性タイプ2糖尿病への非インスリン要求性タイプ2糖尿病の進行の遅延、異脂肪血症、高脂血症、高血圧症、肥満の治療または予防、食物摂取の低下、食欲調節、摂食行動の調節、ならびにエンテロインクレチンの分泌増強である。
【0063】
態様99 疾患または医学的症状がタイプ1糖尿病である態様98による方法。
態様100 疾患または医学的症状がタイプ2糖尿病である態様98による方法。
ここで、ならびに本発明の明細書全体を通して示される構造式において、以下の用語は所定の意味を有する:
【0064】
「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
「ヒドロキシ」という用語は、ラジカル-OHを意味する。
「オキシ」という用語は、ラジカル-O-を意味する。
「オキソ」という用語は、ラジカル=Oを意味する。
「カルボニル」という用語は、ラジカル-C(=O)-を意味する。
「ホルミル」という用語は、ラジカル-C(=O)Hを意味する。
【0065】
「メルカプト」という用語は、ラジカル-SHを意味する。
「スルファニル」という用語は、ラジカル-S-を意味する。
「チオキソ」という用語は、ラジカル=Sを意味する。
「スルフィニル」という用語は、ラジカル-S(=O)-を意味する。
「スルホニル」という用語は、ラジカル-S(=O)2-を意味する。
「スルホ」という用語は、ラジカル-S(=O)2OHを意味する。
「スルファモイル」という用語は、ラジカル-S(=O)2NH2を意味する。
「カルボキシ」という用語は、ラジカル-(C=O)OHを意味する。
「アミノ」という用語は、ラジカル-NH2を意味する。
「ニトロ」という用語は、ラジカル-NO2を意味する。
「シアノ」という用語は、ラジカル-CNを意味する。
【0066】
「架橋」という用語は、本明細書中で用いる場合、飽和または部分飽和環における、炭素、窒素酸素およびイオウから選択される1〜6個の原子の鎖による、隣接していないこのような環の2個の原子間の連結を表わす。このような連結鎖の代表例は、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2NHCH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2OCH2-等である。
「隣接の」という用語は、本明細書中で用いる場合、2つの原子または変数の相対位置に関係し、これら2つの原子または変数は、多様な明細書中の他のものに先行するかまたはその後に続く一結合または一変数を共有する。例として、「原子Bに隣接する原子A」とは、2つの原子AおよびBが一結合を共有することを意味する。
【0067】
「スピロ原子」という用語は、本明細書中で用いる場合、炭素、窒素酸素およびイオウから選択される3〜6個の原子の鎖の両端を連結する飽和または部分飽和環における炭素原子を表す。代表例は、-(CH25-、-(CH23-、-(CH24-、-CH2NHCH2CH2-、-CH2CH2NHCH2CH2-、-CH2NHCH2CH2CH2-、-CH2CH2OCH2-、-OCH2CH2O-等である。
【0068】
「C1-6-アルキル」という用語は、本明細書中で用いる場合、1〜6個の炭素原子を有する飽和、分枝鎖または直鎖炭化水素基を表わす。代表例は、メチル、エチル、プロピル(例えばプロプ-1-イル、プロプ-2-イル(またはイソ-プロピル))、ブチル(例えば2-メチルプロプ-2-イル(またはtert‐ブチル)、ブト-1-イル、ブト-2-イル)、ペンチル(例えばペント-1-イル、ペント-2-イル、ペント-3-イル)、2-メチルブト-1-イル、3-メチルブト-1-イル、ヘキシル(例えばへキス-1-イル)等である。
【0069】
「C2-6-アルケニル」という用語は、本明細書中で用いる場合、2〜6個の炭素原子ならびに少なくとも1つの二重結合を有する分枝鎖または直鎖炭化水素基を表わす。代表例は、エテニル(またはビニル)、プロペニル(例えばプロプ-1-エニル、プロプ-2-エニル)、ブタジエニル(例えばブタ-1,3-ジエニル)、ブテニル(例えばブト-1-エン-1-イル、ブト-2-エン-1-イル)、ペンテニル(例えばペント-1-エン-1-イル、ペント-2-エン-2-イル)、ヘキセニル(例えばへキス-1-エン-2-イル、ヘキス-2-エン-1-イル)、1-エチルプロプ-2-エニル、1,1-(ジメチル)プロプ-2-エニル、1-エチルブト-3-エニル、1,1-(ジメチル)ブト-2-エニル等である。
【0070】
「C2-6-アルキニル」という用語は、本明細書中で用いる場合、2〜6個の炭素原子ならびに少なくとも1つの三重結合を有する分枝鎖または直鎖炭化水素基を表わす。代表例は、エチニル、プロピニル(例えばプロプ-1-イニル、プロプ-2-イニル)、ブチニル(例えばブト-1-イニル、ブト-2-イニル)、ペンチニル(例えばペント-1-イニル、ペント-2-イニル)、ヘキシニル(例えばへキス-1-イニル、ヘキス-2-イニル)、1-エチルプロプ-2-イニル、1,1-(ジメチル)プロプ-2-イニル、1-エチルブト-3-イニル、1,1-(ジメチル)ブト-2-イニル等である。
【0071】
「C3-10-シクロアルキル」という用語は、本明細書中で用いる場合、3〜10個の炭素原子を有する飽和単環式炭素環式環を表わす。代表例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等である。C3-10-シクロアルキルはさらにまた、4〜10個の炭素原子を有する飽和二環式炭素環式環を表わすよう意図される。代表例は、デカヒドロナフタレニル、ビシクロ[3.3.0]オクタニル等である。C3-10-シクロアルキルはさらにまた、3〜10個の炭素原子を有し、1または2つの炭素架橋を含有する飽和炭素環式環を表わすよう意図される。代表例は、アダマンチル、ノルボルナニル、ノルトリシクリル、ビシクロ[3.2.1]オクタニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、トリシクロ[5.2.1.0/2,6]デカニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル等である。C3-10-シクロアルキルはさらにまた、3〜10個の炭素原子を有し、1つまたは複数のスピロ原子を含有する飽和炭素環式環を表わすよう意図される。代表例は、スピロ[2.5]オクタニル、スピロ[4.5]デカニル等である。
【0072】
「C3-8-シクロアルケニル」という用語は、本明細書中で用いる場合、3〜8個の炭素原子および少なくとも1つの二重結合を有する部分飽和単環式炭素環式環を表わす。代表例は、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、シクロヘキス-1,3-ジエニル等である。
「アリール」という用語は、本明細書中で用いる場合、単環式、二環式または多環式炭素環式芳香族環を含むよう意図される。代表例は、フェニル、ナフチル(例えばナフト-1-イル、ナフト-2-イル)、アントリル(例えばアントル-1-イル、アントル-9-イル)、フェナントリル(例えばフェナントル-1-イル、フェナントル-9-イル)等である。アリールはさらにまた、炭素環式芳香族環で置換される単環式、二環式または多環式炭素環式芳香族環を含むよう意図される。代表例は、ビフェニル(例えばビフェニル-2-イル、ビフェニル-3-イル、ビフェニル-4-イル)、フェニルナフチル(例えば1-フェニルナフト-2-イル、2-フェニルナフト-1-イル)等である。アリールはさらにまた、少なくとも1つの不飽和部分(例えばベンゾ部分)を有する部分飽和二環式または多環式炭素環式環を含むよう意図される。代表例は、インダニル(例えばインダン-1-イル、インダン-5-イル)、インデニル(例えばインデン-1-イル、インデン-5-イル)、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル(例えば1,2,3,4-テトラヒドロナフト-1-イル、1,2,3,4-テトラヒドロナフト-2-イル、1,2,3,4-テトラヒドロナフト-6-イル)、1,2-ジヒドロナフチル(例えば1,2-ジヒドロナフト-1-イル、1,2-ジヒドロナフト-4-イル、1,2-ジヒドロナフト-6-イル)、フルオレニル(例えばフルオレン-1-イル、フルオレン-4-イル、フルオレン-9-イル)等である。アリールはさらにまた、1または2つの架橋を含有する部分飽和二環式または多環式炭素環式芳香族環を含むよう意図される。代表例は、ベンゾノルボルニル(例えばベンゾノルボルン-3-イル、ベンゾノルボルン-6-イル)、1,4-エタノ-1,2,3,4-テトラヒドロナフチル(例えば1,4-エタノ-1,2,3,4-テトラヒドロナフト-2-イル、1,4-エタノ-1,2,3,4-テトラヒドロナフト-10-イル)等である。アリールはさらにまた、1つまたは複数のスピロ原子を含有する部分飽和二環式または多環式炭素環式芳香族環を含むよう意図される。
【0073】
代表例は、スピロ[シクロペンタン-1,1’-インダン]-4-イル、スピロ[シクロペンタン-1,1’-インデン]-4-イル、スピロ[ピペリジン-4,1’-インダン]-1-イル、スピロ[ピペリジン-3,2’-インダン]-1-イル、スピロ[ピペリジン-4,2’-インダン]-1-イル、スピロ[ピペリジン-4,1’-インダン]-3’-イル、スピロ[ピロリジン-3,2’-インダン]-1-イル、スピロ[ピロリジン-3,1’-(3’,4’-ジヒドロナフタレン)]-1-イル、スピロ[ピペリジン-3,1’-(3’,4’-ジヒドロナフタレン)]-1-イル、スピロ[ピペリジン-4,1’-(3’,4’-ジヒドロナフタレン)]-1-イル、スピロ[イミダゾリジン-4,2’-インダン]-1-イル、スピロ[ピペリジン−4,1’−インデン]−1−イル等である。
【0074】
「ヘテロシクリル」という用語は、本明細書中で用いる場合、窒素、酸素、イオウ、S(=O)およびS(=O)2から選択される1つまたは複数の異種原子を含有する飽和3〜10員単環式環を表わす。代表例は、アジリジニル(例えばアジリジン-1-イル)、アゼチジニル(例えばアゼチジン-1-イル、アゼチジン-3-イル)、オキセタニル、ピロリジニル(例えばピロリジン-1-イル、ピロリジン-2-イル、ピロリジン-3-イル)、イミダゾリジニル(例えばイミダゾリジン-1-イル、イミダゾリジン-2-イル、イミダゾリジン-4-イル)、オキサゾリジニル(例えばオキサゾリジン-2-イル、オキサゾリジン-3-イル、オキサゾリジン-4-イル)、チアゾリジニル(例えばチアゾリジン-2-イル、チアゾリジン-3-イル、チアゾリジン-4-イル)、イソチアゾリジニル、ピペリジニル(例えばピペリジン-1-イル、ピペリジン-2-イル、ピペリジン-3-イル、ピペリジン-4-イル)、ホモピペリジニル(例えばホモピペリジン-1-イル、ホモピペリジン-2-イル、ホモピペリジン-3-イル、ホモピペリジン-4-イル)、ピペラジニル(例えばピペラジン-1-イル、ピペラジン-2-イル)、モルホリニル(例えばモルホリン-2-イル、モルホリン-3-イル、モルホリン-4-イル)、チオモルホリニル(例えばチオモルホリン-2-イル、チオモルホリン-3-イル、チオモルホリン-4-イル)、1-オキソ-チオモルホリニル、1,1-ジオキソ-チオモルホリニル、
【0075】
テトラヒドロフラニル(例えばテトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル)、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロ-1,1-ジオキソチエニル、テトラヒドロピラニル(例えば2-テトラヒドロピラニル)、テトラヒドロチオピラニル(例えば2-テトラヒドロチオピラニル)、1,4-ジオキサニル、1,3-ジオキサニル等である。ヘテロシクリルは、さらにまた、窒素、酸素、イオウ、S(=O)およびS(=O)2から選択される1つまたは複数の異種原子を含有する飽和6〜10員二環式環を表わすよう意図される。代表例は、オクタヒドロインドリル(例えばオクタヒドロインドール-1-イル、オクタヒドロインドール-2-イル、オクタヒドロインドール-3-イル、オクタヒドロインドール-5-イル)、デカヒドロキノリニル(例えばデカヒドロキノリン-1-イル、デカヒドロキノリン-2-イル、デカヒドロキノリン-3-イル、デカヒドロキノリン-4-イル、デカヒドロキノリン-6-イル)、デカヒドロキノキサリニル(例えばデカヒドロキノキサリン-1-イル、デカヒドロキノキサリン-2-イル、デカヒドロキノキサリン-6-イル)等である。ヘテロシクリルはさらにまた、窒素、酸素、イオウ、S(=O)およびS(=O)2から選択される1つまたは複数の異種原子を含有し、1または2つの架橋を有する飽和6〜10員環を表わすよう意図される。
【0076】
代表例は、3-アザビシクロ[3.2.2]ノニル、2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキシル、2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、アトロピニル、トロピニル、キヌクリジニル、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタニル等である。ヘテロシクリルはさらにまた、窒素、酸素、イオウ、S(=O)およびS(=O)2から選択される1つまたは複数の異種原子を含有し、1つまたは複数のスピロ原子を含有する6〜10員飽和環を表わすよう意図される。代表例は、1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカニル(例えば1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-2-イル、1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン-7-イル)、1,4-ジオキサ-8-アザスピロ[4.5]デカニル(例えば1,4-ジオキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-2-イル、1,4-ジオキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)、8-アザスピロ[4.5]デカニル(例えば8-アザスピロ[4.5]デカン-1-イル、8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)、2-アザスピロ[5.5]ウンデカニル(例えば2-アザスピロ[5.5]ウンデカン-2-イル)、2,8-ジアザスピロ[4.5]デカニル(例えば2,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-2-イル、2,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-8-イル)、2,8-ジアザスピロ[5.5]ウンデカニル(例えば2,8-ジアザスピロ[5.5]ウンデカン-2-イル)、1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカニル(例えば1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-1-イル、1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-3-イル、1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-8-イル)等である。
【0077】
「ヘテロアリール」という用語は、本明細書中で用いる場合、窒素、酸素、イオウ、SOおよびS(=O)2から選択される1つまたは複数の異種原子を含有する単環式複素環式芳香族環を含むよう意図される。代表例は、ピロリル(例えばピロール-1-イル、ピロール-2-イル、ピロール-3-イル)、フラニル(例えばフラン-2-イル、フラン-3-イル)、チエニル(例えばチエン-2-イル、チエン-3-イル)、オキサゾリル(例えばオキサゾール-2-イル、オキサゾール-4-イル、オキサゾール-5-イル)、チアゾリル(例えばチアゾール-2-イル、チアゾール-4-イル、チアゾール-5-イル)、イミダゾリル(例えばイミダゾール-2-イル、イミダゾール-4-イル、イミダゾール-5-イル)、ピラゾリル(例えばピラゾール-1-イル、ピラゾール-3-イル、ピラゾール-5-イル)、イソキサゾリル(例えばイソキサゾール-3-イル、イソキサゾール-4-イル、イソキサゾール-5-イル)、イソチアゾリル(例えばイソチアゾール-3-イル、イソチアゾール-4-イル、イソチアゾール-5-イル)、1,2,3-トリアゾリル(例えば1,2,3-トリアゾール-1-イル、1,2,3-トリアゾール-4-イル、1,2,3-トリアゾール-5-イル)、1,2,4-トリアゾリル(例えば1,2,4-トリアゾール-1-イル、1,2,4-トリアゾール-3-イル、1,2,4-トリアゾール-5-イル)、1,2,3-オキサジアゾリル(例えば1,2,3-オキサゾール-4-イル、1,2,3-オキサゾール-5-イル)、1,2,4-オキサジアゾリル(例えば1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)、
【0078】
1,2,5-オキサジアゾリル(例えば1,2,5-オキサジアゾール-3-イル、1,2,5-オキサジアゾール-4-イル)、1,3,4-オキサジアゾリル(例えば1,3,4-オキサジアゾール-2-イル、1,3,4-オキサジアゾール-5-イル)、1,2,3-チアジアゾリル(例えば1,2,3-チアジアゾール-4-イル、1,2,3-チアジアゾール-5-イル)、1,2,4-チアジアゾリル(例えば1,2,4-チアジアゾール-3-イル、1,2,4-チアジアゾール-5-イル)、1,2,5-チアジアゾリル(例えば1,2,5-チアジアゾール-3-イル、1,2,5-チアジアゾール-4-イル)、1,3,4-チアジアゾリル(例えば1,3,4-チアジアゾール-2-イル、1,3,4-チアジアゾール-5-イル)、テトラゾリル(例えばテトラゾール-1-イル、テトラゾール-5-イル)、ピラニル(例えばピラン-2-イル)、ピリジニル(例えばピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル)、ピリダジニル(例えばピリダジン-2-イル、ピリダジン-3-イル)、ピリミジニル(例えばピリミジン-2-イル、ピリミジン-4-イル、ピリミジン-5-イル)、ピラジニル、1,2,3-トリアジニル、1,2,4-トリアジニル、1,3,5-トリアジニル、チアジアジニル、アゼピニル、アゼシニル等である。ヘテロアリールはさらにまた、窒素、酸素、イオウ、S(=O)およびS(=O)2から選択される1つまたは複数の異種原子を含有する二環式複素環式芳香族環を含むよう意図される。
【0079】
代表例は、インドリル(例えばインドール-1-イル、インドール-2-イル、インドール-3-イル、インドール-5-イル)、イソインドリル、ベンゾフラニル(例えばベンゾ[b]フラン-2-イル、ベンゾ[b]フラン-3-イル、ベンゾ[b]フラン-5-イル、ベンゾ[c]フラン-2-イル、ベンゾ[c]フラン-3-イル、ベンゾ[c]フラン-5-イル)、ベンゾチエニル(例えばベンゾ[b]チエン-2-イル、ベンゾ[b]チエン-3-イル、ベンゾ[b]チエン-5-イル、ベンゾ[c]チエン-2-イル、ベンゾ[c]チエン-3-イル、ベンゾ[c]チエン-5-イル)、インダゾリル(例えばインダゾール-1-イル、インダゾール-3-イル、インダゾール-5-イル)、インドリジニル(例えばインドリジン-1-イル、インドリジン-3-イル)、ベンゾピラニル(例えばベンゾ[b]ピラン-3-イル、ベンゾ[b]ピラン-6-イル、ベンゾ[c]ピラン-1-イル、ベンゾ[c]ピラン-7-イル)、ベンズイミダゾリル(例えばベンズイミダゾール-1-イル、ベンズイミダゾール-2-イル、ベンズイミダゾール-5-イル)、ベンゾチアゾリル(例えばベンゾチアゾール-2-イル、ベンゾチアゾール-5-イル)、ベンズイソチアゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾキサジニル、ベンゾトリアゾリル、ナフチリジニル(例えば1,8-ナフチリジン-2-イル、1,7-ナフチリジン-2-イル、1,6-ナフチリジン-2-イル)、フタラジニル(例えばフタラジン-1-イル、フタラジン-5-イル)、プテリジニル、プリニル(例えばプリン-2-イル、プリン-6-イル、プリン-7-イル、プリン-8-イル、プリン-9-イル)、キナゾリニル(例えばキナゾリン-2-イル、キナゾリン-4-イル、キナゾリン-6-イル)、シンノリニル、キノリニル(例えばキノリン-2-イル、キノリン-3-イル、キノリン-4-イル、キノリン-6-イル)、イソキノリニル(例えばイソキノリン-1-イル、イソキノリン-3-イル、イソキノリン-4-イル)、キノキサリニル(例えばキノキサリン-2-イル、キノキサリン-5-イル)、ピロロピリジニル(例えばピロロ[2,3-b]ピリジニル、ピロロ[2,3-c]ピリジニル、ピロロ[3,2-c]ピリジニル)、フロピリジニル(例えばフロ[2,3-b]ピリジニル、フロ[2,3-c]ピリジニル、フロ[3,2-c]ピリジニル)、チエノピリジニル(例えばチエノ[2,3-b]ピリジニル、チエノ[2,3-c]ピリジニル、チエノ[3,2-c]ピリジニル)、イミダゾピリジニル(例えばイミダゾ[4,5-b]ピリジニル、イミダゾ[4,5-c]ピリジニル、イミダゾ[1,5-a]ピリジニル、イミダゾ[1,2-a]ピリジニル)、
【0080】
イミダゾピリミジニル(例えばイミダゾ[1,2-a]ピリミジニル、イミダゾ[3,4-a]ピリミジニル)、ピラゾロピリジニル(例えばピラゾロ[3,4-b]ピリジニル、ピラゾロ[3,4-c]ピリジニル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジニル)、ピラゾロピリミジニル(例えばピラゾロ[1,5-a]ピリミジニル、ピラゾロ[3,4-d]ピリミジニル)、チアゾロピリジニル(例えばチアゾロ[3,2-d]ピリジニル)、チアゾロピリミジニル(例えばチアゾロ[5,4-d]ピリミジニル)、イミダゾチアゾリル(例えばイミダゾ[2,1-b]チアゾリル)、トリアゾロピリジニル(例えばトリアゾロ[4,5-b]ピリジニル)、トリアゾロピリミジニル(例えば8-アザプリニル)等である。ヘテロアリールはさらにまた、窒素、酸素、イオウ、S(=O)およびS(=O)2から選択される1つまたは複数の異種原子を含有する多環式複素環式芳香族環を含むよう意図される。
【0081】
代表例は、カルバゾリル(例えばカルバゾール-2-イル、カルバゾール-3-イル、カルバゾール-9-イル)、フェノキサジニル(例えばフェノキサジン-10-イル)、フェナジニル(例えばフェナジン-5-イル)、アクリジニル(例えばアクリジン-9-イル、アクリジン-10-イル)、フェノチアジニル(例えばフェノチアジン-10-イル)、カルボリニル(例えばピリド[3,4-b]インドール-1-イル、ピリド[3,4-b]インドール-3-イル)、フェナントロリニル(例えばフェナントロリン-5-イル)等である。ヘテロアリールはさらにまた、窒素、酸素、イオウ、S(=O)およびS(=O)2から選択される1つまたは複数の異種原子を含有する部分飽和単環式、二環式または多環式複素環式環を含むよう意図される。代表例は、ピロリニル、ピラゾリニル、イミダゾリニル(例えば4,5-ジヒドロイミダゾール-2-イル、4,5-ジヒドロイミダゾール-1-イル)、インドリニル(例えば2,3-ジヒドロインドール-1-イル、2,3-ジヒドロインドール-5-イル)、イソインドリニル(例えば2,3-ジヒドロイソインドール-2-イル)、ジヒドロベンゾフラニル(例えば2,3-ジヒドロベンゾ[b]フラン-2-イル、2,3-ジヒドロベンゾ[b]フラン-4-イル)、ジヒドロベンゾチエニル(例えば2,3-ジヒドロベンゾ[b]チエン-2-イル、2,3-ジヒドロベンゾ[b]チエン-5-イル)、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[b]フラン-5-イル、ジヒドロベンゾピラニル(例えば3,4-ジヒドロベンゾ[b]ピラン-3-イル、3,4-ジヒドロベンゾ[b]ピラン-6-イル、3,4-ジヒドロベンゾ[c]ピラン-1-イル、ジヒドロベンゾ[c]ピラン-7-イル)、オキサゾリニル(例えば4,5-ジヒドロオキサゾール-2-イル、4,5-ジヒドロオキサゾール-4-イル、4,5-ジヒドロオキサゾール-5-イル)、イソキサゾリニル、オキサゼピニル、テトラヒドロインダゾリル(例えば4,5,6,7-テトラヒドロインダゾール-1-イル、4,5,6,7-テトラヒドロインダゾール-3-イル、4,5,6,7-テトラヒドロインダゾール-4-イル、4,5,6,7-テトラヒドロインダゾール-6-イル)、テトラヒドロベンズイミダゾリル(例えば4,5,6,7-テトラヒドロベンズイミダゾール-1-イル、4,5,6,7-テトラヒドロベンズイミダゾール-5-イル)、テトラヒドロイミダゾ[4,5-c]ピリジル(例えば4,5,6,7-テトラヒドロイミダゾ[4,5-c]ピリド-1-イル、4,5,6,7-テトラヒドロイミダゾ[4,5-c]ピリド-5-イル、4,5,6,7-テトラヒドロイミダゾ[4,5-c]ピリド-6-イル)、テトラヒドロキノリニル(例えば1,2,3,4-テトラヒドロキノリニル、5,6,7,8-テトラヒドロキノリニル)、テトラヒドロイソキノリニル(例えば1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリニル、5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリニル)、テトラヒドロキノキサリニル(例えば1,2,3,4-テトラヒドロキノキサリニル、5,6,7,8-テトラヒドロキノキサリニル)等である。ヘテロアリールはさらにまた、1つまたは複数のスピロ原子を含有する部分飽和二環式または多環式複素環式環を含むよう意図される。代表例は、スピロ[イソキノリン-3,1’-シクロヘキサン]-1-イル、スピロ[ピペリジン-4,1’-ベンゾ[c]チオフェン]-1-イル、スピロ[ピペリジン-4,1’-ベンゾ[c]フラン]-1-イル、スピロ[ピペリジン-4,3’-ベンゾ[b]フラン]-1-イル、スピロ[ピペリジン-4,3’-クマリン]-1-イル等である。
【0082】
「任意に置換される」という用語は、本明細書中で用いる場合、当該基が特定された1つまたは複数の置換基で置換されないかまたは置換される、ということを意味する。当該基(単数または複数)が1つより多くの置換基で置換される場合、置換基は同一であるかまたは異なり得る。
定義された用語の中には、構造式中に1回より多く出現し得るものもあり、そしてこのような出現時に、各用語は、他とは独立して定義される。
【0083】
定義された用語の中には、組合せて出現し得るものもあり、そして最初に記述されたラジカルはその後に記述されるラジカル上の置換基であり、この場合、置換の点、即ち分子の別の部分への付着点は、ラジカルの最後に記述されたものの上である、と理解されるべきである。用語のこのような組合せとしては、例えば、「ハロ-C1-6-アルキル」が挙げられるが、これは、本明細書中で用いる場合、任意のハロゲンを用いて、任意の炭素原子(単数または複数)で1回または複数回置換されるC1-6-アルキルを指す。代表例は、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル等である。
【0084】
「ヒドロキシ-C1-6-アルキル」は、本明細書中で用いる場合、ヒドロキシルを用いて任意の炭素原子(単数または複数)で1回または複数回置換されるC1-6-アルキルを指す。代表例は、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル(例えば1-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシエチル)等である。
「C3-10-シクロアルキル-C1-6-アルキル」。代表例は、シクロプロピルメチル、2-シクロヘキシルエチル、3-シクロペンチルプロプ-1-イル、1-シクロヘキシルエチル、アダマンチルメチル等である。
【0085】
「アリール-C1-6-アルキル」。代表例は、ベンジル、フェネチル(例えば1-フェニルエチル、2-フェニルエチル)、フェニルプロピル(例えば1-フェニルプロピル、2-フェニルプロピル)等である。
「ヘテロアリール-C1-6-アルキル」。代表例は、フラン-2-イルメチル、チエン-3-イルメチル、ピリジン-4-イルメチル、1-メチル-1-(ピリミジン-2-イル)等である。
【0086】
「アリール-C2-6-アルケニル」。代表例は、2-フェニルエテニル、3-フェニルプロプ-2-エン-1-イル等である。
「C1-6-アルコキシ」は、本明細書中で用いる場合、ラジカルC1-6-アルキル-O-を指す。代表例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば1-プロポキシ、2-プロポキシ)、ブトキシ(例えば1-ブトキシ、2-ブトキシ、2-メチル-2-プロポキシ)、ペントキシ(1-ペントキシ、2-ペントキシ)、ヘキソキシ(1-ヘキソキシ、3-ヘキソキシ)等である。
【0087】
「ハロ-C1-6-アルコキシ」は、本明細書中で用いる場合、任意のハロゲンを用いて任意の炭素原子(単数または複数)で1回または多数回置換されるC1-6-アルコキシを指す。代表例は、トリフルオロメトキシおよび2,2,2-トリフルオロエトキシ等である。
「C1-6-アルコキシ-C1-6-アルキル」。代表例は、メトキシメチル、エトキシメチル、2-メトキシエチル、2-エトキシエチル、3-メトキシプロプ-1-イル等である。
【0088】
「アリールオキシ-C1-6-アルキル」。代表例は、フェノキシメチル、フェノキシエチル(例えば1-フェノキシエチル、2-フェノキシエチル)、ナフチルオキシメチル(例えばナフト-1-イルオキシ、ナフト-2-イルオキシ)、ビフェニルオキシメチル(例えばビフェニル-4-イルオキシメチル、ビフェニル-3-イルオキシメチル、ビフェニル-2-イルオキシメチル)等である。
「ヘテロアリールオキシ-C1-6-アルキル」。代表例は、ピリジン-2-イルオキシメチルおよび2-(キノリン-2-イルオキシ)エチル等である。
【0089】
「アリール-C1-6-アルコキシ-C1-6-アルキル」。代表例は、2-フェニルエトキシメチルおよび(ナフト-2-イル)メトキシメチル等である。
「ヘテロアリール-C1-6-アルコキシ-C1-6-アルキル」。代表例は、ピリミジン-4-イルメトキシメチルおよびキノリン-2-イルメトキシメチル等である。
「C3-8-シクロアルコキシ」は、本明細書中で用いる場合、ラジカルC3-10-シクロアルキル-O-を指す。代表例は、シクロプロポキシ、シクロブトキシ、シクロペントキシ、シクロヘキソキシ等である。
【0090】
「アリール-C1-6-アルコキシ」。代表例は、ベンジルオキシ、フェネトキシ(例えば1-フェニルエトキシ、2-フェニルエトキシ)、フェニルプロポキシ(例えば3-フェニル-1-プロポキシ、2-フェニル-1-プロポキシ)、ナフチルメトキシ(例えばナフト-1-イル、ナフチル-2-イルメトキシ)、ナフチルエトキシ(例えば2-ナフト-1-イル)エトキシ、1-(ナフト-2-イル)エトキシ)、ビフェニルメトキシ(例えばビフェニル-4-イルメトキシ、ビフェニル-3-イルメトキシ、ビフェニル-2-イルメトキシ)等である。
【0091】
「ヘテロアリール-C1-6-アルコキシ」。代表例は、ピリジニルメトキシ(例えばピリジン-2-イルメトキシ、ピリジン-4-イルメトキシ)、キノリニルエトキシ(例えば2-(キノリン-2-イル)エトキシ、1-(キノリン-2-イル)エトキシ)等である。
「アリールオキシ」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカル・アリール-O-を指す。代表例は、フェノキシ、ナフチルオキシ(例えば1-ナフト-1-イルオキシ、ナフタ-2-イルオキシ)、ビフェニルオキシ(例えばビフェニル-4-イルオキシ、ビフェニル-3-イルオキシ、ビフェニル-2-イルオキシ)等である。
【0092】
「ヘテロアリールオキシ」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカル・ヘテロアリール-O-を指す。代表例は、ピリミジニルオキシ(例えばピリミジン-2-イルオキシ、ピリミジン-5-イルオキシ)、キノリニルオキシ(例えばキノリン-2-イルオキシ、キノリン-4-イルオキシ)、イソキノリニルオキシ、キナゾリニルオキシ、キノキサリニルオキシ、インドリルオキシ(例えばインドール-2-イルオキシ、インドール-3-イルオキシ)、ベンズイミダゾリルオキシ(例えばベンズイミダゾール-2-イルオキシ)、ベンゾフラニルオキシ(例えばベンゾ[b]フラン-2-イルオキシ、ベンゾ[b]フラン-3-イルオキシ)等を指す。
【0093】
「C1-6-アルキルスルファニル」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカルC1-6-アルキル-S-を指す。代表例は、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ(例えば1-プロピルチオ、2-プロピルチオ、3-プロピルチオ)、ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ等である。
「C3-10-シクロアルキルスルファニル」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカルC3-10-シクロアルキル-S-を指す。代表例は、シクロプロピルスルファニル、シクロブチルスルファニル、シクロペンチルスルファニル、シクロヘキシルスルファニル等である。
【0094】
「アリールスルファニル」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカル・アリール-S-を指す。代表例は、フェニルスルファニル、(4-メチルフェニル)スルファニル、(2-クロロフェニル)スルファニル等である。
「C1-6-アルキルスルフィニル」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカル・C1-6-アルキル-S(=O)-を指す。代表例は、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、ブチルスルフィニル、ペンチルスルフィニル、ヘキシルスルフィニル等である。
【0095】
「C1-6-アルキルスルホニル」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカルC1-6-アルキル-S(=O)2-を指す。代表例は、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、ヘキシルスルホニル等である。
「アリールスルホニル」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカル・アリール-S(=O)2-を指す。代表例は、フェニルスルホニル、(4-メチルフェニル)スルホニル、(4-クロロフェニル)スルホニル、ナフチルスルホニル等である。
【0096】
「C1-6-アルキルアミノ」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカルC1-6-アルキル-NH-を指す。代表例は、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ(例えばプロプ-1-イルアミノ、プロプ-2-イルアミノ、プロプ-3-イルアミノ)、ブチルアミノ(例えばブト-1-イルアミノ、ブト-3-イルアミノ)、ペンチルアミノ、ヘキシルアミノ、ヘプチルアミノ等である。
【0097】
「C3-10-シクロアルキルアミノ」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカルC3-10-シクロアルキル-NH-を指す。代表例は、シクロプロピルアミノ、シクロブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、シクロヘキシルアミノ等である。
「ジ(C1-6-アルキル)アミノ」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカル・(C1-6-アルキル)2N-を指す。代表例は、N,N-ジメチルアミノ、N-エチル-N-メチルアミノ、N,N-ジエチルアミノ、N,N-ジプロピルアミノ(例えばN,N-(プロプ-1-イル)2アミノ、N,N-(プロプ-2-イル)2アミノ、N,N-(プロプ-3-イル)2アミノ)、N-(ブト-1-イル)-N-メチルアミノ、N,N-(ペント-1-イル)2アミノ等である。
【0098】
「C1-6-アルキルスルフィナモイル」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカルC1-6-アルキル-NHS(=O)-を指す。代表例は、メチルスルフィナモイル、エチルスルフィナモイル、プロピルスルフィナモイル等である。
「ジ(C1-6-アルキル)スルフィナモイル」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカル(C1-6-アルキル)2NS(=O)-を指す。代表例は、ジメチルスルフィナモイル、ジエチルスルフィナモイル等である。
【0099】
「C1-6-アルキルスルファモイル」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカルC1-6-アルキル-NHS(=O)2-を指す。代表例は、メチルスルファモイル、エチルスルファモイル、プロピルスルファモイル等である。
【0100】
「ジ(C1-6-アルキル)スルファモイル」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカル(C1-6-アルキル)2NS(=O)2-を指す。代表例は、ジメチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル等である。
「C1-6-アルキルカルボニル」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカルC1-6-アルキル-C(=O)-を指す。代表例は、アセチル(メチルカルボニル)、プロピオニル(エチルカルボニル)、ブタノイル(プロプ-1-イルカルボニル、プロプ-2-イルカルボニル)等である。
【0101】
「C3-10-シクロアルキルカルボニル」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカルC3-10-シクロアルキル-C(=O)-を指す。代表例は、シクロプロピルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル等である。
「アリールカルボニル」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカル・アリール-C(=O)-を指す。代表例は、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、4-フェニルベンゾイル、アントリルカルボニル、フェナントリルカルボニル等である。
【0102】
「ヘテロアリールカルボニル」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカル・ヘテロアリール-C(=O)-を指す。代表例は、ピリジニルカルボニル(例えばピリジン-2-イルカルボニル、ピリジン-4-イルカルボニル)、キノリニルカルボニル(例えば2-(キノリン-2-イル)カルボニル、1-(キノリン-2-イル)カルボニル)、イミダゾリルカルボニル(例えばイミダゾール-2-イルカルボニル、イミダゾール-5-イルカルボニル)等である。
【0103】
「ヘテロシクリルカルボニル」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカル・ヘテロシクリル-C(=O)-を指す。代表例は、ピペリジニルカルボニル(例えばピペリジン-2-イルカルボニル、ピペリジン-3-イルカルボニル、ピペリジン-4-イルカルボニル)、ピペラジニルカルボニル(例えばピペラジン-1-イルカルボニル、ピペラジン-2-イルカルボニル)等である。
「C1-6-アルキルカルボニル-C1-6-アルキル」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカルC1-6-アルキル-C(=O)-C1-6-アルキルを指す。代表例は、2-オキソプロプ-1-イルおよび4,4-ジメチル-2-オキソペント-1-イル等である。
【0104】
「アリールカルボニル-C1-6-アルキル」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカル・アリール-C(=O)-C1-6-アルキルを指す。代表例は、ベンゾイルメチル、ナフチルカルボニルメチル、4-フェニルベンゾイルメチル、ベンゾイルエチル、ベンゾイルプロピル等である。
【0105】
「ヘテロアリールカルボニル-C1-6-アルキル」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカル・ヘテロアリール-C(=O)-C1-6-アルキルを指す。代表例は、2-(ピリジン-2-イル)-2-オキソエチルおよび3-(イミダゾール-2-イル)-3-オキソプロプ-1-イル等である。
「アリール-C1-6-アルキルカルボニル」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカル・アリール-C1-6-アルキル-C(=O)-を指す。代表例は、フェニルプロピルカルボニル(例えば(3-フェニルプロプ-1-イル)カルボニル、(2-フェニルプロプ-1-イル)カルボニル)、フェニルエチルカルボニル(例えば2-フェニルエチルカルボニル、1-フェニルエチルカルボニル)等である。
【0106】
「ヘテロアリール-C1-6-アルキルカルボニル」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカル・ヘテロアリール-C1-6-アルキル-C(=O)-を指す。代表例は、フラニルメチルカルボニル、チエニルメチルカルボニル、ピリジニルメチルカルボニル、ピリジニルエチルカルボニル、1-メチル-1-(ピリミジニル)エチルカルボニル等である。
【0107】
「C1-6-アルコキシカルボニル」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカルC1-6-アルコキシ-C(=O)-を指す。代表例は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、1-プロポキシカルボニル、2-プロポキシカルボニル、1-ブトキシカルボニル、2-ブトキシカルボニル、2-メチル-2-プロポキシカルボニル、3-メチルブトキシカルボニル、1-ヘキソキシカルボニル等である。
「アリールオキシカルボニル」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカル・アリールオキシ-C(=O)-を指す。代表例は、フェノキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル、4-ビフェニルオキシカルボニル等である。
「アリール-C1-6-アルコキシカルボニル」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカル・アリール-C1-6-アルコキシ-C(=O)-を指す。代表例は、ベンジルオキシカルボニル、フェニルエトキシカルボニル(例えば(2-フェニルエトキシ)カルボニル、(1-フェニルエトキシ)カルボニル)等である。
【0108】
「C1-6-アルキルカルボキシ」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカルC1-6-アルキル-C(=O)O-を指す。代表例は、メチルカルボキシ、エチルカルボキシ、プロピルカルボキシ(例えばプロプ-1-イルカルボキシ、プロプ-2-イルカルボキシ)等である。
「アリールカルボキシ」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカル・アリール-C(=O)O-を指す。代表例は、ベンゾイルオキシ、ナフチルカルボキシ、4-ビフェニルカルボキシ等である。
「ヘテロアリールカルボキシ」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカル・ヘテロアリール-C(=O)O-を指す。代表例は、ピリジニルカルボキシおよび(イミダゾール-2-イル)カルボキシ等である。
【0109】
「C1-6-アルキルカルボキシ-C1-6-アルキル」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカルC1-6-アルキル-C(=O)O-C1-6-アルキルを指す。代表例は、エチルカルボキシメチル、プロピルカルボキシブチル、ペンチルカルボキシエチル等である。
「アリール-C1-6-アルキルカルボキシ」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカル・アリール-C1-6-アルキル-C(=O)O-を指す。代表例は、ベンジルカルボキシおよびフェニルプロピルカルボキシ等である。
【0110】
「ヘテロアリール-C1-6-アルキルカルボキシ」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカル・ヘテロアリール-C1-6-アルキル-C(=O)O-を指す。代表例は、(イミダゾール-2-イル)アセトキシおよび(ピリミジン-2-イル)エチルカルボキシ等である。
「C1-6-アルキルカルボニルアミノ」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカルC1-6-アルキル-C(=O)-NH-を指す。代表例は、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ピバロイルアミノ、バレロイルアミノ等である。
【0111】
「アリールカルボニルアミノ」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカル・アリール-C(=O)-NH-を指す。代表例は、ベンゾイルアミノナフチルカルボニルアミノ、4-ビフェニリルカルボニルアミノ等である。
「C1-6-アルキルアミノカルボニル」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカルC1-6-アルキル-NH-C(=O)-を指す。代表例は、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、ブチルアミノカルボニル、ペンチルアミノカルボニル、ヘキシルアミノカルボニル等を指す。
【0112】
「ジ(C1-6-アルキル)アミノカルボニル」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカル(C1-6-アルキル)2N-C(=O)-を指す。代表例は、N,N-ジメチルアミノカルボニルおよびN-イソプロピル-N-メチルアミノカルボニル等である。
「ジ(C1-6-アルキル)アミノ-C1-6-アルキルカルボニル」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカル(C1-6-アルキル)2N-C1-6-アルキル-C(=O)-を指す。代表例は、2-(N,N-ジメチルアミノ)アセチル、2-(N-エチル-N-メチルアミノ)アセチル等である。
【0113】
「ジ(C1-6-アルキル)アミノ-C1-6-アルコキシ」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカル(C1-6-アルキル)2N-C1-6-アルコキシを指す。代表例は、N,N-ジメチルアミノメチル、2-(N,N-ジメチルアミノ)エトキシ、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロプ-3-オキシ、(N-エチル-N-メチルアミノ)メトキシ等である。
「ヘテロシクリル-C1-6-アルコキシ」とは、本明細書中で用いる場合、ラジカル・ヘテロシクリル-C1-6-アルコキシを指す。代表例は、ピペリジン-1-イルメトキシ、2-(ピペリジン-1-イル)エトキシ、3-(ピペリジン-1-イル)プロプ-3-オキシ、ピペラジン-1-イルメトキシ、2-(ピペラジン-1-イル)エトキシ、3-(ピペラジン-1-イル)プロプ-3-オキシ、モルホリン-1-イルメトキシ、2-(モルホリン-1-イル)エトキシ、3-(モルホリン-1-イル)プロプ-3-オキシ等である。
【0114】
「溶媒和物」という用語は、本明細書中で用いる場合、溶質(この場合、本発明による化合物)および溶媒により生成される限定化学量論の複合体である。溶媒は、製薬業界で一般的に用いられるもの、例えば水、エタノール、酢酸等である。「水和物」という用語は、溶媒分子が水である複合体を指す。
【0115】
「保護基」または「Pg」という用語は、化合物の他の官能基と反応しながら、特定の官能基を遮断または保護するために一般的に用いられる置換基を指す。保護基の代表例は、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシル保護基である。
「アミノ保護基」という用語は、化合物上の他の官能基と反応しながら、アミノ官能基を遮断するかまたは保護するために一般的に用いられるアミノ基上の置換基を指す。このようなアミノ保護基の例としては、ホルミル基、トリチル基、フタルイミド基、トリクロロアセチル基、クロロアセチル基、ブロモアセチルおよびヨードアセチル基、ウレタン型遮断基、例えばベンジルオキシカルボニル、4-フェニルベンジルオキシカルボニル、2-メチルベンジルオキシカルボニル、4-メトキシベンジルオキシカルボニル、4-フルオロベンジルオキシカルボニル、4-クロロベンジルオキシカルボニル、3-クロロベンジルオキシカルボニル、2-クロロベンジルオキシカルボニル、2,4-ジクロロベンジルオキシカルボニル、4-ブロモベンジルオキシカルボニル、3-ブロモベンジルオキシカルボニル、4-ニトロベンジルオキシカルボニル、4-シアノベンジルオキシ-カルボニル、2-(4-キセニル)イソ-プロポキシカルボニル、1,1-ジフェニルエト-1-イルオキシカルボニル、1,1-ジフェニルプロプ-1-イルオキシカルボニル、2-フェニルプロプ-2-イルオキシカルボニル、2-(p-トルイル)プロプ-2-イルオキシカルボニル、シクロペンタニルオキシカルボニル、1-メチルシクロペンタニルオキシカルボニル、シクロヘキサニルオキシカルボニル、1-メチルシクロヘキサニルオキシカルボニル、2-メチルシクロヘキサニルオキシカルボニル、2-(4-トルイルスルホニル)エトキシカルボニル、2(メチルスルホニル)エトキシカルボニル、2-(トリフェニルホスフィノ)エトキシカルボニル、9‐フルオレニルメチレンオキシカルボニル(「FMOC」)、t‐ブトキシカルボニル(「BOC」)、2-(トリメチルシリル)エトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、1-(トリメチルシリルメチル)プロプ-1-エニルオキシカルボニル、5-ベンズイソキサリルメトキシカルボニル、4-アセトキシベンジルオキシカルボニル、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル、2-エチニル-2-プロポキシカルボニル、シクロプロピルメトキシカルボニル、4-(デシルオキシ)ベンジルオキシカルボニル、イソボルニルオキシカルボニル、1-ピペリジルオキシカルボニル等;ベンゾイルメチルスルホニル基、2-(ニトロ)フェニルスルフェニル基、ジフェニルホスフィンオキシド基が、アミノ基と同様に挙げられる。誘導化アミノ基が式(I)の化合物の他の位置に関するその後の反応(単数または複数)の条件に対して安定であり、そして残りの分子を崩壊することなく所望の点で除去され得る限り、用いられるアミノ保護基の種は重要でない。好ましいアミノ保護基は、アリルオキシカルボニル、t-ブトキシカルボニル、9-フルオレニルメトキシカルボニルおよびトリチル基である。セファロスポリン、ペニシリンおよびペプチド業界で用いられる同様のアミノ保護基も、上記の用語により包含される。上記の用語により言及される基のさらなる例は、J.W. Barton, “Protective Groups in Organic Chemistry”, J.G.W. McOmie, Ed., Plenum Press, New York, N.Y., 1973およびT.W. Greene, “Protective Groups in Organic Synthesis”, John Wiley and Sons, New York, N.Y., 1981により記載されている。関連用語「保護化アミノ」は、上記のアミノ保護基で置換されるアミノ基を定義する。
【0116】
「ヒドロキシル保護基」という用語は、化合物上の他の官能基と反応しながら、アルコール官能基を遮断するかまたは保護するために一般的に用いられるアルコール基上の置換基を指す。このようなアルコール保護基の例としては、2-テトラヒドロピラニル基、2-エトキシエチル基、トリチル基、トリクロロアセチル基、ウレタン型遮断基、例えばベンジルオキシカルボニル、ならびにトリアルキルシリル基(このような例は、トリメチルシリル、tert‐ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル、トリイソプロピルシリルおよびテキシルジメチルシリルである)が挙げられる。誘導化アルコール基が当該式の化合物の他の位置に関するその後の反応(単数または複数)の条件に対して安定であり、そして残りの分子を崩壊することなく所望の点で除去され得る限り、用いられるアルコール保護基の選択は重要ではない。上記の用語により言及される基のさらなる例は、J.W. Barton, “Protective Groups in Organic Chemistry”, J.G.W. McOmie, Ed., Plenum Press, New York, N.Y., 1973およびT.W. Greene, “Protective Groups in Organic Synthesis”, John Wiley and Sons, New York, N.Y., 1981により記載されている。関連用語「保護化ヒドロキシル」または「保護化アルコール」は、上記のヒドロキシル保護基で置換されるヒドロキシル基を定義する。
【0117】
「カルボキシル保護基」という用語は、化合物上の他の官能基と反応しながら、-OH官能基を遮断するかまたは保護するために一般的に用いられるカルボキシル基上の置換基を指す。このようなカルボキシル保護基の例としては、2-テトラヒドロピラニル基、2-エトキシエチル基、トリチル基、アリル基、トリメチルシリルエトキシメチル基、2,2,2-トリクロロエチル基、ベンジル基、ならびにトリアルキルシリル基(このような例は、トリメチルシリル、tert‐ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル、トリイソプロピルシリルおよびテキシルジメチルシリルである)が挙げられる。誘導化アルコール基が当該式の化合物の他の位置に関するその後の反応(単数または複数)の条件に対して安定であり、そして残りの分子を崩壊することなく所望の点で除去され得る限り、用いられるカルボキシル保護基の選択は重要ではない。上記の用語により言及される基のさらなる例は、J.W. Barton, “Protective Groups in Organic Chemistry”, J.G.W. McOmie, Ed., Plenum Press, New York, N.Y., 1973およびT.W. Greene, “Protective Groups in Organic Synthesis”, John Wiley and Sons, New York, N.Y., 1981により記載されている。関連用語「保護化カルボキシル」は、上記のカルボキシル保護基で置換されるカルボキシル基を定義する。
【0118】
「治療」または「治療すること」という用語は、本明細書中で用いる場合、疾患、障害または症状と闘う目的のための患者の管理および看護を意味する。当該用語は、疾患、障害または症状の進行の遅延、症候および合併症の緩和または軽減、および/または疾患、障害または症状の治癒または排除を包含するよう意図される。治療されるべき患者は、好ましくは哺乳類、特にヒトである。
【0119】
「疾患」、「症状」および「障害」という用語は、本明細書中で用いる場合、ヒトの正常生理学的状態でない患者の状態を明記するために互換的に用いられる。
「調整する(modulate)」という用語は、本明細書中で用いる場合、一パラメーターに影響を及ぼすこと、即ち調整することを意味し、所望の方法でそのパラメーターに影響を及ぼすことを意味する。実例は、ベータ細胞からのインスリン分泌を調整すること、そして遊離脂肪酸の血漿レベルを調整することである。
【0120】
「薬剤」という用語は、本明細書中で用いる場合、患者への薬学的活性化合物の投与に適した製剤組成物を意味する。
「プロドラッグ」という用語は、本明細書中で用いる場合、生体加水分解可能アミドおよび生体加水分解可能エステルを含み、そしてa)このようなプロドラッグ中の生体加水分解可能官能基が本発明の化合物中に包含される化合物、ならびにb)所定の官能基で生物学的に酸化されるかまたは還元されて、本発明の薬剤物質を生じ得る化合物も包含する。これらの官能基の例としては、1,4-ジヒドロピリジン、N-アルキルカルボニル-1,4-ジヒドロピリジン、1,4-シクロヘキサジエン、tert‐ブチル等が挙げられる。
【0121】
「生体加水分解可能エステル」という用語は、本明細書中で用いる場合、薬剤物質(本発明の場合、式(I)の化合物)のエステルであって、これは、a)親物質の生物学的活性を妨げないが、しかしその物質にin vivoで有益な特性、例えば作用持続時間、作用の開始等を付与するか、あるいはb)生物学的に不活性であるが、しかし生物学的活性原理に被験者よりin vivoで容易に転化される。利点は、例えば生体加水分解可能エステルが腸から経口的に吸収され、そして血漿中で(I)に転換される、という点である。このような多数の例は当業界で既知であり、そして例としては、低級アルキルエステル(例えばC1-4)、低級アシルオキシアルキルエステル、低級アルコキシアシルオキシアルキルエステル、アルコキシアシルオキシエステル、アルキルアシルアミノアルキルエステル、およびコリンエステルが挙げられる。
【0122】
「生体加水分解可能アミド」という用語は、本明細書中で用いる場合、薬剤物質(本発明の場合、式(I)の化合物)のアミドであって、これは、a)親物質の生物学的活性を妨げないが、しかしその物質にin vivoで有益な特性、例えば作用持続時間、作用の開始等を付与するか、あるいはb)生物学的に不活性であるが、しかし被験者により生物学的活性原理にin vivoで容易に転化される。利点は、例えば生体加水分解可能アミドが腸から経口的に吸収され、そして血漿中で(I)に転換される、という点である。このような多数の例は当業界で既知であり、そして例としては、低級アルキルアミド、α-アミノ酸アミド、アルコキシアシルアミドおよびアルキルアミノアルキルカルボニルアミドが挙げられる。
【0123】
「製薬上許容可能な」という用語は、本明細書中で用いる場合、正常の薬学的適用、即ち患者に副作用生じないこと等に適していることを意味する。
「有効量」という用語は、本明細書中で用いる場合、治療しない場合と比較して、患者の治療が有効であるために十分である投与量を意味する。
化合物の「治療的有効量」という用語は、本明細書中で用いる場合、所定の疾患およびその合併症の臨床的症状発現を治癒し、緩和し、または部分的に抑止するのに十分な量を意味する。これを成し遂げるのに適した量は、「治療的有効量」と定義される。各目的のための有効量は、疾患または損傷の重症度、ならびに被験者の体重および全身状態によっている。適切な投与量の確定は、ルーチンの実験を用いて、値のマトリックスを構築し、そしてマトリックスにおける異なる点を試験することにより達成され得る(これはすべて、熟練医または獣医の通常力量の範囲内である)、と理解されるべきである。
「代謝産物」という用語は、本明細書中で用いる場合、代謝に起因する任意の中間体または生成物である。
「代謝」という用語は、本明細書中で用いる場合、患者に投与される薬剤物質(本発明においては、一般式(I)の化合物)の生体内変換を指す。
【0124】
組合せ治療
本発明のさらなる一態様では、本発明の化合物は、任意の適切な比率で、1つまたは複数のさらなる活性物質と組合せて投与される。このようなさらなる活性作用物質は、抗糖尿病薬、抗高脂血症薬、抗肥満薬、抗高血圧薬、ならびに糖尿病に起因するかまたは関連した合併症の治療のための作用物質から選択され得る。
【0125】
適切な抗糖尿病薬としては、インスリン、GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)誘導体、例えばWO 98/08871(Novo Nordisk A/S)(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に開示されたもの、ならびに経口活性血糖降下薬が挙げられる。
【0126】
適切な経口活性血糖降下薬は、好ましくは、イミダゾリン、スルホニル尿素、ビグアニド、メグリチニド、オキサジアゾリジンジオン、チアゾリジンジオン、インスリン感作物質、α-グルコシダーゼ阻害薬、膵臓β細胞のATP依存性カリウムチャンネルに作用する作用物質、例えばカリウムチャンネル開口薬、例えばWO 97/26265、WO 99/03861およびWO 00/37474(Novo Nordisk A/S)(これらの記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されたもの、カリウムチャンネル開口薬、例えばオルミチグリニド、カリウムチャンネル遮断薬、例えばナテグリニドまたはBTS-67582、グルカゴンアンタゴニスト、例えばWO 99/01423およびWO 00/39088(Novo Nordisk A/SおよびAgouron Pharmaceuticals, Inc.)に開示されたもの(これらの記載内容はすべて、参照により本明細書中で援用される)、GLP-1アゴニスト、例えばWO 00/42026(Novo Nordisk A/SおよびAgouron Pharmaceuticals, Inc.)に開示されたもの(これらの記載内容はすべて、参照により本明細書中で援用される)、DPP-IV(ジペプチジルペプチダーゼ-IV)阻害薬、PTPアーゼ(タンパク質チロシンホスファターゼ)阻害薬、グルコース新生および/またはグリコーゲン分解の刺激に関与する肝臓酵素の阻害薬、グルコース再取込みモジュレーター、GSK-3(グリコーゲンシンターゼキナーゼ-3)阻害薬、脂質代謝を修飾する化合物、例えば抗高脂血症薬および脂質低下薬、食物摂取を低下させる化合物、ならびにPPAR(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体)およびRXR(レチノイドX受容体)アゴニスト、例えばALRT-268、LG-1268またはLG-1069を含む。
【0127】
本発明の一態様では、本発明の化合物は、スルホニル尿素、例えばトルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、グリベンクラミド、グリピジド、グリメピリド、グリカジドまたはグリブリドと組合せて投与される。
本発明の一態様では、本発明の化合物は、ビグアニド、例えばメトフォルミンと組合せて投与される。
【0128】
本発明の一態様では、本発明の化合物は、メグリチニド、例えばレパグリニドまたはセナグリニド/ナテグリニドと組合せて投与される。
本発明の一態様では、本発明の化合物は、チアゾリジンジオン・インスリン感作物質、例えばトログリタゾン、シグリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、エングリタゾン、CS-011/CI-1037またはT174、あるいはWO 97/41097(DRF-2344)、WO 97/41119、WO 97/41120、WO 00/41121およびWO 98/45292(Dr. Reddy’s Research Foundation)(これらの記載内容は参照により本明細書中で援用される)に開示された化合物と組合せて投与される。
【0129】
本発明の一態様では、本発明の化合物は、インスリン感作物質、例えばGI262570、YM-440、MCC-555、JTT-501、AR-H039242、KRP-297、GW-409544、CRE-16336、AR-H049020、LY510929、MBX-102、CLX-0940、GW-501516、あるいはWO 99/19313(NN622/DRF-2725)、WO 00/50414、WO 00/63191、WO 00/63192、WO 99/19313(Dr. Reddy’s Research Foundation)、ならびにWO 00/23425、WO 00/23415、WO 00/23451、WO 00/23445、WO 00/23417、WO 00/23416、WO 00/63153、WO 00/63196、WO 00/63209、WO 00/63190およびWO 00/63189(Novo Nordisk A/S)(これらの記載内容は参照により本明細書中で援用される)に開示された化合物と組合せて投与され得る。
【0130】
本発明の一態様では、本発明の化合物は、α-グルコシダーゼ阻害薬、例えばボグリボース、エミグリテート、ミグリトールまたはアカルボースと組合せて投与される。
本発明の一態様では、本発明の化合物は、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害薬、例えばWO 97/09040(Novo Nordisk A/S)に記載された化合物と組合せて投与される。
【0131】
本発明の一態様では、本発明の化合物は、膵臓β細胞のATP依存性カリウムチャンネルに作用する作用物質、例えばトルブタミド、グリベンクラミド、グリピジド、グリカジド、BTS-67582またはレパグリニドと組合せて投与される。
本発明の一態様では、本発明の化合物は、ナテグリニドと組合せて投与され得る。
本発明の一態様では、本発明の化合物は、抗高脂血症薬または脂質低下薬、例えばコレスチラミン、コレスチポール、クロフィブレート、ゲムフィブロジル、ロバスタチン、プラバスタチン、シムバスタチン、プロブコールまたはデキストロチロキシンと組合せて投与される。
【0132】
さらに、本発明による化合物は、1つまたは複数の抗肥満薬または食欲調節薬と組合せて投与され得る。
このような作用物質は、CART(コカインアンフェタミン調節転写産物)アゴニスト、NPY(神経ペプチドY)アンタゴニスト、MC3(メラノコルチン3)アゴニスト、MC4(メラノコルチン4)アゴニスト、オレキシン・アンタゴニスト、TNF(腫瘍壊死因子)アゴニスト、CRF(コルチコトロピン放出因子)アゴニスト、CRF BP(コルチコトロピン放出因子結合タンパク質)アンタゴニスト、ウロコルチン・アゴニスト、β3アドレナリン作動性アゴニスト、例えばCL-316243、AJ-9677、GW-0604、LY362884、LY377267またはAZ-40140、MSH(メラノサイト刺激ホルモン)アゴニスト、MCH(メラノサイト凝集ホルモン)アンタゴニスト、CCK(コレシストキニン)アゴニスト、セロトニン再取込み阻害薬(フルオキセチン、セロキサットまたはシタロプラム)、セロトニンおよびノルアドレナリン再取込み阻害薬、5HT(セロトニン)アゴニスト、ボンベシン・アゴニスト、ガラニン・アンタゴニスト、成長ホルモン、成長因子、例えばプロラクチンまたは胎盤性ラクトゲン、成長ホルモン放出化合物、TRH(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)アゴニスト、UCP2または3(非共役タンパク質2または3)モジュレーター、レプチン・アゴニスト、DA(ドーパミン)アゴニスト(ブロモクリプチン、ドプレキシン)、リパーゼ/アミラーゼ阻害剤、PPARモジュレーター、RXRモジュレーター、TRβアゴニスト、アドレナリン作動性CNS刺激薬、AGRP(アグーチ関連タンパク質)阻害薬、H3ヒスタミンアンタゴニスト、例えばWO 00/42023、WO 00/63208およびWO 00/64884(これらの記載内容は参照により本明細書中で援用される)に開示されたもの、エキセンジン-4、GLP-1アゴニスト、毛様体神経栄養因子、ならびにオキシントモジュリンから成る群から選択され得る。さらに抗肥満薬は、ブプロピオン(抗うつ薬)、トピラメート(抗痙攣薬)、エコピパム(ドーパミンD1/D5アンタゴニスト)およびナルトレキソン(オピオイドアンタゴニスト)である。
【0133】
本発明の一態様では、抗肥満薬は、レプチンである。
本発明の一態様では、抗肥満薬は、セロトニンおよびノルエピネフリン再取込み阻害薬、例えばシブトラミンである。
本発明の一態様では、抗肥満薬は、リパーゼ阻害薬、例えばオルリスタットである。
本発明の一態様では、抗肥満薬は、アドレナリン作動性CNS刺激薬、例えばデクスアンフェタミン、アンフェタミン、フェンテルミン、マジンドールフェンジメトラジン、ジエチルプロピオン、フェンフルラミンまたはデクスフェンフルラミンである。
【0134】
さらに、本発明の化合物は、1つまたは複数の抗高血圧薬と組合せて投与され得る。抗高血圧薬の例は、β-遮断薬、例えばアルプレノロール、アテノロール、チモロール、ピンドロール、プロプラノロールおよびメトプロロール、ACE(アンギオテンシン変換酵素)阻害薬、例えばベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、キナプリルおよびラミプリル、カルシウムチャンネル遮断薬、例えばニフェジピン、フェロジピン、ニカルジピン、イスラジピン、ニモジピン、ジルチアゼムおよびベラパミル、ならびにα-遮断薬、例えばドキサゾシン、ウラピジル、プラゾシンおよびテラゾシンである。さらに、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th Edition, Gennaro, Ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, 1995が参照され得る。
本発明の一態様では、本発明の化合物は、インスリン、インスリン誘導体またはインスリン類似体と組合せて投与される。
【0135】
本発明の一態様では、インスリンはインスリン誘導体であって、B29-Nε-ミリストイル-デス(B30)ヒトインスリン、B29-Nε-パルミトイル-デス(B30)ヒトインスリン、B29-Nε-ミリストイル・ヒトインスリン、B29-Nε-パルミトイル・ヒトインスリン、B29-Nε-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン、B28-Nε-パルミトイルLysB28ProB29ヒトインスリン、B30-Nε-ミリストイルThrB29LysB30ヒトインスリン、B30-Nε-パルミトイルThrB29LysB30ヒトインスリン、B29-Nε-(N-パルミトイル-γ-グルタミル)-デス(B30)ヒトインスリン、B29-Nε-(N-リトコリル-γ-グルタミル)-デス(B30)ヒトインスリン、B29-Nε-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-デス(B30)ヒトインスリンおよびB29-Nε-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンからなる群から選択される。
【0136】
本発明の別の態様では、インスリン誘導体はB29-Nε-ミリストイル-デス(B30)ヒトインスリンである。
【0137】
本発明のさらなる態様では、インスリンは酸安定インスリンである。酸安定インスリンは、以下のアミノ酸残基置換のうちの1つを有するヒトインスリンの類似体から選択され得る:
A21G
A21G、B28K、B29P
A21G、B28D
A21G、B28E
A21G、B3K、B29E
A21G、desB27
A21G、B9E
A21G、B9D
A21G、B10Eインスリン。
【0138】
本発明のさらなる一態様では、インスリンはインスリン類似体である。インスリン類似体は、以下の:
位置B28がAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaであり、位置B29がLysまたはProである類似体;ならびに
des(B28-B30)、des(B27)またはdes(B30)ヒトインスリン
からなる群から選択され得る。
【0139】
別の態様では、類似体は、位置28がAspまたはLysであり、そして位置29がLysまたはProであるヒトインスリンの類似体である。
別の態様では、類似体はdes(B30)ヒトインスリンである。
別の態様では、インスリン類似体は、位置B28がAspであるヒトインスリンの類似体である。
【0140】
別の態様では、類似体は、位置B3がLysであり、そして位置B29がGluまたはAspである類似体である。
別の態様では、本発明の化合物と組合せて用いられるべきGLP-1誘導体は、GLP-1(1〜37)、エキセンジン-4(1〜39)、そのインスリン分泌刺激断片、そのインスリン分泌刺激類似体およびそのインスリン分泌刺激誘導体を指す。GLP-1(1〜37)のインスリン分泌刺激断片は、全配列がGLP-1(1〜37)の配列中に見出され得る、そして少なくとも1つの末端アミノ酸が欠失されているインスリン分泌刺激ペプチドである。GLP-1(1〜37)のインスリン分泌刺激断片の例は、GLP-1(1〜37)の位置1〜6におけるアミノ酸残基が欠失されているGLP-1(7〜37)、そしてGLP-1(1〜37)の位置1〜6および37におけるアミノ酸残基が欠失されているGLP-1(7〜36)である。エキセンジン-4(1〜39)のインスリン分泌刺激断片の例は、エキセンジン-4(1〜38)およびエキセンジン-4(1〜31)である。化合物のインスリン分泌刺激特性は、当該技術分野で周知のin vivoまたはin vitro検定により確定され得る。例えば化合物は、動物に投与され、そして長時間に亘ってインスリン濃度をモニタリングされ得る。GLP-1(1〜37)およびエキセンジン-4(1〜39)のインスリン分泌刺激類似体は、1つまたは複数のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基で取り替えられているそれぞれの分子、および/または1つまたは複数のアミノ酸残基が欠失されているそれぞれの分子、および/または1つまたは複数のアミノ酸残基が付加されているそれぞれの分子を指すが、但し、上記類似体はインスリン分泌刺激性であるかまたはインスリン分泌刺激性化合物のプロドラッグである。GLP-1(1〜37)のインスリン分泌刺激類似体の例は、例えばMet8-GLP-1(7〜37)(この場合、位置8のアラニンはメチオニンにより置き換えられ、そして位置1〜6のアミノ酸残基は欠失されている)、ならびにArg34-GLP-1(7〜37)(この場合、位置34のバリンはアルギニンにより置き換えられ、そして位置1〜6のアミノ酸残基は欠失されている)である。エキセンジン-4(1〜39)のインスリン分泌刺激類似体の一例は、Ser2Asp3-エキセンジン-4(1〜39)(この場合、位置2および3のアミノ酸残基はそれぞれセリンおよびアスパラギン酸と置き換えられる)である(この特定類似体はエキセンジン-3としても当該技術分野で既知である)。GLP-1(1〜37)およびエキセンジン-4(1〜39)のインスリン分泌刺激誘導体、ならびにその類似体は、当業者がこれらのペプチドの誘導体であるとみなすもの、即ち、親ペプチド分子中に存在しない少なくとも1つの置換基を有するものであるが、但し、上記誘導体は、インスリン分泌刺激性であるか、あるいはインスリン分泌刺激性化合物のプロドラッグである。置換基の例は、アミド、炭水化物、アルキル基および親油性置換基である。GLP-1(1〜37)およびエキセンジン-4(1〜39)のインスリン分泌刺激誘導体、ならびにその類似体の例は、GLP-1(7〜36)-アミド、Arg34、Lys26(Nε-(γ-Glu(Nα-ヘキサデカノイル)))-GLP-1(7〜37)およびTyr31-エキセンジン-4(1〜31)-アミドである。GLP-1(1〜37)、エキセンジン-4(1〜39)、そのインスリン分泌刺激断片のさらなる例は、そのインスリン分泌刺激類似体およびそのインスリン分泌刺激誘導体は、WO 98/08871、WO 99/43706、US 5424286およびWO 00/09666に記載されている。
【0141】
本発明の別の態様では、本発明の化合物は、上記化合物のうちの1つより多くと組合せて、例えばメトフォルミンおよびスルホニル尿素、例えばグリブリド;スルホニル尿素およびアカルボース;ナテグリニドおよびメトフォルミン;アカルボースおよびメトフォルミン;スルホニル尿素、メトフォルミンおよびトログリタゾン;インスリンおよびスルホニル尿素;インスリンおよびメトフォルミン;インスリン、メトフォルミンおよびスルホニル尿素;インスリンおよびトログリタゾン;インスリンおよびロバスタチン;等と組合せて投与される。
【0142】
本発明の化合物と食餌および/または運動、上記化合物のうちの1つまたは複数および任意に1つまたは複数のその他の活性物質との任意の適切な組合せは本発明の範囲内であるとみなされる、と理解されるべきである。本発明の一態様では、本発明の製剤組成物は、例えば本発明の化合物を、メトフォルミンおよびスルホニル尿素、例えばグリブリドと組合せて;本発明の化合物をスルホニル尿素およびアカルボースと組合せて;ナテグリニドおよびメトフォルミン;アカルボースおよびメトフォルミン;スルホニル尿素、メトフォルミンおよびトログリタゾン;インスリンおよびスルホニル尿素;インスリンおよびメトフォルミン;インスリン、メトフォルミンおよびスルホニル尿素;インスリンおよびトログリタゾン;インスリンおよびロバスタチン;等と組合せて含む。
【0143】
製剤組成物
本発明の化合物は、単独で、あるいは製薬上許容可能な担体または賦形剤と組合せて、1回または多数回用量で投与され得る。本発明による製剤組成物は、慣用的技法、例えばRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th Edition, Gennaro, Ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, 1995に開示された技法に従って、製薬上許容可能な担体または希釈剤、ならびに任意のその他の既知のアジュバントおよび賦形剤で処方され得る。
【0144】
製剤組成物は、任意の適切な経路、例えば経口、直腸、鼻、肺、局所(例えば頬および舌下)、経皮、槽内、腹腔内、膣および非経口(例えば皮下、筋肉内、くも膜下腔内、静脈内および皮内)経路による投与のために特に処方され、経口経路が好ましい。好ましい経路は、治療されるべき被験者の全身状態および年齢、治療されるべき症状の性質、ならびに選択される活性成分によっている、と理解される。
【0145】
経口投与のための製剤組成物としては、固体剤形、例えば硬質または軟質カプセル、錠剤、トローチ、糖衣錠、ピル、ロゼンジ、粉剤および顆粒が挙げられる。適切な場合、それらはコーティング、例えば腸溶性コーティングを用いて調製され得るし、あるいはそれらは、当該技術分野で周知の方法に従って、活性成分の制御放出、例えば持続性または延長性放出を提供するために処方され得る。
経口投与のための液体剤形としては、溶液、乳濁液、水性または油性懸濁液、シロップおよびエリキシルが挙げられる。
【0146】
非経口投与のための製剤組成物としては、滅菌水性および非水性注射溶液、分散液、懸濁液または乳濁液、ならびに使用前に滅菌注射溶液または分散液中で再構成されるべき滅菌粉剤が挙げられる。デポー注射用処方物も、本発明の範囲内であるとして意図される。
その他の適切な投与形態としては、座薬、噴霧剤、軟膏、クリーム、ゲル、吸入剤、皮膚パッチ、植込錠等が挙げられる。
【0147】
典型的経口投与量は、約0.001〜約100 mg/体重1kg/日、好ましくは約0.01〜約50 mg/体重1kg/日、さらに好ましくは約0.05〜約10 mg/体重1kg/日の範囲で、1回または複数回、例えば1〜3回投与される。的確な投与量は、投与の頻度および方式、治療される被験者の性別、年齢、体重および全身状態、治療される症状の性質および重症度、ならびに治療されるべき任意の共在疾患、そして当業者に明らかなその他の因子によっている。
【0148】
処方物は、当業者に既知の方法により単位剤形で与えられるのが便利であり得る。1または複数回/日、例えば1〜3回/日での経口投与のための典型的単位剤形は、0.05〜約1000 mg、好ましくは約0.1〜約500 mg、さらに好ましくは約0.5 mg〜約200 mgを含有し得る。
【0149】
非経口経路、例えば静脈内、くも膜下腔内、筋肉内および類似の投与に関して、典型的用量は、経口投与のために用いられる用量の約半分のオーダーである。
本発明の化合物は一般的には、遊離物質として、またはその製薬上許容可能な塩として利用される。実例は、遊離塩基の有用性を有する化合物の酸付加塩、および遊離酸の有用性を有する化合物の塩基付加塩である。「製薬上許容可能な塩」という用語は、遊離塩基を適切な有機または無機酸と反応させることにより、あるいは酸を適切な有機または無機塩基と反応させることにより一般的に調製される本発明の化合物の非毒性塩を指す。本発明の化合物が遊離塩基を含有する場合、このような塩は、化合物の溶液または懸濁液を製薬上許容可能な酸の化学的等価物で処理することにより、慣用的方法で調製される。本発明の化合物が遊離酸を含有する場合、このような塩は、化合物の溶液または懸濁液を製薬上許容可能な塩基の化学的等価物で処理することにより、慣用的方法で調製される。ヒドロキシ基を有する化合物の生理学的に許容可能な塩は、ナトリウムまたはアンモニウムイオンのような適切な陽イオンと組合せて上記化合物の陰イオンを含む。製薬上許容可能でないその他の塩は本発明の化合物の調製に有用であり、そしてこれらは、本発明のさらなる態様を形成する。
【0150】
非経口投与に関して、滅菌水性溶液、水性プロピレングリコール、あるいはゴマ油または落花生油中の式(I)の新規の化合物の溶液が用いられ得る。このような水性溶液は、必要な場合、適切に緩衝され、そして液体希釈剤が先ず十分量の生理食塩水またはグルコースで等張にされる。水性溶液は、静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内投与に特に適している。用いられる滅菌水性媒質は、当業者に既知の標準技法により、すべて容易に利用可能である。
【0151】
適切な薬学的担体としては、不活性固体希釈剤または充填剤、滅菌水性溶液および種々の有機溶媒が挙げられる。固体担体の例は、ラクトース、白土、スクロース、シクロデキストリン、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸およびセルロースの低級アルキルエーテルである。液体担体の例は、シロップ、落花生油、オリーブ油、リン脂質、脂肪酸、脂肪酸アミン、ポリオキシエチレンおよび水である。同様に、担体または希釈剤は、当該技術分野で既知の任意の徐放性材料、例えばグリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートを、単独でまたは蝋と混合されて包含し得る。本発明の新規の化合物を製薬上許容可能な担体と組合せることにより生成される製剤組成物は、次に、開示投与経路に適した種々の剤形で容易に投与される。処方物は、製薬業界で既知の方法により、単位剤形で提供されるのが便利であり得る。
【0152】
経口投与に適した本発明の処方物は、予定量の活性成分を各々含有し、そして適切な賦形剤を含み得る分離性単位、例えばカプセルまたは錠剤として提供され得る。さらに、経口的に利用可能な処方物は、粉剤または顆粒、水性または非水性液体中の溶液または懸濁液、あるいは水中油または油中水液体エマルションの形態であり得る。
経口使用のために意図される組成物は任意の既知の方法に従って調製され、そしてこのような組成物は、薬学的に洗練された且つ美味な調製物を提供するために、甘味剤、風味剤、着色剤および防腐剤から成る群から選択される1つまたは複数の作用物質を含有し得る。錠剤は、活性成分を、錠剤の製造に適した非毒性製薬上許容可能な賦形剤との混合物で含有し得る。これらの賦形剤は、例えば不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム;造粒および崩壊剤、例えばコーンスターチまたはアルギン酸;結合剤、例えばデンプン、ゼラチンまたはアラビアゴム;ならびに滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクであり得る。錠剤は被覆されないこともあるし、あるいはそれらは、既知の技法により被覆されて、消化管中での崩壊および吸収を遅延し、それにより長期間に亘って持続性作用を提供し得る。例えば時間遅延材料、例えばグリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートが用いられ得る。それらはさらにまた、制御放出のための浸透性治療用錠剤を形成するために、米国特許第4,356,108号;第4,166,452号;および第4,265,874号(これらの記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載された技法により被覆され得る。
【0153】
経口使用のための処方物は、硬質ゼラチンカプセル(この場合、活性成分は不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合される)、あるいは軟質ゼラチンカプセル(この場合、活性成分は、水、または油性媒質、例えば落花生油、液体パラフィンまたはオリーブ油と混合される)としても提示され得る。
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合して、活性化合物を含有し得る。このような賦形剤は、沈殿防止剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアラビアゴムである;分散または湿潤剤は、例えば天然ホスファチド、例えばレシチン、あるいは酸化アルキレンと脂肪酸との縮合産物、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン、または酸化エチレンと長鎖脂肪族アルコールとの縮合産物、例えばヘプタデカエチル-エネオキシセタノール、または酸化エチレンと脂肪酸由来部分エステルおよびヘキシトールとの縮合産物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、または酸化エチレンと脂肪酸および無水ヘキシトール由来ポリエチレンソルビタンエステルとの縮合産物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートであり得る。水性懸濁液は、1つまたは複数の着色剤、1つまたは複数の風味剤、ならびに1つまたは複数の甘味剤、例えばスクロースまたはサッカリンも含有し得る。
【0154】
油性懸濁液は、植物油、例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油またはヤシ油中に、あるいは鉱油、例えば液体パラフィン中に、活性成分を懸濁することにより処方され得る。油性懸濁液は、増粘剤、例えば蜜蝋、硬質パラフィンまたはセチルアルコールを含有し得る。甘味剤、例えば上記のもの、ならびに風味剤は、美味な経口調製物を提供するために付加され得る。これらの組成物は、酸化防止剤、例えばアスコルビン酸の付加により保存され得る。
【0155】
水の付加による水性懸濁液の調製に適した分散性粉末および顆粒は、分散または湿潤剤、沈殿防止剤および1つまたは複数の防腐剤と混合して、活性化合物を提供する。適切な分散または湿潤剤および沈殿防止剤は、すでに上記されたものにより例示される。付加的賦形剤、例えば甘味剤、風味剤および着色剤も存在し得る。
【0156】
本発明の製剤組成物は、水中油型エマルションの形態でもあり得る。油性相は、植物油、例えばオリーブ油または落花生油、あるいは鉱油、例えば液体パラフィン、あるいはその混合物であり得る。適切な乳化剤は、天然ゴム、例えばアラビアゴムまたはトラガカントゴム、天然ホスファチド、例えば大豆レシチン、ならびに脂肪酸および無水ヘキシトール由来のエステルまたは部分エステル、例えばソルビタンモノオレエート、ならびに上記部分エステルと酸化エチレンとの縮合産物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであり得る。エマルションは、甘味剤および風味剤も含有し得る。
【0157】
シロップおよびエリキシルは、甘味剤、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロースを用いて処方され得る。このような処方物は、緩和剤、防腐剤、ならびに風味および着色剤も含有し得る。製剤組成物は、滅菌注射用水性または油性懸濁液の形態であり得る。この懸濁液は、上記の適切な分散または湿潤剤ならびに沈殿防止剤を用いて、既知の方法に従って処方され得る。滅菌注射用調製物は、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液でもあり得る。用いられ得る許容可能なビヒクルおよび溶媒の一つは、水、リンガー溶液および等張塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌不揮発性油は、溶媒または沈殿防止媒質として用いられるのが便利である。この目的のために、任意の口当たりの良い不揮発性油が合成モノ-またはジグリセリドを用いて使用され得る。さらに、脂肪酸、例えばオレイン酸は、注射用液の調製における用途を見出す。
【0158】
組成物は、本発明の化合物の直腸投与のための座薬の形態でもあり得る。これらの組成物は、薬剤を、常温では固体であるが、しかし直腸温度で液体であり、したがって直腸中で融解して薬剤を放出する適切な非刺激性賦形剤と混合することにより調製され得る。このような材料としては、例えばココアバターおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0159】
局所使用に関しては、本発明の化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、懸濁溶液などが意図される。この適用のために、局所適用は、マウスウォッシュおよびうがい液を包含する。
【0160】
本発明の化合物は、リポソーム送達系、例えば小型ユニラメラ小胞、大型ユニラメラ小胞および多重ラメラ小胞の形態でも投与され得る。リポソームは、種々のリン脂質、例えばコレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンから形成され得る。
さらに、本発明の化合物のいくつかは、水または一般的有機溶媒と溶媒和物を形成し得る。このような溶媒和物も、本発明の範囲内に包含される。
【0161】
したがってさらなる一態様では、本発明の化合物、あるいはその製薬上許容可能な塩、溶媒和物またはプロドラッグ、ならびに1つまたは複数の製薬上許容可能な担体、賦形剤または希釈剤を含む製剤組成物が提供される。
固体担体が経口投与のために用いられる場合、調製物は錠剤成形され、粉剤またはペレット形態で硬質ゼラチンカプセル中に入れられるか、あるいはそれはトローチまたはロゼンジの形態であり得る。固体担体の量は広範に変わるが、しかし通常は、約25 mg 〜約1 gである。液体担体が用いられる場合、調製物はシロップ、エマルション、軟質ゼラチンカプセルまたは滅菌注射用液、例えば水性または非水性液体懸濁液または溶液の形態であり得る。
【0162】
慣用的錠剤成形技法により調製され得る典型的錠剤は、以下のものを含有し得る:
コア:
活性化合物(遊離化合物またはその塩として) 5.0 mg
ラクトサム Ph. Eur. 67.8 mg
セルロース、微晶質(アビセル) 31 4mg
アンバーライト(登録商標)IRP88* 1.0 mg
ステアリン酸マグネシウムPh. Eur. 十分量
コーティング:
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 約9 mg
Mywacett 9-40T** 約0.9 mg
*ポラクリリン・カリウムNF(錠剤崩壊剤、Rohm and Haas)
**フィルムコーティングのための可塑剤として用いられるアシル化モノグリセリド
【0163】
所望により、本発明の製剤組成物は、本発明の化合物を、さらなる活性物質、例えば上記のものと組合せて含み得る。
【実施例】
【0164】
実施例
略号
スキームおよび実施例に用いられる略号を以下に示す:
d =日(単数または複数)
g =グラム(単数または複数)
h =時間(単数または複数)
Hz =ヘルツ
【0165】
kD =キロダルトン(単数または複数)
L =リットル(単数または複数)
M =モル
mbar =ミリバール
mg =ミリグラム(単数または複数)
min =分(単数または複数)
mL =ミリリットル(単数または複数)
mM =ミリモル(単数または複数)
mmol =ミリモル(単数または複数)
mol =モル(単数または複数)
N =正常
ppm =百万分率
psi =ポンド/平方インチ
【0166】
APCI =大気圧化学イオン化法
ESI =エレクトロスプレー法
i.v. =静脈内
m/z =質量対電荷比
mp =融点
MS =質量分析
HPLC =高速液体クロマトグラフィー
RP =逆相
HPLC-MS =液体クロマトグラフィー-質量分析
NMR =核磁気共鳴分光分析
【0167】
p.o. =経口
f =相対TLC移動度
rt =室温
s.c. =皮下
TLC =薄層クロマトグラフィー
r =保持時間
BOP =(1-ベンゾトリアゾリルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
CDI =カルボニルジイミダゾール
DCM =ジクロロメタン、 CH2Cl2 =メチレンクロリド
DBU =1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エン
DEAD =ジエチルアゾジカルボキシレート
【0168】
DIC =1,3-ジイソプロピルカルボジイミド
*DIEA =N,N-ジイソプロピルエチルアミン
*DIPEA =N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMA =N,N-ジメチルアセトアミド
DMF =N,N-ジメチルホルムアミド
DMPU =N,N-ジメチルプロピレン尿素、1,3-ジメチル-2-オキソヘキサヒドロピリミジン
DMSO =ジメチルスルホキシド
*EDC =1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩
*EDAC =1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩
Et2O =ジエチルエーテル
【0169】
EtOAc =酢酸エチル
HMPA =ヘキサメチルリン酸トリアミド
HOAt =1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール
HOBt =1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
LAH =水素化アルミニウムリチウム、LiAlH4
LDA =リチウムジイソプロピルアミド
MeCN =アセトニトリル
MeOH =メタノール
NMM =N-メチルモルホリン、4-メチルモルホリン
NMP =N-メチルピロリジン-2-オン
TEA =トリエチルアミン
TFA =トリフルオロ酢酸
【0170】
THF =テトラヒドロフラン
THP =テトラヒドロピラニル
TTFH =フルオロ-N,N,N’,N’-テトラメチルホルムアミジニウム・ヘキサフルオロホスフェート
CDCl3 =ジューテリオクロロホルム
CD3OD =テトラジューテリオメタノール
DMSO-d6 =ヘキサジューテリオジメチルスルホキシド。
【0171】
概要
以下の実施例および一般手順は、本明細書中で、ならびに合成スキームで同定される一般式(I)に関する中間体化合物および最終生成物に言及する。本発明の一般式(I)の化合物の調製は、以下の実施例を用いて詳細に記載される。時として、反応は、本発明の開示範囲内に含まれる各化合物に対して記載されたように適用可能というわけではないことがある。これが起こる化合物は、当業者により容易に認識される。これらの場合、反応は、妨害基の適切な保護による、他の慣用的試薬への変更による、あるいは反応条件のルーチン修正によるものである当業者に既知の慣用的修正により、上首尾に実施され得る。代替的には、本明細書中に開示されるか、そうでなければ慣用的であるその他の反応は、本発明の対応する化合物の調製に適用可能である。すべての製造方法において、出発物質はすべて既知であるか、あるいは類似の既知の化合物の調製と同様に当業者により、または本明細書中に記載した一般手順および方法により、調製され得る。
【0172】
当該化合物の構造は、元素分析により、または核磁気共鳴(NMR)により確証されるが、この場合、表題化合物中の特徴的陽子に割り当てられるピークは、適切な場合、提示される。
【0173】
一般手順
一般手順(A)
本発明の式(I)の化合物(式中、R1、R2、A、BおよびZは式(I)に関して定義されるものと同様である)は、特許出願WO 03/015774に記載された方法と同様に調製され、そして必要な場合は、その後、例えばTHF/H2OまたはMeOH/H2Oのような適切な溶媒中のNaOHまたはLiOHを用いて対応する酸に加水分解される。適切に置換されたフェニル出発物質は、市販されているか、文献(例えば出願WO 03/015774、WO 05/056530、WO 05/080359、WO 05/080360、WO 05/044801)中に記載されているか、あるいは類似の既知の化合物の調製と同様に当業者により、または本明細書中に記載した一般手順および方法により調製され得る。
【0174】
適切なアミノチアゾールH2N-A(式中、Aは式(I)に関する場合と同様に定義される)またはその保護化類似体は、市販されているか、文献中に記載されているか、あるいは類似の既知の化合物の調製と同様に当業者により、または本明細書中に記載した一般手順および方法により、調製され得る。
【0175】
一般手順(B)
本発明の式(Ia)および(Ib)の化合物(式中、R1、R2、A、BおよびZは式(I)に関して定義されるものと同様であるが、A上の置換基R8はCH2CH2COOR11と定義され、この場合、R11はC1-4-アルキルまたはHである)はそれぞれ、以下に略記するように調整され得る:
【化13】

【0176】
式(II)(式中、Aは5〜10員へてろシクリル-Z1-であって、この場合、ヘテロシクリルは炭素原子、ならびにO、NおよびS(O)tから選択される1〜4個の異種原子からなる)のアルデヒドは、対応するアクリル系酸エステル(III)を介して対応するエステル(Ia)に転化され、その後、式IVの化合物に水素添加され得る。XおよびYは、必要な場合、特許出願WO 03/015774に記載された方法により、それぞれB-R1およびX-Yに転化され得る。エステル(Ib)は、適切な溶媒、例えばTHF/H2OまたはMeOH/H2O中の例えばNaOHまたはLiOHで、対応する酸(Ia)に加水分解され得る。
【0177】
一般合成説明
一般合成説明A:安息香酸のN-2-チアゾリルアミドの調製:
ジクロロメタン(3 mL)中の置換安息香酸(0.25 mmol)の溶液に、0℃で1滴のN,N-ジメチルホルムアミドおよび塩化オキサリル(50 μL)を付加した。内容物を、室温で2時間撹拌した。揮発性物質をすべて、減圧下で除去した。粗製酸塩化物をジクロロメタン(2 mL)中に溶解し、その結果生じた溶液を、0℃でジクロロメタン(2 mL)中の2-アミノチアゾールまたはその誘導体(0.5 mmol)およびトリエチルアミン(100 μL)の混合物に付加した。内容物を室温で1時間撹拌した。全揮発物を、減圧下で除去した。残渣を、溶離液としてジクロロメタン中の10〜20%酢酸エチルを用いて、シリカ上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、純粋な所望のアミドを得た。
【0178】
一般合成説明B:3,5-ジアルコキシ安息香酸の調製:
DMF(5 mL)中のメチル3,5-ジヒドロキシ安息香酸塩(2.0 mmol)に、0℃でNaH(200 mg, 鉱油中60%、5 mmol)およびハロゲン化アルキル(4.4 mmol)を付加し、その結果生じた混合物を室温で12時間撹拌した。反応混合物を水中に注ぎ入れ、酢酸エチルで抽出した。併合酢酸エチル抽出物をブライン(150 ml)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥して、濃縮した。テトラヒドロフラン(5 ml)中の粗製エステルに2 NNaOH(5 mL)を付加し、内容物を1時間撹拌した。反応混合物を濃HClで酸性にして、酢酸エチルで抽出した。併合酢酸エチル抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥して、濃縮した。粗製3,5-ジアルコキシ安息香酸を収率70〜80%で得て、そのようなものとして用いた。
【0179】
一般合成説明C:アリールオキシベンズアミドの調製:
ピリジン(2 ml)中の3-アルコキシ-5-ヒドロキシベンズアミド(0.2 mmol)、銅粉末(0.22 mmol)、炭酸カリウム(0.6 mmol)およびハロゲン化アリール(0.22 mmol)の混合物を、100℃で12時間加熱した。次に反応塊を室温に冷却し、酢酸エチルで希釈して、セライトを通して濾過した。セライト床を酢酸エチルで十分に洗浄した;併合酢酸エチル濾液を1 NHClで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥して、濃縮し、シロップ様物質を得た。この粗製シロップ様化合物をシリカゲルカラムにより精製して、所望のアリールオキシベンズアミドを収率30〜40%で得た。
【0180】
一般合成説明D:これのアリールオキシ安息香酸塩の調製(エバンス・カップリング):
DCM(35 mL)中のメトキシ-3-アルコキシ-5-ヒドロキシ安息香酸塩(4.0 mmol)、酢酸銅(8.0 mmol)および分子篩の混合物に、フェニルボロン酸(8.0 mmol)または置換フェニルボロン酸(8.0 mmol)を付加した。この混合物に15分間酸素(バルーン)を散布した;トリエチルアミン(8.0 mmol)の付加後、酸素散布をさらに15分間継続した。その結果生じた褐色/黒色懸濁液を、周囲温度で6〜12時間、酸素雰囲気下で撹拌した。次に反応スラリーを2”シリカ・プラグを通して濾過して、任意の固体副産物を除去した。100 mLのDCMでシリカゲルを洗浄後、濾液を濃縮し、勾配フラッシュクロマトグラフィーによりさらに精製した。所望のアリールオキシ安息香酸塩を収率30〜60%で得た。
【0181】
加水分解に関する一般合成説明E:
エステル(1 mmol)を、THFおよびメタノールの1:1混合物(5 mL)中に溶解した。この溶液に、LiOH(2 mL, 4 mmol)の2 M溶液を付加した。混合物を4〜6時間撹拌し、濃縮した。残渣を水(10 mL)で希釈し、水性層を酢酸エチル(2×10 mL)で洗浄した。水層をHClで酸性にしてpH6.0とし、沈殿酸を酢酸エチル(2×50 mL)で抽出した。有機層を水(2×20 mL)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)して、真空濃縮し、対応するカルボン酸を得た。
【0182】
3-{(1S)-2-メトキシ-(メチルエチル)オキシ}-5-{[4-フルオロフェニル]オキシ}安息香酸の調製のための一般合成説明F:
ステップA:
メチル-3-ヒドロキシ-5-{[(2-メチルフェニル)メチル]オキシ}ベンゾエートの合成:
0℃でDMF(500 ml)中のメチル3,5-ジヒドロキシベンゾエート(50 g, 0.30 mol)の溶液に、水素化ナトリウム(10.8 g, 0.27 mol)を一部ずつ付加した。反応を15℃に上げさせて、20分間撹拌した。混合物を0℃に再冷却し、DMF(50 ml)中の臭化2-メチルベンジル(36 ml, 0.27 mol)の溶液を30分間に亘って付加した。反応を周囲温度に温めて、真空濃縮した。残留油を酢酸エチル(500 ml)および水(250 ml)間に分配し、酢酸エチル層を分離し、水で洗浄して、蒸発させた。残渣をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(勾配、イソヘキサン中0〜100%酢酸エチル)により精製して、所望の化合物(21.9 g, 27%)を得た。
【化14】

【0183】
ステップB:
メチル-3-{(1S)-2-メトキシ-(1-メチルエチル)オキシ}-5-{[(2-メチルフェニル)メチル]オキシ}ベンゾエートの合成:
乾燥クロロメタン(900 ml)中のメチル-3-ヒドロキシ-5-{[(2-メチルフェニル)メチル]オキシ}ベンゾエート(15.3 g, 56.25 mmol)およびトリフェニルホスフィン(14.4 g, 55 mmol)の撹拌懸濁液を氷浴中で冷却し、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(11.88 ml, 55 mmol)を滴下した。反応混合物を0〜5℃で30分間撹拌し、そして(R)-メトキシ-プロパン-2-オールを滴下した。反応混合物を周囲温度で16時間撹拌し、珪藻土を通して濾過した。濾液を蒸発させて、イソヘキサン中の10%酢酸エチルを用いて溶離するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の化合物(10.7 g, 55%)を得た。
【化15】

【0184】
ステップC:
メチル-3-ヒドロキシ-5-[(1S)-2-メトキシ-(1-メチルエチル)オキシ]ベンゾエートの合成:
メチル-3-{(1S)-2-メトキシ-(1-メチルエチル)オキシ}-5-{[(2-メチルフェニル)メチル]オキシ}ベンゾエート(50 g, 0.152 mol)をTHF/エタノール(1:1, 600 ml)中に溶解し、10%パラジウム・オン・カーボン(5.0 g)を付加した。混合物を、室温で正常圧下で水素添加した。触媒を濾し取り、濾液を真空濃縮して、所望の化合物(36.7 g, 99%)を得た。
【化16】

【0185】
ステップD:
メチル-3-{(1S)-2-メトキシ-(1-メチルエチル)オキシ}-5-{[4-フルオロフェニル]オキシ}ベンゾエートの合成:
ジクロロメタン中のメチル-3-ヒドロキシ-5-[(1S)-2-メトキシ-(1-メチルエチル)オキシ]ベンゾエート(3.53 g, 14.7 mmol)、p-フルオロ-フェニル-ボロン酸(16.2 mmol)、酢酸銅(II)(2.94 g, 16.2 mmol)、トリエチルアミン(10.3 ml, 73.5 mmol)および新たに活性化された4A分子篩(17.7 g)の懸濁液を、周囲大気圧で2日間、周囲温度で撹拌した。反応混合物を濾過し、ジクロロメタンを真空除去した。残留油を酢酸エチルおよび2 mol/lの塩酸間に分配した。酢酸エチル層を分離し、水性炭酸水素ナトリウムおよびブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥して、蒸発させて残渣を得て、これをシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(イソ-ヘキサン中20〜60%酢酸エチル、勾配)により精製して、所望のエステルを得た。
【0186】
ステップE:
3-{(1S)-2-メトキシ-(メチルエチル)オキシ}-5-{[4-フルオロフェニル]オキシ}安息香酸の合成:
40 mlのTHF中のメチル-3-{(1S)-2-メトキシ-(メチルエチル)オキシ}-5-{[4-フルオロフェニル]オキシ}ベンゾエート(5.08 mmol)の溶液に、15 mlのH2O中の水酸化ナトリウム(0.61 g, 15.23 mmol)の溶液を付加した。混合物を周囲温度で13時間撹拌し、濃縮した。残渣を1 mol/Lのクエン酸溶液で酸性にしてpH4として、酢酸エチル(2×100 mL)で抽出した。併合抽出物をブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、蒸発させて、3-{(1S)-2-メトキシ-(メチルエチル)オキシ}-5-{[4-(メチルスルホニル)フェニル]オキシ}安息香酸を得た。
【0187】
特定例
実施例1(一般手順(A))
[2-(3,5-ジエトキシ-ベンゾイルアミノ)-チアゾール-4-イル]-酢酸エチルエステル
【化17】

【0188】
ステップA:
合成説明Aに従って、3,5-ジエトキシ安息香酸(52 mg, 0.25 mmol)およびエチル2-アミノチアゾール-4-イルアセテート(93 mg)から、[2-(3,5-ジエトキシ-ベンゾイルアミノ)-チアゾール-4-イル]-酢酸エチルエステル(80 mg, 86%)を調製した。
【化18】

【0189】
実施例2(一般手順(A))
[2-(3,5-ジエトキシ-ベンゾイルアミノ)-チアゾール-4-イル]-酢酸
【化19】

【0190】
ステップA:
テトラヒドロフラン(2 mL)中の[2-(3,5-ジエトキシ-ベンゾイルアミノ)-チアゾール-4-イル]-酢酸エチルエステル(38 mg, 0.1 mmol)の溶液に、2 N水性LiOH(2 mL)を付加し、内容物を2時間撹拌した。次に濃HClで酸性にして、酢酸エチルで抽出した。抽出物を乾燥(Na2SO4)し、濃縮して、無色3,5-ジエトキシ-N-(4-カルボキシメチル-チアゾール-2-イル)-ベンズアミド(30 mg, 90%)を得た。
【化20】

【0191】
実施例3(一般手順(A))
[2-(3-イソプロポキシ-5-フェノキシ-ベンゾイルアミノ)-チアゾール-4-イル]-酢酸エチルエステル
【化21】

[2-(3-イソプロポキシ-5-フェノキシ-ベンゾイルアミノ)-チアゾール-4-イル]-酢酸エチルエステルを、2つのステップで調製した。
【0192】
ステップA:
メチル-3-イソプロピルオキシ-5-フェノキシベンゾエート(3.15 g, 11.0 mmol)を、一般手順Dに従って、収率36%で、メチル-3-イソプロポキシ-5-ヒドロキシベンゾエート(6.3 g, 30.0 mmol)およびフェニルボロン酸(7.32 g, 60.0 mmol)から調製した。回収された出発物質のうちのさらに29%を、再利用した。メチル-3-イソプロピルオキシ-5-フェノキシベンゾエート(2.75 g)を、一般手順Eに従って、収率92%で3-イソプロピルオキシ-5-フェノキシ安息香酸(2.40 g)に加水分解した。
【化22】

【0193】
ステップB:
一般手順Aに従ってエチル2-アミノチアゾール-4-イルアセテートおよび3-イソプロピルオキシ-5-フェノキシ安息香酸から、表題化合物を調製した。
LC-MS(m/z):441(M+1)+
【0194】
実施例4(一般手順(A))
[2-(3-イソプロポキシ-5-フェノキシ-ベンゾイルアミノ)-チアゾール-4-イル]-酢酸
【化23】

【0195】
ステップA:
[2-(3-イソプロポキシ-5-フェノキシ-ベンゾイルアミノ)-チアゾール-4-イル]-酢酸エチルエステルを実施例2に記載したように加水分解して、表題化合物を得た。
LC-MS(m/z):413(M+1)+
【0196】
実施例5(一般手順(A))
[2-(3,5-ジイソプロポキシ-ベンゾイルアミノ)-チアゾール-4-イル]-酢酸エチルエステル
【化24】

【0197】
ステップA:
合成説明Aに従って、3,5-ジイソプロポキシ安息香酸(アルキルハリドとして2-ブロモプロパンを用いて、一般合成説明Bに記載されたように調製)およびエチル2-アミノチアゾール-4-イルアセテートから、[2-(3,5-ジイソプロポキシ-ベンゾイルアミノ)-チアゾール-4-イル]-酢酸エチルエステルを調製した。
LC-MS(m/z):407(M+1)+
【0198】
実施例6(一般手順(A))
【化25】

【0199】
ステップA:
実施例2に記載されたように[2-(3,5-ジイソプロポキシ-ベンゾイルアミノ)-チアゾール-4-イル]-酢酸エチルエステルを加水分解して、表題化合物を得た。
LC-MS(m/z):379(M+1)+
【0200】
実施例7(一般手順(A))
{2-[3-(4-フルオロ-フェノキシ)-5-((S)-2-メトキシ-1-メチル-エトキシ)-ベンゾイルアミノ]-チアゾール-4-イル}-酢酸エチルエステル
【化26】

【0201】
ステップA:
一般手順Aに従って、3-{(S)-2-メトキシ-(メチルエチル)オキシ}-5{[4-フルオロ-フェニル]オキシ}安息香酸(一般合成説明Fに記載されたように調製)およびエチル2-アミノチアゾール-4-イルアセテートから、{2-[3-(4-フルオロ-フェノキシ)-5-((S)-2-メトキシ-1-メチル-エトキシ)-ベンゾイルアミノ]-チアゾール-4-イル}-酢酸エチルエステルを調製した。
LC-MS(m/z):489(M+1)+
【0202】
実施例8(一般手順(A))
{2-[3-(4-フルオロ-フェノキシ)-5-((S)-2-メトキシ-1-メチル-エトキシ)-ベンゾイルアミノ]-チアゾール-4-イル}-酢酸
【化27】

【0203】
ステップA:
実施例2に記載されたように{2-[3-(4-フルオロ-フェノキシ)-5-((S)-2-メトキシ-1-メチル-エトキシ)-ベンゾイルアミノ]-チアゾール-4-イル}-酢酸エチルエステルを加水分解して、表題化合物を得た。
LC-MS(m/z):461(M+1)+
【0204】
実施例9(一般手順(A))
{2-[3-(3-フルオロ-フェノキシ)-5-((S)-2-メトキシ-1-メチル-エトキシ)-ベンゾイルアミノ]-チアゾール-4-イル}-酢酸エチルエステル
【化28】

【0205】
ステップA:
合成説明Aに従って、3-{(S)-2-メトキシ-(メチルエチル)オキシ}-5{[3-フルオロ-フェニル]オキシ}安息香酸(ステップDにおけるm-フルオロフェニルボロン酸を用いて、一般合成説明Fに記載された方法と同様に調製)およびエチル2-アミノチアゾール-4-イルアセテートから、{2-[3-(3-フルオロ-フェノキシ)-5-((S)-2-メトキシ-1-メチル-エトキシ)-ベンゾイルアミノ]-チアゾール-4-イル}-酢酸エチルエステルを調製した。
LC-MS(m/z):489(M+1)+
【0206】
実施例10(一般手順(A))
{2-[3-(3-フルオロ-フェノキシ)-5-((S)-2-メトキシ-1-メチル-エトキシ)-ベンゾイルアミノ]-チアゾール-4-イル}-酢酸
【化29】

【0207】
ステップA:
実施例2に記載されたように{2-[3-(3-フルオロ-フェノキシ)-5-((S)-2-メトキシ-1-メチル-エトキシ)-ベンゾイルアミノ]-チアゾール-4-イル}-酢酸エチルエステルを加水分解して、表題化合物を得た。
LC-MS(m/z):461(M+1)+
【0208】
実施例11(一般手順(A))
{2-[3-フェノキシ-5-((S)-2-メトキシ-1-メチル-エトキシ)-ベンゾイルアミノ]-チアゾール-4-イル}-酢酸エチルエステル
【化30】

【0209】
ステップA:
合成説明Aに従って、3-{(S)-2-メトキシ-(メチルエチル)オキシ}-5-フェニルオキシ-安息香酸(ステップDにおけるフェニルボロン酸を用いて、一般合成説明に記載された方法と同様に調製)およびエチル2-アミノチアゾール-4-イルアセテートから、{2-[3-フェノキシ-5-((S)-2-メトキシ-1-メチル-エトキシ)-ベンゾイルアミノ]-チアゾール-4-イル}-酢酸エチルエステルを調製した。
LC-MS(m/z):471(M+1)+
【0210】
実施例12(一般手順(A))
{2-[3-フェノキシ-5-((S)-2-メトキシ-1-メチル-エトキシ)-ベンゾイルアミノ]-チアゾール-4-イル}-酢酸
【化31】

【0211】
ステップA:
実施例2に記載されたように{2-[3-フェノキシ-5-((S)-2-メトキシ-1-メチル-エトキシ)-ベンゾイルアミノ]-チアゾール-4-イル}-酢酸エチルエステルを加水分解して、表題化合物を得た。
LC-MS(m/z):443(M+1)+
【0212】
実施例13(一般手順(A))
{2-[3-(3-メトキシ-フェノキシ)-5-((S)-2-メトキシ-1-メチル-エトキシ)-ベンゾイルアミノ]-チアゾール-4-イル}-酢酸エチルエステル
【化32】

【0213】
ステップA:
合成説明Aに従って、3-{((S)-2-メトキシ-(メチルエチル)オキシ)-5-{[3-メトキシ-フェニル]オキシ安息香酸(ステップDにおける3-メトキシフェニルボロン酸を用いて、一般合成説明Fに記載された方法と同様に調製)およびエチル2-アミノチアゾール-4-イルアセテートから、{2-[3-(3-メトキシ-フェノキシ)-5-((S)-2-メトキシ-1-メチル-エトキシ)-ベンゾイルアミノ]-チアゾール-4-イル}-酢酸エチルエステルを調製した。
LC-MS(m/z):501(M+1)+
【0214】
実施例14(一般手順(A))
{2-[3-(3-メトキシ-フェノキシ)-5-((S)-2-メトキシ-1-メチル-エトキシ)-ベンゾイルアミノ]-チアゾール-4-イル}-酢酸
【化33】

【0215】
ステップA:
実施例2に記載されたように{2-[3-(3-メトキシ-フェノキシ)-5-((S)-2-メトキシ-1-メチル-エトキシ)-ベンゾイルアミノ]-チアゾール-4-イル}-酢酸エチルエステルを加水分解して、表題化合物を得た。
LC-MS(m/z):473(M+1)+
【0216】
実施例15(一般手順(A))
{2-[3-(4-メトキシ-フェノキシ)-5-((S)-2-メトキシ-1-メチル-エトキシ)-ベンゾイルアミノ]-チアゾール-4-イル}-酢酸エチルエステル
【化34】

【0217】
ステップA:
合成説明Aに従って、3-{((S)-2-メトキシ-(メチルエチル)オキシ)-5-{[3-メトキシ-フェニル]オキシ安息香酸(ステップDにおける4-メトキシフェニルボロン酸を用いて、一般合成説明Fに記載された方法と同様に調製)およびエチル2-アミノチアゾール-4-イルアセテートから、{2-[3-(4-メトキシ-フェノキシ)-5-((S)-2-メトキシ-1-メチル-エトキシ)-ベンゾイルアミノ]-チアゾール-4-イル}-酢酸エチルエステルを調製した。
LC-MS(m/z):501(M+1)+
【0218】
実施例16(一般手順(A))
{2-[3-(4-メトキシ-フェノキシ)-5-((S)-2-メトキシ-1-メチル-エトキシ)-ベンゾイルアミノ]-チアゾール-4-イル}-酢酸
【化35】

【0219】
ステップA:
実施例2に記載されたように{2-[3-(4-メトキシ-フェノキシ)-5-((S)-2-メトキシ-1-メチル-エトキシ)-ベンゾイルアミノ]-チアゾール-4-イル}-酢酸エチルエステルを加水分解して、表題化合物を得た。
LC-MS(m/z):473(M+1)+
【0220】
実施例17(一般手順(A))
3-[2-(3-イソプロポキシ-5-フェノキシベンゾイルアミノ)-チアゾール-5-イル]-プロピオン酸
【化36】

3-[2-(3-イソプロポキシ-5-フェノキシベンゾイルアミノ)-チアゾール-5-イル]-プロピオン酸を、4つのステップで調製した。
【0221】
ステップA:
一般合成説明Aに従って、5-フォルミル-2-アミノチアゾール(600 mg, 4.7 mmol)および3-イソプロピルオキシ-5-フェノキシ安息香酸(800 mg, 2.95 mmol)から、収率41%で、N-(5-フォルミルチアゾール-2-イル)-3-イソプロポキシ-5-フェノキシベンズアミド(460 mg)を調製した。
【化37】

【0222】
ステップB:
反応体のTHF溶液(5.0 mL)を、50℃Cで一晩、加熱することにより、N-(5-フォルミルチアゾール-2-イル)-3-イソプロポキシ-5-フェノキシベンズアミド(130 mg, 0.34 mmol)および(カルボエトキシメチレン)トリフェニルホスホ-ラン(150 mg, 0.43 mmol)から、3-[2-(3-イソプロポキシ-5-フェノキシベンゾイルアミノ)-チアゾール-5-イル]-アクリル酸エチルエステル(102 mg, 67%)を調製した。分子篩い(4A)を付加して、反応中のあらゆる水分を除去した。
【化38】

【0223】
ステップC:
Pd/C(200 mg)上で水素(60 psi)を用いたメタノール(10 mL)中の3-[2-(3-イソプロポキシ-5-フェノキシベンゾイルアミノ)-チアゾール-5-イル]-アクリル酸エチルエステルの還元から、3-[2-(3-イソプロポキシ-5-フェノキシベンゾイルアミノ)-チアゾール-5-イル]-プロピオン酸エチルエステルを、収率90%で調製した。
【化39】

【0224】
ステップD:
一般手順Eに従って、3-[2-(3-イソプロポキシ-5-フェノキシベンゾイルアミノ)-チアゾール-5-イル]-プロピオン酸エチルエステル(90 mg)から、収率94%で、3-[2-(3-イソプロポキシ-5-フェノキシベンゾイルアミノ)-チアゾール-5-イル]-プロピオン酸(80 mg)を得た。
【化40】

【0225】
薬理学的方法
グルコキナーゼ活性検定(I)
グルコース6-ホスフェートデヒドロゲナーゼとカップリングされたグルコキナーゼ活性を分光測光的に検定して、グルコキナーゼの化合物活性化を確定する。最終検定は、50 mMHepes、pH7.1、50 mMKCl、5 mMMgCl2、2 mMジチオトレイトール、0.6 mMNADP、1 mMATP、0.195 μMG-6-Pデヒドロゲナーゼ(Rocheから, 127 671)、15 nM組換えヒトグルコキナーゼを含有する。グルコキナーゼは、N末端His-タグ((His)8-VEQILA……Q466)を用いてN末端切頭化されたヒト肝臓グルコキナーゼであり、そして肝臓抽出GKに匹敵する酵素活性を有する可溶性タンパク質として大腸菌中で発現される。
【0226】
Hisタグ化ヒトグルコキナーゼ(hGK)の精製を、以下のように実施した:50 ml大腸菌培養からの細胞ペレットを、0.25 gm/mlのリソソームおよび50 μg/mアジ化ナトリウムを付加した5 ml抽出緩衝液A(25 mMHEPES、pH8.0、1 mMMgCl2、150 mMNaCl、2 mMメルカプトエタノール)中に再懸濁した。室温で5分後、5 mlの抽出緩衝液B(1.5 MNaCl、100 mMCaCl2、100 mMMgCl2、0.02 mg/mlDNアーゼ1、プロテアーゼ阻害薬錠剤(Complete(登録商標)1697498):緩衝液20 ml当たり1錠)を付加した。次に抽出物を、15.000gで30分間遠心分離した。その結果生じた上清を、Ni2+を投入した1 ml金属キレートアフィニティークロマトグラフィー(MCAC)カラム上に載せる。カラムを、20 mMイミダゾールを含有する2容積の緩衝液Aで洗浄し、その後、緩衝液A中の20〜500 mMイミダゾールの20分勾配を用いて結合his-タグ化hGKを溶離する。分画をSDS-ゲル-電気泳動を用いて検査し、hGK(分子量:52 KDa)を含有する分画をプールする。最後に、最終仕上げおよび緩衝液交換のために、ゲル濾過ステップを用いる。hGK含有分画をSuperdex 75(16/60)ゲル濾過カラム上に載せて、緩衝液B(25 mMHEPES、pH8.0、1 mMMgCl2、150 mMNaCl、1 mMジチオトレイトール)で溶離する。精製hGKをSDS-ゲル電気泳動およびMALDI質量分光分析により検査して、最後に20%グリセロールを付加した後、凍結した。50 ml大腸菌培養からの収量は、一般的に約2〜3 mg hGKで、純度>90%である。
【0227】
所望の濃度、例えば1、5、10、25または50 μMの化合物を得るのに十分な量で、最終濃度2.5%DMSO中でウエルに、試験されるべき化合物を付加する。グルコースを最終濃度2、5、10または15 mMに付加後、反応は開始する。検定は96ウエルUVプレートを使用し、そして用いられる最終検定容積は200 μl/ウエルである。プレートを25℃で5分間インキュベートし、30秒毎に5分間、SpectraMaxで340 nmで動態を測定する。グルコキナーゼ酵素無し、化合物無しである「ブランク」から差し引かれた後の化合物無しの検定におけるグルコキナーゼ酵素の活性化と比較したグルコキナーゼ活性の倍活性化として、各化合物に関する結果を表わす。実施例の各々における化合物は、この検定におけるグルコキナーゼの活性化を示す。30 μMより高いかまたは低い濃度で化合物無しの検定からの結果の1.5倍より高いグルコキナーゼ活性を示す化合物は、グルコキナーゼの活性化剤であるとみなされる。
化合物濃度10 μMおよびグルコース濃度5および15 mMで、化合物のグルコース感受性を測定する。
【0228】
グルコキナーゼ活性検定(II)
単離ラット肝細胞中のグリコーゲン沈着の確定:
二段階還流技法により、随意摂食させたラットから肝細胞を単離する。細胞生存度(トリパンブルー排除により査定)は、一貫して、80%より高い。4%FCSを有する基本培地(0.1 μMデキサメタソン、100単位/mlペニシリン、100 mg/mlストレプトマイシン、2 mML-グルタミンおよび1 nMインスリンを補足した培地199(5.5 mMグルコース))中でコラーゲン被覆96ウエルプレート上に、30,000細胞/ウエルの細胞密度で、細胞をプレート化する。死細胞を除去するために、初回プレート化の1時間後に培地を基本培地と取り替える。培地を24時間後に、9.5 mMグルコースおよび10 nMインスリンを補足した基本培地に変えて、グリコーゲン合成を誘導し、そして翌日、実験を実施する。肝細胞を予熱(37℃)緩衝液A(117.6 mMNaCl、5.4 mMKCl、0.82 mMMg2SO4、1.5 mMKH2PO4、20 mMHEPES、9 mMNaHCO3、0.1%w/vHSAおよび2.25 mMCaCl2、pH7.4、37℃)で2回洗浄して、15 mMグルコースおよび漸増濃度(例えば1、5、10、25、50または100 μM)の試験化合物を含有する緩衝液A 100 μl中で180分間インキュベートする。標準手法(Agius, L. et al, Biochem J. 266, 91-102 (1990))を用いて、グリコーゲン含量を測定する。この検定で用いる場合、化合物無しの検定からの結果と比較してグリコーゲン含量の有意の増大を生じる化合物は、この検定において活性を有するとみなされる。
【0229】
グルコキナーゼ活性検定(III)
INS-1E細胞におけるグルコキナーゼ活性化剤によるインスリン分泌の刺激
グルコース応答性β細胞株INS-1Eを、Asfari M et al., Endocrinology, 130, 167-178 (1992)に記載されたように培養する。次に細胞を96ウエル細胞培養プレート中に播種して、約5×104個/ウエルの密度に増殖させる。例えば1、5、10、25、50または100 μMの濃度のグルコキナーゼ活性化化合物の付加を用いて、または用いずに、2.5〜15 mMのグルコース濃度でのクレブス・リンガー・Hepes緩衝液中で2時間のインキュベーションにより、グルコース依存性インスリン分泌の刺激を試験し、ELISA(n=4)によるインスリン濃度の測定のために上清を収集する。化合物無しの検定からの結果と比較してグルコースに応答するインスリン分泌の有意の増大を示す化合物は、この検定において活性を有するとみなされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グルコキナーゼにより媒介される疾患または医学的症状の治療に用いるための薬剤の調製における、式I:
【化1】

(式中、Bは、直接結合または-O-であり;
1は、C1-6-アルキル、C1-4-アルコキシ-C1-4-アルキル、C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキル-C1-4-アルキルまたはC3-7-シクロアルキル-オキシ-C1-4-アルキルであって、これらは各々、R3から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換され;
3は、ヒドロキシ、-CF3、メチルまたはFから独立して選択され;、
Xは、-O-Z-またはO-Z-O-Z-から独立して選択されるリンカーであって、ここで、Oはフェニル環と結合され;
Zは、各々独立して、直接結合、C2-6-アルケニレンおよび-(CH2p-C(R102-(CH2q-から選択され;
Yは、アリール-Z1、5〜10員ヘテロシクリル-Z1-(ここで、ヘテロシクリルは炭素原子、ならびにO、NおよびS(O)tから選択される1〜4個の異種原子からなる)、C3-7-シクロアルキル-Z1、C1-6-アルキル、C2-6-アルケニル、C2-6-アルキニル、-(CH21-4-CH2F、-(CH21-4CHF2、-(CH21-4CF3、-CH(OH)CH2F、-CH(OH)CHF2および-CH(OH)CF3から選択され、この場合、Yは各々、R4から独立して選択される1〜3個の置換基で任意に置換され;
1は、独立して、直接結合、C2-6-アルケニレンおよび-(CH2p-C(R102-(CH2q-から選択され;
pは独立して、0、1、2および3から選択され;
qは独立して、0、1、2および3から選択され;
p+qは、0、1、2および3から選択され;
4は、独立して、R5-X1-、Cl、F、Br、I、CH2F、CHF2、CF3、シアノ、アミノ、C1-6-アルキル、-O-C1-6アルキル、カルボキシ、-C(O)OR7、ヒドロキシおよびフェニル(任意にC1-6アルキルまたは-C(O)OR7により置換される)から選択され、ここで、X1は上記Xと同様に定義され;
5は、H、C1-6-アルキル、CH2F、CHF2、CF3、フェニル、ナフチル、5〜10員ヘテロシクリル(炭素原子、ならびにO、NおよびS(O)tから選択される1〜4個の異種原子からなる)、およびC3-7シクロアルキルから選択され、この場合、R5は各々、R6から独立して選択される1つまたは複数の置換基により任意に置換され;
6は、独立して、Cl、F、Br、I、C1-6-アルキル、-OC1-6アルキル、CH2F、CHF2、CF3、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C(O)OHまたは-C(O)OC1-6アルキルから選択され;
7は、独立して、C1-8-アルキルおよびC3-8-シクロアルキルから選択され;
Aは、5〜10員ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、炭素原子、ならびにO、NおよびS(O)tから選択される1〜4個の異種原子からなる)(R8で置換される)であり;
8は、独立して、-(CH21-2-COOH(R9から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される)から選択され;
9は、独立して、C1-4-アルキル、ヒドロキシまたはFから選択され;
10は、独立して、H、Cl、F、Br、I、C1-6-アルキルおよび-C2-4-アルキル-O-C1-4アルキルから選択され、
tは、独立して、0、1および2から選択される)
で表される化合物またはその塩の使用。
【請求項2】
グルコキナーゼにより媒介される疾患または医学的症状の治療に用いるための薬剤の調製に用いるための請求項1記載の式Iの化合物を製薬上許容可能な希釈剤または担体を一緒に含む製剤調製物。
【請求項3】
式Ib:
【化2】

(式中、Bは、直接結合または-O-であり;
1は、C1-6-アルキル、C1-4-アルコキシ-C1-4-アルキル、C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキル-C1-4-アルキルまたはC3-7-シクロアルキル-オキシ-C1-4-アルキルであって、これらは各々、R3から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換され;
3は、ヒドロキシ、-CF3、メチルまたはFから独立して選択されるが;
但しY-X-はCH3-O-、C25-O-またはCH3C(O)-O-ではあり得ず;
Xは、-O-Z-またはO-Z-O-Z-から独立して選択されるリンカーであって、ここで、Oはフェニル環と結合され;
Zは、各々独立して、直接結合、C2-6-アルケニレンおよび-(CH2p-C(R102-(CH2q-から選択され;
Yは、アリール-Z1、5〜10員ヘテロシクリル-Z1-(ここで、ヘテロシクリルは炭素原子、ならびにO、NおよびS(O)tから選択される1〜4個の異種原子からなる)、C3-7-シクロアルキル-Z1、C1-6-アルキル、C2-6-アルケニル、C2-6-アルキニル、-(CH21-4-CH2F、-(CH21-4CHF2、-(CH21-4CF3、-CH(OH)CH2F、-CH(OH)CHF2および-CH(OH)CF3から選択され、この場合、Yは各々、R4から独立して選択される1〜3個の置換基で任意に置換され;
1は、独立して、直接結合、C2-6-アルケニレンおよび-(CH2p-C(R102-(CH2q-から選択され;
pは独立して、0、1、2および3から選択され;
qは独立して、0、1、2および3から選択され;
p+qは、0、1、2および3から選択され;
4は、独立して、R5-X1-、Cl、F、Br、I、CH2F、CHF2、CF3、シアノ、アミノ、C1-6-アルキル、-O-C1-6アルキル、カルボキシ、-C(O)OR7、ヒドロキシおよびフェニル(任意にC1-6アルキルまたは-C(O)OR7により置換される)から選択され、ここで、X1は上記Xと同様に定義され;
5は、H、C1-6-アルキル、CH2F、CHF2、CF3、フェニル、ナフチル、5〜10員ヘテロシクリル(炭素原子、ならびにO、NおよびS(O)tから選択される1〜4個の異種原子からなる)、およびC3-7シクロアルキルから選択され、この場合、R5は各々、R6から独立して選択される1つまたは複数の置換基により任意に置換され;
6は、独立して、Cl、F、Br、I、C1-6-アルキル、-OC1-6アルキル、CH2F、CHF2、CF3、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、C(O)OHまたは-C(O)OC1-6アルキルから選択され;
7は、独立して、C1-8-アルキルおよびC3-8-シクロアルキルから選択され;
Aは、5〜10員ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、炭素原子、ならびにO、NおよびS(O)tから選択される1〜4個の異種原子からなる)(R8で置換される)であり;
8は、独立して、-(CH21-2-COOH(R9から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される)から選択され;
9は、独立して、C1-4-アルキル、ヒドロキシまたはFから選択され;
10は、独立して、H、Cl、F、Br、I、C1-6-アルキルおよび-C2-4-アルキル-O-C1-4アルキルから選択され、
tは、独立して、0、1および2から選択される)
で表される化合物またはその塩。
【請求項4】
Bが直接結合である請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
Bが-O-である請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
1がC1-6-アルキルまたはC1-4-アルコキシ-C1-4-アルキルであって、これらが各々、R3から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
1がメチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピル(これらは各々、R3から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される)、または-CH2(R3)-C1-5-アルキルである請求項6記載の化合物。
【請求項8】
1がメチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピルであって、これらが各々、R3から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される請求項7記載の化合物。
【請求項9】
1が-CH2(R3)-C1-5-アルキルである請求項7記載の化合物。
【請求項10】
1が-CH2-C1-4-アルコキシまたは-CH2-CH2-C1-4-アルコキシである請求項6記載の化合物。
【請求項11】
1が-CH2-O-CH3、-CH2-O-CH2-CH3、-CH2-CH2-O-CH3または-CH2-CH2-O-CH2-CH3である請求項10記載の化合物。
【請求項12】
1が-CH2-CH2-O-CH3である請求項11記載の化合物。
【請求項13】
1がC3-7シクロアルキル、C3-7シクロアルキル-C1-4-アルキルまたはC3-7シクロアルキル-オキシ-C1-4-アルキルであって、この各々がR3から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
1がC3-7シクロアルキルまたはC3-7シクロアルキル-C1-4-アルキルであって、この各々がR3から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される請求項13記載の化合物。
【請求項15】
3が-CF3、メチルまたはFである請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
3が-CF3である請求項15記載の化合物。
【請求項17】
3がメチルである請求項15記載の化合物。
【請求項18】
3がFである請求項15記載の化合物。
【請求項19】
Xが-O-Z-である請求項1〜18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
XがO-Z-O-Zである請求項1〜18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
Zが直接結合または-(CH2p-C(R102-(CH2q-である請求項1〜20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
Zが直接結合である請求項21記載の化合物。
【請求項23】
Zが-(CH2p-C(R102-(CH2q-である請求項21記載の化合物。
【請求項24】
10がCH3である請求項1〜23のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項25】
10がHである請求項1〜23のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項26】
Yがフェニル-Z1、ナフチル-Z1、5〜10員ヘテロシクリル-Z1-(ここで、ヘテロシクリルは炭素原子、ならびにO、NおよびS(O)tから選択される1〜4個の異種原子からなる)、またはC3-7-シクロアルキル-Z1であって、Yが各々、R4から独立して選択される1〜3個の置換基で任意に置換される請求項1〜25のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項27】
Yがフェニル-Z1、5〜10員ヘテロシクリル-Z1-(ここで、ヘテロシクリルは炭素原子、ならびにO、NおよびS(O)tから選択される1〜4個の異種原子からなる)、またはC3-7-シクロアルキル-Z1であって、Yが各々、R4から独立して選択される1〜3個の置換基で任意に置換される請求項26記載の化合物。
【請求項28】
Yがフェニル-Z1(R4から独立して選択される1〜3個の置換基で任意に置換される)である請求項27記載の化合物。
【請求項29】
1が直接結合または-(CH2p-C(R102-(CH2q-である請求項1〜28のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項30】
1が直接結合である請求項29記載の化合物。
【請求項31】
10がCH3である請求項26〜30のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項32】
10がHである請求項26〜30のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項33】
pおよびqがともに0である請求項1〜32のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項34】
4が独立してR5-X1-、Cl、Fまたは-O-C1-6アルキルである請求項1〜33のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項35】
4が独立してCl、F、メトキシまたはエトキシから選択される請求項34記載の化合物。
【請求項36】
4がメトキシである請求項35記載の化合物。
【請求項37】
4がR5-X1-である請求項34記載の化合物。
【請求項38】
1がOである請求項1〜37のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項39】
5がC1-6アルキル、CH2F、CHF2またはCF3であり、R5が各々、R6から独立して選択される1つまたは複数の置換基により任意に置換される請求項1〜38のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項40】
5がメチル、エチルまたはプロピルである請求項39記載の化合物。
【請求項41】
6がCl、Fまたはメチルである請求項1〜40のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項42】
7がC1-8-アルキルである請求項1〜41のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項43】
7がメチル、エチルまたはプロピルである請求項42記載の化合物。
【請求項44】
tが0である請求項1〜43のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項45】
Aがチアゾリル、1,2,4-チアジアゾリルまたは1,3,4-チアジアゾリル(R8で置換される)である請求項1〜44のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項46】
Aが、
【化3】

である請求項45記載の化合物。
【請求項47】
Aが、
【化4】

である請求項46記載の化合物。
【請求項48】
Aが、
【化5】

である請求項47記載の化合物。
【請求項49】
Aが、
【化6】

である請求項47記載の化合物。
【請求項50】
8が、-CH2COOH(R9から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される)である請求項1〜49のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項51】
8が-(CH22-COOH(R9から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される)である請求項1〜49のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項52】
9がメチルである請求項1〜51のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項53】
式Ic:
【化7】

(式中、Bは、直接結合または-O-であり;
1は、C1-6-アルキル、C1-4-アルコキシ-C1-4-アルキル、C3-7-シクロアルキル、C3-7-シクロアルキル-C1-4-アルキルまたはC3-7-シクロアルキル-オキシ-C1-4-アルキルであって、これらは各々、R3から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換され;
3は、ヒドロキシ、-CF3、メチルまたはFから独立して選択され;
Yは、-CH3または-C25から選択され;
Aは、5〜10員ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは炭素原子、ならびにO、NおよびS(O)tから選択される1〜4個の異種原子からなる)(R8で置換される)であり;
1は、独立して、直接結合、C2-6-アルケニレンおよび-(CH2p-C(R102-(CH2q-から選択され;
pは独立して、0、1、2および3から選択され;
qは独立して、0、1、2および3から選択され;
p+qは、0、1、2および3から選択され;
8は、独立して、-(CH21-2-COOH(R9から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される)から選択され;
9は、独立して、C1-4-アルキル、ヒドロキシまたはFから選択され;
10は、独立して、H、Cl、F、Br、I、C1-6-アルキルおよび-C2-4-アルキル-O-C1-4アルキルから選択され、
tは、独立して、0、1および2から選択される)
で表される化合物またはその塩。
【請求項54】
Bが直接結合である請求項53記載の化合物。
【請求項55】
Bが-O-である請求項53記載の化合物。
【請求項56】
1がC1-6-アルキルまたはC1-4-アルコキシ-C1-4-アルキルであって、これらが各々、R3から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される請求項53〜55のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項57】
1がメチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピル(これらは各々、R3から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される)、または-CH2(R3)-C1-5-アルキルである請求項56記載の化合物。
【請求項58】
1がメチル、エチル、n-プロピルまたはイソプロピルであって、これらが各々、R3から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される請求項57記載の化合物。
【請求項59】
1が-CH2(R3)-C1-5-アルキルである請求項57記載の化合物。
【請求項60】
1が-CH2-C1-4-アルコキシまたは-CH2-CH2-C1-4-アルコキシである請求項56記載の化合物。
【請求項61】
1が-CH2-O-CH3、-CH2-O-CH2-CH3、-CH2-CH2-O-CH3または-CH2-CH2-O-CH2-CH3である請求項60記載の化合物。
【請求項62】
1が-CH2-CH2-O-CH3である請求項61記載の化合物。
【請求項63】
1がC3-7シクロアルキル、C3-7シクロアルキル-C1-4-アルキルまたはC3-7シクロアルキル-オキシ-C1-4-アルキルであって、この各々がR3から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される請求項53〜55のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項64】
1がC3-7シクロアルキルまたはC3-7シクロアルキル-C1-4-アルキルであって、この各々がR3から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される請求項63記載の化合物。
【請求項65】
3が-CF3、メチルまたはFである請求項53〜64のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項66】
3が-CF3である請求項65記載の化合物。
【請求項67】
3がメチルである請求項65記載の化合物。
【請求項68】
3がFである請求項65記載の化合物。
【請求項69】
Yが-CH3である請求項53〜68のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項70】
Yが-C25である請求項53〜68のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項71】
tが0である請求項53〜70のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項72】
Aがチアゾリル、1,2,4-チアジアゾリルまたは1,3,4-チアジアゾリル(R8で置換される)である請求項53〜71のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項73】
Aが、
【化8】

である請求項72記載の化合物。
【請求項74】
Aが、
【化9】

である請求項73記載の化合物。
【請求項75】
Aが、
【化10】

である請求項74記載の化合物。
【請求項76】
Aが、
【化11】

である請求項74記載の化合物。
【請求項77】
8が、-CH2COOH(R9から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される)である請求項53〜76のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項78】
8が-(CH22-COOH(R9から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換される)である請求項53〜76のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項79】
9がメチルである請求項53〜78のいずれか一項に記載の化合物。

【公表番号】特表2009−535319(P2009−535319A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−507093(P2009−507093)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054173
【国際公開番号】WO2007/125105
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(507036832)トランステック ファーマ,インコーポレイティド (11)
【Fターム(参考)】