説明

ベンズイミダゾロンカルボン酸誘導体

【課題】5−HT4受容体活性に媒介される疾患治療用薬剤製造のための化合物の提供。
【解決手段】式(1)で示される化合物


及びその薬学的に許容される塩及び溶媒和物、並びに、それらを含有する医薬組成物であって、胃食道逆流性疾患、胃腸疾患、胃運動性障害、非潰瘍性消化不良、機能性消化不良、過敏性腸症候群(IBS)、便秘等の治療に有用である。式中、AはC1〜4のアルキレン基等を示し、R1はイソプロピル基又はシクロペンチル基を、R2はH、ハロゲン原子等を、R3はアルボキシ基、テトラゾリル基等を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はベンズイミダゾロンカルボン酸誘導体に関する。これらの化合物は選択的な5−HT受容体アゴニスト作用を有する。また本発明は5−HT受容体活性化作用によって媒介されうる疾患の治療のための前期誘導体を含む医薬、治療方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、5−HT受容体アゴニストは、様々な疾患の治療に有用であることが知られており、そのような疾患としては、胃食道逆流性疾患、胃腸疾患、胃運動性障害、非潰瘍性消化不良、機能性消化不良、過敏性腸症候群(IBS)、便秘、消化不良、食道炎、胃食道炎症、悪心、中枢神経系疾患、アルツハイマー病、認識障害、嘔吐、片頭痛、神経疾患、鎮痛、循環器疾患、心不全、心不整脈(heart arrhythmia)、糖尿病及び無呼吸症候群などがある。(TiPs, 1992, 13, 141; Ford A. P. D. W. et al., Med. Res. Rev., 1993, 13, 633; Gullikson G. W. et al., Drug Dev. Res.,1992, 26, 405; Richard M. Eglen et al, TiPS, 1995, 16, 391; Bockaert J. Et al., CNS Drugs, 1, 6; Romanelli M. N. et al., Arzheim Forsch./Drug Res., 1993, 43, 913; Kaumann A. et al., Naunyn−Schmiedeberg’s. 1991, 344, 150;及び Romanelli M. N. et al., Arzheim Forsch. /Drug Res., 1993, 43, 913を参照のこと。)
WO94/00449には、5−HTのアゴニスト又はアンタゴニスト、及び/又は、5−HTアンタゴニストとしてベンズイミダゾロン化合物が開示されており、特に次式の化合物が実施例10として開示されている。
【0003】
【化1】

良い医薬候補である新規5−HTアゴニストを提供する必要があり、特に、好ましい化合物は他の受容体に対しては低い親和性を示しつつ5−HT受容体に対して強く結合し、アゴニストとしての機能活性を示すことが望まれる。そのような化合物は腸管からよく吸収され、代謝的に安定であり、また、薬物動態上好ましい性質を有することが望まれる。中枢神経系上の受容体が標的である場合には血液脳関門を自由に透過する必要があり、末梢神経系が標的である場合には血液脳関門を透過しないことが望まれる。これらの化合物は毒性がなく、副作用をほとんどもたないことが望まれる。さらに、理想的な医薬候補は安定で非吸湿性で容易に製剤化できる物理的な形態に存することが望ましい。
【発明の開示】
【0004】
≪発明の要約≫
本発明により、(1)キヌクリジン環をピペリジン/ピロリジン環で置き換えることによって5−HT受容体に対する親和性が改善されること、及び/又は(2)カルボキシ部分の導入によってQT延長効果をもたらすドフェチリドに対する親和性が低下することが明らかとなった。
従って、本発明が先行技術と比較した場合、より強い選択的な5−HTアゴニスト活性及び/又は改善されたドフェチリド親和性を有すること、従って5−HT活性が媒体する疾患、例えば、胃食道逆流性疾患、胃腸疾患、胃運動性障害、非潰瘍性消化不良、機能性消化不良、過敏性腸症候群(IBS)、便秘、消化不良、食道炎、胃食道炎症、悪心、中枢神経系疾患、アルツハイマー病、認識障害、嘔吐、片頭痛、神経疾患、鎮痛、循環器疾患、心不全、心不整脈(heart arrhythmia)、糖尿病及び無呼吸症候群(特にオピオイドの投与によるもの)に対する治療に有用であることが驚くことに明らかとなった。
【0005】
本発明は、下記一般式(I)の化合物;
【0006】
【化2】

(上記式中、
Aは無置換又は1から4置換の炭素数1から4のアルキレン基(置換基は独立に、ハロゲン原子、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のヒドロキシ−アルキル基、炭素数2から6のアルコキシ−アルキル基からなる群から選択される。また、これらの置換基のうち2つは任意に架橋して3から6員環を形成しても良い。)を示し;
はイソプロピル基又はシクロペンチル基を示し;
は水素原子、ハロゲン原子又は水酸基を示し;
はカルボキシ基、テトラゾリル基、5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾールー3−イル基又は5−オキソ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル基を示し;
mは整数1又は2を示す。)
又はその薬学的に許容される塩又は溶媒和物を提供する。
【0007】
本発明は5−HT受容体活性に媒介される疾患治療用薬剤製造のための一般式(I)の化合物、その薬学上許容される塩又は溶媒和物の使用も提供する。
【0008】
好ましくは、本発明は胃食道逆流性疾患、胃腸疾患、胃運動性障害、非潰瘍性消化不良、機能性消化不良、過敏性腸症候群(IBS)、便秘、消化不良、食道炎、胃食道炎症、悪心、中枢神経系疾患、アルツハイマー病、認識障害、嘔吐、片頭痛、神経疾患、鎮痛、循環器疾患、心不全、心不整脈(heart arrhythmia)、糖尿病及び無呼吸症候群から選択される疾患の治療用薬剤製造のための一般式(I)の化合物、その薬学上許容される塩又は溶媒和物の使用も提供する。
【0009】
本発明はまた、一般式(I)の化合物、その薬剤学上許容される塩又は溶媒和物、及び、当該化合物に対する薬学上許容されるキャリアーを含有する医薬組成物を提供する。
【0010】
更に本発明は、哺乳類患者における5−HT受容体活性に媒介される疾患の治療方法であって、治療上有効な量の一般式(I)の化合物、その薬学上許容される塩又は溶媒和物を、そのような治療を必要とする哺乳類に投与することを含む治療方法を提供する。
【0011】
好ましくは、本発明は、胃食道逆流性疾患、胃腸疾患、胃運動性障害、非潰瘍性消化不良、機能性消化不良、過敏性腸症候群(IBS)、便秘、消化不良、食道炎、胃食道炎症、悪心、中枢神経系疾患、アルツハイマー病、認識障害、嘔吐、片頭痛、神経疾患、鎮痛、循環器疾患、心不全、心不整脈(heart arrhythmia)、糖尿病及び無呼吸症候群から選択される疾患の治療方法を提供する。
【0012】
本発明の化合物はより弱い毒性、良い吸収、分布、良い可溶性、より弱い蛋白結合性、より弱い薬物−薬物相互作用及び良い代謝安定性を示し得る。
【0013】
≪発明の詳細な説明≫
【0014】
本発明の化合物においては;
【0015】
Aにおける置換基が炭素数1から4のアルキル基である場合は、そのような基は直鎖又は分岐鎖の基であり得、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、及び、tert−ブチルである。これらのうち、好ましい基は炭素数1から3のアルキル基であり、好ましくは、メチル、エチル、プロピル及びイソプロピルであり、最も好ましくはメチル及びエチルである。
【0016】
Aが炭素数1から4のアルキレン基である場合、そのような基は直鎖の基であり得、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、及び、テトラメチレンである。これらのうち、好ましくはメチレン及びエチレンであり、最も好ましくはエチレンである。
【0017】
Aにおける置換基が炭素数1から4のヒドロキシ−アルキル基である場合、そのような基は直鎖又は分岐鎖であり得、例えばヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシ−2−メチルプロピル、及び、3−ヒドロキシ−1−メチルプロピルである。これらのうち、好ましくは、炭素数が1から3のアルキルであり、好ましくはヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピルであり、最も好ましくはヒドロキシメチル及び2−ヒドロキシエチルである。
【0018】
Aにおける置換基が炭素数2から6のアルコキシ−アルキル基である場合、そのような基は直鎖又は分岐鎖であり得、例えば、メトキシメチル、エトキシメチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、1−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、3−エトキシプロピル、2−メトキシプロピル、2−メトキシ−1−メチルエチル、4−メトキシブチル、4−エトキシブチル、3−メトキシブチル、2−メトキシブチル、3−メトキシ−2−メチルプロピル、及び、3−メトキシ−1−メチルプロピルである。これらのうち好ましくは、炭素数2から4のアルキルであり、好ましくは、メトキシメチル、2−メトキシエチル、及び、3−メトキシプロピルであり、最も好ましくは、2−メトキシエチル及び3−メトキシプロピルである。
【0019】
Aにおける置換基2つが架橋して3から6員環を形成する場合、そのような基はシクロアルキル又はヘテロシクリル基であり得、例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロブチル、シクロヘキシル、メチルシクロプロピル、エチルシクロプロピル、メチルシクロプロピル、エチルシクロプロピル、メチルシクロブチル、メチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ヒドロキシシクロプロピル、ヒドロキシシクロブチル、ヒドロキシシクロペンチル、ヒドロキシシクロヘキシル、メトキシシクロプロピル、メトキシシクロブチル、メトキシシクロペンチル、メトキシシクロヘキシル、テトラヒドロフラニル、及び、テトラヒドロピラニルであり、好ましくは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、及び、テトラヒドロピラニルであり、最も好ましくはシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及び、テトラヒドロピラニルである。
【0020】
及びAの置換基がハロゲン原子である場合、そのような基としてはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子があり得る。これらのうち好ましくは、フッ素及び塩素原子である。
【0021】
本明細書中用語「治療する」(treating)は、かかる用語が適用される疾患や状態、又は、そのような疾患や状態の1つ又はそれ以上の徴候を、反転し、緩和し、進行を阻害し、あるいは、予防することを意味する。本明細書中の用語「治療」(treatment)は、治療する行為を意味し、ここでの「治療する」は前記定義のとおりである。
【0022】
本発明における好ましい化合物のクラスは、一般式(I)の化合物、その薬学上許容される塩又は溶媒和物において、
(A)Rがイソプロピル基である;
(B)Rが水素原子、フッ素原子、又は水酸基である;
(C)Rが水素原子である;
(D)Rがカルボキシ基又はテトラゾリル基である;
(E)Rがカルボキシ基である;
【0023】
(F)Aが無置換又は1から2置換の炭素数1から2のアルキレン基(置換基は独立に、ハロゲン原子、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のヒドロキシ−アルキル基、炭素数2から6のアルコキシ−アルキル基からなる群から選択される。また、これらの置換基のうち2つは任意に架橋して3から6員環を形成しても良い。)である;
【0024】
(G)Aがジェミナルに2置換された炭素数1から2のアルキレン基(置換基は独立に、ハロゲン原子、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のヒドロキシ−アルキル基、炭素数2から6のアルコキシ−アルキル基からなる群から選択される。また、これらの置換基のうち2つは任意に架橋して3から6員環を形成しても良い。)である;
【0025】
(H)Aが以下の基
【化3】

である;
【0026】
(I)Aが以下の基
【化4】

である;
【0027】
(J)mが整数2である
ものである。
【0028】
本発明の特に好ましい化合物は、一般式(I)の化合物、その薬学上許容される塩又は溶媒和物であって、
【0029】
(K)Rがイソプロピル基であり、Rが水素原子、フッ素原子、又は、水酸基であり、Rがカルボキシ基又はテトラゾリル基であり、Aが無置換又は1から2置換の炭素数1から2のアルキレン基(置換基は独立に、ハロゲン原子、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のヒドロキシ−アルキル基、炭素数2から6のアルコキシ−アルキル基からなる群から選択される。また、これらの置換基のうち2つは任意に架橋して3から6員環を形成しても良い。)であり、mが整数2である;
【0030】
(L)Rがイソプロピル基であり、Rが水素原子であり、Rがカルボキシ基又はテトラゾリル基であり、Aがジェミナルに2置換された炭素数1から2のアルキレン基(置換基は独立に、ハロゲン原子、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のヒドロキシ−アルキル基、炭素数2から6のアルコキシ−アルキル基からなる群から選択される。また、これらの置換基のうち2つは任意に架橋して3から6員環を形成しても良い。)であり、mが整数2である;
【0031】
(M)Rがイソプロピル基であり、Rが水素原子であり、Rがカルボキシ基又はテトラゾリル基であり、Aが以下の基
【0032】
【化5】

であり、mが整数2である;
【0033】
(N)Rがイソプロピル基であり、Rが水素原子、フッ素原子又は水酸基であり、Rがカルボキシ基であり、Aが無置換又は1から2置換の炭素数1から2のアルキレン基(置換基は独立に、ハロゲン原子、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のヒドロキシ−アルキル基、炭素数2から6のアルコキシ−アルキル基からなる群から選択される。また、これらの置換基のうち2つは任意に架橋して3から6員環を形成しても良い。)であり、mが整数2である;
【0034】
(O)Rがイソプロピル基であり、Rが水素原子、フッ素原子又は水酸基であり、Rがカルボキシ基であり、Aが以下の基
【0035】
【化6】

であり、mが整数2である;
ものである。
【0036】
本発明において最も好ましい個別の化合物は、以下の化合物;
4−{[4−({[(3−イソプロピル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン−1−イル]メチル}テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボン酸;
1−{[4−({[(3−イソプロピル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン−1−イル]メチル}シクロヘキサンカルボン酸;
1−{[4−({[(3−イソプロピル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン−1−イル]メチル}シクロペンタンカルボン酸;
1−{[4−({[(3−イソプロピル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン−1−イル]メチル}シクロプロパンカルボン酸;
1−{[4−ヒドロキシ−4−({[(3−イソプロピル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン−1−イル]メチル}シクロヘキサンカルボン酸;及び
1−{[4−({[(3−イソプロピル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン−1−イル]メチル}シクロブタンカルボン酸
である。
【0037】
一般式(I)の化合物の薬学上許容される塩には、酸付加塩及び塩基塩(2塩を含む)が含まれる。
【0038】
用いられる酸付加塩は、非毒性の塩を形成する酸から生成される。例としては、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシレート、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カムシレート、クエン酸塩、エジシレート、エシレート、蟻酸塩、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルクロネート、ヘキサフルオロフォスフェート、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチルスルフェート、ナフチレート、2−ナプシレート、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロト酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、アルダル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、及び、トリフルオロ酢酸塩を挙げることができる。
【0039】
用いられる塩基塩は非毒性の塩を形成する塩基から生成される。例としては、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオールアミン、グリシン、リシン、マグネシウム、メグルミン、オラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミン、及び、亜鉛の塩を挙げることができる。
【0040】
用いられる塩についての総説については、“Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use” by Stahl and Wermuth (Wiley−VCH, Weinheim, Germany, 2002).を参照のこと。
【0041】
一般式(I)の化合物の薬学上許容される塩は、一般式(I)の化合物溶液と所望の酸又は塩基を適宜混合することによって容易に得られる。塩は、溶液から沈殿後ろ過によって得ることもでき、また、溶液を蒸発させることにより得ることもできる。塩中のイオン化の程度は完全なイオン化からほとんどイオン化していないものまでさまざまである。
【0042】
本発明の化合物は、非溶媒和物及び溶媒和物どちらの状態でも存在しえる。本明細書中の用語「溶媒和物」は、本発明の化合物及び1つ以上の薬学上許容される溶媒分子、例えば、エタノール、を包含する分子複合体を指す。用語「水和物」は当該溶媒が水である場合に用いられる。
【0043】
本発明において薬学上許容される溶媒和物には、結晶化に用いる溶媒が同位元素で置換されているもの(例えば、DO、d−DMSO)である水和物及び溶媒和物が含まれる。
【0044】
本発明の範囲には、前記溶媒和物とは対照的に、薬物とホストが化学量論的量において、又はそうでない量において存在する、クラスレート、薬物−ホスト包接複合体などの複合他が含まれる。また、化学量論的量において又は化学量論的量ではない量において2又はそれ以上の有機成分及び/又は無機成分を含む薬物の複合体も含まれる。生成される複合体はイオン化されていても、一部イオン化されていても、又は、イオン化されていなくてもよい。そのような複合体についての総説は、J Pharm Sci, 64 (8), 1269−1288 by Haleblian (August 1975)を参照のこと。
【0045】
以下、一般式(I)という場合には、その塩、溶媒和物、及び、複合体、並びに、塩の溶媒和物及び複合体を包含する。
【0046】
本発明の前記定義された一般式(I)の化合物には、後述のその多形、プロドラッグ、及び、異性体(光学、幾何、及び、互変異性体を含む)、並びに、同位体で標識された一般式(I)の化合物も含まれる。
【0047】
上述のとおり、本発明には前記定義の一般式(I)の化合物の全ての多形が含まれる。
【0048】
本発明の範囲にはまた、一般式(I)の化合物のいわゆる「プロドラッグ」も含まれる。このように、一般式(I)の化合物の特定の誘導体は、それ自体では全く又はほとんど薬理学上の活性を有さないが、身体内又は外に投与後、例えば加水分解によって、所望の活性を有する一般式(I)の化合物に変換されうる。そのような誘導体は「プロドラッグ」と表される。プロドラッグの使用についての詳しい情報はPro−drugs as Novel Delivery Systems, Vol. 14, ACS Symposium Series (T Higuchi and W Stella)、及び、「Bioreversible Carriers in Drug Design」, Pergamon Press, 1987 (ed. E B Roche, American Pharmaceutical Association)を参照のこと。
【0049】
本発明におけるプロドラッグは、例えば、一般式(I)の化合物に存する適切な官能基を、当業者に「プロモイエティ」として知られる(例えば、“Design of Prodrugs” by H Bundgaard (Elsevier, 1985)に記載されている)部分と置換することによって得ることができる。本発明のプロドラッグの例には以下のもの:
【0050】
(i)一般式(I)の化合物がカルボン酸官能基(−COOH)を持つ場合、そのエステル、例えば、水素の(C1−C8)アルキルとの置換;
(ii)一般式(I)の化合物がアルコール官能基(−OH)を持つ場合、そのエーテル、例えば、水素の(C1−C6)アルカノイルオキシメチルとの置換;及び、
(iii)一般式(I)の化合物が一級又は二級アミノ官能基(−NH2又は−NHR、RはH以外)を持つ場合、そのアミド、例えば、1つ又は両方の水素の(C1−C10)アルカノイルとの置換
が含まれる。
【0051】
前述における置換基の更なる例、及び、他のプロドラッグタイプの例は前述した文献において見つけることができる。
【0052】
最後に、一般式(I)の化合物のうち特定のものは、それ自身で他の一般式(I)の化合物のプロドラッグとして存在し得る。
【0053】
一般式(I)の化合物で1以上の不斉炭素を有するものは、2以上の立体異性体として存在し得る。一般式(I)の化合物がアルケニル基又はアルケニレン基を含む場合は、シス/トランス(又はZ/E)異性体があり得る。一般式(I)の化合物が、例えば、ケト基又はオキシム基或いはアロマティック部分を有する場合、互変異異性(「互変異性」)が生じ得る。このことにより結果として1つの化合物が2種以上の異性を生じることがあり得る。
【0054】
本発明の範囲には、一般式(I)の化合物のあらゆる立体異性体、幾何異性体、及び、互変異形態が含まれ、1種以上の異性や、これらの1以上の混合物も含まれる。また、酸付加塩又は塩基塩で、カウンターイオンが光学的に活性である(例えば、D−酒石酸塩又はL−リシン)、或いは、ラセミである(例えば、DL−酒石酸塩又はDL−アルギニン)ものも含まれる。
【0055】
シス/トランス異性体は当業者の慣用の方法、例えば、クロマトグラフィー、及び、分別晶出によって分離することができる。
【0056】
個別のエナンチオマーを準備/分離する慣用の方法には、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、又は、ラセミ体(或いは塩又は誘導体のラセミ体)の例えばキラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた分割が含まれる。
【0057】
別法としては、ラセミ体(又はラセミ前駆体)を適切な光学活性化合物(例えば、アルコール、或いは、一般式(I)の化合物が酸又は塩基部分を含む場合には酒石酸又は1−フェニルエチルアミン)と反応させることもできる。生成したジアステレオ混合物はクロマトグラフィー及び/又は分別晶出によって分離し、その後、1又は両方のジアステレオマーを、当業者に周知の方法によって対応する光学的に純粋なエナンチオマーへと変換することができる。
【0058】
本発明のキラル化合物(及びそのキラル前駆体)は、0から50%のイソプロパノール(典型的には2から20%)及び0から5%のアルキルアミン(典型的には0.1%のジエチルアミン)を含む炭化水素(典型的にはヘプタン又はヘキサン)からなる移動層を伴った不斉樹脂上でのクロマトグラフィー(典型的にはHPLC)を用いて、鏡像異性的に富化された状態で得ることができる。溶出物の濃縮により、富化された混合物を得ることができる。
【0059】
立体異性の混合物は当業者に既知の慣用手段によって分離することができる。そのような例としては、“Stereochemistry of Organic Compounds” by E L Eliel (Wiley, New York, 1994)を参照のこと。
【0060】
本発明には、1以上の原子が、同一の原子番号を有するが、通常自然に見られる原子量又は質量数とは異なる原子量又は質量数を有する原子と置換されている、全ての薬学上許容される同位体で標識された一般式(I)の化合物が含まれる。
【0061】
本発明の化合物に含めるのに適切な同位体の例としては、水素(例えばH及びH)、炭素(例えば11C、13C及び14C)、塩素(例えば36Cl)、フッ素(例えば18F)ヨウ素(例えば123I及び125I)、窒素(例えば13N及び15N)、酸素(例えば15O、17O及び18O)、リン(例えば32P)、及び、イオウ(例えば35S)が挙げられる。
【0062】
同近体標識された一般式(I)の化合物、例えば放射性同位体を組み込んだもの)は、薬物及び/又は基質の組織分布を研究するのに有用である。放射性同位体のトリチウム(即ちH)及びカーボン14(即ち14C)はこの目的において、組み込みの容易さ及び検出方法の容易さという観点において特に有用である。
【0063】
より重い同位体(例えば重水素(即ちH))での置換により、代謝安定性が増すことによる、ある主の治療上の利点(例えばin vivoでの半減期が増加すること、又は、必要投与量が減少することを得ることができ、従って、場合によっては好ましい。
【0064】
陽子放出同位体(例えば11C、18F、15O及び13N)との置換はポジトロンエミッショントモグラフィー(PET)を用いた基質の受容体占有試験の研究に有用である。
【0065】
同位体標識された一般式(I)の化合物は、一般に、当業者に既知の慣用手段によって得られるか、非標識試薬の代わりに同位体標識試薬を用いて実施例及び参考例に記載された工程と同様の工程によって得ることができる。
【0066】
一般式(I)の化合物は全て下記の一般法、又は、実施例又は参考例に記載された特定の方法によってか、或いは、それらに対して通常行われる修正によって得ることができる。本発明には本発明の化合物についての1以上の製法、及び、そこで使用される全ての新規中間体も含まれる。
【0067】
≪一般合成法≫
本発明の化合物はこのタイプの化合物の製法としてよく知られた種々の方法によって製造されうるが、例えば次のA乃至G法によって得ることができる。
【0068】
下記A及びB法は一般式(I)の製造法を示すものである。
【0069】
特記された以外は、下記方法におけるR、R、R、m及びAは前述のとおりである。用語「保護基」は以下、水酸、カルボキシ、又は、アミノ保護基を意味し、そのような基はProtective Groups in Organic Synthesis edited by T. W. Greene et al. (John Wiley & Sons, 1999)に記載された典型的な水酸、カルボキシ、又は、アミノ保護基から選ばれる。下記一般合成法における出発物質は市販であるか、或いは、当業者慣用の方法(例えば、European Journal of Medicinal Chemistry, 12(1), 87−91; 1977及びその引用文献)に従って得ることができる。
【0070】
[A法]
本法では一般式(I)の製造法を示す。
【化7】

【0071】
(式中、R3aは前述のRか、又は、式−COOR(式中、Rはカルボキシ保護基を表す。)
【0072】
In the above formula, R3a represents R defined as above or a group of formula −COOR, wherein R represents a carboxy−protecting group.
【0073】
用語「カルボキシ保護基」は以下、水素化分解、加水分解、電気分解又は光分解のような科学的方法によりにより開裂し得る保護基を意味し、そのようなカルボキシ保護基はProtective Groups in Organic Synthesis edited by T. W. Greene et al. (John Wiley & Sons, 1999)記載されている。典型的なカルボキシ保護基には、メチル、エチル、t−ブチル、メトキシメチル、2,2,2−トリクロロエチル、ベンジル、ジフェニルメチル、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル及びアリル(allyl)基が含まれる。これらのうち、好ましくはt−ブチル又はエチルである。
【0074】
(A1工程)
この工程では、目的とする一般式(I)の化合物が一般式(II)の化合物と一般式(III)の化合物を用いたカルボニル化によって得られる。
【0075】
反応は通常、好ましくは溶媒の存在下行われる。反応や試薬に影響せず、試薬を少なくともある程度溶解し得るものであれば溶媒の性質に特に制限はない。そのような溶媒の例には、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、及び、1,2ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、及び、ニトロベンゼンのような芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、及び、ジオキサンのようなエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、及び、N,N−ジメチルアセトアミドのようなアミド類が含まれる。これらのうち、好ましくは、ジクロロメタンである。
【0076】
用いられるカルボニル化試薬の性質には特に制限は無く、このタイプの反応に共通して使われるどのような試薬であっても同様に使用することができる。そのような試薬の例にはN,N‘−カルボニルジイミダゾール(CDI)のようなイミダゾール誘導体;トリクロロメチルクロロホルメート及び4−ニトロフェニルクロロホルメートのようなクロロホルメート;尿素;及びトリホスゲンが含まれる。これらのうち、好ましくは、4−ニトロフェニルクロロホルメートである。
【0077】
反応は、幅広い温度で行うことができ、正確な温度は本発明に必須ではない。好ましい反応温度は溶媒の性質、及び、出発物質の性質などにより異なる。しかしながら、一般には−78℃から120℃で反応を行うことが適している。反応時間も幅広く、多くの条件、特に反応温度、及び、使用する溶媒、により異なる。しかしながら、上記好ましい条件の場合には、5分から24時間で通常充分である。
【0078】
3aが式−COORで表される基である場合には、脱保護反応が続いて行われ、カルボキシ基が生成する。この反応の詳細は、T. W. Greene et al. [Protective Groups in Organic Synthesis, 369−453, (1999)]及びその引用文献に記載されている。以下は、保護基がt−ブチルである場合の典型的なものである。
【0079】
反応は通常、好ましくは溶媒の存在下行われる。反応や試薬に影響せず、試薬を少なくともある程度溶解し得るものであれば溶媒の性質に特に制限はない。そのような溶媒の例には、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、及び、1,2ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類;及び、ベンゼン、トルエン、及び、ニトロベンゼンのような芳香族炭化水素類が含まれる。これらのうち、好ましくはハロゲン化炭化水素類である。
【0080】
反応は酸の存在下行われる。用いられる酸の性質には特に制限は無く、このタイプの反応に共通して使われるどのような酸であっても同様に使用することができる。そのような酸の例には塩化水素酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸、又は、トリフルオロ酢酸のような酸が含まれる。これらのうち、好ましくはトリフルオロ酢酸である。
【0081】
反応はラジカルスカベンジャーの存在下行うこともできる。用いられるラジカルスカベンジャーの性質には特に制限は無く、このタイプの反応に共通して使われるどのようなラジカルスカベンジャーであっても同様に使用することができる。そのようなラジカルスカベンジャーの例には、HBr、ジメチルスルホオキシド、又は(CHCHSiHが含まれる。これらのうち、好ましくは(CHCHSiHである。
【0082】
反応は、幅広い温度で行うことができ、正確な温度は本発明に必須ではない。好ましい反応温度は溶媒の性質、及び、出発物質の性質などにより異なる。しかしながら、一般には0℃から100℃、より好ましくは0℃から50℃で反応を行うことが適している。反応時間も幅広く、多くの条件、特に反応温度、及び、使用する溶媒、により異なる。しかしながら、上記好ましい条件の場合には、5分から24時間、より好ましくは1時間から24時間で通常充分である。
【0083】
[B法]
本法では、目的とする一般式(I)の化合物製造のための別法を示す。
【化8】

【0084】
(式中、R3aは前述と同義を示し、Rはアミノ保護基を示し;Aは前述のAか、或いは、無置換又は1から4置換の炭素数1から3のアルキレン基(置換基は独立に、ハロゲン原子、炭素数1から4のアルキル基、シクロアルキル基、水酸基置換シクロアルキル基、アルコキシ置換シクロアルキル基、及び、ヘテロシクリル基から選択される。)を示し;Xはヨウ素、塩素、臭素のようなハロゲン原子を示す。)
【0085】
用語「アミノ保護基」は、以下、水素化分解、加水分解、電気分解又は光分解のような科学的方法によりにより開裂し得る保護基を意味し、そのようなアミノ保護基はProtective Groups in Organic Synthesis edited by T. W. Greene et al. (John Wiley & Sons, 1999)記載されている。典型的なアミノ保護基には、ベンジル、CO(C=O)−、CH(C=O)−、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、ベンジルオキシカルボニル、及び、t−ブトキシカルボニルが含まれる。これらのうち、好ましくはt−ブトキシカルボニルである。
(B1工程)
【0086】
本工程において、一般式(V)の化合物は、例えばA法と同様にして得られる一般式(IV)の化合物の脱保護によって得られる。この脱保護反応の詳細は、T. W. Greene et al. [Protective Groups in Organic Synthesis, 494−653, (1999)]及びその引用文献に記載されている。下記は保護基がt−ブトキシカルボニルである場合の典型的な方法である。
【0087】
反応は通常、好ましくは溶媒の存在下行われる。反応や試薬に影響せず、試薬を少なくともある程度溶解し得るものであれば溶媒の性質に特に制限はない。そのような溶媒の例には、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、及び、1,2ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類;及び、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール及びブタノールのようなアルコール類が含まれる。これらのうち、好ましくはアルコール類である。
【0088】
反応は過剰量の酸の存在下行われる。用いられる酸の性質には特に制限は無く、このタイプの反応に共通して使われるどのような酸であっても同様に使用することができる。そのような酸の例には塩化水素酸、又は、トリフルオロ酢酸のような酸が含まれる。これらのうち、好ましくはトリフルオロ酢酸である。
【0089】
反応は、幅広い温度で行うことができ、正確な温度は本発明に必須ではない。好ましい反応温度は溶媒の性質、及び、出発物質の性質などにより異なる。しかしながら、一般には0℃から100℃で反応を行うことが適している。反応時間も幅広く、多くの条件、特に反応温度、及び、使用する溶媒、により異なる。しかしながら、上記好ましい条件の場合には、5分から24時間で通常充分である。
(B2工程)
【0090】
本工程において、目的とする一般式(I)の化合物は、B1工程に従って得られる一般式(IV)の化合物と一般式(VI)の化合物とのカップリング反応(B1−a)か、又は、一般式(IV)の化合物と一般式(VII)の化合物の還元的アミノ化反応(B1−b)によって得られる。
【0091】
(B1−a)一般式(IV)の化合物とのカップリング反応
反応は通常、好ましくは溶媒の存在下行われる。反応や試薬に影響せず、試薬を少なくともある程度溶解し得るものであれば溶媒の性質に特に制限はない。そのような溶媒の例には、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、及び、1,2ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、及び、ジオキサンのようなエーテル類;N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロリジン、ピリジン、4−ピロリジノピリジン、及び、N,N−ジエチルアニリンのようなアミン類;及び、N,N−ジメチルホルムアルデヒド、及びN,N−ジメチルアセトアミドのようなアミド類が含まれる。これらのうち、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド又はN−メチルピロリジンである。
【0092】
反応は塩基の存在下行われる。用いられる塩基の性質には特に制限は無く、このタイプの反応に共通して使われるどのような塩基であっても同様に使用することができる。そのような塩基の例にはN−メチルモルホリン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルアミン、ピコリン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン、2,6−ジ(t−ブチル)−4−メチルピリジン、キノリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)のようなアミン類;水素化リチウム、水素化ナトリウム、及び、水素化カリウムのような水素化アルカリ金属類;及び、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドのようなアルカリ金属アルコキシドが含まれる。これらのうち、好ましくはジイソプロピルエチルアミンである。
【0093】
反応は、幅広い温度で行うことができ、正確な温度は本発明に必須ではない。好ましい反応温度は溶媒の性質、及び、出発物質の性質などにより異なる。しかしながら、一般には0℃から120℃で反応を行うことが適している。反応時間も幅広く、多くの条件、特に反応温度、及び、使用する溶媒、により異なる。しかしながら、上記好ましい条件の場合には、5分から48時間で通常充分である。
【0094】
(B1−b)還元的アミノ化反応
反応は通常、好ましくは溶媒の存在下行われる。反応や試薬に影響せず、試薬を少なくともある程度溶解し得るものであれば溶媒の性質に特に制限はない。そのような溶媒の例には、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、及び、1,2ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、及び、ジオキサンのようなエーテル類;メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール及びブタノールのようなアルコール類;及び、水が含まれる。これらのうち、好ましくはハロゲン化炭化水素類である。
【0095】
反応は、還元剤存在下行われる。用いられる還元剤の性質には特に制限は無く、このタイプの反応に共通して使われるどのような還元剤であっても同様に使用することができる。そのような還元剤の例には水素化ホウ素ナトリウム、ナトリウムシアノボロハイドライド、及び、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライドが含まれる。これらのうち、好ましくは、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライドである。反応に必要な還元剤の量は幅広く、多くの要因、特に反応温度や出発物質及び溶媒の性質により異なる。しかしながら、反応が好ましい条件下で行われる場合には、還元剤の量は出発物質に対して化学当量で1から3で通常充分である。
【0096】
反応は、幅広い温度で行うことができ、正確な温度は本発明に必須ではない。好ましい反応温度は溶媒の性質、及び、出発物質の性質などにより異なる。しかしながら、一般には−20℃から60℃で反応を行うことが適している。反応時間も幅広く、多くの条件、特に反応温度、及び、使用する溶媒、により異なる。しかしながら、上記好ましい条件の場合には、5分から24時間で通常充分である。
【0097】
3aが式−COORである場合には、その後脱保護反応を行い、カルボキシ基を得る。この反応はA法のA1工程と同様の条件で行われる。
【0098】
[C法]
本法では一般式(III)の化合物の製造法を示す。
【化9】

【0099】
(式中、R3aは前述と同義を示し;Rはアミノ保護基を示し;Aは前述と同義を示す。)
【0100】
(C1工程)
本工程では、一般式(IX)の化合物は一般式(VIII)の化合物のカップリング反応か、或いは、一般式(VIII)の化合物と一般式(VII)の化合物との還元的アミノ化によって得られる。反応はB法のB2工程と同様の条件で行われるが、但し、脱保護は不要である。
【0101】
(C2工程)
本工程では、一般式(III)の化合物が、C1工程により得られた一般式(IX)の化合物を脱保護することにより得られる。本工程はB法のB1工程と同様の条件で行われる。
【0102】
[D法]
本法では、R3aが式−COOR、かつ、Aが後述のAである一般式(IIIa)の化合物の製造法を示す。
【化10】

【0103】
(式中、R及びRは、前述と同義を示し;Rはt−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、トリエチルシリル又はトリメチルシリル(好ましくはトリメチルシリル)のようなシリル基を示し;RとRは独立してハロゲン原子、炭素数1から4のアルキル基、シクロアルキル基、水酸基置換シクロアルキル基、アルコキシ基置換シクロアルキル基、又は、ヘテロシクリル基を示し;Aは前述のA(但し、メチレン基、及び、置換メチレン基を除く)を示し;Yは炭素数1から4のアルコキシ基、イミダゾリル基、又は、フタルイミジル基を示す。)
【0104】
(D1工程)
本工程では、一般式(XI)の化合物が、パラホルムアルデヒドの存在下一般式(VII)の化合物と一般式(X)の化合物との縮合によって得られる。
【0105】
Yがアルコキシ基でない場合、反応は通常、好ましくは溶媒の存在下行われる。反応や試薬に影響せず、試薬を少なくともある程度溶解し得るものであれば溶媒の性質に特に制限はない。そのような溶媒の例には、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、及び、1,2ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類;及び、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール及びブタノールのようなアルコール類が含まれる。これらのうち、好ましくはジクロロメタン又はエタノールである。
【0106】
反応は、幅広い温度で行うことができ、正確な温度は本発明に必須ではない。好ましい反応温度は溶媒の性質、及び、出発物質の性質などにより異なる。しかしながら、一般には0℃から120℃で反応を行うことが適している。反応時間も幅広く、多くの条件、特に反応温度、及び、使用する溶媒、により異なる。しかしながら、上記好ましい条件の場合には、5分から48時間で通常充分である。
【0107】
(D2工程)
本工程では、一般式(IIIa)の化合物が、一般式(XI)の化合物と一般式(XII)の化合物とのマンニッヒ反応によって得られる
【0108】
反応は通常、好ましくは溶媒の存在下行われる。反応や試薬に影響せず、試薬を少なくともある程度溶解し得るものであれば溶媒の性質に特に制限はない。そのような溶媒の例には、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、及び、1,2ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、及び、ジオキサンのようなエーテル類;及び、アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類;ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及び、ヘキサメチルホスホリックトリアミドのようなアミド類が含まれる。これらのうち、好ましくはジクロロメタンである。
【0109】
反応は、ルイス酸の存在下行われる。用いられるルイス酸の性質には特に制限は無く、このタイプの反応に共通して使われるどのようなルイス酸であっても同様に使用することができる。そのようなルイス酸の例にはBF、AlCl、FeCl、AgCl、Fe(NO、CFSOSi(CH、Yb(CFSO及びSnClが含まれる。これらのうち、好ましくは、Yb(CFSO又はCFSOSi(CHである。
【0110】
反応は、幅広い温度で行うことができ、正確な温度は本発明に必須ではない。好ましい反応温度は溶媒の性質、及び、出発物質の性質などにより異なる。しかしながら、一般には−20℃から100℃で反応を行うことが適している。反応時間も幅広く、多くの条件、特に反応温度、及び、使用する溶媒、により異なる。しかしながら、上記好ましい条件の場合には、5分から24時間で通常充分である。
【0111】
[E法]
本法では、Rが水素原子、AがAである一般式(III)の化合物の製造法を示す。
【化11】

【0112】
(式中、R3aは前述と同義を示し;RとR’の各々は、炭素数1から4のアルキル基(好ましくは、メチル基)、又はベンジルやフェネチル基(好ましくは、ベンジル基)のようなアラルキル基を示し;Aは前述と同義であり;Aは前述と同義である。)
【0113】
(E1工程)
本工程において、一般式(XIV)の化合物は、一般式(XIII)の化合物のシアノ基を還元することにより得られる。
【0114】
反応は通常、好ましくは溶媒の存在下行われる。反応や試薬に影響せず、試薬を少なくともある程度溶解し得るものであれば溶媒の性質に特に制限はない。そのような溶媒の例には、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、及び、ジオキサンのようなエーテル類;ベンゼン、トルエン、ニトロベンゼンのような芳香族炭化水素類;及び、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、及び、ブタノールのようなアルコール類が含まれる。これらのうち、好ましくはメタノールである。
【0115】
反応は、還元剤存在下行われる。用いられる還元剤の性質には特に制限は無く、このタイプの反応に共通して使われるどのような還元剤であっても同様に使用することができる。そのような還元剤の例には水素化ホウ素ナトリウム、ナトリウムシアノボロハイドライド、及び、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライドのようなホウ素水素化金属類;パラジウム−炭素、白金、ラネーニッケルのような水素ガスと触媒の組み合わせ;及び、リチウムアルミニウムハイドライド、水素ホウ素化ナトリウム、及び、リチウムジイソプロピルハイドライドのような水素化化合物類;が含まれる。これらのうち、好ましくは、ラネーニッケルである。
【0116】
反応は、幅広い温度で行うことができ、正確な温度は本発明に必須ではない。好ましい反応温度は溶媒の性質、及び、出発物質の性質などにより異なる。しかしながら、一般には−20℃から100℃で反応を行うことが適している。反応時間も幅広く、多くの条件、特に反応温度、及び、使用する溶媒、により異なる。しかしながら、上記好ましい条件の場合には、5分から24時間で通常充分である。
【0117】
(E2工程)
本工程において、一般式(XVI)の化合物は、一般式(XIV)の化合物の環形成により得られる。
【0118】
反応は通常、好ましくは溶媒の存在下行われる。反応や試薬に影響せず、試薬を少なくともある程度溶解し得るものであれば溶媒の性質に特に制限はない。そのような溶媒の例には、水;及び、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、及び、ブタノールのようなアルコール類が含まれる。これらのうち、好ましくは水及びエタノールの今後混合溶媒である。
【0119】
反応は塩基の存在下行われる。用いられる塩基の性質には特に制限は無く、このタイプの反応に共通して使われるどのような塩基であっても同様に使用することができる。そのような塩基の例には水酸化アルカリ金属類;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド類;及び、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、及び、炭酸カリウムが含まれる。これらのうち、好ましくは炭酸カリウムである。
【0120】
反応は、幅広い温度で行うことができ、正確な温度は本発明に必須ではない。好ましい反応温度は溶媒の性質、及び、出発物質の性質などにより異なる。しかしながら、一般には0℃から120℃で反応を行うことが適している。反応時間も幅広く、多くの条件、特に反応温度、及び、使用する溶媒、により異なる。しかしながら、上記好ましい条件の場合には、5分から48時間で通常充分である。
【0121】
(E3工程)
本工程では、一般式(XVII)の化合物は、p−トルエンスルホニルイソシアニドの存在下、一般式(XVI)の化合物のカルボニル基をシアノ基へと変換することにより得られる。
【0122】
反応は通常、好ましくは溶媒の存在下行われる。反応や試薬に影響せず、試薬を少なくともある程度溶解し得るものであれば溶媒の性質に特に制限はない。そのような溶媒の例には、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、及び、ジオキサンのようなエーテル類;及び、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、及び、ブタノールのようなアルコール類が含まれる。これらのうち、好ましくはエチレングリコールジメチルエーテル及びエタノールの混合溶媒である。
【0123】
反応は塩基の存在下行われる。用いられる塩基の性質には特に制限は無く、このタイプの反応に共通して使われるどのような塩基であっても同様に使用することができる。そのような塩基の例にはナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド類が含まれる。これらのうち、好ましくはカリウムt−ブトキシドである。
【0124】
反応は、幅広い温度で行うことができ、正確な温度は本発明に必須ではない。好ましい反応温度は溶媒の性質、及び、出発物質の性質などにより異なる。しかしながら、一般には0℃から120℃で反応を行うことが適している。反応時間も幅広く、多くの条件、特に反応温度、及び、使用する溶媒、により異なる。しかしながら、上記好ましい条件の場合には、5分から24時間で通常充分である。
【0125】
(E4工程)
本工程において、一般式(IIIb)の化合物は、一般式(XVII)の化合物のシアノ基の還元により得られる。本反応は、E法のE1工程と同様にして行われる。
【0126】
【0127】
[F法]
本法では、Rがハロゲン原子である一般式(VIII)の化合物の製造法を示す。
【化12】

【0128】
(式中、R2aはハロゲン原子を示し;Rは前述と同義を示し;R10はアミノ保護基(好ましくはベンゾイル基)を示す。)
【0129】
(F1工程)
本工程において、一般式(XIX)の化合物は一般式(XVIII)の化合物のカルボニル基をエポキシド基へと変更することにより得られる。
【0130】
反応は通常、好ましくは溶媒の存在下行われる。反応や試薬に影響せず、試薬を少なくともある程度溶解し得るものであれば溶媒の性質に特に制限はない。そのような溶媒の例には、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及び、ヘキサメチルホスホリックトリアミドのようなアミド類;ジメチルスルホオキシド、スルホランのようなスルホオキシド類が含まれる。これらのうち、好ましくはジメチルスルホオキシドである。
【0131】
反応は塩基の存在下行われる。用いられる塩基の性質には特に制限は無く、このタイプの反応に共通して使われるどのような塩基であっても同様に使用することができる。そのような塩基の例にはナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド類;及び、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、及び、炭酸カリウムが含まれる。これらのうち、好ましくはカリウムt−ブトキシドである。
【0132】
反応は、幅広い温度で行うことができ、正確な温度は本発明に必須ではない。好ましい反応温度は溶媒の性質、及び、出発物質の性質などにより異なる。しかしながら、一般には0℃から100℃、好ましくは10℃から50℃、で反応を行うことが適している。反応時間も幅広く、多くの条件、特に反応温度、及び、使用する溶媒、により異なる。しかしながら、上記好ましい条件の場合には、5分から24時間、好ましくは60分から12時間、で通常充分である。
【0133】
(F2工程)
本工程において、一般式(XX)の化合物は一般式(XIX)の化合物とハロゲン化水素を反応させることにより得られる。
【0134】
反応は通常、好ましくは溶媒の存在下行われる。反応や試薬に影響せず、試薬を少なくともある程度溶解し得るものであれば溶媒の性質に特に制限はない。そのような溶媒の例には、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、及び、ジオキサンのようなエーテル類;ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及び、ヘキサメチルホスホリックトリアミドのようなアミド類が含まれる。これらのうち、好ましくはテトラヒドロフランである。
【0135】
反応は、幅広い温度で行うことができ、正確な温度は本発明に必須ではない。好ましい反応温度は溶媒の性質、及び、出発物質の性質などにより異なる。しかしながら、一般には0℃から100℃、好ましくは10℃から50℃、で反応を行うことが適している。反応時間も幅広く、多くの条件、特に反応温度、及び、使用する溶媒、により異なる。しかしながら、上記好ましい条件の場合には、5分から24時間、好ましくは60分から12時間、で通常充分である。
【0136】
(F3工程)
本工程において、一般式(XXI)の化合物は一般式(XX)の化合物とアジ化ナトリウムとの反応(F3−a)後、アジド基を還元する(F3−b)ことにより得られる。
【0137】
(F3−a)アジ化ナトリウムとの反応
反応は通常、好ましくは溶媒の存在下行われる。反応や試薬に影響せず、試薬を少なくともある程度溶解し得るものであれば溶媒の性質に特に制限はない。そのような溶媒の例には、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、及び、1,2ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、及び、ジオキサンのようなエーテル類;ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及び、ヘキサメチルホスホリックトリアミドのようなアミド類;ジメチルスルホオキシド、スルホランのようなスルホオキシド類が含まれる。これらのうち、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミドである。
【0138】
反応は、幅広い温度で行うことができ、正確な温度は本発明に必須ではない。好ましい反応温度は溶媒の性質、及び、出発物質の性質などにより異なる。しかしながら、一般には0℃から120℃で反応を行うことが適している。反応時間も幅広く、多くの条件、特に反応温度、及び、使用する溶媒、により異なる。しかしながら、上記好ましい条件の場合には、5分から24時間で通常充分である。
【0139】
(F3−b)還元
本反応は、E法のE1工程と同様に行われる。
【0140】
(F4工程)
本工程において、一般式(VIIa)の化合物は、1級アミノ基にアミノ保護基を導入し(F4−a)、選択的に2級アミノ基のアミノ保護基を脱保護する(F4−b)ことにより得られる。
【0141】
(F4−a)アミノ保護基の導入。
本反応の詳細は、T. W. Greene et al. [Protective Groups in Organic Synthesis, 494−653, (1999)](引用されている文献による開示も含む)に記載されている。以下は保護基がt−ブトキシカルボニルである典型的な場合である。
【0142】
反応は通常、好ましくは溶媒の存在下行われる。反応や試薬に影響せず、試薬を少なくともある程度溶解し得るものであれば溶媒の性質に特に制限はない。そのような溶媒の例には、水;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、及び、ジオキサンのようなエーテル類;及び、ジメチルスルホオキシド、スルホランのようなスルホオキシド類が含まれる。これらのうち、好ましくはテトラヒドロフランである。
【0143】
反応は試薬の存在下行われる。用いられる試薬の性質には特に制限は無く、このタイプの反応に共通して使われるどのような試薬であっても同様に使用することができる。そのような試薬の例にはジt−ブチルカーボネート、及び、1−(t−ブトキシカルボニル)ベンズトリアゾールが含まれる。これらのうち、好ましくはジt−ブチルカーボネートである。反応は、幅広い温度で行うことができ、正確な温度は本発明に必須ではない。好ましい反応温度は溶媒の性質、及び、出発物質の性質などにより異なる。しかしながら、一般には0℃から120℃、好ましくは20℃から80℃、で反応を行うことが適している。反応時間も幅広く、多くの条件、特に反応温度、及び、使用する溶媒、により異なる。しかしながら、上記好ましい条件の場合には、5分から24時間、好ましくは60分から12時間、で通常充分である。
【0144】
(F4−b)脱保護
本反応の詳細は、T. W. Greene et al. [Protective Groups in Organic Synthesis, 494−653, (1999)](引用されている文献による開示も含む)に記載されている。以下は保護基がベンゾイルで、水素ガスとパラジウム炭素又は白金のような触媒との組み合わせの存在下で行われる典型的な場合である。
【0145】
反応は通常、好ましくは溶媒の存在下行われる。反応や試薬に影響せず、試薬を少なくともある程度溶解し得るものであれば溶媒の性質に特に制限はない。そのような溶媒の例には、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、及び、1,2ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、及び、ブタノールのようなアルコール類;及び、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、及び、ジオキサンのようなエーテル類が含まれる。これらのうち、好ましくはメタノールである。
【0146】
反応は、幅広い温度で行うことができ、正確な温度は本発明に必須ではない。好ましい反応温度は溶媒の性質、及び、出発物質の性質などにより異なる。しかしながら、一般には−20℃から120℃で反応を行うことが適している。反応時間も幅広く、多くの条件、特に反応温度、及び、使用する溶媒、により異なる。しかしながら、上記好ましい条件の場合には、5分から24時間で通常充分である。
【0147】
[G法]
本法では、Rが水酸基である一般式(VII)の化合物の製造法を示す。
【化13】

【0148】
(式中、Rは前述と同義を示し;R10はアミノ保護基(好ましくは、ベンジル基)を示す。)
【0149】
(G1工程)
本工程においては、一般式(XXII)の化合物は、一般式(XVII)の化合物のカルボニル基をトリメチルシリルシアニドと反応させることにより得られる。
【0150】
反応は通常、好ましくは溶媒の存在下行われる。反応や試薬に影響せず、試薬を少なくともある程度溶解し得るものであれば溶媒の性質に特に制限はない。そのような溶媒の例には、ベンゼン、トルエン、及び、ニトロベンゼンのような芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、及び、1,2ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコール字メチルエーテル、テトラヒドロフラン、及び、ジオキサンのようなエーテル類;及び、アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類;及び、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、及び、ブタノールのようなアルコール類が含まれる。これらのうち、好ましくはトルエンである。
【0151】
反応は、試薬の存在下行われる。用いられる試薬の性質には特に制限は無く、このタイプの反応に共通して使われるどのような試薬であっても同様に使用することができる。そのような試薬の例にはBF、AlCl、FeCl、AgCl、Fe(NO、CFSOSi(CH、Yb(CFSO及びSnClのようなルイス酸類;CaOのような塩基類;18−クラウン−6のようなエーテル類;アンバーライトXAD−4レジンのような酸類が含まれる。これらのうち、好ましくはZnIである。
【0152】
反応は、幅広い温度で行うことができ、正確な温度は本発明に必須ではない。好ましい反応温度は溶媒の性質、及び、出発物質の性質などにより異なる。しかしながら、一般には−20℃から100℃で反応を行うことが適している。反応時間も幅広く、多くの条件、特に反応温度、及び、使用する溶媒、により異なる。しかしながら、上記好ましい条件の場合には、5分から24時間で通常充分である。
【0153】
(G2工程)
本工程において、一般式(XXIII)の化合物は、一般式(XXII)の化合物のシアノ基をアミノ基へと変換することにより得られる。本反応は、E法のE1工程と同様にして行われる。
【0154】
(G3工程)
本工程では、一般式(VIIIb)の化合物は一般式(XXIII)の化合物の保護及び脱保護によって得られる。本反応はF法のF4工程と同様にして行われる。
【0155】
一般式(I)の化合物、及び、上記製造法における中間体は、蒸留、再結晶、又は、クロマトグラフィー精製のような慣用の方法で分離、精製され得る。
【0156】
本発明の化合物が医薬として用いられる場合、結晶又はアモルファスで投与され得る。そのようなものは、例えば、固形プラグ(solid plug)、粉末又はフィルムとして、沈殿、結晶化、凍結乾燥、スプレードライ、又は、蒸発乾燥のような方法により得ることができる。マイクロ波又は電子加熱乾燥(radio frequency drying)も同様にして用いられる。
【0157】
化合物は、単独、又は、1以上の本発明の化合物若しくは1以上の他の医薬(又はそれらのいかなる組み合わせ)との組み合わせで投与され得る。一般に、化合物は、1以上の薬学的に許容される賦形剤を伴う製剤によって投与される。本明細書において用語「賦形剤」は、本発明の化合物以外の全ての成分を意味する。賦形剤の選択にあたっては、特殊な投与経路、賦形剤が溶解性や安定性に与える影響、及び、投薬形態の性質が大きく影響する。
【0158】
本発明の化合物の投与に適した医薬組成物は当業者に容易かつ自明である。そのような組成物およびその製造法は、例えば‘Remington’s Pharmaceutical Sciences’, 19th Edition (Mack Publishing Company, 1995)に記載されている。
【0159】
[経口投与]
本発明の化合物は経口で投与され得る。経口投与には飲み込むことによって、化合物が胃腸管に入る場合や、頬若しくは舌下投与により、化合物が口から直接血流へ入る場合を含む。
【0160】
経口投与に適した製剤には、錠剤のような固形製剤、カプセル(粒子、液体又は粉を含有する)、口内錠(液体の入ったものを含む)、チュー(chews)、マルチ−及びナノ−微粒子(particulates)、ゲル、固溶体、リポソーム、フィルム(粘性接着剤を含む)、オブル(ovules)、スプレー及び液体製剤が含まれる。
【0161】
液体製剤には、懸濁液、溶液、シロップ及びエリキシルが含まれる。そのような製剤はソフト又はハードカプセルを満たすものとして用い得、典型的にはキャリアー(例えば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、又は、適切なオイル、及び、1以上の乳化剤、及び/又は、懸濁化剤)を含む。液体製剤は、例えば、サシェ(sachet)のように固体からの再構成されることによっても得られる。
【0162】
本発明の化合物は、Expert Opinion in Therapeutic Patents, 11 (6), 981−986 by Liang and Chen (2001)に記載されているような速溶性、速崩壊性の投与形態でも使用することができる。
【0163】
錠剤での投与では、投与量に応じ、薬量は製剤の1重量%から80重量%、より典型的には5重量%から60重量%までを占め得る。薬剤に加え、錠剤は一般に崩壊剤を含む。崩壊剤の例には、ナトリウムスターチグリコレート、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、カルシウムカルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン(crospovidon)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶性セルロース、低級アルキル基置換セルロース、スターチ、糊化済スターチ、及び、アルギニン酸ナトリウムが含まれる。一般に、崩壊剤は製剤の1重量%から25重量%、より好ましくは5重量%から20重量%までを占める。
【0164】
結合剤は一般に、錠剤に結合性を持たせるために使用される。結合剤としては、微結晶性セルロース、ゼラチン、糖類、ポリエチレングリコール、天然及び合成ゴム、ポリビニルピロリドン、糊化済スターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、及び、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。錠剤には、例えば、ラクトース(モノハイドレート、スプレードライ化モノハイドレート、無水など)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶性セルロース、スターチ、及び、第二リン酸カルシウム二水和物(dibasic calcium phosphate dihydrate)のような希釈剤(diluent)が含まれ得る。
【0165】
錠剤には必要に応じ、ラウリル硫酸ナトリウム、及び、ポリソルベート80のような界面活性剤、並びに、二酸化ケイ素、及び、タルクのような流動促進剤が含まれ得る。そのようなものが含まれる場合には、製剤に対し界面活性剤は0.25重量%から10重量%、流動促進剤は0.2重量%から1重量%を占め得る。
【0166】
錠剤は同様に一般的にステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウム、硫酸ラウリルナトリウムとステアリン酸マグネシウムの混合物のような滑沢剤を含み得る。一般に滑沢剤は製剤の0.25重量%から10重量%、好ましくは0.5重量%から3重量%を占める。
【0167】
他の成分としては、抗酸化剤、着色剤、香料、保存剤、及び、矯味剤が挙げられる。
【0168】
典型的な錠剤は約80%の薬剤、約10重量%から約90重量%の結合剤、0重量%から約85重量%の希釈剤(diluent)、約2重量%から約10重量%の崩壊剤、及び、約0.25重量%から約10重量%の滑沢剤から成る。
【0169】
錠剤用の混合物は直接圧縮されるか、ローラーによって錠剤へと成型される。錠材用の混合物またはその一部は、錠剤化に先立ち、代替的に湿性、乾性、若しくは溶融で粒状化されるか、溶融凝結されるか、又は、押し出し成型されても良い。最終的な製剤は1つ以上の層を持ち得、コートされていてもされていなくとも良いし、カプセル化されていても良い。
【0170】
錠剤の製法については“Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets, Vol. 1”, by H. Lieberman and L. Lachman, Marcel Dekker, N.Y., N.Y., 1980 (ISBN 0−8247−6918−X)に詳述されている。
【0171】
経口投与用の固形製剤は即時、及び/又は、変更された薬剤放出用に製造され得る。変更された薬剤放出には、遅延化、持続化、パルス化、制御化、標的化、及び、プログラム化薬剤放出が含まれる。
【0172】
本発明の目的に沿う変更された薬剤放出の例は、US Patent No. 6,106,864に記載されている。高エネルギー分散(high energy dispersion)、並びに、浸透及び被膜粒子のような他の薬剤放出技術の詳細はVerma et al, Pharmaceutical Technology On−line, 25(2), 1−14 (2001)に記載されている。チューインガムによる薬剤放出制御についてはWO 00/35298に記載がある。
【0173】
[非経口投与]
本発明の化合物は、血流、筋肉、又は、内臓に直接投与され得る。非経口投与として適切なものには、静脈内、動脈内、腹腔内、硬膜下腔内、心室内、尿道内、器官内、頭蓋内、筋肉内、及び、皮下が含まれる。非経口投与に適した手段には、針(マイクロニードルを含む)注射器、針なし注射器、及び、インフュージョン法が含まれる。
【0174】
非経口投与は典型的には水溶剤であり、塩、炭水化物、及び、バッファー(好ましくはpHが3から9のもの)のような添加物を含んでも良い。しかしながら、一定の条件下では、無菌の非水性溶液、又は、無菌・発熱性物質の含まれない水のような適切な溶媒と共に使用される乾燥製剤がより適切であり得る。
【0175】
非経口剤の製造は無菌条件下で行われ、例えば、凍結乾燥法は、当業者周知の標準の薬剤技術で容易に行われる。
【0176】
非経口剤溶液の製造に用いる一般式(I)の化合物の溶解性は、溶解補助剤のような製剤技術を用いることにより増加させることができる。
【0177】
非経口投与用の製剤は即時、及び/又は、変更された薬剤放出用に製造され得る。変更された薬剤放出には、遅延化、持続化、パルス化、制御化、標的化、及び、プログラム化薬剤放出が含まれる。従って、本発明の化合物は、固形、半固形、又は、チキソトロピー液として製剤化され、変更された活性物質放出のための埋め込みデポ(implanted depot)として投与され得る。そのような製剤の例には、薬剤被膜のステント及びPGLAミクロスフィアが含まれる。
【0178】
[局所投与]
本発明の化合物は皮膚や粘膜、即ち、皮膚上又は経皮に局所投与することができる。そのための典型的な製剤には、ゲル、ヒドロゲル、ローション、液剤、クリーム、軟膏、散布剤(dusting powders)、ドレッシング(dressings)、気泡(forms)、皮膚貼付剤、ウェハース(wafers)、埋め込み剤、スポンジ剤、ファイバー(fibres)、包帯、及び、ミクロエマルジョンが含まれる。リポソームも使用され得る。典型的なキャリアーには、アルコール、水、鉱物油、流動ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコール、及び、プロピレングリコールが含まれる。透過増強剤を追加しても良い(J Pharm Sci, 88 (10), 955−958 by Finnin and Morgan (October 1999)を参照のこと)。
【0179】
他の局所投与には、エレクトロポレーション、イオン浸透法(iontophoresis)、フォノフォレシス(phonophoresis)、ソノフォレシス(sonophoresis)、及び、マイクロニードル又は針無し(例えば、PowderjectTM, BiojectTMなど)注射が含まれる。
【0180】
局所投与用の製剤は即時、及び/又は、変更された薬剤放出用に製造され得る。変更された薬剤放出には、遅延化、持続化、パルス化、制御化、標的化、及び、プログラム化薬剤放出が含まれる。
【0181】
[吸入/経鼻投与]
本発明の化合物は経鼻又は吸入によって、典型的には乾燥粉末吸入器からの乾燥パウダー(単独で例えばラクトースと混合された乾燥混合物、或いは、例えばホスファチジルコリンのようなリン脂質と混合された混合粒子)として、又は、加圧された容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくはエレクトロハイドロダイナミクスを用いて細かい霧を生成するアトマイザー)、若しくは、1,1,1,2−テトラフルオロエタン若しくは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンのようなガスと共に使うか或いはガスを使わないネブライザーからのエアロゾルスプレーとして投与される。経鼻用途には粉末に例えばキトサン又はシクロデキストリンのような生物接着剤を含んでも良い。
【0182】
加圧された容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー又はネブライザーは、本発明の化合物溶液又は懸濁液を含み、例えばエタノール、含水エタノール、又は、他の分散化、溶解化又は活性成分の放出を拡張化するような成分、噴出剤を溶媒として、若しくは、ソルビタントリオレエート、オレイン酸又はオリゴ乳酸のような任意の界面活性剤を含む。
【0183】
乾燥粉末又は懸濁製剤の使用に先立ち、薬剤は吸入に適したサイズ(典型的には5ミクロン以下)に微紛化される。微紛化はスパイラルジェットミル法、フロイドベッドジェットミル法、ナノ粒子生成のための超臨界流体製造法、高圧ホモジナイズ法、又は、スプレードライ法のような適切などの粉砕法によっても達成することができる。
【0184】
吸入又は注入に用いられるカプセル(例えばゼラチン又はHPMCから作られたもの)、ブリスター、並びに、カートリッジは本発明の化合物の粉末混合物、ラクトース及びスターチのような粉末基質、並びに、l−ロイシン、マンニトール又はステアリン酸マグネシウムのような性質修正剤を含む。ラクトースは無水か、或いは、一水和物であり、好ましくは後者である。他の適切な添加物にはデキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロール、および、トレハロースが含まれる。
【0185】
細かい霧を生成するエレクトロハイドロダイナミクスを用いたアトマイザーに適した液剤は、本発明の化合物をアクチュエーションあたり1μgから20mg含み、アクチュエーション量は1μlから100μlまで変化し得る。典型的な製剤は一般式(I)の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、エタノール、及び、塩化ナトリウムを含む。プロピレングリコールの代替溶媒としては具リセロールグリセロール及びポリエチレングリコールが使用し得る。
【0186】
メントール及びレボメントール(levomenthol)のような香料、又は、サッカリン若しくはサッカリンナトリウムのような甘味料のうち適切なものは吸入/経鼻投与を目的とする本発明の製剤に用い得る。
【0187】
吸入/経鼻投与用の製剤は例えば、ポリ(DL−ラクティック)−コグリコリック酸(PGLA)を用いて即時、及び/又は、変更された薬剤放出用に製造され得る。変更された薬剤放出には、遅延化、持続化、パルス化、制御化、標的化、及び、プログラム化薬剤放出が含まれる。
【0188】
乾燥粉末吸入剤及びエアロゾルの場合には、投薬単位は計量された量を透過させるバルブにより決まる。本発明に沿った単位は、典型的には本発明の化合物を1から100μg含む計量された投薬量又は「パフ(puff)」を投与するよう調整される。一日当りの投薬量の全量は典型的には50μgから20mgの範囲であり、単回、又は、より日常的には一日の中で複数回に分けて投与される。
【0189】
[直腸/経膣投与]
本発明の化合物は例えば、座剤、ペッサリー、又は、浣腸のような剤形で直腸又は経膣投与される。ココアパウダーは座剤の伝統的な基材であるが、種々の代替品が適切に使用され得る。
【0190】
直腸/経膣投与用の製剤は即時、及び/又は、変更された薬剤放出用に製造され得る。変更された薬剤放出には、遅延化、持続化、パルス化、制御化、標的化、及び、プログラム化薬剤放出が含まれる。
【0191】
[経眼/経耳投与]
本発明の化合物は、目又は耳に、典型的には微細化された懸濁液又は等張でpHの調整された滅菌食塩水の滴下の形で直接投与することもできる。経眼及び経耳投与に適した他の製剤には、軟膏、生分解性(例えば、吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)及び非生物分解性(例えば、シリコン)埋め込み製剤、ウェハース(wafers)、レンズ、及び、ニオソーム(niosoms)又はリポソームのような粒状又は小胞状システムが含まれる。交差架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロースポリマー(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース又はメチルセルロース)、又は、ヘテロポリサッカライド(例えばジェランガム)のような高分子化合物は塩化ベンズアルコニウムのような保存剤と混合しても良い。そのような製剤はイオン浸透法によって投与し得る。
【0192】
経眼/経耳投与用の製剤は即時、及び/又は、変更された薬剤放出用に製造され得る。変更された薬剤放出には、遅延化、持続化、パルス化、制御化、標的化、及び、プログラム化薬剤放出が含まれる。
【0193】
[他の技術]
本発明の化合物はシクロデキストリン及びその適切な誘導体又はポリエチレングリコールを含む高分子のような巨大分子と混合して、溶解性、溶解度、味のマスク、バイオアベイラビリティ、及び/又は、前述した何れかの投与法における安定性を改善することができる。
【0194】
例えば、薬物−シクロデキストリン複合体は、一般に大部分の投与形態及び投与経路において有用であることが知られている。包摂及び非包摂複合体の両方が使用し得る。直接の複合体化に代えて、シクロデキストリンは補助添加物、例えば、キャリアー、希釈剤(diluent)、溶解剤として用いられ得る。この目的で最もよく用いられるのはアルファ−、ベータ−、及び、ガンマ−シクロデキストリンであり、それらは国際公開公報WO 91/11172, WO 94/02518 及び WO 98/55148に記載されている。
【0195】
[キット−オブ−パーツ]
例えば特定の疾患や症状を治療する目的で、活性化合物の組み合わせを投与することが望ましい場合において、本発明の化合物を少なくとも1つ含む2以上の薬剤が併用されるのに適したキットの形で一体となっているものも本発明に含まれる。
【0196】
従って、本発明のキットは、少なくとも1つは本発明の一般式(I)の化合物を含む2以上の別個の薬剤、及び、容器、小分けボトル、小分けホイルパケット(foil packet)のような前述の薬剤を別個に保持するための手段を含む。そのようなキットの例としては、錠剤、カプセルなどに使用されている慣用のブリスターパックが挙げられる。
【0197】
本発明のキットは、特に異なる投与形態(例えば経口と非経口)を投与する場合、別個の薬剤を異なる投与間隔で投与する場合、又は、別個の薬剤を相互に滴定(titrating)する場合に適している。コンプライアンスを補助するため、典型的にはキットには服用法が含まれ、いわゆるメモリーエイドと共に供給される。
【0198】
[用量]
ヒトの患者に投与する場合の本発明の化合物の一日の全用量は、勿論投与法にもよるが、典型的には0.05mgから100mgの範囲であり、より好ましくは0.1mgから50mgの範囲であり、更により好ましくは0.5mgから20mgの範囲である。例えば、経口投与では一日の全用量は1mgから20mgであり得るのに対し、静脈内投与量は0.5mgから10mgしか必要としないことがあり得る。一日の全用量は単回又は複数回で投与し得る。
【0199】
これらの用量は体重65kgから70kgの平均的なヒト患者に基づくものである。医師は幼児や老齢者のように体重がこの範囲に入らない患者に対する用量を容易に決定することができる。
【0200】
疑念を除くため、本明細書における「治療」(treatmnt)の意味するところには治癒的、緩和的、及び、予防的治療の意味が含まれる。
【0201】
本発明の5−HT4アゴニストは、特に胃食道逆流性疾患に対して、他の薬理学的に活性な物質、又は、2以上の薬理学的に活性な物質と共に、使用することができる。例えば、5−HT4アゴニスト、特に前述の一般式(I)の化合物、その薬学上許容される塩又は溶媒和物は、同時に、逐次に、又は、別個に以下から選択される1以上の薬剤と共に投与され得る:
【0202】
(i)ヒスタミンHレセプターアンタゴニスト(例えばラニチジン、ラフチジン、ニザチジン、シメチジン、ファモチジン、及び、ロキサチジン(roxatidine));
【0203】
(ii)プロトンポンプ阻害剤(例えばオメプラゾール、エソメプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、テナトプラゾール(tenatoprazole)、イラプラゾール(ilaprazole)、及び、ランソプラゾール);
【0204】
(iii)アシッドポンプアンタゴニスト(例えば、ソラプラザン、レバプラザン(YH−1885)、AZD−0865、CS−526、AU−2064、及び、YJA−20379−8);
【0205】
(iv)経口抗酸混合物(oral antacid mixtures)(例えばマーロックス(Maalox(登録商標))、アルドロックス(Aludrox(登録商標))、及び、ガビスコン(Gaviscon(登録商標));
【0206】
(v)粘膜保護剤(例えばポラプレジンク(polaprezinc)、エカベットナトリウム(ecabet sodium)、ラバミピド(rabamipide)、テプレノン、セトラキサート(cetraxate)、スクラルファート、銅クロロフィル、及び、プラウノトール);
【0207】
(vi)GABAアゴニスト(例えば、バクロフェン、及び、AZD−3355);
【0208】
(vii)α2アゴニスト(例えば、クロニジン、メデトミジン(medetomidine)、ロフェキシジン、モキソニジン(moxonidine)、チザニジン(tizanidine)、グアンファシン(guanfacine)、グアナベンズ、タリペキソール(talipexol)、及び、デキサメデトミジン(dexmedetomidine));
【0209】
(viii)キサンチン誘導体(例えば、テオフィリン、アミノフィリン、及び、ドキソフィリン(doxofylline));
【0210】
(ix)カルシウムチャネルブロッカー(例えば、アラニジピン、ラシニジピン、ファロジピン、アゼルニジピン、クリニジピン、ロメリジン、ジルチアゼム、ガロパミル、エフォニジピン、ニソルジピン、アムロジピン、レルカニジピン、ベバントロール、ニカルジピン、イスラジピン、ベニジピン、ベラパミル、ニトレンジピン、バルニジピン、プロパフェノン、マニジピン、ベプリジル、ニフェジピン、ニルバジピン、ニモジピン、ニフェジピン、及び、ファスジル);
【0211】
(x)ベンゾジアゼピンアゴニスト(例えば、ジルチアゼム、ザレプロン、ゾルピデム、ハロキサゾラム(haloxazolam)、クロナゼパム、プラゼパム、クアゼパム、フルタゾラム、トリアゾラム、ロルメタゼパム、ミダゾラム、トフィソパム、クロバザム、フルニトラゼパム、及び、フルトプラゼパム);
【0212】
(xi)プロスタグランジン誘導体(例えば、プロスタグランジン、ミソプロストール、トレプロスチニル(treprostinil)、エソプロステノール、ラタノプロスト、イロプロスト、ベラプロスト、ベラプロスト、エンプロスティル(enprostil)、イブジラスト、及び、オザグレル);
【0213】
(xii)ヒスタミンHアゴニスト(R−アルファメチルヒスタミン、及び、BP−294);
【0214】
(xiii)抗ガストリン剤(例えば、抗ガストリンワクチン、イトリグルミド(itriglumide)、及び、Z−360);
【0215】
(xiv)5−HTアンタゴニスト(例えば、ドラセトロン、パラノセトロン、アロセトロン、アザセトロン、ラモセトロン、ミトラザピン、グラニセトロン、トロピセトロン、E−3620、オンダセトロン、及び、インジセトロン);
【0216】
(xv)三環抗うつ剤(例えば、イミプラミン、アミトリプチリン(amitriptyline)、クロミプラミン、アモキサピン(amoxapine)、及び、ロフェプラミン);
【0217】
(xvi)GABAアゴニスト(ガバペンチン、トピラメート(topiramate)、シノラゼパム、クロナゼパム、プロガバイド、ブロチゾラム、ゾピクロン、及び、エソゾピクロン);
【0218】
(xvii)オピオイド鎮痛薬(例えば、モルヒネ、ヘロイン、ハイドロモルホン(hydromorphone)、オキシモルホン(oxymorphone)、レボルファノール、レバロルファン、メタドン(methadone)、メペリジン、フェンタニル(fentanyl)、コカイン、コデイン、ジヒドロコデイン、オキシコドン、ハイドロコドン(hydrocodone)、プロポキシフェン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン(naltrexone)、ブプレノルフィン、ブトファノール(butorphanol)、ナルブフィン(nalbuphine)、及び、ペタゾシン);
【0219】
(xviii)ソマトスタチン誘導体(例えば、オクトレチド(octretide)、AN−238、及び、PTR−3123);
【0220】
(xix)Clチャネル活性化剤(例えば、ルビプロストン);
【0221】
(xx)選択的セロトニン再取り込み阻害剤(例えば、セルトラリン、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、シタロプラム、ミルナシプラン(milnacipran)、パロキセチン、ベンラファキシ(venlafaxine)、トラマドール(tramadol)、シブトラミン、デュロキセチン、デスベンラファキシン(desvenlafaxine)、及び、ダポキセチン);
【0222】
(xxi)抗コリン薬(例えば、ジシクロミン、及び、ヒヨスチアミン);
【0223】
(xxii)便秘薬(トリファイバ(Trifyba(登録商標))、ファイボゲル(Fybogel(登録商標))、コンシル(Konsyl(登録商標))、イソゲル(Isogel(登録商標))、レグラン(Regulan(登録商標))、セレバック(Celevac(登録商標))、及び、ノルマコール(Normacol(登録商標));
【0224】
(xxiii)繊維製品(例えば、メタムシール(Metamucil(登録商標));
【0225】
(xxiv)鎮痙薬(例えば、メベベリン(mebeverine));
【0226】
(xxv)ドーパミンアンタゴニスト(例えば、メトクロプラミド、ドンペリドン、及び、レボスロピリド);
【0227】
(xxvi)コリン作動薬(例えば、ネオスチグミン);
【0228】
(xxvii)アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(ガランタミン、メトリフォネート、リバスチグミン、イトプリド、及び、ドネペジル);
【0229】
(xxviii)タキキニン(NK)アンタゴニスト、特にNK−3、NK−2、及び、NK−1アンタゴニスト(例えば、ネパデュタント(nepadutant)、サレデュタント(saredutant)、タルネタント(talnetant)、(αR,9R)−7−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−8,9,10,11−テトラヒドロ−9−メチル−5−(4−メチルフェニル)−7H−[1,4]ジアゾチノ[2,1−g][1,7]ナフタリジン−6−13−ジオン(TAK−637)、5−[[(2R,3S)−2−[(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ−3−(4−フルオロフェニル)−4−モルホリニル]メチル]−1,2−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(MK−869)、レネピタント(lenepitant)、ダピタント(dapitant)、及び、3−[[2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)フェニル]メチルアミノ]−2−フェニル−ピペリジン(2S,3S)]
【0230】
[生物活性の測定法]
本発明の5−HT受容体結合性は以下の方法で決定される。
【0231】
(ヒト5−HT結合(1))
【0232】
ヒト5−HT4(d)遺伝子導入済みHEK293細胞を準備し、自家培養した。回収した細胞をプロテアーゼインヒビターカクテル(ベーリンガー、1:1000倍希釈)の入った50mMHEPES(pH7.4、4℃)に懸濁し、ハンドヘルドポライトンPT1000ディスラプターを用い、最高出力、30秒氷冷下でホモジナイズした。ホモジネートは4000xg、4℃で30分間遠心した。生じたペレットを50mMHEPES(pH7.4、4℃)に再懸濁した後もう一度同様に遠心した。最終的に生じたペレットは適切な容量の50mMHEPES(pH7.4、4℃)に再懸濁し、ホモジナイズ後、等分し、−80℃で使用時まで保存した。膜分画分を用いてBCAプロテインアッセイキット(PIERCE)によるタンパク濃度決定を行った。
【0233】
結合試験には、テスト化合物25μlを25μlの[H]−GR113808(Amersham、最終濃度0.2nM)、150μlの膜ホモジネート、及び、WGA−SPAビーズ(Amersham)懸濁液(タンパク10μg、SPAビーズ1mg/ウェル)と室温で60分間インキュベートした。非特異的結合は最終濃度1μMのGR113808(Tocris)によって特定された。インキュベーションを1000rpmの遠心によって終了させた。受容体に結合した放射能はマイクロベータプレートカウンター(Wallac)によって定量された。
実施例の化合物は全て5−HT受容体親和性を示した。
【0234】
(ヒト5−HT結合(2))
ヒト5−HT4(d)遺伝子導入済みHEK293細胞を準備し、自家培養した。回収した細胞をプロテアーゼインヒビターカクテル(ベーリンガー、1:1000倍希釈)の入った50mMHEPES(pH7.4、4℃)に懸濁し、ハンドヘルドポライトンPT1000ディスラプターを用い、最高出力、30秒氷冷下でホモジナイズした。ホモジネートは4000xg、4℃で10分間遠心した。生じたペレットを50mMHEPES(pH7.4、4℃)に再懸濁した後、もう一度同様に遠心した。最終的に生じたペレットは適切な容量の50mMHEPES(pH7.4、4℃)に再懸濁し、ホモジナイズ後、等分し、−80℃で使用時まで保存した。膜分画分を用いてBCAプロテインアッセイキット(PIERCE)によるタンパク濃度決定を行った。
【0235】
結合試験には、テスト化合物50μlを50μlの[H]−5−HT(Amersham、最終濃度8.0M)、400μlの膜ホモジネート(タンパク300μg/チューブ)と室温で60分間インキュベートした。非特異的結合は最終濃度50μMのGR113808(Tocris)によって特定された。インキュベーションはブランデルハーベスター(BRANDEL harvester)を使用した0.2%PEI浸透のグラスファイバーろ紙による、急速真空ろ過後、50mMHEPES(pH7.4、25℃)で3回洗うことにより終了させた。受容体に結合した放射能はマイクロベータプレートカウンター(Wallac)によって定量された。
実施例の化合物は全て5−HT受容体親和性を示した。
【0236】
(アゴニスト誘導によるヒト5−HT4(d)導入HEK293細胞のcAMP上昇)
ヒト5−HT4(d)遺伝子導入済みHEK293細胞を自家で確立した。細胞は37℃、5%CO、10%FCS添加DMEM、20mM HEPES(pH7.4)、200μg/mlのハイグロマイシンB(Gibco)、100単位/mlのペニシリン、及び、100μ/mlのストレプトマイシンの条件で培養した。
【0237】
細胞は60−80%のコンフルーエンスと成るまで培養した。化合物を投与する前日に、通常のものが透析FCS(Gibco)に交換され、細胞はオーバーナイトでインキュベートとされた。
【0238】
化合物は96穴プレート(12.5μl/ウェル)で準備された。細胞はPBS/1mM EDMAで回収され、遠心後、PBSで洗った。アッセイの最初に20mM HPEPES、10μMパーギリン、1mM 3−イソブチル−1−メチルキサンチン(Sigma)を添加したDMEMに細胞を1.6 x 10 cells/mlで再懸濁し、15分間室温で放置した。反応は細胞のプレートへの注入(12.5μl/ウェル)で開始した。室温で15分間インキュベートし、1%トライトンX−10(25μl/ウェル)を加え、反応を終了した後、室温で30分間放置した。相同性時間分解蛍光法(Homogenous time−resolved fluorescence based)cAMP(Shering)測定が製造元の指示に従って行われた。ARVOsxマルチラベルカウンター(Wallac)がHTRFの測定に使用された(励起320nm、エミッション665nm/620nm、ディレイ50μs、測定時間(window time)400μs)。
【0239】
データは各ウェルの620nm及び665nmの蛍光強度の比に基づき分析され、cAMPの標準曲線を用いたcAMPの定量に用いられた。各化合物によって誘起されたcAMPの生成量の向上は1000nMセロトニン(Sigma)によるcAMPの生成量に対して標準化された。
全ての実施例の化合物は5HT受容体のアゴニスト活性を示した。
【0240】
(ヒト ドフェチリド結合)
【0241】
ヒトHERG遺伝子導入済みHEL293S細胞が準備され自家培養された。回収された細胞を50mMトリス−HCl(pH7.4、4℃)に懸濁しハンドヘルドポライトンPT1000ディスラプターを用い、最高出力、30秒氷冷下でホモジナイズした。ホモジネートは4800xg、4℃で20分間遠心した。生じたペレットは再懸濁し、ホモジナイズ後、もう一度同様に遠心した。最終的に生じたペレットは適切な容量の50mMトリス−HCl,10mMKCl,1mM MgCl溶液(pH7.4、4℃)に再懸濁し、ホモジナイズ後、等分し、−80℃で使用時まで保存した。膜分画分を用いてBCAプロテインアッセイキット(PIERCE)によるタンパク濃度決定を行った。
【0242】
結合試験は、総容量200μl、96穴プレート中で行った。テスト化合物の20μl溶液を[H]−ドフェチリド(Amersham)20μl溶液、160μlの膜ホモジネート(タンパク25μg)と室温で60分間インキュベートした。非特異的結合は最終濃度10μMのドフェチリドによって特定された。インキュベーションは50mMトリス−HCl,10mMKCl,1mM MgCl溶液(pH7.4、4℃)、スカトロンハーベスター(Skatron harvester)を使用した0.5%プレソークのGF/Bベータプレートフィルターによる急速真空ろ過より終了させた。フィルターは乾燥後、サンプルバッグに入れベータプレートシント(Betaplate Scint)を充填した。フィルターに結合した放射能をWallac ベータプレートカウンターで計測した。
【0243】
(Caco−2透過性)
Caco−2透過性はShiyin Yee,Pharmaceutical Research, 763 (1997)に記載の方法に従って測定された。
【0244】
Caco−2細胞はフィルター基材(Falcon HTS multiwell insert system)上で14日間培養された。培養液はアピカル(apical)部及びバソラテラル(basolateral)部から除かれ、各単層部は加熱済みアピカルバッファー0.3mlバソラテラルバッファー1.0mlと、0.5時間37℃、50cycles/minのシェーカーウォーターバスでプレインキュベートされた。アピカルバッファーの組成は、ハンクスバランス塩溶液(Hanks Balanced Salt Solution)、25mM D−グルコース一水塩、20mM MESバイオロジカルバッファー、1.25mM CaCl、及び、0.5mM MgCl(pH6.5)である。バソラテラルバッファーの組成はハンクスバランス塩溶液(Hanks Balanced Salt Solution)、25mM D−グルコース一水塩、20mM HEPESバイオロジカルバッファー、1.25mM CaCl、及び、0.5mM MgCl(pH7.4)である。プレインキュベーションの最後に培地を除去し、バッファー中のテスト化合物溶液(10μl)をアピカル部に注入した。インサートは新鮮なバソラテラルバッファーを含むウェルに1時間で移された。バッファー中の薬物濃度をLC/MS分析によって測定した。
【0245】
フラックス比(F,mass/time)はレシーバーサイドの化合物の累積量の傾きから計算された。また、見かけの透過率(Papp)は次の式から計算された。
【0246】
app (cm/sec) = (F * VD) / (SA * MD)
【0247】
(上記式中、SAは透過の表面積(0.3cm)であり、VDはドナー容量(0.3ml)であり、MDはt=0のときのドナーサイドの全薬物量である。)
【0248】
全てのデータは2インサートの平均である。単層の完全性はルシファーイエロー(Lucifer Yellow)の透過で確認した。
【0249】
(ヒト肝ミクロソーム(HLM)半減期)
テスト化合物(1μM)を3.3mM MgCl、0.78mg/mlHLM(HL101)と100mMカリウムフォスフェートバッファー(pH7.4)中、37℃、96ディープウェルプレート上でインキュベートした。反応液は、非P450及びP450の2群に分けられた。NADPHはP450群のみに添加された。0、10、30、及び、60分の時点でのP450群のサンプル溶液が分取された。但し、NADPHが加えられた時点が0分である。非P450群の分取は−10、及び、65分に行った。分取分は内部標準を含む汗とニトリル溶液で抽出した。沈殿タンパクは遠心(2000rpm、15分間)で遠心沈殿させた。上清中の化合物濃度をLC/MS/MSシステムにより計測した。
【0250】
半減期の値を、時間に対する化合物/内部標準物質の最高面積比の自然対数をプロットすることにより得た。点に対して一番良く適応する直線の傾きによって代謝速度(k)が判明する。このことより、次式による半減期を求めた。
【0251】
半減期=ln2/k
【0252】
[実施例]
本発明は下記の限定を受けない実施例に記載されている。実施例においては、特に記述のない限り、全ての実験は、室温、又は環境(ambient)温度で行われ、即ち、18−25℃であり;溶媒の留去は減圧下ロータリーエバポレーターを用いて60℃までの溶液中行われ;反応は薄層クロマトグラフィー(tlc)でモニターされ、反応時間は単に記述のためだけであり;融点(m.p.)は修正されておらず(多形により異なる場合がある);全ての構造及び純度は以下のうち少なくとも1つの方法で確認されている:tlc(Merck silica gel 60 F254 precoated
TLC plates 又は Merck NH2 F254s precoated HPTLC plates)、マススペクトル、赤外吸収スペクトル(IR)又は元素分析。
【0253】
収率は記載のためだけに表記している。フラッシュクロマトグラフィーはMerck silica gel
60 (230-400 mesh ASTM) 又は Fuji Silysia Chromatorex(登録商標)DU3050 (Amino Type,
30~50 mm)で行った。低分解能マススペクトルデータ(EI)はIntegrity(Waters)マススペクトロメーター又はAutomass120(JEOL)マススペクトロメーターによって得た。低分解能マススペクトルデータ(ESI)はZMD2(Waters)マススペクトロメーター又はQuattroII(Micromass)マススペクトロメーターによって得た。NMRデータは270MHz(JEOL JNM−LA270スペクトロメーター)又は300MHz(JEOL JNM−LA300)で重水素化クロロホルム(99.8%D)又は重水素化ジメチルスルホオキシド(99.9%D)を溶媒として、特に記述のない場合はTMSを内部標準として百万分率(ppm)で測定した。慣用の省略記号(s=シングレット、d=ダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、m=マルチプレット。br=ブロードなど)が使用されている。IRは島津赤外スペクトロメーター(IR−470)で測定された。旋光度はJASCO DIP−370デジタル偏光計(Japan
Spectroscopic Co., Ltd)で測定した。化学記号は通常の意味(b.p.沸点、m.p.:融点、l:リットル、mL:ミリリットル、g:グラム、mg:ミリグラム、mol:モル、mmol:ミリモル、eq.:当量)である。
【0254】
(実施例1)
【0255】
4-{[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]
アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]メチル}テトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボン酸
【化14】

【0256】
工程1 tert−ブチル 4−シアノテトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキシレート
DMF(200mL)中のNaH(17.7g、0.443mol)の懸濁液中に攪拌しながらtert−ブチルシアノアセテート(25.0g、0.177mol)のDMF(200mL)溶液を0℃、窒素雰囲気下で滴下した。反応液を環境温度に上昇させ、1時間攪拌した。その後、ビス(2−ブロモエチル)エーテル(49.3g、0.177mol)を加え、反応液を90℃で24時間攪拌した。0℃に冷却後、水を加えて反応を終了した。揮発成分を留去した後、残さを酢酸エチル−トルエン混合物(1:2、500mL)及び水(500mL)で沈殿させた。有機層は水(500mL)で3回洗い、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を留去した。固体をヘキサンで洗い真空乾燥することにより目的化合物19.0g(57%)を白色結晶として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ:
3.96 (2 H, dt, J=3.9 Hz, 12.3 Hz), 3.73 (2 H, dt, J=2.6 Hz, 12.3 Hz), 2.20-1.94
(4 H, m), 1.52 (9 H, s).
【0257】
工程2 tert−ブチル 4−(アミノメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキシレート
tert−ブチル 4−シアノテトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキシレート(18.95g、0.0897mol、工程1)及びラネーニッケル(1.00g)をメタノール(200mL)中、室温で12時間水素添加(3気圧)した。反応液をセライトろ過し、ろ液を減圧下濃縮して16.01g(83%)の目的化合物を黄色シロップとして得た。
1H-NMR (CDCl3) δ:
3.86 (2 H, dt, J=4.1 Hz, 11.4 Hz), 3.48 (2 H, dt, J=2.5 Hz, 11.5 Hz), 2.75 (2
H, s), 2.03 (2 H, br d, J=10.7 Hz), 1.55-1.35 (13 H, m, (9 H, s, 1.49 ppm)を含む).
【0258】
工程3 tert-ブチル 4-[(4-オキソピペリジン-1-イル)メチル]テトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボキシレート
tert−ブチル 4−(アミノメチル)テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボキシレート(8.00 g、0.0372 mol、工程2)及び炭酸カリウム(0.51g、0.0372mol)のエタノール−水(2:1、240mL)溶液に還流下、1−エチル−1−メチル−4−オキソピペリジニウム アイオダイド(12.0g、0.0445mol、J.
Org. Chem. 1995, 60, 4324-4330)のエタノール−水(2:1、150mL)溶液を滴下し、反応液をその後同温度で1時間攪拌した。室温へと冷却後、溶媒を減圧留去した。残さを飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200mL)へと注ぎ、ジクロロメタン(200mL、3回)で抽出した。抽出物は硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル、3:1から2:1)で精製し、目的化合物10.77g(98%)を無色シロップとして得た。
MS (ESI) m/z: 298 (M+H)+.
1H NMR (CDCl3) δ
3.84 (2 H, br d, J=11.4 Hz), 3.50 ( 2 H, dt, J= 2.0 Hz, 11.7 Hz), 2.85 (4 H, t,
J=5.9 Hz), 2.61 (2 H, s), 2.39 (4 H, t, J=6.1 Hz), 2.05 (2 H, d, J=11.5 Hz),
1.75-1.45 (11 H, m, (9 H, s, 1.49 ppm)を含む).
【0259】
工程4 tert−ブチル 4−-[(4-シアノピペリジン-1-イル)メチル]テトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボキシレート
tert-ブチル 4-[(4-オキソピペリジン-1-イル)メチル]テトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボキシレート(8.77
g、 0.0295 mol、 工程3)の1,2−ジメトキシエタン(250mL)溶液に攪拌しながらp−トルエンスルホニルメチルイソシアニド(11.51g、0.0590mol)、エタノール(3.96mL、0.0678mol)及びt−ブトキシカリウムを0℃で加えた。反応液を50℃で16時間攪拌した後、冷却し飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200mL)へと注いだ。ジクロロメタン(200mL、3回)で抽出し、抽出物は硫酸ナトリウムで乾燥した後濃縮した。残さをシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル。2:1)で精製し、目的化合物5.76g(63%)を黄色シロップとして得た。
MS (ESI) m/z: 309 (M+H+).
1H-NMR (CDCl3) δ:
3.81 (2 H, dt, J=3.1 Hz, 11.0 Hz), 3.48 (2 H, dt, J=2.1 Hz, 11.7 Hz), 2.76-2.64
(2 H, m), 2.64-2.52 (1 H, m), 2.50-2.35 (4 H, m, (2 H, s, 2.46 ppm)を含む), 1.98
(2 H, br d, J=11.9 Hz), 1.92-1.70 (4 H, m), 1.65-1.40 (11 H, m, (9 H, s, 1.47
ppm)を含む).
【0260】
工程5 tert−ブチル 4−-[(4-(アミノメチル)ピペリジン-1-イル)メチル]テトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボキシレート
tert−ブチル 4−-[(4-シアノピペリジン-1-イル)メチル]テトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボキシレート(5.76g、0.0187mol、工程4)及びラネーニッケル(3.00g)をメタノール(100mL)中、室温で12時間水素添加(3気圧)した。反応液をセライトろ過し、ろ液を減圧濃縮して、目的化合物5.72g(98%)を黄色シロップとして得た。
MS (ESI) m/z: 313 (M+H+).
1H-NMR (CDCl3) δ:
3.80 ( 2 H, dt, J=3.1 Hz, 11.5 Hz), 3.49 (2 H, dt, J=2.1 Hz, 12.2 Hz), 2.80 (2
H, br d, J= 11.5 Hz), 2.58-2.40 (4 H, m, (2 H, s, 2.43 ppm)を含む), 2.15 (2 H, br
t, J=7.3 Hz), 1.98 (2 H, br d, J=13.7 Hz), 1.70-1.40 (16 H, m, (9 H, s, 1.47
ppm)を含む), 1.30-1.10 (2 H, m).
【0261】
工程6 tert−ブチル 4-{[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]メチル}テトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボキシレート
p−ニトロフェニルクロロホルメート(4.14g、0.0205mol)、1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン(3.62g、0.0205mol、J. Med. Chem. 1999, 42, 2870-2880)、及び、トリエチルアミン(7.81mL、0.0560mol)をジクロロメタン(100mL)中、室温で4時間攪拌した。その後tert−ブチル 4−-[(4-(アミノメチル)ピペリジン-1-イル)メチル]テトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボキシレート(5.72g、0.0187mol、工程5)を加え、反応液を室温で24時間攪拌した。反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(300mL)で希釈し、ジクロロメタン(300mL)で3回抽出した。抽出物は合わせて硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残さをNH−シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、1:1)で精製し目的化合物9.83g(100%)を黄色シロップとして得た。
MS (ESI) m/z: 515 (M+H) +.
1H NMR (CDCl3) δ 8.90 (1 H,
t, J=4.9 Hz), 8.31-8.21 (1 H, m), 7.25-7.10 (3 H, m), 4.80-4.60 (1 H, m), 3.80
(2 H, dt, J=3.1 Hz, 11.5 Hz), 3.49 (2 H, dt, J=1.7 Hz, 11.4 Hz), 3.28 (2 H, t,
J= 6.4 Hz), 2.81 (2 H, br d, J=10.4 Hz), 2.44 (2 H, s), 2.16 (2 H, t, J=10.4
Hz), 1.98 (2 H, d, J=12.4 Hz), 1.81-1.20 (22 H, m, ((6 H, d, J = 7.1 Hz, 1.56
ppm)、及び、(9 H, s, 1.47 ppm)を含む)).
【0262】
工程7 4-{[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]メチル}テトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボン酸
tert−ブチル 4-{[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]メチル}テトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルボキシレート(3.67 g、7.13 mmol、工程6)のTHF(80mL)溶液に攪拌しながら0℃で濃塩酸(40mL)を加え、反応液を室温で20時間攪拌した。溶媒を濃縮除去し、残さを飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に注入した。ジクロロメタンで3回抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去後の残さをシリカゲルクロマトグラフィー(メタノール:ジクロロメタン、1:10)で精製することにより、目的化合物3.01g(92%)を得た。生成物をTHFから再結晶することにより目的化合物(0.893g)を白色結晶として得た。
MS (ESI) m/z: 459 (M+H) +.
1H NMR (CDCl3) δ
8.99 (1 H, t, J=5.6 Hz), 8.30-8.15 (1 H, m), 7.25-7.105 (3 H, m), 4.80-4.60 (1
H, m), 3.95-3.70 (4 H, m), 3.34 (2 H, t, J=6.3 Hz), 3.14 (2 H, br d, J=12.0
Hz), 2.65-2.45 (4 H, m, (2 H, s, 2.59 ppm)を含む), 1.92 (4 H, t, J=13.8 Hz),
1.85-1.40 (11 H, m, (6 H, d, J=6.9 Hz, 1.57 ppm)を含む).
m.p.: 176 °C.
IR (KBr) ν: 3281, 2947,
1720, 1688, 1611, 1595, 1547, 1481, 1447, 1375, 1200, 1159, 1136, 1105, 760 cm-1.
Anal. calcd. for C24H34N4O5:
C, 62.86; H, 7.47; N, 12.22. Found: C, 62.77; H, 7.42; N, 12.16.
【0263】
(実施例2)
1-{[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]
アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]メチル}シクロヘキサンカルボン酸
【0264】
【化15】

【0265】
工程1 tert−ブチル 4−シアノシクロヘキサンカルボキシレート
目的化合物は1,2−ジブロモペンタンを用い、実施例1の工程1と同様にして得られる。
1H-NMR (CDCl3) δ: 2.07 (2 H, d, J=13.0 Hz), 1.85-1.57 (7
H, m), 1.50 (9 H, s), 1.35-1.15 (1 H, m).
【0266】
工程2 tert−ブチル 1−(アミノメチル)シクロヘキサンカルボキシレート
目的化合物は、実施例1の工程2と同様にして得られる。
MS (ESI) m/z: 214 (M+H)+.
1H-NMR (CDCl3) δ:
2.69 (2 H, s), 2.02 (2 H, d, J=13.2 Hz), 1.65-1.05 (19 H, m, (9 H, s, 1.47 ppm)を含む).

【0267】
工程3 tert−ブチル−1-[(4-オキソピペリジン-1-イル)メチル]シクロヘキサンカルボキシレート
目的化合物は、実施例1の工程3と同様にして得られる。
MS (ESI) m/z: 296 (M+H)+.
1H-NMR (CDCl3) δ:
2.84 (4 H, t, J=6.1 Hz) 2.57 (2 H, s), 2.38 (4 H, t, J=6.1 Hz), 2.04 (2 H, d,
J=12.2 Hz), 1.65-1.15 (17 H, m, (9 H, s, 1.47 ppm)を含む).
【0268】
工程 4tert−ブチル−1-[(4-シアノピペリジン-1-イル)メチル]シクロヘキサンカルボキシレート
目的化合物は、実施例1の工程4と同様にして得られる。
MS (ESI) m/z: 307 (M+H)+.
1H-NMR (CDCl3) δ:
2.53-2.66 (2 H, m), 2.53-2.48 (1 H, m), 2.48-2.30 (4 H, m, (2 H, s, 2.41 ppm)を含む),
1.97 (2 H, d, J=12.5 Hz), 1.92-1.70 (4 H, m), 1.65-1.10 (19 H, m, (9 H, s, 1.45
ppm)を含む).
【0269】
工程5 tert−ブチル 1-{[4-(アミノメチル)ピペリジン-1-イル]メチル}シクロヘキサンカルボキシレート
目的化合物は実施例1の工程5と同様にして得られる。
MS (ESI) m/z: 311 (M+H+).
1H-NMR (CDCl3) δ:
2.81 (2 H, d, J=11.37 Hz), 2.55 (2 H, d, J=5.8 Hz), 2.39 (2 H, s), 2.11 (2 H,
t, J=11.0 Hz), 2.03-1.85 (5 H, m), 1.65-1.10 (21 H, m, (9 H, s, 1.45 ppm)を含む).
【0270】
工程6 tert−ブチル1-{[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]メチル}シクロヘキサンカルボキシレート
目的化合物は実施例1の工程6と同様にして得られる。
MS (ESI) m/z: 513 (M+H) +.
1H NMR (CDCl3) δ 8.89 (1 H,
t, J=5.3 Hz), 8.33-8.20 (1 H, m), 7.23-7.10 (3 H, m), 4.80-4.60 (1 H, m), 3.27
(2 H, t, J=6.3 Hz), 2.82 (2 H, d, J=11.5 Hz), 2.39 (2 H, s), 2.12 (2 H, t,
J=11.4 Hz), 1.97 (2 H, d, J=13.2 Hz), 1.73-1.10 (28 H, m, ((6 H, d, J = 6.9 Hz,
1.56 ppm)、及び、(9 H, s, 1.45 ppm)を含む)).
【0271】
工程7 1-{[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]
アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]メチル}シクロヘキサンカルボン酸
目的化合物は実施例1の工程7と同様にして得られる。
MS (ESI) m/z: 457 (M+H) +.
1H NMR (CDCl3) δ
8.98 (1 H, t, J=5.8 Hz), 8.28-8.18 (1 H, m), 7.25-7.10 (3 H, m), 4.80-4.60 (1
H, m), 3.34 (2 H, t, J=6.3 Hz), 3.11 (2 H, d, J=11.9 Hz), 2.61 (2 H, s), 2.48
(2H, t, J=12.2 Hz), 2.05-1.20 (21 H, m, (6 H, d, J=6.9 Hz, 1.57 ppm)を含む).
m.p.: 151 °C.
IR (KBr) ν: 3291,
2930, 1732, 1690, 1545, 1481, 1373, 1298, 1202, 1134, 762 cm-1.
Anal. calcd.
for C25H36N4O4: C, 65.76; H, 7.95;
N, 12.27. Found: C, 65.41; H, 8.18; N, 12.18.
【0272】
(実施例3)
1-{[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]
アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]メチル}シクロペンタンカルボン酸
【0273】
【化16】

【0274】
工程1 メチル 1−(イオドメチル)シクロペンタンカルボキシレート
ジイソプロピルアミン(1.31mL、9.36mmol)のTHF(5mL)溶液に、攪拌しながら、窒素雰囲気下−10℃以下を保ちながらn−ブチルリチウム(1.58Mヘキサン溶液、5.43mL、8.58mmol)を加え、−10℃で1時間攪拌した。反応液にメチルシクロペンタンカルボキシレート(1.00g、7.80mmol)のTHF(3mL)溶液を0℃で滴下し、反応液を0℃で2時間攪拌した。最後に、反応液にジヨウ化メタン(0.628mL。7.80mmol)を0℃で加え、室温で16時間攪拌した。反応は飽和アンモニウムクロリド水溶液(50mL)で終了させ、ジエチルエーテル(75mL)で2回抽出した。有機層は合わせて飽和食塩水(75mL)で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、濃縮した。溶媒を除去後、残さをシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン、1:20−>1:10)で精製し、目的化合物1.085g(52%)を無色オイルとして得た。
1H-NMR (CDCl3) δ 3.73 (3 H, s), 3.42 (2 H,
s), 2.30-2.15 (2 H, m), 1.80-1.55 (6 H, m).
【0275】
工程2 メチル1-[(4-{[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]メチル}ピペリジン-1-イル)メチル]シクロペンタンカルボキシレート
メチル 1−(イオドメチル)シクロペンタンカルボキシレート(5.52g、0.0205mol、工程1)、tert−ブチル(ピペリジン−4−イルメチル)カーバメート(8.83g、0.0412mol)及びジイソプロピルエチルアミン(10.76mL、0.0618mol)をN−メチルピロリドン(70mL)中、120℃、24時間攪拌した。冷却後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200mL)で希釈し、酢酸エチル(200mL)で2回抽出した。有機層は合わせて水(200m)、飽和食塩水(200mL)で洗った。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後濃縮した。溶媒除去後の残さをシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン、1:1)で精製し、目的化合物4.91g(67%)を黄色シロップとして得た。
MS (ESI)
m/z: 355(M+H)+.
1H-NMR (CDCl3)
δ 4.58 (1 H, br s), 3.66 (3 H, s), 2.97 (2 H, t, J=6.3 Hz), 2.77 (2 H, br d,
J=11.5 Hz), 2.55 (2 H, s), 1.70-1.50 (9 H, m), 1.44 (9 H, s), 1.25-1.08 (2 H,
m).
【0276】
工程3 メチル1-{[4-(アミノメチル)ピペリジン-1-イル]メチル}シクロペンタンカルボキシレート
Step 3. Methyl
1-{[4-(aminomethyl)piperidin-1-yl]methyl}cyclopentanecarboxylate
メチル1-[(4-{[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]メチル}ピペリジン-1-イル)メチル]シクロペンタンカルボキシレート(1.16g、3.27mmol、工程2)のジクロロメタン(25mL)溶液にトリフルオロ酢酸(5mL)を加えた反応液を室温で1.5時間攪拌した。反応液は濃縮後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)でアルカリ化後、クロロホルム(100mL)で5回抽出した。有機層を合わせ乾燥後、濃縮して目的化合物0.831g(100%)を黄色シロップとして得た。
MS (ESI) m/z: 255 (M+H)+.
1H-NMR (CDCl3) δ
3.66 (3 H, s), 2.78 (2 H, d, J=11.5 Hz), 2.62-2.50 (4 H, m), 2.15-1.98 (4 H,
m), 1.80-1.40 (9 H, m), 1.30-1.05 (2 H, m).
【0277】
工程4 メチル 1-{[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]メチル}シクロペンタンカルボキシレート
目的化合物は実施例1の工程6と同様にして得られる。
MS (ESI) m/z: 457 (M+H) +.
1H NMR (CDCl3) δ
8.94 (1 H, t, J=5.7 Hz), 8.28-8.20 (7.25-7.10 (3 H, m), 4.80-4.60 (1 H, m),
3.66 (3 H, s), 3.27 (2 H, t, J=6.4 Hz), 2.84 (2 H, d, J=11.6Hz), 2.62 (2 H, s),
2.20-2.00 (4 H, m), 1.75-1.50 (15 H, m, (6 H, d, J=7.0 Hz, 1.56 ppm)を含む),
1.40-1.20 (2 H, m).
【0278】
工程5 1-{[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]メチル}シクロペンタンカルボン酸
メチル 1-{[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]メチル}シクロペンタンカルボキシレート(1.33g、2.90mmol、工程4)の4N塩酸(6mL)溶液と酢酸(6mL)混合溶液を18時間還流で攪拌した。冷却後、反応液を濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)でアルカリ化し、ジクロロメタン(150mL)で3回抽出した。合わせた抽出物は硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後濃縮した。残さをシリカゲルクロマトグラフィー(メタノール:ジクロロメタン、1:10)で精製し目的化合物1.12g(85%)を白色固体として得た。粗生成物は酢酸エチルで2回再結晶後、50℃真空乾燥を2日間行い目的化合物610mgを白色結晶として得た。
MS (ESI) m/z: 443 (M+H) +.
m.p.: 165 °C.
IR (KBr) ν: 3271, 2934,
1736, 1684, 1607, 1558, 1483, 1454, 1379, 1358, 1298, 1209, 1167, 1097, 758 cm-1.
1H NMR (CDCl3) δ
9.00 (1 H, t, J=5.5 Hz), 8.30-8.18 (1 H, m), 7.25-7.10 (3 H, m), 4.80-4.60 (1
H, m), 3.34 (2 H, t, J=11.0 Hz), 2.32-2.17 (2 H, m), 2.00-1.30 (17 H, m, (6 H,
d, 7.0 Hz, 1.57 ppm)を含む).
Anal. calcd. for C24H34N4O4・0.2
H2O: C, 64.61; H, 7.77; N, 12.56. Found: C, 64.34; H, 7.79; N, 12.48.
【0279】
(実施例4)1-{[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]メチル}シクロプロパンカルボン酸塩酸塩
【化17】

【0280】
工程1 tert−ブチル1-[(4-{[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]メチル}ピペリジン-1-イル)メチル]シクロプロパンカルボキシレート
tert−ブチル 1−(イオドメチル)シクロプロパンカルボキシレート(出発物質を含む;3:2混合物)を実施例3の工程1と同様にしてtert−ブチルシクロプロパンカルボキシレート(J. Organomet. Chem., 1983, 252, 267-274)をメチルシクロペンタンカルボキシレートの代わりに用いて製造した。生成物は精製せずに次反応に用いた。
目的化合物は実施例3の工程2と同様にして得た。
MS (ESI) m/z: 369 (M+H) +.
1H NMR (CDCl3) δ
4.59 (1 H, br s), 2.99 (2 H, d, J=5.9 Hz), 2.89 (2 H, br d, J=11.5 Hz), 2.57 (2
H, s), 2.00 (2 H, t, J=11.7 Hz), 1.62 (2 H, d, J=12.9 Hz), 1.55-1.35 (1 H, m),
1.44 (9 H, s), 1.42 (9 H, s), 1.30-1.15 (2 H, m), 1.13 (2 H, dd, J=3.8 Hz, 6.6
Hz), 0.74 (2 H, dd, J=3.5 Hz, 6.3 Hz).
【0281】
工程2 tert−ブチル 1-{[4-(アミノメチル)ピペリジン-1-イル]メチル}シクロプロパンカルボキシレート
目的化合物は実施例3の工程3と同様にして得た。
MS (ESI) m/z: 269 (M+H) +.
1H NMR (CDCl3) δ
2.96 (2 H, br d, J=11.5 Hz), 2.60-2.50 (4 H, m), 2.00 (2 H, t, J=11.4 Hz),
1.75-1.35 (14 H, m, ((2 H, br d, J=9.6 Hz, 1.66 ppm)、及び、(9 H, s, 1.43 ppm)を含む)),
1.33-1.16 (2 H, m), 1.13 (2 H, dd, J=4.0 Hz, 6.9 Hz), 0.74 (2 H, dd, J=3.8 Hz,
6.6 Hz).
【0282】
工程3 tert−ブチル1-{[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]メチル}シクロプロパンカルボキシレート
目的化合物は実施例3の工程4と同様にして得た。
MS (ESI) m/z: 471 (M+H) +.
1H NMR (CDCl3) δ
8.91 (1 H, br t, J=5.5 Hz), 8.32-8.20 (1 H, m), 7.25-7.10 (3 H, m), 4.80-4.60
(1 H, m), 3.30 (2 H, t, J=6.4 Hz), 2.91 (2 H, br d, J=11.6 Hz), 2.57 (2 H, s),
2.01 (2 H, br t, J=9.5 Hz), 1.73 (2 H, br d, J=12.1 Hz), 1.67-1.50 (10 H, m, (6H,
d, J=7.0 Hz, 1.56 ppm)を含む), 1.43 (9 H, s), 1.34-1.20 (2 H, m), 1.12 (2 H, dd,
J=4.0 Hz, 7.0 Hz), 0.73 (2 H, dd, J=3.9 Hz, 6.8 Hz).
【0283】
工程4 1-{[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]メチル}シクロプロパンカルボン酸塩酸塩
目的化合物は実施例1の工程7と同様にして得た。
MS (ESI) m/z: 415 (M+H) +.
m.p.: 206 °C.
IR (KBr) ν: 2936, 2700,
1732, 1688, 1556, 1485, 1383, 1359, 1182, 1164, 758 cm-1.
1H NMR (DMSO-d6) δ
8.86 (1 H, t, J=6.3 Hz), 8.07 (1 H, dd, J=1.0 Hz, 7.8 Hz), 7.45 (1 H, d, J=7.1
Hz), 7.22 (1 H, dt, J=1.3 Hz, 7.6 Hz), 7.15 (1 H, dt, J=1.2 Hz, 7.7 Hz),
4.95-4.60 (1 H, m), 3.70-3.10 (6 H, m), 3.10-2.90 (2 H, m), 1.86 (3 H, m, (2 H,
d, J=11.2 Hz, 1.86 ppm)を含む), 1.70-1.53 (2 H, m), 1.49 (6 H, d, J= 6.9 Hz),
1.35-1.15 (4 H, m).
Anal. calcd. for C22H30N4O4
・ HCl ・ 0.2 H2O: C, 58.13; H, 6.96; N, 12.33. Found: C, 57.93; H, 6.97;
N, 12.18.
【0284】
(実施例5)1-[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]プロパンカルボン酸塩酸塩
【化18】

【0285】
工程1 tert−ブチル 4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-カルボキシレート
1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン(J. Med. Chem. 1999, 42, 2870-2880) (3.00 g、 17.02 mmol)とトリエチルアミン(7.12mL、51.06mmol)のテトラヒドロフラン(70mL)溶液にテトラヒドロフラン(14mL)中のトリホスゲン(5.15g、17.02mmol)を室温で加えた。反応液は19時間還流した。反応液を冷却後、tert−ブチル 4−(アミノメチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(J.
Prugh, L. A. Birchenough and M. S. Egbertson, Synth. Commun., 1992, 22, 2357-60)
(3.28 g、 15.32 mmol)の10mLテトラヒドロフラン溶液を加えた。反応液は24時間還流した。冷却後飽和炭酸水素ナトリウム(50mL)で反応液をアルカリ化し、酢酸エチル100mLで3回抽出した。抽出物を合わせて飽和食塩水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。残さをフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、5:1から1:2)で精製し、目的化合物3.99g(62%)を無色オイルとして得た。
1H-NMR (CDCl3) δ:
9.04-8.88 (1 H, m), 8.83-8.20 (1H, m), 7.26-7.10 (3H, m), 4.80-4.60
(1H, m), 4.28-4.02 (2H, m), 3.32 (2H, t, J=6.1 Hz), 2.82-2.60 (2H,
m), 1.94-1.10 (5H, m), 1.57 (6H, d, J=7.1 Hz), 1.45 (9H, s).
【0286】
工程2 3−イソプロピル−2−オキソ−N−(ピペリジン−4−イルメチル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−カルボキサミド
tert−ブチル 4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-カルボキシレート(3.992g、9.58mmol)の10%塩酸メタノール溶液50mLの溶液と10mL濃塩酸室温で18時間攪拌した。反応液は濃縮後、炭酸ナトリウム水溶液でアルカリ化され、クロロホルム100mLで3回抽出した。抽出物は合わせて乾燥され、濃縮した。残さをフラッシュクロマトグラフィー(NH−シリカゲル、ジクロロメタン:メタノール=100:1)で精製し、目的化合物2.272g(75%)を無色オイルとして得た。
MS (ESI) m/z: 317 (M+H)+.
1H-NMR (CDCl3) δ:
8.93 (1H, br), 8.32-8.22 (1H, m), 7.24-7.02 (3H, m),
4.80-4.61 (1H, m), 3.31 (2H, t, J=6.0 Hz), 3.20-3.05 (2H, m),
2.79-2.54 (2H, m), 1.84-1.52 (3H, m), 1.57 (6H, d, J=6.9 Hz), 1.36-1.13 (2H,
m).
【0287】
工程3 tert-ブチル 3-[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]プロパノエート
3−イソプロピル−2−オキソ−N−(ピペリジン−4−イルメチル)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−カルボキサミド(0.50g、1.58 mmol、工程2)、tert−ブチルアセテート(0.340mL、2.37mmol)及びイソプロピルエチルアミン(0.275mL、2.37mmol)をTHF(20mL)中18時間還流した。冷却後飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)で希釈し、ジクロロメタン(100mL)で3回抽出した。抽出物を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後濃縮した。残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン、1:5−>1:2)で精製し、目的化合物0.111g(16%)を無色シロップとして得た。
MS (ESI) m/z: 445 (M+H) +.
1H NMR (CDCl3) δ
8.94 (1 H, br s), 8.30-8.20 (1 H, m), 7.25-7.11 (3 H, m), 7.11-7.00 (1 H, m),
4.80-4.62 (1 H, m), 3.31 (2 H, t, J=6.2 Hz), 2.95 (2 H, br t, J=11.6 Hz), 2.68
(2 H, t, J=7.2 Hz), 2.43 (2 H, t, J=7.7 Hz), 2.03 (2 H, br t, J=11.4 Hz),
1.98-1.82 (1 H, m), 1.79 (2 H, d, J=12.1 Hz), 1.56 (6 H, d, J=7.2 Hz),
1.50-1.30 (11 H, m, (9 H, s, 1.44 ppm)を含む).
【0288】
工程4 1-[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]プロパンカルボン酸塩酸塩
目的化合物は実施例1の工程7と同様にして得た。
MS (ESI) m/z: 389 (M+H) +.
IR (KBr) ν: 2939, 2637,
1724, 1682, 1542, 1466, 1373, 1217, 1194, 953, 762 cm-1.
1H NMR (DMSO-d6) δ
8.86 (1 H, t, J=5.9 Hz), 8.07 (1 H, dd, J=0.8 Hz, 7.7 Hz), 7.49 (1 H, d, J=7.6
Hz), 7.22 (1 H, dt, J=1.3 Hz, 7.6 Hz), 7.15 (1 H, dt, J=1.0 Hz, 7.6 Hz),
4.75-4.60 (1 H, m), 3.70-3.10 (6 H, m), 2.93 (2 H, br t, J=11.2 Hz), 2.85-2.70
(2 H, m), 1.95-1.75 (3 H, m, (2 H, d, J=11.5 Hz, 1.87 ppm)を含む), 1.65-1.40 (8 H,
m, (6 H, d, J=7.1 Hz, 1.49 ppm)を含む).
Anal. calcd. for C20H28N4O4
・ HCl ・ 0.8 H2O: C, 54.68; H, 7.02; N, 12.75. Found: C, 54.67; H, 6.88;
N, 12.70.
【0289】
(実施例6)1-{[4-ヒドロキシ-4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]メチル}シクロヘキサンカルボン酸
【化19】

【0290】
工程1 メチル 1−(イオドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート
目的化合物はメチルシクロヘキサンカルボキシレートを用い、実施例3の工程1と同様にして得た。
1H NMR (CDCl3) δ
3.73 (3 H, s), 3.32 (2 H, s), 2.20-2.05 (2 H, m), 1.70-1.20 (8 H, m).
【0291】
工程2 メチル 1-[(4-{[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]メチル}-4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)メチル]シクロヘキサンカルボキシレート
目的化合物はtert-ブチル [(4-ヒドロキシピペリジン-4-イル)メチル]カーバメート (Chem.
Pharm. Bull., 2002, 50 (9) 1187-1194)及びメチル 1−(イオドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート(実施例6の工程1)を用いて実施例3の工程1と同様にして得た。
MS (ESI) m/z: 385 (M+H) +.
1H NMR (CDCl3) δ
4.86 (1 H, br s), 3.66 (3 H, s), 3.11 (2 H, d, J=6.3 Hz), 2.55-2.45 (6 H, m),
2.03 (2 H, br d, J=10.4 Hz), 1.70-1.15 (18 H, m, (9 H, s, 1.44 ppm)を含む).
【0292】
工程3 メチル1-{[4-(アミノメチル)-4-ヒドロキシピペリジン-1-イル]メチル}シクロヘキサンカルボキシレート
目的化合物は実施例3の工程3と同様にして得た。
MS (ESI) m/z: 285 (M+H) +.
1H NMR (CDCl3) δ
3.66 (3 H, s), 2.61 (1 H, br s), 2.57-2.45 (5 H, m), 2.35-2.11 (3 H, m), 2.04
(2 H, br d, J=11.5 Hz), 1.65-1.45 (6 H, m), 1.45-1.20 (4 H, m).
【0293】
工程4 メチル 1-{[4-ヒドロキシ-4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]メチル}シクロヘキサンカルボキシレート
目的化合物は実施例3の工程4と同様にして得た。
MS (ESI) m/z: 487 (M+H) +.
1H NMR (CDCl3) δ
9.12 (1 H, t, J=5.6 Hz), 8.30-8.20 (1 H, m), 7.25-7.10 (3 H, m), 4.80-4.65 (1
H, m), 3.66 (3 H, s), 3.54 (2 H, d, J=5.9 Hz), 2.60-2.45 (6 H, m), 2.03 (2 H, br
d, J=9.1 Hz), 1.75-1.47 (12 H, m), 1.47-1.15 (6 H, m).
【0294】
工程5 1-{[4-ヒドロキシ-4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]メチル}シクロヘキサンカルボン酸
目的化合物は実施例3の工程5と同様にして得た。
MS (ESI) m/z: 473 (M+H) +.
m.p.:
184°C.
IR (KBr) ν: 3437, 3273,
2943, 1732, 1688, 1601, 1533, 1479, 1452, 1371, 1134, 978, 762 cm-1.
1H NMR (DMSO-d6) δ
8.94 (1 H, t, J=5.6 Hz), 8.09 (1 H, d, J=7.7 Hz), 7.43 (1 H, d, J=7.7 Hz), 7.22
(1 H, t, J= 7.8 Hz), 7.14 (1 H, t, J=7.4 Hz), 4.75-4.58 (1 H, m), 4.59 (1 H,
s), 2.47 (2 H, s), 4.00-3.00 (6 H, m), 1.86 (2 H, d, J=11.4 Hz), 1.60-1.10 (18
H, m, (6 H, d, J=6.9 Hz, 1.49 ppm)を含む).
Anal. calcd. for C25H36N4O5
・ 0.5 H2O: C, 62.35; H, 7.74; N, 11.63. Found: C, 62.52; H, 7.70; N,
11.66.
【0295】
(実施例7)1-{[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]メチル}シクロブタンカルボン酸
【化20】

【0296】
工程1 メチル1-[(4-{[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]メチル}ピペリジン-1-イル)メチル]シクロブタンカルボキシレート
tert−ブチル(ピペリジン−4−イルメチル)カーバメート(12.8g、60mmol)及び1−ホルミルシクロブタンカルボキシレート(2.13g、15mmol、Davis, Charles R.; Swenson, Dale C.;
Burton, Donald J., J. Org. Chem., 1993, 58, 6843)のTHF中混合物に攪拌しながら酢酸(8.6mL、150mmol)を環境温度で加えた。30分後、トリアセトキシボロハイドライドナトリウム(12.7g、60mmol)を反応液に加え、60℃で2時間加熱した。冷却後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に注ぎ、水層をジクロロメタンで3回抽出した。有機層を合わせ飽和食塩水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。残さをシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、1:1)で精製し、目的化合物4.25g(83%)を白色固体として得た。
MS (ESI) m/z: 341 (M+H+).
1H-NMR (CDCl3) δ: 3.69 (3 H, s), 2.96 (2 H,
t, J=6.2 Hz), 2.75 (2 H, d, J=11.4 Hz), 2.67 (2 H, s), 2.37-2.46 (2 H, m),
1.78-2.05 (6 H, m), 1.45-1.65 (2 H, m), 1.43 (9 H, s), 1.09-1.21 (2 H, m),
【0297】
工程2 メチル 1-{[4-(アミノメチル)ピペリジン-1-イル]メチル}シクロブタンカルボキシレート
目的化合物は、メチル1-[(4-{[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]メチル}ピペリジン-1-イル)メチル]シクロブタンカルボキシレート(実施例7の工程1)から実施例3の工程3と同様にして得た。
MS (ESI) m/z: 241 (M+H+).
1H-NMR (CDCl3) δ: 3.67 (3 H, s), 2.72-2.78
(2 H, m), 2.66 (2 H, s), 2.54 (2 H, d, J=6.2 Hz), 2.34 -2.47 (2 H, m),
1.79-2.04 (8 H, m), 1.54-1.64 (2 H, m), 1.05-1.35 (3 H, m)..
【0298】
工程3 メチル1-{[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]メチル}シクロブタンカルボキシレート
目的化合物はメチル 1-{[4-(アミノメチル)ピペリジン-1-イル]メチル}シクロブタンカルボキシレート(実施例7の工程2)から実施例1の工程6と同様にして得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.92-8.86 (1 H, m),
8.28-8.24 (1 H, m), 7.20-7.12 (3 H, m), 4.75-4.62 (1 H, m), 3.70 (3 H, s), 3.27
(2 H, t, J=6.4 Hz), 2.85-2.72 (2 H, m), 2.68 (2 H, s), 2.47-2.35 (2 H, m),
2.05-1.92 (4 H, m), 1.92-1.76 (2 H, m), 1.71-1.61 (2 H, m), 1.56 (6 H, d, J=7.0
Hz), 1.32-1.17 (2 H, m),
MS (ESI) m/z: 443 (M+H+).
【0299】
工程4 1-{[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]メチル}シクロブタンカルボン酸
目的化合物はメチル1-{[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]メチル}シクロブタンカルボキシレート(実施例7の工程3)から実施例3の工程3と同様にして得た。
IR (KBr) ν: 3293, 2979,
2937, 2875, 1732, 1687, 1610, 1548, 1479, 1375, 1298, 1203, 1099, 761, 704 cm-1
1H-NMR (CDCl3) δ: 9.02-8.95 (1 H, m),
8.26-8.22 (1 H, m), 7.22-7.12 (3 H, m), 4.76-4.62 (1 H, m), 3.33 (2 H, t, J=6.2
Hz), 3.10-3.00 (2 H, m), 2.77 (2 H, s), 2.58-2.48 (2 H, m), 2.44-2.24 (2 H, m),
1.92-1.79 (2 H, s), 1.99-1.80 (5 H, m), 1.56 (6 H, d, J=7.0 Hz), 1.50-1.33 (3
H, m).
MS (ESI) m/z: 429 (M+H+).
Anal. Calcd. for C23H32N4O4:
C, 64.46; H, 7.53; N, 13.07. Found: C, 64.47; H, 7.43; N, 12.93.
【0300】
(実施例8)N-({1-(2-オキシカルボニル-2-メチルプロピル)ピペリジン-4-イル}メチル)-3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-カルボキサミド
【化21】

【0301】
工程1 tert-ブチル [{1-(2-ベンジルオキシカルボニル-2-メチルプロピル)ピペリジン-4-イル}メチル]カーバメート
tert−ブチル(ピペリジン−4−イルメチル)カーバメート(38.8g、181mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(100mL)溶液に攪拌しながらベンジル3−クロロピバレート(14.2g、124mmol:3−クロロピバロイルクロリド(25.6g、165mmol)及びベンジルアルコール(19.6g、181mmol)から調整)、エチルジイソプロピルアミン(64.0g、495mmol)、及び、ヨウ化ナトリウム(27.1g、181mmol)を環境温度で加えた。反応液を120℃で14時間攪拌した。揮発成分を留去し、残さをシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、1:1)で精製し、目的化合物640mg(1%)を淡黄色オイルとして得た。
MS (ESI) m/z: 405 (M+H+).
1H NMR (CDCl3) δ
7.43-7.23 (5 H, m), 5.10 (2 H, s), 4.58 (1 H, br t), 2.95 (2 H, m), 2.71 (2 H,
m), 2.46 (2 H, br s), 2.06 (2 H, m), 1.57-1.36 (3 H, m), 1.44 (9 H, s), 1.12 (2
H, m), 1.17 (6 H, s).
【0302】
工程2 N-({1-(2-ベンジルオキシカルボニル-2-メチルプロピル)ピペリジン-4-イル}メチル)-3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-カルボキサミド
1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン(J. Med. Chem. 1999, 42, 2870-2880) (411 mg、 2.33 mmol)及びトリエチルアミン(1.00mL、7.17mmol)のジクロロメタン(20mL)溶液に攪拌しながら4−ニトロフェニルクロロホルメート(470mg、2.33mmol)を室温で加えた。反応液を2時間室温で攪拌し、1-(2-ベンジルオキシカルボニル-2-メチルプロピル)-4-アミノメチルピペリジン塩酸塩(tert-ブチル [{1-(2-ベンジルオキシカルボニル-2-メチルプロピル)ピペリジン-4-イル}メチル]カーバメート(工程1)(640mg、1.49mmol)及び10%塩酸メタノール溶液(20.0mL)より調整)とトリエチルアミン(1.00mL、7.17mmol)のジクロロメタン(5.00mL)懸濁液を加えた。反応液は室温で13時間攪拌し、0.5M水酸化ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出した。抽出物は0.5M水酸化ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残さをシリカゲルクロマトグラフィー(メタノール:ジクロロメタン、1:10)で精製し、目的化合物508mg(63%)を淡黄色オイルとして得た。
MS (ESI) m/z: 507 (M+H+).
1H NMR (CDCl3) δ
8.89 (1 H, br t, J = 5.7 Hz), 8.26 (1 H, m), 7.43-7.05 (8 H, m), 5.10 (2 H, s),
4.70 (1 H, septet, J = 7.0 Hz), 3.26 (2 H, m), 2.75 (2 H, m), 2.48 (2 H, br s),
2.11 (2 H, m), 1.61 (2 H, m), 1.56 (6 H, d, J = 7.0 Hz), 1.52 (1 H, m), 1.26 (2
H, m), 1.18 (6 H, s).
【0303】
工程3 N-({1-(2-オキシカルボニル-2-メチルプロピル)ピペリジン-4-イル}メチル)-3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-カルボキサミド
N-({1-(2-ベンジルオキシカルボニル-2-メチルプロピル)ピペリジン-4-イル}メチル)-3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-カルボキサミド(工程2)(418mg、0.825mmol)及び20%Pd(OH)−炭素(58.0mg)のメタノール(80mL)中混合物を、水素ガス雰囲気下、室温で12時間攪拌した。触媒はセライトろ過し、ろ液を減圧か留去した。得られた固体をヘキサン−ジクロロメタンで再結晶して目的化合物285mg(84%)を無色固体として得た。
MS (ESI) m/z: 417 (M+H) +.
1H NMR (DMSO-d6) δ
8.80 (1 H, br t, J = 5.8 Hz), 8.05 (1 H, m), 7.42 (1 H, m), 7.20 (1 H, m), 7.12
(1 H, m), 4.65 (1 H, septet, J = 7.0 Hz), 3.20 (2 H, m), 2.85 (2 H, m), 2.44 (2
H, br s), 2.18 (2 H, m), 1.61 (2 H, m), 1.50 (1 H, m), 1.47 (6 H, d, J = 7.0
Hz), 1.20 (2 H, m), 1.04 (6 H, s).
カルボン酸のシグナルは観察されなかった。
Anal. calcd. for C22H32N4O4
・ 0.1 H2O: C, 63.17; H, 7.76; N, 13.39. Found: C, 62.78; H, 7.74; N,
13.11.
【0304】
(実施例9)N-({1-(2-テトラゾール-2-メチルプロピル)ピペリジン-4-イル}メチル)-3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-カルボキサミド
【化22】

【0305】
工程1 2-ベンジル-α, α-ジメチル-2H-テトラゾール-5-酢酸エチルエステル
α, α-ジメチル-テトラゾール-5-酢酸エチルエステル(J.
Med. Chem. 1996, 39, 2354-2366.) (6.87 g、37.3 mmol)及び炭酸カリウム(12.3g、89.0mmol)のアセトン(200mL)中混合物に攪拌しながらベンジルブロミド(4.45mL、37.4mmol)を環境温度で加えた。反応液を50℃で18時間攪拌し、減圧下濃縮した。残さをシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、10:1)で精製し、目的化合物6.14g(60%)を無色オイルとして得た。
MS (ESI) m/z: 275 (M+H+).
1H NMR (CDCl3) δ
7.45-7.23 (5 H, m), 5.73 (2 H, s), 4.11 (2 H, q, J = 7.2 Hz), 1.70 (6 H, s),
1.13 (3 H, t, J = 7.2 Hz).
【0306】
工程2 2−ベンジル−α,α−2H−テトラゾール−5−アセトアルデヒド
2-ベンジル-α, α-ジメチル-2H-テトラゾール-5-酢酸エチルエステル(実施例9の工程1)(6.14g、22.4mmol)のジクロロメタン(100mL)溶液に攪拌しながら、−78℃でDIBAL(1.0Mトルエン溶液、50.0mL、50.0mmol)を加えた。反応液は−78℃で4時間攪拌した後、DIBAL(1.0Mトルエン溶液、25.0mL、25.0mmol)を加え、−78℃で8時間攪拌した。反応液に2M塩酸(100mL)及び飽和塩化アンモニウム水溶液(20mL)を加え、有機層を分液し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残さをシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、10:1)で精製し目的化合物3.45g(67%)を無色オイルとして得た。
MS (ESI) m/z: 231 (M+H+).
1H NMR (CDCl3) δ
9.68 (1 H, s), 7.45-7.23 (5 H, m), 5.74 (2 H, s), 1.56 (6 H, s).
【0307】
工程3 tert-ブチル [{1-(2-(2-ベンジルテトラゾール)-2-メチルプロピル)ピペリジン-4-イル}メチル]カーバメート
2−ベンジル−α,α−2H−テトラゾール−5−アセトアルデヒド(実施例9の工程2)(1.28g、5.56mmol)及びtert−ブチル(ピペリジン−4−イルメチル)カーバメート(2.40g、11.2mmmol)のテトラヒドロフラン(300mL)溶液に攪拌しながらNaBH(OAc)3
(5.90 g, 27.8 mmol)と酢酸(1.67g、27.8mmol)を加えた。反応液は60℃で9時間攪拌した後減圧濃縮した。残さオイルに攪拌しながら炭酸水素ナトリウム水溶液とジクロロメタンを加えた。有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残さをシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、1:1)で精製し、目的化合物830mg(35%)を無色オイルとして得た。
MS (ESI) m/z: 429 (M+H) +.
1H NMR (CDCl3) δ
7.43-7.23 (5 H, m), 5.72 (2 H, s), 4.50 (1 H, br t), 2.91 (2 H, m), 2.58 (2 H,
br s), 2.49 (2 H, m), 2.05 (2 H, m), 1.68-1.14 (3 H, m), 1.44 (9 H, s), 1.38 (6
H, s), 1.00 (2 H, m).
【0308】
工程4 N-({1-(2-(2-ベンジルテトラゾール)-2-メチルプロピル)ピペリジン-4-イル}メチル)-3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-カルボキサミド
目的化合物は、1−イソプロピルー1,3−ジヒドロー2H−ベンズイミダゾール−2―オン及びtert-ブチル [{1-(2-(2-ベンジルテトラゾール)-2-メチルプロピル)ピペリジン-4-イル}メチル]カーバメート(実施例9の工程3)から実施例8の工程2と同様にして得た。
MS (ESI) m/z: 531 (M+H+).
1H NMR (CDCl3) δ
8.86 (1 H, br t, J = 5.7 Hz), 8.26 (1 H, m), 7.43-7.08 (8 H, m), 5.72 (2 H, s),
4.70 (1 H, septet, J = 7.0 Hz), 3.21 (2 H, m), 2.59 (2 H, br s), 2.51 (2 H, m),
2.07 (2 H, m), 1.65-1.32 (3 H, m), 1.56 (6 H, d, J = 7.0 Hz), 1.38 (6 H, s ),
1.10 (2 H, m).
【0309】
工程5 N-({1-(2-テトラゾール-2-メチルプロピル)ピペリジン-4-イル}メチル)-3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-カルボキサミド
目的化合物は、N-({1-(2-(2-ベンジルテトラゾール)-2-メチルプロピル)ピペリジン-4-イル}メチル)-3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-カルボキサミド(実施例9の工程4)から実施例8の工程3と同様にして得た。
MS (ESI) m/z: 441 (M+H) +.
1H NMR (DMSO-d6) δ
8.77 (1 H, br t, J = 5.9 Hz), 8.04 (1 H, m), 7.40 (1 H, m), 7.18 (1 H, m), 7.11
(1 H, m), 4.63 (1 H, septet, J = 7.0 Hz), 3.15 (2 H, m), 2.54 (2 H, br s), 2.43
(2 H, m), 2.10 (2 H, m), 1.60-1.25 (3 H, m), 1.45 (6 H, d, J = 7.0 Hz), 1.32 (6
H, s ), 1.14 (2 H, m). テトラゾールのシグナルは観察されなかった。
Anal. calcd. for C22H32N8O4
・ 0.95 H2O: C, 57.74; H, 7.47; N, 24.48. Found: C, 58.03; H, 7.43;
N, 24.10.
【0310】
(実施例10)N-({1-(2-シクロペンチル
-2-テトラゾールエチル)ピペリジン-4-イル}メチル)-3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-カルボキサミド
【化23】

【0311】
工程1 α−シクロペンチルテトラゾール−5−酢酸エチルエステル
1−シアノ−1−シクロペンタンカルボン酸エチルエステル(Bioorg. Med. Chem. Lett. 1999, 9, 369-374.) (6.19 g、37.0 mmol)の1,4-ジオキサン(100
mL)溶液に攪拌しながらnBu3SnN3 (12.3 g、37.0 mmol)を環境温度で加えた。反応液を15時間還流した後、減圧濃縮した。残渣に4M塩酸ジオキサン溶液(50mL)を加え、減圧濃縮した。残さオイルをヘキサンで2回洗い目的化合物を黄色オイルとして得た。目的化合物は精製せずに次の反応に用いた。
【0312】
工程2 2−ベンジル−α−シクロペンチル−2H−テトラゾール−5−酢酸エチルエステル
目的化合物は、α−シクロペンチルテトラゾール−5−酢酸エチルエステル(実施例10の工程1)より実施例9の工程1と同様にして得た。
MS (ESI) m/z: 301 (M+H+).
1H NMR (CDCl3) δ
7.45-7.23 (5 H, m), 5.73 (2 H, s), 4.11 (2 H, q, J = 7.1 Hz), 2.55-2.35 (4 H,
m), 1.88-1.56 (4 H, m), 1.12 (3 H, t, J = 7.1 Hz).
【0313】
工程3 2−ベンジル−α−シクロペンチル−2H−テトラゾール−アセトアルデヒド
目的化合物は、2−ベンジル−α−シクロペンチル−2H−テトラゾール−5−酢酸エチルエステル(実施例10の工程2)より実施例9の工程2と同様にして得た。
MS (ESI) m/z: 257 (M+H+).
1H NMR (CDCl3) δ
9.71 (1 H, s), 7.50-7.30 (5 H, m), 5.74 (2 H, s), 2.45-2.18 (4 H, m), 1.85-1.66
(4 H, m).
【0314】
工程4 tert−ブチル[{1-(2-(2-ベンジルテトラゾール)-2-
シクロペンチルエチル)ピペリジン-4-イル}メチル]カーバメート
目的化合物は、2−ベンジル−α−シクロペンチル−2H−テトラゾール−アセトアルデヒド(実施例10の工程3)より実施例9の工程3と同様にして得た。
MS (ESI) m/z: 455 (M+H) +.
1H NMR (CDCl3) δ
7.43-7.23 (5 H, m), 5.72 (2 H, s), 4.67 (1 H, br t), 2.88 (2 H, m), 2.66 (2 H,
br s), 2.48 (2 H, m), 2.24 (2 H, m), 1.93 (2 H, m), 1.83 (2 H, m), 1.78-1.48 (4
H, m), 1.43 (9 H, s), 1.37 (2 H, m), 1.23 (1 H, m), 0.94 (2 H, m).
【0315】
工程5 N-({1-(2-(2-ベンジルテトラゾール)-2-シクロペンチルエチル)ピペリジン-4-イル}メチル)-3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-カルボキサミド
目的化合物は、tert−ブチル[{1-(2-(2-ベンジルテトラゾール)-2-
シクロペンチルエチル)ピペリジン-4-イル}メチル]カーバメート(実施例10の工程4)より実施例8の工程2と同様にして得た。
MS (ESI) m/z: 557 (M+H+).
1H NMR (CDCl3) δ
8.85 (1 H, br t, J = 5.5 Hz), 8.26 (1 H, m), 7.43-7.08 (8 H, m), 5.73 (2 H, s),
4.70 (1 H, septet, J = 7.0 Hz), 3.19 (2 H, m), 2.70 (2 H, br s), 2.53 (2 H, m),
2.25 (2 H, m), 2.15-1.35 (11 H, m), 1.56 (6 H, d, J = 7.0 Hz), 1.07 (2 H, m).
【0316】
工程6 N-({1-(2-シクロペンチル-2-テトラゾールエチル)ピペリジン-4-イル}メチル)-3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-カルボキサミド
目的化合物はN-({1-(2-(2-ベンジルテトラゾール)-2-シクロペンチルエチル)ピペリジン-4-イル}メチル)-3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-カルボキサミド(実施例10の工程5)より実施例8の工程3と同様にして得た。
MS (ESI) m/z: 467 (M+H) +.
1H NMR (DMSO-d6) δ
8.76 (1 H, br t, J = 5.9 Hz), 8.04 (1 H, m), 7.40 (1 H, m), 7.18 (1 H, m), 7.11
(1 H, m), 4.64 (1 H, septet, J = 7.0 Hz), 3.14 (2 H, m), 2.63 (2 H, br s), 2.54
(2 H, m), 2.08 (2 H, m), 2.00 (2 H, m), 1.76 (2 H, m), 1.68-0.96 (9 H, m), 1.46
(6 H, d, J = 7.0 Hz). テトラゾールのシグナルは観察されなかった。
Anal. calcd. for C24H34N8O4
・ 1.0 H2O ・ 0.5 CH2Cl2: C, 55.83; H, 7.08; N, 21.26.
Found: C, 55.71; H, 7.48; N, 20.86.
【0317】
(実施例11)N-({1-(2-シクロヘキシル-2-テトラゾールエチル)ピペリジン-4-イル}メチル)-3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-カルボキサミド
【化24】

【0318】
工程1 α−シクロヘキシルテトラゾール−5−酢酸エチルエステル
目的化合物は1−シアノ−1−シクロヘキサンカルボンカルボン酸エチルエステル(Bioorg. Med. Chem. Lett. 1999, 9, 369-374.)から実施例10の工程1と同様にして得た。
【0319】
工程2 2−ベンジル−α−シクロヘキシル−2H−テトラゾール−5−酢酸エチルエステル
目的化合物はα−シクロヘキシルテトラゾール−5−酢酸エチルエステル(実施例11の工程1)より実施例9の工程1と同様にして得た。
MS (ESI) m/z: 315 (M+H+).
1H NMR (CDCl3) δ
7.45-7.23 (5 H, m), 5.75 (2 H, s), 4.11 (2 H, q, J = 7.1 Hz), 2.36-2.16 (4 H,
m), 1.70-1.44 (6 H, m), 1.12 (3 H, t, J = 7.1 Hz).
【0320】
工程3 2−ベンジル−α−シクロヘキシル−2H−テトラゾール−5−アセトアルデヒド
目的化合物は、2−ベンジル−α−シクロヘキシル−2H−テトラゾール−5−酢酸エチルエステル(実施例11の工程2)より実施例9の工程2と同様にして得た。
MS (ESI) m/z: 271 (M+H+).
1H NMR (CDCl3) δ
9.55 (1 H, s), 7.45-7.25 (5 H, m), 5.75 (2 H, s), 2.34-2.16 (2 H, m), 2.14-1.94
(2 H, m), 1.70-1.32 (6 H, m).
【0321】
工程4 tert-ブチル [{1-(2-(2-ベンジルテトラゾール)-2-シクロヘキシルエチル)ピペリジン-4-イル}メチル]カーバメート
目的化合物は2−ベンジル−α−シクロヘキシル−2H−テトラゾール−5−アセトアルデヒド(実施例11の工程3)より実施例9の工程3と同様にして得た。
MS (ESI) m/z: 469 (M+H) +.
1H NMR (CDCl3) δ
7.43-7.23 (5 H, m), 5.74 (2 H, s), 4.55 (1 H, br t), 2.87 (2 H, m), 2.62-1.05
(17 H, m), 2.49 (2 H, br s), 1.43 (9 H, s), 0.93 (2 H, m).
【0322】
工程5 N-({1-(2-(2-ベンジルテトラゾール)-2-シクロヘキシルエチル)ピペリジン-4-イル}メチル)-3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-カルボキサミド
目的化合物はtert-ブチル [{1-(2-(2-ベンジルテトラゾール)-2-シクロヘキシルエチル)ピペリジン-4-イル}メチル]カーバメート(実施例11の工程4)より実施例8の工程2と同様にして得た。
MS (ESI) m/z: 571 (M+H+).
1H NMR (CDCl3) δ
8.86 (1 H, br t, J = 5.7 Hz), 8.26 (1 H, m), 7.43-7.08 (8 H, m), 5.73 (2 H, s),
4.70 (1 H, septet, J = 7.0 Hz), 3.18 (2 H, m), 2.51 (2 H, br s), 2.45-1.15 (17
H, m), 1.56 (6 H, d, J = 7.0 Hz), 1.04 (2 H, m).
【0323】
工程6 N-({1-(2-シクロヘキシル-2-テトラゾールエチル)ピペリジン-4-イル}メチル)-3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-カルボキサミド
目的化合物はN-({1-(2-(2-ベンジルテトラゾール)-2-シクロヘキシルエチル)ピペリジン-4-イル}メチル)-3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-カルボキサミド(実施例11の工程5)より実施例8の工程3と同様にして得た。
MS (ESI) m/z: 481 (M+H) +.
1H NMR (DMSO-d6) δ
8.76 (1 H, br t, J = 5.9 Hz), 8.04 (1 H, m), 7.41 (1 H, m), 7.18 (1 H, m), 7.12
(1 H, m), 4.64 (1 H, septet, J = 7.0 Hz), 3.14 (2 H, m), 2.38 (2 H, br s),
2.33-2.10 (4 H, m), 1.98 (2 H, m), 1.65-0.96 (13 H, m), 1.46 (6 H, d, J = 7.0
Hz). テトラゾールのシグナルは観察されなかった。
【0324】
(実施例12)1-[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]シクロヘキサンカルボン酸塩酸塩
【化25】

【0325】
工程1 tert−ブチル 1−(4−オキソピペリジン−1−イル)シクロヘキサンカルボキシレート
目的化合物をtert−ブチル 1−アミノシクロヘキサンカルボキシレート(Kenner et al., J.Chem.Soc.,. 1965, 6239,6243.)を用いて実施例1の工程3と同様にして得た。
MS (ESI) m/z: 282 (M+H+).
1H-NMR (CDCl3) δ: 2.92 (4 H, t, J=5.9 Hz),
2.41 (4 H, t, J=6.0 Hz), 2.01-1.89 (2 H, m), 1.76-1.62 (4 H, m), 1.45 (9 H, s),
1.53-1.33 (4 H, m).
【0326】
工程2 tert−ブチル 1−(4−シアノピペリジン−1−イル)シクロヘキサンカルボキシレート
目的化合物をtert−ブチル 1−(4−オキソピペリジン−1−イル)シクロヘキサンカルボキシレートを用いて実施例1の工程4と同様にして得た。
MS (ESI) m/z: 293 (M+H+).
1H-NMR (CDCl3) δ: 2.94-2.85 (2 H, m),
2.67-2.56 (1 H, m), 2.55-2.42 (2 H, m), 1.96-1.72 (6 H, m), 1.70-1.23 (8 H, m),
1.48 (9 H, s).
【0327】
工程3 tert−ブチル 1-[4-(アミノメチル)ピペリジン-1-イル]シクロヘキサンカルボキシレート
目的化合物をtert−ブチル 1−(4−シアノピペリジン−1−イル)シクロヘキサンカルボキシレートを用いて実施例1の工程5と同様にして得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 3.07-3.18 (2 H, m), 2.55
(2 H, d, J=6.4 Hz), 2.15-1.94 (4 H, m), 1.47 (9 H, s), 1.76-1.19 (13 H, m),
1.19-1.03 (2 H, m),.
MS (ESI) m/z: 297 (M+H+).
【0328】
工程4 tert-ブチル 1-[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]シクロヘキサンカルボキシレート
目的化合物を1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オン、tert−ブチル 1-[4-(アミノメチル)ピペリジン-1-イル]シクロヘキサンカルボキシレートを用いて実施例1の工程6と同様にして得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.97-8.86 (1 H, m),
8.29-8.24 (1 H, m), 7.21-7.11 (3 H, m), 4.78-4.64 (1 H, m), 3.29 (2 H, t, J=6.2
Hz), 3.19-3.09 (2 H, m), 2.16-2.05 (2 H, m), 2.04-1.93 (2 H, m), 1.83-1.73 (2
H, m), 1.56 (6 H, d, J=7.0 Hz), 1.46 (9 H, s), 1.70-1.39 (2 H, m), 1.38-1.16 (7
H, m).
MS (ESI) m/z: 499 (M+H+).
【0329】
工程5 1-[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]シクロヘキサンカルボン酸塩酸塩
tert-ブチル 1-[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]シクロヘキサンカルボキシレート(400mg、0.802mmol)のジクロロメタン(5mL)溶液に攪拌しながら室温でトリフルオロ酢酸(5mL、65.2mmol)を加えた。12時間後、揮発成分を減圧除去し、残渣に4N塩酸ジオキサン溶液(5.0mL)を加え10分間攪拌した。揮発成分を減圧除去し、残さをジエチルエーテル/エタノールで沈殿し、目的化合物370mgを無色粉末として得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 8.94-8.82 (1 H, m),
7.45 (1 H, d, J=7.9 Hz), 7.27-7.10 (2 H, m), 4.73-4.61 (1 H, m), 3.71-3.19 (7
H, m), 2.98-2.81 (2 H, m), 2.38-2.26 (2 H, m), 1.98-1.53 (10 H, m), 1.49 (6 H,
d, J=7.0 Hz), 1.38-1.03 (2 H, m),
MS (ESI) m/z: 443 (M+H+).
Anal. Calcd. for C24H35N4O4・2H2O: C, 55.97;
H, 7.63; N, 10.88. Found: C, 55.61; H, 7.51; N, 10.48.
【0330】
(実施例13)2-エチル-2-{[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]メチル}酪酸
【化26】

【0331】
工程1 メチル2-[(4-{[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]メチル}ピペリジン-1-イル)メチル]-2-エチルブタノエート
目的化合物は、メチル 2−エチル−2−ホルミルブタノエート(Okano,
K.; Morimoto, T.; Sekiya, M. Journal of the Chemical Society, Chemical
Communications, 1985, 3, 119)を用いて実施例7の工程1と同様にして得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 4.62-4.48 (1 H, br),
3.65 (3 H, s), 3.01-2.93 (2 H, m), 2.73-2.65 (2 H, m), 2.46 (2 H, s), 2.13-2.02
(2 H, m), 1.73-1.50 (6 H, m), 1.44 (9 H, s), 1.28-1.10 (3 H, m), 0.76 (6 H, t,
J=7.5 Hz)
MS (ESI) m/z: 357 (M+H+).
【0332】
工程2 メチル2-エチル-2-{[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]メチル}ブタノエート
目的化合物は1−イソプロピル−1,3−ジヒドロ−2H−ベンズイミダゾール−2−オンとメチル2-[(4-{[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]メチル}ピペリジン-1-イル)メチル]-2-エチルブタノエート(実施例13の工程1)から実施例8の工程2と同様にして得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.92-8.86 (1 H, m), 8.28-8.23 (1 H, m),
7.20-7.12 (3 H, m), 4.77-4.61 (1 H, m), 3.65 (3 H, s), 3.27 (2 H, t, J=6.4 Hz),
2.75-2.66 (2 H, m), 2.47 (2 H, s), 2.16-2.05 (2 H, m), 1.72-1.49 (10 H, m),
1.38-1.21 (5 H, m), 0.76 (6 H, d, J=7.5 Hz)
MS (ESI) m/z: 459 (M+H+).
【0333】
工程3 2-エチル-2-{[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]メチル}酪酸
Step 4. 2-ethyl-2-{[4-({[(3-isopropyl-2-oxo-2,3-dihydro-1H-benzimidazol-1-yl)carbonyl]amino}methyl)piperidin-1-yl]methyl}butanoic
acid
目的化合物はメチル2-エチル-2-{[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]メチル}ブタノエート(実施例13の工程3)から実施例3の工程5と同様にして得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.03-8.94 (1 H, m),
8.27-8.21 (1 H, m), 7.20-7.12 (3 H, m), 4.76-4.63 (1 H, m), 3.34 (2 H, t, J=6.2
Hz), 3.16-3.05 (2 H, m), 2.60 (2 H, s), 2.55-2.38 (2 H, m), 1.94-1.38 (2 H, m),
1.80-1.38 (15 H, m), 0.88 (6 H, d, J=7.5 Hz)
MS (ESI) m/z: 445 (M+H+).
Anal. Calcd. for C24H37N4O4Cl・0.2H2O:
C, 59.48; H, 7.78; N, 11.56. Found: C, 59.38; H, 7.74; N, 11.29.
【0334】
(実施例14)1-[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]シクロヘキサンカルボン酸塩酸塩
【化27】

【0335】
工程1 tert−ブチル 1−(4−オキソピペリジン−1−イル)シクロペンタンカルボキシレート
目的化合物はtert−ブチル 1−アミノシクロペンタンカルボキシレート(WO9105796)を用いて実施例1の工程3と同様にして得た。
MS (ESI) m/z: 268(M+H+).
1H-NMR (CDCl3) δ: 2.93 (4 H, t, J=5.9
Hz), 2.41 (4 H, t, J=6.0 Hz), 2.39-2.26 (2 H, m), 1.85-1.54 (8 H, m), 1.46 (9
H, s).
【0336】
工程2 tert−ブチル 1−(4−シアノピペリジン−1−イル)シクロペンタンカルボキシレート
目的化合物はtert−ブチル 1−(4−オキソピペリジン−1−イル)シクロペンタンカルボキシレートを用い、実施例1の工程4と同様にして得た。
MS (ESI) m/z: 279 (M+H+).
1H-NMR (CDCl3) δ: 2.94-2.82 (2 H, m),
2.67-2.49 (3 H, m), 2.33-2.21 (2 H, m), 1.96-1.72 (5 H, m), 1.70-1.40 (6 H, m),
1.48 (9 H, s).
【0337】
工程3 tert-ブチル 1-[4-(アミノメチル)ピペリジン-1-イル]シクロペンタンカルボキシレート
目的化合物はtert−ブチル 1−(4−シアノピペリジン−1−イル)シクロペンタンカルボキシレートを用いて実施例1の工程5と同様にして得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 3.07-2.95 (2 H, m),
2.60-2.52 (2 H, m), 2.41-1.19 (4 H, m), 1.76-1.62 (4 H, m), 1.61-1.40 (12 H, m),
1.19-1.03 (2 H, m).
MS (ESI) m/z: 283 (M+H+).
【0338】
工程4 tert-ブチル 1-[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ -2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]シクロペンタンカルボキシレート
目的化合物はtert-ブチル 1-[4-(アミノメチル)ピペリジン-1-イル]シクロペンタンカルボキシレートを用い、実施例1の工程6と同様にして得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 8.96-8.84 (1 H, m),
8.29-8.22 (1 H, m), 7.21-7.11 (3 H, m), 4.77-4.56 (1 H, m), 3.29 (2 H, t, J=6.2
Hz), 3.07-2.94 (2 H, m), 2.37-2.17 (4 H, m), 1.82-1.63 (6 H, m), 1.56 (6 H, d,
J=7.1 Hz), 1.46 (9 H, s), 1.61-1.49 (2 H, m), 1.38-1.16 (3 H, m).
MS (ESI) m/z: 485 (M+H+).
【0339】
工程5 1-[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]シクロヘキサンカルボン酸塩酸塩
目的化合物は、tert-ブチル 1-[4-({[(3-イソプロピル-2-オキソ -2,3-ジヒドロ-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン-1-イル]シクロペンタンカルボキシレートを用い、実施例12の工程5と同様にして得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 8.91-8.82 (1 H, m),
8.07 (1 H, d, J=7.5 Hz), 7.45 (1 H, d, J=7.7 Hz), 7.26-7.09 (2 H, m), 4.74-4.56
(1 H, m), 3.60-3.00 (6 H, m), 2.26-2.10 (4 H, m), 1.96-1.57 (9 H, m), 1.49 (6
H, d, J=7.0 Hz).
MS (ESI) m/z: 429 (M+H+).
Anal. Calcd. for C23H33N4O4Cl: C, 59.41;
H, 7.15; N, 12.05. Found: C, 59.14; H, 7.22; N, 11.82.
【0340】
(実施例15)N-({1-[(4-オキシカルボニルテトラヒドロ -2H-ピラン -4-イル)メチル]-4-フルオロピペリジン -4-イル}メチル)-3-イソプロピル
-2-オキソ -2,3-ジヒドロ -1H-ベンズイミダゾール-1-カルボキサミド
【化28】

【0341】
工程1 ベンジルテトラヒドロピラン−4−イル−カルボキシレート
テトラヒドロピラン−4−イル−カルボン酸(910mg、6.99mmol)および塩化チオニル(5.0mL)の混合物を60℃で1時間攪拌し、減圧濃縮した。残さにベンジルアルコール(1.52g、14.1mmmol)、テトラヒドロフラン(5.0mL)を環境温度で加え環境温度で13時間攪拌した後、減圧濃縮した。残さをプリパラティブ薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン:酢酸エチル(2:1))で精製し、目的化合物1.08g(70%)を淡黄色オイルとして得た。
1H NMR (CDCl3) δ
7.45-7.25 (5 H, m), 5.13 (2 H, s), 3.95 (2 H, m), 3.42 (2 H, m), 2.59 (1 H, m),
1.94-1.68 (4 H, m).
【0342】
工程2 ベンジル 4−イオドメチルテトラヒドロフラン−4−イル−カルボキシレート
目的化合物をベンジルテトラヒドロピラン−4−イル−カルボキシレート(実施例15の工程1)から実施例1の工程3と同様にして得た。
1H NMR (CDCl3) δ
7.45-7.25 (5 H, m), 5.19 (2 H, s), 3.80 (2 H, m), 3.47 (2 H, m), 3.31 (2 H, s),
2.18 (2 H, m), 1.56 (2 H, m).
【0343】
工程3 N−ベンゾイル−4−tert−ブトキシカルボニルアミノメチル−4−フルオロピペリジン
N−ベンゾイル−4−アミノメチル−4−フルオロピペリジン(J. Med. Chem. 1999, 42, 1648-1660.) (3.54 g、15.0 mmol)及びジtert−ブチルジカーボネート(4.91g、222.5mmol)のメタノール(80mL)中混合物を15時間室温で攪拌し、減圧濃縮した。残さをシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、1:1)で精製し目的化合物4.52g(89%)を無色オイルとして得た。
MS (ESI) m/z: 337 (M+H) +.
1H NMR (CDCl3) δ
7.55-7.25 (5 H, m), 5.16 (1 H, br t, J = 6.3 Hz), 4.51 (1 H, m), 3.62 (1 H, m),
3.55-3.00 (4 H, m), 2.10-1.25 (4 H, m), 1.43 (9 H, s).
【0344】
工程4 4−tert−ブトキシカルボニルアミノメチル−4−フルオロピペリジン
N−ベンゾイル−4−tert−ブトキシカルボニルアミノメチル−4−フルオロピペリジン(実施例15の工程3)(4.42g、13.1mmol)、水酸化ナトリウム(2.62g、65.5mmol)、水(9.00mL)及びエタノール(90.0mL)の混合物を15時間還流し、減圧濃縮した。残さに水とクロロホルムを加え、有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。残さのヘキサン−ジクロロメタンでの再結晶によりも茎化合物1.77g(58%)を無色固体として得た。
MS (ESI) m/z: 233 (M+H) +.
1H NMR (CDCl3) δ
4.93 (1 H, m), 3.30 (2 H, dd, J = 21.5, 6.3 Hz), 2.91 (4 H, m), 1.88-1.34 (4 H,
m), 1.45 (9 H, s), アミノグループのシグナルは観察されなかった。
【0345】
工程5 tert-ブチル({1-[(4-ベンジルオキシカルボニルテトラヒドロ
-2H-ピラン -4-イル)メチル]-4-フルオロピペリジン-4-イル}メチル)カーバメート
目的化合物は4−tert−ブトキシカルボニルアミノメチル−4−フルオロピペリジン(実施例15の工程4)及びベンジル 4−イオドメチルテトラヒドロフラン−4−イル−カルボキシレート(実施例15の工程2)より実施例3の工程2と同様にして得た。
MS (ESI) m/z: 465 (M+H) +.
1H NMR (CDCl3) δ
7.45-7.25 (5 H, m), 5.16 (2 H, s), 4.78 (1 H, br t), 3.80 (2 H, m), 3.46 (2 H,
m), 3.23 (2 H, dd, J = 21.9, 6.3 Hz), 2.64-2.32 (4 H, m), 2.52 (2 H, s), 2.08
(2 H, m), 1.90-1.35 (6 H, m), 1.45 (9 H, s).
【0346】
工程6 N-({1-[(4-ベンジルオキシカルボニルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル]-4-フルオロピペリジン-4-イル}メチル)-3-イソプロピル
-2-オキソ -2,3-ジヒドロ -1H-ベンズイミダゾール-1-カルボキサミド
目的化合物は、tert-ブチル({1-[(4-ベンジルオキシカルボニルテトラヒドロ
-2H-ピラン -4-イル)メチル]-4-フルオロピペリジン-4-イル}メチル)カーバメート(実施例15の工程5)から実施例1の工程6と同様にして得た。
MS (ESI) m/z: 567 (M+H+).
1H NMR (CDCl3) δ
9.08 (1 H, br t, J = 6.0 Hz), 8.25 (1 H, m), 7.46-7.06 (8 H, m), 5.16 (2 H, s),
4.71 (1 H, septet, J = 7.0 Hz), 3.80 (2 H, m), 3.54 (2 H, dd, J = 20.9, 6.0
Hz), 3.46 (2 H, m), 2.65-2.36 (4 H, m), 2.53 (2 H, br s), 2.08 (2 H, m),
1.88-1.44 (6 H, m), 1.56 (6 H, d, J = 7.0 Hz).
【0347】
工程7 N-({1-[(4-オキシカルボニルテトラヒドロ
-2H-ピラン -4-イル)メチル]-4-フルオロピペリジン -4-イル}メチル)-3-イソプロピル -2-オキソ -2,3-ジヒドロ -1H-ベンズイミダゾール-1-カルボキサミド
目的化合物はN-({1-[(4-ベンジルオキシカルボニルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メチル]-4-フルオロピペリジン-4-イル}メチル)-3-イソプロピル
-2-オキソ -2,3-ジヒドロ -1H-ベンズイミダゾール-1-カルボキサミド(実施例15の工程6)より実施例1の工程3と同様にして得た。
MS (ESI) m/z: 477 (M+H) +.
1H NMR (CD3OD) δ
7.93 (1 H, m), 7.12 (1 H, m), 7.02 (1 H, m), 6.93 (1 H, m), 4.49 (1 H, septet,
J = 7.0 Hz), 3.65-3.36 (6 H, m), 3.15-2.82 (4 H, m), 2.80 (2 H, br s),
1.98-1.70 (6 H, m), 1.35 (6 H, d, J = 7.0 Hz), 1.34 (2 H, m). アミドとカルボン酸のシグナルは観察されなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式の化合物;
【化1】

(上記式中、
Aは無置換又は1から4置換の炭素数1から4のアルキレン基(置換基は独立に、ハロゲン原子、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のヒドロキシ−アルキル基、炭素数2から6のアルコキシ−アルキル基からなる群から選択される。また、これらの置換基のうち2つは任意に架橋して3から6員環を形成しても良い。)を示し;
はイソプロピル基又はシクロペンチル基を示し;
は水素原子、ハロゲン原子又は水酸基を示し;
はカルボキシ基、テトラゾリル基、5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾールー3−イル基又は5−オキソ−1,2,4−チアジアゾール−3−イル基を示し;
mは整数1又は2を示す。)
又はその薬学的に許容される塩又は溶媒和物。
【請求項2】
がイソプロピル基である、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩又は溶媒和物。
【請求項3】
が水素原子である、請求項1又は2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩又は溶媒和物。
【請求項4】
がカルボキシ基である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩又は溶媒和物。
【請求項5】
Aがジェミナルに2置換された炭素数1から2のアルキレン基(置換基は独立に、ハロゲン原子、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のヒドロキシ−アルキル基、炭素数2から6のアルコキシ−アルキル基からなる群から選択される。また、これらの置換基のうち2つは任意に架橋して3から6員環を形成しても良い。)である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩又は溶媒和物。
【請求項6】
Aが以下の基
【化2】

である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩又は溶媒和物。
【請求項7】
mが整数2である、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩又は溶媒和物。
【請求項8】
以下:
4−{[4−({[(3−イソプロピル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン−1−イル]メチル}テトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボン酸;
1−{[4−({[(3−イソプロピル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン−1−イル]メチル}シクロヘキサンカルボン酸;
1−{[4−({[(3−イソプロピル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン−1−イル]メチル}シクロペンタンカルボン酸;
1−{[4−({[(3−イソプロピル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン−1−イル]メチル}シクロプロパンカルボン酸;
1−{[4−ヒドロキシ−4−({[(3−イソプロピル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン−1−イル]メチル}シクロヘキサンカルボン酸;
1−{[4−({[(3−イソプロピル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−1−イル)カルボニル]アミノ}メチル)ピペリジン−1−イル]メチル}シクロブタンカルボン酸
から選択される、請求項1の化合物又はその薬学的に許容される塩又は溶媒和物。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩又は溶媒和物、及び、薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項10】
医薬として使用するための、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩又は溶媒和物。
【請求項11】
5-HTアゴニストによって治療されうる疾病を治療するための医薬を製造するための、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩又は溶媒和物の使用。
【請求項12】
胃食道逆流性疾患、胃腸疾患、胃運動性障害、非潰瘍性消化不良、機能性消化不良、過敏性腸症候群(IBS)、便秘、消化不良、食道炎、胃食道炎症、悪心、中枢神経系疾患、アルツハイマー病、認識障害、嘔吐、片頭痛、循環器疾患、神経疾患、鎮痛、心不全、心不整脈(heart arrhythmia)、糖尿病又は無呼吸症候群の治療用医薬製造のための、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩又は溶媒和物の使用。
【請求項13】
ヒトを含む哺乳類におけるで、5−HTアゴニストによって治療されうる疾患を治療する方法であって、有効な量の請求項1乃至8のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩又は溶媒和物を用いて前記哺乳類を治療することを含む、治療方法。
【請求項14】
ヒトを含む哺乳類で、胃食道逆流性疾患、胃腸疾患、胃運動性障害、非潰瘍性消化不良、機能性消化不良、過敏性腸症候群(IBS)、便秘、食道炎、胃食道炎症、悪心、中枢神経系疾患、アルツハイマー病、認識障害、嘔吐、片頭痛、循環器疾患、心不全、心不整脈(heart arrhythmia)、糖尿病又は無呼吸症候群に対して、有効な量の請求項1乃至8の何れかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩又は溶媒和物を用いることを含む、治療法。
【請求項15】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩又は溶媒和物と、他の薬理学的に活性な化合物との組み合わせ。
【請求項16】
請求項1乃至8の何れかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩又は溶媒和物と、他の薬理学的に活性な化合物とを含む医薬組成物。

【公開番号】特開2006−1845(P2006−1845A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2004−177488(P2004−177488)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】