説明

ベンズイミダゾール化合物の安定医薬製剤

ベンズイミダゾール化合物、特にエソメプラゾールマグネシウムの安定性医薬製剤、及びその調製方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ベンズイミダゾール化合物を含んで成る医薬製剤に関する。特に、本発明は、エソメプラゾールマグネシウムを含んで成る安定医薬製剤、及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
エソメプラゾールは、置換されたベンズイミダゾール化合物である。それは、次の構造:
【化1】

【0003】
を有するビス(5−メトキシ−2−[2−(S)−[4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル)−1H−ベンズイミダゾール−1−イルとして化学的に知られている。それは効果的な胃酸分泌インヒビターであり、そして胃及び十二指腸潰瘍、重度のびらん性食道炎、Zolinger-Ellison症候群及びH−ピロリ除菌の処理のために使用される。エソメプラゾールマグネシウムはしばしば、抗生物質、例えばクラリトロマイシン又はアモキシリンと組合して使用される。他の置換されたベンズイミダゾール化合物は、ランソプラゾール、オメプラゾール、パントプラゾール及びラベプラゾールを包含する。オメプラゾールはS−及びR-異性体の混合物であるが、エソメプラゾールは、オメプラゾールのS−異性体を表す。ランソプラゾールは、次の構造:
【0004】
【化2】

を有する。
【0005】
パントプラゾールは、次の構造:
【化3】

を有する。
【0006】
ラベプラゾールは、次の構造:
【化4】

を有する。
【0007】
ベンズイミダゾール化合物は、酸条件に暴露される場合、不良な安定性を有することが報告されている。安定性は、pHを低めることにより、低下することが報告されている。例えば、6.5のpHでの水性エソメプラゾール組成物の半減期は、約18時間の程度であることが報告されており、そして4のpHでの半減期は約10分の程度であることが報告されている。ベンズイミダゾール化合物の安定性はまた、高い熱及び湿気により低下することが報告されている。
【0008】
ベンズイミダゾール化合物は、酸不安定性であることが報告されている。それらは一般的に、胃に見出される低いpHで活性医薬成分(API)の分解を回避するために、腸溶性被覆された用量形として企画される。しかしながら、腸溶性被膜は一般的に酸性化合物から構成されるので、それらのタイプの被膜によるベンズイミダゾール化合物の直接的な被膜は、活性医薬成分の劣化及び分解を引起し、時間の経過に伴って、活性医薬成分製剤の変色、及びその活性成分含有物の損失を引起すことが報告されている。
【0009】
種々の腸溶性被覆された製剤が、ベンズイミダゾール化合物の安定性の欠失と取り組むために開発された。例えば、アメリカ特許第5,690,960号は、“x−線粉末回折により決定される場合、70%以上の結晶度を有する、オメプラゾールのマグネシウム塩を含むコアー;副被膜層;及び腸溶性被膜層(これにより、前記腸溶性被膜の厚さは、小腸にかける優先的なpHでのオメプラゾールの溶液への開放性に影響を及ぼさない)を含んで成る安定性経口製剤”を請求している。
【0010】
アメリカ特許第6,090,827号は、その抜粋によれば、次のものを提供する:“オメプラゾール、オメプラゾールのアルカリ塩、オメプラゾールの(−)−鏡像異性体及びオメプラゾールの(−)−鏡像異性体のアルカリ塩から成る群から選択された化合物を、活性成分として含んで成る腸溶性被覆された経口医薬製剤、ここで前記製剤は、活性成分及び任意には、アルカリ反応化合物のコアー材料(前記活性成分は、医薬的に許容できる賦形剤、例えば結合剤と共に混合される)、及び前記コアー材料上に、別の層及び腸溶性被覆層を含んで成る。特定の曇り点を有する低粘度のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)が、医薬製剤の製造に使用される。”
【0011】
アメリカ特許第6,428,810号は、その抜粋によれば、次のものを提供する:“オメプラゾール、オメプラゾールのアルカリ塩、オメプラゾールの1つの単一鏡像異性体及びオメプラゾールの1つの単一鏡像異性体のアルカリ塩から成る群から選択された化合物を、活性成分として含んで成る腸溶性被覆された経口医薬製剤、ここで前記製剤は、活性成分及び任意には、アルカリ反応化合物を含んで成るコアー材料(前記活性成分は、医薬的に許容できる賦形剤、例えば結合剤と共に混合される)を含んで成り、前記コアー材料上に、別の層及び腸溶性被覆層を含んで成る。”
【0012】
アメリカ特許第4,786,505号は、その抜粋によれば、次のものを提供する:“アルカリ反応化合物と共にオメプラゾール、又は任意には、アルカリ化合物と共にオメプラゾールのアルカリ塩を、コアー材料として、水において溶解できるか、又は急速に砕解する不活性反応化合物、又はポリマー性水性フィルム形成化合物、任意にはpH−緩衝アルカリ化合物を含んで成る1又は複数の副被膜層、及び腸溶性被膜を含んで成る医薬製剤、並びにその調製方法、及び胃腸疾患の処理への使用。”
【0013】
アメリカ特許第4,853,230号は、その抜粋によれば、次のものを提供する:“アルカリ反応化合物と共に酸不安定性化合物、又は任意には、アルカリ化合物と共に酸不安定性化合物のアルカリ塩を、コアー材料として、水において溶解できるか、又は急速に砕解する不活性反応化合物、又はポリマー性水性フィルム形成化合物、任意にはpH−緩衝アルカリ化合物を含んで成る1又は複数の副被膜層、及び腸溶性被膜を含んで成る医薬製剤、並びにその調製方法、及び胃腸疾患の処理への使用。”
【0014】
アメリカ特許第5,626,875号の抜粋によれば、“安定性経口医薬製剤は、酸不安定性ベンズイミダゾール化合物、水溶性ポリマー及び非アルカリ反応性医薬的許容性賦形剤を含む第1層、水溶性ポリマーを含む第2単離層、医薬的に許容できる賦形剤、及び最終腸溶性被膜により不活性核を被覆することにより調製される。”
【0015】
上記に言及されるアメリカ特許第4,786,505号及び第4,853,230号は、アメリカ合衆国において訴訟下にある。Astra Aktiebokag v. Andrx Pharm., Inc., 222F. Supp. 2d 423(S.D.N.Y2002)を参照のこと。
ベンズイミダゾール化合物、特のエソメプラゾールマグネシウムを含む安定性医薬製剤を調製する連続した必要性がある。
【発明の開示】
【0016】
発明の要約
本発明は、
a)不活性内部コアー;
b)ベンズイミダゾール化合物及びアルカリ安定剤から構成される、前記内部コアーの上部の第1被膜;
c)同じか又は異なったベンズイミダゾール化合物を含んで成る、アルカリ安定剤を欠いている、前記第1被膜の上部の中間被膜;及び
d)外部腸溶性層;
を含んで成る、ベンズイミダゾール化合物の医薬製剤を提供する。
好ましくは、前記内部コアーは、不活性非−パレイル(pareil)糖、MCC球体、ガラスビーズ、粗品質の二酸化珪素粒子から製造される。
【0017】
好ましくは、前記ベンズイミダゾール化合物は、ランソプラゾール、オメプラゾール、パントプラゾール又はラベプラゾール、より好ましくはエソメプラゾールである。好ましくは、ベンズイミダゾール化合物は、塩、例えばリチウム、ナトリウム、カルシウム、カリウム又はマグネシウム塩である。より好ましくは、エソメプラゾールマグネシウムである。より好ましくは、非晶性(部分的非晶性も包含する)形のエソメプラゾールである。ベンズイミダゾール化合物は、水和化された状態で存在することができる。
【0018】
好ましくは、第1被膜上に存在するベンズイミダゾール化合物は、製剤中のベンズイミダゾール化合物の合計量の約80%〜約95%、より好ましくは約85%〜約95%及び最も好ましくは約90%(w/w)の量で存在する。
好ましくは、ベンズイミダゾール化合物は、不活性非パレイルコアー上に積層される。
【0019】
中間層は、アルカリ安定剤を欠いており、そして同じか又は異なったベンズイミダゾール化合物を含んで成る。好ましくは、中間被膜に存在するベンズイイミダゾール化合物は、製剤におけるベンズイミダゾール化合物の合計量の約5%〜約20%、より好ましくは約5%〜約15%及び最も好ましくは10%(w/w)である。
【0020】
好ましくは、本発明の医薬製剤は、多粒質供給システムの形で存在する。前記多粒質供給システムは、
a)不活性内部コアー;
b)ベンズイミダゾール化合物及びアルカリ安定剤から構成される内部コアー上の第1被膜;
c)ベンズイミダゾール化合物を含んで成るが、但しアルカリ安定剤を欠いている、前記第1被膜の上部の中間被膜;及び
d)外部腸溶性層;
を有する多くの粒子を含んで成る。
【0021】
好ましくは、不活性コアーは、微晶性セルロース又は糖球体である。
好ましくは、内部コアーに存在するベンズイミダゾール化合物は、製剤におけるベンズイミダゾール化合物のラベルされた用量の約90%(w/w)の量で存在する。
【0022】
好ましくは、中間層に存在するベンズイミダゾール化合物は、製剤におけるベンズイミダゾール化合物のラベルされた用量の約10%(w/w)の量で存在する。
本発明は、酸性溶解媒体における溶解に対して約2時間、耐性である、ベンズイミダゾール化合物を含んで成る医薬組成物を提供する。その安定性組成物は、媒体がアルカリ緩衝液に変えられる場合、1時間以内に溶解する。
【0023】
本発明は、
a)ベンズイイミダゾール化合物及びアルカリ安定剤を含んで成る懸濁液により不活性内部コアーを被覆し;
b)前記被覆された内部コアーを中間層により積層し;そして
c)アルカリ安定剤を欠いているが、同じか又は異なったベンズイミダゾール化合物を含んで成る、中間被膜を、外部腸溶性層により積層する;
段階を含んで成る、ベンズイミダゾール化合物の安定性医薬組成物の調製方法を提供する。
【0024】
好ましくは、内部コアーは、不活性糖球体又は微晶性セルロース(MCC)球体である。内部コアー上の第1被覆は、ベンズイミダゾール化合物及びアルカリ安定剤を含んで成る。好ましくは、被覆は、不活性糖球体/MCC球体上を、結合剤、ベンズイミダゾール化合物及び塩基性無機塩を含んで成る懸濁液により積層することにより行われる。好ましくは、ベンズイミダゾール化合物は、エソメプラゾールマグネシウムである。好ましくは、アルカリ安定剤は、炭酸マグネシウムである。
【0025】
好ましくは、中間層は、結合剤、ベンズイミダゾール化合物及び抗−粘着剤を含んで成る。好ましくは、前記抗−粘着剤はタルク又はステアリン酸マグネシウムである。好ましくは、前記層は、内部球体を、結合剤、ベンズイミダゾール化合物及び抗−粘着剤を含んで成り、そしてアルカリ安定剤を欠いている懸濁液により被覆することにより適用される。
【0026】
第1層/被膜又は中間層/被膜のための結合剤は好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、スターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、スクロース溶液、及びデキストロース溶液から成る群から選択される。
腸溶性層は、水性懸濁液又は有機溶媒溶液から適用され得る。好ましくは、外部腸溶性層は、極微細タルク、二酸化チタン、トリエチルシトレート及びメタクリル酸コポリマーを含んで成る、水性懸濁液又は溶媒溶液により積層される。
【0027】
本発明は、
a)ベンズイミダゾール化合物及びアルカリ安定剤から構成される内部コアー;
b)前記同じか又は異なったベンズイミダゾール化合物を含んで成るが、但しアルカリ安定剤を欠いている、前記内部コアー上の中間層:及び
c)外部腸溶性層;
を含んで成る、ベンズイミダゾール化合物の安定性医薬製剤を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
発明の特定の記載
本発明は、ベンズイミダゾール化合物の製剤を提供し、ここでベンズイミダゾール含有層が酸腸溶性被膜からベンズイミダゾール化合物を分離するために使用される。そのような製剤は、ベンズイミダゾール化合物と腸溶性被膜との間にアルカリ層又は物理的バリヤーを欠いているのにかかわらず、安定している。
【0029】
1つの態様においては、本発明の安定性医薬製剤は、a)不活性内部コアー;b)ベンズイミダゾール化合物及びアルカリ安定剤から構成される、前記内部コアーの上部の第1被膜;c)同じか又は異なったベンズイミダゾール化合物を含んで成る、アルカリ安定剤を欠いている、前記第1被膜の上部の中間被膜;及びd)外部腸溶性層を含んで成る。
【0030】
好ましくは、ベンズイミダゾール化合物は、ランソプラゾール、オメプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール又はエソメプラゾール、又はそれらの塩である。より好ましくは、ベンズイミダゾール化合物は、エソメプラゾールマグネシウムである。ベンズイミダゾール化合物は、非晶性又は結晶性状態で存在することができる。非晶形は、部分的に非晶性であり得、そして20重量%までの結晶度を含む。好ましくは、ベンズイミダゾール化合物は、非晶性エソメプラゾールマグネシウムである。ベンズイミダゾール化合物、特にエソメプラゾールマグネシウムは水和化され得る。
【0031】
本発明のベンズイミダゾール化合物は好ましくは、次の構造式:
【化5】

【0032】
[式中、R4及びR6は、炭素及び窒素から独立して選択され、R及びR8は、独立して水素又は酸素であり、R1, R2, R3, R5, R7, R9は、水素、ハロゲン、メチル、エチル、プロピル、メトキシ、エトキシ、アセテート、酢酸エチル、C1-C8エーテル(任意には、ハロゲンにより置換される)から独立して選択される]を有する。そのような化合物の特定の例は、ランソプラゾール、パントプラゾール、パリプラゾール、アミノプラゾール、オメプラゾール、及びエソメプラゾールである。より好ましくは、ベンズイミダゾール化合物は、エソメプラゾールマグネシウム(オメプラゾールのS−異性体)である。
【0033】
不活性コアーは、ベンズイミダゾール化合物により積層される。好ましい態様においては、コアーは、ベンズイミダゾール化合物及びアルカリ安定剤が層として添加される、非パレイルコアーを包含する。不活性非パレイル球体の例は、糖球体、微晶性セルロース球体(MCC)、ガラスビース及び粗品種の二酸化珪素コアーを包含する。不活性球体は好ましくは、約30〜約90%(w/w)の薬物積層されたコアーである。不活性球体は好ましくは、約250〜約1,200ミクロン、より好ましくは約400〜約700ミクロンの平均直径を有する。
【0034】
本発明の医薬用量形の内部コアー上の第1被膜は、合計ベンズイミダゾール化合物の約80%〜約95%、より好ましくは約85〜約95%及び最も好ましくは90%を含む。第1被膜はまた、アルカリ安定剤を含む。
【0035】
用語アルカリ安定剤とは、医薬的に許容できるアルカリ又は塩基性物質を言及する。USP6,103,281号によれば、そのようなアルカリ安定剤の例は、有機緩衝化合物、例えばトロメタミン(すなわち、トリス−緩衝液)、N−アミノ糖、例えばN−メチル−D−グルカミン(すなわち、メグルミン)、N−エチル−D−グルカミン(すなわち、エグルミン)、クエン酸、酒石酸のアルカリ塩、アルカリ金属のリン酸塩、珪酸塩又は炭酸塩、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム又はアルミニウム水酸化物、及び有機アミン、例えばエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン又はトリエタノールアミン、又はアルカリアンモニウム塩を包含する。
【0036】
好ましいアルカリ安定剤は、無機塩基塩、例えば炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、珪酸マグネシウムアルミン酸塩、珪酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムである。最も好ましいアルカリ安定剤は、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム及び炭酸ナトリウムである。
被膜は、ベンズイミダゾール化合物又はベンズイミダゾール化合物の組合せを含む。ベンズイミダゾール化合物は、それらの塩形で存在することができる。
【0037】
コアーは、ベンズイミダゾール化合物及びアルカリ安定剤を含んで成る懸濁液により被覆される。被覆工程は、“Wurster”型のカラム−装備の流動層装置(すなわち、Rottom噴霧技法)により例示される。薬物積層コアーは好ましくは、a)製剤における約80%〜約95%(w/w)のラベルされた用量のベンズイミダゾール化合物;b)約2%〜約30%(w/w)の薬物積層コアーの結合剤ポリマー;及びc)約2%〜約30%(w/w)のアルカリ安定剤を含んで成る。
【0038】
ベンズイミダゾール化合物、結合剤、及びアルカリ安定剤が、水と共に組合され、水性懸濁液が得られ、次に、コアーに適用される。結合剤ポリマーは好ましくは、1又は複数のヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース又はポリビニルアルコール、又はそれらの混合物である。
【0039】
次に、中間層は、被覆されたコアー上に置かれる。好ましくは、中間層は、約30%〜約70%(w/w)の薬物積層されたコアーである。
中間層は、アルカリ安定剤を欠いているが、しかしベンズイミダゾール化合物を含む。好ましくは、中間層におけるベンズイミダゾール化合物は、約5%〜約20%、より好ましくは約5%〜約15%、及び最も好ましくは約10%のラベルされた用量の量で存在する。
【0040】
中間層は、内部ポリマーを含むことができる。不活性ポリマーは、結合剤として作用することができる。結合剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール及びエチルセルロースにより例示される。追加の結合剤は、ポリビニルピロリドン、スターチ、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、スクロース溶液、デキストロース溶液を包含するが、但しそれらだけには限定されない。抗−粘着剤は、タルク、グリセリルモノステアレート、二酸化珪素及び金属ステアレート、例えばステアリン酸マグネシウムを包含する。
【0041】
ベンズイミダゾール化合物及び結合剤は好ましくは、アルコール性懸濁液、又は水及びアルコールの混合物から噴霧される。懸濁液は、ベンズイミダゾール化合物、結合剤及び抗−粘着剤を、水、C1-C4アルコール、又はそれらの混合物において組合すことにより調製され得る。好ましいアルコールは、エタノールである。
【0042】
好ましくは、結合剤は、中間層重量の約10%〜約70%(w/w)である。より好ましくは、結合剤は、中間層重量の約20%〜約60%(w/w)である。好ましくは、抗−粘着剤は、中間層重量の約10%〜約85%(w/w)である。より好ましくは、抗−粘着剤は、中間層重量の約40%〜約70%(w/w)である。
【0043】
次に、腸溶性被膜は、中間層上に置かれる。腸溶性層/被膜は通常、腸溶性性質を有するポリマー、例えばメタクリル酸コポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート又はヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネートを包含する。追加の腸溶性ポリマーは、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、セラックスはゼインを包含する。
【0044】
腸溶性被膜は、最終生成物を、水、有機溶媒又はそれらの混合物中、腸溶性ポリマーの溶液又は均質分散体により被覆することにより調製され得る。前記溶液又は分散体は、抗−粘着剤、可塑剤、顔料、等を有することができる。
【0045】
好ましい態様においては、腸溶性被膜は、有機溶媒の混合物中、腸溶性ポリマーの溶液から適用される。前記溶液は、極性有機溶媒、例えばC1-C4アルコール、C3-C7エステル、エーテル及びケトンにおいて調製され得る。好ましくは溶媒混合物は、アセトン及びイソプロピルアルコールの混合物は、好ましくは約5:1〜約1:2の比(w/w)の混合物、より好ましくは約3:2の混合物である。
【0046】
腸溶性層は、他の成分、すなわち抗−粘着剤、例えばタルク又はグリセリルモノステアレート、可塑剤、例えばトリエチルシトレート又はポリエチレングリコール、及び顔料、例えば二酸化チタン又は酸化第二鉄を含むことができる。
追加の可塑剤は、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、アセチル化されたモノグリセリド、グリセリン、トリアセチン、プロピレングリコール、フタレートエステル(例えば、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート)、ヒマシ油、ソルビトール及びジブチルサッカラートを包含するが、但しそれらだけには限定されない。
【0047】
好ましくは、腸溶性層は、最終製剤の約10%〜約50%(w/w)である。好ましくは、腸溶性ポリマーは、腸溶性重量の約45%〜約85%(w/w)である。
好ましくは、抗−粘着剤は、腸溶性層重量の約2〜約40%(w/w)である。好ましくは、可塑剤は、腸溶性重量の約2%〜約15%(w/w)である。好ましくは、顔料は、腸溶性重量の約0.5〜約10%(w/w)である。
【0048】
腸溶性被覆溶液又は分散体は好ましくは、多重被覆された内部コアー上に噴霧される。腸溶性の被覆された生成物が乾燥される。次に、腸溶性の被覆された生成物は、例えば多メッシュスクリーンを通して篩分けることにより、理想的サイズに基づいて分離され得る。約400〜約1200ミクロンの平均直径を有する粒子が好ましい。
【0049】
もう1つの態様においては、不活性コアーの代わりに、ベンズイミダゾール化合物及びアルカリ安定剤を有するコアーが使用される。ベンズイミダゾール化合物及びアルカリ安定剤を有するコアーは、例えば押し出し及び球状化により、又は錠剤又はミニ錠剤コアーとして調製され得る。この態様においては、ベンズイミダゾール化合物の粉末塊状物、アルカリ安定剤及び好ましくは微晶性セルロースが水又は溶媒と共に混合され、適切なコンシステンシーが得られ、続いて適切なサイズを有するスクリーン、例えば0.5mm〜約2mmのスクリーンから押し出される。
【0050】
押し出し物がペレットに形成され、そして次に、流動層ドライヤーにおいて乾燥される。例えば、USP6,013,281号を参照のこと。もう1つの態様においては、ベンズイミダゾール化合物及び安定剤が混合され、そして湿式粒質化され、続いて湿潤粒質物が乾燥される。次に、粒質物は篩分けされ、そしてほかの賦形剤がコアーへの圧縮のために添加される。例えば、USP6,013,281号を参照のこと。次に、そのようにして生成されたコアーは、中間層及び外部の腸溶性層により、上記のようにして被覆される。
【0051】
本発明の医薬製剤はさらに、1又は複数の密封被膜、フィルム被膜、バリヤー被膜、圧縮被膜、早く砕解する被膜又は酵素分解性被膜により被覆され得る。多重被膜、例えば多重腸溶性被膜が所望する性能のために適用され得る。さらに、用量形は、中位の開放、拍動性開放、調節された開放、延長された開放、遅延された開放、標的化された開放、同調された開放、又は標的化された遅延性開放のために企画され得る。
【0052】
開放/吸収調節に関しては、固体キャリヤーは、活性成分を伴って又は伴わないで、種々の成分型及びレベル又は厚さの被膜により製造され得る。そのような種々の固体キャリヤーは、所望する性能を達成するために用量形にブレンドされ得る。さらに、用量形の開放プロフィールは、多重粒状組成物、皮膜された多重粒状組成物、イオン交換樹脂基材の組成物、浸透性に基づく組成物、又は生物分解性ポリマー組成物によりもたらされ得る。開放速度は、好ましい拡散、溶解、浸蝕、イオン交換、浸透性又はそれらの組合せを通してもたらされ得る。
【0053】
多重粒状用量形は、多くの被覆された粒子、例えばMCC球体を含む。そのような用量形での粒子についての好ましいサイズ範囲は、約400〜約1200ミクロの平均直径である。
カプセルとして配合される場合、カプセルはハードゼラチンカプセル、スターチカプセル又はセルロースカプセルであり得る。カプセルに限定されないが、そのような用量形はさらに、例えば密封被膜、腸溶性被膜、延長された開放被膜、又は標的化された遅延開放被膜により被覆され得る。
【0054】
本発明の製剤は、びらん性食道炎(慢性及び/又は炎症性食道)及び胃食道逆流(胸やけ)を処理するために使用され得る。それらはまた、個々に、又は抗生物質、例えばクラリトロマイシン及びアモキシリンと組合して、ヘリコバクター・ピロリ菌により引起される十二指腸潰瘍を処理するために使用され得る。
【0055】
本発明の製剤は好ましくは、約5mg〜約80mg、より好ましくは約20mg〜約40mgの用量で投与され得る。エソメプラゾールマグネシウムについての用量は、処理される特定の条件に依存する。活性びらん性食道炎の処理に関しては、患者は、1日当たり約20又は40mgを、約4〜8週間、摂取する。食道炎についての処方される維持用量は、1日当たり約20mgである。胃食道胸やけについての用量は、4週間、1日当たり約20mgである。十二指腸潰瘍の再発の危険性を低めるための用量は、約10日間、1日当たり2度の約1,000mgのアモキシリン及び10日間、1日当たり2度の約500mgのクラリトロマイシンと組合して、10日間、1日当たり約40mgのエソメプラゾールである。
【0056】
本発明のエソメプラゾールマグネシウム製剤の安定性が、約30℃及び約65%の相対温度の促進された条件下で3ヶ月間、医薬産業標準に従ってモニターされた。最終製剤は、それらの条件下で満足する安定性を示した。表1は、そのような安定性試験の結果を提供する。好ましくは、そのような条件下での2ヶ月間の貯蔵、より好ましくは、3ヶ月の貯蔵の後、経口用量形は、純粋なエソメプラゾールマグネシウムのバッチに比較して、約98%以上、より好ましくは約99%以上、及び最も好ましくは約100%の純度を有する。
【0057】
【表1】

【0058】
さらに、本発明の製剤は、少なくとも約2時間の酸性溶解媒体における溶解に対して耐性であるが、しかし媒体がアルカリ緩衝液に変えられる場合、約1時間以内に溶解する。酸性媒体における溶解のそのような欠失は、ベンズイミダゾール化合物が酸性条件下で分解するので、有益である。本発明の経口用量形の溶解プロフィールが図1に示されている。
【0059】
引用される出版物の開示は、引用により本明細書に組み込まれる。しかしながら、本発明の範囲は上記の特定の態様に制限されないことは理解されるべきである。本発明は、特別に記載される以外にも実施され得、そして特許請求の範囲内で実施され得る。
【0060】
本発明に関する製剤を、次の技法により分析することができる:
溶解方法
2段階:
I. 酸段階:300mlの0.1NのHCl、37℃、100rpm、120分;
II.緩衝液段階:1000mlのリン酸緩衝液、pH6.8、37℃、100rpm、60分。
【0061】
HPLC方法
カラム: Luna Cl8(2) HXY-6μm
カラム温度: 30℃
移動相: 水:アセトニトリル:トリエチルアミン 60:40:1, pH 7.0
検出器:波長302μmでの紫外線
注入体積: 10 ml
流速: 1 ml/分
【0062】
アッセイ及びIDD決定(不純物分解決定)
カラム:Xterra 150×4.6μm
カラム温度:30℃
移動相:リン酸緩衝液(1.1gの二塩基性無水リン酸ナトリウム及び1.0gのリン酸水素テトラブチルアンモニウムを水に溶解した)及びアセトニトリル
グラジエントプログラム(溶媒A及び溶媒B):溶媒A=90%緩衝液:10%アセトニトリル;溶媒B=50%緩衝液;50アセトニトリル
検出:302μmでの紫外線波長、1.5ml/分の流速。
【実施例】
【0063】
次の非制限的例がさらに、本発明を例示する。
例1
A. 薬物層
薬物層被覆懸濁液:
180gのヒドロキシプロピルメチルセルロースNF 6cpsを、3.8kgの精製水に分散した。180gの炭酸マグネシウムを添加し、そしてその溶液を撹拌した。240gのエソメプラゾールマグネシウムを添加し、そして均質懸濁液が得られるまで、撹拌した。
【0064】
720gのCellets(商標)(微晶性セルロース球体)(500〜710ミクロン)を、流動層装置中に導入し、そして前述の懸濁液を、前記球体上に噴霧した。次に、その球体を乾燥し、18メッシュのスクリーンを通して篩分けし、そしてさらなる被覆のために流動層装置中に配置した。
【0065】
B. 中間被膜
中間被覆懸濁液:
145gのヒドロキシプロピルメチルセルロースNF6 cpsを、1.9kgの精製水に分散した。22.5gのエソメプラゾールマグネシウムを、ヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液に添加し、そして撹拌した。290gのステアリン酸マグネシウムを、1.3kgのエタノール(96%)に分散した。中間被覆懸濁液を、前記段階からの1.1kgの薬物積層されたペレット上に噴霧した。次に、球体を乾燥し、18メッシュのスクリーンを通して篩分けし、そしてさらなる被覆のために流動層装置に配置した。
【0066】
C. 腸溶性被膜
腸溶性被覆懸濁液:
50.4gの極微細タルク、6.3gの二酸化チタン及び12.83gのクエン酸トリエチルを、600gの精製水に分散した。その均質化された分散体を、422.3gのメタクリル酸コポリマー分散体に添加し、そして撹拌した。
腸溶性被覆懸濁液を、前記段階からの700.9gの球体上に噴霧した。次に、その球体を、16メッシュのスクリーンを通して篩分けし、そしてハードゼラチンアプセル中に充填した。
【0067】
例2
A. 薬物層
薬物層被覆懸濁液:
210gのヒドロキシプロピルメチルセルロースNF 6cpsを、4.9kgの精製水に分散した。210gの炭酸マグネシウムを添加し、そしてその溶液を撹拌した。280gのエソメプラゾールマグネシウムを添加し、そして均質懸濁液が得られるまで、撹拌した。
700gのSuglets(商標)(糖球体)(500〜600ミクロン)を、流動層装置中に導入し、そして前述の懸濁液を、前記球体上に噴霧した。次に、その球体を乾燥し、18メッシュのスクリーンを通して篩分けし、そしてさらなる被覆のために流動層装置中に配置した。
【0068】
B. 中間被膜
中間被覆懸濁液:
156.8gのヒドロキシプロピルメチルセルロースNF6 cpsを、1.9kgの精製水に分散した。24.8gのエソメプラゾールマグネシウムを、ヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液に添加し、そして撹拌した。77gのエトセル7 cpsを、1.1kgのエタノール(96%)に分散した。 319gのステアリン酸マグネシウムを、1.4kgのエタノール(96%)に分散した。すべての3種の分散体を一緒に混合し、そして撹拌した。中間被覆懸濁液を、前記段階からの1.1kgの薬物積層されたペレット上に噴霧した。次に、球体を乾燥し、18メッシュのスクリーンを通して篩分けし、そしてさらなる被覆のために流動層装置に配置した。
【0069】
C. 腸溶性被膜
腸溶性被覆懸濁液:
55gの極微細タルク、6.3gの二酸化チタン及び13.8gのクエン酸トリエチルを、900gの精製水に分散した。その均質化された分散体を、462.5gのメタクリル酸コポリマー分散体に添加し、そして撹拌した。
腸溶性被覆懸濁液を、前記段階からの762.5gの球体上に噴霧した。次に、その球体を、16メッシュのスクリーンを通して篩分けし、そしてハードゼラチンアプセル中に充填した。
【0070】
予測例3.(押出され/球体化された内部コアー):
ベンズイミダゾール及びアルカリ安定剤を含む内部コアー
エソメプラゾールマグネシウム 400g
微晶性セルロース 750g
炭酸マグネシウム 300g
HPMC 6cps 50g
【0071】
A. 薬物コアー
エソメプラゾールマグネシウム及び炭酸マグネシウムを、アルカリ安定剤として含む内部コアーを、押出し/球体化方法により調製する。
粉末混合物を、高い剪断ミキサーにおいて混合し、そして水又はヒドロアルコール溶液を添加し、適切な湿潤塊状物を得る。押出しを、0.6mのスクリーンを固定された押出し機装置の助けにより行う。押出し物を、球状化機械の助けにより球状化し、そして流動層ドライヤーにおいて乾燥する。
次に、球体を乾燥し、18メッシュスクリーンを通して篩分けし、そしてさらなる被覆のために流動層装置中に配置する。
【0072】
B. 中間被膜
中間被覆懸濁液:
145gのヒドロキシプロピルメチルセルロースNF6 cpsを、1.9kgの精製水に分散した。22.5gのエソメプラゾールマグネシウムを、ヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液に添加し、そして撹拌した。290gのステアリン酸マグネシウムを、1.3kgのエタノール(96%)に分散した。中間被覆懸濁液を、前記段階からの750gの薬物積層されたペレット上に噴霧した。次に、球体を乾燥し、18メッシュのスクリーンを通して篩分けし、そしてさらなる被覆のために流動層装置に配置した。
【0073】
C. 腸溶性被膜
腸溶性被覆懸濁液:
50.4gの極微細タルク、6.3gの二酸化チタン及び12.83gのクエン酸トリエチルを、600gの精製水に分散した。その均質化された分散体を、422.3gのメタクリル酸コポリマー分散体に添加し、そして撹拌した。
腸溶性被覆懸濁液を、前記段階からの543.4gの球体上に噴霧した。次に、その球体を、16メッシュのスクリーンを通して篩分けし、そしてハードゼラチンアプセル中に充填した。
【0074】
予測例4.(錠剤内部コアー):
ベンズイミダゾール及びアルカリ安定剤を含む内部コアー
エソメプラゾールマグネシウム 400g
微晶性セルロース 750g
炭酸マグネシウム 300g
HPMC 6cps 50g
特別な粒質賦形剤
微晶性セルロース 50g
ステアリン酸マグネシウム 2g
【0075】
A. 薬物コアー
エソメプラゾールマグネシウム及び炭酸マグネシウムを、アルカリ安定剤として含む内部コアーを、湿式粒質化方法により調製する。
粉末混合物を、高い剪断ミキサーにおいて混合し、そして水又はヒドロアルコール溶液を添加し、適切な粒質物を得る。得られる粒状物を、流動層ドライヤーにおいて乾燥し、0.6mのスクリーンを通して微粉砕し、特別な粒質賦形剤と共に混合し、そしてコアー錠剤またはミニ錠剤に圧縮する。
【0076】
B. 中間被膜
中間被覆懸濁液:
145gのヒドロキシプロピルメチルセルロースNF6 cpsを、1.9kgの精製水に分散した。22.5gのエソメプラゾールマグネシウムを、ヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液に添加し、そして撹拌した。290gのステアリン酸マグネシウムを、1.3kgのエタノール(96%)に分散した。中間被覆懸濁液を、前記段階からの1.1kgの薬物積層されたペレット上に噴霧した。次に、球体を乾燥し、18メッシュのスクリーンを通して篩分けし、そしてさらなる被覆のために流動層装置に配置した。
【0077】
C. 腸溶性被膜
腸溶性被覆懸濁液:
50.4gの極微細タルク、6.3gの二酸化チタン及び12.83gのクエン酸トリエチルを、600gの精製水に分散した。その均質化された分散体を、422.3gのメタクリル酸コポリマー分散体に添加し、そして撹拌した。
腸溶性被覆懸濁液を、前記段階からの555gの球体上に噴霧した。
【0078】
例5
A. 薬物層
薬物層被覆懸濁液:
180gのヒドロキシプロピルメチルセルロースNF 6cpsを、3.8kgの精製水に分散した。180gの炭酸マグネシウムを添加し、そしてその溶液を撹拌した。240gのエソメプラゾールマグネシウムを添加し、そして均質懸濁液が得られるまで、撹拌した。
【0079】
720gのCellets(商標)(微晶性セルロース球体)(500〜710ミクロン)を、流動層装置中に導入し、そして前述の懸濁液を、前記球体上に噴霧した。次に、その球体を乾燥し、18メッシュのスクリーンを通して篩分けし、そしてさらなる被覆のために流動層装置中に配置した。
【0080】
B. 中間被膜
中間被覆懸濁液:
145gのヒドロキシプロピルメチルセルロースNF6 cpsを、1.9kgの精製水に分散した。22.5gのエソメプラゾールマグネシウムを、ヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液に添加し、そして撹拌した。290gのステアリン酸マグネシウムを、1.3kgのエタノール(96%)に分散した。中間被覆懸濁液を、前記段階からの1.1kgの薬物積層されたペレット上に噴霧した。次に、球体を乾燥し、18メッシュのスクリーンを通して篩分けし、そしてさらなる被覆のために流動層装置に配置した。
【0081】
C. 腸溶性被膜
腸溶性被覆懸濁液:
36gの極微細タルク、4.5gの二酸化チタン及び9.2gのクエン酸トリエチルを、535gのアセトン−イソプロピルアルコール混合物(3:2)に分散した。90.5gのメタクリル酸コポリマー粉末を、1150gのアセトン−イソプロピルアルコール混合物(3:2)に分散した。その均質化された分散体を、メタクリル酸コポリマー溶液に添加し、そして撹拌した。
腸溶性被覆懸濁液を、前記段階からの700.9gの球体上に噴霧した。次に、その球体を、16メッシュのスクリーンを通して篩分けし、そしてハードゼラチンアプセル中に充填した。
【0082】
例6
A. 薬物層
薬物層被覆懸濁液:
180gのヒドロキシプロピルメチルセルロースNF 6cpsを、3.8kgの精製水に分散した。180gの炭酸マグネシウムを添加し、そしてその溶液を撹拌した。240gのエソメプラゾールマグネシウムを添加し、そして均質懸濁液が得られるまで、撹拌した。
【0083】
720gのCellets(商標)(微晶性セルロース球体)(500〜710ミクロン)を、流動層装置中に導入し、そして前述の懸濁液を、前記球体上に噴霧した。次に、その球体を乾燥し、18メッシュのスクリーンを通して篩分けし、そしてさらなる被覆のために流動層装置中に配置した。
【0084】
B. 中間被膜
中間被覆懸濁液:
39.2gのヒドロキシプロピルメチルセルロースNF6 cpsを、0.6kgの精製水に分散した。12.2gのエソメプラゾールマグネシウムを、ヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液に添加し、そして撹拌した。54gのエチルセルロース 7cpsを、950gのエタノール(96%)に分散した。156.6gのステアリン酸マグネシウムを、708gのエタノール(96%)に分散し、エチルセルロース分散体に添加し、そして30分間、混合した。中間被覆懸濁液を、前記段階からの579gの薬物積層されたペレット上に噴霧した。次に、球体を乾燥し、18メッシュのスクリーンを通して篩分けし、そしてさらなる被覆のために流動層装置に配置した。
【0085】
C. 腸溶性被膜
腸溶性被覆懸濁液:
36.5gの極微細タルク、4.9gの二酸化チタン及び9.5gのクエン酸トリエチルを、355gのアセトン−イソプロピルアルコール混合物(3:2)に分散した。91.8gのメタクリル酸コポリマー粉末を、765gのアセトン−イソプロピルアルコール混合物(3:2)に分散した。その均質化された分散体を、メタクリル酸コポリマー溶液に添加し、そして撹拌した。
腸溶性被覆懸濁液を、前記段階からの713.3gの球体上に噴霧した。次に、その球体を、16メッシュのスクリーンを通して篩分けし、そしてハードゼラチンアプセル中に充填した。
【0086】
例7
A. 薬物層
薬物層被覆懸濁液:
210gのヒドロキシプロピルセルロースNF(Klucel LF(商標))を、6.4kgの精製水に分散した。140gの炭酸マグネシウムを添加し、そしてその溶液を撹拌した。280gのエソメプラゾールマグネシウムを添加し、そして均質懸濁液が得られるまで、撹拌した。
840gのCellets(商標)(微晶性セルロース球体)(500〜710ミクロン)を、流動層装置中に導入し、そして前述の懸濁液を、前記球体上に噴霧した。次に、その球体を乾燥し、18メッシュのスクリーンを通して篩分けし、そしてさらなる被覆のために流動層装置中に配置した。
【0087】
B. 中間被膜
中間被覆懸濁液:
90gのヒドロキシプロピルメチルセルロースNF6 cpsを、1400kgの精製水に分散した。14gのエソメプラゾールマグネシウムを、ヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液に添加し、そして撹拌した。180gのステアリン酸マグネシウムを、830gのエタノール(96%)に分散した。中間被覆懸濁液を、前記段階からの650gの薬物積層されたペレット上に噴霧した。次に、球体を乾燥し、18メッシュのスクリーンを通して篩分けし、そしてさらなる被覆のために流動層装置に配置した。
【0088】
C. 腸溶性被膜
腸溶性被覆懸濁液:
39.3gの極微細タルク、4.8gの二酸化チタン及び10.1gのクエン酸トリエチルを、333gのアセトン−イソプロピルアルコール混合物(3:2)に分散した。89.2gのメタクリル酸コポリマー粉末を、690gのアセトン−イソプロピルアルコール混合物(3:2)に分散した。その均質化された分散体を、メタクリル酸コポリマー溶液に添加し、そして撹拌した。
【0089】
腸溶性被覆懸濁液を、前記段階からの693.5gの球体上に噴霧した。次に、その球体を、16メッシュのスクリーンを通して篩分けし、そしてハードゼラチンアプセル中に充填した。
【0090】
例8
A. 薬物層
薬物層被覆懸濁液:
195gのヒドロキシプロピルセルロースNF(Klucel LF(商標))を、5.9kgの精製水に分散した。130gの炭酸マグネシウムを添加し、そしてその溶液を撹拌した。260gのエソメプラゾールマグネシウムを添加し、そして均質懸濁液が得られるまで、撹拌した。
650gのSuglets(商標)(糖球体)(400〜500ミクロン)を、流動層装置中に導入し、そして前述の懸濁液を、前記球体上に噴霧した。次に、その球体を乾燥し、18メッシュのスクリーンを通して篩分けし、そしてさらなる被覆のために流動層装置中に配置した。
【0091】
B. 中間被膜
中間被覆懸濁液:
84.1gのヒドロキシプロピルメチルセルロースNF6 cpsを、1.3kgの精製水に分散した。13gのエソメプラゾールマグネシウムを、ヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液に添加し、そして撹拌した。168.2gのステアリン酸マグネシウムを、750gのエタノール(96%)に分散した。中間被覆懸濁液を、前記段階からの551gの薬物積層されたペレット上に噴霧した。次に、球体を乾燥し、18メッシュのスクリーンを通して篩分けし、そしてさらなる被覆のために流動層装置に配置した。
【0092】
C. 腸溶性被膜
腸溶性被覆懸濁液:
29gの極微細タルク、3.8gの二酸化チタン及び7.4gのクエン酸トリエチルを、266gのアセトン−イソプロピルアルコール混合物(3:2)に分散した。72.2gのメタクリル酸コポリマー粉末を、500gのアセトン−イソプロピルアルコール混合物(3:2)に分散した。その均質化された分散体を、メタクリル酸コポリマー溶液に添加し、そして撹拌した。
腸溶性被覆懸濁液を、前記段階からの563gの球体上に噴霧した。次に、その球体を、16メッシュのスクリーンを通して篩分けし、そしてハードゼラチンアプセル中に充填した。
【0093】
例9
A. 薬物層
薬物層被覆懸濁液:
120gのヒドロキシプロピルセルロースNF(Klucel LF(商標))を、2.7kgの精製水に分散した。60gのヒドロキシプロピルメチルセルロースNF 6cpsを、2.7kgの精製水に分散した。両ポリマー分散体を混合し、そして撹拌する。120gの炭酸マグネシウムを添加し、そしてその溶液を撹拌した。240gのエソメプラゾールマグネシウムを添加し、そして均質懸濁液が得られるまで、撹拌した。
【0094】
720gのCellets(商標)(微晶性セルロース球体)(500〜710ミクロン)を、流動層装置中に導入し、そして前述の懸濁液を、前記球体上に噴霧した。次に、その球体を乾燥し、18メッシュのスクリーンを通して篩分けし、そしてさらなる被覆のために流動層装置中に配置した。
【0095】
B. 中間被膜
中間被覆懸濁液:
75.4gのヒドロキシプロピルメチルセルロースNF6 cpsを、1.2kgの精製水に分散した。11.7gのエソメプラゾールマグネシウムを、ヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液に添加し、そして撹拌した。150.8gのステアリン酸マグネシウムを、690gのエタノール(96%)に分散した。中間被覆懸濁液を、前記段階からの546gの薬物積層されたペレット上に噴霧した。次に、球体を乾燥し、18メッシュのスクリーンを通して篩分けし、そしてさらなる被覆のために流動層装置に配置した。
【0096】
C. 腸溶性被膜
腸溶性被覆懸濁液:
31.2gの極微細タルク、4gの二酸化チタン及び8gのクエン酸トリエチルを、300gのアセトン−イソプロピルアルコール混合物(3:2)に分散した。77.4gのメタクリル酸コポリマー粉末を、543gのアセトン−イソプロピルアルコール混合物(3:2)に分散した。その均質化された分散体を、メタクリル酸コポリマー溶液に添加し、そして撹拌した。
腸溶性被覆懸濁液を、前記段階からの603gの球体上に噴霧した。次に、その球体を、16メッシュのスクリーンを通して篩分けし、そしてハードゼラチンアプセル中に充填した。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】図1は、すべての実際の(非予測的)例において調製される経口用量形についての溶解プロフィールを提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)不活性内部コアー;
b)ベンズイミダゾール化合物及びアルカリ安定剤から構成される、前記内部コアーの上部の第1被膜;
c)アルカリ安定剤を欠いている、前記第1被膜の上部の中間被膜、ここで前記中間被膜は前記同じか又は異なったベンズイミダゾール化合物を含んで成る;及び
d)外部腸溶性層;
を含んで成る、胃酸分泌を阻害する酸不安定ベンズイミダゾール化合物の医薬製剤。
【請求項2】
前記内部コアーが、不活性非−パレイル(pareil)糖又はMCC球体である、請求項1記載の医薬製剤。
【請求項3】
前記ベンズイミダゾール化合物が、エソメプラゾール、ランソプラゾール、オメプラゾール、パントプラゾール及びラベプラゾールから成る群から選択される、請求項1記載の医薬製剤。
【請求項4】
前記ベンズイミダゾール化合物が、塩である請求項3記載の医薬製剤。
【請求項5】
前記ベンズイミダゾール化合物が、エソメプラゾールマグネシウムである請求項4記載の医薬製剤。
【請求項6】
前記エソメプラゾールマグネシウムが、非晶性である請求項5記載の医薬製剤。
【請求項7】
前記エソメプラゾールマグネシウムが、水和化される請求項5記載の医薬製剤。
【請求項8】
前記第1被膜が、約80%〜約95%(w/w)の前記製剤に存在するベンズイミダゾール化合物を有する請求項1記載の医薬製剤。
【請求項9】
前記第1被膜に存在するベンズイミダゾール化合物が、約85%〜約95%(w/w)である請求項8記載の医薬製剤。
【請求項10】
前記第1被膜に存在するベンズイミダゾール化合物が、約90%(w/w)である請求項9記載の医薬製剤。
【請求項11】
前記アルカリ安定剤が、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム及びそれらの混合物から成る群から選択される請求項1記載の医薬製剤。
【請求項12】
前記アルカリ安定剤が、有機塩基である請求項1記載の医薬製剤。
【請求項13】
前記有機塩基が、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンである請求項12記載の医薬製剤。
【請求項14】
前記中間被膜が、約5%〜約20%(w/w)の前記製剤に存在するベンズイミダゾールを有する請求項1記載の医薬製剤。
【請求項15】
前記中間被膜が、約5%〜約15%(w/w)の前記製剤に存在するベンズイミダゾールを有する請求項14記載の医薬製剤。
【請求項16】
前記中間被膜が、約10%(w/w)の前記製剤に存在するベンズイミダゾールを有する請求項15記載の医薬製剤。
【請求項17】
前記中間被膜がさらに、結合剤を含んで成る請求項1記載の医薬製剤。
【請求項18】
前記結合剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、スターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、スクロース溶液、及びデキストロース溶液から成る群から選択される請求項17記載の医薬製剤。
【請求項19】
前記腸溶性被膜が、メタクリル酸コポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート及びヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネートから成る群から選択されたポリマーを含んで成る請求項1記載の医薬製剤。
【請求項20】
前記ポリマーが約45%〜約85%(w/w)の腸溶性被膜層である請求項19記載の医薬製剤。
【請求項21】
前記医薬製剤が、多粒子供給システムとして投与される請求項1記載の医薬製剤。
【請求項22】
前記多粒子供給システムが、約400〜約1200μmの平均直径を有する粒子を含む請求項21記載の医薬製剤。
【請求項23】
前記医薬製剤が、30℃及び65%の相対湿度での少なくとも約2ヶ月間の貯蔵下で安定する請求項1記載の医薬製剤。
【請求項24】
前記医薬製剤が、30℃及び65%の相対湿度での少なくとも約3ヶ月間の貯蔵下で安定する請求項23記載の医薬製剤。
【請求項25】
前記製剤が、錠剤、腔坐剤、かむことができる錠剤、頬用錠剤、粒質物、ペレット、ビーズ又はピルの形で存在する請求項1記載の医薬製剤。
【請求項26】
前記錠剤が、圧縮されたビーズを含んで成る請求項25記載の医薬製剤。
【請求項27】
前記製剤が、即座の開放、調節された開放、延長された開放、遅延された開放、標的化された開放、又は標的化された遅延性開放のために配合される請求項1記載の医薬製剤。
【請求項28】
請求項1記載の医薬製剤の調製方法であって、
a)ベンズイミダゾール化合物及びアルカリ安定剤を含んで成る第1懸濁液により不活性内部コアーを被覆し;
b)中間被膜を得るために、前記同じか又は異なったベンズイミダゾール化合物を含んで成るが、但しアルカリ安定剤を欠いている第2懸濁液により前記被覆された内部コアー上に被膜を適用し;そして
c)前記中間被膜上に腸溶性被膜を適用する;
段階を含んで成る方法。
【請求項29】
前記第1懸濁液が、水性懸濁液である請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記ベンズイミダゾール化合物が、エソメプラゾール、ランソプラゾール、オメプラゾール、パントプラゾール及びラベプラゾールから成る群から選択される請求項28記載の方法。
【請求項31】
前記ベンズイミダゾール化合物が、エソメプラゾールマグネシウムである請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記腸溶性被膜が、有機溶媒溶液から適用される請求項28記載の方法。
【請求項33】
a)ベンズイミダゾール化合物及びアルカリ安定剤から構成される内部コアー;
b)前記同じか又は異なったベンズイミダゾール化合物を含んで成るが、但しアルカリ安定剤を欠いている、前記内部コアー上の中間被膜;及び
c)外部腸溶性層;
を含んで成る、胃酸分泌を阻止する酸不安定ベンズイミダゾール化合物の医薬製剤。
【請求項34】
前記ベンズイミダゾール化合物が、エソメプラゾール、ランソプラゾール、オメプラゾール、パントプラゾール及びラベプラゾールから成る群から選択される請求項33記載の医薬製剤。
【請求項35】
前記ベンズイミダゾール化合物が、塩である請求項34記載の医薬製剤。
【請求項36】
前記ベンズイミダゾール化合物が、エソメプラゾールマグネシウムである請求項35記載の医薬製剤。
【請求項37】
請求項33記載の医薬製剤の調製方法であって、
a)ベンズイミダゾール化合物及びアルカリ安定剤を混合することにより内部コアーを調製し;
b)前記ベンズイミダゾール化合物を含んで成るが、但しアルカリ安定剤を欠いている懸濁液により、中間被膜を形成するために前記内部コアーを積層し;そして
c)腸溶性被膜を形成するために前記中間被膜を積層する;
段階を含んで成る方法。
【請求項38】
a)不活性内部コアー;
b)ベンズイミダゾール化合物及びアルカリ安定剤から構成される内部コアー上の第1被膜、ここで前記ベンズイミダゾール化合物は、製剤におけるベンズイミダゾール化合物のラベルされた用量の約80%〜約95%(w/w)の量で存在し;
c)ベンズイミダゾール化合物を含んで成るが、但しアルカリ安定剤を欠いている、前記第1被膜の上部の中間被膜、ここで前記ベンズイミダゾール化合物は、製剤におけるベンズイミダゾール化合物のラベルされた用量の約5%〜約20%(w/w)の量で存在し;及び
d)外部腸溶性層;
から構成される多くの粒子を含んで成る、胃酸分泌を阻害する酸不安定ベンズイミダゾール化合物の多粒質供給システム。

【図1】
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【公表番号】特表2008−502740(P2008−502740A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527808(P2007−527808)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/021085
【国際公開番号】WO2006/002077
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】