説明

ベンズイミダゾール誘導体およびその用途

【課題】アンジオテンシンII受容体拮抗薬として、強力かつ持続的な血圧降下作用、インスリン抵抗性改善作用などの優れた薬理作用と、結晶性および安定性などの優れた物性を有する、ベンズイミダゾール誘導体の製造法の提供。
【解決手段】2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸の反応性誘導体またはその塩を、4-ヒドロキシメチル-5-メチル-1,3-ジオキソール-2-オンまたはその塩と反応させることを包含する、下記式:


で示される化合物、またはその塩の製造法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬として優れた性質を有する新規ベンズイミダゾール誘導体、その製造法およびその用途に関する。詳しくは、本発明は、強力かつ持続的な血圧降下作用、インスリン抵抗性改善作用などの優れた薬理作用と、結晶性および安定性などの優れた物性を有し、高血圧症、心臓病(心肥大、心不全、心筋梗塞など)、腎炎、脳卒中などの循環器系疾患および糖尿病などの代謝性疾患の予防または治療剤として有用な、特定構造を有するベンズイミダゾール誘導体のプロドラッグ、その製造法およびその用途などに関する。
【背景技術】
【0002】
アンジオテンシンIIは細胞膜上のアンジオテンシンII受容体を介して血管を収縮させ血圧を上昇させる。従って、アンジオテンシンII受容体拮抗薬は高血圧症などの循環器系疾患の有効な治療薬となる。
強力なアンジオテンシンII拮抗作用を発現する好ましい化学構造として、ビフェニル側鎖上にテトラゾリル基やカルボキシル基などの酸性基を有する構造が知られており、このような構造的特徴を有する医薬化合物としてロサルタン、エプロサルタン、カンデサルタン シレキセチル、オルメサルタン メドキソミルなどが臨床的に用いられている(Ruth
R. Wexlerら、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー,1996年,第39巻,p.625、特開平4−364171号公報、特開平5−78328号公報など)。特開平5−271228号公報には、ビフェニル側鎖上の酸性基を5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル基とした化合物として、2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベ
ンズイミダゾール-7-カルボン酸(化合物A)およびそのメチルエステル(化合物B)が
、強力なアンジオテンシンII拮抗作用を有し、経口投与で強力な血圧降下作用を示すことが記載されている。また、WO03/047573号には、特開平5−271228号公報に記載されたベンズイミダゾール誘導体のうち特定の化合物(2-エトキシ-1-{[2'-(5-
オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-1,1'-ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸)(化合物C)が、アンジオテンシンII拮抗作用に加えてインスリン抵抗性改善作用を併せ持つことが記載されている。
【0003】
医薬としての実用性を高める手段の一つとして、ある薬理活性を有する化合物をプロドラッグ化することが知られている。例えば、カルボン酸のプロドラッグとしては、アルキルカルボニルオキシメチルエステル、1−アルキルカルボニルオキシエチルエステル、アルキルオキシカルボニルオキシメチルエステル、1−アルキルオキシカルボニルオキシエチルエステル、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イル)メチルエステル(いわゆるメドキソミルエステル)が、これまでの医薬品開発において経口投与での活性発現が不十分な化合物に広く利用されてきた。また、インドメタシンの脂溶性物質であるファルネソールエステルや、ACE阻害薬においてはエチルエステルが持続的な活性をもたらすことなどが知られている。
WO2005/080384号には、化合物Cのメドキソミルエステルが記載されている。
【0004】
また、単離精製の容易性や製剤中での安定性などの観点からは、化合物が結晶の形態であることが好ましい。しかし、化合物が結晶化するか否かは一般に予測不可能であり、実際に化合物を合成し、単離してみないと分からない。一方、結晶化することによって化合物の溶解性は一般に低下し、その結果として経口吸収性が一般的に悪くなることから、安定性と溶解性のバランスが良好であり、医薬化合物として優れた物性を有する結晶が得られるかは予想することができない。
【発明の開示】
【0005】
本発明は、高血圧症などの循環器系疾患および糖尿病などの代謝性疾患の予防または治療のための医薬として優れた新規化合物などを提供することにある。
【0006】
本発明者らは、高血圧症などの循環器系疾患および糖尿病などの代謝性疾患などの予防または治療剤として更に有用な医薬を提供するため、優れた薬理作用と優れた物理化学的性質を兼ね備えた新たな化合物を見出すべく鋭意研究を行った。
その結果、生体内で化合物Aに変換される特定構造のプロドラック化合物が、予想外に優れた物性(例えば、結晶性、安定性などの物理化学的性質)を有し、予想外に強力かつ持続的な血圧降下作用を示すなど、医薬として極めて優れた性質を有することを見出し、本発明を完成するに到った。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1) 2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸 (5-メチル-2-
オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチル;
(2) 2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸 (5-メチル-2-
オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチルの塩;
(3) 2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸 (5-メチル-2-
オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチルのカリウム塩;
(4) 2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸 (5-メチル-2-
オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチルの溶媒和物;
(5) 前記(1)ないし(4)のいずれかの化合物の結晶;
(6) 2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸の反応性誘導体
またはその塩を、4-ヒドロキシメチル-5-メチル-1,3-ジオキソール-2-オンまたはその塩
と反応させることを包含する、2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カル
ボン酸 (5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチルまたはその塩の製造法;
(7) 前記(1)ないし(4)のいずれかの化合物を含有する医薬;
(8) アンジオテンシンII拮抗剤である、前記(7)の医薬;
(9) 循環器系疾患の予防または治療剤である、前記(7)の医薬;
(10) 2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸もしくはその
塩またはそのプロドラッグを含有する、インスリン抵抗性改善剤;
(11) 2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸もしくはその
塩またはそのプロドラッグを含有する、インスリン抵抗性改善剤の血糖低下作用増強剤;(12) 前記(1)ないし(4)のいずれかの化合物の有効量を哺乳動物に投与することを包含する、哺乳動物におけるアンジオテンシンII拮抗方法;
(13) 前記(1)ないし(4)のいずれかの化合物の有効量を哺乳動物に投与することを包含する、哺乳動物における循環器系疾患の予防または治療方法;
(14) 2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸もしくはその
塩またはそのプロドラッグの有効量を哺乳動物に投与することを包含する、哺乳動物におけるインスリン抵抗性改善方法;
(15) 2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸もしくはその
塩またはそのプロドラッグの有効量を哺乳動物に投与することを包含する、哺乳動物におけるインスリン抵抗性改善剤の血糖低下作用増強方法;
(16) アンジオテンシンII拮抗剤を製造するための前記(1)ないし(4)のいずれかの化合物の使用;
(17) 循環器系疾患の予防または治療剤を製造するための前記(1)ないし(4)のいずれかの化合物の使用;
(18) インスリン抵抗性改善剤を製造するための2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキ
ソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベン
ズイミダゾール-7-カルボン酸もしくはその塩またはそのプロドラッグの使用;
(19) インスリン抵抗性改善剤の血糖低下作用増強剤を製造するための2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸もしくはその塩またはそのプロドラッ
グの使用;
などに関する。
【0008】
本発明化合物は、高血圧症などの循環器系疾患および糖尿病などの代謝性疾患に対して優れた予防または治療効果を示す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例3で得られた結晶の粉末X線結晶回折パターンを示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)
ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸 (5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチル(以下、化合物(I)と称する場合がある。)は、式

【0011】
【化1】

【0012】
で表される。式中、式:
【0013】
【化2】

【0014】
で表される基(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル基)には、式:
【0015】
【化3】

【0016】
で示される3つの互変異性体(a′,b′およびc′)が存在し、5-オキソ-4,5-ジヒド
ロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル基は上記のa′,b′およびc′のすべてを含む。
【0017】
化合物(I)の塩は、薬理学的に許容される塩であれば如何なる塩であってもよい。このような塩としては、化合物(I)と、無機塩基(例、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属;カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属など);有機塩基(例、トロメタミン[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン]、エタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、tert−ブチルアミン、ピリジン、ピコリン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミンなどの有機アミン類、アルギニン、リジン、オルニチンなどの塩基性アミノ酸類など)、アンモニアなどとの塩が挙げられる。
化合物(I)の塩としては、化合物(I)のアルカリ金属塩が好ましく、中でも、カリウム塩が特に好ましい。
【0018】
化合物(I)は、同位元素(例、3H, 14C, 35S,125Iなど)などで標識されていてもよ
い。
【0019】
化合物(I)は、結晶であってもよく、結晶形が単一であっても、複数の結晶形の混合物であってもよい。結晶は、自体公知の結晶化法を適用して、結晶化することによって製造することができる。
化合物(I)は、結晶であることが好ましく、中でも、安定性と溶解性のバランスが良好であり、工業的スケールでの製造にも適したFormA結晶が好ましい。
【0020】
また、化合物(I)は、溶媒和物(例えば、水和物など)であってもよく、溶媒和物および無溶媒和物(例えば、非水和物など)のいずれも化合物(I)に包含される。
【0021】
製造法
化合物(I)は、例えば、以下に示す方法またはこれに準じた方法などによって製造することができる。
以下の各方法で得られる化合物(I)の収率は用いる反応条件によって異なり得るが、そのような方法による生成物から通常の分離・精製の手段(再結晶、カラムクロマトグラフィーなど)によって容易に化合物(I)を高純度で得ることが出来る。
【0022】
化合物(I)は、式(II)で表される化合物(化合物A)またはその塩(以下、化合物(II)と称する場合がある)の反応性誘導体(例えば、混合酸無水物、酸ハロゲン化物など)を、対応するアルコール(IV)(HO−R)またはその塩と反応させることにより製造することができる。
方法a
【0023】
【化4】

【0024】
〔式中、Xはハロゲン原子(塩素、臭素、ヨウ素など)を示し、Rは(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチル基を示し、R12はアルキル基(例えば、メチル、
エチル、プロピル、tert-ブチルなどのC1-6アルキル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、イソブチルオキシなどのC1-6アルコキシ基)、またはハロゲン原子、
1-6アルキル基、ニトロ基などで置換されていてもよいフェニル基を示し、R12’は
アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、tert-ブチルなどのC1-6アルキル基)、またはハロゲン原子、C1-6アルキル基、ニトロ基などで置換されていてもよいフェニ
ル基を示す。〕
方法は、化合物(II)を塩基存在下でアシル化剤(III)と反応させて、混合酸無水物を生成した後、当該混合酸無水物をアルコール(IV)(HO−R)と塩基存在下で反応させて、エステル化を行なうことを包含する。
混合酸無水物の生成は、化合物(II)1モルに対して、塩基1〜3モル程度およびアシル化剤(III)1〜3モル程度使用して溶媒中で行なう。続いて、アルコール(IV)を加えて反応させるか、あるいは、一旦、塩(塩基とH−Xとの塩)を濾別した後、濾液を濃縮し、残渣を溶媒で希釈し、アルコール(IV)と塩基を加えて反応させて、エステル化を行う。エステル化では、アルコール(IV)の使用量は、化合物(II)1モルに対して、1〜3モル程度であり、塩基の使用量は、化合物(II)1モルに対して、1〜3モル程度である。
塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、DBU、4−ジメチルアミノピリジン、水素化ナトリウム、tert−ブトキシカリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどが用いられる。
アシル化剤(III)としては、ピバロイルクロライド、クロロ炭酸エチル、クロロ炭酸イソブチル、およびBulletin of the Chemical Society of Japan, 第52巻, 1989-1993頁(1979年)に記載の2,4,6−トリクロロベンゾイルクロライド、2,4−ジクロロベンゾイルクロライド、2,4,6−トリブロモベンゾイルクロライド、2,3,6−トリメチル−4,5−ジニトロベンゾイルクロライドなど酸ハライド;p-トルエンスルホニルクロリド、メタンスルホン酸クロリドなどのスルホン酸ハライドなどが用いられる。
溶媒としては、通常、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、アセトニトリル、アセトン、エチルメチルケトン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどが用いられる。
混合酸無水物生成の反応条件は、用いる塩基、アシル化剤(III)および溶媒の組合せによって異なるが、反応は、通常、−30℃〜室温程度で1〜10時間程度行なうのが好ましい。エステル化の反応条件は、生成した混合酸無水物および用いる溶媒の組合せによって異なるが、反応は、通常、−30℃〜溶媒還流温度程度で1〜10時間程度で行なうのが好ましい。
【0025】
方法b
【0026】
【化5】

【0027】
〔式中、Rは前記と同意義を示す。〕
方法は、化合物(II)を、DMFなどの触媒存在下、チオニルクロライドまたはオキザリルクロライドと反応させて、酸クロライドを生成した後、当該酸クロライドをアルコール(IV)(HO−R)と塩基存在下で反応させて、エステル化を行なうことを包含する。
酸クロライドの生成は、触媒量のDMF存在下、化合物(II)1モルに対して、チオニルクロライドまたはオキザリルクロライドを1〜3モル程度使用し、必要に応じて溶媒中で行なう。続いて、濃縮後、溶媒を加えて、次いでアルコール(IV)と塩基を加えて反応させて、エステル化を行う。エステル化では、アルコール(IV)の使用量は、化合物(II)1モルに対して、1〜3モル程度であり、塩基の使用量は、化合物(II)1モルに対して、1〜3モル程度である。
塩基としては、方法で用いる塩基と同様のものなどが用いられる。
溶媒としては、方法で用いる溶媒と同様のものなどが用いられる。
酸クロライド生成の反応条件は、用いる溶媒によって異なるが、反応は、通常、−30℃〜溶媒還流温度程度で10分〜5時間程度行なうのが好ましい。エステル化の反応条件は、生成した酸クロライドおよび用いる溶媒の組合せによって異なるが、反応は、通常、−30℃〜溶媒還流温度程度で1〜10時間程度行なうのが好ましい。
【0028】
方法c
【0029】
【化6】

【0030】
〔式中、X’はハロゲン原子(塩素、臭素、ヨウ素など)を示し、Rは前記と同意義を示す。〕
方法は、塩基存在下、化合物(II)(塩の場合、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属との塩;カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属との塩などが好ましい。)をアルキル化剤(V)(X'−R)と反応させて、エステル化を行うことを包含
する。
このエステル化は、化合物(II)1モルに対して、塩基1〜3モル程度およびアルキル化剤(V)1〜3モル程度使用して、溶媒中で行なう。
塩基としては、方法で用いる塩基と同様のものなどが用いられる。
溶媒としては、方法で用いる溶媒と同様のものなどが用いられる。
エステル化の反応条件は、用いる塩基、アルキル化剤(V)および溶媒の組合せによって異なるが、反応は、通常、−30℃〜溶媒還流温度程度で30分〜10時間程度行なうのが好ましい。
【0031】
方法d
【0032】
【化7】

【0033】
〔式中、Rは前記と同意義を示す。〕
方法は、縮合剤の存在下、化合物(II)をアルコール(IV)(HO−R)と反応させて、エステル化を行なうことを包含する。
このエステル化は、化合物(II)1モルに対して、縮合剤1〜3モル程度およびアルコール(IV)(HO−R)1〜3モル程度使用して、溶媒中で行なう。
縮合剤としては、DCC、WSC、光延試薬などが用いられる。
溶媒としては、方法で用いる溶媒と同様のものなどが用いられる。
エステル化の反応条件は、用いる縮合剤および溶媒の組合せによって異なるが、反応は、通常、−30℃〜溶媒還流温度程度で30分〜24時間程度で行なうのが好ましい。
【0034】
なお、化合物(II)は、特開平5−271228号公報に記載の方法などによって製造することができる。
【0035】
化合物(I)が遊離体として得られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準ずる方法により、目的とする塩に変換することができ、逆に塩として得られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準ずる方法により、遊離体または目的とする他の塩に変換することができる。
【0036】
化合物(I)が無晶形として得られた場合、自体公知の結晶化方法あるいはそれに準ずる方法によって、結晶化することができる。
化合物(I)のFormA結晶は、化合物(I)を低分子量非プロトン性溶媒(例えば、アセトニトリル、アセトンなど)の単一溶媒またはこれらと水の混合溶媒で再結晶することにより化合物(I)の溶媒和結晶を得た後、これを室温〜約150℃、好ましくは約80℃〜約120℃で、5時間〜3日、好ましくは8時間〜15時間、減圧乾燥することにより製造することができる。
【0037】
かくして製造される化合物(I)またはその塩(以下、本発明化合物と称する場合がある)は、低毒性で安全であり(換言すれば、例えば、急性毒性、慢性毒性、遺伝毒性、生殖毒性、心毒性、薬物相互作用、癌原性などの点から医薬としてより優れており)、動物とりわけ哺乳動物(例えば、ヒト、サル、ネコ、ブタ、ウマ、ウシ、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ウサギなど)の生体内において速やかに化合物Aに変換される。
【0038】
化合物Aもしくはその塩またはそのプロドラッグは、インスリン抵抗性改善作用を有する。
【0039】
化合物Aの塩としては、薬理学的に許容される塩であれば如何なる塩であってもよく、化合物(I)の場合において例示したものと同様のものが挙げられる。
【0040】
化合物Aのプロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素や胃酸などによる反応により化合物Aに変換する化合物、すなわち酵素的に酸化、還元、加水分解などを起こして化合物Aに変化する化合物、胃酸などにより加水分解などを起こして化合物Aに変化する化合物をいう。
化合物Aのプロドラッグとしては、化合物Aのアミノ基がアシル化、アルキル化またはリン酸化された化合物(例えば、化合物Aのアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化またはtert−ブチル化された化合物など);化合物Aのヒドロキシル基がアシル化、アルキル化、リン酸化またはホウ酸化された化合物(例えば、化合物Aのヒドロキシル基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、スクシニル化、フマリル化、アラニル化またはジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物など);化合物Aのカルボキシ基がエステル化またはアミド化された化合物(例えば、化合物Aのカルボキシ基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化またはメチルアミド化された化合物など)などが挙げられる。これらの化合物は自体公知の方法によって化合物Aから製造することができる。
また、化合物Aのプロドラッグは、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163頁から198頁に記載されているような生理的条件で化合物Aに変化するものであってもよい。
化合物Aのプロドラッグとしては、化合物Aのカルボキシ基が(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イル)メチルエステル化された化合物(即ち、化合物(I))が好ましい。
【0041】
化合物Aのプロドラッグに、光学異性体、立体異性体、位置異性体または回転異性体が存在する場合には、これらの異性体も化合物Aのプロドラッグに包含される。例えば、化合物Aのプロドラッグに光学異性体が存在する場合には、ラセミ化合物から分割された光学異性体も化合物Aのプロドラッグに包含される。これらの異性体は、自体公知の合成手法、分離手法(濃縮、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶など)によりそれぞれを単品として得ることができる。
化合物Aのプロドラッグは、結晶であってもよく、結晶形が単一であっても、複数の結晶形の混合物であってもよい。結晶は、自体公知の方法により、結晶化することによって製造することができる。
【0042】
化合物Aはインスリン抵抗性の主因である細胞内インスリン情報伝達機構を正常化し、インスリン抵抗性を軽減するとともにインスリン作用を増強させ、耐糖能改善作用を有していることから、化合物Aもしくはその塩またはそのプロドラッグ(本発明化合物を含む)は、哺乳動物(例、ヒト、サル、ネコ、ブタ、ウマ、ウシ、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ウサギなど)に対し、インスリン抵抗性が関与する疾患の改善剤あるいは予防および/または治療剤として用いられる。このような疾患としては、例えば、インスリン抵抗性、耐糖能異常;インスリン非依存性糖尿病、II型糖尿病、インスリン抵抗性を伴う
II型糖尿病、耐糖能異常を伴うII型糖尿病などの糖尿病;高インスリン血症、インスリン抵抗性を伴う高血圧症、耐糖能異常を伴う高血圧症、糖尿病(例、II型糖尿病など)を伴う高血圧症、高インスリン血症を伴う高血圧症、高血圧症に合併するインスリン抵抗性、高血圧症に合併する耐糖能異常、高血圧症に合併する糖尿病、高血圧症に合併する高インスリン血症、糖尿病性合併症[例、細小血管症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、糖尿病性白内障、大血管障害、骨減少症、糖尿病性高浸透圧昏睡、感染症(例、呼吸器感染症、尿路感染症、消化器感染症、皮膚軟部組織感染症、下肢感染症など)、糖尿病性壊疽、口腔乾燥症、聴覚の低下、糖尿病性脳血管障害、糖尿病性末梢血行障害、糖尿病性高血圧症など]、糖尿病性悪液質などの各種合併症などが挙げられる。化合物Aもしくはその塩またはそのプロドラッグは、糖尿病を発症している正常高値血圧患者の治療にも用いることができる。
【0043】
また、化合物Aは強力なアンジオテンシンII拮抗作用を有することから、本発明化合物は、哺乳動物(例、ヒト、サル、ネコ、ブタ、ウマ、ウシ、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ウサギなど)に対し、アンジオテンシンII受容体を介して発現する血管の収縮および増殖や臓器障害により、アンジオテンシンIIの存在により、あるいはアンジオテンシンIIが存在すると誘発される因子により発症する疾患(または発症が促進される疾患)の予防または治療剤として有用である。
【0044】
このような疾患としては、例えば、高血圧症、血圧日内変動異常、心疾患(例、心肥大、急性心不全、うっ血性を含む慢性心不全、拡張不全、心筋症、狭心症、心筋炎、心房細動、不整脈、頻脈、心筋梗塞など)、脳血管障害(例、無症候性脳血管障害、一過性脳虚血発作、脳卒中、脳血管性痴呆、高血圧性脳症、脳梗塞など)、脳浮腫、脳循環障害、脳血管障害の再発および後遺症(例、神経症候、精神症候、自覚症状、日常生活動作障害など)、虚血性末梢循環障害、心筋虚血、静脈機能不全、心筋梗塞後の心不全進行、腎疾患(例、腎炎、糸球体腎炎、糸球体硬化症、腎不全、血栓性微小血管症、透析の合併症、放射線照射による腎症を含む臓器障害など)、アテローム性を含む動脈硬化症(例、動脈瘤、冠動脈硬化症、脳動脈硬化症、末梢動脈硬化症など)、血管肥厚、インターベンション(例、経皮的冠動脈形成術、ステント留置、冠動脈内視鏡、血管内超音波、冠注血栓溶解療法など)後の血管肥厚または閉塞および臓器障害、バイパス手術後の血管再閉塞・再狭窄、移植後の赤血球増加症・高血圧・臓器障害・血管肥厚、移植後の拒絶反応、眼疾患(例、緑内障、高眼圧症など)、血栓症、多臓器不全、内皮機能障害、高血圧性耳鳴り、その他の循環器系疾患(例、深部静脈血栓症、閉塞性末梢循環障害、閉塞性動脈硬化症、閉塞性血栓性血管炎、虚血性脳循環障害、レイノー病、バージャー病など)、代謝・栄養障害(例、肥満症、高脂血症、高コレステロール血症、高尿酸血症、高カリウム血症、高ナトリウム血症など)、神経変性疾患(例、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、エイズ脳症など)、中枢神経障害(例、脳出血および脳梗塞、およびその後遺症・合併症、頭部外傷、脊椎損傷、脳浮腫、知覚機能障害、知覚機能異常、自律神経機能障害、自律神経機能異常、多発性硬化症など)、痴呆症、記憶障害、意識障害、健忘症、不安症状、緊張症状、不快精神状態、精神疾患(例、うつ病、てんかん、アルコール依存症など)、炎症性疾患(例、慢性関節リウマチ、変形性関節炎、リウマチ様脊髄炎、骨膜炎などの関節炎;手術・外傷後の炎症;腫脹の緩解;咽頭炎;膀胱炎;肺炎;アトピー性皮膚炎;クローン病、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患;髄膜炎;炎症性眼疾患;肺炎、珪肺、肺サルコイドーシス、肺結核などの炎症性肺疾患など)、アレルギー疾患(例、アレルギー性鼻炎、結膜炎、消化管アレルギー、花粉症、アナフィラキシーなど)、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺炎、カリニ肺炎(pneumocytis carinni pneumonia)、膠原病(例
、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発動脈炎など)、肝臓疾患(例、慢性を含む肝炎、肝硬変など)、門脈圧亢進症、消化器疾患(例、胃炎、胃潰瘍、胃癌、胃手術後障害、消化不良、食道潰瘍、膵炎、大腸ポリープ、胆石症、痔疾患、食道や胃の静脈瘤破裂など)、血液・造血器疾患(例、赤血球増加症、血管性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、播種
性血管内凝固症候群、多発性骨髄症など)、骨疾患(例、骨折、再骨折、骨粗鬆症、骨軟化症、骨ペーチェット病、硬直性脊髄炎、慢性関節リウマチ、変形性膝関節炎およびそれらの類似疾患における関節組織の破壊など)、固形腫瘍、腫瘍(例、悪性黒色腫、悪性リンパ腫、消化器(例、胃、腸など)癌など)、癌およびそれに伴う悪液質、癌の転移、内分泌疾患(例、アジソン病、クッシング症候群、褐色細胞腫、原発性アルドステロン症など)、クロイツフェルト−ヤコブ病、泌尿器・男性性器疾患(例、膀胱炎、前立腺肥大症、前立腺癌、性感染症など)、婦人科疾患(例、更年期障害、妊娠中毒、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣疾患、乳腺疾患、性感染症など)、環境・職業性因子による疾患(例、放射線障害、紫外線・赤外線・レーザー光線による障害、高山病など)、呼吸器疾患(例、かぜ症候群、肺炎、喘息、肺高血圧症、肺血栓・肺塞栓など)、感染症(例、サイトメガロウイルス、インフルエンザウイルス、ヘルペスウイルスなどのウイルス感染症、リケッチア感染症、細菌感染症など)、毒血症(例、敗血症、敗血症性ショック、内毒素性ショック、グラム陰性敗血症、トキシンショック症候群など)、耳鼻咽喉疾患(例、メヌエル症候群、耳鳴り、味覚障害、めまい、平衡障害、嚥下障害など)、皮膚疾患(例、ケロイド、血管腫、乾癬など)、透析低血圧、重症筋無力症、慢性疲労症候群などの全身疾患などが挙げられる。
【0045】
本発明化合物は、一定の血圧降下作用を昼夜を問わず維持することが可能であることから、化合物Aを投与する場合に比較して投与量および回数の軽減が可能であるだけでなく、高血圧症患者で特に問題となる起床前後の血圧上昇をより効果的に抑制することができる。
【0046】
また、本発明化合物は、長時間に亘ってアンジオテンシンIIの作用を持続的に抑制することにより、成人病や老化などに伴うさまざまな疾患の原因となる生体機能および生理作用の障害または異常を改善または亢進を抑制し、これらに起因する疾患または病態の一次および二次予防または進展を抑制できる。このような生体機能および生理作用の障害または異常としては、例えば、脳循環・腎循環自動調節能の障害または異常、循環障害(例、末梢、脳、微小循環など)、脳血液関門の障害、食塩感受性、凝固・線溶系異常、血液・血球成分の性状異常(例、血小板凝集能亢進、赤血球変形能の異常、白血球粘着能の亢進、血液粘度の上昇など)、増殖因子やサイトカイン(例、PDGF、VEGF、FGF、インターロ
イキン、TNF-α、MCP-1など)の産生および作用亢進、炎症系細胞の産生および浸潤亢進
、フリーラジカルの産生亢進、脂肪沈着促進、内皮機能障害、内皮、細胞および臓器障害、浮腫、平滑筋などの細胞の形態変化(増殖型などへの形態変化)、血管作動性物質や血栓誘発物質(例、エンドセリン、トロンボキサンAなど)の産生および機能亢進、血管などの異常収縮、代謝異常(例、血清脂質異常、血糖異常など)、細胞などの異常増殖、血管新生(粥状動脈硬化巣外膜の異常毛細血管網形成における異常な脈管形成を含む)などが挙げられる。中でも、本発明化合物は、種々の疾患に伴う臓器障害(例、脳血管障害およびそれに伴う臓器障害、循環器疾患に伴う臓器障害、糖尿病に伴う臓器障害、インターベンション後の臓器障害など)の一次および二次予防または治療剤として用いることができ、とりわけ化合物Aは蛋白尿抑制作用を有することから、本発明化合物は腎保護剤として用いることができる。したがって、インスリン抵抗性、耐糖能異常、糖尿病、高インスリン血症の患者が上記疾患または病態を併発している場合にも本発明化合物を有利に用いることができる。
【0047】
化合物Aは体重の増加を抑制する作用を有していることから、哺乳動物に対し、本発明化合物は体重増加抑制剤として使用することができる。適用対象の哺乳動物は体重増加を回避したい哺乳動物であればよく、遺伝的に体重増加のリスクを有している哺乳動物であってもよいし、糖尿病、高血圧症および/または高脂血症などの生活習慣病を患っている哺乳動物であってもよい。体重増加は食事摂取の過多や栄養バランスを欠いた食生活に起因するものであってもよいし、併用薬剤(例えば、トログリタゾン、ロシグリタゾン、エ
ングリタゾン、シグリタゾン、ピオグリタゾンなどのPPARγアゴニスト様作用を有するインスリン抵抗性改善剤など)に由来する体重増加であってもよい。また、体重増加は肥満に至る前の体重増加であってもよいし、肥満患者の体重増加であってもよい。ここで、肥満とは、日本人ではBMI(ボディー・マス・インデックス:体重(kg)÷[身長(m)])が25以上(日本肥満学会の基準による)、欧米人ではBMIが30以上(WHOの基準による)と定義される。
【0048】
糖尿病の判定基準については、1999年に日本糖尿病学会から新たな判定基準が報告されている。
この報告によれば、糖尿病とは、空腹時血糖値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が126mg/dl以上、75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)2時間値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が200mg/dl以上、または随時血糖値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が200mg/dl以上を示す状態である。また、上記糖尿病に該当せず、かつ、「空腹時血糖値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が110mg/dl未満または75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)2時間値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が140mg/dl未満を示す状態」(正常型)でない状態を、「境界型」と呼ぶ。
【0049】
また、糖尿病の判定基準については、1997年にADA(米国糖尿病学会)から、1998年にWHOから、新たな判定基準が報告されている。
これらの報告によれば、糖尿病とは、空腹時血糖値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が126mg/dl以上であり、かつ、75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が200mg/dl以上を示す状態である。
また、上記報告によれば、耐糖能異常とは、空腹時血糖値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が126mg/dl未満であり、かつ、75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が140mg/dl以上200mg/dl未満を示す状態である。さらに、ADAの報告によれば、空腹時血糖値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が110mg/dl以上126mg/dl未満の状態をIFG(Impaired Fasting Glucose)と呼ぶ。一方、WHOの報告によれば、該IFG(Impaired Fasting Glucose)のうち、75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が140mg/dl未満である状態をIFG(Impaired Fasting Glycemia)と呼ぶ。
【0050】
本発明化合物は、上記した新たな判定基準により決定される糖尿病、境界型、耐糖能異常、IFG(Impaired Fasting Glucose)およびIFG(Impaired Fasting Glycemia)
の改善剤あるいは予防または治療剤として、さらに上記判定基準(例えば、空腹時血糖値が126mg/dl)以上の高血圧症患者の高血圧症の治療剤としても用いられる。さらに、本発明化合物は、境界型、耐糖能異常、IFG(Impaired Fasting Glucose)またはIFG(Impaired Fasting Glycemia)から糖尿病への進展を防止することもできる。
【0051】
本発明化合物は、糖尿病を有する心疾患(例、心肥大、急性心不全、うっ血性を含む慢性心不全、拡張不全、心筋症、狭心症、心筋炎、心房細動、不整脈、頻脈、心筋梗塞など)患者の心機能低下、心リモデリング進展および症状悪化の抑制もしくは改善剤、または生存率の低下抑制薬として有用である。また糖尿病患者の心疾患(例、心肥大、急性心不全、うっ血性を含む慢性心不全、拡張不全、心筋症、狭心症、心筋炎、心房細動、不整脈、頻脈、心筋梗塞など)および脳血管障害(例、無症候性脳血管障害、一過性脳虚血発作、脳卒中、脳血管性痴呆、高血圧性脳症、脳梗塞など)の発症予防に有効である。
【0052】
本発明化合物は、代謝症候群の予防または治療剤として有用である。代謝症候群の患者では、単一の生活習慣に関連する疾患の患者に比べて心血管系疾患を発症する率が著しく高いことから、代謝症候群を予防または治療することは心血管系疾患を予防するために極
めて重要である。
【0053】
代謝症候群の判定基準が、1999年にWHOから、2001年にNCEPから発表されている。WHOの判定基準によれば、高インスリン血症または空腹時血糖に加えて、内臓肥満、異常脂質血症(高血清グリセライドまたは低HDLコレステロール)、高血圧のうち2つ以上を持つ患者は代謝症候群と診断される(World Health Organization: Definition, Diagnosis and Classification of Diabetes Mellitus and Its Complications. Part I: Diagnosis and Classification of Diabetes Mellitus, World Health Organization, Geneva, 1999)。米国の虚血性心疾患の管理指標であるNational Cholesterol Education Program のAdult Treatment Panel IIIの判定基準によれば、内臓肥満、高グリセライド、低HDLコレステロール、高血圧、空腹時血糖のうち3つ以上を持つ患者は代謝症候群と診断される(National Cholesterol Education Program: Executive Summary of the Third Report of National Cholesterol Education Program (NCEP) Expert Panel on Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults (Adults Treatment Panel III). The Journal of the American Medical Association, Vol. 285, 2486-2497, 2001)。
本発明化合物は、代謝症候群を発症している高血圧の患者の治療に用いることができる。
【0054】
化合物Aは炎症作用を有することから、本発明化合物は抗炎症剤として、炎症性疾患の予防または治療に用いることができる。炎症性疾患としては、例えば、関節炎(例、慢性関節リウマチ、変形性関節炎、リウマチ様脊髄炎、痛風性関節炎、滑膜炎)、喘息、アレルギー疾患、アテローム性を含む動脈硬化症(動脈瘤、冠動脈硬化症、脳動脈硬化症、末梢動脈硬化症など)、炎症性腸疾患など消化器疾患(例、クローン病、潰瘍性大腸炎)、糖尿病性合併症(糖尿病性神経障害、糖尿病性血管障害)、アトピー性皮膚炎、慢性閉塞性肺疾患、全身性エリスマトーデス、内臓炎症性疾患(腎炎、肝炎)、自己免疫性溶血性貧血、乾癬、神経変性疾患(例、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、エイズ脳症)、中枢神経障害(例、脳出血および脳梗塞などの脳血管障害、頭部外傷、脊髄損傷、脳浮腫、多発性硬化症など)、髄膜炎、狭心症、心筋梗塞、うっ血性心不全、インターベンション(経皮的冠動脈形成術、ステント留置、冠動脈内視鏡、血管内超音波、冠注血栓溶解療法など)後の血管肥厚または閉塞および臓器障害、バイパス手術後の血管再閉塞・再狭窄、内皮機能障害、その他の循環器系疾患(間欠性跛行、閉塞性末梢循環障害、閉塞性動脈硬化症、閉塞性血栓性血管炎、虚血性脳循環障害、レイノー病、バージャー病(Verger’s disease)など)、炎症性眼疾患、炎症性肺疾患(例、慢性肺炎、珪
肺、肺サルコイドーシス、肺結核)、子宮内膜症、毒血症(例、敗血症、敗血症性ショック、内毒素性ショック、グラム陰性敗血症、トキシックショック症候群)、悪液質(例、感染による悪液質、癌性悪液質、後天性免疫不全症候群による悪液質)、癌、アジソン病、クロイツフェルト−ヤコブ病、ウイルス感染(例、サイトメガロウイルス、インフルエンザウイルス、ヘルペスウイルスなどのウイルス感染)、汎発性血管内凝固症候群などの各種疾患に因る炎症性疾患などが挙げられる。
【0055】
また、化合物Aは鎮痛作用を有することから、本発明化合物は鎮痛薬として、疼痛のまたは治療に用いることもできる。疼痛疾患としては、例えば、炎症による急性痛、慢性炎症に伴う痛み、急性炎症に伴う痛み、術後痛(切開創の痛み、深部痛、内臓痛、術後慢性痛など)、筋肉痛(慢性痛疾患に伴う筋肉痛、肩こりなど)、関節痛、歯痛、顎関節痛、頭痛(偏頭痛、緊張型頭痛、発熱に伴う頭痛、高血圧に伴う頭痛)、内臓痛(心臓痛、狭心痛、腹痛、腎臓の痛み、尿管の痛み、膀胱の痛み)、産婦人科領域の痛み(中間痛、月経困難、陣痛)、神経痛(椎間板ヘルニア、神経根痛、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛)、癌性疼痛、反射性交感神経性萎縮症、複雑局所痛症候群などが挙げられる。本発明化合物は、神経性疼痛、癌性疼痛、炎症性疼痛などの各種疼痛を直接的かつ即効的に鎮めるの
に有効であり、痛覚閾値が低下している患者や病態に対して、特に優れた鎮痛効果を示す。
本発明化合物は特に、慢性炎症に伴う痛みまたは高血圧に伴う痛みの鎮痛剤として、または(1)アテローム性を含む動脈硬化症、(2)インターベンション後の血管肥厚、閉塞または臓器障害、(3)バイパス手術後の血管再閉塞・再狭窄または内皮機能障害、(4)間欠性跛行、(5)閉塞性末梢循環障害または(6)閉塞性動脈硬化症に因る炎症性疾患または疼痛の予防または治療剤として有用である。
【0056】
本発明化合物は、そのまま、あるいは自体公知の方法により薬理学的に許容される担体と混合して医薬組成物とすることにより、哺乳動物(例、ヒト、サル、ネコ、ブタ、ウマ、ウシ、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ウサギなど)に対して安全な医薬として用いることができる。
ここにおいて、薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、例えば、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤および崩壊剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤および緩衝剤;などが挙げられる。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの製剤添加物を用いることもできる。
【0057】
賦形剤の好適な例としては、例えば、乳糖、白糖、D−マンニトール、D−ソルビトール、デンプン、α化デンプン、デキストリン、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアゴム、プルラン、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが挙げられる。
【0058】
滑沢剤の好適な例としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙げられる。
【0059】
結合剤の好適な例としては、例えば、α化デンプン、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、トレハロース、デキストリン、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0060】
崩壊剤の好適な例としては、例えば、乳糖、白糖、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、軽質無水ケイ酸、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。
【0061】
溶剤の好適な例としては、例えば、注射用水、生理的食塩水、リンゲル液、アルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油、綿実油などが挙げられる。
【0062】
溶解補助剤の好適な例としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、トレハロース、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0063】
懸濁化剤の好適な例としては、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤;ポリビニルアルコール、
ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子;ポリソルベート類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが挙げられる。
【0064】
等張化剤の好適な例としては、例えば、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール、D−ソルビトール、ブドウ糖などが挙げられる。
【0065】
緩衝剤の好適な例としては、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などが挙げられる。
【0066】
防腐剤の好適な例としては、例えば、p−オキシ安息香酸エステル、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。
【0067】
抗酸化剤の好適な例としては、例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸塩などが挙げられる。
【0068】
着色剤の好適な例としては、例えば、水溶性食用タール色素(例、食用赤色2号および3号、食用黄色4号および5号、食用青色1号および2号などの食用色素)、水不溶性レ
ーキ色素(例、前記水溶性食用タール色素のアルミニウム塩など)、天然色素(例、β−カロテン、クロロフィル、ベンガラなど)などが挙げられる。
【0069】
甘味剤の好適な例としては、例えば、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、アスパルテーム、ステビアなどが挙げられる。
【0070】
医薬組成物の剤形としては、例えば、錠剤、カプセル剤(ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、顆粒剤、散剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤、徐放剤などの経口剤などが挙げられ、これらは経口的に安全に投与できる。
【0071】
医薬組成物は、製剤技術分野において慣用の方法、例えば、日本薬局方に記載の方法などにより製造することができる。以下に、製剤の具体的な製造法について詳述する。
【0072】
例えば、錠剤は、有効成分に、例えば、賦形剤(例、乳糖、白糖、デンプン、D−マンニトールなど)、崩壊剤(例、カルボキシメチルセルロースカルシウムなど)、結合剤(例、α化デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンなど)、滑沢剤(例、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール6000など)などを添加して圧縮成形し、次いで必要により、味のマスキング、腸溶性または徐放性などを目的として自体公知のコーティング基剤を用いて自体公知の方法でコーティングすることにより製造される。
【0073】
カプセル剤は、粉末状または顆粒状の薬剤を充填した硬カプセル剤、または液状、懸濁状の内容液を充填した軟カプセル剤とすることができる。硬カプセル剤は有効成分を、例えば、賦形剤(例、乳糖、白糖、デンプン、結晶セルロース、D−マンニトールなど)、崩壊剤(低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースカルシウム、トウモロコシデンプン、クロスカルメロースナトリウムなど)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウムなど)などと混合および/または造粒した後、前記のゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどから形成したカプセルに充填することにより製造される。軟カプセル剤は有効成分を基剤(大豆油、綿実油、中鎖脂肪酸トリグリセライ
ド、ミツロウなど)に溶解または懸濁した後、例えば、ロータリー式充填機などを用いて、調製した溶液あるいは懸濁液をゼラチンシートに封入することにより製造される。
【0074】
本発明化合物が塩であって、かつ塩の形態の本発明化合物の水との接触を回避することが好ましい場合、本発明化合物を賦形剤などと乾式で混合し、硬カプセル剤とすることが好ましい。
【0075】
医薬組成物中における本発明化合物の含有量は製剤全体に対して通常、約0.01〜約99.9重量%、好ましくは約0.1〜約50重量%である。
【0076】
本発明化合物の投与量は、年令、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与時間、投与方法、排泄速度、薬物の組み合わせ、患者のその時に治療を行なっている病状の程度に応じ、それらあるいはその他の要因を考慮して決められる。
投与量は対象疾患、症状、投与対象、投与方法などによって異なるが、成人の本態性高血圧症治療剤として経口投与する場合、1日量0.1〜100mgを1回または2ないし3回に分けて投与するのが好ましい。
また、本発明化合物は安全性に優れていることから、長期に亘って投与することが可能である。
【0077】
本発明化合物は、糖尿病治療剤、糖尿病性合併症治療剤、抗高脂血症剤、抗動脈硬化剤、降圧剤、抗肥満剤、利尿剤、抗痛風剤、抗血栓剤、抗炎症剤、化学療法剤、免疫療法剤、骨粗鬆症治療剤、抗痴呆剤、勃起不全改善剤、尿失禁・頻尿治療剤などの薬剤(以下、併用薬剤と略記する)と組み合せて用いることができる。この場合、本発明化合物と併用薬剤の投与時期は限定されず、投与時に本発明化合物と併用薬剤とが組み合わされていればよい。このような投与形態としては、例えば、(1)本発明化合物と併用薬剤とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与、(2)本発明化合物と併用薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、(3)本発明化合物と併用薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、(4)本発明化合物と併用薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、(5)本発明化合物と併用薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、本発明化合物→併用薬剤の順序での投与、あるいは逆の順序での投与)などが挙げられる。併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明化合物と併用薬剤の配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせおよび他の要因により適宜選択することができる。例えば、投与対象がヒトである場合、本発明化合物1重量部に対し、併用薬剤を0.01〜100重量部用いればよい。
【0078】
糖尿病治療剤としては、例えば、インスリン製剤(例、ウシまたはブタの膵臓から抽出された動物インスリン製剤;大腸菌またはイーストを用い、遺伝子工学的に合成したヒトインスリン製剤など)、他のインスリン抵抗性改善剤(例、塩酸ピオグリタゾン、トログリタゾン、ロシグリタゾン、GI−262570、JTT−501、MCC−555、YM−440、KRP−297、CS−011、FK−614など)、α−グルコシダーゼ阻害剤(例、ボグリボース、アカルボース、ミグリトール、エミグリテートなど)、ビグアナイド剤(例、フェンホルミン、メトホルミン、ブホルミンなど)、インスリン分泌促進剤[例、スルホニルウレア剤(例、トルブタミド、グリベンクラミド、グリクラジド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリクロピラミド、グリメピリド、グリピザイド、グリブゾールなど)、レパグリニド、セナグリニド、ナテグリニド、ミチグリニドまたはそのカルシウム塩水和物、GLP−1など]、アミリンアゴニスト(例、プラムリンチドなど)、フォスフォチロシンホスファターゼ阻害剤(例、バナジン酸など)、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤(例、NVP−DPP−278、PT−100
、P32/98など)、β3アゴニスト(例、CL−316243、SR−58611−A、UL−TG−307、SB−226552、AJ−9677、BMS−196085、AZ40140など)、糖新生阻害剤(例、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤、グルカゴン拮抗剤など)、SGLT(sodium-glucose cotransporter)阻害剤(例、T−1095など)などが挙げられる。
【0079】
糖尿病性合併症治療剤としては、例えば、アルドース還元酵素阻害剤(例、トルレスタット、エパルレスタット、ゼナレスタット、ゾポルレスタット、ミナルレスタット、フィダレスタット、SNK−860、CT−112など)、神経栄養因子(例、NGF、NT−3、BDNFなど)、PKC阻害剤(例、LY−333531など)、AGE阻害剤(例、ALT946、ピマゲジン、ピラトキサチン、N−フェナシルチアゾリウム ブロマイド(ALT766)、EXO−226など)、活性酸素消去薬(例、チオクト酸など)、脳血管拡張剤(例、チアプリド、メキシレチンなど)などが挙げられる。
【0080】
抗高脂血症剤としては、例えば、コレステロール合成阻害剤であるスタチン系化合物(例、セリバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、イタバスタチンまたはそれらの塩(例、ナトリウム塩など)など)、スクアレン合成酵素阻害剤(例、TAK−475など)、トリグリセリド低下作用を有するフィブラート系化合物(例、ベザフィブラート、クロフィブラート、シンフィブラート、クリノフィブラートなど)、EPA、DHAなどが挙げられる。
【0081】
抗動脈硬化剤としては、アシルコエンザイムAコレステロールアシル転移酵素(ACAT)阻害薬(例、メリナミド、CS-505など)、リピド・リッチ・プラーク退縮薬(
例、国際公開第02/06264号パンフレット、国際公開第03/059900号パンフレットなどに記
載された化合物など)などが挙げられる。
【0082】
降圧剤としては、例えば、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(例、カプトプリル、エナラプリル、デラプリルなど)、アンジオテンシンII拮抗剤(例、カンデサルタン シレキセチル、カンデサルタン、ロサルタン、ロサルタンカリウム、エプロサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、タソサルタン、オルメサルタン、オルメサルタン メドキソミルなど)、カルシウム拮抗剤(例、マニジピン、ニフェジピン、アムロジピン、エホニジピン、ニカルジピンなど)、βブロッカー(例、メトプロロール、アテノロール、プロプラノロール、カルベジロール、ピンドロールなど)、クロニジンなどが挙げられる。
【0083】
抗肥満剤としては、例えば、中枢性抗肥満薬(例、デキスフェンフルラミン、フェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、アンフェプラモン、デキサンフェタミン、マジンドール、フェニルプロパノールアミン、クロベンゾレックスなど)、膵リパーゼ阻害薬(例、オルリスタットなど)、β3アゴニスト(例、CL−316243、SR−58611−A、UL−TG−307、SB−226552、AJ−9677、BMS−196085、AZ40140など)、ペプチド性食欲抑制薬(例、レプチン、CNTF(毛様体神経栄養因子(ciliary neurotropic factor))など)、コレシストキニンアゴニスト(例、リンチトリプト、FPL−15849など)などが挙げられる。
【0084】
利尿剤としては、例えば、キサンチン誘導体(例、サリチル酸ナトリウムテオブロミン、サリチル酸カルシウムテオブロミンなど)、チアジド系製剤(例、エチアジド、シクロペンチアジド、トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンチルヒドロクロロチアジド、ペンフルチアジド、ポリ5チアジド、メチクロチアジドなど)、抗アルドステロン製剤(例、スピロノラクトン、トリアムテレンなど)、炭酸脱水酵素阻害剤(例、アセタゾラミドなど)、クロルベンゼンスルホンアミド系製剤(例、
クロルタリドン、メフルシド、インダパミドなど)、アゾセミド、イソソルビド、エタクリン酸、ピレタニド、ブメタニド、フロセミドなどが挙げられる。
【0085】
抗痛風剤としては、アロプリノール、プロベネシド、コルヒチン、ベンズブロマロン、フェブキソスタット、クエン酸塩などが挙げられる。
【0086】
抗血栓剤としては、血液凝固阻止薬〔例、ヘパリンナトリウム、ヘパリンカルシウム、ワルファリンカルシウム(ワーファリン)、活性化血液凝固第X因子阻害薬(例、国際公開第2004/048363号パンフレットに記載された化合物など)など〕、血栓溶解薬〔例、t
PA、ウロキナーゼ〕、抗血小板薬〔例、アスピリン、スルフィンピラゾン(アンツーラン)、ジピリダモール(ペルサンチン)、チクロピジン(パナルジン)、シロスタゾール(プレタール)、GPIIb/IIIa拮抗薬(例、レオプロなど)、クロピドグレルなど〕などが挙げられる。
【0087】
抗炎症剤としては、アセトアミノフェン、フェナセチン、エテンザミド、スルピリン、アンチピリン、ミグレニン、アスピリン、メフェナム酸、フルフェナム酸、ジクロフェナックナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム、フェニルブタゾン、インドメタシン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、フルルビプロフェン、フェンブフェン、プラノプロフェン、フロクタフェニン、エピリゾール、塩酸チアラミド、ザルトプロフェン、メシル酸ガベキサート、メシル酸カモスタット、ウリナスタチン、コルヒチン、プロベネジド、スルフィンピラゾン、ベンズブロマロン、アロプリノール、金チオリンゴ酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、塩酸モルヒネ、サリチル酸、アトロピン、スコポラミン、モルヒネ、ペチジン、レボルファイノール、ケトプロフェン、ナプロキセン、オキシモルフォンまたはその塩などの非ステロイド性抗炎症剤などが挙げられる。
【0088】
化学療法剤としては、例えば、アルキル化剤(例、サイクロフォスファミド、イフォスファミドなど)、代謝拮抗剤(例、メソトレキセート、5−フルオロウラシルなど)、抗癌性抗生物質(例、マイトマイシン、アドリアマイシンなど)、植物由来抗癌剤(例、ビンクリスチン、ビンデシン、タキソールなど)、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシドなどが挙げられる。中でも、5−フルオロウラシル誘導体であるフルツロン、ネオフルツロンなどが好ましい。
【0089】
免疫療法剤としては、例えば、微生物または細菌成分(例、ムラミルジペプチド誘導体、ピシバニールなど)、免疫増強活性のある多糖類(例、レンチナン、シゾフィラン、クレスチンなど)、遺伝子工学的手法で得られるサイトカイン(例、インターフェロン、インターロイキン(IL)など)、コロニー刺激因子(例、顆粒球コロニー刺激因子、エリスロポエチンなど)などが挙げられ、中でもIL−1、IL−2、IL−12などが好ましい。
【0090】
骨粗鬆症治療剤としては、例えば、アルファカルシドール、カルシトリオール、エルカルトニン、サケカルシトニン、エストリオール、イプリフラボン、パミドロン酸二ナトリウム、アレンドロン酸ナトリウム水和物、インカドロン酸二ナトリウムなどが挙げられる。
【0091】
抗痴呆剤としては、例えば、タクリン、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミンなどが挙げられる。
【0092】
勃起不全改善剤としては、例えば、アポモルフィン、クエン酸シルデナフィルなどが挙げられる。
【0093】
尿失禁・頻尿治療剤としては、例えば、塩酸フラボキサート、塩酸オキシブチニン、塩酸プロピベリンなどが挙げられる。
【0094】
さらに、動物モデルや臨床で悪液質改善作用が認められている薬剤、すなわち、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例、インドメタシンなど)〔キャンサー・リサーチ、第49巻、5935〜5939頁、1989年〕、プロゲステロン誘導体(例、メゲステロールアセテート)〔ジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジー、第12巻、213〜225頁、1994年〕、糖質ステロイド(例、デキサメサゾンなど)、メトクロプラミド系薬剤、テトラヒドロカンナビノール系薬剤(文献はいずれも上記と同様)、脂肪代謝改善剤(例、エイコサペンタン酸など)〔ブリティシュ・ジャーナル・オブ・キャンサー、第68巻、314〜318頁、1993年〕、成長ホルモン、IGF−1、悪液質を誘導する因子であるTNF−α、LIF、IL−6およびオンコスタチンMに対する抗体なども本発明化合物と併用することができる。
【0095】
併用薬剤は、好ましくは、利尿剤、インスリン製剤、インスリン抵抗性改善剤、α−グルコシダーゼ阻害剤、ビグアナイド剤、インスリン分泌促進剤(好ましくは、スルホニルウレア剤)などである。特に、ヒドロクロロチアジドなどの利尿剤、塩酸ピオグリタゾンなどのインスリン抵抗性改善剤が好ましい。
上記併用薬剤は、2種以上を適宜の割合で組み合せて用いてもよい。
【0096】
化合物Aは、他のインスリン抵抗性改善剤の血糖低下作用を増強することから、化合物Aもしくはその塩またはそのプロドラッグ(特に本発明化合物)と他のインスリン抵抗性改善剤(好ましくは、塩酸ピオグリタゾン)と併用することにより、II型糖尿病などのインスリン抵抗性が関与する疾患の予防および/または治療効果を著しく高めることができる。
【実施例】
【0097】
本発明はさらに下記の実施例、製剤例および実験例で詳しく説明されるが、これらの例は単なる実例であって本発明を限定するものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
実施例のカラムクロマトグラフィーにおける溶出はTLC(薄層クロマトグラフィー)による観察下に行なわれた。TLC観察においては、TLCプレートとしてメルク社製の60F254を、展開溶媒としてはカラムクロマトグラフィーで溶出溶媒として用いられた溶媒を、検出法としてUV検出器を採用した。カラムクロマトグラフィー用シリカゲルは同じくメルク社製のキーゼルゲル60(70ないし230メッシュ)またはキーゼルゲル60(230ないし400メッシュ)を用いた。また、塩基性シリカゲルには富士シリシア社製のクロマトレックス(NH) (100ないし200メッシュ)を用いた。NMRス
ペクトルは内部または外部基準としてテトラメチルシランを用いてBrukerAVANCE300(300
MHz)で測定し、化学シフトをδ値で、カップリング定数をHzで示した。粉末X線結晶回折は、理学電気株式会社 RINT2100 Ultima+/PC〔CuKα線(λ=1.5418Å)〕を用いて測定した。また、実施例中の記号は次のような意味である。
s :シングレット
d :ダブレット
t :トリプレット
q :クワルテット
dd :ダブル ダブレット
m :マルチプレット
J :カップリング定数
THF :テトラヒドロフラン
DMF :N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
DBU :1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン
DMAP:4-ジメチルアミノピリジン
JP1 :(第十四改正)日本薬局方 崩壊試験法第一液
JP2 :(第十四改正)日本薬局方 崩壊試験法第二液
GCDC/JP2:グリコケノデオキシコール酸を含む日本薬局方 崩壊試験法第二液
【0098】
参考例1
1-[(2'-シアノビフェニル-4-イル)メチル]-2-シクロプロピル-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸メチル
【0099】
【化8】

【0100】
3-アミノ-2-{[(2'-シアノビフェニル-4-イル)メチル]アミノ}安息香酸メチル(42 g)を
酢酸エチル(420 ml)に溶解し、トリエチルアミン(19.7 ml)を加えた。0℃でシクロプロパンカルボン酸クロリド(12.2 ml)を滴下し、混合物を6時間攪拌した。水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和重曹水および飽和食塩水で順次洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。残渣をエタノール(380 ml)に溶解し、濃塩酸(42 ml)を
加え、混合物を80℃で5時間攪拌した。水酸化ナトリウム水溶液を加えて混合物を中和し
た後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和重曹水および飽和食塩水で順次洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。得られた結晶をジイソプロピルエーテルで洗浄して、表題化合物を得た。(46.2 g, 96%)
1H NMR (300 MHz, CDCl) δ ppm 1.05 - 1.14 (m, 2 H), 1.22 - 1.30 (m, 2 H), 1.93
- 2.05 (m, 1 H), 3.73 (s, 3 H), 5.97 (s, 2 H), 7.06 (d, J=8.48 Hz, 2 H), 7.19 -
7.29 (m, 1 H), 7.38 - 7.50 (m, 4 H), 7.57 - 7.69 (m, 2 H), 7.72 - 7.78 (m, 1 H), 7.89 (dd, J=7.91, 1.13 Hz, 1 H).
【0101】
参考例2
2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビ
フェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸メチル
【0102】
【化9】

【0103】
ヒドロキシルアミン塩酸塩(78.8 g)をDMSO(500 ml)に溶解し、炭酸水素ナトリウム(114
g)を加え、混合物を50℃で50分間攪拌した。参考例1で得られた化合物(46.2 g)を加え
、混合物を80℃で12時間攪拌した。反応混合物に水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出し
た。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。残渣をTHF(436 ml)に溶解し、カルボニルジイミダゾール(19.3 g)およびDBU(11.9 ml)を加え、混
合物を30分攪拌した。水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和重曹水および飽和食塩水で順次洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。残渣を塩基性シリカゲルクロマトグラフィーにて精製して、表題化合物を得た。(44.0 g, 83%)
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ ppm 0.99 - 1.12 (m, 4 H), 2.20 - 2.32 (m, 1 H), 3.67 (s, 3 H), 5.86 (s, 2 H), 6.96 (d, J=8.10 Hz, 2 H), 7.18 - 7.29 (m, 3 H), 7.44 - 7.59 (m, 3 H), 7.62 - 7.71 (m, 2 H), 7.79 (d, J=7.91 Hz, 1 H), 12.39 (s, 1 H).
【0104】
参考例3
2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビ
フェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸
【0105】
【化10】

【0106】
参考例2で得られた化合物(31.8 g)を0.4N水酸化ナトリウム水溶液(673 ml)に溶解し、混合物を70℃で5時間攪拌した。1N塩酸(270 ml)を滴下し、析出した結晶をろ取して、表
題化合物を得た。 (30.8 g, 97%)
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ ppm 0.95 - 1.08 (m, 4 H), 2.17 - 2.30 (m, 1 H), 6.03 (s, 2 H), 6.99 (d, J=8.29 Hz, 2 H), 7.19 - 7.26 (m, 3 H), 7.43 - 7.70 (m, 5 H), 7.76 (dd, J=7.91, 1.13 Hz, 1 H).
【0107】
実施例1
2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビ
フェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸 (5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチル
【0108】
【化11】

【0109】
参考例3で得られた化合物(4.20 g)をTHF(42 ml)に溶解し、トリエチルアミン(1.42 ml)および2,4,6-トリクロロベンゾイルクロリド(1.52 ml)を加え、混合物を12時間攪拌した。不溶物をろ過して除去し、ろ液を濃縮した。残渣をジクロロメタン(42 ml)に溶解し、
メドキソミルアルコール(1.45 g)およびDMAP(1.36 g)を加え、混合物を12時間攪拌した。反応混合物をクロロホルムで希釈し、1N塩酸、飽和重曹水および飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して、表題化合物を得た。(3.08 g, 59%)
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ ppm 0.97 - 1.10 (m, 4 H), 2.14 (s, 3 H), 2.18 - 2.3
1 (m, 1 H), 5.11 (s, 2 H), 5.89 (s, 2 H), 6.96 (d, J=8.29 Hz, 2 H), 7.18 - 7.31 (m, 3 H), 7.44 - 7.71 (m, 5 H), 7.82 (dd, J=8.01, 1.04 Hz, 1 H), 12.38 (s, 1 H).
【0110】
実施例2
カリウム 3-{4'-[(2-シクロプロピル-7-{[(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イ
ル)メトキシ]カルボニル}-1H-ベンズイミダゾール-1-イル)メチル]ビフェニル-2-イル}-1,2,4-オキサジアゾール-5-ラート
【0111】
【化12】

【0112】
実施例1で得られた化合物(1.00 g)をアセトン(20 ml)に溶解し、2-エチルヘキサン酸
カリウム(0.323 g)を加えて、混合物を4時間30分攪拌した。析出した結晶をろ取して、表題化合物を得た。(0.581 g, 54%)
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ ppm 1.08 (d, 4 H, J=6.2 Hz), 2.15 (s, 3 H), 2.25 - 2.34 (m, 1 H), 5.09 (s, 2 H), 5.84 (s, 2 H), 6.82 (d, 2 H, J=8.3 Hz), 7.18 - 7.28 (m, 4 H), 7.29 - 7.42 (m, 2 H), 7.45 - 7.50 (m, 1 H), 7.53 (dd, 1 H, J=7.5, 1.1 Hz), 7.80 (dd, 1 H, J=7.9, 1.1 Hz).
【0113】
実施例3
2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビ
フェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸 (5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチルの結晶
実施例1で得られた化合物をアセトニトリルで再結晶して、アセトニトリルを含有する溶媒和結晶を得た。これを一晩100℃で減圧下で乾燥することにより熱に安定で実用的なFormA結晶を得た。得られた結晶は図1に示すような粉末X線結晶回折パターンを示し、およそ下記の回折角を持つ結晶であった。
【0114】
【表1】

【0115】
実施例4
2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビ
フェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸 (5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチルの結晶
2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)
ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸(1kg)をN,N-ジメチル
アセトアミド(10L)に溶解し、4-ヒドロキシメチル-5-メチル-1,3-ジオキソール-2-オン(345g)を加えた。10℃以下に冷却した後、p-トルエンスルホニルクロリド(463g)、4-ジメチルアミノピリジン(54g)および炭酸カリウム(397g)を加え、混合物を20℃以下で約3時間攪拌した。0.5N塩酸を加えてpHを4に調整した後、水(10L)を加えて結晶化させた。晶出した結晶を減圧下で濾取し、N,N-ジメチルアセトアミド(2L)および70%含水アセトン(2L)で順
次洗浄した。単離した結晶を14%含水アセトン(6L)に懸濁し、懸濁液を50℃に加熱溶解し
た。活性炭(30g)を加え、混合物を10分攪拌後、活性炭をろ去し、14%含水アセトン(1L)で洗浄した。ろ液を約25℃まで冷却して結晶を析出させ、混合物を同温下1時間攪拌後、水(13L)を添加して、混合物を更に1時間攪拌した。混合物を10℃以下に冷却し、更に1時間攪拌後、析出した結晶を単離して70%含水アセトン(6L)で洗浄し、アセトンを含有する溶媒
和結晶を得た。この結晶を90℃で減圧下で乾燥し、Form A結晶を得た(903g,収率:80%)。
【0116】
実施例5
2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)
ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸 (5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチルの結晶
2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)
ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンゾイミダゾール-7-カルボン酸 (15.00 kg) をN, N-
ジメチルアセトアミド (150 L)に溶解し、4-ヒドロキシメチル-5-メチル-1,3-ジオキソール-2-オン (5.18 kg)を加えた。10℃以下に冷却した後、p-トルエンスルホニルクロリド (6.95 kg)、4-ジメチルアミノピリジン (0.81 kg)および炭酸カリウム (5.96 kg)を加え
、混合物を20℃以下で約 3 時間攪拌した。0.5N塩酸を加えてpHを4に調整した後、水(150
L) を加えて結晶化させた。晶出した溶媒和結晶を減圧下でろ取し、N,N-ジメチルアセトアミド (30 L)および70%含水アセトン (30 L) で順次洗浄した。単離した結晶を40%含水
アセトン (225 L) に懸濁し、懸濁液を50℃に加熱溶解した。溶液を除塵ろ過し、50%含水アセトン (30 L) で洗浄した。ろ液を約25℃まで冷却して結晶を析出させ、混合物を同温下 1 時間攪拌した。水 (45 L) を添加して、混合物を更に 1 時間攪拌した。混合物を10℃以下に冷却し、更に1 時間攪拌した。析出した結晶を単離して 50%含水アセトン (30 L) で洗浄し、アセトンを含有する溶媒和結晶を得た。この結晶を 95℃ で減圧下で乾燥し、Form A 結晶を得た(15.73 kg、収率:84%)。
【0117】
製剤例
本発明化合物を、例えば、高血圧症、心臓病、脳卒中、腎炎などの循環器系疾患治療剤として使用する場合、例えば次のような処方によって用いることができる。
なお、以下の処方において活性成分以外の成分(添加物)は、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格または医薬品添加物規格における収載品などを用いることができる。
【0118】
1.錠剤
(1)実施例4で得られた化合物 10mg
(2)ラクトース 35mg
(3)コーンスターチ 150mg
(4)微結晶セルロース 30mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 5mg
1錠 230mg
(1)、(2)、(3)、(4)の2/3および(5)の1/2を混和後、顆粒化する。残りの(4)および(5)をこの顆粒に加えて錠剤に加圧成型する。
【0119】
2.カプセル剤
(1)実施例2で得られた化合物 10mg
(2)ラクトース 69.5mg
(3)軽質無水ケイ酸 0.2mg
(4)ステアリン酸マグネシウム 0.3mg
1カプセル 80mg
(1)、(2)、(3)、(4)を乾式混合し、HPMCカプセル(1号)に充填した。
【0120】
3.錠剤
流動層造粒乾燥機中で化合物(I) (17.24 g)、マンニトール(3342 g)および微結晶セルロース(663 g)を均一に混合後、機内でヒドロキシプロピルセルロース(132.6 g)の水溶液を噴霧して、混合物を造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物をパワーミルを用い、1.5mmφパンチングスクリーンで解砕して整粒末とした。この整粒末 (3788 g)に対し、クロスカルメロースナトリウム (Ac-Di-Sol) (201.5 g)とステアリン酸マグネシウム(40.3 g)を加え、混合して打錠用顆粒とした。この顆粒を打錠機で7.0mmφの杵を用いて
打錠し、1錠あたり重量 130 mgの素錠とした。得られた素錠に、フィルムコーティング
機中で酸化チタンおよび黄色三二酸化鉄を分散し、ポリエチレングリコール8000を溶解したヒドロキシプロピルメチルセルロース2910液を噴霧し、1錠当たり化合物(I)を0.5 mg含有する表2に示す理論処方のフィルム錠、約25000錠を得た。
【0121】
【表2】

【0122】
4.錠剤
流動層造粒乾燥機中で化合物(I) (172.4 g)、マンニトール(3187 g)および微結晶セルロース (663 g)を均一に混合後、機内でヒドロキシプロピルセルロース (132.6 g)の水溶液を噴霧して、混合物を造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物をパワーミルを用い、1.5mmφパンチングスクリーンで解砕して整粒末とした。この整粒末(3788 g)に
対し、クロスカルメロースナトリウム (Ac-Di-Sol) (201.5 g)とステアリン酸マグネシウム (40.3 g)を加え、混合して打錠用顆粒とした。この顆粒を打錠機で7.0mmφの杵を用いて打錠し、1錠あたり重量130 mgの素錠とした。得られた素錠に、フィルムコーティング機中で酸化チタンおよび黄色三二酸化鉄を分散し、ポリエチレングリコール8000を溶解したヒドロキシプロピルメチルセルロース2910液を噴霧し、1錠当たり化合物(I)を5 mg含有する表3に示す理論処方のフィルム錠、約25000錠を得た。
【0123】
【表3】

【0124】
5.錠剤
流動層造粒乾燥機中で化合物(I) (689.7 g)、マンニトール(2670 g)および微結晶セルロース (663 g)を均一に混合後、機内でヒドロキシプロピルセルロース (132.6 g)の水溶液を噴霧して、混合物を造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物をパワーミルを用い、1.5mmφパンチングスクリーンで解砕して整粒末とした。この整粒末(3788 g) に対し、クロスカルメロースナトリウム (Ac-Di-Sol) (201.5 g)とステアリン酸マグネシウム (40.3 g)を加え、混合して打錠用顆粒とした。この顆粒を打錠機で7.0mmφの杵を用いて打錠し、1錠あたり重量130 mgの素錠とした。得られた素錠に、フィルムコーティング機中で酸化チタンおよび黄色三二酸化鉄を分散し、ポリエチレングリコール8000を溶解したヒドロキシプロピルメチルセルロース2910液を噴霧し、1錠当たり化合物(I)を20 mg含有する表4に示す理論処方のフィルム錠、約25000錠を得た。
【0125】
【表4】

【0126】
6.錠剤
流動層造粒乾燥機中で化合物(I) (3.4 g)、乳糖 (311.4 g)およびコーンスターチ (88.4 g)を均一に混合後、機内でヒドロキシプロピルセルロース (13.26 g)の水溶液を噴
霧して、混合物を造粒し、ついで同機で乾燥した。得られた造粒物をパワーミルを用い、1.5mmφパンチングスクリーンで解砕して整粒末とした。この整粒末(306.3 g) に対し、
クロスカルメロースナトリウム (Ac-Di-Sol) (16.25 g)とステアリン酸マグネシウム(2.5g)を加え、混合して打錠用顆粒とした。この顆粒を打錠機で7.0mmφの杵を用いて打錠し
、1錠あたり重量130 mgの素錠とした。得られた素錠に、フィルムコーティング機中で酸化チタンおよび黄色三二酸化鉄を分散し、ポリエチレングリコール8000を溶解したヒドロキシプロピルメチルセルロース2910液を噴霧し、1錠当たり化合物(I)を1 mg含有する表5に示す理論処方のフィルム錠、約900錠を得た。
【0127】
【表5】

【0128】
実験例1
ラットにおけるアンジオテンシンII(AII)誘導昇圧反応に対する本発明化合物の抑制効果
11 週齢の雄性SD 系ラット (JCL:SD, 日本クレア株式会社)をペントバルビタール (50mg/kg, i.p.)で麻酔し、大腿動脈および大腿静脈を単離し、ヘパリン (200U/mL)を含む生
理食塩液で満たしたポリエチレンチューブを留置した。カテーテルは皮下を通して頸背部に固定した。回復期間をおいた後、ラットを実験に供した。
動脈カテーテルを圧トランスジューサー (2238、日本電気三栄) に接続し、血圧用アンプを介してペンレコーダー(RECTI-HORIZ 8K、日本電気三栄)上にシグナルを出力した。AII(100 ng/kg, i.v.)による昇圧反応が安定した後、化合物Aと等モルになる用量の被
検化合物を投与した。24時間後にAIIを投与して血圧上昇を測定し、薬物投与前値に対す
る抑制率を計算した。全ての化合物は0.5%メチルセルロースに懸濁し、2mL/kgの容量で経口投与した。
結果は平均値±SEM で示した(表6)。化合物(I)を投与した群と他の化合物を投与し
た群間の有意性はStudent's t testにより検討した(**: p<0.01、*: p<0.05)。
【0129】
【表6】

【0130】
この結果から明らかなように、本発明化合物は経口投与で持続的かつ強力な薬理作用を発現する。
【0131】
実験例2
ラットのインスリン感受性に対する本発明化合物の増強効果
24週齢の雄性高血圧自然発症ラット (SLC:SHR/Izm, 日本エスエルシー株式会社)を用い
た。ラットの体重、収縮期血圧、絶食下での血糖値、血漿インスリン値および血漿トリグリセリド値を測定し、これらを指標としてラットをビヒクル(0.5%メチルセルロース溶
液)投与群、化合物(I) (0.12、0.37および1.23mg/kg)投与群に群分けした。化合物(I)は0.5%メチルセルロース溶液に懸濁し、2mL/kgの容量で2週間経口投与した。
インスリン感受性の評価はグルコースクランプ法を用いて行った。すなわち、1晩絶食
後のラットをペントバルビタールナトリウム(ネンブタール注射液、大日本製薬、50mg/kg i.p.)で麻酔し、採血用、インスリン(ノボリンR注 100、ノボノルディスクファーマ
)注入用およびグルコース(大塚糖液50%、大塚製薬)注入用のカテーテル(SP45、夏目製作所)をそれぞれ右総頸動脈、左大腿静脈および右大腿静脈に留置した。25mU/kgのイ
ンスリンを単回静注した後インフュージョンポンプ(KDS100 、KDS)を用いて4mU/kg/minの注入速度で注入して高インスリン状態を維持した。また、グルコースは別のインフュージョンポンプ(KDS100 、KDS)を用いて正常血糖値を維持するのに必要な量を静脈内に注入した。グルコースはインスリン注入開始後10分から静注を開始し、グルコース注入速度は、5分ごとに行う血糖測定後に変更した。このとき血糖値は簡易血糖測定装置(アキュ
チェック・コンフォート、ロシュ・ダイアグノスティクス)を用いて迅速に測定した。90分間グルコースを注入し、注入開始後50分から90分までの40分間のグルコース注入速度の平均値を算出し、インスリン感受性の指標(M値)とした。
結果は平均値±SEM で示した(表7)。ビヒクル投与群と化合物(I)投与群との比較に
はWilliams検定を用いた(*: p<0.025)。
【0132】
【表7】

【0133】
この結果から明らかなように、本発明化合物は経口投与で強力なインスリン感受性増強作用を発現する。
【0134】
実験例3
溶解度および人工膜透過試験(Parallel Artificial Membrane Permeability Assay;PAMPA)による膜透過性の評価
【0135】
(1)溶解度
試料約2mgをJP1,JP2および20mmol/L GCDC/JP2それぞれ2mLに懸濁した。懸濁液を37℃
で2時間平衡化させ、ろ過した。溶液中の濃度は下記条件下でHPLCにより測定した。
HPLC条件
Detector: UV254nm
Column: CAPCELLPAK C18 MG 75×4.6mm
Mobile Phase A: 0.05 mol/L ギ酸アンモニウム緩衝液
(pH 3)/MeCN = 9:1
Mobile Phase B: 0.05 mol/L ギ酸アンモニウム緩衝液
(pH 3)/MeCN = 1:9
Gradient Program: 0→10min 0→100% B)
10→15min 100% B)
15.1→20min 0% B)
Column Temp.: 40℃
Flow Rate: 1mL/min
Injection vol.: 10μL
【0136】
(2)膜透過性
人工膜を用いた透過性は、下記条件下でPAMPAにより測定した。
脂質膜: GIT mode(pION)
測定波長: 250-400nm
インキュベーション時間: 3hrs
インキュベーション温度: 25℃
Donor: 10%DMSOを含有する緩衝液
pH: 7.4,6.0,5.5の3点
化合物濃度: 50μmol/L
【0137】
化合物X(化合物(I)のFormA結晶)、化合物Aおよび化合物Bの溶解度および膜透過性の結果を表8に示す。
【0138】
【表8】

【0139】
化合物Xと比較して、化合物Aは溶解度は高いものの、膜透過性が低く、一方、化合物Bは膜透過性は高いものの、溶解度が低かった。化合物Aは低い膜透過性のため経口吸収性が悪くなると考えられる。化合物Bも溶解律速により経口吸収性が悪くなると考えられる。
従って、化合物Xは化合物Aおよび化合物Bに比較して高い経口吸収性を実現すると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0140】
本発明化合物は、高血圧症などの循環器系疾患および糖尿病などの代謝性疾患に対する予防または治療剤などとして有用である。
本出願は、日本で出願された特願2005−099788および特願2005−198014を基礎としており、その内容は本明細書にすべて包含されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)
ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸 (5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチル。
【請求項2】
2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)
ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸 (5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチルの塩。
【請求項3】
2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)
ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸 (5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチルのカリウム塩。
【請求項4】
2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)
ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸 (5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチルの溶媒和物。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかの化合物の結晶。
【請求項6】
2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)
ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸の反応性誘導体またはその塩を、4-ヒドロキシメチル-5-メチル-1,3-ジオキソール-2-オンまたはその塩と反応
させることを包含する、2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキ
サジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸
(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチルまたはその塩の製造法。
【請求項7】
請求項1ないし4のいずれかの化合物を含有する医薬。
【請求項8】
アンジオテンシンII拮抗剤である、請求項7の医薬。
【請求項9】
循環器系疾患の予防または治療剤である、請求項7の医薬。
【請求項10】
2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)
ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸もしくはその塩またはそのプロドラッグを含有する、インスリン抵抗性改善剤。
【請求項11】
2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)
ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸もしくはその塩またはそのプロドラッグを含有する、インスリン抵抗性改善剤の血糖低下作用増強剤。
【請求項12】
請求項1ないし4のいずれかの化合物の有効量を哺乳動物に投与することを包含する、哺乳動物におけるアンジオテンシンII拮抗方法。
【請求項13】
請求項1ないし4のいずれかの化合物の有効量を哺乳動物に投与することを包含する、哺乳動物における循環器系疾患の予防または治療方法。
【請求項14】
2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)
ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸もしくはその塩またはそのプロドラッグの有効量を哺乳動物に投与することを包含する、哺乳動物におけるイン
スリン抵抗性改善方法。
【請求項15】
2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)
ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸もしくはその塩またはそのプロドラッグの有効量を哺乳動物に投与することを包含する、哺乳動物におけるインスリン抵抗性改善剤の血糖低下作用増強方法。
【請求項16】
アンジオテンシンII拮抗剤を製造するための請求項1ないし4のいずれかの化合物の使用。
【請求項17】
循環器系疾患の予防または治療剤を製造するための請求項1ないし4のいずれかの化合物の使用。
【請求項18】
インスリン抵抗性改善剤を製造するための2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸もしくはその塩またはそのプロドラッグの使用。
【請求項19】
インスリン抵抗性改善剤の血糖低下作用増強剤を製造するための2-シクロプロピル-1-{[2'-(5-オキソ-4,5-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチ
ル}-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸もしくはその塩またはそのプロドラッグの使用。

【図1】
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【公開番号】特開2011−190265(P2011−190265A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−101381(P2011−101381)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【分割の表示】特願2007−545088(P2007−545088)の分割
【原出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【Fターム(参考)】