説明

ベンゼンスルホンアミド誘導体およびその医薬組成物

【課題】ベンゼンスルホンアミド誘導体およびその医薬組成物の提供。
【解決手段】式(I)で表されるベンゼンスルホンアミドの誘導体、およびその医薬組成物。このベンゼンスルホンアミド誘導体は、有望な細胞周期阻害剤であり、それにより、これらのベンゼンスルホンアミド誘導体およびその医薬組成物は、細胞周期を標的とするであろう抗腫瘍薬候補となる。特に、固形腫瘍を治療する抗腫瘍剤として機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンゼンスルホンアミド誘導体およびその医薬組成物に関し、より詳しくは、固形腫瘍の治療のための細胞周期阻害剤として使用されるベンゼンスルホンアミド誘導体およびその医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食品または食品添加物、および環境汚染が、直接的に癌を引き起こす原因であることが判っている。加えて、タバコの煙もまた、何百万人の死因となる強力な発癌物質である。従って、台湾のみならず、全世界の先進国においても、癌の発症率は非常に高い。米国癌協会(American Cancer Society)が発表したデータによれば、癌はおそらく全住民の健康に対して最も重大な脅威である。加えて、台湾衛生署(Department of Health in Taiwan)が発表したデータによれば、1982年以来、癌は、10の主要な死亡原因のトップである。固形腫瘍である肺癌、肝癌、および直腸結腸癌は、最も多く見られる死因となる腫瘍であり、これらの癌の死亡率は、全ての癌による死亡の約50%である。最近、抗癌剤であるエトポシドおよびシスプラチンが開発されたが、これらは白血病およびリンパ癌の治療に有効である。しかし、肺癌、肝癌、および直腸結腸癌に対するこれらの薬剤の治療効果は充分ではない。
【0003】
現在、外科手術を行って癌細胞および部分的にリンパ腺を切除し、胃癌等の固形腫瘍を治療することが可能である。また、癌の治療のため、放射線療法、化学療法、および免疫療法等のいくつかの他の療法が開発されている。近年において、いくつかの治療薬の開発により、新たな抗癌メカニズムによる癌の治療に至り、これらの治療薬でそれらの癌を治療することにより患者の生存率が向上し得ることが判明した。これらの治療薬は、細胞周期の進行、血管新生、ファルネシルトランスフェラーゼ、およびチロシンキナーゼを阻害することによって、腫瘍細胞を治療し得る。最近では、ウォルトマンニン、5-フルオロウラシル、ダウノマイシン、およびコルヒチン等の、細胞周期の進行を阻害する治療薬が、最も見込まれる抗癌剤である。
【0004】
エーザイ株式会社は2種類のベンゼンスルホンアミド誘導体を研究しているが、これらは既に臨床試験に入っている。これら2つのベンゼンスルホンアミド誘導体の化学式は、以下の通り表される:
【0005】

【0006】
これら2つのベンゼンスルホンアミド誘導体は細胞周期の阻害剤であり、細胞死を引き起こす。E7010は、マウスにおける抗癌活性試験において優れた効果を示し、既に第二相臨床試験に入っている。加えて、E7070は、ベンゼンスルホンアミド誘導体の中で最高の抗癌活性を有し、既に第二相臨床試験に入っている。E7070は、ヒト大腸癌細胞(colon 38)を阻害することができ、E7070のIC50は0.26μMである(オワ(Owa)ら、J. Med. Chem. 1999年, 42巻, 3789-3799頁)。しかし、これらのベンゼンスルホンアミド誘導体は既に臨床試験に入っているが、これらの治療薬が癌治療に使用し得るかどうかは未だに不明である。
【0007】
いくつかの治療薬が固形腫瘍の治療に適用されている。しかし、腫瘍細胞の位置の違い、患者の違い、および治療薬から生じる副作用のため、それらの全てが有効ではない。癌は10の主要な死亡原因のトップであり、固形腫瘍は最も多く見られる死因となる腫瘍であることから、固形腫瘍細胞を阻害する治療薬の研究は至急を要する。従って、固形腫瘍を治療し、腫瘍細胞の成長を阻害する新規化合物を提供するという、長く実現されていない本発明の必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、固形腫瘍の成長を阻害し、胃癌、肝癌、結腸直腸癌、および鼻咽喉癌の腫瘍細胞の治療に優れた効果を奏し得る、ベンゼンスルホンアミド誘導体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するため、本発明のベンゼンスルホンアミド誘導体は、以下の式(I)で表される:

式中、
R1はH、またはC1-6アルキルであり;
R2およびR3は、それぞれ独立してH、

であるか、または共に結合して

を形成し;
Dは

であり;
R4はH、またはニトロであり;
X、Y、および各R5は、それぞれ独立してH、またはC1-6アルキルであり;
各R6は独立してH、ハロゲン、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロゲン置換C1-6アルキル、ハロゲン置換C1-6アルコキシ、ニトロ、-NR8R9、または-SO2NR10R11であり;
R7はH、またはハロゲンであり;
R8、R9、R10、およびR11は、それぞれ独立してH、またはC1-6アルキルであり;および
i、およびnはそれぞれ独立して0、1、2、または3である。
【0010】
本発明のベンゼンスルホンアミド誘導体では、好ましくは、R8、R9、R10、およびR11はHである。また、好ましくは、R1はH、またはC1-3アルキルである。より好ましくは、R1は、メチル、エチル、プロピル、またはイソプロピルである。
【0011】
本発明の1つの態様では、R1はH、またはC1-3アルキルであってもよく、Dは

であってもよく、およびR6はH、ハロゲン、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ニトロ、-NH2、または-SO2NH2であってもよい。この態様において、好ましくは、R6はH、Cl、メチル、メトキシ、ニトロ、-NH2、または-SO2NH2である。加えて、好ましくは、R2およびR3は、共に結合して

を形成するか;R2およびR3はHであるか;またはR2はHであり、およびR3

である。
【0012】
本発明の別の態様では、R1はH、またはC1-3アルキルであってもよく、Dは

であってもよく、およびR6はH、ハロゲン置換C1-6アルキル、またはハロゲン置換C1-6アルコキシであってもよい。この態様において、好ましくは、R6は-CF3である。加えて、好ましくは、R2およびR3は、共に結合して

を形成する。
【0013】
本発明のさらなる態様では、R1はHであってもよく、Dは

であってもよく、およびR6はH、ハロゲン、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ニトロ、-NH2、または-SO2NH2であってもよい。この態様において、好ましくは、R6はニトロである。加えて、好ましくは、R2およびR3は、共に結合して

を形成するか;またはR2およびR3はHである。
【0014】
本発明のさらに別の態様では、R1はH、またはC1-3アルキルであってもよく、Dは

であってもよく、およびR7はH、またはハロゲンであってもよい。この態様において、好ましくは、R1はH、またはメチルであり、およびR7はClである。また、好ましくは、R2およびR3は、共に結合して

を形成する。
【0015】
「アルキル」という用語は、直鎖または分枝鎖を有する非芳香族炭化水素を言う。
【0016】
「アルコキシ」という用語は、酸素に結合したアルキルを言う。
【0017】
「ハロゲン」という用語は、F、Cl、Br、またはIを含むハロゲン基を言う。
【0018】
本発明のベンゼンスルホンアミド誘導体は、細胞周期の阻害剤として使用してもよく、固形腫瘍の治療に効果を有する。加えて、本発明のベンゼンスルホンアミド誘導体は、さらに、胃癌細胞、肝癌細胞、結腸直腸癌細胞、および鼻咽頭癌細胞等の腫瘍細胞の治療に効果を有する。
【0019】
さらに、本発明の別の目的は、細胞周期阻害剤として使用される医薬組成物であって、以下の式(I)で表されるベンゼンスルホンアミド誘導体、その塩、またはそのプロドラッグの有効量を含み得る医薬組成物を提供することである。本発明の医薬組成物は、癌治療の効果を高めるために、溶離剤、担体、および賦形剤等の、他の薬学的に許容される添加剤をさらに含み得る。
【0020】
「治療」という用語は、上記の癌に罹患した対象者に式(I)で表される1以上のベンゼンスルホンアミド誘導体を投与して、症状を治療、緩和、改変、改善し、または向上させる目的を達成することを言う。
【0021】
「有効量」という用語は、対象者に所望の効果をもたらすのに必要な、1以上のベンゼンスルホンアミド誘導体、その塩、またはそのプロドラックの量をいう。有効量は、治療薬、投与経路、癌のタイプ、および患者の年齢および体重によって決まる。
【0022】
式(I)で表されるベンゼンスルホンアミド誘導体を含有する医薬組成物は、非経口的、経口的、経鼻的、経直腸的、局所的、または口腔内に投与し得る。
【0023】
経口投与のための医薬組成物は、限定しないが、カプセル剤、錠剤、乳剤、懸濁剤、分散剤、および液剤を含む、あらゆる経口的に許容される投与形態であり得る。錠剤は、ラクトースおよびコーンスターチ等の、あらゆる通常使用される担体を含んでもよい。加えて、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤もまた、錠剤に使用してもよい。医薬組成物がカプセル剤の形態で経口投与される場合、有用な希釈剤は、ラクトースおよび乾燥コーンスターチであり得る。医薬組成物が、水性懸濁剤または乳剤の形態で経口投与される場合、いくつかの活性添加剤は、乳化剤または懸濁剤を使用することによって、油相中に懸濁または溶解し得る。所望により、本発明の医薬組成物中に、甘味剤、香料、または着色料を添加し得る。
【0024】
「非経口的」という用語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液嚢内(intrasynovial)、胸骨内(intrasternal) 、くも膜下腔内、病巣内、頭蓋内への注射、または他の注入技術を言う。無菌注射剤組成物は、1,3-ブタンジオール等の非毒性で薬学的に許容される希釈剤または溶媒を含有する、液剤または懸濁剤であり得る。薬学的に許容される希釈剤または溶媒は、マンニトール、水、リンゲル液、およびNaClの等張液であり得る。加えて、モノまたはジグリセリド等の低揮発性油もまた、溶媒または懸濁剤として使用してもよい。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体等の脂肪酸もまた、注射剤組成物の調製に使用してもよい。特に、オリーブオイルおよびヒマシ油は、天然の薬学的に許容される油である。さらに、他の好適な希釈剤、分散剤、カルボキシメチルセルロース、または類似の分散剤もまた、溶媒または懸濁剤と共に使用してもよい。薬学的に許容される固体、液体、または他の投与形態の製造に通常使用される、Tween類またはSpan類等のいくつかの界面活性剤、類似の乳化剤、または生体内利用促進剤もまた、本発明の医薬組成物に使用してもよい。
【0025】
当業界の従来の処方に従って、吸入薬組成物を調製し得る。例えば、吸入薬組成物は、生理食塩水の溶液として調製し得る。加えて、ベンジルアルコール等の防腐剤、バイオアベイラビリティを高めるための吸収促進剤、フッ化炭素、または/および当業界で知られている他の分散剤は、本発明の医薬組成物である吸入薬組成物中に添加し得る。
【0026】
医薬組成物に使用される担体は「許容され」なければならず、これは、担体が組成物の活性成分に適合し、治療される対象者に対して毒性がないことを意味する。本発明のベンゼンスルホンアミド誘導体を送達するための賦形剤として、1以上の安定剤を使用し得る。担体の例としては、酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、ラウリル硫酸ナトリウム、およびD&C 黄色10号が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明のGM119がネズミ乳癌4T1細胞を殺傷することを示す、インビトロアッセイの結果である。
【図2】図2は、本発明のベンゼンスルホンアミド誘導体で短時間治療したマウスの生存時間を示す結果である。
【図3】図3は、本発明のベンゼンスルホンアミド誘導体で長時間治療したマウスの生存時間を示す結果である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明のベンゼンスルホンアミド誘導体の合成メカニズムは、以下のスキームIで表される。
スキームI

【0029】
以下の方法および機器を使用して、合成した本発明の化合物を分析する。
【0030】
融点(mp)の測定:化合物の融点は、米国ラボラトリー・デバイス社(Laboratory Devices, INC.)製の融点測定装置(Box 6402、米国マサチューセッツ州ホリストン、01740-6402)によって測定する。
【0031】
NMR分析:化合物の1Hおよび13Cスペクトルを、ブルッカー(Brucker)AMX-400分光計またはブルッカーDPX-200分光計で分析し、化学シフトをppm(δ)で表す。
【0032】
マススペクトル測定:本発明において、マススペクトルは、低分解能スペクトルおよび高分解能スペクトルに分けられる。低分解能スペクトルは、電子衝突イオン化によるガス液体クロマトグラフィー質量分析計(GLC-MS)(JEOL JMS-SX102A)を使用して測定する。高分解能スペクトルは、電子衝突イオン化による高速液体クロマトグラフ(HPLC-MS)(MAT-95XL HRMS)を使用して測定する。
【0033】
元素分析:化合物中の元素C、H、およびNの測定を、ハラエウス(Haraeus)CHN-O高速元素分析機を使用して実施し、許容誤差は(0.4%である。
【0034】
薄層クロマトグラフィー(TLC):化合物を、シリカゲルでコートしたTLCプレート(Kieselgel 60F254、メルク)で展開し、TLCプレートにUV光を照射して、反応が完了したことを確認する。
【0035】
カラムクロマトグラフィー:シリカカラム(メルクKieselgel 60 230-400または70-230メッシュ)を使用して、精製を行う。
【実施例】
【0036】
実施態様1:化合物5a(N-(1H-インドール-7-イル)-ベンゼンスルホンアミド)の製造
実施例1:化合物1aおよび1b(ピルビン酸エチルo-ニトロフェニルヒドラゾン)の製造

【0037】
以下の工程により、氷浴中、ジアゾニウム塩溶液を調製した。先ず、2-ニトロアニリン(25.47 g, 0.18 mmol)を水(64.6 mL)に添加し、HClaq(76.4 mL)と混合して、10分間撹拌した。その後、得られた溶液中に、水(50 mL)中のNaNO2(13.37 g)溶液を滴加する。NaNO2溶液を添加する間、気泡が発生した。溶液を撹拌し、透明になった時には、溶液の色は黄褐色であり、気泡は発生しなかった。一方、2-メチル-3-オキソ酪酸エチルエステル(26.10 g, 0.14 mmol)を氷浴中、エタノール(191 mL)に溶解し、そこに32.47 g のKOHを含むKOHaq(50%)溶液をゆっくり添加し、そこに冷水(380 mL)を添加して、得られた溶液を10分間撹拌した。その後、得られた溶液中に、ジアゾニウム塩の溶液を添加した。これら2つの溶液を混合した時に、黄色の固体が形成された。混合溶液を10分間撹拌した後、濾過した。黄色固体を、リトマス試験を用いて濾液が中性になるまで水洗した。その後、生成物をエタノールから再結晶して、針状黄色固体1(30.00 g, 85%)を得たが、これはZ体(化合物1a)とE体(化合物1b)との混合物であった。
【0038】
1a: 融点 93-94 ℃ (文献 94-95.5 ℃);
1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ1.38 (t, J = 7.0 Hz, 3H, CH3), 2.24 (s, 3H, CH3), 4.37 (q, J = 7.2 Hz, 2H, CH2), 6.92 (t, J = 7.2 Hz, ArH, 1H), 7.54 (t, J = 7.2 Hz, 1H, ArH), 8.18 (dd, J = 1.4, 7.2 Hz, 1H, ArH), 8.18 (d, J = 7.2 Hz, 1H, ArH), 13.85 (s, 1H, NH);
13C NMR (50 MHz, CDCl3) δ10.9, 14.8, 62.0, 116.8, 120.5, 122.6, 130.1, 130.6, 131.1, 131.4, 133.9, 161.2;
MS (EI) m/z 252 (M+1, 100%), 251 (M+, 84%), 136 (M-115, 58%).
1b: 融点 113-114 oC (文献 117-118 oC);
1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ1.37 (t, J = 7.0 Hz, 3H, CH3), 2.21 (s, 3H, CH3), 4.33 (q, J = 7.2 Hz, 2H, CH2), 6.96 (dt, J = 1.2, 7.7 Hz, ArH, 1H), 7.58 (t, J = 7.2 Hz, ArH, 1H), 8.00 (d, J = 8.6 Hz, ArH, 1H), 8.15 (dd, J = 1.4, 8.6 Hz, ArH, 1H), 10.91 (s, 1H, NH);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ11.6, 14.2, 61.6, 116.8, 120.2, 125.7, 132.7, 136.2, 139.2, 140.6, 164.5;
MS (EI) m/z 251 (M+, 100%), 43 (M-208, 63%).
【0039】
実施例2:化合物2(7-ニトロ-1H-インドール-2-カルボン酸エチル)の製造

【0040】
乾燥した化合物1aおよび1b(12.00 g, 47.76 mmol)を三口フラスコ(250 mL)中に加えた後、そこにポリリン酸(64.56 g, 191.05 mmol)を加えた。溶液を70℃に加熱し、よく混合した後、80℃に加熱した。12時間後、TLCで確認して反応を完了した。溶液を冷却する前に、粘着性のある黒色溶液を冷水(400 g)中に注いだ。得られた溶液を、ポリリン酸が完全に加水分解されるまで撹拌した。得られた溶液の色は黒色であり、褐色〜黒色の固体が形成された。その後、得られた溶液を濾過し、褐色-黒色の固体を乾燥した。褐色〜黒色固体を、石油エーテル(沸点60〜90℃)で、ソレックス(Solex)抽出により、12時間抽出した。抽出後、石油エーテル溶液を濃縮して、黄色固体を得た。黄色固体をエタノールから再結晶して、針状黄色固体である化合物2(10.5 g, 94%)を得た。
【0041】
融点 92-93℃(文献 91-93℃)
1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ1.41 (t, J = 7.2 Hz, 3H, CH3), 4.42 (q, J = 7.2 Hz, 2H, CH2), 7.20 (t, J = 7.9 Hz, 1H, ArH), 7.28 (d, J = 2.1 Hz, 1H, ArH), 7.97 (d, J = 7.8 Hz, 1H, ArH), 8.21 (d, J = 8.0 Hz, 1H, ArH), 10.25 (s, 1H, NH);
13C NMR (50 MHz, CDCl3) δ14.8, 62.0, 109.7, 120.5, 122.6, 130.0 130.6, 131.1, 131.3, 133.8, 161.1;
MS (EI) m/z 235 (M+1, 100%), 234 (M+, 69%), 189 (M-45, 38%).
【0042】
実施例3:化合物3(7-ニトロ-1H-インドール-2-カルボン酸)の製造

【0043】
化合物2(13.79 g, 58.88 mmol)をフラスコ(250 mL)中に加え、フラスコ中にエタノール(72.7 mL, 40℃)を加えて、溶液を5分間撹拌した。その後、得られた溶液中に、KOH(7.25 g, 189.59 mmol)および水(17.40 g)で調製したKOHの溶液を加え、5分間撹拌して、弁柄色の透明溶液を得た。溶液を冷却した時に、黄色〜褐色の固体が沈殿し始めた。溶液を3時間撹拌した後、熱水(295 mL)を加えて黄色〜褐色固体を溶解して、弁柄色の透明溶液を得た。その後、溶液中に3NのHClを添加し、プリスト(breast)〜黄色固体が沈殿した。黄色固体の沈殿が停止するまで溶液を撹拌し続け、濾過した。黄色固体を水洗、乾燥し、エタノールから再結晶して、繊維状淡黄色固体である化合物3を得た(11.57 g, 96%)。
【0044】
融点 269-270℃(文献 269-272℃);
1H NMR (200 MHz, DMSO-d6) δ7.35 (t, J = 8.0 Hz, 1H, ArH), 7.40 (d, J = 2.0 Hz, 1H, ArH), 8.22 (d, J = 7.8 Hz, 1H, ArH), 8.27 (dd, J = 0.8, 8.0 Hz , 1H, ArH), 11.16 (s, 1H, NH);
13C NMR (50 MHz, アセトン-d6) δ109.6, 110.0, 120.6, 122.3, 130.1, 131.3, 131.8, 134.0, 161.6;
MS (EI) m/z 206 (M+, 100%), 188 (M-18, 65%), 142 (M-64, 49%), 114 (M-92, 43%).
【0045】
実施例4:化合物4(7-ニトロ-1H-インドール)の製造

【0046】
化合物3(1.63 g, 7.91 mmol)をキノリン(13 mL)に溶解した後、そこにCuO(0.19 g)を添加した。混合物を撹拌し、194℃に加熱した。加熱工程の間、気体が発生した。2時間後、気体の発生はなく、反応が完了し、TLC試験を用いて反応の完了を確認した。その後、溶液を、HCl(21.3 mL)および冷水(42.6 mL)により調製したHCl溶液中に注ぎ、撹拌後、黒色沈殿が形成された。得られた溶液を濾過し、黒色沈殿および濾液をエーテルで抽出した。両抽出相を回収し、それぞれ、飽和NaHCO3溶液および水で洗浄した。Na2SO4で脱水した後、有機層を濾過し、濃縮して、黄色固体を得た。その後、黄色固体をEtOHから再結晶して、針状淡黄色固体である化合物4(0.87 g、69%)を得た。
【0047】
融点 96-97℃(文献 95-96℃);
1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ6.63 (dd, J = 2.2, 1.0 Hz, 1H, ArH), 7.08-7.18 (m, 1H, ArH), 7.32 (t, J = 3.0 Hz, 1H, ArH), 7.90 (d, J = 7.8 Hz, 1H, ArH), 8.08 (d, J = 8.1 Hz, 1H, ArH), 9.88 (s, 1H, NH);
13C NMR (50 MHz, アセトン-d6) δ103.7, 118.9, 119.2, 128.4, 129.1, 129.3, 132.9, 133.5;
MS (EI) m/z 162 (M+, 100%), 116 (M-46, 87%), 104 (M-58, 41%), 89 (M-73, 53%).
【0048】
実施例5:化合物5a(N-(1H-インドール-7-イル)ベンゼンスルホンアミド)の製造

【0049】
化合物4(1.44 g, 8.88 mmol)をイソプロパノール(25 mL)に溶解した後、Fe粉(1.50 g, 26.86 mmol)および、NH4Cl(0.10 g, 1.87 mmol)および水(4 mL)で調製したNH4Cl溶液を添加した。得られた溶液を撹拌し、60℃に加熱した。2時間加熱した後、TLC試験を使用して、反応の完了を確認した。その後、反応溶液中に活性炭を添加し、3分間撹拌した。溶液を濾過し、酢酸エチルを用いて、濾液の容量が100 mLになるまで、残渣を洗浄した。その後、溶液中に塩化ベンゼンスルホニル(1.90 g, 10.76 mmol)およびピリジン(4.0 mL, 49.68 mmol)を添加した。得られた溶液を室温で10時間撹拌し、TLC試験を用いて反応の完了を確認した。反応が完了した後、酢酸エチルを添加して反応溶液を200 mLに希釈した。その後、反応溶液を順次、1NのHCl、水、飽和NaHCO3溶液、および塩水で洗浄した。洗浄工程後、有機層の色は弁柄色であった。Na2SO4を用いて脱水し、有機層を濾過および濃縮して、固体を得た。固体をエタノールから再結晶して、針状白色固体である化合物5aを得た(2.28 g, 94%)。
【0050】
融点 178-179℃;
1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ6.41 (d, J = 7.4 Hz, 1H, ArH), 6.54 (dd, J = 2.2, 3.1 Hz, 1H, ArH), 6.86 (t, J = 7.8 Hz, 1H, ArH), 6.90 (s, 1H, NH), 7.24-7.26 (m, 2H, ArH), 7.31-7.32 (m, 1H, ArH), 7.34-7.36 (m, 1H, ArH), 7.50 (d, J = 8.0 Hz, 1H, ArH), 7.54-7.59 (m, 2H, ArH), 9.20 (s, 1H, NH);
13C NMR (50 MHz, CDCl3) δ103.2, 118.5, 120.2, 120.3, 120.4, 125.8, 127.9, 129.5, 130.6, 132.4, 133.7, 138.3;
MS (EI) m/z 272 (M+, 63%), 131 (M-141, 100%), 104 (M-168, 94%), 77 (M-195, 85%);
HRMS (m/z) for C14H12N2O2S(M+): 計算値 272.0620; 測定値 272.0617. 分析 (C14H12N2O2S): 計算値 C, 61.75; H, 4.44; N, 10.29; 測定値C, 61.48; H, 4.52; N, 10.22.
【0051】
実施態様2:化合物5b(N-(1H-インドール-7-イル)-4-メチルベンゼンスルホンアミド)の製造

【0052】
実施態様1の化合物4(2.00 g, 12.33 mmol)をイソプロパノール(25 mL)に溶解した後、Fe粉(2.07 g, 37.06 mmol)および、NH4Cl(0.13 g, 2.43 mmol)および水(7 mL)で調製したNH4Cl溶液を添加した。得られた溶液を60℃で3.5時間加熱した後、TLC試験を使用して、反応の完了を確認した。その後、反応溶液中に活性炭を添加し、3分間撹拌した。溶液を濾過し、酢酸エチルを用いて、濾液の容量が100 mLになるまで、残渣を洗浄した。溶液中に、塩化4-メチルベンゼンスルホニル(3.29 g, 17.26 mmol)およびピリジン(3.00 mL, 37.27 mmol)で調製した溶液を添加した。得られた溶液を室温で3時間撹拌し、TLC試験を用いて反応の完了を確認した。反応が完了した後、酢酸エチルを添加して反応溶液を250 mLに希釈した。その後、反応溶液を順次、1NのHCl、水、飽和NaHCO3溶液、および塩水で洗浄した。洗浄工程後、有機層の色は弁柄色であった。Na2SO4を加えて脱水し、有機層を濾過および濃縮して、固体を得た。固体をエタノールから再結晶して、針状白色固体である化合物5bを得た(2.27 g, 64%)。
【0053】
融点 159-160 ℃ (文献 157-159 ℃);
1H NMR (200 MHz, アセトン-d6) δ2.34 (s, 1H, CH3), 6.47 (dd, J = 3.1, 2.0 Hz, 1H, ArH), 6.73 (dd, J = 7.6, 1.2 Hz , 1H, ArH), 6.84 (dt, J = 7.6, 1.6 Hz, 1H, ArH), 7.26 (dd, J = 4.0, 0.4 Hz, 2H, NH), 7.34-7.41 (m, 2H, ArH), 7.57 (t, J = 1.8 Hz, 1H, ArH), 7.61 (t, J = 1.6 Hz, 1H, ArH), 8.71 (s, 1H, NH), 10.10 (s, 1H, NH);
13C NMR (50 MHz, アセトン-d6) δ21.4, 102.9, 117.7, 119.4, 120.0, 122.3, 126.2, 128.1, 130.2, 131.0, 132.4, 137.7, 144.3;
MS (EI) m/z 286 (M+, 56%), 131 (M-155, 100%), 104 (M-182, 38%).
【0054】
実施態様3:化合物5c(N-(1H-インドール-7-イル)-4-メトキシベンゼンスルホンアミド)の製造

【0055】
実施態様1の化合物4(2.00 g, 12.33 mmol)をイソプロパノール(25 mL)に溶解した後、Fe粉(2.07 g, 37.00 mmol)および、NH4Cl(0.13 g, 2.47 mmol)および水(7 mL)で調製したNH4Cl溶液を添加した。得られた溶液を60℃で2時間加熱した後、TLC試験を使用して、反応の完了を確認した。その後、反応溶液中に活性炭を添加し、3分間撹拌した。溶液を濾過し、酢酸エチルを用いて、濾液の容量が150 mLになるまで、残渣を洗浄した。溶液中に、塩化4-メトキシベンゼンスルホニル(3.56 g, 17.23 mmol)およびピリジン(4.00 mL, 49.70 mmol)で調製した溶液を添加した。得られた溶液を室温で3時間撹拌し、TLC試験を用いて反応の完了を確認した。反応が完了した後、酢酸エチルを添加して反応溶液を250 mLに希釈した。その後、反応溶液を順次、1NのHCl、水、飽和NaHCO3溶液、および塩水で洗浄した。洗浄工程後、有機層の色は弁柄色であった。Na2SO4を加えて脱水し、有機層を濾過および濃縮して、固体を得た。固体をエタノールから再結晶して、板状黄色固体である化合物5cを得た(1.54 g, 30%)。
【0056】
融点 161-162 ℃ (文献62 161-162 ℃);
1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ3.7 (s, 3H, CH3), 6.43-6.46 (m, 2H, ArH), 6.72 (s, 1H, ArH), 6.76 (s, 1H, ArH), 6.78 (t, J = 7.6 Hz, 1H, ArH), 7.05 (s, 1H, NH), 7.16 (t, J = 2.6 Hz , 1H, ArH), 7.39 (d, J = 7.4 Hz, 1H, ArH), 7.52 (s, 1H ArH), 7.56 (s, 1H ArH), 9.23 (s, 1H, NH);
13C NMR (50 MHz, CDCl3) δ56.0, 103.0, 114.6, 118.1, 120.1, 120.5, 125.5, 125.7, 129.8, 123.0, 130.4, 132.1, 163.6;
MS (EI) m/z 302 (M+, 59%), 131 (M-171, 100%), 104 (M-182, 51%).
【0057】
実施態様4:化合物5d(4-クロロ-N-(1H-インドール-7-イル)ベンゼンスルホンアミド)の製造

【0058】
実施態様1の化合物4(2.48 g, 15.30 mmol)をイソプロパノール(45 mL)に溶解した後、Fe粉(2.56 g, 45.8 mmol)および、NH4Cl(0.16 g, 9 mmol)および水(9 mL)で調製したNH4Cl溶液を添加した。得られた溶液を60℃で2時間加熱した後、TLC試験を使用して、反応の完了を確認した。その後、反応溶液中に活性炭を添加し、3分間撹拌した。溶液を濾過し、酢酸エチルを用いて、濾液の容量が150 mLになるまで、残渣を洗浄した。溶液中に、塩化4-クロロベンゼンスルホニル(3.38 g, 16.00 mmol)およびピリジン(3.70 mL, 45.97 mmol)で調製した溶液を添加した。得られた溶液を室温で7.5時間撹拌し、TLC試験を用いて反応の完了を確認した。反応が完了した後、酢酸エチルを添加して反応溶液を250 mLに希釈した。その後、反応溶液を順次、1NのHCl、水、飽和NaHCO3溶液、および塩水で洗浄した。洗浄工程後、有機層の色は弁柄色であった。Na2SO4を加えて脱水し、有機層を濾過および濃縮して、固体を得た。固体をエタノールから再結晶して、板状黄色固体である化合物5dを得た(3.13 g, 67%)。
【0059】
融点 163-164 ℃ (文献 163-164.5℃);
1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ6.44 (d, J = 7.4 Hz, 1H, ArH), 6.54 (dd, J = 2.2 , 3.0 Hz , 1H, ArH), 6.84 (t, J = 7.6 Hz, 1H, ArH), 6.96 (s, 1H, NH), 7.34-7.41 (m, 2H, ArH), 7.46-7.55 (m, 2H, ArH), 7.64-7.69 (m, 2H, ArH), 9.28 (s, 1H, NH);
13C NMR (50 MHz, CDCl3) δ103.2, 118.7, 119.8, 120.2, 120.7, 125.8, 129.3, 129.7, 130.7, 132.3, 136.6, 140.2;
MS (EI) m/z 306 (M+, 25%), 131 (M-171, 90%), 104 (M-182, 100%).
【0060】
実施態様5:化合物5e(N-(1H-インドール-7-イル)-4-ニトロベンゼンスルホンアミド)の製造

【0061】
実施態様1の化合物4(1.36 g, 8.39 mmol)をイソプロパノール(25 mL)に溶解した後、Fe粉(1.40 g, 25.16 mmol)および、NH4Cl(0.09 g, 1.68 mmol)および水(5 mL)で調製したNH4Cl溶液を添加した。得られた溶液を60℃で1.5時間加熱した後、TLC試験を使用して、反応の完了を確認した。その後、反応溶液中に活性炭を添加し、3分間撹拌した。溶液を濾過し、酢酸エチルを用いて、濾液の容量が100 mLになるまで、残渣を洗浄した。溶液中に、塩化4-ニトロベンゼンスルホニル(2.60 g, 11.74 mmol)およびピリジン(3.00 mL, 33.55 mmol)で調製した溶液を添加した。得られた溶液を室温で3時間撹拌し、酢酸エチルを添加して反応溶液を200 mLに希釈した。その後、反応溶液を順次、1NのHCl、水、飽和NaHCO3溶液、および塩水で洗浄した。洗浄工程後、有機層の色は弁柄色であった。Na2SO4を加えて脱水し、有機層を濾過および濃縮して、固体を得た。固体をエタノールから再結晶して、板状黄色固体である化合物5eを得た(1.93 g, 73%)。
【0062】
融点 185-186 ℃ (文献 188-189 ℃);
1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ6.54 (dd, J = 3.1, 2.1 Hz, 2H, ArH), 6.64 (d, J = 7.4 Hz , 1H, ArH), 6.84 (t, J = 7.7 Hz, 1H, ArH), 7.26-7.28 (m, 2H, ArH, NH), 7.41-7.52 (m, 2H, ArH), 7.58-7.70 (m, 2H, ArH), 7.87 (d, J = 7.9, 1.2 Hz, 1H ArH), 9.06 (s, 1H, NH);
13C NMR (50 MHz, CDCl3) δ103.3, 118.8, 119.5, 120.1, 121.1, 125.7, 125.8, 130.7, 131.9, 132.6, 133.0, 134.5; MS (EI) m/z 317 (M+, 37%), 206 (M-111, 58%), 131 (M-186, 100%), 104 (M-213, 79%);
HRMS (m/z) for C14H11N3O4S(M+): 計算値 317.0470; 測定値 317.0470. 分析 (C14H11N3O4S): 計算値 C, 52.99; H, 3.49; N, 13.24; 測定値 C, 52.99; H, 3.51; N, 13.07.
【0063】
実施態様6:化合物5g(N-(1H-インドール-7-イル)-4-スルファモイルベンゼンスルホンアミド)の製造

【0064】
(1)化合物10(塩化4-スルファモイルベンゼンスルホニル)の製造
スキームII

【0065】
スキームIIに示す通り、以下の工程によって、化合物9の溶液を調製した。先ず、化合物8(6.4 g, 37.2 mmol)を氷浴中、フラスコに入れ、水(12.5 mL)およびHCl(6.30 mL, 205.68 mmol)を加えた後、NaNO2(2.65g, 38.41 mmol)および水(10 mL)よりなる溶液を加えた。溶液が、白色固体を含有する状態から、透明黄色の状態に変わる時に、化合物9の溶液が得られた。氷酢酸(35 mL)を別のフラスコに入れ、そのフラスコにSO2ガスを40分間導入し、無水塩化第二銅(1.5 g, 13.74 mmol)を加え、得られた溶液を10分間撹拌した。その後、化合物9の溶液を滴加した。化合物9を添加する間、白色沈殿およびガスが発生した。10分間撹拌した後、青リンゴ色の溶液を濾過して、白色固体を得た。白色固体を水洗、乾燥して、純粋な化合物10(4.37 g, 46%)を得た。
【0066】
融点 152-153 ℃ (文献74 153-156 ℃);
1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ5.12 (s, 2H, NH2), 8.18 (d, J = 0.6 Hz, 4H, ArH);
13C NMR (50 MHz, CDCl3) δ128.2, 144.9;
MS (EI) m/z 220 (M+, 100%), 156 (M-64, 60%), 76 (M-144, 57%).
【0067】
(2)化合物5g(N-(1H-インドール-7-イル)-4-スルファモイルベンゼンスルホンアミド)の製造
実施態様1の化合物4(2.00 g, 12.33 mmol)をイソプロパノール(25 mL)に溶解した後、Fe粉(2.07 g, 37.20 mmol)および、NH4Cl(0.13 g, 2.43 mmol)および水(9 mL)で調製したNH4Cl溶液を添加した。得られた溶液を60℃で1.5時間加熱した後、TLC試験を使用して、反応の完了を確認した。その後、反応溶液中に活性炭を添加し、3分間撹拌した。溶液を濾過し、酢酸エチルを用いて、濾液の容量が150 mLになるまで、残渣を洗浄した。溶液中に、化合物10(3.31 g, 13.3 mmol)およびピリジン(3.00 mL, 33.55 mmol)を連続して添加した。得られた溶液を室温で10時間撹拌した。TLC試験の結果が反応の完了を示した時に、酢酸エチルを添加して反応溶液を250 mLに希釈した。その後、反応溶液を順次、1NのHCl、水、飽和NaHCO3溶液、および塩水で洗浄した。洗浄工程後、有機層の色は弁柄色であった。Na2SO4を加えて脱水し、有機層を濾過および濃縮して、固体を得た。固体をエタノールから再結晶して、針状白色固体である化合物5gを得た(2.13 g, 66%)。
【0068】
融点 215-216 ℃;
1H NMR (200 MHz, アセトン-d6) δ6.45 (d, J = 4.2 Hz, 1H, ArH), 6.69 (d, J = 7.2 Hz, 1H, ArH), 6.79 (s, 1H, NH), 6.83 (t, J = 7.6 Hz, 1H, ArH), 7.34 (t, J = 2.6 Hz, 1H, ArH), 7.42 (d, J = 7.8 Hz, 1H, ArH), 7.85 (d, J = 8.4 Hz, 2H, ArH), 7.95 (d, J = 8.8 Hz, 2H, ArH), 7.99 (s, 1H, NH), 8.98 (s, 1H, NH), 10.15 (s, 1H, NH);
13C NMR (50 MHz, アセトン-d6) δ102.5, 117.7, 119.6, 121.2, 125.82, 126.0, 127.1, 128.4, 130.7, 140.2, 143.2, 148.3;
MS (EI) m/z 351 (M+, 53%), 131 (M-220, 100%), 104 (M-247, 47%).
【0069】
実施態様7:化合物5h(N-(1H-インドール-7-イル)-2-ニトロベンゼンスルホンアミド)の製造

【0070】
実施態様1の化合物4(2.00 g, 12.33 mmol)をイソプロパノール(25 mL)に溶解した後、Fe粉(2.07 g, 37.20 mmol)および、NH4Cl(0.13 g, 2.43 mmol)および水(9 mL)で調製したNH4Cl溶液を添加した。得られた溶液を60℃で1.5時間加熱した後、TLC試験を使用して、反応の完了を確認した。その後、反応溶液中に活性炭を添加し、3分間撹拌した。溶液を濾過し、酢酸エチルを用いて、濾液の容量が150 mLになるまで、残渣を洗浄した。溶液中に、塩化2-ニトロベンゼンスルホニル(3.83 g, 17.26 mmol)およびピリジン(4.00 mL, 44.70 mmol)を添加し、溶液の色が淡褐色から暗紫色に変化した。得られた溶液を室温で10時間撹拌した。TLC試験の結果が反応の完了を示した時に、酢酸エチルを添加して反応溶液を250 mLに希釈した。その後、反応溶液を順次、1NのHCl、水、飽和NaHCO3溶液、および塩水で洗浄した。洗浄工程後、有機層の色は黒褐色であった。Na2SO4を加えして脱水し、有機層を濾過および濃縮して、固体を得た。固体をエタノールから再結晶して、板状黄色固体である化合物5hを得た(1.61 g, 41%)。
【0071】
融点 187-188 ℃;
1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ6.55 (dd, J = 0.8, 2.2 Hz, 1H, ArH), 6.62 (d, J = 7.4 Hz, 1H, ArH), 6.84 (t, J = 7.8 Hz, 1H, ArH), 7.26 (s, 1H, NH), 7.27 (t, J = 3.0 Hz, 1H, ArH), 7.41-7.53 (m, 2H, ArH), 7.58-7.71 (m, 2H, ArH), 7.87 (dd, J = 7.0, 0.8 Hz, 1H,ArH), 9.04 (s, 1H, NH);
13C NMR (50 MHz, CDCl3) δ103.3, 118.8, 119.4, 120.1, 121.1, 125.7, 125.8, 130.7, 131.9, 132.6, 132.9, 134.5;
MS (EI) m/z 317 (M+, 35%), 131 (M-186, 88%), 104 (M-213, 100%), 77 (M-240, 26%);
HRMS (m/z) for C14H11N3O4S(M+): 計算値 317.0470; 測定値 317.0476. 分析 (C14H11N3O4S): 計算値 C, 52.99; H, 3.49; N, 13.24; 測定値 C, 52.69; H, 3.59; N, 13.13.
【0072】
実施態様8:化合物6a(N-(5,8-ジメチル-9H-カルバゾール-1-イル)ベンゼンスルホンアミド)の製造

【0073】
化合物5a(0.85 g, 3.12 mmol)およびエタノール(25 mL)を三口フラスコ中に加え、よく混合した。その後、p-トルエンスルホン酸(0.30 g, 1.56 mmol)およびヘキサン-2,5-ジオン(0.71 g, 6.24 mmol)を加えた。得られた溶液を4.5時間、加熱還流し、TLC試験を用いて反応の状態をチェックした。TLC試験の結果が、出発物質の量の減少が止まったことを示した時に、紫色のエタノール溶液を留去した。その後、酢酸エチルを加え、残渣を水で抽出した。有機層にNa2SO4を加えて脱水し、有機層を濾過し、濾液中の酢酸エチルを留去して固体を得た。固体をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:ψ 4 cm × 16 cm;溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=7/5)で精製した。液体を回収し(Rf = 0.61、ヘキサン/酢酸エチル=7/5)、濃縮して、白色固体である化合物6aを得た(0.47 g, 43%)。
【0074】
融点 237-238 ℃;
1H NMR (200 MHz, アセトン-d6) δ2.52 (s, 3H, CH3), 2.76 (s, 3H, CH3), 6.89 (d, J = 3.6 Hz, 1H, ArH), 7.01-7.08 (m, 3H, ArH), 7.38-7.54 (m, 3H, ArH), 7.73-7.78 (m, 2H, ArH), 7.98 (d, J = 3.8 Hz, 1H, ArH), 8.82 (s, 1H, NH), 9.83 (s, 1H, NH);
13C NMR (50 MHz, CDCl3) δ17.0, 20.8, 118.3, 118.8, 119.4, 119.8, 121.6, 122.3, 122.6, 127.2, 127.3, 127.9, 129.3, 129.7, 131.2, 136.6, 139.6, 140.3.
【0075】
実施態様9:化合物6b(N-(5,8-ジメチル-9H-カルバゾール-1-イル)-4-メチルベンゼンスルホンアミド)の製造

【0076】
化合物5b(1.00 g, 3.49 mmol)およびエタノール(25 mL)を三口フラスコ中に加え、よく混合した。その後、p-トルエンスルホン酸(0.33 g, 1.75 mmol)およびヘキサン-2,5-ジオン(0.80 g, 6.98 mmol)を加えた。得られた溶液を36時間、加熱還流し、TLC試験を用いて反応の状態をチェックした。TLC試験の結果が反応が完了したことを示した時に、エタノール溶液を留去した。その後、酢酸エチルを加え、残渣を水で抽出した。有機層にNa2SO4を加えて脱水し、有機層を濾過し、濾液中の酢酸エチルを留去して固体を得た。固体をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:ψ 4 cm × 13 cm;溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=7/5)で精製した。液体を回収し(Rf = 0.57、ヘキサン/酢酸エチル=7/5)、濃縮して、白色固体である化合物6bを得た(1.26 g, 99%)。
【0077】
融点 185-186 ℃;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ2.33 (s, 3H, CH3), 2.52 (s, 3H, CH3), 2.79 (s, 3H, CH3), 6.71 (d, J = 3.8 Hz, 1H, ArH), 6.92 (d, J = 3.6 Hz, 1H, ArH), 6.97 (t, J = 3.9 Hz, 1H, ArH), 7.01 (s, 1H, NH), 7.15 (t, J = 4.1 Hz, 3H, ArH), 7.59 (d, J = 4.1 Hz, 2H, ArH), 7.98 (d, J = 7.8 Hz, 1H, ArH), 9.07 (s, 1H, NH);
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ16.5, 20.4, 21.5, 117.9, 119.1, 119.214, 121.113, 121.2, 121.3, 121.5, 126.6, 126.6, 127.5, 129.7, 130.7, 134.9, 135.7, 139.1, 144.2;
MS (EI) m/z 364 (M+, 23%), 209 (M-155, 100%), 28 (M-336, 37%);
HRMS (m/z) for C21H20N2O2S(M+): 計算値 364.1245; 測定値 364.1247. 分析 (C21H20N2O2S): 計算値 C, 69.20; H, 5.53; N, 7.69; 測定値 C, 69.23; H, 5.53; N, 7.56.
【0078】
実施態様10:化合物6c(N-(5,8-ジメチル-9H-カルバゾール-1-イル)-4-メトキシベンゼンスルホンアミド)の製造

【0079】
化合物5c(0.70 g, 2.32 mmol)およびエタノール(25 mL)を三口フラスコ中に加え、よく混合した。その後、p-トルエンスルホン酸(0.22 g, 1.16 mmol)およびヘキサン-2,5-ジオン(0.53 g, 4.63 mmol)を加えた。得られた溶液を6時間、加熱還流し、TLC試験を用いて反応の状態をチェックした。TLC試験の結果が出発物質の量の減少が止まったことを示した時に、エタノール溶液を留去した。その後、酢酸エチルを加え、残渣を水で抽出した。有機層にNa2SO4を加えて脱水し、有機層を濾過し、濾液中の酢酸エチルを留去して固体を得た。固体をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:ψ 4 cm × 11 cm;溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=7/5)で精製した。液体を回収し(Rf = 0.56、ヘキサン/酢酸エチル=7/5)、濃縮して、白色固体である化合物6cを得た(0.20 g, 23%)。
【0080】
融点 180.5-181 ℃;
1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ2.54 (s, 3H, CH3), 2.80 (s, 3H, CH3), 3.77 (s, 3H, OCH3), 6.69 (d, J = 7.6 Hz, 1H, ArH), 6.79 (s, 1H, ArH), 6.84 (s, 1H, ArH), 6.90 (s, 1H, NH), 6.96 (dd, J = 7.6, 7.8 Hz, 2H, ArH), 7.14 (d, J = 7.4 Hz, 1H, ArH), 7.60 (t, J = 2.0 Hz, 1H, ArH), 7.63 (t, J = 2.0 Hz, 1H, ArH), 7.99 (d, J = 8.0 Hz, 1H, ArH), 9.09 (s, 1H, NH);
13C NMR (50 MHz, CDCl3) δ21.0, 24.8, 60.2, 119.0, 122.7, 124.2, 125.0, 125.1, 125.9, 126.1, 130.8, 131.4, 134.4, 135.3, 136.4, 139.5, 144.1, 168.1;
MS (EI) m/z 380 (M+, 55%), 209 (M-171, 100%). 分析 (C21H20N2O3S): 計算値 C, 66.29; H, 5.30; N, 7.36; 測定値 C, 66.05; H, 5.37; N, 7.06.
【0081】
実施態様11:化合物6d(4-クロロ-N-(5,8-ジメチル-9H-カルバゾール-1-イル)ベンゼンスルホンアミド)の製造

【0082】
化合物5d(1.00 g, 3.26 mmol)およびエタノール(25 mL)を三口フラスコ中に加え、よく混合した。その後、p-トルエンスルホン酸(0.30 g, 1.60 mmol)およびヘキサン-2,5-ジオン(0.74 g, 6.52 mmol)を加えた。得られた溶液を9時間、加熱還流し、TLC試験を用いて反応の状態をチェックした。TLC試験の結果が出発物質の量の減少が止まったことを示した時に、エタノール溶液を留去した。その後、酢酸エチルを加え、残渣を水で抽出した。有機層にNa2SO4を加えて脱水し、有機層を濾過し、濾液中の酢酸エチルを留去して固体を得た。固体をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:ψ 4 cm × 15 cm;溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=7/5)で精製した。液体を回収し(Rf = 0.57、ヘキサン/酢酸エチル=7/5)、濃縮して、白色固体である化合物6dを得た(0.67 g, 53.25%)。
【0083】
融点 217-218 ℃;
1H NMR (200 MHz, アセトン-d6) δ2.52 (s, 3H, CH3), 2.77 (s, 3H, CH3), 6.90 (d, J = 7.2 Hz, 1H, ArH), 7.05-7.17 (m, 3H, ArH), 7.46-7.53 (m, 2H, ArH), 7.72 (t, J = 2.1 Hz, 1H, ArH), 7.75 (m, 1H, ArH), 7.89 (dd, J = 7.3 , 1.6 Hz, 1H, ArH), 8.88 (s, 1H, NH), 9.84 (s, 1H, NH);
13C NMR (50 MHz, アセトン-d6) δ16.8, 20.5, 118.5, 120.0, 121.2, 121.5, 121.8, 122.0, 126.7, 127.3, 128.1, 129.8, 131.2, 133.7, 135.6, 139.9, 140.6;
MS (EI) m/z 384 (M+, 27%), 209 (M-175, 100%), 28 (M-356, 60%);
HRMS (m/z) for C20H17ClN2O2S(M+): 計算値 384.0699; 測定値 384.0700. 分析 (C20H17ClN2O2S): 計算値 C, 62.41; H, 4.45; N, 7.28; 測定値 C, 62.42; H, 4.48; N, 7.14.
【0084】
実施態様12:化合物6e(N-(5,8-ジメチル-9H-カルバゾール-1-イル)-4-ニトロベンゼンスルホンアミド)の製造

【0085】
化合物5e(1.00 g, 3.15 mmol)およびエタノール(25 mL)を三口フラスコ中に加え、よく混合した。その後、p-トルエンスルホン酸(0.30 g, 1.58 mmol)およびヘキサン-2,5-ジオン(0.72 g, 6.30 mmol)を加えた。得られた溶液を5時間、加熱還流し、TLC試験を用いて反応の状態をチェックした。TLC試験の結果が、出発物質の量の減少が止まり、反応が平衡状態であることを示した時に、エタノール溶液を留去した。その後、酢酸エチルを加え、残渣を水で抽出した。有機層にNa2SO4を加えて脱水し、有機層を濾過し、濾液中の酢酸エチルを留去して固体を得た。固体をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:ψ 4 cm × 10 cm;溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製した。液体を回収し(Rf = 0.34、ヘキサン/酢酸エチル=3/1)、濃縮して、白色固体である化合物6eを得た(0.31 g, 79%)。また、別の溶液も回収し(Rf = 0.26、ヘキサン/酢酸エチル=3/1)、濃縮して、化合物5e(0.21 g)を再利用した。
【0086】
融点 202-203 ℃;
1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ2.55 (s, 3H, CH3), 2.79 (s, 3H, CH3), 6.89 (dd, J = 7.7, 1.0 Hz, 1H, ArH), 6.92-7.03 (m, 2H, ArH), 7.16 (d, J = 7.2 Hz, 1H, ArH), 7.31 (s, 1H, NH), 7.42 (ddd, J = 1.2, 7.4 , 7.9 Hz, 1H, ArH), 7.58 (dd, J = 7.9, 1.4 Hz, 1H, ArH), 7.66 (ddd, J = 1.6, 8.5, 6.9 Hz, 1H, ArH), 7.87 (dd, J = 8.0, 1.2 Hz, 1H, ArH), 8.02 (dd, J = 1.0, 2.8 Hz, 1H, ArH), 8.88 (s, 1H, NH);
13C NMR (50 MHz, CDCl3) δ17.0, 20.8, 118.3, 118.5, 119.8, 121.6, 121.8, 122.3, 122.9, 125.6, 127.3, 131.2, 131.9, 132.6, 132.9, 134.6, 136.7, 139.5, 148.6, 161.8;
MS (EI) m/z 396 (M+1, 38%), 395 (M+, 12%), 209 (M-186, 100%). 分析 (C20H17N3O4S): 計算値 C, 60.75; H, 4.33; N, 10.63; 測定値 C, 60.46; H, 4.29; N, 10.37.
【0087】
実施態様13:化合物6f(4-アミノ-N-(5,8-ジメチル-9H-カルバゾール-1-イル)ベンゼンスルホンアミド)の製造

【0088】
化合物6e(0.15 g, 0.38 mmol)をイソプロパノール(25 mL)に溶解した後、Fe粉(64 mg, 1.14 mmol)および、NH4Cl(4.1 mg, 0.07 mmol)および水(0.5 mL)で調製したNH4Cl溶液を添加した。得られた溶液を撹拌し、60℃に加熱した。1時間加熱した後、TLC試験を使用して、反応の完了を確認した。その後、反応溶液に活性炭を添加し、3分間撹拌した。溶液を濾過し、酢酸エチルを用いて、残渣を洗浄した。濾液を乾燥して固体を得、この固体をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:ψ 1.5 cm × 10 cm;溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製した。液体を回収し(Rf = 0.24、ヘキサン/酢酸エチル=2/1)、濃縮して、白色固体である化合物6fを得た(0.08 g, 58%)。
【0089】
融点 254-255 ℃;
1H NMR (200 MHz, アセトン-d6) δ2.51 (s, 3H, CH3), 2.74 (s, 3H, CH3), 3.12 (s, 2H, NH2), 6.87 (d, J = 7.0 Hz, 1H, ArH), 7.04-7.17 (m, 3H, ArH), 7.97-8.01 (m, 3H, ArH), 8.24-8.28 (m, 2H, ArH), 9.14 (s, 1H, NH), 9.95 (s, 1H, NH);
13C NMR (50 MHz, アセトン-d6) δ17.0, 20.8, 118.2, 118.4, 119.4, 121.6, 121.9, 122.4, 122.9, 125.6, 127.3, 131.2, 131.9, 132.7, 133.0, 134.5, 136.6, 139.5, 148.6, 161.8.
【0090】
実施態様14:化合物6g(N-(5,8-ジメチル-9H-カルバゾール-1-イル)-4-スルファモイルベンゼンスルホンアミド)の製造

【0091】
化合物5g(1.00 g, 2.85 mmol)およびエタノール(25 mL)を三口フラスコ中に加え、よく混合した。その後、p-トルエンスルホン酸(0.27 g, 1.43 mmol)およびヘキサン-2,5-ジオン(0.65 g, 5.70 mmol)を加えた。得られた溶液を5時間、加熱還流し、TLC試験を用いて反応の状態をチェックした。TLC試験の結果が反応が完了したことを示した時に、エタノール溶液を留去した。その後、酢酸エチルを加え、残渣を水で抽出した。有機層にNa2SO4を加えて脱水し、有機層を濾過し、濾液中の酢酸エチルを留去して固体を得た。固体をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:ψ 4 cm × 7 cm;溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製した。液体を回収し(Rf = 0.39、ヘキサン/酢酸エチル=2/1)、濃縮して、白色固体である化合物6gを得た(1.06 g, 86%)。
【0092】
融点 290-291 ℃;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ2.50 (s, 3H, CH3), 2.69 (s, 3H, CH3), 6.85 (d, J = 7.2 Hz, 1H, ArH), 7.05 (t, J = 8.0 Hz, 1H, ArH), 7.09 (d, J = 7.2 Hz, 1H, ArH), 7.24 (d, J = 7.6 Hz, 1H, ArH), 7.47 (s, 2H, NH2), 7.84 (d, J = 7.6 Hz, 1H, ArH), 7.90 (d, J = 8.0 Hz, 2H, ArH), 7.87 (d, J = 8.0Hz, 2H, ArH), 8.00 (d, J = 8.4 Hz, 2H, ArH), 10.22 (s, 1H, NH), 10.63 (s, 1H, NH);
13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ16.5, 20.3, 116.2, 117.4, 119.5, 120.1, 120.3, 124.8, 126.3, 126.6, 127.9, 129.1, 138.6, 147.7;
MS (EI) m/z 429 (M+, 55%), 209 (M-220, 100%), 28 (M-401, 50%);
HRMS (m/z) for C20H19N3O4S(M+): 計算値 429.0817; 測定値 429.0816. 分析 (C20H19N3O4S): 計算値 C, 55.93; H, 4.46; N, 9.78; 測定値 C, 55.77; H, 4.57; N, 9.64.
【0093】
実施態様15:化合物6h(N-(5,8-ジメチル-9H-カルバゾール-1-イル)-2-ニトロベンゼンスルホンアミド)の製造

【0094】
化合物5h(0.60 g, 1.89 mmol)およびエタノール(25 mL)を三口フラスコ中に加え、よく混合した。その後、p-トルエンスルホン酸(0.18 g, 0.95 mmol)およびヘキサン-2,5-ジオン(0.43 g, 3.78 mmol)を加えた。得られた溶液を3時間、加熱還流し、クリーム状固体が形成された。反応を20時間実施した後、TLC試験を用いて、出発物質の量の減少が止まり、反応が平衡状態であるかどうかをチェックした。TLC試験の結果が反応が完了したことを示した時に、エタノール溶液を濾過し、留去した。その後、残渣を酢酸エチルに溶解し、水洗した。有機層にNa2SO4を加えて脱水し、有機層を濾過した。濾液中に活性炭素を加え、濾液を加熱、撹拌、濾過、および留去して、緑色固体を得た。この緑色固体を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル:ψ 4 cm × 15 cm;溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製した。液体を回収し(Rf = 0.67、ヘキサン/酢酸エチル=3/1)、濃縮して、白色固体である化合物6hを得た(0.48 g, 65%)。
【0095】
融点 202-203 ℃;
1H NMR (200 MHz, アセトン-d6) δ2.53 (s, 3H, CH3), 2.76 (s, 3H, CH3), 6.90 (d, J = 7.2 Hz, 1H, ArH), 7.05-7.14 (m, 2H, ArH), 7.23 (dd, J = 1.2, 3.9 Hz, 1H, ArH), 7.31 (s, 1H, NH), 7.63 (dt, J =1.4, 7.6 Hz, 1H, ArH), 7.76-7.85 (m, 2H, ArH), 7.95 (dt, J = 1.2, 8.2 Hz, 1H, ArH), 8.04 (dd, J = 0.8 , 7.7 Hz, 1H, ArH), 9.10 (s, 1H, NH), 9.96 (s, 1H, NH);
13C NMR (50 MHz, アセトン-d6) δ16.4, 20.2, 118.2, 119.6, 119.8, 121.5, 121.7, 125.3, 126.5, 127.1, 130.8, 131.9, 132.2, 132.6, 135.0, 136.0, 140.0, 148.7;
MS (EI) m/z 395 (M+, 17%), 209 (M-186, 100%);
HRMS (m/z) for C20H17N3O4S(M+): 計算値 395.0940; 測定値 395.0941. 分析 (C20H17N3O4S): 計算値 C, 60.75; H, 4.33; N, 10.63; 測定値 C, 60.66; H, 4.41; N, 10.40.
【0096】
実施態様16:化合物7a(4-クロロ-N-[3-(4-ニトロフェニルアゾ)-1H-インドール-7-イル]ベンゼンスルホンアミド)の製造
スキームIII

【0097】
スキームIIIに示す通り、以下の工程によって、化合物12の溶液を調製した。先ず、化合物11(4-ニトロアニリン, 1.15 g, 8.29 mmol)を氷浴中、フラスコに入れ、HCl(9.29 mL)を加えた後、水を加えて、溶液を100 mLに希釈した。NaNO2(0.95 g, 13.80 mmol)および水(25 mL)よりなる溶液を滴加した。溶液の状態が黄色透明に変化した時に、化合物12の溶液が得られた。氷浴中の別のフラスコに、化合物5d(2 g, 6.52 mmol)を冷水(20 g)中に添加し、得られた溶液を撹拌した。その後、KOH(1.90 g, 33.90 mmol)および水(280 mL)より調製したKOH溶液を加え、得られた溶液を、全ての固体が溶解し、溶液が透明な状態になるまで撹拌した。次に、化合物12の溶液を添加した。化合物12の溶液を添加する間、暗赤色の沈殿が形成された。得られた溶液を10分間撹拌した後、得られた溶液を濾過し、暗赤色固体を乾燥した。この暗赤色固体を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル:ψ 4 cm × 18 cm;溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=7/5)で精製した。液体を回収し(Rf = 0.48、ヘキサン/酢酸エチル=7/5)、濃縮して、暗赤色固体である化合物7aを得た(0.63 g, 21%)。
【0098】
融点 217-218 ℃;
1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ6.78 (d, J = 7.9 Hz, 1H, ArH), 7.24-7.38 (m, 4H, ArH), 7.57-7.70 (m, 3H, ArH), 8.00 ( d, J = 8.0 Hz, 2H, ArH), 8.33 (d, J = 8.1 Hz, 2H, ArH), 9.81 (s, 1H, NH);
13C NMR (50 MHz, アセトン-d6) δ104.1, 115.5, 122.0, 123.3, 124.9, 125.2, 126.4, 129.4, 129.7, 129.8, 131.7, 138.6, 139.3, 143.2, 148.7, 157.1;
MS (EI) m/z 455 (M+, 44%), 280 (M-175, 85 %), 234 (M-221, 66%), 130 (M-325, 52%);
HRMS (m/z) for C20H14ClN5O4S(M+): 計算値 455.0455; 測定値 455.0424. 分析 (C20H14ClN5O4S): 計算値 C ,52.69; H, 3.10; N, 15.36; 測定値 C, 52.44; H, 3.17; N, 15.08.
【0099】
実施態様17:化合物7b(4-メチル-N-(3-フェニルアゾ-1H-インドール-7-イル)ベンゼンスルホンアミド)の製造
スキームIV

【0100】
スキームIVに示す通り、以下の工程によって、化合物14の溶液を調製した。先ず、化合物13(アニリン, 0.15 g, 1.63 mmol)を氷浴中、フラスコに入れ、HCl(1.83 mL)を加えた後、水を加えて、溶液を20 mLに希釈した。NaNO2(0.19 g, 2.72 mmol)および水(5 mL)よりなる溶液を滴加した。溶液の状態が、黄色透明に変化した時に、化合物14の溶液が得られた。氷浴中の別のフラスコにおいて、化合物5b(0.36 g, 1.26 mmol)を冷水(5 g)中に加え、得られた溶液を撹拌した。その後、その後、KOH(0.36 g, 6.42 mmol)および水(54 mL)より調製したKOH溶液を加え、得られた溶液を、全ての固体が溶解し、溶液が透明な状態になるまで撹拌した。次に、化合物14の溶液を添加した。化合物14の溶液を添加する間、暗赤色の沈殿が形成された。得られた溶液を10分間撹拌した後、得られた溶液を濾過し、暗赤色固体を乾燥した。この暗赤色固体を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル:ψ 4 cm × 13 cm;溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製した。液体を回収し(Rf = 0.39、ヘキサン/酢酸エチル=3/1)、濃縮して、暗赤色固体である化合物7bを得た(0.04 g, 0.14 mmol)。
【0101】
融点 212-213 ℃;
1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ2,30 (s, 3H, CH3), 6.82 (d, J = 8.0 Hz, 1H, ArH), 7.14 (d, J = 8.0 Hz, 2H, ArH), 7.40-7.34 (m, 2H, ArH), 7.42-7.55( m, 3H, ArH), 7.60 (d, J = 8.0 Hz, 1H, ArH), 7.64 (s, 1H, ArH), 7.68 (s, 1H, ArH), 7.83 (s, 1H, NH), 7.93 (t, J = 1.4 Hz, 1H, ArH), 7.96 (t, J = 1.8 Hz, 1H, ArH), 9.65 (s, 1H, NH);
13C NMR (50 MHz, CDCl3) δ22.0, 104.0, 116.9, 121.2, 122.8, 123.0, 123.5, 127.8, 128.8, 129.48, 130.3, 130.9, 132.4, 135.2, 143.8, 145.0, 153.8;
MS (EI) m/z 390 (M+, 58%), 235 (M-155, 100 %), 28 (M-362, 86%).
【0102】
実施態様18:化合物7c(4-クロロ-N-(3-フェニルアゾ-1H-インドール-7-イル)ベンゼンスルホンアミド)の製造
スキームV

【0103】
スキームVに示す通り、以下の工程によって、化合物14の溶液を調製した。先ず、化合物13(0.18 g, 1.91 mmol)を氷浴中、フラスコに入れ、HCl(2.14 mL)を加え、NaNO2(0.21 g, 3.05 mmol)および水(5 mL)よりなる溶液を滴加し、水を加えて溶液を20 mLに希釈した。溶液の状態が黄色透明に変化した時に、化合物14の溶液が得られた。氷浴中の別のフラスコにおいて、化合物5d(0.45 g, 1.26 mmol)を冷水(5 g)中に加え、得られた溶液を撹拌した。その後、KOH(0.42 g, 7.49 mmol)および水(63 mL)より調製したKOH溶液を加え、得られた溶液を、全ての固体が溶解し、溶液が透明な状態になるまで撹拌した。次に、化合物14の溶液を添加した。化合物14の溶液を添加する間、弁柄色の沈殿が形成された。得られた溶液を10分間撹拌した後、得られた溶液を濾過し、弁柄色の固体を乾燥した。この弁柄色の固体を、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル:ψ 4 cm × 21 cm;溶出液:ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製した。液体を回収し(Rf = 0.40、ヘキサン/酢酸エチル=3/1)、濃縮して、化合物7cを得た(0.23 g, 54%)。加えて、別の液体も回収し(Rf = 0.31、ヘキサン/酢酸エチル=3/1)、濃縮して、弁柄色の固体である化合物5d(0.13 g, 0.42 mmol)を得た。
【0104】
融点 110-111 ℃;
1H NMR (200 MHz, CDCl3) δ6.70 (d, J= 8.0 Hz, 1H, ArH), 7.34 (d, J = 8.6 Hz, 3H, ArH), 7.34-7.50 (m, 5H, ArH, NH), 7.62 (d, J = 8.2 Hz, 3H, ArH), 7.94 (d, J = 8.6 Hz, 2H, ArH), 9.42 (s, 1H, NH);
13C NMR (50 MHz, CDCl3) δ103.2, 119.5, 120.8, 121.0, 121.3, 121.5, 126.3, 126.8, 127.6, 129.3, 130.7, 133.2, 139.4, 140.1, 145.1, 154.7;
MS (EI) m/z 410 (M+, 33%), 235 (M-175, 100 %), 130 (M-280, 48%), 111 (M-299, 55%);
HRMS (m/z) for C20H15ClN4O2S(M+): 計算値 410.0604; 測定値 410.0607.
【0105】
実施態様19:化合物6i(N-(5,8-ジメチル-9H-カルバゾール-1-イル)-3,4,5-トリメトキシベンゼンスルホンアミド)の製造

【0106】
メタノール(30 mL)中、4(0.5 g, 3.08 mmol)と10% Pd/C (0.2 g)との混合物を、水素下で1時間撹拌した。濾過によりPd/Cを除去し、濾液を真空留去して、油状生成物を得た。この生成物に、酢酸エチル(30 mL)および塩化3,4,5-トリメトキシベンゼンスルホニル(0.9 g, 3.38 mmol)を加えて、50℃で1時間撹拌した。反応物は、シリカゲルを充填した漏斗を通し、酢酸エチルで洗浄することにより、粗精製した。濾液を真空留去し、粗生成物をアセトニルアセトン(0.5 mL, 4.38 mmol)と、p-トルエンスルホン酸(0.7 g, 4.06 mmol)の存在下、EtOH(20 mL)中で3時間還流することによって反応させた。最後に、混合物をカラムクロマトグラフィーおよびエタノールからの再結晶により精製して、白色固体である化合物6i(0.66 g, 48.37%; Hex/EA = 4/1, Rf = 0.2)を得た。
【0107】
融点 = 205-207℃;
ESI (M-H+) 439.1;
1H NMR (200 Hz, DMSO-d6)δ2.07 (s, 3H, CH3), 2.68 (s, 3H, CH3), 3.43 (s, 3H, OCH3), 3.62 (s, 6H, OCH3), 6.82 (d, J = 7.2 Hz, 1H, ArH), 6.95 (s, 2H, ArH), 7.00-7.15 (m, 2H, ArH), 7.37 (d, J = 7.6 Hz, 1H, ArH), 7.87 (d, J = 7.6 Hz, 1H, ArH), 7.72 (s, 1H, NH), 10.51 (s, 1H, NH);
13C NMR (50 Hz, DMSO-d6)δ16.37, 20.07, 55.99, 59.87, 104.24, 117.27, 118.38, 119.12, 119.31, 120.32, 120.56, 121.15, 124.77, 126.15, 129.82, 132.85, 133.96, 138.45, 140.67, 152.50.
分析 (C23H24N2O5S): 計算値 C, 62.71; H, 5.49; N, 6.36; S, 7.28; 測定値 C, 62.75; H, 5.69; N, 6.59; S, 7.10.
【0108】
実施態様20:化合物6j(N-(5,8-ジメチル-9H-カルバゾール-1-イル)-3-トリフルオロメチルベンゼンスルホンアミド)の製造

【0109】
メタノール(30 mL)中、4(0.5 g, 3.08 mmol)と10% Pd/C (0.2 g)との混合物を、水素下で1時間撹拌した。濾過によりPd/Cを除去し、濾液を真空留去して、油状生成物を得た。この生成物に、酢酸エチル(30 mL)および塩化3-トリフルオロメチルベンゼンスルホニル(0.8 g, 3.27 mmol)を加えて、50℃で1時間撹拌した。反応物は、シリカゲルを充填した漏斗を通し、酢酸エチルで洗浄することにより、粗精製した。濾液を真空留去し、粗生成物をアセトニルアセトン(0.5 mL, 4.38 mmol)と、p-トルエンスルホン酸(0.7 g, 4.06 mmol)の存在下、EtOH(20 mL)中で3時間還流することによって反応させた。最後に、混合物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、白色固体である化合物6j(2.01 g, 78.08%; Hex/EA = 8/1, Rf = 0.15)を得た。
【0110】
融点 = 217-218℃;
ESI (M-H+) 417.1;
1H NMR (400 Hz, DMSO-d6)δ2.43 (s, 3H, CH3), 2.66 (s, 3H, CH3), 6.82 (d, J = 7.2 Hz, 1H, ArH), 7.05-7.11 (m, 2H, ArH), 7.27 (d, J = 7.6 Hz, 1H, ArH), 7.62 (t, J = 8.0 Hz, 1H, ArH), 7.86 (t, J = 7.6 Hz, 2H, ArH), 7.92 (d, J = 8.0 Hz, 1H, ArH), 8.13 (s, 1H, ArH), 9.97 (s, 1H, ArH), 10.50 (s, 1H, NH);
13C NMR (100 Hz, DMSO-d6)δ16.28, 19.98, 111.40, 118.71, 119.07, 119.73, 120.18, 120.32, 120.60, 121.88, 123.39, 123.43, 123.47, 124.59, 124.96, 126.20, 129.49, 129.60, 129.64, 129.77, 129.82, 130.56, 130.80, 132.99, 138.56, 140.52.
分析 (C21H17F3N2O2S): 計算値 C, 60.28; H, 4.10; N, 6.69; F, 13.62; S, 7.66; 測定値 C, 75.89; H, 5.88; N, 12.76.
【0111】
実施態様21:化合物6k(5-クロロ-チオフェン-2-スルホン酸(5,8-ジメチル-9H-カルバゾール-1-イル)アミド)の製造

【0112】
メタノール(30 mL)中、4(0.5 g, 3.08 mmol)と10% Pd/C (0.2 g)との混合物を、水素下で1時間撹拌した。濾過によりPd/Cを除去し、濾液を真空留去して、油状生成物を得た。この生成物に、酢酸エチル(30 mL)および塩化5-クロロ-チオフェン-2-スルホニル(0.7 g, 3.24 mmol)を加えて、室温で1時間撹拌した。反応物は、シリカゲルを充填した漏斗を通し、酢酸エチルで洗浄することにより、粗精製した。濾液を真空留去し、粗生成物をアセトニルアセトン(0.5 mL, 4.38 mmol)と、p-トルエンスルホン酸(0.7 g, 4.06 mmol)の存在下、EtOH(20 mL)中で3時間還流することによって反応させた。最後に、混合物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、白色固体である化合物6k(0.87 g, 72.40%; Hex/EA = 8/1, Rf = 0.33)を得た。
【0113】
融点 = 232-234 ℃;
ESI (M-H+) 389.0;
1H NMR (400 Hz, DMSO-d6)δ2.71 (s, 3H, CH3), 6.86 (d, J = 7.2 Hz, 1H, ArH), 7.07-7.16 (m, 3H, ArH), 7.31 (d, J = 8.0 Hz, 1H, ArH), 7.37 (d, J = 4.0 Hz, 1H, ArH), 10.20 (s, 1H, NH), 10.57 (s, 1H, NH);
13C NMR (100 Hz, DMSO-d6)δ16.49, 20.05, 117.51, 117.84, 119.14, 119.61, 120.37, 120.40, 120.64, 124.99, 126.24, 127.87, 129.83, 132.63, 132.71, 135.32, 138.08, 138.60. 分析 (C18H15ClN2O2S2): 計算値 C, 55.31; H, 3.87; N, 7.17; S, 16.41; 測定値 C, 55.37; H, 3.60; N, 7.45; S, 16.27.
【0114】
実施態様22:化合物6l(3,5-ジクロロ-4-(2-クロロ-4-ニトロフェノキシ)-N-(5,8-ジメチル-9H-カルバゾール-1-イル)ベンゼンスルホンアミド)の製造

【0115】
メタノール(30 mL)中、4(1.0 g, 6.16 mmol)と10% Pd/C(0.2 g)との混合物を、水素下で1時間撹拌した。濾過によりPd/Cを除去し、濾液を真空留去して、油状生成物を得た。この生成物に、CH2Cl2(30 mL)および塩化3,5-ジクロロ-4-(2-クロロ-4-ニトロフェノキシ)-ベンゼンスルホニル(2.6 g, 6.26 mmol)を加えて、室温で1時間撹拌した。反応物は、シリカゲルを充填した漏斗を通し、酢酸エチルで洗浄することにより、粗精製した。濾液を真空留去し、粗生成物をアセトニルアセトン(0.7 mL, 6.62 mmol)と、p-トルエンスルホン酸(1.10 g, 6.39 mmol)の存在下、EtOH(20 mL)中で3時間還流することによって反応させた。最後に、混合物をカラムクロマトグラフィーおよびエタノールからの再結晶により精製して、白色固体である化合物6l(1.85 g, 50.97%; Hex/EA = 6/1, Rf = 0.24)を得た。
【0116】
融点 = 249 ℃;
ESI (M-H+) 588.1;
1H NMR (400 Hz, DMSO-d6)δ2.43 (s, 3H, CH3), 2.71 (s, 3H, CH3), 6.07 (d, J = 8.8 Hz, 1H, ArH), 6.89 (d, J = 7.2 Hz, 1H, ArH), 7.09 (d, J = 7.2 Hz, 1H, ArH), 7.14 (t, J = 8.0 Hz, 1H, ArH), 7.28 (d, J = 7.6 Hz, 1H, ArH), 7.59 (dd, J = 8.8 Hz, 2.4 Hz, 1H, ArH), 7.89 (s, 2H, ArH), 7.95 (d, J = 8.0 Hz, 1H, ArH), 8.41 (d, J = 2.4 Hz, 1H, ArH), 9.96 (s, 1H, NH), 10.56 (s, 1H, NH);
13C NMR (100 Hz, DMSO-d6)δ16.49, 20.07, 113.74, 117.58, 119.35, 119.70, 120.43, 120.50, 120.84, 122.06, 124.14, 125.05, 126.42, 126.60, 128.35, 128.66, 129.97, 133.94, 138.62, 139.25, 143.13, 138.05, 155.27.
分析 (C26H18Cl3N3O5S): 計算値 C, 52.85; H, 3.07; N, 7.11; S, 5.43; 測定値 C, 53.10; H, 3.27; N, 7.36; S, 5.68.
【0117】
実施態様23:化合物14a(1-(5,8-ジメチル-9H-カルバゾール-1-イル)-3-フェニル尿素)の製造

【0118】
メタノール(30 mL)中、4(1.0 g, 6.16 mmol)と10% Pd/C(0.2 g)との混合物を、水素下で1時間撹拌した。濾過によりPd/Cを除去し、濾液を真空留去して、油状生成物を得た。この生成物に、CH2Cl2(30 mL)およびイソシアン酸フェニル(0.7 mL, 6.42 mmol)を加えて、室温で1時間撹拌した。得られた懸濁液を濾過し、灰色の固体を得た。粗生成物をアセトニルアセトン(0.7 mL, 6.62 mmol)と、p-トルエンスルホン酸(1.10 g, 6.39 mmol)の存在下、EtOH(20 mL)中で3時間還流することによって反応させた。最後に、混合物をカラムクロマトグラフィーおよびエタノールからの再結晶により精製して、白色固体である化合物14a(1.12 g, 55.17%; Hex/EA = 4/1, Rf = 0.2)を得た。
【0119】
融点 300-301 ℃;
ESI (M-H+) 328.8;
1H NMR (400 Hz, DMSO-d6)δ2.54 (s, 3H, CH3), 2.74 (s, 3H, CH3), 6.89 (d, J = 7.2 Hz, 1H, ArH), 6.97 (d, J = 7.2 Hz, 1H, ArH), 7.08-7.16 (m, 2H), 7.29 (d, J = 7.7 Hz, 2H, ArH), 7.51 (d, J = 8.3 Hz, 2H, ArH), 7.60 (d, J = 7.7 Hz, 1H, ArH), 7.82 (d, J = 7.84 Hz, 1H, ArH), 8.53 (s, 1H, NH), 8.82 (s, 1H, NH), 10.65 (s, 1H, NH);
13C NMR (100 Hz, DMSO-d6)δ16.81, 20.16, 117.04, 117.64, 118.31, 119.10, 120.44, 120.99, 121.79, 123.51, 124.81, 125.92, 128.79, 129.65, 131.89, 138.81, 139.92, 153.07. 分析 (C21H19N3O・0.125C2H5OH): 計算値 C, 76.15; H, 5.94; N, 12.54; 測定値 C, 75.89; H, 5.88; N, 12.76.
【0120】
実施態様24:化合物14b(1-(5,8-ジメチル-9H-カルバゾール-1-イル)-3-(4-メトキシフェニル)尿素)の製造

【0121】
メタノール(30 mL)中、4(1.0 g, 6.17 mmol)と10% Pd/C(0.2 g)との混合物を、水素下で1時間撹拌した。濾過によりPd/Cを除去し、濾液を真空留去して、油状生成物を得た。この生成物に、CH2Cl2(30 mL)およびイソシアン酸4-メトキシフェニル(0.8 mL, 6.17 mmol)を加えて、室温で1時間撹拌した。得られた懸濁液を濾過し、灰色の固体を得た。粗生成物をアセトニルアセトン(0.7 mL, 6.62 mmol)と、p-トルエンスルホン酸(1.10 g, 6.39 mmol)の存在下、EtOH(20 mL)中で3時間還流することによって反応させた。最後に、混合物をカラムクロマトグラフィーおよびエタノールからの再結晶により精製して、白色固体である化合物14b(0.83 g, 37.47%; Hex/EA = 3/1, Rf = 0.2)を得た。
【0122】
融点 262-263 ℃;
ESI (M-H+) 358.9;
1H NMR (200 Hz, DMSO-d6)δ2.54 (s, 3H, CH3), 2.74 (s, 3H, CH3), 3.71 (s, 3H, CH3), 6.80-6.91 (m, 3H), 7.07-7.16 (m, 2H), 7.42 (d, J = 8.8 Hz, 2H, ArH), 7.60 (d, J = 7.0 Hz, 1H, ArH), 7.80 (d, J = 7.4 Hz, 1H, ArH), 8.50 (s, 1H, NH), 8.72 (s, 1H, NH), 10.68 (s, 1H, NH);
13C NMR (50 Hz, DMSO-d6)δ16.85, 20.21, 55.18, 114.02, 116.73, 116.79, 117.65, 119.14, 120.13, 120.45, 121.01, 123.83, 124.78, 125.91, 129.67, 131.68, 132.97, 138.81, 153.26, 154.46, 221.88.
分析 (C22H21N3O2・0.125C2H5OH): 計算値 C, 73.18; H, 6.00; N, 11.51; 測定値 C, 72.98; H, 5.92; N, 11.94.
【0123】
実施態様25:化合物15c(N-(5,8-ジメチル-9H-カルバゾール-1-イル)-N-メチル-4-メトキシベンゼンスルホンアミド)の製造

【0124】
6c(0.5 g, 1.315 mmol)、KOH(1粒(granule))およびエタノール(20 mL)の溶液を、70℃で15分間撹拌した。溶液に、ヨウ化メチル(3.0 mL)を加え、70℃で1時間撹拌した。溶液をカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物15cを得た(0.38 g, 73.28%; Hex/EA = 6/1, Rf =0.3)。
【0125】
融点 = 88-89 ℃;
ESI (M-H+) 365.1;
1H NMR (200 Hz, アセトン-d6)δ2.60 (s, 3H, CH3), 2.80 (s, 3H, CH3), 3.29 (s, 3H, CH3), 3.91 (s, 3H, CH3), 6.64 (d, J = 7.8 Hz, 1H, ArH), 6.92 (d, J = 7.2 Hz, 1H, ArH), 7.03-7.18 (m, 4H, ArH), 7.59 (d, J = 8.8 Hz, 2H, ArH), 8.10 (d, J = 8.0 Hz, 1H, ArH), 10.23 (s, 1H, NH);
13C NMR (50 Hz, アセトン-d6)δ17.14, 20.65, 39.86, 56.15, 114.92, 118.87, 119.58, 119.58, 121.68, 122.82, 122.90, 126.85, 126.90, 126.97, 127.50, 129.57, 131.09, 131.14, 139.22, 140.21, 164.21.
分析 (C22H22N2O3S): 計算値 C, 66.98; H, 5.62; N, 7.10; 測定値 C, 75.89; H, 5.88; N, 12.76.
【0126】
実施態様26:化合物15j(N-(5,8-ジメチル-9H-カルバゾール-1-イル)-N-メチル-3-トリフルオロメチルベンゼンスルホンアミド)の製造

【0127】
6j(0.5 g, 1.08 mmol)、KOH(1粒(granule))およびエタノール(20 mL)の溶液を、70℃で15分間撹拌した。溶液に、ヨウ化メチル(3.0 mL)を加え、70℃で1時間撹拌した。溶液をカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物15jを得た(0.37 g, 78.70%; Hex/EA = 5/1, Rf =0.2)。
【0128】
融点 = 192-194 ℃;
ESI (M-H+) 431.1;
1H NMR (200 Hz, DMSO-d6)δ2.57 (s, 3H, CH3), 2.73 (s, 3H, CH3), 3.33 (s, 3H, CH3), 6.59 (d, J = 7.8 Hz, 1H, ArH), 6.87(d, J = 7.3 Hz, 1H, ArH), 7.59 (t, J = 7.8 Hz, 1H, ArH), 7.11 (d, J = 7.3 Hz, 1H, ArH), 7.70-8.13 (m, 5H, ArH), 11.12 (s, 1H, NH);
13C NMR (50 Hz, DMSO-d6)δ17.27, 20.27, 118.22, 118.55, 120.57, 120.68, 122.46, 122.53, 124.42, 124.57, 125.69, 126.76, 129.74, 130.98, 131.86, 137.83, 138.23, 139.13. 分析 (C22H19FN2O2S): 計算値 C, 61.10; H, 4.43; N, 6.48; S, 7.41; 測定値 C, 61.39; H, 4.49; N, 6.97; S, 7.42.
【0129】
実施態様27:化合物15k(5-クロロ-チオフェン-2-スルホン酸(5,8-ジメチル-9H-カルバゾール-1-イル)-メチル-アミド)の製造

【0130】
6k(0.25 g, 0.64 mmol)、KOH(1粒(granule))およびエタノール(20 mL)の溶液を、70℃で15分間撹拌した。溶液に、ヨウ化メチル(mL, mmol)を加え、70℃で1時間撹拌した。溶液をカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物15kを得た(0.22 g, 84.37%; Hex/EA = 12/1, Rf =0.30)。
【0131】
融点 = 179-181 ℃; ESI (M-H+) 403.1; 1H NMR (400 Hz, DMSO-d6)δ2.57 (s, 3H, CH3), 2.74 (s, 3H, CH3), 3.34 (s, 3H, CH3), 6.83(d, J = 7.6 Hz, 1H, ArH), 6.88 (d, J = 7.2 Hz, 1H, ArH), 7.07-7.13 (m, 2H, ArH), 7.36 (d, J = 4.0 Hz, 1H, ArH), 7.47 (d, J = 4.0 Hz, 1H, ArH), 8.08 (d, J = 7.8 Hz, 1H, ArH), 11.11 (s, 1H, NH); 13C NMR (100 Hz, DMSO-d6)δ17.20, 20.18, 118.11, 118.67, 120.50, 120.55, 121.93, 122.36, 124.60, 125.55, 126.62, 128.43, 129.61, 133.12, 135.54, 137.79, 139.04. 分析 (C19H17ClN2O2S2): 計算値 C, 56.36; H, 4.23; N, 6.92; S, 15.84; 測定値 C, 56.26; H, 4.35; N, 7.06; S, 15.49.
【0132】
実施態様28:化合物16c(N-(5,8-ジメチル-9H-カルバゾール-1-イル)-N-エチル-4-メトキシベンゼンスルホンアミド)の製造

【0133】
6c(0.5 g, 1.31 mmol)、KOH(1粒(granule))およびエタノール(20 mL)の溶液を、70℃で15分間撹拌した。溶液に、ヨウ化メチル(3.0 mL)を加え、70℃で1時間撹拌した。溶液をカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物16cを得た(0.37 g, 68.70%; Hex/EA = 6/1, Rf =0.36)。
【0134】
融点 = 151-152 ℃;
ESI (M-H+) 407.1;
1H NMR (400 Hz, DMSO-d6)δ0.97 (t, J = 6.8 Hz, 3H, CH3), 2.58 (s, 3H, CH3), 2.73 (s, 3H, CH3), 3.82 (s, 3H, OCH3), 6.56 (d, J = 7.6 Hz, 1H, ArH), 6.87 (d, J = 7.2 Hz, 1H, ArH), 7.01 (t, J = 7.6 Hz, 1H, ArH), 7.06-7.11 (m, 3H, ArH), 7.58 (d, J = 8.8 Hz, 2H, ArH), 8.04 (d, J = 7.6 Hz, 1H, ArH), 10.91 (s, 1H, NH);
13C NMR (100 Hz, DMSO-d6)δ 13.21, 17.33, 20.22, 46.06, 55.67, 114.24, 118.09, 118.47, 120.49, 120.56, 122.06, 122.39, 123.28, 125.26, 126.57, 129.62, 129.83, 139.01, 139.42, 162.60.
分析 (C23H24N2O3S): 計算値 C, 67.62; H, 5.92; N, 6.86; 測定値 C, 67.40; H, 6.18; N, 6.55.
【0135】
実施態様29:化合物17c(N-(5,8-ジメチル-9H-カルバゾール-1-イル)-N-プロピル-4-メトキシベンゼンスルホンアミド)の製造

【0136】
6c(0.5 g, 1.31 mmol)、KOH(1粒(granule))およびエタノール(20 mL)の溶液を、70℃で15分間撹拌した。溶液に、ブロモプロパン(2.0 mL)を加え、70℃で1時間撹拌した。溶液をカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物17cを得た(0.28 g, 50.38%; Hex/EA = 8/1, Rf =0.44)。
【0137】
融点 = 60-62 ℃;
ESI (M-H+) 421.1;
1H NMR (400 Hz, DMSO-d6)δ0.79 (t, J = 7.4 Hz, 3H, CH3), 2.58 (s, 3H, CH3), 2.73 (s, 3H, CH3), 3.35 (s, 2H, CH2), 3.81 (s, 3H, OCH3), 6.60 (d, J = 7.6 Hz, 1H, ArH), 6.87 (d, J = 7.3 Hz, 1H, ArH), 7.01 (t, J = 7.7 Hz, 1H, ArH), 7.09-7.11 (m, 3H, ArH), 7.57 (d, J = 8.8 Hz, 2H, ArH), 8.04 (d, J = 7.8 Hz, 1H, ArH), 10.76 (s, 1H, NH);
13C NMR (100 Hz, DMSO-d6)δ 11.07, 17.28, 20.21, 21.12, 52.89, 55.64, 114.21, 118.06, 118.51, 120.52, 120.56, 121.99, 122.89, 123.35, 125.33, 126.58, 129.60, 129.69, 129.85, 138.97, 139.05, 162.60.
分析 (C24H26N2O3S): 計算値 C, 68.22; H, 6.20; N, 6.63; S, 7.59; 測定値 C, 68.43; H, 6.05; N, 6.66; S, 7.26.
【0138】
実施態様30:化合物18c(N-(5,8-ジメチル-9H-カルバゾール-1-イル)-N-イソプロピル-4-メトキシベンゼンスルホンアミド)の製造

【0139】
GM-119(0.5 g, 1.31 mmol)、KOH(1粒(granule))およびエタノール(20 mL)の溶液を、70℃で15分間撹拌した。溶液に、2-ブロモプロパン(3.0 mL)を加え、70℃で1時間撹拌した。溶液をカラムクロマトグラフィーで精製して、化合物4cを得た(0.22 g, 39.69%; Hex/EA = 8/1, Rf =0.39)。
【0140】
融点 = 222-224 ℃;
ESI (M-H+) 421.1;
1H NMR (400 Hz, アセトン-d6)δ1.12 (t, J = 6.6 Hz, 6H, CH3), 2.56 (s, 3H, CH3), 2.81 (s, 3H, CH3), 2.85 (s, 2H, CH2), 3.87 (s, 3H, OCH3), 4.78 (m, 1H, CH), 6.79 (d, J = 7.6 Hz, 1H, ArH), 6.92 (d, J = 7.3 Hz, 1H, ArH), 7.03-7.15 (m, 4H, ArH), 7.66 (d, J = 8.9 Hz, 2H, ArH), 8.18 (d, J = 7.9 Hz, 1H, ArH), 10.02 (s, 1H, NH);
13C NMR (100 Hz, アセトン-d6)δ17.15, 20.64, 21.86, 22.20, 23.32, 53.17, 56.09, 114.83, 118.77, 119.18, 120.27, 121.74, 122.06, 123.69, 126.90, 127.49, 128.51, 130.73, 131.08, 133.77, 140.06, 141.98, 163.87. 分析 (C24H26N2O3S): 計算値 C, 68.22; H, 6.20; N, 6.63; S, 7.59; 測定値 C, 68.12; H, 6.43; N, 6.45; S, 7.25.
【0141】
実施態様31:化合物20(1-ニトロ-9H-カルバゾール)の製造

【0142】
19(1 g, 5.98 mmol)および酢酸(10 mL)の混合物を70℃で20分間撹拌した。この混合物に、硝酸(0.3 mL)を加えて、70℃で1時間撹拌した。水で反応を急冷し、濾過して、黄色固体を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製して、黄色固体である化合物20を得た(0.45 g, 35.45 %; Hex/EA = 12/1, Rf = 0.5)。
【0143】
融点 195-196 ℃;
ESI (M-H+) 211.0;
1H NMR (400 Hz, DMSO-d6)δ7.27-7.37 (m, 2H, ArH), 7.51 (t, J = 7.2 Hz, 1H, ArH), 7.75 (d, J = 8.0 Hz, 1H, ArH), 8.23 (d, J = 7.6 Hz, 1H, ArH), 8.30 (d, J = 7.7 Hz, 1H, ArH), 8.60 (d, J = 7.2 Hz, 1H, ArH), 12.16 (s, 1H, NH);
13C NMR (100 Hz, DMSO-d6)δ112.64, 118.36, 120.65, 120.70, 121.53, 121.72, 127.14, 127.35, 128.08, 131.70, 132.93, 140.68.
分析 (C12H8N2O2): 計算値 C, 67.92; H, 3.80; N, 13.20; 測定値 C, 67.94; H, 3.95; N, 13.21.
【0144】
実施態様32:化合物21a(N-(9H-カルバゾール-1-イル)-4-メトキシベンゼンスルホンアミド)の製造

【0145】
20(0.5 g, 2.35 mmol)、Pd/C(0.1 g)およびメタノール(30 mL)の溶液を、水素ガス下、周囲温度で1時間撹拌した。濾過によりPd/C固体を除去し、溶媒を真空留去して、油状生成物を得た。この粗生成物に、塩化4-メトキシベンゼンスルホニル(0.5 g, 2.42 mmol)、トリエチルアミン(1.0 mL)および酢酸エチル(50 mL)を加えて、50℃で2時間撹拌した。混合物をカラムクロマトグラフィーで精製して、白色固体である化合物21a(0.43 g, 53.50%; Hex/EA = 3/1, Rf = 0.30)を得た。
【0146】
融点 204-206 ℃;
ESI (M-H+) 351.0;
1H NMR (400 Hz, DMSO-d6)δ3.74 (s, 3H, OCH3), 6.90-7.02 (m, 4H, ArH), 7.14 (t, J = 7.2 Hz, 1H, ArH), 7.38 (t, J = 7.6 Hz, 1H, ArH), 7.57 (d, J = 8.0 Hz, 1H, ArH), 7.67 (d, J = 8.8 Hz, 1H, ArH), 7.88 (d, J = 7.6 Hz, 1H, ArH), 8.05 (d, J = 7.6 Hz, 1H, ArH), 9.80 (s, 1H, NH), 10.94 (s, 1H, NH);
13C NMR (100 Hz, DMSO-d6)δ55.58, 111.50, 114.22, 117.77, 118.64, 118.88, 119.91, 120.20, 121.00, 122.27, 123.99, 125.85, 129.12, 131.14, 134.59, 139.49, 162.40.
分析 (C19H16N2O3S): 計算値 C, 64.76; H, 4.58; N, 7.95; S, 9.10; 測定値 C, 64.79; H, 4.75; N, 7.88; S, 8.47.
【0147】
実施態様33:化合物21b(N-(9H-カルバゾール-1-イル)-3-トリフルオロメチルベンゼンスルホンアミド)の製造

【0148】
20(0.5 g, 2.35 mmol)、Pd/C(0.1 g)およびメタノール(30 mL)の溶液を、水素ガス下、周囲温度で1時間撹拌した。濾過によりPd/C固体を除去し、溶媒を真空留去して、油状生成物を得た。この粗生成物に、塩化3-トリフルオロメチルベンゼンスルホニル(0.6 g, 2.45 mmol)、トリエチルアミン(1.0 mL)および酢酸エチル(50 mL)を加えて、50℃で2時間撹拌した。混合物をカラムクロマトグラフィーで精製して、白色固体である化合物21b(0.54 g, 58.59 %; Hex/EA = 8/1, Rf = 0.21)を得た。
【0149】
融点 188-190 ℃;
ESI (M-H+) 389.0;
1H NMR (400 Hz, DMSO-d6)δ6.75 (d, J = 7.6 Hz, 1H, ArH), 6.96 (t, J = 7.7 Hz, 1H, ArH), 7.14 (t, J = 7.5 Hz, 1H, ArH), 7.38 (t, J = 7.7 Hz, 1H, ArH), 7.54 (d, J = 8.1 Hz, 1H, ArH), 7.74 (d, J = 7.7 Hz, 1H, ArH), 7.94-7.79 (m, 4H, ArH), 8.06 (d, J = 7.7 Hz, 1H, ArH), 10.08 (s, 1H, NH), 11.02 (s, 1H, NH);
13C NMR (100 Hz, DMSO-d6)δ111.51, 118.61, 118.93, 119.02, 119.82, 120.32, 121.49, 122.22, 123.60, 124.30, 124.73, 126.07, 129.66, 129.89, 130.79, 131.01, 135.65, 139.69, 140.62.
分析 (C19H13F3N2O2S): 計算値 C, 58.46; H, 3.36; N, 7.18; F, 14.60; S, 8.21; 測定値 C, 72.98; H, 5.92; N, 11.94.
【0150】
[薬理活性の評価]
本発明のベンゼンスルホンアミド誘導体の予備細胞毒性分析において、ヒト膀胱癌TSGH細胞、ヒト肝芽腫HepG2細胞、ヒト直腸結腸腺癌HT-29細胞、ヒト鼻咽頭癌KB細胞、ヒト胃腺癌AGS細胞、ヒト乳癌MCF-7細胞、肺癌A549細胞、およびヒト前立腺癌PC-3細胞を使用し、腫瘍細胞に対する阻害活性を評価した。
【0151】
[MTTアッセイ]
全ての細胞系は、10%ウシ胎仔血清を加えたRPMI 1640中、5% CO2を含有する37℃の加湿室中で保持した。その後、全ての細胞系を化合物で72時間処理し、続いて0.4 mg/mLのMTTと共に37℃で2時間インキュベートした。培地を除去し、DMSOを添加してMTTの沈殿を溶解した。サーモマックス・マイクロプレート・リーダー(Thermomax microplate reader)(モレキュラー・デバイス(Molecular Devices)、米国カリフォルニア州、サニーベール)を用いて、540 nmで吸光度を測定することにより、細胞増殖を定量し、本発明のベンゼンスルホンアミド誘導体のIC50値を計算した。
【0152】
[SRBアッセイ]
全ての細胞系は、96穴マイクロタイタープレートにおいて、10%ウシ胎仔血清を加えたRPMI 1640中、5% CO2を含有する37℃の加湿室中で保持した。24時間後、一部の穴の細胞系を、10%トリクロロ酢酸(TCA)でその場で固定して、薬物添加時点(T0)の測定結果を示した。その後、他のウェルの細胞系を、本発明のベンゼンスルホンアミド誘導体と共にさらに48時間インキュベートし、10% TCAでその場で固定して、反応を停止した時間(Tx)での測定結果を示した。プレートをPBSでリンスし、空気乾燥した後、0.4%スルホローダミンB溶液(1%酢酸中の対容量重量)を各ウェルに添加し、プレートを室温で10分間インキュベートした。1%酢酸で結合していないスルホローダミンBを除去し、プレートを空気乾燥した。続いて、スルホローダミンBと結合した細胞を10 mMトリス塩基(トリズマ(Trizma);シグマ)で可溶化した。サーモマックス・マイクロプレート・リーダー(Thermomax microplate reader)(モレキュラー・デバイス(Molecular Devices)、米国カリフォルニア州、サニーベール)を用いて、515 nmで吸光度を測定することにより、細胞増殖を定量した。検出した吸光度より、本発明のベンゼンスルホンアミド誘導体の半数阻害濃度(GI50)を得た。
【0153】
【表1】

a 20μM のベンゼンスルホンアミド誘導体によって阻害される腫瘍細胞の百分率
【0154】
【表2】

【0155】
【表3】

【0156】
【表4】

aMCF-7/ADR: 多剤耐性乳癌
bND: 定量されず
【0157】
表1に示す結果では、化合物6a〜6hは、腫瘍細胞に対し、化合物5a〜5hより高い阻害活性を有する。例えば、化合物6bのTSGH、HepaG2、HT-29およびKB腫瘍細胞に対するIC50値は、それぞれ、2.1、1.7、1.1および2.5μMであり、化合物5bのIC50値はそれぞれ9.4、7.9、7.9および>20μMである。本発明のすべてのベンゼンスルホンアミド誘導体の中で、ベンゼン環の4位にメトキシ基を有する化合物6cが最も高い阻害活性を有し、化合物6cのTSGH、HepaG2、HT-29およびKB腫瘍細胞に対するIC50値は、それぞれ、0.5、0.4、0.4および0.8μMである。しかし、オワ(Owa)らにより発表された文献(J. Med. Chem. 1999年, 42巻, 3789-3799頁)によれば、E7070(エーザイ(株))のKB細胞、直腸38細胞およびP388ネズミ白血病細胞に対するIC50値は、それぞれ、11.4、0.3および1.2μMである。従って、本発明の化合物6cは、E7070よりもKB細胞に対してより高い阻害活性を有する。加えて、パラ位に置換基を有する化合物6b〜6gは、置換基を全く有しない化合物6aより高い阻害活性を有する。従って、パラ位の置換基は腫瘍細胞に対する阻害活性を高め得る。
【0158】
加えて、結果から、化合物7a〜7cが腫瘍細胞に対して阻害活性を有し、化合物7aおよび7cの阻害活性は化合物5dより高いことも示される。例えば、化合物7aのTSGH、HepaG2、HT-29およびKB腫瘍細胞に対するIC50値は、それぞれ、3.6、9.1、5.9および4.5μMであり、化合物5dのIC50値は、それぞれ、35.6、14、19.8および20μMである。従って、化合物7a〜7cは腫瘍細胞の成長阻害の可能性を有する。
【0159】
表1〜4に示す結果では、本発明のベンゼンスルホンアミド誘導体は、腫瘍細胞の成長を阻害する能力を有し、化合物6cは最も高い阻害活性を有する。加えて、本発明のベンゼンスルホンアミド誘導体は、細胞周期の進行の阻害を通して細胞死を引き起こし得るため、これらの化合物は固形腫瘍の治療に使用し得る。
【0160】
次に本発明のベンゼンスルホンアミド誘導体の腫瘍細胞に対する阻害活性をインビトロおよびインビボアッセイによって評価する。以下、本発明の化合物6cをGM119と呼ぶ。
【0161】
インビトロの遊走アッセイ
肺癌A549細胞(BCRC 60074; BCRC)を、10%ウシ胎仔血清を加えたRPMI 1640中、5% CO2を含有する37℃の加湿室中で保持した。全ての細胞系を毎週2世代成長させた。
【0162】
インビトロの遊走アッセイにおいて、単層細胞上にスクラッチを機械的に生じさせて、細胞学的剥離を有する線状のスクラッチを形成した。スクラッチにより、細胞単層の縁を閉じる可能性がある。
【0163】
単層化A549細胞が飽和した時、A549細胞の単層上に直接、200-μLのチップを用いてスクラッチを作った。次に細胞を、0、0.5または10μMの濃度のGM119で処理した。18時間インキュベートした後、全ての遊走を顕微鏡で追跡した。画像により、A549細胞の遊走に対する阻害がGM119の濃度が上昇するにつれて大きくなることが示された。
【0164】
加えて、種々の濃度のGM119で処理した、25μgのA549の細胞抽出物をウェスタンブロットにより観察した。サンプルをSDS-PAGEで分離し、移動させ、抗体である抗p53、抗p-p53、および抗アクチンを用いて可視化した。
【0165】
毛細管形成を評価するための、インビトロのチューブ形成アッセイ
1日目に、ヒト線維芽細胞と共培養したHUVEC(ヒト臍帯静脈内皮細胞)を最適化した培地中でインキュベートし、5% CO2を含有する37℃の加湿室中で保持した。1日後、陽性対照として、培地に組み換えヒトVEGF(25 ng/mL)を加え、陰性対照として、スラミン(2 M)と組み合わせたヒトVEGF(25 ng/mL)を用いた。細胞を、GM119を含まないか含む(0.1、1または10μM)VEGF(25 ng/mL)で刺激した。3、6および8日目に培地を交換した。11日目に、抗ヒトCD31抗体(クラボウ、東京、日本)により、臍帯静脈内皮細胞のチューブ様構造が観察され、チューブ様構造の領域を分析した。
【0166】
位相差顕微鏡分析の後、GM119はVEGFによって誘起される臍帯静脈内皮細胞のチューブ様構造の形成を阻害し得ることが分かる。加えて、10μMのスラミンを含む10μMのGM119の阻害結果と比較して、GM119の阻害活性はスラミンとほぼ同等であることが分かる。
【0167】
化学発光画像による、ネズミ乳癌4T1モデルにおけるベンゼンスルホンアミド誘導体の効果の評価
G418の選択下で蛍ルシフェラーゼ遺伝子を安定して発現するネズミ乳癌細胞系4T1-Luc細胞を、10%ウシ胎仔血清を加えたRPMI中で培養した。細胞を、5% CO2を含有する空気中、37℃で保持し、週に2回継代培養した。
【0168】
96穴プレートの各ウェルに、2,500または5,000個の腫瘍細胞を播種し、10%ウシ胎仔血清を加えた培地、または血清を含まない培地中でインキュベートした。腫瘍細胞を0、0.01、0.1、1または10μMのGM119で48時間処理した。その後、腫瘍細胞を10%のトリクロロ酢酸で固定し、水洗し、スルホローダミンBで染色した。その後、サンプルを1%酢酸で洗浄し、トリス緩衝液をサンプル中に加えた。サーモマックス・マイクロプレート・リーダー(Thermomax microplate reader)を用いて、サンプルの吸収を515 nmで測定し、4回繰り返した。薬剤処理をしなかった細胞の吸収を100%生存率として、生存率を計算し、平均値±標準偏差%で表した。
【0169】
図1に示す通り、血清を含むか含まない培地において、4T1細胞の成長は、0.01μMのGM119の使用により阻害し得る。加えて、GM119の濃度が10μMである場合、4T1細胞の阻害は明らかである。
【0170】
細胞形態学に対するインビトロ分析
4T1-Luc細胞をGM119で処理した後、位相差顕微鏡を用いて4T1-Luc細胞の細胞形態を観察した。6穴プレートにカバーグラスを置き、各ウェルに50,000個の腫瘍細胞を播種した。腫瘍細胞を10%ウシ胎仔血清を加えた培地中で成長させた後、0、0.01、0.1、1または10μMのGM119で48時間処理した。細胞をギムザ染色液(ギムザ粉0.38 g、メタノール15%、およびグリセロール5%)で染色した。細胞を洗浄、乾燥およびシールした後、位相差顕微鏡で細胞の画像を撮影した。
【0171】
顕微鏡分析で得られた画像から、0.01μMのGM119の使用によって、4T1細胞の成長を阻害し得る。加えて、GM119の濃度が10μMの場合、4T1細胞の阻害が明らかである。
【0172】
ウェスタンブロット分析
4T1-Luc細胞をGM119(0、0.01、0.1、1または10μM)で36時間処理した後、遠心分離により細胞を回収した。その後、回収した細胞を氷上、超音波で15秒間破壊した。遠心分離後、細胞溶解物の上層を回収して、細胞抽出物を得た。タンパク質濃度をブラッドフォード色素結合法(バイオラド(BioRad)、米国)で分析した。25μgの細胞抽出物をSDS-PAGEで分離し、移動させ、抗体である抗p53、抗p-p53、および抗アクチンを用いて可視化した。
【0173】
GM119のインビトロでの評価
GM119(25 mg/kg)を、4T1-Luc細胞を短時間移植したマウスに適用した後、それにタキソール(10 mg/kg)を適用して、GM119の4T1-Luc細胞に対する効果を観察した。
【0174】
4T1-Luc細胞のマトリゲル中の懸濁液を、胸部脂肪細胞に注射して、ルシフェラーゼ腫瘍細胞移植マウスを得た。腫瘍細胞の大きさは、GM119適用の前に毎日、ナイトオウルオプテックス(Night OWL optic)で観察した。腫瘍細胞の大きさが200〜500 mm3に達したときに、マウスを2群に分けたが、各群のマウスの数は≧5である。次に、0または25 mg/kgのGM119を5日間、マウスに腹腔内注射したが、ここでGM119はクレモフォールに溶解し、各マウスへの注射容量は50μlである。その後、0または10 mg/kgのタキソールを、マウスが死亡するまで、2日毎にマウスに腹腔内注射した。マウスの体重および数を毎日記録して、マウスの体重変化および生存時間を分析した。薬剤をマウスに適用した後、マウスの腫瘍細胞の大きさを、2日毎に生物発光で評価した。
【0175】
図2は、短時間薬物治療したマウスの生存時間を示す結果である。図2に示す通り、マウスの生存は、GM119単独またはタキソールとの組み合わせた使用により、著しく延長し得るが、これはタキソール単独使用と同様の結果である。加えて、生物発光の結果から、腫瘍細胞の成長は、GM119、タキソール、またはそれらの組み合わせの使用により阻害し得ることが示される。
【0176】
GM119(25 mg/kg)およびタキソール(10 mg/kg)を、4T1-Luc細胞を長時間移植したマウスに同時に適用して、4T1-Luc細胞に対するGM119の効果を観察した。
【0177】
4T1-Luc細胞のマトリゲル中の懸濁液を、胸部脂肪細胞に注射して、ルシフェラーゼ腫瘍細胞移植マウスを得た。腫瘍細胞の大きさは、GM119適用の前に毎日、ナイトオウルオプテックス(Night OWL optic)で観察した。腫瘍細胞の大きさが200〜500 mm3に達したときに、マウスを2群に分けたが、各群のマウスの数は≧5である。次に、0/0、0/25、10/23、または10/0 mg/kgのタキソール/GM119を、マウスが死亡するまで、2日毎にマウスに腹腔内注射したが、ここでGM119およびタキソールはクレモフォールに溶解し、各マウスへの注射容量は50μlである。マウスの体重および数を毎日記録して、マウスの体重変化および生存時間を分析した。薬剤をマウスに適用した後、マウス中の腫瘍細胞の大きさを、2日毎に生物発光で評価した。
【0178】
図3は、長期間薬物治療したマウスの生存時間を示す結果である。図3に示す通り、マウスの生存は、タキソールを長時間適用した場合に延長し得るが、タキソールとGM119を同時に適用した場合に、さらに延長し得る。加えて、GM119単独で長時間適用した場合、マウスの生存時間は最長である。さらに、生物発光の結果から、腫瘍細胞の成長は、GM119、タキソール、またはそれらの組み合わせの使用により阻害し得ることが示される。
【0179】
本発明は、その好ましい態様に関連して説明したが、以下に特許請求される通りの本発明の範囲を逸脱することなく、多数の他の可能な改良および変更がなされ得ることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I)で表される、ベンゼンスルホンアミド誘導体:

式中、
R1はH、またはC1-6アルキルであり;
R2およびR3は、それぞれ独立して H、

であるか、または共に結合して

を形成し;
Dは

であり;
R4はH、またはニトロであり;
X、Y、および各R5はそれぞれ独立して H、またはC1-6アルキルであり;
各R6は独立してH、ハロゲン、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロゲン置換C1-6アルキル、ハロゲン置換C1-6アルコキシ、ニトロ、-NR8R9、または-SO2NR10R11であり;
R7はH、またはハロゲンであり;
R8、R9、R10、およびR11は、それぞれ独立してH、またはC1-6アルキルであり;および
i、およびnはそれぞれ独立して0、1、2、または3である。
【請求項2】
請求項1に記載のベンゼンスルホンアミド誘導体であって、R8、およびR9 がHである、ベンゼンスルホンアミド誘導体。
【請求項3】
請求項1に記載のベンゼンスルホンアミド誘導体であって、R10、およびR11がHである、ベンゼンスルホンアミド誘導体。
【請求項4】
請求項1に記載のベンゼンスルホンアミド誘導体であって、R1がH、またはC1-3アルキルであり、Dが

であり、およびR6がH、ハロゲン、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ニトロ、-NH2、または-SO2NH2である、ベンゼンスルホンアミド誘導体。
【請求項5】
請求項4に記載のベンゼンスルホンアミド誘導体であって、式中、R6がH、Cl、メチル、メトキシ、ニトロ、-NH2、または-SO2NH2である、ベンゼンスルホンアミド誘導体。
【請求項6】
請求項4に記載のベンゼンスルホンアミド誘導体であって、R2およびR3が共に結合して

を形成する、ベンゼンスルホンアミド誘導体。
【請求項7】
請求項4に記載のベンゼンスルホンアミド誘導体であって、R2およびR3がHである、ベンゼンスルホンアミド誘導体。
【請求項8】
請求項4に記載のベンゼンスルホンアミド誘導体であって、R2がHであり、R3

である、ベンゼンスルホンアミド誘導体。
【請求項9】
請求項1に記載のベンゼンスルホンアミド誘導体であって、R1がH、またはC1-3アルキルであり、Dが

であり、およびR6がH、ハロゲン置換C1-6アルキル、またはハロゲン置換C1-6アルコキシである、ベンゼンスルホンアミド誘導体。
【請求項10】
請求項9に記載のベンゼンスルホンアミド誘導体であって、R6が-CF3である、ベンゼンスルホンアミド誘導体。
【請求項11】
請求項9に記載のベンゼンスルホンアミド誘導体であって、R2およびR3が共に結合して

を形成する、ベンゼンスルホンアミド誘導体。
【請求項12】
請求項1に記載のベンゼンスルホンアミド誘導体であって、R1がHであり、Dが

であり、およびR6がH、ハロゲン、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ニトロ、-NH2、または-SO2NH2である、ベンゼンスルホンアミド誘導体。
【請求項13】
請求項12に記載のベンゼンスルホンアミド誘導体であって、R6がニトロである、ベンゼンスルホンアミド誘導体。
【請求項14】
請求項12に記載のベンゼンスルホンアミド誘導体であって、R2およびR3が共に結合して

を形成する、ベンゼンスルホンアミド誘導体。
【請求項15】
請求項12に記載のベンゼンスルホンアミド誘導体であって、R2およびR3がHである、ベンゼンスルホンアミド誘導体。
【請求項16】
請求項1に記載のベンゼンスルホンアミド誘導体であって、R1がH、またはC1-3アルキルであり、Dが

であり、およびR7がH、またはハロゲンである、ベンゼンスルホンアミド誘導体。
【請求項17】
請求項16に記載のベンゼンスルホンアミド誘導体であって、R1がH、またはメチルであり、およびR7がClである、ベンゼンスルホンアミド誘導体。
【請求項18】
請求項16に記載のベンゼンスルホンアミド誘導体であって、R2およびR3が共に結合して

を形成する、ベンゼンスルホンアミド誘導体。
【請求項19】
請求項1に記載のベンゼンスルホンアミド誘導体であって、ベンゼンスルホンアミド誘導体が細胞周期阻害剤として使用される、ベンゼンスルホンアミド誘導体。
【請求項20】
請求項1に記載のベンゼンスルホンアミド誘導体であって、ベンゼンスルホンアミド誘導体が、胃癌細胞、結腸癌細胞、および鼻咽頭癌細胞の成長を阻害する、ベンゼンスルホンアミド誘導体。
【請求項21】
細胞周期阻害剤として使用される医薬組成物であって、以下の式(I)で表されるベンゼンスルホンアミド誘導体の有効量を含む、医薬組成物:

式中、
R1はH、またはC1-6アルキルであり;
R2およびR3は、それぞれ独立して H、

であるか、または共に結合して

を形成し;
Dは

であり;
R4はH、またはニトロであり;
X、Y、および各R5はそれぞれ独立して H、またはC1-6アルキルであり;
各R6は独立してH、ハロゲン、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロゲン置換C1-6アルキル、ハロゲン置換C1-6アルコキシ、ニトロ、-NR8R9、または-SO2NR10R11であり;
R7はH、またはハロゲンであり;
R8、R9、R10、およびR11は、それぞれ独立してH、またはC1-6アルキルであり;および
i、およびnはそれぞれ独立して0、1、2、または3である。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−190261(P2011−190261A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−56429(P2011−56429)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(503020541)パーザー ファーマシューティカル カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】