説明

ベンゼン誘導体、液晶組成物および液晶表示素子

【課題】 負の誘電率異方性を示す公知の化合物は比較的大きな数値の負の誘電率異方性を示すものの、透明点が低く、また大きな粘度を示す等、液晶材料としての物性バランスが良好ではない。本発明は負の誘電率異方性を示すと共に、比較的高い透明点、比較的小さな粘度、適切な光学異方性、および他の液晶性化合物との優れた相溶性等、優れた物性バランスを有する液晶性化合物を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の化合物は式(1)で表される化合物である。これらの式において、RaおよびRbは水素または炭素数1〜20のアルキルであり、A、A11、A12、A、A21およびA22は環状基であり、Y、W、Z11、Z12、Z、Z21およびZ22は結合基であり、そしてj、k、m、n、pおよびqは0または1であり、これらの合計は1〜3である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶性化合物、液晶組成物および液晶表示素子に関する。さらに詳しくはベンゼン誘導体、これを含有し、そしてネマチック相を有する液晶組成物、およびこの組成物を含有する液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子は、液晶の動作モードに基づいて、PC(phase change)、TN(twisted nematic)、STN(super twisted nematic)、BTN(Bistable twisted nematic)、ECB(electrically controlled birefringence)、OCB(optically compensated bend)、IPS(in-plane switching)、VA(vertical alignment)などに分類される。この素子は、その駆動方式に基づいてPM(passive matrix)とAM(active matrix)に分類される。PM(passive matrix)はスタティック(static)とマルチプレックス(multiplex)などに分類され、AMはTFT(thin film transistor)、MIM(metal insulator metal)などに分類される。
【0003】
これらの液晶表示素子は、液晶組成物を含有する。以下の説明においては、液晶表示素子を単に素子と表記することがある。液晶組成物を単に組成物と表記することがある。液晶性化合物を単に化合物と表記することがある。素子の特性を向上させるには、この組成物が適切な物性を有することが好ましい。組成物の成分である化合物に必要な一般的物性は、次のとおりである。
(1)化学的な安定性と物理的な安定性。
(2)高い透明点。
(3)液晶相の低い下限温度。
(4)小さな粘度。
(5)適切な光学異方性。
(6)適切な誘電率異方性。
(7)大きな比抵抗。
透明点は、液晶相−等方相の転移温度である。液晶相は、ネマチック相、スメクチック相などを意味する。なお、大きな誘電率異方性を有する化合物は、高い粘度を有することが多い。
【0004】
組成物は多くの化合物を混合して調製される。したがって、これらの化合物は他の化合物とよく混和するのが好ましい。素子を氷点下の温度で使うこともあるので、低い温度で良好な相溶性を有する化合物が好ましい。高い透明点または液晶相の低い下限温度を有する化合物は、組成物におけるネマチック相の広い温度範囲に寄与する。好ましい組成物は、小さな粘度と素子のモードに適した光学異方性を有する。化合物の大きな誘電率異方性は、組成物の低いしきい値電圧に寄与する。このような組成物によって、使用できる温度範囲が広い、応答時間が短い、コントラスト比が大きい、駆動電圧が小さい、消費電力が小さい、電圧保持率が大きいなどの特性を有する素子を得ることができる。
【0005】
負の誘電率異方性を示す化合物としては2,3−ジフルオロ1,4−フェニレンを部分構造に有する化合物(i)が一般的に知られている(非特許文献2を参照)。誘電率異方性を改良するための化合物として、負の誘電率異方性をさらに大きな数値にさせるため、化合物分子の側方位にトリフルオロメチルを結合させた化合物(ii)、ジフルオロメチルを結合させた化合物(iii)および化合物(iv)が報告されている(特許文献1、非特許文献1、非特許文献2および特許文献2を参照)。しかしながら、これらの化合物は比較的大きな数値の負の誘電率異方性を示すものの、透明点が低く、また大きな粘度を示す等、液晶材料としての物性バランスが良好ではない。さらに好ましい液晶性化合物、液晶組成物および液晶表示素子が望まれている。

【0006】
【特許文献1】特開平8−040953号公報
【特許文献2】WO2000/03963号パンフレット
【非特許文献1】Synlett. 1999, No.4, 389-396
【非特許文献2】Angew. Chem. Int. Ed. 2000, 39, 4216-4235
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の第一の目的は、負の誘電率異方性を示すと共に、比較的高い透明点、比較的小さな粘度、適切な光学異方性、および他の液晶性化合物との優れた相溶性等、優れた物性バランスを有する液晶性化合物を提供することである。第二の目的は、この化合物を含有し、ネマチック相の広い温度範囲、小さな粘度、適切な光学異方性、および低いしきい値電圧を有する液晶組成物を提供することである。第三の目的は、この組成物を含有し、短い応答時間、小さな消費電力、大きなコントラスト、および高い電圧保持率を有する液晶表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
最初に、本明細書における用語について説明する。液晶性化合物は、ネマチック相、スメクチック相などの液晶相を有する化合物および液晶相を有しないが液晶組成物の成分として有用な化合物の総称である。液晶表示素子は液晶表示パネルおよび液晶表示モジュールの総称である。ネマチック相の上限温度はネマチック相−等方相の相転移温度であり、そして単に上限温度と略すことがある。ネマチック相の下限温度を単に下限温度と略すことがある。式(1)で表わされる化合物を化合物(1)と表記することがある。この表記法は式(2)などで表される化合物にも適用することがある。「任意の」は位置だけでなく、個数についても任意であることを示す。そして、任意のAがB、CまたはDで置き換えられてもよいという表現は、1つのAがB、CまたはDで置き換えられてもよいという意味と、複数のAのどれもがB、CおよびDのいずれか1つで置き換えられてもよいという意味とに加えて、Bで置き換えられるA、Cで置き換えられるA、およびDで置き換えられるAの少なくとも2つが混在してもよいという意味を有する。例えば、任意の−CH−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいn−ブチルには、CH(CH−の他、CH(CHO−、CH−O−(CH−、CH−O−CH−O−、CH=CH−(CH−、CH−CH=CH−(CH−、CH−CH=CH−CH−O−などが含まれる。そして、このような場合には、化合物の安定性を考慮すると、連続する複数の−CH−が−O−で置き換えられない方が好ましい。アルキルおよびアルキレンはどちらも直鎖の基であってもよく、分岐された基であってもよい。このことは、これらの基における任意の−CH−が−O−または−CH=CH−で置き換えられる場合も同様である。そして、組成物において示される百分率で表した化合物の量は、組成物の全重量に基づいた重量百分率(重量%)である。
【0009】
本発明は次の各項で構成される。
[1] 式(1)または式(2)で表される化合物:


ここに、RaおよびRbは独立して水素または炭素数1〜20のアルキルであり;このアルキルにおいて、任意の−CH−は−O−、−S−、−CO−または−SiH−で置き換えられてもよく、任意の−(CH−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
、A11、A12、A、A21およびA22は独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、またはナフタレン−2,6−ジイルであり;これらの環において、1つのまたは隣り合わない2つの−CH−は−O−、−S−、−CO−または−SiH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられもよく;
Yは単結合、−(CH−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CFO−、−OCF−、−CHCO−、−COCH−、−CHSiH−、−SiHCH−、−(CH−、−CH=CH−(CH−、−(CH−CH=CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−であり;
Wは−(CH−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CHCO−、−COCH−、−CHSiH−、−SiHCH−、−(CH−、−(CH−O−、−O−(CH−、−CH=CH−(CH−、−(CH−CH=CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−であり;
11、Z12、Z、Z21およびZ22は、独立して単結合、−(CH−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CHCO−、−COCH−、−(CH−、−(CH−O−、−O−(CH−、−CH=CH−(CH−、−(CH−CH=CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−であり;
j、k、m、n、pおよびqは独立して0または1であり、そしてこれらの合計は1、2、または3であり;
mが0であるとき、jおよびkはどちらも0であり、式(1)におけるRaは水素、アルコキシおよびアルコキシメチルのいずれでもなく、そして式(2)におけるRaは1−アルケニルである。
【0010】
[2] j、kおよびmの合計、並びにn、pおよびqの合計が独立して1または2である、[1]項に記載の化合物。
【0011】
[3] 式(1−1)〜式(1−9)および式(2−1)〜式(2−9)のいずれか1つで表される、[1]項に記載の化合物:





ここに、RaおよびRbは独立して水素または炭素数1〜20のアルキルであり;このアルキルにおいて、末端に位置しない任意の−CH−は、−O−、−S−または−CO−で置き換えられてもよく、任意の−(CH−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
、A11、A12、A、A21およびA22は、独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、またはナフタレン−2,6−ジイルであり;これらの環において、1つのまたは隣り合わない2つの−CH−は−O−、−S−、または−CO−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられもよく;
Yは単結合、−(CH−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CFO−、−OCF−、−CHCO−、−COCH−、−CHSiH−、−SiHCH−、−(CH−、−CH=CH−(CH−、−(CH−CH=CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−であり;
Wは−(CH−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CHCO−、−COCH−、−CHSiH−、−SiHCH−、−(CH−、−(CH−O−、−O−(CH−、−CH=CH−(CH−、−(CH−CH=CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−であり;
11、Z12、Z、Z21およびZ22は、独立して単結合、−(CH−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CHCO−、−COCH−、−(CH−、−(CH−O−、−O−(CH−、−CH=CH−(CH−、−(CH−CH=CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−であり;
式(1−2)、式(1−5)および式(1−9)において、Raは水素、アルコキシおよびアルコキシメチルのいずれでもなく;式(2−2)、式(2−5)および式(2−9)において、Raは1−アルケニルである。
【0012】
[4] RaおよびRbが独立して炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜10のアルコキシ、炭素数2〜10のアルコキシアルキル、炭素数2〜10のアルケニル、炭素数3〜10のアルケニルオキシ、炭素数1〜10のパーフルオロアルキル、または炭素数1〜10のパーフルオロアルコキシであり;
、A11、A12、A、A21およびA22が、独立して1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、4,6−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、3−フルオロ1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、またはナフタレン−2,6−ジイルであり;
11およびZ12が、独立して単結合、−(CH−、−COO−、−OCO−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−(CH−、−CH=CH−(CH−、−(CH−CH=CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−であり;
、Z21およびZ22が、独立して単結合、−(CH−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH−、−(CH−O−、−O−(CH−、−CH=CH−(CH−、−(CH−CH=CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−であり;
Yが単結合、−(CH−、−CH=CH−、−CFO−、−OCF、−(CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−であり;
そして、Wが−(CH−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−(CH−、−(CH−O−、−O−(CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−である、[3]項に記載の化合物。
【0013】
[5] RaおよびRbが、独立して炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜10のアルコキシ、炭素数2〜10のアルコキシアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり;
、A11、A12、A、A21およびA22が、独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレン、または2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;
11およびZ12が、独立して単結合、−(CH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−(CH−、−CH=CH−(CH−、−(CH−CH=CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−であり;
、Z21およびZ22が、独立して単結合、−(CH−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−であり;
Yが単結合、−(CH−、−CH=CH−、−CFO−、−OCF、−(CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−であり;
そして、Wが−(CH−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−(CH−、−(CH−O−、−O−(CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−である、[3]項に記載の化合物。
【0014】
[6] Raが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、そしてRbが炭素数1〜10のアルコキシであり;
、A11、A12、A、A21およびA22が、独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、または3−フルオロ−1,4−フェニレンであり;
11およびZ12が独立して単結合または−CH=CH−であり;
、Z21およびZ22が独立して単結合、−CHO−、−OCH−、−CFO−、または−OCF−であり;
Yが単結合、−(CH−、−CH=CH−、−CFO−、−OCF、−(CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−であり;
そして、Wが−(CH−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−(CH−、−(CH−O−、−O−(CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−である、[3]項に記載の化合物。
【0015】
[7] AまたはAが1,4−シクロヘキシレンである、[3]〜[6]のいずれか1項に記載の化合物。
【0016】
[8] AまたはAが1,4−フェニレンである、[3]〜[6]のいずれか1項に記載の化合物。
【0017】
[9] 式(1−1)〜式(1−9)においてYまたはZが単結合であり、そして式(2−1)〜式(2−9)においてZが単結合である、[3]〜[6]のいずれか1項に記載の化合物。
【0018】
[10] AまたはAが1,4−シクロヘキシレンであり、式(1−1)〜式(1−9)においてYまたはZが単結合であり、そして式(2−1)〜式(2−9)においてZが単結合である、[3]〜[6]のいずれか1項に記載の化合物。
【0019】
[11] AまたはAが1,4−フェニレンであり、式(1−1)〜式(1−9)においてYまたはZが単結合であり、そして式(2−1)〜式(2−9)においてZが単結合である、[3]〜[6]のいずれか1項に記載の化合物。
【0020】
[12] 式(2−1)、式(2−3)、式(2−4)、式(2−6)、式(2−7)および式(2−8)のいずれか1つで示され;そしてAが1,4−シクロヘキシレンである、[3]〜[6]のいずれか1項に記載の化合物。
【0021】
[13] 式(2−1)で示され;Aが1,4−シクロヘキシレンであり;そして、Wが−(CH−、−CHO−、または−CFO−である、[3]〜[6]のいずれか1項に記載の化合物。
【0022】
[14] 式(2−3)で示され;AおよびA11が共に1,4−シクロヘキシレンであり;Z11が単結合であり;そして、Wが−(CH−、−CHO−、または−CFO−である、[3]〜[6]のいずれか1項に記載の化合物。
【0023】
[15] 式(2−6)で示され;A、A11およびA12がいずれも1,4−シクロヘキシレンであり;Z11およびZ12が共に単結合であり;そして、Wが−(CH−、−CHO−、または−CFO−である、[3]〜[6]のいずれか1項に記載の化合物。
【0024】
[16] 式(1−2)、式(1−4)、式(1−5)、式(1−7)、式(1−8)および式(1−9)のいずれか1つで示され;そして、Zが−CHO−、−OCH−、−CFO−、または−OCF−である、[3]〜[6]のいずれか1項に記載の化合物。
【0025】
[17] 式(1−3)で示され;Raが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、そしてRbが炭素数1〜10のアルコキシであり;AおよびA11が共に1,4−シクロヘキシレンであり;そしてYおよびZ11が共に単結合である、[3]項に記載の化合物。
【0026】
[18] 式(1−3)で示され;Raが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、そしてRbが炭素数1〜10のアルコキシであり;AおよびA11が共に1,4−シクロヘキシレンであり;Yが−CHCH−であり;そしてZ11が単結合である、[3]項に記載の化合物。
【0027】
[19] 式(1−3)で示され;Raが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、そしてRbが炭素数1〜10のアルコキシであり;Aが1,4−フェニレンであり;A11が1,4−シクロヘキシレンであり;そしてYおよびZ11が共に単結合である、[3]項に記載の化合物。
【0028】
[20] 式(1−3)で示され;Raが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、そしてRbが炭素数1〜10のアルコキシであり;AおよびA11が共に1,4−フェニレンであり;そしてYおよびZ11が共に単結合である、[3]〜[6]のいずれか1項に記載の化合物。
【0029】
[21] 式(1−1)で示され;Raが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、そしてRbが炭素数1〜10のアルコキシであり;Aが1,4−シクロヘキシレンであり;そしてYが単結合である、[3項に記載の化合物。
【0030】
[22] 式(1−1)で示され;Raが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、そしてRbが炭素数1〜10のアルコキシであり;Aが1,4−シクロヘキシレンであり;そしてYが−CHCH−である、[3]項に記載の化合物。
【0031】
[23] 式(2−1)で示され;Raが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、そしてRbが炭素数1〜10のアルコキシであり;Aが1,4−シクロヘキシレンであり;そしてWが−(CH−である、[3]項に記載の化合物。
【0032】
[24] 式(2−1)で示され;Raが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、そしてRbが炭素数1〜10のアルコキシであり;Aが1,4−シクロヘキシレンであり;そしてWが−CHO−である、[3]項に記載の化合物。
【0033】
[25] 式(2−1)で示され;Raが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、そしてRbが炭素数1〜10のアルコキシであり;Aが1,4−フェニレンであり;そしてWが−(CH−である、[3]項に記載の化合物。
【0034】
[26] 式(2−3)で示され;Raが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、そしてRbが炭素数1〜10のアルコキシであり;AおよびA11が共に1,4−シクロヘキシレンであり;Z11が単結合であり;そしてWが−(CH−である、[3]項に記載の化合物。
【0035】
[27] 式(2−3)で示され;Raが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、そしてRbが炭素数1〜10のアルコキシであり;AおよびA11が共に1,4−シクロヘキシレンであり;Z11が単結合であり;そしてWが−CHO−である、[3]項に記載の化合物。
【0036】
[28] 式(2−3)で示され;Raが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、そしてRbが炭素数1〜10のアルコキシであり;Aが1,4−フェニレンであり、そしてA11が1,4−シクロヘキシレンであり;Z11が単結合であり;そしてWが−(CH−である、[3]項に記載の化合物。
【0037】
[29] 式(2−3)で示され;Raが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、そしてRbが炭素数1〜10のアルコキシであり;A、A11が共に1,4−フェニレンであり;Z11が単結合であり;そしてWが−(CH−である、[3]項に記載の化合物。
【0038】
[30] 式(2−6)で示され;Raが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、そしてRbが炭素数1〜10のアルコキシであり;A、A11およびA12が共に1,4−シクロヘキシレンであり;Z11およびZ12が単結合であり;そしてWが−(CH−または−CHO−である、[3]項に記載の化合物。
【0039】
[31] 式(1−2)で示され;Raが炭素数1〜10のアルキルであり、そしてRbが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり;Aが1,4−シクロヘキシレンであり;そしてZが−OCH−である、[3]項に記載の化合物。
【0040】
[32] 式(1−5)で示され;Raが炭素数1〜10のアルキルであり、そしてRbが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり;AおよびA21が共に1,4−シクロヘキシレンであり;Zが−OCH−であり、そしてZ21が単結合である、[3]項に記載の化合物。
【0041】
[33] 式(1−4)で示され;RaおよびRbが独立して炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり;AおよびAが共に1,4−フェニレンであり;そして、YおよびZが共に単結合である、[3]項に記載の化合物。
【0042】
[34] 式(1−4)で示され;RaおよびRbが独立して炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり;Aが1,4−シクロヘキシレンであり、そしてAが1,4−フェニレンであり;そして、YおよびZが共に単結合である、[3]項に記載の化合物。
【0043】
[35] 式(1−4)で示され;RaおよびRbが独立して炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり;Aが1,4−フェニレンであり、そしてAが1,4−シクロヘキシレンであり;そして、YおよびZが共に単結合である、[3]項に記載の化合物。
【0044】
[36][1]項に記載の化合物の少なくとも1つを含有し、少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい液晶組成物。
【0045】
[37][1]項に記載の化合物の少なくとも1つと、式(3)、式(4)および式(5)のそれぞれで表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物とを含有し、少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい液晶組成物:


ここに、Rは炭素数1〜10のアルキルであり;このアルキルにおいて、任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−(CH−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;Xはフッ素、塩素、−OCF、−OCHF、−CF、−CHF、−CHF、−OCFCHF、または−OCFCHFCFであり;BおよびDは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルまたは少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;Eは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;ZおよびZは独立して−(CH)−、−(CH)−、−COO−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−または単結合であり;そして、LおよびLは独立して水素またはフッ素である。
【0046】
[38][1]項に記載の化合物の少なくとも1つと、式(6−1)、式(6−2)および式(7)のそれぞれで表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物とを含有し、少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい液晶組成物:


ここに、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり;このアルキルにおいて、任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−(CH)−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;Xは−CNまたは−C≡C−CNであり;Gは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルまたはピリミジン−2,5−ジイルであり;Jは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;Zは−(CH)−、−COO−、−CFO−、−OCF−または単結合であり;L、LおよびLは独立して水素またはフッ素であり;そしてb、cおよびdは独立して0または1である。
【0047】
[39][1]項に記載の化合物の少なくとも1つと、式(8)、式(9)、式(10)、式(11)、および式(12)のそれぞれで表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物とを含有し、少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい液晶組成物:


ここに、Rは炭素数1〜10のアルキルであり、そしてRはフッ素または炭素数1〜10のアルキルであり;これらのアルキルにおいて、任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−(CH)−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;MおよびPは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたはデカヒドロ−2,6−ナフチレンであり;ZおよびZは独立して−(CH)−、−COO−または単結合であり;LおよびLは独立して水素またはフッ素であり;そして、LとLの少なくとも1つはフッ素である。
【0048】
[40][1]項に記載の化合物の少なくとも1つと、式(13)、式(14)および式(15)のそれぞれで表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物とを含有し、少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい液晶組成物:


ここに、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり;このアルキルにおいて、任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−(CH)−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;Q、TおよびUは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、ピリミジン−2、5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;そして、ZおよびZ10は独立して−C≡C−、−COO−、−(CH−、−CH=CH−、−CHO−または単結合である。
【0049】
[41] 式(6−1)、式(6−2)および式(7)のそれぞれで表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、[37]項に記載の液晶組成物:


ここに、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり;このアルキルにおいて、任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−(CH)−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;Xは−CNまたは−C≡C−CNであり;Gは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルまたはピリミジン−2,5−ジイルであり;Jは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;Zは−(CH)−、−COO−、−CFO−、−OCF−または単結合であり;L、LおよびLは独立して水素またはフッ素であり;そしてb、cおよびdは独立して0または1である。
【0050】
[42] 式(13)、式(14)および式(15)のそれぞれで表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、[37]項に記載の液晶組成物:


ここに、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり;このアルキルにおいて、任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−(CH)−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;Q、TおよびUは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、ピリミジン−2、5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;そして、ZおよびZ10は独立して−C≡C−、−COO−、−(CH−、−CH=CH−、−CHO−または単結合である。
【0051】
[43] 式(13)、式(14)および式(15)のそれぞれで表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、[38]項に記載の液晶組成物:


ここに、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり;このアルキルにおいて、任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−(CH)−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;Q、TおよびUは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、ピリミジン−2、5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;そして、ZおよびZ10は独立して−C≡C−、−COO−、−(CH−、−CH=CH−、−CHO−または単結合である。
【0052】
[44] 式(13)、式(14)および式(15)のそれぞれで表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、[39]項に記載の液晶組成物:


ここに、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり;このアルキルにおいて、任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−(CH)−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;Q、TおよびUは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、ピリミジン−2、5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;そして、ZおよびZ10は独立して−C≡C−、−COO−、−(CH−、−CH=CH−、−CHO−または単結合である。
【0053】
[45] 液晶表示素子を製造するための[36]〜[44]のいずれか1項に記載の液晶組成物の使用。
【0054】
[46] [36]〜[44]のいずれか1項に記載の液晶組成物を含有する液晶表示素子。
【発明の効果】
【0055】
本発明の化合物は、液晶性化合物に必要な一般的物性、熱、光などに対する安定性、適切な光学異方性、適切な誘電率異方性、他の液晶性化合物との優れた相溶性を有する。本発明の液晶組成物は、これらの化合物の少なくとも1つを含有し、そしてネマチック相の高い上限温度、ネマチック相の低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、低いしきい値電圧を有する。本発明の液晶表示素子は、この組成物を含有し、そして使用できる広い温度範囲、短い応答時間、大きなコントラスト比、低い駆動電圧を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
本発明の化合物は式(1)および式(2)のどちらかで表される。


式(1)および式(2)におけるRaおよびRbは、独立して水素または炭素数1〜20のアルキルである。このアルキルにおいて、任意の−CH−は−O−、−S−、−CO−または−SiH−で置き換えられてもよく、任意の−(CH−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。RaまたはRbの例は、水素、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシ、アルキルチオ、アルキルチオアルコキシ、アシル、アシルアルキル、アシルオキシ、アシルオキシアルキル、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアルキル、アルケニル、アルケニルオキシ、アルケニルオキシアルキル、アルコキシアルケニル、アルキニル、アルキニルオキシ、シラアルキルおよびジシラアルキルである。少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられたこれらの基も好ましい。好ましいハロゲンはフッ素および塩素である。さらに好ましいハロゲンはフッ素である。これらの基において分岐よりも直鎖の方が好ましい。RaおよびRbが分岐の基であっても光学活性であるときは好ましい。
【0057】
RaおよびRbの好ましい例は、炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜10のアルコキシ、炭素数2〜10のアルコキシアルキル、炭素数2〜10のアルケニル、炭素数2〜10のアルケニルオキシ、炭素数1〜10のパーフルオロアルキルおよび炭素数1〜10のパーフルオロアルコキシである。より好ましい例は炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜10のアルコキシ、炭素数2〜10のアルコキシアルキルおよび炭素数2〜10のアルケニルである。さらに好ましいRaは炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、特に好ましいRbは炭素数1〜10のアルコキシである。
【0058】
アルケニルにおける−CH=CH−の好ましい立体配置は、二重結合の位置に依存する。−CH=CHCH、−CH=CHC、−CH=CHC、−CH=CHC、−CCH=CHCHおよび−CCH=CHCのような奇数位に二重結合をもつアルケニルにおいてはトランス配置が好ましい。−CHCH=CHCH、−CHCH=CHCおよび−CHCH=CHCのような偶数位に二重結合をもつアルケニルにおいてはシス配置が好ましい。
【0059】
アルキルの具体的な例は、−CH、−C、−C、−C、−C10、−C13、−C15および−C17である。アルコキシの具体的な例は、−OCH、−OC、−OC、−OC、−OC10、−OC13および−OC15である。アルコキシアルキルの具体的な例は、−CHOCH、−CHOC、−CHOC、−(CHOCH、−(CHOC、−(CHOC、−(CHOCH、−(CHOCHおよび−(CHOCHである。
【0060】
アルケニルの具体的な例は、−CH=CH、−CH=CHCH、−CHCH=CH、−CH=CHC、−CHCH=CHCH、−(CHCH=CH、−CH=CHC、−CHCH=CHC、−(CHCH=CHCHおよび−(CHCH=CHである。アルケニルオキシの具体的な例は、−OCHCH=CH、−OCHCH=CHCHおよび−OCHCH=CHCである。
【0061】
少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられたアルキルの具体的な例は、−(CHF、−CFCHF、−CFCHF、−CHCF、−CFCF、−(CHF、−(CFCF、−CFCHFCFおよび−CHFCFCFである。少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられたアルコキシの具体的な例は、−O(CHF、−OCFCHF、−OCFCHF、−OCHCF、−OCFCF、−O(CHF、−O(CFCF、−OCFCHFCFおよび−OCHFCFCFである。少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられたアルケニルの具体的な例は、−CH=CHF、−CH=CF、−CF=CHF、−CH=CHCHF、−CH=CHCF、および−(CHCH=CFである。
【0062】
RaまたはRbの好ましい具体的な例は、−CH、−C、−C、−C、−C10、−OCH、−OC、−OC、−OC、−OC10、−CHOCH、−(CHOCH、−(CHOCH、−CH=CH、−CH=CHCH、−CHCH=CH、−CH=CHC、−CHCH=CHCH、−(CHCH=CH、−CH=CHC、−CHCH=CHC、−(CHCH=CHCH、−(CHCH=CH、−OCHCH=CH、−OCHCH=CHCH、−OCHCH=CHC、−CFCF、−CFCHF、−CFCHF、−(CFCF、−CFCHFCF、−CHFCFCF、−OCFCF、−OCFCHF、−OCFCHF、−OCFCFCF、−OCFCHFCF、および−OCHFCFCFである。
【0063】
RaまたはRbのより好ましい具体的な例は、−CH、−C、−C、−C、−C10、−OCH、−OC、−OC、−OC、−OC10、−CHOCH、−CH=CH、−CH=CHCH、−CHCH=CH、−CH=CHC、−CHCH=CHCH、−(CHCH=CH、−CH=CHC、−CHCH=CHC、−(CHCH=CHCH、および−(CHCH=CHである。
【0064】
Raの更に好ましい具体的な例は、−CH、−C、−C、−C、−C10、−CH=CH、−CH=CHCH、−(CHCH=CH、および−(CHCH=CHCHである。Rbの更に好ましい具体的な例は、−OCH、−OC、および−OCである。
【0065】
式(1)および式(2)におけるA、A11、A12、A、A21およびA22は、独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイルまたはナフタレン−2,6−ジイルである。これらの環において、1つまたは隣り合わない2つの−CH−は−O−、−S−、−CO−または−SiH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。
【0066】
1つまたは隣り合わない2つの−CH−が−O−、−S−、−CO−または−SiH−で置き換えられた環状基の例は、下記の式(16−1)〜式(16−30)で示される基である。これらのうちの好ましい例は、式(16−1)、式(16−2)、式(16−3)、式(16−4)、式(16−13)および式(16−21)である。
【0067】

【0068】
任意の水素がハロゲンで置き換えられた環状基の例は、下記の式(17−1)〜式(17−17)で表される環状基である。これらのうちの好ましい例は、式(17−1)、式(17−2)、式(17−3)、式(17−5)、式(17−7)、式(17−8)、式(17−10)、式(17−14)、式(17−16)および式(17−17)である。
【0069】

【0070】

【0071】
、A11、A12、A、A21またはA22の好ましい例は、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、4,6−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、3−フルオロ1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、およびナフタレン−2,6−ジイルである。より好ましい例は、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレン、または2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレンである。更に好ましい例は、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、および3−フルオロ−1,4−フェニレンである。そして、AまたはAの特に好ましい例は1,4−シクロヘキシレンおよび1,4−フェニレンである。
【0072】
式(1)および式(2)におけるY、W、Z11、Z12、Z、Z21およびZ22は結合基である。Yは単結合、−(CH−、−COO−、−OCO−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CHCO−、−COCH−、−CHSiH−、−SiHCH−、−(CH−、−CH=CH−(CH−、−(CH−CH=CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−である。Wは−(CH−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CHCO−、−COCH−、−CHSiH−、−SiHCH−、−(CH−、−(CH−O−、−O−(CH−、−CH=CH−(CH−、−(CH−CH=CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−である。そして、Z、Z11、Z12、Z21およびZ22は、独立して単結合、−(CH−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CHCO−、−COCH−、−CHSiH−、−SiHCH−、−(CH−、−(CH−O−、−O−(CH−、−CH=CH−(CH−、−(CH−CH=CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−である。
【0073】
Yの好ましい例は単結合、−(CH−、−COO−、−OCO−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−(CH−、−CH=CH−(CH)−、−(CH)−CH=CH−、−(CHCFO−および−OCF(CH−である。より好ましい例は単結合、−(CH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−(CH−、−CH=CH−(CH−、−(CH−CH=CH−、−(CHCFO−および−OCF(CH−である。そして、Yの特に好ましい例は単結合および−(CH−である。なお、−CH=CH−、−CH=CH−(CH−、および−(CH−CH=CH−のような結合基の二重結合に関する立体配置はシスよりもトランスが好ましい。
【0074】
Wの好ましい例は−(CH−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−(CH−、−(CH−O−、−O−(CH−、−CH=CH−(CH−、−(CH−CH=CH−、−(CHCFO−および−OCF(CH−である。より好ましい例は−(CH−、−CH=CH−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−(CH−、−CH=CH−(CH−、−(CH−CH=CH−、−(CHCFO−および−OCF(CH−である。そして、Wの特に好ましい例は−(CH−および−CHO−である。なお、−CH=CH−、−CH=CH−(CH−、および−(CH−CH=CH−のような結合基の二重結合に関する立体配置はシスよりもトランスが好ましい。
【0075】
、Z11、Z12、Z21またはZ22の好ましい例は、単結合、−(CH−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH−、−(CH−O−、−O−(CH−、−CH=CH−(CH−、−(CH−CH=CH−、−(CHCFO−および−OCF(CH−である。より好ましい例は、単結合、−(CH−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−(CHCFO−および−OCF(CH−である。そして、Z、Z11、Z12、Z21またはZ22の特に好ましい例は、単結合、−CHO−、−OCH−、−CFO−および−OCF−である。なお、−CH=CH−、−CH=CH−(CH−、−(CH−CH=CH−のような結合基の二重結合に関する立体配置はシスよりもトランスが好ましい。
【0076】
式(1)および式(2)において、j、k、m、n、pおよびqは独立して0または1であり、そしてこれらの合計は1、2または3である。即ち、化合物(1)および化合物(2)は2〜4の環を有する化合物である。mが0であるとき、jおよびkはどちらも0であり、式(1)におけるRaは水素、アルコキシおよびアルコキシメチルのいずれでもなく、そして式(2)におけるRaは1−アルケニルである。j、kおよびmの合計は1または2であることが好ましく、そしてn、pおよびqの合計も1または2であることが好ましい。
【0077】
前記のように、AまたはAの特に好ましい例は、1,4−フェニレンおよび1,4−シクロヘキシレンである。従って、特に好ましい式(1)および式(2)の例は、AおよびAが共に1,4−フェニレンである場合、Aが1,4−フェニレンであり、そしてAが1,4−シクロヘキシレンである場合、Aが1,4−シクロヘキシレンであり、そしてAが1,4−フェニレンである場合、およびAおよびAが共に1,4−シクロヘキシレンである場合である。
【0078】
前記のように、Yの特に好ましい例は単結合、−(CH−、−CFO−および−CH=CH−である。Zの特に好ましい例は単結合、−CHO−、−OCH−、−CFO−および−OCF−である。即ち、式(1)においてYおよびZの少なくとも1つが単結合であることは、化合物(1)の好ましい例の1つである。
【0079】
式(1)において、mが0であり、そしてn、pおよびqの合計が1、2または3であるとき、Zが−CHO−、−OCH−、−CFO−または−OCF−であることが好ましい。
【0080】
式(1)において、mおよびkが1であり、そしてjおよびnが0であるとき、Raがアルキルまたはアルケニルであり、Rbがアルコキシであり、AおよびA11が独立して1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり、そしてYおよびZ11が共に単結合であることが好ましい。
【0081】
式(1)において、mが1であり、そしてj、k、n、pおよびqが0であるとき、Raがアルキルまたはアルケニルであり、Rbがアルコキシであり、Aが1,4−シクロヘキシレンであり、そしてYが単結合または−(CH−であることが好ましい。このとき、Yが−(CH−であることが更に好ましい。
【0082】
式(1)において、mおよびkが1であり、そしてj、n、pおよびqが0であるとき、Raはアルキルまたはアルケニルであり、Rbはアルコキシであり、AおよびA11が共に1,4−シクロヘキシレンであり、Yが−(CH−であり、そしてZ11が単結合であることが好ましい。
【0083】
式(1)において、mが0であり、nが1であり、そしてpおよびqが共に0であるとき、Raがアルキルであり、Rbがアルキルまたはアルケニルであり、Aが1,4−シクロヘキシレンであり、そしてZが−OCH−であることが好ましい。
【0084】
式(1)において、mおよびqが0であり、そしてnおよびpが1であるとき、Raがアルキルであり、Rbがアルキルまたはアルケニルであり、AおよびA21が共に1,4−シクロヘキシレンであり、Zが−OCH−であり、そしてZ21が単結合であることが好ましい。
【0085】
式(1)において、mおよびnが1であり、そしてj、k、pおよびqがいずれも0であるとき、RaおよびRbが独立してアルキルまたはアルケニルであり、AおよびAが共に1,4−フェニレンであり、そしてYおよびZが共に単結合であることが好ましい。
【0086】
式(1)において、mおよびnが1であり、そしてj、k、pおよびqがいずれも0であるとき、RaおよびRbが独立してアルキルまたはアルケニルであり、Aが1,4−シクロヘキシレンであり、Aが1,4−フェニレンであり、そしてYおよびZが共に単結合であることが好ましい。
【0087】
式(1)において、mおよびnが1であり、そしてj、k、pおよびqが0であるとき、RaおよびRbが独立してアルキルまたはアルケニルであり、Aが1,4−フェニレンであり、Aが1,4−シクロヘキシレンであり、かつYおよびZが共に単結合であることが好ましい。
【0088】
式(2)において、そしてmが0であるとき、Zが単結合であることが好ましい。
【0089】
式(2)において、mが1であり、そしてn+p+qの合計が1または2であるとき、Wは−(CH−または−CHO−であり、そしてZが単結合であることが好ましい。Wが−CHO−であることが更に好ましい。
【0090】
式(2)において、mが1であるとき、Aが1,4−シクロヘキシレンであることが好ましい。
【0091】
式(2)において、mが1であり、そしてj、k、n、pおよびqが0であるとき、Raがアルキルまたはアルケニルであり、Rbがアルコキシであり、Aが1,4−シクロヘキシレンであり、そしてWは−(CH−であることが好ましい。
【0092】
式(2)において、mおよびkが1であり、そしてj、n、pおよびqが0であるとき、AおよびA11が共に1,4−シクロヘキシレンであり、Wが−(CH−であり、そしてZ11が単結合であることが好ましい。
【0093】
式(2)において、m、jおよびkがすべて1であり、そしてn、pおよびqが0であるとき、A、A11およびA12がいずれも1,4−シクロヘキシレンであり、Yが−(CH−であり、そしてZ11およびZ12のどちらも単結合であることが好ましい。
【0094】
なお、化合物(1)および化合物(2)はH(重水素)、13Cなどの同位体を天然存在比の量より多く含んでもよい。このとき、化合物の物性に大きな差異はない。
【0095】
式(1)の好ましい例は下記の式(1−1)〜式(1−9)であり、式(2)の好ましい例は式(2−1)〜式(2−9)である。

【0096】


これらの式中の記号は、式(1)および式(2)におけるそれぞれの記号と同じ意味を有し、それらの好ましい例も同じである。
【0097】
式(1−1)〜式(1−9)において、YおよびZの少なくとも1つが単結合であることが特に好ましい。式(2−1)〜式(2−9)においては、Zが単結合であることが特に好ましい。
【0098】
式(1−1)において、Raが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、Rbが炭素数1〜10のアルコキシであり、Aが1,4−シクロヘキシレンであり、そしてYが単結合または−(CH−であることが好ましい。
【0099】
式(1−2)において、Raが炭素数1〜10のアルキルであり、Rbが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、Aが1,4−シクロヘキシレンであり、そしてZが−OCH−であることが好ましい。
【0100】
式(1−2)、式(1−4)、式(1−5)、式(1−7)、式(1−8)、および式(1−9)において、Zが−CHO−、−OCH−、−CFO−、または−OCF−であることが好ましい。
【0101】
式(1−3)において、Raが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、Rbが炭素数1〜10のアルコキシであり、AおよびA11が共に1,4−シクロヘキシレンであり、そしてYおよびZ11が共に単結合であることが好ましい。
【0102】
式(1−3)において、Raが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、Rbが炭素数1〜10のアルコキシであり、AおよびA11が共に1,4−シクロヘキシレンであり、Yが−(CH−であり、そしてZ11が単結合であることが好ましい。
【0103】
式(1−3)において、Raが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、Rbが炭素数1〜10のアルコキシであり、Aが1,4−フェニレンであり、A11が1,4−シクロヘキシレンであり、そしてYおよびZ11が共に単結合であることが好ましい。
【0104】
式(1−3)において、Raが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、Rbが炭素数1〜10のアルコキシであり、AおよびA11が共に1,4−フェニレンであり、そしてYおよびZ11が共に単結合であることが好ましい。
【0105】
式(1−4)において、RaおよびRbが独立して炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、AおよびAが共に1,4−フェニレンであり、そしてYおよびZが共に単結合であることが好ましい。
【0106】
式(1−4)において、RaおよびRbが独立して炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、Aが1,4−シクロヘキシレンであり、Aが1,4−フェニレンであり、そしてYおよびZが共に単結合であることが好ましい。
【0107】
式(1−4)において、RaおよびRbが独立して炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、Aが1,4−フェニレンであり、Aが1,4−シクロヘキシレンであり、YおよびZが共に単結合であることが好ましい。
【0108】
式(1−5)において、Raが炭素数1〜10のアルキルであり、Rbが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、AおよびA21が共に1,4−シクロヘキシレンであり、Zが−OCH−であり、そしてZ21が単結合であることが好ましい。
【0109】
式(2−1)、式(2−3)、式(2−5)、および式(2−5)〜式(2−7)において、Aが1,4−シクロヘキシレンであることが好ましい。
【0110】
式(2−1)において、Raが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、Rbが炭素数1〜10のアルコキシであり、Wは−(CH−または−CHO−であり、そしてAが1,4−シクロヘキシレンであることが好ましい。
【0111】
式(2−3)においては、AおよびA11が1,4−シクロヘキシレンであり、そしてZ11が単結合であることが好ましい。
【0112】
式(2−3)において、Raが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、Rbが炭素数1〜10のアルコキシであり、Wは−(CH−または−CHO−であり、AおよびA11が共に1,4−シクロヘキシレンであり、そしてZ11が単結合であることが好ましい。
【0113】
式(2−6)において、A、A11およびA12がすべて1,4−シクロヘキシレンであり、Wは−(CH−または−CHO−であり、Z11およびZ12が共に単結合であることが好ましい。
【0114】
次に本発明の液晶組成物について説明する。
本発明の液晶組成物は化合物(1)および化合物(2)の少なくとも1つを含有し、そして少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい組成物である。本発明の組成物は、化合物(1)および化合物(2)以外の液晶性化合物を含有することができる。化合物(1)および化合物(2)以外の好ましい液晶性化合物は、次の式(3)〜式(15)のそれぞれで表される化合物からなる群から選択される化合物である。
【0115】

【0116】
これらの式において、Rは炭素数1〜10のアルキルである。このアルキルにおいて、末端に位置しない任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−(CH)−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい。Xはフッ素、塩素、−OCF、−OCHF、−CF、−CHF、−CHF、−OCFCHFまたは−OCFCHFCFである。BおよびDは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンである。Eは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンである。ZおよびZは独立して−(CH−、−(CH−、−COO−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−または単結合である。そして、LおよびLは独立して水素またはフッ素である。
【0117】

【0118】
これらの式において、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルである。このアルキルにおいて、任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−(CH)−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい。Xは−CNまたは−C≡C−CNである。Gは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルまたはピリミジン−2,5−ジイルである。Jは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンである。Zは−(CH)−、−COO−、−CFO−、−OCF−、または単結合である。L、LおよびLは独立して水素またはフッ素である。そして、b、cおよびdは独立して0または1である。
【0119】

【0120】
これらの式において、Rは炭素数1〜10のアルキルであり、そしてRはフッ素または炭素数1〜10のアルキルである。これらのアルキルにおいて、末端に位置しない任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−(CH)−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい。MおよびPは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたはデカヒドロ−2,6−ナフチレンである。ZおよびZは独立して−(CH)−、−COO−または単結合である。そして、LおよびLは独立して水素またはフッ素であり、LとLの少なくとも1つはフッ素である。
【0121】

【0122】
これらの式において、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルである。このアルキルにおいて、末端に位置しない任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−(CH)−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよい。Q、TおよびUは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、ピリミジン−2、5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンである。そしてZおよびZ10は独立して−C≡C−、−COO−、−(CH−、−CH=CH−、−CHO−または単結合である。
【0123】
本発明における液晶組成物の最初の例は、化合物(1)および化合物(2)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物と、化合物(3)、化合物(4)および化合物(5)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物とを含有し、少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい組成物である。
【0124】
本発明における液晶組成物の2番目の例は、化合物(1)および化合物(2)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物と、化合物(6−1)、化合物(6−2)および化合物(7)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物とを含有し、少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい組成物である。
【0125】
本発明における液晶組成物の3番目の例は、化合物(1)および化合物(2)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物と、式(8)〜式(12)のそれぞれで表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物とを含有し、少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい組成物である。
【0126】
本発明における液晶組成物の4番目の例は、化合物(1)および化合物(2)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物と、化合物(13)、化合物(14)および化合物(15)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物とを含有し、少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい組成物である。
【0127】
本発明における液晶組成物の5番目の例は、最初の例で示した化合物の組み合わせに加えて、化合物(6−1)、化合物(6−2)および化合物(7)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する組成物である。即ち、化合物(1)および化合物(2)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物、化合物(3)、化合物(4)および化合物(5)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物、並びに化合物(6−1)、化合物(6−2)および化合物(7)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含有し、少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい組成物である。
【0128】
本発明における液晶組成物の6番目の例は、最初の例で示した化合物の組み合わせに加えて、化合物(13)、化合物(14)および化合物(15)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を更に含有する組成物である。即ち、化合物(1)および化合物(2)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物、化合物(3)、化合物(4)および化合物(5)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物、並びに化合物(13)、化合物(14)および化合物(15)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含有し、少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい組成物である。
【0129】
本発明における液晶組成物の7番目の例は、2番目の例で示した化合物の組み合わせに加えて、化合物(13)、化合物(14)および化合物(15)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する組成物である。即ち、化合物(1)および化合物(2)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物、化合物(6−1)、化合物(6−2)および化合物(7)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物、並びに化合物(13)、化合物(14)および化合物(15)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含有し、少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい組成物である。
【0130】
なお、式(3)〜式(15)において、複数の式に用いられた同一の記号は同一の意味を有してもよいし、異なる意味を有してもよい。同一の記号が異なる意味を有する場合の例は、式(3)のRがアルキルであり、そして式(4)のRがアルケニルである場合である。
【0131】
次に、本発明の化合物についてさらに説明する。本発明の化合物は、2−ジフルオロメチル−3−フルオロ−1,4−フェニレンまたは2−トリフルオロメチル−3−フルオロ−1,4−フェニレンを有する2環、3環または4環の化合物である。本発明の化合物は、素子が通常使用される条件下において物理的および化学的に極めて安定であり、そして他の液晶性化合物との相溶性がよい。本発明の化合物を含有する組成物は素子が通常使用される条件下で安定である。この組成物を低い温度で保管しても、この化合物が結晶(またはスメクチック相)として析出することがない。本発明の化合物は、液晶材料として必要な一般的物性、適切な光学異方性、そして適切な誘電率異方性を有する。
【0132】
末端基、環および結合基を適切に選択することによって、本発明の化合物の光学異方性、誘電率異方性などの物性を任意に調整することが可能である。末端基、環および結合基の種類が、本発明の化合物の物性に与える効果を以下に説明する。
【0133】
本発明の化合物は負の誘電率異方性を有する。置換基および結合基が適正に選択されれば、本発明の化合物は負に大きな誘電率異方性を示す。負で大きな誘電率異方性を有する化合物は、IPSあるいはVA用途の組成物のしきい値電圧を下げるために有用な成分である。
【0134】
RaまたはRbが直鎖の基であるときは液晶相の温度範囲が広くそして粘度が小さい。RaまたはRbが分岐鎖の基であるときは他の液晶性化合物との相溶性がよい。RaまたはRbが光学活性基である化合物は、キラルドーパントとして有用である。この化合物を組成物に添加することによって、素子に発生するリバース・ツイスト・ドメイン(Reverse twisted domain)を防止することができる。RaまたはRbが光学活性基でない化合物は組成物の成分として有用である。RaまたはRbがアルケニルであるとき、好ましい立体配置は二重結合の位置に依存する。好ましい立体配置を有するアルケニル化合物は、高い上限温度または液晶相の広い温度範囲を有する。
【0135】
、A11、A12、A、A21およびA22の少なくとも2つが1,4−シクロヘキシレンであるときは、上限温度が高く、光学異方性が小さく、そして粘度が小さい。少なくとも1つの環が1,4−フェニレンであるときは、光学異方性が比較的大きく、そして配向秩序パラメーター(orientational order parameter)が大きい。少なくとも2つの環が1,4−フェニレンであるときは、光学異方性が大きく、液晶相の温度範囲が広く、そして上限温度が高い。
【0136】
Y、Z11、Z12、Z、Z21およびZ22の少なくとも1つが単結合、−(CH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−または−CF=CF−であるときは粘度が小さい。この結合基が単結合、−OCF−、−CFO−、−(CH−または−CH=CH−であるときは粘度がより小さい。この結合基が−CH=CH−であるときは液晶相の温度範囲が広く、そして弾性定数比K33/K11(K33:ベンド弾性定数、K11:スプレイ弾性定数)が大きい。
【0137】
Wが−(CH−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−または−CF=CF−であるときは粘度が小さい。この結合基が−(CH−、−CHO−、−OCH−、−OCF−、−CFO−または−CH=CH−であるときは粘度がより小さい。結合基が−CH=CH−であるときは液晶相の温度範囲が広く、そして弾性定数比K33/K11(K33:ベンド弾性定数、K11:スプレイ弾性定数)が大きい。この結合基が−CHO−であるときは誘電率異方性が負でさらに大きい。
【0138】
およびAの少なくとも1つがフッ素で置換されていてもよい1,4−フェニレンであり、かつこの環と直結する結合基ZおよびZが単結合である化合物は、誘電率異方性が負でさらに大きく、また同時に光学異方性が大きい。
【0139】
2環または3環である化合物(1−1)〜化合物(1−5)、および化合物(2−1)〜化合物(2−5)は粘度が小さい。3環または4環である化合物(1−3)〜化合物(1−9)、および化合物(1−3)〜化合物(1−9)は上限温度が高い。このように、末端基、環および結合基の種類、環の数を適当に選択することにより、目的の物性を有する化合物を得ることができる。従って、本発明の化合物、特に化合物(1−1)〜化合物(1−9)および化合物(2−1)〜化合物(2−9)は、IPS、VAなどの素子に用いられる組成物の成分として有用である。
【0140】
化合物(1−1)、化合物(1−3)、化合物(1−4)、および化合物(1−6)〜化合物(1−8)においてZが−(CH−または−CH=CH−である化合物は、負に大きな誘電率異方性を示し、液晶相の温度範囲が広く、また粘度が小さい等、液晶材料として特に優れた物性バランスを示す。
【0141】
本発明の化合物は有機合成化学における手法を適切に組み合わせることにより合成することができる。出発物に目的の末端基、環および結合基を導入する方法は、オーガニックシンセシス(Organic Syntheses, John Wiley & Sons, Inc)、オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions, John Wiley & Sons, Inc)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)などに記載されている。
【0142】
結合基を生成する方法の一例に関して、最初にスキームを示し、次に項(I)〜項(XI)でスキームを説明する。このスキームにおいて、MSGまたはMSGは少なくとも1つの環を有する1価の有機基である。スキームで用いた複数のMSG(またはMSG)は、同一であってもよいし、または異なってもよい。化合物(1A)〜化合物(1K)は、化合物(1)、化合物(2)、化合物(1−1)〜化合物(1−9)、または化合物(2−1)〜化合物(2−9)に相当する。
【0143】

【0144】

【0145】

【0146】


【0147】

【0148】
(I)単結合の生成
アリールホウ酸(21)と公知の方法で合成される化合物(22)とを、炭酸塩水溶液とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムのような触媒の存在下で反応させて化合物(1A)を合成する。この化合物(1A)は、公知の方法で合成される化合物(23)にn−ブチルリチウムを、次いで塩化亜鉛を反応させ、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムのような触媒の存在下で化合物(22)を反応させることによっても合成される。
【0149】
(II)−COO−と−OCO−の生成
化合物(23)にn−ブチルリチウムを、続いて二酸化炭素を反応させてカルボン酸(24)を得る。化合物(24)と、公知の方法で合成されるフェノール(25)とをDDC(1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド)とDMAP(4−ジメチルアミノピリジン)の存在下で脱水させて−COO−を有する化合物(1B)を合成する。この方法によって−OCO−を有する化合物も合成する。
【0150】
(III)−CFO−と−OCF−の生成
化合物(1B)をローソン試薬のような硫黄化剤で処理して化合物(26)を得る。化合物(26)をフッ化水素ピリジン錯体とNBS(N−ブロモスクシンイミド)でフッ素化し、−CFO−を有する化合物(1C)を合成する(M. Kuroboshi et al., Chem. Lett., 1992,827.を参照)。化合物(1C)は化合物(26)を(ジエチルアミノ)サルファートリフルオリド(DAST)でフッ素化しても合成される(W. H. Bunnelle et al., J. Org. Chem. 1990, 55, 768.を参照)。この方法によって−OCF−を有する化合物も合成する。Peer. Kirsch et al., Anbew. Chem. Int. Ed. 2001, 40, 1480.に記載の方法によってこれらの結合基を生成させることも可能である。
【0151】
(IV)−(CHCFO−と−OCF(CH−の生成
化合物(1B)の代わりに米国特許第4834905号公報、米国特許第4627933号公報開示の方法で合成されるプロピオン酸エステル誘導体(27)を用いて、項(III)の方法に従って化合物(1D)を合成する。この方法によって−OCF−(CH−を有する化合物も合成する。
【0152】
(V)−CH=CH−の生成
化合物(23)をn−ブチルリチウムで処理した後、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)などのホルムアミドと反応させてアルデヒド(29)を得る。公知の方法で合成されるホスホニウム塩(30)をカリウムtert−ブトキシドのような塩基で処理して発生させたリンイリドを、アルデヒド(29)に反応させて化合物(1E)を合成する。反応条件によってはシス体が生成するので、必要に応じて公知の方法によりシス体をトランス体に異性化する。
【0153】
(VI)−(CH−CH=CH−と−CH=CH−(CH−の生成
ホスホニウム塩(30)の代わりにホスホニウム塩(31)を用いて、項(V)の方法に従って化合物(1F)を合成する。反応条件によってはシス体が生成するので、必要に応じて公知の方法によりシス体をトランス体に異性化する。この方法によって−CH=CH−(CH−を有する化合物も合成する。
【0154】
(VII)−(CH−の生成
化合物(1E)をパラジウム/炭素のような触媒の存在下で水素化することにより、化合物(1G)を合成する。
【0155】
(VIII)−(CH−の生成
化合物(1F)パラジウム炭素のような触媒の存在下で接触水素化して化合物(1H)を合成する。
【0156】
(IX)−CF=CF−の生成
化合物(23)をn−ブチルリチウムで処理したあと、テトラフルオロエチレンを反応させて化合物(32)を得る。化合物(22)をn−ブチルリチウムで処理したあと化合物(32)と反応させて化合物(1I)を合成する。
【0157】
(IX)−CHO−または−OCH−の生成
化合物(29)を水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤で還元して化合物(33)を得る。これを臭化水素酸などでハロゲン化して化合物(34)を得る。炭酸カリウムなどの存在下で、化合物(34)を化合物(25)と反応させて化合物(1J)を合成する。
【0158】
(X)−(CHO−または−O(CH−の生成
化合物(34)の代わりに化合物(37)を用いて、項(IX)の方法に従って化合物(1K)を合成する。
【0159】
次に、式(1)においてXがジフルオロメチルである化合物を合成する方法の一例を下記のスキームに示す。


これらの式における記号は式(1)における記号と同じ意味を有する。このことは以下に示されるスキームにおいても同様である。
【0160】
例えば、化合物(39)は特開昭58−126823号公報、特開昭58−121225号公報、特開昭59−016840号公報、または特開昭59−042329号公報に開示の方法で合成される3−フルオロベンゼン誘導体(38)にsec−ブチルリチウム、次いでジメチルホルムアミドまたはホルミルピペリジンを反応させて合成する。これらの反応は、好ましくはジエチルエーテルまたはテトラヒドロフラン等のエーテル系炭化水素などの溶媒中、−100℃から室温までの間の温度で行う。化合物(1)は化合物(39)にDAST等のフッ素化剤を反応させることによって合成する。この反応はジクロロメタン等のハロゲン系炭化水素などの溶媒中、−100℃から溶媒の沸点までの間の温度で行う。
【0161】
次に、n、pおよびqがすべて0であり、Rbがアルコキシである化合物(45)に関する合成法の一例を示す。


これらの式において、Rは炭素数1〜19のアルキルである。
【0162】
化合物(41)は、化合物(40)に順次水素化ナトリウムおよびクロロメチルメチルエーテル(MOMCl)を反応させて合成する。これらの反応は、好ましくはテトラヒドロフランなどの溶媒中、−20℃から溶媒の沸点までの間の温度で行う。化合物(42)は化合物(41)にsec−ブチルリチウム、次いでジメチルホルムアミドまたはホルミルピペリジンを反応させて合成する。これらの反応は、好ましくはジエチルエーテルまたはテトラヒドロフラン等のエーテル系炭化水素などの溶媒中、−100℃から室温までの間の温度で行う。化合物(43)は化合物(42)にDAST等のフッ素化剤を反応させることによって合成する。この反応はジクロロメタン等のハロゲン系炭化水素などの溶媒中、−100℃から溶媒の沸点までの間の温度で行う。化合物(44)は化合物(43)の脱保護にて合成する。この反応はエタノール等のアルコール中、2M塩酸等希塩酸を室温から溶媒の沸点までの間の温度で反応させることで行う。化合物(45)は化合物(44)のエーテル化反応で合成する。この反応は炭酸ナトリウム等の塩基の存在下、ジメチルホルムアミド等の溶媒中、化合物(44)にアルキルヨージド等ハロゲン化アルキルを室温から溶媒の沸点までの間の温度で反応させることにより行う。
【0163】
次に、n、pおよびqの合計が1以上であり、Zが−OCO−、−OCF−、−OCF(CH−、−OCH−、または−O(CH−である化合物(46)〜化合物(50)に関する合成法の一例を示す。

【0164】
化合物(46)〜(50)は、前記の結合基を生成する方法においてアルコール(フェノール)中間体の代わりに化合物(44)を使用することによりそれぞれ合成される。
【0165】
Y、Z11、Z12、Z、Z21またはZ22が単結合であり、直結する環A、A11、A12、A、A21またはA22が1,4−フェニレンである化合物(60)および(63)は、上記の合成方法以外に以下の方法でも合成できる。

【0166】
化合物(52)は化合物(51)にn−ブチルリチウムを用いてリチオ化後、ホウ酸トリメチル等のホウ酸エステルを反応させ、さらに塩酸、硫酸等で加水分解して合成する。これらの反応は、好ましくはジエチルエーテルまたはテトラヒドロフラン等のエーテル系炭化水素などの溶媒中、−100℃から室温までの間の温度で行う。化合物(53)は化合物(52)を過酸化水素水または過酢酸等の過酸化物を作用、酸化することで合成する。これらの反応は、好ましくはジエチルエーテルまたはテトラヒドロフラン等のエーテル系炭化水素、あるいは蟻酸、酢酸等のカルボン酸中において、−20℃から溶媒の沸点までの間の温度で行う。化合物(57)は上記で説明した化合物(40)から化合物(44)を合成する反応ルートにおいて、化合物(40)の代わりに化合物(53)を使用し、同一の反応操作を適用することで合成する。化合物(58)は化合物(57)にピリジン、トリエチルアミン等の塩基の存在下、無水トリフルオロメタンスルホン酸((Tf)O)を反応することにより合成する。これらの反応は、好ましくはジクロロメタン等のハロゲン系炭化水素などの溶媒中、−20℃から室温までの間の温度で行う。化合物(60)は化合物(58)とホウ酸化合物(59)と反応させることによって合成する。これらの反応は、好ましくはトルエン等の芳香族系炭化水素、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系炭化水素などの溶媒中、燐酸カリウム、炭酸カリウムなどの塩基の存在下、金属触媒を用いて室温から溶媒の沸点までの間の温度で行う。金属触媒としてはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、パラジウムカーボンなどが用いられる。
【0167】
化合物(63)は上記で説明した化合物(57)から化合物(60)を合成する反応ルートにおいて、化合物(57)および化合物(59)の代わりに化合物(44)および化合物(62)を使用し、同一の反応操作を適用することにより合成する。
【0168】
次に、式(2)においてXがトリフルオロメチルである化合物を合成する方法の一例を下記のスキームに示す。

【0169】
例えば、化合物(64)は特開昭58−126823号公報、特開昭58−121225号公報、特開昭59−016840号公報、または特開昭59−042329号公報に開示の方法で合成される3−フルオロベンゼン誘導体(38)にsec−ブチルリチウム、次いでヨウ素を反応させて合成する。これらの反応は、好ましくはジエチルエーテルまたはテトラヒドロフラン等のエーテル系炭化水素などの溶媒中、−100℃から室温までの間の温度で行う。化合物(1)はJ. Chem. Soc., Chem.Commun., 1989, 705に記載のQing-Yun Chen等の方法に従い、化合物(64)にヨウ化第1銅存在下でフルオロスルホニルジフルオロ酢酸メチルを反応させることによって合成する。この反応はジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒中、60℃から溶媒の沸点までの間の温度で行う。
【0170】
式(2)においてn、pおよびqが0であり、Rbがアルコキシであり、Wが−CH=CH−である化合物(69)およびWが−(CH−である化合物(70)の合成法の一例を下記のスキームに示す。化合物(69)および化合物(70)は式(2−1)、式(2−3)および式(2−6)に該当する。
【0171】


これらの式におけるRは炭素数1〜19のアルキルである。
【0172】
例えば、化合物(66)は、Synlett 1999, No.4, 389-396に記載の化合物(65)にsec−ブチルリチウム、次いでN−ホルミルピペリジンを反応させて合成する。これらの反応は、好ましくはジエチルエーテルまたはテトラヒドロフラン等のエーテル系炭化水素などの溶媒中、−100℃から室温までの間の温度で行う。化合物(68)は化合物(66)へGrignard試薬(67)を作用させたのち、得られるアルコール体をp−トルエンスルホン酸等の酸触媒存在下に脱水反応を行うことで合成する。さらに化合物(69)はN,N−ジメチルホルムアミド中フッ化セシウムあるいはテトラブチルアンモニウムフルオリドのTHF溶液を(68)に作用することで合成する。化合物(70)は、化合物(69)にPd/Cなどの触媒存在下、水素を付加させることによって合成することができる。
【0173】
式(2)において、n、pおよびqが0であり、Rbがアルコキシであり、Wが−CHO−である化合物(76)の合成法の一例を下記のスキームに示す。化合物(76)は式(2−1)、式(2−3)および式(2−6)に該当する。
【0174】


これらの式におけるRは炭素数1〜19のアルキルである。
【0175】
例えば、化合物(71)は、Synlett 1999,No.4,389−396に記載の化合物(65)にsec−ブチルリチウム、次いで臭素を反応させて合成する。これらの反応は、好ましくはジエチルエーテルまたはテトラヒドロフラン等のエーテル系炭化水素などの溶媒中、−100℃から室温までの間の温度で行う。さらに化合物(72)はN,N−ジメチルホルムアミド中フッ化セシウムあるいはテトラブチルアンモニウムフルオリドのTHF溶液を化合物(71)に作用することで合成する。化合物(72)にn−ブチルリチウム、次いでホウ酸ジメチルなどのホウ酸エステルを反応させて化合物(73)を合成する。化合物(74)は化合物(73)へ過酸化水素を作用させ合成する。化合物(76)は、化合物(74)へ塩基性条件下、化合物(75)などのハロゲン化物を作用させることにより合成することができる。
【0176】
次に式(2)において、n、pおよびqが0であり、Rbがアルコキシであり、Wが−COO−、−CFO−、−(CHCFO−または−(CHO−である化合物(77)〜(80)に関する合成法の一例を示す。化合物(77)〜化合物(80)は式(2−1)、式(2−3)および式(2−6)に該当する。
【0177】


これらの式におけるRは炭素数1〜19のアルキルである。
【0178】
化合物(77)〜(80)は、前記の結合基を生成する方法においてアルコール(フェノール)中間体の代わりに化合物(74)を使用することによりそれぞれ合成される。
【0179】
次に、本発明の組成物をさらに詳しく説明する。この組成物の成分は化合物(1)および化合物(2)、好ましくは化合物(1−1)〜化合物(1−9)および化合物(2−1)〜化合物(2−9)から選ばれた複数の化合物のみであってもよい。好ましい組成物は化合物(1−1)〜化合物(1−9)および化合物(2−1)〜化合物(2−9)から選択された少なくとも1つの化合物を1〜99%の割合で含有する。この組成物は化合物(3)〜化合物(15)からなる群から選択される成分をも含有する。組成物を調製するときには、化合物(1)および化合物(2)の誘電率異方性の大きさを考慮して成分を選択する。
【0180】
誘電率異方性が負で中程度の大きさの値を示す化合物(1)および化合物(2)から選択される化合物を含有する好ましい組成物は次のとおりである。この好ましい組成物は化合物(3)、化合物(4)および化合物(5)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含有する。別の好ましい組成物は、化合物(6−1)、化合物(6−2)および化合物(7)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含有する。別の好ましい組成物は、これらの2群のそれぞれから選択される少なくとも2つの化合物を含有する。これらの組成物は、液晶相の温度範囲、粘度、光学異方性、誘電率異方性、しきい値電圧などを調整する目的で、化合物(13)、化合物(14)および化合物(15)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有してもよい。これらの組成物は、物性をさらに調整する目的で、化合物(8)〜化合物(12)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有してもよい。これらの組成物は、AM−TN素子、STN素子などに適合させる目的で、その他の液晶性化合物、添加物などの化合物をさらに含有してもよい。
【0181】
別の好ましい組成物は化合物(13)、化合物(14)および化合物(15)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含有する。この組成物は、物性をさらに調整する目的で、化合物(8)〜化合物(12)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有してもよい。この組成物は、AM−TN素子、STN素子などに適合させる目的で、その他の液晶性化合物、添加物などの化合物をさらに含有してもよい。
【0182】
誘電率異方性が負で大きい値を示す化合物(1)および化合物(2)から選択される化合物を含有する好ましい組成物は次のとおりである。好ましい組成物は化合物(8)〜化合物(13)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含有する。この組成物は、化合物(13)、化合物(14)および化合物(15)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有してもよい。この組成物は、物性をさらに調整する目的で、化合物(3)〜化合物(7)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有してもよい。この組成物は、VA素子などに適合させる目的で、その他の液晶性化合物、添加物などの化合物をさらに含有してもよい。
【0183】
別の好ましい組成物は、化合物(13)、化合物(14)および化合物(15)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含有する。この組成物は、化合物(8)〜化合物(12)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有してもよい。この組成物は、化合物(3)〜化合物(7)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有してもよい。この組成物はその他の液晶性化合物、添加物などの化合物をさらに含有してもよい。
【0184】
誘電率異方性が負で数値が小さい化合物(1)および化合物(2)から選択される化合物を含有する好ましい組成物は次のとおりである。好ましい組成物は化合物(3)、化合物(4)および化合物(5)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含有する。別の好ましい組成物は、化合物(6−1)、化合物(6−2)および化合物(7)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含有する。別の好ましい組成物は、このような2つのからなる群のそれぞれから選択された少なくとも2つの化合物を含有する。これらの組成物は、液晶相の温度範囲、粘度、光学異方性、誘電率異方性、しきい値電圧などを調整する目的で、化合物(13)、化合物(14)および化合物(15)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有してもよい。この組成物は、物性をさらに調整する目的で、化合物(8)〜化合物(12)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有してもよい。この組成物は、AM−TN素子、STN素子などに適合させる目的で、その他の液晶性化合物、添加物などの化合物をさらに含有してもよい。
【0185】
別の好ましい組成物は、化合物(8)〜化合物(12)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含有する。この組成物は、化合物(13)、化合物(14)および化合物(15)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有してもよい。この組成物は、物性をさらに調整する目的で、化合物(3)〜化合物(7)からなる群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有してもよい。この組成物は、VA素子などに適合させる目的で、その他の液晶性化合物、添加物などの化合物をさらに含有してもよい。
【0186】
化合物(3)、化合物(4)および化合物(5)は、誘電率異方性が正で大きいので、AM−TN素子用の組成物に主として用いられる。この組成物において、これらの化合物の量は1〜99%である。好ましい量は10〜97%である。より好ましい量は40〜95%である。この組成物に化合物(13)、化合物(14)または化合物(15)をさらに添加する場合、この化合物の好ましい量は60%以下である。より好ましい量は40%以下である。
【0187】
化合物(6−1)、化合物(6−2)および化合物(7)は、誘電率異方性が正で非常に大きいので、STN素子用の組成物に主として用いられる。この組成物において、これらの化合物の量は1〜99%である。好ましい量は10〜97%である。より好ましい量は40〜95%である。この組成物に化合物(13)、化合物(14)または化合物(15)をさらに添加する場合、この化合物の好ましい量は60%以下である。より好ましい量は40%以下である。
【0188】
化合物(8)〜化合物(12)は、誘電率異方性が負であるので、VA素子用の組成物に主として用いられる。これらの化合物の好ましい量は80%以下である。より好ましい量は40〜80%である。この組成物に化合物(13)、化合物(14)または化合物(15)をさらに添加する場合、この化合物の好ましい量は60%以下である。より好ましい量は40%以下である。
【0189】
化合物(13)、化合物(14)および化合物(15)の誘電率異方性は小さい。化合物(13)は粘度または光学異方性を調整する目的で主に使用される。化合物(14)および化合物(15)は上限温度を上げて液晶相の温度範囲を広げる、または光学異方性を調整する目的で使用される。化合物(13)、化合物(14)および化合物(15)の量を増加させると組成物のしきい値電圧が高くなり、粘度が小さくなる。したがって、組成物のしきい値電圧の要求値を満たすかぎり多量に使用してもよい。
【0190】
化合物(3)〜化合物(15)の好ましい例は、化合物(3−1)〜化合物(3−9)、化合物(4−1)〜化合物(4−97)、化合物(5−1)〜化合物(5−33)、化合物(6−1)〜化合物(6−56)、化合物(7−1)〜化合物(7−3)、化合物(8−1)〜化合物(8−4)、化合物(9−1)〜化合物(9−6)、化合物(10−1)〜化合物(10−4)、化合物(11−1)、化合物(12−1)、化合物(13−1)〜化合物(13−14)、化合物(14−1)〜化合物(14−31)、および化合物(15−1)〜化合物(15−6)である。これらの化合物における記号は、化合物(3)〜化合物(15)におけるそれぞれの記号と同一の意味を有する。
【0191】

【0192】

【0193】

【0194】

【0195】

【0196】

【0197】

【0198】

【0199】

【0200】


【0201】

【0202】

【0203】


【0204】


【0205】

【0206】


【0207】
本発明の組成物は公知の方法によって調製される。例えば、成分である化合物を混合し、加熱によって互いに溶解させる。組成物に適当な添加物を加えて組成物の物性を調整してもよい。このような添加物は当業者によく知られている。メロシアニン、スチリル、アゾ、アゾメチン、アゾキシ、キノフタロン、アントラキノン、テトラジンなどの化合物である二色性色素を添加してGH素子用の組成物を調製してもよい。一方、液晶のらせん構造を誘起して必要なねじれ角を与える目的でキラルドーパントが添加される。キラルドーパントの例は下記の光学活性化合物(Op−1)〜(Op−13)である。
【0208】

【0209】
キラルドーパントを組成物に添加してねじれのピッチを調整するとき、TN素子およびTN−TFT素子用の好ましいピッチは40〜200μmの範囲である:STN素子用の好ましいピッチは6〜20μmの範囲である:BTN素子用の好ましいピッチは1.5〜4μmの範囲である:PC素子用の組成物にはキラルドーパントを比較的多量に添加する。ピッチの温度依存性を調整する目的で少なくとも2つのキラルドーパントを添加してもよい。
【0210】
本発明の組成物は、PC、TN、STN、BTN,ECB、OCB、IPS、VAなどの素子に使用できる。これらの素子は駆動方式がPMであってもよいし、またはAMであってもよい。この組成物をマイクロカプセル化して作製したNCAP(nematic curvilinear aligned phase)素子や、組成物中に三次元の網目状高分子を形成させたPD(polymer dispersed)素子、例えばPN(polymer network)素子にも使用できる。
【0211】
次に、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。本発明はこれらの実施例によって制限されない。No.1などの化合物番号は、実施例10において表で示した化合物のそれと対応する。得られる化合物は核磁気共鳴分析スペクトル、質量スペクトルなどで同定する。核磁気共鳴分析スペクトルにおいて、sはシングレット、dはダブレット、tはトリプレット、qはカルテット、mはマルチプレットである。化合物の量(百分率)は組成物の全重量に基づいた重量%である。物性値の測定は、日本電子機械工業規格(Standard of Electronic Industries Association of Japan)、EIAJ・ED−2521Aに記載された方法、またはこれを修飾した方法に従う。
【0212】
成分または液晶性化合物の割合(百分率)は、液晶性化合物の全重量に基づいた重量百分率(重量%)である。組成物は、液晶性化合物などの成分の重量を測定してから混合することによって調製される。したがって、成分の重量%を算出するのは容易である。しかし、組成物をガスクロマト分析することによって成分の割合を正確に算出するのは容易でない。補正係数が液晶性化合物の種類に依存するからである。幸いなことに補正係数はほぼ1である。さらに、成分化合物における1重量%の差異が組成物の特性に与える影響は小さい。したがって、本発明においてはガスクロマトグラフにおける成分ピークの面積比を成分化合物の重量%と見なすことができる。つまり、ガスクロマト分析の結果(ピークの面積比)は、補正することなしに液晶性化合物の重量%と等価であると考えてよいのである。
【0213】
特性値の測定において、化合物単体をそのまま試料として用いる場合、化合物を母液晶に混合し試料として用いる場合、そして組成物をそのまま試料として用いる場合の3通りの方法がある。化合物を母液晶に混合する場合は、次の方法をとる。15重量%の化合物および85重量%の母液晶を混合することによって試料を調製した。測定によって得られた値から外挿法よって化合物の特性値を算出した。外挿値=(試料の測定値−0.85×母液晶の測定値)/0.15。この割合でスメクチック相(または結晶)が25℃で析出するときは、化合物と母液晶の割合を10重量%:90重量%、5重量%:95重量%、1重量%:99重量%の順に変更した。
【0214】
測定で得られた値のうち、化合物単体をそのまま試料として用い得られた値と、組成物をそのまま試料として用いて得られた値は、そのままの値を実験データとして記載する。化合物を母液晶に混合し試料として用い得られた値は、そのままの値を実験データとして記載する場合もあるし、外挿法で得られた値を記載する場合もある。
【0215】
化合物を母液晶に混合し試料として用いる場合、その母液晶は複数存在する。母液晶の一例は母液晶Aである。母液晶Aの組成は、次のとおりである。
【0216】
母液晶A:

【0217】
[液晶相の転移温度(℃)]
次のいずれかの方法で測定した。
1)偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレート(メトラー社FP−52型ホットステージ)に試料を置き、1℃/分の速度で加熱した。試料が相変化したときの温度を測定した。
2)パーキンエルマー社製の走査熱量計DSC−7システムを用いて、3℃/分速度で測定した。
【0218】
[液晶相の同定および相系列の表記]
結晶はCと表した。結晶の区別がつく場合は、それぞれCまたはCと表した。スメクチック相はSと表した。液体(アイソトロピック)はIsoと表した。ネマチック相はNと表した。スメクチック相の中で、スメクチックB相、スメクチックC相またはスメクチックA相の区別がつく場合は、それぞれS、SまたはSと表した。転移温度の表記として、「C 92.9 N 196.9 Iso」とは、結晶からネマチック相への転移温度(CN)が92.9℃であり、ネマチック相から液体への転移温度(NI)が196.9℃であることを示す。他の表記も同様である。
【0219】
[ネマチック相の上限温度(NI;℃)]
偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、1℃/分の速度で加熱する。試料の一部がネマチック相から等方性液体に変化したときの温度を測定する。ネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。
【0220】
[ネマチック相の下限温度(T;℃)]
ネマチック相を有する試料を0℃、−10℃、−20℃、−30℃、および−40℃のフリーザー中に10日間保管したあと、液晶相を観察する。例えば、試料が−20℃ではネマチック相のままであり、−30℃では結晶(またはスメクチック相)に変化したとき、Tを<−20℃と記載する。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。
【0221】
[化合物の相溶性]
類似の構造を有する幾つかの化合物を混合してネマチック相を有する母液晶を調製する。測定する化合物とこの母液晶とを混合した組成物を得る。混合する割合の一例は、15%の化合物と85%の母液晶である。この組成物を−20℃、−30℃のような低い温度で30日間保管する。この組成物の一部が結晶(またはスメクチック相)に変化したか否かを観察する。必要に応じて混合する割合と保管温度とを変更する。このようにして測定した結果から、結晶(またはスメクチック相)が析出する条件および結晶(またはスメクチック相)が析出しない条件を求める。これらの条件が相溶性の尺度である。
【0222】
[粘度(η;20℃で測定;mPa・s)]
粘度の測定にはE型粘度計を用いる。
【0223】
[光学異方性(屈折率異方性;Δn;25℃で測定)]
測定は、波長589nmの光を用い、接眼鏡に偏光板を取り付けたアッベ屈折計により行なった。主プリズムの表面を一方向にラビングしたあと、試料を主プリズムに滴下した。屈折率n‖は偏光の方向がラビングの方向と平行であるときに測定した。屈折率n⊥は偏光の方向がラビングの方向と垂直であるときに測定した。光学異方性の値は、Δn=n‖−n⊥、の式から計算した。
【0224】
[誘電率異方性(Δε;25℃で測定)]
1)誘電率異方性が正である試料:2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が9μmであり、そしてツイスト角が80度であるTN素子に試料を入れた。この素子にサイン波(10V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。
【0225】
2)誘電率異方性が負である試料:2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が20μmであるVA素子に試料を入れた。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が9μmであり、ツイスト角が80度であるTN素子に試料を入れた。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。
【0226】
[しきい値電圧(Vth;25℃で測定;V)]
(1)誘電率異方性が正である組成物
2枚のガラス基板の間隔(ギャップ)が(0.5/Δn)μmであり、ツイスト角が80度である、ノーマリーホワイトモード(normally white mode)の液晶表示素子に試料を入れる。Δnは上記の方法で測定した光学異方性の値である。この素子に周波数が32Hzである矩形波を印加する。矩形波の電圧を上昇させ、素子を通過する光の透過率が90%になったときの電圧の値を測定する。
(2)誘電率異方性が負である組成物
2枚のガラス基板の間隔(ギャップ)が約9μmであり、ホメオトロピック配向に処理したノーマリーブラックモード(normally black mode)の液晶表示素子に試料を入れる。この素子に周波数が32Hzである矩形波を印加する。矩形波の電圧を上昇させ、素子を通過する光の透過率10%になったときの電圧の値を測定する。
【0227】
[プロトン核磁気共鳴分析法(H−NMR)]
測定は、DRX−500(ブルカーバイオスピン(株)製)を用いた。CDClなど重水素化されたサンプルが可溶な溶媒に溶解させた溶液を、室温にて核磁気共鳴装置を用いて測定した。なお、δ値のゼロ点の基準物0質にはテトラメチルシラン(TMS)を用いた。
【0228】
[ガスクロマトグラム(GC)分析]
測定には島津製作所製のGC−14B型ガスクロマトグラフを用いた。キャリアーガスはヘリウム(2ml/分)である。試料気化室を280℃に、検出器(FID)を300℃に設定した。成分化合物の分離には、Agilent Technologies Inc.製のキャピラリカラムDB−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm;固定液相はジメチルポリシロキサン;無極性)を用いた。このカラムは、200℃で2分間保持したあと、5℃/分の割合で280℃まで昇温した。試料はアセトン溶液(0.1重量%)に調製したあと、その1μlを試料気化室に注入した。記録計は島津製作所製のC−R5A型Chromatopac、またはその同等品である。得られたガスクロマトグラムは、成分化合物に対応するピークの保持時間およびピークの面積を示した。
【0229】
試料を希釈するための溶媒は、クロロホルム、ヘキサンなどを用いてもよい。成分化合物を分離するために、次のキャピラリカラムを用いてもよい。Agilent Technologies Inc.製のHP−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、Restek Corporation製のRtx−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)、SGE International Pty. Ltd製のBP−1(長さ30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)。化合物ピークの重なりを防ぐ目的で島津製作所製のキャピラリーカラムCBP1−M50−025(長さ50m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)を用いてもよい。ガスクロマトグラムにおけるピークの面積比は成分化合物の割合に相当する。成分化合物の重量%は各ピークの面積比と完全には同一ではない。しかし、本発明においては、これらのキャピラリカラムを用いるときは、成分化合物の重量%は各ピークの面積比と同一であると見なしてよい。成分化合物における補正係数に大きな差異がないからである。
【実施例1】
【0230】
4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル−2−フルオロ−3−ジフルオロメチル−エトキシベンゼン(化合物No.1−3−1)の合成

【0231】
第1工程
乾燥させた削り状マグネシウムに2−フルオロ−4−エトキシブロモベンゼンのTHF溶液を40〜60℃にて滴下する。この溶液に4−(プロピルシクロヘキシル)シクロヘキサノンのTHF溶液を40〜60℃にて滴下し、さらに2時間攪拌する。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水に注ぎ、トルエンで抽出する。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮する。得られる粗製の1−ヒドロキシ−4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル−2−フルオロエトキシベンゼンを精製することなく第2工程に用いる。
【0232】
第2工程
第1工程で得られる粗製の1−ヒドロキシ−4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル−2−フルオロエトキシベンゼンをトルエンに溶解する。p−トルエンスルホン酸一水和物を加え、ディーンスターク装置を用いて脱水しながら2時間加熱還流する。反応混合物を飽和重曹水に注ぎ、トルエンで抽出する。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮する。残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキセニル−2−フルオロエトキシベンゼンを得る。
【0233】
第3工程
第2工程で得られる4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキセニル−2−フルオロエトキシベンゼンをトルエン−ソルミックス混合溶媒に溶解する。この溶液に窒素雰囲気下にてラネーニッケル触媒を加え、常温常圧にて2日間水素添加反応を行う。反応終了後、触媒を濾過により除去する。濾液を減圧下に濃縮し、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル−2−フルオロエトキシベンゼンを得る。このものをさらに再結晶繰り返すことにより精製し、純粋な4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル−2−フルオロエトキシベンゼンを得る。
【0234】
第4工程
第3工程で得られる4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル−2−フルオロエトキシベンゼンをテロラヒドロフランに溶解し窒素雰囲気下にてアセトン−ドライアイス冷媒下で−70℃まで冷却する。この溶液に窒素雰囲気下にてsec−ブチルリチウム(シクロヘキサン、n−ヘキサン溶液)を滴下し、滴下後−65℃以下にて2時間攪拌する。次いでジメチルホルムアミドを−65℃にて滴下し、滴下後2時間攪拌する。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水に注ぎ、ヘキサンで抽出する。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮し、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル−2−フルオロ−3−ホルミルエトキシベンゼンを得る。
【0235】
第5工程
第4工程で得られる4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル−2−フルオロ−3−ホルミルエトキシベンゼンをジクロロメタンに溶解し窒素雰囲気下にて0℃まで冷却後、ジエチルアミノサルファートリフオリド(DAST)を添加し、さらに室温で20時間攪拌する。この溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液に注ぎ、ヘプタンで抽出する。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮し、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル−2−フルオロ−3−ジフルオロメチル−エトキシベンゼンを得る。このものをさらに再結晶繰り返すことにより精製し、純粋な4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル−2−フルオロ−3−ジフルオロメチル−エトキシベンゼンを得る。
【実施例2】
【0236】
4−(4−プロピルシクロヘキシル)フェニル−2−フルオロ−3−ジフルオロメチル−エトキシベンゼン(化合物No.1−3−5)の合成

【0237】
第1工程
乾燥させた削り状マグネシウム3.03g(124.8mmol)に攪拌しながら3−フルオロ−4−エトキシブロモベンゼン22.8g(104mmol)のTHF溶液100mlを40〜60℃にて滴下し、滴下後1時間加熱還流した。この溶液を冷媒にて−70℃まで冷却し、攪拌しながらホウ酸トリメチル16ml(135.2mmol)のTHF溶液(THF70ml)を滴下した。−70℃で3時間攪拌した後、さらに室温にて20時間攪拌後、反応液を5℃まで冷却し、6M塩酸50mlを添加した。有機層を分離後、水層を酢酸エチル100mlで抽出し、前記有機層を混合後、水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で濃縮し、粗製の3−フルオロ−4−エトキシフェニルボロン酸を22.3g得た。得られたホウ酸誘導体は精製することなく第2工程に用いた。
【0238】
第2工程
第1工程で得られた粗製の3−フルオロ−4−エトキシフェニルボロン酸22.3gをテトラヒドロフラン200mlに溶解し、温浴で35℃付近に保ちながら30%過酸化水素水23.6g(208mmol)を添加した。添加後反応液を室温にて24時間攪拌した後、反応液を水300mlに投入し、次いで亜硫酸水素ナトリウムを添加し、室温で1時間攪拌した。反応液は酢酸エチル300mlで抽出し、抽出層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮した。濃縮残さは酢酸エチル/ヘプタンの混合溶媒を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、3−フルオロ−4−エトキシフェノール17.6g(113mmol)を得た。
【0239】
第3工程
窒素雰囲気下、水素化ナトリウム5.2g(130.8mmol)のTHF(170ml)懸濁液に第2工程で得た3−フルオロ−4−エトキシフェノール17.1g(109mmol)を5〜10℃の間で滴下し、同温度で30分間攪拌した。次いでクロロメチルメチルエーテル9.9ml(130.8mmol)のTHF(10ml)溶液を5〜10℃の間で滴下し、滴下後室温にて2時間攪拌した。反応液を氷水に投入後、ヘプタン300mlで抽出し、抽出層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮した。濃縮残さは酢酸エチル/ヘプタンの混合溶媒を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、3−フルオロ−4−エトキシフェニル=メトキシメチルエーテル16.5gを得た。
【0240】
第4工程
第3工程で得た3−フルオロ−4−エトキシフェニル=メトキシメチルエーテル16g(79.9mmol)をテロラヒドロフラン160mlに溶解し窒素雰囲気下、アセトン−ドライアイス冷媒下で−70℃まで冷却した。この溶液に窒素雰囲気下にてsec−ブチルリチウム(0.99M、シクロヘキサン、n−ヘキサン溶液)89ml(87.9mmol)を滴下し、滴下後−70℃にて1時間攪拌した。次いでジメチルホルムアミド6.8ml(87.9mmol)を−70℃にて滴下し、滴下後同温度で2時間攪拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水に注ぎ、ヘキサン300mlで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮し、得られた残さを酢酸エチル/ヘプタンの混合溶媒を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、2−ホルミル−3−フルオロ−4−エトキシフェニル=メトキシメチルエーテル16.5gを得た。
【0241】
第5工程
第4工程で得た2−ホルミル−3−フルオロ−4−エトキシフェニル=メトキシメチルエーテル8g(35mmol)をジクロロメタン80mlに溶解し窒素雰囲気下にて0℃まで冷却後、ジエチルアミノサルファートリフオリド(DAST)9.5ml(71.8mmol)を添加し、さらに室温で20時間攪拌した。この溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液に注ぎ、ヘプタン200mlで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮し、残さを酢酸エチル/ヘプタンの混合溶媒を展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、を得る。このものをさらに再結晶繰り返すことにより精製し、2−ジフルオロメチル−3−フルオロ−4−エトキシフェニル=メトキシメチルエーテル7.6gを得た。
【0242】
第6工程
第5工程で得た2−ジフルオロメチル−3−フルオロ−4−エトキシフェニル=メトキシメチルエーテル7.5g(30mmol)をエタノール30mlに溶解し室温にて攪拌しながら2M塩酸30ml(60mmol)を添加し、添加後2時間加熱還流した。反応液を水に投入し、酢酸エチル150mlで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮した。残さは酢酸エチル/ヘプタンの混合溶媒を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し2−ジフルオロメチル−3−フルオロ−4−エトキシフェノール6.0gを得た。
【0243】
第7工程
第6工程で得た2−ジフルオロメチル−3−フルオロ−4−エトキシフェノール2.5g(12mmol)およびピリジン2mlをジクロロメタン50mlに溶解し窒素雰囲気5〜10℃にて無水トリフルオロメタンスルホン酸2.6ml(15.6mmol)を添加し、1.5時間同温度で攪拌した。反応混合物を炭酸水素ナトリウム水溶液に投入しジクロロメタン100mlで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮し粗製のトリフラート誘導体を得た。得られた粗製のトリフラート誘導体(5.5g)は4−(プロピルシクロヘキシル)フェニルホウ酸3.2g(13.2mmol)、臭化カリウム1.6g(13.2mmol)、燐酸カリウム5.1g(24mmol)、ジオキサン50mlおよびカップリング触媒としてテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム0.4g(0.3mmol)と混合し5時間加熱還流した。反応混合物を水へ投入しトルエン100mlで抽出後、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮した。濃縮残さは酢酸エチル/ヘプタンの混合溶媒を溶離液としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、さらにヘプタン/エタノールの混合溶媒から再結晶を繰り返すことにより精製し、純粋な4−(4−プロピルシクロヘキシル)フェニル−2−フルオロ−3−ジフルオロメチル−エトキシベンゼンを得た。尚、この化合物の融点は82.2℃であった。
【実施例3】
【0244】
4−(4−プロピルシクロヘキシル)メチル=2−フルオロ−3−ジフルオロメチル−4−メチルフェニルエーテル(化合物No.1−2−8)の合成

【0245】
第1工程
窒素雰囲気下、水素化ナトリウムのTHF懸濁液に2−フルオロ−4−メチルフェノールを5℃付近で滴下し、同温度で30分間攪拌する。次いでクロロメチルメチルエーテルのTHF溶液を5℃付近で滴下し、滴下後室温にて2時間攪拌する。反応液を氷水に投入後、ヘプタンで抽出し、抽出層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮する。得られる濃縮残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、2−フルオロ−4−メチルフェニル=メトキシメチルエーテルを得る。
【0246】
第2工程
第1工程で得られる2−フルオロ−4−メチルフェニル=メトキシメチルエーテルをテロラヒドロフランに溶解し窒素雰囲気下、アセトン−ドライアイス冷媒下で−70℃まで冷却する。この溶液に窒素雰囲気下にてsec−ブチルリチウムを滴下し、滴下後−70℃にて1時間攪拌する。次いでジメチルホルムアミドを−70℃にて滴下し、滴下後同温度で2時間攪拌する。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水に注ぎ、ヘキサンで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮する。得られる残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、2−フルオロ−3−ホルミル−4−メチルフェニル=メトキシメチルエーテルを得る。
【0247】
第3工程
第2工程で得られる2−フルオロ−3−ホルミル−4−メチルフェニル=メトキシメチルエーテルをジクロロメタンに溶解し窒素雰囲気下にて0℃まで冷却後、ジエチルアミノサルファートリフオリド(DAST)を添加し、さらに室温で20時間攪拌する。この溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液に注ぎ、ヘプタンで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮する。濃縮残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、2−フルオロ−3−ジフルオロメチル−4−メチルフェニル=メトキシメチルエーテルを得る。
【0248】
第4工程
第3工程で得られる2−フルオロ−3−ジフルオロメチル−4−メチルフェニル=メトキシメチルエーテルをエタノールに溶解し室温にて攪拌しながら2M塩酸を添加し、添加後2時間加熱還流する。反応液を水に投入し、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮する。残さはシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し2−フルオロ−3−ジフルオロメチル−4−メチルフェノールを得る。
【0249】
第5工程
第4工程で得られる2−フルオロ−3−ジフルオロメチル−4−メチルフェノールを窒素雰囲気下、4−プロピルシクロヘキシルヨードメタンおよび炭酸カリウムと共にDMF中混合し100℃にて8時間加熱攪拌する。反応混合物を水に投入しトルエンで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮する。濃縮残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、さらに再結晶を繰り返すことにより精製し、純粋な4−(4−プロピルシクロヘキシル)メチル=2−フルオロ−3−ジフルオロメチル−4−メチルフェニルエーテルを得る。
【実施例4】
【0250】
4−ペンチル−2’−ジフルオロメチル−3’−フルオロ−4”−エチルターフェニル(化合物No.1−4−6)の合成

【0251】
第1工程
4−エチルフェニルホウ酸をトルエン/エタノールの混合溶媒中、3−フルオロ−4−ヨードアニソール、炭酸カリウムおよびカップリング触媒としてテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムと混合し8時間加熱還流する。反応混合物を水へ投入しトルエン100mlで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮する。濃縮残さはシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、さらに再結晶を繰り返すことにより精製し、純粋な3−フルオロ−4−(4−エチルフェニル)アニソールを得る。
【0252】
第2工程
第1工程で得られる3−フルオロ−4−(4−エチルフェニル)アニソールをジクロロメタンに溶解し、冷媒下−60℃まで冷却後、三臭化ホウ素を滴下する。滴下後2時間同温度で攪拌し、さらに室温にて8時間攪拌する。反応混合物を水へ投入しジクロロメタン層を分離し、ジクロロメタン層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮する。濃縮残さはシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し3−フルオロ−4−(4−エチルフェニル)フェノールを得る。
【0253】
第3工程
窒素雰囲気下、水素化ナトリウムのTHF懸濁液に第2工程で得られる3−フルオロ−4−(4−エチルフェニル)フェノールを5℃付近で滴下し、同温度で30分間攪拌する。次いでクロロメチルメチルエーテルのTHF溶液を5℃付近で滴下し、滴下後室温にて2時間攪拌する。反応液を氷水に投入後、ヘプタンで抽出し、抽出層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮する。得られる濃縮残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、3−フルオロ−4−(4−エチルフェニル)フェニル=メトキシメチルエーテルを得る。
【0254】
第4工程
第3工程で得られる3−フルオロ−4−(4−エチルフェニル)フェニル=メトキシメチルエーテルをテロラヒドロフランに溶解し窒素雰囲気下、アセトン−ドライアイス冷媒下で−70℃まで冷却する。この溶液に窒素雰囲気下にてsec−ブチルリチウムを滴下し、滴下後−70℃にて1時間攪拌する。次いでジメチルホルムアミドを−70℃にて滴下し、滴下後同温度で2時間攪拌する。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水に注ぎ、ヘキサンで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮する。得られる残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、2−ホルミル−3−フルオロ−4−(4−エチルフェニル)フェニル=メトキシメチルエーテルを得る。
【0255】
第5工程
第4工程で得られる2−ホルミル−3−フルオロ−4−(4−エチルフェニル)フェニル=メトキシメチルエーテルをジクロロメタンに溶解し窒素雰囲気下にて0℃まで冷却後、ジエチルアミノサルファートリフオリド(DAST)を添加し、さらに室温で20時間攪拌する。この溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液に注ぎ、ヘプタンで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮する。濃縮残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、2−ジフルオロメチル−3−フルオロ−4−(4−エチルフェニル)フェニル=メトキシメチルエーテルを得る。
【0256】
第6工程
第5工程で得られる2−ジフルオロメチル−3−フルオロ−4−(4−エチルフェニル)フェニル=メトキシメチルエーテルをエタノールに溶解し室温にて攪拌しながら2M塩酸を添加し、添加後2時間加熱還流する。反応液を水に投入し、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮する。残さはシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し2−ジフルオロメチル−3−フルオロ−4−(4−エチルフェニル)フェノールを得る。
【0257】
第7工程
第6工程で得られる2−ジフルオロメチル−3−フルオロ−4−(4−エチルフェニル)フェノールおよびピリジンをジクロロメタンに溶解し窒素雰囲気下5℃付近で無水トリフルオロメタンスルホン酸を添加し、2時間同温度で攪拌する。反応混合物を炭酸水素ナトリウム水溶液に投入しジクロロメタンで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮し粗製のトリフラート誘導体を得る。得られる粗製のトリフラート誘導体を4−ペンチルフェニルホウ酸、臭化カリウム、および燐酸カリウムをジオキサン中で混合し、さらにカップリング触媒としてテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム添加し8時間加熱還流する。反応混合物を水へ投入しトルエンで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に濃縮する。濃縮残さはシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、さらに再結晶を繰り返すことにより精製し、純粋な4−ペンチル−2’−ジフルオロメチル−3’−フルオロ−4”−エチルターフェニルを得る。
【実施例5】
【0258】
β−(4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル)−2−ジフルオロメチル−3−フルオロ−4−エトキシスチレン(化合物No.1−3−15)の合成

【0259】
第1工程
乾燥させた削り状マグネシウム1.8g(75.4mmol)に攪拌しながら3−フルオロ−4−エトキシブロモベンゼン15.0g(68.5mmol)のTHF溶液30mlを40〜60℃にて滴下した。次いでこの溶液に(4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル)アセトアルデヒド22.3g(89.1mmol)のTHF溶液100mlを滴下し2時間攪拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水100mlに注ぎ、トルエン200mlで抽出した。有機層を水100ml、飽和食塩水100mlで順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮し、粗製の1−ヒドロキシ−1−(3−フルオロ−4−エトキシフェニル)−2−(4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル)エタンを25.9g得た。
【0260】
第2工程
第1工程で得られた粗製の1−ヒドロキシ−1−(3−フルオロ−4−エトキシフェニル)−2−(4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル)エタン25.9gをトルエンに溶解した。p−トルエンスルホン酸一水和物0.8g(4mmol)を加え、ディーンスターク装置を用いて脱水しながら2時間加熱還流した。反応混合物を飽和重曹水200mlに注ぎ、トルエン200mlで抽出した。有機層を水200ml、飽和食塩水100mlで順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮した。残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘプタン/トルエン=8/2)にて精製し、さらにヘプタンから再結晶してβ−(4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル)−3−フルオロ−4−エトキシスチレン13.2gを得た。
【0261】
第3工程
第2工程で得たβ−(4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル)−3−フルオロ−4−エトキシスチレン13.2g(35.4mmol)をTHF150mlに溶解し窒素雰囲気下にてアセトン−ドライアイス冷媒下で−70℃まで冷却した。この溶液に窒素雰囲気下にてsec−ブチルリチウム(シクロヘキサン、1M n−ヘキサン溶液)46ml(46mmol)を滴下し、滴下後−65℃以下にて2時間攪拌した。次いでジメチルホルムアミド7.8g(106.2mmol)を−65℃にて滴下し、滴下後さらに2時間攪拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水200mlに注ぎ、ヘプタン200mlで抽出した。有機層を水300ml、飽和食塩水100mlで順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮し、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘプタン/トルエン=7/3)にて精製し、β−(4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル)−2−ホルミル−3−フルオロ−4−エトキシスチレン5.5gを得た。
【0262】
第4工程
第3工程で得られたβ−(4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル)−2−ホルミル−3−フルオロ−4−エトキシスチレン5.5g(13.7mmol)をジクロロメタン100mlに溶解し窒素雰囲気下にて0℃まで冷却後、ジエチルアミノサルファートリフオリド(DAST)6.6g(41.1mmol)を添加し、さらに室温で20時間攪拌した。この溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液300mlに注ぎ、ヘプタン200mlで抽出した。有機層を水300ml、飽和食塩水200mlで順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮した。残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘプタン/トルエン=9/1)にて精製し、さらにヘプタン/エタノール混合溶媒から2回再結晶することにより、純粋なβ−(4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル)−2−ジフルオロメチル−3−フルオロ−4−エトキシスチレン2.1gを得た。この化合物は液晶相を示し、その転移点は以下の通りである。
C 69.0 N 168.7 Iso
H−NMR(CDCl):δ(ppm);7.23(d,1H)、7.02(t,1H)、6.97(t,1H)、6.71(d,1H)、6.00(dd,1H)、4.10(q,2H)、2.09−2.04(m,1H)、1.86−1.70(m,8H)、1.44(t,3H)、1.34−1.27(m,2H)、1.17−0.94(m,11H)、0.87(t,3H)、0.89−0.81(m,2H).
【実施例6】
【0263】
1−(2−ジフルオロメチル−3−フルオロ−4−エトキシフェニル)−2−(4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル)エタン(化合物No.1−3−13)の合成


実施例5で得られるβ−(4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル)−2−ジフルオロメチル−3−フルオロ−4−エトキシスチレン1.6gをトルエン−ソルミックス混合溶媒25mLに溶解した。この溶液に窒素雰囲気下にてパラジウム炭素触媒を加え、常温常圧にて2日間水素添加反応を行った。反応終了後、触媒を濾過により除去した。濾液を減圧下に濃縮し、残さを(溶離液:ヘプタン/トルエン=9/1)にて精製し、1−(2−ジフルオロメチル−3−フルオロ−4−エトキシフェニル)−2−(4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル)エタンを得る。このものをさらにヘプタン/エタノール混合溶媒から2回再結晶し、純粋な1−(2−ジフルオロメチル−3−フルオロ−4−エトキシフェニル)−2−(4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル)エタンを得た。この化合物は液晶相を示し、その転移点は以下の通りであった。
C 76.6 (SmA 49.1) N 120.4 Iso
H NMR(CDCl):δ(ppm);7.02(t,1H)、7.00(d,1H)、6.96(t,1H)、4.11(q,2H)、1.86−1.71(m,8H)、1.46(t,3H)、1.37−1.15(m,6H)、1.04−0.93(m,8H)、0.90(t,3H)、0.91−0.83(m,2H).
【実施例7】
【0264】
β−(4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル)−2−トリフルオロメチル−3−フルオロ−4−エトキシスチレン(化合物No.2−3−3)の合成

【0265】
第1工程
窒素雰囲気下、sec−ブチルリチウム(1.0mol/L)42.4mLをTHF60mLに溶解させた2−フルオロ−2−トリフルオロメチル−6−トリメチルシリルエトキシベンゼン10.0g(35.7mmol)へ−78℃にて滴下し、同温にて2時間撹拌した。次いでこの溶液に(4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル)アセトアルデヒド10.7g(42.8mmol)のTHF溶液22mlを滴下し同温にて1時間攪拌した後、室温まで昇温させ、終夜撹拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水100mlに注ぎ、トルエン200mlで抽出した。有機層を水100ml、飽和食塩水100mlで順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮し、粗製の1−ヒドロキシ−1−(2−トリフルオロメチル−3−フルオロ−4−エトキシ−5−トリメチルシリルフェニル)−2−(4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル)エタンを20.7g得た。
【0266】
第2工程
第1工程で得られた粗製の1−ヒドロキシ−1−(2−トリフルオロメチル−3−フルオロ−4−エトキシ−5−トリメチルシリルフェニル)−2−(4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル)エタン20.7gをトルエンに溶解した。p−トルエンスルホン酸一水和物0.68g(3.57mmol)を加え、ディーンスターク装置を用いて脱水しながら2時間加熱還流した。反応混合物を飽和重曹水200mlに注ぎ、トルエン200mlで抽出した。有機層を水200ml、飽和食塩水100mlで順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮し、粗製のβ−(4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル)−2−トリフルオロメチル−3−フルオロ−4−エトキシ−5−トリメチルシリルスチレン16.03gを得た。
【0267】
第3工程
粗製のβ−(4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル)−2−トリフルオロメチル−3−フルオロ−4−エトキシ−5−トリメチルシリルスチレン16.03gをTHF35mLに溶解させ、そこへテトラブチルアンモニウムフルオリド/THF溶液(1mol/L)23.4mLを滴下し、2時間撹拌した。反応液を水100mLへ注ぎ、トルエン200mLて抽出した。有機層を飽和食塩水100mLで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘプタン/トルエン=8/2)にて精製し、さらにヘプタン/エタノール混合溶媒から2回再結晶し、β−(4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル)−2−トリフルオロメチル−3−フルオロ−4−エトキシスチレン7.89gを得た。この化合物は液晶相を示し、その転移点は以下の通りであった。
C 83.0 N 149.3 Iso
H−NMR(CDCl):δ(ppm);7.17(d,1H)、7.01(t,1H)、6.59(d,1H)、5.91(dd,1H)、4.09(q,2H)、2.07−2.01(m,1H)、1.85−1.70(m,8H)、1.44(t,3H)、1.34−1.27(m,2H)、1.15−0.93(m,11H)、0.87(t,3H)、0.89−0.81(m,2H).
【実施例8】
【0268】
1−(2−トリフルオロメチル−3−フルオロ−4−エトキシフェニル)−2−(4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル)エタン(化合物No.2−3−12)の合成


実施例7で得られたβ−(4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル)−2−トリフルオロメチル−3−フルオロ−4−エトキシスチレン7.89gをトルエン−ソルミックス混合溶媒200mLに溶解した。この溶液に窒素雰囲気下にてパラジウム炭素触媒を加え、常温常圧にて2日間水素添加反応を行った。反応終了後、触媒を濾過により除去した。濾液を減圧下に濃縮し、残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘプタン:トルエン=4:1)にて精製し、1−(2−トリフルオロメチル−3−フルオロ−4−エトキシフェニル)−2−(4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル)エタンを得る。このものをさらにヘプタン/エタノール混合溶媒から2回再結晶し、純粋な1−(2−トリフルオロメチル−3−フルオロ−4−エトキシフェニル)−2−(4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル)エタン5.35gを得た。この化合物は液晶相を示し、その転移点は以下の通りであった。
C 68.0 (SmA 44.9) N 112.8 Iso
H−NMR(CDCl):δ(ppm);7.01(t,1H)、6.92(d,1H)、4.08(q,2H)、2.69(m,2H)、1.81−1.68(m,8H)、1.43(t,3H)、1.45−1.39(m,2H)、1.33−1.12(m,6H)、1.00−0.92(m,8H)、0.87(t,3H)、0.90−0.80(m,2H).
【実施例9】
【0269】
4−(4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル)メトキシ−3−トリフルオロメチル−2−フルオロエトキシベンゼン(化合物No.2−3−13)の合成

【0270】
第1工程
窒素雰囲気下、THF60mLに溶解させた2−フルオロ−2−トリフルオロメチル−6−トリメチルシリルエトキシベンゼン20.0g(71.4mmol)へsec−ブチルリチウム(1.0mol/L)85.7mLを−78℃にて滴下し、同温にて2時間撹拌した。次いでこの溶液に臭素13.7g(85.7mmol)を滴下し同温にて1時間攪拌した後、室温まで昇温させ、終夜撹拌した。反応混合物を水100mlに注ぎ、トルエン200mlで抽出した。有機層を水100ml、飽和食塩水100mlで順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮し、粗製の2−トリフルオロメチル−3−フルオロ−4−エトキシ−5−トリメチルシリルブロモベンゼンを27.8g得た。
【0271】
第2工程
第1工程で得られた粗製の2−トリフルオロメチル−3−フルオロ−4−エトキシ−5−トリメチルシリルブロモベンゼン27.8gをTHF100mLに溶解した。そこへテトラブチルアンモニウムフルオリドTHF溶液(1.0mol/L)100mLを滴下し、一晩撹拌した。反応混合物を水200mlに注ぎ、トルエン200mlで抽出した。有機層を水200ml、飽和食塩水100mlで順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮した。残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘプタン)にて精製し、2−トリフルオロメチル−3−フルオロ−4−エトキシブロモベンゼン15.0gを得た。
【0272】
第3工程
第2工程で得た(2−トリフルオロメチル−3−フルオロ−4−エトキシブロモベンゼン15.0g13.2g(52.2mmol)をTHF50mlに溶解し窒素雰囲気下にてアセトン−ドライアイス冷媒下で−70℃まで冷却した。この溶液に窒素雰囲気下にてn−ブチルリチウム(1.56mol/L n−ヘキサン溶液)40ml(62.6mmol)を滴下し、滴下後−65℃以下にて2時間攪拌した。次いでTHF30mLに溶解させたホウ酸トリメチル13.0g(125.2mmol)を−65℃にて滴下し、滴下後さらに1時間攪拌した後室温に昇温させ1晩撹拌した。反応混合物を3N−塩酸200mlに注ぎ、酢酸エチル200mlで抽出した。有機層を水300ml、飽和食塩水100mlで順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮し、粗製の2−トリフルオロメチル−3−フルオロ−4−エトキシフェニルホウ酸を13.8g得た。
【0273】
第4工程
THF100mlに溶解させた第3工程で得られた粗製の2−トリフルオロメチル−3−フルオロ−4−エトキシフェニルホウ酸13.8g(52.2mmol)へ、30%過酸化水素水16.2g(104.4mmol)を滴下し、さらに室温で2時間攪拌した。この溶液を飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液300mlに注ぎ、酢酸エチル200mlで抽出した。有機層を飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液300mL、水300ml、飽和食塩水200mlで順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮した。残さを蒸留にて精製し、さらにヘプタン/エタノール混合溶媒から2回再結晶することにより、純粋な2−トリフルオロメチル−3−フルオロ−4−エトキシフェノール5.67gを得た。
【0274】
第5工程
第4工程で得られた2−トリフルオロメチル−3−フルオロ−4−エトキシフェノール3.0g(13.4mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド70mLに溶解させ、そこへ4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシルブロモメタン4.44g(14.7mmol)、炭酸カリウム2.03g(14.7mmol)、テトラブチルアンモニウムブロミド0.22g(0.67mmol)を加え、3時間加熱還流させた。室温に冷却した後、この溶液を水300mlに注ぎ、トルエン200mlで抽出した。有機層を水300ml、飽和食塩水200mlで順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下に濃縮した。残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製(溶離液:ヘプタン:トルエン=7:1)にて精製し、さらにヘプタン/エタノール混合溶媒から2回再結晶することにより、純粋な4−(4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル)メトキシ−3−トリフルオロメチル−2−フルオロエトキシベンゼン(化合物No.2−3−13)3.01gを得た。この化合物は液晶相を示した。
H−NMR(CDCl):δ(ppm);6.69(d,1H)、6.59(t,1H)、4.12(q,2H)、3.73(d,2H)、1.97−1.91(m,2H)、1.80−1.70(m,7H)、1.37(t,3H)、1.34−1.27(m,2H)、1.15−0.94(m,11H)、0.87(t,3H)、0.89−0.81(m,2H).
【実施例10】
【0275】
前記の合成法および実施例1〜9を応用することによって、下記の化合物No.1−1−1〜No.2−9−9を合成する。
【0276】

【0277】

【0278】

【0279】

【0280】

【0281】

【0282】

【0283】

【0284】

【0285】

【0286】

【0287】

【0288】

【0289】

【0290】

【0291】

【0292】

【0293】

【0294】

【0295】

【0296】

【0297】

【0298】

【0299】

【0300】

【0301】

【0302】

【0303】

【0304】

【0305】

【0306】

【0307】

【0308】

【0309】

【0310】

【0311】

【0312】

【実施例11】
【0313】
次の5つの化合物を混合して、ネマチック相を有する組成物(母液晶A)を調製した。(母液晶A)



母液晶Aの物性は次のとおりであった。上限温度(NI)=74.0℃;粘度(η20)=18.9mPa・s;光学異方性(Δn)=0.087;誘電率異方性(Δε)=−1.3。
【0314】
母液晶Aの85%と実施例2で得られる4−(4−プロピルシクロヘキシル)フェニル−2−フルオロ−3−ジフルオロメチル−エトキシベンゼン(化合物No.1−3−5)の15%とからなる組成物Bを調製した。組成物Bの物性値は次のとおりである。
光学異方性(Δn)=0.096;誘電率異方性(Δε)=−2.4。
化合物No.1−3−5を加えることによって、誘電率異方性が負に大きくなり、液晶表示素子にしたときに低い駆動電圧を有することが分かった。
【実施例12】
【0315】
母液晶Aの85%と実施例8で得られた4−(4−プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル)エチル)−2−フルオロ−3−トリフルオロメチル−エトキシベンゼン(化合物No.2−3−12)の15%とからなる組成物Bを調製した。組成物Bの物性値は次のとおりであった。
光学異方性(Δn)=0.086;誘電率異方性(Δε)=−2.21。
化合物No.2−3−12を加えることによって、誘電率異方性が負に大きくなり、液晶表示素子にしたときに低い駆動電圧を有することが分かった。
【0316】
[比較例1]
実施例10に記載した組成物Aの85%とWO2000/03963号パンフレットに記載の4−(4−プロピルシクロヘキシル)フェニル−2−フルオロ−3−ジフルオロメチル−エトキシベンゼンの15%とからなる組成物Dを調製した。組成物Dの物性は次のとおりであった。
光学異方性(Δn)=0.096;誘電率異方性(Δε)=−2.1。
【0317】
本発明の代表的な組成物を使用例1〜7にまとめた。最初に、組成物の成分である化合物とその量(重量%)を示し、次に組成物の物性値を示した。化合物は表1の取り決めに従い、左末端基、結合基、環構造、および右末端基の記号によって表示した。1,4−シクロヘキシレンおよび1,3−ジオキサン−2,5−ジイルの立体配置はトランスである。末端基の記号がない場合は、末端基が水素であることを意味する。
【0318】


【0319】
[使用例1]
3−HBB(2CF2H,3F)−O2 (1−3−5) 6%
2−BB(2CF2H,3F)H−3 (1−4−5) 3%
2−BB(2CF2H,3F)B−3 (1−4−6) 6%

1V2−BEB(F,F)−C 6%
3−HB−C 9%
2−BTB−1 10%
5−HH−VFF 24%
3−HHB−1 4%
VFF−HHB−1 8%
VFF2−HHB−1 11%
3−H2BTB−2 5%
3−H2BTB−3 4%
3−H2BTB−4 4%
NI=76.5℃;Δn=0.136;η(20℃)=25.0mPa・s;Δε=4.8.
【0320】
[使用例2]
3−HBB(2CF2H,3F)−O2 (1−3−5) 10%
2−BB(2CF2H,3F)H−3 (1−4−5) 5%

3−HH−4 8%
3−HHB−1 6%
3−HHB(F,F)−F 10%
3−H2HB(F,F)−F 9%
3−HBB(F,F)−F 10%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F 25%
1O1−HBBH−5 7%
2−HHBB(F,F)−F 3%
3−HHBB(F,F)−F 3%
3−HH2BB(F,F)−F 4%
NI=83.0℃;Δn=0.115;η(20℃)=36.9mPa・s;Δε=8.2.
【0321】
[使用例3]
3−HHVB(2CF2H,3F)−O2 (1−3−15) 7%
3−HHVB(2CF3,3F)−O2 (2−3−3) 6%
1−B(2CF2H,3F)O1H−3 (1−2−8) 5%

3−HH−4 5%
3−HH−5 5%
3−HH−O1 3%
3−HH−O3 3%
3−HB−O1 5%
3−HB−O2 5%
3−HB(2F,3F)−O2 10%
5−HB(2F,3F)−O2 10%
3−HHEH−3 2%
3−HHEH−5 2%
4−HHEH−3 2%
2−HHB(2F,3F)−1 4%
3−HHB(2F,3F)−2 4%
3−HHB(2F,3F)−O2 12%
5−HHB(2F,3F)−O2 10%
【0322】
[使用例4]
3−HVB(2CF2H,3F)−O2 (1−1−13) 5%
3−HVB(2CF3,3F)−O2 (2−1−2) 5%
3−HHB(2CF2H,3F)−O2 (1−3−1) 5%

3−HH−4 5%
3−HH−5 5%
3−HH−O1 6%
3−HH−O3 6%
3−HB−O1 5%
3−HB−O2 5%
3−HB(2F,3F)−O2 10%
3−HHEH−3 5%
3−HHEH−5 5%
4−HHEH−3 5%
2−HHB(2F,3F)−1 4%
3−HHB(2F,3F)−O2 12%
5−HHB(2F,3F)−O2 12%
【0323】
[使用例5]
1V−HB(2CF2H,3F)−O2 (1−1−4) 10%
3−HHVB(2CF2H,3F)−O2(1−3−15) 5%

3−HH−4 5%
3−HH−5 5%
3−HH−O1 4%
3−HH−O3 4%
3−HB−O1 4%
3−HB−O2 3%
3−HB(2F,3F)−O2 10%
5−HB(2F,3F)−O2 5%
3−HHEH−3 5%
3−HHEH−5 5%
4−HHEH−3 5%
2−HHB(2F,3F)−1 4%
3−HHB(2F,3F)−2 4%
3−HHB(2F,3F)−O2 12%
5−HHB(2F,3F)−O2 10%
【0324】
[使用例6]
3−HVB(2CF2H,3F)−O2 (1−1−13) 7%
2−BB(2CF2H,3F)H−3 (1−4−5) 5%

3−HH−4 5%
3−HH−5 5%
3−HH−O1 6%
3−HH−O3 6%
3−HB−O1 5%
3−HB−O2 5%
3−HB(2F,3F)−O2 10%
5−HB(2F,3F)−O2 10%
3−HHEH−3 4%
3−HHEH−5 3%
2−HHB(2F,3F)−1 4%
3−HHB(2F,3F)−2 4%
3−HHB(2F,3F)−O2 12%
5−HHB(2F,3F)−O2 9%
【0325】
[使用例7]
3−HBB(2CF2H,3F)−O2 (1−3−5) 10%
2−BB(2CF2H,3F)H−3 (1−4−5) 5%

3−HH−4 5%
3−HH−5 5%
3−HH−O1 3%
3−HH−O3 3%
3−HB−O1 4%
3−HB−O2 4%
3−HB(2F,3F)−O2 10%
5−HB(2F,3F)−O2 10%
3−HHEH−3 5%
3−HHEH−5 5%
4−HHEH−3 5%
2−HHB(2F,3F)−1 4%
3−HHB(2F,3F)−2 4%
3−HHB(2F,3F)−O2 10%
5−HHB(2F,3F)−O2 8%
NI=77.8℃;Δn=0.083;η(20℃)=39.1mPa・s;Δε=−3.7.
上記の組成物100部に(Op−5)を0.25部添加したときのピッチは58.5μmであった。
【産業上の利用可能性】
【0326】
本発明により、負の誘電率異方性を示すと共に、液晶性化合物に必要な一般的物性、熱、光などに対する安定性、適切な光学異方性、適切な誘電率異方性、他の液晶性化合物との優れた相溶性を有するなど、優れた物性バランスを有する液晶性化合物が提供される。この液晶性化合物の少なくとも1つを含有する液晶組成物は、適切なネマチック相、小さな粘度、適切な光学異方性、および低いしきい値電圧を有する。そして、この組成物を含有させることにより、使用できる広い温度範囲、短い応答時間、大きなコントラスト比、低い駆動電圧などを有する液晶表示素子を製造できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)または式(2)で表される化合物:


ここに、RaおよびRbは独立して水素または炭素数1〜20のアルキルであり;このアルキルにおいて、任意の−CH−は−O−、−S−、−CO−または−SiH−で置き換えられてもよく、任意の−(CH−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
、A11、A12、A、A21およびA22は独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、またはナフタレン−2,6−ジイルであり;これらの環において、1つのまたは隣り合わない2つの−CH−は−O−、−S−、−CO−または−SiH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられもよく;
Yは単結合、−(CH−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CFO−、−OCF−、−CHCO−、−COCH−、−CHSiH−、−SiHCH−、−(CH−、−CH=CH−(CH−、−(CH−CH=CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−であり
11、Z12、Z、Z21およびZ22は、独立して単結合、−(CH−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CHCO−、−COCH−、−(CH−、−(CH−O−、−O−(CH−、−CH=CH−(CH−、−(CH−CH=CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−であり;
j、k、m、n、pおよびqは独立して0または1であり、そしてこれらの合計は1、2、または3であり;
mが0であるとき、jおよびkはどちらも0でありRaは水素、アルコキシおよびアルコキシメチルのいずれでもなく、nが1であり、そして、Zは、単結合、−(CH−、−COO−、−OCO−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH−、−(CH−O−、−CH=CH−(CH−、−(CH−CH=CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CHである。
【請求項2】
j、kおよびmの合計、並びにn、pおよびqの合計が独立して1または2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式(1−1)〜式(1−9)いずれか1つで表される、請求項1に記載の化合物:


ここに、RaおよびRbは独立して水素または炭素数1〜20のアルキルであり;このアルキルにおいて、末端に位置しない任意の−CH−は、−O−、−S−または−CO−で置き換えられてもよく、任意の−(CH−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
、A11、A12、A、A21およびA22は、独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、またはナフタレン−2,6−ジイルであり;これらの環において、1つのまたは隣り合わない2つの−CH−は−O−、−S−、または−CO−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はハロゲンで置き換えられもよく;
Yは単結合、−(CH−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CFO−、−OCF−、−CHCO−、−COCH−、−CHSiH−、−SiHCH−、−(CH−、−CH=CH−(CH−、−(CH−CH=CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−であり
11、Z12、Z、Z21およびZ22は、独立して単結合、−(CH−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CHCO−、−COCH−、−(CH−、−(CH−O−、−O−(CH−、−CH=CH−(CH−、−(CH−CH=CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−であり;
式(1−2)、式(1−5)および式(1−9)において、Raは水素、アルコキシおよびアルコキシメチルのいずれでもなく、は、単結合、−(CH−、−COO−、−OCO−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH−、−(CH−O−、−CH=CH−(CH−、−(CH−CH=CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CHである。
【請求項4】
RaおよびRbが独立して炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜10のアルコキシ、炭素数2〜10のアルコキシアルキル、炭素数2〜10のアルケニル、炭素数3〜10のアルケニルオキシ、炭素数1〜10のパーフルオロアルキル、または炭素数1〜10のパーフルオロアルコキシであり;
、A11、A12、A、A21およびA22が、独立して1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、4,6−ジオキサン−2,5−ジイル、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、3−フルオロ1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、またはナフタレン−2,6−ジイルであり;
11およびZ12が、独立して単結合、−(CH−、−COO−、−OCO−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−(CH−、−CH=CH−(CH−、−(CH−CH=CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−であり;
、Z21およびZ22が、独立して単結合、−(CH−、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH−、−(CH−O−、−O−(CH−、−CH=CH−(CH−、−(CH−CH=CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−であり;
Yが単結合、−(CH−、−CH=CH−、−CFO−、−OCF、−(CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−であり;
そして、Wが−(CH−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−(CH−、−(CH−O−、−O−(CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
RaおよびRbが、独立して炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜10のアルコキシ、炭素数2〜10のアルコキシアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり;
、A11、A12、A、A21およびA22が、独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、3−フルオロ−1,4−フェニレン、または2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレンであり;
11およびZ12が、独立して単結合、−(CH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−(CH−、−CH=CH−(CH−、−(CH−CH=CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−であり;
、Z21およびZ22が、独立して単結合、−(CH−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−であり;
Yが単結合、−(CH−、−CH=CH−、−CFO−、−OCF、−(CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−であり;
そして、Wが−(CH−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−(CH−、−(CH−O−、−O−(CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−である、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
Raが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、そしてRbが炭素数1〜10のアルコキシであり;
、A11、A12、A、A21およびA22が、独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、または3−フルオロ−1,4−フェニレンであり;
11およびZ12が独立して単結合または−CH=CH−であり;
、Z21およびZ22が独立して単結合、−CHO−、−OCH−、−CFO−、または−OCF−であり;
Yが単結合、−(CH−、−CH=CH−、−CFO−、−OCF、−(CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−であり;
そして、Wが−(CH−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−、−(CH−、−(CH−O−、−O−(CH−、−(CHCFO−、または−OCF(CH−である、請求項3に記載の化合物。
【請求項7】
またはAが1,4−シクロヘキシレンである、請求項3〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
またはAが1,4−フェニレンである、請求項3〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
式(1−1)〜式(1−9)においてYまたはZが単結合であり、そして式(2−1)〜式(2−9)においてZが単結合である、請求項3〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
またはAが1,4−シクロヘキシレンであり、式(1−1)〜式(1−9)においてYまたはZが単結合であ、請求項3〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
またはAが1,4−フェニレンであり、式(1−1)〜式(1−9)においてYまたはZが単結合であ、請求項3〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
式(1−2)、式(1−4)、式(1−5)、式(1−7)、式(1−8)および式(1−9)のいずれか1つで示され;そして、Z−CFO−、または−OCF−である、請求項3〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
式(1−3)で示され;Raが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、そしてRbが炭素数1〜10のアルコキシであり;AおよびA11が共に1,4−シクロヘキシレンであり;そしてYおよびZ11が共に単結合である、請求項3に記載の化合物。
【請求項14】
式(1−3)で示され;Raが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、そしてRbが炭素数1〜10のアルコキシであり;AおよびA11が共に1,4−シクロヘキシレンであり;Yが−CHCH−であり;そしてZ11が単結合である、請求項3に記載の化合物。
【請求項15】
式(1−3)で示され;Raが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、そしてRbが炭素数1〜10のアルコキシであり;Aが1,4−フェニレンであり;A11が1,4−シクロヘキシレンであり;そしてYおよびZ11が共に単結合である、請求項3に記載の化合物。
【請求項16】
式(1−3)で示され;Raが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、そしてRbが炭素数1〜10のアルコキシであり;AおよびA11が共に1,4−フェニレンであり;そしてYおよびZ11が共に単結合である、請求項3〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
式(1−1)で示され;Raが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、そしてRbが炭素数1〜10のアルコキシであり;Aが1,4−シクロヘキシレンであり;そしてYが単結合である、請求項3項に記載の化合物。
【請求項18】
式(1−1)で示され;Raが炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり、そしてRbが炭素数1〜10のアルコキシであり;Aが1,4−シクロヘキシレンであり;そしてYが−CHCH−である、請求項3に記載の化合物。
【請求項19】
式(1−4)で示され;RaおよびRbが独立して炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり;AおよびAが共に1,4−フェニレンであり;そして、YおよびZが共に単結合である、請求項3に記載の化合物。
【請求項20】
式(1−4)で示され;RaおよびRbが独立して炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり;Aが1,4−シクロヘキシレンであり、そしてAが1,4−フェニレンであり;そして、YおよびZが共に単結合である、請求項3に記載の化合物。
【請求項21】
式(1−4)で示され;RaおよびRbが独立して炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数2〜10のアルケニルであり;Aが1,4−フェニレンであり、そしてAが1,4−シクロヘキシレンであり;そして、YおよびZが共に単結合である、請求項3に記載の化合物。
【請求項22】
請求項1に記載の化合物の少なくとも1つを含有し、少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい液晶組成物。
【請求項23】
請求項1に記載の化合物の少なくとも1つと、式(3)、式(4)および式(5)のそれぞれで表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物とを含有し、少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい液晶組成物:


ここに、Rは炭素数1〜10のアルキルであり;このアルキルにおいて、任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−(CH−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;Xはフッ素、塩素、−OCF、−OCHF、−CF、−CHF、−CHF、−OCFCHF、または−OCFCHFCFであり;BおよびDは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルまたは少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;Eは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;ZおよびZは独立して−(CH)−、−(CH)−、−COO−、−CFO−、−OCF−、−CH=CH−または単結合であり;そして、LおよびLは独立して水素またはフッ素である。
【請求項24】
請求項1に記載の化合物の少なくとも1つと、式(6−1)、式(6−2)および式(7)のそれぞれで表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物とを含有し、少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい液晶組成物:


ここに、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり;このアルキルにおいて、任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−(CH)−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;Xは−CNまたは−C≡C−CNであり;Gは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルまたはピリミジン−2,5−ジイルであり;Jは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;Zは−(CH)−、−COO−、−CFO−、−OCF−または単結合であり;L、LおよびLは独立して水素またはフッ素であり;そしてb、cおよびdは独立して0または1である。
【請求項25】
請求項1に記載の化合物の少なくとも1つと、式(8)、式(9)、式(10)、式(11)、および式(12)のそれぞれで表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物とを含有し、少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい液晶組成物:


ここに、Rは炭素数1〜10のアルキルであり、そしてRはフッ素または炭素数1〜10のアルキルであり;これらのアルキルにおいて、任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−(CH)−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;MおよびPは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレンまたはデカヒドロ−2,6−ナフチレンであり;ZおよびZは独立して−(CH)−、−COO−または単結合であり;LおよびLは独立して水素またはフッ素であり;そして、LとLの少なくとも1つはフッ素である。
【請求項26】
請求項1に記載の化合物の少なくとも1つと、式(13)、式(14)および式(15)のそれぞれで表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物とを含有し、少なくとも1つの光学活性化合物を含有してもよい液晶組成物:


ここに、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり;このアルキルにおいて、任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−(CH)−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;Q、TおよびUは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、ピリミジン−2、5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;そして、ZおよびZ10は独立して−C≡C−、−COO−、−(CH−、−CH=CH−、−CHO−または単結合である。
【請求項27】
式(6−1)、式(6−2)および式(7)のそれぞれで表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、請求項23に記載の液晶組成物:


ここに、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり;このアルキルにおいて、任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−(CH)−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;Xは−CNまたは−C≡C−CNであり;Gは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイルまたはピリミジン−2,5−ジイルであり;Jは1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;Zは−(CH)−、−COO−、−CFO−、−OCF−または単結合であり;L、LおよびLは独立して水素またはフッ素であり;そしてb、cおよびdは独立して0または1である。
【請求項28】
式(13)、式(14)および式(15)のそれぞれで表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、請求項23に記載の液晶組成物:


ここに、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり;このアルキルにおいて、任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−(CH)−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;Q、TおよびUは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、ピリミジン−2、5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;そして、ZおよびZ10は独立して−C≡C−、−COO−、−(CH−、−CH=CH−、−CHO−または単結合である。
【請求項29】
式(13)、式(14)および式(15)のそれぞれで表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、請求項24に記載の液晶組成物:


ここに、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり;このアルキルにおいて、任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−(CH)−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;Q、TおよびUは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、ピリミジン−2、5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;そして、ZおよびZ10は独立して−C≡C−、−COO−、−(CH−、−CH=CH−、−CHO−または単結合である。
【請求項30】
式(13)、式(14)および式(15)のそれぞれで表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、請求項25に記載の液晶組成物:


ここに、RおよびRは独立して炭素数1〜10のアルキルであり;このアルキルにおいて、任意の−CH−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−(CH)−は−CH=CH−で置き換えられてもよく、そして任意の水素はフッ素で置き換えられてもよく;Q、TおよびUは独立して1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、ピリミジン−2、5−ジイル、または少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンであり;そして、ZおよびZ10は独立して−C≡C−、−COO−、−(CH−、−CH=CH−、−CHO−または単結合である。
【請求項31】
液晶表示素子を製造するための、請求項2230のいずれか1項に記載の液晶組成物の使用。
【請求項32】
請求項2230のいずれか1項に記載の液晶組成物を含有する液晶表示素子。

【公開番号】特開2011−173894(P2011−173894A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76033(P2011−76033)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【分割の表示】特願2006−511662(P2006−511662)の分割
【原出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(311002067)JNC株式会社 (208)
【出願人】(596032100)チッソ石油化学株式会社 (309)
【Fターム(参考)】