説明

ベンゾインデンプロスタグランジンの合成のための中間体及びその製造法

【課題】ベンゾインデンプロスタグランジン及びその中間体の新規製造方法を提供する。
【解決手段】光学活性シクロペンタノン誘導体を原料として、1E)−トリブチル−スタンニル−(3S)−tert−ブチルジメチルシリオキシオクテン等との反応により下記式の上記化合物の中間体を合成し、更にメチレン化、分子内アルキル化による環化、保護基の脱離等を経て、トレプロスチニルが合成できる。


(式中Bnはベンジル基を、TBSはtert−ブチルジメチルシルきをあらわす。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンゾインデンプロスタグランジンの製造に有用な、式1:
【化1】

で表されるシクロペンタノンの新規な製造方法に関する。本発明は、また、この方法から製造される新規シクロペンタノンに関する。
【背景技術】
【0002】
フローラン(エポプロステノール)は、肺高血圧症治療のために食品医薬品局(FDA)に承認された最初の薬剤である。しかし、エポプロステノールは、非常に不安定であり、通常その半減期は、約3〜5分間であるため、継続的に静脈内に投与せねばならず、低温で保存する必要がある。UT15(トレプロスチニル)等のベンゾインデンプロスタグランジンは、エポプロステノール誘導体であり、肺高血圧症治療のための新薬である。ベンゾインデンプロスタグランジンは、エポプロステノールより安定であるため、より簡便でより安全に使用できる。
【0003】
スキーム1に示すように、式1aで表されるシクロペンタノンは、UT15等のベンゾインデンプロスタグランジン合成のための重要な中間体である(Tetrahedron Letters(1982)、23(20)、2067〜70)。
スキーム1
【化2】

【0004】
しかし、スキーム2に示すように、式1aで表されるシクロペンタノンの合成は、中間体Bから開始して8ステップを行う必要があり(J.Org.Chem.、43巻、11号、1978年)、中間体Bの合成ステップを含む20以上の化学ステップを含むことになる。このような合成は、非常に複雑で、収率が低い。
スキーム2
【化3】

【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、より少ないステップ数で、操作がより簡単な、式1で表されるシクロペンタノン及びベンゾインデンプロスタグランジンの製造方法が本産業分野で望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、光学活性なシクロペンタノン1の新規な製造方法及び新規シクロペンタノンを提供する。
【0007】
本発明は、また、ベンゾインデンプロスタグランジンの新規な製造方法及びベンゾインデンプロスタグランジンの新規中間体を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
I.定義
本明細書において「アルキル」とは、メチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル等、1〜30個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐鎖の炭化水素基、又はシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メンチル等、3〜10個の炭素原子を有する環状飽和炭化水素基を意味する。
【0009】
本明細書において「低級アルキル」とは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル等、1〜6個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖アルキルを意味する。
【0010】
本明細書において「アリール」とは、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル等、単環式又は多環式芳香族炭化水素基を意味する。このアリールは、1以上の置換基で必要に応じて置換されることができ、置換基としては、ハロゲン、アルコキシル、チオアルコキシル、アルキル及びアリールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0011】
本明細書において「アラルキル」とは、ベンジル、ベンズヒドリル、フルオレニルメチルその他等、1〜20個の炭素原子及び1以上の上述のアリール基を有する直鎖又は分岐鎖炭化水素を意味する。
【0012】
上述のアルキル、アリール及びアラルキルのそれぞれは、ハロゲン、アルキル、アリール、アルコキシル、アリールオキシ、チオアルコキシル、チオアリールオキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、シアノ、ニトロ、アルコキシカルボニル、アリールカルボニル、アリールアミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル及びカルボニルからなる群から選択される1以上の置換基、又はピリジニル、チオフェニル、フラニル、イミダゾリル、モルフォリニル、オキサゾリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、ピロリジニル及びピロリジノニル等からなる群から選択される複素環基で必要に応じて置換されていてよい。
【0013】
【化4】

II.本発明の説明
【0014】
式1:
【化5】

で表されるシクロペンタノン(式中、R2は、単結合、C14アルキレン又は式−CH2O−で表される基を表し;R3は、C17アルキル、アリール又はアラルキル基であって、それぞれ非置換又はC14アルキル、ハロゲン若しくはトリハロメチルで置換されている基を表し;
【化6】

1は、好ましくは酸に安定なフェノール基の保護基であり、非置換アルキル、アリル、非置換若しくは置換ベンジル、アセチル、アルキルカルボニル、メトキシメチル、メトキシチオメチル、2−メトキシエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、4−メトキシテトラヒドロピラニル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、トリフェニルメチル又はSiRabc(式中、Ra、Rb及びRcは、それぞれ独立して、C18アルキル、フェニル、ベンジル、置換フェニル又は置換ベンジル表す)を含むが、これらに限定されず、より好ましくは、P1は、アリル、非置換又は置換ベンジル、アセチル、アルキルカルボニル及びSiRabc(式中、Ra、Rb及びRcは、それぞれ独立してC18アルキル、フェニル、ベンジル、置換フェニル又は置換ベンジルを表す)から選択され;P2及びP3は、同一又は異なって、好ましくは塩基に安定なヒドロキシ基の保護基を表し、メトキシメチル、メトキシチオメチル、2−メトキシエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、4−メトキシテトラヒドロピラニル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、トリフェニルメチル及びSiRabc(式中、Ra、Rb及びRcは、それぞれ独立してC18アルキル、フェニル、ベンジル、置換フェニル又は置換ベンジルを表す)を含むが、これらに限定されない)は、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、ジメトキシエタン、トルエン、ヘプタン、ヘキサン又はこれらの混合物であってよい適切な溶媒中、好ましくは−100℃〜40℃の温度で、式II−1で表されるハロゲン化物、式II−2で表されるビニルスタンナン又は式II−3で表されるアルキン
【化7】

(式中、Xは、ハロゲンを表し;R4は、低級アルキルを表し;
【化8】

本明細書の一部を構成するものとしてその全体をここに援用するChenら、1978、J.Org.Chem.、43、3450、米国特許第4,233,231号明細書、米国特許第4,415,501号明細書及び米国特許第6,294,679号明細書に記載される)から誘導される銅酸塩のエナンチオマーリッチなω−側鎖単位と、式III:
【化9】

で表される光学活性シクロペンテノン(式中、P1及びP2は、上に定義した通り)とのカップリング反応により製造される。
【0015】
式IIIで表される光学活性シクロペンテノンは、同日出願された同時係属特許出願である発明の名称「PROCESSES FOR PREPARING CYCLOPENTENONES AND NOVEL CYCLOPENTENONES FOR THE SYNTHESIS OF BENZINDENE PROSTAGLANDINS」に開示されている方法に従って製造することができる。その後、反応物は、塩基(水酸化アンモニウム等)でクエンチされ、通常の後処理に付される。得られた粗生成物は、カラムクロマトグラフィー又は再結晶化等、常法により精製することができる。或いは未精製の生成物は、次の反応に直接用いることもできる。本発明において、粗生成物1の精製は、得られたシクロペンタノン1のP2及びP3保護基を脱保護すること、カップリング反応から得られた不純物又は異性体を結晶化により除去することと、ヒドロキシ基を再度保護して式1で表される高純度のシクロペンタノンを得ることとを含む。
【0016】
スキーム3に示すように、式6で表される化合物(式中、R2、R3
【化10】

2及びP3は、上に定義した通り)は、式1で表されるシクロペンタノンから製造される。
スキーム3
【化11】

【0017】
スキーム3のステップ(a)に示すように、式1で表されるシクロペンタノンは、ジブロモメタン、亜鉛及び塩化チタン(IV)から製造されるノザキ−ロンバルド試薬(Bull.Chem.Soc.Jpn.、53.1698(1980))によるメチレン化に付されると式2で表される化合物となる。この反応は、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、エーテル、トルエン、ヘキサン又はこれらの混合物から選択される溶媒等の任意の適切な溶媒中で行うことができる。この反応は、−50℃〜100℃、好ましくは−20℃〜室温で行われる。ノザキ−ロンバルド試薬は、薄層クロマトグラフィー(TLC)によるモニターにおいて反応物が完全に反応するような量で用いられる。反応後、式2で表される化合物は、過剰な試薬の除去、抽出、脱水、濃縮等の後処理により反応混合物から単離することができる。生成物は、カラムクロマトグラフィー又は結晶化により更に精製することができる。
【0018】
J.Am.Chem.Soc.95、6462(1973)においてJohnsonが示すように、2段階手順によってメチレン基を導入することもできる。例えば、式1で表されるシクロペンタノンは、メチルフェニル−N−メチル−スルホキシイミンの陰イオンと適切な溶媒中で反応し、得られた粗付加物は、水−酢酸−テトラヒドロフランの溶媒混合物中においてアルミニウムアマルガムで処理されて、式2で表される化合物が生成する。
【0019】
式2で表される化合物は、P2及びP3保護基を除去して、式2で表される対応するシクロペンタノン(式中、P2及びP3は、水素原子(H)に置換されている)を得ることと、不純物又は式2で表される異性体を同時に除去しつつ式2で表される対応するシクロペンタノンを結晶化により精製することと、ヒドロキシ基を再度保護して、ヒドロキシル基の同一又は異なる保護基を有する式2で表される高純度のシクロペンタノンを得ることと、により精製することができる。
【0020】
スキーム3のステップ(b)に示すように、式2で表される化合物は、式3で表されるアルコール化合物へと更に転換される。本発明において、式2で表される化合物は、9−ボラビシクロ[3,3,1]ノナン(9−BBN)等のホウ素試薬と反応し、続いて塩基性過酸化水素により酸化され、式3で表されるアルコール化合物を生じる。
【0021】
スキーム3のステップ(c)に示すように、式3で表されるアルコール化合物は、スルホニル化反応に更に付され、式4で表される化合物(式中、X1は、メタンスルホニル又はp−トルエンスルホニル等のアルキルスルホニル、アリールスルホニル又はアラルキルスルホニルである)を生じる。スルホニル化反応は、アミン(トリエチルアミン等)塩基の存在下で、塩化メタンスルホニル又は塩化p−トルエンスルホニル等の適切なスルホニル供与体を用いることにより達成される。
【0022】
スキーム3のステップ(d)に示すように、式4で表される化合物は、脱保護反応に付されてP1が水素原子(H)に置換される。又は脱保護反応と共にω−側鎖の二重結合の水素化に付される。脱保護に適切な条件は、P1の種類に依存する。P1がトリアルキルシリルである場合、脱保護反応は、フッ化テトラブチルアンモニウム等のフッ化物イオンを用いて達成される。P1が非置換又は置換ベンジルである場合、脱保護反応は、適切な溶媒中水素の存在下、水素化触媒及び適切な塩基/求電子試薬を用いて達成される。適切な水素化触媒は、パラジウム、白金、ロジウム、ニッケル及びこれらの混合物からなる群から選択される金属を含有する。触媒の例としては、パラジウム炭素(Pd−C)、白金−炭素触媒(Pt−C)及びニッケル触媒(Ni)が挙げられる。適切な溶媒は、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、トルエン又はこれらの混合物から選択することができる。式4で表される化合物(式中、P1は、非置換又は置換ベンジルであり、
【化12】

の水素化は、式5で表される化合物(式中、
【化13】

を得て終了したとしても、式5で表される化合物(式中、
【化14】

を得るために、HPLC又はTLCによりモニターしつつ継続することができる。
【0023】
スキーム3のステップ(e)に示すように、式5で表される化合物は、分子内アルキル化に更に付される。分子内アルキル化は、適切な溶媒中で適切な塩基を用いて達成される。適切な塩基は、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウム、カリウムtert−ブトキシド若しくはブチルリチウム及びこれらの混合物から選択することができる。適切な溶媒は、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、グリム、トルエン及びこれらの混合物から選択することができる。分子内アルキル化は、式IV:
【化15】

で表される少量のパラ環化異性体を生じるであろう。
【0024】
パラ環化異性体は、カラムクロマトグラフィーによって除去しても、或いはベンゾインデンプロスタグランジンの結晶中間体を得るための後続の結晶化ステップにおいて除去してもよい。
【0025】
本発明は、その一実施形態において、
【0026】
(1)式III:
【化16】

で表される化合物(式中、P1及びP2は、上に定義した通り)を式II−1a、式II−2又は式II−3で表される化合物
【化17】

(式中、X、R2、R3、R4及びP3は、上に定義した通り)から誘導される銅酸塩と反応させて、式1c:
【化18】

で表される化合物を製造するステップと、
【0027】
(2)式1c:
【化19】

で表される化合物のケトン基をメチレン化して、式2cで表されるメチレン化合物を製造するステップと、
【0028】
(3)式2c:
【化20】

で表される化合物を9−ボラビシクロ[3,3,1]ノナン等のホウ素試薬によりヒドロホウ素化し、続いて塩基性過酸化水素により酸化して式3cで表されるアルコール化合物を得るステップと、
【0029】
(4)式3cで表される化合物を、塩基の存在下で塩化メタンスルホニル又は塩化p−トルエンスルホニル等のスルホニル供与体によりスルホニル化して、式4c:
【化21】

で表される化合物(式中、X1はスルホニル基を表す)を生成するステップと、
【0030】
(5)P1基を除去し、ω−側鎖における二重結合を水素化して、式5c:
【化22】

で表される化合物を生成するステップと、
【0031】
(6)式5cで表される化合物を分子内アルキル化して、式6c:
【化23】

(式中、P2、P3、R2及びR3は、上に定義した通り)で表される化合物を生成するステップと、
を含む、式6cで表される化合物の製造方法を提供する。
【0032】
ステップ(2)のメチレン化は、ジブロモメタン、亜鉛及び塩化チタン(IV)から製造されたノザキ−ロンバルド試薬の存在下で行うか、又は式1cで表される化合物をメチルフェニル−N−メチル−スルホキシイミンの陰イオンと適切な溶媒中で反応させることにより行い、続いて、得られた粗付加物を水−酢酸−テトラヒドロフランの溶媒混合物中においてアルミニウムアマルガムで処理することにより行うことができる。
【0033】
本発明の好ましい実施形態においては、式6cにおいてR2は、単結合であり、R3はアミルである。P1は、非置換又は置換ベンジルであり、P2及びP3は、独立して、好ましくはメトキシメチル、メトキシチオメチル、2−メトキシエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、4−メトキシテトラヒドロピラニル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、トリフェニルメチル及びSiRabc(式中、Ra、Rb及びRcは、それぞれ独立してC18アルキルである)から選択される、ヒドロキシ基の保護基である。
【0034】
スキーム4に示すように、UT−15は、式6(式中、
【化24】

2は単結合であり;R3はアミルであり;P2及びP3は、ヒドロキシ基の保護基である)で表される化合物に対応する式6bで表される化合物から容易に製造することができる。
スキーム4
【化25】

【0035】
スキーム4に示す方法は、
(a)式6bで表される化合物のフェノール基を、XCH2CN又はXCH2COOR5(式中、Xは、塩素(Cl)、臭素(Br)又はヨウ素(I)等のハロゲンであり;R5はアルキルである)で表されるアルキル化剤でアルキル化することと、
(b)−CN基又は−COOR5基を塩基で加水分解して−COOH基を生成することと、
(c)保護基P2及びP3を除去することと、
を含む。
【0036】
上述のUT−15の製造方法は、(a)(b)(c)、(a)(c)(b)又は(c)(a)(b)の順序等、いかなる順序でも実施できる。本方法は、(c)(a)(b)の順序で実施されることが好ましい。
【0037】
スキーム5に示すように、UT−15は、式6(式中、
【化26】

2は単結合であり;R3はアミルであり;P2及びP3は、ヒドロキシ基の保護基である)で表される化合物に対応する式6dで表される化合物から製造することもできる。
スキーム5
【化27】

【0038】
本方法は、上述のステップ(a)、(b)及び(c)に加え、式6dで表される化合物の二重結合、式9(式中、B、P2'及びP3'は、水素原子(H)である)で表される化合物の二重結合、式9(式中、Bは−CH2COOR5であり、P2'及びP3'は、水素原子(H)又は保護基である)で表される化合物の二重結合又は式9(式中、Bは−CH2COOHであり、P2'及びP3'は、水素原子(H)又は保護基である)で表される化合物の二重結合に、水素化触媒及び適切な塩基/求電子試薬の存在下、水素を含む適切な溶媒中で水素化するステップ(d)を含む。
【0039】
これらのステップは、(a)(b)(c)(d)、(a)(b)(d)(c)、(d)(a)(b)(c)、(a)(c)(b)(d)、(a)(c)(d)(b)、(a)(d)(c)(b)、(d)(a)(c)(b)、(c)(a)(b)(d)、(c)(a)(d)(b)又は(c)(d)(a)(b)の順序等、いかなる順序でも実施できる。例えば、先ず、式6dで表される化合物が、式6bで表される化合物となるよう水素化され(即ち、ステップ(d)を行う)、次に、任意の順序のステップ(a)、(b)及び(c)に付すことができる。好ましくは、(c)(d)(a)(b)、(a)(c)(b)(d)又は(a)(b)(c)(d)の順序で実施される。
【0040】
本発明は、その一実施形態において、
【0041】
(1)式IIIa:
【化28】

で表される化合物(式中、P1は、アリル、非置換又は置換ベンジル、アセチル、アルキルカルボニル及びSiRabc(式中、Ra、Rb及びRcは、それぞれ独立してC18アルキル、フェニル、ベンジル、置換フェニル又は置換ベンジルである)を表し;P2は上に定義した通り)を、式II−1a、式II−2又は式II−3:
【化29】

で表される化合物(式中、X、R2、R3、R4及びP3は、上に定義した通り)から誘導される銅酸塩と反応させて、式1d:
【化30】

で表される化合物を生成するステップと、
【0042】
(2)式1dで表される化合物のケトン基をメチレン化して、式2d:
【化31】

で表されるメチレン化合物を生成するステップと、
【0043】
(3)式2dで表される化合物を、9−ボラビシクロ[3,3,1]ノナン等のホウ素試薬によりヒドロホウ素化し、続いて塩基性過酸化水素より酸化して、式3d:
【化32】

で表されるアルコール化合物を得るステップと、
【0044】
(4)式3dで表される化合物を、塩基の存在下で塩化メタンスルホニル又は塩化p−トルエンスルホニル等のスルホニル供与体によりスルホニル化して、式4d:
【化33】

(式中、X1はスルホニル基である)で表される化合物を生成するステップと、
【0045】
(5)P1基を除去して、式5d:
【化34】

で表される化合物を生成するステップと、
【0046】
(6)式5dで表される化合物を分子内アルキル化して、式6d:
【化35】

で表される化合物を生成するステップと、
【0047】
(7)P2及びP3基を除去して、式7d:
【化36】

で表される化合物を生成するステップと、
【0048】
(8)式7dで表される化合物のω−側鎖における二重結合を水素化して、式8d:
【化37】

で表される化合物を生成するステップと、
【0049】
(9)フェノール基を、XCH2CN又はXCH2COOR5(式中、Xは、塩素(Cl)、臭素(Br)又はヨウ素(I)等のハロゲンを表し;R5はアルキルを表す)で表されるアルキル化剤によりアルキル化して、式9d:
【化38】

(式中、Zは−CN又は−COOR5を表す)で表される化合物を生成するステップと、
【0050】
(10)式9dで表される化合物の−CN基又は−COOR5基を塩基により加水分解して、トレプロスチニルを生成するステップとを含む、トレプロスチニル(UT−15)の製造方法を提供する。
【0051】
本発明は、その一実施形態において、式6d:
【化39】

で表される化合物を生成するための上述の(1)〜(6)のステップと、続いて、
【0052】
(7)フェノール基を、XCH2CN又はXCH2COOR5(式中、Xは、塩素(Cl)、臭素(Br)又はヨウ素(I)等のハロゲンを表し;R5は、アルキルを表す)で表されるアルキル化剤によりアルキル化して、式7D:
【化40】

(式中、Zは、−CN又は−COOR5を表す)で表される化合物を生成するステップと、
【0053】
(8)P2及びP3基を除去して、式8D:
【化41】

で表される化合物を生成するステップと、
【0054】
(9)式8Dで表される化合物の−CN基又は−COOR5基を塩基により加水分解して、式9D:
【化42】

で表される化合物を生成するステップと、
【0055】
(10)式9Dで表される化合物のω−側鎖における二重結合を水素化して、トレプロスチニルを生成するステップとを含む、トレプロスチニル(UT−15)の製造方法を提供する。
【0056】
本発明は、その他の一実施形態において、
【0057】
(1)式IIIa:
【化43】

(式中、P1は、アリル、非置換又は置換ベンジル、アセチル、アルキルカルボニル及びSiRabc(式中、Ra、Rb及びRcは、それぞれ独立して、C18アルキル、フェニル、ベンジル、置換フェニル又は置換ベンジルを表す)を表し;P2は、上に定義した通り)で表される化合物を、式II−1b:
【化44】

(式中、X、R2、R3及びP3は、上に定義した通り)で表される化合物から誘導される銅酸塩と反応させて、式1b:
【化45】

で表される化合物を生成するステップと、
【0058】
(2)式1bで表される化合物のケトン基をメチレン化して、式2b:
【化46】

で表されるメチレン化合物を生成するステップと、
【0059】
(3)式2bで表される化合物を、9−ボラビシクロ[3,3,1]ノナン等のホウ素試薬によりヒドロホウ素化し、続いて塩基性過酸化水素により酸化して、式3b:
【化47】

で表されるアルコール化合物を得るステップと、
【0060】
(4)式3bで表される化合物を、塩基の存在下で塩化メタンスルホニル又は塩化p−トルエンスルホニル等のスルホニル供与体によりスルホニル化して、式4b:
【化48】

(式中、X1はスルホニル基である)で表される化合物を生成するステップと、
【0061】
(5)P1基を除去して、式5b:
【化49】

で表される化合物を生成するステップと、
【0062】
(6)式5bで表される化合物を分子内アルキル化して、式6b:
【化50】

で表される化合物を生成するステップと、
【0063】
(7)P2及びP3基を除去して、式8d:
【化51】

で表される化合物を生成するステップと、
【0064】
(8)フェノール基を、XCH2CN又はXCH2COOR5(式中、Xは、塩素(Cl)、臭素(Br)又はヨウ素(I)等のハロゲンを表し;R5は、アルキルを表す)で表されるアルキル化剤によりアルキル化して、式9d:
【化52】

(式中、Zは、−CN又は−COOR5を表す)で表される化合物を生成するステップと、
【0065】
(9)式9dで表される化合物の−CN基又は−COOR5基を塩基により加水分解してトレプロスチニルを生成するステップと、を含む、トレプロスチニル(UT−15)を製造する他の方法を提供する。
【0066】
本発明は、その他の一実施形態において、
【0067】
(1)式6dに表される化合物を、ピリジン、トリエチルアミン、水素化ナトリウム又は水素化カリウム等の塩基の存在下で無水酢酸、塩化アセチル、安息香酸無水物、塩化ベンゾイル又は塩化4−ビフェニルカルボニル等のアシル供与体によりエステル化して、式10d:
【化53】

(式中、Mは、低級アルキル又は非置換若しくは置換フェニルを表し;好ましくは、Mは、メチル、フェニル又は4−フェニルフェニルである)で表されるエステル化合物を生成するステップと、
【0068】
(2)P2及びP3基を除去して、式11d:
【化54】

で表される結晶性化合物を生成するステップと、
【0069】
(3)式11dで表される化合物のω−側鎖における二重結合を水素化し、水素化された化合物を脱アシル化する、又は、先ず、式11dで表される化合物を脱アシル化して、次に、脱アシル化された化合物のω−側鎖における二重結合を水素化して、式8d:
【化55】

で表される化合物を生成するステップと、を含む、式8dで表される高純度化合物を製造する他の方法を提供する。
【0070】
本発明はまた、式1d:
【化56】

【0071】
(式中、
【化57】

2は、単結合、C14アルキレン又は式−CH2O−で表される基を表し;R3は、それぞれ非置換又はC14アルキル、ハロゲン又はトリハロメチルによって置換されたC17アルキル又はアリール又はアラルキル基を表し;P1は、非置換又は置換ベンジルを表し;P2'及びP3'は、それぞれ、ヒドロキシ基の保護基として上に定義されているP2及びP3を表すか、又は互いに独立して水素原子(H)である)に関する。P2'及びP3'がそれぞれP2及びP3である場合、これらは塩基に安定であり、メトキシメチル、メトキシチオメチル、2−メトキシエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、4−メトキシテトラヒドロピラニル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、トリフェニルメチル及びSiRabc(式中、Ra、Rb及びRcは、それぞれ独立してC18アルキル、フェニル、ベンジル、置換フェニル又は置換ベンジルを表す)からそれぞれ選択することができる。
【0072】
本発明はまた、式8D−1:
【化58】

(式中、Zは−CNである)で表される新規結晶性化合物に関する。
【0073】
本発明はまた、式11−1:
【化59】

(式中、Mは、メチル、フェニル又は4−フェニルフェニルを表し;
【化60】

で表される新規化合物に関する。
【0074】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。当業者が為し得る改変や変更は、本明細書の開示及び添付の請求の範囲に含まれる。
実施例1
(2R,3R,4R)−2−(3−(ベンジルオキシ)ベンジル)−4−tert−ブチルジメチルシリオキシ−3−((S,E)−3−tert−ブチルジメチルシリオキシオクト−1−エニル)シクロペンタノン
【化61】

【0075】
12Lの三つ口フラスコを火炎乾燥し、冷却した。この反応フラスコに(1E)−トリブチル−スタンニル−(3S)−tert−ブチルジメチルシリオキシオクテン(520g、0.98mol)及びテトラヒドロフラン(THF)(4L)を添加し、次にn−ブチル−リチウム(612mL、1.6M/ヘキサン)を−70℃で滴下した。THF(1L)にシアン化銅(87.7g、0.98mol)及びメチルリチウム(490mL、2Mエーテル溶液)が溶解させられた均一溶液を−10℃〜−70℃で冷却し、これを反応フラスコに30分間かけて攪拌下で添加した。次に、−70℃の(R)−1−(3−ベンジルオキシ)ベンジル−5−オキソ−3−tert−ブチルジメチルシリオキシシクロペンテン(200g、0.49mol)のTHF(1L)溶液をこの反応混合物に30分間かけて添加した。この反応物を、水酸化アンモニウム(500mL)を含有する飽和塩化アンモニウム(水溶液)(5L)でクエンチした。反応混合物を分相し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合一し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過により固形物を除去し、溶媒を真空下で蒸発させた。シリカゲルを用いたクロマトグラフィー(勾配溶離液:ヘキサン及び酢酸エチルの混合物)により粗生成物を精製した。標題化合物の収量は280gであった(88%)。
【0076】
1H-NMR (CDCl3):δ7.43 (d, 2H), 7.39 (t, 2H), 7.32 (t, 1H), 7.16 (t, 1H), 6.81 (d, 1H), 6.78 (s, 1H), 6.73 (d,1H), 5.55 (dd, 1H), 5.48 (dd, 1H), 5.02 (s, 2H), 4.10~4.02 (m, 2H), 3.05 (d, 1H), 2.80 (d, 1H), 2.60 (d, 1H), 2.42 (dt, 1H), 2.30~2.25 (m, 1H), 2.04 (dd, 1H), 1.47~1.25 (m, 8H), 0.92~0.77 (m, 21H), 0.12~0.01 (m, 12H)
【0077】
13C-NMR (CDCl3):δ215.40, 158.77, 140.51, 137.08, 136.61, 129.27, 128.52, 128.42, 127.85, 127.44, 122.31, 115.97, 112.84, 73.33, 72.69, 69.78, 55.14, 51.64, 47.68., 38.49, 33.28, 31.85, 25.89, 25.09, 22.62, 18.22, 18.04, 14.05, -4.66, -4.67, -4.71
実施例2
(2R,3R,4R)−2−(3−(ベンジルオキシ)ベンジル)−4−−トリエチルシリオキシ−3−((S,E)−3−トリエチルシリオキシオクト−1−エニル)シクロペンタノン
【化62】

【0078】
2L三つ口フラスコを火炎乾燥し、冷却した。この反応フラスコに(1E)−トリブチル−スタンニル−(3S)−トリエチルシリオキシオクテン(127g、0.24mol)及びTHF(1L)を添加し、次にn−ブチル−リチウム(150mL、1.6Mとなるようヘキサンに溶解)を−70℃で滴下した。THF(50mL)にシアン化銅(21.5g、0.24mol)及びメチルリチウム(120mL、2Mエーテル溶液)が溶解させられた均一溶液を−10℃〜−70℃に冷却し、これを反応フラスコに攪拌下で30分間かけて添加した。次に、−70℃の(R)−1−(3−ベンジルオキシ)ベンジル−5−オキソ−3−トリエチルシリオキシ−シクロペンテン(50g、0.12mol)のTHF(500mL)溶液を反応混合物に30分間添加した。反応物を、水酸化アンモニウム(125mL)を含有する飽和塩化アンモニウム(水溶液)(1.25L)でクエンチした。反応混合物を分相し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合一し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過により固形物を除去し、溶媒を真空下で蒸発させた。シリカゲルを用いたクロマトグラフィー(勾配溶離液:ヘキサン及び酢酸エチルの混合物)により粗生成物を精製した。標題化合物の収量は75gであった(94%)。
【0079】
1H-NMR (CDCl3):δ7.42 (d, 2H), 7.37 (t, 2H), 7.31 (t, 1H), 7.15 (d, 1H), 6.80 (d, 1H), 6.77 (s, 1H), 6.73 (d,1H), 5.57~5.48 (m, 2H), 5.04 (s, 2H), 4.10~4.02 (m, 2H), 3.06 (dd, 1H), 2.80 (dd, 1H), 2.59 (dd, 1H), 2.45 (dt, 1H), 2.31~2.27 (m, 1H), 2.05 (dd, 1H), 1.49~1.27 (m, 8H), 0.97~0.86 (m, 21H), 0.64~0.55 (m, 12H)
【0080】
13C-NMR (CDCl3):δ215.50, 158.77, 140.47, 137.07, 136.40, 129.26, 128.51, 128.49, 127.82, 127.42, 122.28, 115.95, 112.81, 73.10, 72.84, 69.76, 55.02, 51.34, 47.79., 38.54, 33.37, 31.86, 25.09, 22.62, 14.04, 6.91, 6.75, 4.99, 4.73
実施例3
(2R,3R,4R)−2−(3−(ベンジルオキシ)ベンジル)−4−tert−ブチルジメチルシリオキシ−3−((S)−3−tert−ブチルジメチルシリオキシオクチル)シクロペンタノン
【化63】

【0081】
25mL二口フラスコを火炎乾燥し、冷却した。(S)−tert−ブチル(1−ヨードオクタン−3−イルオキシ)ジメチルシラン(1.18g、3.2mmol)及びエーテル(11.8L)を反応フラスコに添加し、次にtert−ブチル−リチウム(3.75mL、1.7Mペンタン溶液)を−70℃で滴下した。シアン化銅(0.29g、3.2mmol)及びメチルリチウム(1.6mL、2Mエーテル溶液)がエーテル(5.8mL)に溶解させられた均一溶液を室温〜−70℃に冷却し、反応フラスコに攪拌下30分間かけて添加した。次に、−70℃の(R)−2−(3−(ベンジルオキシ)ベンジル)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)シクロペント−2−エノン(0.65g、1.6mmol)のエーテル(6.5mL)溶液を、この反応混合物に30分間かけて添加した。反応物を、水酸化アンモニウム(0.4mL)を含有する飽和塩化アンモニウム(水溶液)(40mL)でクエンチした。反応混合物を分相し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合一し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過により固形物を除去し、溶媒を真空下で蒸発させた。シリカゲルを用いたクロマトグラフィー(勾配溶離液:ヘキサン及び酢酸エチルの混合物)により粗生成物を精製した。標題化合物の収量は1.1gであった(85%)。
【0082】
1H NMR (500 MHz, CDCl3)δ0.00~0.10 (12H, m), 0.88~0.91 (21H, m), 1.19~1.49 ( 12H, m), 1.91 (1H, m), 1.49~2.17 (2H, m), 2.58 (1H, dd, J=6, 17.5Hz), 2.86 ( 1H, ab), 3.02 (1H, ab), 3.50(1H, m), 4.09 (1H, q, J=5.5 Hz), 5.04 (2H, s), 6.77-6.84 (3H, m), 7.19 (1H, t, J=7.5 Hz), 7.33 (1H, m), 7.39 (2H, m), 7.44 (2H, m)
【0083】
13C NMR (125 MHz, CDCl3)δ-4.8, -4.5, -4.43, -4.41, 14.0, 17.9, 18.0, 22.6, 24.8, 25.8, 25.9, 27.9, 32.0, 33.9, 35.9, 37.1, 47.5, 48.7, 54.8, 69.8, 72.3, 73.4, 112.7, 115.7, 121.9, 127.4, 127.8, 128.5, 129.4, 137.0, 141.3, 158.8, 217.6
実施例4
(2R,3R,4R)−2−(3−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)ベンジル)−4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)−3−((S,E)−3−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)オクト−1−エニル)シクロペンタノン
【化64】

【0084】
2L三つ口フラスコを火炎乾燥し、冷却した。この反応フラスコに(1E)−ヨード−(3S)−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)−1−オクテン(5.84g、17mmol)及びエーテル(50mL)を添加し、次にn−ブチル−リチウム(12mL、1.6Mヘキサン溶液)を−70℃で滴下した。予め調製したペンチニル−銅(2.35g)とtris(ジメチルアミノ)ホスフィン(5.87g)のエーテル(30mL)溶液を、この混合物に添加した。混合物をこの温度で更に30分間維持し、−70℃の(R)−1−(3−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)ベンジル)−5−オキソ−3−−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)−シクロペンテン(5.66g、15mmol)のTHF(500mL)溶液を反応混合物に30分間かけて添加した。反応物を、水酸化アンモニウム(10mL)を含有する飽和塩化アンモニウム(水溶液)(100mL)でクエンチした。反応混合物を分相し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合一し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過により固形物を除去し、溶媒を真空下で蒸発させた。シリカゲルを用いたクロマトグラフィー(勾配溶離液:ヘキサン及び酢酸エチルの混合物)により粗生成物を精製した。標題化合物の収量は6.65gであった(75%)。
実施例5
((S,E)−1−((1R,2R,5R)−2−(3−(ベンジルオキシ)ベンジル)−3−メチレン−5−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)シクロペンチル)オクト−1−エン−3−イルオキシ)(tert−ブチル)ジメチルシラン
【化65】

【0085】
亜鉛(Zn)−ジブロモメタン(CH2Br2)−四塩化チタン(TiCl4)(500mL、0.6M THF溶液)のメチレン化溶液及びジクロロメタン(CH2Cl2)(100mL)を氷水浴槽において5L三つ口フラスコに添加した。この混合物に攪拌下、ジクロロメタン(CH2Cl2)(1L)に溶解した(2R,3R,4R)−2−(3−(ベンジルオキシ)ベンジル)−4−tert−ブチルジメチルシリオキシ−3−((S,E)−3−tert−ブチルジメチルシリオキシオクト−1−エニル)シクロペンタノン(200g、0.307mol)を添加した。10分後、冷却槽を撤去し、混合物を室温(25℃)で1.5時間攪拌した。次に、この混合物を酢酸エチル(1L)及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(500mL)で希釈した。反応混合物を分相し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合一し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過により固形物を除去した。溶媒を真空下で蒸発させた。シリカゲルを用いたクロマトグラフィー(勾配溶離液:ヘキサン及び酢酸エチルの混合物)により粗生成物を精製した。標題化合物の収量は179.4gであった(90%)。
【0086】
1H-NMR (CDCl3):δ7.44 (d, 2H), 7.39 (t, 2H), 7.33 (t, 1H), 7.17 (t, 1H), 6.84 (s, 1H), 6.80 (d, 2H), 5.48~5.39 (m, 2H), 5.04 (s, 2H), 4.88 (s, 1H), 4.66 (s, 1H), 4.04 (q, 1H), 3.87 (q, 1H), 2.95 (dd, 1H), 2.68 (dd, 1H), 2.60 (dd, 1H), 2.51~2.47 (m, 1H), 2.31~2.21 (m, 2H), 1.32~1.26 (m, 8H), 0.91~0.86 (m, 21H), 0.05~0.01 (m, 12H)
【0087】
13C-NMR (CDCl3):δ158.64, 150.94, 142.36, 137.18, 135.20, 130.20, 128.98, 128.51, 127.83, 127.43, 122.22, 116.04, 112.11, 107.01, 72.95, 69.82, 55.70, 48.03., 42.73, 39.20, 38.57, 31.85, 25.92, 25.89, 25.14, 22.83, 18.23, 18.11, 14.06, -4.17, -4.56, -4.74
実施例6
((S)−1−((1R,2R,5R)−2−(3−(ベンジルオキシ)ベンジル)−3−メチレン−5−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)シクロペンチル)オクタン−3−イルオキシ)(tert−ブチル)ジメチルシラン
【化66】

【0088】
亜鉛(Zn)−ジブロモメタン(CH2Br2)−四塩化チタン(TiCl4)(6mL、0.6M THF溶液)のメチレン化溶液及びジクロロメタン(CH2Cl2)(3.3mL)を、氷水浴槽において25mL二つ口フラスコに添加した。この混合物に攪拌下、ジクロロメタン(CH2Cl2)(10mL)に溶解した(2R,3R,4R)−2−(3−(ベンジルオキシ)ベンジル)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−3−((S)−3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)オクチル)シクロペンタノン(1.1g、1.68mmol)を添加した。10分後、冷却槽を撤去し、この混合物を室温(25℃)で1.5時間攪拌した。反応終了まで、この混合物を酢酸エチル(EtOAc)(20mL)で希釈し、濾過により沈殿物を除去した。濾液を酢酸エチル(EtOAc)で抽出し、硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥し、液体を蒸発させた。得られた残渣をシリカゲルカラムを用いたクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン−酢酸エチル(EtOAc))により精製し、標題化合物を得た:0.85g(収率:78%)。
【0089】
1H NMR (500 MHz, CDCl3)δ0.00~0.12 (12H, m), 0.90~0.94 (21H, m), 1.26~1.46 ( 12H, m), 1.68 (1H, m), 2.32~2.40 (2H, m), 2.58 (1H, dd, J=6, 15.5Hz), 2.79~ 2.91 (2H, m), 3.53(1H, m), 3.85 (1H, q, J=5.5 Hz), 4.68 (1H, s), 4.90 (1H, s ), 5.07 (2H, s), 6.82-6.88 (3H, m), 7.21 (1H, t, J=7.5 Hz), 7.35 (1H, m), 7.41 (2H, t, J=7 Hz), 7.47 (2H, m)
【0090】
13C NMR (125 MHz, CDCl3)δ-4.7, -4.41, -4.38, 14.1, 18.0, 18.2, 22.7, 25.0, 25.5, 25.9, 28.6, 32.1, 34.6, 37.1, 41.9, 42.6, 49.1, 52.3, 69.8, 72.3, 72.6, 107.5, 112.1, 116.0, 122.1, 127.4, 127.8, 128.5, 129.0, 137.2, 142.8, 152.4, 158.7
実施例7
(1R,2R,3R)−3−(3−(ベンジルオキシ)ベンジル)−2−((S,E)−3−ヒドロキシオクト−1−エニル)−4−メチレンシクロ−ペンタノール
【化67】

【0091】
亜鉛(Zn)−ジブロモメタン(CH2Br2)−四塩化チタン(TiCl4)(80mL、0.6M THF溶液)溶液及びジクロロメタン(CH2Cl2)(10mL)を氷水浴槽において500mL三つ口フラスコに添加した。この混合物に攪拌下、ジクロロメタン(CH2Cl2)(100ml)に溶解させた(1R,2R,3R)−1−(3−ベンジルオキシ)ベンジル−5−オキソ−3−トリエチルシリオキシ−2−[(3S)−トリエチルシリオキシ−1−オクテニル]−シクロペンタン(20g、30.7mmol)を添加した。10分後、冷却槽を撤去し、この混合物を室温(25℃)で1.5時間攪拌した。次に、この混合物を酢酸エチル(150mL)及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)で希釈した。反応混合物を分相し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合一し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過により固形物を除去し、溶媒を真空下で蒸発させた。残渣をアセトン(100mL)及び水(20mL)に更に溶解し、次にp−トルエンスルホン酸一水和物(0.5g)を添加した。反応溶液を室温で1時間攪拌し、分離した2層が形成されるまで真空蒸発に更に付した。酢酸エチル(1.5L)を反応生成物に添加し、この反応生成物を分相させた。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム溶液及び塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、蒸発乾固した。シリカゲルを用いたクロマトグラフィー(勾配溶離液:ヘキサン及び酢酸エチルの混合物)により粗生成物を精製した。標題化合物の収量は、12.83gであり、微量の15エピマーを含有していた。結晶化によりエーテル/ヘキサンから15エピマーを除去した。標題化合物(9.7g)を結晶形態(白色〜オフホワイトの粉末)の形で得た。融点(MP):58℃。
【0092】
1H-NMR (CDCl3):δ7.43 (d, 2H), 7.38 (t, 2H), 7.32 (t, 1H), 7.15 (t, 1H), 6.81~6.76 (m, 3H), 5.45~5.29 (m, 2H), 5.03 (s, 2H), 4.95 (s, 1H), 4.81 (s, 1H), 3.92 (q, 1H), 3.80 (q, 1H), 2.85~2.69 (m 3H), 2.55~2.52 (m, 1H), 2.30~2.24 (m, 1H), 2.10 (q, 1H), 1.45~1.25 (m, 8H), 0.87 (t, 3H)
【0093】
13C-NMR (CDCl3):δ158.68, 149.97, 141.77, 137.08, 135.83, 132.14, 129.02, 128.55, 127.90, 127.45, 122.24, 116.22, 112.19, 107.76, 75.33, 72.73, 69.86, 56.67, 48.11., 41.09, 39.13, 37.14, 31.73, 25.16, 22.59, 14.03
実施例8
((S,E)−1−((1R,2R,5R)−2−(3−(ベンジルオキシ)ベンジル)−3−メチレン−5−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)シクロペンチル)オクト−1−エン−3−イルオキシ)(tert−ブチル)ジメチルシラン
【化68】

【0094】
(1R,2R,3R)−3−(3−(ベンジルオキシ)ベンジル)−2−((S,E)−3−ヒドロキシオクト−1−エニル)−4−メチレンシクロペンタノール(12.7g、64mmol)を酢酸エチル(300mL)に溶解し、イミダゾール(22g、320mmol)を加え、反応系が均一となるまで攪拌した。塩化tert−ブチルジメチルシリル(24g、160mmol)を反応混合物に添加した。攪拌した反応混合物を室温にして一晩攪拌した。その後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(300mL)で2回洗浄し、塩水で更に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮して粗生成物を得た。シリカゲルを用いたクロマトグラフィー(勾配溶離液:ヘキサン及び酢酸エチルの混合物)により粗生成物を精製した。収率:80%。
【0095】
1H-NMR (CDCl3):δ7.44 (d, 2H), 7.39 (t, 2H), 7.33 (t, 1H), 7.17 (t, 1H), 6.84 (s, 1H), 6.80 (d, 2H), 5.48~5.39 (m, 2H), 5.04 (s, 2H), 4.88 (s, 1H), 4.66 (s, 1H), 4.04 (q, 1H), 3.87 (q, 1H), 2.95 (dd, 1H), 2.68 (dd, 1H), 2.60 (dd, 1H), 2.51~2.47 (m, 1H), 2.31~2.21 (m, 2H), 1.32~1.26 (m, 8H), 0.91~0.86 (m, 21H), 0.05~0.01 (m, 12H)
【0096】
13C-NMR (CDCl3):δ158.64, 150.94, 142.36, 137.18, 135.20, 130.20, 128.98, 128.51, 127.83, 127.43, 122.22, 116.04, 112.11, 107.01, 72.95, 69.82, 55.70, 48.03., 42.73, 39.20, 38.57, 31.85, 25.92, 25.89, 25.14, 22.83, 18.23, 18.11, 14.06, -4.17, -4.56, -4.74
実施例9
((1S,2S,3R,4R)−2−(3−(ベンジルオキシ)ベンジル)−4−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)−3−((S,E)−3−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)オクト−1−エニル)シクロペンチル)メタノール
【化69】

【0097】
乾燥THF(1.6L)に溶解した(1R,2R,3R)−1−(3−ベンジルオキシ)ベンジル−3−tert−ブチルジメチルシリオキシ−2−[(3S)−tert−ブチルジメチルシリオキシ−1−オクテニル]−5−メチレン−シクロペンタン(160g、0.246mol)の脱気溶液を窒素下0℃に冷却し、9−ボラビシクロ[3,3,1]ノナン(1280mL、0.5MのTHF溶液)を5分間に亘って滴下した。この無色溶液を一晩0℃で攪拌し、30%過酸化水素(640mL)、次に3N水酸化カリウム(640mL)で処理した。得られた懸濁液を更に30分間0℃で攪拌し、75分間室温に加温しつつ攪拌した。この反応混合物を分液漏斗に移し、塩水(3L)及び酢酸エチル(1L)で希釈した。反応混合物を分相し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合一し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過により固形物を除去した。溶媒を真空下で蒸発させた。シリカゲルを用いたクロマトグラフィー(勾配溶離液:ヘキサン及び酢酸エチルの混合物)により粗生成物を精製した。収率:97%。
【0098】
1H-NMR (CDCl3):δ7.45~7.29 (m, 5H), 7.17 (t, 1H), 6.83~6.77 (m, 3H), 5.50~5.35 (m, 2H), 5.03 (s, 2H), 4.13~4.02 (m, 2H), 3.77 (t, 1H), 3.61 (d, 1H), 3.42 (d, 1H), 2.80~2.75 (m, 1H), 2.43~2.39 (m, 2H), 2.05~1.86 (m, 4H), 1.66~1.26 (m, 8H), 0.90~0.84 (m, 21H), 0.08~0.00 (m, 12H)
【0099】
13C-NMR (CDCl3):δ158.74, 143.51, 137.07, 135.03, 131.13, 129.22, 128.52, 127.86, 127.43, 121.30, 115.22, 111.86, 79.11, 73.05, 69.80, 63.62, 58.59, 49.44., 41.45, 40.58, 38.63, 31.83, 25.91, 25.76, 25.12, 22.64, 18.29, 17.87, 14.66, -4.22, -4.45, -4.83
実施例10
((1S,2S,3R,4R)−2−(3−(ベンジルオキシ)ベンジル)−4−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)−3−((S)−3−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)オクチル)シクロペンチル)メタノール
【化70】

【0100】
乾燥THF(8mL)に溶解した((1R,2R,3R)−3−(3−(ベンジルオキシ)ベンジル)−2−((S)−3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)オクチル)−4−メチレンシクロペンチルオキシ)(tert−ブチル)ジメチルシラン(0.75g、1.15mmol)の脱気溶液を0℃で窒素下冷却し、この混合物に9−ボラビシクロ[3,3,1]ノナン(6.9mL、0.5M THF溶液)を滴下した。この無色溶液を一晩0℃で攪拌し、30%過酸化水素(3mL)、次に3N水酸化カリウム(3mL)で処理した。得られた懸濁液を1時間室温で攪拌した。この混合物を酢酸エチル(EtOAc)で抽出し、有機層を塩水(20mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥し、液体を蒸発させた。得られた残渣をシリカゲルカラムを用いたクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン−酢酸エチル(EtOAc))により精製し、標題化合物(0.6g)を得た(収率78%)。
【0101】
1H NMR (500 MHz, CDCl3)δ0.02~0.12 (12H, m), 0.90~0.92 (21H, m), 1.22~1.43 (9H, m), 1.55~1.57 (2H, m), 1.72~1.74 (2H, m), 1.92~2.07 (4H, m), 2.80~2.94 (2H, m), 3.50~3.57 (2H, m), 3.63 (1H, dd, J=3, 11 Hz), 3.76 (1H, br) 3.96 (1H, d, J =6.5 Hz), 5.05 (2H, s), 6.81 (1H, dd, J=2, 8 Hz), 6.87(2H, m), 7.19 (1H, t, J=8 Hz), 7.33 (1H, m), 7.39 (2H, t, J=7.5 Hz), 7.44 (2H, m)
【0102】
13C NMR (125 MHz, CDCl3)δ-4.7, -4.5, -4.43, -4.41, 14.0, 17.8, 18.1, 22.6, 24.8, 25.7, 25.9, 29.9, 32.0, 35.2, 35.9, 37.1, 40.2, 42.5, 48.5, 54.9, 63.7, 69.8, 72.5, 79.2, 111.9, 115.3, 121.4, 127.4, 127.8, 128.5, 129.2, 137.1, 143.7, 158.8
実施例11
((1S,2S,3R,4R)−2−(3−(ベンジルオキシ)ベンジル)−4−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)−3−((S,E)−3−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)オクト−1−エニル)シクロペンチル)メチルメタンスルホネート
【化71】

【0103】
((1S,2S,3R,4R)−2−(3−(ベンジルオキシ)ベンジル)−4−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)−3−((S,E)−3−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)オクト−1−エニル)シクロペンチル)メタノール(50g、0.075mol)の乾燥ジクロロメタン(CH2Cl2)(500mL)溶液を窒素下0℃へと冷却し、トリエチルアミン(31.3mL、0.225mol)、次に塩化メタンスルホニル(11.6mL、0.15mol)で処理した。この混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に注ぎ、30分間攪拌した。この反応混合物を分相し、水層を酢酸エチル(500mL)で抽出した。有機層を合一し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過により固形物を除去し、溶媒を真空下で蒸発させた。シリカゲルを用いたクロマトグラフィー(勾配溶離液:ヘキサン及び酢酸エチルの混合物)により粗生成物を精製した。収率:81%。
【0104】
1H-NMR (CDCl3):δ7.45~7.29 (m, 5H), 7.19 (t, 1H), 6.82~6.78 (m, 3H), 5.48~5.33 (m, 2H), 5.05 (s, 2H), 4.38 (dd, 1H), 4.28~4.22 (m, 1H), 4.05~3.96 (m, 2H), 2.89 (s, 3H), 2.80 (dd, 1H), 2.52 (dd, 1H), 2.29~2.20 (m, 2H), 2.11~2.02 (m, 1H), 1.68~1.59 (m, 2H), 1.44~1.24 (m., 8H), 0.89~0.67 (m, 21H), 0.07~0.00 (m, 12H)
実施例12
((1S,2S,3R,4R)−2−(3−(ベンジルオキシ)ベンジル)−4−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)−3−((S,E)−3−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)オクト−1−エニル)シクロペンチル)メチル4−メチルベンゼンスルホネート
【化72】

【0105】
((1S,2S,3R,4R)−2−(3−(ベンジルオキシ)ベンジル)−4−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)−3−((S,E)−3−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)オクト−1−エニル)シクロペンチル)メタノール(15g、0.023mol)の乾燥ジクロロメタン(CH2Cl2)(500mL)溶液を窒素下0℃に冷却し、トリエチルアミン(9.6mL、0.068mol)、次いで塩化p−トルエンスルホニル(8.77g、0.046mol)で処理した。この混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に注ぎ、30分間攪拌した。この反応混合物を分相し、水層を酢酸エチル(500mL)で抽出した。有機層を合一し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過により固形物を除去し、溶媒を真空下で蒸発させた。シリカゲルを用いたクロマトグラフィー(勾配溶離液:ヘキサン及び酢酸エチルの混合物)により粗生成物を精製した。収率:85%。
【0106】
1H-NMR (CDCl3):δ7.72 (d, 2H), 7.46~7.29 (m, 8H), 7.13 (t, 1H), 6.80~6.64 (m, 3H), 5.57~5.32 (m, 2H), 5.04 (s, 2H), 4.15~3.88 (m, 4H), 2.67 (dd, 1H), 2.41 (m, 4H), 2.17~1.94 (m, 4H), 1.49~1.28 (m, 8H), 0.92~0.82 (m, 21H), 0.04~0.00 (m, 12H)
【0107】
13C-NMR (CDCl3):δ158.86, 144.53, 142.20, 137.10, 135.60, 133.05, 130.20, 129.78, 128.53, 127.88, 127.86, 127.48, 121.19, 115.06, 112.23, 78.00, 72.87, 69.83, 56.22, 46.62., 38.56, 38.00, 37.85, 34.50, 31.81, 25.88, 25.83, 25.62, 25.06, 22.61, 21.59, 18.22, 17.93, 14.03, -4.23, -4.61, -4.77
実施例13
((1S,2S,3R,4R)−2−(3−(ベンジルオキシ)ベンジル)−4−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)−3−((S)−3−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)オクチル)シクロペンチル)メチル4−メチルベンゼンスルホネート
【化73】

【0108】
((1S,2S,3R,4R)−2−(3−(ベンジルオキシ)ベンジル)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−3−((S)−3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)オクチル)シクロペンチル)メタノール(0.3g、0.45mmol)の乾燥ジクロロメタン(CH2Cl2)(3mL)溶液を窒素下0℃に冷却し、これをトリエチルアミン(0.12mL、0.9mmol)及び微量の4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)で処理し、次いで、塩化p−トルエンスルホニル(0.13g、0.67mmol)を添加し、反応生成物を室温で攪拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)(20mL)を添加し、ジクロロメタン(CH2Cl2)で抽出し、硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥し、液体を蒸発させた。得られた残渣をシリカゲルカラムを用いたクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン−酢酸エチル(EtOAc))により精製して、標題化合物(0.2g、収率54%)を得た。
【0109】
1H NMR (500 MHz, CDCl3)δ-0.03~0.04 (12H, m), 0.85~0.90 (21H, m), 1.06~1.09 (2H, m), 1.17~1.30 (8H, m), 1.48 (1H, m), 1.55 (1H, m), 1.90~1.95 (3H, m), 2.28 (1H, q, J=7 Hz), 2.41 (3H, s), 2.49~2.59 (3H, m), 3.45 (1H, m), 3.82 (1H, m), 4.07~4.18 (2H, m), 5.04 (2H, s), 6.70 (1H, d, J=7.5 Hz), 6.76 (1H, s), 6.79 (1H, m), 7.15 (1H, t, J=8 Hz), 7.29~7.34 (3H, m), 7.39 (2H, t, J=5.5 Hz), 7.45 (2H, m), 7.65 (2H, d , J=8 Hz)
【0110】
13C NMR (125 MHz, CDCl3)δ-4.8, -4.45, -4.41, 14.0, 17.8, 18.1, 21.6, 22.6, 24.8, 25.82, 25.88, 25.91, 29.0, 32.0, 34.8, 35.5, 37.1, 37.9, 39.2, 46.4, 52.7, 69.8, 71.8, 72.4, 78.3 112.2, 115.4, 121.6, 127.4, 127.9, 128.51, 128.54, 129.2, 129.8, 133.0, 137.1, 142.4, 144.6, 158.8
実施例14
((1S,2S,3R,4R)−2−(3−ヒドロキシベンジル)−4−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)−3−((S,E)−3−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)オクト−1−エニル)シクロペンチル)メチルメタンスルホネート
【化74】

【0111】
((1S,2S,3R,4R)−2−(3−(ベンジルオキシ)ベンジル)−4−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)−3−((S,E)−3−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)オクト−1−エニル)シクロペンチル)メタンスルホン酸メチル(45g、0.06mol)の乾燥メタノール(450mL)溶液を水酸化カリウム(9.72g、0.18mol)で処理し、次に5%Pd/C(13.5g、30%wt)で水素下2時間処理した。続いて、この反応混合物をセライトパッドで濾過した。濾液を濃縮して、粗生成物を得た(50g)。
【0112】
1H-NMR (CDCl3):δ7.11 (t, 1H), 6.73 (d, 1H), 6.68 (s, 1H), 6.64 (d, 1H), 5.45~5.34 (m, 2H), 5.28 (br s, 1H), 4.28~4.24 (m, 1H), 4.10~4.02 (m, 2H), 3.97~3.93 (m, 1H), 2.71 (dd, 1H), 2.53 (dd, 1H), 2.26~2.22 (m, 2H), 2.05~1.98 (m, 5H), 1.61~1.57 (m, 1H), 1.44~1.25 (m, 10H), 0.92~0.85 (m, 21H), 0.11~0.02 (m, 12H)
実施例15
((1S,2S,3R,4R)−2−(3−ヒドロキシベンジル)−4−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)−3−((S,E)−3−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)オクト−1−エニル)シクロペンチル)メチル4−メチルベンゼンスルホネート
【化75】

【0113】
((1S,2S,3R,4R)−2−(3−(ベンジルオキシ)ベンジル)−4−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)−3−((S,E)−3−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)オクト−1−エニル)シクロペンチル)メチル4−メチルベンゼンスルホネート(15.7g、0.019mol)の乾燥メタノール(150mL)溶液を水酸化カリウム(3.25g、0.057mol)で処理し、次に5%Pd/C(6.28g、40%wt)で水素下5時間処理した。続いて、この反応混合物をセライトパッドで濾過した。溶媒を真空下で蒸発させた。シリカゲルを用いたクロマトグラフィー(勾配溶離液:ヘキサン及び酢酸エチルの混合物)により粗生成物を精製した。収率:90%。
【0114】
1H-NMR (CDCl3):δ7.81 (d, 2H), 7.35 (d, 2H), 7.05 (t, 1H), 6.69 (d, 1H), 6.66 (d, 1H), 6.06 (s, 1H), 5.79~5.68 (m, 2H), 4.19~4.16 (m, 1H), 4.01~3.95 (m, 2H), 3.34 (t, 1H), 2.77 (dd, 1H), 2.64 (t, 1H), 2.45~2.39 (m, 4H), 2.18~2.13 (m, 1H), 2.08~2.00 (m, 2H), 1.78~1.73 (m, 1H), 1.68~1.16 (m, 1H), 1.41~1.21 (m, 8H), 0.91~0.81 (m, 21H), 0.10~-0.01 (m, 12H)
実施例16及び17
((1S,2S,3R,4R)−2−(3−ヒドロキシベンジル)−4−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)−3−((S)−3−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)オクチル)シクロペンチル)メチル4−メチルベンゼンスルホネート
【化76】

【0115】
実施例16:((1S,2S,3R,4R)−2−(3−(ベンジルオキシ)ベンジル)−4−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)−3−((S,E)−3−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)オクト−1−エニル)シクロペンチル)メチル4−メチルベンゼンスルホネート(15.7g、0.019mol)の乾燥メタノール(150mL)溶液を水酸化カリウム(3.25g、0.057mol)で処理し、次に5%Pd/C(6.28g、40%wt)で水素下、室温で6時間、次に50℃で24時間処理した。続いて、この反応混合物をセライトパッドで濾過した。溶媒を真空下で蒸発させた。シリカゲルを用いたクロマトグラフィー(勾配溶離液:ヘキサン及び酢酸エチルの混合物)により粗生成物を精製した。収率:72%。
【0116】
実施例17:((1S,2S,3R,4R)−2−(3−(ベンジルオキシ)ベンジル)−4−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−3−((S)−3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)オクチル)シクロペンチル)メチル4−メチルベンゼンスルホネート(0.15g、0.18mmol)の乾燥メタノール(2mL)溶液を水酸化カリウム(0.03g、0.54mmol)で処理し、次に5%Pd/C(0.045g、30%wt)で水素下、2時間室温にて処理した。反応終了後、この混合物をセライトパッドで濾過し、濾液を蒸発させた。得られた残渣をシリカゲルカラムを用いたクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン−酢酸エチル(EtOAc))により精製して、標題化合物(0.12g、収率90%)を得た。
【0117】
1H NMR (500 MHz, CDCl3)δ-0.01~0.10 (12H, m), 0.79~0.91 (21H, m), 1.12~1.46 (12H, m), 1.90 (1H, m), 2.02 (1H, m), 2.28 (1H, m), 2.31 (1H, s), 2.43 (3H, s), 2.54~2.72 (3H, m), 3.49~3.58 (2H, m), 3.91 (1H, m), 4.08 (1H, m), 6.60~6.72 (3H, m), 7.11 (1H, m), 7.22 (1H, d, J=10 Hz), 7.32 (1H, m), 7.72~ 7.78 (2H, m)
【0118】
13C NMR (125 MHz, CDCl3)δ-4.3, -3.6, -3.0, 14.1, 18.0, 18.1, 22.6, 22.7, 25.2, 25.3 25.7, 25.8, 30.3, 31.9, 35.1, 35.6, 37.3, 37.4, 41.0, 48.3, 51.1, 66.5, 71.8, 80.0, 113.0, 115.8, 120.9, 126.7, 127.8, 129.6, 129.89, 129.93, 143.7, 155.9
実施例18及び19
(1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)−1−((S,E)−3−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)オクト−1−エニル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−5−オール
【化77】

【0119】
実施例18:−40℃窒素下において、((1S,2S,3R,4R)−2−(3−ヒドロキシベンジル)−4−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)−3−((S,E)−3−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)オクト−1−エニル)シクロペンチル)メチルメタンスルホネート(50g、粗化合物)の無水グリム(500mL)脱気溶液を60%水素化ナトリウム(7.2g、0.18mol)で処理した。次に、得られた懸濁液を−40℃で40分間、続いて0℃で15分間攪拌した。この懸濁液を更に20分間、室温に加温しつつ攪拌し、次に2.5時間還流にて攪拌した。この反応生成物を10℃に冷却し、氷冷塩水(250mL)及び酢酸エチル(500mL)で希釈した。反応混合物を分相し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合一し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過により固形物を除去し、溶媒を真空下で蒸発させた。シリカゲルを用いたクロマトグラフィー(勾配溶離液:ヘキサン及び酢酸エチルの混合物)により粗生成物を精製した。収率:75%。
【0120】
実施例19:0℃窒素下において、((1S,2S,3R,4R)−2−(3−ヒドロキシベンジル)−4−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)−3−((S,E)−3−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)オクト−1−エニル)シクロペンチル)メチル4−メチルベンゼンスルホネート(12.6g、0.017mol)の無水THF(250mL)脱気溶液を60%水素化ナトリウム(2.04g、0.051mol)で処理した。得られた懸濁液を4時間還流にて攪拌した。次に、この反応生成物を10℃に冷却し、氷冷塩水(250mL)及び酢酸エチル(500mL)で希釈した。反応混合物を分相し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合一し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過により固形物を除去し、溶媒を真空下で蒸発させた。シリカゲルを用いたクロマトグラフィー(勾配溶離液:ヘキサン及び酢酸エチルの混合物)により粗生成物を精製した。収率:90%。
【0121】
1H-NMR (CDCl3):δ7.00 (t, 1H), 6.69 (d, 1H), 6.65 (d, 1H), 5.48~5.46 (m, 2H) 4.70 (br s, 1H), 4.11~4.08 (m, 1H), 3.78~3.75 (m, 1H), 2.70~2.62 (m, 2H), 2.52~2.38 (m, 2H), 2.38~2.20 (m, 1H), 2.16~2.04 (m, 2H), 2.02~1.81 (m, 2H), 1.42~1.25 (m, 8H), 0.90~0.84 (m, 21H), 0.06~0.00 (m, 12H)
【0122】
13C-NMR (CDCl3):δ152.40, 140.99, 135.10, 130.58, 126.23, 124.44, 120.71, 112.90, 73.08, 55.86, 41.40., 39.80, 38.65, 32.56, 31.85, 25.94, 25.91, 25.19, 22.65, 18.27, 18.19, 14.07, -4.19, -4.55, -4.73
実施例20
(1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)−1−((S)−3−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)オクチル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−5−オール
【化78】

【0123】
0℃窒素下の((1S,2S,3R,4R)−2−(3−ヒドロキシベンジル)−4−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)−3−((S)−3−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)オクチル)シクロペンチル)メチル4−メチルベンゼンスルホネート(12.4g、0.017mol)の無水THF(250mL)脱気溶液を60%水素化ナトリウム(2.04g、0.051mol)で処理した。得られた懸濁液を4時間還流にて攪拌した。次に、この反応生成物を10℃に冷却し、氷冷塩水(250mL)及び酢酸エチル(500mL)で希釈した。反応混合物を分相し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合一し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過により固形物を除去し、溶媒を真空下で蒸発させた。シリカゲルを用いたクロマトグラフィー(勾配溶離液:ヘキサン及び酢酸エチルの混合物)により粗生成物を精製した。収率:87%。
【0124】
1H-NMR (CDCl3):δ7.00 (t, 1H), 6.73 (d, 1H), 6.63 (d, 1H), 4.67 (br s, 1H), 3.69~3.62 (m, 1H), 2.83~2.74 (m, 2H), 2.49~2.35 (m, 2H), 2.19~2.05 (m, 3H), 1.83~1.81 (m, 1H), 1.43~1.21 (m, 13H), 0.97~0.86 (m, 21H), 0.56~0.00 (m, 12H)
【0125】
13C-NMR (CDCl3):δ152.06, 141.50, 126.13, 124.72, 120.32, 112.82, 72.76, 52.61, 41.32, 40.42, 37.01, 34.85, 34.31, 33.27, 32.07, 28.01, 26.38, 25.96, 25.90, 24.98, 22.67, 18.17, 18.03, 14.07, -4.25, -4.34, -4.72
実施例21及び22
(1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−1−((S,E)−3−ヒドロキシオクト−1−エニル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−2,5−ジオール
【化79】

【0126】
実施例21:(1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)−1−((S,E)−3−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)オクト−1−エニル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−5−オール(10g、0.018mmol)をフッ化テトラブチルアンモニウム(180mL、1M THF溶液)で一晩室温にて処理した。この反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200mL)に注ぎ、30分間攪拌した。この反応混合物を分相し、水層を酢酸エチル(300mL)で抽出した。有機層を合一し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過により固形物を除去し、溶媒を真空下で蒸発させた。シリカゲルを用いたクロマトグラフィー(勾配溶離液:ヘキサン及び酢酸エチルの混合物)により粗生成物を精製した。標題化合物を結晶形態で得た。収率:70%。
【0127】
実施例22:(1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)−1−((S,E)−3−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)オクト−1−エニル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−5−オール(6.4g、0.011mmol)をTHF(12.8mL)に溶解し、続いて酢酸(38.4mL)及び蒸留水(12.8mL)に一晩室温で溶解した。この反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(150mL)に注ぎ、30分間攪拌した。この反応混合物を分相し、水層を酢酸エチル(200mL)で抽出した。有機層を合一し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過により固形物を除去し、溶媒を真空下で蒸発させた。シリカゲルを用いたクロマトグラフィー(勾配溶離液:ヘキサン及び酢酸エチルの混合物)により粗生成物を精製した。標題化合物を結晶形態で得た。(収率:88%)。
【0128】
1H-NMR (CDCl3):δ6.98 (t, 1H), 6.70~6.64 (m, 2H), 5.60 (br s, 1H), 5.53~5.42 (m, 2H), 4.11~4.05 (m, 1H), 3.75~3.66 (m, 1H), 2.64~2.56 (m, 4H), 2.40~2.33 (m, 3H), 2.17~2.16 (m, 1H), 2.05~2.02 (m, 1H), 1.50~1.32 (m, 8H), 1.09~1.05 (m, 1H), 0.90~0.88 (m, 3H)
【0129】
13C-NMR (CDCl3):δ152.81, 140.47, 135.98, 133.13, 126.26, 124.37, 120.58, 113.18, 75.70, 73.33, 56.52, 45.13, 40.36, 37.10, 32.52, 31.90, 31.66, 25.58, 25.20, 22.61, 14.01
実施例23
(1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−ヒドロキシ−1−((S,E)−3−ヒドロキシオクト−1−エニル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−5−イルアセテート
【化80】

【0130】
トルエン(5mL)に溶解した(1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)−1−((S,E)−3−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)オクト−1−エニル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−5−オール(0.5g、0.89mmol)を無水酢酸(0.1mL、1.07mol)及びDMAP(1.1mg、0.09mmol)で室温30分間処理した。この反応生成物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)で希釈し、酢酸エチル(10mL)で抽出した。反応混合物を分相し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合一し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過により固形物を除去し、溶媒を真空下で蒸発させた。シリカゲルを用いたクロマトグラフィー(勾配溶離液:ヘキサン及び酢酸エチルの混合物)により粗生成物を精製し、(1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)−1−((S,E)−3−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)オクト−1−エニル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−5−イルアセテート(0.45g)を得た。次に、この生成物をテトラヒドロフラン(0.9mL)に溶解し、酢酸(2.7mL)及び蒸留水(0.9mL)で一晩室温にて処理した。次に、この反応生成物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(12mL)で希釈し、酢酸エチル(15mL)で抽出した。反応混合物を分相し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合一し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過により固形物を除去し、溶媒を真空下で蒸発させた。シリカゲルを用いたクロマトグラフィー(勾配溶離液:ヘキサン及び酢酸エチルの混合物)により粗生成物を精製した。標題化合物を結晶形態で得た。融解温度は54〜65℃であった。収率:65%。
【0131】
1H-NMR (CDCl3):δ7.13 (t, 1H), 6.96 (d, 1H), 6.85 (d, 1H), 5.39~5.38 (m, 2H), 3.98~3.93 (m, 1H), 3.62~3.56 (m, 1H), 3.19 (br s, 2H), 2.62 (dd, 1H), 2.50 (dd, 1H), 2.38 (dd, 1H), 2.32~2.24 (m, 5H), 2.14~2.09 (m, 1H), 2.00~1.95 (m, 1H), 1.70~1.66 (m, 1H), 1.55~1.51 (m, 1H), 1.43~1.29 (m, 8H), 1.02 (q, 1H), 0.89 (t, 3H)
【0132】
13C-NMR (CDCl3)δ169.63, 148.10, 140.71, 136.11, 133.34, 130.57, 126.32, 125.66, 119.47, 75.48, 73.05, 56.65, 40.13, 40.02, 36.89, 32.20, 32.00, 31.64, 27.02, 25.11, 22.55, 20.71, 13.94
実施例24
(1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−ヒドロキシ−1−((S,E)−3−ヒドロキシオクト−1−エニル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−5−イルベンゾエート
【化81】

【0133】
乾燥テトラヒドロフラン(20mL)に溶解した6%パラ環化異性体を含有する(1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)−1−((S,E)−3−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)オクト−1−エニル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−5−オール(2g、3.58mmol、実施例18で得た)を水素化ナトリウム(0.29g、7.16mol)で0℃にて処理し、10分間室温にて攪拌し、続いて塩化ベンゾイル(0.63mL、5.37mmol)を滴下した。30分後、この反応生成物を10℃に冷却し、氷冷塩水(10mL)で希釈し、酢酸エチル(10mL)で抽出した。反応混合物を分相し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合一し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過により固形物を除去し、溶媒を真空下で蒸発させた。シリカゲルを用いたクロマトグラフィー(勾配溶離液:ヘキサン及び酢酸エチルの混合物)により粗生成物を精製した。(1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)−1−((S,E)−3−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)オクト−1−エニル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−5−イルベンゾエート(2.1g)を得た。次に、この生成物をテトラヒドロフラン(4.2mL)に溶解し、酢酸(12.6mL)及び蒸留水(4.2mL)で一晩室温にて処理した。次に、この反応生成物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)で希釈し、酢酸エチル(60mL)で抽出した。反応混合物を分相し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合一し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過により固形物を除去し、溶媒を真空下で蒸発させた。シリカゲルを用いたクロマトグラフィー(勾配溶離液:ヘキサン及び酢酸エチルの混合物)により粗生成物を精製した。結晶形態の生成物を得た。融点:140〜141℃。収率:68%。
【0134】
HPLCにより生成物を更に解析したところ、パラ環化異性体が結晶生成物中に存在しないことを確認した。
【0135】
1H-NMR (CDCl3):δ8.19(d, 2H), 7.63 (t, 1H), 7.50 (t, 2H), 7.18 (t, 1H), 7.03 (d, 1H), 6.99 (d, 1H), 5.50~5.40 (m, 2H), 4.04~4.00 (m, 1H), 3.66~3.62 (m, 1H), 3.04 (br s, 1H), 2.88 (br s, 1H), 2.68 (dd, 1H), 2.56 (dd, 1H), 2.44 (dd, 1H), 2.38 (dd, 1H), 2.32~2.28 (m, 1H), 2.14~2.00 (m, 2H),1.76~1.71 (m, 1H), 1.58~1.53 (m, 1H), 1.48~1.32 (m, 7H), 1.08 (q, 1H), 0.90 (t, 3H)
【0136】
13C-NMR (CDCl3)δ165.31, 148.44, 140.86, 136.22, 133.60, 133.21, 130.83, 130.19, 129.38, 128.60, 126.49, 125.80, 119.70, 75.69, 73.06, 53.73, 40.14, 37.10, 32.29, 32.11, 31.72, 27.12, 25.18, 22.62, 14.01
実施例25
(1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−ヒドロキシ−1−((S)−3−ヒドロキシオクチル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−5−イルベンゾエート
【化82】

【0137】
乾燥メタノール(2.5mL)に溶解した(1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−ヒドロキシ−1−((S,E)−3−ヒドロキシオクト−1−エニル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−5−イルベンゾエート(0.35g、0.8mmol)を5%Pd/C(0.05g、20%wt)で処理し、水素下にて5時間室温で攪拌した。続いて、この反応混合物をセライトパッドで濾過した。溶媒を真空下で蒸発させた。シリカゲルを用いたクロマトグラフィー(勾配溶離液:ヘキサン及び酢酸エチルの混合物)により粗生成物を精製した。収率:87%。
【0138】
1H-NMR (CDCl3):δ8.20 (d, 2H), 7.62 (t, 1H), 7.50 (t, 2H), 7.18 (t, 1H), 7.05 (d, 1H), 6.90 (d, 1H), 3.73~3.66 (m, 1H), 3.61~3.59 (m, 1H), 2.80 (dd, 1H), 2.64 (dd, 1H), 2.51 (dd, 1H), 2.34 (dd, 1H), 2.23~2.18 (m, 1H), 2.13~2.03 (m, 1H), 1.92~1.86 (m, 2H), 1.66~1.63 (m, 2H), 1.56~1.52 (m, 2H), 1.46~1.41 (m, 3H), 1.32~1.16 (m, 7H), 1.14~1.11 (m,1H), 0.88 (t, 3H)
【0139】
13C-NMR (CDCl3):δ165.16, 148.30, 141.09, 133.52, 131.03, 130.18, 129.51, 128.58, 126.39, 125.56, 119.60, 75.52, 52.32, 41.25, 37.44, 34.94, 33.72, 32.59, 31.89, 28.56, 27.38, 25.34, 22.61, 14.00
実施例26
メチル2−((1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−ヒドロキシ−1−((S,E)−3−ヒドロキシオクト−1−エニル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−5−イルオキシ)アセテート
【化83】

【0140】
ブロモ酢酸メチル(3mL)に溶解した(1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)−1−((S,E)−3−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)オクト−1−エニル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−5−オール(0.5g、0.89mmol)を50%水酸化ナトリウム(NaOH)(1g)で処理した。この混合物を室温で60分間攪拌した。この反応混合物を10℃に冷却し、3N塩酸(HCl)をpHが7となるまで徐々に添加し、続いてこの反応生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を合一し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過により固形物を除去した。溶媒を真空下で蒸発させた。シリカゲルを用いたクロマトグラフィー(勾配溶離液:ヘキサン及び酢酸エチルの混合物)により粗生成物を精製した。メチル2−((1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)−1−((S,E)−3−ヒドロキシオクト−1−エニル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−5−イルオキシ)アセテート(0.2g)を得た。次に、生成物をTHF(1.3mL)、酢酸(3.9mL)及び蒸留水(1.3mL)に一晩室温で溶解した。この反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)に注ぎ、30分間攪拌した。この反応混合物を分相し、水層を酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を合一し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過により固形物を除去し、溶媒を真空下で蒸発させた。シリカゲルを用いたクロマトグラフィー(勾配溶離液:ヘキサン及び酢酸エチルの混合物)により粗生成物を精製した。標題化合物を結晶形態で得た(収率:58%)。
実施例27〜30
(1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−1−((S)−3−ヒドロキシオクチル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−2,5−ジオール
【化84】

【0141】
実施例27:
反応に用いた等モルの基質として、(1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)−1−((S,E)−3−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)オクト−1−エニル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−5−オールの代わりに(1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)−1−((S)−3−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)オクチル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−5−オール(実施例20より)を用いた以外は実施例22の記載と同様の操作を行って、標題化合物を製造し、結晶形態で得た(収率:83%)。
【0142】
実施例28:
乾燥メタノール(25mL)に溶解した(1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−1−((S,E)−3−ヒドロキシオクト−1−エニル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−2,5−ジオール(2.5g、0.008mol、実施例21又は22で得た)を水酸化カリウム(0.5g、0.008mol)で処理し、続いて5%Pd/C(0.5g、20%wt)で水素下にて一晩室温で処理した。続いて、この反応混合物をセライトパッドで濾過した。溶媒を真空下で蒸発させた。シリカゲルを用いたクロマトグラフィー(勾配溶離液:ヘキサン及び酢酸エチルの混合物)により粗生成物を精製した。標題化合物を結晶形態で得た。収率:72%。
【0143】
実施例29:
(1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−ヒドロキシ−1−((S)−3−ヒドロキシオクチル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−5−イルベンゾエート(0.2g、0.008mol、実施例25から)を水酸化ナトリウム(5%となるようメタノールに溶解)(1mL)で処理し、次に室温で60分間攪拌した。この反応混合物を3N塩酸(HCl)(1mL)及び酢酸エチル(10mL)で希釈した。反応混合物を分相し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合一し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過により固形物を除去し、溶媒を真空下で蒸発させた。シリカゲルを用いたクロマトグラフィー(勾配溶離液:ヘキサン及び酢酸エチルの混合物)により粗生成物を精製した。標題化合物を結晶形態で得た。収率:85%。
【0144】
実施例30:
乾燥メタノール(2mL)に溶解した(1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−ヒドロキシ−1−((S,E)−3−ヒドロキシオクト−1−エニル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−5−イルベンゾエート(0.25g、0.6mmol、実施例24から)を5%Pd/C(0.05g、20%wt)で処理し、水素下にて28時間室温で攪拌した。続いて、この反応混合物をセライトパッドで濾過した。溶媒を真空下で蒸発させた。シリカゲルを用いたクロマトグラフィー(勾配溶離液:ヘキサン及び酢酸エチルの混合物)により粗生成物を精製した。標題化合物を結晶形態で得た。収率:73%。
【0145】
1H-NMR (CD3OD):δ6.98 (t, 1H), 6.62 (d, 2H), 3.63~3.56 (m, 1H), 3.52~3.51 (m, 1H), 2.71~2.56 (m, 3H), 2.49~2.42 (m, 1H), 2.36~2.29 (m, 1H), 2.07~2.03 (m, 1H), 1.95~1.83 (m, 1H), 1.76~1.50 (m, 3H), 1.48~1.21 (m, 9H), 1.20~1.02 (m, 2H), 0.91 (t, 3H)
【0146】
13C-NMR (CD3OD):δ154.36, 140.87, 126.00, 125.03, 119.48, 112.78, 76.58, 71.92, 51.55, 41.33, 41.00, 37.29, 35.05, 33.57, 33.15, 32.16, 28.66, 25.55, 25.50, 22.70, 13.44
実施例31及び32
2−((1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−ヒドロキシ−1−((S,E)−3−ヒドロキシオクト−1−エニル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−5−イルオキシ)アセトニトリル
【化85】

【0147】
実施例31:
乾燥アセトン(16mL)に溶解した(1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−1−((S,E)−3−ヒドロキシオクト−1−エニル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−2,5−ジオール(1.6g、0.004mol)を炭酸カリウム(K2CO3)(1.66g、0.012mol)、クロロアセトニトリル(0.51mL、0.008mol)及び臭化テトラブチルアンモニウム(0.32g、0.001mmol)で処理した。この混合物を30℃で一晩加熱した。続いて、この反応混合物をセライトパッドで濾過した。濾液を真空下で蒸発させた。シリカゲルを用いたクロマトグラフィー(勾配溶離液:ヘキサン及び酢酸エチルの混合物)により粗生成物を精製した。標題化合物を結晶形態で得た。収率:89%。
【0148】
実施例32:
乾燥アセトン(64mL)に溶解した(1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)−1−((S,E)−3−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)オクト−1−エニル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−5−オール(6.4g、0.011mmol)を炭酸カリウム(K2CO3)(6.64g、0.048mol)、クロロアセトニトリル(2mL、0.032mol)及び臭化テトラブチルアンモニウム(1.28g、0.004mmol)で処理した。この混合物を30℃で一晩加熱した。続いて、この反応混合物をセライトパッドで濾過した。濾液を真空下で蒸発させた。未精製の保護されたベンゾインデンニトリル[2−((1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)−1−((S,E)−3−(tert−ブチルジメチルシリオキシ)オクト−1−エニル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−5−イルオキシ)アセトニトリル]を得た。次に、未精製の保護されたベンゾインデンニトリルをTHF(19.2mL)に溶解し、続いて酢酸(57.6mL)及び蒸留水(19.2mL)に一晩室温で溶解した。この反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200mL)に注ぎ、30分間攪拌した。この反応混合物を分相し、水層を酢酸エチル(300mL)で抽出した。有機層を合一し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過により固形物を除去し、溶媒を真空下で蒸発させた。シリカゲルを用いたクロマトグラフィー(勾配溶離液:ヘキサン及び酢酸エチルの混合物)により粗生成物を精製した。標題化合物の収量は3.43gであり、これは微量のパラ環化異性体を含有した。パラ環化異性体を結晶化によりイソプロピルエーテル/ヘプタンから除去した。標題化合物(2.74g)を結晶形態(白色からオフホワイト粉末)で得た。融点(MP):58℃(収率:67%)。
【0149】
1H-NMR (CDCl3):δ7.15 (t, 1H), 6.87 (d, 1H), 6.83 (d, 1H), 5.53~5.46 (m, 2H), 4.76 (s, 2H), 4.09~4.01 (m, 1H), 3.76~3.70 (m, 1H), 2.68~2.59 (m, 2H), 2.43~2.32 (m, 2H), 2.24~2.18 (m, 1H), 2.07~2.03 (m, 1H), 1.58~1.55 (m, 1H), 1.51~1.48 (m, 1H), 1.40~1.31 (m, 8H), 1.07 (q, 1H), 0.91 (t, 3H)
【0150】
13C-NMR (CDCl3):δ153.85, 141.16, 136.18, 132.71, 128.08, 126.58, 123.24, 115.41, 110.49, 75.60, 73.06, 56.72, 54.44, 40.30, 37.21, 32.40, 31.99, 31.69, 25.60, 25.21, 22.62, 14.02
実施例33
2−((1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−ヒドロキシ−1−((S)−3−ヒドロキシオクチル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−5−イルオキシ)アセトニトリル
【化86】

【0151】
乾燥アセトン(20mL)に溶解した(1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−1−((S)−3−ヒドロキシオクチル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−2,5−ジオール(2g、0.005mol)を炭酸カリウム(K2CO3)(2.07g、0.015mol)、クロロアセトニトリル(0.64mL、0.010mol)及びテトラブチルブロマイド(0.32g、0.001mmol)で処理した。この混合物を30℃で一晩加熱した。続いて、この反応混合物をセライトパッドで濾過した。濾液を真空下で蒸発させた。シリカゲルを用いたクロマトグラフィー(勾配溶離液:ヘキサン及び酢酸エチルの混合物)により粗生成物を精製した。収率:82%。
実施例34及び35
2−((1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−ヒドロキシ−1−((S,E)−3−ヒドロキシオクト−1−エニル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−5−イルオキシ)酢酸
【化87】

【0152】
実施例34:
イソプロピルアルコール(16mL)に溶解した2−((1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−ヒドロキシ−1−((S,E)−3−ヒドロキシオクト−1−エニル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−5−イルオキシ)アセトニトリル(1.6g、0.004mol)を20%水酸化カリウム(KOH)(5mL)で処理し、3時間還流し、次に10℃に冷却し、3N塩酸(HCl)をpHが8となるまで徐々に添加した。溶媒を真空中で除去した。酢酸エチル及び塩水を添加し、次に、3N塩酸(HCl)をpHが2となるまで徐々に添加した。この反応混合物を酢酸エチルで抽出した。組み合わせた酢酸エチル抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過により固形物を除去し、溶媒を真空下で蒸発させた。粗生成物を結晶化によりエタノール/水(H2O)から精製した。標題化合物(1.2g)を結晶形態で得た。
【0153】
実施例35:
反応に用いた等モルの基質として、メチル2−((1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−ヒドロキシ−1−((S,E)−3−ヒドロキシオクト−1−エニル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−5−イルオキシ)アセテートを用いた以外は、実施例29に記載の操作を行った。標題化合物を製造し、結晶形態で得た。収率:82%。
【0154】
1H-NMR (CD3OD):δ7.06 (t, 1H), 6.74 (d, 1H), 6.71 (d, 1H), 5.53 (dd, 1H), 5.44 (dd, 1H), 4.62 (s, 2H), 4.01 (q, 1H), 3.72~3.66 (m, 1H), 2.77 (dd, 1H), 2.62 (dd, 2H), 2.44 (dd, 1H), 2.41~2.35 (m ,1H), 2.16~2.02 (m, 2H), 1.67 (q, 1H), 1.59~1.34 (m, 8H), 1.06 (q, 1H), 0.93 (t, 3H)
【0155】
13C-NMR (CD3OD):δ172.94, 156.75, 141.80, 136.45, 134.11, 128.48, 127.32, 122.58, 110.88, 76.66, 73.94, 66.54, 57.22, 41.79, 41.64, 38.31, 33.74, 32.94, 32.81, 26.41, 26.34, 23.75, 14.41
実施例36及び37
トレプロスチニルの製造
2−((1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−ヒドロキシ−1−((S)−3−ヒドロキシオクチル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−5−イルオキシ)酢酸
【化88】

【0156】
実施例36:実施例33生成物からのトレプロスチニルの製造
メタノール(18mL)に溶解した2−((1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−ヒドロキシ−1−((S)−3−ヒドロキシオクチル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−5−イルオキシ)アセトニトリル(2g、0.005mol)を20%水酸化カリウム(KOH)(6mL)で処理し、3時間還流した。次に、反応生成物を10℃に冷却し、3N塩酸(HCl)をpHが約8となるよう徐々に添加した。溶媒を真空中で除去した。酢酸エチル及び塩水を添加し、次に、3N塩酸(HCl)をpHが2となるまで徐々に添加した。この反応混合物を酢酸エチルで抽出した。組み合わせた酢酸エチル抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過により固形物を除去した。溶媒を真空下で蒸発させた。粗生成物を結晶化によりエタノール/水(H2O)から精製した。標題化合物を結晶形態で得た。収率:81%。
【0157】
実施例37:実施例34&35生成物からのトレプロスチニルの製造
乾燥メタノール(25mL)に溶解した2−((1R,2R,3aS,9aS)−2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−ヒドロキシ−1−((S,E)−3−ヒドロキシオクト−1−エニル)−1H−シクロペンタ[b]ナフタレン−5−イルオキシ)酢酸(2.5g、0.008mol)を水酸化カリウム(0.5g、0.008mol)で処理し、次に5%Pd/C(0.5g、20%wt)で水素下にて一晩室温で処理した。続いて、この反応混合物をセライトパッドで濾過した。溶媒を真空下で蒸発させた。残渣を酢酸エチル(50m)及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)で希釈した。この混合物を分相し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)で抽出した。水層を組み合わせ、次に3N塩酸(HCl)をpHがほぼ2となるまで徐々に添加した。水層を酢酸エチル(100mL)で抽出した。有機層を合一し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過により固形物を除去し、溶媒を真空下で蒸発させた。粗生成物を結晶化により精製した。標題化合物を結晶形態で得た。収率:88%。
【0158】
1H-NMR (CDCl3):δ7.08 (t, 1H), 6.83 (d, 1H), 6.69 (d, 1H), 4.65 (s, 2H), 3.75 (q, 1H), 3.67~3.58 (m, 1H), 2.82~2.73 (m, 2H), 2.62~2.58 (m, 1H), 2.51~2.47 (m, 1H), 2.29~2.27 (m, 1H), 2.20~2.15 (m, 1H), 1.91~1.84 (m, 1H), 1.66~1.65 (m,1H), 1.49~1.33 (m, 4H), 1.32~1.21 (m, 8H), 1.17 (q, 1H), 0.91 (t, 3H)
【0159】
13C-NMR (CDCl3):δ170.86, 154.80, 141.12, 127.92, 126.32, 122.18, 110.25, 76.75, 72.75, 65.96, 52.28, 41.51, 41.39, 37.47, 35.02, 33.60, 32.98, 31.94, 28.69, 26.06, 25.35, 22.61, 13.94

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1:
【化1】

(式中、P1は、フェノール基の保護基を表し;P2及びP3は、ヒドロキシル基の保護基を表し;
【化2】

2は、単結合、C14アルキレン又は−CH2O−を表し;R3は、C17アルキル、アリール又はアラルキルであって、それぞれ非置換又はC14アルキル、ハロゲン若しくはトリハロメチルによって置換された基を表す)で表される化合物の製造方法であって、該方法は、
(1)
式III:
【化3】

(式中、P1及びP2は、上に定義した通り)で表される化合物を、式II−1、式II−2又は式II−3:
【化4】

(式中、Xは、ハロゲンを表し、R4は、低級アルキルを表し、P3
【化5】

で表される化合物から誘導される銅酸塩と反応させて、式1で表される化合物を生成するステップを含む方法。
【請求項2】
1は、非置換アルキル、アリル、非置換若しくは置換ベンジル、アセチル、アルキルカルボニル、メトキシメチル、メトキシチオメチル、2−メトキシエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、4−メトキシテトラヒドロピラニル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、トリフェニルメチル又はSiRabc(式中、Ra、Rb及びRcは、それぞれ独立してC18アルキル、フェニル、ベンジル、置換フェニル又は置換ベンジルを表す)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1は、アリル、非置換又は置換ベンジル、アセチル、アルキルカルボニル及びSiRabc(式中、Ra、Rb及びRcは、それぞれ独立してC18アルキル、フェニル、ベンジル、置換フェニル又は置換ベンジルを表す)から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
2が単結合であり、R3がアミルである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
式6:
【化6】

(式中、P2、P3、R2及びR3は、請求項1に定義した通り)で表される化合物の製造方法であって、該方法は、
(1)式III:
【化7】

(式中、P1及びP2は、請求項1に定義した通り)で表される化合物を、式II−1、式II−2又は式II−3:
【化8】

(式中、X、
【化9】

2、R3及びR4及びP3は、請求項1に定義した通り)で表される化合物から誘導される銅酸塩と反応させて、式1:
【化10】

で表される化合物を生成するステップと、
(2)式1で表される化合物のケトン基をメチレン化して、式2:
【化11】

で表されるメチレン化合物を生成するステップと、
(3)式2で表される化合物をホウ素試薬によりヒドロホウ素化し、続いて塩基性過酸化水素で酸化して、式3:
【化12】

で表されるアルコール化合物を得るステップと、
(4)式3で表される化合物を塩基の存在下でスルホニル供与体によりスルホニル化して、式4:
【化13】

(式中、X1は、スルホニル基である)で表される化合物を生成するステップと、
(5)P1基を除去して、式5:
【化14】

(式中、X1は、スルホニル基である)で表される化合物を生成するステップと、
(6)式5で表される化合物を分子内アルキル化して、式6で表される化合物を生成するステップと、を含む、式6で表される化合物の製造方法。
【請求項6】
メチレン化試薬は、ジブロモメタン(CH2Br2)、亜鉛(Zn)及び四塩化チタン(TiCl4)から製造される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
メチレン化は、式1で表されるシクロペンタノンを適切な溶媒中でメチルフェニル−N−メチル−スルホキシイミンの陰イオンと反応させ、続いて、得られた粗付加物を水−酢酸−テトラヒドロフランの溶媒混合物中においてアルミニウムアマルガムで処理し、式2で表される化合物を得ることを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
ホウ素試薬は、9−ボラビシクロ[3,3,1]ノナン(9−BBN)である、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
1のスルホニル基は、メタンスルホニル又はp−トルエンスルホニルである、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
2が単結合であり、R3がアミルである、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
式6c:
【化15】

(式中、P2、P3、R2及びR3は、請求項1に定義した通り)で表される化合物の製造方法であって、該方法は、
(1)式III:
【化16】

(式中、P1及びP2は、請求項1に定義した通り)で表される化合物を、式II−1a、式II−2又は式II−3:
【化17】

(式中、X、R2、R3、R4及びP3は、請求項1に定義した通り)で表される化合物から誘導される銅酸塩と反応させて、式1c:
【化18】

で表される化合物を生成するステップと、
(2)式1cで表される化合物のケトン基をメチレン化試薬によりメチレン化して、式2c:
【化19】

で表されるメチレン化合物を生成するステップと、
(3)式2cで表される化合物をホウ素試薬によりヒドロホウ素化し、続いて塩基性過酸化水素により酸化して、式3c:
【化20】

で表されるアルコール化合物を得るステップと、
(4)式3cで表される化合物を塩基の存在下でスルホニル供与体によりスルホニル化して、式4c:
【化21】

(式中、X1はスルホニル基である)で表される化合物を生成するステップと、
(5)P1基を除去し、ω−側鎖における二重結合を水素化して、式5c:
【化22】

で表される化合物を生成するステップと、
(6)式5cで表される化合物を分子内アルキル化させて、式6cで表される化合物を生成するステップと、
を含む、式6cで表される化合物の製造方法。
【請求項12】
メチレン化試薬は、ジブロモメタン(CH2Br2)、亜鉛(Zn)及び四塩化チタン(TiCl4)から製造される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
メチレン化は、式1cで表されるシクロペンタノンを適切な溶媒中でメチルフェニル−N−メチル−スルホキシイミンの陰イオンと反応させ、続いて、得られた粗付加物を、水−酢酸−テトラヒドロフランの溶媒混合物中においてアルミニウムアマルガムで処理して、式2cで表される化合物を得ることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
ホウ素試薬は、9−ボラビシクロ[3,3,1]ノナン(9−BBN)である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
スルホニル基は、メタンスルホニル又はp−トルエンスルホニルである、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
2が単結合であり、R3がアミル基である、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
トレプロスチニルの製造方法であって、該方法は、
(1)式IIIa:
【化23】

(式中、P1及びP2は、請求項1に定義した通り)で表される化合物を、式II−1a、式II−2a又は式II−3a:
【化24】

(式中、X、R4及びP3は、請求項1に定義した通り)で表される化合物から誘導される銅酸塩と反応させて、式1d:
【化25】

で表される化合物を生成するステップと、
(2)式1dで表される化合物のケトン基をメチレン化して、式2d:
【化26】

で表されるメチレン化合物を生成するステップと、
(3)式2dで表される化合物をホウ素試薬によりヒドロホウ素化し、続いて塩基性過酸化水素により酸化して、式3d:
【化27】

で表されるアルコール化合物を得るステップと、
(4)式3dで表される化合物を塩基の存在下でスルホニル供与体によりスルホニル化して、式4d:
【化28】

(式中、X1は、スルホニル基である)で表される化合物を生成するステップと、
(5)P1基を除去して、式5d:
【化29】

で表される化合物を生成するステップと、
(6)式5dで表される化合物を分子内アルキル化して、式6d:
【化30】

で表される化合物を生成するステップと、
(7)P2及びP3基を除去して、式7d:
【化31】

で表される化合物を生成するステップと、
(8)式7dで表される化合物のω−側鎖における二重結合を水素化して、式8d:
【化32】

で表される化合物を生成するステップと、
(9)フェノール基をXCH2CN又はXCH2COOR5(式中、Xは、ハロゲンを表し;R5は、アルキルを表す)で表されるアルキル化剤によりアルキル化して、式9d:
【化33】

(式中、Zは、−CN又は−COOR5を表す)で表される化合物を生成するステップと、
(10)式9dで表される化合物の−CN基又は−COOR5基を塩基で加水分解して、トレプロスチニルを生成するステップと、
を含む、トレプロスチニルの製造方法。
【請求項18】
1は、アリル、非置換又は置換ベンジル、アセチル、アルキルカルボニル及びSiRabc(式中、Ra、Rb及びRcは、それぞれ独立してC18アルキル、フェニル、ベンジル、置換フェニル又は置換ベンジルを表す)から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
式6d:
【化34】

で表される化合物を生成するためのステップ(1)〜(6)と、それに続き、
(7)フェノール基をXCH2CN又はXCH2COOR5(式中、Xは、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)又はヨウ素原子(I)等のハロゲンを表し;R5は、アルキルを表す)で表されるアルキル化剤によりアルキル化して、式7D:
【化35】

(式中、Zは、−CN又は−COOR5を表す)で表される化合物を生成するステップと、
(8)P2及びP3基を除去して、式8D:
【化36】

で表される化合物を生成するステップと、
(9)式8Dで表される化合物の−CN基又は−COOR5基を塩基で加水分解して、式9D:
【化37】

で表される化合物を生成するステップと、
(10)式9Dで表される化合物のω−側鎖における二重結合を水素化して、トレプロスチニルを生成するステップと、
を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
トレプロスチニルの製造方法であって、該方法は、
(1)式IIIa:
【化38】

(式中、P1は、非置換又は置換ベンジルを表し、P2は、請求項1に定義した通り)で表される化合物を、式II−1b:
【化39】

(式中、X、R2、R3、R4及びP3は、請求項1に定義した通り)で表される化合物から誘導される銅酸塩と反応させて、式1b:
【化40】

で表される化合物を生成するステップと、
(2)式1bで表される化合物のケトン基をメチレン化して、式2b:
【化41】

で表されるメチレン化合物を生成するステップと、
(3)式2bで表される化合物をホウ素試薬によりヒドロホウ素化し、続いて塩基性過酸化水素により酸化して、式3b:
【化42】

で表されるアルコール化合物を得るステップと、
(4)式3bで表される化合物を塩基の存在下でスルホニル供与体によりスルホニル化して、式4b:
【化43】

(式中、X1は、スルホニル基である)で表される化合物を生成するステップと、
(5)P1基を除去して、式5b:
【化44】

で表される化合物を生成するステップと、
(6)式5bで表される化合物を分子内アルキル化して、式6b:
【化45】

で表される化合物を生成するステップと、
(7)P2及びP3基を除去して、式8d:
【化46】

で表される化合物を生成するステップと、
(8)フェノール基をXCH2CN又はXCH2COOR5(式中、Xは、ハロゲンを表し;R5は、アルキルを表す)で表されるアルキル化剤によりアルキル化して、式9d:
【化47】

(式中、Zは、−CN又は−COOR5である)で表される化合物を生成するステップと、
(9)式9dで表される化合物の−CN基又は−COOR5基を塩基で加水分解して、トレプロスチニルを生成するステップと、
を含む、トレプロスチニルの製造方法。
【請求項21】
式8d:
【化48】

で表される化合物の製造方法であって、該方法は、
(1)式6d:
【化49】

(式中、P2及びP3は、請求項1に定義した通り)で表される化合物をエステル化して、式10d:
【化50】

(式中、Mは、低級アルキル又は非置換若しくは置換フェニルを表す)で表されるエステル化合物を生成するステップと、
(2)P2及びP3基を除去して、式11d:
【化51】

で表される化合物を生成するステップと、
(3)式11dで表される化合物のω−側鎖における二重結合を水素化し、続いて水素化された化合物を脱アシル化する、又は式11dで表される化合物を脱アシル化し、続いて脱アシル化された化合物のω−側鎖における二重結合を水素化して、式8dで表される化合物を生成するステップと、
を含む、式8dで表される化合物の製造方法。
【請求項22】
Mは、フェニル又は4−フェニルフェニルである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
式1e:
【化52】

(式中、P1は、非置換又は置換ベンジルを表し;
【化53】

2は、単結合、C14アルキレン又は−CH2O−を表し;R3は、C17アルキル、アリール又はアラルキルであって、それぞれ非置換又はC14アルキル、ハロゲン若しくはトリハロメチルによって置換された基を表し;P2'及びP3'は、それぞれヒドロキシ基の保護基として請求項1に定義されているP2及びP3を表すか、又は独立して水素原子(H)である)で表される化合物。
【請求項24】
式8D−1で表される化合物。
【化54】

【請求項25】
式11−1:
【化55】

(式中、Mは、メチル、フェニル又は4−フェニルフェニルを表し;
【化56】

で表される化合物。

【公開番号】特開2013−47224(P2013−47224A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−180637(P2012−180637)
【出願日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【出願人】(512213583)チャイロゲート インターナショナル インク. (2)
【氏名又は名称原語表記】CHIROGATE INTERNATIONAL INC.
【Fターム(参考)】