説明

ベンゾオキサジノン化合物の結晶

【課題】肥満症などの予防・治療剤として有用な2−ヘキサデシルオキシ−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オンの結晶の提供。
【解決手段】粉末X線回折の格子面間隔(d)が16.54±0.2、13.26±0.2、4.70±0.2、4.38±0.2、3.67±0.2オングストローム付近に特徴的ピークが現れる粉末X線回折パターンを有する2−ヘキサデシルオキシ−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オンの結晶。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肥満症の予防・治療剤として有用なベンゾオキサジノン化合物の結晶に関する。
【背景技術】
【0002】
リパーゼ阻害作用を有し、肥満症などの予防・治療剤として有用な2−ヘキサデシルオキシ−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オンが、米国特許第6,624,161号明細書に報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,624,161号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有効性および安全性に優れた肥満症の予防・治療剤が望まれている。本発明は、肥満症の予防・治療剤として有用な2−ヘキサデシルオキシ−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オンの新規な結晶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、鋭意探索した結果、2−ヘキサデシルオキシ−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン(セチリスタット)を安定性が高い結晶とすることに成功し、この結晶が医薬として十分満足できるものであることを見出し、これらの知見に基づいて、本発明を完成した。
【0006】
即ち、本発明は、
(1)粉末X線回折の格子面間隔(d)が16.54±0.2、13.26±0.2、4.70±0.2、4.38±0.2、3.67±0.2オングストローム付近に特徴的ピークが現れる粉末X線回折パターンを有する2−ヘキサデシルオキシ−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オンの結晶、
(2)前記(1)記載の結晶を含有してなる医薬、
(3)肥満症の予防・治療剤である前記(2)記載の医薬等に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の結晶(例、後述のA型結晶、B型結晶)は、優れたリパーゼ阻害作用、脂肪吸収抑制作用等を有し、また毒性が低いため、医薬品として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、実施例1のB型結晶の粉末X線回折パターンを示す。
【図2】図2は、参考例1のA型結晶の粉末X線回折パターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(発明の詳細な説明)
本発明における2−ヘキサデシルオキシ−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン(以下、ベンゾオキサジノン化合物と略称する場合がある。)の結晶は、水和物などの溶媒和物であってもよく、非溶媒和物であってもよい。
【0010】
前記「水和物」としては、0.5水和物ないし5.0水和物が挙げられる。このうち、0.5水和物、1.0水和物、1.5水和物、2.0水和物、2.5水和物が好ましい。特に好ましくは0.5水和物、1.0水和物、1.5水和物である。
【0011】
本発明におけるベンゾオキサジノン化合物あるいはその水和物は重水素変換体であってもよい。
【0012】
また、本発明におけるベンゾオキサジノン化合物の結晶は、水和物以外の溶媒和物であってもよい。
【0013】
ベンゾオキサジノン化合物の溶媒和物結晶としては、例えばメタノール和物結晶、エタノール和物結晶等のアルコール和物結晶(好ましくはC1−6アルコール和物結晶)や水および有機溶媒が付加した有機溶媒・水和物結晶(例えば、メタノール・水和物、エタノール・水和物などのアルコール・水和物結晶、好ましくはC1−6アルコール・水和物結晶)などが挙げられる。
【0014】
本発明の結晶は、非晶形のベンゾオキサジノン化合物またはベンゾオキサジノン化合物の他の結晶を結晶転移させることにより製造できる。
【0015】
結晶転移は、ある温度または圧力を越えたときに結晶構造が変化する現象である。
【0016】
「結晶転移法」としては、自体公知の方法が挙げられ、例えば、溶液からの結晶化(例えば、濃縮法、除冷法、反応法(拡散法、電解法)、水熱育成法、融剤法など)、蒸気からの結晶化(例えば、気化法(封管法、気流法)、気相反応法、化学輸送法)、溶融体からの結晶化(ノルマルフリージング法(引き上げ法、温度傾斜法、ブリッジマン法)、帯溶融法(ゾーンレべリング法、フロートゾーン法)、特殊成長法(VLS法、液相エピタキシー法))、蒸散法(結晶を溶媒に溶かし、ろ過後大気条件で溶媒を蒸発させる)、スラリー法(過剰の固体が残るように溶媒に結晶を添加して懸濁液とし、大気温度または加熱あるいは冷却下で撹拌後、固体を濾集する)、減圧乾燥、すり潰し、粉砕、加圧などが挙げられる。
【0017】
本発明の結晶を得るには、上記した中でも特に、スラリー法が好ましい。特に、過剰の固体が残るように溶媒にベンゾオキサジノン化合物の結晶を添加して懸濁液とし、撹拌後、固体を濾集する方法が好ましい。用いられる溶媒としては、例えば、芳香族炭化水素類(例、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素類(例、ジクロロメタン、クロロホルム等)、飽和炭化水素類(例、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等)、エーテル類(例、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、ニトリル類(例、アセトニトリル等)、ケトン類(例、アセトン等)、スルホキシド類(例、ジメチルスルホキシド等)、酸アミド類(例、N,N−ジメチルホルムアミド等)、エステル類(例、酢酸エチル等)、アルコール類(例、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等)、水などが挙げられる。これらの溶媒は単独あるいは二種以上を適当な割合(例、1:1ないし1:100)で混合して用いられる。好ましくは、芳香族炭化水素類(例、キシレン等)、エーテル類(例、テトラヒドロフラン等)であり、より好ましくは、エーテル類(例、テトラヒドロフラン等)である。
【0018】
溶媒の使用量は、ベンゾオキサジノン化合物の結晶1gに対し、通常約2.5mL〜約10mL、好ましくは約2.5mL〜約3mLである。
【0019】
懸濁液は大気温度で撹拌後、冷却下でさらに撹拌することが好ましい。本明細書において、室温、大気温度は、約15℃〜約30℃を意味する。大気温度での撹拌時間は、通常約2時間〜約24時間、好ましくは約15時間〜約24時間である。冷却温度は、通常約0℃〜約10℃、好ましくは約0℃〜約5℃である。冷却下での撹拌時間は、通常約4時間〜約24時間、好ましくは約16時間〜約24時間である。懸濁液中の結晶は、濾過などの自体公知の方法で単離することができる。濾過温度は、通常約0℃〜約10℃、好ましくは約0℃〜約5℃である。
【0020】
あるいは、懸濁液を大気温度で撹拌後、大気温度で結晶を濾集してもよい。大気温度での撹拌時間は、通常約2時間〜約24時間、好ましくは約15時間〜約24時間である。
【0021】
得られた結晶を自体公知の方法で乾燥させることにより、本発明の結晶を得ることができる。乾燥は、減圧乾燥、あるいは通風による乾燥でもよい。本発明の結晶は、25℃〜40℃で安定であることから、乾燥温度は40℃以下が好ましく、より好ましくは約35℃〜約40℃である。乾燥時間は、通常約3時間〜約24時間、好ましくは約15時間〜約24時間である。
【0022】
非晶形のベンゾオキサジノン化合物またはベンゾオキサジノン化合物の他の結晶は、例えば、米国特許第6,624,161号に記載の方法またはそれに準じた方法に従って製造することができる。
【0023】
得られた結晶の解析方法としては、X線回折による結晶解析の方法が一般的である。さらに、結晶の方位を決定する方法としては、機械的な方法または光学的な方法(例えば、FT−ラマンスペクトル、固体NMRスペクトル)なども挙げられる。
【0024】
上記解析方法により得られるスペクトルのピークは、その性質上一定の測定誤差が必然的に生じる。スペクトルのピークの数値が当該誤差範囲のものも本発明の結晶に含まれる。例えば、粉末X線回折の格子面間隔(d)における「±0.2」は、当該誤差が許容されることを意味する。
【0025】
2−ヘキサデシルオキシ−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オンの結晶としては、
粉末X線回折の格子面間隔(d)が20.07±0.2、6.86±0.2、4.79±0.2、4.34±0.2、3.72±0.2オングストロームに特徴的ピークが現れる粉末X線回折パターンを有する結晶、好ましくは、粉末X線回折の格子面間隔(d)が22.52±0.2、20.07±0.2、9.99±0.2、7.18±0.2、6.86±0.2、4.79±0.2、4.34±0.2、3.72±0.2、3.51±0.2、3.36±0.2オングストロームに特徴的ピークが現れる粉末X線回折パターンを有する結晶(以下、A型結晶という。)、
粉末X線回折の格子面間隔(d)が16.54±0.2、13.26±0.2、4.70±0.2、4.38±0.2、3.67±0.2オングストロームに特徴的ピークが現れる粉末X線回折パターンを有する結晶、好ましくは、粉末X線回折の格子面間隔(d)が16.54±0.2、13.26±0.2、8.22±0.2、6.61±0.2、6.49±0.2、4.70±0.2、4.38±0.2、3.75±0.2、3.67±0.2、3.14±0.2オングストロームに特徴的ピークが現れる粉末X線回折パターンを有する結晶(以下、B型結晶という。)が挙げられ、A型結晶またはB型結晶が好ましい。
【0026】
かくして得られた2−ヘキサデシルオキシ−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オンの結晶は、優れたリパーゼ阻害作用、脂肪吸収抑制作用等を有し、また毒性が低いため、医薬品として有用である。しかも、本発明の結晶は安定性に優れているため、取り扱いが容易であり、再現性良く固体の医薬組成物に製造することができる。
【0027】
本発明の結晶は、哺乳動物(例えば、ヒト、ラット、マウス、ネコ、イヌ、ウサギ、ウシ、ブタ、ハムスター、ヒツジ、サル)に対して、例えば、肥満症、高脂血症(例、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL血症、食後高脂血症)、高血糖症(2型糖尿病、耐糖能不全(Impaired Glucose Tolerance))、高血圧、心血管疾患、卒中、消化器疾患などの各種疾患あるいはこれら疾患の合併症(例、2型糖尿病合併肥満症、高脂血症合併肥満症、メタボリックシンドローム)の安全な予防・治療剤として使用することができる。
【0028】
本発明の結晶は、毒性が低く、そのままあるいは自体公知の方法に従って、薬理学的に許容される担体を混合した医薬組成物、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、散剤、顆粒剤、カプセル剤(ソフトカプセルを含む)、口腔内崩壊錠、口腔内崩壊フィルム、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤、貼布剤などとして、経口的または非経口的(例、局所、直腸、静脈投与等)に安全に投与することができる。
【0029】
本発明の結晶の医薬組成物中の投与量は、組成物全体の約0.01ないし100重量%である。該投与量は、投与対象、投与ルート、疾患などによっても異なるが、例えば、リパーゼ阻害剤として、肥満症またはその合併症(例、2型糖尿病合併肥満症、高脂血症合併肥満症)に罹患した成人患者(体重:60kg)に経口的に投与する場合、有効成分として約1〜500mg/日、好ましくは約5〜250mg/日、さらに好ましくは約5〜100mg/日である。本発明の結晶は、1日1回または2〜3回に分けて投与してもよい。
【0030】
本発明の医薬組成物の製造に用いられてもよい薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が挙げられ、例えば固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、水溶性高分子;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤などがあげられる。また、必要に応じて、通常の防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、酸味剤、発泡剤、香料などの添加物を用いることもできる。
【0031】
「賦形剤」としては、例えば乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、酸化チタンなどが挙げられる。
「滑沢剤」としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸などが挙げられる。
「結合剤」としては、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロース、αデンプン、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム末、ゼラチン、プルラン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。
【0032】
「崩壊剤」としては、(1)クロスポビドン、(2)クロスカルメロースナトリウム(FMC−旭化成)、カルメロースカルシウム(五徳薬品)などスーパー崩壊剤と称される崩壊剤、(3)カルボキシメチルスターチナトリウム(例、松谷化学(株))、(4)低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(例、信越化学(株))、(5)コーンスターチ等が挙げられる。「クロスポビドン」としては、ポリビニルポリピロリドン(PVPP)、1−ビニル−2−ピロリジノンホモポリマーと称されているものも含め、1−エテニル−2−ピロリジノンホモポリマーという化学名を有し架橋されている重合物のいずれであってもよく、具体例としては、コリドンCL(BASF社)、ポリプラスドンXL(ISP社)、ポリプラスドンXL−10(ISP社)、ポリプラスドンINF−10(ISP社)などである。
【0033】
「水溶性高分子」としては、例えばエタノール可溶性水溶性高分子〔例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(以下、HPCと記載することがある)などのセルロース誘導体、ポリビニルピロリドンなど〕、エタノール不溶性水溶性高分子〔例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下、HPMCと記載することがある)、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース誘導体、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、グアーガムなど〕などが挙げられる。
【0034】
「溶剤」としては、例えば注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油などが挙げられる。
「溶解補助剤」としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。
「懸濁化剤」としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子などが挙げられる。
【0035】
「等張化剤」としては、例えばブドウ糖、 D−ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトールなどが挙げられる。
「緩衝剤」としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などが挙げられる。
「無痛化剤」としては、例えばベンジルアルコールなどが挙げられる。
「防腐剤」としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。
「抗酸化剤」としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸、α−トコフェロールなどが挙げられる。
「着色剤」としては、例えば食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号などの食用色素;食用レーキ色素、ベンガラなどが挙げられる。
「甘味剤」としては、例えばサッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチンなどが挙げられる。
「酸味剤」としては、例えばクエン酸(無水クエン酸)、酒石酸、リンゴ酸などが挙げられる。
「発泡剤」としては、例えば重曹などが挙げられる。
「香料」としては、合成物および天然物のいずれでもよく、例えばレモン、ライム、オレンジ、メントール、ストロベリーなどが挙げられる。
【0036】
本発明の結晶は、自体公知の方法に従い、例えば賦形剤、崩壊剤、結合剤または滑沢剤などを添加して圧縮成形し、次いで必要により、味のマスキング、腸溶性あるいは持続性の目的のため自体公知の方法でコーティングすることにより経口投与製剤とすることができる。「腸溶性被覆層」としては、例えば、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、メタアクリル酸共重合体〔例えば、オイドラギット(Eudragit) L30D−55(商品名;レーム社)、コリコートMAE30DP(商品名;BASF社)、ポリキッドPA30(商品名;三洋化成社)など〕、カルボキシメチルエチルセルロース、セラックなどの水系腸溶性高分子基剤;メタアクリル酸共重合体〔例えば、オイドラギットNE30D(商品名)、オイドラギットRL30D(商品名)、オイドラギットRS30D(商品名)など〕などの徐放性基剤;水溶性高分子;クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、アセチル化モノグリセリド、トリアセチン、ヒマシ油などの可塑剤等の一種または二種以上混合したものなどが挙げられる。
【0037】
本発明の結晶は、例えばWO2006/132440に記載の方法に準じて錠剤などの固形製剤に製剤化することができる。
【0038】
本発明の結晶は、他の薬物と併用して使用することもできる。本発明の結晶と併用し得る薬物(以下、併用薬物と略記する)としては、例えば、以下のようなものが用いられる。
【0039】
(1)糖尿病治療剤
インスリン製剤〔例、ウシ、ブタなどの膵臓から抽出された動物インスリン製剤;大腸菌、イーストを用い、遺伝子工学的に合成したヒトインスリン製剤;インスリン亜鉛;プロタミンインスリン亜鉛;インスリンのフラグメントまたは誘導体(例、INS−1);経口インスリン製剤〕、インスリン抵抗性改善剤(例、ピオグリタゾンまたはその塩(好ましくは塩酸塩)、ロシグリタゾンまたはその塩(好ましくはマレイン酸塩)、レグリキサン(Reglixane)、ネトグリタゾン(Netoglitazone)、FK−614、リボグリタゾン(Rivoglitazone)、DRF-2593、エダグリタゾン(Edaglitazone)(BM-13.1258)、R-119702、WO01/38325に記載の化合物、テサグリタザール(Tesaglitazar)、ラガグリタザール(Ragaglitazar)、ムラグリタザール(Muraglitazar)、ONO-5816、LM-4156、メタグリダセン(Metaglidasen)(MBX-102)、ナベグリタザール(Naveglitazar)(LY-519818)、MX-6054、LY-510929、バラグリタゾン(Balaglitazone)、T-131またはその塩、THR-0921)、α−グルコシダーゼ阻害剤(例、ボグリボース、アカルボース、ミグリトール、エミグリテート)、ビグアナイド剤(例、フェンホルミン、メトホルミン、ブホルミンまたはそれらの塩(例、塩酸塩、フマール酸塩、コハク酸塩))、インスリン分泌促進剤(スルホニルウレア剤(例、トルブタミド、グリベンクラミド、グリクラジド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリクロピラミド、グリメピリド、グリピザイド、グリブゾール)、レパグリニド、セナグリニド、ナテグリニド、ミチグリニドまたはそのカルシウム塩水和物)、GPR40アゴニスト、GLP-1受容体アゴニスト[例、GLP-1、GLP-1MR剤、NN-2211、AC-2993(exendin-4)、BIM-51077、Aib(8,35)hGLP-1(7,37)NH2、CJC-1131]、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤(例、NVP−DPP−278、PT−100、P32/98、ヴィルダグリプチン(Vildagliptin)(LAF-237)、P93/01、TS-021、シタグリプチン フォスフェート(Sitagliptin phosphate)(MK−431)、サクサグリプチン(Saxagliptin)(BMS-477118) 、E-3024、T-6666(TA-6666)、823093、825964、815541)、β3アゴニスト(例、AJ−9677)、アミリンアゴニスト(例、プラムリンチド)、フォスフォチロシンホスファターゼ阻害剤(例、バナジン酸ナトリウム)、糖新生阻害剤(例、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤、グルカゴン拮抗剤)、SGLT(sodium-glucose cotransporter)阻害剤(例、T−1095)、11β-HSD1阻害薬(例、BVT-3498)、アジポネクチンまたはその作動薬、IKK阻害薬(例、AS-2868)、レプチン抵抗性改善薬、ソマトスタチン受容体作動薬(例、WO01/25228、WO03/42204、WO98/44921、WO98/45285、WO99/22735に記載の化合物)、グルコキナーゼ活性化薬(例、Ro-28-1675)など。
【0040】
(2)糖尿病性合併症治療剤
アルドース還元酵素阻害剤(例、トルレスタット、エパルレスタット、ゼナレスタット、ゾポルレスタット、フィダレスタット、ミナルレスタット、ラニレスタット、CT−112)、神経栄養因子およびその増加薬(例、NGF、NT−3、BDNF、WO01/14372に記載のニューロトロフィン産生・分泌促進剤(例、4−(4−クロロフェニル)−2−(2−メチル−1−イミダゾリル)−5−[3−(2−メチルフェノキシ)プロピル]オキサゾール))、神経再生促進薬(例、Y−128、VX853、prosaptide)、PKC阻害剤(例、ルボキシスタウリン メシレート(ruboxistaurin mesylate))、AGE阻害剤(例、ALT−945、ピマゲジン、N−フェナシルチアゾリウムブロミド(ALT−766)、EXO−226、ALT−711、ピリドリン(Pyridorin)、ピリドキサミン)、活性酸素消去薬(例、チオクト酸)、脳血管拡張剤(例、チアプリド)、ソマトスタチン受容体作動薬(例、BIM23190)、アポトーシスシグナルレギュレーティングキナーゼ−1(ASK-1)阻害薬など。
【0041】
(3)抗高脂血症剤
HMG−CoA還元酵素阻害剤(例、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチンまたはそれらの塩(例、ナトリウム塩、カルシウム塩))、スクアレン合成酵素阻害剤(例、WO97/10224に記載の化合物、例えば、N−[[(3R,5S)-1-(3-アセトキシ-2,2-ジメチルプロピル)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル]アセチル]ピペリジン-4-酢酸)、フィブラート系化合物(例、ベザフィブラート、クロフィブラート、シムフィブラート、クリノフィブラート)、ACAT阻害剤(例、アバシマイブ(Avasimibe)、エフルシマイブ(Eflucimibe))、陰イオン交換樹脂(例、コレスチラミン)、プロブコール、ニコチン酸系薬剤(例、ニコモール(nicomol)、ニセリトロール(niceritrol))、イコサペント酸エチル、植物ステロール(例、ソイステロール(soysterol)、ガンマオリザノール(γ−oryzanol))など。
【0042】
(4)降圧剤
アンジオテンシン変換酵素阻害剤(例、カプトプリル、エナラプリル、デラプリル、リシノプリル)、アンジオテンシンII拮抗剤(例、ロサルタン、カンデサルタン シレキセチル、エプロサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、タソサルタン、1-[[2'-(2,5-ジヒドロ-5-オキソ-4H-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル]-2-エトキシ-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸)、カルシウム拮抗剤(例、マニジピン、ニフェジピン、アムロジピン、エホニジピン、ニカルジピン)、カリウムチャンネル開口薬(例、レブクロマカリム、L-27152、AL 0671、NIP-121)、α1遮断薬(例、塩酸プラゾシン、塩酸テラゾシン、塩酸ブナゾシン)、β遮断薬(例、塩酸プロプラノロール、ピンドロール、アテノロール、塩酸セリプロロール、酒石酸メトプロロール)、α1、β遮断薬(例、塩酸ラベタロール、カルベジロール、塩酸ブニトロロール)、クロニジンなど。
【0043】
(5)抗肥満剤
中枢性抗肥満薬(例、デキスフェンフルアミン、フェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、アンフェプラモン、デキサンフェタミン、マジンドール、フェニルプロパノールアミン、クロベンゾレックス;MCH受容体拮抗薬(例、SB-568849;SNAP-7941;WO01/82925およびWO01/87834に記載の化合物);ニューロペプチドY拮抗薬(例、CP-422935);カンナビノイド受容体拮抗薬(例、SR-141716、SR-147778);グレリン拮抗薬)、β3アゴニスト(例、AJ−9677)、ペプチド性食欲抑制薬(例、レプチン、CNTF(毛様体神経栄養因子))、コレシストキニンアゴニスト(例、リンチトリプト、FPL−15849)、摂食抑制薬(例、P-57)など。
【0044】
(6)利尿剤
キサンチン誘導体(例、サリチル酸ナトリウムテオブロミン、サリチル酸カルシウムテオブロミン)、チアジド系製剤(例、エチアジド、シクロペンチアジド、トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンジルヒドロクロロチアジド、ペンフルチジド、ポリチアジド、メチクロチアジド)、抗アルドステロン製剤(例、スピロノラクトン、トリアムテレン)、炭酸脱水酵素阻害剤(例、アセタゾラミド)、クロルベンゼンスルホンアミド系製剤(例、クロルタリドン、メフルシド、インダパミド)、アゾセミド、イソソルビド、エタクリン酸、ピレタニド、ブメタニド、フロセミド、メチクランなど。
【0045】
(7)化学療法剤
アルキル化剤(例、サイクロフォスファミド、イフォスファミド)、代謝拮抗剤(例、メソトレキセート、5−フルオロウラシルまたはその誘導体(例、フルツロン、ネオフルツロン))、抗癌性抗生物質(例、マイトマイシン、アドリアマイシン)、植物由来抗癌剤(例、ビンクリスチン、ビンデシン、タキソール)、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシドなど。
【0046】
(8)免疫療法剤
微生物または細菌成分(例、ムラミルジペプチド誘導体、ピシバニール)、免疫増強活性のある多糖類(例、レンチナン、シゾフィラン、クレスチン)、遺伝子工学的手法で得られるサイトカイン(例、インターフェロン、インターロイキン(例、IL−1、IL−2、IL−12))、コロニー刺激因子(例、顆粒球コロニー刺激因子、エリスロポエチン)など。
【0047】
(9)抗血栓剤
ヘパリン(例、ヘパリンナトリウム、ヘパリンカルシウム、ダルテパリンナトリウム(dalteparin sodium))、ワルファリン(例、ワルファリンカリウム)、抗トロンビン薬(例、アルガトロバン(aragatroban))、血栓溶解薬(例、ウロキナーゼ(urokinase)、チソキナーゼ(tisokinase)、アルテプラーゼ(alteplase)、ナテプラーゼ(nateplase)、モンテプラーゼ(monteplase)、パミテプラーゼ(pamiteplase))、血小板凝集抑制薬(例、塩酸チクロピジン(ticlopidine hydrochloride)、シロスタゾール(cilostazol)、イコサペント酸エチル、ベラプロストナトリウム(beraprost sodium)、塩酸サルポグレラート(sarpogrelate hydrochloride))など。
【0048】
(10)悪液質改善剤
プロゲステロン誘導体(例、メゲステロールアセテート)、メトクロプラミド系薬剤、テトラヒドロカンナビノール系薬剤、脂肪代謝改善剤(例、エイコサペンタエン酸)、成長ホルモン、IGF−1、あるいは悪液質を誘導する因子であるTNF−α、LIF、IL−6、オンコスタチンMに対する抗体など。
【0049】
(11)消炎剤
ステロイド剤(例、デキサメサゾン)、ヒアルロン酸ナトリウム、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例、インドメタシン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、メロキシカム、アムピロキシカム、セレコキシブ、ロフェコキシブ)など。
【0050】
(12)その他
糖化阻害剤(例、ALT−711)、抗うつ薬(例、デシプラミン、アミトリプチリン、イミプラミン、フロキセチン、パロキセチン、ドキセピン)、抗てんかん薬(例、ラモトリジン、カルバマゼピン)、抗不整脈薬(例、メキシレチン)、アセチルコリン受容体リガンド(例、ABT−594)、エンドセリン受容体拮抗薬(例、ABT−627)、モノアミン取り込み阻害薬(例、トラマドル)、インドールアミン取り込み阻害薬(例、フロキセチン、パロキセチン)、麻薬性鎮痛薬(例、モルヒネ)、GABA受容体作動薬(例、ギャバペンチン)、GABA取り込み阻害薬(例、チアガビン)、α2受容体作動薬(例、クロニジン)、局所鎮痛薬(例、カプサイシン)、抗不安薬(例、ベンゾジアゼピン類)、ホスホジエステラーゼ阻害薬(例、シルデナフィル)、ドーパミン受容体作動薬(例、アポモルフィン)、ドーパミン受容体拮抗薬(例、ハロペリドール)、セロトニン受容体作動薬(例、クエン酸タンドスピロン、スマトリプタン)、セロトニン受容体拮抗薬(例、塩酸シプロヘプタジン、オンダンセトロン)、セロトニン取り込み阻害薬(例、マレイン酸フルボキサミン、フロキセチン、パロキセチン)、睡眠導入剤(例、トリアゾラム、ゾルピデム)、抗コリン剤、α1受容体遮断薬(例、タムスロシン)、筋弛緩薬(例、バクロフェン)、アルツハイマー病予防・治療薬(例、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン)、パーキンソン病治療薬(例、L−ドーパ)、多発性硬化症予防・治療薬(例、インターフェロンβ−1a)、ヒスタミンH1受容体阻害薬(例、塩酸プロメタジン)、プロトンポンプ阻害薬(例、ランソプラゾール、オメプラゾール、ラベプラゾールまたはその塩(例、ナトリウム塩))、NK−2受容体アンタゴニスト、HIV感染症治療薬(例、サキナビル、ジドブジン、ラミブジン、ネビラビン)、慢性閉塞性肺疾患治療薬(例、サルメテロール、チオトロピウムブロミド、シロミラスト)など。
【0051】
抗コリン剤としては、例えば、アトロピン、スコポラミン、ホマトロピン、トロピカミド、シクロペントラート、臭化ブチルスコポラミン、臭化プロパンテリン、臭化メチルベナクチジウム、臭化メペンゾラート、フラボキサート、ピレンセビン、臭化イプラトピウム、トリヘキシフェニジル、オキシブチニン、プロピベリン、ダリフェナシン、トルテロジン、テミベリン、塩化トロスピウムまたはその塩(例、硫酸アトロピン、臭化水素酸スコポラミン、臭化水素酸ホマトロピン、塩酸シクロペントラート、塩酸フラボキサート、塩酸ピレンセビン、塩酸トリヘキシフェニジル、塩化オキシブチニン、酒石酸トルテロジン)などが用いられ、なかでも、オキシブチニン、プロピベリン、ダリフェナシン、トルテロジン、テミベリン、塩化トロスピウムまたはその塩(例、塩化オキシブチニン、酒石酸トルテロジン)が好適である。また、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(例、ジスチグミン)なども使用することができる。
【0052】
NK−2受容体アンタゴニストとしては、例えば、GR159897、GR149861、SR48968(saredutant)、SR144190、YM35375、YM38336、ZD7944、L−743986、MDL105212A、ZD6021、MDL105172A、SCH205528、SCH62373、R−113281などのピペリジン誘導体;RPR−106145などのペルヒドロイソインドール誘導体;SB−414240などのキノリン誘導体;ZM−253270などのピロロピリミジン誘導体;MEN11420(nepadutant)、SCH217048、L−659877、PD−147714(CAM−2291)、MEN10376、S16474などのプソイドペプチド誘導体;その他、GR100679、DNK333、GR94800、UK−224671、MEN10376、MEN10627、またはそれらの塩などが挙げられる。
【0053】
併用薬物としては、インスリン製剤、インスリン抵抗性改善剤(好ましくはピオグリタゾンまたはその塩(好ましくは塩酸塩))、α−グルコシダーゼ阻害剤(好ましくはボグリボース)、ビグアナイド剤(好ましくはメトホルミン)、インスリン分泌促進剤(好ましくはスルホニルウレア剤、ミチグリニドまたはそのカルシウム塩水和物)、HMG−CoA還元酵素阻害剤(好ましくはシンバスタチン、アトルバスタチン)などが好ましい。
【0054】
本発明の結晶と併用薬物とを配合または併用する本発明の医薬には、(1)本発明の結晶と併用薬物とを含有する医薬組成物として単一に製剤化されたもの、(2)本発明の結晶を含む医薬組成物と併用薬物とが別個に製剤化されたもののいずれも含まれる。以下、これらを総称して本発明の併用剤と略記する。
【0055】
本発明の併用剤は、本発明の結晶および併用薬物の有効成分を、別々にあるいは同時に、そのまま若しくは薬学的に許容され得る担体などと混合し、上述した本発明の固形製剤と同様の方法により製剤化することができる。
【0056】
本発明の併用剤の一日投与量は、症状、人種、投与対象の年齢、性別、体重、投与形態、有効成分の種類などによって異なるが、副作用の問題とならない範囲であれば特に限定されない。本発明の併用剤の一日投与量は、例えば経口投与の場合、本発明の結晶と併用薬物との合計投与量として、通常、哺乳動物1kg体重あたり約0.005〜100mg、好ましくは約0.05〜50mgであり、更に好ましくは約0.2〜30mgであり、これを通常1日1〜3回に分けて投与する。
【0057】
本発明の併用剤を投与するに際しては、本発明の結晶と併用薬物とを同時期に投与してもよいが、併用薬物を先に投与した後、本発明の結晶を投与してもよいし、本発明の結晶を先に投与し、その後で併用薬物を投与してもよい。時間差をおいて投与する場合、時間差は投与する有効成分、剤形、投与方法により異なるが、例えば、併用薬物を先に投与する場合、併用薬物を投与した後1分〜3日以内、好ましくは10分〜1日以内、より好ましくは15分〜1時間以内に本発明の結晶を投与する方法が挙げられる。本発明の結晶を先に投与する場合、本発明の結晶を投与した後、1分〜1日以内、好ましくは10分〜6時間以内、より好ましくは15分から1時間以内に併用薬物を投与する方法が挙げられる。
【0058】
本発明の併用剤において、併用剤全体に対する本発明の結晶の含有量は、併用剤の形態によって相違するが、通常、0.1重量%〜65重量%、好ましくは0.3重量%〜50重量%、さらに好ましくは0.5重量%〜20重量%程度である。
【実施例】
【0059】
以下に、実施例および参考例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
以下の実施例および参考例において、室温は、約15℃〜約30℃を意味する。
粉末X線回析は、Rigaku RINT2500V(Cu−Kα線:λ=1.5418Å、管電圧:40kV、管電流:400mA、積算回数:16回)を用いて測定した。
【0060】
実施例1
2−ヘキサデシルオキシ−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オンの結晶(B型結晶)
参考例1に記載の方法で得たA型結晶(100g)を室温下でテトラヒドロフラン(250mL)に懸濁し、室温で3時間以上撹拌した。撹拌後、懸濁液を0〜10℃に冷却し、同温度にて4時間以上撹拌した。撹拌後、懸濁液を0〜10℃に冷却し、同温度にて結晶を濾取し、ウェット結晶を得た。得られたウェット結晶を35〜40℃にて減圧乾燥して、B型結晶を得た(収率 約94%)。粉末X線回折の測定結果を下表に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
実施例2
2−ヘキサデシルオキシ−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オンの結晶(B型結晶)
参考例1に記載の方法で得たA型結晶(3g)を室温下でp−キシレン(10mL)に懸濁し、室温で17時間以上撹拌した。撹拌後、同温度にて結晶を濾取し、ウェット結晶を得た。得られたウェット結晶を35〜40℃にて減圧乾燥して、B型結晶を得た(収率 約41%)。
【0063】
参考例1
2−ヘキサデシルオキシ−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オンの結晶(A型結晶)
米国特許第6,624,161号の実施例4に記載の方法に準じて製造した粗2−ヘキサデシルオキシ−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン(10g)をn−ヘプタン(90mL)に懸濁後、50〜55℃に昇温・溶解した。溶解を確認した後、活性炭(白鷺(登録商標)A、日本エンバイロケミカルズ株式会社)(0.5g)を添加し、50〜55℃にて30分間撹拌した。撹拌後、熱時炭濾過し、n−ヘプタン(10mL)にて洗浄した。濾液および洗浄液を室温まで冷却し、次いで室温にてエタノール(40mL)を滴下した。滴下終了後、0〜10℃に冷却し、同温度にて1時間撹拌した。撹拌後、結晶を濾取し、エタノール(20mL)にて洗浄後、ウェット結晶を得た。得られたウェット結晶を40〜50℃にて減圧乾燥して、A型結晶を得た(収率 約93%)。粉末X線回折の測定結果を下表に示す。
【0064】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末X線回折の格子面間隔(d)が16.54±0.2、13.26±0.2、4.70±0.2、4.38±0.2、3.67±0.2オングストローム付近に特徴的ピークが現れる粉末X線回折パターンを有する2−ヘキサデシルオキシ−6−メチル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オンの結晶。
【請求項2】
請求項1記載の結晶を含有してなる医薬。
【請求項3】
肥満症の予防・治療剤である請求項2記載の医薬。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−254623(P2010−254623A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106606(P2009−106606)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【Fターム(参考)】