説明

ベンゾキノリジン−2−カルボン酸アルギニン塩四水和物

本発明は結晶性S-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物、その調製方法及び微生物感染症を治療するのに使用するためのそれを活性成分として含む医薬製剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は結晶性S-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物及びその製造方法に関する。微生物感染性疾患の予防及び/又は治療における使用のための製剤を提供するためにその四水和物を含む組成物がまた記載される。
【背景技術】
【0002】
S-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩は抗生物質のフルオロキノロンクラスと一緒に医療上類別される、広いスペクトルの抗生物質であり、これはそれ程結晶性ではない無水和物形態及び一層結晶性の水和物形態で単離されると本件出願人の米国特許第6,514,986 B2号に開示され、特許請求されている。本件出願人の米国特許第6,664,267号は米国特許第6,514,986 B2号に記載された無水和物形態及び水和物形態に対し利点を有すると開示されているS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩の結晶性一水和物形態を記載している。それ程結晶性ではない無水和物形態及び水和物形態と比較して、結晶性一水和物形態に関するこのような有利な性質として、湿度及び温度の特定条件における高められた安定性が挙げられる。
本発明によれば、高度に均一な形態のS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物が既に知られている形態よりも有利であり、水溶液を含む、安定な医薬投薬形態を調製するのに使用し得ることがわかった。何とならば、それが最も物理的に安定な形態であり、時間にわたってその他の結晶性形態に転化する傾向を有しないからである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明によれば、その他の溶媒和物形態に関して高度に均一であり、このようなその他の無水和物又は水和物溶媒和物形態の非結晶性もしくは結晶性の形態と比較して優れた性質を有する結晶性S-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物が提供される。
更に、本発明はS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物の調製方法、それを含む医薬組成物、及び多種の微生物感染症の治療及び/又は予防におけるその使用に関する。
本発明のS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物は以下に更に詳しく記載されるように、グラム陽性細菌、グラム陰性細菌及び嫌気性細菌に対し強力な抗菌活性を示す化合物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
本発明によれば、下記の構造:
【化1】

により表される、広いスペクトルの抗生物質S-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩の新規な高度に均一な結晶性四水和物形態が提供される。
【0005】
S-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩はスタフィロコッカス・アウレウスの抗生物質耐性株、更に特別にはグリコペプチド耐性スタフィロコッカスを含む広いスペクトルの微生物に対し有効であり、かつ優れた総合の許容性を有すると哺乳類で示されていた(第41回ICAAC 2001年、シカゴ、IL、米国で提示されたポスターF-535、F-537、F-538、F-539、及びF-540並びに第42回ICAAC 2002年、サンジエゴ、CA、米国で提示されたポスターF-564)。
【0006】
バルク活性成分としてのS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩を調製するための初期の方法はその無水和物溶媒和物形態及び水和された溶媒和物形態をもたらした。これらの溶媒和物形態の物理化学的特性が米国特許第6,514,986 B2に記載されている。溶媒和物形態の状態は分子が異なる構造(これは順にそれらの溶媒和状態を異にする)で結晶化する能力を示す場合に存在すると言われれている(Brittain, Spectroscopy, (2000), 15 (7), 34-39)。水和物形態は溶媒が水である溶媒和形態と定義し得る。バルク物質の調製の更なる研究は結晶性形態がS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩の一水和物から生成し得ることを明らかにした。その物理化学的特性が米国特許第6,664,267号に記載されている。この一水和物及びその単結晶の調製方法の更なる研究はそのX線結晶分析でそれが、驚くことに、四水和物であると示した水和形態をもたらし、それについての詳細なデータが以下に、また図に提示される。温度及び/又は湿度の関数としてのそれらの夫々のX線回折図、示差走査熱量測定グラフ、それらの含水量、それらの安定性順序に関するS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩の異なる水和物の徹底的な研究は四水和物が最も安定な多形であるという理解をもたらした。
【0007】
S-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物は以下に示されるように単結晶X線結晶分析からの結晶パラメーターを更に特徴とする。
S-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩の結晶はC19H21N2O4F・C6H14N4O2・4H2Oの組成を有する分子集合体;結晶化の四つの水分子を含むS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸とL-アルギニンの1:1錯塩を生成することがわかる。その塩は斜方晶系、空間群p212121の双性イオン形態で存在する。データ収集、構造解析及び洗練の詳細が表1に示される。
【0008】
表1 S-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物の単結晶パラメーター

【0009】
表1に含まれたデータを得るのに使用した試験及び操作は当業界で通常であり、当業者はこの明細書及び当業界の彼/彼女の知識に基づいてこれらの試験を行なう方法を知っているであろう。
S-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸及びL-アルギニンの両方の-COOH基は-COO-及びH+としてイオン化されることがわかる。これらのH+イオンはL-アルギニンの窒素孤立対により吸収されてNH3+及びNH2+を夫々生成する。四つの水分子は-COO-基と強い水素結合を形成することがわかった(図2)。実際に、水分子の一つのH71はL-アルギニンの-NH3+基との更に別の強いO...H-N水素結合(図2中のO7...H31)とともに、ベンゾキノリジン-2-カルボン酸の-COO-基と強いO-H...O水素結合を形成する(図2中のH71...O2)。こうして、この水分子(O7)は二つの部分を橋かけして一層強い会合をもたらす。しかしながら、ベンゾキノリジン-2-カルボン酸の-COO-(O8H81...O2)とのその他の三つの水分子(そのうちの二つはL-アルギニンの-COO-基と強いO-H...O水素結合(O9H01...O5及びO10H102...06)を生じる)、及び残りの水分子はそれ程しっかりと結合されず、全ての結合が図2に示される。本発明の塩の示差走査熱量測定研究(図5を参照のこと)及び熱重量分析(図6を参照のこと)は四つの水分子のうちの三つ(O8、O9及びO10)が70℃での加熱で失われ、初期にO7を保持することにより一水和物を生成することにより、結合の性質を確かめる。
【0010】
単結晶X線分析により示されたように結合された水分子を含む結晶性S-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物はS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩を有機溶媒及び水に溶解することによりつくられた溶液の遅い蒸発により高い均一性で調製し得る。
S-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物の結晶形態の製造方法は下記の連続工程:
a)有機溶媒及び水中のS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩の懸濁液を70-80℃で加熱して透明な溶液を得る工程、
b)その溶液を冷却して結晶物質を得る工程、
c)S-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物の結晶形態を30℃-35℃で濾過又は遠心分離により単離する工程、及び
d)S-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物の結晶形態を30℃-35℃の温度で空気乾燥する工程
を含む。
【0011】
あらゆるS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩が工程a)で使用し得る。
好ましい有機溶媒はアセトニトリル及びアセトンである。最も好ましい有機溶媒はアセトンである。S-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩対有機溶媒対水の好ましい比は1:5:1.25(w/v/v)である。アセトン又はアセトニトリル対水の好ましい比は4:1(v/v)である。
工程a)の溶液は透明な溶液を得るのに必要な長さにわたって加熱される。透明な溶液は典型的には15分〜3時間で得られるが、その時間は変化してもよい。
工程b)では、溶液が室温又は30℃-35℃に冷却されてもよい。
S-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩の種々の結晶形態のうち、水性アセトン溶液から直接結晶化する主要なものは四水和物である。この四水和物はカール・フィッシャー(KF)分析で水和の水の4分子に相当する、11.87%の含水量(4H2Oとして計算して11.88%)を示す。70℃及びHgの1mmの高真空下で16時間にわたって更に乾燥すると、四水和物は一水和物に変換され、含水量について4.0%と分析される(1H2Oとして計算して3.98%)。
この一水和物は温度(35℃)及び相対湿度(60%)の周囲条件下で高度に不安定であり、しかも水分を迅速に吸収する。20分以内に、一水和物のXRPDスペクトルは図4中の回折図により示されるように変化を受け、図4-A中で5.28及び10.66に現れる一水和物の特徴的な2θピークは四水和物の特徴である4.84及び39.2の2θ値におけるピークの同時の出現とともに図4-B中のこれらのピークの強さの減少にシフトする。図4-C中で、完全消失が一水和物のピークに見られる。四水和物へのその変換が4.84及び39.42における2θピークの強さの増大により確かめられてもよく、これらのピークは四水和物の真正サンプルについて得られた図3中のピークと重なる。
【0012】
調製された四水和物の高い均一性は単結晶X線構造に由来する座標を通常のソフトウェアプログラムに挿入することにより単相四水和物物質について理論的に得られたスペクトル(図7)とのそのXRPDスペクトル(図3)の比較により確かめられるかもしれない。図3中のXRPDスペクトルは図7に提示されたものと同じであることがわかる。
四水和物の含水量はカール・フィッシャー分析によれば11.0〜12.5%の範囲であり得る。
本発明のS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩のこの新規結晶形態は典型的な貯蔵条件下で安定であり、哺乳類で良好な生物学的利用能を有し、哺乳類への投与の際に一層低い静脈炎発生潜在性を有し、低い又は低下された毒性を有し、許される崩壊速度及び溶解速度を有し、それ故、医薬製造及び医療における使用に非常に有益である。熱力学的に最も安定な形態の製剤化は溶液媒介プロセスに妥当な予想である。準安定な形態ではなく、最も安定な形態の使用は結晶形態の物理的安定性に関して有利である。増大された物理的安定性は製剤に追加の利点を与えるであろう。その形態は微生物感染により生じた疾患を治療するのに特に適している。その形態は臨床上病気の患者又は集中治療室中の患者の長期静脈内治療に適している。L-アルギニン塩の注射製剤は特定条件下で安定に留まるバルク形態におけるその利用能、その有利な水溶性、反復静脈内投与で静脈炎症を生じないというその理想的な適性、及び不利な毒性からのその安全性に鑑みて即座に調製し得る。
【0013】
本発明の抗菌性多形化合物は広いスペクトルの細菌感染症、例えば、インペチゴ、肺炎、気管支炎、咽頭炎、心内膜炎、尿道感染症、胃腸感染症並びにスタフィロコッカス・アウレウス、コアグラーゼ陰性スタフィロコッカス、メチシリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス、メチシリン耐性コアグラーゼ陰性スタフィロコッカス、エンテロコッカス、ベータ溶血レンサ球菌、ストレプトコッカスのビリダンスグループにより生じた菌血症、多薬物耐性M.ツベルクローシス及びその他の非定型マイコバクテリア、例えば、M.イントラセルラーレ及びM.アビウムだけでなく、新たに出現するグラム陰性病原体、例えば、クリセオバクテリウム・メニンゴセプチカム、クリセオバクテリウム・インドロゲンス及びその他のグラム陰性病原体、例えば、E.coli、クレブシエラ、プロテウス、セラチア、シトロバクター、及びシュードモナスによるマイコバクテリア感染症を有する哺乳類の治療に有益である。
本発明はまた全身又は局所の感染症、特に耐性グラム陽性生物感染症、グラム陰性生物感染症、マイコバクテリウム感染症及び院内病原体感染症の予防及び/又は治療を要するヒト及び動物の治療のための坑感染性組成物を含み、その組成物は前記感染症を根絶するが、不当な副作用を生じないのに実質的に充分な量の本発明の化合物を含む。本発明の化合物及び組成物は感染される恐れがあるヒト及び動物に投与でき、例えば、本発明の化合物又は組成物は手術の前及び/又は後の患者、健康ケアー作業者又は感染される恐れがあるその他のものに投与し得る。
【0014】
これらの知見はその優れた効力、優れた殺菌活性、拡大されたバイオスペクトル、一層良好な生物学的利用能及び改善された許容性に鑑みて本発明の化合物(これらは今治療有効用量で全身投与されることが可能にされる)の全身使用の観点から重要な意味を有する。本発明の化合物(全身又は局所の投薬形態を問わない)の利用は、効力、減少された毒性作用ひいては改善された治療指数の一層明らかな用量関連特定をもたらす。
本発明は化合物をヒト又はその他の動物対象に投与するコンパウンドを含む。それ故、本発明に使用される化合物及び組成物は医薬上許される必要がある。本明細書に使用される、このような“医薬上許される”成分は妥当な利益/リスク比とつり合っている不当な副作用(例えば、毒性、刺激、及びアレルギー反応)を生じないでヒト及び/又は動物による使用に適しているものである。
医薬組成物は安定かつ有効な組成物をつくるのに当業者により使用される通常の操作に従って調製される。このような方法は本発明の四水和物を好適な担体、希釈剤、溶媒又は賦形剤と合わせることを含む。固体、液体、非経口投薬形態及び局所投薬形態中で、有効量の活性化合物又は活性成分は、所望の結果を生じるあらゆる量である。
本発明によれば、S-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩の四水和物の有利な安定性及び溶解性の性質が医薬投薬形態の製剤に適用し得ることがわかった。安定性データ及び溶解性データを示す表が実施例に含まれる。S-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩の四水和物は水性投薬形態を調製するのに使用し得る。それはまた湿式造粒により錠剤を調製するのに使用し得る。また、それは通常の乾式造粒により製剤化し得る。
【0015】
投薬形態は当業界で認められているあらゆる通常の技術により調製し得るが、本発明の四水和物塩をその他の成分と混合することにより製剤化されることが好ましいであろう。固体経口投薬形態を製剤化するのに利用されるその他の成分として、通常の不活性成分、例えば、微結晶性セルロース、メチルセルロース等、好適な甘味料及び/又は矯味矯臭薬、及びその防腐剤(必要とされる場合)が挙げられる。
このような固体経口投薬形態又は懸濁液の調製に適した乾燥製剤はそれらが有効用量の本発明の化合物を含むように製剤化されるであろう。一般に、本発明の化合物100mg-1500mgを含む固体投薬形態が意図されている。経口懸濁液に適した製剤は同様の用量を含むであろう。
医薬製剤は製薬に通常使用される助剤及び添加剤、例えば、錠剤バインダー、充填剤、防腐剤、錠剤崩壊剤、流動調節剤、可塑剤、湿潤剤、分散剤、乳化剤、溶媒、pH変更添加剤、矯味矯臭薬等と一緒に製剤化し得る。
第二の好ましい方法は筋肉内、静脈内又は皮下の投与のために非経口である。
医薬組成物が注射製剤に製剤化される場合、医薬組成物を溶液又は懸濁液の形態に製剤化する際に、当業界で習慣的に使用される全ての希釈剤が使用し得る。好適な希釈剤の例は水、エチルアルコール、ポリプロピレングリコール、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、及びソルビタンエステルである。塩化ナトリウム、グルコース又はグリセロールが治療薬に混入されてもよい。
注射製剤中の活性成分の濃度は0.1mg/ml〜100mg/mlの範囲であることが好ましい。
【0016】
投与の第三の好ましい経路は局所であり、それについてクリーム、軟膏、スプレー、シャンプー、ローション、ゲル、散粉用粉末等が良く適している。一般に、局所形態の0.1%の組成物中の本発明の化合物の有効量は全組成物の約10重量%までである。有効量は全組成物の1%であることが好ましい。
局所適用について、局所適用と適合性の担体を含み、かつ好ましくは水より大きい動的粘度を有する粘稠〜半固体の形態又は固体形態が非噴霧形態として使用される。好適な製剤として、溶液、懸濁液、エマルション、クリーム、軟膏、粉末、リニメント、軟膏、エアゾール等が挙げられるが、これらに限定されず、これらは、所望により、滅菌され、又は補助薬剤、例えば、防腐剤、酸化防止剤、安定剤、湿潤剤、緩衝剤又は浸透圧に影響するための塩等と混合される。局所適用について、活性成分が好ましくは固体又は液体の不活性担体物質と組み合わされる噴霧可能なエアゾール製剤がまた好適である。
先に示された普通の投薬形態に加えて、本発明の化合物はまた制御された放出手段及び/又は送出装置、例えば、米国特許第3,845,770号、同第3,916,899号、同第3,536,809号、同第3,598,123号及び同第4,008,719号(これらの開示が参考として本明細書に含まれる)に記載されたものにより投与されてもよい。
合計の毎日の用量範囲は一般にアルギニン塩形態約200mgから約1500mgまでである。しかしながら、用量は患者の要望及び症状に応じて一層多くてもよく、又は少なくてもよい。
下記の詳細な実施例は本発明の範囲を限定しないで本発明を更に充分に説明するのに利用できる。本発明の実施における種々のその他の実施態様及び改良は上記本発明の範囲及び精神から逸脱しないで当業者に明らかであり、また容易になし得ることが理解される。それ故、特許請求の範囲は先に示された正確な記載に限定されることが意図されず、むしろ特許請求の範囲は当業者によりその均等物として処理される特徴及び実施態様の全てを含む、本発明にある特許性のある新規性の特徴の全てを含むと見なされる。本発明が下記の実験研究を参照して更に記載される。
【実施例】
【0017】
実施例1
S-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物の単結晶の調製
S-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩(1.0g)をアセトン(40ml)及び水(10ml)の混合物中でその懸濁液を70℃で15分間加熱することにより溶解した。こうして得られた透明な溶液を多孔アルミニウム箔で覆われたビーカー中で室温で遅い蒸発のために放置した。結晶形成が2日後に開始した。最後に、単結晶を溶媒の完全な蒸発後に残されたクラスターからX線結晶分析のために選んだ。ORTEPダイアグラムを図1及び2に記載する。
【0018】
実施例2
S-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物の大規模調製
油浴に取り付けられ、マグネチックスターラー及び還流冷却器を備えた3口丸底フラスコに、S-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩(20.0g、55.55ミリモル)をアセトン(100ml)及び水(25ml)の混合物中で仕込んだ。その反応混合物を撹拌下で70℃の温度で徐々に加熱して透明な溶液を得た。その溶液を30℃-35℃に冷却し、得られた結晶性固体を濾過し、30℃-35℃の温度で空気乾燥して標題化合物23.5g(80%)を得た。カールフィッシャー滴定による含水量は11.87%(四水和物につき必要とされる量:11.88%)であるとわかった。XRPDデータ、DSCデータ、TGAデータを下記の試験例に記載されるように測定した。得られた結果を図3、5、6に記載する。
【0019】
試験例-1
単結晶X線分析
プリズム形単結晶に関する室温単結晶X線回折データを室温〔293(2)°K〕でSMART APEX CCD検出器を使用するブルカーAXS単結晶X線回折計で収集した。MoKα放射線を使用してX線発生装置を50KV及び35mAで運転した。データを0.3°のω走査幅で収集した。サンプルを6.03cmの検出器距離及び-25°に固定した2θ値に保って組当り合計606のフレームをψ(0°、90°及び180°)の三つの異なるセッティングで収集した。データをSAINTPLUS〔ブルカーSMART, SAINT, SADABS, XPREP, SHELXTL、ブルカーAXS社(マジソン、ウィスコンシン、米国)、1998年〕により整理編集し、パッケージSADABS〔ブルカーSMART, SAINT, SADABS, XPREP, SHELXTL、ブルカーAXS社(マジソン、ウィスコンシン、米国)、1998年〕を使用して実験吸収修正を適用した。SIR92〔Altomare, A.; Cascarano, G.; Giacovazzo, C.; Guagliardi, A. SIR92-結晶構造解析のためのプログラム J. Appl. Crystallogr. 1993, 26. 343〕を使用して全ての構造を解析し、SHELXL97〔Sheldrick G.M. SHELXL97, 結晶構造洗練のためのプログラム、ゲッチンゲン大学(ドイツ)1997年〕を使用して洗練した。
分子ダイアグラム及びパッキングダイアグラムをWINGX(バージョン1.64.03b)〔Farrugia, L.J. WINGX. J. Appl. Cryst. 1999, 32, 837〕プログラムスート中に存在するORTEP32〔Farrugia, L.J. J. Appl. Cryst. 1997, 30, 565〕及びCAMERON〔Watkin, D.M.; Pearce, L.; Prout, C.K. CAMERON-分子グラフィックスパッケージ 化学結晶学研究所、オクスフォード大学、英国1993年〕により作成した。幾何学的計算をPARST95〔Nardelli, M. J. Appl. Cryst. 1995, 28, 569〕及びPLATON97〔Spek, A.L. Acta Crystallogr. Sect A 1990, 46, C34〕により行なった。
単結晶のORTEPダイアグラム(図1)は四つの水分子を示す。
生成物をKF滴定により含水量について分析した(12.37%)。
【0020】
試験例-2
粉末X線回折分析
実施例1で調製されたS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物300mgをサンプルホルダーに薄く広げた。X線回折分析(40kv x 40 mA Rigaku D/max 2200)を以下にリストされた条件下で行なった。
走査速度5°/分又は20°/分
サンプリング時間7分又は2分
走査様式:連続
2θ/θ反射
Cu標的(Niフィルター)
標題化合物のX線粉末回折(XRPD)スペクトルを図3に示す。
(2θ):4.86±0.2、14.10±0.2、14.90±0.2、19.35±0.2、22.20±0.2、23.04±0.2、23.54±0.2、28.44±0.2、39.44±0.2
一水和物、四水和物及びこれらの混合物のX線粉末回折(XRPD)スペクトルを図4に示す。
【0021】
試験例-3
示差走査熱量測定
示差走査熱量測定(DSC)をメトラー・トレド・スター系で記録した。サンプル5〜6mgをアルミニウムパンに計量し、次いでこれをアルミニウムふたでプレスシールした。三つの小さいニードル穴をふたにつくった後、サンプルを30℃から300℃まで10℃/分の速度で加熱することにより試験した。
標題化合物の示差操作熱量測定(DSC)分析を図5に示す。DSC 194.93℃で発熱(189.42℃で開始)並びに87.83℃、144.03℃及び251.26℃で吸熱
試験例-4
熱重量分析
熱重量分析(TGA)をメトラー・トレドTGA/SDTA851系で記録した。サンプル5〜10mgをアルミニウムパンに計量し、サンプルを30℃から300℃まで10℃/分の速度で加熱することにより試験した。
標題化合物の熱重量分析(TGA)を図6に示す。
【0022】
試験例-5
30℃におけるS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物のpH関連溶解性
化合物の正確に計量された量約20mgを三角フラスコに移し、透明な溶液が得られるまで適当なpHの緩衝液を少しづつ(1回で0.2ml)添加した。8.0及び8.5の緩衝液pH値で、緩衝液の添加を20mlで中止した。
緩衝液のpH 溶解性(mg/ml)
8.0 <1.0
8.5 <1.0
9.0 2.0
9.5 5.0
試験例-6
S-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物の温度/相対湿度関連安定性
化合物の3種のサンプルバッチを下記の表に示された研究の条件下で貯蔵した。そのアッセイを有効化HPLC方法により行なった。結果を下記の表に示す。
【0023】

【0024】
物質の結晶性はXRPDスペクトルにより見られるように変化を受けなかった。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】S-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物の単結晶X線ORTEPダイアグラムを示す。
【図2】S-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物中の水分子の水素結合網状構造を示す。
【図3】S-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物のX線粉末回折(XRPD)パターンである。
【図4】一水和物から四水和物への変換を示すXRPDスペクトルである。
【図5】S-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物の示差走査熱量測定(DSC)分析である。
【図6】S-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物の熱重量分析である。
【図7】単結晶X線分析の座標から通常のソフトウェアにより計算された理論XRPDスペクトルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶形態の式IのS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物。
【化1】

【請求項2】
下記のX線粉末回折データ:(2θ):4.86±0.2、14.10±0.2、14.90±0.2、19.35±0.2、22.20±0.2、23.04±0.2、23.54±0.2、28.44±0.2、39.44±0.2を有するS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物。
【請求項3】
下記のX線粉末回折データ:(2θ):4.86±0.2、14.10±0.2、14.90±0.2、19.35±0.2、22.20±0.2、23.04±0.2、23.54±0.2、28.44±0.2、39.44±0.2;DSC 194.93℃で発熱(189.42℃で開始)並びに87.83℃、144.03℃及び251.26℃で吸熱並びにカール・フィッシャーによる滴定により測定して11.0〜12.5重量%の含水量を有するS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物。
【請求項4】
DSC 194.93℃で発熱(189.42℃で開始)並びに87.83℃、144.03℃及び251.26℃で吸熱を有する、請求項2記載のS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物。
【請求項5】
pH 9.5の溶液中の溶解度が5.0mg/mlである、請求項2記載のS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物。
【請求項6】
pH 9.5の溶液中の溶解度が5.0mg/mlである、請求項3記載のS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物。
【請求項7】
含水量がカール・フィッシャーによる滴定により測定して11.0重量%〜12.5重量%である、請求項1記載のS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物。
【請求項8】
含水量がカール・フィッシャーによる滴定により測定して11.0重量%〜12.5重量%である、請求項2記載のS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物。
【請求項9】
a)有機溶媒及び水中のS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物の懸濁液を70-80℃で加熱して透明な溶液を得る工程、
b)その溶液を冷却して結晶物質を得る工程、
c)S-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物の結晶形態を30℃-35℃で濾過又は遠心分離により単離する工程、
d)S-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物の結晶形態を30℃-35℃の温度で空気乾燥する工程
を含むことを特徴とするS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物の製造方法。
【請求項10】
有機溶媒がアセトン又はアセトニトリルである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
有機溶媒がアセトンである、請求項9記載の方法。
【請求項12】
請求項1記載のS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物及び担体、希釈剤、溶媒又は賦形剤を含むことを特徴とする組成物。
【請求項13】
請求項2記載のS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物及び担体、希釈剤、溶媒又は賦形剤を含むことを特徴とする組成物。
【請求項14】
請求項3記載のS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物及び担体、希釈剤、溶媒又は賦形剤を含むことを特徴とする組成物。
【請求項15】
有効量の請求項1記載のS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物を治療を要する哺乳類に投与することを特徴とする哺乳類の微生物感染により生じた疾患の治療方法。
【請求項16】
有効量の請求項2記載のS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物を治療を要する哺乳類に投与することを特徴とする哺乳類の微生物感染により生じた疾患の治療方法。
【請求項17】
有効量の請求項3記載のS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物を治療を要する哺乳類に投与することを特徴とする哺乳類の微生物感染により生じた疾患の治療方法。
【請求項18】
有効量の請求項1記載のS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物を感染される恐れのある哺乳類に投与することを特徴とする哺乳類の微生物感染により生じられる疾患の予防方法。
【請求項19】
有効量の請求項2記載のS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物を感染される恐れのある哺乳類に投与することを特徴とする哺乳類の微生物感染により生じられる疾患の予防方法。
【請求項20】
有効量の請求項3記載のS-(-)-9-フルオロ-6,7-ジヒドロ-8-(4-ヒドロキシピペリジン-1-イル)-5-メチル-1-オキソ-1H,5H-ベンゾ〔i,j〕キノリジン-2-カルボン酸L-アルギニン塩四水和物を感染される恐れのある哺乳類に投与することを特徴とする哺乳類の微生物感染により生じられる疾患の予防方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−518666(P2007−518666A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−508722(P2005−508722)
【出願日】平成15年12月31日(2003.12.31)
【国際出願番号】PCT/IN2003/000421
【国際公開番号】WO2005/023805
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(503070889)ウォックハート・リミテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】Wockhardt Limited
【Fターム(参考)】