説明

ベンゾピラノン化合物、その組成物およびそれを使用する治療方法

式(I)の構造を有するベンゾピラノン化合物を開示する。R1がHである式(I)の化合物は対応するフェノールのメチルエーテルを脱メチル化することにより調製できる。前記化合物は、骨吸収疾患、癌、関節炎、あるいは乳癌、骨粗鬆症、子宮内膜症、心臓血管疾患、高コレステロール血症、前立腺肥大症、前立腺癌、肥満症、のぼせ、スキンエフェクト、気分変動、記憶喪失、環境的化学薬品への露出または天然のホルモン平衡異常に伴う生殖に対する有害な影響などのエストロゲン関連症状を治療するのに有用である。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2002年4月19日に出願された米国出願第10/125,965号の一部継続出願であり、前記米国出願の全体を引用により本願明細書の一部とする。
【0002】
本発明は、一般的にベンゾピラノン化合物、該ベンゾピラノン化合物を含む組成物およびベンゾピラノン化合物の有効量を、それを必要としている患者に投与することを含む、骨吸収疾患、癌、関節炎またはエストロゲン関連症状の治療方法に関する。
【背景技術】
【0003】
エストロゲンホルモンは、女性および男性の両者において広い範囲の組織に対する効果を有する。骨密度の維持、心血管の保護、中枢神経系(CNS)機能および老化作用からの臓器系の保護を含むこれらの生物学的効果の多くのものは正の効果であるが、その正の効果に加えて、エストロゲンは乳房および子宮内膜における癌の危険度を増加させる強力な増殖因子である。
【0004】
最近までエストロゲンは細胞の単一のエストロゲンレセプター(ER)に結合すると考えられていた。後述するように、第2のER(ER-β)がクローン化され(それとともに当初のERはER-αに名称を変更された)、そしてER反応を調整する補因子が発見された際に上記の単純な見方は大幅に変更された。リガンドは、組織特異的な補活性化因子および/または補抑制体が存在する場合に遺伝子の制御領域におけるエストロゲン反応エレメントまたは他の転写因子に結合する2つの異なるERに結合できる。ER-αおよびER-βならびにその補因子の組織特異的な発現とともにERシグナリングの複雑さを考慮し、現在ではERリガンドは組織特異的な形態でエストロゲンの正の効果を模倣するエストロゲンアゴニストおよびアンタゴニストとして作用でき、あるいはエストロゲンの負の効果をブロックするものと認識されている。これは、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(Selective Estrogen Receptor Modulators(SERM))と称される完全に新規な種類の医薬の発見をもたらした。これらの医薬は、癌および骨粗鬆症ならびに心臓血管疾患およびアルツハイマー病のような神経変性疾患の治療と予防に対して有意な可能性を有している。
【0005】
骨吸収疾患、例えば骨粗鬆症は、広い個体群が罹患している衰弱症状てあり、これに対しては限定的な治療があるのみである。例えば、米国における50歳以上では女性の約50%および男性の約10%が骨粗鬆症に罹患している。骨粗鬆症を有する個体においては、骨質量の損失の増加により骨が脆弱となり、その結果骨折のリスクが増加する。その他の骨吸収疾患、例えばページェット病および転移性骨癌も同様な徴候を示す。
【0006】
骨は、いくつかの異なる種類の細胞を含む生体組織である。健常個体においては、骨芽細胞によって製造される骨の量が、破骨細胞によって除去あるいは吸収される骨の量と釣り合っている。骨吸収疾患に罹患している個体においては、これらの2種の細胞種の機能に平衡異常が存在する。おそらく、この種の平衡異常で最もよく知られた例は、閉経婦人が経験する骨吸収の急速な増加である。このような促進された骨喪失は、閉経期に伴うエストロゲン欠損によるものである。しかしながら、エストロゲンの損失が増加する骨吸収を結果として生じるメカニズムは、長く議論されてきた。
【0007】
最近、研究者により、例えばインターロイキン-1(IL-1)および腫瘍壊死因子(TNF)のような骨吸収サイトカインの増加が閉経期後の骨損失の原因となり得ること(Kimble et al., J. Biol. Chem. 271:28890-28897, 1996)、およびこれらのサイトカインの阻害剤が、齧歯動物において卵巣摘出術後の骨損失を部分的に減少させ得ること(Pacifici, J.. Bone Miner Res. 11:1043-1051, 1996)が提案されている。さらに、エストロゲンの中断は、ネズミの骨髄および骨細胞によるIL-6分泌の増加をもらたすこと(Girasole et al., J Clin. Invest. 89:883-891, 1992; Jilka et al., Science 257:88-91, 1992; Kimble et al., Endocrinology 136:3054-3061, 1995; Passseri et al., Endocrinology 133:822-828, 1993)、IL-6に対する抗体はエストロゲンが枯渇したマウスにおいて起こる破骨細胞前駆体の増加を抑制でき(Girasole et al、前掲)、IL-6を欠いているトランスジェニックマウスにおいては卵巣摘出術後の骨損失が起こらないこと(Poli et al., EMBO J 13:1189-1196, 1994)が報告されている。
【0008】
骨損失を緩慢化するための現在の治療は一般にエストロゲン、ビスホスホネート類、カルシトニンおよびラロキシフェンのような化合物の投与を使用するものである。しかしこれらの化合物は一般に長期治療に使用され、望ましくない副作用を有する。さらにこの種の治療は、破骨細胞の形成を減少させるものではなく、典型的には成熟した破骨細胞の活性に向けられているものである。例えば、エストロゲンは破骨細胞のアポトーシスを誘発するものであり、カルシトニンは破骨細胞を縮小させ、骨の表面から離脱させるものである(Hughes et al., Nat. Med. 2:1132-1136, 1996; Jilka et al., Exp. Hematol. 23:500-506, 1995)。同様に、ビスホスホネート類は破骨細胞活性を減少させ、それらの形態を変化させ、破骨細胞のアポトーシスを増加させる(Parfitt et al., J. Bone Miner Res. 11:150-159, 1996; Suzuki et al., Endocrinology 137:4685-4690, 1996)。
【0009】
サイトカインも、種々の癌において重要な役割を果たしていると考えられている。例えば前立腺癌に関しては、研究者は、IL-6がオートクリン/パラクリン増殖因子であって(Seigall et al., Cancer Res. 50:7786, 1999)、腫瘍の生存を促進し(Okamoto et al., Cancer Res. 57:141-146, 1997)、IL-6抗体の中和は細胞増殖を減少させる(Okamoto et al., Endocrinology 138:5071-5073, 1997; Borsellino et al., Proc. Annu. Meet. Am. Assoc. Cancer Res. 37:A2801, 1996)ことを示している。IL-6について、多発性骨髄腫(Martinez- Maza et al., Res. Immunol. 143:764-769, 1992; Kawano et al., Blood 73:517-526, 1989; Zhang et al., Blood 74:11-13, 1989; Garrett et al., Bone 20:515-520, 1997; Klein et al., Blood 78:1198-12-4, 1991)、腎細胞癌(Koo et al., Cancer Immunol. 35:97-105, 1992; Tsukamoto et al., J. Urol. 148:1778-1782, 1992; Weissglas et al., Endocrinology 138:1879-1885, 1997)、および子宮頸癌(Estuce et al., Gynecol. Oncol., 50:15-19, 1993; Tartour et al., Cancer Res., 54:6243-6248, 1994; Iglesias et al., Am. J. Pathology 146:944-952, 1995)に関して同様な結果が報告されている。
【0010】
さらに、IL-6は関節炎、特にアジュバント、コラーゲンおよび抗原誘発関節炎に関係しているとも考えられており(Alonzi et al., J. Exp. Med. 187:146-148, 1998; Ohshima et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:8222-8226, 1998; Leisten et al., Clin. Immunol. Immunopathol. 56:108-115, 1990)、また抗IL-6抗体は関節炎治療について報告されている(Wendling et al., J Rheumatol. 20:259-262, 1993)。さらに、エストロゲンがマウスにおける実験的自己免疫脳脊髄炎およびコラーゲン起因性関節炎の抑制を誘発することが示されている(Jansson et al., Neuroimmunol. 53:203-207, 1994)。
【0011】
また、サイトカインIL-6は破骨細胞の形成を誘発する際の重要な因子であることも示されている(Girasole et al.、前掲; Jilka et al. (1992)、前掲; Jilka et al. (1995)、前掲; Kimble et al. (1995)、前掲; Pacifici et al.、前掲; Passeri et al.、前掲)。他の研究者により、中和抗体、アンチセンスオリゴまたはIL-6に対するSant 5アンタゴニストの投与が卵巣摘出マウスの柱骨の破骨細胞の数(Devlin et al., J. Bone Miner 13:393-399, 1998 ; Girasole et al.、前掲; Jilka et al. (1992)、前掲; Schiller et al., Endocrinology 138:4567-4571, 1997)、象牙質を吸収するヒト巨細胞の能力(Ohsaki et al., Endocrinology 131:2229- 2234, 1993 ; Reddy et al., J. Bone Min. Res. 9:753-757, 1994)、および正常ヒト骨髄培養物における破骨細胞の形成を減少させることが明らかにされている。エストロゲンがエストロゲンレセプターおよび転写因子NF-κKおよびC/EBPβ間の相互作用によりIL-6プロモーター活性をダウンレギュレートすることも見出されている(Stein et al., Mol. Cell Biol. 15:4971-4979, 1995)。
【0012】
顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)は、破骨前駆細胞の増殖において役割を果たすことが提案されている。ヒトまたはマウス骨髄細胞または末梢血細胞の長期培養において、GM-CSFは破骨細胞の形成を促進する(Kurihara et al., Blood 74:1295-1302, 1989 ; Lorenzo et al., J. Clin. Invest. 80:160-164, 1987; MacDonald et al., J. Bone Miner 1:227-233, 1986; Shinar et al, Endocrinology 126:1728-1735, 1990)。閉経女性またはエストロゲン療法を中断した女性から単離された骨髄細胞は、閉経前の女性からの細胞より高いレベルのGM-CSFを発現した(Bismar et al., J Clin. Endocrinol. Metab. 80:3351-3355, 1995)。GM-CSFの発現が、整形外科インプラントが腐食している患者の骨吸収破骨細胞の組織分布と関係していることも示されている(Al-Saffar et al., Anatomic Pathology 105:628-693, 1996)。
【0013】
上記したように、以前はエストロゲンが細胞の単一のエストロゲンレセプター(ER)に結合し、熱ショックタンパク質からの放出および種々の遺伝子のプロモーター領域のいわゆるエストロゲン反応性エレメントに二量体としてのレセプターの結合を生じる立体配置変化を引き起こすと考えられていた。さらに、薬理学者は、非ステロイド小分子リガンドがエストロゲンのERへの結合に競合し、エストロゲンレセプターが発現される各組織においてアンタゴニストまたはアゴニストとして作用すると一般的に考えていた。従って、この種のリガンドは旧来純粋なアンタゴニストまたはアゴニストとして分類されていた。これは、もはや正しいとは考えられていない。
【0014】
むしろ現在では、エストロゲンが遺伝子発現を介して細胞薬理学を調整し、エストロゲン効果はエストロゲンレセプターにより媒介されることが知られている。上記したように、現在2種のエストロゲンレセプター、ER-αおよびER-βがある。エストロゲンレセプターの遺伝子調節に対する効果は、ERのエストロゲン反応性エレメント(ERE)への直接の結合(古典的経路、Jeltsch et al., Nucleic Acids Res. 15:1401-1414, 1987; Bodine et al., Endocrinology 139:2048-2057, 1998)、例えばNF-κB、C/EBP-βまたはAP-1のようなその他の転写因子へのERの結合(非古典的経路、Stein et al., Mol. Cell Biol. 15:4971-4979, 1995; Paech et al., Science 277:1508-1510, 1997; Duan et al., Endocrinology 139:1981-1990, 1998)、および潜在的に原形質膜ERを含む核外エストロゲンレセプターシグナリングを介した非ゲノム効果(Nadal, A. et al., Trends in Pharmacological Sciences 22:597-599, 2001; Wyckoff, M.H. et al., J. Biol. Clam. 276:27071-27076, 2001; Chung, Y-L. et al., Int. J. of Cancer 97:306-312, 2002; Kelly, M. J. et al., Trends Endocrinol. Metab. 10:369-374, 1999; Levin, E.R. et al., Trends Endocrinol. Metab. 10:374-377, 1999)により媒介され得る。
【0015】
過去数年における進歩により、ERは補活性化因子(例えばSRC-I、CBP、SRA)および補抑制体(例えばSMRT、N-CoR)と結合し、これらも組織特異的かつリガンド特異的な形態でERの転写活性を調整することが示された。そのような場合、ERはこれらの遺伝子の制御に必須の転写因子と相互作用する。ERによってその活性が調整されることが知られる転写因子としては、例えばAP-1、NF-κB、C/EBPおよびSp-1が挙げられる。さらに、エストロゲンレセプター関連レセプターα、β、γ(ERR-α、ERR-β、ERR-γ)のような希少核レセプターが同定されている。エストラジオールはERRのリガンドであるようには見えないが、いくつかのSERMおよび他の従来のER-リガンドが高親和性をもってこれらのレセプターに結合することが示されている(Coward, P. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 98:8880-8884, 2001; Lu, D. et al., Cancer Res. 61:6755-6761, 2001; Tremablay, G.B. et al., Endocrinology 142:4572-4575, 2001 ; Chen, S. et al., J. Biol. Chem. 276:28465-28470, 2001)。
【0016】
さらに、ER-αおよびER-βは両者とも、RT-PCRまたはin situハイブリダイゼーションにより広く分析されるように、十分なER-β抗体の欠如のために重複した異なる組織分布を有する。しかしながら、これらの結果のいくつかは論争の的となっており、これはERを測定するのに使用された方法、分析された種(ラット、マウス、ヒト)および/または単離された一次細胞の分化状態に起因するものであり得る。組織は頻繁にER-αおよびER-βの両者を発現するが、前記レセプターは異なる細胞種に局在する。さらに、いくつかの組織(例えば腎臓)はER-αのみを含むが、その一方で他の組織(例えば子宮、脳下垂体、副睾丸)は高いER-αの優勢を示す(Couse et al., Endocrinology 138, 4613-4621, 1997; Kuiper et al., Endocrinology 138, 863-870, 1997)。これに対し、高レベルのER-βを発現している組織としては、前立腺、精巣、卵巣および脳の特定の領域が挙げられる(Brandenberger et al., J. Clin. Endocrinol. Metab. 83, 1025-8, 1998; Enmark et al., J. Clinic. Endocrinol. Metabol. 82, 4258-4265, 1997; Laflamme et al., J. Neurobiol. 36, 357-78, 1998; Sar and Welsch, Endocrinology 140, 963-71, 1999; Shughrue et al., Endocrinology 138, 5649-52, 1997a; Shughrue et al., J Comp. Neurol. 388, 507-25, 1997b)。
【0017】
さらにER-α(Korach, Science 266, 1524-1527, 1994)およびER-β(Krege et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95, 15677-82, 1998)ノックアウトマウスの開発により、ER-βは異なる組織において異なる機能を有することが示されている。例えば、ER-αノックアウトマウス(雄および雌)は不妊性であり、雌は性的受容性を示さず、雄は典型的な雄性攻撃挙動を示さない(Cooke et al., Biol. Reprod 59, 470-5, 1998; Das et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94, 12786-12791, 1997; Korach, 1994; Ogawa et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94, 1476-81, 1997; Rissman et al., Endocrinology 138, 507-10, 1997a; Rissman et al., Horm. Behav. 31, 232-243, 1997b)。さらに、これらの動物の脳は、依然として野生型動物のものと同様のパターンでエストロゲンに反応し(Shughrue et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94, 11008-12, 1997c)、エストロゲンは依然として物理的損傷によって生じる血管障害を阻害する(Iafrati et al., Nature Med. 3,545-8, 1997)。これに対し、ER-βを欠いているマウスは正常に発生し、妊性であり、正常な性行動を示すが、野生型マウスと比較してより少数でより小さい同腹子を有し(Krege et al., 1998)、正常な乳房発達を示し、正常に泌乳する。生殖能力の減少は減少した卵巣の効率の結果であると考えられており、ER-βは卵巣におけるERの優勢な形態であり、成熟濾胞の顆粒膜細胞に局在する。
【0018】
要約すると、エストロゲンアンタゴニストまたはアゴニストとなる化合物は、脳、骨、心臓血管系、皮膚、毛嚢、免疫系、膀胱および前立腺に関連した症状を含む多種多様なエストロゲン関連症状の治療においてそれらの有意な医薬的有用性製が長く認識されている(Barkhem et al., Mol. Pharmacol. 54, 105-12, 1998; Farhat et al., FASEB J. 10, 615-624, 1996; Gustafsson, Chem. Biol. 2, 508-11, 1998; Sun et al., 1999; Tremblay et al., Endocrinology 139, 111-118, 1998; Turner et al., Endocrinology 139, 3712-20, 1998)。さらに、種々の乳癌および非乳癌細胞がERを発現すると記載されており、特異的なエストロゲンアンタゴニストの標的組織となる(Brandenberger et al., 1998; Clinton and Hua, Crit. Rev. Oncol. Hematol. 25, 1-9, 1997; Hata et al., Oncology 55 Suppl 1, 35-44, 1998; Rohlff et al., Prostate 37, 51-9, 1998; Simpson et al., J Steroid Biochem. Mol. Biol. 64, 137-45, 1998; Yamashita et al., Oncology 55 Suppl. 1, 17-22, 1998)。
【0019】
近年、ERと相互反応する多くのステロイドおよび非ステロイド両方の化合物が開発されている。例えば、タモキシフェンは当初抗エストロゲン剤として開発され、乳癌治療に使用されていたが、より最近になって子宮、骨および心臓血管系の部分的なエストロゲンアゴニストとして作用することが判明した。ラロキシフェンはSERMとして提案された他の化合物であって、骨粗鬆症の治療に承認されている。
【化1】

【0020】
ラロキシフェンのアナログも報告されている(Grese et al., J. Med. Chem. 40:146-167, 1997)。
【0021】
クマリンをベースとする化合物に関しては多くの構造が提案されており、Roa et al., Synthesis 887-888, 1981; Buu-Hoi et al., J. Org. Chem. 19:1548-1552, 1954; Gupta et al., Indian J. Exp. Biol. 23:638-640, 1985; PCT国際公開WO96/31206; Verma et al., Indian J. Chem. 32B:239-243, 1993; Lednicer et al., J. Med. Chem. 8:725-726, 1965; Micheli et al., Steroids 5:321-335, 1962; Brandt et al., Int. J. Quantum Chemistry: Quantum Biol. Symposia 13:155-165, 1986; Wani et al., J. Med. Chem. 18:982-985, 1975; Pollard et al., Steroids 11:897-907, 1968が挙げられる。
したがって、骨吸収疾患、癌、関節炎またはエストロゲン関連症状の治療に有用な化合物が当分野において求められている。
【0022】
本願明細書の背景技術の項における文献の引用または特定はいずれもその文献が本願の従来技術であると認めたものと解釈してはならない。
【発明の開示】
【0023】
本発明は下記一般構造(I):
【化2】

【0024】
を有する化合物およびその薬学的に許容される塩に関する。式中、
nは2、3または4であり、
R1は水素、C(=O)R2、C(=O)OR2、C(=O)NHR2、C(=O)NR2R3またはS(=O2)NR2R3であり、
R2およびR3は独立してC1-8アルキル、C6-12アリール、C7-12アリールアルキル、またはO、NR4およびS(O)qから選択される最高2個のヘテロ原子を含む5または6員のヘテロ環であり、上記の基のそれぞれはR5から独立して選択される1〜3の置換基により任意に置換されており、qは0、1または2であり、
R4は水素またはC1-4アルキルであり、
R5は水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-6アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アシルオキシ、C1-4チオ、C1-4アルキルスルフィニル、C1-4アルキルスルホニル、(ヒドロキシ)C1-4アルキル、C6-12アリール、C7-12アラルキル、COOH、CN、CONHOR6、SO2NHR6、NH2、C1-4アルキルアミノ、C1-4ジアルキルアミノ、NHSO2R6、NO2または5または6員のヘテロ環であり、R6のそれぞれは独立してC1-6アルキルであり、
Xは水素、ハロゲンまたはトリフルオロメチルであり、
Yはハロゲンまたはトリフルオロメチルである。
【0025】
本発明は、式(II)の化合物の脱メチル化によってR1がHである式(I)の化合物を得る方法にも関する。本発明はさらに、式(I)、(II)の化合物または薬学的に許容される該化合物の塩の有効量を、それを必要としている患者に投与することを含む、患者のサイトカインを抑制する方法に関する。
【0026】
本発明はさらに、式(I)、(II)の化合物または薬学的に許容される該化合物の塩の有効量を、それを必要としている患者に投与することを含む、患者の骨吸収疾患の治療または予防する方法に関する。
【0027】
本発明はさらに、式(I)、(II)の化合物または薬学的に許容される該化合物の塩の有効量を、それを必要としている患者に投与することを含む、患者の癌の治療または予防する方法に関する。
【0028】
本発明はさらに、式(I)、(II)の化合物または薬学的に許容される該化合物の塩の有効量を、それを必要としている患者に投与することを含む、患者の関節炎の治療または予防する方法に関する。
【0029】
本発明はさらに、ERを発現する細胞を式(I)、(II)の化合物または薬学的に許容される該化合物の塩の有効量と接触させることを含む該細胞の遺伝子発現を調整する方法に関する。
【0030】
本発明はさらに、ERを発現する組織を式(I)、(II)の化合物または薬学的に許容される該化合物の塩の有効量と接触させることを含む該組織の遺伝子発現を調整する方法に関する。
【0031】
本発明はさらに、骨細胞を式(I)、(II)の化合物または薬学的に許容される該化合物の塩の有効量と接触させることを含む骨細胞におけるERの機能を活性化する方法に関する。
【0032】
本発明はさらに、乳癌細胞、卵巣癌細胞、子宮内膜癌細胞、子宮癌細胞、前立腺癌細胞または視床下部癌細胞を式(I)、(II)の化合物または薬学的に許容される該化合物の塩の有効量と接触させることを含む該細胞におけるERの機能を阻害する方法に関する。
【0033】
本発明はさらに、ERおよびIL-6を発現することができる細胞を式(I)、(II)の化合物または薬学的に許容される該化合物の塩の有効量と接触させることを含む細胞におけるIL-6の発現を阻害する方法に関する。
【0034】
本発明はさらに、ERを発現することができる癌または腫瘍細胞を式(I)、(II)の化合物または薬学的に許容される該化合物の塩の有効量と接触させることを含む癌または腫瘍細胞の増殖を阻害する方法に関する。
【0035】
本発明の方法はさらに、他の治療薬の有効量を投与することを含む。他の治療薬の例としては、限定するものではないが、エストロゲン関連症状の治療または予防に有用な薬剤、骨喪失疾患の治療または予防に有用な薬剤、患者の血清コレステロールレベルの低下に有用な薬剤および癌または腫瘍疾患の治療または予防に有用な薬剤が挙げられる。
【0036】
本発明は、詳細な説明および実施例を参照することによりより完全に理解され得るが、これらは本発明の非限定的態様を例示することを目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明は式(I):
【化3】

【0038】
の化合物および薬学的に許容されるその塩
(式中、nは2、3または4であり、
R1は水素、C(=O)R2、C(=O)OR2、C(=O)NHR2、C(=O)NR2R3またはS(=O2)NR2R3であり、
R2およびR3は独立してC1-8アルキル、C6-12アリール、C7-12アリールアルキル、またはO、NR4およびS(O)qから選択される最高2個のヘテロ原子を含む5または6員のヘテロ環であり、上記の基のそれぞれはR5から選択される1〜3の置換基により任意に置換されており、qは0、1または2であり、
R4は水素またはC1-4アルキルであり、
R5は水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-6アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アシルオキシ、C1-4チオ、C1-4アルキルスルフィニル、C1-4アルキルスルホニル、(ヒドロキシ)C1-4アルキル、C6-12アリール、C7-12アラルキル、COOH、CN、C(=O)NHOR6、S(=O2)NHR6、NH2、C1-4アルキルアミノ、C1-4ジアルキルアミノ、NHSO2R6、NO2または5または6員のヘテロ環であり、R6のそれぞれは独立してC1-6アルキルであり、
Xは水素、ハロゲンまたはトリフルオロメチルであり、
Yはハロゲンまたはトリフルオロメチルである)に関する。
好ましい態様においては、式(1)の化合物はn = 2であり、R1が水素であるものである。
【0039】
本発明はさらに、下記に示す式(II):
【化4】

【0040】
の化合物(式中、nは2、3または4であり、XおよびYは上記に定義した通りである)または薬学的に許容されるその塩を脱メチル化する工程を含む、R1がHである式(I)の化合物を得る方法に関する。
【0041】
式(II)の化合物の脱メチル化は、フェノール性メチルエーテルの脱保護に有用な当分野で公知の任意の方法を使用して達成することができる。そのような方法の例は、Greene, T.W., Protective Groups in Organic Synthesis, Chapter 3, John Wiley and Sons, New York, 1981, pp. 88-92に見られ、該文献は引用によりその全体を本明細書の一部とする。好ましくは、脱メチル化は、式(II)の化合物を、脱メチル化剤、例えばヨードトリメチルシラン、ピリジン塩酸塩、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、グリニャール試薬、ルイス酸または強力な求核剤の約1.0〜約50.0モル当量に接触させることを含む方法によって進行する。より好ましくは、脱メチル化剤は水性HBR、さらに好ましくはその酢酸中の混合物である。より好ましい態様においては、式(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩を、脱メチル化剤の存在下、任意に溶媒、好ましくはカルボン酸の存在下に、室温〜約200℃、好ましくは約100℃〜約160℃の温度で、15分〜約24時間加熱することにより脱メチル化が達成される。ある態様においては、特に溶媒の沸点が脱メチル化反応の温度より低い場合には、脱メチル化反応容器を密閉し、例えば密閉管とし、溶媒の蒸発を防止する。R1がHである式(I)の化合物の酸塩は、脱メチル化反応から該化合物を直接単離して得ることができ、これはその後対応する薬学的に許容される塩を調製するために用いることができる。遊離塩基形態は、酸塩を適当な塩基、例えば水酸化ナトリウムにより洗浄し、化合物を単離することにより得られる。
【0042】
式(II)の化合物の脱メチル化によって生成された、得られたR1がHである式(I)の化合物は、サイトカイン阻害剤として有用であり、また骨吸収疾患、癌、関節炎またはエストロゲン関連症状の治療または予防に有用である。式(II)の化合物の脱メチル化によって生成されたR1がHである式(I)の化合物は、R1がC(=O)R2、C(=O)OR2、C(=O)NHR2、C(=O)NR2R3またはS(=O2)NR2R3である式(I)の化合物の合成の中間体としても有用である。
【0043】
式(I)の化合物および薬学的に許容されるその塩(まとめて「ベンゾビラノン化合物」)は、骨吸収疾患、癌、関節炎またはエストロゲン関連症状の治療または予防に有用である。前記ベンゾピラノン化合物は、患者におけるサイトカインの阻害およびERを発現する細胞および/または組織における遺伝子発現の調整に有用である。したがって、本発明の化合物は、治療のおよび/または予防薬として投与することができる。
【0044】
本明細書で使用する、「C6-12アリール」は6〜12の炭素原子を含む芳香族部分である。ある態様においては、C6-12アリールは、限定するものではないが、フェニル、テトラリニルおよびナフタレニルから選択される。
【0045】
「C7-12アラルキル」は7〜12までの炭素原子を含むアレーンであり、脂肪族および芳香族ユニットを有する。ある態様においては、C7-12アラルキルは、アルキル基を介して直接結合したアリール基であり、限定するものではないが、例えばベンジル、エチルベンジル(すなわち(CH2)2フェニル)、プロピルベンジルまたはイソブチルベンジルである。
【0046】
「C3-12ヘテロ環」は、1より多い種類の原子からなる環を含み、3〜12の炭素原子を含む化合物であり、限定するものではないが、ピロリジニル、ピロリル、インドリル、ピラゾリル、オキセタニル、ピラゾリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、フリル、テトラヒドロフリル、チエニル、オキサジアゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、2-オキサゼピニル、アゼピニル、4-ピペリドニル、ピリジル、N-オキソ-ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロチオピラニルスルホン、モルホリニル、チオモルホリニル、チオモルホリニルスルホキシド、チオモルホリニルスルホン、1,3-ジオキソランおよびテトラヒドロ-1,1-ジオキソチエニル、ジオキサニル、イソチアゾリジニル、チエタニル、チイラニル、チアジニルおよびトリアゾリルが挙げられる。
【0047】
「C4-16ヘテロ環アルキル」は、C1-8アルキルに結合した上記のようなC3-12ヘテロ環を含む化合物である。
「C1-8アルキル」は、1〜8の炭素原子を含む直鎖または分枝炭素鎖であり、限定するものではないが、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシルなどが挙げられる。同様に、C1-xアルキルは同じ意味を有するが、xは8より小さい炭素原子数を表し、例えばC1-6アルキルである。
【0048】
「置換」C1-xアルキル、C6-12アリール、C7-12アラルキル、C3-12ヘテロ環またはC4-16ヘテロ環アルキル部分は、置換基と置き換えられた少なくとも1の水素原子を有するC1-xアルキル、C6-12アリール、C7-12アラルキル、C3-12ヘテロ環またはC4-16ヘテロ環アルキル部分である。
【0049】
「置換基」は、ハロゲン、-OH、-R'、-OR'、-COOH、-COOR'、-COR'、-CONH2、-NH2、-NHR'、-NR'R'、-SH、-SR'、-SOOR'、-SOOHおよび-SOR'から選択された部分であり、R'はそれぞれ独立して置換または非置換C1-8アルキル、C6-12アリール、C7-12アラルキル、C3-12ヘテロ環またはC4-16ヘテロ環アルキルから選択される。
【0050】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。
前記ベンゾピラノン化合物は、キラル中心を有し得、ラセミ体、ラセミ混合物および個々の鏡像異性体またはジアステレオマーとして存在し得る。これらの異性体の形態は、その混合物を含め、いずれも本発明の範囲内に包含される。さらに、前記ベンゾピラノン化合物のいくつかの結晶形は多形として存在し得、それらは本発明に包含される。さらに、前記ベンゾピラノン化合物のいくつかは、水またはその他の有機溶媒と溶媒和物を形成することもできる。これらの溶媒和物は同様に本発明の範囲内に含まれる。
【0051】
エストロゲン「アゴニスト」は、ERに結合し、1以上の組織においてエストロゲンの作用を模倣する化合物であり、「アンタゴニスト」はERに結合し、1以上の組織においてエストロゲンの作用をブロックする。さらに、「エストロゲン関連症状」の用語は、エストロゲン、選択的エストロゲンレセプターモジュレーター(SERM)またはERの増加または減少したレベルと関連する症状のいずれをも包含する。この点に関して、ERはER-αおよび/またはER-βの両者を含み、またERに対し有意な相同性を有するアイソフォーム、変異およびタンパク質のいずれをも含む。
【0052】
「患者」とは動物であり、限定するものではないが、ウシ、サル、ウマ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギおよびモルモットのような動物が挙げられ、より好ましくは哺乳動物であり、最も好ましくはヒトである。
【0053】
以下の理論により限定されることを意図するものではないが、特に骨吸収疾患に関して、前記ベンゾピラノン化合物はサイトカイン生成をブロックすること、および/または破骨細胞の形成を阻害することによって機能するものと考えられる。
【0054】
本発明は、ベンゾピラノン化合物の有効量および任意に薬学的に許容されるキャリアまたはビヒクルを含む医薬組成物にも関し、薬学的に許容されるキャリアまたはビヒクルは、賦形剤、希釈剤またはそれらの混合物を含み得る。本発明の他の態様としては、限定するものではないが、骨粗鬆症、転移性骨癌および高カルシウム血症、整形外科インプラントによる溶骨性病変、ページェット病および副甲状腺機能亢進症と関連する骨損失などの骨吸収疾患、種々の癌および関節炎を含むIL-6関連症状、乳癌、前立腺癌、大腸癌、子宮内膜癌、多発性骨髄腫、腎細胞癌および子宮頸癌を含む癌、アジュバント、コラーゲン、細菌および抗原起因性関節炎、特にリウマチ様関節炎などの関節炎の治療または予防方法を包含する。これらの方法は、ベンゾピラノン化合物の有効量をそれを必要とする患者に投与することを含む。
【0055】
さらに、前記ベンゾピラノン化合物は、限定するものではないが、乳癌、骨粗鬆症、子宮内膜症、心臓血管疾患、高コレステロール血症、前立腺肥大症、前立腺癌、肥満症、のぼせ、スキンエフェクト、気分変動、記憶喪失、前立腺癌、更年期症候群、毛損失(脱毛症)、II型糖尿病、アルツハイマー病、尿失禁、胃腸管症状、精子形成、外傷の後の血管の保護、子宮内膜症、学習および記憶、中枢神経系効果、血漿脂質レベル、アクネ、白内障、男性型多毛症、その他の固形癌(例えば大腸、肺、卵巣、黒色腫、中枢神経系および腎)、多発性骨髄腫、リンパ腫および環境的化学薬品への露出または天然のホルモン平衡異常に伴う生殖に対する有害な影響を含む広範囲にわたるエストロゲン関連症状の治療および予防に有用である。
【0056】
前記ベンゾピラノン化合物はまた、経口避妊薬、閉経期症状の軽減、切迫流産または習慣性流産の予防、月経困難症の軽減、機能不全性不正子宮出血の軽減、子宮内膜症の軽減、卵巣発達の促進、アクネの治療、女性の身体毛の過剰な成長(男性型多毛症)の軽減、心臓血管疾患の予防または処理、アテローム性動脈硬化症の予防および治療、骨粗鬆症の予防および治療、良性前立腺肥大症および前立腺癌肥満症の治療、および産後の乳汁分泌の抑制にも有用である。前記ベンゾピラノン化合物はまた、血漿脂質レベルに対して有益な効果を有し、高コレステロール血症の治療と予防に有用である。前記ベンゾピラノン化合物はさらに、乳癌および卵巣癌の治療および予防に有用である。
【0057】
別の態様においては、本発明は、式(I)、(II)の化合物または薬学的に許容される該化合物の塩の有効量をそれを必要としている患者に投与することを含む、患者のサイトカインを阻害する方法に関する。
【0058】
さらに別の態様においては、本発明は、ER-αまたはER-βのいずれかのERを発現する細胞を式(I)、(II)の化合物または薬学的に許容される該化合物の塩の有効量と接触させることを含む該細胞における遺伝子発現を調整する方法に関する。
【0059】
さらに別の態様においては、本発明は、ER-αまたはER-βのいずれかのERを発現する組織を式(I)、(II)の化合物または薬学的に許容される該化合物の塩の有効量と接触させることを含む該組織における遺伝子発現を調整する方法に関する。
【0060】
さらに別の態様においては、本発明は、骨細胞を式(I)、(II)の化合物または薬学的に許容される該化合物の塩の有効量と接触させることを含む骨細胞におけるERの機能を活性化する方法に関する。骨細胞のERの機能を活性化することは、骨粗鬆症の治療または予防に有用である。
【0061】
さらに別の態様においては、本発明は、乳癌細胞、卵巣癌細胞、子宮内膜癌細胞、子宮癌細胞、前立腺癌細胞または視床下部癌細胞骨を式(I)、(II)の化合物または薬学的に許容される該化合物の塩の有効量と接触させることを含む該細胞におけるERの機能を阻害する方法に関する。乳癌細胞、卵巣癌細胞、子宮内膜癌細胞、子宮癌細胞、前立腺癌細胞または視床下部癌細胞骨においてERの機能を阻害することは、前記細胞の増殖を阻害するのに有用であり、従って癌の治療および予防に有用である。ある態様においては、乳癌細胞はMCF-7である。ある態様においては、卵巣癌細胞はBG-1である。
【0062】
さらに別の態様においては、本発明は、ERおよびIL-6を発現することができる細胞を式(I)、(II)の化合物または薬学的に許容される該化合物の塩の有効量と接触させることを含む細胞におけるIL-6の発現を阻害する方法に関する。ある態様においては、ERおよびIL-6を発現する細胞は骨細胞である。別の態様においてはERおよびIL-6を発現する細胞は、ヒトER-αを安定にトランスフェクトされたヒトU-2 OS骨肉腫細胞である。in vivoで細胞中のIL-6の発現を阻害することは、骨損失疾患または骨癌の治療に有用である。ある態様においては、骨損失疾患は骨粗鬆症である。in vitroにおいて細胞中のIL-6の発現を阻害することは、IL-6の発現を阻害する化合物のスクリーニングのための生物学的活性スクリーニングアッセイに(例えば標準として)有用である。
【0063】
さらに別の態様においては、本発明は、ERを発現することができる癌または腫瘍細胞を式(I)、(II)の化合物または薬学的に許容される該化合物の塩の有効量と接触させることを含む癌または腫瘍細胞の増殖を阻害する方法に関する。ERを発現することができる癌または腫瘍細胞としては、乳房細胞、卵巣細胞、子宮内膜細胞、子宮細胞、前立腺細胞および視床下部細胞を含むが、これに限定されるものではない。in vivoでこれらの癌または腫瘍細胞の増殖を阻害することは癌の治療または予防に有用である。in vitroにおいてこれらの癌または腫瘍細胞の増殖を阻害することは、抗癌または抗腫瘍剤の生物学的活性スクリーニングアッセイ(例えば標準として)あるいは診断アッセイにおいて有用である。
【0064】
さらに別の態様においては、本発明は、式(I)、(II)の化合物または薬学的に許容される該化合物の塩の有効量をそれを必要としている患者に投与することを含む、患者の血清コレステロールレベルを低下させる方法に関する。患者の血清コレステロールレベルを低下させることは、心臓血管疾患の治療または予防あるいは心臓血管疾患のリスクを低下させるのに有用である。
【0065】
さらに別の態様においては、本発明の方法はさらに他の治療薬の有効量を投与することを含む。ある態様においては、式(I)、(II)の化合物または薬学的に許容される該化合物の塩の投与の前後または同時に他の治療薬を投与する。ある態様においては、式(I)、(II)の化合物または薬学的に許容される該化合物の塩が患者に対してその治療効果を発揮する時間は、他の治療薬が患者に対してその治療効果を発揮する時間とオーバーラップする。
【0066】
さらに別の態様においては、他の治療薬はエストロゲン関連症状の治療または予防に有用なものである。エストロゲン関連症状の治療または予防に有用な他の治療薬としては、タモキシフェン、ラロキシフェン、メドロキシプロゲステロン、ダニゾールおよびゲストリノンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0067】
さらに別の態様においては、他の治療薬は骨喪失疾患(例えば骨粗鬆症)の治療または予防に有用なものである。骨損失疾患の治療または予防に有用な他の治療薬としては、カテプシンK阻害剤(例えばカテプシンKのプロペプチド)、ビスホスホネート類(例えばエイトドロネート(eitodronate)、パミドロン酸、アレンドロネート、リセドロネート(risedronate)、ゾレンドロネート(zolendronate)、イバンドロネート(ibandronate)、クロドロネート(clodronate)、チルドロネート(tiludronate))、副甲状腺ホルモン(PTH)またはその断片、内因性PTHを放出する化合物(例えばPTH放出ホルモン)またはその断片およびカルシトニンまたはその断片が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0068】
さらに別の態様においては、他の治療薬は患者の血清コレステロールレベルの低下に有用なものである。患者の血清コレステロールレベルの低下に有用な他の治療薬としては、スタチン類(例えばロバスタチン、アトルバスタチン(atorvastatin)、プラバスタチン)、アシル-コエンザイム-A模倣体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0069】
さらに別の態様においては、他の治療薬は癌または腫瘍疾患(例えば、乳癌、卵巣癌、子宮癌、前立腺癌、視床下部癌)の治療または予防に有用である。癌または腫瘍疾患の治療または予防に有用な他の治療薬としては、アルキル化剤(例えばニトロソ尿素)、代謝拮抗物質(例えばメトトレキセート、ヒドロキシ尿素)、エトポシド、カンパテシン(campathecins)、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、コルヒチン、イリノテカン、カンプトテシン、シクロホスアミド、5-フルオロウラシル、シスプラチナム、カルボプラチン、メトトレキセート、トリメトレキセート、エルビタックス(erbitux)、サリドマイド、タキソール、ビンカアルカロイド(例えばビンブラスチン、ビンクリスチン)、微小管安定剤(例えばエポシロン(epothilone))が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0070】
癌の治療または予防に有用な治療薬の具体例としてはさらに、アシビシン、アクラルビシン、塩酸アコダゾール(acodazole)、アクロニン、アドゼレシン(adozelesin)、アルデスロイキン(aldesleukin)、アルトレタミン(altretamine)、アンボマイシン(ambomycin)、アメタントロン(ametantrone)アセテート、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール(anastrozole)、アントラマイシン、アスパラギナーゼ、アスペルリン、アザシチジン(azacitidine)、アゼテパ(azetepa)、アゾトマイシン(azotomycin)、バチマスタット(batimastat)、ベンゾデパ(benzodepa)、ビカルタミド(bicalutamide)、塩酸ビサントレン(bisantrene)、ビスナフィドジメシレート(bisnafide dimesylate)、ビゼレシン(bizelesin)、硫酸ブレオマイシン、ブレキナール(brequinar)ナトリウム、ブロピリミン(bropirimine)、ブスルファン、カクチノマイシン(cactinomycin)、カルステロン、カラセミド(caracemide)、カルベチメール(carbetimer)、カルボプラチン、カルムスチン、塩酸カルビシン(carubicin)、カルゼレシン(carzelesin)、セデフィンゴール(cedefingol)、クロラムブシル、シロレマイシン(cirolemycin)、シスプラチン、クラドリビン(cladribine)、クリスナトール(crisnatol)メシラート、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、塩酸ダウノルビシン、デシタビン(decitabine)、デキソルマプラチン(dexormaplatin)、デザグアニン(dezaguanine)、デザグアニン(dezaguanine)メシラート、ジアジコン、ドセタキセル、ドキソルビシン、塩酸ドキソルビシン、ドロロキシフェン(droloxifene)、クエン酸ドロロキシフェン(droloxifene)、プロピオン酸ドロモスタノロン、ダウゾマイシン(duazomycin)、エダトレキセート(edatrexate)、塩酸エフロルニチン(eflornithine)、エルサミトルシン(elsamitrucin)、エンロプラチン(enloplatin)、エンプロメート(enpromate)、エピプロピジン(epipropidine)、塩酸エピルビシン(epirubicin)、エルブロゾール(erbulozole)、塩酸エソルビシン(esorubicin)、エストラムスチン、リン酸エストラムスチンナトリウム(estramustine phosphate sodium)、エタニダゾール(etanidazole)、エトポシド、リン酸エトポシド、エトプリン(etoprine)、塩酸ファドロゾール(fadrozole)、ファザラビン(fazarabine)、フェンレチニド(fenretinide)、フロクスウリジン、リン酸フルダラビン、フルオロウラシル、フルロシタビン(flurocitabine)、フォスキドン(fosquidone)、フォストリエシン(fostriecin)ナトリウム、ゲムシタビン(gemcitabine)、塩酸ゲムシタビン(gemcitabine)、ヒドロキシ尿素、塩酸イダルビシン(idarubicin)、イホスファミド、イルモフォスチン(ihnofosine)、ImiDs、インターロイキンII(組換インターロイキンII、rIL2を含む)、インターフェロン-2a、インターフェロンα-2b、インターフェロンα-n1、インターフェロンα-n3、インターフェロンβ-Ia、インターフェロンγ-Ib、イプロプラチン(iproplatin)、塩酸イリノテカン、ランレオチド(lanreotide)アセテート、レトロゾール(letrozole)、酢酸ロイプロリド、塩酸リアロゾール(liarozole)、ロメトレキソール(lometrexol)ナトリウム、ロムスチン、塩酸ロソキサントロン(losoxantrone)、マソプロコール(masoprocol)、メイタンシン、塩酸メクロレタミン(mechlorethamine)、酢酸メゲステロール(megestrol)、酢酸メレンゲステロール(melengestrol)、メルファラン、メノガリル、メルカプトプリン、メトトレキセート、メトトレキセートナトリウム、メトプリン(metoprine)、メツレデパ(meturedepa)、ミチンドミド、マイトカルシン(mitocarcin)、マイトクロミン(mitocromin)、マイトジリン、マイトマルシン(mitomalcin)、マイトマイシン、マイトスペル(mitosper)、ミトーテン、塩酸マイトキサントロン(mitoxantrone)、ミコフェノール酸、ノコダゾール、ノガラマイシン、オルマプラチン(ormaplatin)、オキシスラン(oxisuran)、パクリタキセル、ペガスパルガーゼ(pegaspargase)、ペリオマイシン(peliomycin)、ペンタムスチン(pentamustine)、硫酸ペプロマイシン、ペルフォスファミド(perfosfamide)、ピポブロマン、ピポスルファン(piposulfan)、塩酸ピロキサントロン(piroxantrone)、ピリカマイシン(plicamycin)、プロメスタン(plomestane)、ポルフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プレドニマスチン、塩酸プロカルバジン、ピューロマイシン、塩酸ピューロマイシン、ピラゾフリン、リボプリン(riboprine)、ログレチミド(rogletimide)、サフィンゴール(safingol)、塩酸サフィンゴール、SelCid、セムスチン(semustine)、シムトレゼン(simtrazene)、スパルフォセート(sparfosate)ナトリウム、スパルソマイシン、塩酸スピロゲルマニウム(spirogermanium)、スピロムスチン(spiromustine)、スピロプラチン(spiroplatin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、スロフェヌール(sulofenur)、タリソマイシン、テコガラン(tecogalan)ナトリウム、テガフール、塩酸テロキサントロン(teloxantrone)、テモポルフィン(temoporfin)、テニポシド、テロキシロン(teroxirone)、テストラクトン、チアミプリン(thiamiprine)、チオグアニン、テモゾロミド(temozolomide)、テモダール(temodar)、チオテパ、チアゾフリン、チラパザミン(tirapazamine)、クエン酸トレミフェン、酢酸トレストロン(trestolone)、リン酸トリシリビン(triciribine)、トリメトレキサート、グルクロン酸トリメトレキサート、トリプトレリン(triptorelin)、塩酸ツブロゾール(tubulozole)、ウラシルマスタード、ウレデパ(uredepa)、バプレオチド(vapreotide)、ベルテプルフィン(verteporfin)、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、ビンデシン、硫酸ビンデシン、硫酸ビネピジン、硫酸ビングリシネート(vinglycinate)、硫酸ビンロイロシン(vinleurosine)、酒石酸ビノレルビン(vinorelbine)、硫酸ビンロシジン(vinrosidine)、硫酸ビンゾリジン(vinzolidine)、ボロゾール(vorozole)、ゼニプラチン(zeniplatin)、ジノスタチン(zinostatin)、塩酸ゾルビシン(zorubicin)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0071】
癌の治療または予防に有用なその他の治療薬としては、20-エピ-1,25-ジヒドロキシビタミンD3、5-エチニルウラシル、アビラテロン(abiraterone)、アクラルビシン、アシルフルベン(acylfulvene)、アデシペノール(adecypenol)、アドゼレシン(adozelesin)、アルデスロイキン(aldesleukin)、ALL-TKアンタゴニスト、アルトレタミン(altretamine)、アムバムスチン(ambamustine)、アミドックス(amidox)、アミホスチン、アミノレブリン酸、アムルビシン(amrubicin)、アムサクリン、アナグレリド(anagrelide)、アナストロゾール(anastrozole)、アンドログラホリド、脈管形成阻害剤、アンタゴニストD、アンタゴニストG、アントレリックス(antarelix)、抗背方化形態形成タンパク-1、抗アンドロゲン剤(前立腺癌)、抗エストロゲン剤、抗新生物薬、アフィジコリングリシネート、アポトーシス遺伝子調節剤、アポトーシス制御剤、アプリン酸、アラ-CDP-DL-PTBA、アルギニンデアミナーゼ、アスラクリン(asulacrine)、アタメスタン(atamestane)、アトリムスチン(atrimustine)、アキシナスチン(axinastatin)1、アキシナスチン2、アキシナスチン3、アザセトロン(azasetron)、アザトキシン(azatoxin)、アザチロシン(azatyrosine)、バカチン(baccatin)III誘導体、バラノール(balanol)、バチマスタット(batimastat)、BCR/ABLアンタゴニスト、ベンゾクロリン類(benzochlorins)、ベンゾイルスタウロスポリン(benzoylstaurosporine)、βラクタム誘導体、β-アレチン(alethine)、ベタクラマイシン(betaclamycin)B、ベツリン酸(betulinic acid)、bFGF阻害剤、ビカルタミド(bicalutamide)、ビサントレン、ビサジリジニルスペルミン(bisaziridinylspermine)、ビスナフィド(bisnafide)、ビストラテン(bistratene)A、ビゼレシン(bizelesin)、ブレフレート(breflate)、ブロピリミン(bropirimine)、ブドチタン(budotitane)、ブチオニンスルホキシミン、カルシポトリオール(calcipotriol)、カルフォスチンC、カンプトテシン(camptothecin)誘導体、カナリポックス(canarypox)IL-2、カペシタビン(capecitabine)、カルボキサミド-アミノ-トリアゾール、カルボキシアミドトリアゾール、CaRest M3、CARN 700、軟骨誘導阻害剤、カルゼレシン(carzelesin)、カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS)、セルサイクル阻害剤(例えばフラボピリドール(flavopiridol)A、トリプロスタチン(tryprostatin)B、p19ink4D)、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤(例えばロスコビチン(roscovitine)、オロムシン(olomucine)、プリン類似体)、MAPキナーゼ阻害剤(CNI-1493)、カスタノスペルミン、セクロピン(cecropin)B、セトロレリックス(cetrorelix)、クロルリン類(chlorlns)、クロロキノキサリンスルホンアミド、シカプロスト(cicaprost)、シス-ポルフィリン、クラドリビン(cladribine)、クロミフェン(clomifene)類似体、クロトリマゾール、コリスマイシン(collismycin)A、コリスマイシンB、コンブレタスタチン(combretastatin)A4、コンブレタスタチン類似体、コナゲニン(conagenin)、クラムベスシジン(crambescidin)816、クリスナトール(crisnatol)、クリプトフィシン(cryptophycin)8、クリプトフィシンA誘導体、クラシン(curacin)A、シクロペンタンスラキノン類(cyclopentanthraquinones)、シクロプラタム(cycloplatam)、シペマイシン(cypemycin)、シタラビンオクフォスフェート(ocfosfate)、細胞溶解因子、サイトスタチン(cytostatin)、ダクリキシマブ(dacliximab)、デシタビン(decitabine)、デヒドロジデムニン(dehydrodidemnin)B、デスロレリン(deslorelin)、デキサメタゾン、デキシフォスファミド(dexifosfamide)、デクスラゾキサン(dexrazoxane)、デクスベラパミル(dexverapamil)、ジアジコン、ジデムニン(didemnin)B、ジドックス(didox)、ジエチルノルスペルミンdiethylnorspermine)、ジヒドロ-5-アザシチジン、ジヒドロタキソール, 9-、ジオキサマイシン(dioxamycin)、ジフェニルスピロムスチン(diphenyl spiromustine)、ドセタキセル、ドコサノール(docosanol)、ドラセトロン(dolasetron)、ドキシフルリジン、ドロロキシフェン(droloxifene)、ドロナビノール(dronabinol)、デュオカルマイシン(duocarmycin)SA、エブセレン、エコムスチン(ecomustine)、エデルフォシン(edelfosine)、エドレコロマブ(edrecolomab)、エフロルニチン(eflornithine)、エレメン(elemene)、エミテフール(emitefur)、エピルビシン、エプリステライド(epristeride)、エストラムスチン(estramustine)類似体、エストロゲンアゴニスト、エストロゲンアンタゴニスト、エタニダゾール(etanidazole)、リン酸エトポシド、エクセメスタン(exemestane)、ファドロゾール(fadrozole)、ファザラビン(fazarabine)、フェンレチニド(fenretinide)、フィルグラスチム、フィナステリド、フラボピリドール(flavopiridol)、フレゼラスチン(flezelastine)、フルアステロン(fluasterone)、フルダラビン、塩酸フルオロダウノルビシン(fluorodaunorunicin)、フォルフェニメックス(forfenimex)、フォルメスタン(formestane)、フォストリエシン(fostriecin)、フォテムスチン(fotemustine)、ガドリニウムテキサフィリン(texaphyrin)、硝酸ガリウム、ガロシタビン(galocitabine)、ガニレリックス(ganirelix)、ゼラチナーゼ阻害剤、ゲムシタビン(gemcitabine)、グルタチオン阻害剤、ヘプスルファム(hepsulfam)、ヘレグリン(heregulin)、ヘキサメチレンビスアセトアミド、ヒペリシン、イバンドロン酸(ibandronic acid)、イダルビシン、イドキシフェン(idoxifene)、イドラマントン(idramantone)、イルモフォシン(ilmofosine)、イロマスタット(ilomastat)、イミダゾアクリドン類(imidazoacridones)、イミキモド(imiquimod)、免疫活性化剤ペプチド、インスリン様成長因子-1レセプター阻害剤、インターフェロンアゴニスト、インターフェロン類、インターロイキン類、イオベングアン(iobenguane)、ヨードドキソルビシン、イポメアノール, 4-、イロプラクト(iroplact)、イルソグラジン、イソベンガゾール(isobengazole)、イソホモハリコンドリン(isohomohalicondrin)B、イタセトロン(itasetron)、ジャスプラキノリド(jasplakinolide)、カハラリド(kahalalide)F、ラメラリン(lamellarin)-Nトリアセタート、ランレオチド(lanreotide)、レイナマイシン(leinamycin)、レノグラスチム、硫酸レンチナン、レプトルスタチン(leptolstatin)、レトロゾール(letrozole)、白血病阻害因子、白血球αインターフェロン、ロイプロリド(leuprolide)+エストロゲン+プロゲステロン、ロイプロレリン(leuprorelin)、レバミゾール、リアロゾール(liarozole)、線状ポリアミン類似体、親油性二糖ペプチド、親油性白金化合物、リッソクリナミド(lissoclinamide)7、ロバプラチン(lobaplatin)、ロンブリシン(lombricine)、ロメトレキソール(lometrexol)、ロニダミン、ロソキサントロン(losoxantrone)、ロバスタチン、ロキソリビン(loxoribine)、ルルトテカン(lurtotecan)、ルテチウムテキサフィリン、リソフィリン(lysofylline)、溶菌ペプチド、マイタンシン(maitansine)、マンノスタチン(mannostatin)A、マリマスタット(marimastat)、マソプロコール(masoprocol)、マスピン(maspin)、マトリリシン(matrilysin)阻害剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、メノガリル、メルバロン(merbarone)、メテレリン(meterelin)、メチオニナーゼ、メトクロプラミド、MIF阻害剤、ミフェプリストーン、ミルテフォシン、ミリモスチム(mirimostim)、不適合二重鎖RNA、マイトグアゾン(mitoguazone)、マイトラクトール(mitolactol)、マイトマイシン類似体、マイトナファイド(mitonafide)、マイトトキシン(mitotoxin)線維芽細胞成長因子-サポリン、マイトキサントロン、モファロテン(mofarotene)、モルグラモスチム(molgramostim)、モノクローナル抗体、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、モノホスホリル脂質A+ミオバクテリウム(mycobacterium)細胞壁sk、モピダモール(mopidamol)、多剤耐性遺伝子阻害剤、外発性腫瘍抑制遺伝子1療法、マスタード抗癌剤、マイカペロキシド(mycaperoxide)B、マイコバクテリウム細胞壁抽出物、ミリアポロン(myriaporone)、N-アセチルジナリン(N-acetyldinaline)、N-置換ベンズアミド、ナファレリン(nafarelin)、ナグレスチプ(nagrestip)、ナロキソン(naloxone)+ペンタゾシン(pentazocine)、ナパビン(napavin)、ナフテルピン(naphterpin)、ナルトグラスチム、ネダプラチン(nedaplatin)、ネモルビシン(nemorubicin)、ネリドロン酸(neridronic acid)、中性エンドペプチダーゼ、ニルタミド(nilutamide)、ニサマイシン(nisamycin)、一酸化窒素調整剤、ニトロキシド酸化防止剤、ニトルリン(nitrullyn)、O6-ベンジルグアニン、オクトレオチド、オキセノン(okicenone)、オリゴヌクレオチド、オナプリストン(onapristone)、オンダンセトロン、オンダンセトロン、オラシン(oracin)、経口サイトカイン誘導物質、オルマプラチン(ormaplatin)、オサテロン(osaterone)、オキサリプラチン(oxaliplatin)、オキサウノマイシン(oxaunomycin)、パクリタキセル、パクリタキセル類似体、パクリタキセル誘導体、パラウアミン(palauamine)、パルミトイルリゾキシン(palmitoylrhizoxin)、パミドロン酸(pamidronic acid)、パナキシトリオール(panaxytriol)、パノミフェン(panomifene)、パラバクチン、パゼリプチン(pazelliptine)、パガスパルガーゼ(pegaspargase)、ペルデシン(peldesine)、ペントサンポリスルフェートナトリウム、ペントスタチン、ペントロゾール(pentrozole)、ペルフルブロン(perflubron)、ペルフォスファミド(perfosfamide)、ペリリル(perillyl)アルコール、フェナジノマイシン(phenazinomycin)、フェニルアセタート、ホスファターゼ阻害剤、ピシバニール、塩酸ピロカルピン、ピラルビシン、ピリトレキシム(piritrexim)、プラセチン(placetin)A、プラセチンB、プラスミノーゲン活性化物質阻害剤、白金錯体、白金化合物、白金-トリアミン錯体、ポルフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プレドニゾン、プロピルビス-アクリドン、プロスタグランジンJ2、プロテアソーム阻害剤、プロテインA免疫調整剤、タンパク質キナーゼC阻害剤、タンパク質キナーゼC阻害剤(微細藻類)、タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤、プルプリン、ピラゾロアクリジン、ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレン抱合体、rafアンタゴニスト、ラルチトレキシド(raltitrexed)、ラモステトロン(ramosetron)、レチノイン酸(例えば9-シスRA))、ヒストンデアシラーゼ阻害剤(例えば酪酸ナトリウム、スベロイルアニリドヒドロキサム酸)、TRAIL、ラス癌遺伝子ファルネシルタンパクトランスフェラーゼ阻害剤、ラス癌遺伝子阻害剤、ラス癌遺伝子-GAP阻害剤、脱メチル化レテリピチン(retelliptine)、エチドロン酸レニウムRe 186、リゾキシン、リボザイム、RIIレチナミド(retinamide)、ログレチミド(rogletimide)、ロヒツキン(rohitukine)、ロムルチド、ロキニメックス(roquinimex)、ルビジノン(rubiginone)B1、ルボキシル(ruboxyl)、サフィンゴール(safingol)、サイントピン(saintopin)、SarCNU、サルコフィトール(sarcophytol)A、サルグラモスチム(sargramostim)、Sdi 1模倣体、セムスチン(semustine)、老齢誘導阻害剤1、センスオリゴヌクレオチド、細胞情報伝達阻害剤、細胞情報伝達調整剤、単鎖抗原結合タンパク質、シゾフィラン、ソブゾキサン(sobuzoxane)、ナトリウムボロカプテート(borocaptate)、フェニル酢酸ナトリウム、ソルベロール(solverol)、ソマトメジン結合タンパク質、ソネルミン(sonermin)、スパルフォシン酸(sparfosic acid)、スピカマイシン(spicamycin)D、スピロムスチン(spiromustine)、スプレノペンチン(splenopentin)、スポンジスタチン(spongistatin)1、スクアラミン、幹細胞阻害剤、幹細胞分裂阻害剤、スチピアミド(stipiamide)、ストロメリシン(stromelysin)阻害剤、スルフィノシン(sulfinosine)、超活性血管作用性小腸ペプチドアンタゴニスト、スラジスタ(suradista)、スラミン、スワインソニン、合成グリコサミノグリカン、タリムスチン(tallimustine)、タモキシフェンメチオジド、タウロムスチン(tauromustine)、タザロテン(tazarotene)、テコガラン(tecogalan)ナトリウム、テガフール、テルラピリリウム(tellurapyrylium)
、テロメラーゼ阻害剤、テモポルフィン(temoporfin)、テモゾロミド(temozolomide)、テニポシド、テトラクロロデカオキシド(tetrachlorodecaoxide)、テトラゾミン(tetrazomine)、タリブラスチン(thaliblastine)、チオコラリン(thiocoraline)、トロンボポエチン、トロンボポエチン模倣体、チマルファシン(thymalfasin)、チモポイエチンレセプターアゴニスト、チモトリナン(thymotrinan)、甲状腺刺激ホルモン、スズ・エチルエチオプルプリン(etiopurpurin)、チラパザミン(tirapazamine)、チタノセン二塩化物、トプセチン(topsentin)、トレミフェン、全能性幹細胞因子、翻訳阻害剤、トレチノイン、トリアセチルウリジン、トリシリビン(triciribine)、トリメトレキサート、トリプトレリン(triptorelin)、トロピセトロン(tropisetron)、ツロステリド(turosteride)、チロシンキナーゼ阻害剤、チルフォスチン類(tyrphostins)、UBC阻害剤、ウベニメクス、尿生殖洞誘導成長阻害因子、ウロキナーゼレセプターアンタゴニスト、バプレオチド(vapreotide)、バリオリン(variolin)B、ベクター系(赤血球遺伝子療法)、ベラレゾール(velaresol)、ベラミン(veramine)、ベルジン類(verdins)、ベルテポルフィン(verteporfin)、ビノレルビン(vinorelbine)、ビンキサルチン(vinxaltine)、ビタキシン(vitaxin)、ボロゾール(vorozole)、ザノテロン(zanoterone)、ゼニプラチン(zeniplatin)、ジラスコルブ(zilascorb)、ジノスタチンスチマラマー(zinostatin stimalamer)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好適な別の抗癌剤は5-フルオロウラシルおよびロイコボリンである。
【0072】
前記ベンゾピラノン化合物は、以下に示す一般反応スキーム(経路1および経路2)により調製することができる。
【0073】
経路1:
【化5】

【0074】
工程1:フリース反応
反応収率は40%〜55%であり、反応はグラム〜複数キログラムのスケールで行った。より小さいスケールの反応においては、POC13(溶媒)およびZnCl2をBF3ジエチルエーテル錯塩の代わりに使用した。
【0075】
工程2:クマリン形成反応の概要
反応収率は典型的には10%〜90%であり、反応は複数グラムスケールで行った。粉末状のK2CO3は効率的な反応に必須である。また、反応は上記のように酸を予備活性化する代わりに全ての試薬を同時に加えることよっても行った。これらの条件下では収率は若干低くなる。
【0076】
工程3:側鎖導入反応の概要
反応収率は典型的には30%〜70%であり、反応は複数グラムスケールで行った。粉末状のK2CO3は必須であり、顆粒状のものでは不完全であるか、反応時間が長くなる。実施例に示した反応収率は、最近我々の努力により得られたものであり、収率は予想されたものよりも低かった。ジクロロ類似体の場合、生成物はフラッシュクロマトグラフィーの間にカラムに沈殿した。一般的には、これは一連の反応で最も収率の高い工程である。また、側鎖は別の合成スキームにおいて説明したようにしても導入した。
【0077】
工程4:脱メチル化反応の概要
反応収率は典型的には60%〜75%である。密閉管で反応を行うことによりHBrの損失を最小限にし、反応速度を高める。反応は大気圧で行うと完了するのに1日以上要する。
【0078】
経路2:
【化6】

【0079】
本発明の方法は、ベンゾピラノン化合物またはその1種以上を含む医薬品組成物の有効量を、それを必要とするの患者に疾患または対象とする症状を治療するのに十分な量を投与することを含む。ここで「治療する」の用語(あるいは関連する「治療」などの用語)は、化合物を、典型的には適当なデリバリービヒクルあるいは薬剤とともに、疾患または症状の徴候を示さない(例えば予防または予防的投与)、または疾患または症状の徴候を示す(例えば治療または治療的投与)患者に投与することを意味する。さらに、「有効量」の用語は、所定の時間の後、所望の効果を生じるベンゾピラノン化合物の投与量または他の活性薬剤の投与量を意味する。例えば骨吸収疾患についていえば、有効量は、プラシーボによって処置された動物と統計学的に異なる骨質量を生じる。同様に、癌および関節炎では、有効量は癌または関節炎組織に対して所望の効果を生じるのに十分な量である。ある態様においては、「有効量」は、骨吸収疾患を治療または予防できる、癌を治療または予防できる、関節炎を治療または予防できる、ERを発現する細胞または組織の遺伝子発現を調整できる、骨細胞のERの機能を活性化することができる、乳癌細胞、卵巣癌細胞、子宮内膜細胞、子宮細胞、前立腺細胞または視床下部細胞におけるERの機能を阻害することができる、ERおよびIL-6を発現する細胞におけるERの機能を阻害することができる、癌または腫瘍細胞の細胞増殖を阻害することができる、または患者の血清コレステロールレベルを低下させることができる投与量である。
【0080】
前記ベンゾピラノン化合物は、構造式(I)または(II)の化合物の薬学的に許容される塩として存在し得る。前記ベンゾピラノン化合物の薬学的に許容される酸付加塩は、化合物そのものまたはそのエステルから形成され得、薬品化学においてよく使用される薬学的に許容される塩を含む。例えば、塩は有機または無機酸と形成され得る。適当な有機酸としては、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、酢酸、蓚酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、桂皮酸、アスパルギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、蟻酸、グリコール酸、グルタル酸およびベンゼンスルホン酸が挙げられる。適当な無機酸としては、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸および硝酸が挙げられる。その他の塩としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物、重硫酸塩、酸リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、酸クエン酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、ゲンチシン酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸塩、パモエート(すなわち1,1'-メチレン-ビス(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート)が挙げられる。「薬学的に許容される塩」の用語は、任意のあらゆる許容される塩形態を包含することを意図するものである。
【0081】
薬学的に許容される塩は、慣用の公知の技術により形成することができ、例えば上記のように本発明の化合物を適当な酸と反応させることによって形成できる。このような塩は、典型的には適度な温度で高収率で形成され、合成の最終工程の適当な酸性洗浄液から化合物を単離するだけで調製されることが多い。塩形成性の酸は適当な有機溶媒または水性有機溶媒、例えばアルカノール、ケトンまたはエステルに溶解し得る。一方、前記ベンゾピラノン化合物が遊離塩基形態にあることが望まれる場合は、公知の技術により塩基性の最終的な洗浄工程から単離することができる。例えば、塩酸塩を調製するための典型的な技術は、遊離塩基を適当な溶媒に溶解し、分子ふるいで行うように溶液を十分に乾燥し、その後それに塩化水素ガスを通気させるものである。
【0082】
前記ベンゾピラノン化合物は、例えばカプセル、マイクロカプセル、錠剤、顆粒、粉末、トローチ、ピル、坐薬、注射剤、懸濁液およびシロップのような製剤の慣用の形態で経口的または非経口的に患者に投与することが可能である。適当な製剤は、慣用の有機または無機添加物、例えば賦形剤(例えば、スクロース、澱粉、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、グルコース、セルロース、タルク、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム)、結合剤(例えば、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリプロピルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、スクロース、澱粉)、崩壊剤(例えば、澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウム)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム)、着香料(例えば、クエン酸、メントール、グリシン、オレンジ粉末)、保存料(例えば、安息香酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン)、安定剤(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸)、懸濁剤(例えば、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸アルミニウム)、分散剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、希釈剤(例えば水)、基剤ワックス(例えば、カカオバター、白色ワセリン、ポリエチレングリコール)を使用する通常に使用される方法によって調製することができる。医薬品組成物中の前記ベンゾピラノン化合物の有効量は、所望の効果を実現するレベルとすることができ、例えば、経口および非経口投与の両者について、単位投与形態あたり約0.1mg〜100mgである。
【0083】
前記ベンゾピラノン化合物は通常、ヒト患者に対して1日1〜4回、1mg〜100mgの単位投与量で投与することができるが、上記投与量は患者の年齢、体重および医学的状態および投与の種類に従い適当に変更し得る。好適な投与量はヒト患者において0.25mg〜25mgである。1日1回の投与が好ましい。
【0084】
ヒトに投与される前記ベンゾピラノン化合物の投与量は比較的広範囲に変更することができ、主治医の判断に委ねられる。前記ベンゾピラノン化合物を例えばその塩形成部分がかなりの分子量を有しているラウリン酸塩のような塩の形態で投与する場合は、ベンゾピラノン化合物の投与量を調整する必要があることを考慮すべきである。前記ベンゾピラノン化合物の効果的な投与割合の一般的な範囲は約0.05mg/日〜約100mg/日である。好適な割合の範囲は約0.25mg/日〜25mg/日である。もちろん、部分に分けたベンゾピラノン化合物の1日投与量を1日のさまざまな時間で投与することが実際的であることも多い。ただし、いずれの場合においても投与するベンゾピラノン化合物の量は、活性成分の溶解度、使用する製剤および投与経路のような因子に依存する。
【0085】
便宜的にはベンゾピラノン化合物を経口投与するのが通常好ましい。しかし、ある場合には必要に応じて、ベンゾピラノン化合物を皮下投与すること、あるいは直腸吸収のための坐薬として投与することも同様に効果的であり得る。
【0086】
前記ベンゾピラノン化合物は、医薬組成物として投与することができる。該組成物は、錠剤、チュアブル錠、カプセル、溶液、注射液、トローチ、坐薬および懸濁液の形態とすることができる。組成物は、1錠もしくはカプセルあるいは好適な体積の液体とし得る投与単位に、1日投与量あるいは1日投与量の適当な部分を含むように配合することができる。
【0087】
前記組成物は、錠剤、カプセルなどに容易に配合することができ、例えば塩酸塩のような水溶性の塩から溶液を調製することが好ましい。一般に、組成物はいずれも薬品化学において公知の方法により調製される。カプセルは、前記ベンゾピラノン化合物を適当な希釈剤と混合し、適量の混合物をカプセルに充填することにより調製される。通常の希釈剤としては、多くの種類の澱粉、粉末セルロース、特に結晶および微晶質セルロース、フルクトースのような糖、マンニトールおよびスクロース、穀物粉および同様の食用粉末のような非活性粉末状物質が挙げられる。
【0088】
錠剤は、直接打錠、湿式造粒法または乾式造粒法により調製される。それらの製剤は、通常、化合物とともに希釈剤、結合剤、滑沢剤および崩壊剤を含む。典型的な希釈剤としては、種々の種類の澱粉、ラクトース、マンニトール、カオリン、リン酸カルシウムまたは硫酸塩、例えば塩化ナトリウムのような無機塩、および粉末糖が挙げられる。粉末セルロース誘導体も有用である。典型的な錠剤結合剤は、澱粉、ゼラチンおよび例えばラクトース、フルクトース、グルコースのような糖などの物質である。天然および合成ゴムもまた好適であり、例えばアカシア、アルギネート、メチルセルロース、ポリビニルピロリジンなどが挙げられる。ポリエチレングリコール、エチルセルロースおよびワックスも結合剤とし得る。
【0089】
滑沢剤は、錠剤配合物において、錠剤およびパンチが鋳型に付着するのを防止するために必要であり得る。滑沢剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよびカルシウム、ステアリン酸、水素化植物油のような滑りやすい固体から選択することができる。錠剤崩壊剤は、水分を含んだ際に膨潤して錠剤を崩壊させ、化合物を放出する物質である。そのようなものとしては、澱粉、粘土、セルロース、アルギンおよびガムが挙げられる。より詳しくは、例えば、トウモロコシおよびジャガイモ澱粉、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、木材セルロース、粉末状天然海綿、陽イオン交換樹脂、アルギン酸、グアーガム、柑橘類パルプおよびカルボキシメチルセルロース、並びにラウリル硫酸ナトリウムを使用することができる。錠剤は、矯味矯臭薬およびシーラントとしての糖、またはフィルム形成保護剤で被覆して錠剤の溶解特性を変更し得る。組成物は、配合物中に例えばマンニトールのような物質を用いてチュアブル錠として配合することもできる。
【0090】
前記ベンゾピラノン化合物を坐薬として投与することが望まれる場合は、典型的な基剤を使用することができる。カカオバターは従来からの坐剤基剤であり、ワックスを添加して改変し融点をいくらか上昇させることができる。特に種々の分子量のポリエチレングリコールを含む水混和性坐剤基剤は、広い用途がある。
【0091】
前記ベンゾピラノン化合物の効果は、適当な配合物によって遅延または延長させることができる。例えば、前記ベンゾピラノン化合物の徐溶性錠剤を調製し、錠剤またはカプセル中に含有させることができ、あるいは徐放性移植可能デバイスとして調製することができる。その他、いくつかの異なる溶解速度を有するペレットを調製し、それらのペレットの混合物をカプセルに充填する技術が挙げられる。錠剤またはカプセルは、予測可能な期間、溶解耐性を有するフィルムにより被覆することができる。前記ベンゾピラノン化合物を血清中に徐放することを可能とする油性または乳化ビヒクルに溶解または懸濁することにより、非経口製剤でも持効性にすることができる。
【実施例】
【0092】
以下の実施例は例示として示すものであり、限定的なものではない。
実施例1
3-(2-クロロ-4-トリフルオロメチルフェニル)-7-ヒドロキシ-4-(4-(2-ピロリジン-1-イルエトキシ)ベンジル)クロメン-2-オン
A. (2-クロロ-4-トリフルオロメチルフェニル)酢酸
【化7】

【0093】
n-BuLi(ヘキサン中の1.6M溶液の357mL(571mmol))をトルエン(700mL)中のHMDSの冷却(-78℃)溶液(120.5ml、571mmol)に添加することによりトルエン中のLiHMDS溶液を調製した。30分後に、反応混合物を1時間で10℃とした。その後溶液をカニューレによりPd2dba3(4.18g、4.57mmol)および(2'-ジシクロヘキシルホスファニルビフェニル-2-イル)ジメチルアミン(3.77g、9.59mmol)を入れた火炎乾燥した三つ口フラスコにN2下で移した。混合物を15℃で15分攪拌し、-10℃に冷却し、t-ブチルアセテート(70.5ml、525.4mmol)を滴下した。10分後に3-クロロ-4-ヨードベンゾトリフルオリド(70g、228.4mmol)を加え、反応混合物を28℃まで加温した。同温度で1.5時間攪拌した後、溶離液としてトルエンを用いて混合物をシリカゲルでろ過し、溶媒を減圧下除去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン:EtOAc=98:2)を使用して精製し、(2-クロロ-4-トリフルオロメチルフェニル)酢酸tert-ブチルエステルを固体として得た。
【0094】
(2-クロロ-4-トリフルオロメチルフェニル)酢酸tert-ブチルエステル(40g、135.7mmol)の濃HCl(31.3mL)を含むジオキサン(100mL)中の溶液を50℃で5時間攪拌した。混合物を室温に冷却した後にEt2Oで希釈し、有機層をH2O(3x)で洗浄した。有機相を乾燥し(MgSO4)、溶媒を減圧下除去した。残渣をAcOEt-ヘキサンから再結晶することにより標記化合物を下記を示す固体として得た:
1H NMR (400 MHz, CDC13) δ 7.71 (s, 1H), 7.55 (dd, 1H, J=1.0, 8.0 Hz), 7.47 (d, 1H, J=8.0 Hz), 3.92 (s, 2H)
MS (ESI) m/z 237 (M-H)-
【0095】
B. 3-(2-クロロ-4-トリフルオロメチルフェニル)-4-(4-ヒドロキシベンジル)-7-メトキシクロマン-2-オン
【化8】

【0096】
2-(クロロ-4-トリフルオロメチルフェニル)酢酸(3.2g、13.41mmol)および1,1'-カルボニルジイミダゾール(2.72g、16.77mmol)のDMF(15ml)中の混合物を25分、70℃に加熱した。反応混合物を10℃に冷却し、K2CO3(2.78g、20.1mmol)、1-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-2-(4-ヒドロキシフェニル)エタン-1-オン(1.73g、6.7mmol、実施例4Aに記載したようにして調製した)、DMAP(164mg、1.34mmol)およびDMF(10mL)を添加した。反応混合物を115℃で1.5時間攪拌した後、得られた懸濁液を室温に冷却し、AcOEt/H2Oに注ぎ、層を分離した。有機層をH2O、水性1 N HClおよび食塩水により洗浄し、乾燥し(MgSO4)、溶媒を減圧下除去した。得られた赤色残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、2:1〜1:2=ヘキサン:Et2O)を使用して精製し、標記化合物を下記を示す白色固体として得た:
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.75 (s, 1H), 7.53 (br d, 1H, J=8.0 Hz), 7.47 (d, 1H, J=9.0 Hz), 7.33 (d, 1H, J=8.0 Hz), 6.92-6.85 (m, 3H), 6.80 (d, 1H, J=2.5, 9.0 Hz), 6.70 (d, 2H, J=8.5 Hz), 4.95-4.64 (very br s, 1H), 4.02 (d, 1H, J=15.5 Hz), 3.88 (s, 3H), 3.76 (d, 1H, J=15.5 Hz)
MS (ESI) m/z 461 (M+H)+
【0097】
C. 3-(2-クロロ-4-トリフルオロメチルフェニル)-7-メトキシ-4-(4-(2-ピロリジン-1-イルエトキシ)ベンジル)クロメン-2-オン
【化9】

【0098】
EtOH(5ml)中の3-(2-クロロ-4-トリフルオロメチルフェニル)-4-(4-ヒドロキシベンジル)-7-メトキシクロメン-2-オン(460mg、1mmol)、1-(2-クロロエチル)ピロリジン塩酸塩(254.7mg、1.5mmol)およびK2CO3.(413.9mg、2.99mmol)の混合物を2分攪拌し、その後H2O(0.5mL)を添加した。混合物を55℃で2.5時間攪拌し、その時間の後室温に冷却し、CHCl3-H2Oに注いだ。層を分離し、水相をCHCl3(3x)により抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、溶媒を減圧下除去した。得られた褐色の泡状物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、CH2Cl2:MeOH=19:1)を使用して精製し、下記を示す標記化合物を淡褐色泡状物として得た:
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.83 (s, 1H), 7.65 (d, 1H, J=9.0 Hz), 7.63 (d, 1H, J=8.0 Hz), 7.51 (d, 1H, J=8.0 Hz), 7.00 (d, 1H, J=2.5 Hz), 6.95 (d, 2H, J=8.5 Hz), 6.89 (dd, 1H, J=2.5, 9.0 Hz), 6.79 (d, 2H, J=8.5 Hz),), 4.07 (d, 1H, J=15.5 Hz), 4.05 (t, 2H, J=5.5 Hz), 3.90 (s, 3H), 3.83 (d, 1H, J=15.5 Hz), 2.89 (t, 2H, J=5.5 Hz), 2.72-2.60 (m, 4H), 1.90-1.75 (m, 4H)
MS (ESI) m/z 558 (M+H)+
【0099】
D. 3-(2-クロロ-4-トリフルオロメチルフェニル)-7-ヒドロキシ-4-(4-(2-ピロリジン-1-イルエトキシ)ベンジル)クロメン-2-オン
【化10】

【0100】
3-(2-クロロ-4-トリフルオロメチルフェニル)-7-メトキシ-4-(4-(2-ピロリジン-1-イル-エトキシ)ベンジル)クロメン-2-オン(330mg、0.59mmol)をAcOH(2.4mL)-48% HBr水溶液(2.4mL)に溶解した。混合物を130℃で15分攪拌した。混合物を室温に冷却した後、EtOAc/NaHCO3水溶液に注いだ。1N NaOH水溶液を添加してpHを8とした。層を分離し、水性層をEtOAc(3x)で逆抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、溶媒を減圧下除去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、CH2Cl2:MeOH=5:1)を使用して精製し、下記を示す黄色泡状物質として標記化合物を得た:
IR (KBr) ν = 3670-2140, 1709, 1611, 1569, 1511, 1367, 1323, 1247, 1172, 1133, 1081, 1067, 1044, 1012 cm-1
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.81 (d, 1H, J=1. 5 Hz), 7.61 (dd, 1H, J=1.5, 8.0 Hz), 7.56 (d, 1H, J=8.8 Hz), 7.48 (d, 1H, J=8.0 Hz), 6.93 (d, 2H, J=8.5 Hz), 6.79 (d, 2H, J=8.5 Hz), 6.76 (d, 1H, J=2.5 Hz), 6.73 (dd, 1H, J=2.5, 8.8 Hz), 4.09 (t, 2H, J=5.5 Hz), 4.05 (d, 1H, J=15.5 Hz), 3.80 (d, 1H, J=15. 5 Hz), 3.04 (t, 2H, J=5.5 Hz), 2.86-2.78 (m, 4H), 1.92-1.82 (m, 4H)
HRMS (ESI) C29H25ClF3NO4 (M+H)+:計算値544.1502、分析値544.1504。
【0101】
実施例2
3-(4-クロロ-2-トリフルオロメチルフェニル)-7-ヒドロキシ-4-(4-(2-ピロリジン-1-イルエトキシ)ベンジル)クロメン-2-オン
A. (4-クロロ-2-トリフルオロメチルフェニル)酢酸
【化11】

【0102】
4-クロロ-1-ヨード-2-トリフルオロメチルベンゼン(14.98g、48.9mmol)、Bu3SnCH=CH2(15.7mL、53.7mmol)および(Ph3P)4Pd(2.26g、1.955mmol)を無水トルエン(200mL)中に含む溶液を、減圧下N2フラッシュ(3x)を使用して脱酸素した。反応混合物を17時間還流した後、0℃に冷却し、ジシアミルボラン-硫化メチル錯体のトルエン(約1.95M、47mL)中の溶液を約5分間で滴下した。ジシアミルボラン-硫化メチル錯体溶液は、2-メチル-2-ブテン(26mL、245mmol)をボラン-硫化メチル錯体(11.6mL、122.3mmol)の無水トルエン(25ml)中の冷却(0℃)溶液に加え、得られた混合物を室温で2時間攪拌することにより調製した。浴を除去し、反応混合物を室温で3時間攪拌した。その後、混合物を0℃に冷却し、EtOH(75mL)、その後2N NaOH水溶液(37.5mL)および30%H202水溶液(30mL)をゆっくり添加した。溶液を室温で1.5時間攪拌した後、Et2O-H20に注いだ。層を分離し、有機層をH2Oおよび食塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、溶媒を減圧下除去した。この間、浴温度は30℃未満に維持した。黒色の残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン:AcOEt=4:1〜3:1)を使用して精製し、2-(4-クロロ-2-トリフルオロメチルフェニル)エタノールを赤色油状物として得、これを次の工程に直接使用した。
【0103】
2-(4-クロロ-2-トリフルオロメチルフェニル)エタノールのアセトン(50mL)中の0℃の溶液を、ジョーンズ試薬(H2SO4中の2.67M溶液の40.3mL)に滴下した。25分後、混合物をEt2O/H2Oに注ぎ、層を分離した。有機層をH2Oおよび食塩水で洗浄し、乾燥し(MgSO4)、溶媒を減圧下除去した。得られた橙色固体をヘキサンおよびヘプタンから結晶化し、標記化合物を下記を示す固体として得た:
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.67 (d, 1H, J=2.0 Hz), 7.51 (dd, 1H, J=2.0, 8.0 Hz), 7.34 (d, 1H, J=8.0 Hz), 3.84 (S, 2H) 。
【0104】
B. 3-(4-クロロ-2-トリフルオロメチルフェニル)-4-(4-ヒドロキシベンジル)-7-メトキシクロメン-2-オン
【化12】

【0105】
上記化合物を上記実施例1Bに記載した方法を使用して調製した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、Et2O:ヘキサン=1:1〜55:45〜3:2)を使用して精製し、下記を示すベージュ色の固体として標記化合物を得た:
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.76 (d, 1H, J=1.5 Hz), 7.50 (dd, 1H, J=1.5, 8.0 Hz), 7.41 (d, 1H, J=9.0 Hz), 7.15 (d, 1H, J=8.0 Hz), 6.89 (d, 1H, J=2.5 Hz), 6.85 (d, 2H, J=8.5 Hz), 6.77 (dd, 1H, J=2.5, 9.0 Hz), 6.70 (d, 2H, J=8.5 Hz), 4.00 (d, 1H, J=15.5 Hz), 3.87 (s, 3H), 3.61 (d, 1H, J=15.5 Hz)
MS (ESI) m/z 461 (M+H)+
【0106】
C. 3-(4-クロロ-2-トリフルオロメチルフェニル)-7-メトキシ-4-(4-(2-ピロリジン-1-イル-エトキシ)ベンジル)クロメン-2-オン
【化13】

【0107】
上記化合物を、実施例1Cに記載した方法を使用して調製した。得られた褐色泡状物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、CH2Cl2:MeOH=94:6)を使用して精製し、標記化合物を下記を示す淡黄色泡状物として得た:
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.83 (d, 1H, J=1.7 Hz), 7.61 (dd, 1H, J=1.7, 8.5 Hz), 7.55 (d, 1H, J=9.0 Hz), 7.34 (d, 1H, J=8.5 Hz), 7.00-6.93 (m, 3H), 6.85 (dd, 1H, J=2.5, 9.0 Hz), 6.81 (d, 2H, J=9.0 Hz),, 4.11 (d, 1H, J=15.5 Hz), 4.05 (t, 2H, J=5.5 Hz), 3.88 (s, 3H), 3.61 (d, 1H, J=15.5 Hz), 2.90 (t, 2H, J=5.5 Hz), 2.71-2.61 (m, 4H), 1.86-1.77 (m, 4H)
MS (ESI) m/z 558 (M+H)+
【0108】
D. 3-(4-クロロ-2-トリフルオロメチルフェニル)-7-ヒドロキシ-4-(4-(2-ピロリジン-1-イルエトキシ)ベンジル)クロメン-2-オン
【化14】

【0109】
上記化合物を、上記実施例1Dに記載した方法を使用して調製した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、CH2Cl2:MeOH=5:1)を使用して精製し、下記を示す黄色固体として標記化合物を得た:
IR (KBr) ν= 3700-2100, 1721, 1597,1512, 1467, 1377, 1305, 1265, 1247, 1182, 1136, 1108, 1061, 1046, 1016, 843 cm-1
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 7.82 (d, 1H, J=2.0 Hz), 7.59 (dd, 1H, J=2.0, 8.0 Hz), 7.47 (d, 1H, J=9.0 Hz), 7.31 (d, 1H, J=8.0Hz), 6.96 (d, 2H, J=8.5 Hz), 6.82 (d, 2H, J=8.5 Hz), 6.75 (d, 1H, J=2.5 Hz), 6.69 (dd, 1H, J=2.5, 9.0 Hz), 4.12-4.06 (m, 3H), 3.59 (d, 1H, J=15.5 Hz), 3.05 (t, 2H, J=5.5 Hz), 2.86-2.81 (m, 4H), 1.92-1.84 (m, 4H)
HRMS (ESI) C29H25ClF3NO4 (M+H)+ 計算値544.1502、測定値544.1505。
【0110】
実施例3
3-(2,4-ビストリフルオロメチルフェニル)-7-ヒドロキシ-4-(4-(2-ピロリジン-1-イルエトキシ)ベンジル)クロメン-2-オン
A. 3-(2,4-ビストリフルオロメチルフェニル)-4-(4-ヒドロキシベンジル)-7-メトキシクロメン-2-オン
【化15】

【0111】
上記化合物を、上記実施例1Bに記載した方法を使用して調製した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、Et2O:ヘキサン=1:1〜3:2)を使用して精製し、下記を示す黄色泡状物として標記化合物を得た。
【0112】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.03 (s, 1H), 7.78 (d, 1H, J=8.0 Hz), 7.42 (d, 1H, J=8.8 Hz), 7.36 (d, 1H, J=8.0 Hz), 6.90 (d, 1H, J=2.5 Hz), 6.84 (d, 2H, J=8.5 Hz), 6.78 (dd, 1H, J=2.5, 8.8 Hz), 6.70 (d, 2H, J=8.5 Hz), 4.76 (s, 1H), 4.01 (d, 1H, J=16.0 Hz), 3.88 (s, 3H), 3.57 (d, 1H, J=16.0 Hz)
B. 3-(2,4-ビストリフルオロメチルフェニル)-7-メトキシ-4-(4-(2-ピロリジン-1-イルエトキシ)ベンジル)クロメン-2-オン
【化16】

【0113】
上記化合物を、実施例1Cに記載した方法を使用して調製した。得られた褐色泡状物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、CH2Cl2:MeOH=96:4)を使用して精製し、下記を示すベージュ色泡状物として標記化合物を得た:
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 8.09 (s, 1H), 7.93 (d, 1H, J=8.5 Hz), 7.59 (d, 1H, J=8.5 Hz), 7.57 (d, 1H, J=9.0 Hz), 6.99 (d, 1H, J=2.5 Hz), 6.97 (d, 2H, J=8.5 Hz), 6.87 (dd, 1H, J=2.5, 9.0 Hz), 6.81 (d, 2H, J=8.5 Hz), 4.13 (d, 1H, J=16.0 Hz), 4.05 (t, 2H, J =5.5 Hz), 3.89 (s, 3H), 3.59 (d, 1H, J=16.0 Hz), 2.89 (t, 2H, J=5.5 Hz), 2.73-2.58 (m, 4H), 1.87-1.77 (m, 4H)
MS (ESI) m/z 592 (M+H)+
【0114】
C. 3-(2,4-ビストリフルオロメチルフェニル)-7-ヒドロキシ-4-(4-(2-ピロリジン-1-イルエトキシ)ベンジル)クロメン-2-オン
【化17】

【0115】
上記化合物を、上記実施例1Dに記載した方法を使用して調製した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、CH2Cl2:MeOH=3:1)を使用して精製し、下記を示す黄色泡状物として標記化合物を得た:
IR (KBr) ν = 3700-2300, 1714, 1615, 1512, 1462, 1368, 1346, 1300, 1272, 1179, 1133, 1082, 1062, 1045, 1014, 846 cm-1
1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.07 (s, 1H), 7.91 (br d, 1H, J=8.5 Hz), 7.56 (d, 1H, J=8.5 Hz), 7.49 (d, 1H, J=8.8 Hz), 6.96 (d, 2H, J=9.0 Hz), 6.82 (d, 2H, J=9.0 Hz), 6.77 (d, 1H, J=2.5 Hz), 6.71 (dd, 1H, J=2.5, 8.8 Hz), 4.11 (d, 1H, J=16.0 Hz), 4.11 (t, 2H, J=5.5 Hz), 3.57 (d, 1H, J=16.0 Hz), 3.08 (t, 2H, J=5.5 Hz), 2.90-2.83 (m, 4H), 1.92-1.86 (m, 4H)
HRMS (ESI) C30H25F6NO4 (M+H)+ 計算値578.1766、測定値578.1762。
【0116】
実施例4
3-(4-トリフルオロメチルフェニル)-4-(4-(2-ピロリジン-1-イル-エトキシ)ベンジル)-7-メトキシクロメン-2-オン
【化18】

【0117】
A. 1-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-2-(4-ヒドロキシフェニル)エタン-1-オン
3-メトキシフェノール(44.69kg、360mol)および4-ヒドロキシフェニル酢酸(68.5kg、450mol)の144Lのクロロベンゼン中の懸濁液を窒素ガスによりパージした。三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯塩(177L、1440mol)を20〜25℃で加え、懸濁液を80℃に加熱し、4〜5時間攪拌した後5〜10℃に冷却し、一晩攪拌した。
【0118】
沈殿した赤/橙色の固体(所望のものではない異性体)をN2圧を加えて濾過し、濾液を氷/H2Oに注ぐことにより冷却した。濾紙上の塊をCH2Cl2で洗浄した。水溶液のpHが6〜7に達するまで、80% Na2CO3(水溶液)をゆっくり添加することにより、三フッ化ホウ素エーテラートを冷却した。ガスが発生し、生成物が溶液から沈殿した。
【0119】
橙色の懸濁液を20℃で一晩攪拌し、その後濾過した。濾紙上の塊をH2OおよびMTBEで洗浄し、一晩乾燥し、所望の生成物を得た(38kg、収率42%、HPLC純度95.1% a/a):
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 12.30 (s, 1H), 9.31 (s, 1H), 7.99 (d, 1H, J=9.1 Hz), 7.08 (d, 2H, J=8.4 Hz), 6.70, (d, 2H, J=8.4 Hz), 6.53 (dd, 1H, J=2.5, 9.1 Hz), 6.47 (d, 1H, J=2.5 Hz), 4.18 (s, 2H), 3.81 (s, 3H)
MS (ESI) m/z 259 (M+H)+
【0120】
B. 3-(4-トリフルオロメチルフェニル)-4-(4-ヒドロキシベンジル)-7-メトキシクロメン-2-オン
【化19】

【0121】
4-トリフルオロメチルフェニル酢酸(15.2g、74.45mmol)の120mLのDMF中の溶液を、いくつかに分けたCDI(13.2g、82mmol)により25℃で5分間処理した。反応混合物を10分間40℃に加温した後、室温に冷却した。1-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-2-(4-ヒドロキシフェニル)エタン-1-オン(9.81g、38mmol)、K2CO3(15.7g、114mmol)およびDMAP(0.93g、7.6mmol)を添加し、反応混合物を80℃に2時間加温した。
【0122】
懸濁液を室温に冷却し、200mLの水を加えた。水性層をCH2Cl2で抽出し、合わせた有機層を乾燥し(MgSO4)、減圧下で濃縮した。得られた固体をフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2:EtOAc)を使用して精製し、所望の生成物(10.2g、63%)を得た:
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 9.29 (s, 1H), 7.79 (d, 2H, J=8.7 Hz), 7.57 (d, 2H, J=8.7 Hz), 7.53 (d, 1H, J=8.5 Hz), 7.04 (d, 1H, J=2.3 Hz), 6.93 (d, 2H, J=8.9 Hz), 6.87 (dd, 1H, J=8.5,2.3 Hz), 6.61 (d, 2H, J=8.9 Hz), 3.90 (s, 2H), 3.84 (s, 3H)
MS (ESI) m/z 427 (M+H)+
【0123】
C. 3-(4-トリフルオロメチルフェニル)-4-(4-(2-ピロリジン-1-イルエトキシ)ベンジル)-7-メトキシクロメン-2-オン
【化20】

【0124】
3-(4-トリフルオロメチルフェニル)-4-(4-ヒドロキシベンジル)-7-メトキシクロメン-2-オン(6.0g、14mmol)、1-(2-クロロエチル)ピロリジン塩酸塩(3.3g、22.5mmol)およびK2CO3(6.6g、47.8mmol)の30mlのDMF中の溶液を120℃に2時間加温した。溶媒を減圧下除去した。水を加え、水性層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を乾燥し、濃縮して暗褐色油状物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2:EtOAc:MeOH:TEA)により所望の生成物(4.7グラム、64%)を得た:
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 7.79 (d, 2H, J=8.1 Hz), 7.58 (d, 2H, J=8.1 Hz), 7.51 (d, 1H, J=9.0 Hz), 7.08 (d, 2H, J=8.9 Hz), 7.06 (d, 1H, J=2.5 Hz), 6.87 (dd, 1H, J=2.5, 9.0 Hz), 6.82 (d, 2H, J=8.9 Hz), 4.08 (t, 2H, J=5.0 Hz), 3.96 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.17-3.12 (m, 2H), 2.94-2.88 (m, 4H), 1.83-1.78 (m, 4H)
MS (ESI) m/z 524 (M+H)+
【0125】
D. 3-(4-トリフルオロメチルフェニル)-4-(4-(2-ピロリジン-1-イルエトキシ)ベンジル)-7-メトキシクロメン-2-オン
【化21】

【0126】
封管中の3-(4-トリフルオロメチルフェニル)-4-(4-(2-ピロリジン-1-イルエトキシ)ベンジル)-7-メトキシクロメン-2-オン(4.2グラム、8.02mmol)の溶液および25mLの30% HBr/HOAcを120℃に3時間加温した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をNaHCO3(水溶液)で中和した。水性層をCH2Cl2で抽出し、合わせた有機層を濃縮した。シリカゲルの短いカラムを通した後、逆相分取HPLCにより粗生成物を精製し、標記化合物を得た(2.9g、71%):
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 7.77 (d, 2H, J=8.0 Hz), 7.55 (d, 2H, J=8.0 Hz), 7.44 (d, 1H, J=8.8 Hz), 7.03 (d, 2H, J=8.0 Hz), 6.79 (d, 2H, 8.0 Hz), 6.76 (s, 1H), 6.70 (d, 1H, J=8.5 Hz), 3.97 (t, 2H, J=5.8 Hz), 3.92 (s, 2H), 2.72 (d, 2H, J=5.8 Hz), 2.50-2.47 (m, 4H), 1.66-1.64 (m, 4H)
MS (ESI) m/z 510 (M+H)+
【0127】
実施例5
3-(4-クロロフェニル)-4-(4-(2-ピロリジン-1-イルエトキシ)ベンジル)-7-ヒドロキシクロメン-2-オン塩酸塩
A. 1-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-2-(4-ヒドロキシフェニル)エタン-1-オン
【化22】

【0128】
上記化合物を実施例4Aに記載した方法を使用して調製した。
【0129】
B. 3-(4-クロロフェニル)-4-(4-ヒドロキシベンジル)-7-メトキシクロメン-2-オン
【化23】

【0130】
上記化合物を上記実施例4Bに記載した方法を使用して調製した:
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 9.30 (s, 1H), 7.51 (d, 1H, J=9.1 Hz), 7.47 (d, 2H, J=8.2 Hz), 7.34 (d, 2H, J=8.2 Hz), 7.02 (d, 1H, J=2.2 Hz), 6.91 (d, 2H, J=8.5 Hz), 6.85 (dd, 1H, J=9.1, 2.2 Hz), 6.61 (d, 2H, J=8.5 Hz), 3.91 (s, 2H), 3.83 (s, 3H)
MS (ESI) m/z 393 (M+H)+
【0131】
C. 3-(4-クロロフェニル)-4-(4-(2-ブロモエトキシ)ベンジル)-7-メトキシクロメン-2-オン
【化24】

【0132】
3-(4-クロロフェニル)-4-(4-ヒドロキシベンジル)-7-メトキシクロメン-2-オン(21.2g、54mmol)、ジブロモエタン(50.7g、270mmol)およびK2CO3(8.3g、60mmol)の200mLのアセトン中の溶液を12時間加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、揮発性物質を減圧下で除去した。ヘキサン(500mL)を攪拌下加え、得られた固体を濾過により回収した。物質をヘキサンで洗浄し(2×100mL)、回収し、減圧下で乾燥して所望の生成物を得た(22.5g、83%):
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 7.50 (d, 1H, J=9.1 Hz), 7.48 (d, 2H, J=8.2 Hz), 7.35 (d, 2H, J=8.2 Hz), 7.07 (d, 2H, J=8.5 Hz), 7.04 (d, 1H, J=2.6 Hz), 6.86 (dd, 1H, J=9.1, 2.6 Hz), 6.82 (d, 2H, J=8.5 Hz), 4.24 (t, 2H, J=5.8 Hz), 3.98 (s, 2H), 3.84 (s, 3H), 3.76 (t, 2H, J=5.8 Hz)
MS (ESI) m/z 500 (M+H)+
【0133】
D. 3-(4-クロロフェニル)-4-(4-(2-ブロモエトキシ)ベンジル)-7-ヒドロキシクロメン-2-オン
【化25】

【0134】
封管中の3-(4-クロロフェニル)-4-(4-(2-ブロモエトキシ)ベンジル)-7-メトキシクロメン-2-オン(16.5グラム、33mmol)の溶液および150 mLの30%HBr/HOAcを100℃に8時間加温した。反応混合物を室温に冷却し、300mLの水に注いだ。得られた固体を濾過により回収し、フラッシュクロマトグラフィーを使用して精製し、所望の生成物を得た(12.5g、78%):
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 10.55 (s, 1H), 7.47 (d, 2H, J=8.5 Hz), 7.43 (d, 1H, J=8.8 Hz), 7.33 (d, 2H, J=8.5 Hz), 7.05 (d, 2H, J=8.5 Hz), 6.83 (d, 2H, J=8.5 Hz), 6.75 (d, 1H, J=2.2 Hz), 6.70 (dd, 1H, J=8.8, 2.2 Hz), 4.24 (t, 2H, J=5.7 Hz), 3.94 (s, 2H), 3.76 (t, 2H, J=5.7 Hz)
MS (ESI) m/z 486 (M+H)+
【0135】
E. 3-(4-クロロフェニル)-4-(4-(2-ピロリジン-1-イルエトキシ)ベンジル)-7-ヒドロキシクロメン-2-オン塩酸塩
【化26】

【0136】
3-(4-クロロフェニル)-4-(4-(2-ブロモエトキシ)ベンジル)-7-ヒドロキシクロメン-2-オン(8.3g、17.2mmol)の200mLのTHF中の溶液を8mlのピロリジンにより処理し、反応混合物を5時間加熱還流した。反応混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィーを使用して粗生成物を精製した。生成物を250mLのアセトンに懸濁し、4mLの5M HCl(水溶液)を加えた。混合物を室温で一晩攪拌し、得られた固体を濾過によって回収した。固体を200mLの酢酸エチルに懸濁し、懸濁液を2時間加熱還流した。溶液を室温に冷却し、最終生成物を濾過により回収し、減圧下乾燥した。最終的な収率は4.96グラム(56%)であった:
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 10.62 (s, 1H), 10.42 (s, 1H), 7.47 (d, 2H, J=8.5 Hz), 7.43 (d, 1H, J=8.8 Hz), 7.34 (d, 2H, J=8.5 Hz), 7.09 (d, 2H, J=8.5 Hz), 6.87 (d, 2H, J=8.5 Hz), 6.77 (d, 1H, J=2.5 Hz), 6.71 (dd, 1H, J=2.5,8.8 Hz), 4.26 (t, 2H, 4.9 Hz), 3.96 (s, 2H), 3.59-3.51 (m, 4H), 3.15-3.02 (m, 2H), 2.03-1.88 (m, 4H)
MS (ESI) m/z 476 (M+H)+
【0137】
実施例6
3-(2,4-ジクロロフェニル)-4-(4-(2-ピロリジン-1-イルエトキシ)ベンジル)-7-ヒドロキシクロメン-2-オン
A. 1-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-2-(4-ヒドロキシフェニル)エタン-1-オン
【化27】

【0138】
上記化合物を上記実施例4Aに記載した方法を使用して調製した。
【0139】
B. 3-(2,4-ジクロロフェニル)-4-(4-ヒドロキシベンジル)-7-メトキシクロメン-2-オン
【化28】

【0140】
上記化合物を上記実施例4Bに記載した方法を使用して調製した。20グラムのケトン(77.5mmol)および31.6グラムの酸(155mmol)により27.52グラムの生成物(83%)を得た:
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 9.26 (s, 1H), 7.58 (d, 1H, J=8.8 Hz), 7.50 (dd, 1H, J=1.9, 8.2 Hz), 7.45 (d, 1H, J=8.2 Hz), 7.06 (d, 1H, J=2.2 Hz), 6.90 (d, 3H, J=8.2 Hz), 6.59 (d, 2H, J=8.2 Hz), 3.98 (d, 1H, J=15.4 Hz), 3.85 (s, 3H), 3.69 (d, 1H, J=15.4 Hz)
MS (ESI) m/z 428 (M+H)+
【0141】
C. 3-(2,4-ジクロロフェニル)-4-(4-(2-ピロリジン-1-イルエトキシ)ベンジル)-7-メトキシクロメン-2-オン
【化29】

【0142】
上記化合物を上記実施例4Cに記載した方法を使用して調製した(27.5グラム(64mmol)の3-(2,4-ジクロロフェニル)-4-(4-ヒドロキシベンジル)-7-メトキシクロメン-2-オンにより13.5グラムの生成物を得た(収率40%)):
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 7.75 (d, 1H, J=1.8 Hz), 7.57 (d, 1H, J=8.9 Hz), 7.51 (dd, 1H, J=1.8, 8.2 Hz), 7.47 (d, 1H, J=8.2 Hz), 7.07 (d, 1H, 2.5 Hz), 7.02 (d, 2H, J=8.7 Hz), 6.89 (dd, 1H, J= 2.5, 8.9 Hz), 6.78 (d, 2H, J=8.7 Hz), 4.04 (d, 1H, J= 15.4 Hz), 3.98 (t, 2H, J=5.8 Hz), 3.85 (s, 3H), 3.74 (d, 1H, J=15.4 Hz), 2.79 (t, 2H, J=5.8 Hz), 2.57-2.52 (m, 4H), 1.69-1.65 (m, 4H)
MS (ESI) m/z 525 (M+H)+
【0143】
D. 3-(2,4-ジクロロフェニル)-4-(4-(2-ピロリジン-1-イルエトキシ)ベンジル)-7-ヒドロキシクロメン-2-オン
【化30】

【0144】
上記化合物を上記実施例4Dに記載した方法を使用して調製した(4.5グラムの3-(2,4-ジクロロフェニル-4-(4-(2-ピロリジン-1-イルエトキシ)ベンジル)-7-メトキシクロメン-2-オン(8.5mmol)により3.2グラムの生成物を得た(収率73%)):
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.49 (d, 1H, J=1.9 Hz), 7.35 (d, 1H, J=8.5 Hz), 7.27 (s, 1H) 7.23 (dd, 1H, J=2.2, 8.2 Hz), 7.04 (d, 1H, J=8.2 Hz), 6.81 (d, 2H, J=8.5 Hz), 6.67 (s, 1H), 6.65 (dd, 1H, J=2.2, 8.5 Hz), 6.56 (d, 2H, J=8.5 Hz), 3.99 (d, 1H, J=15.6 Hz), 3.97 (t, 2H, J=5.8 Hz), 3.71 (d, 1H, J=15.6 Hz), 2.73 (t, 2H, J=6.0 Hz), 2.51-2.46 (m, 4H), 1.68-1.63 (m, 4H)
MS (ESI) m/z 511 (M+H)+
【0145】
実施例7
その他の代表的な化合物
下記表1に代表的なベンゾピラノン化合物を開示する。これらのベンゾピラノン化合物は本明細書に開示した方法を使用して得ることができる。
【表1】

【0146】
実施例8
IL-6放出の阻害
例示的なベンゾピラノン化合物を、ヒトER-αにより安定にトランスフェクトされたヒトU-2 OS骨肉腫細胞からのIL-6放出を阻害するその能力について試験した(Stein, B.; Yang, M.X. Mol. Cell. Biol. 15:4971-4979, 1995; Poli, V. et. al., EMBO J 13:1189-1196, 1994)。対照として、ER-αを検出可能なレベルで発現しない非トランスフェクトU-2 OS親細胞株からのIL-6放出を測定した。IC50<100nMのベンゾピラノン化合物は、特にin vivoにおける骨吸収阻害剤として有用である。したがって、例示的なベンゾピラノン化合物である本アッセイの化合物は、骨粗鬆症、ページェット病および転移性骨癌の治療に特に有用である。また、高いIL-6レベルがある種の癌、例えば多発性骨髄腫、前立腺癌、卵巣癌、腎臓癌および子宮頸癌の原因となることから、これらの化合物は抗癌剤としても有用である。
【0147】
ヒトU-2 OS骨肉腫細胞(ATCC)を、標準的な分子生物学技術を使用してヒト完全長ER-αの発現ベクターにより安定にトランスフェクトした。高レベルのER-α mRNAを発現する安定なサブクローンが生成した。ER-αの発現を、RNアーゼ保護分析を使用して確認した。U-2 OS親細胞は測定可能な量のER-αを発現しなかった。
【0148】
細胞を、チャコール精製ウシ胎仔血清を含むフェノールレッド非含有培地にウェルあたり細胞80,000個の密度で96ウェルプレートに平板化した。24時間後に、細胞をビヒクル(0.2%DMSO)または試験化合物(0.2%DMSO中0. 01〜1000nM)で処理した。30分後、2.5ng/mlのTNFαおよび1ng/mlのIL-1βにより細胞を刺激した。24時間後に、市販のELISAキットを使用し、製造業者のマニュアルに従い、サイトカイン産生(IL-6)について培地上清を分析した。ビヒクル(0.2%DMSO)の存在下のサイトカイン産生を100%とした。結果は、ビヒクルの存在下で生成されたIL-6の量に対してIL-6の生成を50%阻害するのに必要なベンゾピラノン化合物の濃度であるIC50(nM)値として表す(表2)。結果は、アッセイした例示ベンゾピラノン化合物はいずれも活性を示し、したがって例えば骨粗鬆症、ページェット病および転移性骨癌のような骨吸収疾患、および多発性骨髄腫、前立腺および卵巣癌のような癌の治療または予防に有用であることを示している。
【0149】
実施例9
MCF-7乳癌細胞増殖の阻害
本実施例は、MCF-7乳癌細胞の17β-エストラジオール依存性増殖をin vitroで阻害する例示ベンゾピラノン化合物の能力を示し、その活性を対照SERMのものと比較するものである。MCF-7細胞は、エストロゲン依存性乳癌増殖に対する化合物の効果を研究するための優れたin vitro系となる(May, F.E.B.; Westley, B.R. J. Biol. Chem. 262:15894-15899, 1987)。IC50<100nMのベンゾピラノン化合物は、特にin vivoにおける抗乳癌剤として有用である。
【0150】
MCF-7乳癌細胞を、1%の抗生物質、0.05%のメルカプトエタノール、0.01%のエタノールアミン、0.42ng/mLの亜セレン酸ナトリウムおよび5%のチャコール精製FCSを含むフェノールレッド非含有DMEM:F-12(1:1)培地に、ウェルあたり5 x 103細胞の密度で24ウェルプレートに平板化した。
【0151】
例示ベンゾピラノン化合物(0.2%DMSO中0.1〜1000nM)および0.1nM 17β-エストラジオールを、培養MCF-7乳癌細胞に72時間添加した。その後、3H標識チミジンを加え、4時間培養した後その細胞中への取り込みを測定した。結果は、対照に対してMCF-7乳癌細胞の増殖を50%阻害するのに必要なベンゾピラノン化合物の濃度であるIC50(nM)値として表す(表2)。結果は、アッセイした例示ベンゾピラノン化合物はいずれも活性を示し、したがって患者の乳癌の治療または予防に有用であることを示している。
【0152】
実施例10
BG-1卵巣癌細胞増殖の阻害
本アッセイは、BG-1卵巣癌細胞の17β-エストラジオール依存性増殖をin vitroで阻害する例示ベンゾピラノン化合物の能力を示し、その能力を対照SERMのものと比較するものである。BG-1細胞は、卵巣腫瘍増殖に対する抗エストロゲン化合物の効果を評価するための有用なin vitroモデルとなる(Greenberger, L.M. et. al., Clin. Cancer Res. 7:3166-3177, 2001)。IC50<100nMのベンゾピラノン化合物は、in vivoにおける抗卵巣癌剤として特に有用である。
【0153】
BG-1卵巣癌細胞を、1%の抗生物質、0.05%のメルカプトエタノール、0.01%のエタノールアミン、0.42ng/mLの亜セレン酸ナトリウムおよび5%のチャコール精製FCSを含むフェノールレッド非含有DMEM:F-12(1:1)培地に、ウェルあたり5 x 103細胞の密度で24ウェルプレートに平板化した。例示ベンゾピラノン化合物(0.2%DMSO中0.1〜1000nM)および0.1nM 17β-エストラジオールを培養BG-1卵巣癌細胞に添加し、72時間インキュベートした。その後、3H標識チミジンを加え、4時間インキュベートした後その細胞中への取り込みを測定した。結果は、対照に対してBG-1卵巣癌細胞の増殖を50%阻害するのに必要なベンゾピラノン化合物の濃度であるIC50(nM)値として表す(表2)。結果は、アッセイした例示ベンゾピラノン化合物はいずれも活性を示し、したがって患者の卵巣癌の治療または予防に有用であることを示している。
【表2】

【0154】
したがって、上記表2に示したように、実施例8〜10のin vitroでの結果は、本発明のベンゾピラノン化合物が骨吸収疾患および種々の癌の治療または予防に有用であることを示している。
【0155】
実施例11
ラット薬物動態学的(PK)分析
ラットPKカセット標準アッセイ
式(I)、(II)の例示化合物あるいはその薬学的に許容されるその塩、並びに内部標準ラロキシフェンを5mg/kg体重の投与量レベルで経口胃管注入により投与した。投与後15分〜24時間にわたって経時的に血液をサンプリングした。血液サンプルをアセトニトリル沈降により調製し、遠心分離し、上清を減圧遠心分離機で蒸発させた。乾燥残渣を1%のギ酸を含むメタノール/水(60:40(v/v))に溶解し、UPTISPHERETM C18逆相HPLCカラム(粒径3μm、カラムサイズ2x50mm)でHPLCにより分析した。溶離液Aは0.1%ギ酸を含む水中の10%のアセトニトリル(pH 2.1)であり、溶離液Bはを10%の水および0.1%のギ酸を含む90%のアセトニトリル(pH 2.1)である。カラムコンパートメント内50℃の一定温度で5〜100%のBの直線濃度勾配を7分間負荷し、その後3分間100%のBを維持した。流速は0.4ml/分で一定に保持した。サンプル注入量は10μLとした。HPLC系からの流れをAgilent 1100シリーズMS-検出器(単一四極質量分析器)のイオン源に直接導入し、大気圧エレクトロスプレーイオナイゼーション(ポジティブモード)にかけた。全ての化合物がプロトン化準分子イオン[M+H]+として検出された。構造的に密接に関連したSERMを分析内部標準として使用した。化合物の血液濃度の定量は、外部および内部標準のストック溶液を加えたブランクラット血液サンプルを使用した7レベル検量線(三回の測定)に基づいた。
【0156】
ラットPKカセットの確認
ラロキシフェン単独を、4匹の雌性ラットにそれぞれ3mg/kg経口投与した。血液サンプルを上記のように採取し分析した。この確認試験から得られる薬物動態学的データをカセット投薬実験において得られるラロキシフェンのデータと比較して潜在的な薬物動態学的相互作用をチェックした。生物学的な変動の典型的な範囲(個々のパラメーターについて最大約±50%)を上回っている偏差を、カセット中での化合物の間の薬物動態学的相互作用を強く示すものであると考え、それぞれのデータは廃棄した。
【0157】
本発明は、本発明のいくつかの形態の例示であることを意図する実施例中に記載した具体的な態様の範囲に限定されるものではなく、機能的に等価であるいかなる態様も本発明に包含されるものである。実際、本明細書に示し、記載したものの他、本発明を種々改変したものは当業者に明らかであり、それらは添付の請求の範囲に包含されるものである。
多くの参考文献を引用したが、それらのすべての開示はその全体を引用により本明細書の一部とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造
【化1】

(I)
を有する化合物または薬学的に許容されるその塩
[式中、
nは2、3または4であり、
R1は水素、C(=O)R2、C(=O)OR2、C(=O)NHR2、C(=O)NR2R3またはS(=O2)NR2R3であり、
R2およびR3は独立してC1-8アルキル、C6-12アリール、C7-12アリールアルキル、またはO、NR4およびS(O)qから選択される最高2個のヘテロ原子を含む5または6員のヘテロ環であり、上記の基のそれぞれは独立してR5から選択される1〜3の置換基により任意に置換されており、qは0、1または2であり、
R4は水素またはC1-4アルキルであり、
R5は水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-6アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アシルオキシ、C1-4チオ、C1-4アルキルスルフィニル、C1-4アルキルスルホニル、(ヒドロキシ)C1-4アルキル、C6-12アリール、C7-12アラルキル、COOH、CN、CONHOR6、SO2NHR6、NH2、C1-4アルキルアミノ、C1-4ジアルキルアミノ、NHSO2R6、NO2または5または6員のヘテロ環であり、R6のそれぞれは独立してC1-6アルキルであり、
Xは水素、ハロゲンまたはトリフルオロメチルであり、
Yはハロゲンまたはトリフルオロメチルである]。
【請求項2】
Yがトリフルオロメチルである請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Yがクロロである請求項1記載の化合物。
【請求項4】
Xがトリフルオロメチルである請求項1記載の化合物。
【請求項5】
Xがクロロである請求項1記載の化合物。
【請求項6】
Xが水素である請求項1記載の化合物。
【請求項7】
R1が水素である請求項1記載の化合物。
【請求項8】
R1がC(=O)R2、C(=O)OR2、C(=O)NHR2、C(=O)NR2R3またはS(=O2)NR2R3である請求項1記載の化合物。
【請求項9】
nが2である請求項1記載の化合物。
【請求項10】
nが3または4である請求項1記載の化合物。
【請求項11】
構造
【化2】

を有する請求項1記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項12】
構造
【化3】

を有する請求項1記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項13】
構造
【化4】

を有する請求項11記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項14】
構造
【化5】

を有する請求項11記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項15】
構造
【化6】

を有する請求項11記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項16】
構造
【化7】

を有する請求項12記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項17】
構造
【化8】

を有する請求項12記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項18】
構造
【化9】

を有する請求項12記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項19】
n = 2であり、
R1 =H、X = F、Y = CF3;
R1 =H、X = Br、Y = CF3;
R1 =H、X = I、Y = CF3;
R1 = C(=O)CH3、X = H、Y = CF3;
R1 = C(=O)CH3、X = Cl、Y = CF3;
R1 = C(=O)CH3、X = Br、Y = CF3;
R1 = C(=O)CH3、X = I、Y = CF3;
R1 = C(=O)CH3、X = CF3、Y = CF3;
R1 = C(=O)CH3、X = F、Y = CF3;
R1 = H、X = F、Y = Cl;
R1 = H、X = Br、Y = Cl;
R1 = H、X = I、Y = Cl;
R1 = C(=O)CH3、X =H、Y = Cl;
R1 = C(=O)CH3、X = Cl、Y = Cl;
R1 = C(=O)CH3、X = F、Y = Cl;
R1 = C(=O)CH3、X = Br、Y = Cl;
R1 = C(=O)CH3、X = I、Y = Cl;または
R1 = C(=O)CH3、X = CF3、Y = Cl
である請求項1記載の化合物または該化合物の薬学的に許容される塩。
【請求項20】
請求項1記載の化合物または該化合物の薬学的に許容される塩、および薬学的に許容されるキャリアまたはビヒクルを含む組成物。
【請求項21】
請求項1記載の化合物または該化合物の薬学的に許容される塩の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む該患者中のサイトカインを阻害する方法。
【請求項22】
サイトカインがIL-6である請求項21記載の方法。
【請求項23】
サイトカインがGM-CSFである請求項21記載の方法。
【請求項24】
請求項1記載の化合物または該化合物の薬学的に許容される塩の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む患者の骨吸収疾患を治療または予防する方法。
【請求項25】
骨吸収疾患が骨粗鬆症である請求項24記載の方法。
【請求項26】
骨吸収疾患が、転移性骨癌、整形外科インプラントを有する溶骨性病変、ページェット病、高カルシウム血症または副甲状腺機能亢進症に伴う骨損失である請求項24記載の方法。
【請求項27】
請求項1記載の化合物または該化合物の薬学的に許容される塩の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む患者の癌を治療または予防する方法。
【請求項28】
癌が乳癌、前立腺癌、大腸癌、子宮内膜癌、多発性骨髄腫、腎細胞癌または子宮頸癌である請求項27記載の方法。
【請求項29】
請求項1記載の化合物または該化合物の薬学的に許容される塩の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む患者の関節炎を治療または予防する方法。
【請求項30】
関節炎がリウマチ様関節炎である請求項29記載の方法。
【請求項31】
関節炎がアジュバント、コラーゲン、細菌または抗原起因性である請求項29記載の方法。
【請求項32】
ERを発現する細胞を請求項1記載の化合物または該化合物の薬学的に許容される塩の有効量と接触させることを含む該細胞の遺伝子発現を調整する方法。
【請求項33】
ERがER-αまたはER-βである請求項32記載の方法。
【請求項34】
細胞がER-αに対してER-βを優勢に発現する請求項32記載の方法。
【請求項35】
細胞が骨、膀胱、子宮、卵巣、前立腺、精巣、精巣上体、胃腸管、腎臓、乳房、眼、心臓、血管壁、免疫系、肺、脳下垂体、海馬または視床下部のものである請求項32記載の方法。
【請求項36】
ERを発現する組織を請求項1記載の化合物または該化合物の薬学的に許容される塩の有効量と接触させることを含む該組織中のERを調整する方法。
【請求項37】
ERがER-αまたはER-βである請求項36記載の方法。
【請求項38】
組織がER-αに対してER-βを優勢に発現する請求項36記載の方法。
【請求項39】
組織が骨、膀胱、子宮、卵巣、前立腺、精巣、精巣上体、胃腸管、腎臓、乳房、眼、心臓、血管壁、免疫系、肺、脳下垂体、海馬または視床下部のものである請求項36記載の方法。
【請求項40】
請求項1記載の化合物または該化合物の薬学的に許容される塩の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む患者のエストロゲン関連症状を治療または予防する方法。
【請求項41】
エストロゲン関連症状が乳癌、骨粗鬆症、子宮内膜症、心臓血管疾患、高コレステロール血症、前立腺肥大症、前立腺癌、肥満症、白内障、のぼせ、スキンエフェクト、気分変動、記憶喪失、前立腺癌、更年期症候群、II型糖尿病、アルツハイマー病、尿失禁、胃腸管症状、精子形成、外傷後の血管保護、子宮内膜症、学習および記憶、中枢神経系効果、血漿脂質レベル、アクネ、男性型多毛症、固形癌、多発性骨髄腫、リンパ腫、または環境的化学薬品に対する露出または天然のホルモン平衡異常に伴う生殖に対する有害な影響である請求項40記載の方法。
【請求項42】
構造
【化10】

(II)
を有する化合物または薬学的に許容されるその塩
[式中、
nは2、3または4であり、
Xは水素、ハロゲンまたはトリフルオロメチルであり、
Yはハロゲンまたはトリフルオロメチルである]を脱メチル化する工程を含む、
構造
【化11】

(I)
を有する化合物または薬学的に許容されるその塩
[式中、
nは2、3または4であり、
R1は水素であり、
Xは水素、ハロゲンまたはトリフルオロメチルであり、
Yはハロゲンまたはトリフルオロメチルである]を得る方法。
【請求項43】
骨細胞を請求項1記載の化合物または該化合物の薬学的に許容される塩の有効量と接触させることを含む骨細胞中のERの機能を活性化する方法。
【請求項44】
細胞が骨肉腫細胞である請求項43記載の方法。
【請求項45】
乳癌細胞、卵巣癌細胞、子宮内膜癌細胞、子宮癌細胞、前立腺癌細胞または視床下部癌細胞を請求項1記載の化合物または該化合物の薬学的に許容される塩の有効量と接触させることを含む前記細胞中のERの機能を阻害する方法。
【請求項46】
ERおよびIL-6を発現することができる細胞を請求項1記載の化合物または該化合物の薬学的に許容される塩の有効量と接触させることを含むIL-6の発現を阻害する方法。
【請求項47】
細胞が骨細胞である請求項46記載の方法。
【請求項48】
ERを発現することができる癌または腫瘍細胞を請求項1記載の化合物または該化合物の薬学的に許容される塩の有効量と接触させることを含む癌または腫瘍細胞の増殖を阻害する方法。
【請求項49】
請求項1記載の化合物または該化合物の薬学的に許容される塩の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む患者の血清レベルを低下させる方法。

【公表番号】特表2006−504629(P2006−504629A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−586143(P2003−586143)
【出願日】平成15年4月18日(2003.4.18)
【国際出願番号】PCT/US2003/012283
【国際公開番号】WO2003/089422
【国際公開日】平成15年10月30日(2003.10.30)
【出願人】(504135550)シグナル ファーマシューティカルズ,エルエルシー (21)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】