説明

ベンゾピラノン化合物、その組成物及びそれを用いた治療方法

以下の構造(I)(式中、R、R、X、Y及びnは本明細書中に定義の通りである)を有するベンゾピラノン化合物が開示される。ベンゾピラノン化合物は、有効量のベンゾピラノン化合物をその治療又は予防が必要な患者に投与することを含む、骨吸収疾患、新生物疾患、関節炎、エストロゲンの存在によって悪化する疾患、又はエストロゲンの存在により改善される疾患の治療又は予防;細胞を有効量のベンゾピラノン化合物と接触させることを含む、骨細胞におけるエストロゲン受容体(ER)の機能の活性化、癌細胞におけるERの機能の抑制、細胞におけるインターロイキン−6(IL−6)の発現の阻害、並びに新生物細胞の増殖の抑制に有効である。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2003年9月15日に出願された米国特許仮出願第60/503,295号の優先権を主張し、この全体を参照により本明細書に組み入れる。
【0002】
1.発明の分野
本発明は、ベンゾピラノン化合物、有効量の該ベンゾピラノン化合物を含む組成物、および有効量のベンゾピラノン化合物をそれが必要な患者に投与することを含む、骨吸収疾患、新生物疾患、関節炎、エストロゲンの存在によって悪化する疾患、又はエストロゲンの存在により改善される疾患の治療又は予防方法;細胞を有効量のベンゾピラノン化合物と接触させることを含む、骨細胞におけるエストロゲン受容体(ER)の機能を活性化する方法、癌細胞におけるERの機能を抑制する方法、細胞におけるインターロイキン−6(IL−6)の発現を阻害する方法、並びに新生物細胞の増殖を抑制する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
2.発明の背景
エストロゲンホルモンは、女性および男性の両者において広い範囲の組織に対する効果を有する。骨密度の維持、心血管の保護、中枢神経系(CNS)機能および老化作用からの臓器系の保護を含むこれらの生物学的効果の多くのものは正の効果であるが、その正の効果に加えて、エストロゲンは乳房および子宮内膜における癌の危険度を増加させる強力な増殖因子である。
【0004】
最近までエストロゲンは細胞の単一のエストロゲンレセプター(ER)に結合すると考えられていた。後述するように、第2のER(ER−β)がクローン化され(それとともに当初のERはER−αに名称を変更された)、そしてER反応を調節する補助因子が発見された際に上記の単純な見方は大幅に変更された。リガンドは、組織特異的な補助活性化因子および/または補助抑制因子が存在する場合に遺伝子の制御領域におけるエストロゲン反応エレメントまたは他の転写因子に結合する2つの異なるERに結合できる。ER−αおよびER−βならびにその補助因子の組織特異的な発現とともにERシグナル伝達の複雑さを考慮し、現在ではERリガンドは組織特異的な形態でエストロゲンの正の効果を模倣するエストロゲンアゴニストおよびアンタゴニストとして作用でき、あるいはエストロゲンの負の効果をブロックするものと認識されている。これは、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(Selective Estrogen Receptor Modulators(SERM))と称される完全に新規な種類の医薬の発見をもたらした。これらの医薬は、癌および骨粗鬆症ならびに心臓血管疾患およびアルツハイマー病のような神経変性疾患の治療と予防に対して有意な可能性を有している。
【0005】
骨吸収疾患、例えば骨粗鬆症は、広い個体群が罹患している衰弱症状であり、これに対しては限定的な治療があるのみである。例えば、米国における50歳以上では女性の約50%および男性の約10%が骨粗鬆症に罹患している。骨粗鬆症を有する個体においては、骨質量の損失の増加により骨が脆弱となり、その結果骨折のリスクが増加する。その他の骨吸収疾患、例えばページェット病および転移性骨癌も同様な徴候を示す。
【0006】
骨は、いくつかの異なる種類の細胞を含む生体組織である。健常個体においては、骨芽細胞によって製造される骨の量が、破骨細胞によって除去あるいは吸収される骨の量と釣り合っている。骨吸収疾患に罹患している個体においては、これらの2種の細胞種の機能に平衡異常が存在する。おそらく、この種の平衡異常で最もよく知られた例は、閉経婦人が経験する骨吸収の急速な増加である。このような促進された骨喪失は、閉経期に伴うエストロゲン欠損によるものである。しかしながら、エストロゲンの損失が増加する骨吸収を結果として生じるメカニズムは、長く議論されてきた。
【0007】
最近、研究者により、例えばインターロイキン−1(IL−1)および腫瘍壊死因子(TNF)のような骨吸収サイトカインの増加が閉経期後の骨損失の原因となり得ること(Kimble et al., J. Biol. Chem. 271:28890-28897, 1996)、およびこれらのサイトカインの阻害剤が、齧歯動物において卵巣摘出術後の骨損失を部分的に減少させ得ること(Pacifici, J.. Bone Miner Res. 11:1043-1051, 1996)が示唆されている。さらに、エストロゲンの中断は、ネズミの骨髄および骨細胞によるIL−6分泌の増加をもらたすこと(Girasole et al., J Clin. Invest. 89:883-891, 1992; Jilka et al., Science 257:88-91, 1992; Kimble et al., Endocrinology 136:3054-3061, 1995; Passseri et al., Endocrinology 133:822-828, 1993)、IL−6に対する抗体はエストロゲンが枯渇したマウスにおいて起こる破骨細胞前駆体の増加を抑制でき(Girasole et al、前掲)、IL−6を欠いているトランスジェニックマウスにおいては卵巣摘出術後の骨損失が起こらないこと(Poli et al., EMBO J 13:1189-1196, 1994)が報告されている。
【0008】
骨損失を緩慢化するための現在の治療は一般にエストロゲン、ビスホスホネート類、カルシトニンおよびラロキシフェンのような化合物の投与を使用するものである。しかしこれらの化合物は一般に長期治療に使用され、望ましくない副作用を有する。さらにこの種の治療は、破骨細胞の形成を減少させるものではなく、典型的には成熟した破骨細胞の活性に向けられているものである。例えば、エストロゲンは破骨細胞のアポトーシスを誘発するものであり、カルシトニンは破骨細胞を縮小させ、骨の表面から離脱させるものである(Hughes et al., Nat. Med. 2:1132-1136, 1996; Jilka et al., Exp. Hematol. 23:500-506, 1995)。同様に、ビスホスホネート類は破骨細胞活性を減少させ、それらの形態を変化させ、破骨細胞のアポトーシスを増加させる(Parfitt et al., J. Bone Miner Res. 11:150-159, 1996; Suzuki et al., Endocrinology 137:4685-4690, 1996)。
【0009】
サイトカインも、種々の癌において重要な役割を果たしていると考えられている。例えば前立腺癌に関しては、研究者は、IL−6がオートクリン/パラクリン増殖因子であって(Seigall et al., Cancer Res. 50:7786, 1999)、腫瘍の生存を促進し(Okamoto et al., Cancer Res. 57:141-146, 1997)、IL−6抗体の中和は細胞増殖を減少させる(Okamoto et al., Endocrinology 138:5071-5073, 1997; Borsellino et al., Proc. Annu. Meet. Am. Assoc. Cancer Res. 37:A2801, 1996)ことを示している。IL−6について、多発性骨髄腫(Martinez-Maza et al., Res. Immunol. 143:764-769, 1992; Kawano et al., Blood 73:517-526, 1989; Zhang et al., Blood 74:11-13, 1989; Garrett et al., Bone 20:515-520, 1997; Klein et al., Blood 78:1198-12-4, 1991)、腎細胞癌(Koo et al., Cancer Immunol. 35:97-105, 1992; Tsukamoto et al., J. Urol. 148:1778-1782, 1992; Weissglas et al., Endocrinology 138:1879-1885, 1997)、および子宮頸癌(Estuce et al., Gynecol. Oncol., 50:15-19, 1993; Tartour et al., Cancer Res., 54:6243-6248, 1994; Iglesias et al., Am. J. Pathology 146:944-952, 1995)に関して同様な結果が報告されている。
【0010】
さらに、IL−6は関節炎、特にアジュバント、コラーゲンおよび抗原誘発関節炎に関係しているとも考えられており(Alonzi et al., J. Exp. Med. 187:146-148, 1998; Ohshima et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:8222-8226, 1998; Leisten et al., Clin. Immunol. Immunopathol. 56:108-115, 1990)、また抗IL−6抗体は関節炎治療について報告されている(Wendling et al., J Rheumatol. 20:259-262, 1993)。さらに、エストロゲンがマウスにおける実験的自己免疫脳脊髄炎およびコラーゲン起因性関節炎の抑制を誘発することが示されている(Jansson et al., Neuroimmunol. 53:203-207, 1994)。
【0011】
また、サイトカインIL−6は破骨細胞の形成を誘発する際の重要な因子であることも示されている(Girasole et al.、前掲; Jilka et al. (1992)、前掲; Jilka et al. (1995)、前掲; Kimble et al. (1995)、前掲; Pacifici et al.、前掲; Passeri et al.、前掲)。他の研究者により、中和抗体、アンチセンスオリゴまたはIL−6に対するSant5アンタゴニストの投与が卵巣摘出マウスの柱骨の破骨細胞の数(Devlin et al., J. Bone Miner 13:393-399, 1998 ; Girasole et al.、前掲; Jilka et al. (1992)、前掲; Schiller et al., Endocrinology 138:4567-4571, 1997)、象牙質を吸収するヒト巨細胞の能力(Ohsaki et al., Endocrinology 131:2229- 2234, 1993 ; Reddy et al., J. Bone Min. Res. 9:753-757, 1994)、および正常ヒト骨髄培養物における破骨細胞の形成を減少させることが明らかにされている。エストロゲンがエストロゲンレセプターおよび転写因子NF−κKおよびC/EBPβ間の相互作用によりIL−6プロモーター活性をダウンレギュレートすることも見出されている(Stein et al., Mol. Cell Biol. 15:4971-4979, 1995)。
【0012】
顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)は、破骨前駆細胞の増殖において役割を果たすことが提案されている。ヒトまたはマウス骨髄細胞または末梢血細胞の長期培養において、GM−CSFは破骨細胞の形成を促進する(Kurihara et al., Blood 74:1295-1302, 1989 ; Lorenzo et al., J. Clin. Invest. 80:160-164, 1987; MacDonald et al., J. Bone Miner 1:227-233, 1986; Shinar et al, Endocrinology 126:1728-1735, 1990)。閉経女性またはエストロゲン療法を中断した女性から単離された骨髄細胞は、閉経前の女性からの細胞より高いレベルのGM−CSFを発現した(Bismar et al., J Clin. Endocrinol. Metab. 80:3351-3355, 1995)。GM−CSFの発現が、整形外科インプラントが腐食している患者の骨吸収破骨細胞の組織分布と関係していることも示されている(Al-Saffar et al., Anatomic Pathology 105:628-693, 1996)。
【0013】
上記したように、以前はエストロゲンが細胞の単一のERに結合し、熱ショックタンパク質からの放出および種々の遺伝子のプロモーター領域のいわゆるエストロゲン反応性エレメントに二量体としてのレセプターの結合を生じる立体配置変化を引き起こすと考えられていた。さらに、薬理学者は、非ステロイド小分子リガンドがエストロゲンのERへの結合に競合し、エストロゲンレセプターが発現される各組織においてアンタゴニストまたはアゴニストとして作用すると一般的に考えていた。従って、この種のリガンドは旧来純粋なアンタゴニストまたはアゴニストとして分類されていた。これは、もはや正しいとは考えられていない。
【0014】
むしろ現在では、エストロゲンが遺伝子発現を介して細胞薬理学を調節し、エストロゲン効果はエストロゲンレセプターにより媒介されることが知られている。上記したように、現在2種のエストロゲンレセプター、ER−αおよびER−βがある。エストロゲンレセプターの遺伝子調節に対する効果は、ERのエストロゲン反応性エレメント(ERE)への直接の結合(古典的経路、Jeltsch et al., Nucleic Acids Res. 15:1401-1414, 1987; Bodine et al., Endocrinology 139:2048-2057, 1998)、例えばNF−κB、C/EBP−βまたはAP−1のようなその他の転写因子へのERの結合(非古典的経路、Stein et al., Mol. Cell Biol. 15:4971-4979, 1995; Paech et al., Science 277:1508-1510, 1997; Duan et al., Endocrinology 139:1981-1990, 1998)、および潜在的に原形質膜ERを含む核外エストロゲンレセプターシグナリングを介した非ゲノム効果(Nadal, A. et al., Trends in Pharmacological Sciences 22:597-599, 2001; Wyckoff, M.H. et al., J. Biol. Clam. 276:27071-27076, 2001; Chung, Y-L. et al., Int. J. of Cancer 97:306-312, 2002; Kelly, M. J. et al., Trends Endocrinol. Metab. 10:369-374, 1999; Levin, E.R. et al., Trends Endocrinol. Metab. 10:374-377, 1999)により媒介され得る。
【0015】
過去数年における進歩により、ERは補助活性化因子(例えばSRC−I、CBP、SRA)および補助抑制因子(例えばSMRT、N−CoR)と結合し、これらも組織特異的かつリガンド特異的な形態でERの転写活性を調節することが示された。そのような場合、ERはこれらの遺伝子の制御に必須の転写因子と相互作用する。ERによってその活性が調節されることが知られる転写因子としては、例えばAP−1、NF−κB、C/EBPおよびSp−1が挙げられる。さらに、エストロゲンレセプター関連レセプターα、β、γ(ERR−α、ERR−β、ERR−γ)のような希少核レセプターが同定されている。エストラジオールはERRのリガンドであるようには見えないが、いくつかのSERMおよび他の従来のER−リガンドが高親和性をもってこれらのレセプターに結合することが示されている(Coward, P. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 98:8880-8884, 2001; Lu, D. et al., Cancer Res. 61:6755-6761, 2001; Tremablay, G.B. et al., Endocrinology 142:4572-4575, 2001 ; Chen, S. et al., J. Biol. Chem. 276:28465-28470, 2001)。
【0016】
さらに、ER−αおよびER−βは両者とも、RT−PCRまたはin situハイブリダイゼーションにより広く分析されるように、十分なER−β抗体の欠如のために重複した異なる組織分布を有する。しかしながら、これらの結果のいくつかは論争の的となっており、これはERを測定するのに使用された方法、分析された種(ラット、マウス、ヒト)および/または単離された一次細胞の分化状態に起因するものであり得る。組織は頻繁にER−αおよびER−βの両者を発現するが、前記レセプターは異なる細胞種に局在する。さらに、いくつかの組織(例えば腎臓)はER−αのみを含むが、その一方で他の組織(例えば子宮、脳下垂体、副睾丸)は高いER−αの優勢を示す(Couse et al., Endocrinology 138, 4613-4621, 1997; Kuiper et al., Endocrinology 138, 863-870, 1997)。これに対し、高レベルのER−βを発現している組織としては、前立腺、精巣、卵巣および脳の特定の領域が挙げられる(Brandenberger et al., J. Clin. Endocrinol. Metab. 83, 1025-8, 1998; Enmark et al., J. Clinic. Endocrinol. Metabol. 82, 4258-4265, 1997; Laflamme et al., J. Neurobiol. 36, 357-78, 1998; Sar and Welsch, Endocrinology 140, 963-71, 1999; Shughrue et al., Endocrinology 138, 5649-52, 1997a; Shughrue et al., J Comp. Neurol. 388, 507-25, 1997b)。
【0017】
さらにER−α(Korach, Science 266, 1524-1527, 1994)およびER−β(Krege et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95, 15677-82, 1998)ノックアウトマウスの開発により、ER−βは異なる組織において異なる機能を有することが示されている。例えば、ER−αノックアウトマウス(雄および雌)は不妊性であり、雌は性的受容性を示さず、雄は典型的な雄性攻撃挙動を示さない(Cooke et al., Biol. Reprod 59, 470-5, 1998; Das et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94, 12786-12791, 1997; Korach, 1994; Ogawa et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94, 1476-81, 1997; Rissman et al., Endocrinology 138, 507-10, 1997a; Rissman et al., Horm. Behav. 31, 232-243, 1997b)。さらに、これらの動物の脳は、依然として野生型動物のものと同様のパターンでエストロゲンに反応し(Shughrue et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94, 11008-12, 1997c)、エストロゲンは依然として物理的損傷によって生じる血管障害を阻害する(Iafrati et al., Nature Med. 3,545-8, 1997)。これに対し、ER−βを欠いているマウスは正常に発生し、妊性であり、正常な性行動を示すが、野生型マウスと比較してより少数でより小さい同腹子を有し(Krege et al., 1998)、正常な乳房発達を示し、正常に泌乳する。生殖能力の低減は卵巣効率の低減の結果であると考えられており、ER−βは卵巣におけるERの優勢な形態であり、成熟濾胞の顆粒膜細胞に局在する。
【0018】
要約すると、エストロゲンアンタゴニストまたはアゴニストとなる化合物は、脳、骨、心臓血管系、皮膚、毛嚢、免疫系、膀胱および前立腺に関連した症状を含む多種多様なエストロゲン関連症状の治療においてそれらの有意な医薬的有用性が長く認識されている(Barkhem et al., Mol. Pharmacol. 54, 105-12, 1998; Farhat et al., FASEB J. 10, 615-624, 1996; Gustafsson, Chem. Biol. 2, 508-11, 1998; Sun et al., 1999; Tremblay et al., Endocrinology 139, 111-118, 1998; Turner et al., Endocrinology 139, 3712-20, 1998)。さらに、種々の乳癌および非乳癌細胞がERを発現すると記載されており、特異的なエストロゲンアンタゴニストの標的組織となる(Brandenberger et al., 1998; Clinton and Hua, Crit. Rev. Oncol. Hematol. 25, 1-9, 1997; Hata et al., Oncology 55 Suppl 1, 35-44, 1998; Rohlff et al., Prostate 37, 51-9, 1998; Simpson et al., J Steroid Biochem. Mol. Biol. 64, 137-45, 1998; Yamashita et al., Oncology 55 Suppl. 1, 17-22, 1998)。
【0019】
近年、ERと相互反応する多くのステロイドおよび非ステロイド両方の化合物が開発されている。例えば、タモキシフェンは当初抗エストロゲン剤として開発され、乳癌治療に使用されていたが、より最近になって子宮、骨および心臓血管系の部分的なエストロゲンアゴニストとして作用することが判明した。ラロキシフェンはSERMとして提案された他の化合物であって、骨粗鬆症の治療に承認されている。
【化1】

【0020】
ラロキシフェンのアナログも報告されている(Grese et al., J. Med. Chem. 40:146-167, 1997)。
【0021】
クマリンをベースとする化合物に関しては多くの構造が提案されており、米国特許第6,291,456号、同第6,331,562号及び同第6,593,322号、Roa et al., Synthesis 887-888, 1981; Buu-Hoi et al., J. Org. Chem. 19:1548-1552, 1954; Gupta et al., Indian J. Exp. Biol. 23:638-640, 1985; PCT国際公開WO96/31206号; Verma et al., Indian J. Chem. 32B:239-243, 1993; Lednicer et al., J. Med. Chem. 8:725-726, 1965; Micheli et al., Steroids 5:321-335, 1962; Brandt et al., Int. J. Quantum Chemistry: Quantum Biol. Symposia 13:155-165, 1986; Wani et al., J. Med. Chem. 18:982-985, 1975; Pollard et al., Steroids 11:897-907, 1968が挙げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
したがって、骨吸収疾患、新生物疾患、関節炎、エストロゲンの存在によって悪化する疾患、又はエストロゲンの存在により改善される疾患の治療又は予防;骨細胞におけるERの機能の活性化、癌細胞におけるERの機能の抑制、細胞におけるL−6の発現の阻害、並びに新生物細胞の増殖の抑制に有用な改良化合物が当分野において求められている。
【0023】
本願明細書の背景技術の項における文献の引用または特定はいずれもその文献が本願の従来技術であると認めたものと解釈してはならない。
【課題を解決するための手段】
【0024】
3.発明の概要
本発明は、下記式(I):
【化2】

【0025】
〔式中、
X及びYは、独立して水素、ハロゲン、又は(ハロ)(C1−6アルキル)であり、
nは1、2又は3であり、
以下(a)、(b)又は(c):
(a)Rが水素であり、Rがハロゲン、ヒドロキシ、−(C1−6アルキル)、ビニル、−(C2−6アルキニル)、−C(O)O(C1−6アルキル)、−(ヒドロキシ)(C1−6アルキル)、−(アミノ)(C1−6アルキル)、−(CH−O−(C1−6アルキル)、−C(O)(C1−6アルキル)、−(CH−フェニル、−(3〜7員の単環式複素環)、−COOH、−C(O)H、又は−CNである、
(b)Rが水素であり、Rがハロゲン、ヒドロキシ、−(C1−6アルキル)、−(C2−6アルケニル)、−(C2−6アルキニル)、−C(O)O(C1−6アルキル)、−(ヒドロキシ)(C1−6アルキル)、−(アミノ)(C1−6アルキル)、−(CH−O−(C1−6アルキル)、−C(O)(C1−6アルキル)、−(CH−フェニル、−(3〜7員の単環式複素環)、−COOH、−C(O)H、又は−CNである、
(c)R及びRが−CHである
のいずれかである〕
を有する化合物及びその薬学的に許容される塩に関する。
【0026】
式(I)の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩(それぞれ「ベンゾピラノン化合物」である)は、骨吸収疾患、新生物疾患、関節炎、エストロゲンの存在によって悪化する疾患、又はエストロゲンの存在により改善される疾患の治療又は予防、骨細胞におけるERの機能の活性化、癌細胞におけるERの機能の抑制、細胞におけるIL−6の発現の阻害、並びに新生物細胞の増殖の抑制に有用である。
【0027】
本発明はまた、有効量のベンゾピラノン化合物及び薬学的に許容される担体又はビヒクルを含む組成物に関する。該組成物は、骨吸収疾患、新生物疾患、関節炎、エストロゲンの存在によって悪化する疾患、又はエストロゲンの存在により改善される疾患の治療又は予防、骨細胞におけるERの機能の活性化、癌細胞におけるERの機能の抑制、細胞におけるIL−6の発現の阻害、並びに新生物細胞の増殖の抑制に有用である。
【0028】
本発明はまた、ベンゾピラノン化合物の製造方法であって、
式(II):
【化3】

【0029】
〔式中、R、R、X、Y及びnはベンゾピラノン化合物について上に定義したとおりである〕
の化合物又はその薬学的に許容される塩を脱メチル化するステップを含む。
【0030】
本発明はさらに、骨吸収疾患の治療又は予防方法であって、有効量のベンゾピラノン化合物を該治療又は予防が必要な患者に投与することを含む方法に関する。
【0031】
さらに本発明は、新生物疾患の治療又は予防方法であって、有効量のベンゾピラノン化合物を該治療又は予防が必要な患者に投与することを含む方法に関する。
【0032】
本発明はさらに、関節炎の治療又は予防方法であって、有効量のベンゾピラノン化合物を該治療又は予防が必要な患者に投与することを含む方法に関する。
【0033】
さらに本発明は、エストロゲンの存在によって悪化する疾患の治療又は予防方法であって、有効量のベンゾピラノン化合物を該治療又は予防が必要な患者に投与することを含む方法に関する。
【0034】
本発明はさらにまた、エストロゲンの存在により改善される疾患の治療又は予防方法であって、有効量のベンゾピラノン化合物を該治療又は予防が必要な患者に投与することを含む方法に関する。
【0035】
本発明はさらに、骨細胞におけるERの機能を活性化する方法であって、骨細胞と有効量のベンゾピラノン化合物とを接触させることを含む方法に関する。
【0036】
さらに本発明は、癌細胞におけるERの機能を抑制する方法であって、該細胞と有効量のベンゾピラノン化合物とを接触させることを含む方法に関する。
【0037】
本発明はさらに、細胞におけるIL−6の発現を阻害する方法であって、ER及びIL−6を発現可能な細胞と有効量のベンゾピラノン化合物とを接触させることを含む方法に関する。
【0038】
さらに本発明は、新生物細胞の増殖を抑制する方法であって、ERを発現可能な新生物細胞と有効量のベンゾピラノン化合物とを接触させることを含む方法に関する。
【0039】
本発明はさらに、子宮内膜症、心血管疾患、高コレステロール血症、前立腺肥大、前立腺癌、肥満、のぼせ、表皮効果、気分変動、記憶喪失、更年期障害、脱毛(脱毛症)、II型糖尿病、アルツハイマー病、尿失禁、胃腸管症状、損傷後の血管保護、中枢神経作用、座瘡、白内障、多毛症、多発性骨髄腫、又はリンパ腫の治療又は予防方法であって、請求項1に記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩の有効量を該治療又は予防が必要な患者に投与することを含む方法に関する。
【0040】
さらに本発明は、精子形成、又は環境化学物質への暴露若しくは天然のホルモン失調に関連する有害な生殖毒性を防止する方法であって、有効量のベンゾピラノン化合物を該防止が必要な患者に投与することを含む方法に関する。
【0041】
本発明は、詳細な説明及び実施例を参照してより完全に理解されうるが、これらは本発明の非限定的な実施形態を例示することを意図したものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
4.発明の詳細な説明
4.1 定義
「−(C1−6アルキル)」基とは、1〜6個の炭素原子を有する、直鎖または分枝鎖の非環状飽和炭化水素である。代表的な−(C1−6アルキル)としては、−メチル、−エチル、−n−プロピル、−n−ブチル、−n−ペンチル、及び−n−ヘキシルであり、飽和分枝鎖アルキルとしては、−イソプロピル、−sec−ブチル、−イソブチル、−tert−ブチル、−イソペンチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、2,3−ジメチルブチルなどが挙げられる。
【0043】
「−(C2−6アルケニル)」基とは、2〜6個の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する、直鎖または分枝鎖の非環状炭化水素である。代表的な−(C2−6アルケニル)としては、−ビニル、−アリル、−1−ブテニル、−2−ブテニル、−イソブチレニル、−1−ペンテニル、−2−ペンテニル、−3−メチル−1−ブテニル、−2−メチル−2−ブテニル、−2,3−ジメチル−2−ブテニル、−1−ヘキセニル、−2−ヘキセニル、−3−ヘキセニルなどが挙げられる。アルケニル基の二重結合は、別の不飽和基と共役してもよいし又は共役しなくてもよい。
【0044】
「ビニル」基は−CH=CHである。
【0045】
「−(C2−6アルキニル)」基とは、2〜6個の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する、直鎖または分枝鎖の非環状炭化水素である。代表的な−(C2−6アルキニル)としては、−アセチレニル、−プロピニル、−1−ブチニル、−2−ブチニル、−1−ペンチニル、−2−ペンチニル、−3−メチル−1−ブチニル、−4−ペンチニル、−1−ヘキシニル、−2−ヘキシニル、−5−ヘキシニルなどが挙げられる。アルキニル基の三重結合は、別の不飽和基と共役してもよいし又は共役しなくてもよい。
【0046】
「−C(O)O(C1−6アルキル)」基(ここで、−(C1−6アルキル)は上に定義の通り)の例としては、限定されるものではないが、−C(O)OCH、−C(O)OCHCH、−C(O)O(CHCH、−C(O)OCH(CH)CHなどが挙げられる。
【0047】
「−(CH−O−(C1−6アルキル)」基(ここで、−(C1−6アルキル)及びmは上に定義の通り)の例としては、限定されるものではないが、−O−CH、−CH−O−CH、−CH−O−CHCH、−CH−O−(CHCH、−(CH−O−CH、−(CH−O−CHCHなどが挙げられる。
【0048】
「−C(O)(C1−6アルキル)」基(ここで、−(C1−6アルキル)は上に定義の通り)の例としては、限定されるものではないが、−C(O)CH、−C(O)−CHCH、−C(O)−(CHCH、−C(O)−(CHCH、−C(O)−(CHCH、−C(O)−(CHCHなどが挙げられる。
【0049】
「−(CH−フェニル」基(ここで、mは上に定義の通り)の例としては、限定されるものではないが、−フェニル、−CH−フェニル、−(CH−フェニル、−(CH−フェニル、−(CH−フェニル、−(CH−フェニルなどが挙げられる。
【0050】
「3員〜7員の単環式複素環」とは、O、N又はSから選択される少なくとも1個の原子を有する単環式基であり、2〜6個の炭素原子を有し、飽和、不飽和又は芳香族であってよく、例えば限定されるものではないが、ピロリジニル、ピロリル、ピラゾリル、オキセタニル、ピラゾリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソキサゾリニル、イソキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、フリル、テトラヒドロフリル、チエニル、オキサジアゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、2−オキサゼピニル、アゼピニル、4−ピペリドニル、ピリジル、N−オキソ−ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロチオピラニルスルホン、モルホリニル、チオモルホリニル、チオモルホリニルスルホキシド、チオモルホリニルスルホン、1,3−ジオキソラン及びテトラヒドロ−1,1−ジオキソチエニル、ジオキサニル、イソチアゾリジニル、チエタニル、チイラニル、トリアジニル及びトリアゾリルが挙げられる。
【0051】
「−(アミノ)(C1−6アルキル)」基とは、1又は2個のアミノ基で置換された、上に定義されたC1−6アルキル基である。その例としては、限定されるものではないが、−CH−NH、−CHCHNH、−(CHNH、−(CHNH、−(CHNH、−CH−(NH)(CHCH、−CH−(NH)(CH、−CH−(NH)(CHCH、−C−(NH)((CHCHなどが挙げられる。
【0052】
「−(ヒドロキシ)(C1−6アルキル)」基とは、1又は2個のヒドロキシ基で置換された、上に定義されたC1−6アルキル基である。その例としては、限定されるものではないが、−CHOH、−(CHOH、−(CHOH、−(CHOH、−(CHOH、−CH(OH)CH、−CH(OH)CHCH、−CHCH(OH)CHなどが挙げられる。
【0053】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。
【0054】
「−(ハロ)(C1−6アルキル)」基とは、1又はそれ以上のハロゲンで置換された、上に定義されたC1−6アルキル基である。その例としては、限定されるものではないが、−CF、−CHF、−CHF、−CCl、−CHCl、−CBr、−CHBr、−CHCF、−CHCHF、−CHCHFなどが挙げられる。
【0055】
ベンゾピラノン化合物は、キラル中心を有し得、ラセミ体、個々のエナンチオマーまたはジアステレオマー、及びそれらの混合物として存在し得る。これらの異性体の形態は、その混合物を含め、いずれも本発明の範囲内に包含される。さらに、ベンゾピラノン化合物のいくつかは多形として存在し得、それらは本発明に包含される。さらに、ベンゾピラノン化合物のいくつかは、水またはその他の有機溶媒と溶媒和物を形成することもできる。これらの溶媒和物は同様に本発明の範囲内に含まれる。
【0056】
エストロゲン「アゴニスト」は、1以上の細胞又は組織においてERに結合し、ERの機能を活性化する化合物であり、エストロゲン「アンタゴニスト」は1以上の細胞又は組織においてERに結合し、ERの機能を阻害する。ERは、ER−α、ER−β、それらのアイソフォーム又は変異体、及びERに対し少なくとも95%の相同性を有するタンパク質のいずれをも含む。
【0057】
用語「有効量」とは、ベンゾピラノン化合物に関する場合、骨吸収疾患、新生物疾患、関節炎、エストロゲンの存在によって悪化する疾患、若しくはエストロゲンの存在により改善される疾患の治療、骨細胞におけるERの機能の活性化、癌細胞におけるERの機能の抑制、細胞におけるIL−6の発現の阻害、又は新生物細胞の増殖の抑制が可能な量を意味する。
【0058】
用語「有効量」とは、他の治療薬に関する場合、ベンゾピラノン化合物がその治療又は予防効果を発揮していると同時に、骨吸収疾患、新生物疾患、関節炎、エストロゲンの存在によって悪化する疾患、若しくはエストロゲンの存在により改善される疾患の治療又は予防、骨細胞におけるERの機能の活性化、癌細胞におけるERの機能の抑制、細胞におけるIL−6の発現の阻害、又は新生物細胞の増殖の抑制が可能な量を意味する。
【0059】
「患者」とは動物であり、限定するものではないが、ウシ、サル、ウマ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギおよびモルモットのような動物が含まれ、一実施形態においては哺乳動物であり、別の実施携帯においてはヒトである。
【0060】
4.2 ベンゾピラノン化合物
本発明は、下記式(I):
【化4】

【0061】
〔式中、R、R、X、Y及びnは上に定義した通りである〕
を有するベンゾピラノン化合物に関する。
【0062】
一実施形態において、ベンゾピラノン化合物はRが水素のものである。
【0063】
別の実施形態において、ベンゾピラノン化合物はRが水素のものである。
【0064】
別の実施形態において、ベンゾピラノン化合物はR及びRの両方が−CHのものである。
【0065】
別の実施形態において、ベンゾピラノン化合物は、R及びRの一方が−C(O)−(C1−6アルキル)であり、他方が水素のものである。
【0066】
別の実施形態において、ベンゾピラノン化合物は、R及びRの一方が−C(O)Hであり、他方が水素のものである。
【0067】
別の実施形態において、ベンゾピラノン化合物は、R及びRの一方がメチルであり、他方が水素のものである。
【0068】
別の実施形態において、ベンゾピラノン化合物は、Rがメチルであり、Rが水素のものである。
【0069】
別の実施形態において、ベンゾピラノン化合物は、Rがメチルであり、Rが水素のものである。
【0070】
別の実施形態において、ベンゾピラノン化合物は、R及びRの一方がCNであり、他方が水素のものである。
【0071】
別の実施形態において、ベンゾピラノン化合物は、R及びRの一方が−(ヒドロキシ)(C1−6アルキル)であり、他方が水素のものである。
【0072】
別の実施形態において、ベンゾピラノン化合物は、R及びRの一方がハロゲンであり、他方が水素のものである。
【0073】
別の実施形態において、ベンゾピラノン化合物は、Rが−(C2−6アルケニル)であり、Rが水素のものである。
【0074】
別の実施形態において、ベンゾピラノン化合物は、Rがビニルであり、Rが水素のものである。
【0075】
別の実施形態において、ベンゾピラノン化合物は、X及びYの両方がハロゲンのものである。
【0076】
別の実施形態において、ベンゾピラノン化合物は、X及びYの両方がクロロのものである。
【0077】
別の実施形態において、ベンゾピラノン化合物は、X及びYの両方がトリフルオロメチルのものである。
【0078】
別の実施形態において、ベンゾピラノン化合物は、Xが水素であり、Yがトリフルオロメチルのものである。
【0079】
別の実施形態において、ベンゾピラノン化合物は、Xがトリフルオロメチルであり、Yがクロロのものである。
【0080】
別の実施形態において、ベンゾピラノン化合物は、Xがクロロであり、Yがトリフルオロメチルのものである。
【0081】
別の実施形態において、ベンゾピラノン化合物は、Xが水素であり、Yがハロゲンのものである。
【0082】
別の実施形態において、ベンゾピラノン化合物は、R及びRの一方が−C(O)−(C1−6アルキル)であり、他方が水素であり、X及びYの両方がハロゲン(クロロなど)のものである。
【0083】
別の実施形態において、ベンゾピラノン化合物は、R及びRの一方がメチルであり、他方が水素であり、X及びYの両方がハロゲン(クロロなど)のものである。
【0084】
別の実施形態において、ベンゾピラノン化合物は、R及びRの一方がメチルであり、他方が水素であり、X及びYの一方がトリフルオロメチルであり、他方が水素のものである。
【0085】
別の実施形態において、ベンゾピラノン化合物は、R及びRの一方が−C(O)−(C1−6アルキル)であり、他方が水素であり、X及びYの一方がトリフルオロメチルであり、他方が水素のものである。
【0086】
別の実施形態において、ベンゾピラノン化合物は、R及びRの一方がCNであり、他方が水素であり、X及びYの一方がトリフルオロメチルであり、他方が水素のものである。
【0087】
別の実施形態において、ベンゾピラノン化合物は、R及びRの一方が−CH(OH)−CHであり、他方が水素であり、X及びYの一方がトリフルオロメチルであり、他方が水素のものである。
【0088】
別の実施形態において、ベンゾピラノン化合物は、R及びRの一方がハロゲン(ブロモなど)であり、他方が水素であり、X及びYの一方がトリフルオロメチルであり、他方が水素のものである。
【0089】
別の実施形態において、ベンゾピラノン化合物は、R及びRの一方がハロゲン(ヨードなど)であり、他方が水素であり、X及びYの一方がハロゲン(クロロなど)であり、他方が水素のものである。
【0090】
別の実施形態において、ベンゾピラノン化合物は、Rが−CH−CH=CHであり、Rが水素であり、X及びYの一方がトリフルオロメチルであり、他方が水素のものである。
【0091】
別の実施形態において、ベンゾピラノン化合物は、Rがビニルであり、Rが水素であり、X及びYの一方がトリフルオロメチルであり、他方が水素のものである。
【0092】
別の実施形態において、ベンゾピラノン化合物は、R及びRの一方が−CH−NHであり、他方が水素であり、X及びYの一方がハロゲン(クロロなど)であり、他方が水素のものである。
【0093】
別の実施形態において、ベンゾピラノン化合物は、nが1のものである。
【0094】
4.3 ベンゾピラノン化合物の製造方法
ベンゾピラノン化合物は、以下に示すスキーム1〜23の一般的な反応及び実施例1〜9に従って調製することができる。
【化5】

上記のスキーム1におけるステップA〜Hの具体例は、以下の実施例1で説明する。
【0095】
【化6】

上記のスキーム2におけるステップA〜Gの具体例は、以下の実施例3で説明する。上記のスキーム2におけるステップH及びIの具体例は、以下の実施例4で説明する。
【0096】
【化7】

スキーム3の出発物質は以下の実施例9に記載のように調製することができる。
【0097】
【化8】

スキーム4の出発物質は上記のスキーム2に示すように調製することができる。
【0098】
【化9】

スキーム5の出発物質は以下の実施例9に記載のように調製することができる。
【0099】
【化10】

スキーム6の出発物質は上記のスキーム2に示すように調製することができる。
【0100】
【化11】

スキーム7の出発物質は上記のスキーム2に示すように調製することができる。
【0101】
【化12】

スキーム8の出発物質は以下の実施例9に記載のように調製することができる。
【0102】
【化13】

スキーム9の出発物質は上記のスキーム2に示すように調製することができる。
【0103】
【化14】

スキーム10の出発物質は以下の実施例9に記載のように調製することができる。
【0104】
【化15】

スキーム11の出発物質は上記のスキーム9に示すように調製することができる。
【0105】
【化16】

スキーム12の出発物質は上記のスキーム10に示すように調製することができる。
【0106】
【化17】

スキーム13の出発物質は上記のスキーム2に示すように調製することができる。
【0107】
【化18】

スキーム14の出発物質は以下の実施例9に記載のように調製することができる。
【0108】
【化19】

スキーム15の出発物質は上記のスキーム2に示すように調製することができる。
【0109】
【化20】

スキーム16の出発物質は、以下の実施例9に記載のようにして得られる物質に対して、上記のスキーム2に示すステップHを実施することにより得ることができる。対応する6−アセチル−7−ヒドロキシクロメン−2−オンのTHF/MeOH溶液を0℃にてNaBHで処理する。反応完了後、粗反応混合物の精製によって所望の生成物を単離する。
【0110】
【化21】

スキーム17の出発物質は以下の実施例9に記載のように調製することができる。
【0111】
【化22】

スキーム18の出発物質は上記のスキーム15に示すように調製することができる。対応する8−アセチル−7−ヒドロキシクロメン−2−オンのTHF/MeOH溶液を0℃にてNaBHで処理する。反応完了後、粗反応混合物の精製によって所望の生成物を単離する。
【0112】
【化23】

スキーム19の出発物質は上記のスキーム2に示すように調製することができる。
【0113】
【化24】

スキーム20の出発物質は以下の実施例9に記載のように調製することができる。
【0114】
【化25】

スキーム21の出発物質は上記のスキーム1に示すように調製することができる。
【0115】
【化26】

スキーム22の出発物質は上記のスキーム5に示すように調製することができる。
【0116】
【化27】

【0117】
スキーム23の出発物質は上記のスキーム6に示すように調製することができる。
【0118】
一実施形態において、本発明は、ベンゾピラノン化合物の製造方法であって、式(II):
【化28】

【0119】
〔式中、R、R、X、Y及びnはベンゾピラノン化合物について上に定義したとおりである〕
の化合物又はその薬学的に許容される塩を脱メチル化するステップを含む方法に関する。
【0120】
式(II)の化合物の脱メチル化は、フェノール性メチルエーテルの脱保護に有用な当技術分野で公知の任意の方法を使用して達成することができる。そのような方法の例は、Greene, T.W., Protective Groups in Organic Synthesis, 88-92 (1981)に見られ、該文献は参照によりその全体を本明細書に組み入れる。一実施形態において、脱メチル化は、式(II)の化合物を、脱メチル化剤、例えばヨードトリメチルシラン、ピリジン塩酸塩、臭化水素酸(HBr)、塩酸、ヨウ化水素酸、BBr、グリニャール試薬(例えば、RMgX、ここでRはCH、C、Cなどの炭化水素ラジカルであり、Xは塩素、臭素若しくはヨウ素などのハロゲン原子である))、ルイス酸(例えば、AlBr、BF、BCl、B(CH)、Zn(OH)、AgClなど)、または求核剤(エタンチオールなど)の約1.0〜約50.0モル当量に接触させることを含む方法によって進行する。一実施形態において、脱メチル化剤は水性HBr(酢酸の存在下で用いることができる)である。別の実施形態において、式(II)の化合物または薬学的に許容されるその塩を、脱メチル化剤の存在下、任意により溶媒(例えばカルボン酸)の存在下に、およそ室温〜約200℃、一実施形態では約100℃〜約160℃の温度で、15分〜約24時間にわたり加熱することによって脱メチル化が達成される。ある実施形態においては、特に溶媒の沸点が脱メチル化反応の温度より低い場合には、脱メチル化反応容器を密閉し、例えば密閉管とし、溶媒の蒸発を防止する。ベンゾピラノン化合物の酸性塩は、脱メチル化反応(脱メチル化剤としては、例えば臭化水素酸、塩酸又はヨウ化水素酸)から該塩を直接単離して得ることができる。遊離塩基形態は、酸性塩を適当な塩基、例えば水酸化ナトリウムにより洗浄し、遊離塩基化合物を単離することにより得られる。
【0121】
ベンゾピラノン化合物は、薬学的に許容される塩の形態で存在し得る。薬学的に許容される酸性塩は、ベンゾピラノン化合物の遊離塩基形態を酸で処理することにより形成される。適当な有機酸としては、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、酢酸、蓚酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、桂皮酸、アスパルギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、蟻酸、グリコール酸、グルタミン酸およびベンゼンスルホン酸が挙げられる。適当な無機酸としては、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸および硝酸が挙げられる。その他の塩としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物、重硫酸塩、酸リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、酸クエン酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、ゲンチシン酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、エタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、及びパモエート(すなわち1,1’−メチレン−ビス(2−ヒドロキシ−3−ナフトエート)の塩が挙げられる。「薬学的に許容される塩」の用語は、任意のあらゆる許容される塩形態を包含することを意図するものである。
【0122】
薬学的に許容される塩は、慣用の公知の技術により形成することができ、例えば上記のようにベンゾピラノン化合物を適当な酸と反応させることによって形成できる。このような塩は、典型的には適度な温度で高収率で形成され、合成の最終工程の適当な酸性洗浄液から化合物を単離するだけで調製されることが多い。塩形成性の酸は適当な有機溶媒または水性有機溶媒、例えばアルカノール、ケトンまたはエステルに溶解し得る。一方、ベンゾピラノン化合物が遊離塩基形態にあることが望まれる場合は、公知の技術により塩基性の最終的な洗浄工程から単離することができる。例えば、塩酸塩を調製するための典型的な技術は、遊離塩基を適当な溶媒に溶解し、分子ふるいで行うように溶液を十分に乾燥し、その後それに塩化水素ガスを通気させるものである。
【0123】
4.4 使用方法
一実施形態において、本発明は、骨吸収疾患の治療又は予防方法であって、有効量のベンゾピラノン化合物を該治療又は予防が必要な患者に投与することを含む方法に関する。以下の理論により限定されることを意図するものではないが、特に骨吸収疾患に関して、前記ベンゾピラノン化合物はサイトカイン生成をブロックすること、および/または破骨細胞の形成を阻害することによって機能するものと考えられる。特に、ベンゾピラノン化合物がその治療又は予防に有用である骨吸収疾患としては、限定されるものではないが、骨粗鬆症、転移性骨癌、高カルシウム血症、整形外科用インプラントによる溶骨性病変、ページェット病、及び副甲状腺機能亢進症に関連する骨量減少が挙げられる。
【0124】
別の実施形態において、本発明は、新生物疾患の治療又は予防方法であって、有効量のベンゾピラノン化合物を該治療又は予防が必要な患者に投与することを含む方法に関する。一実施形態において、新生物疾患は癌である。特定の実施形態において、癌は、頭頸部、眼、皮膚、口腔、舌、食道、胸部、骨、血液、肺、結腸、S字結腸、直腸、胃、前立腺、乳房、卵巣、子宮、腎臓、肝臓、膵臓、脳、小腸、心臓又は副腎の癌である。別の実施形態において、癌は、子宮内膜癌、多発性骨髄腫、腎細胞癌又は子宮頸癌である。ベンゾピラノン化合物は、乳癌、子宮癌及び卵巣癌の治療に特に有用である。
【0125】
またさらに、ベンゾピラノン化合物が治療又は予防に有用な癌としては、限定されるものではないが、固形癌、肉腫、癌腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑液腫瘍、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵癌、前立腺癌、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮性癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、カポジ肉腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、網膜芽腫、血行性腫瘍、急性リンパ性白血病、急性リンパ急性B細胞白血病、急性リンパ急性T細胞白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性単芽球性白血病、急性赤白血病性白血病、急性巨核芽球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性非リンパ球性白血病、急性未分化白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、ヘアリー細胞白血病、又は多発性骨髄腫が挙げられる。
【0126】
別の実施形態において、本発明は、関節炎の治療又は予防方法であって、有効量のベンゾピラノン化合物を該治療又は予防が必要な患者に投与することを含む方法に関する。一実施形態において、関節炎は、アジュバント、コラーゲン、細菌又は抗原誘導型関節炎である。別の実施形態において、関節炎は関節リウマチである。
【0127】
別の実施形態において、本発明は、エストロゲンの存在によって悪化する疾患の治療又は予防方法であって、有効量のベンゾピラノン化合物を該治療又は予防が必要な患者に投与することを含む方法に関する。一実施形態において、エストロゲンの存在により悪化する疾患は、乳癌、卵巣癌又は子宮癌である。一実施形態において、エストロゲンは内因性である。別の実施形態において、エストロゲンは外因性である。
【0128】
別の実施形態において、本発明は、エストロゲンの存在により改善される疾患の治療又は予防方法であって、有効量のベンゾピラノン化合物を該治療又は予防が必要な患者に投与することを含む方法に関する。一実施形態において、患者におけるエストロゲンの存在により改善される疾患は、骨吸収疾患である。一実施形態において、患者におけるエストロゲンの存在により改善される疾患は、骨粗鬆症、転移性骨癌、高カルシウム血症、整形外科用インプラントによる溶骨性病変、ページェット病、及び副甲状腺機能亢進症に関連する骨量減少である。一実施形態において、エストロゲンは内因性である。別の実施形態において、エストロゲンは外因性である。
【0129】
別の実施形態において、本発明は、子宮内膜症、高コレステロール血症、前立腺肥大症、前立腺癌、肥満、のぼせ、スキンエフェクト(乾燥皮膚、しわ、菲薄化又は弾力性欠如など)、気分変動、記憶喪失、更年期症候群、毛損失(脱毛症)、II型糖尿病、アルツハイマー病、尿失禁、胃腸管症状(クローン病又は過敏性腸症候群など)、外傷後の血管の保護、中枢神経系効果(のぼせ又は記憶喪失など)、座創又は白内障を治療又は予防する方法であって、有効量のベンゾピラノン化合物をその治療又は予防が必要な患者に投与することを含む方法に関する。何らかの特定の理論に拘束されるものではないが、出願人は、上記症状をエストロゲンの存在によって改善できると考えている。
【0130】
別の実施形態において、本発明は、心血管疾患、多毛症、多発性硬化症又はリンパ腫を治療又は予防する方法であって、有効量のベンゾピラノン化合物をその治療又は予防が必要な患者に投与することを含む方法に関する。何らかの特定の理論に拘束されるものではないが、出願人は、上記症状がエストロゲンの存在によって悪化すると考えている。
【0131】
別の実施形態において、本発明は、精子形成を防止する方法であって、有効量のベンゾピラノン化合物を該防止が必要な患者に投与することを含む方法に関する。
【0132】
別の実施形態において、本発明は、環境化学物質への暴露若しくは天然のホルモン失調に関連する有害な生殖毒性(出生異常、流産又は自然流産など)を防止する方法であって、有効量のベンゾピラノン化合物を該防止が必要な患者に投与することを含む方法に関する。
【0133】
別の実施形態において、ベンゾピラノン化合物は、経口避妊、切迫流産若しくは習慣流産の防止、月経困難症の緩和、不正子宮出血の緩和、子宮内膜症の緩和、卵巣発育の補助、女性の体毛の過剰成長(多毛症)の減少、アテローム性動脈硬化症の予防若しくは治療、並びに分娩後授乳の抑制に有効である。ベンゾピラノン化合物はまた、血漿脂肪レベルに対して有益な効果を有し、高コレステロール血症の治療及び予防に有効なものである。
【0134】
別の実施形態においては、本発明は、ERを発現可能な骨細胞を有効量のベンゾピラノン化合物と接触させることを含む骨細胞におけるERの機能を活性化する方法に関する。骨細胞のERの機能を活性化することは、骨粗鬆症の治療または予防に有用である。
【0135】
別の実施形態においては、本発明は、ERを発現可能な癌細胞を有効量のベンゾピラノン化合物と接触させることを含む癌細胞におけるERの機能を抑制する方法に関する。一実施形態において、癌細胞は、乳癌細胞、卵巣癌細胞、子宮内膜癌細胞、子宮癌細胞、前立腺癌細胞または視床下部癌細胞である。癌細胞においてERの機能を抑制することは、前記細胞の増殖を抑制するのに有用であり、従って癌の治療および予防に有用である。一実施形態においては、乳癌細胞はMCF−7である。一実施形態においては、卵巣癌細胞はBG−1である。
【0136】
別の実施形態においては、本発明は、ERおよびIL−6を発現可能な細胞を有効量のベンゾピラノン化合物と接触させることを含む細胞におけるIL−6の発現を阻害する方法に関する。一実施形態においては、ERおよびIL−6を発現する細胞は骨細胞である。別の実施形態においてはERおよびIL−6を発現する細胞は、ヒトER−βを安定にトランスフェクトしたヒトU−2 OS骨肉腫細胞である。in vivoで細胞中のIL−6の発現を阻害することは、骨損失疾患または骨癌の治療に有用である。一実施形態においては、骨損失疾患は骨粗鬆症である。in vitroにおいて細胞中のIL−6の発現を阻害することは、IL−6の発現を阻害するベンゾピラノン化合物のスクリーニングのための生物学的活性スクリーニングアッセイに(例えば標準として)有用である。
【0137】
別の実施形態においては、本発明は、ERを発現可能な新生物細胞を有効量のベンゾピラノン化合物と接触させることを含む新生物細胞の増殖を抑制する方法に関する。一実施形態において、ERを発現可能な新生物細胞は癌細胞である。ERを発現可能な癌または新生物細胞としては、乳房細胞、卵巣細胞、子宮内膜細胞、子宮細胞、前立腺細胞および視床下部細胞が挙げられるが、これに限定されるものではない。in vivoでこれらの癌または新生物細胞の増殖を抑制することは癌の治療または予防に有用である。in vitroにおいてこれらの癌または新生物細胞の増殖を抑制することは、抗癌または抗新生物薬の生物学的活性スクリーニングアッセイ(例えば標準として)あるいは診断アッセイにおいて有用である。
【0138】
4.5 他の治療薬
特定の実施形態において、本発明の方法は、有効量の他の治療薬を投与することをさらに含む。他の治療薬の例としては、限定されるものではないが、骨吸収疾患、新生物疾患、関節炎、エストロゲンの存在によって悪化する疾患、又はエストロゲンの存在により改善される疾患の治療又は予防、骨細胞におけるERの機能の活性化、癌細胞におけるERの機能の抑制、細胞におけるIL−6の発現の阻害、並びに新生物細胞の増殖の抑制に有用な薬物が挙げられる。他の治療薬は、ベンゾピラノン化合物の投与の前、後又は同時に投与しうる。これらの実施形態において、ベンゾピラノン化合物が患者に対してその治療効果を発揮する時間は、他の治療薬が該患者に対して治療効果を発揮する時間とオーバーラップする。
【0139】
さらに別の実施形態においては、他の治療薬はエストロゲンの存在により改善される疾患の治療または予防に有用なものである。エストロゲンの存在により改善される疾患の治療または予防に有用な他の治療薬としては、タモキシフェン、ラロキシフェン、メドロキシプロゲステロン、ダニゾールおよびゲストリノンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0140】
一実施形態においては、他の治療薬は骨喪失疾患(例えば骨粗鬆症)の治療または予防に有用なものである。骨損失疾患の治療または予防に有用な他の治療薬としては、カテプシンK阻害剤(例えばカテプシンKのプロペプチド)、ビスホスホネート類(例えばエイトドロネート(eitodronate)、パミドロネート、アレンドロネート、リセドロネート(risedronate)、ゾレンドロネート(zolendronate)、イバンドロネート(ibandronate)、クロドロネート(clodronate)、若しくはチルドロネート(tiludronate))、副甲状腺ホルモン(PTH)またはその断片、内因性PTHを放出する化合物(例えばPTH放出ホルモン)、およびカルシトニンまたはその断片が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0141】
別の実施形態においては、他の治療薬は新生物疾患の治療又は予防に有用なものである。一実施形態において、他の治療薬は癌(例えば、乳癌、卵巣癌、子宮癌、前立腺癌、又は視床下部癌)の治療または予防に有用である。癌または新生物疾患の治療または予防に有用な他の治療薬としては、アルキル化剤(例えばニトロソ尿素)、代謝拮抗物質(例えばメトトレキセート、ヒドロキシ尿素)、エトポシド、カンパテシン(campathecins)、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、コルヒチン、イリノテカン、カンプトテシン、シクロホスファミド、5−フルオロウラシル、シスプラチナム、カルボプラチン、メトトレキセート、トリメトレキセート、エルビタックス(erbitux)、サリドマイド、タキソール、ビンカアルカロイド(例えばビンブラスチン、ビンクリスチン)、又は微小管安定剤(例えばエポシロン(epothilone))が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0142】
癌の治療または予防に有用な治療薬の具体例としてはさらに、アシビシン、アクラルビシン、塩酸アコダゾール(acodazole)、アクロニン、アドゼレシン、アルデスロイキン、アルトレタミン、アンボマイシン(ambomycin)、アメタントロン(ametantrone)アセテート、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アントラマイシン、アスパラギナーゼ、アスペルリン、アザシチジン、アゼテパ、アゾトマイシン(azotomycin)、バチマスタット、ベンゾデパ、ビカルタミド、塩酸ビサントレン(bisantrene)、ビスナフィドジメシレート(bisnafide dimesylate)、ビゼレシン(bizelesin)、硫酸ブレオマイシン、ブレキナール(brequinar)ナトリウム、ブロピリミン、ブスルファン、カクチノマイシン(cactinomycin)、カルステロン、カラセミド(caracemide)、カルベチメール(carbetimer)、カルボプラチン、カルムスチン、塩酸カルビシン(carubicin)、カルゼレシン(carzelesin)、セデフィンゴール(cedefingol)、クロラムブシル、シロレマイシン(cirolemycin)、シスプラチン、クラドリビン、クリスナトール(crisnatol)メシラート、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、塩酸ダウノルビシン、デシタビン、デキソルマプラチン、デアザグアニン(dezaguanine)、デアザグアニン(dezaguanine)メシラート、ジアジコン、ドセタキセル、ドキソルビシン、塩酸ドキソルビシン、ドロロキシフェン(droloxifene)、クエン酸ドロロキシフェン(droloxifene)、プロピオン酸ドロモスタノロン、ダウゾマイシン(duazomycin)、エダトレキセート、塩酸エフロルニチン、エルサミトルシン(elsamitrucin)、エンロプラチン、エンプロメート(enpromate)、エピプロピジン(epipropidine)、塩酸エピルビシン、エルブロゾール(erbulozole)、塩酸エソルビシン(esorubicin)、エストラムスチン、リン酸エストラムスチンナトリウム、エタニダゾール、エトポシド、リン酸エトポシド、エトプリン(etoprine)、塩酸ファドロゾール、ファザラビン、フェンレチニド、フロクスウリジン、リン酸フルダラビン、フルオロウラシル、フルロシタビン、フォスキドン(fosquidone)、ホストリエシンナトリウム、ゲムシタビン、塩酸ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、塩酸イダルビシン、イホスファミド、イルモフォスチン(ilmofosine)、ImiDs、インターロイキンII(組換インターロイキンII、rIL2を含む)、インターフェロン−2a、インターフェロンα−2b、インターフェロンα−n1、インターフェロンα−n3、インターフェロンβ−Ia、インターフェロンγ−Ib、イプロプラチン、塩酸イリノテカン、ランレオチドアセテート、レトロゾール、酢酸ロイプロリド、塩酸リアロゾール、ロメトレキソール(lometrexol)ナトリウム、ロムスチン、塩酸ロソキサントロン(losoxantrone)、マソプロコール、メイタンシン、塩酸メクロレタミン、酢酸メゲステロール(megestrol)、メレンゲステロールアセテート、メルファラン、メノガリル、メルカプトプリン、メトトレキセート、メトトレキセートナトリウム、メトプリン、メツレデパ(meturedepa)、ミチンドミド、マイトカルシン(mitocarcin)、ミトクロミン、マイトジリン、マイトマルシン(mitomalcin)、マイトマイシン、マイトスペル(mitosper)、ミトーテン、塩酸ミトキサントロン、ミコフェノール酸、ノコダゾール、ノガラマイシン、オルマプラチン、オキシスラン(oxisuran)、パクリタキセル、ペガスパルガーゼ(pegaspargase)、ペリオマイシン(peliomycin)、ペンタムスチン、硫酸ペプロマイシン、ペルフォスファミド(perfosfamide)、ピポブロマン、ピポスルファン、塩酸ピロキサントロン(piroxantrone)、プリカマイシン、プロメスタン、ポルフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プレドニマスチン、塩酸プロカルバジン、ピューロマイシン、塩酸ピューロマイシン、ピラゾフリン、リボプリン(riboprine)、ログレチミド(rogletimide)、サフィンゴール(safingol)、塩酸サフィンゴール、SelCid、セムスチン、シムトレゼン(simtrazene)、スパルフォセートナトリウム、スパルソマイシン、塩酸スピロゲルマニウム、スピロムスチン、スピロプラチン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、スロフェヌール(sulofenur)、タリソマイシン、テコガラン(tecogalan)ナトリウム、テガフール、塩酸テロキサントロン(teloxantrone)、テモポルフィン、テニポシド、テロキシロン(teroxirone)、テストラクトン、チアミプリン(thiamiprine)、チオグアニン、テモゾロミド、テモダール、チオテパ、チアゾフリン、チラパザミン、クエン酸トレミフェン、酢酸トレストロン(trestolone)、リン酸トリシリビン、トリメトレキサート、グルクロン酸トリメトレキサート、トリプトレリン、塩酸ツブロゾール(tubulozole)、ウラシルマスタード、ウレデパ(uredepa)、バプレオチド(vapreotide)、ベルテプルフィン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、ビンデシン、硫酸ビンデシン、硫酸ビネピジン、硫酸ビングリシネート(vinglycinate)、硫酸ビンロイロシン(vinleurosine)、酒石酸ビノレルビン、硫酸ビンロシジン(vinrosidine)、硫酸ビンゾリジン(vinzolidine)、ボロゾール、ゼニプラチン、ジノスタチン、塩酸ゾルビシン(zorubicin)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0143】
癌の治療または予防に有用なその他の治療薬としては、20−エピ−1,25−ジヒドロキシビタミンD3、5−エチニルウラシル、アビラテロン、アクラルビシン、アシルフルベン(acylfulvene)、アデシペノール(adecypenol)、アドゼレシン、アルデスロイキン、ALL−TKアンタゴニスト、アルトレタミン、アムバムスチン(ambamustine)、アミドックス、アミホスチン、アミノレブリン酸、アムルビシン、アムサクリン、アナグレリド、アナストロゾール、アンドログラホリド、脈管形成阻害剤、アンタゴニストD、アンタゴニストG、アントレリックス(antarelix)、抗背方化形態形成タンパク−1、抗アンドロゲン剤(前立腺癌)、抗エストロゲン剤、抗新生物薬、アフィジコリングリシネート、アポトーシス遺伝子調節剤、アポトーシス制御剤、アプリン酸、アラ−CDP−DL−PTBA、アルギニンデアミナーゼ、アスラクリン、アタメスタン、アトリムスチン、アキシナスチン(axinastatin)1、アキシナスチン2、アキシナスチン3、アザセトロン、アザトキシン(azatoxin)、アザチロシン、バカチン(baccatin)III誘導体、バラノール(balanol)、バチマスタット、BCR/ABLアンタゴニスト、ベンゾクロリン類(benzochlorins)、ベンゾイルスタウロスポリン(benzoylstaurosporine)、βラクタム誘導体、β−アレチン(alethine)、ベタクラマイシン(betaclamycin)B、ベツリン酸、bFGF阻害剤、ビカルタミド、ビサントレン、ビスアジリジニルスペルミン(bisaziridinylspermine)、ビスナフィド、ビストラテン(bistratene)A、ビゼレシン(bizelesin)、ブレフレート(breflate)、ブロピリミン、ブドチタン、ブチオニンスルホキシミン、カルシポトリオール、カルフォスチンC、カンプトテシン誘導体、カナリポックスIL−2、カペシタビン、カルボキサミド−アミノ−トリアゾール、カルボキシアミドトリアゾール、CaRestM3、CARN700、軟骨誘導阻害剤、カルゼレシン(carzelesin)、カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS)、細胞周期阻害剤(例えばフラボピリドールA、トリプロスタチンB、p19ink4D)、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤(例えばロスコビチン、オロムシン(olomucine)、プリン類似体)、MAPキナーゼ阻害剤(CNI−1493)、カスタノスペルミン、セクロピンB、セトロレリックス、クロルリン類(chlorlns)、クロロキノキサリンスルホンアミド、シカプロスト(cicaprost)、シス−ポルフィリン、クラドリビン、クロミフェン類似体、クロトリマゾール、コリスマイシン(collismycin)A、コリスマイシンB、コンブレタスタチンA4、コンブレタスタチン類似体、コナゲニン、クラムベシジン816、クリスナトール(crisnatol)、クリプトフィシン(cryptophycin)8、クリプトフィシンA誘導体、クラシン(curacin)A、シクロペンタンスラキノン類、シクロプラタム、シペマイシン(cypemycin)、シタラビンオクホスフェート、細胞溶解因子、サイトスタチン、ダクリキシマブ(dacliximab)、デシタビン、デヒドロジデムニン(dehydrodidemnin)B、デスロレリン、デキサメタゾン、デキシフォスファミド(dexifosfamide)、デクスラゾキサン、デクスベラパミル、ジアジコン、ジデムニンB、ジドックス、ジエチルノルスペルミン、ジヒドロ−5−アザシチジン、ジヒドロタキソール,9−、ジオキサマイシン(dioxamycin)、ジフェニルスピロムスチン、ドセタキセル、ドコサノール、ドラセトロン、ドキシフルリジン、ドロロキシフェン、ドロナビノール、デュオカルマイシンSA、エブセレン、エコムスチン(ecomustine)、エデルフォシン(edelfosine)、エドレコロマブ、エフロルニチン、エレメン(elemene)、エミテフール(emitefur)、エピルビシン、エプリステリド、エストラムスチン類似体、エストロゲンアゴニスト、エストロゲンアンタゴニスト、エタニダゾール、リン酸エトポシド、エクセメスタン、ファドロゾール、ファザラビン、フェンレチニド、フィルグラスチム、フィナステリド、フラボピリドール、フレゼラスチン(flezelastine)、フルアステロン、フルダラビン、塩酸フルオロダウノルビシン(fluorodaunorunicin)、フォルフェニメックス(forfenimex)、フォルメスタン、フォストリエシン、フォテムスチン、ガドリニウムテキサフィリン、硝酸ガリウム、ガロシタビン、ガニレリックス、ゼラチナーゼ阻害剤、ゲムシタビン、グルタチオン阻害剤、ヘプスルファム(hepsulfam)、ヘレグリン、ヘキサメチレンビスアセトアミド、ヒペリシン、イバンドロン酸、イダルビシン、イドキシフェン、イドラマントン、イルモフォシン(ilmofosine)、イロマスタット、イミダゾアクリドン類(imidazoacridones)、イミキモド(imiquimod)、免疫活性化剤ペプチド、インスリン様成長因子−1レセプター阻害剤、インターフェロンアゴニスト、インターフェロン類、インターロイキン類、イオベングアン、ヨードドキソルビシン、イポメアノール,4−、イロプラクト(iroplact)、イルソグラジン、イソベンガゾール(isobengazole)、イソホモハリコンドリン(isohomohalicondrin)B、イタセトロン、ジャスプラキノリド、カハラライドF、ラメラリン−Nトリアセタート、ランレオチド、レイナマイシン、レノグラスチム、硫酸レンチナン、レプトルスタチン(leptolstatin)、レトロゾール、白血病阻害因子、白血球αインターフェロン、ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン、ロイプロレリン、レバミゾール、リアロゾール、線状ポリアミン類似体、親油性二糖ペプチド、親油性白金化合物、リッソクリナミド(lissoclinamide)7、ロバプラチン、ロンブリシン、ロメトレキソール(lometrexol)、ロニダミン、ロソキサントロン(losoxantrone)、ロバスタチン、ロキソリビン、ルルトテカン(lurtotecan)、ルテチウムテキサフィリン、リソフィリン、溶菌ペプチド、マイタンシン、マンノスタチンA、マリマスタット、マソプロコール、マスピン(maspin)、マトリリシン阻害剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、メノガリル、メルバロン(merbarone)、メテレリン、メチオニナーゼ、メトクロプラミド、MIF阻害剤、ミフェプリストーン、ミルテフォシン、ミリモスチム、不適合二重鎖RNA、ミトグアゾン、ミトラクトール、マイトマイシン類似体、マイトナファイド(mitonafide)、マイトトキシン線維芽細胞成長因子−サポリン、マイトキサントロン、モファロテン、モルグラモスチム、モノクローナル抗体、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、モノホスホリル脂質A+マイコバクテリウム細胞壁sk、モピダモール(mopidamol)、多剤耐性遺伝子阻害剤、外発性腫瘍抑制遺伝子1療法、マスタード抗癌剤、マイカペロキシド(mycaperoxide)B、マイコバクテリウム細胞壁抽出物、ミリアポロン(myriaporone)、N−アセチルジナリン(N-acetyldinaline)、N−置換ベンズアミド、ナファレリン、ナグレスチプ(nagrestip)、ナロキソン+ペンタゾシン、ナパビン(napavin)、ナフテルピン、ナルトグラスチム、ネダプラチン、ネモルビシン(nemorubicin)、ネリドロン酸、中性エンドペプチダーゼ、ニルタミド、ニサマイシン(nisamycin)、一酸化窒素調整剤、ニトロキシド酸化防止剤、ニトルリン(nitrullyn)、O6−ベンジルグアニン、オクトレオチド、オキセノン(okicenone)、オリゴヌクレオチド、オナプリストン(onapristone)、オンダンセトロン、オンダンセトロン、オラシン(oracin)、経口サイトカイン誘導物質、オルマプラチン、オサテロン、オキサリプラチン、オキサウノマイシン(oxaunomycin)、パクリタキセル、パクリタキセル類似体、パクリタキセル誘導体、パラウアミン(palauamine)、パルミトイルリゾキシン(palmitoylrhizoxin)、パミドロン酸、パナキシトリオール、パノミフェン、パラバクチン、パゼリプチン(pazelliptine)、パガスパルガーゼ(pegaspargase)、ペルデシン、ペントサンポリスルフェートナトリウム、ペントスタチン、ペントロゾール(pentrozole)、ペルフルブロン、ペルフォスファミド(perfosfamide)、ペリリルアルコール、フェナジノマイシン(phenazinomycin)、フェニルアセタート、ホスファターゼ阻害剤、ピシバニール、塩酸ピロカルピン、ピラルビシン、ピリトレキシム、プラセチンA、プラセチンB、プラスミノーゲン活性化物質阻害剤、白金錯体、白金化合物、白金−トリアミン錯体、ポルフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プレドニゾン、プロピルビス−アクリドン、プロスタグランジンJ2、プロテアソーム阻害剤、プロテインA免疫調整剤、タンパク質キナーゼC阻害剤、タンパク質キナーゼC阻害剤(微細藻類)、タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤、プルプリン、ピラゾロアクリジン、ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレン抱合体、rafアンタゴニスト、ラルチトレキシド、ラモステトロン(ramosetron)、レチノイン酸(例えば9−シスRA))、ヒストンデアシラーゼ阻害剤(例えば酪酸ナトリウム、スベロイルアニリドヒドロキサム酸)、TRAIL、ラス癌遺伝子ファルネシルタンパクトランスフェラーゼ阻害剤、ラス癌遺伝子阻害剤、ラス癌遺伝子−GAP阻害剤、脱メチル化レテリプチン(retelliptine)、エチドロン酸レニウムRe186、リゾキシン、リボザイム、RIIレチナミド、ログレチミド(rogletimide)、ロヒツキン(rohitukine)、ロムルチド、ロキニメックス(roquinimex)、ルビジノン(rubiginone)B1、ルボキシル(ruboxyl)、サフィンゴール(safingol)、サイントピン(saintopin)、SarCNU、サルコフィトールA、サルグラモスチム、Sdi1模倣体、セムスチン、老齢誘導阻害剤1、センスオリゴヌクレオチド、細胞情報伝達阻害剤、細胞情報伝達調整剤、単鎖抗原結合タンパク質、シゾフィラン、ソブゾキサン、ナトリウムボロカプテート(borocaptate)、フェニル酢酸ナトリウム、ソルベロール(solverol)、ソマトメジン結合タンパク質、ソネルミン、スパルフォシン酸(sparfosic acid)、スピカマイシンD、スピロムスチン、スプレノペンチン、スポンジスタチン1、スクアラミン、幹細胞阻害剤、幹細胞分裂阻害剤、スチピアミド(stipiamide)、ストロメリシン阻害剤、スルフィノシン(sulfinosine)、超活性血管作用性小腸ペプチドアンタゴニスト、スラジスタ(suradista)、スラミン、スワインソニン、合成グリコサミノグリカン、タリムスチン(tallimustine)、タモキシフェンメチオジド、タウロムスチン(tauromustine)、タザロテン、テコガラン(tecogalan)ナトリウム、テガフール、テルラピリリウム(tellurapyrylium)、テロメラーゼ阻害剤、テモポルフィン、テモゾロミド、テニポシド、テトラクロロデカオキシド(tetrachlorodecaoxide)、テトラゾミン(tetrazomine)、タリブラスチン(thaliblastine)、チオコラリン、トロンボポエチン、トロンボポエチン模倣体、チマルファシン、チモポイエチンレセプターアゴニスト、チモトリナン(thymotrinan)、甲状腺刺激ホルモン、スズ・エチルエチオプルプリン(etiopurpurin)、チラパザミン、チタノセン二塩化物、トプセチン(topsentin)、トレミフェン、全能性幹細胞因子、翻訳阻害剤、トレチノイン、トリアセチルウリジン、トリシリビン、トリメトレキサート、トリプトレリン、トロピセトロン、ツロステリド(turosteride)、チロシンキナーゼ阻害剤、チルフォスチン類(tyrphostins)、UBC阻害剤、ウベニメクス、尿生殖洞誘導成長阻害因子、ウロキナーゼレセプターアンタゴニスト、バプレオチド(vapreotide)、バリオリン(variolin)B、ベクター系(赤血球遺伝子療法)、ベラレゾール(velaresol)、ベラミン、ベルジン類(verdins)、ベルテポルフィン、ビノレルビン、ビンキサルチン、ビタキシン(vitaxin)、ボロゾール、ザノテロン(zanoterone)、ゼニプラチン、ジラスコルブ、ジノスタチンスチマラマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好適な別の抗癌剤は5−フルオロウラシルおよびロイコボリンである。
【0144】
4.6 医薬組成物及び投与経路
ベンゾピラノン化合物は、例えばカプセル剤、マイクロカプセル剤、錠剤、顆粒剤、粉剤、トローチ剤、ピル、坐剤、注射剤、懸濁剤およびシロップ剤のような製剤の慣用の形態で経口的または非経口的に患者に投与することが可能である。適当な製剤は、慣用の有機または無機添加物、例えば賦形剤(例えば、スクロース、澱粉、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、グルコース、セルロース、タルク、リン酸カルシウム、又は炭酸カルシウム)、結合剤(例えば、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリプロピルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、ポリエチレングリコール、スクロース、又は澱粉)、崩壊剤(例えば、澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、又はクエン酸カルシウム)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、タルク、又はラウリル硫酸ナトリウム)、着香料(例えば、クエン酸、メントール、グリシン、又はオレンジ粉末)、保存料(例えば、安息香酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メチルパラベン、又はプロピルパラベン)、安定剤(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、又は酢酸)、懸濁化剤(例えば、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、又はステアリン酸アルミニウム)、分散剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、希釈剤(例えば水)、基剤ワックス(例えば、カカオバター、白色ワセリン、ポリエチレングリコール)を使用する通常に使用される方法によって調製することができる。医薬品組成物中のベンゾピラノン化合物の有効量は、所望の効果を実現するレベルとすることができ、例えば、経口および非経口投与の両者について、単位投与量あたり約0.005mg/kg患者体重〜約10mg/kg患者体重である。
【0145】
ベンゾピラノン化合物は通常、1日1〜4回、約0.005mg/kg患者体重〜約10mg/kg患者体重の単位投与量で投与することができるが、上記投与量は患者の年齢、体重および医学的状態並びに投与の種類に従い適当に変更し得る。一実施形態において、用量は、約0.01mg/kg患者体重〜約5mg/kg患者体重、約0.05mg/kg患者体重〜約1mg/kg患者体重、約0.1mg/kg患者体重〜約0.75mg/kg患者体重、又は約0.25mg/kg患者体重〜約0.5mg/kg患者体重である。一実施形態において、1日当たり1回の用量が投与される。
【0146】
患者に投与されるベンゾピラノン化合物の投与量は比較的広範囲に変更することができ、医療従事者の判断に委ねられる。ベンゾピラノン化合物の効果的な投与割合の一般的な範囲は、約0.01mg/kg患者体重〜約5mg/kg患者体重、約0.05mg/kg患者体重〜約1mg/kg患者体重、約0.1mg/kg患者体重〜約0.75mg/kg患者体重、又は約0.25mg/kg患者体重〜約0.5mg/kg患者体重である。もちろん、分割したベンゾピラノン化合物の1日投与量を1日のさまざまな時間で投与することが実際的であることも多い。ただし、いずれの場合においても投与するベンゾピラノン化合物の量は、活性成分の溶解度、使用する製剤および投与経路のような因子に依存する。
【0147】
ベンゾピラノン化合物は、簡便性の理由から経口投与しうる。しかしながら、ベンゾピラノン化合物は、皮内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、経皮(percutaneous)投与、静脈内投与、皮下投与、鼻腔内投与、硬膜外投与、舌下投与、脳内投与、膣内投与、経皮(transdermal)投与、直腸内投与、吸入投与、又は耳、鼻、眼若しくは皮膚への局所投与によって同様に有効に投与することができる。好ましい投与形態は、医療従事者の自由裁量であり、部分的には医学的症状の部位に応じて変化しうる。
【0148】
本発明はまた、有効量のベンゾピラノン化合物、及び薬学的に許容される担体又はビヒクルを含む組成物に関し、ここで薬学的に許容される担体又はビヒクルは、賦形剤、希釈剤又はそれらの混合物を含みうる。一実施形態において、組成物は医薬組成物である。
【0149】
組成物は、錠剤、チュアブル錠、カプセル剤、溶剤、非経口溶剤、トローチ剤、坐剤および懸濁剤などの形態とすることができる。組成物は、1錠もしくはカプセル又は好適な体積の液体とし得る投与単位に、1日投与量又は1日投与量の適当な部分を含むように配合することができる。一実施形態において、例えば塩酸塩のような水溶性の塩から溶剤を調製することが好ましい。一般に、組成物はいずれも薬品化学において公知の方法により調製される。カプセル剤は、前記ベンゾピラノン化合物を適当な担体又は希釈剤と混合し、適量の混合物をカプセルに充填することにより調製される。通常の担体又は希釈剤としては、多くの種類の澱粉、粉末セルロース、特に結晶および微晶質セルロース、フルクトースのような糖、マンニトールおよびスクロース、穀物粉および同様の食用粉末のような非活性粉末状物質が挙げられる。
【0150】
錠剤は、直接打錠、湿式造粒法または乾式造粒法により調製しうる。それらの製剤は、通常、化合物とともに希釈剤、結合剤、滑沢剤および崩壊剤を含む。典型的な希釈剤としては、種々の種類の澱粉、ラクトース、マンニトール、カオリン、リン酸カルシウムまたは硫酸塩、例えば塩化ナトリウムのような無機塩、および粉末糖が挙げられる。粉末セルロース誘導体も有用である。典型的な錠剤結合剤は、澱粉、ゼラチンおよび例えばラクトース、フルクトース、グルコースのような糖などの物質である。天然および合成ゴムもまた好適であり、例えばアカシア、アルギネート、メチルセルロース、ポリビニルピロリジンなどが挙げられる。ポリエチレングリコール、エチルセルロースおよびワックスも結合剤とし得る。
【0151】
滑沢剤は、錠剤配合物において、錠剤およびパンチが鋳型に付着するのを防止するために必要であり得る。滑沢剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよびカルシウム、ステアリン酸、硬化植物油のような滑りやすい固体から選択することができる。錠剤崩壊剤は、水分を含んだ際に膨潤して錠剤を崩壊させ、化合物を放出する物質である。そのようなものとしては、澱粉、粘土、セルロース、アルギンおよびガムが挙げられる。より詳しくは、例えば、トウモロコシおよびジャガイモ澱粉、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、木材セルロース、粉末状天然海綿、陽イオン交換樹脂、アルギン酸、グアーガム、柑橘類パルプおよびカルボキシメチルセルロース、並びにラウリル硫酸ナトリウムを使用することができる。錠剤は、矯味矯臭薬およびシーラントとしての糖、またはフィルム形成保護剤で被覆して錠剤の溶解特性を変更し得る。組成物は、配合物中に例えばマンニトールのような物質を用いてチュアブル錠として配合することもできる。
【0152】
ベンゾピラノン化合物を坐剤として投与することが望まれる場合は、典型的な基剤を使用することができる。カカオバターは従来からの坐剤用基剤であり、ワックスを添加して改変し融点をいくらか上昇させることができる。特に種々の分子量のポリエチレングリコールを含む水混和性坐剤用基剤は、広い用途がある。
【0153】
ベンゾピラノン化合物の効果は、適当な配合物によって遅延または延長させることができる。例えば、前記ベンゾピラノン化合物の徐溶性錠剤を調製し、錠剤またはカプセル剤中に含有させることができ、あるいは徐放性移植可能デバイスとして調製することができる。その他、いくつかの異なる溶解速度を有するペレットを調製し、それらのペレットの混合物をカプセルに充填する技術が挙げられる。錠剤またはカプセル剤は、予測可能な期間、溶解耐性を有するフィルムにより被覆することができる。前記ベンゾピラノン化合物を血清中に徐放することを可能とする油性または乳化ビヒクルに溶解または懸濁することにより、非経口製剤でも持効性にすることができる。
【0154】
5.実施例
以下の実施例は、限定ではなく、例示目的で提供するものである。
【実施例1】
【0155】
5.1 実施例1:7−ヒドロキシ−6−メチル−4−(4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−ベンジル)−3−(4−トリフルオロメチルフェニル)−クロメン−2−オンの合成
A.1−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−エタノン
【化29】

【0156】
3−メトキシフェノール(44.69kg、360mol)及び4−ヒドロキシフェニル酢酸(68.5kg、450mol)を144Lのクロロベンゼンに懸濁した懸濁液に窒素ガスを通気した。三フッ化ホウ素ジエチルエーテル(177L、1440mol)を20〜25℃で添加した。懸濁液を80℃に加熱し、4〜5時間攪拌した後、5〜10℃に冷却し、一晩攪拌した。
【0157】
沈殿した赤色/橙色固形物(所望ではない異性体)をN圧で濾別し、濾液を氷/HOに注ぐことによって急冷した。得られた濾過ケーキをCHClで洗浄し、水溶液のpHが6〜7に達するまで80%NaCO(水溶液)をゆっくり添加することによって三フッ化ホウ素エーテルの溶液をクエンチした。気体の発生が観察され、所望の生成物が溶液から沈殿し、橙色の懸濁液を形成した。橙色の懸濁液を20℃で一晩攪拌し、その後濾過した。得られた濾過ケーキをHO及びメチルt−ブチルエーテル(MTBE)で洗浄し、一晩乾燥することによって、所望の生成物(38kg、42%収量、HPLC純度95.1%a/a)を得た。
【0158】

【0159】
B.4−(4−ヒドロキシベンジル)−7−メトキシ−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−クロメン−2−オン
【化30】

【0160】
25℃において120mLのDMF中の4−トリフルオロメチルフェニル酢酸(15.2g、74.45mmol)の溶液を、カルボニルジイミダゾール(CDI)(13.2g、82mmol)をいくつかの部分にわけて用いて5分かけて処理した。反応混合物を10分間40℃に暖めた後、室温まで冷却した。1−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)エタン−1−オン(9.81g、38mmol)、KCO(15.7g、114mmol)、及びDMAP(0.93g、7.6mmol)を添加し、反応混合物を2時間80℃に加温した。
【0161】
得られた懸濁液を室温まで冷却し、200mLの水を添加した。水層をCHClで抽出し、有機層を乾燥し(MgSO)、減圧濃縮した。得られた固形物をフラッシュクロマトグラフィ(CHCl:EtOAc)を用いて精製し、所望の生成物を得た(10.2g、63%)。
【0162】

【0163】
C.2,2−ジメチル−プロピオン酸 4−(7−メトキシ−2−オキソ−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−2H−クロメン−4−イルメチル)−フェニルエステル
【化31】

【0164】
4−(4−ヒドロキシベンジル)−7−メトキシ−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−クロメン−2−オン(800mg、1.88mmol)、塩化ピバロイル(577μL、4.69mmol)、イミダゾール(268mg、3.94mmol)、及びDMAP(344mg、2.81mmol)のDMF(10mL)中の混合物を、室温で18時間攪拌した。さらにイミダゾール(268mg、3.94mmol)、DMAP(344mg、2.81mmol)及び塩化ピバロイル(577μL、4.69mmol)の部分を添加し、攪拌をさらに20時間継続して、総反応時間を38時間とした。溶媒を減圧留去し、残渣をAcOEtに溶解し、有機層をHOで洗浄した。水層をAcOEtで抽出(2回)し、有機層を合わせ、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィ(シリカゲル、5:1 ヘキサン:AcOEt)を用いて精製し、標題の化合物を白色固形物として得た(820mg、86%)。
【0165】

【0166】
D.2,2−ジメチル−プロピオン酸 4−(6−ブロモ−7−メトキシ−2−オキソ−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−2H−クロメン−4−イルメチル)−フェニルエステル
【化32】

【0167】
ステップCからの2,2−ジメチル−プロピオン酸 4−(7−メトキシ−2−オキソ−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−2H−クロメン−4−イルメチル)−フェニルエステル(820mg、1.61mmol)とBr(83μL、1.61mmol)のAcOH(15mL)中の混合物を、室温で16時間攪拌した。Br(80μL、1.55mmol)の別の部分を添加し、攪拌を6時間継続した。混合物をHOに注ぎ入れ、水層をCHClで抽出(2回)した。有機層を合わせ、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、減圧濃縮した。残渣の橙色の固形物をCHCl/ヘキサンから結晶化し、所望の化合物を白色固形物として得た(710mg、75%)。
【0168】

【0169】
E.2,2−ジメチル−プロピオン酸 4−(7−メトキシ−6−メチル−2−オキソ−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−2H−クロメン−4−イルメチル)−フェニルエステル
【化33】

【0170】
2,2−ジメチル−プロピオン酸 4−(6−ブロモ−7−メトキシ−2−オキソ−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−2H−クロメン−4−イルメチル)−フェニルエステル(100mg、0.17mmol)、KCO(70mg、0.51mmol)、トリメチルボロキシン(24μL、0.17mmol)及びPd(PhP)(20mg、0.017mmol)の無水ジオキサン(2mL)中の混合物を還流温度で2時間攪拌した。室温まで冷却した後、得られた懸濁液をセリットで濾過し、溶媒を減圧留去した。残渣をCHCl/ヘキサンから再結晶し、所望の化合物をベージュ色固形物として得た(72mg、82%)。
【0171】

【0172】
F.4−(4−ヒドロキシベンジル)−7−メトキシ−6−メチル−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−クロメン−2−オン
【化34】

【0173】
2,2−ジメチル−プロピオン酸 4−(7−メトキシ−6−メチル−2−オキソ−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−2H−クロメン−4−イルメチル)−フェニルエステル(72mg、0.14mmol)及びLiOH・HO(23mg、0.55mmol)を8:1のTHF:HO混合物(4.5mL)に溶解した混合物を30℃にて4時間攪拌した。THFを減圧留去し、AcOEtを添加した。水層に1N HCl水溶液を添加してpH5に低下させた。層を分離させ、水層をAcOEtで抽出(2回)した。有機層を合わせ、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(99:1 CHCl:MeOH)を用いて精製し、所望の化合物をベージュ色固形物として得た(40mg、67%)。
【0174】

【0175】
G.7−メトキシ−6−メチル−4−(4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−ベンジル)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−クロメン−2−オン
【化35】

【0176】
4−(4−ヒドロキシベンジル)−7−メトキシ−6−メチル−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−クロメン−2−オン(50mg、0.113mmol)、KCO(48mg、0.35mmol)及び1−(2−クロロエチル)ピロリジン・HCl(24mg、0.14mmol)を水(100μL)を含むEtOH(1mL)に溶解した混合物を55℃にて5時間攪拌した。混合物を室温まで冷却し、CHCl−HOに注ぎ入れた。層を分離させ、水層をCHClで抽出(3回)した。有機層を合わせ、乾燥(MgSO)し、溶媒を減圧留去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(シリカゲル、40:1 CHCl:MeOH)を用いて精製し、所望の化合物をベージュ色固形物として得た(37mg、61%)。MS (ESI)m/z 537.9(M+H)+; HPLC tR 5.22 min。
【0177】
H.7−ヒドロキシ−6−メチル−4−(4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−ベンジル)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−クロメン−2−オン
【化36】

【0178】
7−メトキシ−6−メチル−4−(4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−ベンジル)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−クロメン−2−オン(50mg、0.093mmol)の1:1 48%HBr:AcOH(3mL)中の溶液を130℃で7時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、AcOEt/1M NaOH中に注ぎ入れた。層を分離させ、有機層をHO(2回)及び食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)させた。溶媒を減圧留去した。残渣を逆相HPLCを用いて精製し、続いてAcOEt/NaHCOで抽出し、所望の化合物を黄色固形物として得た(25mg、52%)。
【0179】

【実施例2】
【0180】
5.2 実施例2:3−(2,4−ジクロロフェニル)−7−ヒドロキシ−6−メチル−4−(4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−ベンジル)−クロメン−2−オンの合成
上記の標題化合物の合成を、実施例1のプロトコールに従って、但しステップBにおいて2,4−ジクロロフェニル酢酸を4−(トリフルオロメチル)フェニル酢酸の代わりに用いて実施した。
【化37】

【0181】

【実施例3】
【0182】
5.3 実施例3:3−(2,4−ジクロロフェニル)−7−ヒドロキシ−8−メチル−4−(4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−ベンジル)−クロメン−2−オンの合成
A.1−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−エタノン
【化38】

【0183】
3−メトキシフェノール(44.69kg、360mol)及び4−ヒドロキシフェニル酢酸(68.5kg、450mol)を144Lのクロロベンゼンに懸濁した懸濁液に窒素ガスを通気した。三フッ化ホウ素ジエチルエーテル(177L、1440mol)を20〜25℃で添加した。得られた懸濁液を80℃に加熱し、4〜5時間攪拌した後、5〜10℃に冷却し、一晩攪拌した。
【0184】
得られた赤色/橙色固形物(所望ではない異性体)の沈殿物をN圧で濾別し、濾液を氷/HOに注ぐことによって急冷した。所望ではない異性体を含む濾過ケーキをCHClで洗浄し、水溶液のpHが6〜7に達するまで80%NaCO(水溶液)をゆっくり添加することによって溶液中の三フッ化ホウ素エーテルをクエンチした。気体の発生が観察され、生成物が溶液から沈殿し、橙色の懸濁液を形成した。橙色の懸濁液を20℃で一晩攪拌し、その後濾過した。得られた濾過ケーキをHO及びMTBEで洗浄し、一晩乾燥することによって、所望の生成物(38kg、42%収量、HPLC純度95.1%a/a)を得た。
【0185】

【0186】
B.3−(2,4−ジクロロフェニル)−4−(4−ヒドロキシベンジル)−7−メトキシ−クロメン−2−オン
【化39】

【0187】
上記の標題化合物は、実施例1Bに記載の方法を用いて、但し2,4−ジクロロフェニル酢酸を4−トリフルオロメチルフェニル酢酸の代わりに用いて調製した。20gのケトン(77.5mmol)及び31.6gの酸(155mmol)によって、27.52gの生成物(83%)が得られた。
【0188】

【0189】
C.4−(4−(2−ブロモエトキシ)−ベンジル)−3−(2,4−ジクロロフェニル)−7−メトキシ−クロメン−2−オン
【化40】

【0190】
3−(2,4−ジクロロフェニル)−4−(4−ヒドロキシベンジル)−7−メトキシ−クロメン−2−オン(6.4g、15.0mmol)、1,2−ジブロモエタン(12.9mL、149.8mmol)及びKCO(4.14g、30mmol)のアセトン(65mL)中の混合物を還流温度で20.5時間攪拌した。その時点でKCO(241.6mg、1.75mmol)及び1,2−ジブロモエタン(3.2mL、37.5mmol)の別の部分を添加し、さらにもう1回7.5時間後に添加した。さらに20時間にわたり加熱を継続して、総反応時間48時間とした。得られた混合物を室温まで冷却し、CHCl/HOに注ぎ入れた。層を分離させ、水層をCHClで抽出(2回)した。有機層を合わせ、食塩水で洗浄(2回)し、乾燥(MgSO)し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィ(300gシリカゲル、4.5:1:1→4:1:1→3:1:1 ヘキサン:CHCl:AcOEt)を用いて精製し、回収された出発物質(2.054g、32%)に加えて標題化合物を白色固形物として得た(4.851g、61%)。
【0191】

【0192】
D.4−(4−(2−ブロモエトキシ)−ベンジル)−3−(2,4−ジクロロフェニル)−7−ヒドロキシ−クロメン−2−オン
【化41】

【0193】
4−(4−(2−ブロモエトキシ)−ベンジル)−3−(2,4−ジクロロフェニル)−7−メトキシ−クロメン−2−オン(4.0g、7.49mmol)、AlCl(5.89g、44.2mmol)及びEtSH(2.77mL、37.4mmol)のCHCl(200mL)中の混合物を室温で2.5時間攪拌した。混合物をCHCl/飽和NaHCO水溶液にゆっくり注ぎ入れた。得られた層を分離させ、水層をさらにCHClで抽出(3回)した。水層を2M NaOH水溶液でpH10にまで上昇させ、AcOEtで抽出(3回)した。各有機層を食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、有機層を合わせ、減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィ(250gシリカゲル、95:5→9:1 CHCl:AcOEt)を用いて精製し、標題化合物をオフホワイト固形物として単離した(3.454g、89%)。
【0194】

【0195】
E.4−(4−(2−ブロモエトキシ)−ベンジル)−3−(2,4−ジクロロフェニル)−7−ヒドロキシ−8−ヨード−クロメン−2−オン
【化42】

【0196】
4−(4−(2−ブロモエトキシ)−ベンジル)−3−(2,4−ジクロロフェニル)−7−ヒドロキシ−クロメン−2−オン(2.734g、5.26mmol)をNHOH(22mL)、MeOH(55mL)及びCHCl(33mL)に溶解した溶液に、I(1.334g、5.26mmol)を添加し、得られた混合物を室温で30分間攪拌した。続いて4M HCl水溶液を添加して水層のpHを5に低下させた。得られた層を分離させ、水層をAcOEtで抽出(3回)した。有機層を合わせ、食塩水で洗浄(2回)し、乾燥(MgSO)し、減圧濃縮した。残渣のベージュ色固形物(3.25g、96%)をさらに精製することなく次のステップで直接使用した。
【0197】

【0198】
F.3−(2,4−ジクロロフェニル)−7−ヒドロキシ−8−ヨード−4−(4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−ベンジル)−クロメン−2−オン
【化43】

【0199】
4−(4−(2−ブロモエトキシ)−ベンジル)−3−(2,4−ジクロロフェニル)−7−ヒドロキシ−8−ヨード−クロメン−2−オン(1.90g、2.94mmol)を無水THF(20mL)に懸濁した攪拌懸濁液にピロリジン(1.46mL、17.6mmol)を添加し、得られた黄色溶液を85℃で1.5時間過熱した。得られた混合物を室温に冷却し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をCHClに溶解し、HO及び食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)させた。有機層を減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィ(200gシリカゲル、12:1→9:1→85:15 CHCl:MeOH)を用いて精製し、標題化合物を黄色固形物として得た(1.87g、100%)。
【0200】

【0201】
G.3−(2,4−ジクロロフェニル)−7−ヒドロキシ−8−メチル−4−(4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−ベンジル)−クロメン−2−オン
【化44】

【0202】
3−(2,4−ジクロロフェニル)−7−ヒドロキシ−8−ヨード−4−(4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−ベンジル)−クロメン−2−オン(1.85g、2.91mmol)、KCO(1.21g、8.75mmol)、トリメチルボロキシン(427μL、3.05mmol)及びPd(PhP)(336mg、0.29mmol)の無水ジオキサン(22mL)中の混合物を還流温度で2.5時間攪拌した。得られた緑色懸濁液を室温まで冷却した後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をCHClに溶解し、有機層をHO及び食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)し、減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィ(125gシリカゲル、8:0.5:0.5→7:0.5:0.5 CHCl:MeOH:AcOEt→9:1 CHCl:MeOH)を用いて精製し、黄色固形物を得た後、さらに逆相HPLCを用いて精製した(その後CHCl/NaHCOで抽出した)。標題化合物を黄色固形物として単離した(220.4mg、14%)。
【0203】

【実施例4】
【0204】
5.4 実施例4:8−アセチル−3−(2,4−ジクロロフェニル)−7−ヒドロキシ−4−(4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−ベンジル)−クロメン−2−オンの合成
【化45】

【0205】
上記の実施例3に記載の通りにステップA〜Fを実施し、ステップGを以下のステップH及びIと置き換えた。
【0206】

3−(2,4−ジクロロフェニル)−7−ヒドロキシ−8−ヨード−4−(4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−ベンジル)−クロメン−2−オン(187mg、0.294mmol)、トリブチル(1−エトキシビニル)スズ(119μL、0.353mmol)、及びPd(PhP)(34mg、0.0294mmol)の無水ジオキサン(6mL)中の混合物を還流温度で2時間攪拌した。室温まで冷却した後、1M HCl水溶液を添加し、得られた混合物を20分間攪拌した。CHClを添加し、層を分離させた。水層をさらにCHClで抽出(2回)した。有機層を合わせ、乾燥(MgSO)し、減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュクロマトグラフィ(シリカゲル、19:1→9:1 CHCl:MeOH)を用いて精製し、淡褐色固形物(48mg、HPLCにより84%の純度)を得た後、それをAcOEt/ヘキサンから再結晶して、標題化合物を黄色固形物として得た(22mg、14%)。
【0207】

ステップHの生成物を2−プロパノール/濃HClの混合物に溶解した。室温で20分間攪拌後、溶媒をエバポレートした。得られた固形物をEtO中で摩砕し、濾過して、標題化合物をHCl塩の形態で12mg得た。
【0208】


【実施例5】
【0209】
5.5 実施例5:3−(4−クロロフェニル)−7−ヒドロキシ−8−ヨード−4−{(4−(2−ピペリジルエトキシ)フェニル)メチル}2H−クロメン−2−オンの合成
【化46】

【0210】
メタノール(10mL)中に3−(4−クロロフェニル)−7−ヒドロキシ−4−{(4−(2−ピペリジルエトキシ)フェニル)メチル}−2H−クロメン−2−オン(0.500g)を含む溶液に、水酸化アンモニウム(3mL)及びヨウ素原子(0.259g)を添加した。反応混合物を室温で10分間攪拌させた。溶媒を減圧留去した。得られた固形物を塩化メチレン(3回)及び水で抽出した。有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥させた。硫酸マグネシウムを濾別し、溶媒を減圧留去し、黄色固形物を得た。固形物を分取用HPLC(20〜50%アセトニトリル/水、20mL/分)で精製し、標題化合物を得た(0.290g、46%収量)。
【0211】

【実施例6】
【0212】
5.6 実施例6:3−(4−クロロフェニル)−7−ヒドロキシ−2−オキソ−4−{4−(2−ピペリジルエトキシ)フェニル}−2H−クロメン−8−カルボニトリル−2−オンの合成
【化47】

【0213】
3−(4−クロロフェニル)−7−ヒドロキシ−8−ヨード−4−{(4−(2−ピペリジルエトキシ)フェニル)メチル}−2H−クロメン−2−オン(実施例5で記載の通り調製)(1.50g)のジメチルホルムアミド(30mL)中の溶液にシアン化銅(1.05g)を添加した。ネジ口フラスコ中で溶液を120℃にて18時間加熱した。室温まで冷却後、溶媒を減圧留去した。得られた油を塩化メチレン及び水で抽出した。有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥させた。硫酸マグネシウムを濾別し、溶媒を減圧留去した。粗製固形物を分取用HPLC(30〜65%アセトニトリル/水、20mL/分、30分)で精製し、標題化合物を得た(0.125g、10%収量)。MS (m/z) 515 (M+1)+
【実施例7】
【0214】
5.7 実施例7:7−ヒドロキシ−8−プロプ−2−エニル−4−{(4−(2−ピロリジニルエトキシ)フェニル)メチル}−3−(4−トリフルオロメチル)フェニル)−2H−クロメン−2−オンの合成
【化48】

【0215】
A.7−プロプ−2−エニルオキシ−4−{(4−(2−ピロリジニルエトキシ)フェニル)メチル}−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−2H−クロメン−2−オン
7−ヒドロキシ−4−{(4−(2−ピロリジニルエトキシ)フェニル)メチル}−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−2H−クロメン−2−オン(0.550g)のテトラヒドロフラン(6mL)及び塩化メチレン(6mL)中の溶液に、アリルアルコール(0.226mL)及びトリフェニルホスフィン(0.641g)を添加した。続いてその溶液にジイソプロピルアゾジカルボキシレート(0.437mL)を滴下した。得られた混合物を約1時間にわたり(又は出発物質が消費されるまで)攪拌した。溶液を減圧濃縮し、塩化メチレン(3回)及び水で抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、硫酸マグネシウムを濾別し、溶媒を減圧濃縮して橙色油を得た。この油をシリカゲルクロマトグラフィ(6〜10%メタノール/塩化メチレン)で精製し、7−プロプ−2−エニルオキシ−4−{(4−(2−ピロリジニルエトキシ)フェニル)メチル}−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−2H−クロメン−2−オンを得た(0.245g、40%収量)。MS (m/z) 550 (M+1)+
【0216】
B.7−ヒドロキシ−8−プロプ−2−エニル−4−{(4−(2−ピロリジニルエトキシ)フェニル)メチル}−3−(4−トリフルオロメチル)フェニル)−2H−クロメン−2−オン
7−プロプ−2−エニルオキシ−4−{(4−(2−ピロリジニルエトキシ)フェニル)メチル}−3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−2H−クロメン−2−オン(0.150g)をジエチルアニリン(4mL)中に溶解し、190℃で2時間攪拌した。得られた溶液を塩化メチレン(3回)及び1M塩酸で抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾別し、溶媒を減圧留去して粗製褐色固形物を得た。固形物を分取用HPLC(40〜100%アセトニトリル/水、20mL/分)で精製し、標題化合物を得た(0.027g、18%収量)。
【0217】

【実施例8】
【0218】
5.8 実施例8:8−((ジメチルアミノ)メチル)−3−(4−クロロフェニル)7−ヒドロキシ−4−{(−(2−ピペリジルエトキシ)フェニル)メチル}−2H−クロメン−2−オンの合成
【化49】

【0219】
37%ホルムアミドを含む水溶液(0.414mL)に、2.0Mジメチルアニリン(2.5mL)を添加した。溶液を室温で15分攪拌し、それを、7−ヒドロキシ−4−{(4−(2−ピロリジニルエトキシ)フェニル)メチル}−3−(4−トリフルオロメチル)フェニル)−2H−クロメン−2−オン(0.250g)をメタノール(5mL)及び塩化メチレン(2mL)に溶解した溶液に添加した。得られた混合物を約3時間にわたって(又は薄層クロマトグラフィにより出発物質が可視検出できなくなるまで)70℃に過熱した。溶媒を減圧留去し、得られた油を塩化メチレン(3回)及び重炭酸ナトリウム溶液で抽出した。有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥し、硫酸マグネシウムを濾別し、溶媒を減圧留去した。得られた油を分取用HPLC(20〜50%アセトニトリル/水、20mL/分、30分)で精製して、標題化合物(0.130g、46%収率)を得た。
【0220】

【実施例9】
【0221】
5.9 実施例9:6−ブロモ−7−ヒドロキシ−4−(4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−ベンジル)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−クロメン−2−オンの合成
【化50】

【0222】
A.1−(5−ブロモ−2−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−エタノン
【化51】

【0223】
臭素(3.6mL、75.6mmol)の酢酸(50mL)溶液を、1−(2−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−エタノン(20g、77.4mmol)の酢酸(500mL)溶液に攪拌しながら滴下し、反応混合物を8時間攪拌した。続いて酢酸を減圧留去し、得られた固体をメタノール/水から再結晶して、8.9gの粗生成物を得た。さらに逆相分取用HPLC(preparatory HPLC)(30〜100%アセトニトリル+0.1%TFA水溶液+0.1%TFAで18分間、続いて100%アセトニトリルで15分間)を用いた精製によって分画し、それを続いて重炭酸ナトリウムで中和し、酢酸エチルで抽出した。有機画分を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧留去し、標題化合物(4.8g、18%)を得た。MS (ESI)m/z 337.3 (M+1)+, 339.3 (M+1+2)+
【0224】
B.6−ブロモ−4−(4−ヒドロキシ−ベンジル)−7−メトキシ−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−クロメン−2−オン
【化52】

【0225】
1−(5−ブロモ−2−ヒドロキシ−4−メトキシ−フェニル)−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−エタノン(0.64g、1.9mmol)、4−トリフルオロメチルフェニル酢酸(0.78g、3.8mmol)、カルボニルジイミダゾール(0.62g、3.8mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン(0.12g、1.0mmol)及び炭酸カリウム(0.52g、3.8mmol)のDMF(15mL)中の混合物を80℃油浴中で一晩に加熱した。冷却した反応混合物を水に注ぎ入れ、EtOAcで抽出した。有機抽出物を合わせ、水及び飽和塩化ナトリウムで連続して洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して、減圧濃縮した。得られた物質をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィ(1:2のEtOAc:ヘキサン)を用いた精製によって、標題化合物(0.82g、85%)を得た。MS (ESI)m/z 505.0 (M+1)+, 507.0(M+1+2)+
【0226】
C.6−ブロモ−7−メトキシ−4−(4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)ベンジル)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−クロメン−2−オン
【化53】

【0227】
6−ブロモ−4−(4−ヒドロキシ−ベンジル)−7−メトキシ−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−クロメン−2−オン(0.70g、1.4mmol)及びトリフェニルホスフィン(0.73g、2.8mmol)のTHF(40mL)溶液に、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン(0.65mL、5.6mmol)及びジイソプロイルアゾジカルボキシレート(azodicaroxylate;0.55mL、2.8mmol)を連続的に添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を水に注ぎ入れ、EtOAcで抽出した。有機抽出物を合わせ、水及び飽和塩化ナトリウムで連続して洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して、減圧濃縮した。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィ(CHCl中10%メタノール)を用いた精製によって、固形の標題化合物(0.44g、53%)を得た。MS (ESI)m/z 602.3 (M+1)+, 604.3 (M+1+2)+
【0228】
D.6−ブロモ−7−ヒドロキシ−4−(4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−ベンジル)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−クロメン−2−オン
【化54】

【0229】
酢酸(10mL)中の6−ブロモ−7−メトキシ−4−(4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−ベンジル)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−クロメン−2−オンの溶液(0.20g、0.3mmol)及び臭化水素を一晩過熱還流した。冷却後、過剰の酢酸を減圧留去した。得られた残渣を酢酸エチルに溶解し、飽和重炭酸ナトリウム、水及び飽和塩化ナトリウムで連続して洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮して粗生成物を得た。逆相分取HPLC(20〜80%アセトニトリル+0.1%TFA水溶液+0.1%TFA、30分)を用いた精製によって分画し、それを続いて重炭酸ナトリウムで中和し、酢酸エチルで抽出した。有機画分を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮し、標題化合物(>98%純度、45.0mg、23%)を得た。
【0230】

【実施例10】
【0231】
5.10 実施例10:さらなる代表的なベンゾピラノン化合物
以下の表1は、代表的なベンゾピラノン化合物を示す。これらのベンゾピラノン化合物は、本明細書に開示される方法を用いて得ることができる。
【0232】
表1
代表的なベンゾピラノン化合物
【化55】

【0233】
及びその薬学的に許容される塩。
【0234】
〔式中は以下の通りである〕
【表1】


【実施例11】
【0235】
IL−6放出の阻害
例示的なベンゾピラノン化合物を、ヒトER−α又はER−βにより安定にトランスフェクトされたヒトU−2 OS骨肉腫細胞からのIL−6放出を阻害するその能力について試験した(Stein, B.; Yang, M.X. Mol. Cell. Biol. 15:4971-4979, 1995; Poli, V. et. al., EMBO J 13:1189-1196, 1994)。対照として、ER−α又はER−βを検出可能なレベルで発現しない非トランスフェクトU−2 OS親細胞株からのIL−6放出を測定した。IC50<100nMのベンゾピラノン化合物は、特にin vivoにおける骨吸収阻害剤として有用である。したがって、ベンゾピラノン化合物は、骨粗鬆症、ページェット病および転移性骨癌の治療に特に有用である。また、IL−6レベルの上昇がある種の癌、例えば多発性骨髄腫、前立腺癌、卵巣癌、腎臓癌および子宮頸癌の原因となることから、これらのベンゾピラノン化合物は抗癌剤としても有用である。
【0236】
ヒトU−2 OS骨肉腫細胞(ATCC)を、標準的な分子生物学技術を使用してヒト完全長ER−α又はER−βの発現ベクターにより安定にトランスフェクトした。高レベルのER−α又はER−β mRNAを発現する安定なサブクローンが生成された。ER−α又はER−βの発現を、RNアーゼ保護分析を使用して確認した。U−2 OS親細胞は測定可能な量のER−α又はER−βを発現しなかった。
【0237】
細胞を、チャコール精製ウシ胎仔血清を含むフェノールレッド非含有培地にウェルあたり細胞80,000個の密度で96ウェルプレートに平板化した。24時間後に、細胞をビヒクル(0.2%DMSO)またはベンゾピラノン化合物(0.2%DMSO中0.01〜1000nM)で処理した。30分後、2.5ng/mlのTNFαおよび1ng/mlのIL−1βにより細胞を刺激した。24時間後に、市販のELISAキットを使用し、製造業者のマニュアルに従い、サイトカイン産生(IL−6)について培地上清を分析した。ビヒクル(0.2%DMSO)の存在下のサイトカイン産生を100%とした。
【0238】
結果(表2)は、ビヒクルの存在下で生成されたIL−6の量に対してIL−6の生成を50%阻害するのに十分なベンゾピラノン化合物の濃度であるIC50(nM)値として表す。結果は、例示ベンゾピラノン化合物がIL−6の放出を阻害し、したがって骨吸収疾患の治療または予防に有用であることを示している。
【実施例12】
【0239】
MCF−7乳癌細胞増殖の阻害
本実施例は、MCF−7乳癌細胞の17β−エストラジオール依存性増殖をin vitroで阻害する例示的なベンゾピラノン化合物の能力を示し、その活性を対照SERMのものと比較するものである。MCF−7細胞は、エストロゲン依存性乳癌増殖に対する化合物の効果を研究するための優れたin vitro系となる(May, F.E.B.; Westley, B.R. J. Biol. Chem. 262:15894-15899, 1987)。IC50<100nMのベンゾピラノン化合物は、特にin vivoにおける抗乳癌剤として有用である。
【0240】
MCF−7乳癌細胞を、1%抗生物質、0.05%メルカプトエタノール、0.01%エタノールアミン、0.42ng/mL亜セレン酸ナトリウムおよび5%チャコール精製FCSを含むフェノールレッド非含有DMEM:F−12(1:1)培地に、ウェルあたり5×10細胞の密度で24ウェルプレートに平板化した。
【0241】
例示的なベンゾピラノン化合物(0.2%DMSO中0.1〜1000nM)および0.1nM 17β−エストラジオールを、培養MCF−7乳癌細胞に72時間添加した。その後、H標識チミジンを加え、4時間培養した後その細胞中への取り込みを測定した。結果(表2)は、対照に対してMCF−7乳癌細胞の増殖を50%阻害するのに十分なベンゾピラノン化合物の濃度であるIC50(nM)値として表す。結果は、例示的なベンゾピラノン化合物はMCF−7乳癌細胞の増殖を抑制し、したがって患者の乳癌の治療または予防に有用であることを示している。
【表2】



【0242】
したがって、上記表2に示したように、実施例11及び12のin vitroでの結果は、ベンゾピラノン化合物が骨吸収疾患および癌の治療または予防に有用であることを示している。
【実施例13】
【0243】
BG−1卵巣癌細胞増殖の阻害
本アッセイは、BG−1卵巣癌細胞の17β−エストラジオール依存性増殖をin vitroで阻害する例示的なベンゾピラノン化合物の能力を示すのに有用であり、その能力を対照SERMのものと比較するものである。BG−1細胞は、卵巣腫瘍増殖に対する抗エストロゲン化合物の効果を評価するための有用なin vitroモデルとなる(Greenberger, L.M. et. al., Clin. Cancer Res. 7:3166-3177, 2001)。
【0244】
BG−1卵巣癌細胞を、1%抗生物質、0.05%メルカプトエタノール、0.01%エタノールアミン、0.42ng/mL亜セレン酸ナトリウムおよび5%チャコール精製FCSを含むフェノールレッド非含有DMEM:F−12(1:1)培地に、ウェルあたり5×10細胞の密度で24ウェルプレートに平板化する。例示的なベンゾピラノン化合物(0.2%DMSO中0.1〜1000nM)および0.1nM 17β−エストラジオールを培養BG−1卵巣癌細胞に添加し、72時間インキュベートする。その後、H標識チミジンを加え、4時間インキュベートした後その細胞中への取り込みを測定する。結果は、対照に対してBG−1卵巣癌細胞の増殖を50%阻害するのに必要なベンゾピラノン化合物の濃度であるIC50(nM)値として表す。例示的なベンゾピラノン化合物がBG−1卵巣癌細胞の増殖を抑制する能力は、患者の卵巣癌の治療または予防に有用であることを示しうる。
【実施例14】
【0245】
ラット薬物動態学的(PK)分析
ラットPKカセット標準アッセイ
例示的なベンゾピラノン化合物及び内部標準ラロキシフェンを5mg/kg体重の投与量レベルで経口胃管注入によりラットに投与する。投与後15分〜24時間にわたって経時的に血液サンプルを採取する。血液サンプルをアセトニトリル沈降により調製し、遠心分離し、上清を減圧遠心分離機で蒸発させる。乾燥残渣を1%のギ酸を含むメタノール/水(60:40(v/v))に溶解し、UPTISPHERETMC18逆相HPLCカラム(粒径3μm、カラムサイズ2×50mm)でHPLCにより分析する。溶離液Aは0.1%ギ酸を含む10%アセトニトリル水溶液(pH2.1)であり、溶離液Bはを10%の水および0.1%のギ酸を含む90%アセトニトリル(pH2.1)である。カラムコンパートメント内50℃の一定温度で5〜100%のBの直線濃度勾配を7分間負荷し、その後3分間100%のBを維持する。流速は0.4ml/分で一定に保持する。サンプル注入量は10μLとする。HPLC系からの流れをAgilent 1100シリーズMS−検出器(単一四極質量分析器)のイオン源に直接導入し、大気圧エレクトロスプレーイオン化(ポジティブモード)にかける。全ての化合物がプロトン化準分子イオン(M+H)として検出される。ラロキシフェンを分析内部標準として使用する。化合物の血液濃度の定量は、外部および内部標準のストック溶液を加えたブランクラット血液サンプルを使用した7レベル検量線(三回の測定)に基づいて行う。
【0246】
ラットPKカセットの確認
ラロキシフェン単独を、4匹の雌性ラットにそれぞれ3mg/kg経口投与する。血液サンプルを上記のように採取し分析する。この確認試験から得られる薬物動態学的データをカセット投薬実験において得られるラロキシフェンのデータと比較して潜在的な薬物動態学的相互作用をチェックする。生物学的な変動の典型的な範囲(個々のパラメーターについて最大約±50%)を上回っている偏差を、カセット中での化合物の間の薬物動態学的相互作用を強く示すものであると考え、それぞれのデータは廃棄する。
【実施例15】
【0247】
カニクイザルにおける、静脈内及び経口投与後の例示的なベンゾピラノン化合物の薬物動態プロファイル
ベンゾピラノン化合物を、静脈内(iv)投与は0.5mg/kgで、経口(po)投与は1.0mg/kgで投与する。iv投与については、10mgの化合物を0.4mLの1−メチル−2−ピロリドンに溶解し、PEG200で2mLに調整し、5mg/mLの濃度とする。
【0248】
ベンゾピラノン化合物は、懸濁液として経口投与する。懸濁液は、20mgの化合物を1.0%ヒドロキシプロピルセルロース(HPC、w/c)中の2.5%(w/v)リンゴ酸の溶液約18mLに溶解することにより調製する。その後、1N NaOHを用いてpHをpH4.5に調整し、容量を20mLに調整する。これにより、試験化合物の最終濃度が1.0mg/mLとなる。
【0249】
ベンゾピラノン化合物は、伏在静脈中に静脈内注射する(注射量は0.1mL/kgであり、注射時間は約30秒である)。経口投与は、栄養管を用いて実施する(適用量は1mL/kgであり、10mlの水と共に注ぐ)。ベンゾピラノン化合物は、各投与方法につき2匹の動物に投与する(iv及びpoについてn=2)。
【0250】
血液サンプル(各時点で約0.5ml)を静脈穿刺により伏在静脈又は橈側皮静脈からEDTAコーティングチューブに採取し、直ぐに氷上に置いて、−20℃で凍結保存する。
【0251】
実験は以下のタイムスケジュールで実施する:
(a)未処置動物における血液サンプル採取(0時、基線);
(b)試験化合物の投与;
(c)投与後5分、15分、30分、60分、120分、180分、240分、420分、24時間及び48時間の時点における血液サンプル採取(iv及びpo投与)。
【0252】

表3
研究動物及び薬物治療
動物 処置 用量 経路
1 ベンゾピラノン化合物 0.5mg・kg−1 iv
2 ベンゾピラノン化合物 0.5mg・kg−1 iv
3 ベンゾピラノン化合物 1.0mg・kg−1 po
4 ベンゾピラノン化合物 1.0mg・kg−1 po
【0253】
本発明は、本発明のいくつかの態様の例示であることを意図する実施例中に記載した具体的な実施形態の範囲に限定されるものではなく、機能的に等価であるいかなる実施形態も本発明に包含されるものである。実際、本明細書に示し、記載したものの他、本発明を種々改変したものは当業者に明らかであり、それらは添付の特許請求の範囲に包含されるものである。
多くの参考文献を引用したが、それらのすべての開示はその全体を参照により本明細書に組み入れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の構造:
【化1】

〔式中、
X及びYは、独立して水素、ハロゲン、又は(ハロ)(C1−6アルキル)であり、
nは1、2又は3であり、
以下(a)、(b)又は(c):
(a)Rが水素であり、Rがハロゲン、ヒドロキシ、−(C1−6アルキル)、ビニル、−(C2−6アルキニル)、−C(O)O(C1−6アルキル)、−(ヒドロキシ)(C1−6アルキル)、−(アミノ)(C1−6アルキル)、−(CH−O−(C1−6アルキル)、−C(O)(C1−6アルキル)、−(CH−フェニル、−(3〜7員の単環式複素環)、−COOH、−C(O)H、又は−CNである、
(b)Rが水素であり、Rがハロゲン、ヒドロキシ、−(C1−6アルキル)、−(C2−6アルケニル)、−(C2−6アルキニル)、−C(O)O(C1−6アルキル)、−(ヒドロキシ)(C1−6アルキル)、−(アミノ)(C1−6アルキル)、−(CH−O−(C1−6アルキル)、−C(O)(C1−6アルキル)、−(CH−フェニル、−(3〜7員の単環式複素環)、−COOH、−C(O)H、又は−CNである、
(c)R及びRが−CHである
のいずれかである〕
を有する化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
化合物が、下記の構造:
【化2】


を有する又はその薬学的に許容される塩である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
下記の構造:
【化3】

を有する化合物又はその薬学的に許容される塩の製造方法であって、
下記の構造:
【化4】

を有する化合物又はその薬学的に許容される塩を脱メチル化するステップを含み、
上記式中、
X及びYは、独立して水素、ハロゲン、又は(ハロ)(C1−6アルキル)であり、
nは1、2又は3であり、
以下(a)、(b)又は(c):
(a)Rが水素であり、Rがハロゲン、ヒドロキシ、−(C1−6アルキル)、ビニル、−(C2−6アルキニル)、−C(O)O(C1−6アルキル)、−(ヒドロキシ)(C1−6アルキル)、−(アミノ)(C1−6アルキル)、−(CH−O−(C1−6アルキル)、−C(O)(C1−6アルキル)、−(CH−フェニル、−(3〜7員の単環式複素環)、−COOH、−C(O)H、又は−CNである、
(b)Rが水素であり、Rがハロゲン、ヒドロキシ、−(C1−6アルキル)、−(C2−6アルケニル)、−(C2−6アルキニル)、−C(O)O(C1−6アルキル)、−(ヒドロキシ)(C1−6アルキル)、−(アミノ)(C1−6アルキル)、−(CH−O−(C1−6アルキル)、−C(O)(C1−6アルキル)、−(CH−フェニル、−(3〜7員の単環式複素環)、−COOH、−C(O)H、又は−CNである、
(c)R及びRが−CHである
のいずれかである、上記方法。
【請求項4】
骨吸収疾患の治療又は予防方法であって、請求項1記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩の有効量を該治療又は予防が必要な患者に投与することを含む上記方法。
【請求項5】
骨吸収疾患が、骨粗鬆症、転移性骨癌、高カルシウム血症、整形外科用インプラントによる溶骨性病変、ページェット病、又は副甲状腺機能亢進症に関連する骨量減少である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
新生物疾患の治療又は予防方法であって、請求項1記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩の有効量を該治療又は予防が必要な患者に投与することを含む上記方法。
【請求項7】
新生物疾患が癌である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
癌が、頭頸部、眼、皮膚、口腔、舌、食道、胸部、骨、血液、肺、結腸、S字結腸、直腸、胃、前立腺、乳房、卵巣、子宮、腎臓、肝臓、膵臓、脳、小腸、心臓又は副腎の癌である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
癌が、子宮、卵巣又は乳房の癌である、請求項7記載の方法。
【請求項10】
骨細胞におけるERの機能を活性化する方法であって、請求項1記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩の有効量を該治療又は予防が必要な患者に投与することを含む上記方法。
【請求項11】
細胞が骨肉腫細胞である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
乳癌細胞、卵巣癌細胞、子宮内膜癌細胞、子宮癌細胞、前立腺癌細胞又は視床下部癌細胞におけるERの機能を抑制する方法であって、該細胞を請求項1記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩の有効量と接触させることを含む上記方法。
【請求項13】
IL−6の発現を阻害する方法であって、ER及びIL−6を発現可能な細胞を請求項1記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩の有効量と接触させることを含む上記方法。
【請求項14】
細胞が骨細胞である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
ERを発現可能な新生物細胞の増殖を抑制する方法であって、ERを発現可能な新生物細胞を請求項1記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩の有効量と接触させることを含む上記方法。
【請求項16】
細胞が癌細胞である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
エストロゲンの存在によって悪化する疾患の治療又は予防方法であって、請求項1記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩の有効量を該治療又は予防が必要な患者に投与することを含む上記方法。
【請求項18】
疾患が癌である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
エストロゲンの存在により改善される疾患の治療又は予防方法であって、請求項1記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩の有効量を該治療又は予防が必要な患者に投与することを含む上記方法。
【請求項20】
疾患が骨吸収疾患である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
子宮内膜症、高コレステロール血症、前立腺肥大、前立腺癌、肥満、のぼせ、表皮効果、気分変動、記憶喪失、更年期障害、脱毛(脱毛症)、II型糖尿病、アルツハイマー病、尿失禁、胃腸管症状、損傷後の血管保護、中枢神経作用、座瘡又は白内障の治療又は予防方法であって、請求項1記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩の有効量を該治療又は予防が必要な患者に投与することを含む上記方法。
【請求項22】
心血管疾患、多毛症、多発性骨髄腫又はリンパ腫の治療又は予防方法であって、請求項1記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩の有効量を該治療又は予防が必要な患者に投与することを含む上記方法。
【請求項23】
精子形成の防止方法であって、請求項1記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩の有効量を該防止が必要な患者に投与することを含む上記方法。
【請求項24】
環境化学物質への暴露又は天然のホルモン失調に関連する有害な生殖毒性を防止する方法であって、請求項1記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩の有効量を該防止が必要な患者に投与することを含む上記方法。
【請求項25】
請求項1記載の化合物又は該化合物の薬学的に許容される塩の有効量、及び薬学的に許容される担体又はビヒクルを含む組成物。

【公表番号】特表2007−505835(P2007−505835A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526419(P2006−526419)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/030141
【国際公開番号】WO2005/028472
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(504135550)シグナル ファーマシューティカルズ,エルエルシー (21)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】