説明

ベンゾフランの調製及び合成中間体としてのその使用

本発明は、ドロネダロンの調製における中間体である式(3)の化合物、N−(2−ブチルベンゾフラン−5−イル)−N−(メチルスルホニル)メタンスルホンアミドを調製するための幾つかの合成方法を提供する。本発明はさらに、式(3)の2−ブチル−5−ビス(メタンスルホン)−アミドベンゾフランをドロネダロンに変換する工程を含み、式(3)の2−ブチル−5−ビス(メタンスルホン)−アミドベンゾフランが本発明の方法によって調製されるドロネダロンの調製方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンゾフランの調製方法及び合成中間体としてのその使用に関する。さらに詳しくは、本発明は、2−ブチル−3−(4−[3−(ジブチルアミノ)プロピル]−ベンゾイル)−5−(メタンスルホンアミド)ベンゾフラン(ドロネダロン)の調製における中間体であるN−(2−ブチルベンゾフラン−5−イル)−N−(メチルスルホニル)メタンスルホンアミド及び薬学上許容可能なその塩を調製するための幾つかの代替方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
ドロネダロン塩酸塩(SR33589又はムルタクとしても知られる)心臓の不整脈(不規則な心拍)の適応で主として使用される薬剤である。それは2009年7月1日にFDAにより認可され、心房細動又は心房粗動(心臓の鼓動の障害)の既往を持つ患者にて正常な心臓の鼓動を維持するのに役立っている。その薬剤は心臓が正常な鼓動に戻っている患者又は薬剤を服用して、若しくは電気ショック治療を受けて正常な心拍を回復している患者での使用が意図される。
【0003】
化学的にはドロネダロンは、高いヨウ素含量による毒性(肺線維症、甲状腺疾患)と同様に肝疾患によってその使用が限定される一般向けの抗不整脈剤であるアミオダロンに関連するベンゾフラン誘導体である。ドロネダロンでは、ヨウ素部分が取り除かれ、甲状腺やそのほかの臓器への毒性効果を低下させ、メチルスルホンアミド基を付加して脂肪における溶解性(脂溶性)を低下させたので、神経毒性効果が低下した。
【0004】
従って、ドロネダロンはアミオダロンよりも脂溶性が低く、はるかに少ない量の分布を有し、アミオダロンの数週間の半減期とは対照的に24時間の半減期を有する。これらの薬物動態特性の結果、ドロネダロンの投与はアミオダロンよりも良好な薬剤であり得る。
【0005】
ドロネダロンの調製及びその治療上の応用は欧州特許EP0471609に記載されている。この方法によれば、還流クロロホルム中でのトリフェニルホスフィンによる臭化2−ヒドロキシ−5−ニトロベンジルの処理は、臭化(2−ヒドロキシ−5−ニトロベンジル)トリフェニルホスホニウムを提供し、ピリジンの存在下で還流クロロホルム中にて臭化トリフェニルホスホニウムを塩化ペンタノイルと反応させ、次いで還流トルエン中にてEtNにより処理することによって、それを2−ブチル−5−ニトロベンゾフランに変換する。ジクロロエタン中にて四塩化スズを用いた塩化アニソイルによる5−ニトロベンゾフランのアシル化は、2−ブチル−3−(4−メトキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランを提供し、次いで還流ジクロロエタン中にて塩化アルミニウムで処理することによってそのメトキシ基をヒドロキシ基に変換し、2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランを生成する(スキーム1)
スキーム1
【化1】

【0006】
その後、還流ブタノンにてKCOを用いた2−ブチル−3−(4−ヒドロキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランのN,N−ジブチル−N−(3−クロロプロピル)アミンによる縮合によって2−ブチル−3−[4−(3−N,N−ブチルアミノ)プロポキシベンゾイル]−5−ニトロベンゾフランを生じ、次いでEtOH中にてPtO上でそれを水素化し、アミノ誘導体を得る。最終的に、こうして調製したアミノ誘導体をジクロロエタン中にて塩化メタンスルホニルとEtNと反応させ、次いでAcOEt/エチルエーテル中にてHClによる塩酸塩の形成によって標的生成物、ドロネダロン(1)を得る(スキーム)。
スキーム2
【化2】

【0007】
前述の方法のそのほかの既知の短所(たとえば、全体的な収率が低い多工程の合成、塩化アルミニウムの使用及びその高い排出量の高価な処理)に加えて、この方法は中間体として2−ブチル−3−(4−メトキシベンゾイル)−5−ニトロベンゾフランを利用する。この化合物は変異原性の特性を持ち、その使用はできるだけ回避されるべきであることが見い出された。(US2004/048921)。
【0008】
上述の欠点を回避するために、ルイス酸触媒としてのFeClの存在下で塩化4−[3−(ジブチルアミノ)−プロポキシ]−ベンゾイル塩酸塩による2−ブチル−5−ニトロベンゾフランのアシル化によってドロネダロンを調製することがEP1351907で提案された(スキーム3)。
スキーム3
【化3】

【0009】
EP1343777に記載されたさらなる改善では、2−ブチル−5−ニトロベンゾフランは、還元、塩化メタンスルホニルによるスルホン化、次いで塩化4−[3−(ジブチルアミノ)プロポキシ]ベンゾイルによるアシル化によってアミノ誘導体に変換される(スキーム4)
スキーム4
【化4】

【0010】
2−ブチル−5−ニトロベンゾフランの合成は、ドロネダロン調製の文脈で以下の特許及び出版物に記載されている:WO2008/139057;WO2008/139056;WO2008/152217;WO2001/028974;JP2002255954;US6,984,741;JP2002293776;J.Korean Chem.Soc.,2001,45,274,377;Org.Lett.,Vol.6,No.11,1761,2004;Eur.J.Org.Chem.2007,1491−1509。
【0011】
PCT国際特許公開WO2003/040120は、2−ブチル−5−ニトロベンゾフランの形成を介した2−ブチル−5−(メタンスルホンアミド)ベンゾフランの合成方法を開示している。方法は以下の工程から成る:
(a)アセチル基によるp−アニシジンの保護;
(b)N−[3−(2−ブロモヘキサノイル)−4−ヒドロキシフェニル]アセトアミドを得るための塩化アルミニウム又は臭化アルミニウムの存在下での塩化又は臭化2−ブロモヘキサノイルとのN−(4−メトキシフェニル)アセトアミドの反応;
(c)工程(b)で形成された化合物のベンゾフラノンへの環化、その後の水素化ホウ素ナトリウムによるN−(2−ブチル−3−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−5−ベンゾフラニル)アセトアミドへのその還元;
(d)2−ブチル−5−ベンゾフランアミンの固形酸付加塩を形成するためのN−(2−ブチル−3−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−5−ベンゾフラニル)アセトアミドの脱水とN−脱保護;
(e)N−(2−ブチル−5−ベンゾフラニル)メタンスルホンアミドを得るための無水メタンスルホン酸又は塩化若しくはフッ化メタンスルホニルとの、工程(d)で得た2−ブチル−5−ベンゾフランアミン遊離塩基の反応;
(f)ドロネダロン又は薬学上許容可能なその塩を得るための、上記工程(e)で得たN−(2−ブチル−5−ベンゾフラニル)メタンスルホンアミドの四塩化スズの存在下での塩化4−(3−ジブチルアミノプロポキシ)ベンゾイル塩酸塩によるFriedel−Craftsアシル化(スキーム5)。
スキーム5
【化5】

【0012】
Friedel−Crafts反応の条件下での2−ブチル−5−(メタンスルホンアミド)ベンゾフランのアシル化は、副反応、主として芳香族環及びNH基の窒素のアシル化のために有意な量の副産物を生じ得る。
【0013】
ドロネダロン調製の後期段階での副反応を有意に減らす又は妨げる入手し易い且つ安価な中間体を用いた産業レベルで実施することができるドロネダロン又は薬学上許容可能なその塩及び/又はドロネダロン中間体の調製方法に対して満たされていない要求がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本出願者らは、N−(2−ブチルベンゾフラン−5−イル)−N−(メチルスルホニル)メタンスルホンアミドと化学的に命名されている式(3)の化合物からドロネダロンを調製する方法を見い出した。
【化6】

【0015】
この中間体を用いてドロネダロンを調製する方法は以下の工程を含む:
(a)触媒の存在下で式(2)の酸誘導体により化合物(3)をアシル化して式(4)の化合物を得る工程と、その際、Aはハロゲン又はOC(O)Rであり、YはORであり、RはH、非置換又は置換のアルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、アラルキル又はシクロアルキルであり、又はシリル、エーテル及びエステルの型の保護基から選択されるO−保護基であり、好ましくは、YはO(CHNBuであり、Buはブチルである;(b)式(4)の化合物をドロネダロン又はその塩に変換する工程(スキーム6)
スキーム6
【化7】

【0016】
本出願者らは驚くべきことに、遊離の反応性NH基を有さず、嵩だかのビス(メタンスルホ)置換基を含有するN−(2−ブチルベンゾフラン−5−イル)−N−(メチルスルホニル)メタンスルホンアミドのアシル化反応が副反応なしで唯一のフラン環アシル化として進行することを見い出した。この事実によってN−(2−ブチルベンゾフラン−5−イル)−N−(メチルスルホニル)メタンスルホンアミドはドロネダロン調製の好適な中間体となっている。
【0017】
本発明は、式(3)の化合物、N−(2−ブチルベンゾフラン−5−イル)−N−(メチルスルホニル)メタンスルホンアミドを調製する幾つかの合成方法及びドロネダロンを調製するためのその使用を提供する。化合物(3)を調製する方法を以後、方法A、方法B及び方法Cと呼ぶ。本発明はさらにN−(2−ブチルベンゾフラン−5−イル)−N−(メチルスルホニル)メタンスルホンアミド(3)をドロネダロンに変換する工程を含むドロネダロンを調製する方法をさらに提供するが、その際、N−(2−ブチルベンゾフラン−5−イル)−N−(メチルスルホニル)メタンスルホンアミド(3)は以下に記載されるような方法A、B又はCのいずれかに従って調製される。
【課題を解決するための手段】
【0018】
方法A
一実施形態では、本発明は、スキーム7に示されるように進行するN−(2−ブチルベンゾフラン−5−イル)−N−(メチルスルホニル)メタンスルホンアミドを調製する方法を提供する:
スキーム7
【化8】

式中、RはH、アルキル、アラルキル、アリール又はカルボン酸活性化基であり、XはN(MeSO、アミノ、N保護されたアミノ、ハロゲン、OH、アルコキシ、アリールオキシ又はO−スルホネートである。
【0019】
化合物(3)は、スルホアミノ基に変換することができる基(X)、たとえば、ハロゲン(たとえば、Br、Cl、I、F)、OH又はO−スルホネート(たとえば、OMs、OTs、OTf)を4位に含むフェノール誘導体から調製することができる。或いは、X基はスルホアミノ基又はスルホアミノ基に変換することができるアミノ基であり得る。
【0020】
この方法によれば、式(6)のフェノール誘導体をホルミル化して化合物(7)を生じ、次いでそれを式CH(CHCH(Y’)COORのカルボン酸誘導体と反応させるが、式中、Y’は脱離基(たとえば、ハロゲン又は式−OSOのスルホン酸エステル基、式中Rはアルキル又はアリールであり、好ましくはMe又はC−CH−pである)であり、RはH又はカルボキシル保護基である。R=Rである場合、式(8)の2−(2−ホルミル−4−置換−フェノキシ)ヘキサン酸(RはH、アルキル、アラルキル、アリール又はカルボン酸活性化基である)が直接得られる。或いは、RがRとは異なる場合、方法はさらにRのRへの変換を含む。酸(8)又はその活性誘導体(たとえば、アシル、塩化物、無水スルホン酸アシル等)が次いで環化されて化合物(3)を直接提供する。一実施形態では、XがN(MeSO以外である場合、方法は化合物(9)におけるX基を式N(MeSOの基に変換する工程をさらに含む。
【0021】
一部の実施形態では、中間体を単離することなく環化を実施する。ほかの実施形態では、化合物(7)の化合物(8)への変換と環化の工程は中間体を分離又は精製することなくワンポット合成として行われる。
【0022】
ほかの実施形態では、方法は、化合物(7)を式中、Rがアルキル又はアリールである式(8)のエステルに変換する工程と、式中、RがHである式(8)の相当するカルボン酸にエステルを加水分解する工程と、環化して式(3)の化合物を形成する工程を含み、その際、工程(i)〜(iii)は好ましくは中間体を分離又は精製することなくワンポット合成として行われる。
【0023】
前記方法にて形成される特定の中間体は新規であり、本発明の一部も形成する。そのような新規の中間体には、2−(2−ホルミル−4−(N−(メチルスルホニル)メチルスルホンアミド)フェノキシ)ヘキサン酸、N−(3−ホルミル−4−ヒドロキシフェニル)−N−(メチルスルホニル)メタンスルホンアミド及びN−(4−ヒドロキシフェニル)−N−(メチルスルホニル)メタンスルホンアミドが挙げられる。
方法B
【0024】
或いは、化合物(3)は、以下のスキーム(スキーム8)に従って同一の出発物質、4−置換フェノールから調製することができる:
スキーム8
【化9】

式中、XはN(MeSOアミノ、N保護されたアミノ、ハロゲン、OH、アルコキシ、アリールオキシ又はO−スルホネートである。
【0025】
任意で、XがN(MeSO以外である場合、方法は、化合物(9)におけるX基を式N(MeSOの基に変換する工程をさらに含む。化合物(12)を(9)に変換するための還元剤はHNNHであることができるが、他の還元剤も本発明に係る方法での使用に適用できることは当業者に明らかであろう。
【0026】
前記方法にて形成される特定の中間体は新規であり、本発明の一部も形成する。従って、一実施形態では、本発明は式(9)の5−置換された2−ブチルベンゾフランに関する。
【化10】

式中、XはF、I、OMs及びOTsである。
方法C
【0027】
或いは、化合物(3)は以下のスキーム(スキーム9)に従って[3,3]−シグマトロピー再構成によって置換ヒドロキシルアミン(13)から調製することができる。
スキーム9
【化11】

式中、Buはブチルであり、XはN(MeSO、ハロゲン、アミノ、N保護されたアミノ、OH、アルコキシ、アリールオキシ又はO−スルホネートである。
【0028】
任意で、XがN(MeSO以外である場合、方法は、化合物(9)におけるX基を式N(MeSOの基に変換する工程をさらに含む。
【0029】
一部の実施形態では、式(13)の化合物のメチルブチルケトンとの反応は酸の存在下で行われる。酸は好ましくは、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、及びプロピオン酸から選択され、好ましくは、酸はメタンスルホン酸である。
【0030】
特定の一実施形態では、本発明は式(3)のN−(2−ブチルベンゾフラン−5−イル)−N−(メチルスルホニル)メタンスルホンアミドの調製方法を提供するが、それは酸の存在下でN−(4−アミノオキシ)フェニル)−N−(メチルスルホニル)メタンスルホンアミドをメチルブチルケトンと反応させることを含む。
【0031】
一部の実施形態では、脱離基Xを置き換えるために、任意で触媒、塩基、配位子及び/又は有機溶媒の存在下で式(9)の化合物をメタンスルホンアミド試薬と反応させることによって式(9)の中間体を式(3)のN−(2−ブチルベンゾフラン−5−イル)−N−(メチルスルホニル)メタンスルホンアミドに変換することができる。X基は当該技術で既知の任意の脱離基であるが、好ましくはハロゲン、OH、アルコキシ、アリールオキシ又はO−スルホネートである。一部の実施形態では、XはBr、I、OMs又はOTsである。他の実施形態では、メタンスルホンアミド試薬はビス(メタンスルホニル)−アミド又はその塩である。各可能性は本発明の別々の実施形態を表す。
【0032】
一部の実施形態では、反応は有機溶媒中にて触媒及び塩基の存在下で実施される。触媒は、たとえば、第一銅の塩、好ましくはCu(I)Iであり、触媒の量は、式(9)の化合物の量に対して約1〜100モル%、好ましくは約1〜10モル%、最も好ましくは約5〜10モル%である。配位子は存在する場合、好ましくはアミノ酸、好ましくは、たとえば、N−メチルグリシン又はN,N−ジメチルグリシンであり得るN−メチルアミノ酸である。一部の実施形態では、N−メチルアミノ酸の量は、式(9)の化合物の量に対して約1〜100モル%、好ましくは約5〜30モル%、最も好ましくは約15〜20モル%である。各可能性は本発明の別々の実施形態を表す。
【0033】
有機溶媒は存在する場合、好ましくはDMF、NMP及びDMSOから選択される極性の有機溶媒であり、塩基はアルカリ金属及びアルカリ土類の炭酸塩、酢酸塩及びリン酸塩、好ましくは、酢酸ナトリウム又はリン酸カリウムから選択される。一部の実施形態では、塩基の量は、相当するスルファミドに対して少なくとも約1当量、好ましくは約1〜約5当量、さらに好ましくは約2〜約2.5当量である。各可能性は本発明の別々の実施形態を表す。
【0034】
一実施形態では、XはF又はClであり、メタンスルホンアミド試薬はビス(メタンスルホニル)アミドのアルカリ金属塩、好ましくはナトリウム塩又はカリウム塩であり、反応は有機溶媒中にて実施される。
【0035】
別の実施形態では、化合物(9)を化合物(3)に変換する方法は、XがOMeである式(9)の5−置換2−ブチルベンゾフランをXがOHである式(9)の相当する5−置換ベンゾフランに脱メチル化することと、得られた化合物をミツノブ反応条件下でビス(メタンスルホニル)アミドと反応させることの工程を含む。
【0036】
ほかの実施形態では、本発明は、式(3)のN−(2−ブチルベンゾフラン−5−イル)−N−(メチルスルホニル)メタンスルホンアミドをドロネダロンに変換する工程を含むドロネダロン(1)を調製する方法を提供するが、その際、式(3)のN−(2−ブチルベンゾフラン−5−イル)−N−(メチルスルホニル)メタンスルホンアミドは本明細書に記載された方法A〜Cのいずれかに従って調製される。式(3)の化合物からのドロネダロンの調製は上述の方法(スキーム6)に従って、又は当該技術に記載された方法のいずれか若しくは当業者に明らかなそのほかの方法に従って実施することができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は、2−ブチル−3−(4−[3−(ジブチルアミノ)プロポキシ]−ベンゾイル)−5−(メタンスルホンアミド)ベンゾフラン(ドロネダロン)及び薬学上許容可能なその塩の調製における中間体、N−(2−ブチルベンゾフラン−5−イル)−N−(メチルスルホニル)メタンスルホンアミドを調製するための幾つかの代替方法を提供する。本出願者らは、幾つかの工程によって中間体(3)を製造規模で調製し得る幾つかの新しい方法(本明細書では、「方法A、B及びC」と命名)(スキーム7〜9)を見い出した。
化学的定義
【0038】
「アルカリ」基は、直鎖、分枝鎖及び環状のアルキル基を含む飽和脂肪族炭化水素を指す。一実施形態では、アルキル基はここではC〜C12アルキルと表される1〜12の炭素を有する。別の実施形態では、アルキル基はここではC〜Cアルキルと表される1〜6の炭素を有する。別の実施形態では、アルキル基はここではC〜Cアルキルと表される1〜4の炭素を有する。アルキル基は、非置換であってもよく、又はハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオ、及びチオアルキルから選択される1以上の基によって置換されてもよい。
【0039】
「シクロアルキル」基は、非芳香族の単環系又は多環系を指す。一実施形態では、シクロアルキル基は3〜10の炭素原子を有する。別の実施形態では、シクロアルキル基は5〜10の炭素原子を有する。例となる単環式のシクロアルキル基には、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等が挙げられる。アルキルシクロアルキルは、本明細書で定義されるようなシクロアルキル基に結合した本明細書で定義されるようなアルキル基である。シクロアルキル基は非置換であることができ、又はアルキルについて上記で定義された置換基の1以上で置換することができる。
【0040】
「アリール」基は、6〜14の環炭素原子を含有する芳香族環系を指す。アリール環は、単環式、二環式、三環式等であり得る。アリール基の非限定例は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチルを含むナフチル等である。「アルキルアリール」基又は「アラルキル」基は本明細書で定義されるようなアリール基に結合した本明細書で定義されるようなアルキル基である。アリール基は非置換であることができ、又はアルキルについて上記で定義された置換基の1以上によって利用可能な炭素原子を介して置換することができる。
【0041】
本明細書で使用されるとき、用語「窒素保護基」は、窒素原子に結合して前記窒素原子が反応に加わるのを防ぎ得る、且つ反応に続いて容易に取り外せ得る基を指す。窒素保護基は、酸に不安定な保護基、塩基に不安定な保護基、又は中性条件下で取り外しできる保護基であり得る。窒素保護基の非限定例は、シリル保護基[Rがアルキル、アリール、アラルキル等であるSi(R)]、たとえば、アセチル(COCH)、ベンゾイル、2−ブロモアセチル、4−ブロモベンゾイル、tert−ブチルアセチル、カルボキシアルデヒド、2−クロロアセチル、4−クロロベンゾイル、a−クロロブチリル、4−ニトロベンゾイル、o−ニトロフェノキシアセチル、フタリル、ピバロイル、プロピオニル、トリクロロアセチル及びトリフルオロアセチルのようなアシル基;アセトアミド等のようなアミド基;ベンゼンスルホニル及びp−トルエンスルホニルのようなスルホニル基;たとえば、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)、p−クロロベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル等のようなRが、たとえば、メチル、エチル、t−ブチル、ベンジル、フェニルエチル、CH=CH−CHである式−C(O)O−Rのカルバメート基である。そのほかの好適な窒素保護基には、ベンジル、ホルミル、フェニルスルホニル、(Fmoc)、p−ニトロベンゼンスルホエトキシカルボニル、プロパルギルオキシカルボニル、ピコリニル、プレニル、o−ニトロベンジルオキシ、メチル、4−メチオキシフェノキシメチル、グアニアコルメチル、トリイソプロピルシロキシメチルのようなシロキシメチル、2−シアノエトキシメチル、2−キノリニルメチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、及び2−[4−ニトロフェニル]エチルスルホネート、同様にベンジル、p−メトキシベンジル及びトリチルが挙げられるが、これらに限定されない。各可能性は本発明の別々の実施形態を表す。
【0042】
窒素保護基のそのほかの例は、C.B.Reese及びE.Haslam,“Protective Groups in Organic Chemistry,“J.G.W.McOmie,編、Plenum Press,New York,NY,1973,それぞれChapters 3及び4、並びにT.W.Greene及びP.G.M.Wuts,“Protective Groups in Organic Synthesis,“第2版、John Wiley and Sons,New York,NY,1991,Chapters 2及び3によって記載されており、そのそれぞれが参照によって本明細書に組み入れられる。
【0043】
本明細書で使用されるとき、用語「カルボキシル保護基」はカルボキシル基に結合して前記カルボキシル基が反応に加わるのを防ぎ得る、且つ反応に続いて容易に取り外せ得る基を指す。カルボキシル保護基は、酸に不安定な保護基、塩基に不安定な保護基、又は中性条件下で取り外しできる保護基であり得る。カルボキシル保護基は好ましくは、たとえば、t−ブチル基、ベンジル基又はシリル基等のような酸性又は中性の条件下で取り外しできるものである。カルボキシル保護基の非限定例には、カルボキシル基と一緒にエステル、たとえば、メチルエステルを規定するC〜C12アルキル基が挙げられる。カルボキシル保護基の別の例はベンジル基である。カルボン酸保護基の非限定例には、メチル、プロピル、tert−ブチル、ベンジル、4−メトキシベンジル、C〜Cアルカノイルオキシメチル、2−ヨードエチル、4−ニトロベンジル、ジフェニルメチル、4−tert−ブチルベンジル、フルオロベンジル、4−クロロベンジル、4−ブロモベンジル、3−ニトロベンジル、3−メトキシベンジル、3−メチルベンジル、3−tert−ブチルベンジル、3−フルオロベンジル、3−クロロベンジル、3−ブロモベンジル、2−ニトロベンジル、2−メトキシベンジル、2−メチルベンジル、2−tert−ブチルベンジル、2−フルオロベンジル、2−クロロベンジル、2−ブロモベンジル、3,5−ジニトロベンゾイル、3,5−ジメトキシベンジル、3,5−ジメチルベンジル、3,5−ジ−tert−ブチルベンジル、3,5−ジフルオロベンジル、3,5−ジクロロベンジル、3,5−ジブロモベンジル、2,4−ジニトロベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、2,4−ジメチルベンジル、2,4−ジ−tert−ブチルベンジル、2,4−ジフルオロベンジル、2,4−ジクロロベンジル、2,4−ジブロモベンジル、2,5−ジニトロベンジル、2,5−ジメトキシベンジル、2,5−ジメチルベンジル、2,5−ジ−tert−ブチルベンジル、2,5−ジフルオロベンジル、2,5−ジクロロベンジル、2,5−ジブロモベンジル、フェナシル、4−フェニルベンジル、2−フェニルベンジル、4−メトキシカルボニルベンジル、3−メトキシカルボニルベンジル、2−メトキシカルボニルベンジル、4−ハロフェナシル、ジメチルアリル、2,2,2−トリクロロエチル、トリ(C〜Cアルキル)シリル又はスクシンイミドメチルが挙げられる。各可能性は本発明の別々の実施形態を表す。
【0044】
これらの基のそのほかの例は、E.Haslam,“Protective Groups in Organic Chemistry,“J.G.W.McOmie編、Plenum Press,New York,NY,1973,Chapter 5並びにT.W.Greene及びP.G.M.Wuts,“Protective Groups in Organic Synthesis,“第2版、John Wiley and Sons,New York,NY,1991,Chapter 5に見い出され、そのそれぞれが参照によって本明細書に組み入れられる。
【0045】
本発明は上述の保護基に限定されることを意図するものではなく、むしろ、上記の基準を用いて種々の追加の同等の保護基が容易に特定され、本発明で利用され得ることが十分に理解されるであろう。
【0046】
本明細書で引用される文献はすべて、本明細書で完全に言及されるようにその全体が参照によって本明細書に組み入れられる。
方法A
【0047】
一実施形態では、本発明は、上文のスキーム7で記載したような式(3)のドロネダロン中間体を調製する方法に関する。該方法は;
(a)4−ヒドロキシフェノール(6)のアルデヒド(6)へのオルソ−ホルミル化と、
(b)Rがアルキル、アリール、アラルキル(たとえば、ベンジル)等であるエステル(8)を形成するためのアルデヒド(7)のアルキル化と、
(c)相当するカルボン酸(8、R=H)又は活性化されたその誘導体(R=カルボン酸活性化基)へのエステル(8)の変換と、
(d)酸(8)又は活性化されたその誘導体の化合物(9)への環化と、
(e)化合物(9)の所望の化合物(3)への変換
を含む。
【0048】
これらの可能性のそれぞれは本発明の別々の実施形態を表す。幾つかの代表的な且つ非限定の実施形態を下文に記載する。
化合物(7)の調製
【0049】
フェノール(6)のオルソ−ホルミル化は文献(Houben−Weyl E3、第4版)に記載された異なった方法によって実施されてもよい。相当するフェノールのカルボニル化を介してヒドロキシベンズアルデヒドを調製する既知の直接法も使用してもよい。
【0050】
一実施形態では、本発明は、既知の手順[Tetrahedron Letters 50(2009)5823−5826;J.CHEM.SOC.,PERKIN TRANS.1,1994,1823;Organic Syntheses,Vol.82,p.64(2005)そのそれぞれの内容は参照によって本明細書に組み入れられる]に従って有機溶媒中にてマグネシウム塩又はスズ塩の存在下でフェノール(6)のパラホルムアルデヒドとの反応を含む、アルデヒド(7)を調製するための改善された方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、TFAの存在下でのフェノール(6)のヘキサメチレンテトラアミン(HMTA)との反応を含むアルデヒド(7)を調製する改善されたDuff反応に基づく方法を提供する。
【0051】
或いは、既知の手順[Synthetic Communications,2009,39,215−219、その内容は参照によって本明細書に組み入れられる]に従ってサリチル酸アルデヒドのハロゲン化によって5−ハロゲンサリチルアルデヒドを調製することができる。
化合物(8)の調製
【0052】
本発明は、式(7)の2−ヒドロキシベンズアルデヒド誘導体とカルボン酸又は式CH(CHCH(Y’)COORによって表されるそのエステルを反応させる工程を含む式(8)の化合物を調製する方法を提供するが、式中、RはH又はカルボキシル保護基であり、Y’は脱離基、好ましくはハロゲン原子又は、Rがアルキル若しくはアリール、好ましくはMe若しくはp−C−CHである式−OSOを持つスルホン酸エステル基を表す。RがRと異なる場合、方法はRをRに変換する工程をさらに含む。
【0053】
好まれる脱離基Y’はハロゲン原子、すなわち、臭素、塩素又はヨウ素であり、好ましくは臭素原子又は塩素原子である。カルボキシル保護基は好ましくは、たとえば、t−ブチル基、ベンジル基又はシリル基等のような酸性又は中性の条件下で取り外すことができるものである。
【0054】
一実施形態では、式(8)の化合物の調製は、有機溶媒中にて塩基の存在下で式(7)の化合物を2−クロロヘキサン酸又は2−ブロモヘキサン酸と反応させることによって実施してもよい。
【0055】
この反応に好適な塩基には、アルカリ金属及びアルカリ土類の炭酸塩、水酸化物及び水素化物、たとえば、ピペリジン、トリエチルアミン、DBU、DBN、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルフォリン、ピリジン、ルチジン等のような有機アミン;塩基性樹脂等が挙げられるが、これらに限定されない。現在好ましい塩基は炭酸カリウムである。
【0056】
反応に好適な塩基の量は、たとえば、相当する酸に対して少なくとも2当量、好ましくは約2〜2.5当量である。或いは、Rがカルボキシル保護基であるならば、塩基の好適な量は少なくとも約1当量である。
【0057】
この反応に好適な溶媒には、エーテル、DMF、NMP、DMSO、又はこれら溶媒の好適な混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好まれる溶媒はTHF及びDMFである。
【0058】
反応は好ましくは、約20℃〜120℃、特に約20℃〜50℃、さらに好ましくは約20℃〜30℃の温度範囲で実施される。
【0059】
反応時間は一般に約15分間〜48時間、好ましくは約2〜4時間である。相間移動触媒の添加及びマイクロ波照射は反応時間を有意に減らすことができる。
【0060】
化合物(8)は次の工程で使用するのに十分に純粋であるが、必要に応じて、好適な技法、たとえば、真空蒸留によって、又はカラムクロマトグラフィを介して、又は相当するジシクロヘキシルアンモニウム塩への変換を介してそれらをさらに精製することができる。Rが水素以外である化合物(8)はRがHである相当するカルボン酸に変換することができる。たとえば、式(8)の化合物(R=H)は、式(7)の2−ヒドロキシベンズアルデヒドを式CH(CHCH(Y’)COORのカルボン酸エステルと反応させ、その後R保護基を取り外すことによって調製されてもよく、式中、Y’及びRは上述されている。
【0061】
式(8)の酸を環化−脱カルボキシル化反応によってベンゾフラン(3)に変換してもよい。反応は以下の工程(スキーム10)を介して進行し得る。
(a)酸(8)からの活性化された酸誘導体(15)の形成と、
(b)誘導体(15)の脱水による中間体ケテン(16)の形成と、
(c)中間体(16)の化合物(17)への環化と
(d)中間体(17)のベンゾフラン(9)への脱カルボキシル化;及び化合物(9)の化合物(3)への変換。
スキーム10
【化12】

【0062】
スキーム10では、Zは、カルボン酸を活性化する基(すなわち、カルボン酸活性化基)であり、たとえば、ハロゲン、スルホネート、アシル等である。一部の非限定の実施形態では、
Z=Hal、好ましくはCl;及びZ−Z’=SOCl、POCl、PCl、COCl、PCl、PBr、(COCl)
Z=ROC(O)、式中、R=Me、Et、i−Pr、t−Bu、CHPh、及びZ’=Cl;
Z=t−BuC(O)、及びZ−Z’=BocO;
Z=RC(O)、Z’=RC(O)O、式中、R=Me、CF、CCl
Z=RSO、Z’=Cl、式中、R=Me、p−MeC、CF
【0063】
活性化された酸誘導体(15)はスルホン酸アシル、好ましくはトシレートであってもよい。スルホン酸アシルの形成は、たとえば、塩化メシル、塩化トシル等、好ましくは塩化トシルのようなスルホネート剤を用いて実施することができる。
【0064】
この反応での使用に好適な有機溶媒には、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、エステル、エーテル及びこれらの混合物、好ましくはジクロロエタン、トルエン又はベンゼンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
一実施形態では、約50〜100℃、好ましくは約70〜90℃、さらに好ましくは75〜80℃の温度にて約1〜10時間、好ましくは約3〜5時間、有機溶媒中にてトシル化剤との反応を介して酸(8)を相当するスルホン酸アシルに変換する。次いで、有機溶媒中の粗精製塩化アシルを同一溶媒における有機塩基の還流溶液に非常にゆっくり加える。この期間の間、二酸化炭素の放出と共に反応混合物を1〜20時間、好ましくは12時間還流し、それによって、置換されたベンゾフラン(9)の形成を生じる。
【0066】
活性化された酸誘導体は酸(8)の混合無水物であることができ、それは、当該技術で既知の方法のいずれか、たとえば、クロロギ酸メチル、−エチル又は−イソプロピル、塩化ピバロイル、又はBoc無水物、無水酢酸、無水トリフルオロ酢酸、塩化メタンスルホニル、塩化p−トルエンスルホニル等、好ましくは無水酢酸又は塩化メタンスルホニルによる処理によって調製され得る。
【0067】
たとえば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルフォリン、及びピリジンのような有機塩基は、たとえば、塩化ピバロイル、塩化メタンスルホニル及び塩化p−トルエンスルホニルのようなクロロ無水物との反応に好適である一方で、たとえば、アルカリ金属及びアルカリ土類の炭酸塩及び水酸化物、たとえば、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムのような無機塩基は、たとえば、無水酢酸、無水トリフルオロ酢酸及び無水メシルのような酸無水物に好適である。
【0068】
中間体(15)を単離する必要はない。反応条件下にて、隣接するカルボニル官能性へのケテン(16)の分子内[2+2]環化を介して形成される生成物(17)は不安定である。反応中、二酸化炭素は自然に除去され、それによってワンポット反応にて置換されたベンゾフラン(9)の形成を生じる。
【0069】
好ましくは触媒及び塩基の存在下でビス(メタンスルホニル)アミド又はその塩との反応を介してベンゾフラン(9)(X=Br、I、OMs、OTs)をベンゾフラン(3)に変換することができる。
【0070】
カップリングに使用される触媒は好ましくは、第1銅塩の群から選択され。好ましくはCu(I)Iである。通常、使用される触媒の量は約1〜100モル%、好ましくは1〜10モル%、最も好ましくは5〜10モル%である。
【0071】
アミノ酸、好ましくはN−メチルグリシン及びN,N−ジメチルグリシンの群から選択される配位子の存在下で触媒を使用することができる。通常、使用される添加剤の量は約1〜100モル%、好ましくは5〜30モル%、最も好ましくは15〜20モル%である。
【0072】
この反応での使用に好適な有機溶媒には、たとえば、DMF、NMP及びDMSOのような極性有機溶媒が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
好適な塩基には、アルカリ金属及びアルカリ土類の炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩、好ましくは酢酸ナトリウム及びリン酸カリウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
たとえば、塩基の量は、相当するスルファミドに対して少なくとも約1当量、好ましくは約1〜約5当量、さらに好ましくは約2〜約2.5当量である。
【0075】
極性の有機溶媒中にてビス(メタンスルホニル)アミドのアルカリ金属塩との反応によってベンゾフラン(9)(X=F、Cl)をベンゾフラン(3)に変換することができる。一実施形態では、当該技術で既知の脱メチル化剤、たとえば、ピリジン塩酸塩によってベンゾフラン(9)(X=OMe)をベンゾフラン(X=OH)に脱メチル化し、次いで、ミツノブ反応条件下(ジオルガノアゾジカルボキシレートとトリオルガノホスフィンの存在下での反応)でのビス(メタンスルホニル)アミドとの反応によってベンゾフラン(3)に変換する。ミツノブ反応は、適当な溶媒中で実施される。好まれる溶媒の例には、エーテル(ジエチル、ジイソプロピル、tert−ブチル、メチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン)、アセトニトリル、トルエン、プロピオンニトリル、DMF及びN,N−ジメチル−2−イミダゾリジノン又はこれら溶媒の好適な混合物が挙げられる。
【0076】
リン含有試薬の例には、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリス(2,4,6−トリメトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニル2−ピリジルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、(DPPE)、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、及びトリ(n−ブチル)ホスフィンが挙げられる。
【0077】
アゾ試薬の例には、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)、アゾジカルボン酸ジ−tert−ブチル(DBAD)、アゾジカルボン酸ジ−p−クロロベンジル、テトラメチルアゾジカルボキサミド(TMAD)、アゾジカルボン酸ビス(5−ノルボルネン−2−イル−メチル)(DNAD)、テトライソプロピルアゾジカルボキサミド(TIPA)、アゾジカルボニルジピペリジン(ADDP)、及びジメチルヘキサヒドロテトラゾシネジオン(DHTD)、2,2’−、3,3’−及び4,4’−アゾピリジン(AZPy)、及びそれらのアルキルピリジニウムイオン性液体が挙げられる。これらの中で、アゾジカルボン酸ジエチル、アゾジカルボン酸ジイソプロピル、アゾジカルボン酸ジ−tert−ブチル及びテトラメチルアゾジカルボキサミドが好まれ、アゾジカルボン酸ジエチルプロピル及びアゾジカルボン酸ジ−tert−ブチルが特に好まれる。
【0078】
反応は、約−10〜120℃、好ましくは約30℃〜50℃の温度にて実施され得る。
【0079】
必要に応じて、反応はアルゴン又は窒素のような不活性気体の雰囲気で実施され得る。
【0080】
或いは、そのほかの実施形態では、ベンゾフラン(9)(X=F、Cl、OMs、OTs、OH)をベンゾフラン(3)(X=NH)に変換することができる。この反応の一般的な条件は、:A. Ricci編のSynthesis to the Life SciencesにあるAmino Group Chemistry,WILEY−VCH Verlag GmbH & Co,2008;A.Ricci“Modern Amination Methods“Wiley−VCH,2000に記載されており、その後、メタンスルホン化によって化合物(3)にする。この方法はスキーム11で説明される。
スキーム11
【化13】

【0081】
一実施形態では、パラジウム触媒、好ましくはPd[P(tBu)又はPd(dba)の存在下で有機溶媒中にてベンゾフラン(9)(X=たとえば、Cl)を、構造(RNMによって表される試薬との約50〜150℃、好ましくは約80〜120℃、さらに好ましくは約95〜105℃の温度にて約1〜10時間、好ましくは約1〜3時間の反応を介して相当するアミンに変換するが、式中、Rは窒素保護基、好ましくはシリル基であり、Mはアルカリ金属(たとえば、Li、Na、K)であり、好ましくは、試薬はLiN(MeSi)である。次いで粗精製のシリルアミドを脱保護し、それによってアミノ置換されたベンゾフラン(9A、すなわち、X=NHである化合物9)の形成を生じる。
【0082】
化合物9Aのメタンスルホン化は、有機溶媒中にて塩化水素スカベンジャーの存在下で実施され得る。好適な塩化水素スカベンジャーには、アルカリ金属及びアルカリ土類の炭酸塩及び水酸化物、たとえば、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アルカリ金属及びアルカリ土類の水素化物、たとえば、水素化ナトリウム等;有機アミン、たとえば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルフォリン、ピリジン、ルチジン等;アンモニア及び塩基性樹脂、等が挙げられるが、これらに限定されない。現在好まれる塩基は有機アミンである。
【0083】
メタンスルホン化にための塩基の好適な量は、たとえば、化合物9Aの各アミノ基について少なくとも2当量、好ましくは2〜10当量、さらに好ましくは2〜5当量である。
【0084】
本発明の方法では、どんな商業的等級の塩化メタンスルホニルも採用することができる。たとえば、無水メタンスルホニル(無水メシル)及び臭化メタンスルホニルのようなそのほかのメタンスルホン化試薬も採用され得る。どんな実践的量の塩化メタンスルホニル又はそのほかのスルホニル化剤も本発明の方法で採用することができる一方で、約2モル当量以上を採用してアリールアミンの高レベルの変換を確保することが好まれる。
【0085】
アリールアミンの高レベルの変換に必要とされる塩化メタンスルホニルの量は特定の反応条件及び採用される触媒に左右されるであろう。約2〜5モル当量の間の塩化メタンスルホニルの使用が一般に十分である。
【0086】
好適なアミド及び高沸点の三級アミンを触媒として本発明で使用し得る。本発明で使用することができるアミド及びアミンの例には、ピロリジノン、尿素、アセトアミド、ホスホルアミド、たとえば、N−メチル−2−ピロリジノン(以下NMPと呼ぶ)、1,1,3,3−テトラメチルウレア、ジメチルアセトアミド(DMAV)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、ジメチルホルムアミド(DMF)が挙げられるが、これらに限定されない。溶媒への添加剤として又は溶媒として触媒量にてアミドを使用することができる。
【0087】
本発明で使用することができる好適な溶媒は、高温にて式9Aの化合物との混和性混合物の形成を可能にするものである。本発明で使用されてもよい溶媒の例には、芳香族化合物、アルカン類、塩素化溶媒、エーテル類、DMF、NMP、DMSO、アセトニトリル、エステル類、これらの溶媒の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
メタンスルホン化は好ましくは、約0℃〜50℃の温度範囲で実施される。約0℃〜15℃の間の温度が、塩化メタンスルホニルの分解を最少限に抑える一方で有用な反応速度を提供するので現在好まれる。メタンスルホン化の反応時間は一般に約15分間〜48時間、好ましくは約15分間〜5時間、さらに好ましくは約0.5〜1時間である。
【0089】
従来の手段によって、たとえば、抽出して2つの相を得、有機層を分離し、有機層を蒸発させて残留物を得ることによって、反応混合物から化合物(3)を単離してもよい。蒸発は、約45〜60℃の高温及び/又は約1気圧未満の圧力で実施することができる。粗生成物は必要に応じて好適な技法によって、たとえば、結晶化によって又はカラムクロマトグラフィを介して精製することができる。
方法B
【0090】
本発明の代替方法では、ベンゾフラン(3)は、反応の以下の順序によって(スキーム8)、4−アミノフェノール又はフェノール(6)から調製することができる:
(a)化合物(10)を形成するための、たとえば、ブロモアセトアルデヒドジエチルアセタール(2−ブロモ−1,1−ジエトキシエタン)のような適当な試薬による4−アミノフェノール(好ましくはN保護型にて)又はフェノール(6)のアルキル化、
(b)アルデヒド保護の酸が触媒する取り外し及び中間体アルデヒドのベンゾフラン(11)への環化、
(c)1−(ベンゾフラン−2−イル)−アルカン−1−オン(12)を生成するための、たとえば、塩化ブチリルのような塩化アシルによるベンゾフラン(11)のアシル化、
(d)形成された1−(ベンゾフラン−2−イル)−アルカン−1−オン(12)のベンゾフラン(9)への還元、
(e)任意で必要に応じて、ベンゾフラン(9)の所望の化合物(3)への変換。
工程(a)
【0091】
ブロモアセトアルデヒドジエチルアセタール(2−ブロモ−1,1−ジエトキシエタン)による4−アミノフェノール(好ましくはN保護型にて)又はフェノール(6)のアルキル化は、有機溶媒中にて塩基の存在下で実施され得る。
【0092】
好適な塩基には、アルカリ金属及びアルカリ土類の炭酸塩、水酸化物及び水素化物、たとえば、ピペリジン、トリエチルアミン、DBU、DBN、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルフォリン、ピリジン、ルチジン等のような有機アミン、塩基性樹脂等が挙げられるが、これらに限定されない。現在好まれる塩基は水素化ナトリウム及び炭酸カリウムである。
【0093】
アルキル化反応は適当な溶媒にて実施される。好まれる溶媒の例には、エーテル類(ジエチル、ジイソプロピル、tert−ブチル、メチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン)、アセトニトリル、トルエン、DMF、NMP、DMSO、又はこれら溶媒の好適な混合物が挙げられる。
【0094】
塩基と溶媒の以下の組み合わせが好まれる:炭酸カリウム/DMF、水素化ナトリウム/DMF、水酸化カリウム/DMSO。
工程(b)
【0095】
種々のルイス酸(SnCl、AlCl、BF、ZnCl)及び有機酸(HSO、TFA、HPO、PPA、HCOOH、p−トルエンスルホン酸)を用いたフェノキシアセタールのベンゾフランへの環化の多数の例が文献[SYNTHETIC COMMUNICATIONS,19(1&2),257−265(1989)]で報告されている。これらの方法は本発明の文脈での使用に適用可能である。無水亜リン酸に基づく環化(たとえば、ポリリン酸によるp−メトキシフェニルアセトアルデヒドアセタールの環化は5−メトキシベンゾフランを生じる)も使用することができる。
【0096】
本出願の発明者らは、強酸陽イオン性樹脂の存在下で「ワンポット」合成として、相当するアルデヒドへのアセタール(10)の脱保護、次いで形成されたアルデヒドのベンゾフラン誘導体(11)への環化を実施することができることをさらに見い出した。反応は、Dean−Stark装置を用いて水を同時に除去しながら、触媒量の樹脂と共に有機溶媒中にてアセタール(10)を加熱することによって実施される。
【0097】
本発明に有用であり得る陽イオン交換樹脂には、アルデヒドアセタール保護を取り外し、環化を実施することができる陽イオン交換樹脂が挙げられる。好適な陽イオン交換樹脂には、フェノールスルホネート/ホルムアルデヒド縮合物、フェノール/ベンズアルデヒドスルホネート縮合物、スチレンスルホン酸/ジビニルベンゼンコポリマー、メタクリル酸/ジビニルベンゼンコポリマー、メタクリル酸/ジビニルベンゼンコポリマー、及びそのほかの型のスルホン酸基又はカルボン酸基を含有するポリマーが挙げられる。好まれる特定の陽イオン交換樹脂の1つはRohm&Hassから入手可能なAMBERLYST15である。これはスチレンスルホン酸/ジビニルベンゼンコポリマーである。
工程(c)
【0098】
リン酸の存在下での無水アシルによるベンゾフランのアシル化は文献にて周知である[Current Organic Chemistry,Vol.14,N1,pp.48−64(17),2010]。たとえば、85%リン酸の存在下での無水ブチリルとのベンゾフランの反応は、50%収率での2−ブチリルベンゾフランの形成を続ける。
【0099】
酪酸の塩化チオニルとの反応によってその場で生成された塩化ブチリルを用いて、リン酸(たとえば、85%リン酸)の存在下でベンゾフラン(11)を塩化ブチリルと反応させることによって2−ブチリルベンゾフラン(12)が調製され得ることがさらに見い出されている。
工程(d)
【0100】
ケトン(12)のメチレン誘導体(9)への直接脱酸素は、たとえば、Clemmensen還元、LiAlH−AlCl、NaBH−AlCl、NaBH−TFA、ボラン−BF、リン−HI、EtSiH−BF又は−TFA、EtSiH−SnCl、ジフェニルシラン、トリフェニルシラン、触媒的水素化のような当該技術で周知の方法[R.Larock,C.,Comprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparations,第2版、Wiley−VCH,New York,1999]によって達成されている。これらの文献の内容は参照によって本明細書に組み入れられる。
【0101】
Clemmensen還元は酸触媒の再構成による有意なピナコール形成を生じ、触媒的水素化は芳香族環の過剰水素化を提供し、単独で又はルイス酸との組み合わせで金属水素化物を用いた還元法はアルコール又はメチレン誘導体とのアルコールの混合物の形成をもたらすことがさらに見い出されている。シアノ水素化ホウ素ナトリウムと三フッ化ホウ素エーテルの組み合わせは相当する炭化水素に効率的にケトン(12)を脱酸素化するが、シアン化水素の形成、毒性の試薬と溶媒の廃棄及び試薬コストによって本方法は大量生産には非実用的とされている。
【0102】
脱酸素についての代わりの現在好まれる方法の1つは、所望の化合物の良好な収率、副産物の非存在又は非常に少ない含量、低い試薬コスト、ヒドラジンが反応の間に消費されるという事実、及び漂白剤又は過酸化水素によって過剰なヒドラジンが破壊される容易さのためにヒドラジンを用いたWolff−Kishner還元である。
【0103】
或いは、トリオルガノシラン及びトリフルオロ酢酸又は三フッ化ホウ素エーテルによるケトン(12)のイオン性水素化は、メチレン誘導体(9)の良好な収率と共に進行し、この方法は本発明の文脈で使用され得る。
【0104】
Wolff−Kishner反応は、ワンポット反応にて有機溶媒中でカルボニル化合物(12)、無機塩基、及びヒドラジンを一緒に加熱することによっても実施され得る。
【0105】
好適な塩基には、アルカリ金属及びアルカリ土類の炭酸塩、炭酸水素塩及び水酸化物、好ましくはアルカリ金属の水酸化物、最も好ましくは水酸化カリウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
本発明の方法では、どんな商業的等級のヒドラジンも採用することができる。無水ヒドラジンのようなほかの形態のヒドラジンも本発明の方法で採用されてもよいが、ヒドラジン水和物がその実質的な低コストのために好まれる。
【0107】
好適な溶媒には、エーテル類、エステル類、アルコール類、好ましくはグリコール類、さらに好ましくはエチレングリコール、プロピレングリコール、最も好ましくはジエチレングリコール(DEG)及びそれらの水との混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0108】
反応は、反応器の温度が10〜15分で100℃に迅速になるような方法でKOHペレットと、ヒドラジン水和物と、DEGとケトン(12)を加熱することによって実施され得る。当初の緩慢な加熱は望ましくないアジンの形成をもたらし得る。60〜70℃の間で反応物から窒素が放出し始め、15〜30分で温度が130〜150℃(反応器の温度)に上昇するにつれて非常に迅速になる。激しい窒素放出が減退するまで(約40分間)加熱速度を維持し、次いで加熱を高めてDean−Stark装置を用いて蒸留を提供する。下層(水/ヒドラジン水和物/DEG)を回収チャンバーから排出し、蒸留温度が105℃を超えるまで還流を継続する。共沸層を除くにつれて反応容器の温度は徐々に高まる。生成物がもはや生成されなくなる(TLC又はHPLCの制御)まで方法を継続する。マイクロ波照射を用いて反応を促進することができる。
工程(e)
【0109】
そのような方法で調製して、ベンゾフラン(9)を方法Aにて上述した方法のいずれかによって化合物(3)に変換してもよい。
【0110】
従来の手段によって、たとえば、抽出して2つの相を得、有機層を分離し、有機層を蒸発させて残留物を得ることによって、反応混合物から化合物(3)を単離してもよい。蒸発は、約45〜60℃の高温及び/又は約1気圧未満の圧力で実施することができる。粗生成物は必要に応じて好適な技法によって、たとえば、結晶化、減圧下の蒸留によって又はカラムクロマトグラフィを介して精製することができる。
方法C
【0111】
或いは、スキーム9に従って[3,3]−シグマトロピー再構成によって化合物(3)は置換されたヒドロキシルアミン(13)から調製され得る。
【0112】
ヒドロキシルアミン(13)は、そのそれぞれの内容が参照によって本明細書に組み入れられる既知の方法[Organic Preparations and Procedures International,1997,v.29,N5,p.594−600;Eur.J.Org.Chem.2007,p.1491−1509;Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 8(1998)2099−2102]に従って調製される。
【0113】
O−アリールヒドロキシルアミン(14)に類似の化合物の[3,3]−シグマトロピー再構成は、室温にてトリフルオロアセチルトリフレートジメチルアミノピリジンの存在下、又は控えめに加熱して[J.Org.Chem.2007,p.1491−1509],100〜120℃にてトリフルオロ酢酸/トリフルオロメタンスルホン酸[Synthesis,1980,p.481]、酢酸[WO2009/044143]、ギ酸/リン酸[Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters、8(1998)2099−2102]の存在下で文献に記載されたように進行する。前述の文献すべての内容はその全体が参照によって本明細書に組み入れられる。
【0114】
本出願の発明者らは、メチルブチルケトンとのヒドロキシルアミン(13)塩酸塩の反応がメタンスルホン酸の存在下、控えめな加熱にて進行し、良好な収率(65〜85%)でベンゾフラン(9)を形成することを見い出した。
【0115】
そのような方法で調製して、ベンゾフラン(9)を方法Aにて上述した方法のいずれかによって化合物(3)に変換してもよい。
ドロネダロンの調製
【0116】
スキーム6にて例示した方法によって、又は当該技術で既知の若しくは当業者に明らかな別の方法によって式(3)の化合物を式(1)のドロネダロンに変換してもよい。
実施例
【0117】
本発明を代表する化合物を以下の実施例及び反応順によって調製した。本発明は本明細書に提供される実施例に限定されることはなく、本明細書に記載される方法によって包含されるそのほかの実施形態も本発明の一部を構成することが当業者によって理解される。
【0118】
特に言及されない限り、実施例で使用する物質は容易に利用できる供給業者から入手したか、又は化学合成の当業者に既知の常法によって合成した。代表的な方法によって各工程にて後処理を適用することができ、その際、単離及び精製は必要に応じて、たとえば、結晶化、再結晶化、蒸留、分割、シリカゲルクロマトグラフィ、分取用HPLC等のような従来の方法を選択する又は組み合わせることによって実施する。
【0119】
文献の手順に従って以下の試薬を調製する:
4−(トリメチルシリルオキシ)アニリン[Synthesis,1988,990;Journal of Molecular Catalysis A:Chemical 272(2007)142−151]沸点114〜117℃(18mm)
ビス(メタンスルホニル)アミン[J.Org.Chem.2003,68,4112−4115;New J.Chem.,2003,27,1504−1510]融点150〜152℃(アセトンから)
5−ブロモサリチルアルデヒド[Synthetic Communications,39:215−219,2009]
上述の参考文献すべての内容はその全体が参照によって本明細書に組み入れられる。
実施例1〜4:方法A
実施例1
【0120】
4−置換フェノールからの5-置換−2−ヒドロキシベンズアルデヒドの合成についての代表的な手順
アセトニトリル(300mL)中の4−置換フェノール(30ミリモル)とトリエチルアミン(90ミリモル)と無水MgCl(100ミリモル)の混合物に無水パラホルムアルデヒド(3.5g)を少しずつ加えた。TLC又はHPLCの制御のもとで混合物を6〜8時間還流した。反応完了の際、混合物を室温に冷却し、3Nの塩酸で酸性化し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を取り除き、粗精製物質を得たが、それは次の段階で使用するのに十分に純粋だった。必要に応じて好適な溶媒若しくは溶媒の混合物を用いた結晶化、蒸留又はカラムクロマトグラフィによって化合物を精製することができる。
【0121】
5−クロロ−2−ヒドロキシ−ベンズアルデヒドの調製のために改変した手順を使用した:
(a)N雰囲気下にて無水トルエン(20mL)中の4−クロロフェノール(3.2g,25ミリモル)、トリオクチルアミン(1.850,10ミリモル,2.4ml)の混合物に無水SnCl(651.2mg,2.5ミリモル,0.29ml)を加えた。混合物を室温(rt)で20分間攪拌し、次いで無水パラホルムアルデヒド(1.650g、55ミリモル)を加えた。HPLC及びTLC(溶離液、ヘキサン:酢酸エチル=8:2)によってモニターしながら、得られた混合物を100℃にて一晩加熱した。冷却した後、反応混合物を水(200mL)に注ぎ、3Nの塩酸でpH2に酸性化し、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル抽出物を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮して粗精製の5−クロロ−2−ヒドロキシ−ベンズアルデヒドを残した。クロマトグラフィカラム(溶離液、ヘキサン:酢酸エチル、勾配100%ヘキサンから10%酢酸エチル)によって残留物を精製し、黄色っぽい固形物(収率48%)として純粋な化合物を得た。
【0122】
(b)0℃にてTFA(10mL)中の4−クロロフェノール(2.2g、17ミリモル)の混合物にヘキサメチレンテトラアミン(2.86g、20ミリモル)を加えた。次いで温度を50〜60℃に保ってHPLCでモニターしながら、懸濁液を加熱した。20時間後、出発物質はもはや存在しなかった。溶液を冷却し、水を加え(40mL)、次いで濃HSO(1mL)を加えた。混合物をRTにてさらに1時間撹拌し、次いでさらに水を加え(50mL)、水溶液をCHCl(40mLで3回)で抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濃縮して収量2.0gの黄色粉末(収率75%、純度95%)を得た。
実施例2
【0123】
2−(2−ホルミル−4−置換フェノキシ)ヘキサン酸の調製のための代表的な手順
方法A
無水THF(200mL)中に適当な4−置換2−ホルミルフェノール(100ミリモル)と水素化ナトリウム(鉱油中60%分散物、220ミリモル)を含有する混合物を室温で10分間攪拌した。無水THF(50mL)中のα−ハロカルボン酸又はそのエステル(100ミリモル)をこの混合物に加えた。得られた混合物を室温で30分間撹拌し、次いで12〜24時間還流した。次いで反応混合物を冷却し、200mLの水を加え、得られた溶液を塩化メチレン(100mLで3回)で洗浄した。次いで10%の塩酸溶液の添加によって水溶液をpH1に酸性化し、酢酸エチル(100mLで3回)で抽出した。合わせた有機抽出物を水及びブラインで順に洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濾液を真空で濃縮した。溶媒を取り除き、粗精製物質を得たが、それは次の段階で使用するのに十分に純粋だった。必要に応じて化合物をさらに精製することができる。
【0124】
たとえば、塩化メチレン/ヘキサン混合溶媒からの結晶化によって固形の粗精製2−(2−ホルミル−4−置換フェノキシ)ヘキサン酸を精製する。
【0125】
カラムクロマトグラフィによって又は相当するジシクロヘキシルアンモニウム塩への変換を介して油状の粗精製2−(2−ホルミル−4−置換フェノキシ)ヘキサン酸を精製した。
方法B
【0126】
窒素雰囲気下にて(TLC又はHPLCでモニターしながら)、4−置換2−ホルミルフェノール(100ミリモル)とα−ハロカルボン酸のエステル(100ミリモル)と無水炭酸カリウム(120ミリモル)と無水DMF(150〜200mL)の混合物を20〜95℃にて2〜5時間撹拌した。反応の完了の際、溶液を氷水に注ぎ、沈殿が形成されたならば、濾別し、水で洗浄し、風乾した。油が形成されたなら、酢酸エチルでそれを抽出した(100mLで3回)。合わせた有機抽出物を水及びブラインで順に洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濾液を真空で濃縮した。溶媒を取り除き、粗精製物質を得たが、それは次の段階で使用するのに十分に純粋だった。必要に応じて化合物をさらに精製することができた。
【0127】
たとえば、メタノールからの結晶化によって固形の粗精製2−(2−ホルミル−4−置換フェノキシ)ヘキサン酸のエステルを精製した。
【0128】
油状の粗精製2−(2−ホルミル−4−置換フェノキシ)ヘキサン酸のエステルをカラムクロマトグラフィによって精製した。
【0129】
たとえば、2−(4−クロロ−2−ホルミル−フェノキシ)ヘキサン酸メチルの調製を提示する。
【0130】
RTにて5−クロロ−2−ヒドロキシ−ベンズアルデヒド(720.1mg、4.6ミリモル)とメチル2−ブロモ−ヘキサノエート(1.442、6.9ミリモル、1.12mLの)無水DMF(20mL)溶液にKCO(952.2mg、6.9ミリモル)を加え、同じ温度にて窒素雰囲気下で攪拌した。反応をHPLCでモニターし、2時間後、出発物質は存在しなかった。混合物を水(40mL)に注ぎ、CHClで抽出し(20mLで3回)、合わせた相をNaSO上で乾燥させ、濃縮して1.23gの所望の化合物を得たが(収率94%、HPLCによる純度>95%)、それは次の工程で使用するのに十分に純粋だった。
【0131】
エステルの遊離酸への変換は以下のように実施した:
(a)5%水酸化ナトリウムの溶液(200mL)にメチルエステル(100ミリモル)を加え、混合物を攪拌し、TLC又はHPLCが反応の終了を示すまで(2〜5時間)蒸気槽で加熱した。反応の完了の際、混合物を冷却し、10%塩酸を加え、沈殿物又は油を分離した。粗精製の酸を上述のように精製した。
【0132】
(b)TLC又はHPLCが反応の終了を示すまで(1〜2時間)、室温にてトリフルオロ酢酸の添加によって200mLの塩化メチレン中のt−ブチルエステル(100ミリモル)を脱保護した。反応の完了の際、溶媒及び過剰な酸を留去した。粗精製の酸を上述のように精製した。トリフルオロ酢酸の代わりに硫酸、硝酸、塩酸、ギ酸、安息香酸を使用することができる。
【0133】
たとえば、2−(4−クロロ−2−ホルミル−フェノキシ)ヘキサン酸の調製を提示する。
2−(4−クロロ−2−ホルミル−フェノキシ)ヘキサン酸メチル(1.203、4.24ミリモル)をMeOH(20mL)に溶解し、5NのNaOH(2mL)を加えた。HPLCでモニターして混合物を還流で加熱した。30分後、出発物質は存在しなかった。溶媒を濃縮し、HO(20mL)とCHCl(20mL)を加えた。有機相を分離し、水性相を3NのHClで酸性化した。次いで、CHCl(30mL)を加え、有機相を分離した。水性相をCHCl(40mLで2回)抽出し、合わせた有機相をNaSO上で乾燥させ、濃縮して1.089gの生成物(収率95%)を得たが、それは次の工程で使用するのに十分に純粋だった。
実施例3
【0134】
5−置換2−ブチルベンゾフランの調製のための代表的な手順
方法A
常温にて4〜8時間、塩化メチレン又はトルエン(15〜20mL)中の塩化オキサリル又は塩化チオニル(5〜8当量)と反応させることによって2−(2−ホルミル−4−置換フェノキシ)ヘキサン酸を相当する塩化アシルに変換した。過剰の塩化オキサリル又は塩化チオニルを溶媒と一緒に真空にて取り除いた。残留物にトルエン(150〜200mL)を加え、得られた溶液をトルエン(100mL)中のトリエチルアミン(2〜3当量)の還流溶液にゆっくり加えた。塩化アシルの添加が完了した後、反応混合物を3〜5時間還流した。反応混合物を冷却し、次いで濾過し、濾液を真空で濃縮した。好適な溶媒若しくは溶媒の混合物を用いた結晶化によって、蒸留によって又はカラムクロマトグラフィによって粗精製の化合物をさらに精製した。
方法B
【0135】
2−(2−ホルミル−4−置換フェノキシ)ヘキサン酸又はそのジシクロヘキシルアンモニウム塩(10ミリモル)をトルエン(10mL)に溶解し、トルエン(50mL)中のトリエチルアミン(4当量)と塩化メタンスルホニル(2当量)の還流溶液にゆっくり加えた。カルボン酸(又はそのジシクロヘキシルアンモニウム塩)の添加が完了した後、反応混合物を4〜6時間還流した。次いで反応混合物を冷却し、水(50mL)で洗浄した。有機層を最終容積約30mLに真空で濃縮した。得られた濃縮物を5%炭酸ナトリウム水溶液(250mL)と共に5時間撹拌し、過剰な塩化メタンスルホニルを除いた。トルエン層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濾液を真空で濃縮した。好適な溶媒若しくは溶媒の混合物を用いた結晶化によって、蒸留によって又はカラムクロマトグラフィによって粗精製の化合物をさらに精製した。
方法C
【0136】
2−(2−ホルミル−4−置換フェノキシ)ヘキサン酸(100ミリモル)と無水酢酸(150〜170mL)と無水酢酸ナトリウム(110ミリモル)と氷酢酸(150〜170mL)の混合物を還流で5〜7時間加熱した。反応完了の際、溶液を氷水に注いだ。油状層を塩化メチレンで抽出し、5%炭酸ナトリウムと水で洗浄した。有機相を乾燥させ、蒸発させ、好適な溶媒若しくは溶媒の混合物を用いた結晶化によって、蒸留によって又はカラムクロマトグラフィによって粗生成物を精製した。
【0137】
上述の方法A〜Cによって以下のベンゾフランを調製した:
5−ビス(メタンスルホン)アミド−2−ブチルベンゾフラン、融点126℃、
5−ブロモ−2−ブチルベンゾフラン、沸点155〜157℃(9mm)、
5−クロロ−2−ブチルベンゾフラン、沸点68〜70℃(8mm)、
5−フルオロ−2−ブチルベンゾフラン、沸点56〜58℃(7〜8mm)、
5−メトキシ−2−ブチルベンゾフラン、油
5−ヨード−2−ブチルベンゾフラン、油
【0138】
たとえば、2−ブチル−5−クロロ−ベンゾフランの調製を提示する。
EtN(3.052g、30.2ミリモル、4.2mL)の無水ベンゼン(35mL)溶液に塩化p−トルエンスルホニル(2.8711g、15.1ミリモル)を加え、混合物をN雰囲気下で加熱還流した。2−(4−クロロ−2−ホルミル−フェノキシ)ヘキサン酸(2.040g、7.55ミリモル)の無水ベンゼン(35mL)溶液を3時間かけて一滴ずつ加え、混合物を一晩還流した。次いで反応混合物を冷却し、水(30mL)で洗浄した。5%水酸化ナトリウム水溶液(20mL)と共に有機層を2時間撹拌し、過剰の塩化p−トルエンスルホニルを取り除いた。次いでベンゼン層を乾燥させ(無水硫酸ナトリウム)、濾過し、濾液を真空で濃縮して1.9gの粗生成物を得た。生成物をフラッシュクロマトグラフィ(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル、勾配:100%ヘキサン〜0.5%酢酸エチル)によって精製し、57%の収率で純粋な化合物を得た。
実施例4
【0139】
5−置換2−ブチルベンゾフランからの2−ブチル−5−ビス(メタンスルホン)−アミドベンゾフランの調製
方法A:5−ブロモ及び5−ヨード−2−ブチルベンゾフランから
CuI(1.00ミリモ)とビス(メタンスルホニル)アミン(5.0ミリモル)とN,N−ジエチルグリシン(1.0ミリモル)とKPO(10.5ミリモル)と5−ブロモ−2−ブチルベンゾフラン(4.8ミリモル)とDMF(10.0mL)の混合物を24〜48時間還流した。反応の完了の際(TLC又はHPLCによるモニター)、得られた懸濁液を室温に冷却し、溶媒を除いた。残留物を100mLの酢酸エチルに溶解し、シリカゲル又はセライトの2〜3cmのパッドを介して濾過した。減圧下で濾液を濃縮し、IPAからの結晶化によって残留物を精製し、収率70%(純度99.4%)で所望の化合物を得た。融点:124〜126℃。
【0140】
同一の手順に従ったが、N,N−ジメチルグリシンの代わりにN−メチルグリシンを用いて5−ヨード−2−ブチルベンゾフランから2−ブチル−5−ビス(メタンスルホン)−アミドベンゾフランを調製した。
方法B:5−フルオロ−及び5−クロロ−2−ブチルベンゾフランから
【0141】
5−フルオロ−2−ブチルベンゾフラン(100ミリモル)とナトリウムビス(メタンスルホニル)イミド(100ミリモル)と無水炭酸カリウム(120ミリモル)と無水DMF(150〜200mL)の混合物を攪拌しながら(TLC又はHPLCでモニターしながら)100〜105℃にて3〜5時間加熱した。反応の完了の際、溶液を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した(100mLで3回)。合わせた有機抽出物を水とブラインで順に洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濾液を真空で濃縮した。溶媒を取り除き、IPAから結晶化させて粗精製物質を得た、収率75%(純度99.2%)。
方法C:メトキシ−2−ブチルベンゾフランから
【0142】
(a)5−ヒドロキシ−2−ブチルベンゾフランの調製
30.0gの塩化アルミナムと150.0mLのクロロベンゼンの混合物に15.0gの5−メトキシ−2−ブチル−ベンゾフランを加える。塩酸がもはや放出しなくなるまで(約1〜2時間)還流条件下で混合物を加熱した。次いでそれを冷却し、250.0gの氷に注ぎ、酢酸エチルで抽出した(100mLで3回)。合わせた有機抽出物を水とブラインで順に洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濾液を真空で濃縮した。精製することなく粗精製の油を次の工程に移した。
【0143】
(b)ビス(メタンスルホニル)イミド(6.0ミリモル)とトリフェニルホスフィン(20ミリモル)の無水THF(10mL)溶液を5−ヒドロキシ−2−ブチルベンゾフラン(6.0ミリモル)に加えた。得られた溶液を5分間撹拌し、次いでジ−tert−ブチルアゾジカルボキシレート(18ミリモル)を一滴ずつ加えた。得られた溶液を80℃で一晩撹拌した。次いで混合物を冷却し、真空で溶媒を蒸留し、得られた残留物を酢酸エチルに溶解し、10%の塩酸溶液及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濾液を真空で濃縮した。溶媒を取り除き、粗精製物質を得たが、それをIPAから結晶化させる。
方法D:5−クロロ−2−ブチルベンゾフランから
【0144】
雰囲気下にて5−クロロ−2−ブチルベンゾフラン(165.8mg、0.797ミリモル)とPd[P(t−Bu)(20mg,0.0398ミリモル)とPd(dba)(22.9mg,0.0398ミリモル)を無水トルエン(3mL)に懸濁し、(MeSi)NLi(0.195ミリモル,1.2ml)の1Mトルエン溶液を加えた。混合物を100℃(内部温度)に加熱した。2時間後、出発物質は存在しなかった。粗精製の反応混合物をEtO(20mL)で希釈し、1NのHCl水溶液(20ml)の添加によって中間体シリルアミドを脱保護した。有機相を分離し、1NのHCl(20mL)で2回洗浄した。合わせた水性相を3NのNaOHでpH10に塩基性化し、混合物をAcOEt(30mLで3回)で抽出した。合わせた有機相をNaSO上で乾燥させ、濃縮して138.2mgの生成物を得た(収率92%、純度97%)。
【0145】
無水CHCl(40mL)中の2−ブチルベンゾフラン−5−アミン(3.8926g、20.6ミリモル)の攪拌された溶液に窒素のもとで、温度を10℃未満に保持しながら、EtN(6.241g,61.8ミリモル,8.6ml)を加え、その後30分間かけて塩化メタンスルホニル(9.394g、82.4ミリモル、6.3mL)を一滴ずつ加えた。懸濁液を水に注ぎ、有機層を分離した。水性層をDCMで抽出し(25mLで2回)、合わせた有機物を飽和NaHCO(40mL)とブライン(40mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濃縮した。イソプロピルアルコールから残留物を再結晶化し、白色固形物として5.578gの純粋なN−(2−ブチルベンゾフラン−5−イル)−N−(メチルスルホニル)メタンスルホンアミド(3)を得た(収率78%)。
実施例5〜8:方法B
実施例5
【0146】
1−ビス(メタンスルホニル)アミノ−4−(2,2−ジエトキシエトキシ)ベンゼンの合成
N,N−ジメチルホルムアミド(100mL)中の4−ビス(メタンスルホニル)アミノフェノール(55ミリモル)と炭酸カリウム(90ミリモル)の懸濁液に2−ブロモ−1,1−ジエトキシエタン(60ミリモル)を加え、反応混合物を100℃で10〜15時間加熱した。得られた溶液を水(200mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出した(150mLで3回)。合わせた有機層をブラインで洗浄し(100mLで5回)、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮してやや黄色の油として1−ビス(メタンスルホニル)アミノ−4−(2,2−ジエトキシエトキシ)ベンゼンを提供した。
【0147】
上述の方法によって以下の1−置換−4−(2,2−ジエトキシエトキシ)ベンゼンを調製した。
1−フルオロ−4−(2,2−ジエトキシエトキシ)ベンゼン、沸点87〜90℃(0.1mm)
1−クロロ−4−(2,2−ジエトキシエトキシ)ベンゼン、沸点165〜168℃(15mm)
1−ブロモ−4−(2,2−ジエトキシエトキシ)ベンゼン、黄色の油
1−メトキシ−4−(2,2−ジエトキシエトキシ)ベンゼン、油
実施例6
【0148】
5−置換ベンゾフランの調製
Dean−Stark装置を用いて共沸混合物を付随して取り除きながら、120℃にて6〜8時間、Amberlyst15(2.5g)を伴った無水トルエン(30mL)中で1−置換−4−(2,2−ジエトキシエトキシ)ベンゼン(100ミリモル)を還流した。得られた反応混合物を濾過し、樹脂を過剰なトルエンで洗浄した。合わせた濾液を減圧下で乾燥するまで濃縮し、得られた化合物を結晶化によって、蒸留によって又はシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製した。
【0149】
上述の方法によって以下の5−置換ベンゾフランを調製した:
5−フルオロベンゾフラン、油
5−クロロベンゾフラン、94〜97℃(18mm)
5−ブロモベンゾフラン、油
5−メトキシベンゾフラン、118〜120℃(18mm)
実施例7
【0150】
塩化ブチリルを介した5−置換−2−ブチリルベンゾフランの調製
(a)塩化ブチリルのトルエン溶液の調製
308.4g(3.5モル)の酪酸を175mlのトルエンと4mLのDMFに加える。攪拌しながらこの混合物に281.3mL(461.1g、3.9モル)の塩化チオニルを1.5〜2時間の間でゆっくり加えた。得られた混合物を100〜102℃にゆっくり加熱したが、気体発生のために40〜45℃で混合物は「沸騰」し始め、「沸騰」から反応の終了までの加熱時間は約9時間だった。常圧にて101〜105℃で塩化ブチリルのトルエン溶液を蒸留し、343g(92%)の塩化ブチリルを含有する510.9gのトルエン溶液を得た。
【0151】
(b)40mLのトルエン中の5−置換ベンゾフラン(2モル)と3.0g(0.04モル)のオルソリン酸(85%)の混合物に27.7g(0.26モル)の塩化ブチリルを含有する41.8gの塩化ブチリルトルエン溶液を加えた。混合物を1.5〜2時間の間、還流まで加熱し、4〜5時間還流し、次いで20℃に冷却した。50.0mLのトルエンと50.0mLの温水を加え、得られた混合物を0.5時間撹拌し、層を分離した。8〜10mLの25%水酸化アンモニウム溶液と25mLの水を加えることによってトルエン溶液をpH7〜8に中性化した。混合物を0.5時間撹拌し、層を分離した。トルエン溶液を水で洗浄し、4gの活性炭と共に15〜30分間加熱し、濾過し、減圧下で溶媒を留去した。残留物を精製することなく次の工程で使用することができ、又はさらに精製することができた。
【0152】
(c)商業的供給源から得た又は酪酸と無水酢酸若しくはトリフルオロ酢酸からその場で調製した無水酪酸との5−置換−2−ブチリルベンゾフランの反応によって5−置換−2−ブチリルベンゾフランと5−置換−3−ブチリルベンゾフランの混合物を得た。
実施例8
【0153】
Wolff−Kishner反応による5−置換−2−ブチリルベンゾフランからの5−置換−2−ブチルベンゾフランの調製
(a)機械的攪拌器と熱電対と還流コンデンサを備えた丸底フラスコに、5−置換−3−ブチリルベンゾフラン(0.6モル)と120g(0.2モル)のKOH(約85%、充填はKOHの重量%に基づかない)を充填した。次いで攪拌しながら、フラスコに2.5Lのジエチレングリコールと210mLのヒドラジン水和物と50mLの水を順に充填した。加熱が始まり、反応器の温度は10〜15分で迅速に100℃になった。緩慢な当初の加熱はアジン形成をもたらし得る。60℃〜70℃の間で反応物からの窒素が放出し始め、温度が15〜30分で130〜150℃(反応器温度)に上昇するにつれて非常に速くなった。反応混合物を2時間かけて145〜150℃の内部温度に加熱し、その時点で反応混合物を還流した。この温度で反応を25〜30分間維持し、還流混合物をインラインのDean−Stark装置に迂回させ、装置にて水が回収し始めた。およそ30〜40mLの水が回収された後、内部反応温度を45分間かけて152〜155℃に高め、反応混合物をこの温度で3〜3.5時間攪拌し、その間、総量約80〜100mLの水が回収された。冷却した後、反応混合物を氷に注ぎ、1200mLの2Nの塩酸によって酸性化した。トルエン又は酢酸エチルによって生成物を抽出し、抽出物を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、60℃で真空にて蒸発させ、好適な溶媒若しくは溶媒の混合物を用いた結晶化によって、蒸留によって又はカラムクロマトグラフィによって残留の油を精製した。
【0154】
(b)マイクロ波照射のもとでのWolff−Kishner反応による5−置換−2−ブチリルベンゾフランからの5−置換−2−ブチルベンゾフランの調製
5−置換−2−ブチリルベンゾフラン(1.7ミリモル)と55%ヒドラジン(1.7ミリモル)とエチレングリコール(5mL)を50mLのビーカーに加えた。混合物を穏やかに振盪し、適切な混合を確保した。次いでビーカーを時計皿で覆い、中程度の出力でマイクロ波オーブンにて30秒間照射した。ビーカーをオーブンから取り出し、室温に冷却した後、混合物をさらに氷槽にて5分間冷却した。黄色の粉末を吸引フラスコに回収し、冷エタノールで洗浄し(5mLで2回)、風乾させた。0.5mLのエチレングリコールと水酸化カリウム(62mg、1.1ミリモル)を含有する50mLのビーカーをマイクロ波オーブンにて10秒間照射して塩基を溶解した。次いでヒドラゾン(0.36ミリモル)をビーカーに加え、マイクロ波オーブンにて10秒間照射した。ビーカーをオーブンから取り出し、室温に冷却した。次いで茶色の溶液を5mLの脱イオン水で希釈し、6MのHClによってpH=2まで酸性化し、酢酸エチルで抽出した(5mLで3回)。酢酸エチルの溶液を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発させた。好適な溶媒若しくは溶媒の混合物を用いた結晶化によって、蒸留によって又はカラムクロマトグラフィによって残留物を精製した。
実施例9:方法C
【0155】
[3,3]−シグマトロピー再構成による5−置換−2−ブチルベンゾフランの調製
塩酸O−(4−置換)フェニルヒドロキシルアミン(100ミリモル)をTHF(200mL)に溶解し、55〜60℃に温めた。5分後、メタンスルホン酸(200ミリモル)とメチルブチルケトン(100ミリモル)を加え、反応をTLC又はHPLCによってモニターした。完了の際、減圧下で溶媒を取り除いた。好適な溶媒若しくは溶媒の混合物を用いた結晶化によって、蒸留によって又はカラムクロマトグラフィによって残留物を精製した。
【0156】
5−ビス(メタンスルホン)アミド−2−ブチルベンゾフランを収率78%で調製した。
【0157】
実施例4に従って、この方法によって調製されたそのほかの5−置換−2−ブチルベンゾフランを5−ビス(メタンスルホン)アミド−2−ブチルベンゾフランに変換した。
実施例10:ドロネダロンの調製
【0158】
(a)N−[2−ブチル−3−[4−[3−(ジブチルアミノ)プロポキシ]ベンゾイル]ベンゾフラン−5−イル]−N−メチルスルホニル−メタンスルホンアミドの調製
0℃にて無水ジクロロメタン(5mL)中の塩化4−[3−(ジブチルアミノ)プロポキシ]ベンゾイル塩酸塩(801.4mg、2.22ミリモル)の攪拌された溶液に塩化アルミニウム(678.3mg、5.1ミリモル)を慎重に加えた。攪拌された混合物に5℃にてジクロロメタン(10mL)中のN−(2−ブチルベンゾフラン−5−イル)−N−(メチルスルホニル)−メタンスルホンアミド(589.9mg、1.70ミリモル)の溶液を一滴ずつ加えた。得られた混合物を一晩10℃にて攪拌した。混合物を氷/水混合物に慎重に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した(50mLで3回)。合わせた有機層を飽和NaHCOで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。
【0159】
フラッシュクロマトグラフィ(溶離液:ジクロロメタン/メタノール、勾配:100%CHCl〜5%メタノール)によって分析試料を調製し、黄色の油を得た。
【0160】
(b)N−[2−ブチル−3−[4−[3−(ジブチルアミノ)プロポキシ]ベンゾイル]ベンゾフラン−5−イル]メタンスルホンアミド−ドロネダロン(1)の調製
実験(a)からの粗精製混合物(585.1g、0.871ミリモル)をテトラヒドロフラン(6mL)に溶解し、5NのNaOH(0.5mL)を加えた。HPLCのモニターのもとでrtにて混合物を3時間攪拌した。反応の完了後、溶媒を濃縮し、酢酸エチルと水を加えた。有機層を分離し、水性層をさらに2回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、半分の容積まで濃縮した。溶媒の蒸発により分析試料を調製し、黄色の油を得た。
【0161】
(c)20mLの酢酸エチル中に1gの2−n−ブチル3−[4−(3−ジ−n−ブチルアミノ−プロポキシ)ベンゾイル]5−メチルスルホンアミドベンゾフランを含有する実験(b)からの溶液に、pH=3に攪拌しながら酢酸エチル中の塩化水素を加える。数分後、塩酸塩が沈殿し始める。1時間後、それを濾別し、1.03gの無色の生成物を得る。それを濾過し、冷酢酸エチルで洗浄し、真空で乾燥させた。融点:142〜143℃。
【0162】
本発明が具体的に記載された一方で、当業者は多数の変化や修正が為されうることを十分に理解するであろう。従って、本発明は、具体的に記載された実施形態に拘束されると解釈されるべきではなく、本発明の範囲及び概念はあとに続く特許請求の範囲を参照してさらに容易に理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(3)の構造によって表されるN−(2−ブチルベンゾフラン−5−イル)−N−(メチルスルホニル)メタンスルホンアミドの調製方法であって
【化1】

式(9)
【化2】

の5−置換ベンゾフランをメタンスルホンアミド導入剤と反応させる工程を含み、式中、Xはハロゲン、OH、アルコキシ、アリールオキシ及びO−スルホネートから選択される方法。
【請求項2】
XがCl、Br、I、OMs又はOTsである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
メタンスルホンアミド導入剤がビス(メタンスルホニル)アミド又はその塩である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
反応が触媒の存在下で実施される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
触媒が第一銅の塩、好ましくはCu(I)Iであり、触媒の量が、式(9)の化合物の量に対して約1〜100モル%、好ましくは約1〜10モル%、さらに好ましくは5〜10モル%である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
反応が配位子の存在下で実施され、前記配位子がアミノ酸、好ましくはN−メチルアミノ酸である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
N−メチルアミノ酸がN−メチルグリシン又はN,N−ジメチルグリシンであり、N−メチルアミノ酸の量が、式(9)の化合物の量に対して約1〜100モル%、好ましくは約5〜30モル%、さらに好ましくは約15〜20モル%である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
反応が有機溶媒及び塩基の存在下で実施され、前記有機溶媒がDMF、NMP及びDMSOから選択される極性溶媒であり、前記塩基がアルカリ金属及びアルカリ土類の炭酸塩、酢酸塩及びリン酸塩、好ましくは酢酸ナトリウム又はリン酸カリウムから選択され、前記塩基の量が相当するスルファミドに対して少なくとも約1当量、好ましくは約1〜約5当量、さらに好ましくは約2〜約2.5当量である上記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
XがF又はClであり、メタンスルホンアミド導入剤がビス(メタンスルホニル)アミドのアルカリ金属塩、好ましくはナトリウム塩又はカリウム塩であり、反応が有機溶媒中で実施される請求項1に記載の方法。
【請求項10】
XがOMeである式(9)の5−置換2−ブチルベンゾフランをXがOHである式(9)の相当する5−置換ベンゾフランに脱メチル化し、得られた化合物をミツノブ反応条件下でビス(メタンスルホニル)アミドと反応させる工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
X基をアミノ基(NH)に変換する試薬と式(9)の化合物を反応させて式(9A)の化合物を生成する工程(i)と化合物(9A)をスルホン化剤と反応させて式(3)の化合物を生成する工程(ii)を含む請求項1に記載の方法。
【化3】

【請求項12】
X基をアミノ基に変換する試薬が構造(RNMによって表され、式中、Rは窒素保護基、好ましくはシリル基であり、Mはアルカリ金属であり、方法がR保護基を取り外して式(9A)の化合物を生成する工程をさらに含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
X基をアミノ基に変換する試薬が((CHSi)NLiである請求項12に記載の方法。
【請求項14】
スルホン化剤が塩化メタンスルホニルである請求項11に記載の方法。
【請求項15】
式(9)の化合物が式(8):
【化4】

の2−(2−ホルミル−4−置換フェノキシ)ヘキサン酸又は活性のあるその誘導体を環化することによって調製され、式中、RはH、アルキル、アラルキル、アリール又はカルボン酸活性化基であり、Xは請求項1〜14のいずれか1項で定義されたとおりである請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
環化が式(8)の化合物の活性化された誘導体によって実施され、前記活性化された誘導体は式(8)の酸のクロロ無水物、混合無水物又はスルホネートである請求項15に記載の方法。
【請求項17】
中間体を単離することなく環化が実施される請求項15に記載の方法。
【請求項18】
式(8)の化合物が、
(i)式(7):
【化5】

の化合物を式CH(CHCH(Y’)COORのカルボン酸と反応させ(式中、Y’は脱離基であり、RはH又はカルボキシル保護基である)、
(ii)任意でRがRと異なるのであれば、RをRに変換することによって調製される請求項15〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
脱離基Y’がハロゲン又は式−OSOのスルホン酸エステル基であり、式中、Rはアルキル又はアリール、好ましくはMe又はC−CH−pである請求項18に記載の方法。
【請求項20】
カルボキシル保護基が酸性又は中性の条件下で取り外し可能であり、好ましくはカルボキシル保護基がt−ブチル保護基、ベンジル保護基又はシリル保護基である請求項18に記載の方法。
【請求項21】
化合物(7)を化合物(8)に転換する工程と化合物(1)への環化の工程が、中間体を分離、精製することなくワンポット合成として実施される請求項18に記載の方法。
【請求項22】
(i)化合物(7)をRがアルキル、アラルキル又はアリールである式(8)のエステルに変換する工程と、
(ii)RがHである式(8)の相当するカルボン酸に前記エステルを加水分解する工程と、
(iii)環化して式(3)の化合物を形成する工程を含み、
工程(i)〜工程(iii)が、中間体を分離、精製することなくワンポット合成として実施される請求項18〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
式(9)の化合物が、式(12)
【化6】

の化合物を還元することによって調製され、式中、Xは請求項1〜14のいずれか1項で定義したとおりである請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
化合物(12)が式(11)
【化7】

の化合物を塩化ブチリルと反応させることによって調製される請求項23に記載の方法。
【請求項25】
化合物(11)が、式(6)の4−置換フェノールをアルキル化して式(10)のアセタールを形成し、アセタール基を外した後、環化することによって得られる
【化8】

請求項24に記載の方法。
【請求項26】
式(9)の化合物が、酸の存在下、式(13)の化合物をメチルブチルケトンと反応させて化合物(14)を生成し、その後化合物(14)を環化して化合物(9)を生成することのよって調製され、
【化9】

式中、Buはブチルであり、Xは請求項1〜14のいずれか1項で定義したとおりである請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
酸が酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸及びプロピオン酸から選択され、さらに好ましくは、前記酸はメタンスルホン酸である請求項26に記載の方法。
【請求項28】
式(3)
【化10】

の構造によって表されるN−(2−ブチルベンゾフラン−5−イル)−N−(メチルスルホニル)メタンスルホンアミドの調製方法であって、
(a)式(9)
【化11】

の化合物を形成するために式(12)
【化12】

の化合物を還元する工程(式中、XはN(MeSO、アミノ、N−保護アミノ、ハロゲン、OH、アルコキシ、アリールオキシ又はO−スルホネートである)と、
(b)任意で、XがN(MeSO以外である場合、化合物(9)におけるX基を式N(MeSOの基に変換する工程を含む方法。
【請求項29】
化合物(12)が、式(11)
【化13】

の化合物を塩化ブチリルと反応させることによって調製される請求項28に記載の方法。
【請求項30】
化合物(11)が、式(6)の4−置換フェノールをアルキル化して式(10)のアセタールを形成し、アセタール基の取り外し、その後の環化
【化14】

によって得られる請求項29に記載の方法。
【請求項31】
式(3)
【化15】

の構造によって表されるN−(2−ブチルベンゾフラン−5−イル)−N−(メチルスルホニル)メタンスルホンアミドの調製方法であって、酸の存在下で式(13)の化合物をメチルブチルケトンと反応させて式(14)の化合物を生成し、その後、環化を行って式(9)の化合物を生成する工程と
【化16】

(式中、XはN(MeSO、アミノ、N−保護アミノ、ハロゲン、OH、アルコキシ、アリールオキシ又はO−スルホネートである)、
(b)任意で、XがN(MeSO以外である場合、化合物(9)におけるX基を式N(MeSOの基に変換する工程を含む方法。
【請求項32】
酸が酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸及びプロピオン酸から選択され、さらに好ましくは、前記酸はメタンスルホン酸である請求項31に記載の方法。
【請求項33】
式(3)
【化17】

の構造によって表されるN−(2−ブチルベンゾフラン−5−イル)−N−(メチルスルホニル)メタンスルホンアミドの調製方法であって、
(a)式(9)
【化18】

の化合物を形成するように式(8)
【化19】

の2−(2−ホルミル−4−置換−フェノキシ)ヘキサン酸又はその活性のある誘導体を環化する工程(式中、RはH、アルキル、アラルキル、アリール又はカルボン酸活性化基であり、Xはハロゲン、OH、アルコキシ、アリールオキシ又はO−スルホネートである)と、
(b)化合物(9)をメタンスルホンアミド導入剤と反応させることによって化合物(9)におけるX基を式N(MeSOの基に変換する工程を含む方法。
【請求項34】
式(8)の化合物が、
(i)式(7)
【化20】

の化合物を式CH(CHCH(Y’)COOR(式中、Y’は脱離基であり、RはH又はカルボキシル保護基である)のカルボン酸と反応させ、
(ii)任意で、RがRと異なるのであれば、RをRに変換することによって調製される請求項33に記載の方法。
【請求項35】
式(3)の構造によって表されるN−(2−ブチルベンゾフラン−5−イル)−N−(メチルスルホニル)メタンスルホンアミドの調製方法であって、酸の存在下でN−(4−(アミノオキシ)フェニル)−N−(メチルスルホニル)メタンスルホンアミドをメチルブチルケトンと反応させる工程を含む方法。
【請求項36】
ドロネダロンを調製する方法であって、式(3)の構造によって表されるN−(2−ブチルベンゾフラン−5−イル)−N−(メチルスルホニル)メタンスルホンアミドをドロネダロンに変換する工程を含み、式(3)の化合物が請求項1〜35のいずれかに記載の方法に従って調製される方法。
【請求項37】
ドロネダロン(1)又はその塩を調製する方法であって、
(a)触媒の存在下で式(3)の構造によって表されるN−(2−ブチルベンゾフラン−5−イル)−N−(メチルスルホニル)メタンスルホンアミドを式(2)の酸誘導体によってアシル化する工程と;
【化21】

(式中、Aはハロゲン又はOC(O)Rであり、YはORであり、Rは非置換又は置換のアルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、アラルキル又はシクロアルキル、又はシリル、エーテル及びエステル型の保護基から選択されるO−保護基である)と、
(b)式(4)の化合物をドロネダロン(1)又はその塩に変換する工程:
【化22】

を含み、式(3)の化合物が請求項1〜35のいずれかに記載の方法に従って調製される方法。
【請求項38】
YがO(CHNBuである請求項37に記載の方法。
【請求項39】
Aがハロゲン、好ましくはClである請求項37に記載の方法。
【請求項40】
式(9)
【化23】

の5−置換2−ブチルベンゾフラン(式中、XはF、I、OMs及びOTsから選択される)。
【請求項41】
2−(2−ホルミル−4−(N−(メチルスルホニル)メチルスルホンアミド)フェノキシ)ヘキサン酸。
【請求項42】
N−(3−ホルミル−4−ヒドロキシフェニル)−N−(メチルスルホニル)メタンスルホンアミド。
【請求項43】
N−(4−ヒドロキシフェニル)−N−(メチルスルホニル)メタンスルホンアミド。

【公表番号】特表2013−519663(P2013−519663A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552518(P2012−552518)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際出願番号】PCT/IL2011/000150
【国際公開番号】WO2011/099010
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(511224254)マピ ファーマ リミテッド (6)
【Fターム(参考)】