説明

ベンディングカーの荷箱構造

【課題】 自動販売機や販売店に補充商品を運んで使用済の容器や包装体などを回収して持ち帰るベンディングカーにおいて、荷箱屋上の回収品をカバーで覆う高所作業を不要にする。回収品は、人目に触れさせない。
【解決手段】 補充商品を運んで使用済の容器や包装体などを回収して持ち帰るベンディングカーにおいて、補充商品を収容する荷箱1の上に、回収品を収容する回収品室5を設け、回収品を回収品室の前後左右の側面と上側面で覆って持ち帰る構成にした。回収品室は、内部が外側から見えない非透視性の構成にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機や販売店に容器入りの飲料や食品などの商品を運ぶベンディングカーの荷箱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料用のベンディングカーは、自動販売機や販売店に容器入り飲料を運んで補充し、使用済の空の容器を回収して持ち帰る。このようなベンディングカーは、補充商品の容器入り飲料を収納する荷箱を設けている。荷箱は、屋上に、人が立つ足場部と、回収品の使用済容器を載せる荷積み部を設けている。荷箱の側面には、屋上の足場部に上がる梯子を取り付けている。屋上の荷積み部は、周囲に柵ないし囲いを設けている。
【0003】
使用済容器を回収する際、ゴミ袋に多数の使用済容器を入れ、ゴミ袋の口を閉じる。使用済容器を詰めたゴミ袋は、ベンディングカーの荷積み部に投げ上げて載せる。そして、荷積み部上のゴミ袋には、網やシートのカバーを被せ、カバーを荷積み部に留める。カバーは、ベンディングカーの走行中、荷積み部上のゴミ袋が落下するのを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−253301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[課 題]
上記のようなベンディングカーで使用済容器を回収する際、作業者は、荷箱の屋上の足場部に立ち、屋上の荷積み部の使用済容器入りゴミ袋、回収品にカバーを被せ、カバーの端を荷積み部に留める。湾曲自在なカバーを取り扱う作業は、多くの手間が掛かる。荷箱の屋上の高所作業は、危険を伴う。
また、飲料や食品用のベンディングカーは、飲料や食品の清潔な商品を運ぶことが主な任務である。使用済の容器や包装体を入れたゴミ袋、回収品が人目に触れると、清潔感が損なわれる。
【0006】
[着 想]
自動販売機や販売店に補充商品を運んで使用済の容器や包装体などを回収して持ち帰るベンディングカーにおいて、補充商品を収容する荷箱の屋上には、回収品を載せる野天の荷積み部に替えて、回収品を収容する回収品室を設けることにした。回収品室内の回収品は、外回りが覆われる。屋上の回収品をカバーで覆う高所作業は、不要になる。
回収品室は、不透明な材料や透視孔のない構造を使用し、内部が外側から見えない非透視性の構成にする。回収品室内の回収品は、人目に触れない。
【0007】
回収品室は、左側面と上側面の隅角部又は右側面と上側面の隅角部を開閉するウイング開閉装置を設ける。回収品の出し入れが容易になる。
ウイング開閉装置は、地上で操作する操作部を設ける。ウイングの開閉に高所作業を要しない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1)自動販売機や販売店に補充商品を運んで使用済の容器や包装体などを回収して持ち帰るベンディングカーにおいて、
補充商品を収容する荷箱の上に、回収品を収容する回収品室を設け、回収品を回収品室の前後左右の側面と上側面で覆って持ち帰る構成にしたことを特徴とする荷箱構造。
2)上記の荷箱構造において、
回収品室は、内部が外側から見えない非透視性の構成にしたことを特徴とする。
3)上記の荷箱構造において、
回収品室は、左側面と上側面の隅角部又は右側面と上側面の隅角部を開閉するウイング開閉装置を設けたことを特徴とする。
4)上記3)の荷箱構造において、
回収品室のウイング開閉装置は、地上で操作する操作部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
荷箱屋上の回収品をカバーで覆う高所作業は、不要になる。
回収品室内の回収品は、人目に触れない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態における荷箱構造を備えたベンディングカーの側面図。
【図2】同荷箱構造を備えたベンディングカーの平面図。
【図3】図1のA−A線断面図。
【図4】図1のB−B線断面図。
【図5】同ベンディングカーの背面図。
【図6】同ベンディングカーの背面図で、回収品室のウイング開閉装置の左側ウイングを開放した状態を示す図。
【図7】同ベンディングカーの正面図で、回収品室のウイング開閉装置の右側操作部を省略した図。
【図8】同ベンディングカーの正面図で、回収品室のウイング開閉装置の左側ウイングを開放した状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態の荷箱構造を備えたベンディングカーは、図1と図2に示すように、運転室の後側の車台の上に、補充商品の容器入り飲料を収容する荷箱1を設けている。荷箱1は、前後方向に長い直方体形状にしている。荷箱1の左右の側面は、それぞれ、引き戸2付きの出し入れ口にしている。また、荷箱1は、屋上の後端部に、人が立つ足場部3を設けている。荷箱1の後側面には、地上から足場部3に上がる梯子4を取り付けている。
【0012】
荷箱1は、屋上の足場部3の前側に、回収品の使用済容器を収容する回収品室5を設けている。回収品室5は、前後方向に長い略直方体形状にしている。荷箱1の屋上には、図3と図4に示すように、前側壁11、後側壁12、左側壁13と右側壁14を設けている。それらの側壁11〜14は、前後方向に長い長方形枠形状に連結し、回収品室5の下部を構成している。側壁11〜14の上には、回収品室5の上部を構成するウイング開閉装置を設けている。
【0013】
前側壁11の直後には、図4に示すように、支柱を3本にした支柱部材15を固定している。支柱部材15は、前側壁11より高くしている。支柱部材15の上には、横棒状の支持部材16を固定している。後側壁12の直前には、図3と図5に示すように、逆T字形の支柱17を固定している。支柱17は、後側壁12より高くしている。支柱17の横棒状上部と支持部材16は、左右方向中央位置に配置している。
【0014】
支持部材16と支柱17には、ウイング開閉装置を取り付け、図3〜図6に示すように、左側に左側ウイング21を、右側に右側ウイング31を設けている。
【0015】
左側ウイング21は、支持部材16と支柱17の上面の左端部に回転中心軸22を前後方向に掛け渡して回転可能に取り付けている。回転中心軸22は、左側に天板部23を連結し、天板部23の左端下側に左側板部24を連結している。天板部23と左側板部24は、前端に前側板部25を連結し、後端に後側板部26を連結している。
【0016】
天板部23と後側板部26は、金属管の骨組みに防水シートを貼り付けて構成している。防水シートは、布に合成樹脂を被覆している。左側板部24と前側板部25は、金属管の骨組みに金属板を貼り付けて構成している。
【0017】
左側ウイング21の閉鎖時、図3〜図5に示すように、左側板部24は、下端部が左側壁13の外側面の上部に重なっている。前側板部25は、下端部が前側壁11の外側面の上部に重なっている。後側板部26は、下端部が後側壁12の外側面の上部に重なっている。回収品室5の左側面と上側面の隅角部を閉鎖している。左側ウイング21は、図6に示すように、回転中心軸22の周りに回転して上昇し、回収品室5の左上側の隅角部を開放する。
【0018】
右側ウイング31は、左側ウイング21と同様に、回転中心軸32、天板部33、右側板部34、前側板部35と後側板部36を備え、左側ウイング21と左右対称の構造にしている。右側ウイング31も、左側ウイング21と同様に、回転中心軸32の周りに回転し、回収品室5の右側面と上側面の隅角部を閉鎖したり、開放したりする。
【0019】
左側の回転中心軸22と右側の回転中心軸32の上側には、左側ウイング21と右側ウイング31の間を閉鎖する屋根39を設けている。屋根39は、防水シートで構成し、左端を左側ウイング21の天板部23の防水シートに、右端を右側ウイング31の天板部33の防水シートに連結している。
【0020】
回収品室5は、屋根39、天板部23と天板部33で非透視性の上側面を構成している。前側壁11、前側板部25、前側板部35、支柱部材15と支持部材16で非透視性の前側面を構成している。後側壁12、後側板部26、後側板部36と支柱17で非透視性の後側面を構成している。左側壁13と左側板部24で非透視性の左側面を構成している。右側壁14と右側板部34で非透視性の右側面を構成している。
【0021】
左側ウイング21は、その前端部と、荷箱1と運転室の間の隙間に、地上で操作する操作部41を設けている。操作部41は、図7に示すように、天板部23の前端部下側にレバー42を右方に突出して固定している。レバー42は、右端に滑車43を取り付けている。荷箱1の前側面は、左側部に操作ロープ44の一端を固定し、その下側位置に環45を取り付け、その下側位置に螺旋ばねの弾性条46の下端を固定している。操作ロープ44は、固定端から滑車43に向い、滑車43に巻き掛けて折り返し、環45を貫通して弾性条46に向い、弾性条46の上端の環を貫通して上方に折り返し、他端を左側板部24の下端に固定している。
【0022】
操作ロープ44は、開放操作時に、環45と弾性条46の間の部分を地上の作業者が握って引き下げる。すると、図8に示すように、左側ウイング21は、回転中心軸22の周りに120度位回転して上昇し、回収品室5の左上側の隅角部が開放する。作業者が操作ロープ44から手を離しても、左側ウイング21の開放状態が維持される。閉鎖操作時には、操作ロープ44は、左側ウイング21と弾性条46の間の部分を地上の作業者が握って引き下げる。すると、左側ウイング21は、逆方向に回転して下降し、図7に示すように、回収品室5の左上側の隅角部が閉鎖する。
【0023】
右側ウイング31も、地上で操作する操作部51を設けている。操作部51は、左側ウイング21の操作部41と同様に、レバー52、滑車53、操作ロープ54、環55と弾性条56を備え、左側ウイング21の操作部41と左右対称の構造にしている。右側の操作部51も、左側の操作部41と同様に、開放操作時と閉鎖操作時に、それぞれ、操作ロープ54の特定部分を地上の作業者が握って引き下げる。すると、回収品室5の右上側の隅角部が閉鎖又は開放する。
【0024】
この荷箱構造を備えたベンディングカーで使用済容器を回収する際、作業者は、地上で、左側の操作部41又は右側の操作部51を開放操作し、回収品室5の左上側又は右上側の隅角部を開放する。地上の作業者は、回収品の使用済容器を詰めたゴミ袋を、回収品室5にその左上側又は右上側の開放隅角部から投げ込む。回収品を回収品室5に入れた後、左側の操作部41又は右側の操作部51を閉鎖操作し、回収品室5の左上側又は右上側の隅角部を閉鎖する。回収品を回収品室5に収容した後、ベンディングカーを運転し、回収品を持ち帰る。
【0025】
ベンディングカーの走行中、回収品は、回収品室5の前後左右の側面と上側面で覆われている。回収品室5内の回収品は、回収品室5から飛び出して地上に落下することはない。また、回収品は、回収品室5の非透視性の前後左右の側面と上側面で覆われている。回収品室5内の回収品は、人目に触れない。
【0026】
[変形例]
1)上記の実施形態において、補充商品はボトル、缶や箱の容器入りの飲料にし、回収品は使用済のその容器にしているが、補充商品は袋、箱や缶の容器入りのスナック食品にし、回収品は使用済のその容器にする。
2)上記の実施形態において、ウイング開閉装置は、回収品室5の左上側の隅角部を開閉する左側ウイング21と、回収品室5の右上側の隅角部を開閉する右側ウイング31を設けているが、左側ウイング21のみを設ける。又は、右側ウイング31のみを設ける。
【符号の説明】
【0027】
1 荷箱
2 引き戸
3 足場部
4 梯子
5 回収品室
11 前側壁
12 後側壁
13 左側壁
14 右側壁
15 支柱部材
16 支持部材
17 支柱
21 左側ウイング
22 回転中心軸
23 天板部
24 左側板部
25 前側板部
26 後側板部
31 右側ウイング
32 回転中心軸
33 天板部
34 右側板部
35 前側板部
36 後側板部
39 屋根
41 左側の操作部
42 レバー
43 滑車
44 操作ロープ
45 環
46 弾性条
51 右側の操作部
52 レバー
53 滑車
54 操作ロープ
55 環
56 弾性条

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動販売機や販売店に補充商品を運んで使用済の容器や包装体などを回収して持ち帰るベンディングカーにおいて、
補充商品を収容する荷箱の上に、回収品を収容する回収品室を設け、回収品を回収品室の前後左右の側面と上側面で覆って持ち帰る構成にしたことを特徴とする荷箱構造。
【請求項2】
回収品室は、内部が外側から見えない非透視性の構成にしたことを特徴とする請求項1に記載の荷箱構造。
【請求項3】
回収品室は、左側面と上側面の隅角部又は右側面と上側面の隅角部を開閉するウイング開閉装置を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の荷箱構造。
【請求項4】
回収品室のウイング開閉装置は、地上で操作する操作部を設けたことを特徴とする請求項3に記載の荷箱構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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