説明

ベーキング装置、及び半導体装置の製造方法

【課題】キャリアテープに金属製の異物が付着するのを抑制することがベーキング装置、及び半導体装置の製造方法を得る。
【解決手段】乾燥室30を形成する底板44の上方に設けられた板部材42は、磁力をもった磁性体金属で成形されている。また、この板部材42には、複数個の円状の通風孔40が形成されている。磁性を帯びた板部材42は、乾燥室30を浮遊する金属製の異物や、キャリアテープ12に付着している金属製の異物を磁力で吸い付ける。乾燥室30内を循環する空気が板部材42に当って空気の流れが乱れ、板部材42に吸い付けられた金属製の異物が再度空気中に浮遊してキャリアテープ12に付着することが考えられるが、板部材42には、通風孔40が設けられているため、空気の流れが乱れず、金属製の異物が再度空気中に浮遊しない。これにより、キャリアテープ12に金属製の異物が付着するのを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアテープにボンディングされた半導体チップの表面に塗布される樹脂を加熱処理により乾燥、硬化させるベーキング装置と、これを使用した半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キャリアテープにボンディングされた半導体チップには、半導体チップを保護する樹脂が塗布される。この塗布された樹脂は、キャリアテープがベーキング装置の乾燥室を通過することで、加熱処理されて乾燥、硬化する。
【0003】
ここで、ベーキング装置の乾燥室を通過するキャリアテープに金属製の異物が付着すると、半導体チップを保護する樹脂の内部に金属製の異物が混入してリードフレームに付着し、半導体の品質を低下させるという問題がある。
【0004】
特許文献1には、搬送されるキャリアテープに沿って磁石を配置することで、磁石が金属製の異物を吸い付け、キャリアテープに金属製の異物が付着するのを防止する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2002−217244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ベーキング装置の乾燥室では、室温を調整するため、空気を循環させるのが一般的である。そこで、キャリアテープに沿って磁石を配置すると、磁石の周辺で空気の流れが乱れるため、仮に、磁石が空気中を浮遊する金属製の異物を吸い付けても空気の乱れによって異物が磁石を離れ、再度空気中を浮遊してキャリアテープに付着する可能性がある。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して、キャリアテープに金属製の異物が付着するのを抑制することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係るベーキング装置は、キャリアテープ上に搭載される半導体チップに塗布された樹脂を乾燥、硬化させる乾燥室を備えたベーキング装置において、前記乾燥室には、通風孔が設けられ、磁性を帯びた異物捕獲部材が前記乾燥室の底面と空間をあけて設けられることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、キャリアテープ上に搭載される半導体チップに塗布された樹脂を、ベーキング装置の乾燥室を通過させることで、乾燥、硬化させる。
【0009】
また、通風孔が設けられ、磁性を帯びた異物獲得部材が乾燥室の底板と空間をあけて設けられている。このため、異物獲得部材は、空気中に浮遊する金属製の異物やキャリアテープに付着している金属製の異物を磁力で吸い付ける。
【0010】
ここで、ベーキング装置の乾燥室では、室温を調整するため、空気を循環させるのが一般的である。この空気の流れが、異物獲得部材に当って乱れ、異物獲得部材に吸い付けられた金属製の異物が再度空気中に浮遊してキャリアテープに付着することが考えられる。
【0011】
しかし、異物獲得部材には通風孔が設けられているため、通風孔を空気が流れ、空気の流れが乱れない。このため、異物獲得部材が吸い付けた金属製の異物は、空気中に浮遊しないので、キャリアテープに金属製の異物が付着するのを抑制することができる。
【0012】
本発明の請求項2に係るベーキング装置は、キャリアテープ上に搭載される半導体チップに塗布された樹脂を乾燥、硬化させる乾燥室を備えたベーキング装置において、前記乾燥室には、通風孔が設けられ、前記乾燥室の底面と空間をあけて設けられる第1の部材と、前記第1の部材に載置される磁石と、が備えられていることを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、キャリアテープ上に搭載される半導体チップに塗布された樹脂を、ベーキング装置の乾燥室を通過させることで、乾燥、硬化させる。
【0014】
また、通風孔が設けられた第1の部材が乾燥室の底板と空間をあけて設けられ、磁石がこの第1の部材に載置される。このため、磁石は、空気中に浮遊する金属製の異物やキャリアテープに付着している金属製の異物を磁力で吸い付ける。
【0015】
ここで、ベーキング装置の乾燥室では、室温を調整するため、空気を循環させるのが一般的である。この空気の流れが、第1の部材に当って乱れ、磁石に吸い付けられた金属製の異物が再度空気中に浮遊してキャリアテープに付着することが考えられる。
【0016】
しかし、第1の部材には通風孔が設けられているため、通風孔を空気が流れ、空気の流れが乱れない。このため、磁石が吸い付けた金属製の異物は、空気中に浮遊しないので、キャリアテープに金属製の異物が付着するのを抑制することができる。
【0017】
本発明の請求項3に係るベーキング装置は、請求項1又は2に記載において、前記異物捕獲部材、又は前記第1の部材の上方には、通風孔が設けられた第2の部材が配置されることを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、異物捕獲部材、又は第1の部材の上方には、通風孔が設けられた第2の部材が配置されている。このため、何らかの原因で、キャリアテープが下方へ弛んでも、キャリアテープは、第2の部材に当り、金属製の異物が吸い付けられた異物捕獲部材、又は第1の部材の磁石に接することがない。また、第2の部材には通風孔が設けられているため、乾燥室の空気の流れを乱すことはない。
【0019】
このように、第2の部材を設けることで、異物捕獲部材又は磁石に吸い付けられた異物がキャリアテープに付着するのを抑制することができる。
【0020】
本発明の請求項4に係るベーキング装置は、請求項1から3何れか1項に記載において、前記空間と連通し、前記乾燥室の空気を排出する排気口が設けられることを特徴とする。
【0021】
上記構成によれば、異物捕獲部材、又は第1の部材と底板の間に設けられた空間と連通する排気口が設けられている。このため、乾燥室の空気は、異物捕獲部材、又は第1の部材の上側から下側へ抜け、排気口から排出される。すなわち、金属製の異物を自重、空気の流れ、及び磁力によって、異物捕獲部材又は磁石に吸い付けることができる。
【0022】
本発明の請求項5に係るベーキング装置は、請求項4に記載において、前記異物捕獲部材、又は前記第1の部材の上方には、前記乾燥室へ空気を取り入れる吸入口が設けられることを特徴とする。
【0023】
上記構成によれば、異物捕獲部材、又は第1の部材の上方には、乾燥室へ空気を取り入れる吸入口が設けられている。このため、吸入口から入り、異物捕獲部材、又は第1の部材の上側から下側へ抜け、排気口から排出される安定した空気の流れを作ることが出来る。すなわち、強制的に空気を吸入口から排気口まで流すことで、異物捕獲部材又は磁石が金属製の異物を効果的に吸い付けることができる。
【0024】
本発明の請求項6に係る半導体装置の製造方法は、請求項1又は2に記載するベーキング装置を使用して半導体装置を製造する製造方法であって、半導体チップが搭載されたキャリアテープを準備する工程と、前記半導体チップ上に樹脂を供給する工程と、前記キャリアテープを前記ベーキング装置に設けられた乾燥室に導入し、前記樹脂を乾燥させる工程と、を備えたことを特徴とする。
【0025】
上記構成によれば、半導体チップが搭載されたキャリアテープを準備し、さらに、このキャリアテープに搭載された半導体チップ上に樹脂を供給する。
【0026】
次に、キャリアテープをベーキング装置に設けられた乾燥室に導入し、半導体チップに供給された樹脂を乾燥させる。
【0027】
また、通風孔が設けられ、磁性を帯びた異物獲得部材、又は磁石が載置された第1の部材が乾燥室の底板と空間をあけて設けられている。このため、異物獲得部材、又は磁石は、空気中に浮遊する金属製の異物やキャリアテープに付着している金属製の異物を磁力で吸い付ける。
【0028】
ここで、ベーキング装置の乾燥室では、室温を調整するため、空気を循環させるのが一般的である。この空気の流れが、異物獲得部材、又は第1の部材に当って乱れ、異物獲得部材、又は磁石に吸い付けられた金属製の異物が再度空気中に浮遊してキャリアテープに付着することが考えられる。
【0029】
しかし、異物獲得部材、又は第1の部材には通風孔が設けられているため、通風孔を空気が流れ、空気の流れが乱れない。このため、異物獲得部材、又は磁石が吸い付けた金属製の異物は、空気中に浮遊しないので、キャリアテープに金属製の異物が付着するのを抑制することができる。
【0030】
本発明の請求項7に係る半導体装置の製造方法は、請求項6に記載において、乾燥室には、前記乾燥室に空気を取り入れる吸入口と前記乾燥から空気を流出させる排出口が設けられ、前記吸入口から取り入れられた空気が、異物捕獲部材、又は第1の部材の通風孔を上方から下方へ流れ、前記排出口から排出されることを特徴とする。
【0031】
上記構成によれば、吸入口から取り入れられた空気が異物捕獲部材、又は第1の部材の通風孔を流れる。このため、空気中を浮遊する異物を異物獲得部材、又は磁石が、効果的に磁力で吸い付けることができる。
【0032】
本発明の請求項8に係る半導体装置の製造方法は、請求項3に記載するベーキング装置を使用して半導体装置を製造する製造方法であって、半導体チップが搭載されたキャリアテープを準備する工程と、前記半導体チップ上に樹脂を供給する工程と、前記キャリアテープを前記乾燥室に導入し、前記樹脂を乾燥させる工程と、を備えたことを特徴とする。
【0033】
上記構成によれば、半導体チップが搭載されたキャリアテープを準備し、さらに、このキャリアテープに搭載された半導体チップ上に樹脂を供給する。
【0034】
次に、キャリアテープをベーキング装置に設けられた乾燥室に導入し、半導体チップに供給された樹脂を乾燥させる。
【0035】
また、磁性を帯びた異物獲得部材、又は磁石が載置された第1の部材が乾燥室の底板と空間をあけて設けられている。このため、異物獲得部材、又は磁石は、空気中に浮遊する金属製の異物やキャリアテープに付着している金属製の異物を磁力で吸い付ける。
【0036】
さらに、異物捕獲部材、又は第1の部材の上方には、通風孔が設けられた第2の部材が配置されている。このため、何らの原因で、キャリアテープが下方へ弛んでも、キャリアテープは、第2の部材に当り、金属製の異物が吸い付けられた異物捕獲部材、又は第1の部材の磁石に接することがない。また、第2の部材には通風孔が設けられているため、乾燥室の空気の流れを乱すことはない。
【0037】
このように、第2の部材を設けることで、異物捕獲部材又は磁石に吸い付けられた異物がキャリアテープに付着するのを抑制することができる。
【0038】
本発明の請求項9に係る半導体装置の製造方法は、請求項8に記載において、前記乾燥室には、前記乾燥室に空気を取り入れる吸入口と前記乾燥から空気を流出させる排出口が設けられ、前記吸入口から取り入れられた空気が、第2の部材の通風孔、及び異物捕獲部材、又は第1の部材の通風孔を上方から下方へ流れ、前記排出口から排出されることを特徴とする。
【0039】
上記構成によれば、吸入口から取り入れられた空気が第2の部材に設けられた通風孔を通り、さらに、異物捕獲部材、又は第1の部材の通風孔を流れる。このため、空気中を浮遊する異物を異物獲得部材、又は磁石が、効果的に磁力で吸い付けることができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、キャリアテープに金属製の異物が付着するのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本発明の第1実施形態に係るベーキング装置10が採用された樹脂封止システム100、及び半導体装置11の製造方法について図1から図4に従って説明する。
【0042】
図4に示されるように、樹脂封止システム100には、リール方式によってキャリアテープ12を供給するローダ機構14が設けられている。また、ローダ機構14の隣には、ローダ機構14から供給されたキャリアテープ12にボンディングされた半導体チップ16(図3参照)の表面に、半導体チップ16を保護する樹脂18を塗布するポッティング装置20が配置されている。
【0043】
さらに、ポッティング装置20の隣には、半導体チップ16に塗布された樹脂18を乾燥させ、硬化させるベーキング装置10が設けられている。また、ベーキング装置10の隣には、キャリアテープ12に半導体チップ16が搭載された半導体装置11を巻き取るリール方式のアンローダ機構22が連結されている。なお、ベーキング装置10については、詳細を後述する。
【0044】
図3に示されるように、樹脂封止システム100による樹脂封止工程の前工程として、開口が設けられたキャリアテープ12にリード24を形成する工程と半導体チップ16にバンプを形成する工程が設けられている。そして、リード24と半導体チップ16の電極とがバンプを介して接続されるインナーリードボンド工程(ILB工程)が行われた後、樹脂封止システム100による樹脂封止工程が行われる。
【0045】
次に、樹脂封止システム100の樹脂封止工程に使用されるポッティング装置20について説明する。
【0046】
図4に示さされるポッティング装置20には、ローダ機構14から搬送されてきたキャリアテープ12上に搭載された各半導体チップ16(図3参照)に対応する所定の箇所、例えば、デバイスホール封止のようにインナーリードを含めた全領域に樹脂18を塗布する装置(図示省略)が設けられている。
【0047】
また、ポッティング装置20で樹脂18が塗布されたキャリアテープ12はベーキング装置10に搬送される。
【0048】
さらに、キャリアテープ12をベーキング装置10の乾燥室30を通過させて樹脂18を乾燥、硬化させる。また、樹脂18が乾燥、硬化されると、キャリアテープ12に半導体チップ16が搭載された半導体装置11はアンローダ機構22によって巻き取られるようになっている。
【0049】
次に、ベーキング装置10について、図1、図2に従って詳細に説明する。
【0050】
図1、図2に示されるように、ベーキング装置10には、所定の雰囲気条件に保たれた乾燥室30が設けられ、乾燥室30にキャリアテープ12を導く矩形状の挿入開口32が、乾燥室30の天井板部材34に設けられている。
【0051】
また、挿入開口32から挿入されたキャリアテープ12は、下方へ搬送され、最下点で上方へ折り返され、天井板部材34に設けられた矩形状の送出口36から送り出されるようになっている。つまり、乾燥室30でのキャリアテープ12の搬送経路38は、U字形状とされている。
【0052】
また、ベーキング装置10の室内では、室温を調整するため、所定の温度の空気を循環させる温度調整機構(図示省略)が設けられている。
【0053】
さらに、乾燥室30を形成する底板44の上方には、底板44と空間46を空けて異物捕獲部材としての板部材42が設けられている。この板部材42は、磁力をもった磁性体金属で成形され、この板部材42には、複数個の円状の通風孔40(直径10mm。ピッチ10〜15mm)が形成されている。
【0054】
これにより、磁性を帯びた板部材42は、乾燥室30を浮遊する金属製の異物や、キャリアテープ12に付着している金属製の異物を磁力で吸い付ける構成となっている。
【0055】
ここで、前述したように、ベーキング装置10の乾燥室30には、温度調整機構によって、室温を調整するため、所定の温度の空気が循環している。この循環する空気が板部材42に当って空気の流れが乱れ、板部材42に吸い付けられた金属製の異物が再度空気中に浮遊してキャリアテープ12に付着することが考えられる。
【0056】
しかし、板部材42には、通風孔40が設けられているため、通風孔40を空気が流れ、空気の流れが乱れない。このため、板部材42が吸い付けた金属製の異物は、空気中に浮遊しないので、キャリアテープ12に金属製の異物が付着するのを抑制することができる。
【0057】
また、一度板部材42に吸い付けられた金属製の異物は磁力により吸着されているため、空気の流れにより舞い上がることはない。
【0058】
次に、第1実施形態に係るベーキング装置10を使用して半導体装置11を製造する製造方法について説明する。
【0059】
先ず、半導体チップ16が搭載されたキャリアテープ12を準備する工程として、図3に示されるように、開口が設けられたキャリアテープ12にリード24を形成し、さらに、半導体チップ16に形成されたバンプとリード24を接続する。
【0060】
次に、キャリアテープ12に搭載された半導体チップ16上に樹脂を供給する樹脂封止工程として、図4に示すポッティング装置20において、ローダ機構14から搬送されてきたキャリアテープ12の各半導体チップ16(図3参照)に対応する所定の箇所、例えば、デバイスホール封止のようにインナーリードを含めた全領域に樹脂18を塗布する。
【0061】
次に、キャリアテープ12をベーキング装置10に設けられた乾燥室30に導入し、樹脂を乾燥、硬化させ、その後、キャリアテープ12に半導体チップ16が搭載された半導体装置11をアンローダ機構22(図4参照)が巻き取る。
【0062】
このように、第1実施形態に係るベーキング装置10を使用することで、キャリアテープに金属製の異物が付着するのを抑制することができ、高品質な半導体装置を製造することができる。
【0063】
次に、本発明の第2実施形態に係るベーキング装置50について図5に従って説明する。
【0064】
なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0065】
図5で示されるように、この実施形態では第1実施形態のように、板部材52には、円状の通風孔40(図1参照)は設けられておらず、それに替えて、板部材52には、矩形状の通風孔54が格子状に設けられている。
【0066】
このように、板部材52に矩形状の通風孔54を格子状に設けることで、乾燥室30の空気の流れを乱さないようになっている。
【0067】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、板状の部材に矩形状の開口を形成することで通風孔54を設けたが、これに替えて、硬質ワイヤー等を網状に編むことで通風孔を設けてもよい。
【0068】
次に、本発明の第3実施形態に係るベーキング装置60について図6に従って説明する。
【0069】
なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0070】
図6で示されるように、この実施形態では第1実施形態のように板部材62は、磁性体金属で形成されておらず、それに替えて、磁性を有しない金属(例えば鉄板)で形成されている。また、板部材62の上面には、複数個の円柱状の磁石64が載置されている。
【0071】
このように、金属製の板部材62の上面に磁石64を載置することで、板部材62が磁性を帯びる。これにより、磁性を帯びた板部材62及び磁石64は、乾燥室30を浮遊する金属製の異物やキャリアテープ12に付着している金属製の異物を磁力で吸い付けるようになっている。
【0072】
また、板部材62を清掃する際には、磁石64を取り外すことで、板部材62が磁性を失うため、容易に板部材62から金属製の異物を除去することができる。
【0073】
なお、磁石64の材料としては、高温でも磁力が劣化し難い材料が好ましい。
【0074】
また、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、板部材62は、磁性を有しない金属材料で形成されたが、これに替えて、樹脂材料で形成されてもよい。この場合には、磁石64のみが、金属製の異物を吸い付ける構成となる。
【0075】
次に、第3実施形態に係るベーキング装置60を使用して半導体装置を製造する製造方法について説明する。
【0076】
なお、第1実施形態に係るベーキング装置を使用して半導体装置を製造する製造方法と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0077】
第3実施形態に係るベーキング装置60を使用して半導体装置を製造する製造方法では、板部材62は磁性体金属で形成されていないため、板部材62に載置された磁石64が主に金属製の異物を吸い付けるようになっている。
【0078】
次に、本発明の第4実施形態に係るベーキング装置70について図7に従って説明する。
【0079】
なお、第2実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0080】
図7で示されるように、この実施形態では第2実施形態のように板部材72は、磁性体金属で形成されておらず、それに替えて、磁性を有しない金属(例えば鉄板)で形成されている。また、板部材72の上面には、複数個の円柱状の磁石74が載置されている。
【0081】
このように、金属製の板部材72の上面に磁石74を載置することで、板部材72が磁性を帯びる。これにより、磁性を帯びた板部材72及び磁石74は、乾燥室30を浮遊する金属製の異物や、キャリアテープ12に付着している金属製の異物を磁力で吸い付ける。
【0082】
次に、本発明の第5実施形態に係るベーキング装置80について図8、図9に従って説明する。
【0083】
なお、第3実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0084】
図8、図9で示されるように、この実施形態では第3実施形態とは違い、板部材62の下方には、空間46と連通し、乾燥室30の空気を乾燥室30外へ排出する円筒状の排気口82が、乾燥室30の側面を形成する側板84に設けられている。
【0085】
さらに、板部材62の上方には、乾燥室30に空気を取り入れる円筒状の吸入口88が、乾燥室30の背面を構成する背板86の上側に設けられている。
【0086】
これにより、乾燥室30を所定の雰囲気条件に保つための空気は、吸入口88から乾燥室30へ流入し、板部材62の上側から下側へ通風孔40を通って抜け、排気口82から排出される。これにより、安定した空気の流れを作ることが出来る。
【0087】
このように、強制的に空気を吸入口88から排気口82まで流すことで、金属製の異物を板部材62又は磁石64に効果的に吸い付けることができる。
【0088】
また、空気が上から下にしか流れないため、仮に、磁石64の磁力が低下しても金属製の異物が上方へ舞い上がり、キャリアテープ12に付着することはない。
【0089】
また、磁力で吸い付けられない異物についても、空気は上から下にしか流れないため、上方へ舞い上がるのを防止することができる。
【0090】
なお、排気口82から排出された空気を循環させて吸入口88から再度取り入る循環タイプを採用する場合は、排気口82を底板44から数センチメートル程度上方へ配置するのが好ましい。底板44に堆積した重い異物を循環させないためである。
【0091】
次に、第5実施形態に係るベーキング装置80を使用して半導体装置を製造する製造方法について説明する。
【0092】
なお、第1実施形態に係るベーキング装置を使用して半導体装置を製造する製造方法と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0093】
第5実施形態に係るベーキング装置80を使用して半導体装置を製造する製造方法では、吸入口88から流入した空気が板部材62の通風孔40を流れて排出口82から排出される。そして、空気中を浮遊する異物を磁石64が磁力効果的に吸い付けることができる。
【0094】
なお、この半導体装置を製造する製造方法では、磁石64が異物を吸い付けたが、板部材に磁力をもたせ、板部材自体が異物を吸い付けてもよい。
【0095】
次に、本発明の第6実施形態に係るベーキング装置90について図10、図11に従って説明する。
【0096】
なお、第5実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0097】
図10、図11で示されるように、この実施形態では第5実施形態と違い、円状の通風孔40は板部材92の全面に設けられておらず、板状の平面部が多く残されている。
【0098】
さらに、板部材92の数センチメートル上方であって、キャリアテープ12の搬送経路38の下方には、矩形状の通風孔94が全面に格子状に設けられた磁性を帯びていない板部材96が設けられている。
【0099】
この構成により、キャリアテープ12に付着していた金属製の異物は、キャリアテープ12が乾燥室30を通過する際に、上方から下方へ流れる空気の流れによって落下する。さらに、落下した金属製の異物は、上側に配置された板部材96の通風孔94を通過し、板部材96の下方に配置された板部材92に達する。
【0100】
板部材92には、磁石64が載置されており、磁性を帯びた板部材92及び磁石64の磁力によって、金属製の異物は板部材92又は磁石64に吸い付けられる。
【0101】
また、非金属製の異物は、上方から下方へ流れる空気の流れにのって、金属製の異物と同様に落下し、板部材96の通風孔94を通過して、板部材92に達する。ここで、板部材92には、通風孔40が板全面に設けられていないため、非金属製の異物は、板部材92の通風孔40を通過することができず、板部材92の上面に溜まる。
【0102】
また、ベーキング装置90のエラーやキャリアテープ12の搬送ミスによりキャリアテープ12が乾燥室30に余剰に送り込まれ場合には、キャリアテープ12は、下方へ弛むが、異物が付着していない板部材96と接触し、異物が収集された板部材92と接触しない。
【0103】
このように、板部材96を設けることで、キャリアテープ12がたるんでもキャリアテープ12に異物が付着することを防止することができる。
【0104】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、板部材92には、円形状の通風孔40が形成されたが、これに替えて、矩形状等の通風孔が形成されてもよい。
【0105】
次に、第6実施形態に係るベーキング装置90を使用して半導体装置を製造する製造方法について説明する。
【0106】
なお、第1実施形態に係るベーキング装置を使用して半導体装置を製造する製造方法と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0107】
第6実施形態に係るベーキング装置90を使用して半導体装置を製造する製造方法では、吸入口88から流入した空気が板部材96に設けられた通風孔94を通り、さらに、磁石64が載置された板部材92の通風孔40を流れて排出口82から排出される。このため、キャリアテープ12がたるんでもキャリアテープ12に異物が付着することを防止することができ、さらに、空気中を浮遊する異物を磁石64が、効果的に磁力で吸い付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の第1実施形態に係るベーキング装置を示した斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るベーキング装置を示した正面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るベーキング装置を通るキャリアテープを示した断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るベーキング装置を採用した樹脂封止システムを示した概略構成図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るベーキング装置を示した斜視図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係るベーキング装置を示した斜視図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係るベーキング装置を示した斜視図である。
【図8】本発明の第5実施形態に係るベーキング装置を示した斜視図である。
【図9】本発明の第5実施形態に係るベーキング装置を示した正面図である。
【図10】本発明の第6実施形態に係るベーキング装置を示した斜視図である。
【図11】本発明の第6実施形態に係るベーキング装置を示した正面図である。
【符号の説明】
【0109】
10 ベーキング装置
11 半導体装置
12 キャリアテープ
16 半導体チップ
18 樹脂
30 乾燥室
40 通風孔
42 板部材(異物捕獲部材)
50 ベーキング装置
52 板部材(異物捕獲部材)
54 通風孔
60 ベーキング装置
62 板部材(第1の部材)
64 磁石
70 ベーキング装置
72 板部材(第1の部材)
74 磁石
80 ベーキング装置
82 排気口
88 吸入口
90 ベーキング装置
92 板部材(第2の部材)
94 通風孔
96 板部材(補助板部材)
100 樹脂封止システム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアテープ上に搭載される半導体チップに塗布された樹脂を乾燥、硬化させる乾燥室を備えたベーキング装置において、
前記乾燥室には、通風孔が設けられ、磁性を帯びた異物捕獲部材が前記乾燥室の底面と空間をあけて設けられることを特徴とするベーキング装置。
【請求項2】
キャリアテープ上に搭載される半導体チップに塗布された樹脂を乾燥、硬化させる乾燥室を備えたベーキング装置において、
前記乾燥室には、通風孔が設けられ、前記乾燥室の底面と空間をあけて設けられる第1の部材と、
前記第1の部材に載置される磁石と、
が備えられていることを特徴とするベーキング装置。
【請求項3】
前記異物捕獲部材、又は前記第1の部材の上方には、通風孔が設けられた第2の部材が配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載のベーキング装置。
【請求項4】
前記空間と連通し、前記乾燥室の空気を排出する排気口が設けられることを特徴とする請求項1から3何れか1項に記載のベーキング装置。
【請求項5】
前記異物捕獲部材、又は前記第1の部材の上方には、前記乾燥室へ空気を取り入れる吸入口が設けられることを特徴とする請求項4に記載のベーキング装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載するベーキング装置を使用して半導体装置を製造する製造方法であって、
半導体チップが搭載されたキャリアテープを準備する工程と、
前記半導体チップ上に樹脂を供給する工程と、
前記キャリアテープを前記ベーキング装置に設けられた乾燥室に導入し、前記樹脂を乾燥させる工程と、
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記乾燥室には、前記乾燥室に空気を取り入れる吸入口と前記乾燥から空気を流出させる排出口が設けられ、前記吸入口から取り入れられた空気が、異物捕獲部材、又は第1の部材の通風孔を上方から下方へ流れ、前記排出口から排出されることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項3に記載するベーキング装置を使用して半導体装置を製造する製造方法であって、
半導体チップが搭載されたキャリアテープを準備する工程と、
前記半導体チップ上に樹脂を供給する工程と、
前記キャリアテープを前記乾燥室に導入し、前記樹脂を乾燥させる工程と、
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記乾燥室には、前記乾燥室に空気を取り入れる吸入口と前記乾燥から空気を流出させる排出口が設けられ、前記吸入口から取り入れられた空気が、第2の部材の通風孔、及び異物捕獲部材、又は第1の部材の通風孔を上方から下方へ流れ、前記排出口から排出されることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−21405(P2009−21405A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−182980(P2007−182980)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】