説明

ベースメイク化粧料及びその製造方法

【課題】光源に依存しない自然な肌色の仕上がりが得られると共に、使用感に優れ、湿式成型法を適用していながらも、色材成分の溶出に起因する化粧料表面の色ムラや肌への染着の発生が抑制されたベースメイク化粧料及びその製造方法を提供することベースメイク化粧料及びその製造方法を提供する。
【解決手段】リソールルビンB及びリソールルビンBCAから選択された赤色顔料を無機物中にインターカレーションによって複合化した構造を有する赤色複合粉体を含む化粧料基剤と、溶剤と、を含有するスラリーを得て、該スラリーを容器に充填した後に、前記溶剤を除去して成型されたベースメイク化粧料及びその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベースメイク化粧料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ファンデーション等のベースメイク化粧料には、血行不良や色素の沈着により加齢とともに感じられる肌色のくすみ(明度が低下し黄色の彩度が上昇した状態)をカバーすること、仕上がりの色調が自然であることなどに対する要求があり、種々のベースメイク化粧料やその製造方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、くすみがなく、自然で健康的な肌色を得ることに着目した技術として、分光反射スペクトルにおいて、500〜620nmの波長領域にスペクトル的な窪みを有するファンデーションが開示されている。
固形粉末形態のベースメイク化粧料の成型法としては、乾式成型法の他に、湿式成型法も用いられており、特許文献2には、湿式成形により製造してもひびわれのない良好な化粧料を得るために、高アスペクト比粉末と球状粉末を含有させて湿式成型により製造される固形粉末ファンデーションが開示されている。
また、化粧料等に用いる色材についても、種々の性能を併有するものが提案されており、例えば、特許文献3には、発色性の向上や皮膚に対する染着性の抑制に着目したものとして、有機色素を無機物に固着させた有機複合顔料を配合する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3514915号公報
【特許文献2】特許第3675564号公報
【特許文献3】特開2003−105225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のベースメイク化粧料、肌に付与した際において、光源の種類によって、肌色の色味が黄色く変化して見えてしまい(以下、「黄ぐすみ」とも称する。)、光源に依存することなく自然な肌色の仕上がりが得られないという問題があった。
また、従来のベースメイク化粧料では、使用感(パフ等に取ったときの感触、及び、肌に付与したときのふんわり感、しっとり感、すべり感など感触)についても未だ不充分である。
更に、ベースメイク化粧料の成型に、湿式成型法を適用した場合においては、化粧料基剤に含まれる色材である顔料が、溶剤中に溶出(ブリードアウト)することに起因して、色ムラが生じて化粧料の外観が損なわれたり、化粧料を肌に付与した際に染着が生じたりするという問題もある。
【0006】
本発明は、前記従来の状況に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、光源に依存しない自然な肌色の仕上がりが得られると共に、使用感に優れ、湿式成型法を適用していながらも、色材成分の溶出に起因する化粧料表面の色ムラや肌への染着の発生が抑制されたベースメイク化粧料及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下の通りである。
[1] リソールルビンB及びリソールルビンBCAから選択された赤色顔料を無機物中にインターカレーションによって複合化した構造を有する赤色複合粉体を含む化粧料基剤と、溶剤と、を含有するスラリーを得て、該スラリーを容器に充填した後に、前記溶剤を除去して成型されたベースメイク化粧料。
[2] 前記溶剤が、エタノール、水、又はそれらの混合物である[1]に記載のベースメイク化粧料。
[3]前記赤色複合粉体は、該赤色複合粉体を用い、下記に示す水に対する溶出試験(1)及びエタノールに対する溶出試験試験(2)において、得られたろ液について400nmから600nmまでの波長領域について測定した吸光度の極大値が、いずれも0.10未満の赤色複合粉体である[1]又は[2]に記載のベースメイク化粧料。
溶出試験(1):
質量部換算で1質量部となる量の前記赤色複合粉体を、蒸留水(分散媒)99質量部中に、60秒間震盪分散し、40℃、400rpmにて、6時間スターラー攪拌した後に、孔径0.45μmのセルロースアセテートフィルター(商品名:Cellulose Acetate、ADVANTEC社製)にてろ過してろ液を得る。得られたろ液の吸光度を、蒸留水をブランクとして測定し、400nmから600nmまでの波長領域での吸光度の極大値を決定する。
溶出試験(2):
質量部換算で1質量部となる量の前記赤色複合粉体を、無水エタノール(99.5v/v%)エタノール99質量部中に、60秒間震盪分散し、40℃、400rpmにて、6時間スターラー攪拌した後に、孔径0.45μmのセルロースアセテートフィルター(商品名:Cellulose Acetate、ADVANTEC社製)にてろ過してろ液を得る。得られたろ液の吸光度を、エタノールをブランクとして測定し、400nmから600nmまでの波長領域での吸光度の極大値を決定する。
[4] 前記化粧料基剤が、更に、酸化鉄(赤色)を含む[1]〜[3]のいずれかに記載のベースメイク化粧料。
[5] 外観色の反射スペクトルが、500nmから600nmの間の波長領域に極小値を有する[1]〜[4]のいずれかに記載のベースメイク化粧料。
[6] 標準の光D65光源を用いて測定した外観色の色相角∠hが、50°〜80°の範囲内にあるパウダーファンデーションである[1]〜[5]のいずれかに記載のベースメイク化粧料。
[7] 標準の光D65光源を用いて測定した外観色の色相角∠hが、−90°〜90°の範囲内にあるプレストパウダーである[1]〜[5]のいずれかに記載のベースメイク化粧料。
[8] リソールルビンB及びリソールルビンBCAから選択された赤色顔料を無機物中にインターカレーションによって複合化した構造を有する赤色複合粉体を含む化粧料基剤と、溶剤と、を混合しスラリーを得ること、及び、該スラリーを容器に充填した後に、溶剤を除去すること、を含むベースメイク化粧料の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光源に依存しない自然な肌色の仕上がりが得られると共に、使用感に優れ、湿式成型法を適用していながらも、色材成分の溶出に起因する化粧料表面の色ムラや肌への染着の発生が抑制されたベースメイク化粧料ベースメイク化粧料及びその製造方法をベースメイク化粧料及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1及び比較例1にて得られたパウダーファンデーションについて測定した外観色の分光反射率(%)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のベースメイク化粧料及びその製造方法について詳細に説明する。
【0011】
なお、本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本発明において、組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
【0012】
[ベースメイク化粧料及びその製造方法]
本発明のベースメイク化粧料(以下、適宜、「化粧料」と称する。)は、リソールルビンB及びリソールルビンBCAから選択された赤色顔料を無機物中にインターカレーションによって複合化した構造を有する赤色複合粉体(以下、適宜、「特定赤色複合粉体」と称する。)を含む化粧料基剤と、溶剤と、を含有するスラリーを得て、該スラリーを容器に充填した後に、前記溶剤を除去して成型されたベースメイク化粧料である。
【0013】
即ち、本発明の化粧料は、リソールルビンB及びリソールルビンBCAから選択された赤色顔料を無機物中にインターカレーションによって複合化した構造を有する赤色複合粉体を含む化粧料基剤と、溶剤と、を混合しスラリーを得ること、該スラリーを容器に充填した後に、溶剤を除去すること、を含む製造方法(本発明の製造方法)により得られるものである。
【0014】
本発明の化粧料は、光源に依存しない自然な肌色の仕上がり(黄ぐすみの改良)が得られると共に、使用感に優れ、湿式成型法を適用していながらも、色材成分の溶出に起因する化粧料表面の色ムラや肌への染着の発生を効果的に抑制することができる。
【0015】
本発明のベースメイク化粧料の適用形態としては、例えば、パウダーファンデーション、プレストパウダー等が挙げられる。
【0016】
(1)化粧料基剤
本発明の化粧料における化粧料基剤が含有する必須及び任意の成分について説明する。
【0017】
<特定赤色複合粉体>
本発明の化粧料は、リソールルビンB及びリソールルビンBCAから選択された赤色顔料を無機物中にインターカレーションによって複合化した構造を有する赤色複合粉体(特定赤色複合粉体)を含有する。特定赤色複合粉体は、本発明の化粧料において、色材成分として機能しうる。また、特定赤色複合粉体は、本明細書において、赤色顔料の概念に包含される。
【0018】
特定赤色複合粉体における構成要素であるリソールルビンBは赤色201号として、また、リソールルビンBCAは赤色202号として知られるモノアゾ系赤色顔料である。本発明における特定複合粉体は、当該赤色顔料をインターカレーションによって複合化した構造を有する。ここで、インターカレーションとは、層状構造を有する物質の層間に分子、原子又はイオンが挿入される現象をいう。
【0019】
本発明における特定赤色複合粉体は、より詳細には、リソールルビンB及びリソールルビンBCAから選択された赤色顔料を、板状層状無機粉体及び二種以上の種類の無機水酸化物に複合化させることにより固着させてなるものである。
【0020】
特定赤色複合粉体は、リソールルビンB及びリソールルビンBCAから選択された赤色顔料を、一度水に完全に溶解させ、二種類の無機塩の存在化でpHを調整しながら二種類の無機水酸化物を析出させ、板状層状無機粉体を添加して、有機色素と二種類の無機水酸化物および板状層状無機粉体とを複合化させ化学的に固着させることにより得ることができる。詳細には、特開2003−105225公報に記載される製造方法に準じて製造することができる。
【0021】
特定赤色複合粉体中の純色素成分は、発色性及び色素成分の溶剤中への抑制の観点から、好ましくは5質量%以上50質量%未満である、より好ましくは10質量%以上30質量%以下である。
前記無機塩としては、例えば、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム等の金属塩化物などが挙げられる。前記無機水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。前記板状層状無機粉体としては、例えばモンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、ノントロナイト、膨潤性フッ素系雲母類等が挙げられる。
【0022】
特定赤色複合粉体の粒径としては、平均一次粒径が1μm以上10μm以下であることが好ましく、より好ましくは2μm以上8μm以下である。
【0023】
特定赤色複合粉体は、溶剤中への溶出(ブリードアウト)抑制の観点から、該特定赤色複合粉体を用い、下記に示す水に対する溶出試験(1)及びエタノールに対する溶出試験試験(2)において、得られたろ液について400nmから60mまでの波長領域について測定した吸光度の極大値が、いずれも0.10未満の赤色複合粉体であることが好ましい。
前記吸光度の極大値としては、より好ましくは0.01未満であり、低いほどより好ましい。
【0024】
−溶出試験(1)−
質量部換算で1質量部となる量の特定赤色複合粉体を、蒸留水(分散媒)99質量部中に、60秒間震盪分散し、40℃、400rpmにて、6時間スターラー攪拌した後に、孔径0.45μmのセルロースアセテートフィルター(商品名:Cellulose Acetate、ADVANTEC社製)にてろ過してろ液を得る。得られたろ液の吸光度を、蒸留水をブランクとして測定し、400nmから600nmまでの波長領域での吸光度の極大値を決定する。
【0025】
−溶出試験(2)−
質量部換算で1質量部となる量の特定赤色複合粉体を、無水エタノール(99.5v/v%)99質量部中に、60秒間震盪分散し、40℃、400rpmにて、6時間スターラー攪拌した後に、孔径0.45μmのセルロースアセテートフィルター(商品名:Cellulose Acetate、ADVANTEC社製)にてろ過してろ液を得る。得られたろ液の吸光度を、エタノールをブランクとして測定し、400nmから600nmまでの波長領域での吸光度の極大値を決定する。
【0026】
なお、溶出試験(1)験及び溶出試験(1)における吸光度の測定には、分光光度計(製品名:UV−2550、(株)島津製作所製)を用いた。
【0027】
特定赤色複合粉体としては、市販品を用いることもでき。例えば、HNB RED7、HNB RED6(大東化成(製)、いずれも商品名)等が挙げられる。
【0028】
本発明の化粧料における特定赤色複合粉体の含有量は、目的の色に化粧料を調色するために必要な赤色顔料の全質量に対して10質量%以上であることを要し、50質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることがさらに好ましい。
特定赤色複合粉体の含有量は、その種類による発色効率の違いを考慮して、上記の範囲内において調整される。
本発明の化粧料が含有する特定赤色複合粉体は、1種のみであっても、2種以上であってもよい。
【0029】
<他の成分>
本発明の化粧料における化粧料基剤は、特定赤色複合粉体の他、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて他の成分を他の成分を含有してもよい。該他の成分としては、体質顔料、色材顔料、パール顔料等の顔料、油剤、その他の添加剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。以下、本発明の化粧料において好適に含有される他の成分について説明する。
【0030】
≪体質顔料≫
本発明の化粧料は、更に、体質顔料を含有することが好ましい。体質顔料とは、色相の調整に実質的に寄与しない顔料を意味する。
【0031】
体質顔料の例としては、雲母、合成金雲母、タルク、カオリン、マイカ、セリサイト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、無水珪酸、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、等が挙げられる。
【0032】
体質顔料としては、市販品を用いることもでき、例えば、SERICITE FSE(三信鉱工(株)製)、TALK JA−46R(浅田製粉(株)製)、合成金雲母PDMシリーズ(トピー工業(株)製)等が挙げられる。
【0033】
体質顔料の粒径としては、平均一次粒径が1μm以上100μm以下であることが好ましく、より好ましくは5μm以上80μm以下である。
【0034】
なお、本発明における顔料の粒径は、測定対象となる顔料を含む所定の濃度の溶媒分散物を調製して、市販のレーザー光散乱の原理に基づく種々の測定機器(例えば、レーザー回折散乱式粒度分布測定器LMS−30((株)セイシン企業製)等)により測定することができる。
【0035】
体質顔料は、化粧料の主成分として含有されることが好ましく、その含有量としては、化粧料の全質量に対し、50質量%以上90質量%以下が好ましい。
本発明の化粧料が含有する体質顔料は、1種のみであっても、2種以上であってもよい。
【0036】
≪色材顔料≫
本発明の化粧料は、特定赤色複合粉体以外の色材成分として、更に、色材顔料を含有することが好ましい。色材顔料とは、色相の調整に寄与し、且つパール顔料以外の顔料を意味する。
【0037】
色材顔料の例としては、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄などの酸化鉄、白色顔料、赤色226号、黄色4号、黄色5号、黄色401号等の法定色素等が挙げられる。
【0038】
これら色材顔料の中でも、色調調製と溶剤中への溶出(ブリードアウト)抑制の観点からは、酸化鉄が好ましく、赤色酸化鉄がより好ましい。
【0039】
また、白色顔料として酸化チタン、酸化亜鉛等を含有する場合、該白色顔料は、シミやソバカス等の隠蔽剤、紫外線防止剤としての機能を兼ねてもよい。
【0040】
これらの色材顔料の形状や粒径は、例えば、白色顔料では球形で数nm以上数百nm以下、酸化鉄では球状や針状で数nm以上数百nm以下のものが好ましく用いられる。
これらの色材顔料の添加量は、化粧料全体の色調が目的のものとなるよう、適宜調整される。
本発明の化粧料が含有する色材顔料は、1種のみであっても、2種以上であってもよい。
【0041】
≪パール顔料≫
本発明の化粧料は、更に、パール顔料を含有することが好ましい。パール顔料とは、色相の調整に寄与し、且つ真珠光沢を有する顔料を意味する。
【0042】
パール顔料の例としては、酸化チタン被覆雲母(雲母チタン)、酸化チタン被覆ガラスフレーク、酸化チタン被覆タルク等が挙げられる。また、酸化チタンの被覆層が複数層であったり、酸化シリコン被覆と積層されたもの等も好ましく用いることができる。
パール顔料としては、市販品を用いることもでき、例えば、ロナフレアバランス ゴールド、トランスプリズマーレッド、ティミロン スーパーシルク MP−1005(以上、MERK社製)、フラメンコシリーズ(BASF社製)等が挙げられる。
【0043】
パール顔料としては、金色パール顔料及び赤色パール顔料が好ましく、これらパール顔料は混合物であることも好ましい。
【0044】
パール顔料の粒径としては、平均一次粒径が0.5μm以上100μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μm以上80μm以下である。
【0045】
パール顔料の含有量としては、化粧料の全質量に対して、1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、7.5質量%以上15質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明の化粧料が含有するパール顔料は、1種のみであっても、2種以上であってもよく、化粧料に含有されるパール顔料全体が示す反射色の色相角が40°〜80°の範囲になる比率で配合することが好ましい。
【0046】
特定赤色複合粉体と併用される上記の顔料の好ましい組み合わせの例としては、例えば、体質顔料が、雲母、セリサイト、及びタルクから選択された少なくとも1種の顔料であり、色材顔料が、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、及び酸化チタンから選択された少なくとも1種の顔料であり、パール顔料が、金色パール顔料及び赤色パール顔料から選択された少なくとも1種の顔料である組み合わせが挙げられる。
【0047】
≪油剤≫
本発明の化粧料は、更に、油剤を含有することが好ましい。
油剤としては、例えば、流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、スクワラン、ミツロウ、カルナウバロウ、オリーブ油、ラノリン、高級アルコール、脂肪酸、高級脂肪酸、エステル油、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、キャンデリラロウ、ジグリセライド、トリグリセライド、シリコーン油、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン、ホホバ油、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール等の化粧料に汎用される油分が挙げられる。
【0048】
≪その他の添加剤≫
本発明の化粧料には、更に、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、通常の化粧料に配合される成分、例えば、界面活性剤、水溶性高分子、前記した特定赤色複合粉体及び各顔料以外の他の粉体、保湿剤、防腐剤、薬剤、紫外線吸収剤、色素、無機塩又は有機酸塩、香料、キレート剤、pH調整剤、水等を配合することができる。
【0049】
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤;ステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸石鹸で代表されるアニオン性界面活性剤;及びカチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の化粧料に汎用される界面活性剤が挙げられる。
【0050】
水溶性高分子としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、トラガントガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、デキストリン、デキストリン脂肪酸エステル、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、水溶性コラーゲン等の化粧料に汎用される水溶性高分子が挙げられる。
【0051】
保湿剤としては、例えば、ソルビトール、キシリトール、グリセリン、マルチトール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、ポリエチレングリコール等の化粧料に汎用される保湿剤が挙げられる。
防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム等の化粧料に汎用される防腐剤が挙げられる。
薬剤としては、例えば、ビタミン類、生薬、消炎剤、殺菌剤等の化粧料に汎用される薬剤が用いられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤等の化粧料に汎用される紫外線吸収剤が挙げられる。
【0052】
色素としては、ヘマトコッカス藻色素等の天然色素などの化粧料に適用しうる色素が挙げられる。
【0053】
無機塩又は有機酸塩としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸;クエン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸等のオキシカルボン酸;ギ酸、酢酸、ソルビン酸等のカルボン酸;又はサリチル酸、安息香酸等の芳香族カルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアルミニウム塩が挙げられる。
【0054】
好ましい無機塩又は有機酸塩の具体例としては、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、硝酸アルミニウム、硝酸カルシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸アルミニウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、ギ酸マグネシウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム等が挙げられ、特に硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、サリチル酸ナトリウム及び安息香酸ナトリウムが好ましい。
【0055】
これらの無機塩又は有機酸塩は、塩の状態で本発明の化粧料中に配合してもよいが、本発明の化粧料の製造時に、対応する酸物質及び塩基物質を、塩を形成するのに必要な化学量論的量加え、製造してもよい。また、水は任意の量で配合することができる。
【0056】
(2)化粧料の製造
本発明の化粧料は、本発明の製造方法である、リソールルビンB及びリソールルビンBCAから選択された赤色顔料を無機物中にインターカレーションによって複合化した構造を有する赤色複合粉体(特定赤色複合粉体)を含む化粧料基剤と、溶剤と、を混合しスラリーを得ること(以下、適宜「スラリー調製工程」と称する。)、及び、該スラリーを容器に充填した後に、溶剤を除去すること(以下、適宜「成型工程」と称する。)、を含む製造方法により製造される。
本発明の化粧料に適用される製造法は湿式成型法であり、これにより優れた使用感を達成することができる。
【0057】
(スラリー調製工程)
本工程では、特定赤色複合粉体、及び、所望により用いられる他の成分を含む化粧料基剤と、溶剤と、を混合しスラリーを得る。化粧料基剤に含まれる特定赤色複合粉体及び他の成分の詳細は、既述の通りである。
【0058】
スラリーは、化粧料基剤である各成分を混合粉砕して混合物を得て、次いで、該混合物を、溶剤中に攪拌しながら均一になるまで混合することにより調製することが好ましい。
化粧料基剤である各成分の混合は、ヘンシェルミキサー等を用いて、混合物が示す色相が均一になるまで行えばよい。
【0059】
≪溶剤≫
本工程に用いる溶剤としては、例えば、水、エタノール、ヘキサン、軽質流動イソパラフィン、イソドデカン、及びこれらの混合物が挙げられる。
これらの溶剤中でも、使用感の向上の観点からは、エタノール、水、又はそれらの混合物であることが好ましい。
【0060】
スラリーにおける溶剤の含有量は、化粧料基剤の全質量に対して、好ましくは5質量%〜50質量%であり、より好ましくは10質量%〜30質量%である。
【0061】
(成型工程)
本工程では、スラリー調製工程にて得られたスラリーを、容器に充填した後に、溶剤を除去する。
【0062】
スラリーを充填する容器としては、ベースメイク化粧料において通常用いられる各種の皿形容器が挙げられる。
【0063】
溶剤を除去する方法としては、スラリーを容器に充填した後に、多孔質吸引ヘッドを用いて吸引しながら圧縮成型、次いで乾燥する方法等が挙げられる。
【0064】
乾燥温度としては、化粧料中に配合される油剤等の揮発性などにより異なるが、好ましくは20℃〜80℃であり、より好ましくは30℃〜70℃である。乾燥時間としては、好ましくは5分〜24時間であり、より好ましくは1時間〜6時間である。
【0065】
以上のようにして得られた本発明の化粧料は、黄ぐすみ抑制の観点から、外観色の反射スペクトルが、500nmから600nmの間の波長領域に極小値を有するものであることが好ましい。
本明細書における反射スペクトルは、Spectrolino(製品名)(Gretag Machbeth社製)により測定された値である。
【0066】
本発明の化粧料が好適態様であるパウダーファンデーションである場合、標準の光D65光源を用いて測定した外観色の色相角∠hは、50°〜80°の範囲内であることが好ましく、より好ましくは55〜75の範囲である。
【0067】
また、本発明の化粧料がプレストパウダーである場合、標準の光D65光源を用いて測定した外観色の色相角∠hが、−90°〜90°の範囲内であることが好ましく、より好ましくは−60°〜60°の範囲である。
【0068】
本発明における外観色の色相角∠hは、分光光度計:Spectrolino(製品名)(Gretag Machbeth社製)を用いて、波長380nm〜730nmまでの分光反射率を測定し、L*a*b*表色系(CIE 1976年度)の定義に従って、D65光源を仮定したときの反射光のa*値、b*値より算出した値である。
【実施例】
【0069】
以下、本発明を実施例にて詳細に説明する。しかしながら、本発明はそれらに何ら限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
【0070】
[実施例1〜4、比較例1、2及び4]
<パウダーファンデーションの調製>
表1に記載のA相及びB相の各成分(数値は質量部)を別個に秤量し、ヘンシェルミキサーにて混合粉砕し、混合物を得た。続いて、60質量部の水/エタノール混合溶媒(混合質量比=25対75)中に、攪拌しながら混合物を添加し、均一になるまで混合してスラリーを得た。
続いて、金皿中に得られたスラリーを充填した後、多孔質吸引ヘッドを用いて吸引圧縮成型した。その後、温度37℃にて24時間乾燥して、実施例1〜4、比較例1、2及び4のパウダーファンデーションを調製した。
【0071】
[実施例5]
表1に記載のA相及びB相の各成分(数値は質量部)を別個に秤量し、ヘンシェルミキサーにて混合した後に、水溶性コラーゲン(商品名:コラーゲンP、新田ゼラチン(株)製)、濃度1重量パーセント)0.01質量部、及びヘマトコッカス藻色素(アスタッツ50、武田紙器(株)製、アスタキサンチン濃度:5質量%)0.01質量部を更にヘンシェルミキサーにて均一になるまで混合してスラリーを得た。
続いて、実施例1〜4と同様にして、金皿中に得られたスラリーを充填した後、吸引圧縮成型し、乾燥して、実施例5のファンデーションを調製した。
【0072】
[比較例3及び5]
実施例1のパウダーファンデーションの調製において、スラリー調製及び該スラリーの金皿への充填を行わず、乾式プレス工程にて金皿中に混合物を充填し、圧縮成型した以外は、実施例1と同様にして、比較例3及び5のパウダーファンデーションを調製した。
【0073】
【表1】

【0074】
<赤色色材成分についての溶出試験>
実施例1〜5、及び比較例1〜5に使用した下記に示す赤色色材成分について、水に対する溶出試験、及び、エタノールに対する溶出試験を以下のようにして実施した。
【0075】
1.水に対する溶出試験
質量部換算で1質量部となる量の赤色色材成分を、蒸留水(分散媒)99質量部中に、60秒間震盪分散し、40℃、400rpmにて、6時間スターラー攪拌した後に、孔径0.45μmのセルロースアセテートフィルター(商品名:Cellulose Acetate、ADVANTEC社製)にてろ過してろ液を得る。得られたろ液の吸光度を、蒸留水をブランクとして測定し、400nmから600nmまでの波長領域での吸光度の極大値を決定する。
【0076】
2.エタノールに対する溶出試験
質量部換算で1質量部となる量の赤色色材成分を、無水エタノール(99.5v/v%)99質量部中に、60秒間震盪分散し、40℃、400rpmにて、6時間スターラー攪拌した後に、孔径0.45μmのセルロースアセテートフィルター(商品名:Cellulose Acetate、ADVANTEC社製)にてろ過してろ液を得る。得られたろ液の吸光度を、エタノールをブランクとして測定し、400nmから600nmまでの波長領域での吸光度の極大値を決定する。
【0077】
上記各溶出試験における吸光度の測定には、分光光度計(製品名:UV−2550、(株)島津製作所製)を用いた。
【0078】
本溶出試験の対象とした実施例1〜5、及び比較例1〜5に使用した赤色色材成分をまとめて以下に示す。なお、各赤色色材成分の詳細は、表1欄外の備考に示す通りである。
実施例1:赤色複合粉体1
実施例2:赤色複合粉体1/酸化鉄(赤色)
実施例3:赤色複合粉体1/酸化鉄(赤色)
実施例4:赤色複合粉体1/酸化鉄(赤色)
実施例5:赤色複合粉体1/酸化鉄(赤色)
比較例1:酸化鉄(赤色)
比較例2:赤色202号
比較例3:赤色202号
比較例4:赤色顔料及びポリメチルメタクリレート(PMMA)の複合粉体
比較例5:赤色複合粉体1
【0079】
各溶出試験の結果を下記表2示す。また、該結果については表3にも併記する。
【0080】
【表2】

【0081】
<パウダーファンデーションの評価>
(1)外観
実施例1〜5、及び、比較例1〜5にて得られたパウダーファンデーションの外観色について、分光光度計Spectrolino(製品名:Gretag Machbeth社製)を用いて、波長380nm〜730nmまでの分光反射率を測定し、L*a*b*表色系(CIE 1976年度)の定義に従って、D65光源を仮定したときの反射光のa*値、b*値より色相角∠hを算出した。結果を表3に示す。
【0082】
(2)黄ぐすみ改良
実施例1〜5及び比較例1〜5にて得られたパウダーファンデーションを、パフを用いて同一人物である被験者の女性の顔に化粧した後、色温度5000Kの3波長蛍光灯下で、化粧後の肌色の色味を目視で観察した。その後、被験者の女性を、太陽光下(晴天の正午の直射日光、5000K)に移動させ、その際の肌色の色味変化を目視で観察し、以下の評価基準にて評価した。本評価に優れることは、光源に依存することなく自然な肌色の仕上がりが得られることを示す。結果を表3に示す。
−評価基準−
◎:はっきりと赤味に変化した(黄ぐすみにならない)
○:若干、赤味に変化した(黄ぐすみになりにくい)
△:変化しないか若干黄味に変化した
×:黄色方向に変化した
【0083】
(3)使用感
実施例1〜5及び比較例1〜5にて得られたパウダーファンデーションについて、パフにとった感触(とれのよさ)、肌にのせたときのふんわり感、しっとり感、すべり感を総合して3段階に評価した。結果を表3に示す。
−評価基準−
○:全ての感触において優れていた
△:総合して一般的なレベルの感触であった
×:いずれの感触についても劣っていた
【0084】
(4)ブリードアウト性
成型後の実施例1〜5及び比較例1〜5にて得られたパウダーファンデーションについて、ケーキ表面及び金皿の縁に、不均一な赤味が無いかを目視確認し、以下の評価基準により評価した。結果を表3に示す。
−評価基準−
○:不均一な赤味がまったく認められなかった
△:不均一な赤味が若干認められたが軽微であった
×:顕著な赤味のムラが認められた
【0085】
(5)肌への染着性
実施例1〜5及び比較例1〜5にて得られたパウダーファンデーションを用いて化粧後、6時間経過した後に、洗顔料を用いずに水洗にてファンデーションを落とした。その後に、目視にて肌への赤色顔料の染着の程度を観察し、以下の評価基準により評価した。結果を表3に示す。
−評価基準−
○:赤色の染着がまったく認められなかった
△:赤色の染着が僅かに認められた
×:赤色の染着が目視ですぐにわかる程度に認められた
【0086】
(6)汗にじみ
実施例1〜5及び比較例1〜5にて得られたパウダーファンデーションを用いて化粧後の顔の表面に、霧吹きにて人口汗を吹きかけ、赤色のにじみを目視で観察し、以下の評価基準により評価した。結果を表3に示す。
−評価基準−
○:赤色のにじみがまったく認められなかった
△:赤色のにじみが僅かに認められた
×:赤色のにじみが目視ですぐにわかる程度に認められた
【0087】
【表3】

【0088】
表3に示されるように、実施例1〜5のパウダーファンデーションは、光源を蛍光灯から太陽光に変更した際の黄ぐすみを抑制する効果に優れ、使用感に優れ、ケーキ表面及び金皿の縁への赤色色材成分のブリードアウトが抑制されており、肌への染着性及び汗にじみも認められず、総合的に良好な特性を有することが分かる。
【0089】
一方、特定赤色複合粉体を含有せず酸化鉄(赤色)を含有し、湿式成形法により得られた比較例1のパウダーファンデーションは、光源を変更した際の黄ぐすみ改良効果に劣るものであった。
特定赤色複合粉体を含有せず赤色202号を含有し、湿式成形法により得られた比較例2のパウダーファンデーションは、ケーキ表面及び金皿のフチに赤色のムラが発生し、肌への染着及び汗にじみについても発生した。
特定赤色複合粉体を含有せず赤色202号を含有し、乾式成形法により得られた比較例3のファンデーションは、使用感に劣り、肌への染着、汗にじみが発生した。
特定赤色複合粉体とは異なる複合粉体を含有する比較例4のファンデーションは、ケーキ表面及び金皿のフチに赤色のムラが発生し、肌への染着、汗にじみが若干発生した。
赤色複合粉体1を含有するが、乾式成形法により得られた比較例5のファンデーションは、使用感に劣っていた。
【0090】
更に、実施例1及び比較例1にて得られたパウダーファンデーションについて、外観色の分光反射率を、分光光度計(製品名:Spectrolino、Gretag Machbeth社製)により測定した。その結果を、図1に示す。
図1に示されるように、実施例1のパウダーファンデーションは、外観色の反射スペクトルが、570nm近辺の波長領域に極小値を有することがわかる。一方、比較例1のパウダーファンデーションの外観色の反射スペクトルには、500nmから600nmの間の波長領域に極小値が無いことがわかる。
【0091】
[実施例6]
<プレストパウダーの調製>
実施例1において、B相として配合した油分の配合量を1/3に減量し、酸化鉄(黄色)及び赤色複合粉体1の配合量を適宜調整し、酸化鉄(黒色)を使用せず、群青を適量配合した以外は実施例1と同様にして、L*a*b*表色系(CIE 1976年度)の定義に従って、D65光源を仮定したときのケーキの外観色がL*=90、a*値=10、b*値=5、色相角∠h=27°であるプレストパウダーを調製した。
【0092】
<評価>
得られたプレストパウダーを、市販のリキッドファンデーションを塗布した肌の上に使用したところ、使用感、光源変更時の黄ぐすみ抑制に優れていることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソールルビンB及びリソールルビンBCAから選択された赤色顔料を無機物中にインターカレーションによって複合化した構造を有する赤色複合粉体を含む化粧料基剤と、溶剤と、を含有するスラリーを得て、該スラリーを容器に充填した後に、前記溶剤を除去して成型されたベースメイク化粧料。
【請求項2】
前記溶剤が、エタノール、水、又はそれらの混合物である請求項1に記載のベースメイク化粧料。
【請求項3】
前記赤色複合粉体は、該赤色複合粉体を用い、下記に示す水に対する溶出試験(1)及びエタノールに対する溶出試験試験(2)において、得られたろ液について400nmから600nmまでの波長領域について測定した吸光度の極大値が、いずれも0.10未満の赤色複合粉体である請求項1又は請求項2に記載のベースメイク化粧料。
溶出試験(1):
質量部換算で1質量部となる量の前記赤色複合粉体を、蒸留水(分散媒)99質量部中に、60秒間震盪分散し、40℃、400rpmにて、6時間スターラー攪拌した後に、孔径0.45μmのセルロースアセテートフィルター(商品名:Cellulose Acetate、ADVANTEC社製)にてろ過してろ液を得る。得られたろ液の吸光度を、蒸留水をブランクとして測定し、400nmから600nmまでの波長領域での吸光度の極大値を決定する。
溶出試験(2):
質量部換算で1質量部となる量の前記赤色複合粉体を、無水エタノール(99.5v/v%)99質量部中に、60秒間震盪分散し、40℃、400rpmにて、6時間スターラー攪拌した後に、孔径0.45μmのセルロースアセテートフィルター(商品名:Cellulose Acetate、ADVANTEC社製)にてろ過してろ液を得る。得られたろ液の吸光度を、エタノールをブランクとして測定し、400nmから600nmまでの波長領域での吸光度の極大値を決定する。
【請求項4】
更に、赤色酸化鉄を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のベースメイク化粧料。
【請求項5】
外観色の反射スペクトルが、500nmから600nmの間の波長領域に極小値を有する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のベースメイク化粧料。
【請求項6】
標準の光D65光源を用いて測定した外観色の色相角∠hが、50°〜80°の範囲内にあるパウダーファンデーションである請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のベースメイク化粧料。
【請求項7】
標準の光D65光源を用いて測定した外観色の色相角∠hが、−90°〜90°の範囲内にあるプレストパウダーである請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のベースメイク化粧料。
【請求項8】
リソールルビンB及びリソールルビンBCAから選択された赤色顔料を無機物中にインターカレーションによって複合化した構造を有する赤色複合粉体を含む化粧料基剤と、溶剤と、を混合しスラリーを得ること、及び、
該スラリーを容器に充填した後に、溶剤を除去すること、
を含むベースメイク化粧料の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−184211(P2012−184211A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50333(P2011−50333)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】