説明

ベータ作動薬の吸入用エアゾール製剤

【課題】呼吸器疾患の治療のための活性の持続時間がより長い吸入用エアゾール製剤の提供。
【解決手段】一般式(1)(式中、基R1、R2、R3及びX - は特許請求項の範囲及び説明において示される意味をもつものである)の一つ以上の化合物を含む噴射剤ガスを含まないエアゾール製剤を用いる。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸入用の、一般式1の一つ以上の化合物を含有する噴射剤を含まないエアゾール製剤に関する
【0002】
【化1】

【0003】
(式中、基R1、R2、R3及びX - は、特許請求の範囲及び明細書に示される意味を有する)。
【背景技術】
【0004】
β模倣薬(betamimetics, β-アドレナリン作動性物質)は、従来技術から既知である。この点で、例えば、広範囲の病気の治療用β模倣薬を提唱しているUS 4,341,778又はEP 43940の開示内容を参照することができる。
疾病の薬剤治療の場合、活性の持続期間がより長い薬剤を調製することはしばしば望ましいことである。一般に、このことは、治療効果を達成するために必要とされる体内の活性物質の濃度が頻繁な間隔で薬剤を再投与することを必要とせずにより長時間維持されることを確実にすることである。更に、より長い時間間隔で活性物質を投与することは、患者の健康に高程度に寄与することである。
1日1回投与(単回投与)することによって治療的に使用し得る医薬組成物を調製することが特に望ましい。1日1回の薬剤の使用は、患者がその日のある一定の時間に薬剤を定期的に服用することに比較的早く慣れることができるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】US 4,341,778
【特許文献2】EP 43940
【特許文献3】WO 91/14468
【特許文献4】WO 97/12687
【特許文献5】WO 94/07607
【特許文献6】WO 99/16530
【特許文献7】WO 97/20590
【特許文献8】WO 97/12683
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それ故、本発明の目的は、一方では呼吸器疾患の治療に治療的有用性を与え、更に活性の持続時間がより長いことを特徴とするので、活性の持続期間がより長い医薬組成物を調製するために使用し得る吸入用医薬製剤を調製することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の問題を解決するために、本発明は、以下の医薬製剤を提唱する。本発明の医薬製剤は、唯一の活性物質として下記一般式1の一つ以上の化合物、必要により、その互変異性体、エナンチオマー、エナンチオマーの混合物、ラセミ体又は溶媒和物の形であってもよい化合物、少なくとも一つの薬理的に許容され得る酸を含有し、必要により、更に薬理的に許容され得る賦形剤及び/又は錯化剤並びに溶媒として水、エタノール又は水とエタノールの混合物を含有してもよい、噴射剤を含まない医薬製剤である:
【0008】
【化2】

【0009】
(式中、R1及びR2は、同じでも異なってもよく、水素、ハロゲン、C1-4アルキルを示すか又は一緒になってC1-6アルキレンを示し;
R3は、水素、ハロゲン、OH、C1-4アルキル又はO-C1-4アルキルを示し;
X - は、一つ以上の水素カチオン及びモノ-又はポリ置換負電荷アニオン、好ましくは、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、硫酸アニオン、リン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、硝酸アニオン、マレイン酸アニオン、酢酸アニオン、安息香酸アニオン、クエン酸アニオン、サリチル酸アニオン、トリフルオロ酢酸アニオン、フマル酸アニオン、酒石酸アニオン、シュウ酸アニオン、コハク酸アニオン、安息香酸アニオン及びp-トルエンスルホン酸アニオンより選ばれるモノ-又はポリ置換負電荷アニオンを示す)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
好ましい医薬製剤は、式中、
R1及びR2が、同じでも異なってもよく、水素、フッ素、塩素、メチル、エチル、プロピル、ブチルを示すか又は一緒になって-CH2-CH2、-CH2-CH2-CH2、CH2-CH2-CH2-CH2又は-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-を示し;
R3が、水素、フッ素、塩素、OH、メチル、エチル、メトキシ、又はエトキシを示し;
X - が、モノ-又はポリ置換負電荷アニオン、好ましくは、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、硫酸アニオン、リン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、硝酸アニオン、マレイン酸アニオン、酢酸アニオン、安息香酸アニオン、クエン酸アニオン、サリチル酸アニオン、トリフルオロ酢酸アニオン、フマル酸アニオン、酒石酸アニオン、シュウ酸アニオン、コハク酸アニオン、安息香酸アニオン及びp-トルエンスルホン酸アニオンより選ばれるモノ-又はポリ置換負電荷アニオンを示す、
一般式1の化合物、必要により、その互変異性体、互変異性体の混合物、水和物又は溶媒和物の形であってもよい化合物を含有する。
【0011】
好ましい医薬製剤は、式中、
R1及びR2が、同じでも異なってもよく、水素、メチル、エチル、プロピルを示すか又は一緒になって-CH2-CH2、-CH2-CH2-CH2、-CH2-CH2-CH2-CH2又は-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-を示し;
R3が、水素、フッ素、OH、メチル又はメトキシを示し;
X - が、塩素アニオン、臭素アニオン、硫酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、マレイン酸アニオン、酢酸アニオン、安息香酸アニオン、クエン酸アニオン、サリチル酸アニオン、トリフルオロ酢酸アニオン、フマル酸アニオン、酒石酸アニオン及びコハク酸アニオンより選ばれるモノ-又はポリ置換負電荷アニオンを示す、
一般式1の化合物、必要により、その互変異性体、互変異性体の混合物、水和物又は溶媒和物の形であってもよい化合物を含有する。
【0012】
好ましい医薬製剤は、式中、
R1及びR2が、同じでも異なってもよく、エチル又はプロピルを示すか又は一緒になって-CH2-CH2、-CH2-CH2-CH2、-CH2-CH2-CH2-CH2又は-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-を示し;
R3が、水素、フッ素、OH、メチル又はメトキシを示す、
一般式1の化合物、必要により、その互変異性体、互変異性体の混合物、水和物又は溶媒和物の形であってもよい化合物を含有する。
【0013】
好ましい医薬製剤は、式中、
R1及びR2が、エチル又はプロピルを示すか又は一緒になって-CH2-CH2、-CH2-CH2-CH2、-CH2-CH2-CH2-CH2又は-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-を示し;
R3が、水素、フッ素、OH又はメトキシを示す、
一般式1の化合物、必要により、その互変異性体、互変異性体の混合物、水和物又は溶媒和物の形であってもよい化合物を含有する。
【0014】
下記化合物より選ばれる一般式1の化合物、いずれの場合も酸HX (X - は、上で示される意味の一つを有するものである)との酸付加塩の形で含有し、また、必要により、その互変異性体、エナンチオマー、エナンチオマーの混合物、ラセミ体又は溶媒和物の形で含有してもよい、医薬製剤が好ましい:
1.1: N-(5-{2-[1,1-ジメチル-3-(4-メチル-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)プロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド
1.2: N-(5-{2-[1,1-ジメチル-3-(2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)プロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド
1.3: N-(5-{2-[3-(4-エチル-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド
1.4: N-(5-{2-[3-(4,4-ジメチル-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド
1.5: N-(2-ヒドロキシ-5-{1-ヒドロキシ-2-[3-(6-ヒドロキシ-4,4-ジメチル-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピルアミノ]エチルフェニル)メタンスルホンアミド
1.6: N-(2-ヒドロキシ-5-{1-ヒドロキシ-2-[3-(6-メトキシ-4,4-ジメチル-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピルアミノ]エチルフェニル)メタンスルホンアミド
1.7: N-(5-{2-[1,1-ジメチル-3-(2-オキソ-4,4-ジプロピル-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)プロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド
1.8: N-[5-(2-{1,1-ジメチル-3-[スピロ(シクロヘキサン-1,4'-2H-3',1'-ベンゾキサジン)-2'-オキソ-1-イル]プロピルアミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-ヒドロキシフェニル]メタンスルホンアミド
1.9: N-[5-(2-{1,1-ジメチル-3-[スピロ(シクロプロピル-1,4'-2H-3',1'-ベンゾキサジン)-2'-オキソ-1-イル]プロピルアミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-ヒドロキシフェニル]メタンスルホンアミド
1.10: N-(5-{2-[3-(4,4-ジエチル-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド
1.11: N-(5-{2-[3-(4,4-ジエチル-6-フルオロ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド
1.12: N-(5-{2-[3-(4,4-ジエチル-7-フルオロ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド
1.13: N-(5-{2-[3-(4,4-ジエチル-8-メトキシ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド
1.14: N-(5-{2-[3-(4,4-ジエチル-6-メトキシ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド。
【0015】
下記化合物より選ばれる一般式1の化合物、いずれの場合も酸HX (X - は、上で示される意味の一つを有するものである)との酸付加塩の形で含有し、また、必要により、その互変異性体、エナンチオマー、エナンチオマーの混合物、ラセミ体又は溶媒和物の形で含有してもよい、医薬製剤が好ましい:
1.7: N-(5-{2-[1,1-ジメチル-3-(2-オキソ-4,4-ジプロピル-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)プロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド
1.8: N-[5-(2-{1,1-ジメチル-3-[スピロ(シクロヘキサン-1,4'-2H-3',1'-ベンゾキサジン)-2'-オキソ-1-イル]プロピルアミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-ヒドロキシフェニル]メタンスルホンアミド
1.9: N-[5-(2-{1,1-ジメチル-3-[スピロ(シクロプロピル-1,4'-2H-3',1'-ベンゾキサジン)-2'-オキソ-1-イル]プロピルアミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-ヒドロキシフェニル]メタンスルホンアミド
1.10: N-(5-{2-[3-(4,4-ジエチル-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド
1.11: N-(5-{2-[3-(4,4-ジエチル-6-フルオロ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド
1.12: N-(5-{2-[3-(4,4-ジエチル-7-フルオロ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド
1.13: N-(5-{2-[3-(4,4-ジエチル-8-メトキシ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド
1.14: N-(5-{2-[3-(4,4-ジエチル-6-メトキシ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド。
【0016】
本発明の医薬製剤は、溶媒として、純粋な水、純粋なエタノール又はエタノールと水の混合物を含有する。エタノール-水混合物が用いられる場合には、これらの混合物中のエタノールの質量%は、好ましくは5〜99%のエタノールの範囲、特に好ましくは10〜96%のエタノールの範囲である。本発明のための特に最も好ましい医薬製剤は、溶媒として、純粋な水、純粋なエタノール又は50〜92%、特に好ましくは69〜91%のエタノールを含有するエタノール-水混合物を含有する。
所望される場合には、エタノールと水に加えて、他の共溶媒が用いられてもよい。しかしながら、本発明によれば、他のいかなる溶媒も用いられないことが好ましい。
本発明の範囲内の式1 (式中、特にX - は、塩素アニオン、マレイン酸アニオン、サリチル酸アニオン、フマル酸アニオン又はコハク酸アニオンより選ばれる)の化合物、必要により、その水和物及び溶媒和物の形であってもよい化合物を用いることが好ましい。式1 (式中、X - は塩素アニオンを示す)の化合物を含有する製剤が本発明の範囲内で特に好ましい。
【0017】
式1の化合物について述べることは、常に、この化合物の全ての可能な無定形及び結晶性の変化が本発明の範囲内で含まれる。式1の化合物について述べることは、また、この化合物から形成することができる全ての可能な溶媒和物及び水和物が本発明の範囲内で含まれる。
本発明の範囲内の化合物1'について述べることは、塩1に含有される、以下の式の薬理的に活性な遊離塩基について述べることとみなされるべきである
【0018】
【化3】

【0019】
(式中、基R1、R2及びR3は、上で示される意味を有する)。
他の態様において、本発明は、唯一の活性物質として式1'(式中、基R1、R2及びR3は、上で示される意味を有する)
の遊離塩基、必要により、その互変異性体、エナンチオマー、エナンチオマーの混合物、ラセミ体又は溶媒和物の形であってもよい化合物、少なくとも一つの薬理的に許容され得る酸を含有し、必要により、更に薬理的に許容され得る賦形剤及び/又は錯化剤並びに溶媒として水、エタノール又は水とエタノールの混合物を含有してもよい医薬製剤に関する。
他の態様において、本発明は、上述の式1の化合物を個々の光学異性体、個々のエナンチオマー又はラセミ体の混合物の形で含有する医薬製剤に関する。上述の式1の化合物を鏡像異性的に純粋な化合物の形で含有する医薬製剤が特に好ましく、本発明の式1の化合物のR-エナンチオマーが例外的に重要である。これらのR-エナンチオマーは、一般式R-1によって表すこともできる
【0020】
【化4】

【0021】
(式中、基R1、R2、R3及びX - は、上で示される意味を有する)。
用いられる用語及び定義
用語“C1-4アルキル”(他の基の一部であるものを含む)は、炭素原子1〜4個を有する分枝鎖及び直鎖アルキル基を意味する。例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチルが挙げられる。以下の略号は、必要により、上述の基: Me、Et、n-Pr、i-Pr、n-Bu、i-Bu、t-Bu等に用いられてもよい。特に明記しない限り、定義プロピル及びブチルは、問題の基の可能な異性体全てが含まれる。従って、例えば、プロピルには、n-プロピル及びイソプロピルが含まれ、ブチルには、イソブチル、sec-ブチル及びtert-ブチル等が含まれる。
【0022】
用語“C1-6アルキレン”(他の基の一部であるものを含む)は、炭素原子1〜6個を有する分枝鎖及び直鎖アルキレン基を意味し、用語“C1-4アルキレン”は、炭素原子1〜4個を有する分枝鎖及び直鎖アルキレン基を意味する。炭素原子1〜4個を有するアルキレン基が好ましい。例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、1-メチルエチレン、ブチレン、1-メチルプロピレン、1,1-ジメチルエチレン、1,2-ジメチルエチレン、ペンチレン、1,1-ジメチルプロピレン、2,2-ジメチルプロピレン、1,2-ジメチルプロピレン、1.3-ジメチルプロピレン又はヘキシレンが挙げられる。特に明記しない限り、定義プロピレン、ブチレン、ペンチレン及びヘキシレンは、炭素数が同じの問題の基の可能な異性体全てが含まれる。従って、例えば、プロピルには、1-メチルエチレンが含まれ、ブチレンには、1-メチルプロピレン、1,1-ジメチルエチレン、1,2-ジメチルエチレンが含まれる。
本発明の範囲内の“ハロゲン”は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を示す。反対に明記されない限り、フッ素、塩素及び臭素は、好ましいハロゲンとみなされる。
用語鏡像異性的に純粋なは、少なくとも85%ee、好ましくは少なくとも90%ee、特に好ましくは> 95%eeのエナンチオマー純度で存在する本発明の範囲内の式1の化合物を記載する。用語ee(鏡像体過剰率)は、当該技術において既知であり、キラル化合物の光学純度を記載するものである。
【0023】
適応症
他の態様において、本発明は、種々の由来の閉塞性肺疾患、種々の由来の肺気腫、限定的肺疾患、間質性肺疾患、嚢胞性線維症、種々の由来の気管支炎、気管支拡張症、ARDS(成人呼吸窮迫症候群)及び全ての様態の肺水腫より選ばれる呼吸器疾患の治療用医薬組成物を調製するための本発明の医薬製剤の使用に関する。
好ましくは、本発明の医薬製剤は、気管支喘息、小児喘息、重症の喘息、急性喘息発作慢性気管支炎及びCOPD(慢性閉塞性肺疾患)より選ばれる閉塞性肺疾患の治療用医薬組成物を調製するために上で指定されたように用いられ、本発明によれば、気管支喘息の治療用医薬組成物を調製するためにそれらを用いることが特に好ましい。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)又はα1-プロテイナーゼ阻害剤不足の由来をもつ肺気腫の治療用医薬組成物を調製するために本発明の医薬製剤を用いることが好ましい。
【0024】
アレルギー性肺胞隔炎、業務上の有害物質が引き金になる限定的肺疾患、例えば、石綿肺症又は珪肺症、及び肺腫瘍、例えば、癌性嚢症、気管支肺胞の癌腫及びリンパ腫によって引き起こされる制限より選ばれる限定的肺疾患の治療用医薬組成物を調製するために本発明の医薬製剤を用いることが好ましい。
感染症によって引き起こされる肺炎、例えば、ウイルス、細菌、真菌、原虫、蠕虫又は他の病原体による感染、種々の因子、例えば、吸引や左心不全によって引き起こされる肺炎、放射線障害性肺炎又は線維症、膠原病、例えば、紅斑性狼瘡、全身性強皮症又はサルコイドーシス、肉芽腫症、例えば、ベック病、特発性間質性肺炎又は特発性肺線維症(IPF)より選ばれる間質性肺疾患の治療用医薬組成物を調製するために本発明の医薬製剤を用いることが好ましい。
【0025】
嚢胞性線維症又は膵線維症の治療用医薬組成物を調製するために本発明の医薬製剤を用いることが好ましい。
気管支炎、例えば、細菌又はウイルスの感染、アレルギー性気管支炎及び毒性気管支炎によって引き起こされる気管支炎の治療用医薬組成物を調製するために本発明の医薬製剤を用いることが好ましい。
気管支拡張症の治療用医薬組成物を調製するために本発明の医薬製剤を用いることが好ましい。
ARDS(成人呼吸窮迫症候群)の治療用医薬組成物を調製するために本発明の医薬製剤を用いることが好ましい。
肺水腫、例えば、有害物質及び異物の吸引又は吸入後の毒性肺水腫の治療用医薬組成物を調製するために本発明の医薬製剤を用いることが好ましい。
最も好ましくは、本発明は、喘息又はCOPDの治療用医薬組成物を調製するための本発明の医薬製剤の使用に関する。また、炎症性及び閉塞性呼吸器疾患の1日1回の治療用、特に喘息又はCOPDの1日1回の治療用医薬組成物を調製するための上述の使用が特に重要である。
更に、本発明は、本発明の上述の医薬製剤の一つ以上が治療的に有効な量で投与されることを特徴とする、上述の疾病の治療方法に関する。
【0026】
製剤
本発明は、吸入によって投与することができるこれらの化合物の液体活性物質製剤に関する; 本発明の液体製剤は、高品質基準を満たさなければならない。本発明の製剤は、経口又は経鼻によって吸入することができる。肺の中に活性物質の最適分配を達成するために、適切な吸入器を用いて投与される噴射剤ガスを含まない液体製剤を用いることを意味する。この種類の製剤は、経口経路及び経鼻経路によって吸入することができる。少量の液体製剤を治療のために必要とされる用量で治療的吸入に適したエアゾールに数秒以内で噴射させることができる吸入器が特に適する。本発明の範囲内の好ましいネブライザは、エアゾールの吸入用部分が治療的に有効な量に相当するようにして、100μl未満、好ましくは50μl未満、更に好ましくは20〜30μlの活性物質溶液の量を、好ましくは1回又は2回の噴霧作用で平均粒径が20μm(ミクロン)未満、好ましくは10μm(ミクロン)未満のエアゾールを形成するように噴射させることができるものである。
【0027】
吸入用液体医薬組成物の定量の噴射剤を含まない投与のこの種類の装置は、例えば、WO 91/14468“Atomizing Device and Methods”やWO 97/12687、図6aと図6bと添付の説明を参照のことに詳述されている。この種類のネブライザにおいて、薬剤溶液は、肺に行くエアゾールに500バールまでの高圧によって変換され、噴霧される。本明細書の範囲内で、上述の文献が内容全体に明確に述べられる。この種類の吸入器において、溶液の製剤がリザーバーに保存される。用いられる活性物質製剤が保存される場合に充分に安定であり、同時に、可能であれば処理せずに、医療目的に従って直接投与され得ることは必要なことである。更に、吸入器又は製造された溶液又はエアゾールの薬剤品質を損傷するようにして吸入器と相互作用する可能性がある成分を含有してはならない。
【0028】
溶液を噴霧にするために、例えば、WO 94/07607又はWO 99/16530に記載される特殊なノズルが用いられる。これらの双方の文献がここに明確に参照される。
本発明の目的は、上述の吸入器を用いて溶液の最適噴霧を確実にするために必要とされる高度の基準を満たす、式1の化合物の水性製剤、エタノール製剤又は水-エタノール製剤を提供することである。本発明の活性物質製剤は、充分に高品質の薬剤でなければならない。即ち、数年、好ましくは少なくとも1年、より好ましくは2年の貯蔵期間にわたって医薬的に安定でなければならない。
これらの溶液の噴射剤を含まない製剤は、圧力下の吸入器によって噴霧することができなければならず、製造したエアゾールに分配される組成は指定された範囲内で再現的である。
【0029】
本発明によれば、製剤は、好ましくは式1の唯一の化合物を含有する。しかしながら、製剤は、また、式1の異なる塩の混合物を含有することもできる。本発明の医薬製剤が式1の異なる塩を含有する場合には、本発明の好ましい製剤は、種々の塩が式1'の同じ遊離塩基の異なる塩を構成するものである。
式1以外の活性物質を含有する製剤は、本発明によって包含されない。
本発明の医薬製剤における薬理的に活性な遊離塩基1'の量に基づく式1の化合物の濃度は、本発明の約0.1〜1600mg/100ml、好ましくは約0.5〜1000mg/100ml、特に好ましくは0.75〜200mg/100mlである。特に好ましくは、100mlの本発明の製剤は、約1〜約100mgの1'を含有する。
本発明の製剤のpHは、2.0〜6.5、好ましくは2.2〜5.0、特に好ましくは約3.0〜4.5の範囲にあることが好ましい。
pHは、薬理的に許容され得る酸の添加によって調整される。このために薬理的に許容され得る無機酸又は有機酸を用いることができる。好ましい無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸及び/又はリン酸である。
【0030】
特に適切な有機酸の例としては、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸及びベンゼンスルホン酸からなる群より選ばれる。好ましい無機酸は、塩酸や硫酸であり、本発明によれば塩酸が特に好ましい。所望される場合には、特に酸性化特性に加えて他の特性を有する酸、例えば、香味剤又は抗酸化剤として作用するもの、例えば、クエン酸又はアスコルビン酸の場合には、上記酸の混合物が用いられてもよい。所望される場合には、pHを正確に調整するために薬理的に許容され得る塩基を用いてもよい。適切な塩基としては、例えば、アルカリ金属水酸化物やアルカリ金属炭酸塩が挙げられる。好ましいアルカリ金属イオンはナトリウムである。この種類の塩基が用いられる場合には、得られた塩が上述の酸と薬理的に適合し、その後、最終医薬製剤に含有されることを確実にするように注意しなければならない。
【0031】
本発明の製剤は、更に成分として錯化剤を含有することができる。錯化剤は、本発明の範囲内で錯体結合になることができる分子を意味する。好ましくは、これらの化合物は、カチオン、最も好ましくは金属カチオンを錯化する作用をもたなければならない。本発明の製剤は、好ましくは、錯化剤として、エデト酸(EDTA)又はその既知の塩の一つ、例えば、EDTAナトリウム又はEDTAジ二ナトリウムを含有する。好ましくは、エデト酸二ナトリウムが、必要によりその水和物の形であってもよく、より好ましくはその二水和物の形で用いられる。錯化剤が本発明の製剤の範囲内で用いられる場合には、その含量は、本発明の製剤の好ましくは1〜50mg/100ml、より好ましくは2〜15mg/100mlの範囲にある。好ましくは、本発明の製剤は、錯化剤を4〜12mg/100ml、特に好ましくは約10mg/100mlの量で含有する。
【0032】
エデト酸二ナトリウムに関してなされた所見は、同様に、錯化特性を有し且つそれらの代わりに使用し得るEDTA又はその塩に匹敵する他の可能な添加剤、例えば、ニトリロ三酢酸及びその塩にもあてはまる。
他の薬理的に許容され得る賦形剤もまた、本発明の製剤に添加することができる。補助剤及び添加剤は、これに関連して、活性物質製剤の品質を改善するために、活性物質でないが、薬理的に適切な溶媒中で活性物質と共に配合することができる薬理的に許容され得る及び治療的に有効な物質を意味する。好ましくは、これらの物質は、所望の治療に関連して薬理効果もまったくなく又は望ましくない薬理効果もほとんどなく或いは少なくともない。補助剤及び添加剤としては、例えば、最終医薬製剤の貯蔵寿命を延長する安定剤、抗酸化剤及び/又は防腐剤、並びに当該技術において既知の香味剤、ビタミン及び/又は他の添加剤が挙げられる。添加剤には、例えば、塩化ナトリウムのような薬理的に許容され得る塩も含まれる。
【0033】
好ましい賦形剤としては、例えば、pHを調整するためにすでに用いられていなければ、アスコルビン酸、没食子酸プロピル、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、BHT(ブチルヒドロキシトルエン)、TBHQ(tert-ブチルヒドロキシキノン)、ビタミンA、ビタミンE、α-トコフェロール及びヒト体内に存在する同様のビタミン又はプロビタミンのような抗酸化剤が挙げられ、好ましい抗酸化剤は、BHT及びα-トコフェロールである。
保存剤は、病原菌による汚染から製剤を保護するために使用し得る。適切な保存剤は、当該技術において既知のもの、特に塩化ベンザルコニウム又は安息香酸又は安息香酸ナトリウムのような安息香酸塩の従来技術より既知の濃度のものである。好ましくは、塩化ベンザルコニウムが本発明の製剤に添加される。塩化ベンザルコニウムの量は、本発明の製剤100ml当たり1〜50mg、好ましくは2〜15mg/100ml、更に好ましくは約3〜12mg/100ml、最も好ましくは約4〜10mg/100mlである。塩化ベンザルコニウムは、本発明によれば、他の保存剤と混合して用いることができる。
好ましい製剤は、溶媒の水と式1に加えて、塩化ベンザルコニウム、エデト酸及びpHを調整するために必要とされる酸のみを含有する。
【0034】
ネブライザ
水に溶解されるか又は懸濁される医薬剤の噴霧は、圧縮空気又は超音波を用いられて行うことができる。得られた粒子スペクトルは、肺への送達において噴射剤ガス及び粉末エアゾールより優れている。この吸入の方法は、重篤な喘息の症例に適し、吸入法が簡単であることから、小児や呼吸を調整する問題をもつ患者に適する。固定装置も旅行する場合に用いられる小型装置もある。MDIやDPIより常に大きいことは当然のことである。使用し得る医薬製剤は、微生物学的に安全で、水性で、等張で且つpH中性の溶液又は懸濁液に制限される。
ジェットネブライザ - 長い間、強力な気流が毛細管の開口部を通過し、溶液が吸引される(香料噴霧器成分)簡単な装置が、溶液を分配するために用いられてきた。ガラスでできている携帯噴霧器(ネブライザ)において、気流は、ゴムボールを圧縮することによって又はポンピング(ポンプアトマイザ)によって生成される。より最近のエアロゾール治療用の固定装置は、50%を超える量を最適サイズ範囲(1-5μm)で生成することができる圧縮空気によって作動させるネブライザである。圧縮空気は、ノズルによって加速され、毛細管を通って薬剤溶液を移動させ(ベルヌーイ効果)、その間に溶液が分散する。ノズルの後に位置する衝撃板は、更に、溶液を分解する働きをする。特殊な阻止手段は、最小の粒子だけが流出することを確実にし、より大きな粒子はリザーバーへ戻って、再び噴霧することができる。吸入の間、かなりの消散が生じ、消散の冷たさの結果として、活性物質溶液の冷たいエアゾールと濃度につながる。
【0035】
超音波ネブライザ - 高周波交流電流によって、圧電性結晶が励起されて、移動媒体を通って活性物質溶液に送られる振動を生じるとともにそこから液体の非常に微細な小滴を放出するが、同時に、液体を加熱する。
式1の化合物を含む本発明の医薬製剤を上文に記載される種類の吸入器に用いて、本発明の噴射剤を含まないエアゾールを得ることが好ましい。この点で、我々は、本願明細書に含まれるものとする、上文に記載される特許文献をもう一度明確に述べなければならない。始めに記載したように、好ましい吸入器の更に開発された実施態様は、WO 97/12687(特に図6a及び図6b及び説明の関連する引用文)に開示されている。このネブライザ(Respimat(登録商標))は、本発明の吸入用エアゾールを生じるように有利に用いることができる。形が円筒状であり、便利なサイズの長さが9cm未満から15cmまで、幅が2〜4cmであることから、患者がその装置をどこにでも運ぶことができる。ネブライザによって、吸入用エアゾールを生じるように小さなノズルを通って高圧で所定量の医薬製剤がスプレーされる。
【0036】
好ましいアトマイザは、本質的にハウジング上部と、ポンプハウジングと、ノズルと、ロッキングクランプと、スプリングハウジングと、スプリングと、貯蔵容器とからなり、
- ハウジング上部に固定され且つ一端にノズル又はノズル配置をもつノズルボディを含むポンプハウジング、
- バルブボディをもつ中空ピストン、
- 中空ボディが固定され且つハウジング上部内にあるパワーテイクオフフランジ、
- ハウジング上部内にあるロッキングクランプメカニズム、
- 回転軸受によって該ハウジング上部に回転可能に取り付けられた、スプリングがその中にあるスプリングハウジング、
- スプリングハウジングに軸方向に取り付けられたハウジング下部
を特徴とする。
【0037】
バルブボディをもつ中空ピストンは、WO 97/12687に開示された装置に対応している。ポンプハウジングのシリンダの中に部分的に突出し、シリンダ内で軸方向に移動可能である。上述の国際特許出願の特に図1〜図4、特に図3と説明の関連部分に述べられている。スプリングが緩む時にバルブボディをもつ中空ピストンによって5〜60 Mpa(約50〜600バール)、好ましくは10〜60 Mpa(約100〜600バール)が液体、計量の活性物質溶液に高圧の最後に加えられる。一作動につき10〜50μlの容量が好ましくは、10〜20μlの容量が更に好ましく、10〜15μlの容量が最も好ましい。
バルブボディは、ノズルボディに面した中空ピストンの端に取り付けられていることが好ましい。ノズルボディ内のノズルは微細構造であること、即ち、マイクロテクノロジーによって製造されることが好ましい。微細構造バルブボディは、例えば、WO 99/16530に開示され、その明細書の内容、特にその中の図1と、関連がある説明は本願明細書に含まれるものとする。ノズルボディは、例えば、二枚のシートが一緒に固定されたガラス及び/又はシリコンからなり、少なくとも一枚はノズル入口端をノズル出口端に接続する一つ以上の微細構造チャンネルを有する。ノズル出口端に深さ2〜10μm(ミクロン)、幅5〜15μm(ミクロン)の少なくとも1つの丸い又は丸くない穴があり、深さ4.5〜6.5μm(ミクロン)、長さ7〜9μm(ミクロン)が好ましい。
【0038】
ノズル穴が複数、好ましくは2つある場合には、ノズルボディのノズルの噴霧の向きは互いに平行してもよく、ノズル穴の向きに互いに傾斜してもよい。出口端に少なくとも2つのノズル穴をもつノズルボディにおいては、噴霧の向きは互いに20〜160oの角度、好ましくは60〜150oの角度、最も好ましくは80〜100oの角度であってもよい。ノズル穴は、好ましくは10〜200μm(ミクロン)の間隔、更に好ましくは10〜100μm(ミクロン)の間隔、最も好ましくは30〜70μm(ミクロン)で配列している。50μm(ミクロン)の間隔が最も好ましい。それ故、噴霧の向きはノズル穴の領域に適合する。
【0039】
既に述べたように、液体医薬製剤は600バールまで、好ましくは200〜300バールのエントリー圧でノズルボディに当たり、ノズル穴を通って吸入用エアゾールへ噴霧される。エアゾールの好ましい粒子径又は小滴は20μm(ミクロン)まで、好ましくは3〜10μm(ミクロン)である。
ロッキングクランプメカニズムは、機械エネルギーの貯蔵としてスプリング、好ましくは円筒形圧縮コイルばねを有する。スプリングは、ロッキング部分の位置で決まる動きを作動部分としてのパワーテイクオフフランジに作用する。パワーテイクオフフランジの移動は上止め具と下止め具によって正確に制限される。スプリングは、好ましくは、パワーステップアップギア、例えば、ヘリカルスラストギアを介してハウジング上部がハウジング下部のスプリングハウジングに対して回転するときに生じる外部トルクによってバイアスがかかる。この場合、ハウジング上部とパワーテイクオフフランジは単一又は複数のV形ギアを有する。
【0040】
ロッキング面が係合しているロッキング部分は、パワーテイクオフフランジの周りにリングで配列している。例えば、固有に半径方向に弾性的に変形可能であるプラスチック又は金属のリングからなる。リングはアトマイザ軸に対して垂直な角度の面に配列している。スプリングにバイアスがかけられた後、ロッキング部分のロッキング面はパワーテイクオフフランジの通路に移動し、スプリングが緩むのを防止する。ロッキング部分はボタンによって作動する。作動ボタンはロッキング部分に接続又は結合している。ロッキングメカニズムを作動させるために、作動ボタンを環状面に平行に、好ましくはアトマイザの中に移動し、それにより変形可能リングが環状面で変形する。ロッキングメカニズムの構成の詳細は、WO 97/20590に記載されている。
ハウジング下部は、スプリングハウジング上に軸方向に押され、取付部と、スピンドルの駆動部と、液体用貯蔵容器とを包含している。
【0041】
アトマイザが作動したとき、ハウジングの上部はスプリングハウジングを保持している下部に相対して回転する。それによりスプリングが圧縮し、コイルスラストギアによってバイアスがかけられ、ロッキングメカニズムが自動的に係合する。回転角度は、好ましくは360度の整数部分、例えば、180度である。スプリングにバイアスがかかると同時に、ハウジング上部のパワーテイクオフ部分が一定距離だけ移動し、中空ピストンがポンプハウジングのシリンダー内に引っ張られ、結果として貯蔵容器から液体の一部がノズルの前の高圧チャンバへ吸引される。所望される場合、噴霧させるべき液体を含有する多くの取り替え可能な貯蔵容器をアトマイザへ次々に押入れ、続けて用いることができる。貯蔵容器は、本発明による水性エアゾール製剤を含有する。
噴霧プロセスは、作動ボタンを弱く押圧することにより開始する。結果として、ロッキングメカニズムがパワーテイクオフ部分の通路を開放する。バイアスをかけたスプリングがプランジャを押してポンプハウジングのシリンダーへ入る。液体がアトマイザのノズルから噴霧の形で出る。
構成の詳細は、本願明細書に含まれるものとするWO 97/12683とWO 97/20590に開示されている。
アトマイザ(ネブライザ)の部品は、その機能に適した材料から製造されている。アトマイザのハウジングと動作が可能である場合には他の部分もプラスチックから、例えば、射出成形によって製造されることが好ましい。医療用の場合、生理的に安全な材料が用いられる。
WO 97/12687の図6a/bは、本発明の水性エアゾール製剤を吸入させるために有利に使用し得るRespimat(登録商標)ネブライザを示した図である。図6aは、スプリングにバイアスがかけられたアトマイザの中の縦断面図であり、図6bはスプリングが緩んだアトマイザの中の縦断面図である。
【0042】
ハウジング上部(51)はポンプハウジング(52)を有し、その端にアトマイザノズルのためのホルダ(53)が取り付けられる。ホルダ内にノズルボディ(54)とフィルタ(55)がある。ロッキングメカニズムのパワーテイクオフフランジ(56)に固定された中空プランジャ(57)がポンプハウジングのシリンダの中に一部突出する。その端に中空プランジャがバルブボディ(58)を備えている。中空プランジャはシール(59)によって密封される。スプリングが緩んだときにパワーテイクオフフランジが載っている止め具(60)はハウジング上部内側にある。スプリングのバイアスがかけられたときにパワーテイクオフフランジが載っている止め具(61)はパワーテイクオフフランジ上にある。スプリングにバイアスがかけられた後、ロッキング部分(62)は止め具(61)とハウジング上部の支持体(63)との間に移動する。作動ボタン(64)はロッキング部分に接続する。ハウジング上部の端は口金(65)であり、載置し得る保護カバー(66)によって密封される。
【0043】
圧縮スプリング(68)をもつスプリングハウジング(67)は、スナップインラグ(69)と回転軸受によってハウジング上部に回転可能に取り付けられる。ハウジング下部(70)は、スプリングハウジングの上に押される。スプリングハウジング内部に噴霧すべき液体(72)の取り替え可能な貯蔵容器(71)がある。貯蔵容器はストッパ(73)で密封され、中空プランジャが貯蔵容器の中に突出し、その端が液体(活性物質溶液の供給部)に浸漬する。
機械的カウンタのスピンドル(74)はスプリングハウジングの外側に取り付けられる。駆動ピニオン(75)はハウジング上部に面したスピンドルの端にある。スピンドル上にスライダ(76)がある。
上記ネブライザは、吸入に適したエアゾールを生じる本発明のエアゾール製剤を噴霧させるのに適する。
本発明による製剤を上記方法(Respimat(登録商標))を用いて噴霧させる場合には、吸入器の全動作(スプレー動作)のすべての少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%で追い出される量は、許容する一定量がこの量の25%以下、好ましくは20%に対応しなければならない。好ましくは5〜30mg、最も好ましくは5〜20mgの製剤が各動作に対する一定質量として送り出される。
本発明の製剤は、上記以外の吸入器、例えば、ジェットストリーム吸入器を用いて噴霧させることもできる。
本発明は、また、上記本発明の医薬製剤の一つ及びこの医薬製剤を噴霧するのに適した吸入器からなる吸入キットに関する。本発明は、好ましくは、上記本発明の医薬製剤の一つ及び上記Respimat(登録商標)吸入器からなる吸入キットに関する。
以下に示される製剤の実施例は、本発明の内容を一例として示される組成物に制限せずに具体的に説明するためのものである。
【実施例1】
【0044】
N-(5-{2-[1,1-ジメチル-3-(4-メチル-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)プロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド
【0045】
【化5】

【0046】
この化合物は、EP 43940から既知である。この実施態様の個々のジアステレオマーは、当該技術において既知の一般法によって得ることができる。
【実施例2】
【0047】
N-(5-{2-[1,1-ジメチル-3-(2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)プロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド
【0048】
【化6】

【0049】
この化合物は、EP 43940から既知である。この実施態様の(R)-及び(S)-エナンチオマーは、当該技術において既知の一般法によって得ることができる。
【実施例3】
【0050】
N-(5-{2-[3-(4-エチル-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド
【0051】
【化7】

【0052】
この化合物は、EP 43940から既知である。この実施態様の個々のジアステレオマーは、当該技術において既知の一般法によって得ることができる。
【実施例4】
【0053】
N-(5-{2-[3-(4,4-ジメチル-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド
【0054】
【化8】

【0055】
この化合物は、EP 43940から既知である。この実施態様の(R)-及び(S)-エナンチオマーは、当該技術において既知の一般法によって得ることができる。
【実施例5】
【0056】
N-(2-ヒドロキシ-5-{1-ヒドロキシ-2-[3-(6-ヒドロキシ-4,4-ジメチル-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピルアミノ]エチル}フェニル)メタンスルホンアミド
【0057】
【化9】

【0058】
この化合物は、EP 43940から既知である。この実施態様の(R)-及び(S)-エナンチオマーは、当該技術において既知の一般法によって得ることができる。
【実施例6】
【0059】
N-(2-ヒドロキシ-5-{1-ヒドロキシ-2-[3-(6-メトキシ-4,4-ジメチル-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピルアミノ]エチルフェニル)メタンスルホンアミド
【0060】
【化10】

【0061】
この化合物は、EP 43940から既知である。この実施態様の(R)-及び(S)-エナンチオマーは、当該技術において既知の一般法によって得ることができる。
以下に記載する合成の実施例は、本発明の新規な化合物を更に詳細に示すものである。しかしながら、これらは、以下の具体例において記載される内容に限定することなく手順の例としてのみ本発明を具体的に示すものである。
HPLC法(方法A): SymmetryC18(Waters): 3.5μm; 4.6×150mm;カラム温度: 20°C; 勾配: アセトニトリル/リン酸緩衝液(pH 7)20:80→80:20、30分間;流速: 1.0mL/分; 220及び254nmで検出。
中間生成物1-7の合成
中間生成物1: 1-(3-アミノ-3-メチルブチル)-4,4-ジプロピル-1,4-ジヒドロベンゾ[d][1,3]オキサジン-2-オン
【0062】
【化11】

【0063】
a) 4-(2-アミノフェニル)ヘプタン-4-オール: 無水THF(70mL)中の7.00mL(54.0ミリモル)のアンスラニル酸メチルの溶液に90mL(180.0ミリモル)の塩化プロピルマグネシウム(2M/エーテル)を0°Cで30分以内に滴下する。この混合液を周囲温度で1時間撹拌し、次に、100mLの3モルの塩化アンモニウム水溶液及び酢酸エチルと混ぜ合わせる。相は分離し、水相を酢酸エチルで徹底的に抽出する。合わせた有機相を、炭酸水素カリウム溶液及び塩化ナトリウム飽和溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。粗生成物を精製せずに次の反応工程に用いる。
収量: 6.70g(60%)。
【0064】
b) tert-ブチル{3-[2-(1-ヒドロキシ-1-プロピルブチル)フェニルアミノ]-1,1-ジメチルプロピル}カルバメート: メタノール(40mL)及び酢酸(6mL)中の3.10g(14.05ミリモル)の4-(2-アミノフェニル)ヘプタン-4-オール及び3.60g(17.88ミリモル)のtert-ブチル(1,1-ジメチル-3-オキソプロピル)カルバメートの溶液に1.40g(22.27ミリモル)シアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加する。この混合液を周囲温度で16時間撹拌し、酢酸エチルで希釈し、0.5モルの硫酸水素カリウム溶液及び塩化ナトリウム飽和溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で蒸発させる。粗生成物を精製せずに次の反応工程に用いる。収量: 6.00g(定量的収率)。
【0065】
c) tert-ブチル[1,1-ジメチル-3-(2-オキソ-4,4-ジプロピル-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)プロピル]カルバメート: 無水THF(80mL)中の6.00g(15.28ミリモル)のtert-ブチル{3-[2-(1-ヒドロキシ-1-プロピルブチル)フェニルアミノ]-1,1-ジメチルプロピル}カルバメート及び5.32mL(38.21ミリモル)のトリエチルアミンの溶液に8.85mL(16.81ミリモル)のホスゲン溶液(20wt.%/トルエン)を0°Cで徐々に滴下する。この混合液を周囲温度で2時間撹拌し、酢酸エチルで希釈し、氷と混ぜ合わせ、アンモニア飽和水溶液で塩基性にした。水相を酢酸エチルで徹底的に抽出し、合わせた有機相を塩化ナトリウム飽和溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で蒸発させる。カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、シクロヘキサン/酢酸エチル= 6:1)処理後、生成物を得る。収量: 4.57g(71%)。
【0066】
d) 1-(3-アミノ-3-メチルブチル)-4,4-ジプロピル-1,4-ジヒドロベンゾ[d][1,3]オキサジン-2-オン: 35mLのギ酸中の4.20g(10.03ミリモル)のtert-ブチル[1,1-ジメチル-3-(2-オキソ-4,4-ジプロピル-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)プロピル]カルバメートの溶液を、周囲温度で24時間撹拌し、次に、氷に注ぐ。水相を、アンモニア飽和水溶液で塩基性にし、酢酸エチルで徹底的に抽出する。合わせた有機抽出液を塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で蒸発させる。残留物を酢酸エチル(50mL)に溶解し、4mLの塩酸と酢酸エチル(飽和)中で混ぜ合わせる。この溶液を蒸発させ、少量のエタノールと二回混合し、減圧下で蒸発させる。残留物をジイソプロピルエーテルで摩砕して、塩酸塩を得る。
収量: 2.60g(73%)。
中間生成物2: 1-(3-アミノ-3-メチルブチル)-4,4-ジエチル-7-フルオロ-1,4-ジヒドロベンゾ[d][1,3]オキサジン-2-オン
【0067】
【化12】

【0068】
a) 3-(2-アミノ-4-フルオロフェニル)ペンタン-3-オール: 中間生成物1aと同様にして-78°Cのジクロロメタン中の2-アミノ-4-フルオロ安息香酸メチルエステルと臭化エチルマグネシウムを周囲温度に加熱しながら反応させることによって生成物を得る。収量: 4.1g(99%)。
【0069】
b) tert-ブチル{3-[2-(1-エチル-1-ヒドロキシプロピル)-5-フルオロフェニルアミノ]-1,1-ジメチルプロピル}カルバメート: 3-(2-アミノ-4-フルオロフェニル)ペンタン-3-オールとtert-ブチル(1,1-ジメチル-3-オキソプロピル)カルバメートから出発して中間生成物1bと同様にして生成物を得る。粗生成物をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、ジクロロメタン/メタノール=100:0→98:2)によって精製する。
収量: 7.70g(99%)。
【0070】
c) tert-ブチル[3-(4,4-ジエチル-7-フルオロ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピル]カルバメート: tert-ブチル{3-[2-(1-エチル-1-ヒドロキシプロピル)-5-フルオロフェニルアミノ]-1,1-ジメチルプロピル}カルバメートから出発して中間生成物1cと同様にして生成物を得る。収量: 4.20g(51%)。
【0071】
d) 1-(3-アミノ-3-メチルブチル)-4,4-ジエチル-7-フルオロ-1,4-ジヒドロベンゾ[d][1,3]オキサジン-2-オン: tert-ブチル[3-(4,4-ジエチル-7-フルオロ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピル]カルバメートから出発して中間生成物1dと同様にして生成物を遊離塩基として調製する。
収量: 2.90g(96%); ESI-MS: [M+H]+ = 309。
中間生成物3: 1-(3-アミノ-3-メチルブチル)-スピロ(シクロプロピル-1,4'-2H-3',1'-ベンゾキサジン)-2'-オン
【0072】
【化13】

【0073】
a) 1-(2-ジベンジルアミノフェニル)シクロプロパノール:150mL THF中の18.5g(55.8ミリモル)のメチル2-ジベンジルアミノベンゾエート溶液に2.45mL(8.4ミリモル)のチタンテトライソプロポキシドを周囲温度で徐々に滴下する。1時間撹拌した後、40.9mL(122.7ミリモル)の臭化エチルマグネシウム(3M/ジエチルエーテル)を添加する。この混合液を1時間撹拌し、もう4mLの3モルの臭化エチルマグネシウム溶液を添加し、この混合液を2時間撹拌する。反応混合液を塩化アンモニウム飽和溶液と混ぜ合わせ、酢酸エチルで抽出する。水相を、透明な溶液が得られるまで1モルの塩酸と混ぜ合わせ、酢酸エチルで抽出する。合わせた有機相を炭酸水素ナトリウム溶液及び塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させる。残留物をクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル= 20:1)によって精製する。収量: 10.0g(54%)。
【0074】
b) 1-(2-アミノフェニル)シクロプロパノール: 9.90g(30.1ミリモル)の1-(2-ジベンジルアミノフェニル)シクロプロパノールを70mLのメタノールに溶解し、1gのパラジウム/木炭(10%)の存在下に3バールの水素圧で水素添加する。触媒を吸引ろ過によって除去し、ろ液を蒸発させ、残留物をクロマトグラフィ(シリカゲル;シクロヘキサン/酢酸エチル= 5:1)によって精製する。収量: 1.80g(40%)。
【0075】
c) tert-ブチル{3-[2-(1-ヒドロキシシクロプロピル)フェニルアミノ]-1,1-ジメチルプロピル}カルバメート: 1.77g(11.86ミリモル)の1-(2-アミノフェニル)シクロプロパノール及び3.15g(15.66ミリモル)のtert-ブチル(1,1-ジメチル-3-オキソプロピル)カルバメートから中間生成物1bに記載された方法と同様にして調製する。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、シクロヘキサン/酢酸エチル4:1)によって精製する。収量: 2.60g。
【0076】
d) tert-ブチル{1,1-ジメチル-3-[スピロ(シクロプロピル-1,4'-2H-3',1'-ベンゾキサジン)-2'-オキソ-1-イル]プロピル}カルバメート: 2.60g(7.74ミリモル)のtert-ブチル{3-[2-(1-ヒドロキシシクロプロピル)フェニルアミノ]-1,1-ジメチルプロピル}カルバメートから出発して中間生成物1cと同様にして生成物を得る。ここでの違いは、カラムクロマトグラフィによる精製がないことである。収量: 2.60g。
【0077】
e) 1-(3-アミノ-3-メチルブチル)-スピロ(シクロプロピル-1,4'-2H-3',1'-ベンゾキサジン)-2'-オン: 3.10g(8.60ミリモル)のtert-ブチル{1,1-ジメチル-3-[スピロ(シクロプロピル-1,4'-2H-3',1'-ベンゾキサジン)-2'-オキソ-1-イル]プロピル}カルバメートと30mLのギ酸を反応させることによって中間体1dに記載された方法と同様にして得られる。黄色の油状物。収量: 2.10g(94%)。
中間生成物4: 1-(3-アミノ-3-メチルブチル)-4,4-ジエチル-1,4-ジヒドロベンゾ[d][1,3]オキサジン-2-オン
【0078】
【化14】

【0079】
a)3-(2-アミノフェニル)ペンタン-3-オール: 130mLのTHF中の7.77mL(60ミリモル)の2-アミノメチル安息香酸の溶液にジエチルエーテル中の100mLの3モルの臭化エチルマグネシウム溶液を-40°Cで滴下する。この混合液を加熱しながら周囲温度に一晩撹拌し、塩化アンモニウム飽和溶液と混ぜ合わせ、1モルの塩酸で酸性にし、酢酸エチルで抽出する。合わせた有機相を水で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させる。粗生成物を更に直接反応させる。収量: 10.9g;質量分析: [M+H]+ = 180。
【0080】
b) tert-ブチル{3-[2-(1-エチル-1-ヒドロキシプロピル)フェニルアミノ]-1,1-ジメチルプロピル}カルバメート: 18mLのメタノール中の5.70g(31.8ミリモル)の3-(2-アミノフェニル)ペンタン-3-オール及び2.63mL(47.7ミリモル)酢酸に3.16g(47.7ミリモル)のシアノ水素化ホウ素ナトリウムを周囲温度で添加する。次に、18mLメタノール中の7.04g(35ミリモル)のtert-ブチル(1,1-ジメチル-3-オキソプロピル)カルバメートの溶液を徐々に滴下する。添加が終了した後、この混合液を4時間撹拌し、1モルの塩酸(ガス発生)と混ぜ合わせ、次に、アンモニア水溶液で塩基性にする。酢酸エチルで抽出し、合わせた有機相を塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去する。残留物をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、0.1%アンモニアによるジクロロメタン/メタノール勾配)によって精製する。収量: 4.25g(37%); 質量分析: [M+H]+ = 365。
【0081】
c) tert-ブチル[3-(4,4-ジエチル-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピル]カルバメート: 35mLのTHF中の3.50g(9.6ミリモル)のtert-ブチル{3-[2-(1-エチル-1-ヒドロキシプロピル)フェニルアミノ]-1,1-ジメチルプロピル}カルバメート及び3.37mL(24ミリモル)のトリエチルアミンの溶液に2.91g(9.6ミリモル)のトリホスゲンを0〜5°Cで添加する。この混合液を撹拌しながら周囲温度に一晩放置し、生じた沈殿を吸引ろ過する。ろ液を蒸発させ、残存する粗生成物を直接反応させる。
収量: 3.33g; 質量分析: [M+H]+ = 391。
【0082】
d) 1-(3-アミノ-3-メチルブチル)-4,4-ジエチル-1,4-ジヒドロベンゾ[d][1,3]オキサジン-2-オン: 25mLのジクロロメタン中の3.20gのtert-ブチル[3-(4,4-ジエチル-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピル]カルバメート(約75%)の溶液に25mLのトリフルオロ酢酸を、氷浴で冷却しながら滴下する。この混合液を周囲温度で2時間撹拌し、溶媒を留去し、酸残留物をトルエンで反復共蒸留することによって除去する。遊離塩基を遊離させるために、残留物を1モルの水酸化ナトリウム溶液と混ぜ合わせ、酢酸エチルで抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発する。遊離塩基を8mLのメタノールに溶解し、エーテル塩酸と混ぜ合わせる。これを一晩撹拌し、生じた沈殿を吸引ろ過し、ジエチルエーテルで洗浄する。収量: 2.15g(塩酸塩); 質量分析: [M+H]+ = 291。
中間生成物5: 1-(3-アミノ-3-メチルブチル)-スピロ(シクロヘキサン-1,4'-2H-3',1'-ベンゾキサジン)-2'-オン
【0083】
【化15】

【0084】
a) 1-(2-ニトロフェニル)シクロヘキサノール: 150mLのTHF中の20.0g(80.32ミリモル)の2-ニトロヨードベンゼンの溶液(2M/THF)に40.16mL(80.32ミリモル)の塩化フェニルマグネシウムを窒素下-50°Cで滴下する。15分間撹拌した後、9.98mL(96.30ミリモル)のシクロヘキサノンを急速に添加する。反応混合液を周囲温度に加熱し、2時間撹拌し、塩化アンモニウム溶液と混ぜ合わせる。水相を分離し、酢酸エチルで徹底的に抽出する。合わせた有機相を塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させる。カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=20:1)処理して生成物を得る。収量: 5.20g(29%); Rf = 0.26(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=10:1); ESI-MS:[M+H-H2O]+ = 204。
【0085】
b) 1-(2-アミノフェニル)シクロヘキサノール: 70mLのエタノール中の5.20g(16.45ミリモル)の1-(2-ニトロフェニル)シクロヘキサノールをラネーニッケルの存在下に周囲温度と3バールの水素圧で4時間水素添加する。触媒をセライトでろ別し、ろ液を減圧下で蒸発させる。残留物をヘキサンから沈殿させる。収量: 1.53g(49%); Rf = 0.38(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=4:1); ESI-MS: [M+H-H2O]+ = 174。
【0086】
c) tert-ブチル{3-[2-(1-ヒドロキシシクロヘキシル)フェニルアミノ]-1,1-ジメチルプロピル}カルバメート: 1-(2-アミノフェニル)シクロヘキサノールとtert-ブチル(1,1-ジメチル-3-オキソプロピル)カルバメートから中間生成物1bと同様にしてこの化合物を得る。カラムクロマトグラフィ(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=7:1)処理して生成物を得る。収量: 2.65g(66%); Rf = 0.50(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=4:1)。
【0087】
d) tert-ブチル{1,1-ジメチル-3-[スピロ(シクロヘキサン-1,4'-2H-3',1'-ベンゾキサジン)-2'-オキソ-1-イル]プロピル}カルバメート: tert-ブチル{3-[2-(1-ヒドロキシシクロヘキシル)フェニルアミノ]-1,1-ジメチルプロピル}カルバメートから中間生成物1cと同様にして調製する。収量: 2.60g(92%); Rf = 0.38(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル4:1)。
【0088】
e) 1-(3-アミノ-3-メチルブチル)-スピロ(シクロヘキサン-1,4'-2H-3',1'-ベンゾキサジン)-2'-オン: tert-ブチル[1,1-ジメチル-3-(スピロ(シクロヘキサン-1,4'-2H-3',1'-ベンゾキサジン)-2'-オキソ-1-イル)プロピル]カルバメートから中間生成物1dと同様にして調製する。収量: 1.80g(92%); Rf = 0.10(シリカゲル、ジクロロメタン/メタノール/アンモニア= 95:5:0.5); ESI-MS:[M+H]+ = 303。
中間生成物6: 1-(3-アミノ-3-メチルブチル)-4,4-ジエチル-8-メトキシ-1,4-ジヒドロベンゾ[d][1,3]オキサジン-2-オン
【0089】
【化16】

【0090】
a) 3-(2-アミノ-3-メトキシフェニル)ペンタン-3-オール: 中間生成物1aと同様にしてメチル2-アミノ-3-メトキシベンゾエートと臭化エチルマグネシウムをジクロロメタン中-78°C→RTで反応させることによって生成物を得る。収量: 5.20g(92%); HPLC-MS: Rt = 12.85分(方法A); ESI-MS:[M+H]+ = 210。
【0091】
b) tert-ブチル{3-[2-(1-エチル-1-ヒドロキシプロピル)-6-メトキシフェニルアミノ]-1,1-ジメチルプロピル}カルバメート: 3-(2-アミノ-3-メトキシフェニル)ペンタン-3-オールとtert-ブチル(1,1-ジメチル-3-オキソプロピル)カルバメートから出発して中間生成物1bと同様にして生成物を得る。粗生成物をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、シクロヘキサン/酢酸エチル=4:1)によって精製する。収量: 4.60g(47%)。
【0092】
c) tert-ブチル[3-(4,4-ジエチル-8-メトキシ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピル]カルバメート: tert-ブチル{3-[2-(1-エチル-1-ヒドロキシプロピル)-6-メトキシフェニルアミノ]-1,1-ジメチルプロピル}カルバメートから出発して中間生成物1cと同様にして生成物を得る。収量: 4.60g(94%)。
【0093】
d) 1-(3-アミノ-3-メチルブチル)-4,4-ジエチル-8-メトキシ-1,4-ジヒドロベンゾ[d][1,3]オキサジン-2-オン: tert-ブチル[3-(4,4-ジエチル-8-メトキシ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピル]カルバメートから出発して中間生成物1dと同様にして生成物を遊離塩基として得る。収量: 3.00g(93%); ESI-MS:[M+H]+ = 321。
【0094】
中間生成物7: 1-(3-アミノ-3-メチルブチル)-4,4-ジエチル-6-フルオロ-1,4-ジヒドロベンゾ[d][1,3]オキサジン-2-オン
【0095】
【化17】

【0096】
a) 3-(2-アミノ-5-フルオロフェニル)ペンタン-3-オール: メチル2-アミノ-5-フルオロベンゾエートと臭化エチルマグネシウムから中間生成物1aと同様にして調製する。得られた生成物をクロマトグラフィ(シリカゲル、シクロヘキサン/酢酸エチル=8:1)によって精製する。収量: 6.00g(74%)。
【0097】
b) tert-ブチル{3-[2-(1-エチル-1-ヒドロキシプロピル)-4-フルオロフェニルアミノ]-1,1-ジメチルプロピル}カルバメート: 3-(2-アミノ-5-フルオロフェニル)ペンタン-3-オールとtert-ブチル(1,1-ジメチル-3-オキソプロピル)カルバメートから出発して中間生成物1bと同様にして生成物を得る。粗生成物をカラムクロマトグラフィ(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=6:1→2:1)によって精製する。収量: 4.50g(41%)。
【0098】
c) tert-ブチル[3-(4,4-ジエチル-6-フルオロ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピル]カルバメート: tert-ブチル{3-[2-(1-エチル-1-ヒドロキシプロピル)-4-フルオロフェニルアミノ]-1,1-ジメチルプロピル}カルバメートから中間生成物1cと同様にして調製する。ここでの違いは、カラムクロマトグラフィによる精製がないことである。収量: 4.8g。
【0099】
d) 1-(3-アミノ-3-メチルブチル)-4,4-ジエチル-6-フルオロ-1,4-ジヒドロベンゾ[d][1,3]オキサジン-2-オン: tert-ブチル[3-(4,4-ジエチル-6-フルオロ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピル]カルバメートから中間生成物1dと同様にして遊離塩基として目標化合物を調製する。収量: 3.00g(99%)。
【実施例7】
【0100】
N-(5-{2-[1,1-ジメチル-3-(2-オキソ-4,4-ジプロピル-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)プロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド
【0101】
【化18】

【0102】
a) N-(2-ベンジルオキシ-5-{2-[1,1-ジメチル-3-(2-オキソ-4,4-ジプロピル-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)プロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}フェニル)メタンスルホンアミド: 5mLのTHF中の200mg(0.564ミリモル)の1-(3-アミノ-3-メチルブチル)-4,4-ジプロピル-1,4-ジヒドロベンゾ[d][1,3]オキサジン-2-オン塩酸塩の溶液に86μl(0.619ミリモル)のトリエチルアミンを窒素雰囲気下に周囲温度で添加する。この混合液を30分間撹拌し、218mg(0.575ミリモル)のN-[2-ベンジルオキシ-5-(2-エトキシ-2-ヒドロキシアセチル)フェニル]メタンスルホンアミドを添加し、この混合液を周囲温度で更に2時間撹拌する。この混合物液を10°Cに冷却し、51mg(2.34ミリモル)の水素化ホウ素リチウムと混ぜ合わせ、周囲温度に加熱し、1時間撹拌する。再び10°Cに冷却し、15mLの水と20mLのジクロロメタンで希釈する。水相を分離し、ジクロロメタンで抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で蒸発させる。残留物を8mLの酢酸エチルに溶解し、塩酸の酢酸エチル飽和溶液を添加してpH 2の酸性にする。生じた沈殿をろ別し、酢酸エチルで洗浄し、蒸発させる。収量: 260mg(67%、塩酸塩)、HPLC: Rt = 19.8分(方法A)。
【0103】
b) N-(5-{2-[1,1-ジメチル-3-(2-オキソ-4,4-ジプロピル-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)プロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド: 8mLのメタノール中の260mg(0.386ミリモル)のN-(2-ベンジルオキシ-5-{2-[1,1-ジメチル-3-(2-オキソ-4,4-ジプロピル-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)プロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}フェニル)メタンスルホンアミド塩酸塩を26mgのパラジウム/木炭(10%)の存在下に周囲温度で水素添加する。触媒をセライトでろ別し、メタノールで洗浄する。ろ液を減圧下で蒸発させ、残留物をジエチルエーテルに撹拌する。
収量: 120mg(53%、塩酸塩); 質量分析: [M+H]+ = 548; HPLC: Rt = 14.7分(方法A)。
この実施態様の(R)-及び(S)-エナンチオマーは、当該技術において既知の一般法によって得ることができる。この実施態様の(R)-エナンチオマーが本発明によれば特に重要である。
【実施例8】
【0104】
N-[5-(2-{1,1-ジメチル-3-[スピロ(シクロヘキサン-1,4'-2H-3',1'-ベンゾキサジン)-2'-オキソ-1-イル]プロピルアミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-ヒドロキシフェニル]メタンスルホンアミド
【0105】
【化19】

【0106】
a) N-[2-ベンジルオキシ-5-(2-{3-[スピロ(シクロヘキサン-1,4'-2H-3',1'-ベンゾキサジン)-2'-オキソ-1-イル]-1,1-ジメチルプロピルアミノ}-1-ヒドロキシエチル]フェニル]メタンスルホンアミド: 250mg(0.66ミリモル)のN-[2-ベンジルオキシ-5-(2-エトキシ-2-ヒドロキシアセチル)フェニル]メタンスルホンアミドと200 mg (0.66 ミリモル) 1-(3-アミノ-3-メチルブチル)-スピロ(シクロヘキサン-1,4'-2H-3',1'-ベンゾキサジン)-2'-オンから実施例7aに記載された方法と同様にして調製する。ここでの違いは、塩酸塩として得られる生成物がクロマトグラフィ(シリカゲル、ジクロロメタン/メタノール=50:1)によって精製されることである。
収量: 190mg(46%)、HPLC: Rt = 17.8分(方法A)。
【0107】
b) N-[5-(2-{1,1-ジメチル-3-[スピロ(シクロヘキサン-1,4'-2H-3',1'-ベンゾキサジン)-2'-オキソ-1-イル]プロピルアミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-ヒドロキシフェニル]メタンスルホンアミド: 190mg(0.31ミリモル)のN-[2-ベンジルオキシ-5-(2-{3- [スピロ(シクロヘキサン-1,4'-2H-3',1'-ベンゾキサジン)-2'-オキソ-1-イル]-1,1-ジメチルプロピルアミノ}-1-ヒドロキシエチル]フェニル]メタンスルホンアミドを、実施例7bと同様にして水素添加する。触媒を分離した後、ろ液を溶媒から除去し、8mLの酢酸エチルと混ぜ合わせ、酢酸エチル中の塩酸を添加してpH 2の酸性にする。溶媒を留去し、残留物をジエチルエーテル中で撹拌し、ろ過する。収量: 40mg(23%、塩酸塩); 質量分析: [M+H]+ = 532; HPLC: Rt = 11.8分(方法A)。
この実施態様の(R)-及び(S)-エナンチオマーを当該技術において既知の一般法によって得ることができる。本発明のこの実施態様の(R)-エナンチオマーが特に重要である。
【実施例9】
【0108】
N-[5-(2-{1,1-ジメチル-3-[スピロ(シクロプロピル-1,4'-2H-3',1'-ベンゾキサジン)-2'-オキソ-1-イル]プロピルアミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-ヒドロキシフェニル]メタンスルホンアミド
【0109】
【化20】

【0110】
a) N-[2-ベンジルオキシ-5-(2-{3- [スピロ(シクロプロピル-1,4'-2H-3',1'-ベンゾキサジン)-2'-オキソ-1-イル]-1,1-ジメチルプロピルアミノ}-1-ヒドロキシエチル]フェニル]メタンスルホンアミド: 292mg(0.77ミリモル)のN-[2-ベンジルオキシ-5-(2-エトキシ-2-ヒドロキシアセチル)フェニル]メタンスルホンアミドと200mg(0.77ミリモル)の1-(3-アミノ-3-メチルブチル)-スピロ(シクロプロピル-1,4'-2H-3',1'-ベンゾキサジン)-2'-オンを実施例7aと同様にして反応させ処理した。粗生成物を8mLの酢酸エチルと混ぜ合わせ、酢酸エチル中の塩酸でpH 2の酸性にする。溶媒を留去し、残留物をジエチルエーテル中で撹拌する。収量: 400mg(84%、塩酸塩)、HPLC: Rt = 15.2分(方法A)。
【0111】
b) N-[5-(2-{1,1-ジメチル-3-[スピロ(シクロプロピル-1,4'-2H-3',1'-ベンゾキサジン)-2'-オキソ-1-イル]プロピルアミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-ヒドロキシフェニル]メタンスルホンアミド: 400mg(0.65ミリモル)のN-[2-ベンジルオキシ-5-(2-{3- [スピロ(シクロプロピル-1,4'-2H-3',1'-ベンゾキサジン)-2'-オキソ-1-イル]-1,1-ジメチルプロピルアミノ}-1-ヒドロキシエチル]フェニル]メタンスルホンアミド塩酸塩から実施例1bと同様にして生成物を調製する。収量: 230mg(67%、塩酸塩); 質量分析: [M+H]+ = 490; HPLC: Rt = 8.9分(方法A)。
この実施態様の(R)-及び(S)-エナンチオマーは、当該技術において既知の一般法によって得ることができる。本発明のこの実施態様の(R)-エナンチオマーが特に重要である。
【実施例10】
【0112】
N-(5-{2-[3-(4,4-ジエチル-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド:
【0113】
【化21】

【0114】
379mg(1ミリモル)のN-[2-ベンジルオキシ-5-(2-エトキシ-2-ヒドロキシアセチル)フェニル]メタンスルホンアミドと290mg(1 ミリモル)の1-(3-アミノ-3-メチルブチル)-4,4-ジエチル-1,4-ジヒドロベンゾ[d][1,3]オキサジン-2-オンを5mLエタノールに懸濁させ、70°Cに加熱する。得られた溶液を70°Cで1時間撹拌し、次に、周囲温度に冷却する。113mg(3ミリモル)の水素化ホウ素ナトリウムを添加した後、混合液を周囲温度で3時間撹拌し、0.7mLの炭酸カリウム飽和溶液と混ぜ合わせ、更に30分間撹拌する。この混合液を酸化アルミニウム(塩基性)によってろ過し、ジクロロメタン/メタノール(15:1)で繰り返し洗浄し、蒸発させる。このようにして得られた粗生成物をクロマトグラフィ(0-10%のメタノール/アンモニア=9:1 を有するジクロロメタン)によって精製する。このようにして得られたベンジルエーテルを10mLのメタノールに溶解し、1バールの水素圧で触媒としてパラジウム/木炭を用いて水素添加する。次に、触媒をろ別し、ろ液を蒸発させる。収量: 338mg(2工程にわたって65%); 質量分析: [M+H]+ = 520。
この実施態様の(R)-及び(S)-エナンチオマーは、当該技術において既知の一般法によって得ることができる。本発明のこの実施態様の(R)-エナンチオマーが特に重要である。(R)-N-(5-{2-[3-(4,4-ジエチル-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド塩酸塩(アセトン分子によって共結晶化した)の旋光度は、-28.8°である(c = 1% 、メタノール中、20°C)。
【実施例11】
【0115】
N-(5-{2-[3-(4,4-ジエチル-6-フルオロ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド
【0116】
【化22】

【0117】
a) N-(2-ベンジルオキシ-5-{2-[3-(4,4-ジエチル-6-フルオロ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}フェニル)メタンスルホンアミド: 実施例7aと同様にして246mg(0.65ミリモル)のN-[2-ベンジルオキシ-5-(2-エトキシ-2-ヒドロキシアセチル)フェニル]メタンスルホンアミドと200mg(0.65ミリモル)の1-(3-アミノ-3-メチルブチル)-4,4-ジエチル-6-フルオロ-1,4-ジヒドロベンゾ[D][1,3]オキサジン-2-オンを反応させる。一つの違いは、塩酸塩の調製が省略されることである。代わりに、遊離塩基がクロマトグラフィによって精製される(逆相(0.1%トリフルオロ酢酸によるアセトニトリル/水勾配)。
収量: 180mg(トリフルオロ酢酸塩)、HPLC: Rt = 17.4分(方法A)。
【0118】
b) N-(5-{2-[3-(4,4-ジエチル-6-フルオロ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド: 9mLのメタノール中の175mgのN-(2-ベンジルオキシ-5-{2-[3-(4,4-ジエチル-6-フルオロ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}フェニル)メタンスルホンアミドトリフルオロ酢酸塩を40mgのラネーニッケルの存在下に周囲温度と3バールの水素圧で水素添加する。触媒をろ別し、ろ液を溶媒から除去する。
収量: 131mg(トリフルオロ酢酸塩); 質量分析: [M+H]+ = 538。
この実施態様の(R)-及び(S)-エナンチオマーは、当該技術において既知の一般法によって得ることができる。本発明のこの実施態様の(R)-エナンチオマーが特に重要である。
【実施例12】
【0119】
N-(5-{2-[3-(4,4-ジエチル-7-フルオロ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド
【0120】
【化23】

【0121】
a) N-(2-ベンジルオキシ-5-{2-[3-(4,4-ジエチル-7-フルオロ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}フェニル)メタンスルホンアミド: 246mg(0.65ミリモル)のN-[2-ベンジルオキシ-5-(2-エトキシ-2-ヒドロキシアセチル)フェニル]メタンスルホンアミドと200 mg (0.65 ミリモル) 1-(3-アミノ-3-メチルブチル)-4,4-ジエチル-7-フルオロ-1,4-ジヒドロベンゾ[d][1,3]オキサジン-2-オンを実施例7aと同様にして反応させ処理する。違いは、塩酸塩の製造が省略され且つ遊離塩基がクロマトグラフィ(逆相、0.1%トリフルオロ酢酸によるアセトニトリル/水勾配)によって精製されることである。
収量: 220mg(トリフルオロ酢酸塩)、HPLC: Rt = 17.7分(方法A)。
【0122】
b) N-(5-{2-[3-(4,4-ジエチル-7-フルオロ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド: 210mgのN-(2-ベンジルオキシ-5-{2-[3-(4,4-ジエチル-7-フルオロ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}フェニル)メタンスルホンアミドトリフルオロ酢酸塩から実施例11bと同様にして調製する。
収量: 154mg(トリフルオロ酢酸塩); 質量分析: [M+H]+ = 538。
この実施態様の(R)-及び(S)-エナンチオマーは、当該技術において既知の一般法によって得ることができる。本発明のこの実施態様の(R)-エナンチオマーが特に重要である。
【実施例13】
【0123】
N-(5-{2-[3-(4,4-ジエチル-8-メトキシ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド
【0124】
【化24】

【0125】
a) N-(2-ベンジルオキシ-5-{2-[3-(4,4-ジエチル-8-メトキシ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}フェニル)メタンスルホンアミド: 実施例7aと同様にして237mg(0.625ミリモル)のN-[2-ベンジルオキシ-5-(2-エトキシ-2-ヒドロキシアセチル)フェニル]メタンスルホンアミドと200mg(0.624ミリモル)の1-(3-アミノ-3-メチルブチル)-4,4-ジエチル-8-メトキシ-1,4-ジヒドロベンゾ[d][1,3]オキサジン-2-オンを反応させる。粗生成物を酢酸エチルに溶解し、酢酸エチル中の塩酸でpH 2の酸性にする。溶媒を留去し、残留物をジエチルエーテル中で撹拌する。次に、このようにして得られた塩酸塩(330mg)をクロマトグラフィによって精製する。
収量: 90mg(トリフルオロ酢酸塩)、HPLC: Rt = 17.6分(方法A)。
【0126】
b) N-(5-{2-[3-(4,4-ジエチル-8-メトキシ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-ヒドロキシフェニル)メタンスルホンアミド: 80mg(0.118ミリモル)のN-(2-ベンジルオキシ-5-{2-[3-(4,4-ジエチル-8-メトキシ-2-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-1-イル)-1,1-ジメチルプロピルアミノ]-1-ヒドロキシエチル}フェニル)メタンスルホンアミドトリフルオロ酢酸塩を、実施例11bと同様にして水素添加する。収量: 70mg(トリフルオロ酢酸塩); 質量分析: [M+H]+ = 550。
この実施態様の(R)-及び(S)-エナンチオマーは、当該技術において既知の一般法によって得ることができる。本発明のこの実施態様の(R)-エナンチオマーが特に重要である。
【0127】
製剤実施例
実施例4.1
以下の表は、本発明の実施例4の化合物のR-エナンチオマーの製剤の実施例を示すものである: 100mlの医薬製剤は、精製水又は注射用蒸留水中に、以下を含有する:

【0128】
実施例4.2
以下の表は、実施例4の化合物のR-エナンチオマーの本発明の製剤の実施例を示すものである: 100mlの医薬製剤は、以下を含有する:

【0129】
実施例4.3
以下の表は、実施例4の化合物のR-エナンチオマーの本発明の製剤の実施例を示すものである:1M HClを用いてpHを4に調整した100mlの医薬製剤は、以下を含有する:

【0130】
実施例5.1
以下の表は、実施例5の化合物のR-エナンチオマーの本発明の製剤の実施例を示すものである: 100mlの医薬製剤は、精製水又は注射用蒸留水中に以下を含有する:

【0131】
実施例5.2
以下の表は、実施例5の化合物のR-エナンチオマーの本発明の製剤の実施例を示すものである: 100mlの医薬製剤は、以下を含有する:

【0132】
実施例5.3
以下の表は、実施例5の化合物のR-エナンチオマーの本発明の製剤の実施例を示すものである: 1M HClを用いてpHを4に調整した100mlの医薬は、以下を含有する:

【0133】
実施例6.1
以下の表は、実施例6の化合物のR-エナンチオマーの本発明の製剤の実施例を示すものである: 100mlの医薬製剤は、精製水又は注射用蒸留水中に以下を含有する:

【0134】
実施例6.2
以下の表は、実施例6の化合物のR-エナンチオマーの本発明の製剤の実施例を示すものである: 100mlの医薬製剤は、以下を含有する:

【0135】
実施例6.3
以下の表は、実施例6の化合物のR-エナンチオマーの本発明の製剤の実施例を示すものである: 1M HClを用いてpHを4に調整した100mlの医薬製剤は、以下を含有する:

【0136】
実施例7.1
以下の表は、実施例7の化合物のR-エナンチオマーの本発明の製剤の実施例を示すものである: 100mlの医薬製剤は、精製水又は注射用蒸留水中に以下を含有する:

【0137】
実施例7.2
以下の表は、実施例7の化合物のR-エナンチオマーの本発明の製剤の実施例を示す: 100mlの薬剤調製は、以下を含有する:

【0138】
実施例7.3
以下の表は、実施例7の化合物のR-エナンチオマーの本発明の製剤の実施例を示す: 1M HClを用いてpHを4に調整した100mlの医薬製剤は、以下を含有する:

【0139】
実施例8.1
以下の表は、実施例8の化合物のR-エナンチオマーの本発明の製剤の実施例を示す: 100mlの医薬製剤は、精製水又は注射用蒸留水中に以下を含有する:

【0140】
実施例8.2
以下の表は、実施例8の化合物のR-エナンチオマーの本発明の製剤の実施例を示すものである: 100mlの医薬製剤は、以下を含有する:

【0141】
実施例8.3
以下の表は、実施例8の化合物のR-エナンチオマーの本発明の製剤の実施例を示すものである: 1M HClを用いてpHを4に調整した100mlの医薬製剤は、以下を含有する:

【0142】
実施例9.1
以下の表は、実施例9の化合物のR-エナンチオマーの本発明の製剤の実施例を示すものである: 100mlの医薬製剤は、精製水又は注射用蒸留水中に以下を含有する:

【0143】
実施例9.2
以下の表は、実施例9の化合物のR-エナンチオマーの本発明の製剤の実施例を示すものである: 100mlの医薬製剤は、以下を含有する:

【0144】
実施例9.3
以下の表は、実施例9の化合物のR-エナンチオマーの本発明の製剤の実施例を示すものである: 1M HClを用いてpHを4に調整した100mlの医薬製剤は、以下を含有する:

【0145】
実施例10.1
以下の表は、実施例10の化合物のR-エナンチオマーの本発明の製剤の実施例を示すものである: 100mlの医薬製剤は、精製水又は注射用蒸留水中に以下を含有する:

【0146】
実施例10.2
以下の表は、実施例10の化合物のR-エナンチオマーの本発明の製剤の実施例を示すものである: 100mlの医薬製剤は、以下を含有する:

【0147】
実施例10.3
以下の表は、実施例10の化合物のR-エナンチオマーで本発明の製剤の実施例を示すものである: 1M HClを用いてpHを4に調整した100mlの医薬製剤は、以下を含有する:

【0148】
実施例11.1
以下の表は、実施例11の化合物のR-エナンチオマーの本発明の製剤の実施例を示すものである: 100mlの医薬製剤は、精製水又は注射用蒸留水中に以下を含有する:

【0149】
実施例11.2
以下の表は、実施例11の化合物のR-エナンチオマーの本発明の製剤の実施例を示すものである: 100mlの医薬製剤は、以下を含有する:

【0150】
実施例11.3
以下の表は、実施例11の化合物のR-エナンチオマーの本発明の製剤の実施例を示すものである:1M HClを用いてpHを4に調整した100mlの医薬製剤は、以下を含有する:

【0151】
実施例12.1
以下の表は、実施例12の化合物のR-エナンチオマーの本発明の製剤の実施例を示すものである: 100mlの医薬製剤は、精製水又は注射用蒸留水中に以下を含有する:

【0152】
実施例12.2
以下の表は、実施例12の化合物のR-エナンチオマーの本発明の製剤の実施例を示すものである: 100mlの医薬製剤は、以下を含有する:

【0153】
実施例12.3
以下の表は、実施例12の化合物のR-エナンチオマーの本発明の製剤の実施例を示すものである: 1M HClを用いてpHを4に調整した100mlの医薬製剤は、以下を含有する:

【0154】
実施例13.1
以下の表は、実施例13の化合物のR-エナンチオマーの本発明の製剤の実施例を示すものである: 100mlの医薬製剤は、精製水又は注射用蒸留水中に以下を含有する:

【0155】
実施例13.2
以下の表は、実施例13の化合物のR-エナンチオマーの本発明の製剤の実施例を示すものである: 100mlの医薬製剤は、以下を含有する:

【0156】
実施例13.3
以下の表は、実施例13の化合物のR-エナンチオマーの本発明の製剤の実施例を示すものである: 1M HClを用いてpHを4に調整した100mlの医薬製剤は、以下を含有する:


【特許請求の範囲】
【請求項1】
唯一の活性物質として下記一般式1の一つ以上の化合物、必要により、その互変異性体、エナンチオマー、エナンチオマーの混合物、ラセミ体又は溶媒和物の形であってもよい化合物、少なくとも一つの薬理的に許容され得る酸を含有し、必要により、更に薬理的に許容され得る賦形剤及び/又は錯化剤並びに溶媒として水、エタノール又は水とエタノールの混合物を含有してもよい医薬製剤
【化1】

(式中、R1及びR2は、同じでも異なってもよく、水素、ハロゲン、C1-4アルキルを示すか又は一緒になってC1-6アルキレンを示し;
R3は、水素、ハロゲン、OH、C1-4アルキル又はO-C1-4アルキルを示し;
X - は、モノ-又はポリ置換負電荷アニオンを示す)。
【請求項2】
式中、
R1及びR2が、同じでも異なってもよく、水素、フッ素、塩素、メチル、エチル、プロピル、ブチルを示すか又は一緒になって-CH2-CH2、-CH2-CH2-CH2、CH2-CH2-CH2-CH2又は-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-を示し;
R3が、水素、フッ素、塩素、OH、メチル、エチル、メトキシ、又はエトキシを示し;
X - が、モノ-又はポリ置換負電荷アニオンを示す、
式1の一つ以上の化合物、必要により、その互変異性体、互変異性体の混合物、水和物又は溶媒和物の形であってもよい化合物を含有することを特徴とする、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
式中、
R1及びR2が、同じでも異なってもよく、水素、メチル、エチル、プロピルを示すか又は一緒になって-CH2-CH2、-CH2-CH2-CH2、-CH2-CH2-CH2-CH2又は-CH2-CH2-CH2-CH2-CH2-を示し;
R3が、水素、フッ素、OH、メチル又はメトキシを示し;
X - が、塩素アニオン、臭素アニオン、硫酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、マレイン酸アニオン、酢酸アニオン、安息香酸アニオン、クエン酸アニオン、サリチル酸アニオン、トリフルオロ酢酸アニオン、フマル酸アニオン、酒石酸アニオン及びコハク酸アニオンより選ばれるモノ-又はポリ置換負電荷アニオンを示す、
式1の一つ以上の化合物、必要により、その互変異性体、互変異性体の混合物、水和物又は溶媒和物の形であってもよい化合物を含有することを特徴とする、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項4】
薬理的に許容され得る酸が、無機酸の塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸及びリン酸から又は有機酸のアスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸及びベンゼンスルホン酸より選ばれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項5】
pHが2.5〜6.5であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項6】
賦形剤として塩化ベンザルコニウムを含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項7】
塩化ベンザルコニウムの含量が、100mlの溶液当たり1〜50mgであることを特徴とする、請求項6に記載の医薬製剤。
【請求項8】
1'の含量が、100mlの溶液当たり約0.1〜1600mgであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項9】
成分として更に錯化剤を含有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項10】
錯化剤の含量が、100mlの溶液当たり1〜50mgであることを特徴とする、請求項9に記載の医薬製剤。
【請求項11】
溶媒として純粋な水を含有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項12】
溶媒として純粋なエタノールを含有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項13】
溶媒として水とエタノールの混合物を含有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項14】
溶媒として水とエタノールの混合物を含有し、ここで、エタノールの質量%の量が5〜99%のエタノールの範囲にあることを特徴とする、請求項13に記載の医薬製剤。
【請求項15】
成分として更に抗酸化剤を含有することを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項16】
成分として更にアスコルビン酸、没食子酸プロピル、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、BHT(ブチルヒドロキシトルエン)、TBHQ(tert-ブチルヒドロキシキノン)、ビタミンA、ビタミンE及びα-トコフェロールより選ばれる抗酸化剤を含有することを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項17】
唯一の活性物質として式1'の遊離塩基、必要により、その互変異性体、エナンチオマー、エナンチオマーの混合物、ラセミ体又は溶媒和物の形であってもよい化合物、少なくとも一つの薬理的に許容され得る酸を含有し、必要により、更に薬理的に許容され得る賦形剤及び/又は錯化剤並びに溶媒として水、エタノール又は水とエタノールの混合物を含有してもよい医薬製剤
【化2】

(式中、基R1、R2及びR3は、請求項1〜3のいずれか1項に示される意味を有する)。
【請求項18】
呼吸器疾患の治療用医薬組成物を調製するための請求項1〜17のいずれか1項に記載の医薬製剤の使用。
【請求項19】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の医薬製剤及びこの医薬製剤を噴霧するのに適した吸入器からなる吸入キット。
【請求項20】
吸入器がRespimat(登録商標)である、請求項19に記載の吸入キット。

【公表番号】特表2010−501523(P2010−501523A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525053(P2009−525053)
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058655
【国際公開番号】WO2008/023005
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】