説明

ペグ化可溶性腫瘍壊死因子受容体の改良組成物とその製造方法

【課題】TNFにより媒介される所定疾患及び病態(その多くは炎症性疾患として特徴付けることができる)の治療方法の提供。
【解決手段】少なくとも45mg/mlのPEGsTNF−R1と、NaCl以外の少なくとも1種の浸透張力調節剤と、界面活性剤と、および緩衝液とを含有しており、pH4.0から5.5であり、粘度が400cP未満である安定な医薬製剤。浸透張力調節剤がソルビトール及び/又はグリシンであり、緩衝液が酢酸塩である医薬製剤。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
炎症は機械的損傷、感染又は抗原刺激に起因するもの等の傷害に対する生体防御反応である。炎症反応は、炎症が自己抗原等の不適切な刺激により誘導されるか、又は過度に発現されるか、又は有害物質の除去後かなりの尾をひいている場合に、病的に発現し得る。このような炎症反応は所定サイトカインの産生を伴う。
【0002】
炎症の病因はよく分かっていないが、最近では炎症の分子側面に関してかなりの情報が得られている。この研究により炎症の媒介に主に関与すると考えられる所定サイトカインが同定された。サイトカインは細胞、特にサイトカイン合成及び放出の直近領域にある細胞の挙動を変化させる細胞外蛋白質である。腫瘍壊死因子(TNF)は単球やマクロファージを含む多数の細胞型により産生される類のサイトカインである。
【0003】
少なくとも2種のTNFが従来記載されており、具体的にはTNFアルファ(TNF−α)とTNFベータ(TNF−βないしリンホトキシン)であり、各々三量体分子として活性であり、受容体を架橋することにより細胞内シグナル伝達を開始すると考えられている;Engelmannら,J.Biol.Chem.,265:14497−14504(1990)。
【0004】
TNF−αとTNF−βが主要な炎症性サイトカインであることは数件の文献に記載されている。これらの公知TNFは感染や傷害等の種々の刺激に対する炎症応答に関与する多数の異なるターゲット細胞に重要な生理的効果がある。これら蛋白質は線維芽細胞と滑膜細胞の両者に休止状態のコラゲナーゼとプロスタグランジンEを分泌させ、骨細胞の骨吸収を促進する。これら蛋白質は好中球に対する内皮細胞の表面接着性を増加する。また、内皮細胞に凝血活性を分泌させ、その血栓溶解能を低下させる。更に、酵素リポ蛋白質リパーゼの発現を阻害することにより脂質蓄積から脂肪細胞の活性を再誘導する。TNFは更に、発熱物質として視床下部に作用する「急性期反応物質」として知られる類の蛋白質を肝細胞に合成させる;Selbyら,Lancet,1(8583):483(1988);Starnes,Jr.ら,J.Clin.Invest.,82:1321(1988);Oliffら,Cell,50:555(1987);及びWaageら,Lancet,1(8529):355(1987)。更に、リウマチ性関節炎を含む炎症の各種予測動物モデルの前臨床結果によると、TNFの阻害は疾病進行と重篤度に大きな影響があるらしい;Dayerら,European Cytokine Network,5(6):563−571(1994)及びFeldmannら,Annals Of The New York Academy Of Sciences,66:272−278(1995)。更に、TNFの阻害剤による最近のリウマチ性関節炎のヒト前臨床試験は有望な結果を示している;Rankinら,British Journal Of Rheumatology,3(4):4334−4342(1995);Elliottら,Lancet,344:1105−1110(1995);Takら,Arthritis and Rheumatism,39:1077−1081(1996);及びPaleologら,Arthritis and Rheumatism,39:1082−1091(1996)。
【0005】
TNFの蛋白質阻害剤は文献に開示されている。EP308378は発熱患者の尿に由来する蛋白質がTNF阻害活性をもつことを報告している。この蛋白質の効果は受容体のレベルの競合メカニズムに起因すると予想される。EP308378はそのN末端により特性決定するのに十分な純度の蛋白質を開示している。しかし、この文献はDNA配列又は組換え生産TNF阻害剤について何ら教示していない。
【0006】
組換え生産TNF阻害剤も文献に教示されている。例えば、EP393438とEP422339は成熟組換えヒト「30kDa TNF阻害剤」(p55受容体及びsTNFR−Iとしても知られる)及び成熟組換えヒト「40kDa阻害剤」(p75受容体及びsTNFR−IIとしても知られる)とその変形(例えばフラグメント、機能的誘導体及び変異体)のアミノ酸及び核酸配列を教示している。EP393438とEP422339はこれらの阻害剤のコーディングに関与する遺伝子を単離し、適切なベクター及び細胞型に遺伝子をクローニングし、阻害剤を産生するように遺伝子を発現させるための方法も開示している。成熟組換えヒト30kDa TNF阻害剤と成熟組換えヒト40kDa TNF阻害剤はTNFを阻害する能力をもつことが立証されている(EP393438、EP422339、PCT WO92/16221及びPCT WO95/34326)。
【0007】
sTNFR−IとsTNFR−IIは神経成長因子受容体(NGF)、B細胞抗原CD40、4−1BB、ラットT細胞抗原MRC OX40、Fas抗原、並びにCD27及びCD30抗原を含む神経成長因子/TNF受容体スーパーファミリーの受容体のメンバーである;Smithら,Science,248:1019−1023(1990)。この群の細胞表面受容体間で最も高度に保存されている特徴はシステインリッチ細胞外リガンド結合ドメインであり、約40アミノ酸の4個の反復モチーフに分割することができ、十分に保存された位置に4〜6個のシステイン残基を含む;Smithら,前出。
【0008】
EP393438は更に成熟蛋白質のカルボキシル末端から夫々51又は53アミノ酸残基を除去した全長組換え40kDa TNF阻害剤蛋白質の短縮形である40kDa TNF阻害剤・51と40kDa TNF阻害剤・53を教示している。従って、30kDa TNF阻害剤と40kDa阻害剤の各々の第4のドメインはTNF阻害に必要ないことが当業者に自明である。実際に、各種グループがこの解釈を実証している。30kDa及び40kDa TNF阻害剤のドメイン欠失誘導体が作製され、第4のドメインをもたない誘導体は完全なTNF結合活性を維持するが、夫々第1、第2又は第3のドメインをもたない誘導体はTNF結合活性を維持しない;Corcoranら,Eur.J.Biochem.,223:831−840(1994);Chih−Hsuehら,The Journal of Biological Chemistry,270(6):2874−2878(1995);及びScallonら,Cytokine,7(8):759−770(1995)。
【0009】
PCT WO US97/12244はsTNFR−I及びsTNFR−IIの機能的に活性な短縮形(「短縮形sTNFR」と言う)について記載している。短縮形sTNFRは第4のドメイン(sTNFR−Iのアミノ酸残基Thr127−Asn161とsTNFR−IIのアミノ酸残基Pro141−Thr179)と;第3のドメインの一部(sTNFR−Iのアミノ酸残基Asn111−Cys126とsTNFR−IIのアミノ酸残基Pro123−Lys140)を含まず;場合により、第1のドメインの一部(sTNFR−Iのアミノ酸残基Asp−Cys19とsTNFR−IIのアミノ酸残基Leu−Cys32)も含まないsTNFR−I及びsTNFR−IIの変形である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許第308378号
【特許文献2】欧州特許第393438号
【特許文献3】欧州特許第422339号
【特許文献4】国際公開第92/16221号
【特許文献5】国際公開第95/34326号
【特許文献6】PCT WO US97/12244
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Engelmannら,J.Biol.Chem.,265:14497−14504(1990)
【非特許文献2】Selbyら,Lancet,1(8583):483(1988)
【非特許文献3】Starnes,Jr.ら,J.Clin.Invest.,82:1321(1988)
【非特許文献4】Oliffら,Cell,50:555(1987)
【非特許文献5】Waageら,Lancet,1(8529):355(1987)
【非特許文献6】Dayerら,European Cytokine Network,5(6):563−571(1994)
【非特許文献7】Feldmannら,Annals Of The New York Academy Of Sciences,66:272−278(1995)
【非特許文献8】Rankinら,British Journal Of Rheumatology,3(4):4334−4342(1995)
【非特許文献9】Elliottら,Lancet,344:1105−1110(1995)
【非特許文献10】Takら,Arthritis and Rheumatism,39:1077−1081(1996)
【非特許文献11】Paleologら,Arthritis and Rheumatism,39:1082−1091(1996)
【非特許文献12】Smithら,Science,248:1019−1023(1990)
【非特許文献13】Corcoranら,Eur.J.Biochem.,223:831−840(1994)
【非特許文献14】Chih−Hsuehら,The Journal of Biological Chemistry,270(6):2874−2878(1995)
【非特許文献15】Scallonら,Cytokine,7(8):759−770(1995)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本明細書に記載するようなPEG−rmet−Hu−sTNF−R1(PEGsTNF−R1)はN末端を例えば30kDaポリエチレングリコール分子でペグ化されたsTNFR−I及びsTNFR−IIの機能的に活性な短縮形の組換え形である。PEGsTNF−R1を用いた本発明者らの予備試験によると、PEGsTNF−R1を濃縮するにつれて溶液の粘度は指数的に増加することが判明した。蛋白質を濃縮するために従来使用されている大規模方法はこのような粘性溶液を処理する場合には不十分であることが知られており、粘度の増加により最終製品のた損傷を伴わずに蛋白質を高濃度まで濃縮するのは困難であると思われる。必要な治療用量を送達するために高濃度(例えば>45mg/ml)の蛋白質を得ることが商業環境で必要になる場合があるので、治療用量の送達に必要な各種送達装置を使用できるように許容可能な低粘度(例えば<400cP)でこのような濃度が得られる製剤を開発することが必要である。例えば、市販自己注射器と事前充填シリンジを送達装置として使用してPEGsTNF−R1濃度が>45mg/mlのPEGsTNF−R1製剤の必要な治療用量を送達するためには、製剤を<400cPの粘度にする必要がある。この粘度を上回ると、装置又は容器が損傷する可能性が高い。本発明はより簡便で患者にやさしい送達装置を使用できるように、このような濃度と低粘度をもつPEGsTNF−R1製剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の要旨)
本発明の目的は少なくとも45mg/mlの濃度であり、蛋白質に明白な損傷がなく、低粘度(<400cP)で改善された安定性をもつ新規改良PEGsTNF−R1製剤を提供することである。
【0014】
商業環境に対応するように大規模化が可能な前記製剤の製造方法も提供する。
【0015】
(発明の詳細な説明)
ポリペプチドは本発明では約10アミノ酸を上回り、所望生物活性をもつ天然、合成、及び組換え蛋白質又はペプチドとして定義される。本発明で使用できると考えられる蛋白質としては限定されないが、インターフェロンコンセンサス(図面と共に参照して本明細書に組込む米国特許第5,372,808号、5,541,293号、4,897,471号、及び4,695,623号参照)、顆粒球−コロニー刺激因子(図面と共に参照して本明細書に組込む米国特許第4,810,643号、4,999,291号、5,581,476号、5,582,823号、及びPCT公開第94/17185号参照)、インターロイキン(図面と共に参照して本明細書に組込む米国特許第5,075,222号参照)、エリスロポエチン(図面と共に参照して本明細書に組込む米国特許第4,703,008号、5,441,868号、5,618,698号、5,547,933号、及び5,621,080号参照)、幹細胞因子(図面と共に参照して本明細書に組込むPCT公開第91/05795号、92/17505号、及び95/17206号参照)、オステオプロテグリン(図面と共に参照して本明細書に組込むPCT公開第97/23614号参照)、新規赤血球産生刺激因子(NESP)(図面と共に参照して本明細書に組込むPCT公開第94/09257号参照)、レプチン(OB蛋白質)(図面と共に参照して本明細書に組込むPCT公開第96/40912号、96/05309号、97/00128号、97/01010号、及び97/06816号参照)、巨核球増殖分化因子(図面と共に参照して本明細書に組込むPCT公開第95/26746号参照)、腫瘍壊死因子阻害剤、例えばsTNF−R1(図面と共に参照して本明細書に組込むPCT WO US97/12244参照)、インターロイキン−1受容体アンタゴニスト(IL−1ra)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)、ケラチノサイト増殖因子(KGF)及びトロンボポエチンが挙げられる。本明細書で使用する蛋白質なる用語はペプチド、ポリペプチド、コンセンサス分子、類似体、誘導体又はその組合せを含む。
【0016】
一般に、本発明で使用できると考えられるsTNFRはPCT WO US97/12244とその引用文献に記載されているものである。具体的には、sTNFRは同文献に記載されている短縮形sTNFRである。短縮形sTNFRは細菌、哺乳動物、又は昆虫細胞株で組換え技術により有利に生産することができ、蛋白質のグリコシル化形態でも非グルコシル化形態でもよい。あるいは、短縮形sTNFRは化学的に合成することもできる。現時点で好ましい生産方法はPCT WO US97/12244に記載されている。
【0017】
短縮形sTNFRは各々一般に他の蛋白性材料(即ち非短縮形sTNFR)を実質的に含まないように単離精製することができる。短縮形sTNFRは短縮形sTNFRの製造で使用される生産技術により存在する可能性のある他の蛋白質を約80%除去していることが好ましい。短縮形sTNFRは他の蛋白質を約90%除去しているとより好ましく、他の蛋白質を約95%除去していると特に好ましく、他の蛋白質を約>98%除去していると最も好ましい。現時点で好ましい単離精製方法はPCT WO US97/12244に記載されている。しかし、当然のことながら、投与前に所望蛋白質を他の活性成分、化学組成物及び/又は適切な医薬製剤材料と配合してもよい。
【0018】
本発明の1側面では、短縮形sTNFRを水溶性ポリマーに結合することにより短縮形sTNFRを誘導体化する。例えば、分子の見かけの分子量を増加することにより薬物動態性能を改善するように短縮形sTNFRを1個以上のポリエチレングリコール分子と結合させる。
【0019】
水溶性ポリマーは各々蛋白質と結合すると蛋白質が生理環境等の水性環境で沈殿しなくなるので望ましい。ポリマーは治療用製剤又は組成物の製造に医薬的に許容可能であることが好ましい。当業者はポリマー/蛋白質コンジュゲートを治療に使用するか否かと、治療に使用する場合には所望用量、循環時間及び蛋白分解耐性等の点を考慮して所望ポリマーを選択することができよう。
【0020】
適切な臨床的に許容可能な水溶性ポリマーとしては限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド、エチレングリコール/プロピレングリコールコポリマー、モノメトキシポリエチレングリコール、カルボキシメチセルセルロース、ポリアセタール、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキソラン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリ(β−アミノ酸)(ホモポリマー又はランダムコポリマー)、ポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー(PPG)及び他のポリアルキレンオキシド、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチレン化ポリオール(POG)(例えばグリセロース)及び他のポリオキシエチレン化ポリオール、ポリオキシエチレン化ソルビトール、又はポリオキシエチレン化グルコース、大腸酸又は他の炭水化物ポリマー、フィコール又はデキストラン並びにその混合物が挙げられる。
【0021】
本発明で使用するポリエチレングリコールはモノ−(C1−C10)アルコキシ又はアリールオキシポリエチレングリコールのように他の蛋白質を誘導体化するために使用されている形態の任意のものを意味する。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは水中で安定なため、製造に有利であると思われる。
【0022】
水溶性ポリマーは各々任意分子量とすることができ、分枝していてもいなくてもよい。水溶性ポリマーは各々一般に約2kDa〜約100kDaの平均分子量をもつ(「約」なる用語は水溶性ポリマーの製剤において多少の分子が指定分子量よりも多少大きくても小さくてもよいことを意味する)。各水溶性ポリマーの平均分子量は約5kDa〜約50kDが好ましく、約12kDa〜約40kDaがより好ましく、約20kDa〜約35kDaが最も好ましい。
【0023】
一般に、分子量が大きいか又は分枝度が高いほどポリマー:蛋白質比は大きくなる。所望治療プロフィルに応じて他のサイズ(例えば持続放出時間;生物活性に効果がある場合にはその効果;取り扱い易さ;抗原性の程度又は不在及び治療用蛋白質に及ぼす水溶性ポリマーの他の公知効果)も使用できる。
【0024】
水溶性ポリマーは各々蛋白質の機能的又は抗原ドメインに及ぼす効果を考慮して蛋白質に結合させなければならない。一般に、化学誘導体化は蛋白質を活性化ポリマー分子と反応させるために使用される適切な任意条件下で実施することができる。水溶性ポリマーを1種以上の蛋白質と結合させるために使用することができる活性化基としてはスルホン、マレイミド、スルフヒドリル、チオール、トリフラート、トレシラート、アジリジン、オキシラン及び5−ピリジルが挙げられる。
【0025】
水溶性ポリマーは各々一般にアミノ酸のα−もしくはε−アミノ基又は反応性チオール基で蛋白質と結合するが、適切な反応条件下で水溶性基と結合できるように十分に反応性の蛋白質の任意反応性基と水溶性基を結合できると考えられる。従って、水溶性ポリマーは遊離アミノ又はカルボキシル基等の反応性基を介して蛋白質と共有結合することができる。遊離アミノ基をもつアミノ酸残基としてはリジン残基とN末端アミノ酸残基が挙げられる。遊離カルボキシル基をもつアミノ酸残基としてはアスパラギン酸残基、グルタミン酸残基及びC末端アミノ酸残基が挙げられる。反応性チオール基をもつアミノ酸残基としてはシステイン残基が挙げられる。
【0026】
水溶性ポリマーと結合した蛋白質の製造方法は、各々一般に、(a)蛋白質が1種以上の水溶性ポリマーと結合するような条件下で蛋白質を水溶性ポリマーと反応させる段階と、および(b)反応生成物を得る段階とを含む。各結合の反応条件は当分野で公知であるか又は今後開発される任意のものから選択することができるが、修飾する蛋白質を不活化するような温度、溶媒及びpHレベル等の反応条件に暴露しないか又は暴露を制限するように選択する必要がある。一般に、反応に最適な反応条件は公知パラメーターと所望結果に基づいてケースバイケースで決定される。例えば、水溶性ポリマー:蛋白質コンジュゲートの比が大きいほど結合生成物の百分率は高くなる。(過剰な未反応蛋白質又はポリマーが存在しない反応効率の観点で)最適比は所望誘導体化度(例えばモノ、ジ、トリ等)、選択するポリマーの分子量、ポリマーが分枝しているか否か、及び使用する反応条件等の因子により決定することができる。蛋白質に対する水溶性ポリマー(例えばPEG)の比は一般に1:1〜100:1である。特に透析、塩析、限外濾過、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー及び電気泳動等の標準精製技術により各混合物から1種以上の精製コンジュゲートを製造することができる。
【0027】
ポリエチレングリコール分子を蛋白質に結合させるために種々のアプローチが使用されている(ペグ化)。例えば、Royer(米国特許第4,002,531号)はポリエチレングリコール分子を酵素に結合させるために還元アルキル化を使用したと記載している。Davisら(米国特許第4,179,337号)は例えば酵素とインスリンを含むPEG:蛋白質コンジュゲートを開示している。Shaw(米国特許第4,904,584号)は反応性アミン基を介してポリエチレングリコール分子を結合させるために蛋白質のリジン残基数の調節を開示している。Hakimiら(米国特許第5,834,594号)は例えば蛋白質IL−2、インターフェロンα、及びIL−1raを含む実質的に非免疫原性の水溶性PEG:proteinコンジュゲートを開示している。Hakimiらの方法は蛋白質の種々の遊離アミノ基をPEGに結合させるためにユニークなリンカーを使用している。Kinstlerら(米国特許第5,824,784号及び5,985,265号)はG−CSFとコンセンサスインターフェロンを含む選択的にN末端を化学修飾した蛋白質とその類似体の取得方法を教示している。重要な点として、これらの修飾蛋白質は蛋白質安定性に関する利点と、処理上の利点がある。
【0028】
本発明の好適方法はKinstlerら(米国特許第5,824,784号及び5,985,265号)に記載されているような選択的N末端化学修飾である。Kinstlerらにより教示されているように、蛋白質のリジン残基のε−アミノ基とN末端残基のα−アミノ基のpKa差を利用することができるpHで反応を実施することにより水溶性ポリマーを蛋白質のN末端に選択的に結合させることができる。このような選択的誘導体化により、水溶性ポリマーと蛋白質の結合は制御され、ポリマーとの結合は主に蛋白質のN末端で行われ、リジン側鎖アミノ基等の他の反応性基の有意修飾は生じない。還元アルキル化を使用する場合、水溶性ポリマーは上記型とすることができ、蛋白質と結合させるために単一反応性アルデヒドをもつべきである。単一反応性アルデヒドを含むポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドを使用することができる。
【0029】
このような選択的誘導体化により、(アルデヒド等の反応性基を含む)水溶性ポリマーと蛋白質の結合は制御され、ポリマーとの結合は主に蛋白質のN末端で行われ、リジン側鎖アミノ基等の他の反応性基の有意修飾は生じない。製剤は一般にモノポリマー/蛋白質コンジュゲートが90%を上回り、より一般にはモノポリマー/蛋白質コンジュゲートが95%を上回り、観測可能な分子の残余は未反応である(即ちポリマー部分をもたない蛋白質)。
【0030】
本発明の特定態様は配列番号1に示すアミノ酸配列をもつ短縮形sTNFRに還元アルキル化により結合した平均分子量約20kDaもしくは約33kDa(例えば30kDa〜35kDa)の非分枝モノメトキシポリエチレングリコールアルデヒド分子又は平均分子量約33kDa(例えば30kDa〜35kDa)の第3ブチルポリエチレングリコールアルデヒドである。
【0031】
ペグ化は具体的には反応性カルボニル、ニトリル又はスルホン基をもつ試薬と少なくとも1個の反応性ヒドロキシ基をもつ水溶性ポリマー(例えばポリエチレングリコール)を反応させてヒドロキシル基を反応性マイケルアクセプタに変換することにより実施することもでき、各種蛋白質を修飾するのに有用な「活性化リンカー」を形成し、生物学的に活性な改良コンジュゲートを提供する。「反応性カルボニル、ニトリル又はスルホン」とは2炭素基を結合したカルボニル、ニトリル又はスルホン基であって、カルボニル、ニトリル又はスルホン基に由来する第2の炭素上にチオール特異的結合の反応性部位をもつものを意味する(WO92/16221)。活性化リンカーは単官能性、二官能性又は多官能性のいずれでもよい。本方法で使用することができる反応性スルホン基をもつ有用な試薬としては限定されないが、クロロスルホン、ビニルスルホン及びジビニルスルホンが挙げられる。
【0032】
その開示内容を参照して本明細書に組込むPCT国際出願第US96/19459号は反応性ヒドロキシル基をもつ化合物を獲得し、テトラヒドロフラン(THF)を変換用溶媒として使用してヒドロキシル基を反応性マイケルアクセプタに変換して活性化リンカーを形成することによりスルホン活性化リンカーを作製する方法を教示している。サイズと末端基官能価に基づいてリンカーを分離するために疎水性相互作用クロマトグラフィーを使用する活性化リンカーの精製方法も記載されている。
【0033】
本発明の医薬組成物は一般に担体と混合した治療有効量の短縮形sTNFRの化学修飾誘導体を含む。担体の主溶媒は水性でも非水性でもよい。更に、他の医薬的に許容可能な添加剤を担体に加えてもよい。添加剤は本発明では所望効果(例えば安定化、等張性)を提供するために医薬組成物に添加される非治療物質として定義される。望ましい添加剤の一般属性は水溶性、非毒性、非反応性であり、体内から迅速に排出され、免疫原性をもたないことである。更に、添加剤は加工、保存及び患者への投与中に薬剤の効力と安全性を維持するように蛋白質の天然コンホメーションを安定化できなければならない。
【0034】
本発明の製剤は更に溶液のpHを所望範囲内に維持するために緩衝剤を添加することが考えられ、例えばアルカリ塩(リン酸ナトリウム又はリン酸カリウム又はその水素もしくは2水素塩)、クエン酸ナトリウム/クエン酸、酢酸ナトリウム/酢酸、及び当分野で公知の医薬的に許容可能な他の任意pH緩衝剤が挙げられる。これらの緩衝剤の混合物も使用することができる。組成物で有用な緩衝剤の量は使用する特定緩衝液と溶液のpHに主に依存する。例えば、酢酸塩はpH5のほうがpH6よりも有効な緩衝液であるので、pH6よりもpH5の溶液では酢酸塩の使用量を少なくすることができる。好適製剤の好適pHは4.0〜5.0の範囲であり、所望pHを得るために塩酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、又はその塩等のpH調節剤も添加することができる。
【0035】
本発明の製剤は更に注射のために溶液を患者の血液と等張にするように1種以上の浸透張力調節剤を添加することができる。典型的な浸透張力調節剤は当分野で周知であり、限定されないが、各種塩、アミノ酸又は多糖類が挙げられる。適切なアミノ酸の非限定的な例としてはグリシンが挙げられる。適切な多糖類の非限定的な例としては蔗糖、マンニトール及びソルビトールが挙げられる。当然のことながら、2種以上の浸透張力調節剤を同時に使用してもよく、例えば,製剤の浸透張力を調節するためにソルビトールとグリシンを併用することができる。
【0036】
更に他の酸化防止剤を本発明の製剤に添加してもよいと考えられる。本製剤の製造に使用できると考えられる酸化防止剤としてはグリシンやリジン等のアミノ酸、EDTAやDTPA等のキレート剤、及びソルビトールやマンニトール等のフリーラジカルスカベンジャーが挙げられる。
【0037】
腸管外遅延放出製剤、吸入ミスト、経口活性製剤、又は座剤等の他の有効な剤形も考えられる。従って、製剤は更にバルクエロージョンポリマー(例えばポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)コポリマー、PLGAポリマーブレンド、PEGと乳酸とグリコール酸のブロックコポリマー、ポリ(シアノアクリレート));表面エロージョンポリマー(例えばポリ(酸無水物)及びポリ(オルトエステル));ヒドロゲルエステル(例えばプルロニックポリオール、ポリ(ビニルアルコール)ポリ(ビニルピロリドン)、無水マレイン酸−アルキルビニルエーテルコポリマー、セルロース、ヒアルロン酸誘導体、アルギン酸塩、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、並びに澱粉及びデキストラン)及びその組成物系等のポリマー化合物の粒状製剤;又はリポソームもしくはミクロスフェアでもよい。このような製剤は本発明の蛋白質及び誘導体の物理的状態、安定性、インビボ放出速度、及びインビボ排出速度を変えることができる。所望蛋白質の最適医薬製剤は投与経路と所望用量に応じて当業者により決定される。典型的な医薬製剤はその開示内容を参照して本明細書に組込むRemington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.(1990),Mack Publishing Co.,Easton,PA 18042,1435−1712頁に開示されている。
【0038】
濾過は膜を使用してそのサイズ及び電荷差に基づいて液体又は懸濁液中の成分を分離する圧力分離法である。蛋白質を清澄化、濃縮及び精製するために一般に膜平行流濾過(TFF)装置操作が一般に使用されている。TFFでは、膜の表面に沿って平行に流体をポンプ輸送する。圧力を加えて流体の一部を膜の反対側の濾液側に移動させる。保持成分は膜の表面に蓄積せず、平行流により押し流される。TFFは更に分離される成分のサイズにより分類することができる。一般にミクロン値として与えられる膜細孔径等級はこの等級よりも大きい粒子が膜に保持されることを意味する。公称分画分子量(NMWL)はNMWLよりも分子量の大きい大半の溶解した高分子とNMWLよりも分子量の小さい一部の高分子が膜に保持される指標である。成分形状とその変形能及び溶液中の他の成分とのその相互作用はいずれもその保持に影響を与える。
【0039】
限外濾過(UF)は最も広く使用されているTFF形態の1つであり、緩衝液交換、脱塩、及び濃縮の目的で緩衝液成分から蛋白質を分離するために使用される。保持すべき蛋白質に応じて1kD〜1000kDの範囲の膜NMWLが使用される。限外濾過法の典型的段階シーケンスは、膜と系を洗浄する段階と、完全性と透過性を試験する段階と、プロセス緩衝液を平衡化する段階と、該当成分を含有するサンプルを濃縮する段階と、前記成分を系から取出す段階と、膜と系を洗浄する段階と、完全性と透過性を試験する段階と、保存する段階を含む。
【0040】
UF法のデザインにおける最重要因子としては製品収率、製品品質、プロセス時間、及びプロセス経済性が挙げられる。UF法における収率低下は一般に篩分、溶解度限界、膜吸着、及び回収不能な容量損によると考えられる。膜間差圧、クロスフロー流速、及び膜面積等の数種の主要プロセスパラメーターを最適化する必要があるが、蛋白質濃度もTFF段階の開発における制限因子の1つである。分極の結果としてTFF装置内に高濃度領域が存在する可能性があるので、高蛋白質濃度が溶解度限界を越えて膜表面の汚染作用を増す恐れがある。所定ペグ化蛋白質の濃度に伴うかなり高い粘度(例えば>500cP)はクロスフロー流速の維持と熱導入の最小化の点でプロセス問題を生じる。本発明は改良製剤と温度効果を利用することにより45mg/mlを上回る濃度までPEGsTNF−R1を濃縮するための改良限外濾過法を提供する。
【0041】
凍結乾燥法は文献に非常に詳細に記載されている。凍結乾燥は凍結とその後の減圧昇華により製品の水分を低下させる方法である。凍結乾燥法は主に3段階から構成される。第1段階では製品を凍結し、乾燥に適した凍結マトリックスを作製する。この段階は後続する2段階における乾燥特徴に影響を与える。第2段階は一次乾燥である。一次乾燥は製品温度を望ましい低レベルに維持しながら製品の環境の圧力を(一般に約50〜500μm Hgまで)下げて氷を昇華により除去する。方法の第3段階は二次乾燥と呼ばれ、残留水分が目標レベル未満に達するまで結合水を除去する。
【0042】
凍結乾燥は(a)蛋白質をその安定剤で非晶質相に維持し、(b)蛋白質を製剤のガラス転移温度(Tg’)未満でガラス相に固定化し、(c)残留水分を望ましい低レベルまで下げることにより製品安定性を改善する。蛋白質をその安定剤で非晶質相に維持することにより、蛋白質を保護することができる。乾燥した蛋白質をそのガラス転移温度未満に維持することにより、全実用時間規模で蛋白質固定を最小限にし、従って分解を防止することができる。残留水分量を減らすことにより、水に触媒される全分解を最小限にすることができる。
【0043】
凍結乾燥機はフィルドバイアルを凍結乾燥のためにセットするシェルフを備えるチャンバーと、製品の昇華水蒸気を氷として捕獲するための冷却器と、温度制御を容易にする冷却システムと、チャンバー圧を大気圧以下の値まで低下させることが可能な真空ポンプから構成される。チャンバー圧はチャンバーの前に不活性乾燥ブレンドガス(例えば窒素)を制御下に導入することによりその設定点に維持される。殆どの場合には、チャンバーはメインバルブにより冷却器から分離される。製品をステンレス鋼シェルフにセットし、シェルフ内を循環する熱伝達流体(シリコーン油)によりシェルフの温度を制御する。熱伝達流体の温度は冷却システムにより制御される。
【0044】
凍結段階はシェルフを所望凍結温度まで冷却し、温度を一定に維持して平衡化させることにより開始される。冷却したシェルフにより製品を所望温度まで凍結させる。凍結後、チャンバー圧(キャパシタンスマノメーターにより測定)を凍結温度で氷の飽和蒸気圧未満まで下げる。こうして一次乾燥を開始する。周囲圧はこの温度で飽和蒸気圧よりも低いので、凍結製品の一部は即座に昇華する(氷の蒸気圧とチャンバー圧の差が昇華推進力を提供する)。昇華により圧力が平衡化する。しかし、チャンバー圧は(この温度で)氷の飽和蒸気圧未満に常に維持されるので、昇華は持続する。昇華蒸気は冷却器に氷としてトラップされる。一般に、冷却器コイル又はプレートは乾燥工程中に約−50℃〜−70℃に維持される。全バルク水が昇華により除去されると、一次乾燥は完了する。この時点で製品にはまだ多少の結合水が残留しているが、二次乾燥中に高温脱着により除去することができる。従って、一般にはこの段階でシェルフ温度を上げ、所望残留水分に達するまで維持する。この時点で二次乾燥は完了し、チャンバー内でバイアルを圧栓する。バイアルを取出す前にチャンバーを曝気する。以上の記載は一般論であり、多少の装置デザイン変更が可能である。
【0045】
凍結乾燥法の目的は許容可能な外観、生物学的効力、再構成し易さ、及び長期保存安定性を備える凍結乾燥蛋白質を達成することである。細心に設計された凍結乾燥サイクルは強力で時間とエネルギーの消費が少なく、製品品質を維持するものである。製剤関連因子とサイクル関連因子の両者によりこの目的を達成することができる。
【0046】
凍結乾燥製品では、製剤と凍結乾燥法が複雑な相互関係をもつ。上述のように、製品安定性を維持するためには、製品温度を乾燥及び保存中にそのガラス転移温度(Tg’)未満にする必要がある。従って、Tg’の高い製剤のほうがTg’の低い製剤よりも高温で乾燥することができ、その後の凍結乾燥時間が短くなる。製剤のTg’は製剤中の全非晶質成分のTg’値のほぼ質量平均に相当するので、製剤の高Tg’成分の重量分率を上げるか及び/又は低Tg’成分の重量分率を下げることにより製剤のTg’を上げることができる。当然のことながら、そのTg’値に関係なく、選択した添加剤が蛋白質を予想される分解から保護することが必要である。
【0047】
本明細書に記載する方法に凍結乾燥添加剤を添加することが必要な場合がある。1種以上の添加剤を添加することができる。本発明で使用できると考えられる凍結乾燥添加剤としては蔗糖、乳糖、マンニトール、デキストラン、蔗糖、ヘパリン、グリシン、ブドウ糖、グルタミン酸、ゼラチン、ソルビトール、ヒスチジン、デキストロース、トレハロース、メトセル、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルスターチ、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルピロリドン)及びポリビニルアルコール、又はその種々の組合せと、当業者に一般に使用されている他の緩衝液、蛋白質安定剤、凍結防止剤、及び低温保存剤が挙げられる。本発明はPEGsTNF−R1を>45mg/mlまで濃縮するための改良凍結乾燥及び再構成方法を提供する。
【0048】
本発明の組成物の治療用途は使用する生物活性剤により異なる。当業者は所望生物活性剤をその所期治療用途に合わせて本発明に容易に適応させることができよう。このような活性剤の治療用途は図面と共に参照して本明細書に組込む以下の公報に詳細に記載されている。治療用途としては限定されないが、コンセンサスインターフェロン(図面と共に参照して本明細書に組込む米国特許第5,372,808号、5,541,293号参照)、インターロイキン(図面と共に参照して本明細書に組込む米国特許第5,075,222号参照)、エリスロポエチン(図面と共に参照して本明細書に組込む米国特許第4,703,008号、5,441,868号、5,618,698号、5,547,933号、5,621,080号、5,756,349号、及び5,955,422号参照)、顆粒球−コロニー刺激因子(図面と共に参照して本明細書に組込む米国特許第4,999,291号、5,581,476号、5,582,823号、4,810,643号、及びPCT公開第94/17185号参照)、巨核球増殖分化因子(PCT公開第95/26746号参照)、幹細胞刺激因子(図面と共に参照して本明細書に組込むPCT公開第91/05795号、92/17505号及び95/17206号参照)、OB蛋白質(図面と共に参照して本明細書に組込むPCT公開第96/40912号、96/05309号、97/00128号、97/01010号及び97/06816号参照)、及び新規赤血球産生刺激因子(図面と共に参照して本明細書に組込むPCT公開第94/09257号参照)等の蛋白質での使用が挙げられる。更に、本発明は生物活性剤により治療しようとする状態の治療又は改善に用いる1種以上の医薬の製造にも使用することができる。
【0049】
特にPEGsTNFR1に関して、本発明はTNFにより媒介される所定疾患及び病態(その多くは炎症性疾患として特徴付けることができる)の治療方法を提供する。疾患又は病態は自然又は実験疾患が疾患の病巣に隣接する体液もしくは組織内の高レベルTNF又は体内の徴候と関連付けられる場合に「TNF媒介疾患」であるとみなす。TNF媒介疾患は、1)疾患に関連する病的所見をTNFの投与により動物で実験的に模倣することができ、(2)疾患の実験動物モデルで誘導される病状がTNFの作用を阻害する物質で治療することにより抑制又は排除することができるという2条件により認めることもできる。多くのTNF媒介疾患はこれらの3条件の2つを満足し、その他は全3条件を満足する。TNF媒介疾患の非限定的な例と関連後遺症及び症状としては、成人呼吸窮迫症候群;悪液質/拒食症;癌(例えば白血病);慢性疲労症候群;鬱血性心不全;移植片対宿主拒否反応;痛覚過敏;炎症性腸疾患;神経炎症性疾患;脳虚血(各々神経変性の原因となり得る外傷、癲癇、出血又は発作の結果としての脳損傷)を含む虚血性/再潅流傷害;糖尿病(例えば若年性1型糖尿病);多発性硬化症;眼病;疼痛;膵炎;肺線維症;リウマチ性疾患(例えばリウマチ性関節炎、骨関節炎、若年性(リウマチ性)関節炎、血清反応陰性多発性関節炎、強直性脊髄炎、ライター症候群及び反応性関節炎、乾癬性関節炎、腸疾患性関節炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、強皮症、全身性硬化症、血管炎、脳血管炎、シェーグレン症候群、リウマチ熱、多発性軟骨炎及びリウマチ性多発性筋痛及び巨細胞性動脈炎);敗血性ショック;放射線療法の副作用;全身性紅斑性狼瘡;一過性顎関節疾患;甲状腺炎及び組織移植が挙げられる。具体的に、TNF媒介疾患(例えばTNF−α及び/又はTNF−βにより媒介される疾患)は治療有効量の短縮形sTNFR又はその誘導体を患者に投与することにより治療することができる。
【0050】
PEGsTNF−R1製剤はリウマチ性疾患(例えばライム病、若年性(リウマチ性)関節炎、骨関節炎、乾癬性関節炎、リウマチ性関節炎及びブドウ球菌に誘発される(「敗血性」)関節炎)を含む上記のようなTNF媒介疾患の治療に治療有効量を患者に投与することができる。「患者」なる用語は動物(例えばネコ、イヌ及びウマ)とヒトを含むものとする。
【0051】
PEGsTNF−R1製剤は局所、腸管内又は腸管外投与により投与することができ、限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、鞘内、関節包内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、皮内、関節内、被膜下、クモ膜下、脊髄内、心室内及び胸骨内注射及び輸液が挙げられる。短縮形sTNFR製剤は経口投与することもできるし、粘膜を介して、即ち鼻腔内、舌下、口腔又は直腸から全身送達用に投与することもできる。
【0052】
PEGsTNF−R1製剤は関節内、皮下、筋肉内又は静脈内注射により投与することが好ましい。更に、PEGsTNFR1製剤は投与時間にわたって血液中に所望レベルのPEGsTNFR1製剤を持続的に提供するように持続輸液(例えば持続又は間欠移植又は外部輸液流量調節装置)により投与することができる。これは例えば浸透圧ミニポンプ等のミニポンプを介して持続輸液により実施することが好ましい。これらの方法では、確実に薬剤量を所望レベルに維持することができ、血液サンプルを採取して血流中の薬剤量をモニターすることができる。各種ポンプがMiniMed Inc,Sylmar,CA(例えばMT507)及びAlza Corp.,Palo Alto,CA(例えばAlzet浸透圧ポンプ、モデル2MLI)等の製造業者から市販されている。
【0053】
PEGsTNF−R1は自己注射器型装置を使用して投与することができる。これらの装置は一般に事前充填シリンジ又は事前充填カートリッジを装置と併用する。装置を注射部位に固定し、注射針を皮膚に挿入し、装置とシリンジの構造に応じて約5〜30秒間薬剤を注射する。市販の装置とシリンジを使用する場合には、妥当な時間、即ち<30秒、より好ましくは<15秒以内に注射するように粘度を<400cPにする必要がある。市場販売業者としてはScandinavian Health Ltd.Far Eastern World Center,11th Floor−8,#77,Hsin Tai Wu Rood,Sec.1,Hsih Chih,Taipei,台湾,R.O.C.とOwen Mumford Ltd.Brook Hill,Woodstock,Oxford OX201TU,英国が挙げられる。
【0054】
他の持続又は準持続投与方式を実施することも考えられる。例えば、化学誘導体化の結果として、所定投与レジメンに基づく予測可能な量の蛋白質を血流中に持続的に存在させる効果のある持続放出形態が得られる。
【0055】
関節の炎症状態(例えば骨関節炎、乾癬性関節炎及びリウマチ性関節炎)を含むTNF媒介疾患の治療におけるPEGsTNF−R1製剤の使用方法はその教示内容を参照して本明細書に組込むヨーロッパ特許出願第567566号に記載されている。限定されないが、例えば1特定態様では、PEGsTNFR1製剤をリウマチ性関節炎と骨関節炎の治療に関節内投与することができる。限定されないが、例えば別の特定態様では、PEGsTNFR1製剤をリウマチ性関節炎、炎症性腸疾患、悪液質/拒食症又は多発性硬化症の治療に皮下又は筋肉内投与することができる。限定されないが、例えば更に別の特定態様では、PEGsTNFR1製剤を外傷、癲癇、出血又は発作の結果としての脳損傷の治療に静脈内投与することができ;あるいは外傷の結果としての脳損傷の治療に心室内投与することができる。関節炎の好適治療方法としては、(1)必要に応じて関節炎の突発を予防又は治癒するために周期的なPEGsTNF−R1製剤の単回関節内注射と、(2)PEGsTNFR1製剤の周期的皮下注射とが挙げられる。敗血性ショックの治療は敗血症又は敗血症の可能性があると診断後にできるだけ早く開始すべきである。例えば、外科手術又は事故又は敗血性ショックを発症する危険のある他の任意イベントの直後に治療を開始することができる。成人呼吸窮迫症候群の好適治療方法としては、(1)PEGsTNF−R1製剤の単回又は複数回の気管内投与と、(2)PEGsTNF−R1製剤のボーラス又は持続静脈内輸液とが挙げられる。投与方法に関係なく、TNF媒介疾患の治療には疾患の症状を軽減又は緩和するために有効なPEGsTNF−R1の用量又は全体用量レジメンが必要である。適当な用量を決定するのに考慮すべき他の因子としては治療又は予防すべき疾患又は状態、疾患の重篤度、投与経路、並びに患者の年齢、性別及び病状が挙げられる。適当な治療用量を決定するために必要な計算を更に正確に行うには、特に本明細書に開示する用量情報とアッセイを参考に当業者により常法通りに実施される。用量は適当な用量−応答データと公知用量決定アッセイを併用することにより決定することもできる。特定用量は患者の概算体重又は体表面積に従って計算される。
【0056】
投与頻度は使用する製剤におけるPEGsTNF−R1の薬物動態パラメーターによって異なる。PEGsTNF−R1は単回投与してもよいし、重度長期疾患の場合には低頻度で毎日投与してもよいし、初期ボーラス投与後に持続投与又は持続送達してもよい。腸管外投与する場合には、腸管外単位用量を例えば各々10mgまで、一般には15mgまで、より一般には20mgまでとすることができる。関節腔に投与する場合には、例えば等張リン酸緩衝食塩水に溶かした用量約5mg/ml〜10mg/mlの短縮形sTNFRを充填した例えば3〜10mlシリンジから医薬組成物を単回注射として投与することが好ましい。製剤は例えば7〜10日おきに1回の頻度で関節腔に投与することができる。このように、必要に応じて用量を変えながら例えば4〜5回連続的に投与する。
【0057】
場合により、治療する症状に適した他の医薬製剤と共に他の治療の助剤としてPEGsTNF−R1製剤を投与してもよい。PEGsTNF−R1製剤と1種以上の慣用又は新規抗炎症薬のいずれかを別々又は組合せて投与することができる。
【0058】
リウマチ性疾患(例えばライム病、若年性(リウマチ性)関節炎、骨関節炎、乾癬性関節炎、リウマチ性関節炎及びブドウ球菌に誘発される(「敗血性」)関節炎)等の急性及び慢性炎症を含む上記に定義したようなTNF媒介疾患の現行治療としては、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)として分類される一次選択の疼痛及び炎症抑制薬が挙げられる。二次治療薬としてはコルチコステロイド、遅効性抗リウマチ薬(SAARD)又は疾患緩和(DM)薬が挙げられる。考えられる他のTNF媒介疾患はPCT WO US97/12244に記載されている疾患である。
【0059】
本発明で使用できると考えられる好適PEGsTNF−R1製剤は限定されないが、酢酸塩、ヒスチジン又はリン酸塩等の1種以上の緩衝剤;限定されないが、蔗糖、ソルビトール、マンニトール、又はグリシン等の浸透張力調節剤;限定されないが、メチオニン、EDTA、又はアスコルビン酸塩等の酸化防止剤;限定されないが、ベンジルアルコール又はフェノール等の抗微生物剤;限定されないが、ポリソルベート20又はポリソルベート80等の界面活性剤を含有する。
【0060】
ソルビトールが浸透張力調節剤である場合には、0〜5.48%、より好ましくは1%〜5.48%、より好ましくは1.5%〜5.48%、より好ましくは2%〜5.48%、更に好ましくは2.56%〜5.48%とすることが考えられる。グリシンか浸透張力調節剤である場合には、0〜2.19%、より好ましくは1%〜2.19%、より好ましくは1.25%〜2.19%、更に好ましくは1.5%〜2.19%とすることが考えられる。1特定態様では、製剤はpH4〜5の酢酸緩衝液と2.56%ソルビトールを含有する。上記百分率は重量/容量に基づくものとする。
【0061】
以下、実施例により本発明を更に例証するが、これらの実施例により本発明の範囲を制限するものではない。PEGsTNFR1製剤の溶液粘度を低下させるための付加方法としては、特定アミノ酸の部位特異的突然変異誘発と、sTNFR1アミノ酸配列のコーディング領域内に含まれるアミノ酸配列の除去が挙げられる。
【実施例1】
【0062】
本実施例は45cP及び336cPのPEGsTNF−R1を1mlシリンジに充填し、市販自己注射器を用いて注射する実験について記載する。これらの試験の結果を下表(表1)に示す。336cP溶液を送達するように標準自己注射器を改造した。
【0063】
【表1】

【0064】
データから明らかなように、自己注射器は26Gシリンジで低粘度溶液を15秒未満以内に送達できるが、高粘度材料で同等の注射を実施するには有意に大きい針が必要であった。注射の痛みを少なくするには小さい針(26又は27G)のほうが大きい針(23G)よりも好ましい。これは十分高濃度で十分低粘度のPEGsTNF−R1製剤を開発することの重要性を示している。
【実施例2】
【0065】
本実施例はPEGsTNF−R1の各種濃縮サンプルを調製した後に濃縮サンプルで粘度を測定する実験について記載する。
【0066】
本実験のサンプルは10mM酢酸ナトリウム中で指定pHにて室温透析濾過により調製した。透析濾過に使用した膜はカセット形態であり、膜型は公称分子量カットオフ値5kD及び10kDの再生セルロースとした。出発材料は供給口から流入し、緩衝液交換生成物は保持液口から排出される。濾液を濾液口から除去した。プロセス中に膜間差圧、クロスフロー流速、及び濾液流速をモニターし、制御した。蛋白質の濃縮後、140mM塩化ナトリウム(NaCl)、5.48%ソルビトール、又は2.19%グリシンを添加し、粘度を測定した。
【0067】
粘度はブルックフィールド粘度計(Brookfield Instruments,米国)を使用して測定した。循環水浴を使用してシステムを16℃の定温に保った。システムの平衡化後に粘度測定値を記録した。この分析の結果を表2に示す。
【0068】
【表2】

【0069】
本実施例から明らかなように、pH、蛋白質濃度及び付加添加剤はいずれも最終粘度に影響を与え、ソルビトール及び/又はグリシンを製剤添加剤として使用して55mg/mlまでの濃度と粘度<400cPをもつ製剤を得ることができる。
【実施例3】
【0070】
本実施例は各種pH、蛋白質濃度、及び凍結乾燥法を使用してPEGsTNF−R1のサンプルを凍結乾燥した実験について記載する。その後、凍結乾燥サンプルを濃度>50mg/mlまで再構成し、粘度を測定した。
【0071】
凍結乾燥用の25mg/mlのPEGsTNF−R1は次のように調製した。PEGsTNF−R1を水に緩衝液交換し、アミコン撹拌式セル装置を使用して濃縮し、10倍濃縮緩衝液で10mMヒスチジン,pH4.0又は5.5、1%(w/v)蔗糖、2%(w/v)グリシン及び0.01%ポリソルベート20中25mg/mlまで希釈した。
【0072】
凍結乾燥用の60mg/mlのPEGsTNF−R1は次のように調製した。PEGsTNF−R1を水に緩衝液交換し、アミコン撹拌式セル装置を使用して濃縮し、10倍濃縮緩衝液で10mMヒスチジン,pH4.0又は5.5、1.0%(w/v)蔗糖、2%(w/v)グリシン及び0.01%ポリソルベート20中25mg/mlまで希釈した。
【0073】
次に、下記材料と方法の欄に記載するような低温法又は高温法を使用してサンプルを凍結乾燥した。凍結乾燥後に5mMヒスチジン,pH4.0又は5.5、0.5%(w/v)蔗糖、1%(w/v)グリシン及び0.005%ポリソルベート20の添加剤濃度で所望蛋白質濃度までサンプルを水で再構成した。ハーケ落球式微量粘度計(Haake Instruments,ドイツ)を使用して粘度を測定した。循環水浴を使用してシステムを26℃の定温に保った。システムの平衡化後に粘度測定値を記録した。この分析の結果を表3に示す。
【0074】
【表3】

【0075】
本実施例からも明らかなように、pH、蛋白質濃度及び付加添加剤はいずれも最終粘度に影響を与え、各種限外濾過/凍結乾燥法を使用して少なくとも57mg/mlの濃度と粘度<400cPをもつ製剤を得ることができる。
【実施例4】
【0076】
本実施例は各種添加剤を添加した各種濃度のPEGsTNFR1の安定性を試験した実験について記載する。
【0077】
安定性試験用の濃度15mg/mlのPEGsTNFR1サンプルは上記平行流システムを使用して蛋白質を脱イオン水に緩衝液交換することにより調製した。次に添加剤(例えばヒスチジン、酢酸塩)をストック溶液からその最終濃度及びpHまで添加した。次にサンプルを滅菌濾過し、1mlアリコートを3ccガラスバイアルに充填し、指定温度で保温した。
【0078】
安定性試験用の濃度>45mg/mlのPEGsTNFR1サンプルは10mM酢酸塩に緩衝液交換した。濃縮後のpHは4.9であった。添加剤をストック溶液から指定濃度まで添加した。次にサンプルを滅菌濾過し、1mlアリコートを3ccガラスバイアルに充填し、指定温度で保温した。
【0079】
高性能サイズ排除クロマトグラフィーによりPEGsTNFR1の安定性を測定した。10mM酢酸ナトリウム,pH5.0,0.5M塩化ナトリウム,10%エタノール(v/v)を含有する緩衝液でTosoHaas TSKGSW3000xL(7.8×300mm)サイズ排除カラムを平衡化した。流速0.5ml/分を使用して蛋白質を溶離した。この分析の結果を表4に示す。
【0080】
【表4】

【0081】
データから明らかなように、pH、温度、蛋白質濃度及び添加剤の選択はいずれも安定性に影響を与える因子であり、濃度>45mg/mlの安定な製剤を製造することができる。
【0082】
材料と方法
全薬品はACSグレード以上とした。
【0083】
本発明で使用したsTNFRは参照して本明細書に組込む上記PCT WO US97/12244に従って製造した。
【0084】
本発明で使用したPEGsTNFR1製剤はKinstlerら(米国特許第5,824,784号及び5,985,265号)により記載されているような選択的N末端化学修飾を使用して製造した。
【0085】
PEGsTNF−R1の低温凍結乾燥は次のように実施した。4℃に平衡化したシェルフにバイアルをセットした。シェルフ温度を36℃/時の冷却速度で−50℃まで下げた。−50℃に2時間維持した後、シェルフ温度を35℃/時の加熱速度で−15℃まで上げ、2時間30分維持した。次にサンプルを−23℃/時の冷却速度で−50℃に戻した。チャンバーを80mTorrまで排気することにより一次乾燥を開始し、−50℃に更に30分間維持した。シェルフ温度を12.5℃/時の加熱速度で−25℃まで上げた後、−25℃に17時間維持した。5.5℃/時の速度で加熱してシェルフ温度を30℃まで上げることにより二次乾燥を開始した。30℃で12時間後に二次乾燥を完了した。
【0086】
PEGsTNF−R1の高温凍結乾燥は次のように実施した。4℃に平衡化したシェルフにバイアルをセットした。シェルフ温度を15℃/時の冷却速度で−40℃まで下げた。−40℃に2時間維持した後、シェルフ温度を10℃/時の加熱速度で−15℃まで上げ、2時間維持した。チャンバーを80mTorrまで排気することにより一次乾燥を開始した。シェルフ温度を−15℃に1時間維持した後、10℃/時の加熱速度で10℃まで上げた。一次乾燥を30時間10℃で継続した。シェルフ温度を10℃/時の加熱速度で30℃まで上げることにより二次乾燥を継続した。30℃で14時間後に二次乾燥を完了した。
【0087】
以上、本発明の好適実施方法を含むことが確認又は提示された特定態様について本発明を記載した。当業者に自明の通り、本明細書の開示に鑑み、本発明の所期範囲から逸脱することなく特定例示態様に多数の変形及び変更を加えることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも45mg/mlのPEGsTNF−R1と、NaCl以外の少なくとも1種の浸透張力調節剤と、界面活性剤と、および緩衝液とを含有しており、pH4.0から5.5であり、粘度が400cP未満である安定な医薬製剤。
【請求項2】
浸透張力調節剤がソルビトール及び/又はグリシンである請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
ソルビトールが0から5.48%(w/v)である請求項2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
ソルビトールが2.56%から5.48%(w/v)である請求項3に記載の医薬製剤。
【請求項5】
ソルビトールが5.48%(w/v)である請求項3に記載の医薬製剤。
【請求項6】
グリシンが0から2.19%(w/v)である請求項2に記載の医薬製剤。
【請求項7】
グリシンが1%から2.19%(w/v)である請求項6に記載の医薬製剤。
【請求項8】
グリシンが2.19%(w/v)である請求項6に記載の医薬製剤。
【請求項9】
グリシンが1.10%(w/v)であり、ソルビトールが2.74%(w/v)である請求項2に記載の医薬製剤。
【請求項10】
緩衝液が酢酸塩である請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項11】
pHが5.0である請求項10に記載の医薬製剤。
【請求項12】
粘度が200cP未満である請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項13】
PEGsTNF−R1が55mg/mlてある請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の医薬製剤を含む事前充填シリンジ。
【請求項15】
少なくとも45mg/mlのPEGsTNF−R1と、NaCl以外の少なくとも1種の浸透張力調節剤と、および緩衝液とを含有する安定な医薬製剤を保持する容器を含む製品であって、前記医薬製剤がpH4.0から5.5であり、粘度が400cP未満である前記製品。
【請求項16】
a)少なくとも45mg/mlのPEGsTNF−R1と、NaCl以外の少なくとも1種の浸透張力調節剤と、および緩衝液とを混合する段階と、および
b)pHをpH4.0から5.5に調整する段階とを含む請求項1から15のいずれか一項に記載の安定な医薬製剤の製造方法であって、前記医薬製剤が400cP未満の粘度をもつ、前記方法。

【公開番号】特開2011−137005(P2011−137005A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−14985(P2011−14985)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【分割の表示】特願2004−515828(P2004−515828)の分割
【原出願日】平成15年6月12日(2003.6.12)
【出願人】(500049716)アムジエン・インコーポレーテツド (242)
【Fターム(参考)】