説明

ペットのヘリコバクター種治療用ペットフード組成物

【課題】ペットのヘリコバクター細菌による感染疾患を予防する。
【解決手段】ペットのGHLO感染に関連する疾患の予防または治療用に意図された組成物の製造のために、乳酸菌の少なくとも1つの菌株および/またはその代謝産物あるいはインビトロで強力な抗ヘリコバクター菌活性を示す能力について単離選択された少なくとも1つの乳酸菌により発酵された培地、の使用およびそれらを含有するペットフード組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はペットのヘリコバクター様細菌による感染に関係する疾患の予防または治療に意図されたペットフード組成物を製造するために乳酸菌の単離菌株を使用することに関する。本発明はまたそれから調製したペットフード組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
[発明の背景]
ヒトでは、病原菌のヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)に感染されると、胃炎の原因になったり、また潰瘍性疾病や胃癌になることは公知である。この治療方法は無数にある。乳酸菌がインビトロやインビボでヘリコバクター・ピロリを阻害し得ることはEP577903号明細書(ネスレ)に開示した。
【0003】
犬やネコのような飼いならされた肉食動物は胃内のヘリコバクターの他の種により事実上すべて感染されている。そのほとんどはインビトロで培養できないが、形態的にはH.ヘイルマニに似ている。H.フェリスもネコの胃粘膜から単離されたが、最近2つの新しいヘリコバクター種、即ちH.ビゾゼロニとH.サロモニスが犬から単離された。しかし、これらのヘリコバクター種は形態的分析だけでは識別できないので、胃内ヘリコバクター様生物(“Gastric Helicobacter like organisms”、GHLO)として分類されている。
【0004】
GHLOはペットの洞部(antrum)および/またはコーパス(corpus)にコロニーを形成するが、H.ピロリのコロニーは主にコーパスで形成される。コロニーを形成するGHLO生物は胃基底腺に深く住み、非侵襲性細菌として知られるH.ピロリと比較して、時に、胃壁細胞小管内に、および小窩や胃粘膜で見られる(ダン等、1997、「Hpは表面上皮細胞に接着性の粘膜に見られ、陰窩内にしばしば深く発見される」)。
【0005】
ネコや犬の胃がヘリコバクター種により汚染されることは、胃炎が軽度から中程度に発展する重大な危険因子と考えられる。観察される炎症は、H.ピロリに感染されたヒトに起きるものより通常は酷くない。胃潰瘍、リンパ腫および癌のようなさらに酷い病変が観察され得るが、GHLOの病原性は少しも明かにされていない。
【0006】
それにもかかわらず、ネコや犬のGHLOによる感染を低レベルにコントロールすることは多くの獣医により有益なものと認識されている。このものは医薬の治療を必要とする病気とは十分には認識されていないので、ネコや犬のGHLO感染を最小にしうる活性成分を含有するペットフード製品が一般には必要とされる。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明は乳酸菌の少なくとも1つの株および/またはその代謝産物またはインビトロで強力な抗ヘリコバクター細菌活性を示す能力について単離され選択された少なくとも1つの乳酸菌により発酵された培地を、ペットのGHLO感染に関連する疾患の予防治療用に意図された組成物の製造のために使用することに関する。
【0008】
望ましい態様において、単離された株により産生された代謝産物または該乳酸菌により発酵された培地、あるいは乳酸菌の単離された株により発酵された培養培地のサブフラクションが使用される。
【0009】
乳酸菌株はラクトバチルス・ジョンソニ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuterii)、ラクトバチルス・パラカゼイラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・アニマリス(Lactobacillus animalis)、ラクトバチルス・ルミニス(Lactobacillus ruminis)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rahmnosus)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)種、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)からなる群から選択される。
【0010】
望ましい態様において、乳酸菌株はラクトバチルス・ジョンソニ(Lactobacillus johnsonii) NCC533(CNCM I−1225)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum) NCC2581(CNCM I−2448)、ラクトバチルス・ファーメンタム NCC2592(CNCM I−2450)、ラクトバチルス・ファーメンタム NCC2613(CNCM I−2452)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei) NCC2461(CNCM I−2116)、ラクトバチルス・アニマリス(Lactobacillus animalis) NCC2603(CNCM I−2451)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rahmnosus) NCC2583(CNCM I−2449)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus) NCC2628(CNCM I−2453)、ビフィドバクテリウム種 NCC2627、ビフィドバクテリウム種 NCC2657、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)(ATCC27536)からなる群から選択される。
【0011】
別の目的は、ペットのGHLO感染に関係する疾患の治療または予防方法に関し、乳酸菌の少なくとも1つの株および/またはその代謝産物あるいはインビトロで強力な抗ヘリコバクター細菌活性を示す能力について単離され選択された少なくとも1つの乳酸菌により発酵された培地を含有する組成物をペットに投与することを含む。
【0012】
別の目的は、乳酸菌の少なくとも1つの単離株および/またはその代謝産物あるいは上記特徴を有する少なくとも1つの乳酸菌により発酵させた培地を、摂取可能な支持体または医薬用マトリックスとともに含有するペットフード組成物を供することである。
【0013】
このペットフード組成物はネコや犬のGHLO感染を減少させることができ、GHLOロードとウレアーゼ活性は基底部で少なくとも0.5評点および洞部で少なくとも0.5評点減少する。
【0014】
慢性胃炎におよぼす当該組成物の効果は、薄い部位のバイオプシの細胞検査により評価した。これは胃の炎症の評点で少なくとも0.5(0から3までの評点)の平均的後退で、慢性の基底部胃炎の後退を誘導しうる。
【0015】
他の態様では、このペットフード組成物はGHLOによる感染レベルと相関関係にある呼吸臭を有意に減少することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[発明の詳細な記載]
次の記載において、「GHLO」とは「胃内ヘリコバクター様生物」を意味する。ペットの胃粘膜にコロニーを形成することが分かっているヘリコバクター・フェリス(Helicobacter felis)、H.ヘイルマニ(H. heilmannii)、H.ビゾゼロニ(H. bizzozeroni)、およびH.サロモニス(H. salomonis)のようなヘリコバクター種はこの規定に分類される。
【0017】
さらに、ペットの胃腸管に直接影響するすべての疾患や、例えば、悪い口臭症状のような2次的疾患も、「GHLO疾患」に含める。
【0018】
また、「NCC」はネスレのカルチャーコレクション(ネスレ・リサーチ・センター、スイス、ローザンヌ)を意味する。
【0019】
本発明の最初の目的について、少なくとも1つの乳酸菌株および/またはその代謝産物あるいはインビトロで強力なヘリコバクター細菌活性を示しうる乳酸菌の少なくとも1つの株により発酵された培地を、ペットのGHLO感染に関係する疾患の予防や治療を意図した組成物の製造に使うことに関する。
【0020】
これらの菌株はその技術的および生理学的パラメータ、特にその良好な生育特性、少なくとも5×10菌/ml、望ましくは10から1010菌/ml、更に望ましくは10から1010菌/mlおよびインビトロで強力な抗ヘリコバクター細菌活性を示す能力について、多くの乳酸菌株から選択された。
【0021】
望ましい態様において、当該乳酸菌株はラクトバチルス・ジョンソニ、ラクトバチルス・ロイテリ、ラクトバチルス・パラカゼイ、ラクトバチルス・アニマリス、ラクトバチルス・ルミニス、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ラムノサス、ラクトバチルス・ファーメンタム、ビフィドバクテリウム種、ビフィドバクテリウム・ラクティス、ビフィドバクテリウム・アニマリスからなる群から選択することができる。
【0022】
該乳酸菌株はラクトバチルス・ジョンソニ NCC533(CNCM I− 1225)、ラクトバチルス・ファーメンタム NCC2581(CNCM I−2448)、ラクトバチルス・ファーメンタム NCC2592(CNCM I−2450),ラクトバチルス・ファーメンタム NCC2613(CNCM I−2452),ラクトバチルス・パラカゼイ NCC2461(CNCM I−2116)、ラクトバチルス・アニマリス NCC2603(CNCM I−2451),ラクトバチルス・ラムノサス NCC2583(CNCM I−2449),ラクトバチルス・アシドフィルス NCC2628(CNCM I−2453)、ビフィドバクテリウム種 NCC2627、ビフィドバクテリウム種 NCC2657、ビフィドバクテリウム・ラクティス(ATCC27536)からなる群から選択するのがよい。
【0023】
本発明により選択した各種菌株のうち、つぎの株はブダペスト条約により、国立微生物カルチャーコレクション(フランス、パリ、パスツール研)(CNCM)に、ラクトバチルス・ジョンソニ(NCC533)については92年6月30日にCNCM I−1225として、ラクトバチルス・パラカゼイ(NCC2461)については99年1月12日にCNCM I−2116としておよびラクトバチルス・ファーメンタム NCC2581,NCC2592,NCC2613、ラクトバチルス・アニマリス NCC2603,ラクトバチルス・ラムノサス NCC2583、ラクトバチルス・アシドフィルス NCC2628については00年4月19日にそれぞれ(CNCM I−2448)、(CNCM I−2450)、(CNCM I−2452)、(CNCM I−2451)、(CNCM I−2449)、(CNCM I−2453)として寄託された。ビフィドバクテリウム・ラクティス(ATCC27536)の菌株はハンセンより受けた(ハンセンA/S、デンマーク、DK−2970ホースホルム)。
【0024】
<選択菌株の生化学的特性>
[ラクトバチルス・ジョンソニ CNCM I−1225]
・グラム陽性菌、非運動性、胞子なし・かなり短く、太いカン菌・ホモ発酵代謝をもつ微好気性菌、L(+)およびD(−)乳酸を産生・カタラーゼ(−)、COの産生(−)、アルギニンの加水分解(−)
・糖類の発酵:アミグダリン(+)、アラビノース(−)、セロビオース(+)、エスクリン(+)、フラクトース(+)、ガラクトース(−)、グルコース(+)、ラクトース(+)、マルトース(+/−)、マンニトール(−)、マンノース(+)、メリビオース(−)、ラフィノース(+)、リボース(−)、サリシン(+)、シュクロース(+)、トレハロース(+)。
【0025】
[ラクトバチルス・パラカゼイ CNCM I−2116]
・グラム陽性・カタラーゼ陰性・アルギニン由来NH形成陰性・CO産生陰性・L(+)乳酸産生・約0.4%までの濃度で胆汁塩の存在下で生育
【0026】
乳酸菌の単離株および/またはその発酵された培養培地はペットの健康を改善するため、特にペットのGHLO感染に関連する疾患の予防または治療のために意図された組成物の製造に使用することができる。
【0027】
これらのものは悪い呼吸臭のようなGHLO感染に関連する他の疾患にも使用できる。事実、ネコや犬の胃内にGHLOが存在すると、尿素から多量のアンモニアが生成されるので呼吸臭に明らかに影響を及ぼす。このアンモニアはゲップをした後に呼吸に現れる。悪臭は、スルフィド揮発性化合物の産生により胃内のGHLOの存在にも関係する。該単離株により産生された代謝産物は悪い呼吸臭を減じかつペットの呼吸を新鮮にすることが望ましい。
【0028】
乳酸菌の単離株により発酵された培養培地のサブフラクションも使用できる。本発明の乳酸菌株は生存可能な形または不活化された形で使用できる。
【0029】
望ましい態様において、乳酸菌菌株はその発酵生育培地の存在下で使用される。この培地は単独でまたは食品と一緒に例えば滅菌し、押出しまたは噴霧乾燥、冷蔵または貯蔵安定にすることができる。
【0030】
乳酸菌またはその対応する発酵培地を、ペットに利用できる量が約10−1014cfu/日に相当するように使用できる。この量は動物の体重に左右され、犬では約10−1012cfu/日、ネコでは10−1011cfu/日が望ましい。
【0031】
他の態様では、本発明はペットのGHLO感染に関係する疾患の治療または予防方法であって、乳酸菌の少なくとも1つの株および/または上記特徴を有する少なくとも1つの乳酸菌により発酵される培地を含有する組成物をペットに投与するものである。ペットに利用可能な量は約10−1014cfu/日に相当し、犬では約10−1012cfu/日、ネコでは10−1011cfu/日が望ましい。
【0032】
本発明の第2の主目的は乳酸菌の少なくとも単離された株および/またはその代謝産物あるいは発酵生育培地を含有するペットフード組成物に関し、該乳酸菌は上記の特徴を有し、組成物は摂取可能な支持体または医薬用マトリックスをともに含む。
【0033】
当該株および/またはその発酵培地はインビトロで強力な抗ヘリコバクター細菌活性を示す能力について動物の消費に適する1つ以上の乳酸菌から選択することができる。
【0034】
上記の特徴を有する少なくとも1つの菌株および/またはその発酵培地はペットの通常の食事の補給として、あるいは栄養的に完全なペットフードの成分としてペットに投与することができる。
【0035】
本発明にかかる栄養的に完全なペットフード組成物は粉末でも、乾燥状またはウェット状、冷蔵または貯蔵安定なペットフード製品でもよい。
ペット用の食事補給でもあるいは医薬組成物でもよい。
【0036】
栄養的に完全なペットフードは任意の適当な形でよく、例えば乾燥形、半ウェット形およびウェット形でよい。これらのペットフードは常法通り製造することができる。菌株および/またはその発酵培地の他に、これらのペットフードは1種以上の澱粉源、タンパク質源および脂質源を含有してもよい。
【0037】
適当な澱粉源は例えば、コーン、コメ、小麦、大麦、オート、大豆およびそれらの混合物のような穀類やマメ科植物である。
適当なタンパク質源は肉、肉粉、家禽粉、魚粉、濃縮大豆タンパク質、乳タンパク質、グルテンなどの適当な動物又は植物タンパク質源から選択できる。老齢の動物には、高品質のタンパク質を含むタンパク質源が望ましい。
適当な脂質源には肉、動物脂肪および植物脂肪がある。
【0038】
澱粉、タンパク質及び脂質源の選択は、動物の栄養要求度、食性の問題、および製造製品の種類により主に決定される。老齢のペット用には、ペットフードは、若令のペット用のペットフードよりも比例的に脂肪含量が少ないのがよい。さらに、澱粉源は1種以上のコメ、大麦、小麦およびコーンを含んでもよい。
【0039】
さらには、各種他の成分、例えば糖、塩、スパイス、調味料、ビタミン、フレーバ付与剤、脂肪などを必要に応じてペットフードに加えることもできる。
【0040】
乾燥ペットフードでは、押出し加熱方法が適しているが、焙焼その他の適当な方法も使用できる。押出し加熱する場合は、乾燥ペットフードは粗挽き粉(kibble)の形で通常供される。プレビオティックを使用する場合には、加工する前に、プレビオティックを乾燥ペットフードの他の成分と混和してもよい。適当な方法はEP0850569号明細書に記載される。プロビオティック微生物を使用する場合には、該微生物を乾燥ペットフードに被覆するかまたは一緒に加えるのがベストである。適当な方法はEP0862863号明細書に記載される。
【0041】
ウェットなペットフードでは、米国特許第4,781,939号明細書および5,132,137号明細書に記載の方法を使用して、肉に似た製品を得ることができる。チャンク型の製品を製造する他の方法、例えば、スチームオーブン加熱も使用可能である。別法としては、適当な肉材料を乳化して肉すり身を調製し、適当なゲル化剤を加え、そして缶やその他の容器に充填する前に該すり身を加熱してローフ型の製品を製造することもできる。
【0042】
ペットフード中のプレビオティックの量は約20重量%、特に約10重量%がよい。例えば、プレビオティックはペットフードの約0.1%から約5重量%を含む。プレビオティックとしてチコリを使用するペットフードでは、チコリは飼料混合物の約0.5%から約10重量%、望ましくは約1%から約5重量%を含むのがよい。
【0043】
プロビオティック微生物を使用する場合には、ペットフードはプロビオティック微生物をペットフードのgあたり約10〜約1010細胞含有するのがよく、より好ましくはペットフードのgあたり約10〜約10細胞を含有する。ペットフードは約0.5%〜約20重量%のプロビオティック微生物の混合物を含み、好ましくは約1%〜約6重量%、例えば約3%〜約6重量%を含む。
【0044】
ペットフードには他の活性成分例えば、長鎖脂肪酸を含んでもよい。適当な長鎖脂肪酸にはα−リノール酸、γ−リノール酸、リノール酸、エイコサペンタエン酸およびドコサヘキサン酸がある。魚油はエイコサペンタエン酸およびドコサヘキサン酸の適当なソースである。ルリチシャ油、黒スグリ種油およびマツヨイグサ油はγ−リノール酸の適当なソースである。サフラワー油、ヒマワリ油、コーン油および大豆油はリノール酸の適当なソースである。
【0045】
必要なら、ペットフードにミネラルやビタミンを補給して、栄養的に完全にすることができる。
さらに、必要なら、菌株を例えば糖マトリックス、脂肪マトリックスあるいは多糖類マトリックス中にカプセル化できる。
【0046】
有益な効果を得るためにペットに消費されるペットフードの量はペットの大きさ、ペットの種類およびペットの年齢により異なる。しかしながら、約10〜1014cfuの少なくとも1つの乳酸菌株および/またはその対応する発酵培地の日常量を供するペットフードの量が通常適している。犬では約10〜1012cfu/日、ネコでは10〜1011cfu/日を投与するのが好ましい。
【0047】
本発明の組成物は特にペットのGHLOに関連する感染の予防又は治療を意図するもので、特に、例えば、ペットの胃腸管あるいは下部腸の感染の予防又は治療を意図するものである。これは例えば、ペットの健康な消化機能を維持しかつ例えば、GHLOのような病原株による再感染を予防することも意図している。したがって、この組成物はGHLOの侵入に対する抗生物学的治療のアジュバントとしても使用できる。
【0048】
本発明組成物のGHLOに及ぼす影響はバイオプシ部位(例2参照)の組織検査により評価した。部位あたりGHLOの数が細菌ゼロの場合、評点は「0」で、細菌が5未満の場合は、評点「1」、5から20の場合、評点は「2」、20以上の場合は、評点は「3」である。このペットフード組成物は犬ネコのGHLO感染を減少させることができ、基底部中のGHLOロード(load)とウレアーゼ活性は少なくとも0.5の評点減ぜられ、かつ洞部では少なくとも0.5の評点減ぜられた。
【0049】
慢性胃炎の本組成物の効果はまたバイオプシ薄層部位の細胞検査により評価した。慢性胃炎の組織学的分類はつぎの通りである。
・評点0:表面繊維形成、0好中球、0−10リンパ球およびプラズマ細胞、凝集体なし、正常上皮細胞、
・軽度の慢性胃炎−評点1:慢性表面胃炎、10−15表面間隙性組織を含むリンパ球またはプラズマ細胞、凝集体<2、正常な上皮細胞、
・中度の慢性胃炎−評点2:慢性間隙性胃炎、10−50またはそれ以上の粘膜が全体に厚いリンパ球またはプラズマ細胞、凝集体>3、正常上皮細胞、
・重篤な慢性胃炎−評点3:萎縮性胃炎、10−50またはそれ以上リンパ球またはプラズマ細胞、凝集体>3、腺性上皮細胞変化
【0050】
この組成物は胃の炎症の評点で少なくとも0.5の平均的後退で、慢性基底部胃炎の後退を導くことができる。
【0051】
この組成物は呼吸臭を有意に減少させることもわかった。したがって、ペットの悪い呼吸臭のようなGHLO感染に関係する2次的疾患を治療または予防するものである。
さらに、本発明の組成物は犬の寿命を改善することもできる。
【0052】
次の例は説明を目的とするものであり、本願の主題を限定するものではない。すべての百分率は特に断らない限り、重量により表す。
【実施例】
【0053】
<例1 菌株の選択>
本発明の菌株を選択するために、増殖可能なGHLO(10菌)はDMEM中該菌株の生育上澄(BS)の連続希釈物の存在下で5%COのもと37℃で1−2時間培養することができる。培養後、GHLO−BS混合物を12,000gで3分間遠心分離し、ついでペレットを1mlの0.9%NaClで洗い、急速ウレアーゼテスト(Jatrox登録商標−H.p.テスト、Procter&Gamble Pharmaceuticals GmbH,Weiterstadt,ドイツ)500μlに再懸濁させる。ウレアーゼ活性に比例する比色変化は、550nmの光学密度の比色分析によって測定される。
菌の生存可能性は、10%の馬の血清(イノテック)、および1%のIsovitale X(Baltimore Biological Laboratories,Baltimore, MD)を補給した血清プレート(GC寒天、Gibco BRL、ペイズリー、スコットランド)上にGHLOの連続希釈物を平板培養してLSによる培養前後に評価し、そしてコロニ−形成単位(CFU)をカウントする。
【0054】
<例2>
犬のヘリコバクター種感染に及ぼすラクトバチルスの発酵培地による補給効果を実験する。
【0055】
[材料と方法]
<動物>
フランス、リヨンの獣医学校の倫理委員会はこの研究を認証した。GHLOを自然に胃内感染させた9匹の雄のビーグル犬をこの研究に使った。動物は体重10−14kg、年齢3−4歳の範囲である。犬を各犬舎に収容し、衛生と飼育条件を同一にした(リヨンの獣医学校)。犬舎は毎日清掃し、消毒した。
犬は規則的に午前8時に給餌し、実験中飲料水にはコンスタントに接近させた。全実験中、特定の飼料(VITALITY登録商標、フリスキー社、フランス)を与えた。
【0056】
<実験デザイン>
処理前の、GHLOの胃内感染は、GHLOの同定(組織細菌学)、胃内ウレアーゼ活性(Jatrox登録商標試験)および胃の基底部および/または洞部バイオプシの慢性胃炎(組織病理学)の存在を評価して9匹のビーグル犬で確認した。GHLO感染のすべての犬は13日間処理に供した。これらの試験プラス13C−尿素呼吸試験によるGHLOの胃内感染の検出は3度(処理前〔D〕、処理終了時〔D13〕および処理終了後30日〔D43〕)繰返した。
【0057】
<処理>
処理は、13日の期間中L.ジョンソニ NCC533により発酵させた酸性乳標品を毎日消費させるものである。この酸性乳標品は特定の飼料(240g「VITALITY/犬」)を与える前に完全に食べさせる必要があった。
【0058】
<評価試験>
・[臨床試験]:全実験中、犬は該獣医学校の二人の獣医師により観察した。臨床知見は報告書の形で記録した。
【0059】
・[胃のバイオプシ]:麻酔下(ケタミン、IMALGENE登録商標、5mg/kg−IM(静注))、胃の内視鏡検査を行った。犬は24時間断食させた。内視鏡はビデオガストロスコープ、オリンパス登録商標GIFK/XV10で行った。各評価の日に、12個のバイオプシを胃の基底部と洞部から取った。GHLOのウレアーゼ活性を測定するために、2つの基底部および洞部バイオプシを直ぐに使用した。4つの基底部と洞部バイオプシは組織細菌学および組織病理学のために使用する前に「ブーイン(bouin)」溶液に保持させた。
【0060】
・[GHLOの同定(組織細菌学)]:GHLOの同定は、バイオプシ部位の組織検査により行った。組織部位はギームサ型染色液で染色し、顕微鏡(×1000)で評価した。GHLOの半定量的評価は胃内の局在と細胞外のコンタミの深さを考慮して行う。部位当たりのGHLOの数が無菌の場合、評点「0」、5未満の場合、評点「1」、5〜20の場合、評点「2」、および20を越える場合、評点「3」である。各基底部および洞部バイオプシについては、2つの部位を試験し、評価し、結果は2つの評価の平均値であった(エム・ディー・ウィラード、16頭のドイツシェパード犬の天然に増殖する小腸のバクテリア過剰繁殖の特徴、J.A.m.Vet.Med.Assoc.,1994,204,1201−1206)。
【0061】
・[胃内ウレアーゼ活性](Jatrox登録商標−H.P.テスト、Procter&Gamble、ドイツ):本試験の原理は、試験媒体の尿素をGHLOに存在するウレアーゼにより分解させる。尿素の分解に関係するpH値の上昇は、指示薬(フェノールレッド)が黄色からピンク/赤に変色することにより分かる。バイオプシは試料採取後直ぐに試験した。指示薬にバイオプシを加えた後、Jatrox登録商標試験はUV検出器で比色計により180分間で読んだ。比色計は対照650nmで550nmにセットした。基底部および洞部バイオプシのウレアーゼ活性は2つの光学的測定の平均であった。
【0062】
・[13C−尿素呼吸試験]:UBT試験は内視鏡検査のため麻酔した後、2時間で行った。したがって、麻酔はUBTの結果に影響を及ぼさなかった。UBTは麻酔せずに断食犬に行った。最初に、犬には試験食を食べさせ、それは、毎日の摂取量の半分、即ち120gVITALITY登録商標/犬である。2回目で、犬に7.5mgの13C−尿素/犬(マス・トレース、ウォバーン、米国)を経口投与した。試験食の前(TB)ついで13C−尿素の投与から40分後(T40)に、13CO尿素ブリ−ズアウト試料を得た。その後、犬に毎日の食事量の半分を与えた。13CO尿素ブリーズアウト試料をガスアイソトープ比質量分析計(フィニガンMAT、ドイツ、ブレーメン)で分析した。研究室間の結果を標準化するために、13C‐対照の国際標準(ビエナ・ピー・ディー・ベルムナイト即ちVPDS)のアナログを使用した。13COの原子比過剰はベースラインの試料(試験食および13C投与前〔TB〕の試料)と40分後〔T40〕に得た試料×1000(44,45)間の原子率13COの差(デルタ値、δ)として規定した。結果は過剰δ13CO(δ‰)として表した。
【0063】
・[組織病理学(細胞学)]:cytroBT試験により行った組織病理学はバイオプシ薄層部位を細胞検査して行った。インプレッション部位をヘマトキシリン−フォロキシン−サフロン(HPS)で染色し、顕微鏡で観察した。胃バイオプシの組織的診断の基準は、400倍で見た3つの領域の平均および200倍の試料中の数であるリンパ球集合体の量である各細胞型の数に依存する。慢性胃炎の組織学的分類はつぎの通りである。
・評点0:表面繊維形成、0好中球、0−10リンパ球とプラズマ細胞、集合体なし、正常上皮細胞
・軽度の慢性胃炎−評点1:表面慢性胃炎、10−15表面間隙性組織を含むリンパ球またはプラズマ細胞、集合体<2、正常上皮細胞
・中度な慢性胃炎−評点2:間隙性慢性胃炎、10−50リンパ球または粘膜の全厚さを含むプラズマ細胞、集合体>3、正常上皮細胞
・重篤な慢性胃炎−評点3:萎縮性胃炎、10−50それ以上のリンパ球またはプラズマ細胞、集合体>3、腺性上皮細胞変化(萎縮)
(Ref.(参照):ピー・レコインダー、エム・シュバリエ、アール・ジラードおよびエフ・ダウリン、犬の小腸のバクテリアの異常発育および炎症性腸病。スピラマイシン−メトロニダゾール併用の医療効果の評価、Revue Med.Vet.1998,149,843−852)。
【0064】
<統計的分析>
診断試験の各結果は、別々のバイオプシから2つの測定値の平均である。結果分布の正常性または異常性はウィルク−シャピロ法により試験した。
処理および処理後の効果は、ウィルコキソンのランク付け試験(WSRT)および/または対t−試験を使って評価した。すべての統計的計算はソフトウェアプログラム(Statistix登録商標、エクセル マイクロソフト登録商標)で行った。P‐値<0.05は有意とみなされた。
【0065】
<結果>
胃内GHLOロードの運動性:結果は表1および2に示す。
【0066】
【表1】

【0067】
【表2】

【0068】
処理(〔D〕から〔D14〕)段階の終わりに、GHLOの中央値細菌ロードは有意に基底部(P=0.0143)で「3」から「1」の評点に、かつ洞部(P=0.0360)では「2」から「1」に低下した。
処理開始と研究(〔D〕から〔D43〕)の終了の間で、GHLOによる中央値細菌ロードは基底部バイオプシ(P<0.0360)で「3」から「2」の評点に有意に減少した。洞部バイオプシでは、有意な差はなかった。
【0069】
<胃内ウレアーゼ活性(Jatrox登録商標試験)>:結果は表3および4に示す。
【表3】

【0070】
【表4】

【0071】
処理(〔D〕から〔D14〕)段階の終わりで、ウレアーゼ活性の平均は基底部(P=0.0155)で35%、および洞部(P=0.0197)で93%有意に減少した。
【0072】
処理(〔D14〕から〔D43〕)の終了29日後に、平均ウレアーゼ活性は基底部バイオプシ(P=0.0381)で35%有意に減少したが、処理の開始時より依然として低かった。洞部のウレアーゼ活性は修正されず、ゼロのままだった。
【0073】
<全般のウレアーゼ活性(13C−尿素呼吸試験))>:
結果は表5に示す。
【0074】
【表5】

【0075】
処理(〔D〕から〔D14〕)の開始と終了の間で、35%の13CO−ブリーズアウトの中央値13C−エンリッチメントは有意に減少した(P=0.049)。
処理終了後の29日間(〔D14〕から〔D43〕)終了時に、13CO−ブリーズアウトの13C−エンリッチメントは有意には変わらなかった。
【0076】
<慢性胃炎(13C−尿素呼吸試験)>:
結果は表6および7に示す。
【表6】

【0077】
【表7】

【0078】
処理(〔インクルージョン〕から〔D14〕)の段階の終わりに、慢性胃炎の中央値は基底部(P=0.0143)で「1」から「0」の評点に有意に低下した。この減少は、研究の終了まで維持された。中央値評点の有意な修正は洞部バイオプシに示されなかった。
【0079】
<結論>
【表8】

【0080】
慢性胃炎の胃内GHLO感染の犬では、L.ジョンソニ NCC533により発酵させた酸性乳標品を消費することにより、つぎの結果を得ることができた。
即ち、
・基底部および洞部で、処理中、GHLOロードおよびウレアーゼ活性の有意な減少ならびに慢性胃炎の後退、
・基底部では、処理終了後に維持された慢性胃炎の有意な後退、
・副作用なし。
【0081】
<例3:各種ラクトバチルス菌株の培養上澄に存在する抗ヘリコバクター性>
単離株:NCC 533、NCC 2583およびNCC 2628のラクトバチルス菌の生育培養上澄のインビトロ抗−GHLO性をウレアーゼ活性の阻害により評価した。
【0082】
H.ビゾゼロニおよびH.サロモニスはコロンビア寒天−5%ヒツジ血液で生育した。H.フェリスは3g/L酵母エキスと10%ヒツジ血液を含有するブレーンハートインフュージョン(BHI)で生育した。すべてのヘリコバクター種は微好気性雰囲気(85%N/10%CO/5%O)にて37℃48時間維持された。2.5g/L酵母エキスを補給したBHIブロスに集菌した。菌数は600nmの光学密度(1OD600=10菌/ml)を測定して評価した。
【0083】
適当な培地中の純粋のまたは予備希釈した培養上澄は、最終的にDMEM培地に1:2に希釈した。pHを4.2に調整した後、試料を0.2μMで濾過して滅菌した。1×10H.ピロリの均等物を、異なる試料500μlを含有する試験管に加え、さらに該管を細胞培養器(5%CO)にて37℃で1時間維持させた。遠心分離により集菌した。菌ペレットを0.9%NaClで一度洗いそして250μlのウレアーゼ試験試薬(Jatrox登録商標−H.p.テスト、Procter&Gamble Pharmaceutical)に再懸濁させた。更に37℃で1時間培養した後、ウレアーゼ活性に比例する、比色定量変化を550nmの光学密度(OD)の比色計で測定した。
【0084】
<発酵上澄標品>
NCC 2583およびNCC2628のネスレ・カルチャー・コレクションから得たラクトバチルスをMRS−パスツール培地で生育させた。E.フェシウム SF68およびS.ブーラジ SB20はそれぞれHJL培地とYPF培地に生育させた。37℃で48時間後、菌をペレット化し、発酵上澄を回収し、そして更に使うまで−20℃で凍結保存した。
【0085】
<結果>
E.フェシウム SF68(Bioferment)とS.ブーラジSB20(Levucell)のラクトバチルス株、NCC 2583およびNCC 2628のストックを適当な培地にて平行して生育させた。各種発酵上澄を、ウレアーゼ試験を使って、H.ベゾゼロニ、H.サロミニスおよびH.フェリスに対する阻害能力について試験した。アッセイではNCC 533生育培養上澄をポジティブコントロールとして使用し、培地単独をネガティブコントロールとして使用した。
【0086】
表8は2つの別々の実験結果を示す。<L.アシドフィルスNCC 2628>の発酵上澄は、H.ビゾゼロニ、H.サロミニスおよびH.フェリスのウレアーゼ活性を全体的に阻害した。<L.ラムノサス NCC 2583>の発酵上澄はH.ビゾゼロニとH.サロモニスのウレアーゼ活性を部分的に阻害したが、H.フェリスのウレアーゼ活性は阻害しなかった。
【0087】
任意のヘリコバクター種は<L.ジョンソニ NCC 533>培養上澄との培養により、それらのウレアーゼ活性は完全に阻害された。3つのヘリコバクター種とE.フェシウムSF 68の生育培養上澄、S.ブーラジ SB20の生育培養上澄とを培養した場合、ウレアーゼ活性の阻害は観察されなかった。
【0088】
【表9】


3つのラクトバチルス、E.フェシウム、S.ブーラジはそれらの適当な培地で48時間培養した。発酵培養上澄の1/2希釈を2×107菌/mlとともに培養した。1時間培養後、H.ビゾゼロニ、H.フェリスおよびH.サロモニスのウレアーゼ活性を比色計により評価した。完全阻害 OD550nm=0; 阻害なし OD550nm≧0.5。
【0089】
<例4 乾燥ドッグフード>
飼料混合物は約58重量%のコーン、約5.5重量%のコーングルテン、約22重量%のチキンミール、2.5重量%の乾燥チコリ、ラクトバチルス・ジョンソニ NCC 533(CNCM−I 1225)およびラクトバチルス・パラカゼイ(CNCM−I 2116)の株による、犬用の対応する量が約10−1012cfu/日となっている発酵乳、および残りは塩、ビタミンおよびミネラルから構成される。
【0090】
飼料混合物を予備コンディショナーに入れ、加湿する。ついでこの加湿飼料をエクストルーダ加熱機に供給し、ゼラチン化する。エクストルーダにのこるゼラチン化マトリックスをダイに通し、押出す。押出し物を犬に供するのに適当な断片に切断し、約110℃で約20分間乾燥し、冷却してペレットを得る。
【0091】
この乾燥ドッグフードはペットの健康を改善し、特にペットのGHLO感染に関連する疾患を予防することができる。
【0092】
<例5>
20匹の雄のビーグル犬を使って試験を行った。この犬はGHLOで自然に胃内感染させた。最初に、すべての犬に、GHLOの撲滅に古典的な治療として、2つの異なる抗生物質(スピラマイシン(Spiramycine)とメトロニダゾール(Metronidazole))とオメプラゾール(Omeprazole)のような抗分泌剤とを含む抗生物質を、1週間与えた。
【0093】
処理7日後、半分の犬はGHLO陰性であり、即ち、ヘリコバクター菌は組織細菌学的にも検出されず、胃内ウレアーゼ活性もなく、13C−尿素呼吸試験値は40分でベースラインより5‰未満の増加率であった。
【0094】
処理後、半分の犬には対照飼料として、市販の乾燥ドッグフードである、フリスキー(Friskies)のメニューエネルギー製品(Menu Energy product)を与えた。10匹の残りの犬には、犬用の量が約10−1012cfu/日となる、ラクトバチルス・ジョンソニ NCC 533(CNCM−I 1225)およびラクトバチルス・パラカゼイ(CNCM−I 2116)株による乾燥発酵乳のペレットを含有すること以外は、フリスキーのメニューエネルギー製品に想到する試験飼料を与えた。
【0095】
13C−尿素呼吸試験と組織細菌学によるヘリコバクターの検出を、これらの2つの異なる飼料を与えた6週間後に再度行った。結果によれば、通常のフリスキーメニューエネルギ製品を与えた犬の20%は6週間で陽性になった。試験飼料を与えたすべての犬は6週間後に陰性になった。
この組成物はGHLOの再侵入防止用の抗生物学的治療のアジュバントとして有効である。
【0096】
<例6 缶詰ペットフード>
73%の家禽屠体、豚の肺および牛の肝臓(粉砕)、16%の小麦粉、2%の色素および9%のラクトバチルス・ジョンソニ NCC533(CNCM−I 1225)およびビフィドバクテリウム・ラクティス(ATCC 27536)株による発酵乳、ビタミンおよび無機塩からなる混合物を調製する。この混合物を12℃で乳化し、プリンの形に押出し、ついでこれを90℃の温度で加熱する。30℃に冷却し、塊に切断する。この塊45%を、ソース55%(98%の水、1%の色素および1%のグアーガムから調製した)と混合する。スズめっきの缶に充填し、125℃で40分滅菌した。
このウェットな組成物はペットのGHLO感染に関係する疾患を予防または治療するのに使われる。
【0097】
<例7 悪い呼吸臭への影響>
胃にGHLOを有する10匹の犬を例2と同じ飼料で2週間飼育した。呼吸臭はハリトメータによって治療の開始と終わりに各犬で測定した。
この実験では、L.ジョンソニ NCC 533で発酵させた酸性乳調製物を含有する組成物で犬を飼育すると、呼吸臭は有意に減少した。
さらに、ヘリコバクターによる感染レベルと呼吸臭の間に明かな相関関係があった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳酸菌の少なくとも1つの株および/またはその代謝産物あるいはインビトロで強力な抗ヘリコバクター菌活性を示す能力について単離され選択された少なくとも1つの乳酸菌により発酵させた培地の、ペットのGHLO感染に関係する疾患の予防と治療用に意図した組成物の製造のための使用。
【請求項2】
前記乳酸菌は該乳酸菌による発酵培地の形で使用するか、あるいは前記乳酸菌により発酵させた培養培地のサブフラクションの形で使用する、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記乳酸菌株はラクトバチルス・ジョンソニ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuterii)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・アニマリス(Lactobacillus animalis)、ラクトバチルス・ルミニス(Lactobacillus ruminis)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rahmnosus)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)種、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)からなる群から選択される、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記乳酸菌株はラクトバチルス・ジョンソニ(Lactobacillus johnsonii)NCC533(CNCM I−1225)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum) NCC2581(CNCM I−2448)、ラクトバチルス・ファーメンタム NCC2592(CNCM I−2450)、ラクトバチルス・ファーメンタム NCC2613(CNCM I−2452)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei) NCC2461(CNCM I−2116)、ラクトバチルス・アニマリス(Lactobacillus animalis) NCC2603(CNCM I−2451)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rahmnosus) NCC2583(CNCM I−2449)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus) NCC2628(CNCM I−2453)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)(ATCC27536)からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
乳酸菌または対応する発酵培地が、ペットに利用できる量が約10から1014cfu/日であるように使用される、請求項1〜4のいずれか1項記載の使用。
【請求項6】
乳酸菌または対応する発酵培地が、犬では約10から1012cfu/日で、かつネコでは10から1011cfu/日で使用される、請求項1〜5のいずれか1項記載の使用。
【請求項7】
ペットのGHLO感染に関係する疾患の治療または予防方法であって、乳酸菌の少なくとも1つの株および/またはその代謝産物、あるいはインビトロで強力な抗ヘリコバクター菌活性を示す能力について単離され選択された少なくとも1つの乳酸菌により発酵させた培地を含有する組成物をペットに投与することを含む、治療または予防方法。
【請求項8】
約10から1014cfuの乳酸菌またはその対応する発酵培地が一日当たり前記ペットに投与される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
乳酸菌の少なくとも1つの単離株および/またはその代謝産物あるいはその発酵生育培地の有効量を含有するペットフード組成物であって、該乳酸菌はインビトロで強力な抗ヘリコバクタ−菌活性を示す能力について単離され選択され、摂取可能な支持体または医薬用マトリックスを伴う、組成物。
【請求項10】
前記乳酸菌は、生存乳酸菌若しくは不活化された乳酸菌により発酵された培地又は前記乳酸菌により発酵された培養培地のサブフラクションの形で使用される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記乳酸菌株は、ラクトバチルス・ジョンソニ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuterii)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・アニマリス(Lactobacillus animalis)、ラクトバチルス・ルミニス(Lactobacillus ruminis)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rahmnosus)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)種、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)からなる群から選択される、請求項9または10に記載の組成物。
【請求項12】
前記乳酸菌株は、ラクトバチルス・ジョンソニ(Lactobacillus johnsonii) NCC533(CNCM I−1225)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum) NCC2581(CNCM I−2448)、ラクトバチルス・ファーメンタム NCC2592(CNCM I−2450),ラクトバチルス・ファーメンタム NCC2613(CNCM I−2452),ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei) NCC2461(CNCM I−2116)、ラクトバチルス・アニマリス(Lactobacillus animalis) NCC2603(CNCM I−2451)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rahmnosus) NCC2583(CNCM I−2449)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus) NCC2628(CNCM I−2453)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)(ATCC27536)からなる群から選択される、請求項9〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
ペットに利用できる乳酸菌株またはその対応する発酵培地の量が、約10〜1014cfu/日に相当する、請求項9〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
基底部のGHLOロードおよびウレアーゼ活性を少なくとも0.5評点減じ、そして洞部では少なくとも0.5評点減じるように、ネコや犬のGHLO感染を減少させる、請求項9〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
胃炎症の評点の中央値の少なくとも約0.5の軽減を伴う、慢性基底部胃炎の軽減を誘導する、請求項9〜14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記代謝産物はペットの悪い呼吸臭を減じる、請求項9〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
ペットの胃腸管、特に胃部や下腸でのGHLO感染に関係する疾患を予防または減じる、請求項9〜13のいずれか1項記載の組成物。

【公開番号】特開2011−24583(P2011−24583A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−177134(P2010−177134)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【分割の表示】特願2001−552728(P2001−552728)の分割
【原出願日】平成12年12月28日(2000.12.28)
【出願人】(590002013)ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー (31)
【Fターム(参考)】