説明

ペットの液状排泄物処理材

【目的】 吸収量が大きく、吸蔵性が良好で廃棄処理の容易なペットの液状排泄物処理材を提供する。
【構成】 不溶性吸水性樹脂粉末と木粉の混合物を水分の存在下で混練して成型した粒状体よりなる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は主としてペット動物の液状排泄物処理用の粒状材に関する。さらに詳しくはペット専用の便器、飼育箱の排尿ヶ所に充填、敷設するものである。本発明の物は軽量であり吸液量が大きく吸液保持性に優れ、かつ使用後の物は焼却処理する事が可能な処理材である。
【0002】
【従来の技術】従来、ペット用の排泄物処理材としてはベントナイト、ゼオライト等の無機質鉱物が安価である事より最も多く使用されている。しかし鉱物であるので当然その重量は重く、使用前の製品袋体を持ち運ぶ際に不便であった。また不燃性であるので廃棄物処理上、いずれ公害上の問題が発生する。そうした事から最近ではパルプ、紙粉を粒状に成型した処理材が出現している。これらは鉱物系の物に比べ軽量でありまた可燃性でもある。しかし、これ等の処理材は液状排泄物の吸収量が小さいので多量使用する必要があり、さらに吸収液の保持性が劣るため使用後の収集、移送時に収蔵液が吸収材から洩出する傾向が大きい欠点があった。またその原料および加工作業性の悪さから製造コストが高くつくのが大きな欠点であった。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明は、「(1) 水不溶性の高吸水性樹脂粉末5〜30重量%と木粉50重量%以上との混合物を水分存在下に混練し粒状に成形して乾燥してなる事を特徴とするペットの液状排泄物処理材。
(2) 高吸水性樹脂粉末が50〜200μである1項に記載されたペットの液状排泄物処理材。
(3) 脱臭剤を配合した1項または2に記載されたペットの液状排泄物処理材。」
に関する。
【0004】
【作用】本発明の処理材は高吸水性樹脂粉末と木粉が主成分であるので従来の鉱物系処理材に比べてはるかに軽量であり、かつ可燃性であるので焼却処理でき公害上の問題も発生しない。また本来、廃棄材としての木粉を利用できるので低コストである。さらに高吸水性樹脂粉末が木粉間に均一に配合されているので液状排泄物に対して優れた吸収効果を発揮する。
【0005】また本発明では高吸水性樹脂粉末と木粉の他に成形物自身の性能を阻害しない範囲で他成分を配合することが出来るが、20重量%以下が好ましい。例えば脱臭材としては吸着性能をもった無機物、ベントナイト、ゼオライト、活性白土、固形化学薬品、および成形助剤としてポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルアルコール、CMC、澱粉等の水溶性高分子などが適宜使用される。
【0006】水不溶性の高吸水性樹脂粉末としては市販されている一般的なものでよくその種類に特に限定はない。樹脂の粒径は50〜200μ程度のものが好ましい。50μより小では取扱い性が悪くなり、200μ以上では木粉との混合性および成形性が悪くなる。これらの化合物としては例えばポリアクリル酸塩架橋物、澱粉−アクリル酸塩架橋物、アクリル酸エステル、酢酸ビニル共重合物のケン化物、アクリル酸塩−アクリルアミド共重合体架橋物、ポリオキシエチレン架橋物等が挙げられる。
【0007】これらの中では性能面よりポリアクリル酸塩架橋物が最も好ましい。本発明処理材での配合量は5〜30重量%、好ましく10〜20重量%である。これ等の樹脂は純水の場合樹脂の重量の100〜1000倍、尿の場合は30〜100倍もの大きな吸水性能を有し、ペットの液状排泄物の吸収材として非常に優れている。
【0008】この吸水性樹脂と木粉とを混合して粒状に成形することにより成形粒子が軽くしかも粒状体の中心部まで液体が良好に浸透し、全吸水樹脂に充分液体が供給されるので極限量まで吸液することが出来る。そして液体は吸水性樹脂に吸蔵されるので液の戻りが非常に小さい。さらに吸液した粒子は互いに会合して塊状となるので塊を除去すれば残部はそのまま使用を続行出来る。
【0009】吸水性樹脂の配合量が5重量%以下であると吸液性が低下し、30重量%以上になると成形粒子の中心部への液体の浸透性が悪くなる。木粉としては使用する木粉の木種はとくに限定はない。通常の市販されている物または、材木加工業等にて廃棄される木粉(本くず)等を利用すればより低コストになる。木粉の長さ(大きさ)は0.01mm程度の粉末状の物がよい。
【0010】次に具体的な製造方法について説明する。水不溶性の高吸水性樹脂粉末5〜30重量%と木粉50重量%以上を必須成分とし、その他必要に応じ脱臭剤等を混合した後、水を加えて混練した物を押し出し成形機にかけて粒状に成型する。次にそれを加熱乾燥する事により本発明のペット用排泄物処理材が得られる。
【0011】
【実施例】高吸水性樹脂粉末20重量部(三菱油化株式会社製、商品名ダイヤウエットS−II、ポリアクリル酸塩系樹脂、粒径50〜130μ)と木粉60重量部(広葉樹の乾燥粉砕品、長さ0.01〜0.5mm)、ゼオライト粉末20重量部(粒径5〜50μ)の混合物に水100重量部をスプレーしながら添加混練する。これを押し出し成形機にかけて造粒した後、温度60℃の熱風乾燥機にて乾燥し、粒径3〜5mm、長さ10mmの本発明の粒状物を得た。この粒状物の生理食塩水の吸収倍率は15g/gであった。またこの粒状物を適当量、容器に入れその上から猫の尿を注いだところ尿を吸収した部分のみ団塊状となりその部分のみを容易に取り出す事が出来た。かさ比重は0.25であり従来の市販品鉱物系処理材のかさ比重の約1/3〜1/4よりはるかに小であった。またこの物の少量をガスバーナーで加熱したところ炎を発して燃焼した。燃焼後は少量の黒い燃えカスが確認された。
【0012】比較例実施例で使用したのと同じ木粉、セオライト粉末を使用し、また、高吸水性樹脂は使用せずに、次の比較粒状物を得た。木粉70重量部、ゼオライト粉末30重量部の混合物に、成形助剤としてCMC0.5%溶解水100重量部をスプレーしながら添加混練する。これを実施例と同様に、造粒、乾燥し、同サイズの比較粒状物を得た。この粒状物の生理食塩水の吸水倍率は2〜4g/gであった。また、この粒状物を適当量容器に入れその上から猫の尿を注いだが、吸収した部分はほとんど団塊状にならなかった。かさ比重は0.30であった。
【0013】
【発明の効果】本発明の排泄物処理材は、吸液性が大きく、吸蔵性に優れており、吸液した粒子のみの除去が出来るので長期の続行使用が出来、しかも使用後の処理も容易である利点を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 水不不溶性の高吸収水性樹脂粉末5〜30重量%と木粉50重量%以上との混合物を水分存在下に混練し粒状に成形して乾燥してなる事を特徴とするペットの液状排泄物処理材。
【請求項2】 高吸水性樹脂粉末が粒径50〜200μの粉末である請求項1に記載されたペットの液状排泄物処理材。
【請求項3】 脱臭剤を配合した請求項1または2に記載されたペットの液状排泄物処理材。

【公開番号】特開平5−211825
【公開日】平成5年(1993)8月24日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−54460
【出願日】平成4年(1992)1月30日
【出願人】(000006057)三菱油化株式会社 (9)
【出願人】(591073898)常陸化工株式会社 (10)