説明

ペットボトルリサイクル箸の製造方法

【課題】ペットボトルリサイクル箸の製造方法の提供。
【解決手段】ペットボトル回収洗浄後、1cm程度角に裁断処理してフレークと呼ばれる材料形態とし、これを主材として重量比で30−90%程度含有し、ガラス繊維あるいは、カーボン繊維を強化添加材として重量比で10−50%程度含有させたもに、使用済みペットボトルの劣化度に応じて、未使用のバージンペレットであるポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ABS樹脂、SPS樹脂等を安定化添加材として重量比で0−50%程度含有させることも出来る。これによって得た混合材料を、湿度を取り除いた熱風で乾燥した後、加熱混練装置内で、脱気乾燥しながら加熱混練し、ノズルからそのまま箸金型内に注入する。あるいは、線状体にして押し出してペレット化し、再度、射出成形機にて箸金型内に注入することによって、ペットボトルリサイクル箸を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済みペットボトルを原料とした箸の製造方法に関する。具体的には、本発明は、耐熱、耐吸湿性に優れ、折れ強度の強い、ペットボトルリサイクルの添加剤配合に関する。また、本発明は、かかる添加剤を含有するペットボトルリサイクル箸を樹脂劣化させずに安定的に生産する製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
ペットボトルは、飲料用として広く用いられている。しかし使用後にはごみとなり社会問題化している。従来、このゴミとなったペットボトルは、リサイクルされる際、主に2つの形態がとられている、1つはペットボトルそのままを糸や成形品として再利用する方法。もう1つは、化学プラントで、ポリブチレンテレフタレートなどプラスチックの原料にして使う方法である。前者は生産経路が短く材料コストが安いが、樹脂が劣化しているため、お箸のような耐熱性や強度が必要なものを生産することは出来ない。後者は、耐熱性や強度が新品の材料と同じように保証されるが、生産経路が複雑でコストは非常に高くなる。
【0003】
このような添加物による、リサイクルペットボトルの機能性向上について、例えば特許文献1が知られている。
この特許文献1には、ペットボトル強化の方法として、第1に、ポリエチレンフタレートとポリエチレンテレフタレートとを摂氏約300度から350度で水飴状に溶かす。第2に、それに木チップまたは木かんなくずを浸した後、取り出す。第3に、乾かした後にミキサ等で粉末状にする。第4に、粉末材料に対して、2分1から1倍の容量のアクリル等を加えて摂氏160度から200度で溶融する。第5に、その後、成型する事が示されている。
【0004】
大規模な化学プラントを使わず、回収済みペットボトルを切断処理しただけの樹脂を成型する際に木チップまたは木かんなくずを等で強化する事の利点は、短い材料製造工程で、圧倒的安価に、耐熱性に優れた成形品を得ることが出来ると言う点に有る。
【0005】
しかし、箸を作る場合、木質中の水分で樹脂劣化がすすみ、折れ強度が弱く、表面がザラザラで汚く、時間が経つに連れ中の木質繊維が劣化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−170932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上の説明から、ごみを資源化し、耐熱、耐吸湿性に優れ、折れ強度の強い、圧倒的安価な使用済みペットボトルのフレークを原料とした箸を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明のペットボトルリサイクル箸の製造方法は、回収されたペッドボトルから金属製の王冠、糖分等を取り除き、このペットボトルを0.5−1.5cm程度に切断処理してフレーク状の形態に加工処理する。ペットボトルの裁断処理のみからなるフレークと呼ばれる再生プラスチックを主材として重量比で30−90%程度含有し、ガラス繊維あるいは、カーボン繊維を強化添加材として重量比で10−50%程度含有させたものを主な組成とする、また、使用済みペットボトルの劣化度に応じては、未使用のバージンペレットであるポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ABS樹脂、SPS樹脂等を安定化添加材として重量比で0−50%程度含有することもある。こうした混合材料を、攪拌機で場合によって着色料とともに、事前攪拌し、分子劣化を防ぐために湿度を取り除いた熱風で乾燥した後、加熱混練装置内で、脱気しながら加熱混練する。次に、加熱混練装置に連接したノズルからそのまま箸金型内に注入する。あるいは、線状体にして押し出してペレット化し、再度、射出成形機にて箸金型内に注入する。最後に、上記成形完了した箸のバリ取り、材料投入口のカット処理を行い、場合によっては、塗装、絵柄を加えることを特徴とするペットボトルリサイクル箸の製造方法を提供する事を要旨としたものである。
【0009】
この発明によれば、従来は化学プラントで化学反応再処理された非常に高価な再生樹脂のみが可能だった、箸に使用できるような耐熱性や折れ曲がり強度、非劣化性を、ペットボトルのほとんどゴミ同然の状態から、強化材、安定剤添加の方法及び生産工程で、非常に安価な箸が生産出来ることとなる。
またなによりも、行き場のないペットボトルごみを有効に活用することが出来る。

【発明の効果】
【0010】
以上述べたようにこの発明の、ペットボトルリサイクル箸の製造方法は、ペットボトルの裁断処理のみからなるフレークと呼ばれる再生プラスチックを主材として重量比で30−90%程度含有し、ガラス繊維あるいは、カーボン繊維を強化添加材として重量比で10−50%程度含有させたものを主な組成とする、また、使用済みペットボトルの劣化度に応じては、未使用のバージンペレットであるポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ABS樹脂、SPS樹脂等を安定化添加材として重量比で0−50%程度含有することもある。こうした混合材料を、攪拌機で場合によって着色料とともに、事前攪拌し、分子劣化を防ぐために湿度を取り除いた熱風で乾燥した後、加熱混練装置内で、脱気乾燥しながら加熱混練する。次に、加熱混練装置に連接したノズルからそのまま箸金型内に注入する。あるいは、線状体にして押し出してペレット化し、再度、射出成形機にて箸金型内に注入する。最後に、上記成形完了した箸のバリ取り、材料投入口のカット処理を行い、場合によっては、塗装、絵柄を加えることによって製造することにより、ペットボトルリサイクル箸は200℃程度のエンジニアリングプラスチックと同じ耐熱性能を有し、高い折れ強度と耐吸水性を有し、非常に安価に製造でき、ごみを資源化できる。

【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のペットボトルリサイクル箸の製造方法の実施形態を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明の実施例について説明する。図1はこの発明のペットボトルリサイクル箸の製造方法の1実施形態を示す工程図で、図中1は使用済みペットボトル、2は使用済みペットボトルを裁断処理したフレーク、3はガラス繊維や炭素繊維などの強化材、4はポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどの安定剤、5は、材料を事前混合させるタンブラー,6は、溶かして混合させ、生産機械となる加熱混練装置,7は、樹脂劣化を防ぐ乾燥機,8は、箸を作るための鋳型になる金型、9は、ペットボトルリサイクル箸の製品を示す。
【0013】
回収されたペッドボトル1から金属製の王冠、糖分等を取り除き、このペットボトル1を粉砕機などで0.5−1.5cm角程度に切断処理してフレーク状2の形態に加工処理する。
【0014】
フレーク状2にしたペットボトル1をこの場合強化材3としてのガラス繊維とともに重量比7:3でタンブラー5と呼ばれる攪拌機に入れ事前混合する。
【0015】
攪拌後の材料を、湿度を取り除いた熱風乾燥内7で2時間程度乾燥した後、加熱混練装置内6で、脱気乾燥7しながら加熱混練する、この場合射出成形機6が良適である。
【0016】
次に、加熱混練装置6に連接したノズルからそのまま箸金型内8に注入する。あるいは、線状体にして押し出してペレット化し、再度、射出成形機6にて箸金型内8に注入する。
【0017】
成形完了した箸9の金型8あわせ面がバリとなってはみ出す場合はバリを取り、材料の通り道である入り口部分をゲートカット処理できれいにしてペットボトルリサイクル箸9は出来上がる。

【符号の説明】
【0018】
1…使用済みペットボトル
2…フレーク
3…強化材
4…安定剤
5…タンブラー
6…加熱混練装置
7…乾燥機
8…金型
9…箸



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットボトルの容器本体部分であるポリエチレンテレフタレート及び、ペットボトルのネック部分であるポリエチレンフタレートを再生材料として、以下の(a)〜(d)の一連の工程を有することを特徴とするペットボトルリサイクル箸の製造方法。
(a).回収されたペッドボトルから金属製の王冠、糖分等を取り除き、このペットボトルを0.5−1.5cm程度に切断処理してフレーク状の形態に加工処理する。
(b).次に、フレーク状にした原料を繊維強化材及び、樹脂安定剤、場合によっては着色料を添加して、湿度を取り除いた熱風で乾燥した後、加熱混練装置内で、脱気乾燥しながら加熱混練する。
(c).次に、加熱混練装置に連接したノズルからそのまま箸金型内に注入する。あるいは、線状体にして押し出してペレット化し、再度、射出成形機にて箸金型内に注入する。
(d).最後に、上記成形完了した箸のバリ取り、ゲートカット処理を行う。

【請求項2】
基体が、使用済みペットボトルの裁断処理のみからなるフレークと呼ばれる再生プラスチックを主材として重量比で30−90%程度含有し、ガラス繊維あるいは、カーボン繊維を強化添加材として重量比で10−50%程度含有させたものを主な組成とし、また、使用済みペットボトルの劣化度に応じて、未使用のバージンペレットであるポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ABS樹脂、SPS樹脂を安定化添加材として重量比で0−50%程度含有することを特徴とする請求項1に記載したペットボトルリサイクル箸の製造方法。

【請求項3】
請求項1、2に記載したペットボトルリサイクル箸の製造方法を利用して、ナイフ、フォーク、スプーンを製造する方法。




【図1】
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【公開番号】特開2010−208190(P2010−208190A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57849(P2009−57849)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(599109847)有限会社 内田プラスチック (4)
【Fターム(参考)】