説明

ペット収納展示用ケース

【課題】両扉のうちの一方のみを必要に応じて開けることができ、他方は閉止状態に保持できるなど、使い勝手がよいペット収納展示用ケースを提供する。
【解決手段】閉止金具7a,7bの閂部材10を係止部6a,6bに係止することにより両扉を閉止状態に保たれる。閉止金具7a,7bは支持基板8に筒状カバー9をビス止めにより被着してなり、一端に摘子部が形成された一対の閂部材10を該摘子部が内側となるように前記支持基板8の水平方向一直線上に夫々進退自在なるように軸支すると共に、該閂部材10を夫々外方に付勢するバネ12を設け、筒状カバー9には閂部材10の摘子部を突出させる一対のガイド孔14を形成し、該ガイド孔14の内端部に鉤状に折れ曲がる係合部14aを夫々形成し、閂部材10を前記バネ12の弾性に抗して内方に摺動させたとき前記摘子部を該係合部14aに係合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬、猫等のペット(愛玩動物)を販売するペットショップ等にペットを展示用として収納するために設けられるケースの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
犬、猫等のペットを収納し展示するためにペットショップにて使用されるペット収納展示用ケースは、従来から扉を閉止状態に保つための閂錠を設けたものがあった。
また、下記特許文献1には、閂部材により扉どうしを連結する観音開き式扉のロック構造が示されている。
【特許文献1】特開平10−246051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ペット収納展示用ケースの扉は、内部を掃除するためには一面を大きく全開できる構造であることがよく、また、ペットを出し入れする際には、ペットが逃げ出すのを防ぐために半部程度開かれるようになっていることが望ましい。しかし、従来のペット収納展示用ケースは、このような要請に応じられなかった。また上記特許文献1に示された観音開き式扉にあっても、ロックを解除することにより両側の扉が同時に開閉自在となるので、ペット収納展示用ケースの扉としては使い勝手が悪いものであった。
また、従来の閂錠は、構成部材を溶接やカシメ、リベット等により固着して組み立てられていたので、内部がペットの餌や糞などで汚れたり、さらにはそのために摘子の摺動が悪くなっても、分解掃除ができず、そのような場合、閂錠を新規なものに交換するしかないという問題があった。
また、従来の閂錠は、閂部材をバネにより閉止方向に付勢した構造ではなかったので、閂部材が開方向に移動していて扉が不意に開いてしまったり、扉の閉め忘れによりペットが逃げ出すおそれもあった。
さらに、従来の閂錠は、専ら片開き式扉のために仕様されたものであったので、観音開き式扉に使う場合には2つの閂錠を接近させて取り付ける必要が生じ、そのために取付孔を接近して開けなければならないので、ケースの強度を損なうという問題もあった。
本発明は、このような従来のペット収納展示用ケースの問題点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そのために本発明は、一面の開口に一対の扉を観音開きできるように枢着すると共に、該両扉の自由端寄りの上縁および下縁に夫々上下方向に拡張する係止部を形成し、該開口の上縁の中央部と下縁の中央部に夫々設けられた閉止金具の閂部材を前記係止部に係止することにより該両扉を閉止状態に保つペット収納展示用ケースであって、該閉止金具は支持基板に筒状カバーをビス止めにより被着してなり、一端に摘子部が形成された一対の閂部材を該摘子部が内側となるように前記支持基板の水平方向一直線上に夫々進退自在なるように軸支すると共に、該閂部材を夫々外方に付勢するバネを設け、筒状カバーには閂部材の摘子部を突出させる一対のガイド孔を形成し、該ガイド孔の内端部に鉤状に折れ曲がる係合部を夫々形成し、閂部材を前記バネの弾性に抗して内方に摺動させたとき前記摘子部を該係合部に係合させられるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、両扉のうちの一方のみを必要に応じて開けられ、他方は閉止状態に保持できるので使い勝手がよいと共に、扉が不意に開いてしまうことがない。また、ビスを緩めて筒状カバーを外すことにより内部を簡単に掃除することができ、常に清潔を保つことができメンテナンスも容易になる。さらに、観音開き式扉に対し容易に取り付けられるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に本発明の実施形態を図面に従い説明する。図1は本発明に係るペット収納展示用ケースの裏面の斜視図である。このペット収納展示用ケースは、計12本の中空角パイプ1を枠状に組み合わせることにより直方体に形成され、その前面に内部が透視できるよう透明ガラス2が嵌め込まれ、上面、底面および左右側面には夫々ボード3aを嵌着してなる。該ケースの内部底面にはトレイ3aが配置される。該ケースの裏面の開口の両側縁に軸受金具5a,5a,5b,5bを設け、一対の扉4,4を該軸受金具5に枢着することにより、該扉4,4を図示したように観音開きできるようにしている。該扉4,4は、ステンレス鋼筋を縦横に接合することにより格子状に形成したもので、該扉4,4の自由端寄りの上縁および下縁にそのステンレス鋼筋の一部を夫々上下方向に拡張することにより係止部6a,6a,6b,6bを形成している。
【0007】
7a,7bはこのペット収納展示用ケースの開口の上縁の中央部と下縁の中央部に夫々設けた閉止金具で、該閉止金具は、図2〜図4に示したように、支持基板8と筒状カバー9とからなる。支持基板8は長方形状のステンレス鋼板をプレス加工することにより、起立片8a,8a,8b,8bを一直線上に定間隔に形成したものである。10,10は丸棒の一端を直交方向に折り曲げてL字状とし摘子部10a,10aを形成すると共に、該丸棒の外周に溝を形成してEリング11,11を固着した閂部材で、該閂部材を該摘子部が内側となるように前記起立片8a,8a,8b,8bに開設された透孔に貫挿することで、該閂部材を水平方向一直線上に夫々摺動自在なるように支持している。該Eリング11,11と起立片8a,8aとの間にはコイル状のバネ12,12を圧縮状態として介在させ、該バネの復元弾性力により該閂部材10,10が夫々外方に付勢されるようにしている。なお、13,13はEリング11,11が起立片8b,8bに当接する際に発する金属音を消すため、該Eリング11,11と起立片8b,8bとの間に介在させた樹脂製ワッシャである。
【0008】
筒状カバー9は、ステンレス鋼板をプレス加工することにより横断面略コ字形に形成され、支持基板8の起立片8a,8a,8b,8bを覆い得るものであり、該筒状カバー9には閂部材10,10の摘子部10a,10aを突出させる一対のガイド孔14,14を該筒状カバーの長手方向に沿って形成し、該ガイド孔の内端部に鉤状に折れ曲がる係合部14a,14aを夫々形成している。そして、このペット収納展示用ケースの裏面の開口の上縁の中央部と下縁の中央部に支持基板8をビス15,15により固着すると共に、該支持基板8上に筒状カバー9をビス16,16により止着している。このため閂部材10,10を前記バネ12,12の弾性に抗して内方に摺動させたとき該摘子部10a,10aを該係合部14a,14aに係合させられる。
【0009】
このよう構成したペット収納展示用ケースでは、一対の閂部材10,10がバネ12,12の弾性により外方に付勢されていてその付勢により該閂部材10,10がこの閉止金具7a,7bの両端部から突出した状態に保持され、該閂部材10,10が扉4,4の係止部6a,6a,6b,6bに係止し得るものであるので、閂部材が開方向に移動していて扉が不意に開いてしまってペットが逃げ出すようなおそれがない。
そして、摘子部10aを摘んで閂部材10をバネ12の弾性に抗して内方に摺動させ、該摘子部10aを回転させて係合部14aに係合させることにより、両扉4,4のうちの一方のみを必要に応じて開けられ、他方は閉止状態に保持することができるので、半部だけ開けることによりペットを出し入れする際等にペットが逃げるのを防ぐと共に、内部を掃除するためには一面を大きく開けることもできるなど使い勝手がよいものとなる。
【0010】
また、ビス16,16を緩めて筒状カバー9を外すことによりその内部のバネ等が露呈するので、ペットの餌や糞などで汚れたり、その汚れのために摘子の摺動が悪くなるようなことがあっても、水洗い等によって簡単に掃除することができ、常に清潔を保つことができると共にメンテナンスも容易になる。
さらには、この閉止金具7a,7bは、観音開き式扉専用の閉止金具として製作されたものであり、従来の片開き式扉のために製作された閉止金具を使用する場合のように2つを並べて取り付け必要がないので、取り付けが容易であり、取付孔によってケースの強度を損なうおそれもなく、開口の上縁の中央部と下縁の中央部に夫々ビスにより簡単に取り付けることができる。
【0011】
なお、この実施形態では、格子状の扉4,4をペット収納展示用ケースの裏面開口に観音開きするように設けた例を示したが、板ガラスやボード等からなる扉であってもよく、また、ペット収納展示用ケースの前面開口に一対の扉を観音開きするように設けたものであってもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態を示すペット収納展示用ケースの斜視図。
【図2】図1の閉止金具の縦断面図。
【図3】図1の閉止金具の斜視図。
【図4】図3の分解斜視図。
【符号の説明】
【0013】
4,4 扉
5a,5b 軸受金具
6a,6b 係止部
7a,7b 閉止金具
8 支持基板
9 筒状カバー
10 閂部材
10a 摘子部
12 バネ
14 ガイド孔
14a 係合部
15,16 ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面の開口に一対の扉を観音開きできるように枢着すると共に、該両扉の自由端寄りの上縁および下縁に夫々上下方向に拡張する係止部を形成し、該開口の上縁の中央部と下縁の中央部に夫々設けられた閉止金具の閂部材を前記係止部に係止することにより該両扉を閉止状態に保つペット収納展示用ケースであって、該閉止金具は支持基板に筒状カバーをビス止めにより被着してなり、一端に摘子部が形成された一対の閂部材を該摘子部が内側となるように前記支持基板の水平方向一直線上に夫々進退自在なるように軸支すると共に、該閂部材を夫々外方に付勢するバネを設け、筒状カバーには閂部材の摘子部を突出させる一対のガイド孔を形成し、該ガイド孔の内端部に鉤状に折れ曲がる係合部を夫々形成し、閂部材を前記バネの弾性に抗して内方に摺動させたとき前記摘子部を該係合部に係合させられるようにしたことを特徴とするペット収納展示用ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−178299(P2008−178299A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−12150(P2007−12150)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【出願人】(593113422)三洋スーパースタンド株式会社 (9)
【Fターム(参考)】