説明

ペット用トイレおよびこれに用いられる処理材回収部材、ならびにペット用トイレの使用方法

【課題】 掃除が簡単であって管理が容易であり、清潔な状態を保ちながら使用できるペット用トイレおよびこれに用いられる処理材回収部材を提供すること。
【解決手段】 ペット用トイレは、底部に複数の開口部22aが設けられ、かつ、水分の吸収によって自己崩壊するペレット状の排泄物処理材が収容される、第1収容部20と、前記第1収容部20の下方にスライド移動可能に配置され、前記開口部22aを介して落下する、自己崩壊した前記排泄物処理材を収容可能な第2収容部30と、を有するトイレ本体100と、前記第2収容部30内に着脱自在に装着され、自己崩壊した前記排泄物処理材が収容される処理材回収部材と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット用トイレおよびこれに用いられる処理材回収部材、ならびにペット用トイレの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
猫や犬などのペットの排泄物を処理するための排泄物処理材としては、粘土の一種であるベントナイトを主成分とする粉体状のもの、シリカゲルや撥水処理された粒状のものなどが知られている。さらに、排泄物処理材としては、天然針葉樹のおが屑からなる挽素材を加熱圧縮してペレット状にしたものが知られている(特許文献1参照)。このような排泄物処理材は、水分の吸収によって自己崩壊する特徴を有する。
【0003】
かかる自己崩壊タイプの排泄物処理材を用いることを前提としたペット用トイレとして、トイレ本体を簀の子により上下に区画して、上層部分に吸水することにより自己崩壊するペット用排泄物処理材を敷設し、下層部分にトレーを有し、当該トレー表面に溝が形成された構造が提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、係る構造のペット用トイレでは、トレー内に直接、崩壊した排泄物処理材が蓄積されるため、頻繁にトレーを洗浄して掃除をする必要があり、非常に手間がかかる。また、トレーは溝を有するので、溝の内部まで清潔にするには、洗浄を丁寧に行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−308403号公報
【特許文献2】特開2007−174943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、上述した従来技術の問題点を解決し、掃除が簡単であって管理が容易であり、清潔な状態を保ちながら使用できるペット用トイレおよびこれに用いられる処理材回収部材を提供することにある。
【0006】
また、本発明の他の課題は、本発明に係るペット用トイレの使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るペット用トイレは、
底部に複数の開口部が設けられ、かつ、水分の吸収によって自己崩壊するペレット状の排泄物処理材が収容される、第1収容部と、
前記第1収容部の下方にスライド移動可能に配置され、前記開口部を介して落下する、自己崩壊した前記排泄物処理材を収容可能な第2収容部と、を有するトイレ本体と、
前記第2収容部内に着脱自在に装着され、自己崩壊した前記排泄物処理材が収容される処理材回収部材と、
を備える。
【0008】
本発明に係るペット用トイレにおいて、
前記第1収容部の前記開口部は、長孔形状を有することができる。
【0009】
本発明に係るペット用トイレにおいて、
前記開口部は、短辺が2mm以上5mm以下、長辺が10mm以上20mm以下であることができる。
【0010】
本発明に係るペット用トイレにおいて、
前記第1収容部は、平面形状において短辺と長辺を有し、前記開口部はその長辺方向が前記第1収容部の長辺方向と同じであることができる。
【0011】
本発明に係る処理材回収部材は、
底部に複数の開口部が設けられ、かつ、水分の吸収によって自己崩壊するペレット状の排泄物処理材が収容される、第1収容部と、前記第1収容部の下方にスライド移動可能に配置され、前記開口部を介して落下する、自己崩壊した前記排泄物処理材を収容可能な第2収容部と、を有するトイレ本体に使用される処理材回収部材であって、
前記第2収容部の底部と側部とを覆うように当該第2収容部内に着脱自在に装着され、自己崩壊した前記排泄物処理材が収容可能である。
【0012】
本発明に係る処理材回収部材において、
少なくとも前記第2収容部に装着されたときに上面となる面が防水性を有することができる。
【0013】
本発明に係る処理材回収部材において、
前記第2収容部に装着されたときに底面となる面に、吸水部が設けられることができる。
【0014】
本発明に係るペット用トイレの使用方法は、前記ペット用トイレの使用方法であって、
前記第2収容部に、前記処理材回収部材を装着する工程と、
前記第1収容部に、水分の吸収によって自己崩壊するペレット状の排泄物処理材を収容する工程と、
ペットが排泄する尿によって崩壊した前記排泄物処理材が前記開口部を介して落下して前記処理材回収部材の内部に堆積したときに、崩壊した前記排泄物処理材を収容した状態で当該処理材回収部材を廃棄する工程と、
を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るペット用トイレによれば、掃除が簡単であって管理が容易であり、清潔な状態を保ちながら使用できる。また、本発明に係る処理材回収部材によれば、トイレ本体に簡単に着脱でき、しかもトイレ本体を清潔に保った状態で、崩壊した排泄物処理材を簡単な操作で廃棄できる。
【0016】
本発明に係るペット用トイレの使用方法によれば、処理材回収部材を着脱する簡単な操作で崩壊した排泄物処理材を廃棄でき、しかも、トイレ本体の掃除を頻繁に行わないでよく、かつ簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態に係るトイレ本体を示す斜視図。
【図2】図1に示すトイレ本体を分解して示す斜視図。
【図3】トイレ本体の支持部を示す斜視図。
【図4】トイレ本体の第1収容部を示す斜視図。
【図5】(A)は、図4に示す第1収容部を上から見た平面図であり、(B)は、第1収容部の開口部を示す平面図。
【図6】第1収容部に設けられるステップ部材を示す斜視図。
【図7】トイレ本体の第2収容部を示す斜視図。
【図8】トイレ本体にカバー部を取り付けた状態を示す斜視図。
【図9】(A)は、実施形態に係る処理材回収部材を折りたたんだ状態で示す斜視図であり、(B)は、処理材回収部材を使用状態で示す斜視図であり、(C)は、処理材回収部材を第2収容部に装着した状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態の一例について、図面を参照して説明する。
1.トイレ本体
図1は、本実施形態に係るペット用トイレのトイレ本体100を示す斜視図であり、図2は、トイレ本体100を分解して示す斜視図である。
【0019】
本実施形態に係るペット用トイレのトイレ本体100は、図1および図2に示すように、第1収容部20、第2収容部30およびこれらの収容部20,30を組み立てるための支持部10を有することができる。すなわち、支持部10の上下方向に第1収容部20を着脱自在に装着することができ、支持部10の横方向に第2収容部30をスライド移動させることで、当該第2収容部30を着脱自在に装着することができる。
【0020】
1.1.支持部
支持部10は、図2および図3に示すように、全体形状が上方に開口部を有する箱体状をなし、平面視においてほぼ矩形(図示の例ではほぼ長方形)の底部12と、当該底部12と連続する側部14とを有する。
【0021】
底部12には、第2収容部30を安定に支持するゴム製突起部12aが複数(図示の例では、4個)形成されている。また、底部12には、第2収容部30を安定にスライド移動させるための板状のガイド部12bが形成されている。
【0022】
側部14は、底部12の4辺に対応して、第1から第4の4つの側壁14a,14b,14cおよび14dを有する。図3において前方に位置する第1側壁14aには、後に詳述する第2収容部30を出し入れするための開口部18が形成されている。
【0023】
第2側壁14b、第4側壁14d、および後方の第3側壁14cは、同一の高さを有する。それに対して、前方の第1側壁14aは、第2側壁14bおよび第4側壁14dより低い高さを有している。そのため、第2側壁14bおよび第4側壁14dのそれぞれの前方の側壁14eおよび14fは、上面が前方に向けて傾斜している。このようにすることによって、猫などのペットが第1側壁14aを越えやすくなる。
【0024】
側部14(図示の例では第2側壁14bおよび第4側壁16b)の上には、外側に突出するフランジ部16(16a,16b)が形成されている。このフランジ部16を有することにより、後に詳述する第1収容部20を安定に支持できる。そして、フランジ部16a,16bには、切り欠き部16c,16dがそれぞれ形成されることができる。これらの切り欠き部16c,16dは、図8に示すように、カバー部50を設ける場合に、そのバックルなどの固定部材52が挿入できるようにする。カバー部50は、特に限定されないが、図示の場合、第1カバー部54と、第2カバー部56とを有することができる。第2カバー部56は、第1カバー部54の上面に設けられた軸54a,54bを介して開閉自在に形成されている。そして、第2カバー部56の手前の側壁56aには、回動可能なドア部58が設けられている。
【0025】
また、図3に示すように、第1側壁14aおよび第3側壁14cの上部にも1対の切り欠き部19e,19fを形成することができる。これらの切り欠き部19e,19fを設けることにより、図1に示すように、切り欠き部19e,19fを介して第1収容部20の取り外しが容易となる。
【0026】
1.2.第1収容部
第1収容部20は、図2および図4に示すように、全体形状が上方に開口部を有する箱体状をなし、平面視においてほぼ矩形(図示の例ではほぼ長方形)の底部22と、当該底部22と連続する側部24とを有する。第1収容部20は、支持部10の上部に装着されるので、その底部22の形状は支持部10の底部12とほぼ相似形状を有する。
【0027】
側部24は、底部22の4辺に対応して、第1から第4の4つの側壁24a,24b,24cおよび24dを有する。第2側壁24b、第4側壁24d、および後方の第3側壁24cは、同一の高さを有する。それに対して、前方の第1側壁24aは、第2側壁24bおよび第4側壁24dより低い高さを有している。そのため、第2側壁24bおよび第4側壁24dのそれぞれの前方の側壁24eおよび24fは、上面が前方に向けて傾斜している。このようにすることによって、猫などのペットが第1側壁24aを越えやすくなる。
【0028】
側部24の上には、外側に突出するフランジ部26が形成されている。このフランジ部26を有することにより、第1収容部20を支持部10に装着したときに、支持部10のフランジ部16によって安定に支持される。したがって、フランジ部26は、第1収容部20が安定に支持されればよく、側部24の上に全周に亘って設けられてもよく、あるいは一部であってもよい。
【0029】
フランジ部26には、収容部10に第1収容部20を装着したときに、支持部10の切り欠き部16c,16d(図3参照)に対応する位置に、切り欠き部26a,26bがそれぞれ形成されることができる。これらの切り欠き部26a,26bは、支持部10の場合と同様に、図8に示すように、カバー部50を設ける場合に、そのバックルなどの固定部材52が挿入できる。
【0030】
第1収容部20は、図5(A)に示すように、底部22は、平面形状において短辺と長辺を有し、ほぼ長方形をなしている。さらに、底部22には、その中央部に開口形成領域23を有する。開口形成領域23には、図5(A)における横方向および縦方向に、複数の開口部22aが所定のピッチで形成されている。開口部22aは、図示の例では、長孔形状を有する。長孔形状は特に限定されないが、図示のように両端が半円状を有する長方形、長楕円、長方形などである。開口部22aは、第1収容部20の内部に収容されるペレット状排泄物処理材の大きさにも依存するが、図5(B)に示すように、短辺L1が2mm以上5mm以下、長辺L2が10mm以上20mm以下であることができる。開口部22aは、その長辺方向が第1収容部20の長辺方向と同じであることが好ましい。開口部22aがこのような構成を取ることで、以下の利点がある。
【0031】
開口部22aが長孔形状であって、しかも当該開口部22aの長辺方向が第1収容部20の長辺方向と同じであることにより、ペレット状排泄物処理材が開口部22aに部分的に引っかかりやすく、排泄物処理材が底部22で動きすぎたりせず、いわゆる遊びが少なくなる。例えば猫は、排泄物を埋めるために、排泄前に前足で前後方向に排泄物処理材を掘り起こして穴を形成し、排泄後に穴の周りの排泄物処理材を掘り起こして穴の中の排泄物を埋め戻す習性を有する。しかも、図5(A)に示すように、猫200は第1収容部20の長辺方向に沿った姿勢で排泄することが多い。そのため、底部22での排泄物処理材の遊びが抑制されることにより穴が掘りやすくなり、猫は速やかに安心して排泄を行うことができる。
【0032】
さらに、排泄前後に排泄物処理材を掘り起こす猫の習性を利用することにより、水分(尿)の吸収によって自己崩壊する排泄物処理材が攪拌されてその崩壊が促進される。その結果、尿が吸収された排泄物処理材の崩壊片をより速やかに開口部22aから下の第2収容部30へ排出できる。
【0033】
ペレット状の排泄物処理材の大きさが、例えば平均値で径が5mmないし8mmで、長さが10mmないし30mmの場合には、開口部22aは上述した範囲の大きさを有することが好ましい。開口部22aの短辺および長辺が上記範囲の下限値より小さいと、崩壊した排泄物処理材が開口部22aから落下しにくくなり、開口部22aの短辺および長辺が上記範囲の上限値より大きいと、排泄物処理材が動きやすくなって遊びを効果的に抑制しにくくなる。
【0034】
第1収容部20には、必要に応じて、図6に示すステップ部材60を設けることができる。このステップ部材60は、枠体62と、枠体62内に形成されたステップ部63とを有することができる。ステップ部63は、格子状をなし、複数の第1開口部64と、第1開口部64より大きい第2開口部66とを有する。開口部64,66は、猫などのペットがステップ部材60上に乗ったときに、ペットの足に付着した排泄物処理材やその粉砕物が当該開口部64,66から第1収容部20内に落ちる大きさに形成されている。第2開口部66は、ステップ部材60を取り外す際に指を入れることができる程度の大きさに形成されている。
【0035】
ステップ部材60は、さらに、フランジ部62aと、前面側のフランジ部62aに連続する取り付け部68とを有する。そして、ステップ部材60は、図5に示すように、取り付け部68を第1収容部20の第1側面24aに引っかけることで装着される。また、ステップ部材60の枠体62の下面は、第1収容部20の段差部28によって支持される。
【0036】
1.3.第2収容部
第2収容部30は、図2および図7に示すように、全体形状が上方に開口部を有する箱体状をなし、平面視においてほぼ矩形(図示の例ではほぼ長方形)の底部32と、当該底部32と連続する側部34とを有する。第2収容部30は、第1収容部20の開口部22aから落下する排泄物処理材の崩壊片を収容するのに十分で、かつ支持部10内に収容可能な大きさを有する。第2収容部30の容積は、例えば、1匹の成猫が1週間ないし2週間にわたって本実施形態に係るペット用トイレを使用したときに排出される排泄物処理材の崩壊片(木くず)の量などを考慮して決めることができる。
【0037】
側部34は、底部32の4辺に対応して、第1から第4の4つの側壁34a,34b,34cおよび34dを有する。各側壁34a〜34dは、同一の高さを有する。そして、第1側壁34aの前面を覆うようにカバー部材36が形成されている。そして、カバー部材36の下方中央には開口部36aが形成されている。このカバー部材36は、開口部36aに手を入れることによって取っ手として機能する。
【0038】
2.処理材回収部材
図9(A)ないし図9(C)は、本実施形態に係る処理材回収部材40を示す斜視図である。図9(A)は、折りたたんである状態の処理材回収部材を示し、図9(B),図9(C)は、使用時の処理材回収部材を示している。
【0039】
本実施形態の処理材回収部材40は、使用しないときには図9(A)に示すように、平坦に折りたたまれて、トイレ本体100とは別に市販されることができる。
【0040】
また、図9(B)および図9(C)に示すように、使用時には、折りたたまれたものを展開する。このときの処理材回収部材40は、上方が開放された箱体状をなし、底部42と、側部44とを有する。図示の例では、処理材回収部材40は、1枚のシート状部材を折りたたんで形成されている。そして、側部44を構成するために、4隅には内側に折りたたまれる折片41が形成されている。したがって、側部44がある程度の機械的強度を有することにより、使用時の処理材回収部材40は、容器としての機能を有することができる。また、使用時の処理材回収部材40は、図9(C)に示すように、第2収容部30の底部32と側部34(図7参照)とを覆うことができるように、当該第2収容部30の形状とほぼ相似している。そして、処理材回収部材40は、第2収容部30内に着脱自在に装着される。
【0041】
処理材回収部材40の少なくとも上面、すなわち第2収容部30に装着されたときに上面となる面が防水性を有することが好ましい。このように処理材回収部材40が防水性を有することにより、第1収容部20の開口部22aから落下する排泄物処理材の崩壊片が水分を含んでいても、処理材回収部材40の強度を保持できる。もちろん、処理材回収部材40は、上面のみならず、全面が防水性を有していてもよい。
【0042】
防水性の処理材回収部材40の材質としては、用いる基材等によって各種の公知のものを選択することができる。例えば、処理材回収部材40の基材がプラスチックのような防水性を有するものであれば、特に防水処理を必要としない。処理材回収部材40の基材が紙のような防水性の低いものの場合には、基材の表面に公知の方法で防水加工を施したものを用いることができる。このような防水加工を施した素材としては、紙基材の表面にプラスチックシートを積層した素材、樹脂成分を塗布法によって紙基材上に成膜した素材などを用いることができる。
【0043】
処理材回収部材40の底部42には、第2収容部30に装着されたときに底面となる面に、吸水部46を有していてもよい。吸水部46は、吸水性を有する素材を用いたものであれば特に限定されないが、吸水性樹脂、植物性繊維、パルプなどを用いることができる。吸水部46は、例えば底部42に接着することで固定される。吸水部46には、消臭剤、芳香剤などの成分を含ませることもできる。このように、吸水部46を設けることにより、崩壊した排泄物処理材の水分を確実に吸収することができ、悪臭の発生を防止したり、崩壊した排泄物処理材の廃棄を容易にすることができる。
【0044】
また、図示の例では、処理材回収部材40の短辺方向に位置する第1側壁44aおよび第3側壁44cのほぼ中央部に、2つの穴形成部48がそれぞれ設けられている。穴形成部48は、一部を残して切り込みが形成されたもの、あるいはミシン目で形成されたものなどで構成される。そして、処理材回収部材40内に排泄物処理材の崩壊片が溜まったときに、穴形成部48を指で折ったり、あるいはミシン目を切断したりして側壁44a,44cに穴を形成する。そして、これらの穴に指をいれることにより、処理材回収部材40を容易に持ち運び、廃棄することができる。
【0045】
処理材回収部材40は、図示した例のように箱体状に限定されず、柔らかいプラスチック製の袋状であってもよい。この場合には、袋の上縁にひも状部材を通すことができる。そして、当該ひも状部材を引き絞ることにより処理材回収部材を巾着状にすることができる。このような処理材回収部材によれば、当該処理材回収部材内に排泄物処理材の崩壊片が溜まったら、ひも状部材を引き絞ることにより崩壊片を確実かつ容易に廃棄することができる。
【0046】
処理材回収部材40は、第2収容部20内に安定して装着されることが望ましく、必要に応じて第2収容部20に設けられた係止部材によって複数箇所を固定することができる。
【0047】
3.ペット用トイレの使用方法
次に、トイレ本体100と処理材回収部材40とを用いた、ペット用トイレの使用方法について、図2および図9(A)〜(C)を参照しながら説明する。本実施形態にかかる使用方法では、以下の工程(a)〜(c)を含むことができる。
【0048】
(a)まず、図9(A)〜(C)に示すように、折りたたまれた処理材回収部材40の側部を起こして箱状の処理材回収部材40を形成する。そして、この箱状の処理材回収部材40を第2収容部30内に装着する。
【0049】
(b)また、第1収容部20内に、水分の吸収によって自己崩壊するペレット状の排泄物処理材を収容する。ここで用いられるペレット状の排泄物処理材は、天然針葉樹のおが屑を主成分とする粉体を加熱圧着してペレット状に成形したものである(例えば特開平9−308403号参照)。このタイプの排泄物処理材は、猫などのペットの尿を吸収すると細かい木片あるいは粉体状の木片(以下、「木くず」ともいう)に分解される。このような木くずは、第1収容部20の開口部22aをスムーズに通過することができる。また、上記木くずは乾燥しやすく、掃除の時にペット用トイレを軽く揺するなどすることにより開口部22aから落下することができる。また、ペットの糞は、糞に付着した排泄物処理材と共に廃棄することができる。
【0050】
排泄物処理材は、主成分が木材であるため、使用後の排泄物処理材は、可燃物して処理できるだけでなく、例えば堆肥原料としても利用できるなど、環境にやさしい。また、排泄物処理材は、天然針葉樹のおが屑を主成分とするので、それ自体で消臭性や抗菌性を有する。さらに、排泄物処理材は、天然針葉樹のおが屑を主成分とするが、これに必要に応じてベントナイトなどの無機成分、抗菌剤、着色剤などを添加することができる。排泄物処理材は、公知の圧縮押出成型機を用いて加圧成形される。
【0051】
排泄物処理材の大きさは、特に限定されないが、例えば平均で径が5mmないし8mmで、長さが10mmないし30mmとすることができる。排泄物処理材の大きさが上記範囲の下限値より小さいと、十分な吸水性を発揮する前に崩壊しやすくなる傾向があり、一方、排泄物処理材の大きさが上記範囲の上限値より大きいと、猫などのペットにとって排泄時に負担が大きくなる傾向がある。
【0052】
(c) ペットが排泄する尿によって崩壊した排泄物処理材(木くず)は、第1収容部20の開口部22aを介して処理材回収部材40の内部に堆積する。この木くずが所定の量に達したら、木くずを収容した状態で処理材回収部材40を廃棄することができる。図9(A)〜(C)に示した処理材回収部材40の場合には、上述したように、穴形成部48を指で折ったり、あるいはミシン目を切断したりして側壁44a,44cに穴を形成する。そして、これらの穴に指をいれることにより、処理材回収部材40を容易に持ち運ぶことができる。
【0053】
本実施形態に係るペット用トイレは、上述した工程(a)ないし(c)を繰り返すことで、ペットの排泄物を簡単に処理できる。なお、工程(b)では、通常、使用によって減少した分の排泄物処理材を補充するだけでよい。そして、崩壊した排泄物処理材(木くず)は、使い捨ての処理材回収部材40を用いて処理されるので、第2収容部30を木くずによって汚すことがない。したがって、この使用方法によれば、従来では頻繁に掃除、洗浄する必要があった木くずの収容部を長時間清潔に保つことができので、ペット用トイレの管理が格段に容易になるだけでなく、ペット用トイレを清潔に保つことができる。
【0054】
以上、本発明の一実施形態について述べたが、本発明はこれに限定されず、発明の要旨の範囲内で各種の態様を取りうる。例えば、第1収容部、第2収容部およびこれらの収容部を支持する支持部の形状、構造、および取り付け構造などは各種の態様を取りうる。また、処理材回収部材の形状や構造も各種の態様を取りうる。
【符号の説明】
【0055】
10 支持部、12 底部、14 側部、18 開口部、20 第1収容部、22 底部、24 側部、22a 開口部、30 第2収容部、32 底部、34 側部、40 処理材回収部材、42 底部、44 側部、46 吸水部、50 カバー部、60 ステップ部材、100 トイレ本体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部に複数の開口部が設けられ、かつ、水分の吸収によって自己崩壊するペレット状の排泄物処理材が収容される、第1収容部と、
前記第1収容部の下方にスライド移動可能に配置され、前記開口部を介して落下する、自己崩壊した前記排泄物処理材を収容可能な第2収容部と、を有するトイレ本体と、
前記第2収容部内に着脱自在に装着され、自己崩壊した前記排泄物処理材が収容される処理材回収部材と、
を備えるペット用トイレ。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1収容部の前記開口部は、長孔形状を有する、ペット用トイレ。
【請求項3】
請求項2において、
前記開口部は、短辺が2mm以上5mm以下、長辺が10mm以上20mm以下である、ペット用トイレ。
【請求項4】
請求項2または請求項3において、
前記第1収容部は、平面形状において短辺と長辺を有し、前記開口部はその長辺方向が前記第1収容部の長辺方向と同じである、ペット用トイレ。
【請求項5】
底部に複数の開口部が設けられ、かつ、水分の吸収によって自己崩壊するペレット状の排泄物処理材が収容される、第1収容部と、前記第1収容部の下方にスライド移動可能に配置され、前記開口部を介して落下する、自己崩壊した前記排泄物処理材を収容可能な第2収容部と、を有するトイレ本体に使用される処理材回収部材であって、
前記第2収容部の底部と側部とを覆うように当該第2収容部内に着脱自在に装着され、自己崩壊した前記排泄物処理材が収容可能な処理材回収部材。
【請求項6】
請求項5において、
少なくとも前記第2収容部に装着されたときに上面となる面が防水性を有する、処理材回収部材。
【請求項7】
請求項6において、
前記第2収容部に装着されたときに底面となる面に、吸水部が設けられた、処理材回収部材。
【請求項8】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のペット用トイレの使用方法であって、
前記第2収容部に、前記処理材回収部材を装着する工程と、
前記第1収容部に、水分の吸収によって自己崩壊するペレット状の排泄物処理材を収容する工程と、
ペットが排泄する尿によって崩壊した前記排泄物処理材が前記開口部を介して落下して前記処理材回収部材の内部に堆積したときに、崩壊した前記排泄物処理材を収容した状態で当該処理材回収部材を廃棄する工程と、
を含む、ペット用トイレの使用方法。

【図9】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−175910(P2012−175910A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39846(P2011−39846)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(391001457)アイリスオーヤマ株式会社 (146)
【Fターム(参考)】