説明

ペット用トイレ粒状片

【課題】特殊機能付粒状片を所定の配合比率で混合することにより、特殊機能付粒状片の色の変化及び尿自体の色を確認し易くし、ペットの健康管理を容易にするとともに、余計なコスト増加を抑える。
【解決手段】ペット用トイレ粒状片1は、表面に尿との接触により変色する指示薬を含有した特殊機能付粒状片3と特殊機能を有さない通常の粒状片2とからなり、前記特殊機能付粒状片3を8重量%以上35重量%未満、前記通常の粒状片2を92重量%未満65重量%以上の配合比率で混合する。また、前記通常の粒状片2は表面が白色の粒状片とされ、前記白色粒状片2の白色度を57%以上とする。これにより、排尿範囲内に特殊機能付粒状片3を確実に介在されることができるとともに、白色粒状片2に吸収された尿自体の色が識別しやすくなり、ペットの健康管理が容易となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット用トイレに敷き詰めて使用する吸水性の粒状片、いわゆる猫砂に関し、尿との接触により色が変化する指示薬を含有する粒状片を所定の配合比率で混合することにより、指示薬の色の変化及び尿自体の色を確認し易くし、ペットの健康管理を容易にしたペット用トイレ粒状片に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、猫砂などペットのペット用トイレの粒状片として種々のものが提案されている。例えば、吸水時に変色することにより排尿があったことを認識しやすくしたものや、pH指示薬を含有させることにより尿のpHを判別可能としたものなどが市販されている。
【0003】
下記特許文献1には、尿検査用指示薬を含有するインキ組成物を付着して、パルプ繊維が、動物の排泄物処理材の形態に形成されている動物の尿検査用試験材が開示されている。また、下記特許文献2には、異なる形状又は異なる大きさの複数種の尿検査用試験材からなり、前記複数種の尿検査用試験材のうち、特定の形状及び大きさを有する尿検査用試験ごとにpH検査薬、ぶどう糖検査薬、蛋白質検査薬、潜血検査薬、ケトン体検査薬、比重検査薬、又は尿素検査薬から選ばれる検査薬のうち異なる1種の検査薬をそれぞれ含浸させてなる健康チェック材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−223812号公報
【特許文献2】特許第3933788号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、pH指示薬などは高価なので、猫砂の全ての粒状片に含有させることはコスト的に難しく、通常の粒状片と、pH指示薬等を含有させ、特殊の機能を付加した粒状片(以下、「特殊機能付粒状片」という。)とを混合して使用するのが一般的である。
【0006】
ところが、製品一袋中の特殊機能付粒状片を適切な配合比率で混合しないと、特殊機能付粒状片が少量であるために尿との接触による色の変化が生じなかったり、逆に特殊機能付粒状片が多量であるためにコスト高を招いたり、尿自体の色の確認がしにくいという問題を生じたりして、ペットの健康管理ができない場合があった。
【0007】
そこで本発明の主たる課題は、特殊機能付粒状片を所定の配合比率で混合することにより、特殊機能付粒状片の色の変化及び尿自体の色を確認し易くし、ペットの健康管理を容易にするとともに、余計なコスト増加を抑えたペット用トイレ粒状片を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、表面に尿との接触により変色する指示薬を含有した特殊機能付の粒状片を含むペット用トイレ粒状片であって、
前記特殊機能付粒状片を8重量%以上35重量%未満の割合で配合してあることを特徴とするペット用トイレ粒状片が提供される。
【0009】
上記請求項1記載の発明では、少なくとも表面に尿との接触により変色するpH指示薬等の指示薬を含有した特殊機能付粒状片を含み、前記特殊機能付粒状片を8重量%以上35重量%未満の割合で配合することにより、ペットの排尿時に尿が所定の形状で拡散することによりペット用トイレ粒状片の表面に形成される排尿範囲内に、前記特殊機能付粒状片を確実に介在させることができるようになり、尿との接触による特殊機能付粒状片の色の変化が確実に生じるため、ペットの健康管理が容易となる。また、高価な指示薬を含有した特殊機能付粒状片の配合比率を、その機能が発揮できる必要最小限の量とすることにより、余計なコスト増加が抑えられるようになる。
【0010】
請求項2に係る本発明として、前記ペット用トイレ粒状片は、前記特殊機能付粒状片と前記特殊機能を有さない通常の粒状片とからなり、
前記特殊機能付粒状片を8重量%以上35重量%未満、前記通常の粒状片を92重量%未満65重量%以上の配合比率で混合してある請求項1記載のペット用トイレ粒状片が提供される。
【0011】
上記請求項2記載の発明では、ペット用トイレ粒状片を、前記特殊機能付粒状片と、表面に尿との接触により変色する指示薬を含有しない通常の粒状片とから構成し、前記特殊機能付粒状片を8重量%以上35重量%未満、前記通常の粒状片を92重量%未満65重量%以上の配合比率で混合することにより、特殊機能付粒状片の色の変化を明確に識別できるとともに、通常の粒状片によって尿自体の色も把握できるようになる。
【0012】
請求項3に係る本発明として、前記通常の粒状片は表面が白色の粒状片とされ、前記白色粒状片の白色度が57%以上である請求項2記載のペット用トイレ粒状片が提供される。
【0013】
上記請求項3記載の発明では、前記通常の粒状片として、表面が白色の粒状片を使用し、且つこの白色度を57%以上とすることにより、この白色粒状片に吸収された尿自体の色が識別しやすくなり、血尿などの尿自体の色のチェックによるペットの健康管理が容易となる。
【0014】
請求項4に係る本発明として、前記ペット用トイレ粒状片は、直径2mm〜15mm、長さ2mm〜30mmの略円柱状に形成され、
前記特殊機能付粒状片の配合比率は、直径45mmの円内に前記特殊機能付粒状片が3〜16粒存在することを条件に定められている請求項1〜3いずれかに記載のペット用トイレ粒状片が提供される。
【0015】
上記請求項4記載の発明は、前記ペット用トイレ粒状片を直径2mm〜15mm、長さ2mm〜30mmの略円柱状に形成した場合において、上記請求項1〜3いずれかに記載の発明の特殊機能付粒状片の配合比率を定めるとき、直径45mmの円内に特殊機能付粒状片が3粒〜16粒存在することを条件としたものである。
【0016】
請求項5に係る本発明として、前記特殊機能付粒状片は、尿との接触により原色に変色又は発色するように構成されている請求項1〜4いずれかに記載のペット用トイレ粒状片が提供される。
【0017】
上記請求項5記載の発明では、特殊機能付粒状片が尿との接触により淡黄色などの中間色から赤色又は青色などの原色に変色するもの、又は赤色又は青色に発色するもので構成することにより、排尿範囲に必要最低限の特殊機能付粒状片が介在する配合比率とした場合でも明確な色の変化が確認できるようになる。このような呈色反応を示す指示薬としては、例えばpH指示薬ではメチルレッド、BTBなどが挙げられる。
【0018】
請求項6に係る本発明として、前記特殊機能付粒状片とそれ以外の粒状片とは、1粒当たりの体積がほぼ同等に形成されている請求項1〜5いずれかに記載のペット用トイレ粒状片が提供される。
【0019】
上記請求項6記載の発明では、前記特殊機能付粒状片とそれ以外の粒状片とを、1粒当たりの体積がほぼ同等となるように形成することにより、ペット用トイレ粒状片の全体に特殊機能付粒状片がまんべんなく混在するようになり、任意の排尿位置で特殊機能付粒状片と尿との接触が生じるようになる。
【発明の効果】
【0020】
以上詳説のとおり本発明によれば、特殊機能付粒状片を所定の配合比率で混合することにより、特殊機能付粒状片の色の変化及び尿自体の色を確認し易くし、ペットの健康管理を容易にするとともに、余計なコスト増加を抑えたペット用トイレ粒状片が提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るペット用トイレ粒状片1の平面図である。
【図2】ペット用トイレ粒状片1の拡大図である。
【図3】ペット用トイレ粒状片1の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【0023】
本発明に係るペット用トイレ粒状片1は、図1に示されるように、表面に尿との接触により変色するpH指示薬等の指示薬を含有した特殊機能付粒状片3を8重量%以上35重量%未満含むものである。具体的には、前記ペット用トイレ粒状片1は、前記特殊機能付粒状片3と前記特殊機能を有さない通常の粒状片2とから構成され、前記特殊機能付粒状片3を8重量%以上35重量%未満、前記通常の粒状片2を92重量%未満65重量%以上の配合比率で混合してある。前記通常の粒状片2としては、表面が白色に形成された白色粒状片2であることが好ましく、この白色粒状片2の白色度を57%以上とすることが好ましい。
【0024】
この配合比率は、猫などのペットの1回の排尿量が一般的に20〜30mlであることを基準として、これをペット用トイレ粒状片1を敷き詰めたペット用トイレに流したとき、ペット用トイレ粒状片1の群の表面に尿が拡散することにより形成される排尿範囲が直径約45mmの円形状となることに着目して、この範囲内に特殊機能付粒状片3が3粒〜16粒存在することを条件に定められるものである。この3粒〜16粒という範囲は、後段で詳述するように、特殊機能付粒状片3の色の視認性及び尿自体の色の視認性がともに良好となる範囲である。なお、このときのペット用トイレ粒状片1として、図2に示されるように、直径D=2mm〜15mm、長さL=2mm〜30mmの略円柱状に形成されたものを使用している。
【0025】
前記特殊機能付粒状片3を前述の配合比率で混合することにより、排尿範囲内に確実にこの特殊機能付粒状片3を介在させることができるようになり、尿との接触による特殊機能付粒状片3の色の変化が確実に生じて、ペットの健康管理が容易となる。また、高価な指示薬を含有した特殊機能付粒状片3の配合比率を、その機能が発揮できる必要最小限の量とすることにより、余計なコスト増加を抑えることができる。さらに、白色粒状片2を前述の配合比率で配合するとともに、その白色度を57%以上とすることにより、この白色粒状片2に吸収された尿自体の色を識別しやすくすることができるようになり、血尿などの尿自体の色のチェックによるペットの健康管理が容易となる。
【0026】
前記ペット用トイレ粒状片1は、図3に示されるように、吸水性の基材部4の表面を被覆材5で被覆したものである。前記通常の粒状片2と特殊機能付粒状片3との違いは、前記被覆材5にpH指示薬等の各種指示薬を含有しているか否かであり、基材部4としては同じものが用いられている。
【0027】
前記基材部4を構成する素材は、吸水性の素材を含有するものであればよく、例えば木材、紙、ベントナイト、おから、高吸水性樹脂などの他、紙おむつや生理用ナプキン等の吸収性物品又はトイレットペーパーやテッシュペーパー等の衛生用品の不良品、裁断片、試作品、廃品などの粉砕物のうちから選択した1又は複数の素材を使用することができる。なお、前記吸収性物品には、プラスチックフィルム等の疎水性の素材が含有されるため、これらを選別除去しておくことが望ましい。
【0028】
前記被覆材5は、吸水性又は液透過性の素材が用いられるとともに、尿などの水分との接触により隣接するペット用トイレ粒状片1同士が接合して塊状となるように、紙粉や接着性の材料を含有させることが望ましい。前記被覆材5に含有される素材としては、例えば、木材、紙、ベントナイト、おから、高吸水性樹脂、界面活性剤、炭、消臭剤、芳香剤などがある。
【0029】
また、前記白色粒状片2では、白色度が57%以上となるように、前記被覆材5には、パルプが40〜70重量%含まれている。
【0030】
一方、前記特殊機能付粒状片3では、前記被覆材5には、pH測定用の指示薬や水との接触により変色又は発色する指示薬、特定の尿の成分に反応する指示薬など所定の機能が付与された指示薬が含有されている。これらの指示薬は、種類によっても異なるが、水との接触による変色又は発色が十分に視認可能な程度の量を含有させることが好ましく、例えば、pH測定用の指示薬では、1粒当たり0.5〜5.0重量%含有させることができる。
【0031】
これらの指示薬は、尿との接触により淡黄色などの中間色から赤色又は青色などの原色に変色するもの、或いは赤色又は青色などの原色に発色するものが好ましい。このように比較的白色に近いパステルカラーなどの中間色から原色に近い鮮やかな色に変色させることにより、排尿範囲に必要最低限の特殊機能付粒状片3が介在する配合比率とした場合でも、特殊機能付粒状片3の色の変化が明確に視認できるようになる。かかる呈色反応を示す指示薬としては、例えばpH指示薬ではメチルレッド、BTBなどが挙げられる。
【0032】
ところで、前記特殊機能付粒状片3とそれ以外の粒状片とは、1粒当たりの体積をほぼ同等に形成することが好ましい。これにより、ペット用トイレ粒状片1の全体に特殊機能付粒状片3がまんべんなく混在するようになり、任意の排尿位置で特殊機能付粒状片3と尿との接触が生じるようになる。
【0033】
前記ペット用トイレ粒状片1を製造するには、前記基材部4を構成する素材を乾燥後粉砕し、スクリュー式等の押出し造粒装置から押し出されたものを所定の長さで切断してペレット状の成形体とした上で、その表面を前記被覆材5で被覆する。
【実施例】
【0034】
前記特殊機能付粒状片3と白色粒状片2とからなるペット用トイレ粒状片1において、前記特殊機能付粒状片3の配合比率を変化させたときに、直径45mmの円内に介在する特殊機能付粒状片3の数、特殊機能付粒状片3の色の視認性、尿自体の色の視認性について比較検討した。
【表1】


○:視認容易、△:視認しにくい
特殊機能付粒状片3の配合比率が8重量%未満では特殊機能付粒状片3の色の変色が視認しにくくなり、35重量%以上では白色粒状片2に吸収された尿の色が視認しにくくなる。特殊機能付粒状片3の色の視認性及び尿自体の色の視認性がともに良好となる直径45mmの円内に介在する特殊機能付粒状片3の数は、3粒〜16粒である。従って、特殊機能付粒状片3の配合比率は8重量%以上35重量%未満、白色粒状片2の配合比率は92重量%未満65重量%以上であることが好ましい。
【符号の説明】
【0035】
1…ペット用トイレ粒状片、2…通常の粒状片(白色粒状片)、3…特殊機能付粒状片、4…基材部、5…被覆材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に尿との接触により変色する指示薬を含有した特殊機能付の粒状片を含むペット用トイレ粒状片であって、
前記特殊機能付粒状片を8重量%以上35重量%未満の割合で配合してあることを特徴とするペット用トイレ粒状片。
【請求項2】
前記ペット用トイレ粒状片は、前記特殊機能付粒状片と前記特殊機能を有さない通常の粒状片とからなり、
前記特殊機能付粒状片を8重量%以上35重量%未満、前記通常の粒状片を92重量%未満65重量%以上の配合比率で混合してある請求項1記載のペット用トイレ粒状片。
【請求項3】
前記通常の粒状片は表面が白色の粒状片とされ、前記白色粒状片の白色度が57%以上である請求項2記載のペット用トイレ粒状片。
【請求項4】
前記ペット用トイレ粒状片は、直径2mm〜15mm、長さ2mm〜30mmの略円柱状に形成され、
前記特殊機能付粒状片の配合比率は、直径45mmの円内に前記特殊機能付粒状片が3〜16粒存在することを条件に定められている請求項1〜3いずれかに記載のペット用トイレ粒状片。
【請求項5】
前記特殊機能付粒状片は、尿との接触により原色に変色又は発色するように構成されている請求項1〜4いずれかに記載のペット用トイレ粒状片。
【請求項6】
前記特殊機能付粒状片とそれ以外の粒状片とは、1粒当たりの体積がほぼ同等に形成されている請求項1〜5いずれかに記載のペット用トイレ粒状片。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−55241(P2012−55241A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202134(P2010−202134)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】