説明

ペット用トイレ

【課題】
この発明は、取り付けたシーツが不測に取り外れることがなく、しっかりと取り付けることができるペット用トイレの提供を目的とする。
【解決手段】
シーツを載置するトイレ本体11と、該トイレ本体11に載せたシーツを上方から押さえ付けて固定する押え枠31と、該押え枠31を上記トイレ本体11に係合することにより固定する固定具21とを備えて構成したペット用トイレ10であって、上記固定具21を、上記押え枠31の外周縁部に枢着し、上記トイレ本体11の外周縁部における上記固定具21に対応する位置に、上記トイレ本体11に対する上記押え枠31の回動軸となる軸部14を形成し、上記固定具21に、上記軸部14を回動可能に受ける軸受け部24を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、犬や猫などのペットが使用するペット用トイレに関し、より詳しくは、シーツを敷設して使用するペット用トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のペット用トイレは、従来よりトイレ本体にシーツを載置し、さらに上方から押え枠でシーツを押えて用いるものが多数普及している。
【0003】
しかし、シーツを押え枠で押えるだけで固定した場合、シーツを挟む力が弱くなり、ペットがシーツを引っ掻くなどした場合にシーツが外れることがあった。
【0004】
特許文献1において、このような課題に対してなされたペット用トイレが提案されている。
上蓋とトレイのシートを押える上ぶた(押え枠)でシートを固定するのに加え、トレイ(トレイ本体)に枢着した係合フックを押え枠に引っ掛けることにより、シーツを、単に、上ぶた(押え枠)で押し付けるよりも上ぶたとトレイとで強固にシーツを挟み込んで固定するものである。
【0005】
しかし、特許文献1のペット用トイレは、トレイに枢着した係合フックをトレイよりも上方に有する上ぶたに係合する構成であるため、係合フックの係合部分がペット用トイレの外周側上端部分に位置することになる。このペット用トイレの外周側上端部分は、ペットが日常的に噛んだり引っ掻いたりし易い部分となるため、係合フックの係合が不測に外れるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−166888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこでこの発明は、取り付けたシーツが不測に取り外れることがなく、しっかりと取り付けることができるペット用トイレの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、シーツを載置するトイレ本体と、該トイレ本体に載せたシーツを上方から押さえ付けて固定する押え枠と、該押え枠を上記トイレ本体に係合することにより固定する固定具とを備えて構成したペット用トイレであって、上記固定具を、上記押え枠の外周縁部に枢着し、上記トイレ本体の外周縁部における上記固定具に対応する位置に、上記トイレ本体に対する上記押え枠の回動軸となる軸部を形成し、上記固定具に、上記軸部を回動可能に受ける軸受け部を形成したことを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、上記固定具を、上記押え枠の外周縁部に枢着したため、ペット用トイレの下側部分に係合させて押え枠とトイレ本体とを固定することができる。このため、ペットが噛んだり引っ掻いたりし易いペット用トイレの外周端部の上側においては、固定具の係合部分が存在しない構成とすることができ、該外周端部の上側をペットが噛んだり引っ掻くなどしてもペット用トイレの係合が不測に解除され、取り付けたシーツが不測に取り外れることがなく、しっかりと取り付けることができる。
【0010】
この発明の態様としてシーツを押える押え網を備え、上記押え枠の下側から上記押え網を取り外し可能に固定する押え網固定手段を、上記押え枠の下側に形成
することができる。
【0011】
上記構成によれば、上記押え網を備えているため、ペットが押え網の上からシーツを爪で引っ掻いたり、噛んだりしても、取り付けたシーツが破れないよう保護することができる。
【0012】
上記押え網は、上記押え網固定手段により上記押え枠に固定されているため、シーツが取り外れないよう、しっかりと取り付けることができる。さらに、シーツ交換の際に、上記押え枠とともに、上記押え網も一体でトイレ本体から取り外すことができる。
【0013】
このため、本発明のペット用トイレは、シーツ交換の際に、従来のように、上記押え枠と上記押え網とを別々に取り付けたり取り外したりする手間を要さず、シーツ交換を容易に行うことができる。
【0014】
またこの発明の態様として上記押え枠の外周縁部における上記軸部を間に挟んで上記固定具と対向する対向位置に、上記押え枠の外周縁部の上部から下方へ向けて突出する固定具係合片を形成し、上記固定具係合片の下部に、上記固定具に形成した係合部と係合可能な被係合部を形成し、上記軸受け部は、上記軸部を着脱可能に上記固定具係合片に向けて開放された軸受け形態で形成し、上記固定具係合片における上記固定具との対向部分に、上記軸部に向けて突出するリブを形成することができる。
【0015】
上記構成によれば、上記固定具係合片における上記固定具との対向部分に、上記軸部に向けて突出するようリブを形成することにより、軸部が軸受け部に軸受けされた状態に保たれるよう規制することができる。
【0016】
よって、上記押え枠をトイレ本体に対して回動させる際に、回動中心となる軸部が不測にガタつくことがなく、上記押え枠をトイレ本体に対して安定して回動させることができる。従って、シーツ交換を容易に行うことができる。
【0017】
詳しくは、上記固定具に形成した軸受け部は、軸部を回動可能に受けているが、軸部を着脱可能に上記固定具係合片に向けて開放された軸受け形態で形成されている。これにより、軸受け部に対して軸部を適宜、分離することにより、押え枠をトイレ本体に対して取り外すことができる。
【0018】
しかし、その一方で上記押え枠をトイレ本体に対して回動させる際に、軸受け部に対して軸部が不測に離れた場合、軸受け部と固定具係合片との間に有する空間内を軸部が不測に動くことになる。
【0019】
これにより、上記押え枠をトイレ本体に対して上記軸部を回動中心として回動させようとしたとき、上記押え枠がガタつくため、安定したスムーズな回動を実現することができない。
【0020】
これに対して、本発明のペット用トイレでは、上記固定具係合片における上記固定具との対向部分に、上記軸部に向けて突出するリブを形成することにより、軸部が軸受け部から離れないよう軸部を規制することができる。
【0021】
よって、上記押え枠をトイレ本体に対して上記軸部を回動させる際に、軸部が不測にガタつくことがなく、安定した回動を実現できる。
【0022】
またこの発明の態様として上記軸部を、上記軸受け部により受けられる細軸部と該細軸部よりも大径である大軸部とで構成し、上記固定具係合片における上記大軸部との対向部分に、上記トイレ本体に対して上記押え枠が上記軸部を中心に回動するに伴って上記大軸部に支持されながら回動する支持部を形成し、上記リブを、上記細軸部との間隔が、上記大軸部と上記支持部との間隔と同じになる突出量で上記細軸部に向けて突出させて形成することができる。
【0023】
上記構成により、上記押え枠を上記トイレ本体に対して回動させる際に、係合部と被係合部との係合が解除され、トイレ本体に対して押え枠が外れてしまうことを阻止することができる。
【0024】
よって、上記押え枠を上記トイレ本体に対してスムーズに安定して回動させることができ、シーツ交換を容易に行うことができる。
【0025】
詳しくは、支持部は、大軸部に支持された状態で大軸部回りを回動する。このため、上記固定具係合片の長さ方向の全体が軸部に当接する場合と比較して接触抵抗を低減できるため、上記押え枠をトイレ本体に対してスムーズに回動させることができる。
【0026】
また、上記押え枠を回動させる間、大軸部に当接する支持部が押え枠を支持する。これにより、大軸部には、支持部を介して押え枠の自重(重力)が加わることになる。
【0027】
しかし、上記押え枠を上記トイレ本体に対して回動させるに従って、支持部は、上記押え枠の自重が加わる鉛直方向に対して傾いた状態となり、ダイレクトに押え枠を支持することが困難となる。
【0028】
このため、大軸部は、支持部を介して押え枠の自重が加わることにより固定具係合片へ向けて開放された開放空間へ押し出される力を受けることになる。
【0029】
よって、この力により係合部と被係合部との係合が不測に解除され、押え枠をトイレ本体に対して回動させる際に、押え枠がトイレ本体から取り外れてしまうという難点を有していた。
【0030】
これに対して、本発明では、上記リブを、上記細軸部との間隔が、上記大軸部と上記支持部との間隔と同じになる突出量で上記細軸部に向けて突出させて形成することにより、上記押え枠を上記トイレ本体に対して回動させる際に、リブが細径部に当接することで支持部が大軸部を過度に押圧され、軸受け部から離間することで係合部と被係合部との係合が解除され、トイレ本体に対して押え枠が外れてしまうことを阻止することができる。
【0031】
よって、上記押え枠を上記トイレ本体に対してスムーズ、且つ、安定して回動させることができ、シーツ交換を容易に行うことができる。
【0032】
またこの発明の態様として上記固定具における上記押え枠に対して枢着した上記枢着軸の軸周り部分を、多角形状で形成し、多角形状の軸周り部分の各面を受ける軸周り受け部を上記押え枠に形成することができる。
【0033】
上記固定具の上記枢着軸の軸周り部分は、多角形状で形成しているため、その多角形状の軸周り部分のいずれかの面を軸周り受け部で受けることにより、固定具の枢動範囲において、固定具を段階的に位置決めすることができる。
【0034】
またこの発明の態様として上記固定具を、上記押え枠の外周縁部において対向する長辺状端辺部のそれぞれに枢着することができる。
【0035】
上記構成によれば、上記固定具を、対向する長辺状端辺部のそれぞれに枢着しているため、対向するいずれか一方の長辺状端辺部に枢着する場合と比較してより強固に押え枠をトイレ本体に対して係合により固定することができる。
【0036】
またこの発明の態様として上記トイレ本体の下部を、該トイレ本体の底面から上方へ進むに連れ、上記底面に対して平面視外側へ広がる形状で形成することができる。
【0037】
ペット用トイレを、ペット用ケージやペット用サークルの床面に載置されることが多い底浅の受け皿として形成したペット用トレーの底面に載置する場合でも、ペット用トレーの側壁面とペット用トイレの外周縁部との間に不要な隙間が構成されることなく載置することができる。
【0038】
詳しくは、ペット用トレーは、一般に金型の抜き勾配などの成形性、或いは、利便性などの観点で、側壁面が底面に対して直角、又は、平面視外側へ広がる形状に傾斜した底浅の樹脂成形品であるものが一般的である。
【0039】
このため、上記トイレ本体の下部を、該トイレ本体の底面から上方へ進むに連れ、上記底面に対して平面視外側へ広がる形状で形成することにより、ペット用トレーの側壁面の形状と略一致させることができ、ペット用トレーにペット用トイレを重ね合わせるように載置したとき、平面視するとペット用トイレの外周縁部とペット用トレーの側壁面との間に不要な隙間なく設置できる。このため、設置スペースを有効に利用できるとともに、ペット用トレーに尿が流入しないようペット用トイレによって確実に尿を受けることができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明では、取り付けたシーツが不測に取り外れることがなく、しっかりと取り付けることができるペット用トイレを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本実施形態のペット用トイレの外観図。
【図2】本実施形態のペット用トイレの平面図。
【図3】本実施形態のペット用トイレの構成説明図。
【図4】本実施形態のペット用トイレの構成説明図。
【図5】本実施形態のペット用トイレの底面図。
【図6】本実施形態のトイレ本体の構成説明図。
【図7】本実施形態の固定具の構成説明図。
【図8】本実施形態の押え枠の構成説明図。
【図9】本実施形態の押え網の底面図。
【図10】本実施形態の押え網の構成説明図。
【図11】押え枠と押え網との取り付け構造の説明図。
【図12】固定具の枢動範囲における位置決めの様子を示す説明図。
【図13】本実施形態のペット用トイレの作用説明図。
【図14】他の実施形態のペット用トイレの作用説明図。
【図15】従来のペット用トイレの説明図。
【図16】従来のペット用トイレの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
この発明の一実施形態を、以下図面を用いて説明する。
本実施形態におけるペット用トイレ10は、図1から図5に示すように構成している。
なお、図1は、ペット用トイレ10の外観図であり、図2は、ペット用トイレ10の平面図である。図3(a)は、ペット用トイレ10の右側面図、図3(b)は、一部拡大して示した図2中のE−E線端面図である。図4(a)は、ペット用トイレ10の正面図であり、図4(b),(c),(d),(e)は、図2中のそれぞれA−A線拡大端面図、B−B線拡大端面図、C−C線拡大端面図、D−D線拡大端面図である。図5は、ペット用トイレ10の底面図である。
【0043】
ペット用トイレ10は、図1に示したように、角部分を湾曲させた長方形板状に形成され、シーツ(図示せず)を載置するトイレ本体11と、該トイレ本体11に載せたシーツを上方から押さえ付けて固定する押え枠31と、押え枠31の中央側でシーツを押える押え網41と、押え枠31をトイレ本体11に係合することにより固定する固定具21とで構成している。
【0044】
図6に示すように、トイレ本体11は、外周縁部に周壁11aを有する皿状で、中央部分には、若干底上げをした平坦な便床部11bが形成されるとともに、その外周部位に、載せたシーツの固定を行う部位である固定溝11cが形成されている。
なお、図6(a),(b),(c)は、トイレ本体11のそれぞれ平面図、右側面図、正面図である。
【0045】
固定溝11cには、固定するシーツに抵抗を付与する複数の突条12が略等分配されている。
【0046】
トイレ本体11の周壁11aにおける対向長辺部分の各長辺部分の中間位置には、幅方向Wの内側へ切り欠いた切欠き部13を形成している。
【0047】
切欠き部13間には、トイレ本体11の長辺方向Lにトイレ本体11に対する押え枠31の回動軸となる軸部14を横架している。
【0048】
軸部14は、その長さ方向の略全体を占める円柱状の細軸部14Aと、細軸部14Aと比較して大径である大軸部14Bを形成している。大軸部14Bは、細軸部14Aの長さ方向の両端部、換言すると、切欠き部13の長辺方向Lの両端部分との連結部分に形成している。
【0049】
上記固定具21は、ペット用トイレ10を平面視したとき、上記切欠き部13に相当する部分に備えている(図2参照)。
固定具21は、図3(a)、及び、図7に示すように、切欠き部13に嵌め込み可能に切欠き部13の長辺方向Lと略同じ長さで形成し、断面視すると基端部(図7(e)中の上端部)から先端側(図7(e)中の下端側)へトイレ本体11、及び、押え枠31の外周縁部の湾曲ラインと略同じ湾曲ラインで伸びる弧状に形成している。
なお、図7(a),(b),(c),(d),(e)は、固定具21の正面図、平面図、背面図、底面図、右側面図である。図7(f),(g)は、それぞれ図7(c)のA−A線端面図、B−B線端面図である。
【0050】
固定具21の基端部には、押え枠31に枢着可能に上記長辺方向Lの両側から突出する枢着軸22を形成するとともに、固定具21の先端部には、押え枠31側へ係合可能な係合部23を形成している。
【0051】
断面視弧状形状で形成した固定具21の中途部分は、円弧状に外側へ突出し、該突出部分を、その内周部分により軸部14を回動可能に受ける軸受け部24として形成している。
【0052】
固定具21の上記枢着軸22の軸周り部分25は、4つの略平坦ライン25a,25b,25c,25dを有する多角形状の外周で構成される(図7(e)参照)。
【0053】
上記押え枠31は、図8、及び、図9に示すように、トイレ本体11の周壁11aに載置することができる長方形状の枠状に形成し、トイレ本体11の周壁11aと連続する外周形状を構成する緩やかに湾曲した外周壁31aと、該外周壁31aの内周縁部には、下方へ傾斜した内周延設部31bとを形成し、内周延設部31bの下面によりシーツを押圧している。内周延設部31bの内周縁部の下面には、下方へ向けて突状に垂下する押圧突起32を形成している(図9中の一部拡大図参照)。
なお、図8(a),(b),(c)は、押え枠31のそれぞれ平面図、正面図、右側面図であり、図9は、押え枠31の底面図である。
【0054】
これら押圧突起32と上記突条12との間には、図3及び図4に示したようにシーツを挟み込む適宜の隙間が設けられる。
【0055】
シーツは、図示しないが、トイレ本体11に敷設し、押え枠31及びカバー部42とトイレ本体11との間に挟み込んで取り付けることができる。
【0056】
その際、シーツを押え枠31の押圧突起32とトイレ本体11の突条12とでシーツの端部をジグザグ形状に変形させた状態にすることにより位置ずれしないよう固定することができる。
【0057】
また、押え枠31の外周縁部におけるトイレ本体11の切欠き部13に相当する部分には、上端部から段状に降下した段差部33と、該段差部33の先端側からトイレ本体11の切欠き部13へ向けて下方へ垂下した固定具係合片34を形成している(図4(b)参照)。固定具係合片34は、切欠き部13においてトイレ本体11の軸部14と対向するよう上記長片方向に沿って形成している(図8(b),(c)参照)。
【0058】
固定具係合片34の下部には、固定具21の係合部23と係合可能な被係合部35を形成している。
【0059】
固定具係合片34の軸部14との対向部分には、上記軸部14に向けて突出するリブ36を形成している(図4(c)、及び、図8(a),(c)、図9の一部拡大図参照)。
上記リブ36は、固定具係合片34の軸部14との対向部分の両側部分に、上下方向に沿った突出形状で形成し、該対向部分に対して上記細軸部14Aに略接触する突出量で形成している(図4(c)参照)。
【0060】
段差部33の上記長辺方向Lの両側には、固定具21の枢軸を枢着可能に形成するとともに、該押え枠31をトイレ本体11の上方からセットしたとき、トイレ本体11の大軸部14Bと干渉する部分を段状に切り欠いた逃げ部38Aを形成している(図8(c)の一部拡大図参照)。
【0061】
押え枠31におけるトイレ本体11の大軸部14Bとの対向部分、換言すると、固定具係合片34の上記長辺方向Lの両端部の逃げ部38Aの近傍部分には、トイレ本体11に対して押え枠31が軸部14を中心に回動するに伴って大軸部14Bに支持されながら回動する支持部38を形成している。
【0062】
上記支持部38は、その先端部分が上記大軸部14Bの外周面に略接触するよう形成している。
【0063】
上記押え網41は、図10に示すように、シーツと同様の長方形シート状で、シーツの表面に被さるカバー部42と、カバー部42を押え枠31側に固定する押え枠取付け部43とで形成している。押え網41は、合成樹脂で形成しているが、金属など適宜の材料で形成してもよい。
なお、図10(a),(b),(c)は、押え網41のそれぞれ平面図、右側面図、正面図であり、図10(d),(e),(f),(g)は、図10(a)のそれぞれA−A線端面図、B−B線端面図、C−C線端面図、D−D線端面図である。
【0064】
カバー部42は、枠状の押え枠31の内側(中央側)の空間部分に相当する平面視長方形状で形成し、底浅の底面部分全体を方形の目(上記隙間部44)を有する網状に形成している。
【0065】
詳しくは、網状のカバー部42は、シーツの表面側へ尿が通過する大きさをした複数の隙間部44を全体に有した格子状に形成している。
上記カバー部42を構成する複数の線状部42aは、複数本ごとにシーツを押圧可能に下方へ突状に形成している。
【0066】
上記押え枠取付け部43は、幅方向の中間部分から長辺方向Lの外側へ突片状に形成し、その幅方向Wの両側部分には、厚み方向に連通した平面視長方形状の係合孔45が形成されている。
【0067】
また、押え網41を押え枠31に取り付けたとき、係合孔45と上下方向で対向する押え枠31の対向部分には、上記係合孔45へ差し込み可能な係合突出部39を形成している(図9参照)。
【0068】
係合孔45の周縁部分と係合突出部39との周縁部には、係合孔45を係合突出部39に差し込んだとき、互いに係合可能に突出した係合片39a,45aをそれぞれ形成している。
【0069】
上述したペット用トイレ10が奏する作用、効果について説明する。
上述したように、シーツを押える押え網41を備え、上記押え枠31の下側から上記押え網41を取り外し可能に固定する係合突出部39、及び、係合孔45を上記押え枠31の下側に形成しているため、押え網41は、押え枠31に対して取り外し自在であり、且つ、優れた一体性で取り付けることができる。
【0070】
詳しくは、図11(a),(b)に示すように、押え網41の押え枠取付け部43に形成した係合孔45に、押え枠31の係合突出部39を差し込むことにより、係合突出部39の係合片39aと係合孔45の周縁部の係合片45aとを係合させることができる。これにより、押え網41を押え枠31に対して取り外し可能に一体化することができる。
【0071】
さらに、押え網41側の係合片39aと押え枠31側の係合片45aとの係合部23分は、押え枠31の下側部分、すなわち、押え枠31の外周壁31a、及び、内周延設部31bにより上方から覆われた部分に構成している(図11(b)参照)。
【0072】
これにより、押え網41側の係合片45aと押え枠31側の係合片39aとの係合部分にペットが爪で引っ掻くなどして直接、接触することを阻止し、互いの係合が不測に外れることを防ぐことができる。
【0073】
よって、上記カバー部42を、シーツの表面に広げられた状態に保つことができ、ペットがシーツを引っ掻いたり噛んだりしようとしても、カバー部42それ自体がペットの爪や歯がシーツに当たるのを阻止することでシーツを保護することができる。
【0074】
さらに、シーツを交換する際には、押え枠31と押え網41とをシーツから別々に着脱する必要がなく、押え枠31をトイレ本体11に対して回動させることにより、押え網41も押え枠31と一体に取り外すことができ(図11(b)の仮想線で示した押え枠31、及び、押え網41参照)、押え枠31、及び、押え網41をシーツに対して着脱することができ、シーツ交換をスムーズに行なうことができる。
【0075】
さらにまた、押え網41は、押え枠31をトイレ本体11に対して回動させてシーツから離間した状態で押え枠31の下面(裏面)側から軽く引張るだけで容易に押え網41側の係合片45aと押え枠31側の係合片39aとの係合を外すことができる。
【0076】
よって、押え網41を押え枠31から取り外した扱い易い状態で洗浄などをすることができる。
【0077】
また、上述したように、上記固定具21の上記枢着軸22の軸周り部分25を、4つの略平坦ライン(端辺部分)25a,25b,25c,25dを含む外周形状で形成している(図4(b)参照)。
【0078】
上記構成により、図12(a)、及び、図12(a)の一部拡大図に示すように、固定具21の先端が下方に位置し、係合部23が押え枠31の被係合部35に対して係合した状態では、段差部33の平坦な水平面33hと上記枢着軸22の軸周り部分25の平坦ライン25aとが面接触状態で接触するため、固定具21が、がたつくことなく係合部23と被係合部35との係合状態をしっかりと保つことができる。
【0079】
さらに、係合部23と被係合部35との係合を外し、固定具21を時計周りに略45度回動させたとき、図12(b)に示すように、段差部33の平坦な水平面33hと上記枢着軸22の軸周り部分25の平坦ライン25bとが面接触状態で接触するとともに、段差部33の平坦な垂直面33vと上記枢着軸22の軸周り部分25の平坦ライン25dとが面接触状態で接触する。
【0080】
これにより、固定具21を図12(b)に示す姿勢を保つよう位置決めすることができる。
【0081】
さらに、固定具21を図12(a)に示した姿勢から図12(c)に示す姿勢となるように、固定具21を時計周りに略90度回動させたとき、段差部33の平坦な水平面33hと上記枢着軸22の軸周り部分25の平坦ライン25cとが面接触状態で接触するとともに、段差部33の平坦な垂直面33vと上記枢着軸22の軸周り部分25のライン25eとが面接触状態で接触する。
【0082】
これにより、固定具21を図12(c)に示す姿勢を保つよう位置決めすることができる。
【0083】
さらに、固定具21を図12(a)に示した姿勢から図12(d)に示す姿勢となるように、固定具21を時計周りに略135度回動させたとき、段差部33の平坦な水平面33hと上記枢着軸22の軸周り部分25の平坦ライン25dとが面接触状態で接触する。
【0084】
これにより、固定具21を図12(d)に示すように枢動範囲の最大枢動角度まで回動させた回動姿勢で位置決めすることができる。
【0085】
このように、固定具21を段階的な任意の回動姿勢で位置決めすることができるため、押え枠31のトイレ本体11に対する回動、取り外し、或いは、軸部14近傍の清掃などの作業を行なう際に固定具21を所望の回動姿勢に位置決めしてスムーズにこれら作業を行うことができる。
【0086】
また、ペット用トイレ10は、上述したように、上記軸部14を、上記軸受け部24により受けられる細軸部14Aと、該細軸部14Aよりも大径である大軸部14Bとで構成し、細軸部14Aの長さ方向の両端部に大軸部14Bを形成している。
【0087】
さらに、上記固定具係合片34の上記長辺方向Lの両端側における上記大軸部14Bとの対向部分に、上記トイレ本体11に対して上記押え枠31が上記軸部14を中心に回動するに伴って上記大軸部14Bに支持されながら回動する支持部38を形成している(図4(d)参照)。
【0088】
これら構成により、上記押え枠31を上記トイレ本体11に対して回動させる際に、支持部38は、大軸部14Bに点接触状態で当接支持された状態で大軸部14B回りを回動する。このため、上記固定具係合片34の長辺方向L全体が細軸部14Aに当接する場合と比較して接触抵抗を低減でき、トイレ本体11に対する上記押え枠31のスムーズな回動を実現させることができる。
【0089】
ところが、このような構成を単純に採用した場合、新たな課題が発生する。この課題について、大軸部14Bと、該大軸部14Bに支持される支持部38とを備えた従来のペット用トイレ100を例にとり、図15を用いて説明する。
なお、図15(a1),(a2),(a3)は、いずれも図13(c)のA−A線端面図に対応し、図15(b1),(b2),(b3)は、いずれも図13(c)のB−B線端面図に対応する。
【0090】
図15(a1),(b1)に示すように、上記押え枠31を上記トイレ本体11に対して回動させていくと、その間、支持部38は、大軸部14Bに当接しながら押え枠31を支持した状態となり、大軸部14Bには、支持部38を介して押え網41も含めた押え枠31の自重F1(重力)が加わることになる(図15(a1)参照)。
【0091】
図15(a2),(b2)に示すように、上記押え枠31を上記トイレ本体11に対して例えば、90度以上回動させると、支持部38は、上記押え枠31の自重F1が加わる方向(鉛直方向)に対して大きく傾いた状態となり、該支持部38が大軸部14Bに傾いた状態で当接され、ダイレクトに押え枠31を支持することが困難となる。
【0092】
このため、図15(a2)に示すように、押え枠31の自重F1は、大軸部14Bを、支持部38を介して支持部38近傍に構成される隙間Aを通じて固定具係合片34へ向けて開放された開放空間zへ押し出す方向の力F2として作用することになる。やがてこの力F2により、図15(a3),(b3)に示すように、係合部23と被係合部35との係合が不測に解除され、押え枠31をトイレ本体11に対して回動させる際に、押え枠31がトイレ本体11から取り外れてしまうという課題を有していた。
【0093】
これに対して、本実施形態のペット用トイレ10では、図13(b1)に示すように、固定具係合片34には、リブ36を、上記細軸部14Aとの間隔が、上記大軸部14Bと上記支持部38との間隔と同じになる突出量で上記細軸部14Aに向けて突出させて形成している。
【0094】
換言すると、リブ36は、図13(a1)に示すように、大軸部14Bと支持部38とが略接触しているのと同様に、図13(b1)に示すように、細軸部14Aに対して略接触する突出量で突出させて形成している。
【0095】
このため、図13(a2)に示すように、上記押え枠31を上記トイレ本体11に対して回動させ、支持部38が上記押え枠31の自重F1が加わる方向(鉛直方向)に対して傾いた状態となっても、図13(b2),(b3)に示すうに、リブ36が細軸部14Aを当接支持する。
【0096】
これにより、支持部38のみが押え枠31の自重F1を過度に受けることで大軸部14Bを過度に押圧されることを阻止することができ、支持部38が大軸部14Bを支持する際に支持部38近傍の隙間Aを通じて軸部14が開放空間zへ押し出されることを阻止することができる(図13(a3)参照)。
【0097】
すなわち、上記押え枠31を上記トイレ本体11に対して回動させる際に、係合部23と被係合部35との係合が解除され、トイレ本体11に対して押え枠31が外れてしまうことを阻止することができる。
【0098】
よって、図13に示すように、上記押え枠31を上記トイレ本体11に対してスムーズに安定して回動させることができ、シーツ交換を容易に行うことができる。
【0099】
また、本発明のペット用トイは、上述した実施形態に限らず、他の実施形態で構成することができる。
例えば、ペット用トイレ10Aは、図14(a1),(a2)に示すように、上述したように大軸部14Bに支持される支持部38を有した構成を必須の構成とせずに構成することができる。
【0100】
この構成の場合でも、図14(b1),(b2)に示すように、上記固定具係合片34における上記固定具21との対向部分に、上記軸部14に向けて突出するリブ36を形成することが好ましい。
【0101】
この構成について詳述する前にペット用トイレの一般の実施形態を前提として説明する。図16(b1)に示すように、固定具21を、ペット用トイレ10の下部に有する上記押え枠31の先端側を内側(図16(b1)中のI方向)へ湾曲させた形状とすることで、固定具21の係合部23と押え枠31の被係合部35とを、ペット用トイレ10の外周縁部に対して幅方向Wの内側(I方向)へ入り込ませた部分において係合させている。
【0102】
これにより、ペット用トイレ10の外周縁部の側方から加わる外力に対して不測に係合部23と被係合部35との係合が外れ難い構成を実現している。
【0103】
そして、これに伴って、係合部23と被係合部35とがしっかりと係合した状態を保つことができるよう、係合部23と被係合部35との係合位置にあわせて枢着軸22も、図16(b1)に示すよう、ペット用トイレ10の外周縁部に対して幅方向Wの内側(I方向)へ入り込んだ部分に構成している。
【0104】
しかし、上記軸受け部24は、細軸部14Aに対して着脱可能に上記固定具係合片34に向けて開放された半円弧状の軸受け形態で形成しているため、固定具21と固定具係合片34との間には、必然的に空間zが構成されることになる。
【0105】
従って、従来のペット用トイレ100Aの場合、図16(b2),(b3)に示すように、上記押え枠31をトイレ本体11に対して回動させると、細軸部14Aは、軸受け部24から離間し、固定具21と固定具係合片34との間に有する空間zへと不測に動くため、上記押え枠31を回動させている間、細軸部14Aは、空間z内でがたつくことになる。
【0106】
よって、上記押え枠31をトイレ本体11に対して上記軸部14を回動中心として回動させようとしても、上記押え枠31がガタつくため、安定したスムーズな回動を実現できない。
【0107】
これに対して、本発明における他の実施形態のペット用トイレ10Aでは、図14(b1)に示すように、上記固定具係合片34における上記固定具21との対向部分に、軸部14Aに向けて突出するリブ36を形成することにより、軸部14が軸受け部24から離れないよう軸部14を規制することができる。
【0108】
よって、図14(a2),(b2)に示すように、ペット用トイレ10Aは、支持部38を有しない構成であっても、上記押え枠31をトイレ本体11に対して上記軸部14を回動させる際に、軸部14が軸受け部24から離れることなく不測にガタつくことがなく、安定した回動を実現できる。
【0109】
上述した実施形態と、この発明の構成との対応において、段部33の水平面33h、又は、段部33の垂直面33vは、軸周り受け部に対応するものとする。
【符号の説明】
【0110】
10,10A…ペット用トイレ
11…トイレ本体
21…固定具
31…押え枠
41…押え網
14…軸部
14A…細軸部
14B…大軸部
22…枢着軸
23…係合部
24…軸受け部
25…軸周り部分
34…固定具係合片
35…被係合部
36…リブ
38…支持部
39…係合突出部
39a,45a…係合片
43…押え枠取付け部
45…係合孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーツを載置するトイレ本体と、該トイレ本体に載せたシーツを上方から押さえ付けて固定する押え枠と、該押え枠を上記トイレ本体に係合することにより固定する固定具とを備えて構成したペット用トイレであって、
上記固定具を、上記押え枠の外周縁部に枢着し、
上記トイレ本体の外周縁部における上記固定具に対応する位置に、上記トイレ本体に対する上記押え枠の回動軸となる軸部を形成し、
上記固定具に、上記軸部を回動可能に受ける軸受け部を形成した
ペット用トイレ。
【請求項2】
シーツを押える押え網を備え、
上記押え枠の下側から上記押え網を取り外し可能に固定する押え網固定手段を、上記押え枠の下側に形成した
請求項1に記載のペット用トイレ。
【請求項3】
上記押え枠の外周縁部における上記軸部を間に挟んで上記固定具と対向する対向位置に、上記押え枠の外周縁部の上部から下方へ向けて突出する固定具係合片を形成し、
上記固定具係合片の下部に、上記固定具に形成した係合部と係合可能な被係合部を形成し、
上記軸受け部は、上記軸部を着脱可能に上記固定具係合片に向けて開放された軸受け形態で形成し、
上記固定具係合片における上記固定具との対向部分に、上記軸部に向けて突出するリブを形成した
請求項1、又は、2に記載のペット用トイレ。
【請求項4】
上記軸部を、上記軸受け部により受けられる細軸部と該細軸部よりも大径である大軸部とで構成し、
上記固定具係合片における上記大軸部との対向部分に、上記トイレ本体に対して上記押え枠が上記軸部を中心に回動するに伴って上記大軸部に支持されながら回動する支持部を形成し、
上記リブを、
上記細軸部との間隔が、上記大軸部と上記支持部との間隔と同じになる突出量で上記細軸部に向けて突出させて形成した
請求項3に記載のペット用トイレ。
【請求項5】
上記固定具における上記押え枠に対して枢着した枢着軸の軸周り部分を、多角形状で形成し、
多角形状の軸周り部分の各面を受ける軸周り受け部を上記押え枠に形成した
請求項3、又は、4に記載のペット用トイレ。
【請求項6】
上記固定具を、上記押え枠の外周縁部において対向する長辺状端辺部のそれぞれに枢着した
請求項1から5のいずれかに記載のペット用トイレ。
【請求項7】
上記トイレ本体の下部を、該トイレ本体の底面から上方へ進むに連れ、上記底面に対して平面視外側へ広がる形状で形成した
請求項1から6のいずれかに記載のペット用トイレ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2011−193879(P2011−193879A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119589(P2011−119589)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【分割の表示】特願2009−246095(P2009−246095)の分割
【原出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(000137188)株式会社ボンビ (30)
【Fターム(参考)】