説明

ペット用品

【課題】 特定の香気成分を含有させることでペットのストレス応答を抑制し或いは低減させるペット用品を提供する。
【解決手段】植物の葉、特に青葉から採取するか又はそれと同等の香気成分をペット用品に含有させるものであり、より具体的な香気成分として、(3Z)ーヘキサノール、(3Z)ーヘキセノール、(3E)ーヘキセノール、(3E)ーヘキセナール、(2E)ーヘキセノール、(2E)ーヘキセナール、nーヘキセノール、nーヘキサナールから選択される1種又は2種以上の組み合わせからなるものが用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ペット用品であって、具体的には、ペット用に用いられる歯磨き剤、石けん、シャンプー等の洗浄剤や、ペットのトイレ用又は室内用の芳香剤、消毒用洗剤類、消毒剤、殺菌剤、忌避剤等のトイレタリー品、ペット用ガムなどの咀嚼品、ペット用衣料品、首輪等の装身品、小屋、巣箱、トイレ等の装置品を含むものである。
【背景技術】
【0002】
ペット用品に用いられ香料類の用途としては、ペットの放つ不快臭をなくすことを目的とする場合と、ペットが好んで使用するようにすることを目的とする場合の2通りがある。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、タンク内の香料を芳香量を調節しながら首輪、トイレ、巣箱などへ移行させるようにした芳香性ペット用品が開示されている。
【0004】
他方、特許文献2には、ペットが歯磨き剤の使用を嫌がらないように、その歯磨き剤に香味料を配合することが記載され、また、特許文献3には、ペットが好んで使用するようにペットの好む香料例えば油性香料をペット用ガム本体内に注入することが記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開平5−60074号公報
【特許文献2】特開平11−289900号公報
【特許文献3】特開平10−150925号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、ペット用品に使用されている香料類のうち一つは、特許文献1に記載されたもののように、ペットから発する人間にとって不快な臭いを消すためのものであり、ペット自身の健康を維持し或いは促進することを目的とするものではなく、せいぜいペットに害がないといった程度のものである。
【0007】
他方、特許文献2及び3に用いられる香料類は、ペットがそのペット用品を積極的に使用することを期待したり、或いはペットが使用を嫌がらないようにするためのものであり、間接的にペットの健康に配慮したものではあるが、芳香療法のことまで意識したものではない。
【0008】
もちろん、これらの香料類においても、香料一般の効果として、多少の爽快感を与えたり、人間の精神に嗅覚から働きかけることがあるとしても、必ずしも芳香療法に用いるほどの有効性があるとは言い難いものである。
【0009】
ところで、あらゆる疾病はストレスから生じるとする説もあるぐらいストレスは健康にとって有害であり、如何にストレスを低減し或いは解消するかが重要とされている。このことは、人間のみならずペットにも当てはまることで、ストレスから病気になるペットも少なくない。
【0010】
一方、最近の研究によれば、青葉と呼ばれる植物の葉に含まれる特定の香気成分(green odor)が、ストレスによって引き起こされるペットの副腎皮質刺激ホルモンレベルと体温の上昇を抑制し、或いは、上昇したそれらの副腎皮質刺激ホルモンのレベル等を下げる効果のあることが確かめられている。
【0011】
この青葉の中に含まれる香気成分は、C6の不揮発性成分であり、具体的には、(3Z)ーヘキサノール、(3Z)ーヘキセノール、(3E)ーヘキセノール、(3E)ーヘキセナール、(2E)ーヘキセノール、(2E)ーヘキセナール、nーヘキセノール、nーヘキサナールであり、これらの成分の一種または複数種を吸収することにより、ペットをストレスから守り、ストレスによって引き起こされる様々な疾病からペットを守ることが可能になる。
【0012】
そこで、この発明は、かかる特定の香気成分をペット用品に含ませることにより、特にストレス社会といわれる現代において、ペットのストレス応答を抑制し或いは解消させるような働きを、ペット用品に持たせるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、この発明のペット用品は、植物の葉から採取するか又はそれと同等の香気成分を含んでなることを特徴とするものであり、特に、植物の葉として青葉が好適に用いられる。
【0014】
上記において、それと同等の香気成分とは、植物の葉から直接に採取されたもののみならず、化学合成等によって人工的に得られるもので植物から得られるものと同等のものを含む趣旨である。
【0015】
この明細書において、植物の香気成分とは、そのような合成等によって得られたものを含む意味に用いている。
【0016】
この発明に用いられる植物の香気成分としては、(3Z)ーヘキサノール、(3Z)ーヘキセノール、(3E)ーヘキセノール、(3E)ーヘキセナール、(2E)ーヘキセノール、(2E)ーヘキセナール、nーヘキセノール、nーヘキサナールから選択される1種又は2種以上の組み合わせからなるものが考えられ、ストレッサーによるストレス応答を抑制し、また、ストレス応答を低下させるものとして、優れた効果を発揮する。
【0017】
また、この発明のペット用品は、ペット用に用いられる歯磨き剤、石けん、シャンプー等の洗浄剤や、ペットのトイレ用又は室内用の芳香剤、消毒用洗剤類、消毒剤、殺菌剤、忌避剤等のトイレタリー品、ペット用ガムなどの咀嚼品、ペット用衣料品、首輪等の装身品、小屋、巣箱、トイレ等の装置品等である。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、上記のような香気成分を含んだペット用品をペットが使用し或いはペットに使用することにより、それに含まれる植物の香気成分を使用の際に受容することで、ストレッサーによって引き起こされるストレス応答の上昇を抑制し、また、上昇したストレスを低下させる効果がある。
【0019】
特に、この発明の植物の香気成分として、(3Z)ーヘキサノール、(3Z)ーヘキセノール、(3E)ーヘキセノール、(3E)ーヘキセナール、(2E)ーヘキセノール、(2E)ーヘキセナール、nーヘキセノール、nーヘキサナールから選択される1種また2種以上の組み合わせからなるものが用いられ、ストレスに対する優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の香気成分は植物の葉から得られるものである。本発明に使用される具体的な香気成分は、(3Z)ーヘキサノール、(3Z)ーヘキセノール、(3E)ーヘキセノール、(3E)ーヘキセナール、(2E)ーヘキセノール、(2E)ーヘキセナール、nーヘキセノール、nーヘキサナールであり、これらの一種又は2種以上を組み合わせて用いる。
【0021】
これらの香気成分は、植物の葉から採取されるものが特に好適に用いられ、なかでも青葉が最適である。採取方法は、抽出、蒸留その他どのようなものでも構わない。
【0022】
勿論、それと同等のものが得られれば、合成等によっても構わない。
【0023】
ペット用品としてのトイレタリー品へ含有させる手段としては、本発明の香気成分を精油等の形で配合することが考えられる。また、前記採取された香気成分をコロイド状にして単独に又はバインダーと共に配合することが考えられる。或いは、香気成分をマイクロカプセル等に封入するか、造粒物へ配合するといった手段も考えられる。香気成分を液体形状、乳化形状として配合することはもちろん、噴霧後乾燥させるといった手段も考えられる。トイレットペーパー等の場合は、紙の繊維に単独又はバインダーとともに練り込むことが考えられる。
【0024】
上記の香気成分を含有させるトイレタリー製品としては、特にその種類を問わず各種のものに用いることが出来る。本発明の香気成分とともに、通常、トイレタリー製品に用いられる、アルコール等の溶剤、石けん生地、界面活性剤、ワックス類、水等の任意成分を含有させることができる。その製法は、各種トイレタリー製品において、通常知られている方法によればよい。また、他の香料類と組み合わせて用いることも可能である。
【0025】
また、ペット用ガムなどの咀嚼品へ含ませる方法としては、例えば、前記採取された香気成分を粉状にして配合するか、或いは、コロイド状にして単独に又はバインダーと共にガムの製造時に配合考えられる。或いは、香気成分をマイクロカプセル等に封入するか又は造粒物へ配合してガム本体へ坦持させることも考えられる。更に、粉状にして表面付着させても良い。ガムの形状としては骨形その他どのような形状であっても良い。
【0026】
ペット用衣料へ含有させる手段としては、例えば、採取された香気成分をコロイド状にして単独に又はバインダーと共に繊維へ練り込むことが考えられる。或いは、香気成分をマイクロカプセルに封入し、使用時の摩擦によりそのカプセルが破壊されることで、香気が空気中に放散されるようにしても良い。
【0027】
なお、香気成分は、ペット用品の全体に亘って一様に含有させる場合と、一部にのみ含有させる場合とがあるが、一部の場合は、香気が呼吸器官によって吸飲されやすい箇所を選んで設けることが望ましい。
【0028】
このようにして、上記香気成分を含有するペット用品をペットに使用させ或いはペットに使用することにより、その香気成分による香気療法を期待でき、特に、前記各ヘキサノール、ヘキサナール類を用いることにより、ペットのストレス応答を抑制し或いはストレスを低減させて、ペットの健康を増進する効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0029】
この発明は、上述したように各種のペット用品全般に適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物の葉から採取するか又はそれと同等の香気成分を含んでなることを特徴とするペット用品。
【請求項2】
前記植物の葉が青葉である請求項1記載のペット用品。
【請求項3】
香気成分が、(3Z)ーヘキサノール、(3Z)ーヘキセノール、(3E)ーヘキセノール、(3E)ーヘキセナール、(2E)ーヘキセノール、(2E)ーヘキセナール、nーヘキセノール、nーヘキサナールから選択される1種又は2種以上の組み合わせからなるものである請求項1又は2記載のペット用品。
【請求項4】
ペット用品が、ペット用に用いられる歯磨き剤、石けん、シャンプー等の洗浄剤や、ペットのトイレ用又は室内用の芳香剤、消毒用洗剤類、消毒剤、殺菌剤、忌避剤等のトイレタリー品、ペット用ガムなどの咀嚼品、ペット用衣料品、首輪等の装身品、小屋、巣箱、トイレ等の装置品である請求項1から3のいずれかに記載のペット用品。

【公開番号】特開2006−87335(P2006−87335A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−275570(P2004−275570)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(504232284)
【出願人】(504232343)
【出願人】(592247724)株式会社サンアロマ (6)
【出願人】(592159656)
【出願人】(504232446)