説明

ペット用展示販売ケース

【課題】顧客側にとってはペットをよく見ることができるとともに、店員の説明もよく聞け、店側にとっては商品たるペットのアピールを効果的にすることが可能で販売促進を図れるようなペット用展示販売ケースの提供。
【解決手段】ペットPを収容するペット収容室22を有するペット収容部21が、床面F上に設置される基台部31の上に設けられ、前記ペット収容部22の前面21aと上面21bと側面21cと後面21dが透光性を有するガラス板で形成されるとともに、前記上面21bが、顧客CU1が上から覗き込める高さに設定され、テーブル面兼用であるペット用展示販売ケース11。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ペットショップ等においてペットを販売するときに用いられるペット用展示販売ケースに関し、より詳しくは、ペットの新しい販売形態を得られ、展示効果を高めることもできるようなペット用展示販売ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
ペットは、たとえば下記特許文献1、2に開示されたようなケース等に入れて販売されていた。これらのケース等は、ペットを収容する空間を有した直方体状をなし、例えば重ねた状態で店舗内の壁面に並べて使用されていた。
【0003】
顧客は自由に店内を移動し、必要に応じて店員に説明を求めて、ペットの購入を決めていた。
【0004】
このようなケース等に入れての販売のほか、下記特許文献3に開示されたように、放し飼い状態で展示することも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3000991号公報
【特許文献2】特開2008−278766号公報
【特許文献3】特開2009−82078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ケース等に収容しての販売では、顧客は基本的に正面側からしかペットを見ることができない。このため、ペットの詳しい様子は分かりにくい。許可を得て抱かせてもらってはじめて分かるより、予め分かるほうが顧客にとってはメリットがある。
【0007】
また、店員に説明を求める場合には、店員に目的のペットの前まで来てもらい、ペットの前で並んでやり取りしていたが、このようなやり取りは、絵画のように平面的ではないペットの説明には、不適切または不十分な場合があった。
【0008】
一方、放し飼い状態の場合には、ペット間において病気の伝染のおそれがある。
【0009】
そこで、この発明は、顧客側にとってはペットをよく見ることができるとともに、店員の説明もよく聞け、店側にとっては商品たるペットのアピールを効果的にすることが可能で販売促進を図れ、さらにペットの病気の伝染を回避できるようにすることを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのための手段は、ペットを収容する空間を形成するペット収容部が基台部の上に設けられ、前記ペット収容部の少なくとも前面と上面が透光性を有する板材で形成されたペット用展示販売ケースである。
【0011】
ペット収容部に収容されたペットを前面からのほか、上面からも見ることができ、ペットを全体的に一目で観察できる。ペット収容部の側面も透光性を有する板材で形成されていれば、側面からもペットを観察できる。
【0012】
また、前記基台部は、その上のペット収容部を支えるとともに、ペット収容部の外観上の価値を高める。
【0013】
前記基台部が床面に設置されるものであるとともに、前記ペット収容部の上面の高さが、上から覗き込める高さに設定されたり、前記ペット収容部の上面がテーブル面兼用であったりする場合には、ペット収容部を介して顧客と店員がより接近した対面状態でペットの説明や質問等のやり取りをすることができ、お互いの意思の疎通を図れ、錯誤がおこることをなくせる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、ペット収容部の少なくとも前面と上面が透光性を有する板材で形成されているため、ペットを正面からのほか上からも、斜めからも見ることができる。この結果、顧客側にとっては一目でペットをよく見ることが可能である。また、このような状態で店員とのやり取りができるので、店員の説明もよく聞け、適切な質問もできる。
【0015】
一方、店側にとっては人気のあるペット等を収容するなどして、店内のよく見える位置や、他の展示販売ケース等に関連させて配置することにより、商品たるペットの展示効果を高めて、販売促進を図ることができる。このペット用展示販売ケースは基台部を備えるので、ペット収容部を引き立てるような外観にできるとともに、そのまま床面に設置することもでき、自由に使用できて、店内のレイアウトの自由度が高い。
【0016】
さらに、ペットは放し飼い状態ではなく、ペット収容部に収容されるので、ペット間の病気の伝染を容易に回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】ペット展示販売ケースの使用状態の斜視図。
【図2】ペット展示販売ケースの斜視図。
【図3】ペット展示販売ケースの正面図。
【図4】ペット展示販売ケースの背面図。
【図5】ペット展示販売ケースの平面図。
【図6】ペット展示販売ケースのペット収容部における横断面図。
【図7】図6の一部拡大図。
【図8】ペット展示販売ケースの側面図。
【図9】ペット展示販売ケースの縦断面図。
【図10】ペット展示販売ケースを並べた状態の斜視図。
【図11】立設壁部分の断面図。
【図12】排気路を示す拡大断面図。
【図13】ペット展示販売ケースを用いたペット販売ブース構造の一例を示す概略平面図。
【図14】図13の正面図。
【図15】ペット販売ブース構造における奥のペット収容室の一部の構造を示す横断面図。
【図16】ペット展示販売ケースを用いたペット販売ブース構造の他の例を示す概略平面図。
【図17】ペット展示販売ケースを用いたペット販売ブース構造の他の例を示す概略平面図。
【図18】他の例に係るペット展示販売ケースの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
図1は、犬などのペットを販売するためのペットショップ等に設置されるペット用展示販売ケース11(以下、「展示販売ケース」という。)の使用状態を示す斜視図である。
【0019】
この展示販売ケース11は、ペットPを収容する空間を形成するペット収容部21が、床面Fに設置される基台部31の上に設けられ、前記ペット収容部21の前面21aと上面21bと両側面21cと後面21dが透光性を有するガラス板で形成されている。そして、上面21bの高さは、成人が上から覗き込める高さ、換言すれば、床面から100cm程度の、いわゆる腰高程度、カウンター高さに設定されている。
【0020】
このため、図1に仮想線で示したように、展示販売ケース11の前記前面21a側には顧客CU1,CU2が、前記後面21d側には店員CLが立って、展示販売ケース11を挟んで対面状態で会話ができる。成人の顧客CU1や店員CLは、展示販売ケース11の前記上面21bに肘をつけることが可能で、子どもの顧客CU2は、よりペットPに近い位置で前記前面21a越しに前記ペット収容部21内のペットPを見ることが可能である。また、前記上面21bは、テーブル面としても使用できる。
【0021】
図2は、展示販売ケース11の斜視図、図3はその正面図、図4はその背面図、図5はその平面図で、図6は、ペット収容部21部分における展示販売ケース11の横断面図であり、図7は図6の一部の拡大図、図8は展示販売ケース11の側面図、図9はその縦断面図である。
【0022】
これらの図に示したように、展示販売ケース11は全体として直方体状であり、下側部分が前記基台部31、上側部分が前記ペット収容部21である。そして、ペット収容部21内は、長手方向に区分された複数のペット収容室22を有している。
【0023】
まず、基台部31について説明する。
基台部31は中空構造であり、内部に、前記ペット収容室22に対応させて複数の、開閉可能な物品収納部32が設けられている。開閉のための開閉扉33は、基台部31の後面31dに設けられる。また、後面31dの開閉扉33の上方には、図4に示したようにコンセント34が設けられている。
【0024】
前記開閉扉33は、図示例においては観音開き状のものを示したが、一枚ものの扉であるも、引き戸式のものであるもよい。
【0025】
基台部31の側面31cは平らに形成され、可能な限り前記ペット収容部21の側面21cと面一に形成される。複数台を接続状態で設置したときにペット収容部21間に隙間ができることを極力抑えることができるからである。
【0026】
基台部31の前面31aも同様であるが、下端部には、照明手段を内蔵している。すなわち、基台部31の前面31aを構成する基台前面板35の下端35aを展示販売ケース11の下端位置(床面F)よりも高い位置に設定し、この基台前面板35より後方に適宜距離隔てた位置に後退板36が備えられている。これら基台前面板35と後退板36との間に天井板37が設けられ、この天井板37に、照明手段としての蛍光灯38が下に向けて装着される。これにより、間接照明ができる。
【0027】
なお、図2〜図9に示した展示販売ケース11は、図10に示したように左右に2台並べて使用するもののうちの一方を示したものであるので、基台部31の両側面31cのうちの一方側の側面31cの前面側下端部31eを、下まで延ばして、照明手段を内蔵した部分を閉塞している。単独で用いる展示販売ケースにおいては、両側面の前面側下端部を下まで延ばすとよい。
【0028】
前記基台部31の外観は、ペット収容部21を引き立てるような所望の外観に形成される。図中、39はアジャスタ、31fは隠蔽部である。前記アジャスタ39に代えてキャスタを用いることもできる。
【0029】
次に、ペット収容部21について説明する。
ペット収容部21は、前面21aと上面21bと両側面21cがガラス板からなる前面板23、上面板24、側面板25を一体に接合して、前記基台部31上に固定されている。そして、内部を、前述のように長手方向に複数のペット収容室22に区分するため、前面板23と上面板24には、側面板25と平行に間仕切り26が固定されている。この間仕切り26も、透光性を有するガラス板で構成されている。各板23,24,25,26の接合は、気密状態を保つように行われる。
【0030】
透光性を有するガラス板としては、透明なものは勿論のこと、有色のものやマジックミラー(ハーフミラー)であるもよい。マジックミラーを用いれば、照度、照明の配置等の設定により、ペットPと人間双方にとっての視認性を変化させることができる。
【0031】
なお、図示例では、長手方向に間隔をあけて2枚の間仕切り26が設けられて、長手方向に並ぶ3個のペット収容室22に区分されているが、間仕切り26の間隔は等間隔でも、異なる間隔であるもよく、間仕切り26は1枚でも3枚等でもよい。複数のペット収容室22を1台の展示販売ケース11に備えるので、効率よく見やすい展示ができる利点があるが、店舗の構造等によっては、間仕切りを設けず1個のペット収容室22のみを有する構成であるもよい。
【0032】
そして、後面21dには、ペット収容室22ごとに、透光性を有するガラス板からなる観音開き状の収容室開閉扉27が開閉可能に設けられる。これにより、基台部31の上方の空間を包囲することができる。収容室空間27は、周知のマグネットキャッチにより閉じた状態を保持でき、施錠もできるように取り付けられている。
【0033】
前記前面板23、上面板24、側面板25の接合部分は気密状態を保つように行われる一方、後面21d側は通気性を有する。すなわち、前記収容室開閉扉27と、上面板24、側面板25及び間仕切り25との間の隙間、収容室開閉扉27間の隙間、さらには収容室開閉扉27に設けられた孔部を通して、空気の流通が可能である。図4中、27aは通気孔、27bは吸水器取り付け孔、27cはコード等挿通孔である。
【0034】
なお、収容室開閉扉27は、透光性を有するものではなくともよい。例えば、柵やパネル、鏡などで構成することもできる。また、観音開きであると開放時の省スペース化を図れるとともに、ペット収容室22の必要部分のみを開放できる利点があるが、たとえば片開き、一部のみが開閉する構造、その他の構造であるもよく、さらには開閉扉を設けずに開放状態のままであるもよい。
【0035】
また、前記収容室開閉扉27は、図11に示したように、ペット収容室22の内底面22aよりも高い位置に設けられる。すなわち、ペット収容室22の後面21d側端部に、ペット収容室22の内底面22aから立ち上がる立設壁22bが形成され、この立設壁22bの上に、収容室開閉扉27の下端が設けられる。
【0036】
立設壁22bは、ペット収容室22の底部を構成する底板28の後縁を高くして形成される。また、立設壁22bの前面側には、薄い金属板製のカバー部材29が取り付けられる。カバー部材29は、側面視逆L字状をなし、上面部29aの端部を立設壁22bの上面に固定したときに、カバー部材29の垂直面部29bが立設壁22bの前方に隙間22cが形成される。
【0037】
立設壁22bの高さは、収容されるペットPが容易に飛び出すことを防止できる高さであるのが好ましい。このような立設壁22bがあると、収容室開閉扉27を開けたときにペットPが飛び出すのを抑制できるとともに、ペット収容室22に収めたトレーなどの物品が不測に落ちることを防止できる。
【0038】
前記ペット収容部21の側面21cにおける立設壁22bとカバー部材29に対応する部分は、前記隠蔽部31fによって隠蔽され、外側から見えないようにされている。
【0039】
また立設壁22bの近傍には、前記ペット収容室22内の空気を基台部31側に排気する排気路41が形成されている。すなわち、前記底板28の立設壁22bの前方であって、前記カバー部材29で覆われて形成された隙間22cの下に、上下方向に貫通する通気孔28aが形成される。この通気孔28aは、図7に示したように長手方向に長い形状で、長手方向に沿って複数本形成されている。
【0040】
この通気孔28aにペット収容室22内の空気を流下させることを可能にするため、図12に示したように、前記カバー部材29の上面29aに、図7に示したような前後方向に長い複数本のスリット状の入り口29cが形成されている。すなわち、前記排気路41は、入り口29c、隙間22cおよび通気孔28aで構成される。図12中、29dはカバー部材29を固定するためのねじ部材である。
【0041】
使用時には展示販売ケース11の後面側、下方側が負圧になるように設定されるので、前記排気路41の上流側の入り口であるカバー部材29の入り口29cを入った空気は、立設壁22bとカバー部材29の間の隙間22cと通気孔28aを通って、下流側である基台部31側に流れる。具体的には、前記通気孔28aの下流側の物品収納部32を通して所望部位に排気するほか、前記通気孔28aにホース(図示せず)を接続して所望部位に排気する。このため、展示販売ケース11の前面側に臭い等が流れるのを防止できるとともに、ペット収容室22ごとに空気が排気されるので、ペット収容室22ごとに完全に区分されていることとあいまって、ペット間での病気の伝染を防止できる。
【0042】
前述のようなカバー部材29を備えるので、通気孔28aを顧客側から隠蔽することができ、外観を損ねない。また、通気孔28aに物品等が落ちることを防止できるとともに、ペットPの排泄物が上からかからない限り排泄物が通気孔28a及ぶことはないので、手入れが簡単である。
【0043】
このように構成された展示販売ケース11では、店内の適宜位置に設置され、使用される。設置位置は、図1に示したように、店員CLと顧客CU1,CU2を仕切る部分であるとよい。
【0044】
設置の仕方は、図10に示したように複数の展示販売ケース11を一直線上に並べるほか、たとえば平面視L字状、コ字状、略ロ字状等、適宜並べて使用することができる。また、ペット収容部21の側面21cから内部を透視できる構造であるため、設置に際しては、展示販売ケース11の側面が露出するように行うと、顧客CU1,CU2に見え易い。
【0045】
使用に際しては、各ペット収容室22に周知のペットトレーなどを置いてペットPを収容し、必要に応じて、吸水器、ヒーター、遊具などを入れておく。
【0046】
展示販売ケース11のペット収容部21は、上面21bと周囲の4面21a,21c,21dと間仕切り26が透光性を有するガラス板からなるので、顧客CU1,CU2は遠くからでも収容されているペットを視認することができる。側面21cもガラス板からなるので、端のペット収容室22のペットPも斜め方向から視認可能である。しかも、1個のペット収容室22のみではなく、複数のペット収容室22を斜めからでも一度に、重ねるように見ることができる。このため、顧客CU1,CU2にとっては望みのペットPを、ペットごとに見る場合と違って、探し易い。
【0047】
また、店員CL側と顧客CU1,CU2側を仕切るように設置され、しかも、ペット収容部21の上面がテーブル面を兼用する高さであるので、図1に示したように、店員CLとの垣根が低い状態となり、目的とするペットPを挟んだ状態でペットPについての説明を受け、質問をするなどのやり取りが効率よく行える。書面を見ながらの説明やサインをするなどの事務的な処理もできる。この結果、ペットPの選択などを誤ることもなく、適切で迅速な取引を促進できる。
【0048】
一方で、店側にとっては、人気のあるペット、珍しいペットを展示販売ケース11に収容して、店内のよく見える位置や他の展示販売ケース等に関連させて配置することにより、ペットPの展示効果を高めることができる。ペット販売に用いるこの展示販売ケース11自体の斬新さと相まって、購買意欲を刺激する展示が可能である。この結果、集客を実現し、販売の促進を図ることができる。
【0049】
前述のような展示販売ケース11を用いたペット販売用ブース構造111(以下、「ブース構造」という。)の一例を、以下説明する。この説明において、前述の構成と同一又は同等の部位については同一の符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0050】
図13はブース構造111の概略平面図で、図14はその正面図である。このブース構造111は、主として顧客CU1,CU2が自由に移動できる顧客側空間112と、主として店員CLが自由に移動できる店員側空間114と、原則として店員CLのみが入れる準店員側空間114を有する。
【0051】
この準店員側空間114は、直線状に区分された店員側空間113の一部を平面視長方形状に侵食する形で形成され、準店員側空間114内における顧客側空間112側の端に、前記展示販売ケース11を2台、直列配設している。
【0052】
そして、並べられた展示販売ケース11の長手方向の一方(図面左側)には、準店員側空間114に対する顧客CU1,CU2の出入りを許容する顧客出入口115が形成されている。この顧客出入口115には施錠できる扉115aが設けられ、許可なしには顧客CLが入れないように規制する。
【0053】
また、展示販売ケース11と対向する奥の壁面には、ペットPを収容するペット収容室116が形成されている。このペット収容室116は複数形成され、ペット収容室群117とされる。
【0054】
ペット収容室群117は、個々にペット収容室116を有するケースを並べて構成するも、前記展示販売ケース11のように複数のペット収容室116を有するケースを用いて構成するも、いずれでもよい。
【0055】
これらのペット収容室116の形成にあたっては、ペット収容室116が展示販売ケース11の手前側から見えるように、ペット収容室116が準店員側空間114の高さ方向の中間位置から上に設けられる(図14参照)。換言すれば、準店員側空間114の足元部分にはペット収容空間116を形成しないで、壁面を形成するか、収容スペース等に利用する。
【0056】
このようにペット収容室116を形成することによって、顧客CU1,CU2にとって手を伸ばせば届くような、届かないような、微妙な距離感を演出できる。そして、離れた位置からでも見やすい展示を可能にし、込み入った感じがなくスペース的に余裕のある様子を見せることによって、高級感を醸し出すことができる。
【0057】
前記ペット収容室116については、その内部の奥又はその近傍に、光を反射する反射構造が設けられる(図15参照)。反射構造のためには、鏡や鏡面加工した部材が用いられる。
【0058】
すなわち、図15(a)に示したように、ペット収容室116を形成する複数のケース118の後面を、鏡119で構成することができる。このとき、図15(b)に示したように、各ケース118の側面118aを、透光性を有するガラスやアクリル板等の材料で構成すると、斜めからの視認性を妨げることはなく、前記展示販売ケース11の間仕切り26をガラス板で構成した場合と同様の効果が得られる。
【0059】
ケース118が複数のペット収容室116を有する場合には、図15(c)に示したように、ケース118の後面を全体的に鏡119で形成すればよい。
【0060】
また、ケースのみに反射構造を持たせるのではなく、図15(d)に示したように、奥側の壁面120と協働した反射構造を構成することもできる。すなわち、壁面120に鏡119を固定し、この鏡の前に、透明な筐体からなるケース118を配置すればよい。
【0061】
鏡119等からなる反射構造の存在により、光を反射して内部のペットPを明るく見せることができるとともに、ペットPの裏側も正面側から視認可能にすることができる。前述のように顧客側空間112から離れた位置に設置されたペット収容室116でも視認性が良好となり、前述のブース構造111と相まって斬新で効果的な展示ができる。複数のペット収容室116を、デザイン性を重視して隙間をあけて形成すると、より斬新な展示ができる。
【0062】
さらに、準店員側空間114の長手方向の両端には、図13に示したように、前記店員側空間113への店員用出入口121が形成されている。店員用出入口121には、引き戸121aが備えられ、店員側空間113との間が遮断され、店員側空間113が隠蔽される。店員側空間113には、ペットPを管理するために必要な種々の設備が設けられる。このため、展示販売ケース11とペット収容室116のペットPを管理する店員側にとっては作業性がよい。図13、図14中、122は、その他のペット展示スペースである。
【0063】
このようなブース構造111においては、顧客CU1,CU2から見て手前側の展示販売ケース11に注意を惹くペット、たとえば人気のペットや珍しいペットを収容し、奥のペット収容室116には高価なペットを収容するとよい。顧客CU1,CU2は展示販売ケース11内のペットに惹かれて移動し、奥のペット収容室116内のペットにも目が行く。新規な顧客の開拓にもなる。
【0064】
展示販売ケース11の前の顧客CU1,CU2は展示販売ケース11を挟んで図1に示したように店員とやり取りができ、このやり取りの最中にでも、展示販売ケース11のペット収容室22内のペットPについてその全体を一目で見ることができるので、ペットの外観、性格など、お互いに錯誤のない取引が可能な販売形態となる。
【0065】
また、顧客CU1,CU2が店員CLとやり取りをして、展示販売ケース11のペットやペット収容室116のペットを抱かせてもらう場合には、店員CLが準店員用空間114に顧客CU1,CU2を招き入れる。準店員側空間114には許可がなければ入れないので、顧客CU1,CU2には要人扱いされたような心理が働き、購買意欲をかき立て、販売促進ができる。
【0066】
図16は、ブース構造111の他の例を示す概略平面図で、図13に示したブース構造111と違って、展示販売ケース11を平面視V字状に配設している。2本の直線状に配設された連結部分の間には、平面視三角形状の連結台123を置いて、隙間を塞いでいる。この連結台123の高さは、展示販売ケース11の基台部31の高さと同じに設定し、連結台123の上面には、装飾品やペット用玩具、販売情報などを展示しておくとよい。
【0067】
このように展示販売ケース11を配設したブース構造111では、準店員側空間114の長手方向(図16の矢印A参照)から来た顧客CU1,CU2にも、また購入意思のない者にも、展示販売ケース11内のペットPを積極的にアピールすることができる。この結果、奥のペット収容室116のペットPについても認識させることができ、販売促進を図ることができる。
【0068】
図17は、ブース構造111の他の例を示す概略平面図で、図13に示したブース構造111と違って、準店員側空間114が平面視L字状に形成されている。これに伴って、展示販売ケース11も、ペット収容室群117も、平面視L状をなすように配置されている。
【0069】
このように展示販売ケース11を配設したブース構造111では、店舗内のコーナー部分を有効に利用して、コーナー部分に向かういずれの方向から来る者にでも、目立つように展示することができる。
【0070】
以上の構成はこの発明を実施するための一形態であり、その他の形態を採用することもできる。
たとえば、排気路41は、立設壁22b自体に直接通気孔を形成して、構成することもできる。
【0071】
図18に示したように、ペット収容部21の前面21aと上面21bを1枚の板材30で構成することもできる。このとき、その板材30の前面21aと上面21bの間には湾曲面21eが形成される。湾曲面21eがあるので、斜めから見下ろしたときに角が出ないため、視野が広くなって見やすくなる。また、前面21aを垂直ではなく、下側ほど手前側に傾くように傾斜させる。すると、子どもの顧客CU2にとっても、切り立った感じがなく、より見やすい展示ができる。
【符号の説明】
【0072】
11…ペット用展示販売ケース
21…ペット収容部
21a…前面
21b…上面
21c…側面
21d…後面
22…ペット収容室
22a…内底面
22b…立設壁
26…間仕切り
29c…入り口
31…基台部
41…排気路
P…ペット
F…床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットを収容する空間を形成するペット収容部が基台部の上に設けられ、
前記ペット収容部の少なくとも前面と上面が透光性を有する板材で形成された
ペット用展示販売ケース。
【請求項2】
前記ペット収容部の側面が透光性を有する板材で形成された
請求項1に記載のペット用展示販売ケース。
【請求項3】
前記基台部が床面に設置されるものであるとともに、
前記ペット収容部の上面の高さが、上から覗き込める高さに設定された
請求項1または請求項2に記載のペット用展示販売ケース。
【請求項4】
前記基台部が床面に設置されるものであるとともに、
前記ペット収容部の上面が、テーブル面兼用である
請求項1または請求項2に記載のペット用展示販売ケース。
【請求項5】
前記ペット収容部の後面側端部に、ペット収容部の内底面から立ち上がる立設壁が形成され、
該立設壁又はその近傍に、前記ペット収容部内の空気を前記基台部側に排気する排気路が形成された
請求項1から請求項4のうちのいずれか一項に記載のペット用展示販売ケース。
【請求項6】
前記排気路の上流側の入り口が、前記立設壁の上面又はその近傍に形成された
請求項5に記載のペット用展示販売ケース。
【請求項7】
前記ペット収容部が平面視長方形状に形成されるとともに、該ペット収容部内の空間が、長手方向に並ぶ複数のペット収容室に間仕切りによって区分された
請求項1から請求項6のうちのいずれか一項に記載のペット用展示販売ケース。
【請求項8】
前記間仕切りが、透光性を有する板材で形成された
請求項7に記載のペット用展示販売ケース。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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