ペット用柵
【課題】
工具なしで簡単に組み立てられるとともに、使用時において不測に変形したりすることなく使用できるようなペット用柵の提供。
【解決手段】
複数枚の柵体12…が端部に取付けられた連結部材24…同士の連結で連結されて形成されるペット用柵11であって、上記連結部材24…が、連結される他の連結部材24との間で相互に重合する突片部32と、該突片部32の一部に形成され、連結される他の連結部材24の対向面36に対して当接する当接面37と、該当接面37が対向面36に当接した連結状態において該連結状態を保持する連結ピン13を挿入するための挿入孔39〜41,61〜65とを有するペット用柵11。
工具なしで簡単に組み立てられるとともに、使用時において不測に変形したりすることなく使用できるようなペット用柵の提供。
【解決手段】
複数枚の柵体12…が端部に取付けられた連結部材24…同士の連結で連結されて形成されるペット用柵11であって、上記連結部材24…が、連結される他の連結部材24との間で相互に重合する突片部32と、該突片部32の一部に形成され、連結される他の連結部材24の対向面36に対して当接する当接面37と、該当接面37が対向面36に当接した連結状態において該連結状態を保持する連結ピン13を挿入するための挿入孔39〜41,61〜65とを有するペット用柵11。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ペットを収容しておくためのペット用柵に関し、より詳しくは、購入者が工具なしで簡単に組み立てられるようなペット用柵に関する。
【背景技術】
【0002】
ペット用柵は、複数枚の柵体が連結されて形成される囲いである。そのまま単独で接地して使用されるほか、底部材と天井部材を組み付けてケージとして使用される。
【0003】
そして、上記柵体の連結は、柵体の左右両側縁同士の間で行われるが、その構造には、柵体を構成する縦棒同士を専用の連結具で連結する構造と、柵体の上下両端を構成する横木部材の左右両端同士を連結する構造がある。
【0004】
後者の例としては、下記特許文献1に開示されたフェンスが提案されている。
【0005】
このフェンスは、上側フレームと下側フレームとの間に網体が支持されてなるものであって、下側フレームの端部には上に向けて突出する下部ピンが設けられ、上側フレームにおける上記下部ピンに対応する部位には貫通孔が形成されて、上部ピンが抜き取り可能に差し込まれる。組み立てに当たっては、隣接するフェンス間にまたがるように配置される連結用部材(襠付支柱)の下端を上記下部ピンに差し込んで、上端に設けた上側凹部に、上側フレームの貫通孔を通して上部ピンを差し込んで、折り畳み可能に一体化するものである。
【0006】
この構成のフェンスでは、家庭において工具なしで組み立てることができるものの、フェンスの連結には、連結用部材のほか、連結部分一箇所に2本ずつの上部ピンが必要であり、部品点数が多い。このため、部品の管理や組み立て作業が面倒である。
【0007】
また、上部ピンを差し込むだけで組み立て状態を保持するものであるので、組み立てた状態のまま移動するときなどには、上部ピンが抜けないように注意しなければならず、折り畳み可能ではあるものの、移動には適さない。
【0008】
このほか、下記特許文献2のペット用柵が提案されている。
【0009】
このペット用柵は、上横枠と下横枠とこれらの間に張られた複数本の縦桟からなる格子体を、上横枠と下横枠の端部にそれぞれ固定された回動駒と、これらを回動可能に連結する軸螺杆およびナットで構成されるヒンジで連結するものである。
【0010】
しかし、各ヒンジ部の連結において工具が必要であり、組み立て作業は面倒である。また、上横枠と下横枠との間に縦桟を一本ずつ取付けているため、ヒンジを構成する部位には、比較的大きな隙間ができ、外観を害するほか、収容するペットの種類や大きさにもよるが柵として充分な機能を果たせないおそれもあった。
【0011】
そして、そもそも、上記特許文献1も特許文献2も、折り畳み式であり、各柵体(フェンス、格子体)の角度を保持する機能がない。すなわち、回動自在である。このため、単独で接地する場合には何らかの角度保持手段がなければ、収容したペットが暴れて柵体に当たることでペット用柵(組立フェンス)が変形してしまうおそれがある。
【0012】
また、底板部材等と組み合わせて使用する場合でも、上記特許文献2のように、底板部材(底板)にペット用柵の柵体(格子体)の角度を保持する機能がないときには、別途に角度保持手段を備えなければ、同様の問題が生じる。
【0013】
【特許文献1】特許第3502632号公報
【特許文献2】登録実用新案第3013227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで、この発明は、工具なしで簡単に組み立てられるとともに、別途に手段を講じずとも、使用時において不測に変形したりすることなく使用できるようにすることを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そのための手段は、複数枚の柵体が端部に取付けられた連結部材同士の連結で連結されて形成されるペット用柵であって、上記連結部材が、連結される他の連結部材との間で相互に重合する突片部と、該突片部の一部に形成され、連結される他の連結部材の対向面に対して当接する当接面と、該当接面が対向面に当接した連結状態において該連結状態を保持する連結ピンを挿入するための挿入孔とを有するペット用柵である。
【0016】
すなわち、複数枚の柵体を連結する連結部材は、突片部と、当接面と、挿入孔とを有しているので、連結に際しては、突片部同士を重合するとともに、当接面を対向する対向面に当接する。すると、当接面と対向面との当接によって連結される連結部材同士の角度は一定に保持される。この状態で、挿入孔に対して連結ピンを挿入すると、連結が完了する。
【0017】
このように、連結部材同士を所定の位置関係に組み合わせてから連結ピンを挿入すれば、連結部材同士が所定の角度に連結される構成である。このため、組み立てが簡単であるとともに、柵体を連結する連結部材同士の角度が自動的に一定に保持されるので、収容したペットが暴れても変形したりしない堅固なペット用柵となる。
【0018】
ところで、上記各構成要素については、次のように構成することができる。
【0019】
上記連結ピンは、挿通孔によって抜け止めされる抜け止め段部を有するものであるとよい。
【0020】
抜け止め段部が連結ピンの挿入状態を保持するので、ナットなどの部材が不要で部品点数を低減できるとともに、挿入するだけでよいので組み立て作業が簡単である。
【0021】
上記連結ピンは、その下端部に、前記挿入孔を通過可能な規制段部を有し、上記突片部には、少なくとも一つの挿入孔が形成され、これら挿入孔のうち、連結時に連結ピンの挿入方向後方側に位置する突片部における連結ピンの挿入方向前方側に形成された挿入孔が、連結ピンの圧入時に規制段部の通過を許容する大きさに形成されたものであるとよい。
【0022】
連結ピンを挿入するときに、連結ピンの挿入方向後方側に位置する突片部における連結ピンの挿入方向前方側に形成された挿入孔が、圧入されない連結ピンの規制段部の通過を阻止するので、連結ピンの先端(下端)が突片部から下に突出することを防止できる。このため、連結ピンを突片部に刺した状態でも突片部同士を重合して位置合せすることができ、連結する柵体を所定とおりに組み合わせてから連結を行うことが可能である。つまり、組み立て作業時における部材の扱いが容易であって、組み立て作業の簡単化に資する。
【0023】
なお、この規制段部は、上記抜け止め段部と共通であるもよい。
【0024】
上記連結部材の突片部は、相互に連結される連結部材同士の間において、または連結時に上下方向で対向する連結部材同士とこれらに連結される他の連結部材との間において、挟持するまたは挟持される位置関係になるように形成されたものであるとよい。
【0025】
互いに連結される連結部材同士、または連結時に上下方向で対向する連結部材同士とこれらに連結される連結部材の間で、突片部が、挟みまたは挟まれる位置関係にあるので、たとえば、ある一つの連結部材に持ち上げられる力が作用した場合に、その連結部材と直接的あるいは間接的に連結される他の連結部材にも、持ち上げられる力が突片部を介して伝達される。このため、突片部の位置関係がそのようになっていない場合に比して、連結ピンに集中荷重が掛かるのを抑えることができる。この結果、収容したペットが暴れた時やペット用柵の移動時などに、連結部材やその一部に掛かる負荷を低減して、強度を高めることができる。
【0026】
上記柵体は、上下両端に配置された横木部材と、これら横木部材間に取付けられる網状部材とを有し、上記連結部材が、上記横木部材の両端部に取付けられるものであるとよい。
【0027】
横木部材を有した堅牢な柵体を強固に連結することができるとともに、柵体の網状部材を、連結部材に対応する位置まで張り出す大きさに形成することで、たとえば四隅部分など、連結部材位置にできる隙間を小さくして、柵として所期の目的を充分に果たせるペット用柵を得ることができる。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、この発明によれば、連結部材同士の連結は、工具なしで簡単に行えるとともに、連結部材同士、すなわち柵体同士の角度を一定の角度に保持することができる。このため、組み立てが簡単な上に、外力に対して強いペット用柵を得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
図1は、ペット用柵11の斜視図であり、図2は、その分解斜視図である。
【0030】
すなわち、ペット用柵11は、平面視長方形枠状をなす囲いで、4枚の柵体12…を連結ピン13の挿入で連結して構成される。
【0031】
図1中、14は、ペット用柵11内に収まる大きさの長方形皿状のトレーで、ペット用柵11内に置いて使用される。もちろん、ペット用柵11は、このトレー14なしに単独で使用することもできる。
【0032】
上記柵体12…は、上下両端に配置された横木部材(上側横木部材21、下側横木部材22)と、これらの間に取付けられる網状部材23と、上記上側横木部材21および下側横木部材22の両端部に取付けられる連結部材24(24a,24b,24c,24d)とからなる。
【0033】
上側横木部材21と下側横木部材22は、縦断面長方形をなす木製の角材で形成される。木質以外の材料で形成するもよい。
【0034】
各横木部材21,22の両端部には、図3、図4に示したように、連結部材24を嵌めるための被嵌合部21a,22aが形成され、その中間位置には、上下方向に貫通する取付け孔25が形成される。取付け孔25は、上側の大径部25aと下側の小径部25bとに分かれ、大径部25aは、ナット26を収容できる大きさである。なお、図3は、正面から見た左上角部分の分解斜視図で、図4は、図1のA−A線矢視断面図である。
【0035】
このナット26は、網状部材23を止めつけるためのものであって、上記小径部25bは網状部材23の取付け軸部27を挿通可能な大きさに設定される。
【0036】
上側横木部材21も下側横木部材22も以上の各構成については同一であるが、被嵌合部21a,22a間の部位については若干構成を異にする。
【0037】
すなわち、上側横木部材21におていは下面に、下側横木部材22においては上面に、取付ける網状部材23の対向面を受ける受け面21b,22bが、被嵌合部21a,22aより突出して形成される。
【0038】
上記網状部材23は、金属製の線状材からなり、長方形枠状の枠部23a内に、線状体23bを縦横に張って形成される。そして、左右両側位置には、上下両端が上記枠部23aから上下に突出する長さの取付け軸体23cが固定される。突出している部分が上記取付け軸部27であり、この取付け軸部27に、上記ナット26が螺合する雄ねじ27aが形成されている。
【0039】
なお、網状部材23の大きさは、枠部23aの左右両側縁が、上記取付け軸体23cよりも外側に張り出すように設定される。このような大きさに形成することで、たとえば四隅部分など、連結部材24位置にできる隙間を小さくして、ペットが抜け出したりすることのない、柵として所期の目的を充分に果たせるペット用柵11とすることができるようになる。
【0040】
上記各横木部材21,22と網状部材23はあらかじめ互いに連結固定され、一体化される。
【0041】
上記連結部材24は、合成樹脂で形成され、各横木部材21,22の被嵌合部21a,22aに嵌合可能な中空箱状の嵌合部31と、該嵌合部31の端面から突出する突片部32とを有する。
【0042】
嵌合部31は、図3、図4に示したように、その下面に、上記取付け軸部の相対的な浸入を許容するぬすみ溝33が形成されるとともに、内側面31aには、嵌合部31を被嵌合部21a,22aに嵌合した時の嵌合状態を保持するために螺合するねじ部材34を挿入するための透孔35が形成される。
【0043】
上記突片部32は、上記嵌合部33と同様に中空箱状に形成されるが、その厚み(高さ)が、嵌合部31のそれよりも薄く設定される。
【0044】
すなわち、この突片部32は、連結される他の連結部材24との間で相互に重合するものであり、突片部32同士が重合したときにその厚み(高さ)が嵌合部31の厚み(高さ)内に収まるように設定されている。より詳しくは、この例においては、嵌合部31の厚みよりも若干薄くなるように設定される。
【0045】
また、突片部32は、その一部に、連結される他の連結部材24の対向面36に対して当接して、連結部材24同士の角度を直角に保つ当接面37を有する。すなわち、突片部32の内側面が当接面37であり、これは上記嵌合部31の内側面31aと面一に形成されている。
【0046】
図3に示したように、突片部32を上側に有する連結部材24(第1連結部材24a)と、突片部32を下側に有する連結部材24(第2連結部材24b)とを、かみ合わせるようにその突片部32同士を上下に重合した場合には、第1連結部材24aの当接面37が、第2連結部材24bの突片部32のない部分の端面である対向面36に当接し、第2連結部材24bの当接面37が、第1連結部材24aの突片部32のない部分の下側の端面である対向面36に当接する。
【0047】
なお、上記第1連結部材24aの嵌合部31において、突片部32のない部分の上側の端面38は、挿入する連結ピン13の突出を防止するための収容空間を得るためのものである。
【0048】
そして、上記第1連結部材24aの場合には、突片部32の上面と下面とに同径の挿入孔39,40が形成され、第2連結部材24bの場合には、突片部32の上面に、上記挿入孔39,40と同径の挿入孔41が形成される。
【0049】
第1連結部材24aの突片部32も第2連結部材24bの突起片部32も、その厚み(高さ)方向の中間位置にリブ42が形成され、上記挿入孔39,40,41より大径の溝部42aが形成されている。この溝部42aの径は、連結ピン13の円滑な通過を確保する大きさに設定される。
【0050】
なお、図1に例示した形状のペット用柵11の場合には、4種類の連結部材24(24a,24b,24c,24d)が使用される。すなわち、上記第1連結部材24a、第2連結部材24bのほかに、第3連結部材24c、第4連結部材24dが用いられる。図1、図2、図5(a)に示したように、第1連結部材24aは柵体12に向かって右上角に取付けられるもので、第2連結部材24bは柵体12に向かって左上角に、第3連結部材24cは柵体12に向かって左下角に、第4連結部材24dは柵体12に向かって右下角に取付けられるものである。
【0051】
そして上記第3連結部材24cは、第1連結部材24aと、第4連結部材24dは第2連結部材24bと方向性が異なる形状である。つまり、嵌合部31と突片部32との配置を異にする形状である。
【0052】
このような4種類の連結部材24(24a,24b,24c,24d)を上述の如く、すなわち、連結部材24の突片部32が、連結時に上下方向で対向する他の連結部材24同士とこれらに連結される他の連結部材24との間において、挟持するまたは挟持される位置関係になるように配設すると、各柵体12同士の関係において、上下方向に相対向する連結部材同士(第1連結部材24aと第4連結部材24d、第2連結部材24bと第3連結部材24c)が、これらに連結されている連結部材(第2連結部材24bと第3連結部材24c、24aと第4連結部材24d)の突片部32を上下に挟持し、また挟持される関係になる。なお、この例においては、柵体12の左右両側で突片部32の位置を異ならせたが、図5(b)に示したように、柵体12の左右両側で突片部32の位置が同一となる位置関係に配設されるものであるもよい。
【0053】
上記連結ピン13は、合成樹脂製で、上端部に、鍔状の頭部51と、該頭部51を支え上記突片部32の上面に接触する座部52とを有する。これら頭部51と座部52の厚さは、上記収容空間に収まる厚さである。
【0054】
そして、上記座部52の下には、上記挿入孔39,40,41を通過可能な太さの軸部53が形成されている。この軸部53の長さは、挿入したときに、その先端が図4に示したように下側に位置する突片部32の内底面に近づく長さであり、先端がわに割り溝54が形成されている。そして下端部(先端部)には、下側のテーパ面55を介して規制段部56が、またその上方における所定間隔へだてた位置には抜け止め段部57が形成されている。
【0055】
規制段部56も抜け止め段部57も同径に形成され、その大きさは、連結ピン13を圧入した時に挿入孔39,40,41に対する通過が許容される大きさである。つまり、圧入しない時、単に挿入しようとしたときには通過せずに止まる大きさである。
【0056】
また、上記抜け止め段部57の形成位置は、図4に示したように、下側に位置する突片部32の上面に形成した挿入孔41を通過して、該挿入孔41で抜け止めされたときに、連結ピン13の先端を突片部32の内底面に近い位置させるとともに、座部52を上側に位置する突片部32の上面に接触させる位置に設定される。
【0057】
このような連結ピン13は、図示した形状のペット用柵11の場合には、四隅の上下に1本ずつの合計8本が必要である。
【0058】
そして、上記のような連結ピン13と突片部32を有するので、連結部材24同士の連結は、次のように行われる。
【0059】
まず、図6(a)に示したように、連結ピン13を上側に位置する突片部32の上面の挿入孔39に挿入しておく。連結ピン13の規制段部56と抜け止め段部57は割り溝54の存在により、弾性変形して、挿入孔39,40,41を通過し得る。このとき、規制段部56と抜け止め段部57は、突片部32内に位置し、連結ピン13の規制段部56は、突片部32の下面の挿入孔40で受け止められる。つまり、連結ピン13の下端は、突片部32の下に突出しない。
【0060】
各連結部材24に対してこのように連結ピン13を挿入してから、柵体12を順次組み合わせ、各連結部材の突片部32同士を重合させる。そしてこの状態で、連結ピン13をたたいて圧入すると、図6(b)に示したように、連結ピン13の規制段部56は、下側に位置する突片部32の挿入孔41に挿入される。これで一応、連結状態が得られるが、さらに連結ピン13を叩いて、抜け止め段部57に、下側に位置する突片部32の挿入孔41を通過させる。すると、図4に示したように、連結ピン13の座部52と下側に位置する突片部32の上面で、上側に位置する突片部32を挟み込むような状態になって連結が完了する。
【0061】
このように、連結ピン13の先端(下端)が突片部32から下に突出することを防止して、段階的に挿入作業を行うので、連結ピン13を突片部32に刺した状態でも突片部32同士を重合させた状態に容易に位置合せすることができる。つまり、突片部32に連結ピン13を一体にしてさらに部品点数を低減したのち、連結する柵体12を所定とおりに組み合わせてから連結を行うことが可能であって、組み立て作業時における部材の扱いが容易である。
【0062】
また、上記連結ピン13の抜け止めは、規制段部56で行うもよいが、抜け止め段部57を設けてこれによって行って、連結ピン13の先端位置と抜け止め位置との距離を取るようにしているので、抜け止め段部57の近傍に掛かる負荷に対する耐力を増加させて、連結強度を確保することができる。
【0063】
以上のように、このペット用柵11は、4枚の柵体12…とこれらを連結する合計8本の連結ピン13…とからなり、連結ピン13…を差し込むだけで連結作業が、つまり組み立て作業ができる。
【0064】
このため、組み立て前の状態で販売されたペット用柵11を顧客が家に持ち帰ってからの組み立てが、工具なしで極めて簡単に行える。しかも、部品点数が少ないので、管理が容易であり、取り扱いに便利である。
【0065】
そして、組み立てられたペット用柵11は、全ての連結部分が一定の角度に保持されるので、ペット用柵11を単独で使用した場合でも、移動などの取り扱いが容易であり、さらに収容したペットが暴れたり、人や物がぶつかったりした場合でも、ペット用柵の形態を保持することができる堅固なものとなる。
【0066】
また、4種類の連結部材24(24a,24b,24c,24d)を使用して、上述したように組み合わせるので、組み立てた状態において、各連結部材24a,24b,24c,24dの突片部32が、連結時に上下方向で対向する連結部材同士(第1連結部材24aと第4連結部材24d、第2連結部材24bと第3連結部材24c)とこれらに連結される他の連結部材(第2連結部材24bと第3連結部材24c、24aと第4連結部材24d)との間において、挟持するまたは挟持される位置関係になるので、たとえば、ある一つの柵体12を持ち上げた場合に、その柵体12に連結された他の柵体12に対しても、連結部材24の突片部32を介して、持ち上げられる力が伝達される。このため、突片部32の位置関係がそのようになっていない場合に比して、連結ピン13に集中荷重が掛かるのを抑えることができ、荷重を分散できる。この結果、収容したペットが暴れた時やペット用柵の移動時など、連結部分に外力がかかるときに、特定の連結部材24やその一部に掛かる負荷を低減して、強度を高めることができる。
【0067】
以下、その他の形態について説明する。
なお、上記構成と同一または同等の構成部位については、同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
図7は、連結部材24の連結部分を示す一部破断側面図であり、この図に示すように、相互に連結される連結部材24において、一方の連結部材24eの突片部32が、他方の連結部材24fの突片部32と、挟持するまたは挟持される位置関係になるように形成されたものであるもよい。
【0068】
すなわち、相互に連結される一方の連結部材24eには2個の突片部32,32が形成され、他方の連結部材24fには1個の突片部32が形成されて、これら3個の突片部32…が相互に噛合するように形成されている。この場合、一番上に位置する突片部32の上面と下面に形成される挿入孔61,62と、一番下に位置する突片部32の上面に形成される挿入孔63と、2番目に位置する突片部32の下面に形成される挿入孔64とが、抜け止め段部57および規制段部56を圧入時に通過を許容する大きさの挿入孔であって、二番目に位置する突片部32の上面に形成される挿入孔65は、抜け止め段部57および規制段部56の通過を許容するバカ孔である。
【0069】
このように構成すると、使用する連結部材24の種類を低減することができる。
【0070】
図8は、柵体12の連結角度を90度ではなく、120度にする連結部材24の平面図であり、この図に示したように、当接面37の角度を、嵌合部31の内側面31aに対して適宜傾けることで、所望の連結角度を得ることができる。
【0071】
また、図9は、柵体12の連結角度を90度と120度の二種類に選択できる連結部材24の平面図である。すなわち、連結部材24は、嵌合部31の内側面31aと面一となる90度連結用の当接面37aと、該当接面37aの先に連続して形成された120度連結用の当接面37bとを有している。
【0072】
このように構成された連結部材24を用いると、必要に応じて連結角度を選定できるようになる。
【0073】
この発明の構成と、上記一形態の構成との対応において、
この発明における「連結時に連結ピンの挿入方向後方側に位置する突片部における連結ピンの挿入方向前方側に形成された挿入孔」は、上記一形態の挿入孔40,62に対応し、
同様に、横木部材は、上側横木部材21および下側横木部材22に対応するも、 この発明は上記構成のみに限定されることはなく、その他の形態を採用することができる。
【0074】
たとえば、連結部材は横木部材に対して嵌合以外の手段で取付けられるものであるもよく、その取付け位置も、柵体の高さ方向の中間位置であるもよい。また、突片部材は中空箱状ではなく板状に形成されるものであるもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】ペット用柵の斜視図。
【図2】ペット用柵の分解斜視図。
【図3】要部の分解斜視図。
【図4】図1のA−A断面図。
【図5】連結部材の組み合わせ例を示す概略説明図。
【図6】連結ピン挿入の作用状態を示す一部破断側面図。
【図7】他の例に係る連結部材の一部破断断面図。
【図8】他の例に係る連結部材の平面図。
【図9】他の例に係る連結部材の平面図。
【符号の説明】
【0076】
11…ペット用柵
12…柵体
13…連結ピン
21…上側横木部材
22…下側横木部材
23…網状部材
24…連結部材
32…突片部
36…対向面
37,37a,37b…当接面
39,40,41…挿入孔
56…規制段部
57…抜け止め段部
61,62,63,64,65…挿入孔
【技術分野】
【0001】
この発明は、ペットを収容しておくためのペット用柵に関し、より詳しくは、購入者が工具なしで簡単に組み立てられるようなペット用柵に関する。
【背景技術】
【0002】
ペット用柵は、複数枚の柵体が連結されて形成される囲いである。そのまま単独で接地して使用されるほか、底部材と天井部材を組み付けてケージとして使用される。
【0003】
そして、上記柵体の連結は、柵体の左右両側縁同士の間で行われるが、その構造には、柵体を構成する縦棒同士を専用の連結具で連結する構造と、柵体の上下両端を構成する横木部材の左右両端同士を連結する構造がある。
【0004】
後者の例としては、下記特許文献1に開示されたフェンスが提案されている。
【0005】
このフェンスは、上側フレームと下側フレームとの間に網体が支持されてなるものであって、下側フレームの端部には上に向けて突出する下部ピンが設けられ、上側フレームにおける上記下部ピンに対応する部位には貫通孔が形成されて、上部ピンが抜き取り可能に差し込まれる。組み立てに当たっては、隣接するフェンス間にまたがるように配置される連結用部材(襠付支柱)の下端を上記下部ピンに差し込んで、上端に設けた上側凹部に、上側フレームの貫通孔を通して上部ピンを差し込んで、折り畳み可能に一体化するものである。
【0006】
この構成のフェンスでは、家庭において工具なしで組み立てることができるものの、フェンスの連結には、連結用部材のほか、連結部分一箇所に2本ずつの上部ピンが必要であり、部品点数が多い。このため、部品の管理や組み立て作業が面倒である。
【0007】
また、上部ピンを差し込むだけで組み立て状態を保持するものであるので、組み立てた状態のまま移動するときなどには、上部ピンが抜けないように注意しなければならず、折り畳み可能ではあるものの、移動には適さない。
【0008】
このほか、下記特許文献2のペット用柵が提案されている。
【0009】
このペット用柵は、上横枠と下横枠とこれらの間に張られた複数本の縦桟からなる格子体を、上横枠と下横枠の端部にそれぞれ固定された回動駒と、これらを回動可能に連結する軸螺杆およびナットで構成されるヒンジで連結するものである。
【0010】
しかし、各ヒンジ部の連結において工具が必要であり、組み立て作業は面倒である。また、上横枠と下横枠との間に縦桟を一本ずつ取付けているため、ヒンジを構成する部位には、比較的大きな隙間ができ、外観を害するほか、収容するペットの種類や大きさにもよるが柵として充分な機能を果たせないおそれもあった。
【0011】
そして、そもそも、上記特許文献1も特許文献2も、折り畳み式であり、各柵体(フェンス、格子体)の角度を保持する機能がない。すなわち、回動自在である。このため、単独で接地する場合には何らかの角度保持手段がなければ、収容したペットが暴れて柵体に当たることでペット用柵(組立フェンス)が変形してしまうおそれがある。
【0012】
また、底板部材等と組み合わせて使用する場合でも、上記特許文献2のように、底板部材(底板)にペット用柵の柵体(格子体)の角度を保持する機能がないときには、別途に角度保持手段を備えなければ、同様の問題が生じる。
【0013】
【特許文献1】特許第3502632号公報
【特許文献2】登録実用新案第3013227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで、この発明は、工具なしで簡単に組み立てられるとともに、別途に手段を講じずとも、使用時において不測に変形したりすることなく使用できるようにすることを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そのための手段は、複数枚の柵体が端部に取付けられた連結部材同士の連結で連結されて形成されるペット用柵であって、上記連結部材が、連結される他の連結部材との間で相互に重合する突片部と、該突片部の一部に形成され、連結される他の連結部材の対向面に対して当接する当接面と、該当接面が対向面に当接した連結状態において該連結状態を保持する連結ピンを挿入するための挿入孔とを有するペット用柵である。
【0016】
すなわち、複数枚の柵体を連結する連結部材は、突片部と、当接面と、挿入孔とを有しているので、連結に際しては、突片部同士を重合するとともに、当接面を対向する対向面に当接する。すると、当接面と対向面との当接によって連結される連結部材同士の角度は一定に保持される。この状態で、挿入孔に対して連結ピンを挿入すると、連結が完了する。
【0017】
このように、連結部材同士を所定の位置関係に組み合わせてから連結ピンを挿入すれば、連結部材同士が所定の角度に連結される構成である。このため、組み立てが簡単であるとともに、柵体を連結する連結部材同士の角度が自動的に一定に保持されるので、収容したペットが暴れても変形したりしない堅固なペット用柵となる。
【0018】
ところで、上記各構成要素については、次のように構成することができる。
【0019】
上記連結ピンは、挿通孔によって抜け止めされる抜け止め段部を有するものであるとよい。
【0020】
抜け止め段部が連結ピンの挿入状態を保持するので、ナットなどの部材が不要で部品点数を低減できるとともに、挿入するだけでよいので組み立て作業が簡単である。
【0021】
上記連結ピンは、その下端部に、前記挿入孔を通過可能な規制段部を有し、上記突片部には、少なくとも一つの挿入孔が形成され、これら挿入孔のうち、連結時に連結ピンの挿入方向後方側に位置する突片部における連結ピンの挿入方向前方側に形成された挿入孔が、連結ピンの圧入時に規制段部の通過を許容する大きさに形成されたものであるとよい。
【0022】
連結ピンを挿入するときに、連結ピンの挿入方向後方側に位置する突片部における連結ピンの挿入方向前方側に形成された挿入孔が、圧入されない連結ピンの規制段部の通過を阻止するので、連結ピンの先端(下端)が突片部から下に突出することを防止できる。このため、連結ピンを突片部に刺した状態でも突片部同士を重合して位置合せすることができ、連結する柵体を所定とおりに組み合わせてから連結を行うことが可能である。つまり、組み立て作業時における部材の扱いが容易であって、組み立て作業の簡単化に資する。
【0023】
なお、この規制段部は、上記抜け止め段部と共通であるもよい。
【0024】
上記連結部材の突片部は、相互に連結される連結部材同士の間において、または連結時に上下方向で対向する連結部材同士とこれらに連結される他の連結部材との間において、挟持するまたは挟持される位置関係になるように形成されたものであるとよい。
【0025】
互いに連結される連結部材同士、または連結時に上下方向で対向する連結部材同士とこれらに連結される連結部材の間で、突片部が、挟みまたは挟まれる位置関係にあるので、たとえば、ある一つの連結部材に持ち上げられる力が作用した場合に、その連結部材と直接的あるいは間接的に連結される他の連結部材にも、持ち上げられる力が突片部を介して伝達される。このため、突片部の位置関係がそのようになっていない場合に比して、連結ピンに集中荷重が掛かるのを抑えることができる。この結果、収容したペットが暴れた時やペット用柵の移動時などに、連結部材やその一部に掛かる負荷を低減して、強度を高めることができる。
【0026】
上記柵体は、上下両端に配置された横木部材と、これら横木部材間に取付けられる網状部材とを有し、上記連結部材が、上記横木部材の両端部に取付けられるものであるとよい。
【0027】
横木部材を有した堅牢な柵体を強固に連結することができるとともに、柵体の網状部材を、連結部材に対応する位置まで張り出す大きさに形成することで、たとえば四隅部分など、連結部材位置にできる隙間を小さくして、柵として所期の目的を充分に果たせるペット用柵を得ることができる。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、この発明によれば、連結部材同士の連結は、工具なしで簡単に行えるとともに、連結部材同士、すなわち柵体同士の角度を一定の角度に保持することができる。このため、組み立てが簡単な上に、外力に対して強いペット用柵を得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
図1は、ペット用柵11の斜視図であり、図2は、その分解斜視図である。
【0030】
すなわち、ペット用柵11は、平面視長方形枠状をなす囲いで、4枚の柵体12…を連結ピン13の挿入で連結して構成される。
【0031】
図1中、14は、ペット用柵11内に収まる大きさの長方形皿状のトレーで、ペット用柵11内に置いて使用される。もちろん、ペット用柵11は、このトレー14なしに単独で使用することもできる。
【0032】
上記柵体12…は、上下両端に配置された横木部材(上側横木部材21、下側横木部材22)と、これらの間に取付けられる網状部材23と、上記上側横木部材21および下側横木部材22の両端部に取付けられる連結部材24(24a,24b,24c,24d)とからなる。
【0033】
上側横木部材21と下側横木部材22は、縦断面長方形をなす木製の角材で形成される。木質以外の材料で形成するもよい。
【0034】
各横木部材21,22の両端部には、図3、図4に示したように、連結部材24を嵌めるための被嵌合部21a,22aが形成され、その中間位置には、上下方向に貫通する取付け孔25が形成される。取付け孔25は、上側の大径部25aと下側の小径部25bとに分かれ、大径部25aは、ナット26を収容できる大きさである。なお、図3は、正面から見た左上角部分の分解斜視図で、図4は、図1のA−A線矢視断面図である。
【0035】
このナット26は、網状部材23を止めつけるためのものであって、上記小径部25bは網状部材23の取付け軸部27を挿通可能な大きさに設定される。
【0036】
上側横木部材21も下側横木部材22も以上の各構成については同一であるが、被嵌合部21a,22a間の部位については若干構成を異にする。
【0037】
すなわち、上側横木部材21におていは下面に、下側横木部材22においては上面に、取付ける網状部材23の対向面を受ける受け面21b,22bが、被嵌合部21a,22aより突出して形成される。
【0038】
上記網状部材23は、金属製の線状材からなり、長方形枠状の枠部23a内に、線状体23bを縦横に張って形成される。そして、左右両側位置には、上下両端が上記枠部23aから上下に突出する長さの取付け軸体23cが固定される。突出している部分が上記取付け軸部27であり、この取付け軸部27に、上記ナット26が螺合する雄ねじ27aが形成されている。
【0039】
なお、網状部材23の大きさは、枠部23aの左右両側縁が、上記取付け軸体23cよりも外側に張り出すように設定される。このような大きさに形成することで、たとえば四隅部分など、連結部材24位置にできる隙間を小さくして、ペットが抜け出したりすることのない、柵として所期の目的を充分に果たせるペット用柵11とすることができるようになる。
【0040】
上記各横木部材21,22と網状部材23はあらかじめ互いに連結固定され、一体化される。
【0041】
上記連結部材24は、合成樹脂で形成され、各横木部材21,22の被嵌合部21a,22aに嵌合可能な中空箱状の嵌合部31と、該嵌合部31の端面から突出する突片部32とを有する。
【0042】
嵌合部31は、図3、図4に示したように、その下面に、上記取付け軸部の相対的な浸入を許容するぬすみ溝33が形成されるとともに、内側面31aには、嵌合部31を被嵌合部21a,22aに嵌合した時の嵌合状態を保持するために螺合するねじ部材34を挿入するための透孔35が形成される。
【0043】
上記突片部32は、上記嵌合部33と同様に中空箱状に形成されるが、その厚み(高さ)が、嵌合部31のそれよりも薄く設定される。
【0044】
すなわち、この突片部32は、連結される他の連結部材24との間で相互に重合するものであり、突片部32同士が重合したときにその厚み(高さ)が嵌合部31の厚み(高さ)内に収まるように設定されている。より詳しくは、この例においては、嵌合部31の厚みよりも若干薄くなるように設定される。
【0045】
また、突片部32は、その一部に、連結される他の連結部材24の対向面36に対して当接して、連結部材24同士の角度を直角に保つ当接面37を有する。すなわち、突片部32の内側面が当接面37であり、これは上記嵌合部31の内側面31aと面一に形成されている。
【0046】
図3に示したように、突片部32を上側に有する連結部材24(第1連結部材24a)と、突片部32を下側に有する連結部材24(第2連結部材24b)とを、かみ合わせるようにその突片部32同士を上下に重合した場合には、第1連結部材24aの当接面37が、第2連結部材24bの突片部32のない部分の端面である対向面36に当接し、第2連結部材24bの当接面37が、第1連結部材24aの突片部32のない部分の下側の端面である対向面36に当接する。
【0047】
なお、上記第1連結部材24aの嵌合部31において、突片部32のない部分の上側の端面38は、挿入する連結ピン13の突出を防止するための収容空間を得るためのものである。
【0048】
そして、上記第1連結部材24aの場合には、突片部32の上面と下面とに同径の挿入孔39,40が形成され、第2連結部材24bの場合には、突片部32の上面に、上記挿入孔39,40と同径の挿入孔41が形成される。
【0049】
第1連結部材24aの突片部32も第2連結部材24bの突起片部32も、その厚み(高さ)方向の中間位置にリブ42が形成され、上記挿入孔39,40,41より大径の溝部42aが形成されている。この溝部42aの径は、連結ピン13の円滑な通過を確保する大きさに設定される。
【0050】
なお、図1に例示した形状のペット用柵11の場合には、4種類の連結部材24(24a,24b,24c,24d)が使用される。すなわち、上記第1連結部材24a、第2連結部材24bのほかに、第3連結部材24c、第4連結部材24dが用いられる。図1、図2、図5(a)に示したように、第1連結部材24aは柵体12に向かって右上角に取付けられるもので、第2連結部材24bは柵体12に向かって左上角に、第3連結部材24cは柵体12に向かって左下角に、第4連結部材24dは柵体12に向かって右下角に取付けられるものである。
【0051】
そして上記第3連結部材24cは、第1連結部材24aと、第4連結部材24dは第2連結部材24bと方向性が異なる形状である。つまり、嵌合部31と突片部32との配置を異にする形状である。
【0052】
このような4種類の連結部材24(24a,24b,24c,24d)を上述の如く、すなわち、連結部材24の突片部32が、連結時に上下方向で対向する他の連結部材24同士とこれらに連結される他の連結部材24との間において、挟持するまたは挟持される位置関係になるように配設すると、各柵体12同士の関係において、上下方向に相対向する連結部材同士(第1連結部材24aと第4連結部材24d、第2連結部材24bと第3連結部材24c)が、これらに連結されている連結部材(第2連結部材24bと第3連結部材24c、24aと第4連結部材24d)の突片部32を上下に挟持し、また挟持される関係になる。なお、この例においては、柵体12の左右両側で突片部32の位置を異ならせたが、図5(b)に示したように、柵体12の左右両側で突片部32の位置が同一となる位置関係に配設されるものであるもよい。
【0053】
上記連結ピン13は、合成樹脂製で、上端部に、鍔状の頭部51と、該頭部51を支え上記突片部32の上面に接触する座部52とを有する。これら頭部51と座部52の厚さは、上記収容空間に収まる厚さである。
【0054】
そして、上記座部52の下には、上記挿入孔39,40,41を通過可能な太さの軸部53が形成されている。この軸部53の長さは、挿入したときに、その先端が図4に示したように下側に位置する突片部32の内底面に近づく長さであり、先端がわに割り溝54が形成されている。そして下端部(先端部)には、下側のテーパ面55を介して規制段部56が、またその上方における所定間隔へだてた位置には抜け止め段部57が形成されている。
【0055】
規制段部56も抜け止め段部57も同径に形成され、その大きさは、連結ピン13を圧入した時に挿入孔39,40,41に対する通過が許容される大きさである。つまり、圧入しない時、単に挿入しようとしたときには通過せずに止まる大きさである。
【0056】
また、上記抜け止め段部57の形成位置は、図4に示したように、下側に位置する突片部32の上面に形成した挿入孔41を通過して、該挿入孔41で抜け止めされたときに、連結ピン13の先端を突片部32の内底面に近い位置させるとともに、座部52を上側に位置する突片部32の上面に接触させる位置に設定される。
【0057】
このような連結ピン13は、図示した形状のペット用柵11の場合には、四隅の上下に1本ずつの合計8本が必要である。
【0058】
そして、上記のような連結ピン13と突片部32を有するので、連結部材24同士の連結は、次のように行われる。
【0059】
まず、図6(a)に示したように、連結ピン13を上側に位置する突片部32の上面の挿入孔39に挿入しておく。連結ピン13の規制段部56と抜け止め段部57は割り溝54の存在により、弾性変形して、挿入孔39,40,41を通過し得る。このとき、規制段部56と抜け止め段部57は、突片部32内に位置し、連結ピン13の規制段部56は、突片部32の下面の挿入孔40で受け止められる。つまり、連結ピン13の下端は、突片部32の下に突出しない。
【0060】
各連結部材24に対してこのように連結ピン13を挿入してから、柵体12を順次組み合わせ、各連結部材の突片部32同士を重合させる。そしてこの状態で、連結ピン13をたたいて圧入すると、図6(b)に示したように、連結ピン13の規制段部56は、下側に位置する突片部32の挿入孔41に挿入される。これで一応、連結状態が得られるが、さらに連結ピン13を叩いて、抜け止め段部57に、下側に位置する突片部32の挿入孔41を通過させる。すると、図4に示したように、連結ピン13の座部52と下側に位置する突片部32の上面で、上側に位置する突片部32を挟み込むような状態になって連結が完了する。
【0061】
このように、連結ピン13の先端(下端)が突片部32から下に突出することを防止して、段階的に挿入作業を行うので、連結ピン13を突片部32に刺した状態でも突片部32同士を重合させた状態に容易に位置合せすることができる。つまり、突片部32に連結ピン13を一体にしてさらに部品点数を低減したのち、連結する柵体12を所定とおりに組み合わせてから連結を行うことが可能であって、組み立て作業時における部材の扱いが容易である。
【0062】
また、上記連結ピン13の抜け止めは、規制段部56で行うもよいが、抜け止め段部57を設けてこれによって行って、連結ピン13の先端位置と抜け止め位置との距離を取るようにしているので、抜け止め段部57の近傍に掛かる負荷に対する耐力を増加させて、連結強度を確保することができる。
【0063】
以上のように、このペット用柵11は、4枚の柵体12…とこれらを連結する合計8本の連結ピン13…とからなり、連結ピン13…を差し込むだけで連結作業が、つまり組み立て作業ができる。
【0064】
このため、組み立て前の状態で販売されたペット用柵11を顧客が家に持ち帰ってからの組み立てが、工具なしで極めて簡単に行える。しかも、部品点数が少ないので、管理が容易であり、取り扱いに便利である。
【0065】
そして、組み立てられたペット用柵11は、全ての連結部分が一定の角度に保持されるので、ペット用柵11を単独で使用した場合でも、移動などの取り扱いが容易であり、さらに収容したペットが暴れたり、人や物がぶつかったりした場合でも、ペット用柵の形態を保持することができる堅固なものとなる。
【0066】
また、4種類の連結部材24(24a,24b,24c,24d)を使用して、上述したように組み合わせるので、組み立てた状態において、各連結部材24a,24b,24c,24dの突片部32が、連結時に上下方向で対向する連結部材同士(第1連結部材24aと第4連結部材24d、第2連結部材24bと第3連結部材24c)とこれらに連結される他の連結部材(第2連結部材24bと第3連結部材24c、24aと第4連結部材24d)との間において、挟持するまたは挟持される位置関係になるので、たとえば、ある一つの柵体12を持ち上げた場合に、その柵体12に連結された他の柵体12に対しても、連結部材24の突片部32を介して、持ち上げられる力が伝達される。このため、突片部32の位置関係がそのようになっていない場合に比して、連結ピン13に集中荷重が掛かるのを抑えることができ、荷重を分散できる。この結果、収容したペットが暴れた時やペット用柵の移動時など、連結部分に外力がかかるときに、特定の連結部材24やその一部に掛かる負荷を低減して、強度を高めることができる。
【0067】
以下、その他の形態について説明する。
なお、上記構成と同一または同等の構成部位については、同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
図7は、連結部材24の連結部分を示す一部破断側面図であり、この図に示すように、相互に連結される連結部材24において、一方の連結部材24eの突片部32が、他方の連結部材24fの突片部32と、挟持するまたは挟持される位置関係になるように形成されたものであるもよい。
【0068】
すなわち、相互に連結される一方の連結部材24eには2個の突片部32,32が形成され、他方の連結部材24fには1個の突片部32が形成されて、これら3個の突片部32…が相互に噛合するように形成されている。この場合、一番上に位置する突片部32の上面と下面に形成される挿入孔61,62と、一番下に位置する突片部32の上面に形成される挿入孔63と、2番目に位置する突片部32の下面に形成される挿入孔64とが、抜け止め段部57および規制段部56を圧入時に通過を許容する大きさの挿入孔であって、二番目に位置する突片部32の上面に形成される挿入孔65は、抜け止め段部57および規制段部56の通過を許容するバカ孔である。
【0069】
このように構成すると、使用する連結部材24の種類を低減することができる。
【0070】
図8は、柵体12の連結角度を90度ではなく、120度にする連結部材24の平面図であり、この図に示したように、当接面37の角度を、嵌合部31の内側面31aに対して適宜傾けることで、所望の連結角度を得ることができる。
【0071】
また、図9は、柵体12の連結角度を90度と120度の二種類に選択できる連結部材24の平面図である。すなわち、連結部材24は、嵌合部31の内側面31aと面一となる90度連結用の当接面37aと、該当接面37aの先に連続して形成された120度連結用の当接面37bとを有している。
【0072】
このように構成された連結部材24を用いると、必要に応じて連結角度を選定できるようになる。
【0073】
この発明の構成と、上記一形態の構成との対応において、
この発明における「連結時に連結ピンの挿入方向後方側に位置する突片部における連結ピンの挿入方向前方側に形成された挿入孔」は、上記一形態の挿入孔40,62に対応し、
同様に、横木部材は、上側横木部材21および下側横木部材22に対応するも、 この発明は上記構成のみに限定されることはなく、その他の形態を採用することができる。
【0074】
たとえば、連結部材は横木部材に対して嵌合以外の手段で取付けられるものであるもよく、その取付け位置も、柵体の高さ方向の中間位置であるもよい。また、突片部材は中空箱状ではなく板状に形成されるものであるもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】ペット用柵の斜視図。
【図2】ペット用柵の分解斜視図。
【図3】要部の分解斜視図。
【図4】図1のA−A断面図。
【図5】連結部材の組み合わせ例を示す概略説明図。
【図6】連結ピン挿入の作用状態を示す一部破断側面図。
【図7】他の例に係る連結部材の一部破断断面図。
【図8】他の例に係る連結部材の平面図。
【図9】他の例に係る連結部材の平面図。
【符号の説明】
【0076】
11…ペット用柵
12…柵体
13…連結ピン
21…上側横木部材
22…下側横木部材
23…網状部材
24…連結部材
32…突片部
36…対向面
37,37a,37b…当接面
39,40,41…挿入孔
56…規制段部
57…抜け止め段部
61,62,63,64,65…挿入孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の柵体が端部に取付けられた連結部材同士の連結で連結されて形成されるペット用柵であって、
上記連結部材が、連結される他の連結部材との間で相互に重合する突片部と、
該突片部の一部に形成され、連結される他の連結部材の対向面に対して当接する当接面と、
該当接面が対向面に当接した連結状態において該連結状態を保持する連結ピンを挿入するための挿入孔とを有する
ペット用柵。
【請求項2】
前記連結ピンが、挿通孔によって抜け止めされる抜け止め段部を有する
請求項1に記載のペット用柵。
【請求項3】
前記連結ピンが、その下端部に、前記挿入孔を通過可能な規制段部を有し、
前記突片部には、少なくとも一つの挿入孔が形成され、
これら挿入孔のうち、連結時に連結ピンの挿入方向後方側に位置する突片部における連結ピンの挿入方向前方側に形成された挿入孔が、連結ピンの圧入時に規制段部の通過を許容する大きさに形成された
請求項1または請求項2に記載のペット用柵。
【請求項4】
前記連結部材の突片部が、相互に連結される連結部材同士の間において、または連結時に上下方向で対向する連結部材同士とこれらに連結される他の連結部材との間において、挟持するまたは挟持される位置関係になるように形成された
請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載のペット用柵。
【請求項5】
前記柵体が、上下両端に配置された横木部材と、これら横木部材間に取付けられる網状部材とを有し、
前記連結部材が、上記横木部材の両端部に取付けられる
請求項1から請求項4のうちのいずれか一項に記載のペット用柵。
【請求項1】
複数枚の柵体が端部に取付けられた連結部材同士の連結で連結されて形成されるペット用柵であって、
上記連結部材が、連結される他の連結部材との間で相互に重合する突片部と、
該突片部の一部に形成され、連結される他の連結部材の対向面に対して当接する当接面と、
該当接面が対向面に当接した連結状態において該連結状態を保持する連結ピンを挿入するための挿入孔とを有する
ペット用柵。
【請求項2】
前記連結ピンが、挿通孔によって抜け止めされる抜け止め段部を有する
請求項1に記載のペット用柵。
【請求項3】
前記連結ピンが、その下端部に、前記挿入孔を通過可能な規制段部を有し、
前記突片部には、少なくとも一つの挿入孔が形成され、
これら挿入孔のうち、連結時に連結ピンの挿入方向後方側に位置する突片部における連結ピンの挿入方向前方側に形成された挿入孔が、連結ピンの圧入時に規制段部の通過を許容する大きさに形成された
請求項1または請求項2に記載のペット用柵。
【請求項4】
前記連結部材の突片部が、相互に連結される連結部材同士の間において、または連結時に上下方向で対向する連結部材同士とこれらに連結される他の連結部材との間において、挟持するまたは挟持される位置関係になるように形成された
請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載のペット用柵。
【請求項5】
前記柵体が、上下両端に配置された横木部材と、これら横木部材間に取付けられる網状部材とを有し、
前記連結部材が、上記横木部材の両端部に取付けられる
請求項1から請求項4のうちのいずれか一項に記載のペット用柵。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2006−271215(P2006−271215A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−91345(P2005−91345)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000137188)株式会社ボンビ (30)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000137188)株式会社ボンビ (30)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]