説明

ペット用歯ブラシ

【課題】 ペット、特にイヌに対して使用が可能であり、その歯、歯茎、及び口膣を超音波を利用して清浄することができるペット用歯ブラシを提供する。
【解決手段】 ペットが咥えるために棒状に形成された歯ブラシ本体2と、該歯ブラシ本体内に設けられる超音波振動発生手段とを設けた。
また、歯ブラシ本体2は、ペットが咥える被咥え部3と、ペットが被咥え部3を咥えているときにヒトが歯ブラシ本体2を把持するための把持部4と、を有する。
【効果】 本発明によれば、歯ブラシ本体内に超音波振動発生手段が設けられているので、口膣内の唾液や液状化した歯磨き剤の中にキャビテーションを発生させ、歯の表面に付着した歯垢細菌のバクテリアの繊毛や不溶性グルカンを破壊し、連鎖を解くことでも歯垢を除去することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットの歯垢や歯苔を除去しペットの歯、歯茎、及び口膣の治療効果に優れたペット用歯ブラシに関し、更に詳しくは、ペットの歯、歯茎、及び口膣を超音波を利用して浄化するペット用歯ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ペットを飼う人口が特に増えてきており、動物愛護法も制定されて、動物の愛護や管理が一定の基準で義務付けられるようになった。
そのような中で、特にイヌについては、家族の一員として扱う傾向があり、その健康にも十分注意が払われるようになっている。
例えば、病気にかかれば獣医の診断を受け血液検査を行うことが通常となり、人間に近い治療も行われている。
【0003】
ところで、歯磨きを考えた場合、イヌはヒトと違って手操作ができないため、ブラッシンク動作を行うことは不可能である。
そのためブラッシングを行わないイヌ用の簡単な歯磨き具が種々上市されている。
しかし、それらもいわゆる遊び具として位置づけられるものであり、医学的に見た場合、ヒトが行う歯磨きのように効果的なものではない。
一方では、例えば、ヒトがイヌの歯磨き行為を補助すれば、ヒトと同様な歯磨き効果を得ることができるものと考えられる。
【0004】
ところで、ヒトが歯磨きを行う際に通常用いる歯ブラシとしては、近年、超音波歯ブラシが人気となっている。
当然、この超音波歯ブラシは振動部にブラシ毛が植毛されたものである。
超音波歯ブラシとしては、例えば、電源と、超音波電流発生部と、超音波振動子とが組み込まれた構成が一般的である(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
超音波振動をヒトの歯、歯茎、及び口膣に伝えると、柔らかい歯垢がゆるめられて除去されるのである。
更にこの際、口膣内の唾液や液状化した歯磨き剤の中にキャビテーションを発生させ、歯の表面に付着した歯垢細菌のバクテリアの繊毛や不溶性グルカンを破壊し、連鎖を解くことでも歯垢を除去する。
【0005】
また、このような超音波歯ブラシに電気的な改良を加え、歯ブラシをマイナス極、ヒトをプラス極として電圧を加え、口膣内にマイナスイオンを発生させて清浄する方法が開発されている(例えば、特許文献3参照)。
このようにマイナスイオンを発生させると、上述したようなイオンによる電気的な架橋結合が解除され、歯垢が除去されるのである。
【0006】
【特許文献1】米国特許5138733号公報
【特許文献2】特願2003−190655号公報
【特許文献3】特願2003−12891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したような超音波歯ブラシはヒト用に製品化されているが、身近なペットであるイヌに対する有用な製品の開発は殆ど行われていない。
理由は、イヌは自ら歯磨き行為を行えないので、その製品の形状や特性等も自ずとヒトのものとは異なった構造が必要となるからである。
しかも、ヒトは自発的且つ積極的に歯磨きを行うために、常時、口を開放したままでいられるが、イヌには自発的に歯磨きを行おうとする意志がないため、口を開けた状態を一定時間保つことは極めて困難である。
むしろ、無理に口を開かせると逆に嫌がって口を閉じる習性があり、そもそもブラシ毛を有する歯ブラシを使って歯磨きを行うことは不可能であることが理解できる。
【0008】
本発明は、かかる背景技術をもとになされたもので、上記の背景技術の問題点を克服するためになされたものである。
すなわち、本発明は、ペット、特にイヌに対して使用が可能であり、その歯、歯茎、及び口膣を超音波を利用して清浄することができるペット用歯ブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かくして、本発明者は、このような課題背景に対して鋭意研究を重ねた結果、ヒト用に歯ブラシのような繊毛のブラシを用いずに、棒状部材をイヌに咥えさせることで、上記の問題点を解決することができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0010】
すなわち、本発明は、(1)、ペットが咥えるために棒状に形成された歯ブラシ本体と、該歯ブラシ本体内に設けられる超音波振動発生手段と、を有することに存する。
【0011】
また、本発明は、(2)、前記歯ブラシ本体は、ペットが咥える被咥え部と、ペットが該被咥え部を咥えているときにヒトが該歯ブラシ本体を把持するための把持部と、を有していることに存する。
【0012】
また、本発明は、(3)、前記把持部と被咥え部との境には、ペットの唾液の把持部への流れを阻止するための仕切りが形成されていることに存する。
【0013】
また、本発明は、(4)、前記被咥え部はその表面側に弾性部材よりなる覆い部と該覆い部に挿入される支持部を有し、該支持部には超音波振動子が備わっていることに存する。
【0014】
また、本発明は、(5)、前記覆い部には、棒状の歯ブラシ本体の軸方向に沿って多数の輪環状突起が形成されていることに存する。
【0015】
また、本発明は、(6)、前記支持部は把持部と一体となって覆い部に対して着脱自在となっていることに存する。
【0016】
また、本発明は、(7)、前記覆い部は把持部に対して鍔部を有するカップリング部材を介して着脱自在となっていることに存する。
【0017】
また、本発明は、(8)、支持部に備わった超音波振動子には振動伝達体が設けられ、
覆い部には、該振動伝達体が外部から視認することができるように、切欠部が形成されていることに存する。
【0018】
また、本発明は、(9)、前記切欠部は、被咥え部の長手方向位置を違えながら且つ互いに反対側に2箇所に形成されていることに存する。
【0019】
また、本発明は、(10)、ペットの口の中にイオンを発生させるためのプラス電極とマイナス電極が設けられていることに存する。
【0020】
また、本発明は、(11)、前記歯ブラシ本体には電源部が設けられ、把持部には該電源部と導通する導電体が露出して設けられ、被咥え部に設けられた振動伝達体は該導電体と反対側の極に接続されていることに存する。
【0021】
また、本発明は、(12)、超音波周波数は、40kHzを越えた周波数であることに存する。
【0022】
なお、本発明の目的に添ったものであれば、上記請求項を適宜組み合わせた構成も採用可能である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、歯ブラシ本体内に超音波振動発生手段が設けられているので、イヌ等のペットが歯ブラシ本体を咥えると、その超音波振動がその歯、歯茎、及び口膣に伝わり、柔らかい歯垢をゆるめて除去することができる。
更にこの際、口膣内の唾液や液状化した歯磨き剤の中にキャビテーションを発生させ、歯の表面に付着した歯垢細菌のバクテリアの繊毛や不溶性グルカンを破壊し、連鎖を解くことでも歯垢を除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るペット用歯ブラシを示している。
図1(a)はペット用歯ブラシを正面から見た図であり、図1(b)はペット用歯ブラシを裏面から見た図であり、図1(c)はペット用歯ブラシを側面から見た図である。
なお、このペット用歯ブラシ1は、イヌに好適な歯磨きの例として示した。
【0025】
このペット用歯ブラシ1は、ペットが咥え易くするために棒状に形成された歯ブラシ本体2を有している。
歯ブラシ本体2はペットが咥える被咥え部3と、ペットが被咥え部3を咥えている間にヒトが歯ブラシ本体2を把持するための把持部4とから構成されている。
そのため、ヒトが把持する部分とペットが咥える部分との境界が明白になり、これを目印としてペットの歯磨き作業を行えば、誤ってペットがヒトの手を噛んでしまう危険を防止することができる。
また、把持部4をグリップし易い形状にしたり、滑り難い材料を用いたり又は滑り止め用の凹凸を形成すると、ペットに対して扱い易くなる。
因みに、ペットがイヌである場合は、引き込む力が大きいために上記のように握り力を維持できることが大事である。
【0026】
把持部4と被咥え部3との間、すなわち境には、ペットの唾液の把持部への流れを阻止するための仕切りが形成されている。
この仕切りは、後述するように、例えばカップリング部材5に鍔部5aを設けることで形成されている。
被咥え部3の表面側の覆い部6(図3参照)は、弾性部材であるゴム材料(例えば、生ゴム、合成ゴム等)を使って射出成形により形成される。
ゴム材料としては、例えば、復元力に優れ且つゴムかすが発生し難い生ゴムが好ましく選択される。
【0027】
そのため、ペットにとって被咥え部3を加えたときの咥え心地が良くなり、特にイヌに用いる場合には、イヌの習性により自ら積極的に咥えるようになり、歯磨き作業が容易になる。
被咥え部3の覆い部6には、棒状の歯ブラシ本体2の軸方向に沿って多数の輪環状突起6aが形成されている。
【0028】
このように棒状の歯ブラシ本体2の軸方向に沿って多数の輪環状突起6aが形成されると、被咥え部3の表面とペットが出す唾液等との接触面積が大きくなり、超音波振動を効率的にペットの歯に伝達することができる。
また、輪環状突起6aが噛み抵抗を有するためにペットの口から歯ブラシ本体2が安易に離脱するようなことが防止される。
【0029】
被咥え部3の覆い部6と把持部4とは、カップリング部材5を用いて両者連結されており、カップリング部材5の回動操作により、覆い部6と把持部4との取り外し又は取り付けが容易に可能である。
そのため、長年使用されることにより、覆い部6が損傷したり、また経時的に劣化したりしても、迅速に新しいものと交換することができる。
【0030】
このカップリング部材5には、ペットの唾液等が把持部4に流れてこないようにするため、鍔部5aが形成されている。
そのためペットの歯磨き中に把持部4を握った手にペットの唾液等が付着することがなく、ヒトにとって衛生的にペットの歯磨きを行うことができる。
【0031】
一方、把持部4の被咥え部3側には、後述する超音波振動発生手段を起動させるためのスイッチSが設けられている。
把持部4を握った状態で容易にこのスイッチSをON/OFFすることができ、振動を発生させたり、またその振動を止めたりすることが可能である。
すなわち把持部4を手で握りながらワンタッチでスイッチSを操作することができ極めて便利である。
【0032】
把持部4にはストラップ7を取り付けることが可能である。
把持部4のスイッチSが設けられた付近には、緑色ランプ8Gと黄色ランプ8Yと赤色ランプ8Rとが設けられている。
緑色ランプ8Gは超音波振動が発生しているとき点灯し、黄色ランプ8Yは歯ブラシを充電しているときに点灯し、赤色ランプ8Rは超音波振動が止むまでの時間が1分以内にあるときに表示される。
把持部4の表面の一部には、内部に設けられた電源部と導通する導電体9が露出して設けられている。
この導電体9に手の平を当て、且つスイッチSに親指を当てた状態で把持分4を握ることが好ましい。
【0033】
図2は、図1のA−A線に沿う断面を示しており、また図3は、その部品の分解図である。
ペット用歯ブラシ1の覆い部6には、その中心軸に沿って中空部が形成されている。
この中空部は小穴6dと大穴6cとが連通されてなり、小穴6dは矩形状に、また大穴6cは円形状に形成されている。
この小穴6dと大穴6cとよりなる中空部に支持部12が挿入されることとなる。
支持部12は矩形状の細部12aと円筒状の太部12bとよりなり、太部12bの下端には径大のフランジ部12cが形成されている。
なお支持部12は、このフランジ部12cを介して後述する把持部4の外側にあるカバー体41に固定されている。
【0034】
支持部12には、その中心軸に沿って軸方向位置を相互に違えながら2箇所に振動体である振動伝達体10が設けられている。
すなわち振動伝達体10は、支持部12の長手方向位置を違えながら、且つ反対方向に2箇所に形成されている。
材料は、軽量化の観点からジュラルミン製が好ましい。
また、振動伝達体10は図4に示すような断面略コ字状をし、その一部分には切欠が形成されており、支持部12に埋め込まれた場合確実に固定される。
【0035】
振動伝達体10の裏側には振動体である超音波振動子11が接着固定されている。
該超音波振動子11がこれと導通された後述する電気回路により駆動されて超音波振動し、この振動は振動伝達体10に伝えられる。
なお振動伝達体10の裏側は、僅かに空間が形成されていた方が良い。
ここでの超音波周波数(振動数)は、例えば、1.2MHz(120万ヘルツ)が好ましく使用される。
【0036】
もっとも、超音波周波数は、歯垢等を除去して口内を清浄できる効果がある範囲で選択されるが、そのうちペットが感知することができる周波数は、ペットが驚かないためにも避けた方が良い。
その意味で、イヌでは40kHzまでは感じることができるため、イヌに用いる場合には、超音波周波数40kHzを越えた周波数を採用することが好ましい。
【0037】
支持部12に振動伝達体10が設けられている位置は、外部に露出するように覆い部6に切欠部6eが形成されている。
そのため、覆い部6に支持部12が挿入された状態では、覆い部6の切欠部6eから支持部12の振動伝達体10が視認できることとなる。
従って、ペットが被咥え部3を咥えたときに直接的にペットの口の中の唾液等に超音波振動が伝えられ効率良くキャビテーションを発生させることができる。
このキャビテーションの発生により歯の表面に付着した歯垢細菌のバクテリアの繊毛や不溶性グルカンが破壊され、連鎖が解かれることになり歯垢が除去される。
また被咥え部3の表面にジェル等の歯磨き剤を塗布した場合にも歯磨き剤に直接的に超音波振動が伝えられ唾液と効果的に混ざり合うことができる。
【0038】
被咥え部3の覆い部6の下端には、把持部4のカバー体41の上端が外嵌され、このカバー体41の上端の外周面には雄螺子4aが形成されている。
この雄螺子4aには、雌螺子が形成されたカップリング部材5が螺合可能であり、このカップリング部材5により覆い部6とカバー体41との連結、すなわち被咥え部3と把持部4との連結が確実なものとなる。
カップリング部材5はカップ状に形成され、その開口端には上述したフランジ状の鍔部5aが形成されているが、この鍔部5aの有効性については既に述べた。
カバー体41からカップリング部材5の螺合を外し、把持部4を引き抜くと、支持部12(被咥え部3の一部)も一体となって覆い部6から離脱する。
【0039】
さて把持部4の内部には、図1に記載のように、電源部13が設けられている。
この電源部13と超音波振動子11とは、図示しない線により電気的に接続されている。
また、電源部13の上方には、電気回路基板15が設けられている。
【0040】
次に、図5のブロック図を用いてペット用歯ブラシに使用される制御回路の一例について説明する。
超音波振動発生手段は、超音波信号発生手段14と該超音波信号発生手段14からの信号により超音波を発生する超音波振動子11が備えられている。
超音波信号発生手段14には、全体を制御する制御部16と、超音波信号を発生する超音波発信器17と、超音波発信時間を制御するタイマー部18と、イオン発生用の電流を制御するイオン電流制御部19と、電源部13とが、備えられている。
制御部16と超音波発信器17とタイマー部18とイオン電流制御部19とは電気回路基板15に搭載される。
【0041】
電源部13には、充電可能な充電池20と、その充電用コイル端子21が備えられている。
充電池20としては、例えば、ニッケル水素電池が用いられ、電池寿命は3年程にされている。
【0042】
制御部16は、超音波振動とイオン電流の状態を制御するもので、把持部4の外側に設けられているスイッチSと、タイマー部18と、電源部13とから信号の入力が行われる。
制御部16には、把持部4の外側に設けられているスイッチSからの信号が入力され、その信号を基に超音波振動及びイオン電流のON/OFFが行われる。
また、制御部16は、ランプ8G,8Y,8Rに電流を流し、点灯駆動させる役割も果たしている。
【0043】
電源部13の充電池20は、歯ブラシ本体2が充電スタンドに装着されると充電用コイル端子21を介して充電される。
【0044】
さて次に、実際の使用手順に基づいて、各部の動作を説明する。
先ず、制御部16はスイッチSからの電源ONの信号を検知すると、タイマー部18と、超音波発信器17と、イオン電流制御部19へ起動信号を出力する。
この信号を検知したタイマー部18は、所定時間(例えば、3分間)の計測を開始し、計測終了後に終了信号を制御部16に出力する。
【0045】
また、超音波振動子11は、同時に起動信号を検知した超音波発信器17により、超音波周波数で発信した駆動電流が印加される。
同じく、起動信号を検知したイオン電流制御部19は、本体外表面に設けられた導電体9(プラス電極)と、被咥え部3から露出した振動伝達体10(マイナス電極)との間に電圧を印加し電流を流し、歯の表面にイオンを発生させる。
すなわち、導電体9はヒトが触ることによりアースとなり、ペットもアースとなり、振動伝達体10とペットの口の中とには、電圧が発生することになり、唾液の中に微弱電流が流れマイナスイオンが発生する。
【0046】
唾液中にはカルシウムイオンが存在し、架橋結合により歯面に吸着され歯垢となり易いが、マイナスイオンを人工的に唾液中に発生させれば、カルシウムイオンをイオン化していないカルシウムに変化させることができ、唾液中のカルシウムイオンが事後的に歯面に吸着され歯垢となるのを未然に防ぐことができる。
また、歯磨き終了後もマイナスイオンがしばらくの間、口の中に残留するので、その間はカルシウムイオンの発生を抑えることができる。
なお、イオン発生時の電流は、歯の表面の状態等により変化するので、イオン電流制御部19により安定して制御される。
【0047】
次に、実際にイヌの歯磨きを行う手順について説明する。
先ず、飼い主がペット用歯ブラシ1の把持部4を手で掴み、覆い部6の切欠部6eに露出した振動伝達体10に歯磨き剤を塗布する。
歯磨き剤としては、イヌ専用のいわゆる特性ジェルを用いるのが好ましい。
具体的には、ジェルの成分として、獣肉、魚肉、鶏肉、又はチーズ類等の乳製品から抽出された粉末状又は液状の誘引剤を混入する。
例えば、チキン粉、レバー粉、ハム、七面鳥、牛肉、及び/又は魚肉等の誘引剤を、ジェルに1〜5重量%混入させると良い。
またジェルの中に殺菌成分を入れておくと、より口内を清潔に保つことができる。
【0048】
次いで、ジェルが塗布されたペット用歯ブラシ1をイヌに向けると、イヌは誘引剤の影響もあり被咥え部3を咥え込む。
次いで、親指でスイッチSをONにすると、超音波振動子11が振動し、振動伝達体10も振動し超音波振動を行う。
この場合、この超音波振動数は、ペット(例えばイヌ)の感知しない領域のものを使うため、イヌが驚いたりまた嫌がったりすることはない。
【0049】
またイヌが好むジェルを使っており、またイヌは棒状の部材を好んで噛む習性があるため、小刻みに被咥え部3を噛み続ける。
その間に、ジェルは泡状となり、イヌの口の中は唾液で充満してくる。
やがてイヌの口から泡や唾液が溢れてくるが、仕切りが形成されているために把持部の方にそれらの泡や唾液が流れてくる心配がない。
【0050】
また、振動伝達体10とイヌとの間には電圧が発生し、微弱電流が流れ、マイナスイオンがカルシウムイオンと結びつき、イオン化していないカルシウムに変化し、歯垢の原因となるカルシウムイオンが減少する。
そして、所定時間経過するとタイマー部18からの信号によりスイッチSは自動的にOFFにされる。
再度、歯磨きを行う場合は、もう一度スイッチSをONにして超音波振動を発生させれば良い。
【0051】
一方、歯磨きを止める場合は、イヌの口の中から被咥え部3を抜き取り、口の中のジェルを飲み込ませるか掃き出させるかする。
このとき、微弱電流によるマイナスイオンが口の中に残留するので、しばらくの間、口の中に歯垢が溜まりにくい状態が維持される。
以上で、イヌの歯磨きが終了する。
【0052】
以上、本発明を説明してきたが、本発明は上述した一実施形態にのみ限定されるものではなく、その本質を逸脱しない範囲で、他の種々の変形が可能であることはいうまでもない。
例えば、上述した一実施形態では、カップリング部材5により被咥え部3と把持部4とを連結した例について説明したが、カップリング部材5を用いずに、直接、被咥え部3と把持部4とを螺合して連結するようにしても良い。
このような構成にすれば、部品点数の低減を図ることができる。
また、このような構成にする場合、被咥え部3と把持部4との境に、ペットの唾液が把持部4に流れてこないようにするため、仕切りを形成することが好ましい。
【0053】
また、上述した一実施形態では、ペット用歯ブラシ1をイヌに適用した例について説明したが、イヌ以外にも、ネコ、サル等の他のペットに使用しても良い。
また覆い部に形成した輪環状突起は、噛み抵抗や接触面積を大きくすることができる限り、その形状は適宜変更できる。
更にまた、切欠部の位置や数は変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るペット用歯ブラシを示す説明図である。(a)は正面図であり、(b)は裏面図であり、(c)は側面図である。
【図2】図2は、図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】図3は、その部品の分解図である。
【図4】図4は、図2の振動伝達体を示す説明図である。
【図5】図5は、図1のペット用歯ブラシの駆動回路を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0055】
1 ペット用歯ブラシ
2 歯ブラシ本体
3 被咥え部
4 把持部
41 カバー体
4a 雄螺子
5 カップリング部材
5a 鍔部
6 覆い部
6a 輪環状突起
6c 大径穴
6d 小径穴
6e 切欠部
7 ストラップ
8G,8Y,8R 緑色ランプ,黄色ランプ,赤色ランプ
9 導電体
10 振動伝達体
11 超音波振動子
12 支持部
12a 細部
12b 太部
12c フランジ部
13 電源部
14 超音波信号発生手段
15 電気回路基板
16 制御部
17 超音波発信器
18 タイマー部
19 イオン電流制御部
20 充電池
21 充電用コイル端子
S スイッチ
V 電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットが咥えるために棒状に形成された歯ブラシ本体と、
該歯ブラシ本体内に設けられる超音波振動発生手段と、
を有することを特徴とするペット用歯ブラシ。
【請求項2】
前記歯ブラシ本体は、
ペットが咥える被咥え部と、
ペットが該被咥え部を咥えているときにヒトが該歯ブラシ本体を把持するための把持部と、
を有していることを特徴とする請求項1に記載のペット用歯ブラシ。
【請求項3】
前記把持部と被咥え部との境には、ペットの唾液の把持部への流れを阻止するための仕切りが形成されていることを特徴とする請求項2に記載のペット用歯ブラシ。
【請求項4】
前記被咥え部はその表面側に弾性部材よりなる覆い部と該覆い部に挿入される支持部を有し、該支持部には超音波振動子が備わっていることを特徴とする請求項2に記載のペット用歯ブラシ。
【請求項5】
前記覆い部には、棒状の歯ブラシ本体の軸方向に沿って多数の輪環状突起が形成されていることを特徴とする請求項4に記載のペット用歯ブラシ。
【請求項6】
前記支持部は把持部と一体となって覆い部に対して着脱自在となっていることを特徴とする請求項4に記載のペット用歯ブラシ。
【請求項7】
前記覆い部は把持部に対して鍔部を有するカップリング部材を介して着脱自在となっていることを特徴とする請求項4に記載のペット用歯ブラシ。
【請求項8】
支持部に備わった超音波振動子には振動伝達体が設けられ、
覆い部には、該振動伝達体が外部から視認することができるように、切欠部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載のペット用歯ブラシ。
【請求項9】
前記切欠部は、被咥え部の長手方向位置を違えながら且つ互いに反対側に2箇所に形成されていることを特徴とする請求項9に記載のペット用歯ブラシ。
【請求項10】
ペットの口の中にイオンを発生させるためのプラス電極とマイナス電極が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のペット用歯ブラシ。
【請求項11】
前記歯ブラシ本体には電源部が設けられ、
把持部には該電源部と導通する導電体が露出して設けられ、
被咥え部に設けられた振動伝達体は該導電体と反対側の極に接続されていることを特徴とする請求項9に記載のペット用歯ブラシ。
【請求項12】
超音波周波数は、40kHzを越えた周波数であることを特徴とする請求項1記載のペット用歯ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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