説明

ペット販売用ブース構造

【課題】展示効果を高めるほか、顧客及び店側の便益を図り、顧客の購買意欲をそそり、販売促進ができるようにすること。
【解決手段】主として顧客が自由に移動できる顧客側空間112と、主として店員が自由に移動できる店員側空間113を有するとともに、ペットを収容する空間を形成したペット収容部を備え、該ペット収容部の少なくとも前面と上面21bが透光性を有する板材で形成され、該上面21bがテーブル面兼用であるペット用展示販売ケース11が、前記顧客側空間112の端に設置されて、前記顧客側空間112と店員側空間113の間に準店員側空間114が設けられ、該準店員側空間114における前記ペット用展示販売ケース11と対向する奥に、ペットを収容する複数のペット収容室116が形成されたペット販売用ブース構造111。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ペットショップ等のペット販売用ブース構造に関し、より詳しくは、展示効果を高め、購買意欲をそそることができるようなペット販売用ブース構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ペット販売用ブース構造としては、たとえば下記特許文献1に開示されたものが提案されている。このペット販売用ブース構造は、ベース部と天井部と前面壁部と側面壁部と背面壁部とを有するブース本体を備え、このブース本体内を、前面壁部側の主展示区画と、背面壁部側の副展示区画と、これらの間の店員用通路とに主として区画している。
【0003】
そして、前記主展示区画では、ペットが自力で乗り越えることを抑制する高さの区画間仕切壁で長手方向に沿って複数に仕切られ、前記店員用通路との間は、店員用通路から店員がペットを抱き上げることが可能でペットが自力で乗り越えることを抑制する高さの通路仕切壁で仕切られている。
【0004】
また、前記副展示区画は、主展示区画の底面部よりも底上げして形成されている。構造は前記主展示区画と略同様で、ペットが自力で乗り越えることを抑制する高さの区画間副仕切壁で長手方向に沿って複数に仕切られ、前記店員用通路との間は、ペットが自力で乗り越えることを抑制する高さの前面副壁部で仕切られている。
【0005】
この発明によれば、展示中のペットのストレスの蓄積を回避し、顧客にはペットをよく見てもらえ、展示空間を活用できるという効果がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3946751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1のブース構造は、全体で一つのショーケースをなすものである。このため、顧客はあくまでもブース本体の外から見るしかない。ブース本体内に店員用通路はあるが、顧客が入れるわけではなく、顧客はあくまでも、外から見て、ペットの様子をよく観察して、店員の説明とあわせてペットの購入を決めなければならない。
【0008】
前記の構成によれば確かに、顧客は目的とするペットについてのより本当の性格を知ることができるようになると思われる。
【0009】
しかし、前記の構成に、ペットショップ等を訪れた様々な顧客を引き付ける力は、あまり期待できない。前述のように外からよく見て、自ら積極的に店員に説明を求めてゆく意思のない顧客には、訴求力が得られないからである。
【0010】
また、前述のようにブース構造が全体で一つのショーケースとなっており、それが店内の一部分に置かれた状態で床面から天井面までを占める構造である。このため、ブース内においては奥行き方向の広がりを持っていても、全体としてみれば、一つのショーケースに過ぎず、展示効果としては、従来に行われていたペットケージ等を重ねた状態で店舗内の壁面に並べる場合と、さして変わるものではない。
【0011】
そこで、この発明は、展示効果を高め、顧客の購買意欲をそそることができるようにすることを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのための手段は、主として顧客が自由に移動できる顧客側空間と、主として店員が自由に移動できる店員側空間を有するとともに、ペットを収容する空間を形成したペット収容部を備え、該ペット収容部の少なくとも前面と上面が透光性を有する板材で形成され、該上面がテーブル面兼用であるペット用展示販売ケースが、前記顧客側空間がわの端に設置されて、前記顧客側空間と店員側空間の間に準店員側空間が設けられ、該準店員側空間における前記ペット用展示販売ケースと対向する奥に、ペットを収容する複数のペット収容室が形成されたペット販売用ブース構造である。
【0013】
前記「顧客側空間がわの端」とは、設置位置が顧客側空間にあることも、顧客側空間に隣接する準店員側空間にあることも、両空間に跨る位置にあることも含む意味である。
【0014】
ペット用展示販売ケースが顧客側空間と準店員側空間の間を仕切り、このペット用展示販売ケースの少なくとも前面と上面から内部のペットを視認でき、上面はテーブル面兼用であるので、店員と顧客が、上など様々な方向からペットを見ながらの対面販売が可能である。必要な書面を使っての説明、サイン等の動作も可能である。
【0015】
そしてその奥の準店員側空間には、複数のペット収容室が形成されているので、顧客はペット用展示販売ケースの手前側から準店員側空間内の複数のペット収容室を視認できる。目の前のペット用展示販売ケース内のペットと、準店員側空間内のペットを、別個のケース内のペットとして認識でき、見比べることができるので、両ペットの種類(人気度、価格帯、珍しさなど)の違えておくことによって、店側にとっては顧客の購買意欲を刺激することができる。
【0016】
また、原則として顧客の進入を禁止しながらも、必要に応じて顧客を準店員側空間に入らせることによって、顧客に心理的満足感を与えることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、この発明によれば、1個のショーケースによる展示のようなものではなく、顧客にとっては親密感がわくような立体的な展示販売空間を得られ、新規な展示形態、販売形態を提供し、高い展示効果を得ることができる。また、顧客の購買意欲をそそることができ、新規の顧客開拓等を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ペット販売用ブース構造の一例を示す概略平面図。
【図2】図1の正面図。
【図3】ペット販売用ブース構造に用いられるペット用展示販売ケースの使用状態の斜視図。
【図4】ペット販売用ブース構造に用いられるペット用展示販売ケースの斜視図。
【図5】ペット販売用ブース構造に用いられるペット用展示販売ケースの背面図。
【図6】ペット販売用ブース構造に用いられるペット用展示販売ケースのペット収容部における横断面図。
【図7】図6の一部拡大図。
【図8】ペット販売用ブース構造に用いられるペット用展示販売ケースの縦断面図。
【図9】ペット販売用ブース構造に用いられるペット用展示販売ケースを直列に並べた状態の斜視図。
【図10】ペット販売用ブース構造に用いられるペット用展示販売ケースの立設壁部分の断面図。
【図11】ペット販売用ブース構造に用いられるペット用展示販売ケースの排気路を示す拡大断面図。
【図12】ペット販売用ブース構造における奥のペット収容室の一部の構造を示す横断面図。
【図13】ペット販売用ブース構造の他の例を示す概略平面図。
【図14】ペット販売用ブース構造の他の例を示す概略平面図。
【図15】ペット販売用ブース構造に用いる他の例に係るペット用展示販売ケースの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
図1は、犬などのペットを販売するためのペットショップ等のペット販売用ブース構造111(以下、「ブース構造」という。)の概略平面図、図2は、その正面図である。
【0020】
このブース構造111は、主として顧客CU1,CU2が自由に移動できる顧客側空間112と、主として店員CLが自由に移動できる店員側空間114と、原則として店員CLのみが入れる準店員側空間114を有する。
【0021】
この準店員側空間114は、直線状に区分された店員側空間113の一部を平面視長方形状に侵食する形で形成され、準店員側空間114内における顧客側空間112がわの端に、ペット用展示販売ケース11(以下、「展示販売ケース」という。)を2台、直列に配設している。
【0022】
ここで、前記展示販売ケース11について説明する。
図3は、この展示販売ケース11の使用状態を示す斜視図である。この図3に示すように、展示販売ケース11は、ペットPを収容する空間を形成したペット収容部21が、床面Fに設置される基台部31の上に設けられ、前記ペット収容部21の前面21aと上面21bと両側面21cと後面21dが透光性を有するガラス板で形成されている。そして、上面21bの高さは、成人が上から覗き込める高さ、換言すれば、床面から100cm程度の、いわゆる腰高程度、カウンター高さに設定されている。
【0023】
このため、図3に仮想線で示したように、展示販売ケース11の前記前面21a側には顧客CU1,CU2が、前記後面21d側には店員CLが立って、展示販売ケース11を挟んで対面状態で会話ができる。成人の顧客CU1や店員CLは、展示販売ケース11の前記上面21bに肘をつけることが可能で、子どもの顧客CU2は、よりペットPに近い位置で前記前面21a越しに前記ペット収容部21内のペットPを見ることが可能である。また、前記上面21bは、テーブル面としても使用できる。
【0024】
図4は、展示販売ケース11の正面側から見た斜視図、図5はその背面図、図6は、ペット収容部21部分における展示販売ケース11の横断面図であり、図7は図6の一部の拡大図、図8は展示販売ケース11の縦断面図である。
【0025】
これらの図に示したように、展示販売ケース11は全体として直方体状であり、下側部分が前記基台部31、上側部分が前記ペット収容部21である。そして、ペット収容部21内は、長手方向に区分された複数のペット収容室22を有している。
【0026】
まず、基台部31について説明する。
基台部31は中空構造であり、内部に、前記ペット収容室22に対応させて複数の、開閉可能な物品収納部32が設けられている。開閉のための開閉扉33は、基台部31の後面31dに設けられる。また、後面31dの開閉扉33の上方には、図5に示したようにコンセント34が設けられている。
【0027】
前記開閉扉33は、図示例においては観音開き状のものを示したが、一枚ものの扉であるも、引き戸式のものであるもよい。
【0028】
基台部31の側面31cは平らに形成され、可能な限り前記ペット収容部21の側面21cと面一に形成される。複数台を接続状態で設置したときにペット収容部21間に隙間ができることを極力抑えることができるからである。
【0029】
基台部31の前面31aも同様であるが、下端部には、照明手段を内蔵している。すなわち、図8に示したように、基台部31の前面31aを構成する基台前面板35の下端35aを展示販売ケース11の下端位置(床面F)よりも高い位置に設定し、この基台前面板35より後方に適宜距離隔てた位置に後退板36が備えられている。これら基台前面板35と後退板36との間に天井板37が設けられ、この天井板37に、照明手段としての蛍光灯38が下に向けて装着される。これにより、間接照明ができる。
【0030】
なお、図4、図5に示した展示販売ケース11は、図9に示したように左右に2台並べて使用するもののうちの一方を示したものであるので、基台部31の両側面31cのうちの一方側の側面31cの前面側下端部31eを、下まで延ばして、照明手段を内蔵した部分を閉塞している。単独で用いる展示販売ケースにおいては、両側面の前面側下端部を下まで延ばすとよい。
【0031】
前記基台部31の外観は、ペット収容部21を引き立てるような所望の外観に形成される。図中、39はアジャスタ、31fは隠蔽部である。前記アジャスタ39に代えてキャスタを用いることもできる。
【0032】
次に、ペット収容部21について説明する。
ペット収容部21は、前面21aと上面21bと両側面21cがガラス板からなる前面板23、上面板24、側面板25を一体に接合して、前記基台部31上に固定されている。そして、内部を、前述のように長手方向に複数のペット収容室22に区分するため、前面板23と上面板24には、側面板25と平行に間仕切り26が固定されている。この間仕切り26も、透光性を有するガラス板で構成されている。各板23,24,25,26の接合は、気密状態を保つように行われる。
【0033】
透光性を有するガラス板としては、透明なものは勿論のこと、有色のものやマジックミラー(ハーフミラー)であるもよい。マジックミラーを用いれば、照度、照明の配置等の設定により、ペットPと人間双方にとっての視認性を変化させることができる。
【0034】
なお、図示例では、長手方向に間隔をあけて2枚の間仕切り26が設けられて、長手方向に並ぶ3個のペット収容室22に区分されているが、間仕切り26の間隔は等間隔でも、異なる間隔であるもよく、間仕切り26は1枚でも3枚等でもよい。複数のペット収容室22を1台の展示販売ケース11に備えるので、効率よく見やすい展示ができる利点があるが、店舗の構造等によっては、間仕切りを設けず1個のペット収容室22のみを有する構成であるもよい。
【0035】
そして、後面21dには、ペット収容室22ごとに、透光性を有するガラス板からなる観音開き状の収容室開閉扉27が開閉可能に設けられる。これにより、基台部31の上方の空間を包囲することができる。収容室空間27は、周知のマグネットキャッチにより閉じた状態を保持でき、施錠もできるように取り付けられている。
【0036】
前記前面板23、上面板24、側面板25の接合部分は気密状態を保つように行われる一方、後面21d側は通気性を有する。すなわち、前記収容室開閉扉27と、上面板24、側面板25及び間仕切り25との間の隙間、収容室開閉扉27間の隙間、さらには収容室開閉扉27に設けられた孔部を通して、空気の流通が可能である。図5中、27aは通気孔、27bは吸水器取り付け孔、27cはコード等挿通孔である。
【0037】
なお、収容室開閉扉27は、透光性を有するものではなくともよい。例えば、柵やパネル、鏡などで構成することもできる。また、観音開きであると開放時の省スペース化を図れるとともに、ペット収容室22の必要部分のみを開放できる利点があるが、たとえば片開き、一部のみが開閉する構造、その他の構造であるもよく、さらには開閉扉を設けずに開放状態のままであるもよい。
【0038】
また、前記収容室開閉扉27は、図10に示したように、ペット収容室22の内底面22aよりも高い位置に設けられる。すなわち、ペット収容室22の後面21d側端部に、ペット収容室22の内底面22aから立ち上がる立設壁22bが形成され、この立設壁22bの上に、収容室開閉扉27の下端が設けられる。
【0039】
立設壁22bは、ペット収容室22の底部を構成する底板28の後縁を高くして形成される。また、立設壁22bの前面側には、薄い金属板製のカバー部材29が取り付けられる。カバー部材29は、側面視逆L字状をなし、上面部29aの端部を立設壁22bの上面に固定したときに、カバー部材29の垂直面部29bが立設壁22bの前方に隙間22cが形成される。
【0040】
立設壁22bの高さは、収容されるペットPが容易に飛び出すことを防止できる高さであるのが好ましい。このような立設壁22bがあると、収容室開閉扉27を開けたときにペットPが飛び出すのを抑制できるとともに、ペット収容室22に収めたトレーなどの物品が不測に落ちることを防止できる。
【0041】
前記ペット収容部21の側面21cにおける立設壁22bとカバー部材29に対応する部分は、前記隠蔽部31fによって隠蔽され、外側から見えないようにされている。
【0042】
また立設壁22bの近傍には、前記ペット収容室22内の空気を基台部31側に排気する排気路41が形成されている。すなわち、前記底板28の立設壁22bの前方であって、前記カバー部材29で覆われて形成された隙間22cの下に、上下方向に貫通する通気孔28aが形成される。この通気孔28aは、図7に示したように長手方向に長い形状で、長手方向に沿って複数本形成されている。
【0043】
この通気孔28aにペット収容室22内の空気を流下させることを可能にするため、図11に示したように、前記カバー部材29の上面29aに、図7に示したような前後方向に長い複数本のスリット状の入り口29cが形成されている。すなわち、前記排気路41は、入り口29c、隙間22cおよび通気孔28aで構成される。図12中、29dはカバー部材29を固定するためのねじ部材である。
【0044】
使用時には展示販売ケース11の後面側、下方側が負圧になるように設定されるので、前記排気路41の上流側の入り口であるカバー部材29の入り口29cを入った空気は、立設壁22bとカバー部材29の間の隙間22cと通気孔28aを通って、下流側である基台部31側に流れる。具体的には、前記通気孔28aの下流側の物品収納部32を通して所望部位に排気するほか、前記通気孔28aにホース(図示せず)を接続して所望部位に排気する。このため、展示販売ケース11の前面側に臭い等が流れるのを防止できるとともに、ペット収容室22ごとに空気が排気されるので、ペット収容室22ごとに完全に区分されていることとあいまって、ペット間での病気の伝染を防止できる。
【0045】
前述のようなカバー部材29を備えるので、通気孔28aを顧客側から隠蔽することができ、外観を損ねない。また、通気孔28aに物品等が落ちることを防止できるとともに、ペットPの排泄物が上からかからない限り排泄物が通気孔28a及ぶことはないので、手入れが簡単である。
【0046】
このように構成された展示販売ケース11を前述の位置に、2台直列に並べて設置する。使用に際しては、各ペット収容室22に周知のペットトレーなどを置いてペットPを収容し、必要に応じて、吸水器、ヒーター、遊具などを入れる。
【0047】
そして、並べられた展示販売ケース11の長手方向の一方(図面左側)には、図1、図2に示したように、準店員側空間114に対する顧客CU1,CU2の出入りを許容する顧客出入口115が形成されている。この顧客出入口115には施錠できる扉115aが設けられ、許可なしには顧客CLが入れないように規制する。
【0048】
また、展示販売ケース11と対向する奥の壁面には、ペットPを収容するペット収容室116が形成されている。このペット収容室116は複数形成され、ペット収容室群117とされる。
【0049】
ペット収容室群117は、個々にペット収容室116を有するケースを並べて構成するも、前記展示販売ケース11のように複数のペット収容室116を有するケースを用いて構成するも、いずれでもよい。
【0050】
これらのペット収容室116の形成にあたっては、ペット収容室116が展示販売ケース11の手前側から見えるように、ペット収容室116が準店員側空間114の高さ方向の中間位置から上に設けられる(図2参照)。換言すれば、準店員側空間114の足元部分にはペット収容空間116を形成しないで、壁面を形成するか、収容スペース等に利用する。
【0051】
このようにペット収容室116を形成することによって、顧客CU1,CU2にとって手を伸ばせば届くような、届かないような、微妙な距離感を演出できる。そして、離れた位置からでも見やすい展示を可能にし、込み入った感じがなくスペース的に余裕のある様子を見せることによって、高級感を醸し出すことができる。
【0052】
前記ペット収容室116については、その内部の奥又はその近傍に、光を反射する反射構造が設けられる(図12参照)。反射構造のためには、鏡や鏡面加工した部材が用いられる。
【0053】
すなわち、図12(a)に示したように、ペット収容室116を形成する複数のケース118の後面を、鏡119で構成することができる。このとき、図12(b)に示したように、ペット収容室116の側面部分、すなわち各ケース118の側面118aを、透光性を有するガラスやアクリル板等の材料で構成すると、斜めからの視認性を妨げることはなく、前記展示販売ケース11の間仕切り26をガラス板で構成した場合と同様の効果が得られる。
【0054】
ケース118が複数のペット収容室116を有する場合には、図12(c)に示したように、ケース118の後面を全体的に鏡119で形成すればよい。
【0055】
また、ケースのみに反射構造を持たせるのではなく、図12(d)に示したように、奥側の壁面120と協働した反射構造を構成することもできる。すなわち、壁面120に鏡119を固定し、この鏡の前に、透明な筐体からなるケース118を配置すればよい。
【0056】
鏡119等からなる反射構造の存在により、光を反射して内部のペットPを明るく見せることができるとともに、ペットPの裏側も正面側から視認可能にすることができる。前述のように顧客側空間112から離れた位置に設置されたペット収容室116でも視認性が良好となり、前述のブース構造111と相まって斬新で効果的な展示ができる。複数のペット収容室116を、デザイン性を重視して隙間をあけて形成すると、より斬新な展示ができる。
【0057】
さらに、準店員側空間114の長手方向の両端には、図1に示したように、前記店員側空間113への店員用出入口121が形成されている。店員用出入口121には、引き戸121aが備えられ、店員側空間113との間が遮断され、店員側空間113が隠蔽される。店員側空間113には、ペットPを管理するために必要な種々の設備が設けられる。このため、展示販売ケース11とペット収容室116のペットを管理する店員側にとって、作業性がよい。図1、図2中、122は、その他のペット展示スペースである。
【0058】
以上のように構成されたブース構造111においては、顧客CU1,CU2から見て手前側の展示販売ケース11に注意を惹くペット、たとえば人気のペットや珍しいペットを収容し、奥のペット収容室116には高価なペットを収容するとよい。顧客CU1,CU2は展示販売ケース11内のペットに惹かれて移動する。
【0059】
前述のように展示販売ケース11のペット収容部21は、上面21bと周囲の4面21a,21c,21dと間仕切り26が透光性を有するガラス板からなるので、顧客は遠くからでも収容されているペットを視認することができる。側面21cもガラス板からなるので、端のペット収容室22のペットPも斜め方向から視認可能である。しかも、1個のペット収容室22のみではなく、複数のペット収容室22を斜めからでも一度に、重ねるように見ることができる。このため、顧客CU1,CU2にとっては望みのペットPを、ペットごとに見る場合と違って、探し易い。
【0060】
そして、展示販売ケース11は、店員CL側と顧客CU1,CU2側を仕切るように設置されており、しかも、ペット収容部21の上面21bがテーブル面を兼用する高さであるので、図3に示したように、店員CLとの垣根が低い状態となり、目的とするペットPを挟んだ状態でペットPについての説明を受け、質問をするなどのやり取りが効率よく行える。書面を見ながらの説明やサインをするなどの事務的な処理もできる。このやり取りの最中にでも、展示販売ケース11のペット収容室22内のペットPについてその全体を一目で見ることができるので、ペットの外観、性格など、お互いに錯誤のない取引が可能な販売形態となる。
この結果、ペットPの選択などを誤ることもなく、適切で迅速な取引を促進できる。
【0061】
しかも、展示販売ケース11の前に立つと、準店員側空間114の奥に設けたペット収容室116内のペットにも目が行く。そして、前述のような微妙な距離感により、顧客の購買意欲を刺激する。このように顧客の誘導ができるため、これまでのペットのイメージとは変わって新規顧客の開拓にもなる。
【0062】
また、顧客CU1,CU2が店員CLとやり取りをして、展示販売ケース11のペットやペット収容室116のペットを抱かせてもらう場合には、店員CLが準店員用空間114に顧客CU1,CU2を招き入れる。準店員側空間114には許可がなければ入れないので、顧客CU1,CU2には要人扱いされたような心理が働き、購買意欲をかき立て、販売促進ができる。
【0063】
このように、店側にとっては、人気のあるペット、珍しいペットを展示販売ケース11に収容して、準店員側空間114の奥のペット収容室116内に高価なペットを収容することによって、ペットPの展示効果を高めることができる。ペット販売に用いるこの展示販売ケース11自体の斬新さと相まって、購買意欲を刺激するとともに、販売を促進する展示が可能である。
【0064】
以下、ブース構造の若干の他の実施形態について説明する。この説明において、前述の構成と同一又は同等の部位については同一の符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0065】
図13は、ブース構造111の他の例を示す概略平面図で、図1に示したブース構造111と違って、展示販売ケース11を平面視V字状に配設している。2本の直線状に配設された連結部分の間には、平面視三角形状の連結台123を置いて、隙間を塞いでいる。この連結台123の高さは、展示販売ケース11の基台部31の高さと同じに設定し、連結台123の上面には、装飾品やペット用玩具、販売情報などを展示しておくとよい。
【0066】
このように展示販売ケース11を配設したブース構造111では、準店員側空間114の長手方向(図13の矢印A参照)から来た顧客CU1,CU2にも、また購入意思のない者にも、展示販売ケース11内のペットPを積極的にアピールすることができる。この結果、奥のペット収容室116のペットPについても認識させることができ、販売促進を図ることができる。
【0067】
図14は、ブース構造111の他の例を示す概略平面図で、図11に示したブース構造111と違って、準店員側空間114が平面視L字状に形成されている。これに伴って、展示販売ケース11も、ペット収容室群117も、平面視L状をなすように配置されている。
【0068】
このように展示販売ケース11を配設したブース構造111では、店舗内のコーナー部分を有効に利用して、コーナー部分に向かういずれの方向から来る者にでも、目立つように展示することができる。
【0069】
以上の構成はこの発明を実施するための一形態であり、その他の形態を採用することもできる。
たとえば、展示販売ケース11として図15に示したように、ペット収容部21の前面21aと上面21bを1枚の板材30で構成し、その板材30の前面21aと上面21bの間に湾曲面21eが形成されたものを使用すると、展示販売ケース11の中に対しては、湾曲面21eがあるので、斜めから見下ろしたときに角が出ないため、視野が広くなって見やすくなる。同時に、展示販売ケース11の手前から準店員側空間114内を見たときでも、前記湾曲面21eの存在により全体として柔らかな印象を付与でき、より見やすい展示ができる。
【0070】
また、顧客出入口は、必ずしもペット用展示販売ケース11に並べて設ける必要はなく、離れた場所にあってもよい。
【符号の説明】
【0071】
111…ペット販売用ブース構造
112…顧客側空間
113…店員側空間
114…順店員側空間
115…顧客出入口
116…ペット収容室
119…鏡
121…店員用出入口
11…ペット用展示販売ケース
21…ペット収容部
21a…前面
21b…上面
CU1,CU2…顧客
CL…店員
P…ペット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主として顧客が自由に移動できる顧客側空間と、主として店員が自由に移動できる店員側空間を有するとともに、
ペットを収容する空間を形成したペット収容部を備え、該ペット収容部の少なくとも前面と上面が透光性を有する板材で形成され、該上面がテーブル面兼用であるペット用展示販売ケースが、前記顧客側空間がわの端に設置されて、前記顧客側空間と店員側空間の間に準店員側空間が設けられ、
該準店員側空間における前記ペット用展示販売ケースと対向する奥に、ペットを収容する複数のペット収容室が形成された
ペット販売用ブース構造。
【請求項2】
前記ペット用展示販売ケースに並べて、前記準店員側空間に対する顧客の出入りを許容する顧客出入口が形成された
請求項1に記載のペット販売用ブース構造。
【請求項3】
前記準店員側空間に、前記店員側空間への店員用出入口が形成された
請求項1または請求項2に記載のペット販売用ブース構造。
【請求項4】
前記ペット収容室内の奥又はその近傍に、光を反射する反射構造が設けられた
請求項1から請求項3のうちのいずかれ一項に記載のペット販売用ブース構造。
【請求項5】
前記複数のペット収容室の側面部分が透光性を有する
請求項1から請求項4のうちのいずれか一項に記載のペット販売用ブース構造。
【請求項6】
前記ペット収容室が前記ペット用展示販売ケースの手前位置から見えるように、前記ペット収容室が前記準店員側空間の高さ方向の中間位置から上に設けられた
請求項1から請求項5のうちのいずれか一項に記載のペット販売用ブース構造。
【請求項7】
前記ペット収容室に、高価なペットが収容された
請求項1から請求項6のうちのいずれか一項に記載のペット販売用ブース構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−24432(P2011−24432A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170686(P2009−170686)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(000137188)株式会社ボンビ (30)
【Fターム(参考)】