説明

ペプチド、ペプチド模倣体及び他の胃腸内輸送タンパク質基質の吸収を増加する方法

胃腸内輸送タンパク質を介するペプチド、ペプチド模倣体及び他の胃腸内輸送タンパク質基質の吸収及び/又は輸送の増強に有用な方法及び組成物を提供する。この方法は、5−メトキシ−N−アセチルトリプタミンなどのホルモンを使用して、ペプチド、ペプチド模倣体及び基質の輸送を増加するステップを含む。組成物は、1種又は複数種のホルモン並びに1種又は複数種のペプチド、ペプチド模倣体及び他の胃腸内輸送タンパク質基質を含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の相互参照]
[0001]本出願は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2008年3月27日出願の米国特許仮出願第61/072069号の優先権を主張する。
【0002】
[発明の背景]
[発明の分野]
[0002]本発明は、全般に、動物による化合物の吸収増加方法に関し、具体的には、動物によるペプチド、ペプチド模倣体及び他の胃腸内輸送タンパク質基質の吸収増加のための5−メトキシ−N−アセチルトリプタミンなどのホルモンの使用に関する。
【0003】
[関連技術の説明]
[0003]ペプチド輸送体タンパク質は、ジペプチド及びトリペプチド並びにさまざまなペプチド模倣体及び他の化合物の細胞内への取り込みを媒介する内在性膜タンパク質である。ペプチド輸送体タンパク質は、細菌、酵母、植物、無脊椎動物及び脊椎動物において認められる。脊椎動物において、それぞれPepT1及びPepT2と称される2種の輸送体タンパク質、ペプチド輸送体1及び2は、小腸の刷子縁膜(PepT1)、腎臓(PepT1及びPepT2)及び肺(PepT2)において主に発現される。PepT輸送体は、多数のジペプチド及びトリペプチド並びにβラクタム系抗生物質、選択されたアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤及びペプチダーゼ阻害剤などの広範囲の治療薬を輸送できるプロトン共役輸送体である。基質フラックスは、プロトン移動が、転移のための主な駆動力としての膜電位に伴う電気化学的プロトン勾配を下げるように共役すると考えられる。
【0004】
[0004]哺乳動物のオリゴペプチド輸送体は、膜輸送体のPTR2ファミリーの一部である。哺乳動物のオリゴペプチド輸送体は、公知の全ファミリーメンバーに保存される2種のサインモチーフにより特徴付けられる。第1の保存モチーフは、第2の推定膜貫通ドメインの末端から始まる領域であり、それに続く第1の細胞質ループ及び第3の膜貫通ドメインをも含む。第2の保存モチーフは、第5の膜貫通領域のコア領域に相当する。哺乳動物のPepT1及びPepT2輸送体タンパク質に加えて、PTR2ファミリーは、酵母ペプチド輸送体のPTR2、乳酸連鎖球菌(Lactococcus lactis)由来のDtpT及び未知の機能を有する多数の「オーファン」輸送体を含む。大部分のオーファン輸送体は、大腸菌(Escherichia coli)などの原核生物において認められる。
【0005】
[0005]哺乳動物において、PepT1は、低分子オリゴペプチドを含むタンパク質の吸収において重要な役割を果たす。PepT1は腸上皮細胞の刷子縁膜において主に発現され、腸上皮細胞の刷子縁膜においてPepT1は、消化において認められるような、腸管内腔から細胞内へのオリゴペプチドの輸送を媒介する。さらに、PepT1の比較的広い基質特異性のため、PepT1は、βラクタム系抗生物質を含むさまざまな薬理学的に活性な化合物を受容でき、これらの化合物の吸収経路として機能する。機能的研究により、駆動力としてのH+の電気化学的勾配の利用に加えて、PepT1がpH依存性を示すことが示されており、高速、低親和性の輸送体であることが報告されている。さらに、PepT1が誘導性輸送体であるという報告もある。誘導因子は、基質、基質類似体及びさまざまなホルモンを含む。
【0006】
[0006]腸の疾患を含む生理学的ストレス、肉体的ストレス、外科手術、損傷及び/又は精神的ストレスは、腸の健康及び機能に悪影響を及ぼし得、アミノ酸の吸収に直接又は間接的に影響を与える。例えば、1型糖尿病(すなわち、生来インスリンの産生が低い又はない)のラットは、健康なラットと比較してPepT1の活性が低下していることが示されている。
【0007】
[0007]アミノ酸の吸収を改善する試みが実施されている。例えば、予備消化食品タンパク質及び加水分解食品タンパク質の食品、例えば救急救命食への添加が使用されているが、このような取り組みは吸収に利用可能なアミノ酸又はペプチドのプールを主に増加し、必ずしも吸収過程を増強するものではない。いくつかの特定の低分子ペプチドは、ペプチドの吸収を明らかに刺激できる。イヌの細胞株において、特定のペプチド、具体的にはグリシルサルコシン又はβ−アラニル−L−ヒスチジン(カルノシン)を与え、ペプチドの吸収を増加させる方法が、米国特許第6,803,186号に開示されたが、インビボでは、これらのペプチドの使用は標準的な食餌単独と比較してペプチドの吸収の刺激に成功しなかった。ジペプチドのアラニル−グルタミン単独ではペプチド吸収活性を刺激するには十分でなかったことが示されているが、成長ホルモン(GH)と組み合わせた場合、ペプチドの吸収は、ヒト細胞株が過酸化水素による酸化ストレスに供された場合に維持された。過酸化物誘導性酸化ストレスは、ペプチド及びGHの不在下で、ペプチドの吸収を低下させる。一部の科学文献は、特定の活性生物ペプチド又はホルモンが、PepT1の活性を直接刺激することを介して、低分子ペプチドの吸収を刺激し得ることを示している。インスリン、表皮性成長因子、レプチン、インターフェロンγ及び甲状腺ホルモンはすべて、いくらかの刺激効果を示した。成長ホルモンのいずれの刺激効果に関しても、相反するデータが報告されている。
【0008】
[0008]甲状腺ホルモンを除いて、刺激性ペプチドホルモンは種特異的タンパク質である。したがって、実際の刺激性ペプチドホルモンの適用又は使用は、例えば、ホルモンを使用する種ごとに化学技術又は組換え遺伝子技術による合成を必要とする。さらに、これらのホルモンは皮下注射により投与されているが、このことは実際の適用には望ましくないと思われる。
【0009】
[0009]さまざまな目的でPepT1の輸送活性を特異的に制御するための、他の取り組みが実施されている。例えば、米国特許出願公開第20030170748号は、イヌのPepT1をコードする核酸を開示する。この公報は、ロイシン及びトリプトファンの特定のペプチド結合型の吸収並びにモデル基質であるグリシルサルコシン(GlySar)の輸送を阻害するさまざまな低分子ペプチドの能力もまた評価した。特定のペプチドが、動物に対する有益な栄養特性を有すると思われるかどうかを決定する方法、及び細胞とPepT1の基質とが接触することによって、細胞においてPepT1活性を刺激する方法が提供される。同様に、米国特許出願公開第20060210569号は、PepT1を阻害し、その結果細胞成長を阻害する方法を開示する。
【0010】
[0010]したがって、動物内において、1種又は複数種の特定のペプチド又は不特定のペプチド、ペプチド模倣体及び他の胃腸内輸送タンパク質基質の、特に輸送体タンパク質、例えばPepT1輸送体を介する吸収又は取り込みの増加方法が依然として必要である。
【0011】
[発明の概要]
[0011]したがって、本発明の目的は、動物において、ペプチド、ペプチド模倣体又は他の胃腸内輸送タンパク質基質の吸収、輸送、取り込み及び/又は同化を、増強、改善又は増加する方法を提供することである。
【0012】
[0012]本発明のさらなる目的は、胃腸の健康を支援及び/又は改善し、動物の健康又はウェルネスを促進し、吸収不良疾患を有する動物に改善されたアミノ酸の栄養摂取を提供し、胃腸内輸送タンパク質に対する基質である薬剤又はプロドラッグを送達し、老齢動物又は激しい肉体的活動、例えば運動に供された動物中の筋肉量を維持する有益な方法を提供することである。
【0013】
[0013]これら及び他の目的の1つ又は複数は、動物において、ペプチド、ペプチド模倣体又は他の胃腸内輸送タンパク質基質の輸送の増強に有用な、新規の組成物及び方法を使用して達成される。この方法は、動物において腸内輸送タンパク質、例えば、PepT1を介する、ペプチド、ペプチド模倣体又は他の胃腸内輸送タンパク質基質の輸送の増強に有効な量の1種又は複数のメラトニンを投与するステップを含む。本方法は、これらの化合物の吸収を改善し、それらの意図する目的、例えばタンパク質の構築又は感染症に対処するために使用する、動物が利用可能なこのような化合物の量を増加する。本方法は、食品組成物を、組成物又はその天然消化産物中の1種又は複数種のジペプチド又はトリペプチドの吸収の増強に十分な量のメラトニンと併用して動物に投与する場合、インビボで食品組成物の栄養価をも増強する。本組成物は、メラトニンと、1種又は複数種のペプチド、ペプチド模倣体又は他の胃腸内輸送タンパク質基質とを含む。
【0014】
[0014]本発明の他の及びさらなる目的、特徴及び利点は、当業者には容易に明らかであろう。
【0015】
[発明の詳細な説明]
定義
[0015]「メラトニン」という用語は、5−メトキシ−N−アセチルトリプタミン及び5−メトキシ−N−アセチルトリプタミンと実質的に同じ生物活性を有するその誘導体又は類似体並びにそれらのインビボ前駆体を意味する。5−メトキシ−N−アセチルトリプタミンは、概日周期の間に量が変化する化合物である。この化合物は、松果腺、網膜、免疫細胞及び胃腸管により産生される。5−メトキシ−N−アセチルトリプタミンは、アミノ酸のトリプトファンからセロトニンの合成を介して天然に合成される。松果腺は、明と暗の日々のパターンについての情報を網膜から受け取り、それに応答してメラトニンを合成する。この化合物はさらに、コメなどのさまざまな植物及び細菌、原生動物、藻類及び他の生物によっても合成される。この用語は、PepT1及びPepT2などの胃腸内輸送タンパク質に対して、5−メトキシ−N−アセチルトリプタミンと実質的に同じ生物活性を有する任意の他のホルモンも意味する。
【0016】
[0016]「ペプチド模倣体」という用語は、天然発生オリゴペプチドの1つ又は複数の構造的特徴又は生物活性を模倣する化合物を意味するが、「ペプチド模倣体」という用語は、1種又は複数種の非ペプチド又は非天然発生の化学構造若しくは結合を含む。本明細書において使用するペプチド模倣体は、動物におけるオリゴペプチド輸送に関する1つ又は複数の生物特性を有する。目下の好ましい一実施形態において、本明細書において使用されるペプチド模倣体は、1種又は複数種のオリゴペプチド輸送タンパク質により、例えば基質、阻害剤、作動薬又は拮抗薬として認識される。別の実施形態において、ペプチド模倣体は1種又は複数種のオリゴペプチド輸送タンパク質の誘導因子である;すなわち、ペプチド模倣体は、基質又はタンパク質の作動薬として直接認識されずに、オリゴペプチド輸送タンパク質の量又は活性を誘導する。ペプチド模倣体は、ペプチドの生物作用を模倣するために高い頻度で使用され、したがって、ペプチド模倣体は、1種又は複数種のペプチドを模倣するように設計された低分子タンパク質様の鎖であってよい。ペプチド模倣体は、多くの場合、分子の構造又は特性を改変するための1つ又は複数の修飾を有する、対象となる既存のペプチドに基づいて合成される。修飾は、ペプチド分子の安定性、半減期、生物活性、吸収又はペプチドの副作用(例えば、毒性、溶解度、疎水性、側鎖の電荷又は柔軟性)を変化させ得る。ペプチド模倣体は、合理的に又は公知若しくは推定の生物活性を有する既存のペプチドの修飾に基づいて開発された、医薬品又は薬様化合物として有用であり得る。本明細書において使用されるペプチド模倣体は、天然には起こらない1つ又は複数の修飾、例えば修飾された又は改変されたペプチドの骨格構造、非天然アミノ酸の組み込みなどを含むことが好ましい。
【0017】
[0017]いくつかの実施形態において、本明細書における使用のためのペプチド模倣体は医薬品である。特定の薬剤又は薬剤クラスがタンパク質又はペプチド輸送分子を介して送達できることは薬剤送達の分野において公知である。例えば、特定の抗生物質、血圧制御薬(例えば、降圧剤)、抗ウィルス薬及び他の薬剤は基質であるか、又は1種又は複数種のPTR2ファミリーペプチド輸送分子によりインビボで輸送され得る。例えば、ペプチド模倣体抗生物質、例えばβラクタム系抗生物質は、オリゴペプチド輸送体によりインビボで輸送され得る。βラクタム系抗生物質は、それらの分子構造中にβラクタム環を含む広いクラスの抗生物質である。このクラスは、ペニシリン、セファロスポリン、モノバクタム、カルバペネム及びそれらの誘導体を含む。本明細書の目的に関して、「ペプチド模倣体」などの化合物の議論は、このような化合物の一般的に許容される形態及び商業的に有用な調製品、例えば塩、酸、塩基、特にこのような化合物の薬学的に許容可能な塩すべてを含むことに留意すべきである。βラクタム環構造を含む他のペプチド模倣体化合物はβラクタマーゼ阻害剤を含み、βラクタマーゼ阻害剤は、本質的には抗菌性又は抗生物質性ではないと思われるが、微生物により産生される、環境中のβラクタム含有化合物を分解するβラクタマーゼ酵素を阻害する。βラクタム系抗生物質は薬効範囲が広く、最も広く使用されるクラスの抗生物質である。セファレキシンは、本明細書において例示されるセファロスポリン系抗生物質の一例である。
【0018】
[0018]本明細書において使用されるペプチド模倣体は、例えばアミノ酸のエステル化を介した、さまざまな薬剤又はプロドラッグの修飾もまた包含する。これらの修飾薬剤は、腸内オリゴペプチド輸送タンパク質の基質又は誘導因子として輸送可能な、関連薬剤又はプロドラッグを提供できるので、これらの修飾薬剤、例えばアミノ酸エステルは本明細書において有用である。薬剤が他の方法では吸収されにくい場合、この戦略は、特に有用である。例えば、降圧剤であるプロドラッグのミドドリンは、グリシル残基の切断により、インビボでその活性型であるDMAEに変換される。ミドドリンはPepT1輸送の基質であるが、DMAEはPepT1輸送の基質ではない。DMAEへの他のアミノ酸の修飾もまた、PepT1により輸送される能力を有する。腸内オリゴペプチド輸送体に対する基質であることが公知の他の薬剤の例は、バラシクロビル及びバルガンシクロビルを含み、バラシクロビル及びバルガンシクロビルは、それぞれ、抗ウィルス剤のアシクロビル及びガンシクロビルのアミノ酸エステルプロドラッグである。
【0019】
[0019]当業者は、特定の化合物が、前述の定義の意味の範囲内のペプチド模倣体であるかどうかの決定を、当技術分野において承認されている方法により評価できることを理解するであろう。例えば、ペプチド模倣体化合物は、オリゴペプチド輸送体の1種又は複数種の、公知の基質の輸送の有効な阻害剤、例えば競合的阻害剤であってよい。PepT1に対するこのような基質の1つは、モデル基質のグリシルサルコシンである。推定ペプチド模倣体の輸送、結合又は吸収もまた、インビトロのモデル系、膜、小胞、細胞又はインビボの動物系において直接評価できる。他の機能アッセイは、特定の好ましい腸内オリゴペプチド輸送タンパク質がプロトン依存性輸送体であるという事実に基づくことができる。したがって、推定ペプチド模倣体基質のアッセイは、例えば、プロトン移動、腸内オリゴペプチド輸送タンパク質が位置する膜の脱分極に基づくことができる。
【0020】
[0020]本明細書において使用される、ペプチド、ペプチド模倣体、他の胃腸内輸送タンパク質基質又は他の化合物の吸収、輸送、取り込み又は同化について「増強する(enhance)」、「増強する(enhances)」及び「増強(enhancing)」という用語は、特定の組成物又は方法が、吸収、輸送、取り込み又は同化についてのいくらかの測定可能な効果、例えば、吸収、輸送、取り込み又は同化の時間、経過、速度、量、範囲などについての効果を有することを意味する。化合物又は方法は、特定のアミノ酸、ペプチド又は関連化合物の吸収、輸送、取り込み又は同化に関する輸送タンパク質の活性、量、効率、結合又は他の速度パラメーターの増加を含む、いくつかの経路のいずれかによる、輸送、取り込み又は吸収もまた「増強」できる。化合物又は方法は、特定の基質が輸送分子に進入し、輸送分子から抜け出る比率を増加することにより、又は、特定の基質が特定の時間の間に輸送される程度、若しくは特定のエンドポイントに対する評価の程度を増加することにより、吸収、輸送、取り込み又は同化を、さらに増強できる。直接であろうと又は間接的であろうと、吸収、輸送、取り込み又は同化におけるいくらかの測定可能な増加は、組成物又は方法の使用に起因し得る結果として、損傷の原因となる肉体的活動からの回復を「増強する」。「改善する(improve)」、「改善する(improves)」、「改善(improving)」という用語は、吸収、輸送、取り込み又は同化についての任意の効果に関する、それぞれ「増強する(enhance)」、「増強する(enhances)」及び「増強(enhancing)」と同義語である。
【0021】
[0021]「有効量」又は「に有効な量」という用語は、特定の生物学的結果を達成するために有効な、化合物、材料、組成物、医薬品又は他の材料、例えばメラトニンの量を意味する。このような結果は、限定するものではないが、下記の1種又は複数種を含む:動物の胃腸内腔から1種又は複数種の胃腸管の内膜細胞、例えば、刷子縁細胞に取り込まれる特定のペプチド、ペプチド模倣体又は関連化合物の速度又は程度の増加。したがって、有効量は、有効量の化合物を与えられなかった対照動物と比較して、時間内の特定の時点又は時間内の特定の期間にわたって、輸送タンパク質基質の吸収、輸送、取り込み、同化などの速度又は程度を増加するために十分である。有効量のさらなる潜在的な結果は、1種又は複数種の細胞又は細胞型中のオリゴペプチド輸送タンパク質の量の増加を含む。このような増加は、輸送タンパク質の半減期の増加によって、例えば、輸送タンパク質の産生速度の増加、又は分解若しくは代謝回転速度の減少により起こり得る。吸収、輸送などにおける増加は、例えば、細胞内の輸送タンパク質の転写又は翻訳速度の増加によって、又は細胞内の輸送タンパク質をコードするmRNAの半減期を増加することによって、輸送タンパク質の産生の誘導からも起こり得る。増加は、前述の任意の組合せによって、及び当業者により理解される生物学的に活性なタンパク質の量又は活性を増加する他の手段によっても起こり得る。本明細書の一部の実施形態において、基質、例えばペプチド、ペプチド模倣体又は関連化合物の吸収を増強又は改善するための化合物の量は、吸収される又は輸送されるべき基質又は化合物の投与時間の前に投与又は消費された場合、有効であり得る。他の実施形態において、有効量は、吸収される又は輸送されるべき基質又は化合物と同時に、個別に又は同じ食品組成物又は製剤又は医薬品の一部として、投与又は消費することができる。さらに別の実施形態において、有効量は、吸収される又は輸送されるべき基質又は化合物の大部分又はすべての消費後に、指定の時間枠内に投与又は消費することができる。有効量が、吸収される又は輸送されるべき基質又は化合物の消費又は投与の前、間、後に投与又は消費することができるような前述の組合せが可能である。総有効量は、複数回分又は複数回投与で投与又は消費することができ、有効量は、吸収される又は輸送されるべき基質又は化合物の消費の前、間、後に複数回投与又は消費することができる。さまざまな理由から、有効量は、吸収される又は輸送されるべき基質又は化合物の消費又は投与の前後約60〜120分以内に投与又は消費することが好ましい。好ましくは、有効量は、例えば、1、5、10、15、20、30、40、45、50若しくは55分の期間内、又は吸収される若しくは輸送されるべき基質若しくは化合物の消費若しくは投与の前、約1時間未満の任意の中間値で経口投与される。他の実施形態において、有効量は、吸収される又は輸送されるべき基質又は化合物の消費又は投与の前60、70、80、90分又はそれ未満で投与又は消費される。さらに他の実施形態において、有効量は、吸収される又は輸送されるべき基質又は化合物の消費又は投与の前100、110又は2時間以内でも消費できる。吸収される又は輸送されるべき基質又は化合物の消費又は投与の前後、このおよそ2時間の時間枠を超えての投与は、いくらかの影響が出る可能性があるが、当業者は、投与時間がこの枠を大きく超えた場合、潜在的な利益が減少することを理解するであろう。
【0022】
[0022]「抗生物質」という用語は、ペプチド輸送体タンパク質により輸送され得る任意の抗生物質を意味する。
【0023】
[0023]「動物」という用語は、1つ又は複数の本発明の組成物又は方法から利益を得ることができる任意の動物、特に、ジ−、トリ−及び他のオリゴペプチド、薬剤又はプロドラッグのアミノ酸エステル、腸内オリゴペプチド輸送タンパク質に対する基質、特に動物の胃腸管に位置し、その活性がメラトニン又は特定の他のペプチド又はホルモンにより増強、刺激などされるオリゴペプチド輸送タンパク質に対する基質を含むペプチド模倣体の、インビボの吸収、輸送、取り込み、同化などの増強、改善又は増加に有用な方法及び組成物から利益を得ることができる動物を意味する。したがって、本発明は、任意の動物、好ましくは哺乳動物に関する。特に明記しない、又は文脈より明らかでない限り、本明細書において「動物」又は「哺乳動物」という用語は、ヒトを含む。「動物」という用語は一般的な意味で使用され、ヒト又はトリ、ウシ、イヌ、ウマ、ネコ、ヒクリン(hicrine)、オオカミ、ネズミ、ヒツジ、及びブタを含む他の動物を意味する。本明細書において使用する「コンパニオンアニマル」は、任意の家畜を意味し、限定するものでないが、ネコ、イヌ、ウサギ、モルモット、フェレット、ハムスター、マウス、スナネズミ、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ロバ、ブタなどを含む。ヒトが明確に除外される、又は文脈により明らかに除外されている特定の実施形態は、本明細書において好ましい可能性がある。特定の実施形態において、コンパニオンアニマル、例えばイヌ及びネコが好ましい。
【0024】
[0024]「老齢」という用語は、動物が期待される寿命の約50%、すなわちその型、品種、種の動物に期待される寿命の50%の年齢に達したことを意味する。好ましい実施形態において、老齢動物は、その型、品種、種に関する期待される寿命又は推定に基づいて計算された寿命の少なくとも60%、66.6%、70%、75%又は80%である年齢に到達している。
【0025】
[0025]「食品」又は「食品組成物」という用語は、ヒトを含む動物により摂取されることを意図した製品又は組成物を意味し、動物に栄養を提供する。「食品」という用語は、ヒト用であろうと別の動物用であろうと、任意の食品、餌、スナック、補助食品、おやつ、代替食又は置き換え食を含む。「食品」は、固体、液体、ゲル又はそれらの混合物若しくは組合せなどの任意の形態の製品を包含する。「動物用食品」は、任意の家畜化された種又は野生種を意図した食品又は餌を含む。好ましい実施形態において、動物用食品は、栄養的に完全な食品組成物、例えばペレット化された、押し出し成形された、又は乾燥された食品を表す。このような動物用食品の例は、押し出し成形のペット用食品、例えばイヌ又はネコ用の食品を含む。
【0026】
[0026]「投与(administering)」又は「投与(administration)」という用語は、別の動物への投与に加えて自己投与を含み、例えば、世話人は食品、組成物、医薬品などをコンパニオンアニマルに投与できる。世話人は、食品、組成物、医薬品などを摂取又は消費し、その結果、製品、組成物、医薬品などを世話人自身に投与することもできる。任意の許容可能な経路による投与が本明細書の使用に企図されるが、経口投与が多くの実施形態に関して現在好ましい。吸収される又は輸送されるべき基質又は化合物が経口的に投与される、例えば、食品、飲料、栄養補助食品として消費されることもまた好ましい。投与は、定期的であってよく、又は長期投与であってもよい。
【0027】
[0027]本明細書に提供される方法の実践のための有効量の投与に関して、又は本明細書に提供される組成物の投与に関して、「定期的」という用語は、吸収される又は輸送されるべき基質又は化合物の消費前、同時、後にかかわらず、投与を一定期間ごとに反復できることを意味する。したがって、投与は少なくとも1日1回、又は1日2回、3回又はそれ以上、例えば食事ごとであってもよい。定期的ということは、さらに低い頻度、例えば、2若しくは3回/週又は週に1回の有効量の投与であってもよい。好ましくは、例えばメラトニンの有効量の投与は、吸収される又は輸送されるべき基質又は化合物の消費と、少なくとも同等の頻度である。特定の実施形態において、より頻度の高い投与又は消費、例えば週に2回又は3回が好ましい。本明細書の上記で定義したように、吸収される又は輸送されるべき基質又は化合物の消費が1日1回より少ない頻度であっても、又は時折であっても、一実施形態は、少なくとも1日1回の有効量投与を含む投薬計画を特徴とする。
【0028】
[0028]「長期投与」という用語は、吸収される又は輸送されるべき基質又は化合物の反復消費を伴う、1ヶ月を超える投与又は消費を反復する期間を意味する。例えば、最適なタンパク質/アミノ酸の栄養摂取を必要とする特定の動物を用いた特定の実施形態に関して、2、3又は4ヶ月より長い期間が好ましい。例えば、筋肉量を維持若しくは構築しなければならない、又は筋肉タンパク質を減少させる若しくは分解する異化作用と闘う、老齢動物又は使役動物。5、6、7、8、9又は10ヶ月より長い期間を含むより伸長された期間も、特に老齢動物及び栄養障害又は胃腸疾患、例えば吸収不良障害を有する動物を含む、伸長された投与又は長期投与から利益を受けることができる動物群に関してまた好ましい。11ヶ月又は1年を超える期間もまた適切であり、1、2、3又はそれ以上の年数にわたって伸長される長期使用もまた同様である。
【0029】
[0029]「経口投与」又は「経口的な投与」という用語は、1種又は複数種の本明細書に記載の組成物を、動物が摂取する、又はヒトが動物に食べさせるように指示される、又は動物に食べさせることを意味する。ヒトが組成物を動物に食べさせるように説明される場合、このような指示は、組成物を使用することにより、言及された利益、例えば、吸収、輸送、取り込み又は同化の増強が提供され得る及び/又は提供されるであろうことをヒトに対して指示及び/又は情報提供するものであってよい。一部の実施形態において、最終結果は、改善され、増加され又は最適化されたアミノ酸の同化を介して、動物におけるタンパク質の栄養摂取の改善である。他の実施形態において、意図する利益は、影響を受けた動物又は動物内の組織若しくは器官内の医薬品の分布の改善である。投与に関する指示は、口頭指示(例えば、医師、獣医師若しくは他の健康の専門家からの口頭の指示を介して、又はラジオ若しくはテレビ媒体(すなわち広告)、又は書面による指示書(例えば、医師、獣医師又は他の健康の専門家の書面による指示書(例えば処方箋)を介して、販売の専門家若しくは機関(例えば、マーケティング用冊子、パンフレット又は他の指示的道具などを介して)、書かれた媒体(例えば、インターネット、電子メール、ウェブサイト又は他のコンピュータ関連の媒体)、及び/若しくは組成物に付随する包装(例えば、組成物を入れた容器上のラベル)、又はそれらの組合せ(例えば、さらなる情報に関するウェブサイトへアクセスするための指示を挿入したラベル又は包装)であってよい。
【0030】
[0030]「肉体的活動」という用語は、動物が従事する場合、肝臓及び/又は筋肉のグリコーゲンを減少又は引き下げる傾向がある任意の活動を含む。「激しい肉体的活動」は、ある期間又は十分な頻度で又は十分な休息なしで従事する場合、実質的又は完全に肝臓及び/又は筋肉のグリコーゲンを激減させる傾向がある肉体的活動である。当業者は、部分的、実質的又は完全にグリコーゲンを激減させるような任意の活動の傾向が、活動の期間及び強度の両方の作用であることを理解するであろう。必要とされる時間の量(期間)は、肉体的活動の種類の作用であり得る強度、抵抗の量又は必要とされる筋肉運動の量、活動が大きな筋肉群若しくは小さな筋肉群又は全身の使用を必要とするかどうか、活動を実施する速度などに依存して変化する。十分な時間又は十分な強度で従事する場合、大部分の肉体的活動は激しくなる可能性があることは明らかである。肉体的活動の例は、さまざまな種類の労働、遊び、運動、調整、身体能力の発達又は改善、リハビリテーション、ウォーキング、ランニング(又は自己輸送の他の方法又は速さ)、競争又は非競争のスポーツ及び関連する活動を含む。多くの生物学的機能又は過程もまた肉体的負担が多く、したがって、出産及び肉体的又は精神的ストレス因子に対する「フライトオアフライト(flight or flight)」反応(すなわち、ストレス反応)、損傷及び/又は外傷からの治癒、感染など並びに多くの他の生物学的活動を含む、本明細書に使用される肉体的活動を構成し得る。当業者は、遺伝的な差、適応、条件反応などの要因のため、肉体的活動は任意の2つの動物に関して同等に激しいとは思われず、したがって、特定の活動が激しいか否か、又は回復は特定の組成物若しくは方法によって影響を受けたかどうかの基準として、比較試験及び客観的測定値が、(適切であれば)事例証拠又は主観的作業に対して一般的に好ましいことを理解するであろう。
【0031】
[0031]「運動」という用語は、特定の目的、例えば、一般的健康、フィットネス、体重管理、健康又はフィットネスの特定の様子の改善、増強、身体能力又は一連の能力の改善、機能改善、損傷のリハビリテーションなどのために、動物によって取り組まれる又は動物が取り組まされる1種の肉体的活動を意味する。運動は定期的、例えば毎日、週1回又は週2回に実施することができる。週1回より少ない運動の頻度は、「時折」とみなされる。運動の他のパターンもまた、本明細書における使用として認識され、企図される。
【0032】
[0032]「と併用して」又は「併用」という用語は、腸内輸送タンパク質を介する化合物の吸収、輸送、取り込み若しくは同化を増強若しくは改善する組成物などの増強剤、又はこのような効果を有する食品組成物、医薬品、薬剤若しくは本明細書に記載の他の化合物若しくは組成物が、(1)食品組成物中に一緒に又は(2)別々に、同じ又は異なる頻度で、同じ又は異なる投与経路を使用して、ほぼ同時又は定期的に、動物に投与されることを意味する。「定期的」は、薬剤が特定の薬剤に関して許容可能な投薬スケジュールで投与されること、及び食品が、特定の動物に関して適切に日常的に動物に与えられることを意味する。「ほぼ同時」は、吸収又は輸送を増強するための組成物が同時、又は吸収される若しくは輸送されるべき基質若しくは化合物の投与若しくは消費の約2時間以内に投与されることを、一般的に意味する。「併用」は、上記のような吸収、輸送、更新又は同化を増強又は改善する増強剤、組成物、食品などを、所定の、規定の又は所望の期間投与し、投与は、定期的及び長期的投与を含め、吸収される又は輸送されるべき基質又は化合物の投与又は消費の前、間又は後の規定の時間枠内に実施される投与スキームを特に含む。好ましくは、時間枠は、吸収される又は輸送されるべき基質又は化合物の投与又は消費の開始前及び完了後約60〜120分である。
【0033】
[0033]「単一包装」という用語は、キットの構成要素が1つ又は複数の容器内に、又は容器に付随して、物理的に関連しており、製造、分配、販売又は使用のための構成単位と考えられることを意味する。容器は、限定するものではないが、袋、箱若しくはカートン、ビン、任意の種類又は設計又は材料のパッケージ、オーバーラップ、シュリンクラップ、取付け構成要素(例えば、ホチキスで留められた、接着されたなど)又は任意の前述の組合せを含む。例えば、単一包装キットは、物理的に関連した個々の組成物及び/又は食品組成物の容器を提供することができ、容器は、製造、分配、販売又は使用のための構成単位と考えられる。単一包装は、物理的に関連した、メラトニン、1種又は複数種のペプチド又はペプチド模倣体などの容器を含むことができるので、容器は、製造、分配、販売又は使用のための構成単位と考えられる。
【0034】
[0034]「仮想包装」という用語は、他の構成要素を得る方法を使用者に指示する1つ又は複数の物理的又は仮想的キット構成要素に関する指示が、例えば、1つの構成要素と、例えば、キットの使用の仕方についての指示、キットの1つ又は複数の構成要素についての安全性又は技術的情報を得るために、ウェブサイトへ行くこと、記録されたメッセージ又はファックス返信サービスと連絡をとること、視覚的メッセージを見ること、又は世話人若しくは指導員と連絡をとることを使用者に指示する指示とを含有する袋又は他の容器において、キットの構成要素に付随していることを意味する。仮想キットの一部として提供可能な情報の例は、使用のための指示、材料の安全性データシートなどの安全性情報、毒物管理情報、潜在的な有害反応についての情報、臨床研究結果、食品組成物又はカロリー組成物などの食物情報、アミノ酸、ペプチド及び/又はタンパク質のインビボの栄養摂取、吸収、輸送又は同化についての一般的情報、吸収不良障害を含む、アミノ酸、ペプチド及び/又はタンパク質のインビボの栄養摂取、吸収、輸送又は同化をもたらす疾患又は障害、使役動物、肉体的運動又は活動に供された動物又は老齢動物などの特殊化された集団を含む集団における、筋肉組織の喪失又は筋肉量の保持の処置についての一般的情報、アミノ酸及びタンパク質の栄養摂取、吸収、輸送又は同化に関する自助、修飾又は改変アミノ酸及び/又はタンパク質の栄養摂取の必要条件を用いて動物を世話する人々に関する世話人情報、最適なアミノ酸、ペプチド及び/又はタンパク質の栄養摂取を提供する課題、タンパク質、ペプチド又はアミノ酸のインビボの栄養摂取、吸収、輸送又は同化を増強する、又は改善する薬剤又はペプチド模倣体化合物に関する使用、利益及び潜在的な副作用又は禁忌(counter−indications)、並びに胃腸管を介して吸収される、又はインビボで腸内ペプチド輸送体を介した輸送により送達される薬剤又はペプチド模倣体化合物に関する使用、利益及び潜在的な副作用又は禁忌を含む。
【0035】
[0035]「mg/kg」という用語は、動物の体重キログラム当たりのミリグラムを意味する。
【0036】
[0036]本明細書において、すべてのパーセントは、特に明記しない限り、乾物基準で組成物の重量により表される。当業者は、「乾物基準」という用語が、組成物中の成分の濃度又はパーセントが組成物中の遊離の水分がすべて除去された後で測定又は決定されることを意味することを理解するであろう。
【0037】
[0037]全体を通して、本明細書において、長々と並べて、範囲内のありとあらゆる値を説明することを避けるために範囲は手短に使用する。範囲内の任意の適切な値が選択可能であり、必要に応じて上位の値、下位の値又は範囲の末端が選択可能である。
【0038】
[0038]「約」という用語は、所与の値±10%を意図することを示す。したがって、「約」は省略が使用され、述べられたリテラル値からの僅かな変化は本発明の範囲内であるという認識を反映する。
【0039】
[0039]本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、文脈において特に明記しない限り、単語の単数形は複数形を含み、逆もまた同様である。したがって、「a」、「an」及び「the」に対する言及は、それぞれの用語の複数形を全般的に含む。例えば、「1匹の子犬(a puppy)」、「1つの方法(a method)」又は「1つの食品(a food)」に関する言及は、「複数の子犬(puppies)」、「複数の方法(methods)」又は「複数の食品(foods)」などの複数を含む。本明細書において、例えば、「1種の酸化防止剤(an antioxidant)」に対する言及は、複数種のこのような酸化防止剤(antioxidants)を含み、一方、「複数の一片(pieces)」は単一の一片(piece)を含む。同様に、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」という単語は、排他的ではなく、包括的に解釈されるべきである。同じく、「含む(include)」、「含む(including)」及び「又は」という用語は、文脈からこのような解釈が明らかに禁止されていない限り、すべて包括的に解釈されるべきである。本明細書において使用する場合、「例」又は「例えば」は、特に後ろに用語が記載されている場合、単なる例及び例示であり、排他的又は包括的であるとみなすべきではない。
【0040】
[0040]本明細書に開示された方法及び組成物並びに他の進歩は、当業者には明らかな方法で変更できるので、本明細書に記載の特定の方法論、プロトコル及び試薬に限定されない。さらに、本明細書において使用する専門用語は、特定の実施形態を説明する目的の用語に過ぎず、開示された又は特許請求されたものの範囲を限定する意図はなく、限定するものでもない。
【0041】
[0041]定義されない限り、すべての技術用語及び科学用語、当技術分野の用語及び本明細書において使用される頭字語は、本発明の(1つ又は複数の)分野又はこの用語が使用される(1つ又は複数の)分野の当業者により、一般的に理解される意味を有する。任意の組成物、方法、製品又は本明細書に記載の手段若しくは材料と類似又は同様の他の手段又は材料が本発明の実践に使用できるが、特定の好ましい組成物、方法、製品又は他の手段若しくは材料が本明細書に記載される。
【0042】
[0042]すべての特許、特許出願、公報、技術論文又は学術論文及び本明細書に引用又は言及された他の参考文献は、それらの全体が適用される法律が許す範囲で参照により本明細書に組み込まれる。それらの参考文献の論述は、単にそれらにおいてなされた主張を要約する意図のものである。任意のこのような特許、特許出願、公報若しくは参考文献又はそれらの任意の一部が関連、資料又は先行技術であることを認めるものではない。このような特許、特許出願、公報及び関連、資料又は先行技術としての他の参考文献の任意の主張の正確さ及び適切性を疑う権利は、明確に留保される。明細書内に完全に引用されない公報に関する完全な引用は、明細書の最後に明記する。
【0043】
発明
[0043]本発明は、ペプチド、ペプチド模倣体又は他の胃腸内輸送タンパク質基質、例えば、PepT1などのPTR2ファミリーのオリゴペプチド輸送体の基質の吸収、輸送、取り込み及び/又は同化の増強、改善又は増加に有用な組成物及び方法を提供する。この組成物及び方法は、胃腸の健康の支援及び/又は改善、動物の健康又はウェルネスの促進、吸収不良障害を有する動物への改善されたアミノ酸の栄養摂取の提供、胃腸内輸送タンパク質に対する基質である、又はこのような輸送タンパク質に対する基質となるように修飾された薬剤又はプロドラッグの送達、老齢動物又は激しい肉体的活動、例えば運動に供された動物中の筋肉量の改善又は維持に有益な用途を有する。この方法及び組成物は、最適なタンパク質及び/又はアミノ酸の栄養摂取又は同化が動物の総合的な健康の一因となる任意の状況においてさらに有用である。
【0044】
[0044]一態様において、本発明は、動物においてペプチド、ペプチド模倣体又は他の胃腸内輸送タンパク質基質の輸送を増強する方法を提供する。この方法は、動物において、腸内輸送タンパク質を介するペプチド輸送の増加に有効な量のホルモンを投与するステップを含む。好ましい実施形態において、ホルモンは非ペプチドホルモン、好ましくはメラトニンである。ホルモンは、任意の経路を使用して、好ましくは経口投与により投与できる。一実施形態において、メラトニンは、動物による消費のために設計された食品組成物中に配合、又はその上に塗布される。食品組成物は、動物の正常な睡眠時間の直前を含む任意の時間に動物に与えることができる。ある実施形態において、有効量のメラトニンは、動物において睡眠又は眠気を誘導するために十分であり得る。別の実施形態において、有効量のメラトニンは、動物において睡眠又は眠気を誘導しない量である。さまざまな実施形態において、食品組成物は、薬剤、プロドラッグ又は医薬品と併用して投与される。薬剤、プロドラッグ又は医薬品の吸収は、食品組成物中のメラトニン又は他のホルモンによって増強される。
【0045】
[0045]本発明は、メラトニンが、動物中においてペプチド、ペプチド模倣体及び他の胃腸内輸送タンパク質基質の吸収、輸送、取り込み及び/又は同化を、増強、改善又は増加するという驚くべき発見に基づく。メラトニンは、腸内オリゴペプチド輸送タンパク質を介してこのような基質の吸収、輸送、取り込み又は同化を増強又は増加する。これらの基質は、限定するものではないが、特定の薬剤、プロドラッグ及び医薬品、例えば抗生物質及び動物の腸においてオリゴペプチド輸送体タンパク質に対する基質である他の薬剤又はプロドラッグを含む。
【0046】
[0046]特定の実施形態において、腸内輸送タンパク質は、膜輸送体のPTR2ファミリーのメンバーである。胃腸管のオリゴペプチド輸送体は、当分野において公知である。目下は、ペプチド輸送体1(PepT1)タンパク質が好ましい。
【0047】
[0047]メラトニンは、動物において、ペプチド、ペプチド模倣体及び他の胃腸内輸送タンパク質基質の輸送を増強するための任意の有効量で投与できる。一実施形態において、動物に投与されるメラトニンの量は、少なくとも約0.1mg/kg、好ましくは約0.5mg/kg、最も好ましくは1mg/kgである。特定の実施形態において、メラトニンの量は、2、3、4又は5mg/kgであってよい。他の実施形態において、メラトニンの量は、6、7、8、9又は10mg/kg若しくはそれ以上の量であってもよい。通常、メラトニンは、約0.5mg/kg〜約50mg/kg、好ましくは約1mg/kg〜約25mg/kgの量で動物に投与される。食品組成物中で投与される場合、メラトニンは、動物の正常な睡眠時間の1〜3時間前に投与できる。このような実施形態において、睡眠又は眠気を誘導するメラトニンの天然能力は、休息の改善、栄養摂取の改善、抗生物質などの医薬品の吸収/送達の改善を介した、より健康な状態の回復において、病気又はストレスのかかった動物を補助する。
【0048】
[0048]胃腸内輸送タンパク質基質の投与より前であっても、メラトニンの経口投与は、動物において基質の輸送及び吸収の速度並びに吸収される基質量を増加する。さらに、メラトニンの有名な機能にもかかわらず、動物において眠気又は睡眠を誘導しない特定の事例において、効果が達成できる。したがって、一実施形態において、メラトニンの量は動物において睡眠又は眠気を誘導しない。当業者は、食品組成物が、例えば、動物の日周リズムを分断又は混乱させないように、動物が睡眠から覚醒後の最初の食事として、又は動物の覚醒周期のさなかに与えられる場合、このような実施形態がより有用であることを理解するであろう。このような実施形態において、投与するメラトニン量は約3mg/kg未満、好ましくは約1mg/kg未満である。
【0049】
[0049]一実施形態において、腸内輸送の増強は、胃腸内輸送タンパク質の活性の増加を介して達成される。当業者は、輸送タンパク質の活性が腸管内腔から内腔を覆う細胞内への基質の輸送を集約的に定義したいくつかの態様を含み得ることを理解するであろう。したがって、ペプチド輸送の速度、1種若しくは複数種のペプチドに対する輸送タンパク質の親和性、若しくは輸送タンパク質の効率、又は輸送される基質の全部の程度若しくは量の任意の1つ又は複数が、輸送タンパク質の活性の特徴として本明細書における目的とみなされる。
【0050】
[0050]一実施形態において、メラトニンは、1種又は複数種のペプチド、ペプチド模倣体又は他の胃腸内輸送タンパク質基質と併用して投与される。特定の実施形態において、この方法は基質の吸収を増強し、一方他の事例において、ペプチドは、それ自体が吸収のさらなるエンハンサー、例えば、腸内輸送タンパク質を介する輸送を刺激するペプチドであってよい。
【0051】
[0051]この方法は、ペプチド、ペプチド模倣体又は基質が栄養素又は医薬品を提供する場合、非常に有用である。一部の事例において、ペプチド模倣体は、抗生物質又は他の薬剤などの医薬品である。薬剤が吸収されにくいため、高価な又は救命薬剤を患者に安全に入れることが難しい場合、これらの方法は特に有用である。
【0052】
[0052]ペプチド、ペプチド模倣体又は基質が栄養素である場合、動物が吸収不良障害を有する場合、この方法は特に有用である。栄養障害又は胃腸疾患の当業者は、さまざまなこのような障害が公知であることを理解するであろう。吸収不良障害を患う動物に定期的に適切な栄養摂取を提供することは非常に複雑であり得る。
【0053】
[0053]特定の実施形態において、メラトニンは、1種又は複数種の刺激剤、例えばカフェイン、ニコチン、エフェドリン、アンフェタミン、アンパカインなどと併用して投与される。動物が眠気を経験しないことが不可欠である場合、又はおそらく、動物が吸収増強の完全な利益を得るために高用量のメラトニンを必要とする場合、このような実施形態は、最も有用である可能性がある。
【0054】
[0054]さまざまな実施形態において、動物はヒト;非ヒト、例えばウシ、ウマ若しくはブタ;又はコンパニオンアニマル、例えばイヌ若しくはネコである。
【0055】
[0055]さらなる態様において、本発明は、メラトニン並びに1種又は複数種のペプチド、ペプチド模倣体及び他の胃腸内輸送タンパク質基質を含む組成物を提供する。一実施形態において、少なくとも1種のペプチド、ペプチド模倣体又は基質は、メラトニンにより活性が増強、増加又は改善される腸内ペプチド輸送体を介して動物の胃腸管において輸送される。この組成物は、経口消費に適した食用可能な組成物であることが好ましい。一実施形態において、メラトニン及び基質(例えば、ペプチド及び/又はペプチド模倣体)は、単一剤形、例えば丸薬又はカプセルに組み合わされる。別の実施形態において、メラトニン及び基質は放出制御又は時間放出製剤の中である。
【0056】
[0056]一実施形態において、少なくとも1種のペプチド模倣体はβラクタム環を含む。好ましい実施形態において、ペプチド模倣体は、ペニシリン、セファロスポリン、モノバクタム、カルバペネム、βラクタマーゼ阻害剤、前述の任意の誘導体若しくは塩、又はそれらの任意の組合せを含む。別の実施形態において、ペプチド模倣体は、抗生物質、降圧剤又は抗ウィルス性の薬剤若しくはプロドラッグを含む。
【0057】
[0057]別の態様において、本発明は、抗生物質感受性微生物に対処する、例えば、感染、疾患又は抗生物質が普通に処方される他の病状を予防又は治療するために必要な抗生物質量を減少する方法を提供する。この方法は、1種又は複数種の抗生物質を、胃腸内輸送タンパク質による抗生物質の輸送を増強するのに有効な量のメラトニンと併用して、経口投与するステップを含む。メラトニンは、所与の時間で、胃腸内輸送タンパク質を介して動物内に輸送される抗生物質量を増加し、したがって、抗生物質の目的、例えば感染に対処することを達成するために動物に投与される必要な抗生物質の量を減少させる。抗生物質の使用が少なくなれば、微生物と闘うために必要な抗生物質のコストが減少し、抗生物質の投与により起こる任意の有害な副作用の可能性も減少する。さらに、抗生物質の使用が少なくなれば、抗生物質耐性微生物の発生の危険性も減少する。基本的には、抗生物質をメラトニンと併用して投与した場合、少ない抗生物質で同じ結果を得ることができる。
【0058】
[0058]別の態様において、本発明は、抗生物質感受性微生物に対処するために動物に投与する抗生物質の、所与の量又は用量の有効性を増加する方法を提供する。この方法は、1種又は複数種の抗生物質を、胃腸内輸送タンパク質による抗生物質の輸送を増強するのに有効な量のメラトニンと併用して、投与するステップを含む。メラトニンは、所与の時間で、胃腸内輸送タンパク質を介して動物内に輸送される抗生物質量を増加する。このことは、抗生物質が微生物を殺すことができる場合、動物内の抗生物質を増すことによって有効性を増加する。所与の量の抗生物質の有効性を増加することは、抗生物質感受性微生物が原因となる感染症、疾患又は他の病態が、動物に有害な事象をもたらすことが減ることを意味する。したがって、同じ感染症を有する2匹の動物は異なる速度で回復し、異なる症状を有する。メラトニンと一緒に抗生物質を投与された動物は、抗生物質単独で投与された動物より短い時間で感染症から回復するであろう。同様に、メラトニンと一緒に抗生物質を投与された動物は、抗生物質単独で投与された動物より、有害な症状、例えば、熱、悪寒、吐き気、嘔吐、激しい腹痛(cramps)、疼痛、疲労、倦怠感又は特定の感染症若しくは疾患の特徴である他の症状を有することが少ないであろう。さらに、より有効な抗生物質は、感染症又は疾患によるさらなる合併症、例えば敗血症の危険性を低下する手助けもさらにする。基本的には、抗生物質をメラトニンと併用して投与した場合、同量の抗生物質でよりよい結果を得ることができる。
【0059】
[0059]別の態様において、本発明は、抗生物質感受性微生物が原因となる感染症又は疾患から発生する合併症の可能性を低下する方法を提供する。この方法は、1種又は複数種の抗生物質を、胃腸内輸送タンパク質による抗生物質の輸送を増強するのに有効な量のメラトニンと併用して投与するステップを含む。メラトニンを抗生物質と併用して投与した場合、抗生物質が単独で投与された場合に体内に輸送されるより多くの抗生物質が体内に輸送され、微生物に対処することができる。この追加量は、微生物に対処し、微生物が合併症、例えば敗血症又は慢性疾患の原因となるであろう可能性を低減するために利用可能である。
【0060】
[0060]別の態様において、本発明は、抗生物質耐性微生物の発生の危険性を減少する方法を提供する。この方法は、1種又は複数種の抗生物質を、胃腸内輸送タンパク質による抗生物質の輸送を増強するのに有効な量のメラトニンと併用して、経口投与するステップを含む。メラトニンは、胃腸内輸送タンパク質を介して動物内に輸送される抗生物質量を増加し、したがって、抗生物質の目的に影響を与えるために必要な抗生物質の量を減少させる、すなわち、必要な用量を低下させる。メラトニンと併用して投与した場合、抗生物質の目的を達成するために動物に投与される抗生物質の量を少なくすることができる、及び/又は投与の頻度を減少させることができる。基本的には、より多くの抗生物質が、胃腸内輸送タンパク質による抗生物質の輸送の増強のために、所与の時間で腸から吸収されるので、感染症又は抗生物質を必要とする他の病態を治療するための抗生物質が少なくなる。より少ない抗生物質を使用することは、環境により少ない抗生物質を入れることになり、抗生物質耐性微生物、特に黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)又はエンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)などの感染性微生物の発生の機会を減少する。
【0061】
[0061]抗生物質と併用して投与する場合、メラトニンは、腸から動物の血流内への抗生物質の吸収を増加するために適切な量で投与される。一般的に、メラトニンは、少なくとも約0.1mg/kg、好ましくは約0.5mg/kg、最も好ましくは1mg/kgの量で投与される。通常、メラトニンは、約0.5mg/kg〜約50mg/kg、好ましくは約1mg/kg〜約25mg/kgの量で動物に投与される。抗生物質は、抗生物質により影響を受ける微生物が原因となる疾患又は病態の予防又は治療に有用な、任意の抗生物質である。さまざまな実施形態において、抗生物質は、ペニシリン、セファロスポリン、モノバクタム、カルバペネム、βラクタマーゼ阻害剤、前述の任意の誘導体若しくは塩又はその任意の組合せである。
【0062】
[0062]別の態様において、本明細書は、動物の胃腸管においてPepT1基質の吸収を改善する方法を提供する。この方法は、PepT1基質の吸収を改善するのに有効な量のメラトニンを動物に投与するステップを含む。一実施形態において、メラトニンの量は動物において睡眠又は眠気を誘導しない。メラトニンの量が睡眠又は眠気を誘導するために十分である場合、この方法は、動物の確立された概日周期を実質的に分断しないように、任意の誘導された睡眠又は眠気が、動物の正常なもうろう状態又は睡眠期間に自然に入れるように、動物の正常な睡眠期間の約1、2、又は3時間以内に適用することが好ましい。別の実施形態において、この方法の対象であり、その吸収が改善されるべきPepT1基質は、上記で定義したようなジペプチド、トリペプチド又はペプチド模倣体である。さまざまな実施形態において、PepT1基質は、トリプトファン、グルタミン、アルギニン又は分枝鎖のアミノ酸残基を含む。分枝鎖アミノ酸の1つであるバリンは時として好ましい。好ましい実施形態において、この方法は、メラトニンを少なくとも1種のPepT1基質と併用して投与するステップをさらに含む。
【0063】
[0063]さまざまな実施形態において、吸収が改善又は増強されるべきPepT1基質は、動物の健康又は福祉に関する任意のさまざまな特定又は一般的な条件に有用である。一実施形態において、PepT1基質は、老齢動物において最適なタンパク質/ペプチド/アミノ酸の栄養摂取、吸収又は同化を促進するために有用である。このような実施形態は、筋肉組織の維持、筋肉量構築又は筋肉タンパク質の老化の異化作用の結果の逆転又は減速に有用である。別の実施形態において、PepT1基質は、動物が吸収不良障害を有する場合、最適なタンパク質/ペプチド/アミノ酸の栄養摂取、吸収又は同化の促進を手助けする。一部の実施形態において、メラトニンは、単回又は複数回用量で経口投与される。単回又は複数回の用量は、PepT1基質と併用して提供されることが好ましい。
【0064】
[0064]一部の実施形態において、メラトニンは、動物の正常な睡眠時間の前に消費するために配合された食品中に存在することが好ましい。このような実施形態は、メラトニンが、動物において眠気、もうろう状態又は深い睡眠でさえ誘導できるように高用量又は多量のメラトニンを用いる傾向がある。一実施形態において、メラトニンの量は、約1〜10mg/kgの間である。このような実施形態には、5〜10mg/kgの量がより好ましい。睡眠又は眠気を誘導することが望ましくない又は有用でない場合、約1mg/kg以下のメラトニン量が好ましい。この方法及び組成物もまた、1種又は複数種の刺激剤と併用して実施/投与され、感受性の動物において眠気効果の可能性を打開することができる。したがって、カフェイン及び同様の刺激剤が本明細書において使用に適している。
【0065】
[0065]別の態様において、本発明は、動物において、ペプチド模倣体の吸収を改善する方法を提供する。この方法は、インビボの特定の薬剤及びプロドラッグの送達、吸収又は適用の改善において特に有用である。この方法は、ペプチド模倣体の吸収を改善するのに有効な量のメラトニン及びペプチド模倣体を、単回又は複数回用量で併用して動物に投与するステップを含む。このステップは任意のやり方で順序付けできる。現在好ましい実施形態において、メラトニン量は、動物において睡眠又は眠気を誘導せずに投与できる。
【0066】
[0066]好ましい実施形態において、メラトニンは、単回又は複数回用量で経口投与される。本方法の利点の1つは、メラトニン又はその前駆体などの化合物の経口投与が、より多くの活性な構成要素を最終的に動物の細胞及び/又は循環系中に存在させることを可能にすることによって、特定の薬剤の所与の用量又は量の送達及び吸収、輸送又は取り込み、したがって、有効性を改善する、安全で、経済的で、有効及び単純な方法を提供することである。したがって、一部の実施形態において、単回又は複数回用量の少なくとも1つが、ペプチド模倣体の投与の前、又はペプチド模倣体と併用して投与される。
【0067】
[0067]さまざまな実施形態において、ペプチド模倣体は、抗生物質又は他の薬剤若しくはプロドラッグを含む。βラクタム環を含むペプチド模倣体は、本明細書において有用である。βラクタム環含有抗生物質、例えば、ペニシリン、セファロスポリン、モノバクタム、カルバペネム、βラクタマーゼ阻害剤、前述の任意の誘導体若しくは塩又はそれらの組合せは、本明細書において特に有用である。
【0068】
[0068]他の実施形態において、ペプチド模倣体は、薬剤又はプロドラッグのアミノ酸エステルなどのアミノ酸修飾体である。当業者は、特定の薬剤若しくは薬剤のクラスがオリゴペプチドである、又はペプチド若しくはペプチド様構造を含有することを理解するであろう。多くのこのような化合物は、腸内ペプチド輸送タンパク質に対する基質であることが公知である。他の薬剤も、例えば、インビボで活性薬剤に変換されるプロドラッグとして製造することにより修飾可能である。一部の事例において、薬剤のプロドラッグは、腸内輸送タンパク質に対する基質となる十分な構造である、又は十分な構造を含有する。他の事例において、アミノ酸のエステル化は、腸内オリゴペプチド輸送体に対する基質としての状態をもたらすために十分であり得る。現在、降圧剤及び抗ウィルス薬は、上述の抗生物質に加えて、本明細書に開示された方法への使用が好ましい。
【0069】
[0069]さらに別の態様において、本発明は、インビボにおいて食品組成物の栄養価を増強する方法を提供する。この方法は、食品組成物を、動物において、食品中に存在する1種若しくは複数種のジペプチド若しくはトリペプチド又はその天然の消化産物の吸収を増強するために十分な量のメラトニンと併用して、動物に投与するステップを含む。
【0070】
[0070]一実施形態において、この方法は、動物がタンパク質の栄養摂取又はアミノ酸の同化の改善から利益を得る状況に適用できる。一部の実施形態において、動物は、使役動物又は激しい肉体的活動若しくは運動に供される動物である。別の実施形態において、動物は老齢動物である。別の実施形態において、動物は吸収不良障害を有する。さらに他の実施形態において、動物は、疾患からストレスを受けている。
【0071】
[0071]特定の実施形態において、この方法は、睡眠又は眠気を誘導しない量のメラトニン、例えば、約1mg/kgを超えない用量又は量を用いて実施される。他の実施形態において、メラトニンの量は、睡眠又は眠気を誘導してよく、メラトニンは動物の正常な睡眠時間の前約1、2若しくは3時間以内、又は動物の概日周期を実質的に分断しないような任意の時間に投与される。
【0072】
[0072]さらなる態様において、本発明は、胃腸内輸送タンパク質を介する基質の輸送を改善するために適したキットを提供する。このキットは、キットの構成要素に適した、単一包装内に個別の容器で、又は仮想包装内に個別の容器で、メラトニンと、(1)ペプチド模倣体、(2)ジペプチド又はトリペプチド、(3)オリゴペプチド、(4)薬剤又はプロドラッグのアミノ酸エステル、(5)別の胃腸内輸送タンパク質基質、又は(6)動物による消費に適したさらなる成分、及び(7)少なくとも1種の他の構成要素と一緒にメラトニンを使用して、動物において胃腸内輸送タンパク質を介する基質の輸送を改善するための指示書若しくはさらなる情報である少なくとも1種の他の構成要素とを含む。
【0073】
[0073]一実施形態において、この指示書は、キットが、動物の概日周期を実質的に妨害又は分断しないような様式で使用できることを示す。一実施形態において、この指示書は使用者に、動物において睡眠又は眠気を誘導しない様式でキットを使用する方法を教示する。例えば、この指示書は、眠気を避けるために、動物が特定の用量又は量のメラトニン、例えば約1mg/kgのメラトニンを超えて摂取するべきではないことを示すことができる。別の実施形態において、指示書又はさらなる情報の少なくとも一部が仮想的に提供される。
【0074】
[0074]別の態様において、本発明は、(a)動物においてペプチドの輸送を増強する方法、(b)動物の胃腸管においてPepT1基質の吸収を改善する方法、(c)動物においてペプチド模倣体の吸収を改善する方法、(d)インビボで食品の栄養価を増強する方法、(e)メラトニンと、1種又は複数種のペプチド、ペプチド模倣体及び他の胃腸内輸送タンパク質基質とを含む組成物;(f)本方法の実践に必要な構成要素を含むキット、或いは(g)本明細書に開示される方法、組成物又はキットの作製又は使用の1つ又は複数についての情報又はその使用のための指示を伝達する手段を提供する。
【0075】
[0075]一実施形態において、前述の手段は、ウェブサイト、視覚的表示キオスク、印刷物、冊子、製品ラベル、添付文書、広告、チラシ、公示、音声テープ、ビデオテープ、DVD、CD−ROM、コンピュータ読取り可能なチップ、コンピュータ読取り可能なカード、コンピュータ読取り可能なディスク、コンピュータメモリ又はその組合せを含む。
【0076】
[0076]別の態様において、本発明は、メラトニンが、ペプチド、ペプチド模倣体又は他の胃腸内輸送タンパク質基質の吸収を増強するために使用できることを示すラベルデバイスを含む包装を提供する。さまざまな実施形態において、基質は、ジペプチド及びトリペプチドを含むPepT1基質、薬剤又はプロドラッグのアミノ酸エステルを含むペプチド模倣体、抗生物質、並びにその組合せである。ラベルは、メラトニンが、PepT1基質の吸収を増強するために使用できることを示す、任意の単語(単数)若しくは単語(複数)、写真、デザイン、頭字語、スローガン、フレーズ若しくは他のデバイス又はそれらの組合せであってよい。通常、このようなデバイスは、包装上に印刷された「抗生物質の吸収を増強する」若しくは「ペプチドの吸収を増強する」という単語又は同等の表現を含む。メラトニンを含有するために適した任意の包装又は包装材料、例えば、紙、プラスチック、ホイル、金属などで製造された袋、箱、ビン、缶、小袋などは、本発明に有用である。好ましい実施形態において、この包装は、メラトニンを含む食品組成物、好ましくはヒト又はコンパニオンアニマル用食品組成物を含む。
【0077】
[0077]別の態様において、本発明は、動物の健康及び/又はウェルネスを促進する方法を提供する。この方法は、健康又はウェルネスを促進する量のメラトニンと、1種又は複数種のペプチド、ペプチド模倣体又は他の胃腸内輸送タンパク質基質とを動物に投与するステップを含む。メラトニン及び基質は、任意の適切な様式、好ましくは経口的、最も好ましくは食品組成物として経口的に投与できる。メラトニン及び基質は、単一剤形で投与でき、又は併用投与できる。メラトニンは、少なくとも約0.1mg/kg、好ましくは約0.5mg/kg、最も好ましくは1mg/kgの量で投与される。通常、メラトニンは、約0.1mg/kg〜約50mg/kg、好ましくは約1mg/kg〜約25mg/kgの量で動物に投与される。
【0078】
[0078]別の態様において、本発明は、動物の健康及び/又はウェルネスを促進する方法を提供する。この方法は、健康又はウェルネスを促進する量のメラトニンを、1種又は複数種のペプチド、ペプチド模倣体又は他の胃腸内輸送タンパク質基質と併用して動物に投与するステップを含む。メラトニンは、動物によるこれらの基質の吸収を増加する。動物は、これらの基質を、動物の福祉を促進する、例えば、疾患に対処する(抗生物質)、及び除脂肪体重を構築する(ペプチド)ために使用する。
【0079】
[0079]別の態様において、本発明は、動物において除脂肪体重を増加する方法を提供する。この方法は、メラトニンを、動物において除脂肪体重を構築するために有用であるペプチド、ペプチド模倣体又は他の胃腸内輸送タンパク質基質、例えば、ジペプチド及びトリペプチドと併用して投与するステップを含む。基質は、栄養補助食品、個別の化合物であってよく、又は食品組成物から動物により、又はそれらの消化により得ることができる。
【0080】
[0080]さらなる態様において、本発明は、メラトニンと、(1)ペプチド模倣体、(2)ジペプチド若しくはトリペプチド、(3)オリゴペプチド、(4)薬剤若しくはプロドラッグのアミノ酸エステル、又は(5)別の胃腸内輸送タンパク質基質の少なくとも1つとを有する組成物を含む医薬品を提供する。この医薬品は、医薬組成物の調製において標準的な方法を使用して調製される。この医薬品は、医薬的に許容可能な賦形剤、希釈剤、担体、増量剤、塩などを使用して調製する。
【0081】
[0081]さまざまな実施形態において、医薬品は、メラトニンと、抗生物質、降圧剤又は抗ウィルス剤であるペプチド模倣体とを含む組成物を含む。別の実施形態において、ペプチド模倣体はβラクタム環を有し、ペニシリン、セファロスポリン、モノバクタム、カルバペネム、βラクタマーゼ阻害剤、前述の任意の誘導体若しくは塩、又はその任意の組合せであってよい。一実施形態において、医薬品は、メラトニンとβラクタム系抗生物質とを含む。
【0082】
[0082]本発明のすべての態様に関して、ペプチド、ペプチド模倣体及び他の胃腸内輸送タンパク質基質は、適切なペプチド、ペプチド模倣体又は基質及びその意図する目的に適した量で動物に投与される。このような量は、当業者により識別され得る。同様に当業者は、当分野における知見及び本明細書の開示に基づいて投与されるメラトニンの量を決定できる。
【0083】
[0083]本発明のこれら及び他の態様を、以下の実施例によりさらに例示することができる。これらの実施例は特定の態様を例示する目的で提供され、したがって特に明記しない限り、全体として本明細書に開示した発明の範囲を限定しないことは理解されるであろう。
【実施例】
【0084】
実施例1
[0084]低分子ペプチド及び/又はペプチド模倣体の吸収を改善する5−メトキシ−N−アセチルトリプタミン(実施例においてメラトニン)の能力を評価する研究を実施した。
【0085】
[0085]方法論:この研究は、セファレキシンの吸収についてのメラトニンの供給を試験するために設計された。イヌ(n=24、体重(BW)範囲:7〜14kg、年齢範囲:1.5〜14歳)を、試験群及び対照群に分割した。それぞれの群は、性別に関してバランスをとった。
【0086】
[0086]試験群に、12:00pmに単回用量のメラトニン(1mg/kg BW)を与え、その後1:00〜2:00pmの間に単回用量のセファレキシン(15mg/kg BW)を与えた。メラトニン及びセファレキシンの投与は、双方ともイヌへの経口投与により行った。この研究は、メラトニン投与後の血清におけるセファレキシンの出現の薬物動態を決定することによって、セファレキシンの吸収を評価した。対照群は、試験群と同時にセファレキシンを与えられたが、対照群は経口でメラトニンを与えられなかった。薬物動態分析用の試料を、セファレキシンの経口投与後15、30、45及び60分並びに1.5、2、2.5、3、3.5、4、6及び8時間に採取した。セファレキシン濃度を、高圧液体クロマトグラフィーによって決定した。血清中メラトニン含有量を、経口投与時間の前後、例えば、メラトニンの経口投与前の−5、−3、−1、−0.5時間、0(投与時間)及びメラトニンの経口投与後の0.5、1、2、3、4、及び6時間に分析した。メラトニンを、放射免疫測定法により定量化した。結果を、表1、2及び3に示す。
【0087】
[0087]表1、2及び3を参照すると、データは、メラトニンの経口投与が、セファレキシンの吸収を増加させたことを示す。セファレキシンの薬物動態に関するデータを表1に示す。データは、投与後の時間(時)におけるイヌ血清中のセファレキシンの出現及び消失を明示する。個々の時点における平均血中濃度データの分析は、投与後2.0時間〜6時間の間のすべての時間において量に統計的に差があった(P<0.05)ことを示している。薬物動態データを使用して、表2に示した、差について分析した出現率及びピークの高さを計算した。メラトニン補給を受けた群に関するセファレキシンの計算レベルは、メラトニンを与えられなかった群に関するセファレキシンの計算レベルより8.8%高いピークに達した(P=0.05;表2)。表1に示した平均薬物動態濃度データに基づき、投与後2時間(ピーク時間)のセファレキシンレベルは、メラトニン補給を受けたイヌにおいて19%高かった。さらに、(総曲線下面積より決定した)総吸収許容量は、メラトニンを与えられたイヌにおいて10.6%増加した(P=0.03)。
【0088】
[0088]表3から分かるように、メラトニンを摂取したイヌにおいて、血清中のメラトニンの出現は、摂取後6時間までに有意に増加した。メラトニンを投与されなかった対照群のイヌは、ベースラインレベルを有した。個々の処置平均の標準誤差(SE)もまた、表3に示す。
【0089】
【表1】

【0090】
【表2】

【0091】
【表3】

【0092】
実施例2
[0089]メラトニン又はその前駆体の経口投与により、動物においてアミノ酸の吸収を増加させる方法。低分子ペプチド及び/又はペプチド模倣体薬剤の吸収を改善する、経口投与されたメラトニンの用量を滴定する研究を実施した。セファレキシンのようなペプチド模倣体薬剤及び低分子ペプチド(ジペプチド及びトリペプチド)は、単一の低分子腸内輸送タンパク質、ペプチド輸送体1により吸収される。
【0093】
[0090]方法論:この研究は、n=40の、ラブラドールレトリバー犬(BW範囲:21〜40kg)を用いて、低分子ペプチドに対するマーカー基質として機能する、抗生物質のセファレキシンの吸収について、メラトニンなしのプラセボ対照と比較したメラトニンの経口摂取を試験するために実施した。イヌは、性別に関してバランスをとり、年齢は1.5〜9歳の範囲に及んだ。この研究は、2:00pmにイヌに単回15mg/kg BW用量のセファレキシンを経口投与し、その後、血清中のセファレキシン出現の薬物動態を決定することによって、セファレキシンの吸収を評価した。イヌを5つの異なる処置群に無作為に割り振り、ゼラチンカプセル中のメラトニンの単回経口用量(0.01、0.1、1又は3mg/kg BW)又はプラセボを、セファレキシンの用量として同時に与えた。経口用量のすぐ後に、60mLの洗浄用注射器により60mLの水を経口投与した。メラトニン用量の希釈剤及びプラセボ丸薬は不活性担体のアビセルであった。セファレキシンの薬物動態を、セファレキシンの投与後30及び60分後、並びにセファレキシンの経口投与後1.5、2、2.5、3、4及び6時間後に分析した。セファレキシン濃度は、高圧液体クロマトグラフィーにより決定した。
【0094】
[0091]さらに、昼/夜の活動データを72時間収集し、メラトニンの経口投与が活動の減少をもたらすかどうかを決定した。イヌに、メラトニン用量の1回の経口摂取前24時間、具体的には1日目の2PMにActiwatchモニターを取り付けた。メラトニンの経口投与後、活動のモニタリングをさらに48時間続け、その時にモニターを取り外し、分析のためにデータを収集した。イヌは、11.5時間の明周期と12.5時間の暗周期にさらされ、11.5時間の周期において犬小屋の照明と自然光とを組み合わせた。6AMに犬小屋の照明にさらされることにより朝に明周期が開始し、日没により5:30PMに暗闇の始まりが起こる。データ分析のために、活動を3つの期間、午後の明期(2PM〜5:30PM、3.5時間)、暗期(5:30PM〜6AM、12.5時間)及び朝の明期(6AM〜2PM、8時間)に区切った。データ分析目的に関して、24時間周期は、2:00PM〜1:59PMである。結果を以下に分析する。
【0095】
[0092]セファレキシンの吸収及び出現データ:メラトニンの経口投与は、0.1、1、及び3mg/kg BWを投与されたイヌにおいて、プラセボイヌと比較して、セファレキシンの吸収が増加したことを明示した。以下のデータは、この効果の証拠を提供し、以下のデータは平均薬物動態データ、ピークの高さ、血清中出現率、総曲線下面積としての総セファレキシンの出現を含む。セファレキシンの薬物動態データを、表4に提示し、このデータは、イヌの血清中のセファレキシンの出現及び消失を明示する。個々の時点の平均血中濃度データの分析は、3mg/kg BWの投与によりセファレキシンの出現に増加がもたらされることを示した。具体的には、投与後1時間でセファレキシンレベルは82.8%高く、1.5時間後には52%高く、2時間後には32.6%高く、2.5時間後には19.4%高く、最終的に3時間後には9.1%高かった。0.1及び1mg/kg BW用量でメラトニンを経口投与することにより、プラセボ群と比較して血中のセファレキシン出現の増加がもたらされるが、増加はそれほど高くない。具体的には、投与後1時間でセファレキシンレベルは34〜22.6%高く、1.5時間後には25%高く、2時間後には18〜19.5%高く、2.5時間後には14.3〜17.5%高かった。同様に3mg/kgを投与することで、投与3時間後のレベルは9%高かった。0.01mg/kg BWのメラトニンを経口投与した場合、血中に出現するセファレキシンの量は、プラセボ群と比較して僅かに減少した。
【0096】
【表4】

【0097】
[0093]表5を参照し、薬物動態データを使用して、出現率、ピークの高さ及びピーク時間を計算した。血中ピーク出現は、プラセボ群と比較して、0.1、1及び3mg/kg BWでメラトニンの経口用量を用いて、それぞれ19%、11.6及び22.8%高かった。さらに、セファレキシン出現率は、プラセボと比較して、これら3種の用量レベルでもまた高かった。具体的には、0.1、1及び3mg/kg BWを用いて、それぞれ比率は40、25.4及び58.5%高かった。それに応じてピーク出現の時間もまた、メラトニンの経口用量を与えた群においてより速く、0.1mg/kg群はおよそ15分、1mg/kg群はおよそ30分及び3mg/kg群はおよそ60分速かった。
【0098】
【表5】

【0099】
[0094]セファレキシンの吸収の最終測定は、総曲線下面積(AUC)としてのセファレキシンの総吸収許容量の評価である。投与後の個々の時期におけるセファレキシンの累積AUCをまとめ、表6に示す。さらに、プラセボ群と比較したAUCのパーセントの相対的変化もまた表6に含まれる。先の可変試験と同様に、0.1、1及び3mg/kg群に関するAUCは、プラセボ群と比較して大部分の時点において高かった。要約すれば、3mg/kg BW群は、プラセボ群と比較して、セファレキシンの吸収許容量が最も長期間、最も増加が高く、AUCは、投与後1〜2.5時間に45〜34%高かった。
【0100】
【表6】

【0101】
[0095]昼/夜活動データ:昼及び夜の活動を、0(プラセボ)、0.01、0.1、1及び3mg/kg BWのメラトニンの経口投与の24時間前及び48時間後に評価した。結果を表7に示す。活動データを、24時間周期の3期間に区分する。午後遅くの明期(2pm〜5:30pm)における活動のモニタリングは、活動についての経口メラトニンの影響を全く明示しなかった。午後期における活動は、2日目(経口用量又はプラセボの直後)にすべての群において増加した。しかし、0.01、0.1及び1mg/kg群のイヌは、メラトニンの経口摂取直後の暗期において、プラセボ群と比較して減少を明示した。プラセボ群及び3mg/kg群を除くすべてのメラトニン群は、1日目と比較して活動の減少を有したので、朝の明期は2日目の活動に差を明示しなかった。さらに、2日目と比較して3日目には、すべての群において活動が減少し続けた。したがって、経口投与は、日中イヌの活動に影響を与えるとは思われないが、午後に投与した場合、夜間の活動が僅かに減少する。
【0102】
【表7】

【0103】
[0096]本明細書において、本発明の典型的な好ましい実施形態を開示し、特有の用語を用いたが、この特有の用語は一般及び説明の意味のみで使用され、特許請求の範囲において説明される発明の範囲を限定する目的ではない。明らかに、上記の教示を考慮して、本発明の多くの変形及び変更が可能である。したがって、特に明記しない限り、添付の特許請求の範囲内で本発明の実践が可能であると理解されるべきである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物において、ペプチド、ペプチド模倣体及び他の胃腸内輸送タンパク質基質の輸送を増強する方法であって、動物において腸内輸送タンパク質を介するペプチド、ペプチド模倣体又は基質の輸送を増強するのに有効な量のメラトニンを投与するステップを含む方法。
【請求項2】
前記メラトニンを、ペプチド、ペプチド模倣体又は基質と併用して投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記メラトニンを、食品組成物として投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記食品組成物を、ペプチド、ペプチド模倣体又は基質と併用して投与する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
投与するメラトニンの量が、少なくとも約0.1mg/kgである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
投与するメラトニンの量が、約0.1mg/kg〜約50/mg/kgである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記腸内輸送タンパク質が、膜輸送体のPTR2ファミリーのメンバーである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記腸内輸送タンパク質が、ペプチド輸送体1(PepT1)である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ペプチド、ペプチド模倣体又は基質が、栄養素又は薬剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記薬剤が、抗生物質である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記動物が、吸収不良障害を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記メラトニンが、1種又は複数種の刺激剤と併用して投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記動物が、コンパニオンアニマルである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
メラトニンと、1種又は複数種のペプチド、ペプチド模倣体又は他の胃腸内輸送タンパク質基質とを含む組成物。
【請求項15】
βラクタム環を含む少なくとも1種のペプチド模倣体を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記ペプチド模倣体が、ペニシリン、セファロスポリン、モノバクタム、カルバペネム、βラクタマーゼ阻害剤、前述の任意の誘導体若しくは塩、又はその任意の組合せを含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記ペプチド模倣体が、抗生物質、降圧剤又は抗ウィルス性の薬剤若しくはプロドラッグを含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項18】
抗生物質感受性微生物に対処するために必要とする抗生物質の量を減少させる方法であって、1種又は複数種の抗生物質を、胃腸内輸送タンパク質による抗生物質の輸送を増強するのに有効な量のメラトニンと併用して経口投与するステップを含む方法。
【請求項19】
メラトニンが、少なくとも約0.1mg/kgの量で投与される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記抗生物質が、ペニシリン、セファロスポリン、モノバクタム、カルバペネム、βラクタマーゼ阻害剤、前述の任意の誘導体若しくは塩、又はその任意の組合せである、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
抗生物質耐性微生物の発生の危険性を減少させる方法であって、1種又は複数種の抗生物質を、胃腸内輸送タンパク質による抗生物質の輸送を増強するのに有効な量のメラトニンと併用して経口投与するステップを含む方法。
【請求項22】
メラトニンが、少なくとも約0.1mg/kgの量で投与される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記抗生物質が、ペニシリン、セファロスポリン、モノバクタム、カルバペネム、βラクタマーゼ阻害剤、前述の任意の誘導体若しくは塩、又はその任意の組合せである、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
動物の胃腸管においてPepT1基質の吸収を改善する方法であって、PepT1基質の吸収を改善するのに有効な量のメラトニンを動物に投与するステップを含む方法。
【請求項25】
メラトニンの量が、動物において睡眠又は眠気を誘導しない、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記PepT1基質が、ジペプチド、トリペプチド又はペプチド模倣体である、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記PepT1基質が、トリプトファン、グルタミン、アルギニン又は分枝鎖のアミノ酸残基を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
投与ステップが、少なくとも1種のPepT1基質の投与を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記PepT1基質が、老齢動物において最適な栄養摂取を促進するために有用である、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記動物が、吸収不良障害を有する、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記メラトニンが、PepT1基質との併用で提供される単回又は複数回用量で経口投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記メラトニンが、動物の正常な睡眠時間の前に消費するために配合された食品中に存在する、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
動物において、ペプチド模倣体の吸収を改善するための方法であって、ペプチド模倣体の吸収を改善するのに有効な量のメラトニン及びペプチド模倣体を併用して動物に投与するステップを含む方法。
【請求項34】
投与するメラトニンの量が、動物において睡眠又は眠気を誘導しない、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記メラトニンが、単回又は複数回用量で経口投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
メラトニンの総用量が、約3mg/kg未満である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記ペプチド模倣体が、抗生物質である、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記ペプチド模倣体が、βラクタム環を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記ペプチド模倣体が、ペニシリン、セファロスポリン、モノバクタム、カルバペネム、βラクタマーゼ阻害剤、前述の任意の誘導体若しくは塩、又はその任意の組合せである、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
インビボにおいて食品組成物の栄養価を増強する方法であって、食品組成物を、食品中に存在する1種若しくは複数種のジペプチド若しくはトリペプチド又はその天然の消化産物の吸収を増強するために十分な量のメラトニンと併用して、動物に投与するステップを含む方法。
【請求項41】
前記動物が、タンパク質の栄養摂取又はアミノ酸の同化の改善から利益を得る、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記動物が、吸収不良障害を有する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記動物が、疾患からストレスを受けている、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記動物が、使役動物又は運動に供されるコンパニオンアニマルである、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
メラトニンの量が、睡眠又は眠気を誘導しない、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
メラトニンの用量が、約1mg/kgである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
メラトニンの量が睡眠又は眠気を誘導でき、メラトニンが動物の正常な睡眠時間の前約3時間以内に投与される、請求項41に記載の方法。
【請求項48】
胃腸内輸送タンパク質を介する基質の輸送の改善に適したキットであって、単一包装内に個別の容器で、又は仮想包装内に個別の容器で、メラトニンと、(1)ペプチド模倣体、(2)ジペプチド又はトリペプチド、(3)オリゴペプチド、(4)薬剤又はプロドラッグのアミノ酸エステル、(5)別の胃腸内輸送タンパク質基質、又は(6)動物による消費に適したさらなる成分、及び(7)少なくとも1種の他の構成要素と一緒にメラトニンを使用して、動物において胃腸内輸送タンパク質を介する基質の輸送を改善するための指示書若しくはさらなる情報である少なくとも1種の他の構成要素とを含むキット。
【請求項49】
前記指示書が、キットを、動物において睡眠又は眠気を誘導しない様式で使用できることを示す、請求項48に記載のキット。
【請求項50】
前記指示書が、動物に約3mg/kgを超えるメラトニンを与えるべきではないことを示す、請求項49に記載のキット。
【請求項51】
前記指示書又はさらなる情報の少なくとも一部が仮想的に提供される、請求項48に記載のキット。
【請求項52】
(a)動物においてペプチドの輸送を増強する方法、(b)動物の胃腸管においてPepT1基質の吸収を改善する方法、(c)動物においてペプチド模倣体の吸収を改善する方法、(d)インビボで食品の栄養価を増強する方法、(e)メラトニンと、1種又は複数種のペプチド、ペプチド模倣体又は薬剤若しくはプロドラッグのアミノ酸エステルを含む組成物、(f)本方法の実践に必要な構成要素を含むキット、或いは(g)組成物又はキットの作製又は使用の1つ又は複数についての情報又はその使用のための指示を伝達する手段。
【請求項53】
ウェブサイト、視覚的表示キオスク、印刷物、冊子、製品ラベル、添付文書、広告、チラシ、公示、音声テープ、ビデオテープ、DVD、CD−ROM、コンピュータ読取り可能なチップ、コンピュータ読取り可能なカード、コンピュータ読取り可能なディスク、コンピュータメモリ又はその組合せを含む、請求項52に記載の手段。
【請求項54】
メラトニンが、ペプチド、ペプチド模倣体又は他の胃腸内輸送タンパク質基質の吸収を増強するために使用できることを示すラベルデバイスを含む包装。
【請求項55】
前記基質が、1種又は複数種のジペプチド及びトリペプチド、抗生物質、薬剤又はプロドラッグのアミノ酸エステル及びその組合せである、請求項54に記載の包装。
【請求項56】
動物の健康又はウェルネスを促進する方法であって、健康又はウェルネスを促進する量のメラトニンと、1種又は複数種のペプチド、ペプチド模倣体又は他の胃腸内輸送タンパク質基質とを動物に投与するステップを含む方法。
【請求項57】
前記メラトニンが、前記ペプチド、ペプチド模倣体又は基質と併用して投与される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
医薬品の調製のための、メラトニンと、(1)ペプチド模倣体、(2)ジペプチド若しくはトリペプチド、(3)オリゴペプチド、(4)薬剤若しくはプロドラッグのアミノ酸エステル、又は(5)別の胃腸内輸送タンパク質基質の少なくとも1つとを含む組成物の使用。
【請求項59】
前記組成物が、メラトニンと抗生物質とを含む、請求項58に記載の使用。
【請求項60】
前記組成物が、メラトニンとβラクタム環を含むペプチド模倣体とを含む、請求項58に記載の使用。
【請求項61】
抗生物質感受性微生物に対処するために動物に投与する抗生物質の所与の量の有効性を増加する方法であって、1種又は複数種の抗生物質を、胃腸内輸送タンパク質による抗生物質の輸送を増強するのに有効な量のメラトニンと併用して経口投与するステップを含む方法。
【請求項62】
メラトニンが、少なくとも約0.1mg/kgの量で投与される、請求項61に記載の使用。
【請求項63】
前記抗生物質が、ペニシリン、セファロスポリン、モノバクタム、カルバペネム、βラクタマーゼ阻害剤、前述の任意の誘導体若しくは塩、又はその任意の組合せである、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
抗生物質感受性微生物が原因となる感染症又は疾患から発生する合併症の可能性を低下する方法であって、1種又は複数種の抗生物質を、胃腸内輸送タンパク質による抗生物質の輸送を増強するのに有効な量のメラトニンと併用して経口投与するステップを含む方法。
【請求項65】
メラトニンが、少なくとも約0.1mg/kgの量で投与される、請求項65に記載の方法。
【請求項66】
前記抗生物質が、ペニシリン、セファロスポリン、モノバクタム、カルバペネム、βラクタマーゼ阻害剤、前述の任意の誘導体若しくは塩、又はその任意の組合せである、請求項65に記載の方法。


【公表番号】特表2011−517449(P2011−517449A)
【公表日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501840(P2011−501840)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/001937
【国際公開番号】WO2009/120378
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】