説明

ペプチドのアシル化方法及び新規アシル化剤

【課題】ペプチド又はタンパク質への1つ以上のアシル基の導入方法を提供する。
【解決手段】(a)少なくとも1つの遊離アミノ基をもつペプチド(又はタンパク質)を一般式(I):


により表されるアシル化剤と、塩基性条件下、非プロトン極性溶媒と水の混合物中で反応させ;塩基性条件下、上記のアシル化されたペプチドエステル基をケン化する;前記方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はペプチド又はタンパク質への1つ以上のアシル基の導入方法に関する。より特に、本発明は天然のGLP−1又はそのアナログに含まれるリジン残基のεアミノ基の改良したアシル化方法に関する。さらには、本発明は前記方法においてアシル化剤として有効な化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
ペプチドは医療の現場で広く用いられ、そしてそれらを組換えDNA技術によって製造できるので、それらの重要性がこれからも増大すると予想される。天然のペプチド又はそれらのアナログが治療に使用される場合、それらが高いクリアランスを持つことが広く見うけられる。治療薬の高いクリアランスは、繰返されてきた投与が必要となったとき以降にも長期間にわたるそれらの高い血中濃度の維持することが望まれる場合に不便である。高いクリアランスをもつ天然型のペプチドの例は:ACTH、副腎皮質刺激ホルモン放出因子、アンギオテンシン、カルシトニン、エキセンジン、エキセンジン−3、エキセンジン−4、インシュリン、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド−1、グルカゴン様ペプチド−2、インシュリン様成長因子−1、インシュリン様成長因子−2、ガストリック・インヒビトリー・ペプチド、成長ホルモン放出因子、脳下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド、セクレチン、エンテロガストリン、ソマトスタチン、ソマトトロピン、ソマトメジン、副甲状腺ホルモン、トロンボポエチン、エリスロポエチン、視床下部ホルモン放出因子、プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン、エンドルフィン、エンケファリン、バソプレッシン、オキシトシン、オピオイド及びそれらのアナログ、スーパーオキサイド・ディスムターゼ、インターフェロン、アスパラギナーゼ、アルギナーゼ、アルギニン・デアミナーゼ、アデノシン・デアミナーゼ、並びにリボヌクレアーゼである。
【0003】
天然ペプチド又はそのアナログへの親油性アシル基の導入は、天然ペプチド(又は改変されていないアナログ)に関連する延長された作用特性をもつアシル化されたペプチドを導く。この現象は、当該出願者の先の出願、GLP−1及びアナログのアシル化を開示するWO98/08871、GLP−2及びアナログのアシル化を開示するWO98/08872、並びにエキセンジン及びアナログのアシル化を開示するWO99/43708において完全に記載されそして論証されている。さらには親油性基に隣接する負電荷をもちうる基、例えばカルボン酸基の包含が有利でありうることが提唱されている。
【0004】
欧州特許出願第92107035.5号(Kuraray社)はタンパク質への長鎖カルボン酸の調製のための長鎖ジカルボン酸の反応性モノエステルを記載する。
【0005】
モノ−又はジペプチド・スペーサーを介したGLP−1への親油性アシル基の導入は特に興味深く、そしてWO98/08871中に提唱されそして例示されている。アスパラギン酸及びグルタミン酸が好適なリンカーとして挙げられた。しかしながら、このようなモノ−又はジペプチド・スペーサーは、補足的なカルボン酸基を含むため、保護及びその後の脱保護ステップが必要であると考えられた。脱保護は、前記ペプチド(GLP−1)の崩壊を一定の度合いで導く酸性条件下でおこなわれた。よって、それらの変異体の調製のための代替の方法が望ましい。
【0006】
よって、α−アミノ−α,ω−ジカルボン酸スペーサーを介したペプチドへの親油性残基の導入のための代替方法の提供が本発明の目的である。前記方法は改変されたペプチドの調製を容易にするであろう。電荷をもちうるカルボン酸基は、親油性残基の近くに導入され、このとき上記親油性残基に対して直接作用することはない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はN−アシル化されたペプチド(N−アシル化されたタンパク質)を得るためのペプチド(又はタンパク質)の1つ以上のアミノ基のアシル化方法であって、以下のステップ:
(a)少なくとも遊離アミノ基をもつペプチド(又はタンパク質)を以下の一般式(I):
【0008】
【化1】

【0009】
{式中、
nは0〜8であり;
はCOORであり;
は親油性部分であり、例えばC3−39−アルキル、C3−39−アルケニル、C3−39−アルカジエニル、及びステロイド性残基から選ばれ;
は、Rがそれに付着されているところのカルボキシル基と一緒になって、反応性エステル又は反応性N−ヒドロキシ・イミド・エステルを表し;そして
は水素、C1−12−アルキル、及びベンジルから選ばれる。}
により表されるアシル化剤と、塩基性条件下、非プロトン極性溶媒と水の混合物中で反応させ;及び
(b)Rが水素でない場合、塩基性条件下、上記のアシル化したペプチド・エステル基(COOR)をケン化する;
を含む前記方法を提供する。
【0010】
塩基性条件下における前記アシル化されたペプチド・エステル(ここではRはアルキル基又はベンジル基)のケン化は、上記ペプチド及び上記スペーサーのさまざまなα−アミノ酸断片のごくわずかなラセミ化又は無ラセミ化において可能である。本出願には副産物、例えば分解産物の純度及び抑制に関連するあらかじめ用いた酸性的加水分解に関して確かな利点が発見された。
【0011】
塩基性条件下における遊離酸(ここではRは水素)としてのアシル化剤を用いたアシル化もまた発見された。前記アシル化は、本質的に副産物なしにそして脱保護のステップによらず、望ましい産物であるアシル化されたペプチドを直接的に誘導する。
【0012】
本発明は前述の方法においてアシル化剤として有効な新規化合物もまた提供し、上記の新規化合物は以下の一般式(I):
【0013】
【化2】

【0014】
{式中、
nは0〜8であり;
はCOOHであり;
は親油性部分であり、例えばC3−39−アルキル、C3−39−アルケニル、C3−39−アルカジエニル、及びステロイド性残基から選ばれ;そして
は、Rがそれに付着されているところのカルボキシル基と一緒になって反応性エステル又は反応性N−ヒドロキシ・イミド・エステルを表す。}
により表される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ペプチド及びタンパク質
本発明がインビボにおけるクリアランス速度を低下させるためのいくつかのペプチド(又はタンパク質)への親油性アシル基の導入にとって有効であることは一般的に理解される。前記ペプチド及びタンパク質の例はACTH、副腎皮質刺激ホルモン放出因子、アンギオテンシン、カルシトニン、エキセンジン及びそのアナログ、インシュリン及びそのアナログ、グルカゴン及びそのアナログ、グルカゴン様ペプチド−1及びそのアナログ、グルカゴン様ペプチド−2及びそのアナログ、インシュリン様成長因子−1、インシュリン様成長因子−2、ガストリック・インヒビトリー・ペプチド、成長ホルモン放出因子、脳下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド、セクレチン、エンテロガストリン、ソマトスタチン、ソマトトロピン、ソマトメジン、副甲状腺ホルモン、トロンボポエチン、エリスロポエチン、視床下部ホルモン放出因子、プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン、エンドルフィン、エンケファリン、バソプレッシン、オキシトシン、オピオイド及びそれらのアナログ、スーパーオキサイド・ディスムターゼ、インターフェロン、アスパラギナーゼ、アルギナーゼ、アルギニン・デアミナーゼ、アデノシン・デアミナーゼ、並びにリボヌクレアーゼである。
【0016】
前記ペプチド(又はタンパク質)は少なくとも1つの遊離アミノ基、ここで上記アミノ基はN−末端アミノ基又は側鎖のアミノ基をもつであろうことは理解されるであろう。特に興味深いものはリジン及びオルニチンアミノ酸残基のアミノ基である。前記方法は特にリジン残基のε−アミノ基のN−アセチル化に関する。着目の前記ペプチド又はタンパク質が、本発明に従いN−アシル化されうる2つ以上のペンダント・アミノ基をもちうることもまた理解されるであろう。
【0017】
本発明がGLP−1及びそのアナログの改変にとって特に好適であることは必然的に理解される。本発明に従いN−アシル化されうるGLP−1及びアナログの例は、GLP−1及び切断型アナログ、例えば
【0018】
【化3】

【0019】
である。
【0020】
それらのGLP−1アナログ及び切断型アナログのそれぞれは本発明の他の態様を構成する。
【0021】
本発明はGLP−2及びそのアナログの改変にとっても特に好適であることは必然的に理解される。本発明に従いN−アシル化されうるGLP−2及びアナログの例は、GLP−2アナログ及び切断型アナログ、例えばLys20GLP−2(1−33);Lys20Arg30GLP−2(1−33);Arg30Lys34GLP−2(1−34);Arg30Lys35GLP−2(1−35);Arg30,35Lys20GLP−2(1−35);及びArg35GLP−2(1−35)である。それらのGLP−2アナログ及び切断型アナログのそれぞれは本発明の他の態様を構成する。
【0022】
本発明はエキセンジン(exendin)及びそのアナログの改変にとっても特に好適であることは必然的に理解される。本発明に従いN−アシル化されうるエキセンジン及びアナログの例は、エキセンジン・アナログ及び切断型アナログ、例えばエキセンジン−3及びエキセンジン−4である。それらのエキセンジン・アナログ及び切断型アナログのそれぞれは本発明の他の態様を構成する。
【0023】
本発明のさらなる態様において前記N−アシル化はリジン残基のε−アミノ基において起こる。
【0024】
GLP−1及びそのアナログの作用はWO98/08871に全て記載されている。
【0025】
GLP−2及びそのアナログの作用はWO98/08872に全て記載されている。
【0026】
エキセンジン及びそのアナログの作用はWO99/43708に全て記載されている。
【0027】
アシル化剤
本発明の方法において、少なくとも1つの遊離アミノ基をもつペプチド(又はタンパク質)は一般式(I)のアシル化剤と反応する。
【0028】
【化4】

【0029】
一般式(I)中の整数nは好ましくは0〜8、特に0〜6であり、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などに相当する。好ましくはnは0〜4、例えば0〜2、0(アスパラギン酸)又は1(グルタミン酸)である。それらの整数及び範囲のそれぞれは本発明の他の態様を構成する。
【0030】
式(I)中のRは遊離の酸性基(COOH)又はエステル基(COOR)を表す。Rがエステル基である場合において、Rは塩基性条件下で加水分解によって(アルコールに相当するものとして)遊離されうる基から選ばれる。前記の基の例はC1−12−アルキル、例えばメチル、エチル、prop−1−イル、prop−2−イル、but−1−イル、but−2−イル、2−メチル−prop−1−イル、2−メチル−prop−2−イル(tert−butyl)、hex−1−イルなど、及びベンジルである。それらの基のそれぞれは本発明の他の態様を構成する。
【0031】
式(I)中のRは前記ペプチド又はタンパク質中に取り込まれている親油性の部分を表す。前記の親油性の部分はC3−39−アルキル、C3−39−アルケニル、C3−39−アルカジエニル、及びステロイド性残基から典型的に選ばれる。C3−39−アルキルの具体的な例はヘプチル、ノニル、ウンデカニル、トリデカニル、ペンタデカニル、ヘプタデカニル、及びノナデカニルである。それらの親油性の部分のそれぞれは本発明の他の態様を構成する。
【0032】
前記の親油性置換基又は部分は、約0.1mg/水100ml〜約250mg/水100mlの範囲、好ましくは約0.3mg/水100ml〜約75mg/水100mlの範囲における20℃の水に対してもっている溶解度によって特徴づけられる。例えば、オクタン酸(C8)は20℃の水に対して68mg/100mlの溶解度をもち、デカン酸(C10)は20℃の水に対して15mg/100mlの溶解度をもち、そしてオクタデカン酸(C18)は20℃の水に対して0.3mg/100mlの溶解度をもつ。それらの親油性置換基の範囲のそれぞれは本発明の他の態様を構成する。
【0033】
前記用語「C3−39−アルキル(C3−39−alkyl)」、「C3−39−アルケニル(C3−39−alkenyl)」、及び「C3−39−アルカジエニル(C3−39−alkadienyl)」は直鎖及び分岐鎖、好ましくは直鎖、飽和、モノ−不飽和、ジ−不飽和、3〜39炭素原子の炭化水素ラジカルのそれぞれを包含することを意図している。C3−39−アルキルの具体的な例はヘプチル、ノニル、ウンデカニル、トリデカニル、ペンタデカニル、ヘプタデカニル、及びノナデカニルである。
【0034】
本明細書において使用した場合、前記用語「ステロイド性残基(steroidal residues)」は、ステロイド性カルボン酸から得られるRが付着されるところのカルボニル基をともなう親油性基を意味することを意図する、例えばトリ−、テトラ−、及びペンタサイクリック、完全飽和又は部分的不飽和C16−36−炭化水素である。前記の基R−C(=O)−の例は、リトコロイル(lithocholoy)、デオキシコロイル(deoxycholoyl)、及びコロイル(choloyl)である。
【0035】
前記親油性基の中で先に挙げた、C7−25−アルキル、C7−25−アルケニル、C7−25−アルカジエニル、及びステロイド性残基は特に関連がある。特に興味深い例はヘプチル、ノニル、ウンデカニル、トリデカニル、ペンタデカニル、ヘプタデカニル、ノナデカニル、リトコロイル、デオキシコロイル、及びコロイルである。それらの親油性基のそれぞれは本発明の他の態様を構成する。
【0036】
式(I)中のRは、Rがそれに付着されているところのカルボキシル基と一緒になって反応性エステル又は反応性N−ヒドロキシ・イミド・エステルを表す。それらのエステルのそれぞれは本発明の他の態様を構成する。反応性エステル又は反応性N−ヒドロキシ・イミド・エステルは、アミノ、チオ、及びヒドロキシ基のアシル化に用いられる反応基として有機化学の分野(特にペプチド化学)にて周知である。本発明の文脈中の用語「反応性エステル又は反応性N−ヒドロキシ・イミド・エステル」は、カルボン酸基の形態にアミン、好ましくは一級アミンのアシル化に好適な官能性をもたせたエステルを意味することを意図する。よって、一級アミンのアシル化の選択性はヒドロキシ及びチオ基のアシル化までおよぶことが好まれることは理解されるであろう。反応性N−ヒドロキシ・イミド・エステルは特に好まれる。
【0037】
反応性エステルの例は1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・エステル及び誘導体である。カルボン酸の前記活性化されたエステル形成のための高い効果をもつ多くの試薬、例えば2−(1H−ベンゾトリアゾール−1イル)−1,1,3,3−テトラメチルロニウム・テトラフルオロボレートが知られている。前記反応性エステルは塩基、例えば有機塩基であるトリアルキルアミンが存在することによりその場で典型的に形成される。
【0038】
N−ヒドロキシ・イミド・エステルの前記イミド部の例は、欧州特許出願第92107035.5号の13ページ3行目から17ページ10行目までに明確に記載されているものである(これを本明細書に援用する)。それらの中で特に興味深いイミド部の例は、サクシンイミド(succinimide)、フタルイミド(phthalimide)などである。それらのイミド部のそれぞれは本発明の他の態様を構成する。
【0039】
前記式(I)の反応性N−ヒドロキシ・イミド・エステルは、対応する酸(すなわちN−アシル化されたα−カルボキシ保護された二酸(N−acylated α−carboxy protected diacid)(Rは水素ではない))と等モル量(例えば0.95〜1.05モル、好ましくは1.0モル)の対応するイミドのN−ヒドロキシ−イミドの縮合によって調製されうる。(前記N−アシル化されたα−カルボキシ保護された二酸は一方で対応する親油性の部分のα−カルボキシ保護された、α−アミノジアシド、及びベンゾトリアゾール・エステルから典型的には調製される。このベンゾトリアゾール・エステルは、例えばWO98/02460(実施例1〜3)に記載のDCC共役によって塩素酸とベンゾトリアゾールから又は遊離酸とベンゾトリアゾールから調製される。)前記縮合は塩基性条件下、例えば共役剤、例えばカルボジイミド共役剤(例えばジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC))の存在において典型的におこなわれる。この場合、前記共役剤は好ましくは酸に対して等モル量添加される。前記反応は極性非プロトン溶媒、例えば無水テトラヒドロフラン(THF)、無水ジメチルホルムアミド(DMF)、無水アセトン、無水ジクロロメタン、無水ジオキサン、無水ジメチルアセトアミド又は無水N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中にて典型的にはおこなわれる。前記反応は0〜50℃、例えば5〜30℃、例えば室温の範囲の温度にて、1〜96時間、例えば4〜36時間の期間において典型的にはおこなわれる。試薬と条件の1つの実行可能な組合せは以下の:前記N−ヒドロキシ−イミド(サクシンイミド又はフタルイミド)と着目の前記酸をおよそ1:1のモル比において無水THF又は無水DMF(又はそれらの混合物)中に溶解し、そして等モル量のDCCを上記溶液に添加する。N−ヒドロキシ−イミドと酸の間の反応完了の後、上記産物を従来法、例えばろ過(DCCを共役剤として使用した場合には沈澱させたジシクロヘキシルウレア(DCU)のろ過)、結晶化、再結晶化、クロマトグラフィーなどにより分離及び精製する。1つの実行可能な精製経路はろ過、減圧下における溶媒の蒸発、前記産物の再溶解、例えばアセトンに再溶解しろ過、非極性溶媒の添加によって結晶化、例えばヘキサンに再溶解し、場合によっては再結晶化及び/又は洗浄により沈澱させた使用した共役剤の除去を含む。前記産物は前記式(I)のアシル化剤として本発明の方法に直ちに使用されうる。
【0040】
前記式(I)のアシル化剤が遊離αカルボン酸(R=水素)として使用される場合には、Rが選択的に除かれる基であるところの上記式(I)の化合物はRが水素であるところの対応する化合物に転化する。前記カルボン酸保護基は接触水素化によって除かれうるベンジル基又は選択的に除かれうるアリル基でありうる。ベンジル保護基は非プロトン極性溶媒中の接触水素化によって、例えばアセトン中で室温にて炭素上パラジウムと水素によって除かれうる。前記反応は激しい撹拌のもとで水素ガス雰囲気の閉ざされた容器(典型的には0.1〜10atm)中でも起こりうる。前記反応はパラジウム触媒の品質に依存して0.5〜12時間で典型的には完了する。従来法を応用する。
【0041】
が水素であるところの前記式(I)の化合物は新規物質として、そしてそれによってそれらの化合物が本発明の特殊な側面から成ることが理解される。よって、本発明は以下の一般式(I):
【0042】
【化5】

【0043】
{式中、
nは0〜8であり;
はCOOHであり;
は親油性の部分であり、好ましくはC3−39−アルキル、C3−39−アルケニル、C3−39−アルカジエニル、及びステロイド性残基から選ばれ;そして
は、Rがそれに付着されているところのカルボキシル基と一緒になって、反応性エステル又は反応性N−ヒドロキシ・イミド・エステルを表す。}
により表される新規化合物をも提供する。
【0044】
反応条件
前記式(I)のアシル化剤と前記ペプチド又はタンパク質の間の反応は、非プロトン極性溶媒と水の混合物において塩基性条件下でおこなわれる。
【0045】
前記式(I)のアシル化剤は前記ペプチド又はタンパク質のアミノ基の数に関連してわずかな過剰量にて典型的には使用される。前記割合は典型的には前記ペプチドのアミノ基数の値を考慮して1:1〜1:20と余分のアシル化剤、好ましくは1:1.2〜1:5である。
【0046】
前記ペプチドが十分なN−アシル化であるか又は一部だけのN−アシル化であるかは使用したアシル化剤の量と前記反応条件に依存しうることは理解されるであろう。前記N−アシル化が実質的に化学量論的であることは好ましい。
【0047】
典型的には、非プロトン極性溶媒は無水テトラヒドロフラン(THF)、無水ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジオキサン、ジメチルアセトアミド又はN−メチル−2−ピロリドン及びそれらの混合物から選ばれ、中でもジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、及びN−メチル−2−ピロリドンが好まれ、そしてN−メチル−2−ピロリドンが特に好まれる。前記非プロトン極性溶媒と水(例えばN−メチル−2−ピロリドンと水)の割合は典型的には1:10〜10:1、とりわけ1:5〜5:1、特に1:1〜3:1である。
【0048】
前記温度は典型的には−10〜50℃の範囲、好ましくは0〜25℃の範囲に維持される。
【0049】
前記反応の円滑な進行のために前記溶媒混合物のpH値が7〜14の範囲、例えば9〜13、好ましくは9.5〜12.5であることが重要である。収量及び純度に関する結果は、前記溶媒混合物のpH値が10〜12の範囲である場合に一般的に至適である。望ましいpH値はアルカリ金属の水酸化物、例えば水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム、並びに/又は有機塩基、例えばトリアルキルアミン(トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンなど)の添加によって得られる。
【0050】
典型的な例として、ステップ(a)の反応は前記タンパク質と前記式(I)のアシル化剤の1:1〜1:5のモル比における使用によりおこなわれる。前記ペプチドは典型的には−10〜30℃、例えば0〜25℃、そしてpHをアルカリ金属水酸化物(例えば水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム)を用いて望ましいレベルに調整した水に事前に溶解されている。前記pH値は酸、例えば酢酸及び塩基、例えばトリアルキルアミンを用いてさらに調整されうるが、前記温度は好ましくは先の範囲内である。前記非プロトン極性溶媒(又は溶媒混合物)はその後に添加される。前記反応は、水と酸、例えばpH6.5〜9.0までの酢酸の添加前、0.2〜4時間、例えば0.2〜1時間で典型的に得られる縮合(HPLCによって観察される)を典型的には進行させる。前記産物は典型的にはHPLC又は等電点のpHにより沈澱させること又は精製の前に加水分解させること(ステップ(b))によって分離され、そして精製される。
【0051】
が水素である前記式(I)のアシル化剤を使用した場合、N−アシル化されたペプチド又は親油性の部分及び遊離カルボン酸基をもつタンパク質が直接的に得られる。よって、Rが水素である変異体は本発明の方法の好ましい態様を表す。
【0052】
あるいは、すなわち前記RがC1−12−アルキル又はベンジルである場合、前記N−アシル化されたペプチド・エステル(又はタンパク質・エステル)は、N−アシル化されたペプチド又はN−アシル化されたタンパク質を得るために塩基性条件下にてケン化される。ケン化は典型的にはアルカリ金属水酸化物、例えばナトリウム又は水酸化カリウムの0.01〜4.0M溶液中にておこなわれる。前記溶液のpHは典型的には10〜14である。前記反応は典型的には0.1〜12時間、好ましくは0.5〜4時間、0〜40℃、例えばおよそ室温にて進行させる。反応後、前記産物は、例えば等電点のpHでの沈澱及び/又は予備的なHPLCによって精製される。よって、RがC1−12−アルキル又はベンジルである変異体は本発明の方法の他の好ましい態様を表す。
【0053】
本発明は以下の側面にも関する:
側面1.N−アシル化ペプチドを得るためのペプチド又はタンパク質のアミノ基のアシル化方法であって、以下のステップ:
(a)少なくとも1つの遊離アミノ基をもつペプチドを以下の一般式(I):
【0054】
【化6】

【0055】
{式中、
nは0〜8であり;
はCOORであり;
は親油性部分であり;
は、Rがそれに付着されているところのカルボキシル基と一緒になって、反応性エステル又は反応性N−ヒドロキシ・イミド・エステルを表し;そして
は水素、C1−12−アルキル、及びベンジルから選ばれる。}
により表されるアシル化剤と、塩基性条件下、非プロトン極性溶媒と水の混合物中で反応させ;及び
(b)Rが水素でない場合、塩基性条件下、上記のアシル化されたペプチド・エステル基(COOR)をケン化する;
を含む前記方法。
【0056】
側面2.Rが水素である、側面1に記載の方法。
【0057】
側面3.RがC1−8−アルキル及びベンジルから選ばれる、側面1に記載の方法。
【0058】
側面4.前記Rは、Rがそれに付着されているところのカルボキシル基と一緒になって、反応性N−ヒドロキシ・イミド・エステルを表す、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【0059】
側面5.前記非プロトン極性溶媒と水の混合物が1:5〜5:1までのN−メチル−2−ピロリドンと水の混合物である、側面1〜4のいずれかに記載の方法。
【0060】
側面6.ステップ(a)における前記反応混合物のpHが9〜13の範囲内である、側面1〜5のいずれかに記載の方法。
【0061】
側面7.ステップ(a)における前記反応混合物の温度が0〜50℃の範囲内である、側面1〜6のいずれかに記載の方法。
【0062】
側面8.前記アシル化したペプチド・エステルが10〜14の範囲内のpH値においてケン化される、側面3〜7のいずれかに記載の方法。
【0063】
側面9.RがC3−39−アルキル、C3−39−アルケニル、C3−39−アルカジエニル、及びステロイド性残基から選ばれる、側面1〜8のいずれかに記載の方法。
【0064】
側面10.以下の式(I):
【0065】
【化7】

【0066】
{式中、
nは0〜8であり;
はCOOHであり;
は親油性部分であり;そして
は、Rがそれに付着されているところのカルボキシル基と一緒になって、反応性エステル又は反応性N−ヒドロキシ・イミド・エステルを表す。}
により表される化合物。
【0067】
側面11.nは0又は1そしてRは、Rがそれに付着されているところのカルボキシル基と一緒になって反応性エステル又は反応性N−ヒドロキシ・イミド・エステルを表す、側面10に記載の化合物。
【0068】
側面12.RがC3−39−アルキル、C3−39−アルケニル、C3−39−アルカジエニル、及びステロイド性残基から選ばれる、側面10又は11に記載の化合物。
【実施例】
【0069】
出発物質の調製
実施例1 N−ヘキサデカノイルグルタミン酸α−ベンジル・エステルの調製
グルタミン酸α−ベンジル・エステル(4.75g、20.0mmol)をN−メチル−2−ピロリドン(100ml)に20〜25℃にて溶解した。トリエチルアミン(2.53g、25.0mmol)と同時に1−ヘキサデカノイルベンゾトリアゾール(7.15g、20.0mmol)を加えた。前記反応混合物を20〜25℃にて22時間撹拌した。前記生成物溶液に対し0.2M塩酸(250ml)を加えた。前記生成物懸濁液を0℃にて3時間冷却した。前記産物をろ過により分離し、水(50ml×4)により洗浄し、そして40℃の減圧下において恒量まで乾燥した。
【0070】
収量:9.15g(96%)の白色物質、90.0℃(ピーク値)における融解を示差熱分析器(DSC)によって測定した。
【0071】
実施例2 N−ヘキサデカノイルグルタミン酸α−メチル・エステルの調製
実施例1の記載と類似した反応条件下において8.06g(50.0mmol)のグルタミン酸α−メチル・エステルを使用して、N−ヘキサデカノイルグルタミン酸α−メチル・エステルを調製した。
【0072】
収量:17.70g(88%)の白色物質、95.4℃(ピーク値)における融解をDSCによって測定した。
【0073】
実施例3 N−ヘキサデカノイルグルタミン酸α−ベンジル・エステルγ−N−ヒドロキシサクシンイミド・エステルの調製
N−ヘキサデカノイルグルタミン酸α−ベンジル・エステル(23.78g、50.0mmol)をテトラヒドロフラン(200ml)に20〜25℃にて溶解した。N−ヒドロキシサクシンイミド(5.75g、50.0mmol)と同時にジシクロヘキシルカルボジイミド(10.32g、50.0mmol)を加えた。前記反応混合物を20〜25℃にて20時間撹拌した。前記生成物懸濁液をろ過し、そして前記ろ液を減圧下の乾燥により蒸発させた。前記結晶性の残渣を40℃にてアセトン(100ml)に溶解し、そしてろ過によって不純物を除いた。ろ液に対しn−ヘプタン(300ml)を加えた。前記生成物懸濁液を20〜25℃にて4時間撹拌し、その後0℃にて1/2時間冷却した。前記産物をろ過により分離し、n−ヘプタン(50ml×3)により洗浄し、そして40℃の減圧下において恒量まで乾燥した。
【0074】
収量:23.75g(83%)の白色物質、98.6℃(ピーク値)における融解をDSCによって測定した。
【0075】
実施例4 N−ヘキサデカノイルグルタミン酸α−メチル・エステルγ−N−ヒドロキシサクシンイミド・エステルの調製
実施例3の記載と類似した反応条件下において8.00g(20mmol)のN−ヘキサデカノイルグルタミン酸α−メチル・エステルを使用して、N−ヘキサデカノイルグルタミン酸α−メチル・エステルγ−N−ヒドロキシサクシンイミド・エステルを調製した。
【0076】
収量:6.45g(65%)の白色物質、106.0℃(ピーク値)における融解をDSCによって測定した。
【0077】
実施例5 N−ヘキサデカノイルグルタミン酸γ−N−ヒドロキシサクシンイミド・エステルの調製
N−ヘキサデカノイルグルタミン酸α−ベンジル・エステルγ−N−ヒドロキシサクシンイミド・エステル(5.73g、10.0mmol)をアセトン(100ml)に20〜25℃にて溶解した。10%パラジウム含有カーボン・ペースト(乾燥物として約0.25g)を加えた。前記懸濁液を水素の消費がなくなるまで水素雰囲気下で撹拌した(水素290ml、45分間)。前記触媒をろ過によって除き、そして前記ろ液を20〜25℃にて減圧下の乾燥により蒸発させた。前記残渣を20〜25℃にてアセトン(25ml)に溶解し、そしてろ過によって不純物を除いた。ろ液に対しn−ヘプタン(200ml)を加えた。前記生成物懸濁液を20〜25℃にて1時間撹拌した。前記産物をろ過により分離し、n−ヘプタン(50ml×2)により洗浄し、そして40℃の減圧下において恒量まで乾燥した。
【0078】
収量:4.20g(87%)の白色物質、100.8℃(ピーク値)における融解をDSCによって測定した。
【0079】
アシル化されたGLP−1アナログの調製
実施例6 Arg34Lys26−[N−ε−(γ−Glu(N−ヘキサデカノイル))]−GLP−17−37の調製
Arg34−GLP−17−37(等電点沈澱させたペプチドの凍結物質5.0g、約0.15mmol)を水(25ml)に0〜5℃にて溶解した。前記溶液のpHを1.0M水酸化ナトリウム(2.25ml)の添加により12.5に調整した。2分後、N−メチル−2−ピロリドン(50ml)と1.0M酢酸(1.25ml)を温度を15℃に保ちながら加えた。トリエチルアミン(0.2ml)そして同時にN−ヘキサデカノイルグルタミン酸γ−N−ヒドロキシサクシンイミド・エステル(97.0mg、0.20mmol)を加えた。30分後15℃の水(50ml)を加え、そしてpHを1.0M酢酸(1.70ml)の添加により8.0に調整した。
【0080】
収量:分析用RP−HPLCにより前記反応混合物がArg34Lys26−[N−ε−(γ−Glu(N−ヘキサデカノイル))]−GLP−17−37を(エリアにおいて)77%含有することを示した。
【0081】
前記産物の最終精製はカラム・クロマトグラフィーによっておこなった。
【0082】
実施例7 Arg34Lys26−[N−ε−(γ−Glu−OMe(N−ヘキサデカノイル))]−GLP−17−37の調製
実施例6の記載と類似した反応条件下においてN−ヘキサデカノイルグルタミン酸α−メチル・エステルγ−N−ヒドロキシサクシンイミド・エステルを使用してArg34−LP−17−37をアシル化した。
【0083】
収量:分析用RP−HPLCにより前記反応混合物がArg34Lys26−[N−ε−(γ−Glu−OMe(N−ヘキサデカノイル))]−GLP−17−37を(エリアにおいて)64%含有することを示した。前記産物は1M酢酸を用いて前記反応混合物のpHを6.0に調整することによって沈澱として分離できた。あるいは前記反応混合物は次の実施例8に記載のとおり直ちに使用できる。
【0084】
実施例8 Arg34Lys26−[N−ε−(γ−Glu(N−ヘキサデカノイル))]−GLP−17−37の調製
実施例7において得られた産物を含む反応混合物を、1M水酸化ナトリウムを用いてpHを12〜13に調整することによって塩基性加水分解に供した。反応混合物の温度を8〜18℃に維持した。2時間後前記反応を完了し、そして前記反応混合物のpHを1M酢酸の添加により7.45に調整した。
【0085】
収量:分析用RP−HPLCにより前記反応混合物がArg34Lys26−[N−ε−(γ−Glu(N−ヘキサデカノイル))]−GLP−17−37を(エリアにおいて)65%含有することを示した。
【0086】
前記産物の最終精製はカラム・クロマトグラフィーによっておこなった。
【0087】
実施例9
以下の:
Arg26,34,Lys36−[N−ε−(γ−Glu(N−ヘキサデカノイル))]−GLP−17−36、Arg26,Lys34−[N−ε−(γ−Glu(N−ヘキサデカノイル))]−GLP−17−37、及びGly,Arg26,34,Glu37,Lys38−[N−ε−(γ−Glu(N−ヘキサデカノイル))]−GLP−17−38
の化合物は調製される実施例6の化合物に対するアナログであり、前記産物の最終精製はカラム・クロマトグラフィーによっておこなわれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N−アシル化ペプチド又はタンパク質を得るためのペプチド又はタンパク質のアミノ基のアシル化方法であって、以下のステップ:
(a)少なくとも1つの遊離アミノ基をもつペプチド又はタンパク質を以下の一般式(I):
【化1】

{式中、
nは0〜8であり;
はCOORであり;
は、0.1mg/水100ml〜250mg/水100mlの範囲における20℃の水に対する溶解度を有することによって特徴づけられる親油性部分であり;
は、Rがそれに付着されているところのカルボキシル基と一緒になって、カルボン酸基の形態に官能性をもたせたエステルであり、アミノ基のアシル化に用いられる、反応性エステル又は反応性N−ヒドロキシ・イミド・エステルを表し;そして
は水素、C1−12−アルキル、及びベンジルから選ばれる。}
により表されるアシル化剤と、塩基性条件下、非プロトン極性溶媒と水の混合物中で反応させ;及び
(b)Rが水素でない場合、塩基性条件下、上記のアシル化されたペプチド・エステル基(COOR)をケン化する;
を含み、ここで、前記ペプチド又はタンパク質は、Arg26−GLP−1(7−37);Arg34−GLP−1(7−37);Lys36−GLP−1(7−37);Arg26,34Lys36−GLP−1(7−37);Arg26,34Lys38GLP−1(7−38);Arg26,34Lys39−GLP−1(7−39);Arg26,34Lys40−GLP−1(7−40);Arg26Lys36−GLP−1(7−37);Arg34Lys36−GLP−1(7−37);Arg26Lys39−GLP−1(7−39);Arg34Lys40−GLP−1(7−40);Arg26,34Lys36,39−GLP−1(7−39);Arg26,34Lys36,40−GLP−1(7−40);GlyArg26−GLP−1(7−37);GlyArg34−GLP−1(7−37);GlyLys36−GLP−1(7−37);GlyArg26,34Lys36−GLP−1(7−37);GlyArg26,34Lys39−GLP−1(7−39);GlyArg26,34Lys40−GLP−1(7−40);GlyArg26Lys36−GLP−1(7−37);GlyArg34Lys36−GLP−1(7−37);GlyArg26Lys39−GLP−1(7−39);GlyArg34Lys40−GLP−1(7−40);GlyArg26,34Lys36,39−GLP−1(7−39);GlyArg26,34Lys36,40−GLP−1(7−40);Arg26,34Lys38GLP−1(7−38);Arg26,34Lys39GLP−1(7−39);Arg26,34Lys40GLP−1(7−40);Arg26,34Lys41GLP−1(7−41);Arg26,34Lys42GLP−1(7−42);Arg26,34Lys43GLP−1(7−43);Arg26,34Lys44GLP−1(7−44);Arg26,34Lys45GLP−1(7−45);Arg26,34Lys38GLP−1(1−38);Arg26,34Lys39GLP−1(1−39);Arg26,34Lys40GLP−1(1−40);Arg26,34Lys41GLP−1(1−41);Arg26,34Lys42GLP−1(1−42);Arg26,34Lys43GLP−1(1−43);Arg26,34Lys44GLP−1(1−44);Arg26,34Lys45GLP−1(1−45);Arg26,34Lys38GLP−1(2−38);Arg26,34Lys39GLP−1(2−39);Arg26,34Lys40GLP−1(2−40);Arg26,34Lys41GLP−1(2−41);Arg26,34Lys42GLP−1(2−42);Arg26,34Lys43GLP−1(2−43);Arg26,34Lys44GLP−1(2−44);Arg26,34Lys45GLP−1(2−45);Arg26,34Lys38GLP−1(3−38);Arg26,34Lys39GLP−1(3−39);Arg26,34Lys40GLP−1(3−40);Arg26,34Lys41GLP−1(3−41);Arg26,34Lys42GLP−1(3−42);Arg26,34Lys43GLP−1(3−43);Arg26,34Lys44GLP−1(3−44);Arg26,34Lys45GLP−1(3−45);Arg26,34Lys38GLP−1(4−38);Arg26,34Lys39GLP−1(4−39);Arg26,34Lys40GLP−1(4−40);Arg26,34Lys41GLP−1(4−41);Arg26,34Lys42GLP−1(4−42);Arg26,34Lys43GLP−1(4−43);Arg26,34Lys44GLP−1(4−44);Arg26,34Lys45GLP−1(4−45);Arg26,34Lys38GLP−1(5−38);Arg26,34Lys39GLP−1(5−39);Arg26,34Lys40GLP−1(5−40);Arg26,34Lys41GLP−1(5−41);Arg26,34Lys42GLP−1(5−42);Arg26,34Lys43GLP−1(5−43);Arg26,34Lys44GLP−1(5−44);Arg26,34Lys45GLP−1(5−45);Arg26,34Lys38GLP−1(6−38);Arg26,34Lys39GLP−1(6−39);Arg26,34Lys40GLP−1(6−40);Arg26,34Lys41GLP−1(6−41);Arg26,34Lys42GLP−1(6−42);Arg26,34Lys43GLP−1(6−43);Arg26,34Lys44GLP−1(6−44);Arg26,34Lys45GLP−1(6−45);Arg26Lys38GLP−1(1−38);Arg34Lys38GLP−1(1−38);Arg26,34Lys36,38GLP−1(1−38);Arg26Lys38GLP−1(7−38);Arg34Lys38GLP−1(7−38);Arg26,34Lys36,38GLP−1(7−38);Arg26,34Lys38GLP−1(7−38);Arg26Lys39GLP−1(1−39);Arg34Lys39GLP−1(1−39);Arg26,34Lys36,39GLP−1(1−39);Arg26Lys39GLP−1(7−39);Arg34Lys39GLP−1(7−39);Arg26,34Lys36,39GLP−1(7−39);Arg26−GLP−1(7−37),Arg34−GLP−1(7−37),Lys36−GLP−1(7−37),Arg26,34Lys36−GLP−1(7−37),Arg26Lys36−GLP−1(7−37),Arg34Lys36−GLP−1(7−37),GlyArg26−GLP−1(7−37),GlyArg34−GLP−1(7−37),GlyLys36−GLP−1(7−37),GlyArg26,34Lys36−GLP−1(7−37),GlyArg26Lys36−GLP−1(7−37);GlyArg34Lys36−GLP−1(7−37);Arg26Lys38−GLP−1(7−38),Arg26,34Lys38−GLP−1(7−38),Arg26,34Lys36,38−GLP−1(7−38),GlyArg26Lys38−GLP−1(7−38);GlyArg26,34Lys36,38−GLP−1(7−38);Gly,Arg26,34,Glu37,Lys38−GLP−1(7−38),Arg26Lys39−GLP−1(7−39),Arg26,34Lys36,39−GLP−1(7−39),GlyArg26Lys39−GLP−1(7−39);GlyArg26,34Lys36,39−GLP−1(7−39);Arg34Lys40−GLP−1(7−40),Arg26,34Lys36,40−GLP−1(7−40),GlyArg34Lys40−GLP−1(7−40)、及びGlyArg26,34Lys36,40−GLP−1(7−40)から選ばれる、前記方法。
【請求項2】
が水素である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
がC1−8−アルキル及びベンジルから選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
が、メチル、エチル、prop−1−イル、prop−2−イル、but−1−イル、but−2−イル、2−メチル−prop−1−イル、2−メチル−prop−2−イル(tert−butyl)、hex−1−イル、及びベンジルから選ばれる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
が、Rがそれに付着されているところのカルボキシル基と一緒になって、カルボン酸基の形態に一級アミンのアシル化に好適な官能性をもたせたエステルを表す、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
が、Rがそれに付着されているところのカルボキシル基と一緒になって、反応性エステルを表す、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記反応性エステルが、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・エステルである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
が、Rがそれに付着されているところのカルボキシル基と一緒になって、反応性N−ヒドロキシ・イミド・エステルを表す、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
N−ヒドロキシ・イミド・エステルのイミド部が、サクシンイミド(succinimide)又はフタルイミド(phthalimide)である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
非プロトン溶媒と水の混合物が1:5〜5:1のN−メチル−2−ピロリドンと水の混合物である、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
非プロトン極性溶媒が、無水テトラヒドロフラン(THF)、無水ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジオキサン、ジメチルアセトアミド、及びN−メチル−2−ピロリドン、並びにそれらの混合物から選ばれる、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
非プロトン極性溶媒が、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、及びN−メチル−2−ピロリドンから選ばれる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
非プロトン極性溶媒がN−メチル−2−ピロリドンである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(a)における前記反応混合物のpHが9〜13の範囲内である、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
ステップ(a)における前記反応混合物のpHが9.5〜12.5の範囲内である、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
ステップ(a)における前記反応混合物のpHが10〜12の範囲内である、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
ステップ(a)における前記反応混合物の温度が0〜50℃の範囲内である、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記アシル化されたペプチド・エステルが10〜14の範囲内のpH値においてケン化される、請求項1及び3〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
が、0.3mg/水100ml〜75mg/水100mlの範囲における20℃の水に対する溶解度を有することによって特徴づけられる、請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
がC3−39−アルキル、C3−39−アルケニル、C3−39−アルカジエニル、及びステロイド性残基から選ばれる、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
が、ヘプチル、ノニル、ウンデカニル、トリデカニル、ペンタデカニル、ヘプタデカニル、ノナデカニル、リトコロイル、デオキシコロイル、及びコロイルから選ばれる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
が、ヘプチル、ノニル、ウンデカニル、トリデカニル、ペンタデカニル、ヘプタデカニル、及びノナデカニルから選ばれる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
がC7−25−アルキルから選ばれる、請求項20に記載の方法。

【公開番号】特開2012−72143(P2012−72143A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223263(P2011−223263)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【分割の表示】特願2000−605550(P2000−605550)の分割
【原出願日】平成12年3月16日(2000.3.16)
【出願人】(509091848)ノヴォ ノルディスク アー/エス (42)
【Fターム(参考)】