説明

ペプチド及びペプチド関連化合物の高浸透性プロドラッグ組成物

提供されるのは、機能ユニットと、リンカーと、輸送ユニットを含む、ペプチド又はペプチド関連化合物の高浸透性組成物又は高浸透性プロドラッグである。機能ユニットは、リンカーを介して輸送ユニットに共有結合し、ペプチド又はペプチド関連化合物の部分を含む。輸送ユニットはプロトン化可能なアミン基を含む。リンカーは、組成物が生体バリアを横切って浸透した後、切断されることが可能である化学結合を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照

優先権申立
本出願は、参照によって本明細書に組み入れられる2009年5月8日に出願された米国特許出願第12/463,374号の一部継続出願であり、その優先権を主張する。本出願はまた、2009年5月8日に出願された中国特許出願第200910135997.0の優先権も主張する。
【0002】
技術分野
本発明は、1以上の生体バリアに浸透することが可能である医薬組成物の分野、及びペプチド又はペプチド関連化合物によって治療可能であるヒト及び動物における状態又は疾患を予防する、診断する及び/又は治療するために医薬組成物を使用する方法に関する。本発明はまた、新しい薬剤候補をスクリーニングするために医薬組成物を使用する方法及び生物対象における状態を診断するために医薬組成物を使用する方法にも関する。N末端からC末端までのペプチドのHPPs/HPCsの合成方法が開発されている。
【背景技術】
【0003】
ペプチドは、アミノ酸をアミド結合で連結することによって形成されるポリマーである。ペプチドは生体系で様々な役割を担う。たとえば、ペプチドホルモンは、生物対象における種々の生物過程を調節するホルモンの最大の群である。マウスに注射した1ナノグラムのチロトロピン放出ホルモンは、血液からの甲状腺へのヨウ素の取り込みを高める(R.L. Kisliuk, Principles of Medicinal Chemistry, 4th Ed., W.O. Foye, et al. Eds., Williams & Wilkins, 4th Ed. 1995, p. 606)。ツフトシン(Thr−Lys−Pro−Arg)は貪食作用を刺激し、抗体依存性の細胞傷害性を促進する(V.A. Najjar, Mol. Cell. Biochem. 41, 1, 1981)。脳及び小腸から単離されたMet−エンケファリン(Tyr−Gly−Gly−Phe−Met)は、同一受容体に結合し、鎮痛活性を有するという点でモルヒネのように作用する(J.R.Jaffe and W.R. Martin, in Pharmacological Basis of Therapeutics, A.G. Gilman, et al., Eds., New York, Pergamon Press, 1990, p. 481)。ペプチドホルモンのそのほかの例には、限定しないで、オキシトシン(Pierce et al., J. Biol. Chem. 199, 929, 1952)、バゾプレッシン(Kamm et al., J. Am. Chem. Soc. 50, 573, 1928)、アンギオテンシン(J.C. Garrison and M.J. Peach, in Pharmacological Basis of Therapeutics, A.G. Gilman, et al., Eds., New York, Pergamon Press, 1990, p. 749)、ガストリン(P.C. Emson and B.E.B. Sandberg, Annu, Rep. Med. Chem., 18, 31, 1983)、ソマトスタチン(A.V. Schally, et al., Annu. Rev. Biochem., 47, 89, 1978)、ダイノルフィン(M.G. Weisskopf, et al., Nature, 362, 423, 1993)、エンドセリン(A.M. Doherty, J. Med. Chem., 35, 1493, 1992)、セクレチン(E. Jorper, Gastroenterology, 55, 157, 1968)、カルシトニン(M.V.L. Ray, et al., Biotechnology, 11, 64, 1993)、インスリン(F. Sanger, Br. Med. Bull., 16, 183, 1960)、及びコンピタンス刺激ペプチド(CSP)が挙げられる。
【0004】
ペプチドの別の群は、多種多様な生物における自然免疫に参画することが見い出されている抗菌ペプチドである(Reddy et al. 2004)。これらのペプチド及びそのほかは、特に従来の抗生物質に耐性になっている細菌株に対して有効であることが多いので、感染を治療するのに有用である可能性が高いために多くの関心を引き付けている。抗菌ペプチドの周知の部類の1つは、タキプレシンである。抗菌ペプチドの別の部類はヒスタチンペプチド及びその誘導体である。抗菌ペプチドの別の部類は、肝臓で発現される抗菌ペプチドに対してLEAP−1とも呼ばれるヘプシジンである。
【0005】
ペプチドの別の群は、石灰化した表面に特異的に結合するカルシウム結合ペプチドである。カルシウム結合ペプチドの一例は、3つのアミノ酸の反復配列(X−Y−Z)nを含み、式中、Xはアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン又はグルタミンであり、Y及びZはアラニン、セリン、スレオニン、ホスホセリン又はホスホスレオニンであり、nは1〜40の数である。
【0006】
残念ながら、ペプチド及びペプチド関連化合物は、タンパク質分解酵素によって急速にタンパク分解される。ペプチド及びペプチド関連化合物を経口で服用した場合、それらは数分でタンパク分解を受ける。ペプチド及びペプチド関連化合物のそのほかの全身性投与は痛みを伴い、多くの場合、慢性状態を治療するのに頻繁で費用のかかる来院を必要とする。
【0007】
従って、状態を防ぐ、軽減する又は治療すると共に、有害な副作用をできるだけ抑えるために、状態(たとえば、疾患)の作用部位に効率的に且つ効果的に送達することが可能である新規組成物について当該技術ではニーズが存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の態様の1つは、リンカーを介して輸送ユニットに共有結合する機能ユニットを含む高浸透性プロドラッグ(HPP)又は高浸透性組成物(HPC)を指向する。用語「HPP」及び「HPC」は本明細書では、単独で使用され、又は一緒に使用され、特に言及されない限り相互交換可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
特定の実施形態では、HPP又はHPCの機能ユニットは剤の部分を含み、その際、生物対象への剤の効率的な且つ効果的な送達及び/又は1以上の生体バリアを横切る剤の輸送が所望される。
【0010】
特定の実施形態では、機能ユニットは、親水性、親油性又は両親媒性(すなわち、親水性で且つ親油性)であってもよい。たとえば、機能ユニットの親油性の性質は、固有であってもよいし、機能ユニットの親水性部分を親油性部分に変換することによって達成されてもよい。
【0011】
特定の実施形態では、HPP又はHPCの機能ユニットはペプチド又はペプチド関連化合物の部分を含む。ペプチド関連化合物は、ペプチド構造、ペプチド代謝体、又はHPP若しくはHPCが1以上の生体バリアに浸透した後、ペプチド又はペプチド代謝体に代謝され得る剤を含む化合物である。ペプチド関連化合物はさらに、ペプチド若しくはペプチド代謝体の類似体若しくは模倣体、又はHPP若しくはHPCが1以上の生体バリアに浸透した後、ペプチド若しくはペプチド代謝体の類似体若しくは模倣体に代謝され得る剤である化合物を含む。ペプチドの例には、ペプチドホルモン(たとえば、チロトロピン放出ホルモン、ツフトシン(Thr−Lys−Pro−Arg)、Met−エンケファリン(Tyr−Gly−Gly−Phe−Met)、オキシトシン、アンギオテンシン、ガストリン、ソマトスタチン、ダイノルフィン、エンドセリン、セクレチン、カルシトニン及びインスリン)、エンテロスタチン(たとえば、Val−Pro−Asp−Pro−Arg(VPDPR)、Val−Pro−Gly−Pro−Arg(VPGPR)及びAla−Pro−Gly−Pro−Arg(APGPR))、メラノコルチンII(シクロ(1,6)−Ac−Nle−Asp−His−Phe−Arg−Trp−Lys−OH)、オピオイドペプチド(たとえば、Met−エンケファリン(H−Tyr−Gly−Gly−Phe−Met−OH)、Leu−エンケファリン(H−Tyr−Gly−Gly−Phe−Leu−OH)、H−Tyr−D−Ala−Gly−N−Me−Phe−Met(O)−OL及びH−Tyr−D−Ala−Gly−Phe−Leu−OH)、神経ペプチド、アルカロイド、抗炎症性ペプチド、抗菌ペプチド(たとえば、コンピタンス刺激ペプチド、タキプレシン、ヒスタチンペプチド及びその誘導体)、カルシウム結合ペプチド、調節ペプチド、ペプチドワクチン、及びペプチド模倣体(たとえば、α−螺旋模倣体及びβ−シート模倣体)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0012】
特定の実施形態では、HPP又はHPCの輸送ユニットは、1以上の生体バリアを介してHPP又はHPCの輸送又は横断を円滑にする又は高めることが可能であるプロトン化可能なアミン基を含む。特定の実施形態では、プロトン化可能なアミン基は、それを介してHPP又はHPCが浸透する生体バリアのpHにて実質的にプロトン化される。特定の実施形態では、アミン基は可逆的にプロトン化又は脱プロトン化することができる。
【0013】
特定の実施形態では、リンカーは、HPP又はHPCの輸送ユニットに機能ユニットを共有結合し、HPP又はHPCが1以上の生体バリアを横切って浸透した後、切断され得る結合を含む。切断可能な結合には、たとえば、共有結合、エーテル結合、チオエーテル結合、アミド結合、エステル結合、チオエステル結合、炭酸結合、カルバミン酸結合、リン酸結合、又はオキシム結合が含まれる。
【0014】
本発明の別の態様は、ペプチド又はペプチド関連化合物の少なくとも1つのHPP又はHPCと、薬学上許容可能なキャリアを含む医薬組成物に関する。
【0015】
本発明の別の態様は、ペプチド又はペプチド関連化合物のHPP又はHPCを用いて生体バリアに浸透する方法に関する。
【0016】
本発明の別の態様は、ペプチド又はペプチド関連化合物のHPP又はHPCを用いることによって、生物対象における状態の発症、進展又は寛解を診断する方法に関する。特定の実施形態では、HPP(若しくはHPC)又はその機能ユニットが検出可能である。特定の実施形態では、HPP/HPC又はHPP/HPCの機能ユニットが固有に検出可能である、又は検出可能なマーカーで標識される、若しくはそれに抱合される。
【0017】
本発明の別の態様は、所望の特性について機能ユニット、リンカー又は輸送ユニットをスクリーニングする方法に関する。
【0018】
本発明の別の態様は、本発明に係る組成物を対象に投与することによって生物対象における状態を予防する、改善する又は治療する方法に関する。特定の実施形態では、方法は、治療上有効な量のペプチドHPP/HPC又はその医薬組成物を対象に投与することによってペプチド又はペプチド関連化合物により治療可能な対象における状態を治療することに関する。特定の実施形態では、方法によって治療可能な状態には、限定しないで、疼痛、外傷、炎症関連の状態、微生物関連の状態、神経ペプチド関連の状態、ホルモン関連の状態、腫瘍、異常な血圧、肥満、脳の傷害、アレルギー、男性及び女性の性的不能、転移、及びそのほかの、ツフトシン、分娩前、分娩後、抗AD活性、抗利尿活性、カルシウム恒常性、メラニン形成細胞、ホルモン放出、血小板凝集、CNSの活動、及び貪食作用に関連する状態が挙げられる。
【0019】
特定の実施形態では、HPP/HPCの医薬組成物は、経口の、腸管の、頬内の、鼻内の、局所の、直腸の、膣内の、エアゾールの、経粘膜の、表皮の、経皮の、皮内の、眼内の、肺内の、皮下の及び/又は非経口の経路を含むが、これらに限定されない種々の経路を介して生物対象に投与される。特に好ましい実施形態では、HPPの医薬組成物は経口で、経皮で、局所で、皮下で及び/又は非経口で投与される。
【発明の効果】
【0020】
本発明の利点によれば、特定のメカニズムに限定されることを意図しないで、高い濃度で低い投与量にて治療上有効な量のHPP又はHPCを状態の部位に局所的に投与することができる。本発明の利点には、たとえば、全身性投与の回避、有害効果(たとえば、注射の痛み、消化管/直腸への影響、及びそのほかの副作用)の軽減、及びHPP、HPC又は活性剤の高い局所濃度による新規治療の可能性も挙げられる。利点にはさらに、たとえば、さらに速い及びさらに効率的な生体利用効率を達成するための生物対象へのHPP又はHPCの全身性投与、横断するのが困難だった生体バリア(たとえば、脳血管関門)への浸透、及び生体バリアを通過した結果としての新しい適応が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】構造2、構造3、構造4、構造5、構造6、構造7、構造8、構造9、構造10、構造11、構造12、構造13、構造14、構造15、構造16、構造17、構造18、構造19、構造20、構造21、構造22、構造23、構造24、構造25、構造26、構造27、構造28、構造37、構造38、構造39、構造40、構造41、構造42、構造43、構造44、構造45、構造46、構造47、構造48、構造49、構造50、構造51、構造52、構造53、構造54、構造55、構造56、構造57、構造58、構造59、構造60、構造61、構造62、構造63、構造64、構造65、構造66、構造67、構造68、構造69、構造70、構造71、構造72、構造73、構造74、構造75、構造76、構造77、構造78、構造79、構造80、構造81、構造82、構造83、構造84、構造85、構造86、構造87、構造88、構造89、構造90、構造91、構造92、構造93、構造94、構造95、構造96、構造97、構造98、構造99、構造100、構造101、構造102、構造103、構造104、構造105、構造106、構造107、構造108、構造109、構造110、構造111、構造112、構造113、構造114、構造115、構造116、構造117、構造118、構造119、構造120、構造121、構造122、構造123、構造124、構造125、構造126、構造127、構造128、構造137、構造138、構造139、構造140、構造141、構造142、構造143、構造144、構造145、構造146、構造147、構造148、構造149、構造150、構造151、構造152、構造153、構造154、構造155、構造156、構造157、構造158、構造159、構造160、構造161、構造162、構造163、構造164、構造165、構造166、構造167、構造168、構造169、構造170、構造171、構造172、構造173、構造174、構造175、構造176、構造177、構造178、構造179、構造180、構造181、構造182、構造183、構造184、構造185、構造186、構造187、構造188、構造189、構造190、構造191、構造192、構造193、構造194、構造195、構造196、構造197、構造198、構造199、構造200、構造201、構造202、構造203、構造204、構造205、構造206、構造207、構造208、構造209、構造210、構造211、構造212、構造213、構造214、構造215、構造216、構造217、構造218、構造219、構造220、構造221、構造222、構造223、構造224、構造225、構造226、構造227、構造228、構造237、構造238、構造239、構造240、構造241、構造242、構造243、構造244、構造245、構造246、構造247、構造248、構造249、構造250、構造251、構造252、構造253、構造254、構造255、構造256、構造257、構造258、構造259、構造260、構造261、構造262、構造263、構造264、構造265、構造266、構造267、構造268、構造269、構造270、構造271、構造272、構造273、構造274、構造275、構造276、構造277、構造278、構造279、構造280、構造281、構造282、構造283、構造284、構造285、構造286、構造287、構造288、構造289、構造290、構造291、構造292、構造293、構造294、構造295、構造296、構造297、構造298、構造299、構造300、構造301、構造302、構造303、構造304、構造305、構造306、構造307、構造308、構造309、構造310、構造311、構造312、構造313、構造314、構造315、構造316、構造317、構造318、構造319、構造320、構造321、構造322、構造323、構造324、構造325、構造326、構造327、構造328、構造337、構造338、構造339、構造340、構造341、構造342、構造343、構造344及び構造345の構造を示す図である。
【図2】Franzセル(n=5)における単離したヒト皮膚組織を横断するAc−Tyr(Ac)−Gly−Gly−Phe−Met−OCH2CH2N(CH2CH32・HCl、HCl・(CH32NCH2CH2CH2CO−Tyr(Ac)−Gly−Gly−Phe−Met−OCH2CH2CH2CH3、シクロ(1,6)−Ac−Nle−Asp−His−Phe−Arg(diAc)−Trp−Lys−OCH2CH2N(CH2CH32・HCl、シクロ(1,6)−H−Nle−Asp−His−D−Phe(4−I)−Arg(Ac)−Trp−Lys−NH2・HCl、シクロ(1,6)−H−Nle−Asp−His−D−Ala(2−ナフチル)−Arg(NO2)−Trp−Lys−NH2・HCl、Ac−Val−Pro−Gly−Pro−Arg(diAc)−OCH2CH2N(CH2CH32・HCl、Ac−Tyr−Gly−Gly−Phe−Met−OH、シクロ(1,6)−Ac−Nle−Asp−His−Phe−Arg−Trp−Lys−OH、シクロ(1,6)−Ac−Nle−Asp−His−D−Phe(4−I)−Arg−Trp−Lys−NH2及びH−Val−Pro−Gly−Pro−Arg−OHの累積量を示す図である。各場合、ビヒクルはpH7.4のリン酸緩衝液(0.2M)だった。
【発明を実施するための形態】
【0022】
I.ペプチド又はペプチド関連化合物の高浸透性プロドラッグ(HPP)又は高浸透性組成物(HPC)の構造
【0023】
本発明の態様の1つは、高浸透性プロドラッグ(HPP)又は高浸透性組成物(HPC)を指向する。用語「高浸透性プロドラッグ」若しくは「HPP」又は「高浸透性組成物」若しくは「HPC」は本明細書で使用されるとき、リンカーを介して輸送ユニットに共有結合される機能ユニットを含む組成物を指す。
【0024】
親薬剤の部分を含むHPP/HPCの機能ユニットは、1)親薬剤又はHPP/HPCの生物対象への送達及び/又は生体バリアを横切る親薬剤の輸送が望ましい;2)HPP/HPCは生体バリアに浸透する又はそれを横断することが可能である;及び3)HPP/HPCは親薬剤の部分を親薬剤又は親薬剤の代謝体に変えるように切断され得るという特性を有する。
【0025】
特定の実施形態では、機能ユニットは、親水性、親油性又は両親媒性(すなわち、親水性で且つ親油性)であってもよい。機能ユニットの親油性部分は、固有であってもよいし、機能ユニットの親水性部分を親油性部分に変換することによって達成されてもよい。たとえば、機能ユニットの親油性部分は、有機合成を介して機能ユニットの1以上の親水性基を親油性基に変換することによって作出される。親水性基の例には、限定しないで、カルボキシル基、ヒドロキシル基、チオール基、アミン基、ホスフェート/ホスホネート基及びカルボニル基が挙げられる。これら親水性基の修飾を介して作出される親油性部分には、限定しないで、エーテル、チオエーテル、エステル、チオエステル、カーボネート、カルバメート、アミド、ホスフェート及びオキシムが挙げられる。特定の実施形態では、機能ユニットはアシル化によって親油化される。特定の実施形態では、機能ユニットはエステル化によって親油化される。
【0026】
特定の実施形態では、HPP又はHPCの親薬剤は、ペプチド及びペプチド関連化合物から成る群から選択される。ペプチド及びペプチド関連化合物の部分は上述のようにさらに親油性部分に変換することができる。本明細書で使用されるとき、用語「ペプチドHPP/HPC」は、ペプチド及びペプチド関連化合物のHPP又はHPCを指す。本明細書で使用されるとき、用語「ペプチドHPPs/HPCs」は、ペプチド及びペプチド関連化合物のHPPs又はHPCsを指す。
【0027】
ペプチドは当該技術で周知であり、種々の条件を併せて使用される。本明細書で使用されるとき、ペプチドは、アミノ酸の配列を指し、配列の長さは約2〜約50のアミノ酸である。たとえば、ペプチドは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30以上のアミノ酸を構成してもよい。ペプチドはD−アミノ酸及び/又はL−アミノ酸の双方を含んでもよい。
【0028】
アミノ酸は、アミン官能基とカルボキシル官能基の双方を含む化合物である。カルボキシル官能基のカルボニル基の隣の炭素原子はアルファ炭素と呼ばれる。アルファ炭素に結合する側鎖を持つアミノ酸をアルファアミノ酸と言う。アミノ基とアルファ炭素に連結される炭素鎖を有するアミノ酸では、カルボニル炭素からアルファ、ベータ、ガンマなどの順で炭素が標識される。ベータ又はガンマの炭素に連結されたアミノ基を有するアミノ酸はそれぞれ、ベータアミノ酸又はガンマアミノ酸などと呼ばれる。
【0029】
アルファアミノ酸は、同一の炭素(アルファ炭素)に結合したアミノ基とカルボキシル基を有するアミノ酸である。アルファ炭素はカルボン酸基から離れた1原子である。アルファアミノ酸は構造1:
2NCHR’COOH(構造1)
の構造を有し、
その立体異性体及び薬学上許容可能なその塩を含み、式中、R’は、置換及び非置換のイミダゾリル基、置換及び非置換のキアニジノ基、置換及び非置換のカルボキシル基、置換及び非置換のカルボキサミド基、置換及び非置換のアルキル基、置換及び非置換のシクロアルキル基、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル基、置換及び非置換のアルコキシ基、置換及び非置換のアルキルチオ基、置換及び非置換のアルキルアミノ基、置換及び非置換のアルキルカルボニル基、置換及び非置換のパーフルオロアルキル基、置換及び非置換のアルキルハライド基、置換及び非置換のアリール基、並びに置換及び非置換のヘテロアリール基から成る群から選択される。
【0030】
特定の実施形態では、アミノ酸は構造1を有し、その立体異性体及び薬学上許容可能なその塩を含み、式中、R’は、H−、CH3、HN=C(NH2)−NH−(CH23−、H2N−CO−CH2−、HOOC−CH2−、HS−CH2−、H2N−CO−(CH22−、HS−(CH22−、HOOC−(CH22−、CH3−CH2−CH(CH3)−、(CH32CH−CH2−、H2N−(CH24−、CH3−S−(CH22−、Phenyl−CH2−、HO−CH2−、CH3−CH(OH)−、4−OH−Phenyl−CH2−、CH3−CH(CH3)、
【化1】

【化2】

【化3】

及びそれらの誘導体から成る群から選択される。
【0031】
アルファアミノ酸の例には、限定しないで、アラニン(Ala)、アルギニン(Arg)、アスパラギン(Asn)、アスパラギン酸(Asp)、システイン(Cys)、グルタミン酸(Glu)、グルタミン(Gln)、グリシン(Gly)、ヒスチジン(His)、ホモシステイン(Hcy)、ホモセリン(Hse)、イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、リジン(Lys)、メチオニン(Met)、ノルロイシン(Nle)、ノルバリン(Nva)、オルニチン(Orn)、ペニシルアミン(Pen)、フェニルアラニン(Phe)、プロリン(Pro)、セリン(Ser)、チロシン(Thr)、スレオニン(Trp)、トリプトファン(Tyr)、バリン(Val)、ピログルタミン酸(pGLU)、ジニトロベンジル化リジン(dnp−LYS)、リン酸化スレオニン(pTHR)、リン酸化セリン(pSER)、リン酸化チロシン(pTYR)、シトルリン(CIT)、N−メチル化アラニン(nme−ALA)、N−メチル化イソロイシン(nme−ILE)、N−メチル化ロイシン(nme−LEU)、N−メチル化フェニルアラニン(nme−PHE)、N−メチル化バリン(nme−VAL)、N−メチル化セリン(nme−SER)、N−メチル化スレオニン(nme−THR)、N−メチル化チロシン(nme−TYR)、アルファアミノ−酪酸(アルファ−ABA)、イソアスパラギン酸(イソ−ASP)、アセチル化リジン(Ac−LYS)、2−メチルアラニン(2−Me−ALA)、及びオキサミン酸(OXA)が挙げられる。
【0032】
ベータアミノ酸は、カルボン酸基から2番目に離れているベータ炭素に結合したアミノ基を有するアミノ酸である。ベータアミノ酸の例には、限定しないで、ベータ−アラニン(β−Ala)、ベータ−アルギニン(β−Arg)、ベータ−アスパラギン(β−Asn)、ベータ−アスパラギン酸(β−Asp)、ベータ−システイン(β−Cys)、ベータ−グルタミン酸(β−Glu)、ベータ−グルタミン(β−Gln)、ベータ−ヒスチジン(β−His)、ベータ−イソロイシン(β−Ile)、ベータ−ロイシン(β−Leu)、ベータ−リジン(β−Lys)、ベータ−メチオニン(β−Met)、ベータ−フェニルアラニン(β−Phe)、ベータ−プロリン(β−Pro)、ベータ−セリン(β−Ser)、ベータ−チロシン(β−Thr)、ベータ−スレオニン(β−Trp)、ベータ−トリプトファン(β−Tyr)及びベータ−バリン(β−Val)が挙げられる。
【0033】
ガンマアミノ酸は、カルボン酸基から3番目に離れているガンマ炭素に結合したアミノ基を有するアミノ酸である。ガンマアミノ酸の例には、限定しないで、ガンマ−グルタミン酸(γ−GLU)が挙げられる。
【0034】
ペプチド関連化合物は、ペプチド構造、ペプチド代謝体、又はペプチドHPP/HPCが1以上の生体バリアに浸透した後、ペプチド若しくはペプチド代謝体に代謝され得る剤を含む化合物である。ペプチド関連化合物はさらに、ペプチド若しくはペプチド代謝体の類似体若しくは模倣体、又はHPP若しくはHPCが1以上の生体バリアに浸透した後、ペプチド若しくはペプチド代謝体の類似体若しくは模倣体に代謝され得る剤である化合物を含む。
【0035】
ペプチド及びペプチド関連化合物の例には、ペプチドホルモン、神経ペプチド、アルカロイド、抗菌ペプチド、抗炎症性ペプチド、ペプチド毒素、調節ペプチド、カルシウム結合ペプチド、ペプチドワクチン及びペプチド模倣体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
ペプチドホルモンは、生きている動物で内分泌機能を有するペプチドの部類である。ペプチドホルモンはまた、細胞間コミュニケーション及び植物防御での重要な役割と共に植物でも特定される。ペプチドホルモンは、種々の臓器及び組織、たとえば、心臓(動脈−ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、動脈−ナトリウム利尿因子(ANF)、膵臓(たとえば、インスリン、エンテロスタチン、ソマトスタチン)、消化管(コレシストキニン、ガストリン(たとえば、ガストリン−34、ガストリン−17及びガストリン−14)、オピオイドペプチド(たとえば、Met−エンケファリン、Leu−エンケファリン、H−Tyr−D−Ala−Gly−N−Me−Phe−Met(O)−OL及びH−Tyr−D−Ala−Gly−Phe−Leu−OH)、コレシストキニン、セクレチン、モチリン、血管作用性腸管ペプチド及びエンテログルカゴン)、脂肪組織貯蔵(たとえば、レプチン)、下垂体(たとえば、黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモン、プロラクチン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、成長ホルモン、抗利尿ホルモン、オキシトシン、メラノコルチン、(たとえば、メラノコルチンII))、甲状腺(たとえば、カルシトニン)、脾臓(たとえば、ツフトシン)、脳(たとえば、オキシトシン、ダイノルフィン)、肝臓(たとえば、アンギオテンシン、アンギオテンシンI及びアンギオテンシンII)、内皮(たとえば、エンドセリン)によって産生される。ペプチドホルモンのその他の例には、限定しないで、甲状腺刺激ホルモン(TRH)及びブラジキニンが挙げられる。
【0037】
神経ペプチドは、調節性過程及びシグナル伝達過程に関与する神経組織で見い出されるペプチドである。神経ペプチドの例には、限定しないで、神経伝達物質(たとえば、N−アセチルアスパルチルグルタミン酸、ガストリン、コレシストキニン、神経ペプチドY、バゾプレッシン、オキシトシン、セクレチン、サブスタンスP、ソマトスタチン、血管作用性腸管ペプチド(VIP)、オピオイド(たとえば、エンケファリン、ダイノルフィン、エンドルフィン)、ガラチン、ニューロテンシン、TRH、動脈−ナトリウム利尿ペプチドが挙げられる。
【0038】
アルカロイドは普通、植物、真菌及び、貝のような一部の動物に由来するペプチドである。アルカロイドは、他方の生物による消費から一方の生物を防御することに関与する。アルカロイドの例には、限定しないで、エルゴタミン、パンダミン、ダイノルフィンA−(1−8)−オクタペプチド、N−β−D−Leu−D−Arg−D−Arg−D−Leu−D−Phe)−ナルトレキサミンが挙げられる。
【0039】
抗菌ペプチドは、細菌細胞、真菌及び原虫のような微生物の増殖を阻害するペプチドである。抗菌ペプチドの例には、限定しないで、バシトラシン、グラミシジン、バリノミシン、コンペテンス刺激ペプチド、タキプレシン、ヒスタチンペプチド及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0040】
抗炎症性ペプチドの例は、配列番号47、配列番号48、及び配列番号49(表A)の配列を有するペプチドである。
【0041】
ペプチド毒素は、毒性であるペプチドである。ペプチド毒素の例は、パルトキシン、アガトキシン及びカルタトキシンである。
【0042】
調節ペプチドは、生物対象にて1以上の過程を調節するペプチドである。調節ペプチドの例には、限定しないで、アンセリン及びカルモシンが挙げられる。
【0043】
ペプチド及びペプチド関連化合物のそのほかの例には、カルシウム結合ペプチド、ペプチドワクチン[p45(IEIGLEGKGFEPTLE ALFGK)及びp210(KTTKQSFDLS VKAQY KKNKH)]及びペプチド模倣体(たとえば、α−螺旋模倣体及びβ−シート模倣体)が挙げられる。
【0044】
特定の実施形態では、ペプチドHPP/HPCの機能ユニットは、構造F−1
【化4】

構造F−1
の構造を有する部分を含み、その立体異性体及び薬学上許容可能なその塩を含み、式中、
各A1〜Amは独立して2−ナフチルアラニン、置換及び非置換のアルキル、置換及び非置換のシクロアルキル、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル、置換及び非置換のアルコキシ、置換及び非置換のアルケニル、置換及び非置換のアルキニル、置換及び非置換のアリール、置換及び非置換のヘテロアリールの残基、及び構造A:
【化5】

構造A
から成る群から選択され;
1〜Amのpは独立して選択される整数であり;
各A1〜Am、ZNT、ZCT-1及びZCT-2についての各A1〜Amの各炭素におけるZA-1は独立して、H、CH3、C25、37、CF3、C25、C37、置換及び非置換のアルキル、置換及び非置換のパーフルオロアルキル、並びに置換及び非置換のアルキルハライドから成る群から選択され;
各A1〜Am、RNT及びRCTの各炭素におけるRAは、H、置換及び非置換のイミダゾリル、置換及び非置換のグアニジノ、置換及び非置換のカルボキシル、置換及び非置換のカルボキサミド、置換及び非置換のアルキル、置換及び非置換のシクロアルキル、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル、置換及び非置換のアルコキシ、置換及び非置換のアルキルチオ、置換及び非置換のアルキルアミノ、置換及び非置換のアルキルカルボニル、置換及び非置換のパーフルオロアルキル、置換及び非置換のアルキルハライド、置換及び非置換のアリール、並びに置換及び非置換のヘテロアリールの基から成る群から選択され;
1〜Amのpが2未満の整数である場合、各炭素上のRAは、同一であっても、異なっていてもよく、各炭素上のZA-1は同一であっても、異なっていてもよく;
ペプチド鎖におけるアミノ官能基及びカルボキシ官能基はさらにラクタム架橋を形成してもよく;
チオール基はさらにジスルフィド架橋を形成してもよい。
【0045】
特定の実施形態では、ペプチドHPP/HPCの機能ユニットは、上記で定義されたような構造F−1から成る群から選択される構造を有する部分を含み、その立体異性体及び薬学上許容可能なその塩を含み、式中、A1〜AmのRAは、アシル化又はエステル化によってさら親油化されてもよい。
【0046】
特定の実施形態では、ペプチドHPP/HPCの機能ユニットは、上記で定義されたような構造F−1から成る群から選択される構造を有する部分を含み、その立体異性体及び薬学上許容可能なその塩を含み、式中、mは0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12・・・・及び100から成る群から選択される。
【0047】
特定の実施形態では、ペプチドHPP/HPCの機能ユニットは、上記で定義されたような構造F−1を有する部分を含み、その立体異性体及び薬学上許容可能なその塩を含み、式中、pは1、2又は3である。
【0048】
特定の実施形態では、ペプチドHPP/HPCの機能ユニットは、上記で定義されたような構造F−1を有する部分を含み、その立体異性体及び薬学上許容可能なその塩を含み、式中、
pは1、2又は3であり;
各A1〜Am、ZNT、ZCT-1及びZCT-2についての各A1〜Am、ZA-2の各炭素におけるZA-1は独立して、H、CH3、C25、37、CF3、C25、C37、置換及び非置換のアルキル、置換及び非置換のパーフルオロアルキル、並びに置換及び非置換のアルキルハライドから成る群から選択され;
各A1〜Am、RNT及びRCTの各炭素におけるRAは、H、置換及び非置換のイミダゾリル、置換及び非置換のグアニジノ、置換及び非置換のカルボキシル、置換及び非置換のカルボキサミド、置換及び非置換のアルキル、置換及び非置換のシクロアルキル、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル、置換及び非置換のアルコキシ、置換及び非置換のアルキルチオ、置換及び非置換のアルキルアミノ、置換及び非置換のアルキルカルボニル、置換及び非置換のパーフルオロアルキル、置換及び非置換のアルキルハライド、置換及び非置換のアリール、並びに置換及び非置換のヘテロアリールの基から成る群から選択され;
1〜Amのpが2未満の整数である場合、各炭素上のRAは、同一であっても、異なっていてもよく、各炭素上のZA-1は同一であっても、異なっていてもよく;
ペプチド鎖におけるアミノ官能基及びカルボキシ官能基はさらにラクタム架橋を形成してもよく;
チオール基はさらにジスルフィド架橋を形成してもよい。
【0049】
本明細書で使用されるとき、用語「薬学上許容可能な塩」は、対象における適用に安全である本発明の化合物の塩を意味する。薬学上許容可能な塩には、本発明の化合物に存在する酸性基又は塩基性基の塩が挙げられる。薬学上許容可能な酸付加塩には、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲニスチン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、糖酸塩、蟻酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、及びパモ酸塩(すなわち、1,11−メチレン−ビス−(3−ヒドロキシ−3−ナフトエート)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の特定の化合物は種々のアミノ酸との薬学上許容可能な塩を形成することができる。好適な塩基塩には、アルミニウム塩、カルシウム塩、リチウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩及びジエタノールアミン塩が挙げられるが、これらに限定されない。薬学上許容可能な塩に関する概説については、参照によって本明細書に組み入れられるBERGEら、66 J.PHARM.SCI.1−19(1977)を参照のこと。
【0050】
本明細書で使用されるとき、特に特定されない限り、用語「アルキル」は、分枝鎖又は非分枝鎖の、飽和又は不飽和の、一価又は多価の炭化水素基を意味し、飽和のアルキル基、アルケニル基及びアルキニル基を含む。アルキルの例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、エテニル、プロペニル、ブテニル、イソブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、イソブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、デシニル、ウンデシニル、ドデシニル、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、t−ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、及びドデシレンが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、炭化水素基は1〜30の炭素を含有する。特定の実施形態では、炭化水素基は1〜20の炭素を含有する。特定の実施形態では、炭化水素基は1〜12の炭素を含有する。
【0051】
本明細書で使用されるとき、特に特定されない限り、用語「シクロアルキル」は、少なくとも1つの環を含有し、芳香族環を含有しないアルキルを意味する。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル及びシクロドデシルが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、炭化水素鎖は1〜30の炭素を含有する。特定の実施形態では、炭化水素基は1〜20の炭素を含有する。特定の実施形態では、炭化水素基は1〜12の炭素を含有する。
【0052】
本明細書で使用されるとき、特に特定されない限り、用語「ヘテロシクロアルキル」は、環原子の少なくとも1つが非炭素原子であるシクロアルキルを意味する。非炭素環原子の例には、S、O及びNが挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
本明細書で使用されるとき、特に特定されない限り、用語「アルコキシ」は、1以上の酸素原子を含有するアルキル、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルを意味する。アルコキシの例には、−CH2−OH、−OCH3、−O−アルキル、−アルキル−OH、−アルキル−O−アルキル−が挙げられるが、これらに限定されず、式中、2つのアルキルは同一であることができ、又は異なっていることができる。
【0054】
本明細書で使用されるとき、特に特定されない限り、用語「アルキルハライド」は、1以上のハロゲン原子を含有するアルキル、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルを意味し、式中、ハロゲン原子は同一であることができ、又は異なっていることができる。用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。アルキルハライドの例には、−アルキル−F、−アルキル−Cl、−アルキル−Br、−アルキル−I、−アルキル(F)−、−アルキル(Cl)−、−アルキル(Br)−、及び−アルキル(I)−が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
本明細書で使用されるとき、特に特定されない限り、用語「アルキルチオ」は、1以上のイオウ原子を含有するアルキル、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルを意味する。アルキルチオの例には、−CH2−SH、−SCH3、−S−アルキル、−アルキル−SH、−アルキル−S−アルキル−が挙げられるが、これらに限定されず、式中、2つのアルキルは同一であることができ、又は異なっていることができる。
【0056】
本明細書で使用されるとき、特に特定されない限り、用語「アルキルアミノ」は、1以上の窒素原子を含有するアルキル、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルを意味する。アルキルアミノの例には、−CH2−NH、−NCH3、−N(アルキル)−アルキル−、N−アルキル−、−アルキル−NH2、−アルキル−N−アルキル−及び−アルキル−N(アルキル)−アルキル−が挙げられるが、これらに限定されず、式中、アルキルは同一であることができ、又は異なっていることができる
【0057】
本明細書で使用されるとき、特に特定されない限り、用語「アルキルカルボニル」は、1以上のカルボニル基を含有するアルキル、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルを意味する。アルキルカルボニル基の例には、アルデヒド基(−R−C(O)−H)、ケトン基(−R−C(O)−R’)、カルボン酸基(R−COOH)、エステル基(−R−COO−R’)、カルボキサミド(−R−COO−N(R’)R’’)、エノン基(−R−C(O)−C(R’)=C(R’’)R’’’)、アシルハライド基(−R−C(O)−X)及び無水酸基(−R−C(O)−O−C(O)−R’)が挙げられるが、これらに限定されず、式中、R、R’、R’’及びR’’’は、同一の又は異なったアルキル、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルである。
【0058】
本明細書で使用されるとき、特に特定されない限り、用語「パーフルオロアルキル」は1以上のフルオロ基を含有するアルキル、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルを意味し、それには、限定しないでパーフルオロメチル、パーフルオロエチル、パーフルオロプロピルが挙げられる。
【0059】
本明細書で使用されるとき、特に特定されない限り、用語「アリール」は、1以上の芳香族環を含む化学構造を意味する。特定の実施形態では、環原子はすべて炭素である。特定の実施形態では、1以上の環原子は非炭素、たとえば、酸素、窒素又はイオウである(「ヘテロアリール」)。アリールの例には、限定しないで、フェニル、ベンジル、ナフタレニル、アントラセニル、ピリジル、キノリル、イソキノリル、ピラジニル、キノキサリニル、アクリジニル、ピリミジニル、キナゾリニル、ピリダジニル、シンノリニル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、プリニル、インドリル、フラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ピロリル、インドリル、イソインドリル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ピラゾリル、インダゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、チアキソリル、クアニジド及びベンゾチアゾリルが挙げられる。
【0060】
特定の実施形態では、HPP/HPCの輸送ユニットは、1以上の生体バリアを介したHPP/HPCの輸送又は横断を円滑にすること(たとえば、親薬剤より>約10倍、>約50倍、>約100倍、>約300倍、>約500倍、>約1000倍速く)が可能であるプロトン化可能なアミン基を含む。特定の実施形態では、プロトン化可能なアミン基は生理的pHで実質的にプロトン化される。特定の実施形態では、アミン基は可逆的にプロトン化される。特定の実施形態では、1以上の生体バリアを介したHPP/HPCの浸透の後、輸送ユニットは機能ユニットから切断されてもよいし、切断されなくてもよい。特定の実施形態では、輸送ユニットは、特に少なくとも遊離のアミノ基を有するペプチド又はペプチド関連化合物について機能ユニットに由来してもよい。特定の実施形態では、ペプチド又はペプチド関連化合物に1を超えるプロトン化可能な基がある場合、ペプチド又はペプチド関連化合物は、1又は2のプロトン化可能なアミン基が残され、ほかのプロトン化可能な基はすべて保護されるように修飾される。
【0061】
特定の実施形態では、プロトン化可能なアミン基は、薬学上許容可能な置換及び非置換の1級アミン基、薬学上許容可能な置換及び非置換の2級アミン基、並びに薬学上許容可能な置換及び非置換の3級アミン基から成る群から選択される。
【0062】
特定の実施形態では、プロトン化可能なアミン基は、構造Na,構造Nb,構造Nc,構造Nd,構造Ne,構造Nf,構造Ng,構造Nh,構造Ni,構造Nj,構造Nk,構造Nl,構造Nm,構造Nn,構造No,構造Np,構造Nq,及び構造Nrから成る群から選択され:
【化6】











構造Nr
その立体異性体及び薬学上許容可能なその塩を含む。
【0063】
本明細書で使用されるとき、特に特定されない限り、各R11〜R16は独立して、無、H、CH2COOR11、置換及び非置換のアルキル、置換及び非置換のシクロアルキル、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル、置換及び非置換のアリール、置換及び非置換のヘテロアリール、置換及び非置換のアルコキシ、置換及び非置換のアルキルチオ、置換及び非置換のアルキルアミノ、置換及び非置換のパーフルオロアルキル、置換及び非置換のアルキルハライドから成る群から選択され、その際、炭素又は水素はさらに独立して、O、S、P、NR11又はそのほかの薬学上許容可能な基によって置き換えられてもよい。
【0064】
特定の実施形態では、HPP/HPCの機能ユニットと輸送ユニットを共有結合するリンカーは、1以上のBBsを横切ってHPP/HPCが浸透した後、切断されることが可能である結合を含む。切断可能な結合は、たとえば、共有結合、エーテル結合、チオエーテル結合、アミド結合、エステル結合、チオエステル結合、カーボネート結合、カルバメート結合、ホスフェート結合、又はオキシム結合を含む。
【0065】
特定の実施形態では、ペプチドHHP/HPCは、以下の構造L−1:
【化7】

構造L−1
を有し、
その立体異性体及び薬学上許容可能なその塩を含み、式中、
Fは、ペプチドHPP/HPCの機能ユニットである。Fの例には上記で定義された構造F−1が挙げられ;
C及びTNは独立して、無、H,置換及び非置換のアルキル基、置換及び非置換のシクロアルキル基、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル基、置換及び非置換のアルキルオキシ基、置換及び非置換のアルケニル基、置換及び非置換のアルキニル基、置換及び非置換のアリール基、置換及び非置換のヘテロアリール基、上記で定義されたような構造Na,構造Nb,構造Nc,構造Nd,構造Ne,構造Nf,構造Ng,構造Nh,構造Ni,構造Nj,構造Nk,構造Nl,構造Nm,構造Nn,構造No,構造Np,構造Nq,及び構造Nrから成る群から選択され:
1C及びL1Nは独立して、無、O、S、N(L3)、−N(L3)−CH2−O、−N(L3)−CH2−N(L5)−、−O−CH2−O−、−O−CH(L3)−O及び−S−CH(L3)−O−から成る群から選択され;
2C及びL2Nは独立して、無、O、S、N(L3)、−N(L3)−CH2−O、−N(L3)−CH2−N(L5)−、−O−CH2−O−、−O−CH(L3)−O、−S−CH(L3)−O−、−O−L3−、−N−L3−、−S−L3−、−N(L3)−L5−及びL3から成る群から選択され:

4C及びL4Nは独立して、無、C=O、C=S、
【化8】

【化9】

及び
【化10】

から成る群から選択され;
各L1C、L1N、L2C、L2N、L4C及びL4Nについて、L3及びL5は独立して、無、H、CH2COOL6、置換及び非置換のアルキル基、置換及び非置換のシクロアルキル基、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル基、置換及び非置換のアリール、置換及び非置換のヘテロアリール、置換及び非置換のアルコキシ、置換及び非置換のアルキルチオ、置換及び非置換のアルキルアミノ、置換及び非置換のパーフルオロアルキル、置換及び非置換のアルキルハライドから成る群から選択され、その際、炭素又は水素はさらに独立して、O、S、P、NL3又はそのほかの薬学上許容可能な基によって置き換えられてもよく;
6は独立してH、OH、Cl、F、Br、I、置換及び非置換のアルキル基、置換及び非置換のシクロアルキル基、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル基、置換及び非置換のアリール、置換及び非置換のヘテロアリール、置換及び非置換のアルコキシ、置換及び非置換のアルキルチオ、置換及び非置換のアルキルアミノ、置換及び非置換のパーフルオロアルキル、置換及び非置換のアルキルハライドから成る群から選択され、その際、炭素又は水素はさらに独立して、O、S、N、P(O)OL6、CH=CH、C≡C、CHL6、CL67、アリール、ヘテロアリール又は環状の基によって置き換えられてもよく;
7は独立してH、OH、Cl、F、Br、I、置換及び非置換のアルキル基、置換及び非置換のシクロアルキル基、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル基、置換及び非置換のアリール、置換及び非置換のヘテロアリール、置換及び非置換のアルコキシ、置換及び非置換のアルキルチオ、置換及び非置換のアルキルアミノ、置換及び非置換のパーフルオロアルキル、置換及び非置換のアルキルハライドから成る群から選択され、その際、炭素又は水素はさらに独立して、O、S、N、P(O)OL6、CH=CH、C≡C、CHL6、CL67、アリール、ヘテロアリール又は環状の基によって置き換えられてもよい。
【0066】
特定の実施形態では、ペプチド又はペプチド関連化合物のHPP又はHPCは、構造L−1の構造を含み、その立体異性体及び薬学上許容可能なその塩を含み、式中、F、L1C、L1N、L2C、L2N、TC及びTNは上記で定義されたとおりであり、L4C及び/又はL4NはC=Oである。
【0067】
特定の実施形態では、ペプチド又はペプチド関連化合物のHPP又はHPCは、構造L−1の構造を含み、その立体異性体及び薬学上許容可能なその塩を含み、式中、
F、L1C、L1N、L2C、L2N、L4C及びL4Nは上記で定義されたとおりであり;
Cは、ペプチドHPP/HPCの輸送ユニットである。たとえば、TCは、上記で定義されたような構造Na,構造Nb,構造Nc,構造Nd,構造Ne,構造Nf,構造Ng,構造Nh,構造Ni,構造Nj,構造Nk,構造Nl,構造Nm,構造Nn,構造No,構造Np,構造Nq,及び構造Nrから成る群から選択され:
Nは、無、H、置換及び非置換のアルキル基、置換及び非置換のシクロアルキル基、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル基、置換及び非置換のアルキルオキシ基、置換及び非置換のアルケニル基、置換及び非置換のアルキニル基、置換及び非置換のアリール基、並びに置換及び非置換のヘテロアリール基から成る群から選択される。
【0068】
特定の実施形態では、ペプチド又はペプチド関連化合物のHPP又はHPCは、構造L−1の構造を含み、その立体異性体及び薬学上許容可能なその塩を含み、式中、
F、L1C、L1N、L2C、L2N、L4C及びL4Nは上記で定義されたとおりであり;
Nは、ペプチドHPP/HPCの輸送ユニットである。たとえば、TNは、上記で定義されたような構造Na,構造Nb,構造Nc,構造Nd,構造Ne,構造Nf,構造Ng,構造Nh,構造Ni,構造Nj,構造Nk,構造Nl,構造Nm,構造Nn,構造No,構造Np,構造Nq,及び構造Nrから成る群から選択され:
Cは、無、H、置換及び非置換のアルキル基、置換及び非置換のシクロアルキル基、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル基、置換及び非置換のアルキルオキシ基、置換及び非置換のアルケニル基、置換及び非置換のアルキニル基、置換及び非置換のアリール基、並びに置換及び非置換のヘテロアリール基から成る群から選択される。
【0069】
特定の実施形態では、ペプチドHPP/HPCは、以下の構造L−2:
【化11】

構造L−2
を有し、その立体異性体及び薬学上許容可能なその塩を含み、式中、
各A1〜Amは独立して、2−ナフチルアラニン、置換及び非置換のアルキル、置換及び非置換のシクロアルキル、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル、置換及び非置換のアルコキシ、置換及び非置換のアルケニル、置換及び非置換のアルキニル、置換及び非置換のアリール、置換及び非置換のヘテロアリールの残基、構造A及び構造B:
【化12】

構造A
【化13】

構造B
から成る群から選択され;
1〜Amのpは独立して選択される整数であり;
各A1〜Am及びTNのTBは独立して、無、H、置換及び非置換のアルキル、置換及び非置換のシクロアルキル、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル、置換及び非置換のアルキルオキシ、置換及び非置換のアルケニル、置換及び非置換のアルキニル、置換及び非置換のアリール、置換及び非置換のヘテロアリール、上記で定義されたような構造Na,構造Nb,構造Nc,構造Nd,構造Ne,構造Nf,構造Ng,構造Nh,構造Ni,構造Nj,構造Nk,構造Nl,構造Nm,構造Nn,構造No,構造Np,構造Nq,及び構造Nrから成る群から選択され:
各A1〜Am、L1C及びL1NのL1Bは独立して、無、O、S、−N(L3)−、−N(L3)−CH2−O、−N(L3)−CH2−N(L5)−、−O−CH2−O−、−O−CH(L3)−O及び−S−CH(L3)−O−から成る群から選択され:
各A1〜Am、L2C及びL2NのL2Bは独立して、無、O、S、−N(L3)−、−N(L3)−CH2−O、−N(L3)−CH2−N(L5)−、−O−CH2−O−、−O−CH(L3)−O、−S−CH(L3)−O−、−O−L3−、−N−L3−、−S−L3−、−N(L3)−L5−及びL3から成る群から選択され:
各A1〜Am、L4C及びL4NのL4Bは独立して、C=O、C=S、
【化14】

【化15】

及び
【化16】

から成る群から選択され:
3及びL5は上記で定義されたとおりであり;
各A1−Am、ZNT、CT-1及びZCT-2についてのA1−Am、ZA-2の各炭素におけるZA-1は独立して、H、CH3、C25、37、CF3、C25、C37、置換及び非置換のアルキル、置換及び非置換のパーフルオロアルキル、並びに置換及び非置換のアルキルハライドから成る群から選択され;
各A1〜Am、RNT及びRCTの各炭素における各A1〜Am、RBの各炭素上のRAは独立して、置換及び非置換のイミダゾリル基、置換及び非置換のキアニジノ基、置換及び非置換のカルボキシル基、置換及び非置換のカルボキサミド基、置換及び非置換のアルキル基、置換及び非置換のシクロアルキル基、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル基、置換及び非置換のアルコキシ基、置換及び非置換のアルキルチオ基、置換及び非置換のアルキルアミノ基、置換及び非置換のアルキルカルボニル基、置換及び非置換のパーフルオロアルキル基、置換及び非置換のアルキルハライド基、置換及び非置換のアリール基、並びに置換及び非置換のヘテロアリール基から成る群から選択され;
1〜Amのpが2未満の整数である場合、各炭素上のRA又はRBは、同一であっても、異なっていてもよく、各炭素上のZA-1は同一であっても、異なっていてもよく;
ペプチド鎖におけるアミノ官能基及びカルボキシ官能基はさらにラクタム架橋を形成してもよく;
チオール基はさらにジスルフィド架橋を形成してもよい。
ペプチドHPPs/HPCsの例
【0070】
特定の実施形態では、ペプチドHPP/HPCは、図1に示されるような構造2、構造3、構造4、構造5、構造6、構造7、構造8、構造9、構造10、構造11、構造12、構造13、構造14、構造15、構造16、構造17、構造18、構造19、構造20、構造21、構造22、構造23、構造24、構造25、構造26、構造27、構造28、構造37、構造38、構造39、構造40、構造41、構造42、構造43、構造44、構造45、構造46、構造47、構造48、構造49、構造50、構造51、構造52、構造53、構造54、構造55、構造56、構造57、構造58、構造59、構造60、構造61、構造62、構造63、構造64、構造65、構造66、構造67、構造68、構造69、構造70、構造71、構造72、構造73、構造74、構造75、構造76、構造77、構造78、構造79、構造80、構造81、構造82、構造83、構造84、構造85、構造86、構造87、構造88、構造89、構造90、構造91、構造92、構造93、構造94、構造95、構造96、構造97、構造98、構造99、構造100、構造101、構造102、構造103、構造104、構造105、構造106、構造107、構造108、構造109、構造110、構造111、構造112、構造113、構造114、構造115、構造116、構造117、構造118、構造119、構造120、構造121、構造122、構造123、構造124、構造125、構造126、構造127、構造128、構造137、構造138、構造139、構造140、構造141、構造142、構造143、構造144、構造145、構造146、構造147、構造148、構造149、構造150、構造151、構造152、構造153、構造154、構造155、構造156、構造157、構造158、構造159、構造160、構造161、構造162、構造163、構造164、構造165、構造166、構造167、構造168、構造169、構造170、構造171、構造172、構造173、構造174、構造175、構造176、構造177、構造178、構造179、構造180、構造181、構造182、構造183、構造184、構造185、構造186、構造187、構造188、構造189、構造190、構造191、構造192、構造193、構造194、構造195、構造196、構造197、構造198、構造199、構造200、構造201、構造202、構造203、構造204、構造205、構造206、構造207、構造208、構造209、構造210、構造211、構造212、構造213、構造214、構造215、構造216、構造217、構造218、構造219、構造220、構造221、構造222、構造223、構造224、構造225、構造226、構造227、構造228、構造237、構造238、構造239、構造240、構造241、構造242、構造243、構造244、構造245、構造246、構造247、構造248、構造249、構造250、構造251、構造252、構造253、構造254、構造255、構造256、構造257、構造258、構造259、構造260、構造261、構造262、構造263、構造264、構造265、構造266、構造267、構造268、構造269、構造270、構造271、構造272、構造273、構造274、構造275、構造276、構造277、構造278、構造279、構造280、構造281、構造282、構造283、構造284、構造285、構造286、構造287、構造288、構造289、構造290、構造291、構造292、構造293、構造294、構造295、構造296、構造297、構造298、構造299、構造300、構造301、構造302、構造303、構造304、構造305、構造306、構造307、構造308、構造309、構造310、構造311、構造312、構造313、構造314、構造315、構造316、構造317、構造318、構造319、構造320、構造321、構造322、構造323、構造324、構造325、構造326、構造327、構造328、構造337、構造338、構造339、構造340、構造341、構造342、構造343、構造344及び構造345から成る群から選択される構造を有する化合物を含み、その立体異性体及び薬学上許容可能なその塩を含み、式中、
Rは、H、置換及び非置換のアルキル基、置換及び非置換のシクロアルキル基、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル基、置換及び非置換のアルコキシ、置換及び非置換のアルキルチオ、置換及び非置換のアルキルアミノ、置換及び非置換のアリール、並びに置換及び非置換のヘテロアリールの残基から成る群から選択され;
X、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X21、X22、X23、X24、X25、X26及びX27は独立して、C=O、C=S、COO、CSO、CH2OCO、COOCH2OCO、COCH2OCO、CH2−O−CH(CH2OR42、CH2−O−CH(CH2OCOR42、SO2、PO(OR)、NO2、NO、O、S、NR5及び無から成る群から選択され;
1、R2、R4、R5、R6、7、R8、R9、R10、R21、R22、R23、R24、25、R26及びR27は独立して、H、O、NO2、置換及び非置換のアルキル基、置換及び非置換のシクロアルキル基、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル基、置換及び非置換のアルコキシ、置換及び非置換のアルキルチオ、置換及び非置換のアルキルアミノ、置換及び非置換のアルケニル、置換及び非置換のアルキニル、置換及び非置換のアリール、並びに置換及び非置換のヘテロアリールの残基から成る群から選択され;
本明細書で使用されるとき、特に特定されない限り、用語「HA」は、無、又は薬学上許容可能な酸、たとえば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、重硫酸、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、イソニコチン酸、酢酸、乳酸、サリチル酸、クエン酸、酒石酸、パントテン酸、重酒石酸、アスコルビン酸、コハク酸、マレイン酸、ゲンチシン酸、フマル酸、グルコン酸、グルカロン酸、糖酸、蟻酸、安息香酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、又はパモ酸であり;
Arは、フェニル、2’−ナフチル、4−ヨードフェニル、置換及び非置換のアリール、並びに置換及び非置換のヘテロアリールの残基から成る群から選択される。
【0071】
構造2〜343の構造を有するペプチドHPPs/HPCsの相当する親ペプチドを表A(I)及び(II)にて以下で列記する。
表A.構造2〜343の構造を有するペプチドHPPs/HPCsの親ペプチド
【0072】
【表1】

【0073】

【0074】

【0075】

【0076】

【0077】

【0078】

【0079】

【0080】

【0081】

【0082】

【0083】

【0084】

【0085】

【0086】

【0087】

【0088】

【0089】

【0090】

【0091】

【0092】

【0093】

【0094】
【表2】

【0095】

【0096】

【0097】

【0098】
配列番号1〜172に出現する普通ではないアミノ酸の構造(Xaa1、Xaa2、Xaa3、Xaa4、Xaa5、Xaa7、Xaa9、Xaa13、Xaa14、Xaa15、Xaa17、Xaa19、Xaa21、Xaa22、Xaa23、Xaa24、Xaa25及びXaa26)を表Bに列記する。
表B.配列番号1〜172に出現する普通ではないアミノ酸
【表3】

【0099】

【0100】

【0101】

【0102】

【0103】
特定の実施形態では、ペプチドHPP/HPCは、上記で定義されるような構造2〜345から成る群から選択される化合物を含み、その立体異性体及び薬学上許容可能なその塩を含み、式中、
HA、Ar、X、X4、X5、X6、X7、X8、X9、10、X21、X22、X23、X24、X25、X26及びX27は、上記と同様に定義され;
Rは、H、置換及び非置換の1〜20の炭素のアルキル、置換及び非置換のシクロアルキル、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル、置換及び非置換の1〜20の炭素のアルコキシ、置換及び非置換の1〜20の炭素のアルキルチオ、置換及び非置換の1〜20の炭素のアルキルアミノ、置換及び非置換のアリール、並びに置換及び非置換のヘテロアリールの残基から成る群から選択され;
1、R2、R4、R5、R6、7、R8、R9、R10、R21、R22、R23、R24、R25、R26及びR27は独立して、H、O、置換及び非置換の1〜20の炭素のアルキル、置換及び非置換のシクロアルキル、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル、置換及び非置換の1〜20の炭素のアルコキシ、置換及び非置換の1〜20の炭素のアルキルチオ、置換及び非置換の1〜20の炭素のアルキルアミノ、置換及び非置換の1〜20の炭素のアルケニル、置換及び非置換の1〜20の炭素のアルキニル、置換及び非置換のアリール、並びに置換及び非置換のヘテロアリールの残基から成る群から選択される。
【0104】
特定の実施形態では、ペプチドHPP/HPCは、構造1a、構造1b、構造1c、構造1d、構造1e、構造1f、構造1g、及び構造1hから成る群から選択される構造を含み、
【化17】

構造1a
【化18】

構造1b
【化19】

構造1c
【化20】

構造1d
【化21】

構造1e
【化22】

構造1f
【化23】

構造1g
【化24】

構造1h
その立体異性体及び薬学上許容可能なその塩を含み、式中、
4、X5、X6、X7、X8、X9、R4、R5、R6、7、R8、R9及びHAは上記と同様に定義される。
ペプチドHPP/HPCの固相合成
【0105】
短鎖ペプチド(<10アミノ酸)は液相によって合成することができるが、液相による長鎖ペプチドの合成は非常に難しい。本開示のペプチドのHPPs/HPCsは修飾されたペプチドであり、標準の固相ペプチド合成法(C末端からN末端への)によって合成することはできない。
【0106】
特定の実施形態では、ペプチドHPP/HPCはN末端からC末端へと合成され、その際、合成法は以下の工程を含む:
【0107】
固相合成を用いたペプチドHPCを調製する方法は以下を含む。
a)化学的に修飾された樹脂を提供すること(たとえば、塩化トリチル樹脂及び炭酸エステル樹脂);
b)ペプチドHPCに従って所望されるように天然の又は修飾されたアミノ酸残基すべてのカルボキシル基を保護基(たとえば、2−(4−ニトロフェニルスルホニル)エチル基及び9−フルオレニルメチル基)によって保護してCOOH−保護のアミノ酸残基を提供すること;
c)ペプチドHPCのN末端にてCOOH−保護のアミノ酸残基を化学的に修飾された樹脂に結合させてアミノ酸残基1つを有する不動化されたCOOH−保護のペプチドHPC前駆体を提供すること;
d)脱保護試薬(たとえば、1%DBU/20%ピペリジン/79%DMF、又は保護されたカルボキシル基を脱保護できるそのほかの試薬)を用いて、不動化されたCOOH−保護のペプチドHPC前駆体の保護カルボキシル基を脱保護して、アミノ酸残基1つを有する不動化されたCOOH−非保護のペプチドHPC前駆体を提供すること;
e)C末端アミノ酸残基を除いてすべてのアミノ酸を有する不動化されたC−非保護のペプチドHPC前駆体が提供されるまで、ペプチドHPCのCOOH−保護のアミノ酸残基を用いて工程c)とd)を繰り返すこと;
f)共有結合を介してC末端アミノ酸残基をRTに連結し、修飾されたC末端アミノ酸を提供すること、その際、RTは、置換及び非置換のアルキル基、置換及び非置換のシクロアルキル基、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル基、置換及び非置換のアルキルオキシ基、置換及び非置換のアルケニル基、置換及び非置換のアルキニル基、置換及び非置換のアリール基、置換及び非置換のヘテロアリール基、上記で定義されたような構造Na,構造Nb,構造Nc,構造Nd,構造Ne,構造Nf,構造Ng,構造Nh,構造Ni,構造Nj,構造Nk,構造Nl,構造Nm,構造Nn,構造No,構造Np,構造Nq,及び構造Nrから成る群から選択され:
g)工程e)から得られる不動化されたC−非保護のペプチドHPC前駆体に修飾されたC末端アミノ酸を結合して不動化ペプチドHPCを提供すること;並びに
h)樹脂から不動化ペプチドHPCを解放してペプチドHPCを提供すること。
【0108】
特定の実施形態では、化学的に修飾された樹脂を保護されたアミノ酸に直接結合することができ、又は先ず、化学的に修飾された樹脂をさらに修飾し、次いでCOOH−保護のアミノ酸に結合することができる。
【0109】
特定の実施形態では、C末端に輸送ユニットを含むペプチドHPP/HPCは、C末端アミノ酸をペプチド鎖に結合することによって調製され、その際、カルボキシル基は上記のように輸送ユニットに連結される。たとえば、輸送ユニットは、上記で定義されたような構造Na,構造Nb,構造Nc,構造Nd,構造Ne,構造Nf,構造Ng,構造Nh,構造Ni,構造Nj,構造Nk,構造Nl,構造Nm,構造Nn,構造No,構造Np,構造Nq,及び構造Nrから成る群から選択される。
【0110】
特定の実施形態では、C末端に輸送ユニットを含むペプチドHPP/HPCは、C末端アミノ酸をペプチド鎖に結合することによって調製され、その際、カルボキシル基が保護され、カルボキシル基が脱保護され、最終的に輸送ユニットに連結される。たとえば、輸送ユニットは、上記で定義されたような構造Na,構造Nb,構造Nc,構造Nd,構造Ne,構造Nf,構造Ng,構造Nh,構造Ni,構造Nj,構造Nk,構造Nl,構造Nm,構造Nn,構造No,構造Np,構造Nq,及び構造Nrから成る群から選択される。
【0111】
特定の実施形態では、ペプチドHPP/HPCの解放は高い収率で達成される。たとえば、特定の実施形態では、樹脂は塩化トリチル樹脂であり、解放工程は、TFA/DCM(たとえば、5%)と反応させることによって達成することができる。特定の実施形態では、樹脂は炭酸エステル樹脂であり、解放工程は、Pd−C(たとえば、メタノール中10%)及びH2と反応させることによって達成することができる。
【0112】
特定の実施形態では、カップリング反応は、カップリング剤の存在下で実施される。カップリング剤の例には、限定しないで、HBTU/DIPEA/HOBt、TBTU/DIPEA/HOBt、BOP/DIPEA/HOBt、HATU/DIPEA/HOBt及びDIC/HOB、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0113】
本明細書で使用されるとき、特に定義されない限り
「DBU」は、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデック−7−エンを意味し;
「DMF」はジメチルホルムアミドを意味し;
「DIPWA」は、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを意味し;
「HBTU」は、O−ベンゾトリアゾール−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウム−ヘキサフルオロホスフェートを意味し;
「HOBt」は、1−ヒドロキシベンゼントリアゾールを意味し;
「TBTU」は、O−ベンゾトリアゾール−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウム−テトラフルオロボレートを意味し;
「BOP」は、ベンゾトリアゾール−1−イル−N−オキシ−トリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートを意味し;
「HATU」は、N−(ジメチルアミノ)−1H−1、2、3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジノ−1−イルメチレン]−N−メチルメタンアンモニウムヘキサフルオロホスフェートN−オキシドを意味し;
「DIC」は、ジイソプロピルカルボジイミドを意味し、及び
「TFA」はトリフルオロ酢酸を意味する。
II.HPPs/HPCsを含む医薬組成物
【0114】
本発明の別の態様は、少なくとも1つのペプチドHPP/HPCと薬学上許容可能なキャリアを含む医薬組成物に関する。
【0115】
用語「薬学上許容可能なキャリア」は、本明細書で使用されるとき、生体の1つの位置、体液、臓器(内部又は外部)、又は一部から生体の別の位置、体液、臓器、又は一部にHPP/HPCを運ぶ又は輸送するのに関与する、たとえば、液体又は固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒又は被包剤のような薬学上許容可能な物質、組成物又はビヒクルを意味する。
【0116】
各キャリアは、製剤のほかの成分、たとえば、HPP/HPCと相溶性であり、過度な毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性、又はほかの問題若しくは合併がなく、生体系の組織若しくは臓器と接触して使用するのに好適であり、理に適った利益/リスク比と釣り合っているという意味で、「薬学上許容可能」である。
【0117】
薬学上許容可能なキャリアとして役立ち得る物質の一部の例には、(1)たとえば、ラクトース、グルコース及びスクロースのような糖類、(2)コーンスターチ及びポテトスターチのようなデンプン、(3)たとえば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース及びセルロースアセテートのようなセルロース及びその誘導体、(4)粉末化トラガカント、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)たとえば、ココアバター及び座薬ワックスのような賦形剤、(9)たとえば、ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、及び大豆油のような油類、(10)プロピレングリコールのようなグリコール類、(11)たとえば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコールのようなポリオール類、(12)オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルのようなエステル類、(13)寒天、(14)たとえば、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムのような緩衝剤、(15)アルギン酸、(16)発熱物質を含まない水、(17)等張の生理食塩水、(18)リンガー溶液、(19)たとえば、エチルアルコール及びプロパンアルコールのようなアルコール、(20)リン酸緩衝溶液、並びに(21)アセトンのような医薬製剤で用いられるそのほかの非毒性の相溶性物質が挙げられる。
【0118】
医薬組成物は、たとえば、pH調整剤及び緩衝剤、たとえば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムなどのような毒性調整剤などのような、適当な生理的条件に必要とされる薬学上許容可能な補助物質を含有してもよい。
【0119】
一実施形態では、薬学上許容可能なキャリアは、水性キャリア、たとえば、緩衝化生理食塩水などである。特定の実施形態では、薬学上許容可能なキャリアは、極性溶媒、たとえば、水、アセトン及びアルコールである。
【0120】
これらの製剤におけるHPP/HPCの濃度は広く変化することができ、選択される投与の特定の方式及び生体系のニーズに従って、流体の容量、粘度、体重などに基づいて一義的に選択される。たとえば、濃度は、0.0001重量%〜100重量%、0.001重量%〜50重量%、0.1重量%〜30v%、0.1重量%〜10重量%であることができる。
【0121】
本発明の組成物は、予防的用途、治療的用途及び/又は衛生的用途で投与することができる。そのような投与は、局所的、粘膜的、たとえば、経口、鼻内、膣、直腸、非経口、経皮、皮下、筋肉内、静脈内、吸入による、眼内及びそのほかの従来の経路であることができる。医薬組成物は、投与の方法によって種々の単位投与形態で投与することができる。たとえば、経口投与に好適な単位投与形態には、粉剤、錠剤、丸薬及び飴錠剤が挙げられる。
【0122】
従って、静脈内投与のための典型的な医薬組成物は、1日当たり対象当たり約10-10g〜約100g、約10-10g〜約10-3g、約10-9g〜約10-6g、約10-6g〜約100g、約0.001g〜約100g、約0.01g〜約10g、又は約0.1g〜約1gである。1日当たり対象当たり約0.01mgから約50gまでの投与量を使用してもよい。非経口で投与可能な組成物を調製する実際の方法は、当業者に既知であり、又は明らかであり、RemingtonのPharmaceutical Science,15版、Mack Publishing Company,Easton,Pa.(1980)のような出版物にさらに詳細に記載されている。
III.HPPs/HPCsの適用
i)生体バリアに浸透させる方法
【0123】
本発明の別の態様は、生物対象にて1以上の生体バリアに浸透することにおいて本発明の組成物を使用する方法に関する。方法は、HPP/HPC又はペプチド若しくはペプチド関連化合物、又はその医薬組成物を生物対象に投与する工程を含む。特定の実施形態では、HPP/HPCは、1以上の生体バリアを介して、その親薬剤よりも約10倍高い、50倍高い、>約100倍以上、>約200倍以上、>約300倍以上、>約500倍以上、>約1000倍高以上の浸透率を示す。
【0124】
用語「生体バリア」は本明細書で使用されるとき、環境を異なった空間的な領域又は区画に分離する生体層を指し、その分離は、それを介した通過を調節する(たとえば、拘束する、制限する、高める、何も生じない)ことが可能であり、1つの区画/領域から物質又は物体を別の区画/領域に浸透させる又は移動させることが可能である。本明細書で呼ばれる異なった空間的な領域又は区画は、同一又は異なった化学的な又は生物学的な環境を有してもよい。本明細書で呼ばれる生体層には、生体膜、細胞層、生体構造、対象、生物又は体腔の内部表面、対象、生物、臓器又は体腔の外部表面、又はそれらの組み合わせ若しくは複数が挙げられるが、これらに限定されない。
【0125】
生体膜の例には、脂質二重層構造、真核生物細胞膜、原核生物細胞膜、及び細胞内膜(たとえば、核膜又は小器官膜、たとえば、ゴルジ装置、粗面及び滑面小胞体(ER)、リボソーム、液胞、小胞、リポソーム、ミトコンドリア、リソソーム、核、葉緑体、色素体、ペルオキシソーム又はミクロボディの膜又はエンベロープ)が挙げられる。
【0126】
本明細書で言われる脂質二重層は、リン脂質及びコレステロールを含むが、これらに限定されない脂質性分子の二重の層である。特別な実施形態では、二重層のための脂質は、極性の頭基と非極性の脂肪酸の尾部から成る両親媒性分子である。二重層は、その炭化水素尾部が互いに向いて疎水性効果と共に支えられる油性のコアを形成する一方で、その荷電した頭部が膜のいずれかの側で水溶液に向くように配置された脂質の2つの層で構成される。別の特別な実施形態では、脂質二重層は、1以上の埋め込まれたタンパク質及び/又は糖の分子を含有してもよい。
【0127】
細胞層の例には、真核細胞の内膜(たとえば、上皮、固有層及び平滑筋又は粘膜筋板(消化管の))、原核細胞の内膜(たとえば、表面層、又は同一のタンパク質若しくは糖タンパク質で構成される二次元構造の単分子層を指すS−層、特に、細菌及び古細菌に一般に見られる細胞エンベロープの一部を指すS−層)、バイオフィルム(自己生成したポリマーマトリクスに被包された又は生物若しくは不活性面に付着した微生物の組織化された共同体)、及び植物細胞層(たとえば、外皮)が挙げられる。細胞は正常細胞であってもよいし、又は病的な細胞(たとえば、疾患細胞、癌細胞)であってもよい。
【0128】
生物構造の例には、毒素、細菌及びウイルスに対してバリアを提供する堅い又は閉塞性の接合部によって密封された構造、たとえば、血液乳バリア及び脳血管関門(BBB)が挙げられる。特に、BBBは、非透過性の内皮で構成され、近隣の内皮細胞に隣接する堅い接合部を介した物理的バリアと流出トランスポータで構成される輸送バリアの双方を提示する。生物構造はまた、細胞、タンパク質及び糖の混合物(たとえば、血液凝固物)を含んでもよい。
【0129】
対象、生物、臓器又は体腔の内表面の例には、頬粘膜、食道粘膜、胃粘膜、腸粘膜、嗅球粘膜、口腔粘膜、気管支粘膜、子宮粘膜及び内膜(子宮の粘膜、花粉粒の壁の内層又は胞子の内壁層)、又はそれらの組み合わせ若しくは複数が挙げられる。
【0130】
対象、生物、臓器又は体腔の外表面の例には、毛細管(たとえば、心臓組織における毛細管)、皮膚と連続する粘性膜(たとえば、鼻孔、口唇、耳、生殖器及び肛門)、臓器(たとえば、肝臓、肺、胃、脳、腎臓、心臓、耳、眼、鼻、口、舌、結腸、膵臓、胆嚢、十二指腸、直腸、胃、結腸直腸、腸、血管、呼吸器系、血管、肛門直腸及び肛門掻痒)の外表面、皮膚、角質(たとえば、表皮細胞若しくは角化細胞の死んだ層、又は動物の毛幹を覆う重なり合った細胞の表層、多数の無脊椎動物に表皮の外の多重層構造、植物の角質又はポリマークチン及び/又はキュータン)、花粉粒の壁の外層又は胞子の外壁層、及びそれらの組み合わせ又は複数が挙げられる。
【0131】
加えて、生体バリアにはさらに糖層、タンパク質層、又はそのほかの生体層、又はそれらの組み合わせ又は複数が挙げられる。たとえば、皮膚は、複数の生体層を有する生体バリアである。皮膚は、表皮層(外面)と内皮層と皮下層を含む。表皮層は、基底細胞層、有棘細胞層、顆粒細胞層及び角質層を含有する。表皮における細胞は角化細胞と呼ばれる。角質層(「角質層」)は、表皮の最外層であり、そこの細胞は、平坦で鱗屑状(「扁平上皮」)の形状である。これらの細胞は、多くのケラチンを含有し、皮膚表面に頑丈で耐油性で耐水性の特性を付与する重なり合った層に配置される。
ii)生体系における状態を診断する方法
【0132】
本発明の別の態様は、生体系における状態を診断することにおける本発明の組成物の使用方法に関する。方法は以下の工程を含む:
1)ペプチドHPP/HPCを含む組成物を生物対象に投与すること;
2)生物対象においてHPP/HPC、HPP/HPCの機能ユニット又はその代謝体の存在、位置又は量を検出すること;及び
3)生体系における状態を判定すること。
【0133】
特定の実施形態では、HPP/HPC(又はHPP/HPCから切断された剤)は、状態が生じる作用部位で凝集する。特定の実施形態では、HPP/HPCの機能ユニットの存在、位置又は量も検出される。特定の実施形態では、関連する状態(たとえば、癌)の発症、進展、進行又は寛解も判定される。
【0134】
特定の実施形態では、HPP/HPCは検出剤で標識される又はそれに抱合される。或いは、HPP/HPCは検出用の放射性同位元素を含むように調製される。多数の検出剤が利用可能であり、一般に以下のカテゴリーにグループ分けされる:
(a)たとえば、35S、14C、13C、15N、125I、3H及び131Iのような放射性同位元素。当該技術で既知の技法を用いて診断剤を放射性同位元素で標識することができ、放射活性はシンチレーションカウンターを用いて測定することができる。さらに、炭素及び窒素の標識についての電子常磁性共鳴のために診断剤をスピン標識することができる。
(b)たとえば、BODIPY、BODIPY類似体、希土類クレーと(ユーロピウムキレート)、フルオレセイン及びその誘導体、FITC、5,6−カルボキシルフルオレセイン、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、リサミン、フィコエリスリン、緑色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、及びテキサスレッドのような蛍光剤。フルオロメータを用いて蛍光を定量することができる。
(c)種々の酵素−基質剤、たとえば、ルシフェラーゼ(たとえば、ホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ)、ルシフェリン、2,3−ジヒドロフタラジンジオン、リンゴ酸脱水素酵素、ウレアーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼのようなペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖類オキシダーゼ(たとえば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ及びグルコース−6−リン酸脱水素酵素)、複素環オキシダーゼ(たとえば、ウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼ)、ラクトペルオキシダーゼ、ミクロペルオキシダーゼなど。酵素−基質の組み合わせの例には、たとえば、(i)基質としての過酸化水素と西洋ワサビペルオキシダーゼ、その際、水素ペルオキシダーゼは色素前駆体を酸化する(たとえば、オルソフェニレンジアミン(OPD)、又は3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン塩酸塩(TMB);(ii)発色性基質としてのリン酸パラニトロフェニルとアルカリホスファターゼ(AP)、及び(iii)発色性基質(たとえば、p−ニトロフェニル−β−D−ガラクトシダーゼ)又は蛍光基質、4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトシダーゼを伴った−β−D−ガラクトシダーゼ(β−D−Gal)が挙げられる。
【0135】
特定の実施形態では、検出剤は、必ずしも診断剤に抱合されないが、診断剤の存在を認識することが可能であり、診断剤を検出することができる。
【0136】
特定の実施形態では、ペプチドHPP/HPCは、キット、すなわち、診断アッセイを行うための指示書と所定の量での試薬の包装された組み合わせで提供され得る。HPP/HPCが酵素で標識される場合、キットは、基質と、酵素によって必要とされる補因子(たとえば、検出可能な発色団又は蛍光団を提供する基質前駆体)を含む。加えて、たとえば、安定剤、緩衝液(たとえば、ブロック緩衝液又は溶解緩衝液)などのような添加剤が含まれてもよい。種々の試薬の相対的な量は、広く変化して、アッセイの感度を実質的に最適化する試薬の溶液の濃度を提供してもよい。特に、試薬は、乾燥粉末として提供されてもよく、溶解の際、適切な濃度を有する試薬溶液を提供する賦形剤を含んで、普通、凍結乾燥されてもよい。
iii)所望の特性について物質をスクリーニングする方法
【0137】
本発明の別の態様は、所望の特性についてHPP/HPCをスクリーニングする方法に関する。
【0138】
特定の実施形態では、方法は以下を含む:
(1)リンカーを介して試験機能ユニットを輸送ユニットに共有結合して試験組成物を形成すること(又はリンカーを介して機能ユニットを試験輸送ユニットに共有結合する、又は試験リンカーを介して機能ユニットを輸送ユニットに共有結合する);
(2)生体系に試験組成物を投与すること;
(3)試験組成物が所望の性質又は特性を有するかどうか判定すること。
【0139】
一実施形態では、所望の特性には、たとえば、(1)高浸透性組成物を形成する又は親薬剤に戻る試験機能ユニットの能力、(2)試験組成物の浸透能力及び/又は浸透率、(3)試験組成物の効率及び/又は有効性、(4)試験輸送ユニットの輸送能力、及び(5)試験リンカーの切断能が挙げられる。
iv)生物対象における状態を治療する方法
【0140】
本発明の別の態様は、生物対象における状態を治療することにおける本発明の組成物の使用方法に関する。方法は、生体系に医薬組成物を投与することを含む。
【0141】
用語「治療すること」は本明細書で使用されるとき、治癒すること、緩和すること、抑制すること又は予防することを意味する。用語「治療する」は本明細書で使用されるとき、治癒する、緩和する、抑制する又は予防する、を意味する。用語「治療」は、本明細書で使用されるとき、治癒、緩和、抑制又は予防を意味する。
【0142】
用語「生体系」、「生物対象」又は「対象」は本明細書で使用されるとき、臓器、特定の課題を実施するのに一緒に機能する臓器の群、生物又は生物の群を意味する。用語「生物」は本明細書で使用されるとき、多かれ少なかれ安定な全体として機能し、生命、たとえば、動物、植物、真菌又は微生物の特性を有する分子の集合を意味する。
【0143】
用語「動物」は本明細書で使用されるとき、自発的な運動を特徴とする真核生物を意味する。動物の例には、限定しないで、脊椎動物(たとえば、ヒト、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、ヤツメウナギ及びナメクジウオ)、尾索類の動物(たとえば、サルバ、オタマボヤ、ソルベラ及びホヤ)、チョウチンガイ亜綱(昆虫類、多足類、マラカドパ、クモ類、ウミグモ類、節口類、甲殻類、及び環形動物)、有関節類(側節足動物)、並びに蠕虫類(たとえば、ワムシ)が挙げられる。
【0144】
用語「植物」は本明細書で使用されるとき、植物界に属する生物を意味する。植物の例には、限定しないで、種子植物、コケ植物、シダ植物及びシダ植物の仲間が挙げられる。種子植物の例には、限定しないで、ソテツ、イチョウ、針葉樹、配偶体、被子植物が挙げられる。コケ植物の例には、限定しないで、ゼニゴケ、マツモ及びコケが挙げられる。シダ植物の例には、限定しないで、オフィオグロッサ(たとえば、アダーズトング、ギンセンソウ、及びブドウシダ)、リュウビンタイ及び薄嚢シダが挙げられる。シダ植物の仲間の例には、限定しないで、リコブシダ(たとえば、ヒカゲノカズラ、スパイクコケ及びミズニラ)、マツバラン(たとえば、リコポジオフィタ及びホウキシダ)並びにトクサ類(たとえば、トクサ)が挙げられる。
【0145】
用語「真菌」は本明細書で使用されるとき、真菌界に属する真核生物を意味する。真菌の例には、限定しないで、ツボカビ、コウマクノウキン、ネオカリマスティクス、ケカビ、グロムスカビ、子嚢菌及び担子菌が挙げられる。
【0146】
用語「微生物」は本明細書で使用されるとき、顕微鏡的である(たとえば、マイクロメートルの長さ尺度である)生物を意味する。微生物の例には、限定しないで、細菌、真菌、古細菌、原生動物、及び顕微鏡的植物(たとえば、緑藻)及び顕微鏡的動物(たとえば、プランクトン、プラナリア及びアメーバ)が挙げられる。
【0147】
方法が治療することができる状態の一部の例には、HPP/HPCの親薬剤によって治療することができる状態が含まれる。
v)治療におけるペプチドHPP/HPC及びその医薬組成物の使用方法
【0148】
本発明の別の態様は、ペプチドHPP/HPC又はその医薬組成物を生体系又は対象に投与することによって生体系又は対象における状態を治療することにおいてペプチドHPPs/HPCs又はその医薬組成物を使用する方法に関する。
【0149】
ペプチド及びペプチド関連化合物を用いて生体系における生物過程の広い範囲を調節することができる。そのような生物過程の関連する状態は、相当するペプチド又はペプチド関連化合物によって治療可能であり、従ってペプチドHPP/HPC及びその医薬組成物によって治療可能である。
【0150】
そのような状態には、加齢、狭心症、アンチトロンビン欠損、不整脈、アテローム性硬化症、心房細動、心房粗動、血栓、心虚血、心臓手術、心筋症、循環器異常、頚動脈疾患、胸痛、循環障害、跛行、コラーゲン血管疾患、先天性心疾患、鬱血性心不全、冠動脈疾患、糖尿病、糖尿病及び高血圧症、脂質異常症、律動不整、高トリグリセリド、心臓欠陥、心疾患、心不全、心臓弁膜症、血管腫、高コレステロール、高トリグリセリド血症、間欠性跛行、高血圧症、川崎病、心臓発作、心筋虚血、起立性低血圧症、末梢動脈疾患、末梢動脈閉塞性疾患、末梢血管疾患、レイノルド病、喫煙停止、頻脈(速い心拍)、血栓症、静脈瘤、血管疾患、静脈肺潰瘍、歯肉炎、歯肉疾患、口臭、口腔癌、歯周病、側頭下顎骨障害、側頭下顎骨関節症候群、日焼け、ニキビ、皮膚の加齢、脱毛症、知覚麻痺、水虫、アトピー性皮膚炎、褥瘡(褥瘡性潰瘍)、腱膜瘤、火傷、火傷性感染、ヘルペス(口唇ヘルペス感染)、先天性皮膚疾患、接触性皮膚炎、皮膚エリテマトーデス、糖尿病性下腿潰瘍、湿疹、過剰発汗、Fabry病、真菌感染、性器ヘルペス、陰部疣贅、脱毛、毛髪除去、手の皮膚炎、頭部シラミ、血管腫、遺伝性血管浮腫、単純性ヘルペス感染、帯状疱疹感染、ヘルペス性神経痛、皮疹、魚鱗癬、虚血性下腿潰瘍、角化症、狼瘡、男性型はげ頭症、悪性黒色腫、医療用補綴学、黒色腫、伝染性軟属腫、菌状息肉腫、爪甲真菌症、尋常性天疱瘡、ヘルペス後神経痛、圧迫性潰瘍、乾癬及び乾癬障害、乾癬性関節炎、カミソリ負け、酒さ、サルコイドーシス、頭皮の障害、外傷組織、強皮症、脂漏症、脂漏性皮膚炎、帯状疱疹、皮膚癌、皮膚感染、皮膚脂肪腫、皮膚創傷、日光黒子、スポロトリクム症、ブドウ球菌皮膚感染、鬱滞性皮膚炎、伸展裂創、全身性真菌感染、日光毒性、白癬、頭部白癬、癜風、蕁麻疹、白斑、イボ、創傷、末端肥大症、副腎癌、先天性副腎過形成、糖尿病(I型及びII型)、糖尿病(I型)、糖尿病(II型)、糖尿病性胃麻痺、糖尿病性腎疾患、糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性腎障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性硝子体出血、脂質異常症、女性ホルモン欠損/異常、フレドリックソンIII型、高リポタンパク血症、成長ホルモン欠損/異常、女性化乳房、毛髪除去、高脂血症、ホルモン欠損、顔面紅潮、副甲状腺機能亢進症、特発性小人症、適応:糖尿病II型、男性ホルモン欠損/異常、McCune−Albright症候群、更年期障害、代謝性症候群、肥満、卵巣癌、膵臓癌、膵臓障害、膵炎、副甲状腺癌、副甲状腺疾患、副甲状腺障害、閉経期、思春期障害、多嚢胞性卵巣症候群、閉経後障害、閉経後骨減少症、性的早熟、一次インスリン過剰分泌、重度小人症、性的機能不全、甲状腺疾患、甲状腺障害、ターナー症候群、ウイルムス腫瘍、ウイルソン病、腹部癌、アカラシア、α1アンチトリプシン欠損、裂肛、虫垂炎、バレット食道、胆管癌、大腸機能不全、セリアック病、慢性下痢、クロストリジウム・ディフィシレ関連の下痢、結腸癌、結腸ポリープ、結腸直腸癌、便秘、クローン病、糖尿病性胃麻痺、消化器系腫瘍、十二指腸潰瘍、Fabry病、糞便失禁、機能性消化不良、胆嚢障害、胃癌、胃潰瘍、胃腸炎、胃食道逆流疾患、消化器疾患及び障害、胃麻痺、胸焼け、ヘリコバクターピロリ、痔、肝性脳症、イレウス、感染性大腸炎、炎症性大腸疾患、腹腔内感染、刺激性大腸症候群、肝臓疾患、肝臓傷害、非糜爛性逆流疾患、非潰瘍性消化不良、臓器移植後の臓器拒絶、手術後神経痛及び嘔吐、嘔吐、直腸癌、直腸疾患、再発性下痢、胃癌、胃不快感、潰瘍性大腸炎、異常血管、急性骨髄性白血病、貧血、貧血(非ホジキンリンパ腫)、非小細胞肺癌、貧血性癌、動脈瘤、抗リン脂質症候群、アンチトロンビン欠損、再生不良性貧血、血栓、カンジダ敗血症/カンジダ症、慢性腎性貧血、ゴーシェ病、血液癌、血液障害、発作性ヘモグロビン尿症、出血、高カルシウム血症、低ガンマグロブリン血症、低ナトリウム血症、特発性血小板減少性紫斑病、島細胞癌、白血病、B細胞リンパ腫、リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、心筋虚血、閉塞症、血小板欠損、血小板障害、赤血球障害、腎性貧血、セザリー症候群、鎌状赤血球病、T細胞リンパ腫、サラセミア、血小板減少症、フォン・ヴィレブランド病、白血球障害、後天性免疫不全症候群(AIDS)、AIDS関連感染、急性鼻炎、アレルギー、喘息、肛門形成不全症、細菌感染、口内炎、セリアック病、頚部異形成症、水疱瘡、慢性疲労症候群、風邪、分類不能型免疫不全、細菌性結膜炎、慢性閉塞性肺疾患、皮膚カンジダ症、皮膚T細胞リンパ腫、サイトメガロウイルス感染症、皮膚筋炎、発熱、移植片宿主病、肝炎、B型肝炎、C型肝炎、HIV感染、HIV/AIDS、ヒトパピローマウイルス感染、低ガンマグロブリン血症、特発性炎症性心筋症、インフルエンザ、腹腔内感染、カポジ肉腫、狼瘡、ライムダニ疾患、トリ型結核菌複合体感染、髄膜炎、爪甲真菌症、口腔カンジダ症、肺炎、多発性筋炎、(炎症性筋疾患)、ヘルペス後神経痛、一次免疫不全障害、呼吸器合胞体ウイルス感染、リウマチ熱、アレルギー性鼻炎、ロタウイルス感染、サルコイドーシス、敗血症及び敗血症、性的感染疾患、帯状疱疹、シェーグレン症候群、天然痘、軟組織感染、ブドウ球菌感染、ブドウ球菌皮膚感染、連鎖球菌性咽頭炎、全身性カンジダ症、全身性エリテマトーデス、咽喉及び扁桃腺の感染、蕁麻疹、バンコマイシン耐性腸球菌、西ナイルウイルス感染、末端肥大症、強直性脊椎炎、骨損失、運動傷害、骨疾患、骨転移、胸痛、腱膜瘤、滑液嚢炎、手根管症候群、軟骨傷害、胸痛、慢性背痛、慢性下腿痛、慢性疼痛、慢性肩痛、跛行、先天性乳酸アシドーシス、結合組織疾患、皮膚筋炎、デュプイトラン病、線維筋肉痛、有痛性肩拘縮症、接着性被膜炎、通風(高尿酸血症)、特発性炎症性心筋症、間欠性跛行、関節傷害、膝傷害、多発性硬化症、筋肉痛、筋ジストロフィ、筋骨格疾患、重症筋無力症(慢性脱力)、一般化された重症筋無力症、整形外科、変形性関節症、骨髄炎、骨粗鬆症、骨肉腫、パジェット病、部分的中間の膝関節半月板切除術、副甲状腺疾患、閉経後の骨減少症、閉経後の骨粗鬆症、反射性交感神経性ジストロフィー症候群、関節リウマチ、坐骨神経痛、脊髄障害、脊髄悪性疾患、脊椎人工関節、捻挫、腱外傷、テニス肘、顔面痙攣、肛門異形成、良性の前立腺過形成、膀胱癌、膀胱障害、血液癌、カテーテル合併症、慢性骨盤痛、糖尿病性腎疾患、遺尿症、勃起障害、Fabry病、夜間多尿症、泌尿器生殖器脱出症、糸球体腎炎、糸球体硬化症、特発性膜性腎症、インポテンツ、間質性膀胱炎、腎臓癌、腎臓疾患、腎不全、腎結石、肝臓癌、低テストステロン、乳房切除、医療用補綴学、腎症、ペーロニ病、早漏、前立腺癌、前立腺障害、前立腺上皮内腫瘍、タンパク尿、ライター症候群、腎動脈疾患、腎細胞癌、腎不全、精巣癌、チロシン血症、尿道狭窄、尿失禁、尿管感染、尿路癌、男性勃起不全及び女性性的不能、全身性血圧、流産、高血圧制御、血小板凝集の阻害、肺疾患、消化器疾患、炎症、ショック、生殖、受胎能力、肥満が挙げられるが、これらに限定されない。
【0151】
血小板の凝集に関連する症状には、たとえば、手術後の血栓塞栓症、頚動脈の動脈内膜切除、冠動脈の血管新生後の狭窄の再発、慢性心房細動における血栓塞栓症の合併、大動脈冠動脈−動脈バイパス移植の閉塞、心臓発作、卒中、多重梗塞痴呆、痴呆、血液透析シャント血栓症、及び患者の人工心臓弁における動脈塞栓の合併が挙げられる。
【0152】
ペプチドHPP/HPC又はその医薬組成物を用いることを含む方法によって治療可能である状態の一部の例には、限定しないで、ペプチドホルモン関連の状態、炎症及び関連した状態、血小板凝集に関連した状態、神経ペプチドに関連した状態、微生物に関連した状態、及びペプチド又はペプチド関連化合物によって調節されるそのほかの状態が挙げられる。
【0153】
特定の実施形態では、ペプチドで治療可能な状態を治療する方法は、ペプチド又はペプチド関連化合物、たとえば、アンギオテンシン、アンギオテンシンIIの拮抗剤、アンギオテンシンIIAT2受容体、抗菌ペプチド、抗オキシトシン、ホルモン、抗利尿ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、抗菌ペプチド、抗炎症性ペプチド、ブラジキニン、ブラジキニンの拮抗剤、エンドセリンペプチド、エンドセリンペプチドの拮抗剤、ガストリン、カルシトニン、メラニン形成細胞関連の抗原ペプチド、ラミニンペプチド、フィブリノーゲンペプチド、EAE誘導ペプチド、成長ホルモン、成長ホルモン放出ペプチド、ソマトスタチン、ホルモン放出ホルモン、黄体形成ホルモン放出ホルモン、神経ペプチド、メラニン形成細胞刺激ホルモン、睡眠誘導ペプチド、アミロイドペプチド、ツフトシン、レトロインバルソ型ツフトシン、エンテロスタチン、メラノコルチンII,及びオピオイドペプチド及び模倣体のペプチドHPP/HPCを生体系に投与することを含む。
【0154】
特定の実施形態では、ペプチドホルモン関連の状態を治療する方法は、ペプチドホルモン若しくはペプチドホルモン関連化合物のHPP/HPC、又はその医薬組成物を生体系に投与することを含む。生体系では、ホルモンは、たとえば、エネルギーレベル、生殖、成長及び発生、恒常性、並びに周囲、ストレス及び傷害に対する反応のような広い範囲の過程を調節する。ペプチドホルモンに関連した状態の例には、限定しないで以下が挙げられる:
(a)閉経;
(b)骨疾患:たとえば、骨粗鬆症、パジェット病及び骨転移;
(c)成長ホルモンの欠損;
(d)甲状腺機能亢進及び甲状腺機能低下
(e)代謝性障害、たとえば、肥満、異常な血糖値、異常な血液脂質レベル、糖尿病(I型及びII型)及び、糖尿病性網膜症、壊死性潰瘍及び糖尿病性タンパク尿を含む、糖尿病が誘導する合併症;
(f)異常な血圧、たとえば、高血圧症及び低血圧症;
(g)皮膚の状態、たとえば、乾癬及び乾癬性障害、ニキビ、嚢腫性座瘡、膿性又は発赤の瘤、面皰、丘疹、丘疹、結節、類表皮嚢胞、角化症、毛胞、異常な血管皮膚病変、母斑、あざ(神経)、軟性線維腫、強皮症、白斑、及び関連する疾患、又は加齢染み(肝斑);
(h)自己免疫疾患、たとえば、円板状エリテマトーデス、全身性エリテマトーデス(SLE)、自己免疫性肝炎、強皮症、シェーグレン症候群、関節リウマチ、多発性筋炎、強皮症、橋本甲状腺炎、若年性糖尿病、アジソン病、白斑、悪性貧血、糸球体腎炎、肺線維症、多発性硬化症(MS)及びクローン病;
(i)眼疾患、たとえば、緑内障、眼内高血圧、眼科手術後の視力の低下、類嚢胞黄斑部浮腫によって損傷された温血動物の視力、及び白内障;
(j)高リスク女性における子癇前症性中毒症;
(k)男性及び女性の性的不能;
(j)アレルギー及び喘息
(k)不眠症;
(l)うつ病及び関連する状態;
(m)循環器疾患、たとえば、心臓発作、不安定狭心症、末梢閉塞性動脈疾患及び卒中;
(n)腫瘍、たとえば、良性腫瘍、乳癌、結腸直腸癌、口腔癌、肺又はそのほかの呼吸器系の癌、皮膚癌、子宮癌、膵臓癌、前立腺癌、生殖器の癌、泌尿器の癌、白血病、又はそのほかの血液及びリンパ組織の癌;並びに
(o)転移。
【0155】
特定の実施形態では、微生物関連の状態を治療する方法は、抗菌ペプチド若しくは抗菌ペプチド関連化合物のHPP/HPC、又はその医薬組成物を生体系に投与することを含む。微生物関連の状態の例には限定しないで、炎症及び関連する状態:
(a)疼痛;
(b)外傷;
(c)微生物に関連する状態;
(d)炎症関連の状態、たとえば、前立腺の炎症(前立腺炎)、前立腺膀胱炎、前立腺肥大線維症、痔、川崎症候群、胃腸炎、1型膜増殖性糸球体腎炎、バーター症候群、慢性ブドウ膜炎、強直性脊椎炎、血友病性関節症、炎症性の痔、放射線照射後の(人工造設の)直腸炎、慢性潰瘍性大腸炎、炎症性大腸疾患、腺窩炎、歯周病、関節炎、及び肝臓、肺、胃、脳、腎臓、心臓、耳、眼、鼻、口、舌、結腸、膵臓、胆嚢、十二指腸、直腸、胃、結腸直腸、腸、静脈、呼吸器系、血管、肛門直腸から成る群から選択される臓器における炎症状態、並びに肛門掻痒が挙げられる。
【0156】
特定の実施形態では、神経ペプチド関連の状態を治療する方法は、神経ペプチド若しくは神経ペプチド関連化合物のHPP/HPC、又はその医薬組成物を生体系に投与することを含む。神経関連の状態の例には限定しないで、疼痛、及び神経変性疾患、たとえば、アルツハイマー病及びパーキンソン病が挙げられる。
【0157】
HPP/HPC、又はその医薬組成物によって治療可能であるそのほかの状態には、限定しないで、血小板凝集、たとえば、手術後の血栓塞栓症、頚動脈の動脈内膜切除、冠動脈の血管新生後の狭窄の再発、慢性心房細動における血栓塞栓症の合併、大動脈冠動脈−動脈バイパス移植の閉塞、心臓発作、卒中、多重梗塞痴呆、痴呆、血液透析シャント血栓症、及び患者の人工心臓弁における動脈塞栓の合併に関連する状態;分娩前及び分娩後、抗AD活性、抗利尿活性、脳の外傷、カルシウムの恒常性、メラニン形成細胞、CNSの活動及び貪食作用に関する状態が挙げられる。
【0158】
特定の実施形態ではペプチド又はペプチド関連化合物で改善可能な又は治療可能な対象にて状態を治療する方法は、治療上有効な量のペプチドHPP/HPC又はその医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0159】
HPP/HPC又はその医薬組成物は、経口、腸管、頬内、鼻内、局所、直腸、膣、エアゾール、経粘膜、表皮、経皮、皮膚、眼内、肺、皮下、及び/又は非経口の投与を含むが、これらに限定されない当該技術で既知の投与経路によって生体系に投与することができる。医薬組成物は、投与方法によって種々の単位投与形態で投与することができる。
【0160】
非経口投与は、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、関節包内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、皮内、関節内、関節包下、クモ膜下、脊椎内及び/又は胸骨内の注射及び/又は注入を含むが、これらに限定されない通常、注射に関する投与経路を指す。
【0161】
HPP/HPC又はその医薬組成物は、各投与経路に好適な製剤又は調製物の形態で対象に与えることができる。本発明の方法で有用な製剤は、1以上のHPP/HPCと、そのための1以上の薬学上許容可能なキャリアと、任意でそのほかの治療成分を含む。製剤は、単位投与形態で好都合に提示されてもよく、製薬学の技術で既知の方法によって調製されてもよい。キャリア物質と組み合わせて単回投与形態を作出することができる有効成分の量は、治療される対象及び投与の特定の方式によって変化する。キャリア物質と組み合わせて薬学上有効な用量を作出することができるHPP/HPCの量は一般に、治療効果を生じるHPP/HPCの量である。一般に、100パーセントから、この量は、約1パーセント〜約99パーセントのHPP/HPC、好ましくは約20パーセント〜約70パーセントに及ぶ。
【0162】
これらの製剤又は組成物を調製する方法は、HPP/HPCを1以上の薬学上許容可能なキャリア及び1以上の付属成分と一緒にする工程を含む。一般に、製剤は、HPP/HPCを液体キャリア又は細かく分割された固体キャリアと密に一緒にし、次いで必要に応じて生成物を成形することによって調製される。
【0163】
経口投与に好適な製剤は、カプセル、カシェ、丸薬、錠剤、飴錠剤(風味の有る基剤、普通、スクロース及びアカシア又はトラガカントを用いて)、粉剤、顆粒の形態であってもよく、水性液体若しくは非水性液体における溶液若しくは懸濁液として、又は水中油若しくは油中水のエマルションとして、又はエリキシル若しくはシロップとして、又はトローチ(不活性基剤、たとえば、ゼラチン及びグリセリン、又はスクロース及びアカシアを用いて)、及び/又はうがい薬などとしてであってもよく、それぞれ、有効成分として所定の量のHPP/HPCを含有する。化合物は、ボーラス、舐剤又はペーストとしても投与されてもよい。
【0164】
経口投与用の固体投与形態(たとえば、カプセル、錠剤、丸薬、糖衣錠、粉剤、顆粒など)では、HPP/HPCは、1以上の薬学上許容可能なキャリア、たとえば、クエン酸ナトリウム又はリン酸カルシウム、及び/又は以下:(1)たとえば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール及び/又は珪酸のような充填剤又は増量剤;(2)たとえば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース及び/又はアカシアゴムのような結合剤;(3)グリセロールのような保湿剤;(4)たとえば、寒天−寒天、炭酸カルシウム、ポテトスターチ又はタピオカデンプン、アルギン酸、特定の珪酸塩、及び炭酸ナトリウムのような崩壊剤;(5)パラフィンのような溶液遅延剤;(6)四級アンモニウム化合物のような吸収促進剤;(7)たとえば、アセチルアルコール及びグリセロール一ステアリン酸のような湿潤剤;(8)カオリン及びベントナイト粘土のような吸収剤;(9)たとえば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム及びこれらの混合物のような潤滑剤;(10)着色剤のいずれかと混合される。カプセル、錠剤及び丸薬の場合、医薬組成物は緩衝剤も含んでもよい。同様の型の固形組成物も、高分子量ポリエチレングリコールと同様に、ラクトースや乳糖のような賦形剤を用いた軟質及び硬質のゼラチンカプセルにおける充填剤として採用されてもよい。
【0165】
錠剤は、任意で1以上の補助成分と共に圧縮又は成形によって作製されてもよい。圧縮された錠剤は、結合剤(たとえば、ゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(たとえば、デンプングリコール酸ナトリウム又は架橋されたナトリウムカルボキシメチルセルロース)、表面活性剤又は分散剤を用いて調製されてもよい。成形された錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉体化ペプチド又はペプチド模倣体の混合物を好適な機械で成形することによって作製されてもよい。錠剤、及びそのほかの投与形態、たとえば、糖衣錠、カプセル、丸薬、及び顆粒は任意で、たとえば、腸溶性コーティング及び製薬技術で周知のそのほかのコーティングのようなコーティング又はシェルによって分割又は調製されてもよい。たとえば、様々な比率でヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いて所望の放出特性、そのほかのポリマーマトリクス、リポソーム及び/又はマイクロスフェアを提供して、その中でHPP/HPCの遅延放出又は制御放出を提供できるようにそれらが製剤化されてもよい。それらはまた、たとえば、細菌保持フィルターを介した濾過によって、又は使用直前に無菌水若しくはほかの無菌注射用媒体に溶解することができる無菌固形組成物の形態に無菌化剤を組み入れることによって無菌化することができる。これらの組成物はまた任意で、鎮圧剤を含有してもよく、HPP(s)/HPC(s)のみを、又は優先的に、消化管の特定の部位にて、任意で遅延様態で放出する組成物であってもよい。使用することができる埋め込み型組成物はポリマー物質及びワックスを含む。HPP/HPCはまた、適宜、1以上の上記賦形剤とともに、微細被包形態であることができる。
【0166】
経口投与用の液体投与形態には、薬学上許容可能なエマルション、微細エマルション、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシルが挙げられる。HPP/HPCに加えて、液体投与形態は、たとえば、水又はそのほかの溶媒のような当該技術で一般に使用される不活性希釈剤、可溶化剤及び乳化剤、たとえば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、ヒマシ油及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタンの脂肪酸エステル、及びそれらの混合物を含有してもよい。不活性希釈剤に加えて、経口組成物は、たとえば、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味剤、風味剤、着色剤、芳香剤及び保存剤のような補助剤も含んでもよい。
【0167】
懸濁液は、HPP/HPCに加えて、たとえば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微細結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天−寒天及びトラガカント、及びそれらの混合物のような懸濁剤を含有してもよい。
【0168】
直腸又は膣への投与用の製剤は、座薬として提示されてもよく、それは、たとえば、カカオバター、ポリエチレングリコール、座薬ワックス又はサリチレートを含む好適な賦形剤又はキャリア1以上と共に1以上のHPP/HPCを混合することによって調製されてもよく、それは、室温では固体であるが、体温では液体であるので、直腸又は膣の腔で溶解し、活性剤を放出する。膣投与の好適である製剤にはまた、適宜、当該技術で既知のようなキャリアを含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ジェル、ペースト、泡状物、又はスプレーの製剤が挙げられる。
【0169】
HPP組成物の局所又は経皮又は表皮又は皮膚への投与用の製剤には、粉剤、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ジェル、溶液、貼付剤及び吸入剤が挙げられる。無菌条件下で、活性成分を、薬学上許容可能なキャリア、たとえば、水、エタノール及びエタノール溶液と共に、及び必要とされてもよい保存剤、緩衝液又は高圧ガスと共に混合してもよい。軟膏、ペースト、クリーム及びジェルは、HPP組成物に加えて、たとえば、動物及び植物の脂肪、ワックス、パラフィン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、珪酸、タルク及び酸化亜鉛、及びそれらの混合物のような賦形剤を含有してもよい。粉剤及びスプレーは、HPP組成物に加えて、たとえば、ラクトース、タルク、珪酸、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウム、及びポリアミド粉、又はこれらの物質の混合物のような賦形剤を含有することができる。スプレーはさらに、クロロフルオロ炭化水素、並びにブタン及びプロパンのような揮発性非置換の炭化水素のような通例の高圧ガスを含有することができる。
【0170】
HPP/HPC又はその医薬組成物は或いはエアゾールによって投与することができる。これは、HPPs/HPCsを含有する水性エアゾール、リポソーム調製物又は固体の粒子を調製することによって達成することができる。非水性(たとえば、フルオロカーボン高圧ガス)の懸濁液を使用すればよい。音波噴霧器も使用することができる。水性エアゾールは、従来の薬学上許容可能なキャリア及び安定剤と共に剤の水性溶液又は水性懸濁液を製剤化することによって作製される。キャリア及び安定剤は、特定の化合物の要件によって変化するが、通常、非イオン性界面活性剤(ツイーン、プルロニクス又はポリエチレングリコール)、血清アルブミンのような無害のタンパク質、ソルビタンエステル、オレイン酸、グリシンのようなアミノ酸、緩衝液、塩、糖又は糖アルコールが挙げられる。エアゾールは一般に等張溶液から調製される。
【0171】
経皮貼付剤を用いてHPP組成物を腫瘍部位に送達することもできる。そのような製剤は、適当な媒体に剤を溶解する又は分散することによって作製されてもよい。吸収増強剤を用いてペプチド模倣体の皮膚を横切った流れを増やすことができる。そのような流れの速度は、律速膜を提供すること又はペプチド模倣体をポリマーマトリクス若しくはゲルに分散することによって制御することができる。
【0172】
特定の実施形態では、経皮治療用塗布システムは、その親化合物によって治療可能な状態を治療するための活性物質としてペプチドHPP/HPCを含み、システムは、ペプチドHPP/HPCを溶解することができる溶媒をさらに含むスプレー又は貼る溶液である。溶媒の例には、限定しないでたとえば、水、エタノール、イソプロパノール、アセトン、DMSO、DMF及びそれらの組み合わせのような有機溶媒及び無機溶媒が挙げられる。
【0173】
特定の実施形態では、経皮治療用塗布システムは、その親化合物によって治療可能な状態を治療するための活性物質としてペプチドHPP/HPCを含み、システムはさらに、活性物質を含有するマトリクス層と非透過性の裏打層を含む主部を含む。特定の実施形態では、そのような主部は貼付剤又は帯具である。特定の実施形態では、そのような主部は、皮膚に面した透過性の底部を含む活性物質のリザーバであり、その際、放出の速度を制御することによってシステムは、有効成分又は有効成分の代謝体が最適な治療上の血液レベルに一定に達し、有効性を高め及び有効成分又は有効成分の代謝体の副作用を減らすのを可能にする。
【0174】
眼科用製剤、眼用の軟膏、粉剤、溶液なども本発明の範囲内であると企図される。
【0175】
非経口投与に好適な製剤は、1以上の薬学上許容可能な無菌等張の水溶液又は非水溶液、分散液、懸濁液又はエマルション、又は使用直前に無菌の注射用の溶液若しくは分散液に再構築されてもよい無菌粉剤との組み合わせでHPP/HPCを含み、それは、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、製剤を意図される受入者の血液と等張にする溶質、又は懸濁剤又は増粘剤を含有してもよい。
【0176】
非経口投与に好適な製剤で採用されてもよい好適な水性及び非水性のキャリアの例には、水、エタノール、ポリオール(たとえば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、など)、及び好適なそれらの混合物、オリーブ油のような植物油、及びオレイン酸エチルのような注射用の有機エステルが挙げられる。たとえば、レシチンのようなコーティング物質の使用によって、分散液の場合必要とされる粒度の維持によって、及び界面活性剤の使用によって適切な流動性を維持することができる。
【0177】
非経口投与に好適な製剤は、たとえば、保存剤、湿潤剤、乳化剤及び分散剤のような補助剤も含有してもよい。種々の抗菌剤及び抗真菌剤、たとえば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などを含むことによって微生物の作用の予防を確保してもよい。たとえば、糖、塩化ナトリウムなどのような等張剤を組成物に含むことも望ましくてもよい。加えて、注射用医薬形態の持続性の吸収は、たとえば、一ステアリン酸アルミニウム及びゼラチンのような吸収を遅らす剤を含むことによってもたらされてもよい。
【0178】
注射用デポー形態は、HPP/HPCのマイクロカプセルマトリクスを形成することによって又はたとえば、ポリラクチド−ポリグリコリドのような生分解性ポリマーにて作製される。HPP/HPCとポリマーの比、及び採用される特定のポリマーの性質によって薬剤放出の速度を制御することができる。ほかの生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルソエステル)及びポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射用製剤はまた、生体組織と適合性であるリポソーム又はマイクロエマルションにHPP/HPCを内包することによっても調製される。
【0179】
特定の実施形態では、ペプチドHPP/HPC又はその医薬組成物が、治療上有効な用量で病気の部位又は腫瘍の部位に送達される。製薬学の技術で知られるように、所与の患者における治療の有効性という点で最も効果的な成績を生じるHPP/HPCの薬学上有効な用量の正確な量は、たとえば、2、3例を挙げると、特定のHPP/HPCの活性、特定の性質、薬物動力学、薬物動態、及び生体利用効率、対象の生理的条件(人種、年齢、性別、体重、食事、疾患の種類と段階、全身状態、薬物の所与の投与量と種類に対する応答)、製剤における薬学上許容可能なキャリアの性質、使用される投与の経路と回数、及び病原性標的微生物によって生じた疾患の重症度と傾向に左右される。しかしながら、上記指針は、治療を微調整する、たとえば、投与の最適用量を決定するための基礎として使用することができ、対象をモニターすること及び投与量を調整することから成る日常の実験しか必要としない。Remington:The Science and Practice of Pharmacy (Gennaro編、20.sup.th edition,Williams & Wilkins PA,USA)(2000)。
IV.利点
【0180】
ペプチド及び関連化合物は、親水性であり、皮膚膜バリアに浸透する限定された能力を有する。ペプチドを経口で服用した場合、ペプチド及び関連化合物は数分以内に消化管内でタンパク質分解酵素によって迅速にタンパク分解され得る。注射の場合、ペプチドの投与は、痛く、多くの場合、慢性状態を治療するのに頻繁で費用のかかる来院を必要とする。
【0181】
特定の実施形態では、ペプチドHPP/HPCは親化合物よりも高い効率で1以上の生体バリアを横断することが可能であるので、HPP/HPCを局所的に(局所に又は経皮で)投与して、状態が全身性投与(たとえば、経口投与又は非経口投与)の必要性なしで生じる位置に達することができる。HPP/HPCの局所の投与及び浸透は、親剤又は親薬剤の全身性投与に比べてHPP/HPCのさらに少ない量又は投与量で、HPP/HPCが剤又は薬剤の局所濃度の同一レベルに達するのを可能にし、或いは、全身性投与では得られなくてもよい又は可能ならば、全身性投与で剤の有意に高い投与量を必要とする局所濃度のさらに高いレベルに達するのを可能にする。HPP/HPC又は切断されるのであれば、その親剤の高い局所濃度は、全身性に送達される親薬剤よりも効果的で速い状態の治療を可能にし、また以前可能でなくてもよく、又は観察されなくてもよい新しい状態の治療を可能にする。HPP/HPCの局所投与は、生物対象が、全身性投与による潜在的な苦痛、たとえば、剤への全身性暴露に関連する有害な反応、消化管/腎臓への影響を軽減することを可能にする。さらに、局所投与は、HPP/HPCが複数の生体バリアを横断し、たとえば、全身循環を介して全身に達するので、全身性投与(たとえば、注射)の必要性を回避し、非経口の注射に関連する痛みを未然に防ぐことを可能にする。
【0182】
特定の実施形態では、本発明に係るHPP/HPC又はその医薬組成物を全身性に(たとえば、経皮、経口又は非経口で)投与することができる。HPP/HPC又はHPP/HPCの活性剤(たとえば、薬剤又は代謝体)は、親剤よりも速い速度で全身循環に入り、状態にとって作用部位へのさらに速いアクセスが得られうる。さらに、HPP/HPCは、親剤が単独で投与されると浸透しなかった生体バリア(たとえば、脳血管関門)を横断することができるので、以前は可能ではなく又は認められなくてもよい状態の新規の治療を提供することができる。
【0183】
たとえば、ペプチドHPP/HPCは、生体バリアを介した高い浸透率(たとえば、ペプチド又はペプチド関連化合物が単独で投与されるよりも>約10倍、>約50倍、>約100倍、>約200倍、>約300倍、>約1000倍高い)を示し得る。同様の投与量で親ペプチドを服用した対象で副作用(たとえば、嘔吐、脱毛、易感染性)が認められる一方で、ペプチドHPP/HPCを服用した対象では有害な副作用は認められないか、ほとんど認められない。
V.実施例
【0184】
以下の実施例を提供して主張する本発明をさらに良好に説明するが、それらは、本発明の範囲を限定するとは決して解釈されるべきではない。以下に記載される具体的な組成物、物質及び方法はすべて、全体的に又は部分的に本発明の範囲内に入る。これら具体的な組成物、物質及び方法は本発明を限定するとは意図されず、単に本発明の範囲内に入る具体的な実施形態を説明する。当業者は、発明能力を実行せずに、本発明の範囲から逸脱することなく、同等の組成物、物質及び方法を開発してもよい。本明細書で記載される手順において多数の変異を為すことができるが、それらは依然として本発明の束縛の範囲内にあることが理解されるであろう。そのような変異が本発明の範囲内に含まれることは本発明者らの意図である。
実施例1.親薬剤からのHPP/HPCの調製
少なくとも1つのカルボキシル基を含有する親薬剤からのHPP/HPCの調製
【0185】
特定の実施形態では、以下の構造F−C
【化25】

構造F−C
を有する親化合物を構造L−1
【化26】

構造L−1
を有するHPP/HPCに変換し、それはその立体異性体及び薬学上許容可能な塩を含み、式中、
F、L1C、L1N、L2C、L2N、L4C及びL4Nは上記のように定義され;
Cは、ペプチドHPP/HPCの輸送ユニットである。たとえば、TCは、上記で定義されたような構造Na,構造Nb,構造Nc,構造Nd,構造Ne,構造Nf,構造Ng,構造Nh,構造Ni,構造Nj,構造Nk,構造Nl,構造Nm,構造Nn,構造No,構造Np,構造Nq,及び構造Nrから成る群から選択され:
Nは、無、H,置換及び非置換のアルキル基、置換及び非置換のシクロアルキル基、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル基、置換及び非置換のアルキルオキシ基、置換及び非置換のアルケニル基、置換及び非置換のアルキニル基、置換及び非置換のアリール基、置換及び非置換のヘテロアリール基から成る群から選択される。
【0186】
本発明の特定の実施形態では、構造L−1を有するHPP/HPCは、構造D
【化27】

構造D
(たとえば、酸ハライド、親化合物の混合無水物など)を有する親化合物又は親化合物の誘導体を構造E:TC−L2C−Hの化合物と反応させること(スキーム1)による有機合成に従って調製され、式中、
Cは、OH、ハロゲン、アルコキシカルボニル及び置換アリールオキシカルボニルから成る群から選択され;
F、L1C、L1N、L2C、L2N、L4C、L4N、TC及びTNは上記のように定義される。
【化28】


スキーム1.親化合物からのHPP/HPCの調製(I)
【0187】
特定の実施形態では、構造L−1を有するHPP/HPCは、上述のようなスキーム1に従って調製され、式中、L4CはC=Oである。
【0188】
特定の実施形態では、以下の構造F:
【化29】

構造F−N
を有する親化合物が、以下の構造W:
【化30】

構造W
を有する化合物と反応して構造L
【化31】

構造L−1
のHPP/HPCが得られ、その立体異性体及び薬学上許容可能な塩を含み、式中、
F、L1C、L1N、L2C、L2N、L4C、及びL4Nは上記のように定義され
Nは、ペプチドHPP/HPCの輸送ユニットである。たとえば、TNは、上記で定義されたような構造Na,構造Nb,構造Nc,構造Nd,構造Ne,構造Nf,構造Ng,構造Nh,構造Ni,構造Nj,構造Nk,構造Nl,構造Nm,構造Nn,構造No,構造Np,構造Nq,及び構造Nrから成る群から選択され:
Cは、無、H,置換及び非置換のアルキル基、置換及び非置換のシクロアルキル基、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル基、置換及び非置換のアルキルオキシ基、置換及び非置換のアルケニル基、置換及び非置換のアルキニル基、置換及び非置換のアリール基、置換及び非置換のヘテロアリール基から成る群から選択され;
Nは、OH、ハロゲン、アルコキシカルボニル及び置換アリールオキシカルボニルオキシから成る群から選択される(スキーム2)。
【化32】


スキーム2.親化合物からのHPP/HPCの調製(II)
【0189】
特定の実施形態では、構造L−2の構造を有するHPP/HPCは、上述のような合成経路の1つに従って輸送ユニットを機能ユニットに連結する前に、たとえば、−COOH、−NH2、−OH又はSHのような望ましくない反応部位を保護する有機合成によって調製される。特定の実施形態では、得られた保護されたHPP/HPCをさらに部分的に又は完全に脱保護して、それぞれ部分的に保護されたHPP/HPC又は脱保護されたHPP/HPCにしてもよい。
Ac−Val−Pro−Asp(OEt)−Pro−Arg(diAc)−OCH2CH2N(CH2CH32・HClの調製
【0190】
H−Arg(diAc)−OCH2CH2N(CH2CH32の調製:30.8gのA−Arg−OHを500mLのアセトンに溶解した。200mLの20%NaOHを反応混合物に加えた。40gの無水酢酸を一滴ずつ反応混合物に加えた。室温(RT)にて混合物を2時間撹拌した。溶媒を蒸発させた。500mLの酢酸エチルで残留物を抽出した。酢酸エチル溶液を水で洗浄した(100mLで3回)。酢酸エチル層を硫酸マグネシウム上で乾燥させた。酢酸エチル溶液を乾燥するまで蒸発させた。残留物(Z−Arg(diAc)−OH、30g)を300mLのアセト二トリルに溶解した。氷水槽にて混合物を0℃に冷却した。12gのN,N−ジエチルアミノエタノールと、2gの4−ジメチルアミノピリジンと、22gの1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドを反応混合物に加えた。反応混合物を0℃で1時間、RTにて一晩撹拌した。濾過によって固形物を取り除き、溶液を乾燥するまで蒸発させた。残留物を酢酸エチルで抽出した(250mLで2回)。酢酸エチル溶液を5%の重炭酸ナトリウム(500mLで1回)及び水(100mLで3回)で洗浄した。酢酸エチル溶液を硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶液を乾燥するまで蒸発させた。残留物[Z−Arg(diAc)−OCH2CH2N(CH2CH32、28g]を300mLのメタノールに溶解した。2gの10%Pd/Cを溶液に加えた。混合物をRTにて水素のもとで10時間撹拌した。Pd/Cを濾過によって取り除いた。溶液を乾燥するまで蒸発させて22gのH−Arg(diAc)−OCH2CH2N(CH2CH32を得た。
【0191】
Boc−Asp(OEt)−Pro−OSuの調製:15gのL−プロリンを300mLの10%重炭酸ナトリウムに溶解した。150mLのアセトンと36gのBoc−Asp(OEt)−OSuを反応混合物に加えた。混合物をRTにて5時間撹拌した。混合物をエーテル(300mLで1回)で洗浄した。500mLの酢酸エチルを水性層に加えた。氷冷3NのHClによって混合物のpHを2.4〜2.5に調整した。酢酸エチル層を回収し、水で洗浄した(300mLで3回)。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶液を乾燥するまで蒸発させた。25gの残基(Boc−Asp(OEt)−Pro−OH)と11gのN−ヒドロキシスクシンイミドを300mLのジクロロメチレンに溶解した。混合物を0℃に冷却した。16gの1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドを反応混合物に加えた。混合物を0℃で1時間撹拌した。濾過によって固形物を取り除いた。ジクロロメチレン溶液を5%重炭酸ナトリウム(200mLで1回)と水(200mLで3回)で洗浄した。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶液を乾燥するまで蒸発させて28gのBoc−Asp(OEt)−Pro−OSuを得た。
【0192】
H−Asp(OEt)−Pro−Arg(diAc)−OCH2CH2N(CH2CH32.2TFAの調製:22gのH−Arg(diAc)−OCH2CH2N(CH2CH32を300mLの5%NaHCO3に溶解した。150mLのアセトン中の24gのBoc−Asp(OEt)−Pro−OSuを反応混合物に加えた。混合物をRTにて5時間撹拌した。500mLの酢酸エチルを混合物に加えた。酢酸エチル溶液を水で洗浄した(100mLで3回)。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶液を乾燥するまで蒸発させた。残留物を250mLのジクロロメチレンに溶解した。200mLのトリフルオロ酢酸を混合物に加え、混合物を30分間撹拌した。混合物を乾燥するまで蒸発させて32gのH−Asp(OEt)−Pro−Arg(diAc)−OCH2CH2N(CH2CH32.2TFAを得た。
【0193】
Ac−Val−Pro−OSuの調製:15gのL−プロリンを300mLの10%重炭酸ナトリウムに溶解した。150mLのアセトンと26gのAc−Val−OSuを反応混合物に加えた。混合物をRTで5時間撹拌した。混合物をエーテルで洗浄した(300mLで1回)。500mLの酢酸エチルを水性層に加えた。氷冷3NのHClで混合物のpHを2.4〜2.5に調整した。酢酸エチルの層を回収し、水で洗浄した(300mLで3回)。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶液を乾燥するまで蒸発させた。20gの残留物(Ac−Val−Pro−OH)と11gのN−ヒドロキシスクシンイミドを300mLのジクロロメチレンに溶解した。混合物を0℃に冷却した。16gの1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドを反応混合物に加えた。混合物を0℃にて1時間撹拌した。濾過によって固形物を取り除いた。ジクロロメチレン溶液を5%重炭酸ナトリウム(200mLで1回)と水(200mLで3回)で洗浄した。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶液を乾燥するまで蒸発させて20gのAc−Val−Pro−OSuを得た。
【0194】
Ac−Val−Pro−Asp(OEt)−Pro−Arg(diAc)−OCH2CH2N(CH2CH3)2・HClの調製:31gのH−Asp(OEt)−Pro−Arg(diAc)−OCH2CH2N(CH2CH32・2TFAを300mLの10%重炭酸ナトリウムに溶解した。150mLのアセトンと15gのAc−Val−Pro−OSuを反応混合物に加えた。混合物をRTで5時間撹拌した。500mLの酢酸エチルを混合物に加えた。有機層を水で洗浄した(100mLで3回)。酢酸エチル層を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾過によって硫酸ナトリウムを取り除いた。ジオキサン(200mL)中15gのHClガスを溶液に加えた。固形物を回収し、エーテル(50mLで3回)で洗浄した。乾燥させた後、20gの所望の生成物(吸湿性生成物)を得た。元素分析:C3966ClN911;分子量:872.45.計算値%C:53.69;H:7.62;Cl:4.06;N:14.45;O:20.17;観察値%C:53.61;H:7.67;Cl:4.10;N:14.40,O:20.22.MS:m/e:836.4;m/e+1:836.4。
Ac−Tyr(Ac)−Gly−Gly−Phe−Met−OCH2CH2N(CH2CH32・HClの調製
【0195】
H−Met−OCH2CH2N(CH2CH32・TFAの調製:25gのBoc−Met−OHを300mLのジクロロメチレンに溶解した。氷水槽にて混合物を0℃に冷却した。12gのN,N−ジエチルアミノエタノールと2gの4−ジメチルアミノピリジンと22gの1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドを反応混合物に加えた。反応混合物を0℃で1時間、RTで一晩撹拌した。濾過によって固形物を取り除き、ジクロロメチレン溶液を5%重炭酸ナトリウム(500mLで1回)と水(100mLで3回)で洗浄した。酢酸エチル溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶液を乾燥するまで蒸発させた。残留物[Boc−Met−OCH2CH2N(CH2CH32,30g]を250mLのジクロロメチレンに溶解した。250mLのトリフルオロ酢酸を混合物に加え、混合物を30分間撹拌した。溶液を乾燥するまで蒸発させて26gのH−Met−OCH2CH2N(CH2CH32・TFAを得た。
【0196】
Boc−Gly−Phe−OSuの調製:20gのL−フェニルアラニンを300mLの10%重炭酸ナトリウムに溶解した。150mLのアセトンと28gのBoc−Gly−OSuを反応混合物に加えた。混合物をRTで5時間撹拌した。混合物をエーテル(300mLで1回)で洗浄した。500mLの酢酸エチルを水性層に加えた。氷冷3NのHClで混合物のpHを2.4〜2.5に調整した。酢酸エチルの層を回収し、水で洗浄した(300mLで3回)。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶液を乾燥するまで蒸発させた。22gの残留物(Boc−Gly−Phe−OH)と10gのN−ヒドロキシスクシンイミドを300mLのジクロロメチレンに溶解した。混合物を0℃に冷却した。15gの1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドを反応混合物に加えた。混合物を0℃にて1時間撹拌した。濾過によって固形物を取り除いた。ジクロロメチレン溶液を5%重炭酸ナトリウム(200mLで1回)と水(200mLで3回)で洗浄した。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶液を乾燥するまで蒸発させて25gのBoc−Gly−Phe−OSuを得た。
【0197】
Gly−Phe−Met−OCH2CH2N(CH2CH32・TFAの調製:25gのH−Met−OCH2CH2N(CH2CH32・TFAを300mLの5%NaHCO3に溶解した。150mLのアセトン中22gのBoc−Gly−Phe−OSuを反応混合物に加えた。混合物をRTで5時間撹拌した。500mLの酢酸エチルを混合物に加えた。酢酸エチル溶液を水で洗浄した(100mLで3回)。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶液を乾燥するまで蒸発させた。残留物を250mLのジクロロメチレンに溶解した。200mLのトリフルオロ酢酸を混合物に加え、混合物を30分間撹拌した。混合物を乾燥するまで蒸発させて25gのGly−Phe−Met−OCH2CH2N(CH2CH32・TFAを得た。
【0198】
Ac−Tyr(Ac)−Gly−OSuの調製:L−グリシンを300mLの10%重炭酸ナトリウムに溶解した。150mLのアセトンと36gのAc−Tyr(Ac)−OSuを反応混合物に加えた。混合物をRTで5時間撹拌した。混合物をエーテルで洗浄した(300mLで1回)。500mLの酢酸エチルを水性層に加えた。氷冷3NのHClで混合物のpHを2.4〜2.5に調整した。酢酸エチルの層を回収し、水で洗浄した(300mLで3回)。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶液を乾燥するまで蒸発させた。28gの残留物(Ac−Tyr(Ac)−Gly−OH)と13gのN−ヒドロキシスクシンイミドを300mLのジクロロメチレンに溶解した。混合物を0℃に冷却した。18gの1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドを反応混合物に加えた。混合物を0℃にて1時間撹拌した。濾過によって固形物を取り除いた。ジクロロメチレン溶液を5%重炭酸ナトリウム(200mLで1回)と水(200mLで3回)で洗浄した。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶液を乾燥するまで蒸発させて20gのAc−Tyr(Ac)−Gly−OSuを得た。
【0199】
Ac−Tyr(Ac)−Gly−Gly−Phe−Met−OCH2CH2N(CH2CH32・HClの調製:24gのH−Gly−Phe−Met−OCH2CH2N(CH2CH32・TFAを300mLの10%重炭酸ナトリウムに溶解した。150mLのアセトンと15gのAc−Tyr(Ac)−Gly−OSuを反応混合物に加えた。混合物をRTで5時間撹拌した。500mLの酢酸エチルを混合物に加えた。有機層を水で洗浄した(100mLで3回)。酢酸エチル層を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾過によって硫酸ナトリウムを取り除いた。ジオキサン(200mL)中15gのHClガスを溶液に加えた。固形物を回収し、エーテル(50mLで3回)で洗浄した。乾燥させた後、18gの所望の生成物(吸湿性生成物)を得た。元素分析:C3753ClN69S;分子量:793.37.計算値%C:56.01;H:6.73;Cl:4.47;N:10.59;O:18.15;S:4.04.観察値%C:55.96;H:6.76;Cl:4.52;N:10.54,O:18.19;S:4.03.MS:m/e:757.4;m/e+1:758.4。
Ac−Val−Pro−Gly−Pro−Arg(diAc)−OCH2CH2N(CH2CH32・HClの調製
【0200】
Boc−Gly−Pro−OSuの調製:15gのL−プロリンを300mLの10%重炭酸ナトリウムに加えた。150mLのアセトンと27.2gのBoc−Gly−OSuを反応混合物に加えた。混合物をRTで5時間撹拌した。混合物をエーテルで洗浄した(300mLで1回)。500mLの酢酸エチルを水性層に加えた。氷冷3NのHClで混合物のpHを2.4〜2.5に調整した。酢酸エチルの層を回収し、水で洗浄した(300mLで3回)。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶液を乾燥するまで蒸発させた。21gの残留物(Boc−Gly−Pro−OH)と11gのN−ヒドロキシスクシンイミドを300mLのジクロロメチレンに溶解した。混合物を0℃に冷却した。17gの1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドを反応混合物に加えた。混合物を0℃にて1時間撹拌した。濾過によって固形物を取り除いた。ジクロロメチレン溶液を5%重炭酸ナトリウム(200mLで1回)と水(200mLで3回)で洗浄した。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶液を乾燥するまで蒸発させて23gのBoc−Gly−Pro−OSuを得た。
【0201】
H−Gly−Pro−Arg(diAc)−OCH2CH2N(CH2CH32・2TFAの調製:22gのH−Arg(diAc)−OCH2CH2N(CH2CH32を300mLの5%NaHCO3に溶解した。150mLのアセトン中20gのBoc−Gly−Pro−OSuを反応混合物に加えた。混合物をRTで5時間撹拌した。500mLの酢酸エチルを混合物に加えた。酢酸エチル溶液を水で洗浄した(100mLで3回)。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶液を乾燥するまで蒸発させた。残留物を250mLのジクロロメチレンに溶解した。200mLのトリフルオロ酢酸を混合物に加え、混合物を30分間撹拌した。混合物を乾燥するまで蒸発させて28gのH−Gly−Pro−Arg(diAc)−OCH2CH2N(CH2CH32・2TFを得た。
【0202】
Ac−Val−Pro−Gly−Pro−Arg(diAc)−OCH2CH2N(CH2CH32・HClの調製:26gのH−Gly−Pro−Arg(diAc)−OCH2CH2N(CH2CH32・2TFAを300mLの10%重炭酸ナトリウムに溶解した。150mLのアセトンと15gのAc−Val−Pro−OSuを反応混合物に加えた。混合物をRTで5時間撹拌した。500mLの酢酸エチルを混合物に加えた。有機層を水で洗浄した(100mLで3回)。酢酸エチル層を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾過によって硫酸ナトリウムを取り除いた。ジオキサン(200mL)中15gのHClガスを溶液に加えた。固形物を回収し、エーテル(50mLで3回)で洗浄し、乾燥させて、18gの所望の生成物(吸湿性生成物)を得た。元素分析:C3560ClN99;分子量:786.36.計算値%C:53.46;H:7.69;Cl:4.51;N:16.03;O:18.31;観察値%C:53.43;H:7.73;Cl:4.55;N:16.01,O:18.29.MS:m/e:750.4;m/e+1:751.4。
シクロ(1,6)−Ac−Nle−Asp−His−Phe−Arg(diAc)−Trp−Lys−OCH2CH2N(CH2CH32・HClの調製
【0203】
Ac−Nle−Asp(OFm)−OHの調製:43gのH−Asp(OFm)−OH・TFAと27gのAc−Nle−OSuを300mLのアセトンに溶解した。300mLの5%NaHCO3を反応混合物に加えた。混合物をRTで5時間撹拌した。混合物をエーテル(300mLで1回)で洗浄した。500mLの酢酸エチルを水性層に加えた。氷冷3NのHClで混合物のpHを2.4〜2.5に調整した。酢酸エチルの層を回収し、水で洗浄した(300mLで3回)。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶液を乾燥するまで蒸発させて42gのAc−Nle−Asp(OFm)−OHを得た。
【0204】
Fmoc−Trp−Lys(4−Pyoc)−OHの調製:文献(H. Kunz and S. Birnbach, Tetrahedron Lett., 25, 3567, 1984; H. Kunz and R. Barthels, Angew. Chem., Int. Ed. Engl., 22, 783, 1983)に従ってH−Lys(4−Pyoc)−OHを調製した。33gのH−Lys(4−Pyoc)−OHを300mLの5%NaHCO3に懸濁した。300mLのアセトンと52gのFmoc−Yrp−OSuを反応混合物に加えた。混合物をRTで一晩撹拌した。混合物をエーテル(500mLで1回)で洗浄した。500mLの酢酸エチルを混合物に加えた。3NのHClで混合物のpHを2.2〜2.3に調整した。酢酸エチルの層を回収し、水で洗浄した。有機溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。有機溶液を乾燥するまで蒸発させて、55gのFmoc−Trp−Lys(4−Pyoc)−OHを得た。
【0205】
シクロ(1,6)−Ac−Nle−Asp−His−Phe−Arg(diAc)−Trp−Lys−OHの調製:50gのFmoc−Trp−Lys(4−Pyoc)−OHと13gの1−ヒドロキシベンゾトリアゾールと2gの4−ジメチルアミノピリジンと12gのN,N’−ジイソプロピルカルボジイミドを含有する700mLのDMF溶液に100gのWangの樹脂を懸濁した。混合物をRTで一晩撹拌した。濾過によって樹脂を回収し、DMF(400mLで3回)、メタノール(400mLで3回)及びジクロロメチレン(400mL)で3回)で洗浄した。700mLの20%ピペリジンを樹脂に加えた。混合物を30分間撹拌した。濾過によって樹脂を回収し、DMF(400mLで3回)、メタノール(400mLで3回)及びジクロロメチレン(400mL)で3回)で洗浄した。700mLのDMFと48gのFmoc−Arg(diAc)−OHと13gの1−ヒドロキシベンゾトリアゾールと35gのトリエチルアミンと38gのO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムを樹脂に加えた。混合物をRTで2時間撹拌した。濾過によって樹脂を回収し、DMF(400mLで3回)、メタノール(400mLで3回)及びジクロロメチレン(400mL)で3回)で洗浄した。700mLの20%ピペリジンを樹脂に加えた。混合物を30分間撹拌した。濾過によって樹脂を回収し、DMF(400mLで3回)、メタノール(400mLで3回)及びジクロロメチレン(400mL)で3回)で洗浄した。700mLのDMFと39gのFmoc−Phe−OHと13gの1−ヒドロキシベンゾトリアゾールと35gのトリエチルアミンと38gのO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムを樹脂に加えた。混合物をRTで2時間撹拌した。濾過によって樹脂を回収し、DMF(400mLで3回)、メタノール(400mLで3回)及びジクロロメチレン(400mL)で3回)で洗浄した。700mLの20%ピペリジンを樹脂に加えた。混合物を30分間撹拌した。濾過によって樹脂を回収し、DMF(400mLで3回)、メタノール(400mLで3回)及びジクロロメチレン(400mL)で3回)で洗浄した。700mLのDMFと60gのFmoc−His(Fmoc)−OHと13gの1−ヒドロキシベンゾトリアゾールと35gのトリエチルアミンと38gのO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムを樹脂に加えた。混合物をRTで2時間撹拌した。濾過によって樹脂を回収し、DMF(400mLで3回)、メタノール(400mLで3回)及びジクロロメチレン(400mL)で3回)で洗浄した。700mLの20%ピペリジンを樹脂に加えた。混合物を30分間撹拌した。濾過によって樹脂を回収し、DMF(400mLで3回)、メタノール(400mLで3回)及びジクロロメチレン(400mL)で3回)で洗浄した。700mLのDMFと60gのAc−Nle−Asp(OFm)−OHと13gの1−ヒドロキシベンゾトリアゾールと35gのトリエチルアミンと38gのO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムを樹脂に加えた。混合物をRTで2時間撹拌した。濾過によって樹脂を回収し、DMF(400mLで3回)、メタノール(400mLで3回)及びジクロロメチレン(400mL)で3回)で洗浄した。ペプチド化樹脂を700mLのDMFに懸濁した。50gのMelを反応混合物に加えた。混合物をRTで1時間、50℃で1時間撹拌した。濾過によって樹脂を回収し、DMF(400mLで3回)、メタノール(400mLで3回)及びジクロロメチレン(400mL)で3回)で洗浄した。700mLの30%ピペリジンを樹脂に加えた。混合物を60分間撹拌した。濾過によって樹脂を回収し、DMF(400mLで3回)、メタノール(400mLで3回)及びジクロロメチレン(400mL)で3回)で洗浄した。700mLのDMFと13gの1−ヒドロキシベンゾトリアゾールと35gのトリエチルアミンと38gのO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムを樹脂に加えた。混合物をRTで10時間撹拌した。濾過によって樹脂を回収し、DMF(400mLで3回)、メタノール(400mLで3回)及びジクロロメチレン(400mL)で3回)で洗浄した。500mLのトリフルオロ酢酸を樹脂に加え、混合物をRTで1時間撹拌した。濾過によって樹脂を取り除き、溶液を乾燥するまで蒸発させた。残留物をエーテルで洗浄した(100mLで3回)。
【0206】
シクロ(1,6)−Ac−Nle−Asp−His−Phe−Arg(diAc)−Trp−Lys−OCH2CH2N(CH2CH3)・HClの調製:10gのシクロ(1,6)−Ac−Nle−Asp−His−Phe−Arg(diAc)−Trp−Lys−OHを300mLのDMFに溶解した。氷水槽で混合物を0℃に冷却した。12gのN,N−ジエチルアミノエタノールと2gの4−ジメチルアミノピリジンと22gの1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドを反応混合物に加えた。反応混合物を0℃で1時間、RTで一晩撹拌した。濾過によって固形物を取り除き、ジクロロメチレン溶液を5%重炭酸ナトリウム(500mLで1回)と水(100mLで1回)で洗浄した。酢酸エチル溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥させた。ジオキサン(20mL)中2gのHClを溶液に加えた。固形物を回収し、エーテルで洗浄した(30mLで3回)。収量は8gの最終生成物だった。
ペプチドHPP/HPCの固相合成
【0207】
ペプチドのペプチドHPP/HPCは、塩化トリチル樹脂とカルボキシル基保護基としての2−(4−ニトロフェニルスルホニル)エチル基を用いて調製され(スキーム3)、その際、
【化33】

は樹脂であり;
1はH、Cl、メチル及びメトキシルから成る群から選択され;
1、R2・・・Rnは、N末端からC末端にそれぞれ1、2・・・nと数えられるペプチドHPP/HPCのアミノ酸の側鎖であり;
カップリング試薬は、HBTU/DIPEA/HOBt、TBTU/DIPEA/HOBt、BOP/DIPEA/HOBt、HATU/DIPEA/HOBt、DIC/HOB及びそれらの組み合わせから成る群から選択され;
Tは、置換及び非置換のアルキル基、置換及び非置換のシクロアルキル基、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル基、置換及び非置換のアルキルオキシ基、置換及び非置換のアルケニル基、置換及び非置換のアルキニル基、置換及び非置換のアリール基、置換及び非置換のヘテロアリール基、及び上記で定義されたような構造Na,構造Nb,構造Nc,構造Nd,構造Ne,構造Nf,構造Ng,構造Nh,構造Ni,構造Nj,構造Nk,構造Nl,構造Nm,構造Nn,構造No,構造Np,構造Nq,及び構造Nrから成る群から選択される輸送ユニットから選択される。
【化34】

【化35】


スキーム3.塩化トリチル樹脂とカルボキシル基保護基としての2−(4−ニトロフェニルスルホニル)エチル基を用いたペプチドHPP/HPCの合成
【0208】
本明細書で使用されるとき、特に定義されない限り、「DCM」はジクロロメタンを意味する。
【0209】
特定の実施形態では、塩化トリチル樹脂とカルボキシル基保護基としての9−フルオレニルメチル基を用いてペプチドHPP/HPCを調製する(スキーム4)が、式中、
【化36】

1、R1、R2・・・Rn、RT、及びカップリング試薬は上記と同義である。
【化37】

スキーム4.塩化トリチル樹脂とカルボキシル基保護基としての9−フルオレニルメチル基を用いたペプチドHPP/HPCの合成
【0210】
特定の実施形態では、炭酸エステル樹脂とカルボキシル基保護基としての9−フルオレニルメチル基を用いてペプチドHPP/HPCを調製する(スキーム5)が、式中、
【化38】

1、R2・・・Rn、RT、及びカップリング試薬は上記と同義である。
【化39】

スキーム5.炭酸エステル樹脂とカルボキシル基保護基としての9−フルオレニルメチル基を用いたペプチドHPP/HPCの合成
【0211】
特定の実施形態では、炭酸エステル樹脂とカルボキシル基保護基としての2−(4−ニトロフェニルスルホニル)エチル基を用いてペプチドHPP/HPCを調製する(スキーム6)が、式中、
【化40】

1、R2・・・Rn、RT、及びカップリング試薬は上記と同義である。
【化41】

スキーム6.炭酸エステル樹脂とカルボキシル基保護基としての2−(4−ニトロフェニルスルホニル)エチル基を用いたペプチドHPP/HPCの合成
実施例2.ペプチドHPP/HPCはその親薬剤に比べてヒトの皮膚を横切る高い試験管内浸透率を示した
【0212】
改変したFranzセルによって試験管内にて、ヒト皮膚を介したHPPs/HPCs及びその親薬剤の浸透率を測定した。Franzセルは、2つのチャンバー、上の試料チャンバーと下の受取チャンバーを有する。上のチャンバーと下の受取チャンバーを分離するヒト皮膚組織は、前後の大腿領域から単離した。
【0213】
試験用化合物(0.2Mリン酸緩衝液、pH7.4にて20%を2mL)をFranzセルの試料チャンバーに加えた。受取チャンバーは600rpmで撹拌する10mLのpH7.4のリン酸緩衝液(0.2M)を含有する。皮膚に浸透する試験化合物の量は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)法によって決定した。結果を図2に示した。試験化合物のみかけの流量は、図2の傾きから算出し、それぞれ表1に要約した。
【0214】
この方法で最低の検出可能流量は1μg/cm2/時間なので、1μg/cm2/時間以下の見かけの流量を示す親薬剤は、皮膚組織を横切って浸透することについては検出できないとみなされた。これら親化合物のHPPs/HPCs(たとえば、エンテロスタチン、Val−Pro−Gly−Pro−Arg(VPGPR)、メラノコルチンII(シクロ(1,6)−Ac−Nle−Asp−His−Phe−Arg−Trp−Lys−OH)、オピオイドペプチド(たとえば、Met−エンケファリン(H−Tyr−Gly−Gly−Phe−Met−OH)は1μg/cm2/時間だったので、皮膚組織を横切って浸透することについて検出可能ではなかった。しかしながら、そのHPPs/HPCsは検出可能な見かけの流量を有していた。従って、ペプチドHPPs/HPCsは、その親化合物と比較して皮膚組織を横切る高い浸透率(340〜600倍高い)を示した。
【表4】

実施例3.HPPs/HPCsの親薬剤への変換
【0215】
ペプチドHPPs/HPCsは、ヒト血漿にて迅速に親ペプチド又はペプチド関連化合物に変換した。
【0216】
ペプチドHPP/HPC(20mg)を全血(1mL)と共に37℃にて30分間インキュベートし、HPLCで分析した。結果は、ほとんどのペプチドHPPs/HPCsが親ペプチド又はペプチド関連化合物に戻って変換することを示した。
【表5】

【表6】

【表7】

実施例4.ペプチドHPPs/HPCsを用いた肥満の治療
【0217】
エンテロスタチン[Val−Pro−Asp−Pro−Arg(VPDPR)、Val−Pro−Gly−Pro−Arg(VPGPR)及びAla−Pro−Gly−Pro−Arg(APGPR)]は、トリプシン切断後のプロコリパーゼのNH2−末端に由来するペンタペプチドであり、消化管−脳ペプチドのファミリーに属する。それらは脂肪摂取を調節し、肥満の治療に使用され得る(Erlanson‐Albertsson C, York D, Obes. Rev. 1997 Jul; 5(4): 360−72 and Sorhede M, Mei J, Erlanson‐Albertsson C., J Physiol. 87:273275,1993)。一晩絶食させたOsborne−Mendelラットに腹腔内注射した場合、H−Val−Pro−Asp−Pro−Arg−OHは食物摂取の用量依存性の低下を生じた。この摂食の阻害は、ラットを高脂肪餌で飼育した場合に認められたが、高炭水化物、低脂肪の餌で飼育したラットでは認められなかった(Okada S. et al. Physiol Behav., 1991 Jun; 49(6): 1185‐9)。
Sprague Dawleyラット及びDB/DBマウスにおけるH−Val−Pro−Gly−Pro−Arg(NO2)−OCH(CH32・HClの抗肥満活性
【0218】
Sprague Dawley(SD)ラット及びDB/DBマウスにおいてH−Val−Pro−Gly−Pro−Arg(NO2)−OCH(CH32・HCl(経皮で投与した、ラットでは0.3mg/kgと低い)は、食物摂取と体重を低下させた。結果を表3、4及び5に示した。
【0219】
第1の実験では、40匹のメスSprague Dawleyラット(15週齢、318〜346g)を4つの群に分けた。A群では、1日2回、0.2mLの水をラットの背中に30日間投与した(n=10)。B群、C群及びD群ではそれぞれ、0.2mLの水における10mg/kg、1mg/kg及び0.3mg/kgのH−Val−Pro−Gly−Pro−Arg(NO2)−OCH(CH32・HClを1日2回、ラットの背中に経皮で30日間投与した(n=10)。結果は、H−Val−Pro−Gly−Pro−Arg(NO2)−OCH(CH32・HClがラットの体重を効果的に低下させることを示した(表3)。
【表8】

【0220】
第2の実験では、40匹の幼若メスSprague Dawley(SD)ラット(180〜225g)を4つの群に分けた。A群では、1日2回、0.2mLの水をラットの背中に30日間投与した(n=10)。B群、C群及びD群ではそれぞれ、0.2mLの水における10mg/kg、1mg/kg及び0.3mg/kgのH−Val−Pro−Gly−Pro−Arg(NO2)−OCH(CH32・HClを1日2回、ラットの背中に経皮で30日間投与した(n=10)。結果は、H−Val−Pro−Gly−Pro−Arg(NO2)−OCH(CH32・HClが幼若ラットの過体重を効果的に制御することを示した(表4)。
【表9】

【0221】
第3の実験では、40匹の肥満メスDB/DBマウス(SLAC/DB/DBマウス、16週齢、55〜60g)を4つの群に分けた。A群では、1日2回、0.1mLの水をマウスの背中に30日間投与した(n=10)。B群、C群及びD群ではそれぞれ、0.1mLの水における15mg/kg、1.5mg/kg及び0.5mg/kgのH−Val−Pro−Gly−Pro−Arg(NO2)−OCH(CH32・HClを1日2回、マウスの背中に経皮で30日間投与した(n=10)。結果は、H−Val−Pro−Gly−Pro−Arg(NO2)−OCH(CH32・HClが肥満マウスの体重及び血糖値を効果的に低下させることを示した(表5)。
【表10】

Sprague DawleyラットにおけるH−Val−Pro−Gly−Pro−Arg(diAc)−OCH2CH2CH2CH3・HClの抗肥満
【0222】
H−Val−Pro−Gly−Pro−Arg(diAc)−OCH2CH2CH2CH3・HCl(経皮で投与した、ラットでは0.3mg/kgと低い)は、SDラット及びDB/DBマウスにおいて食物摂取と体重を低下させた。結果を表6、7及び8に示した。
【0223】
第1の実験では、40匹のメスSprague Dawley(SD)ラット(15週齢、315〜340g)を4つの群に分けた。A群では、1日2回、0.2mLの水をラットの背中に30日間投与した(n=10)。B群、C群及びD群ではそれぞれ、0.2mLの水における10mg/kg、1mg/kg及び0.3mg/kgのH−Val−Pro−Gly−Pro−Arg(diAc)−OCH2CH2CH2CH3・HClを1日2回、ラットの背中に経皮で30日間投与した(n=10)。結果は、H−Val−Pro−Gly−Pro−Arg(diAc)−OCH2CH2CH2CH3・HClがラットの体重を効果的に低下させることを示した(表6)。
【表11】

【0224】
第2の実験では、40匹の幼若メスSprague Dawley(SD)ラット(180〜230g)を4つの群に分けた。A群では、1日2回、0.2mLの水をラットの背中に30日間投与した(n=10)。B群、C群及びD群ではそれぞれ、0.2mLの水における10mg/kg、1mg/kg及び0.3mg/kgのH−Val−Pro−Gly−Pro−Arg(diAc)−OCH2CH2CH2CH3・HClを1日2回、ラットの背中に経皮で30日間投与した(n=10)。結果は、H−Val−Pro−Gly−Pro−Arg(diAc)−OCH2CH2CH2CH3・HClが幼若ラットの過体重を効果的に制御することを示した(表7)。
【表12】

【0225】
第3の実験では、40匹の肥満メスDB/DBマウス(SLAC/DB/DBマウス、16週齢、55〜60g)を4つの群に分けた。A群では、1日2回、0.1mLの水をマウスの背中に30日間投与した(n=10)。B群、C群及びD群ではそれぞれ、0.1mLの水における15mg/kg、1.5mg/kg及び0.5mg/kgのH−Val−Pro−Gly−Pro−Arg(diAc)−OCH2CH2CH2CH3・HClを1日2回、マウスの背中に経皮で30日間投与した(n=10)。結果は、H−Val−Pro−Gly−Pro−Arg(diAc)−OCH2CH2CH2CH3・HClが肥満マウスの体重及び血糖値を効果的に低下させることを示した(表8)。
【表13】

Sprague DawleyラットにおけるH−Ala−Pro−Gly−Pro−Arg(NO2)−OCH2CH2CH2CH3・HClの抗肥満
【0226】
H−Ala−Pro−Gly−Pro−Arg(NO2)−OCH2CH2CH2CH3・HCl(経皮で投与した、ラットでは0.3mg/kgと低い)は、SDラット及びDB/DBマウスにおいて食物摂取と体重を低下させた。結果を表9、10及び11に示した。
【0227】
第1の実験では、40匹のメスSprague Dawley(SD)ラット(15週齢、320〜345g)を4つの群に分けた。A群では、1日2回、0.2mLの水をラットの背中に30日間投与した(n=10)。B群、C群及びD群ではそれぞれ、0.2mLの水における10mg/kg、1mg/kg及び0.3mg/kgのH−Ala−Pro−Gly−Pro−Arg(NO2)−OCH2CH2CH2CH3・HClを1日2回、ラットの背中に経皮で30日間投与した(n=10)。結果は、H−Ala−Pro−Gly−Pro−Arg(NO2)−OCH2CH2CH2CH3・HClがラットの体重を効果的に低下させることを示した(表9)。
【表14】

【0228】
第2の実験では、40匹の幼若メスSprague Dawley(SD)ラット(182〜223g)を4つの群に分けた。A群では、1日2回、0.2mLの水をラットの背中に30日間投与した(n=10)。B群、C群及びD群ではそれぞれ、0.2mLの水における10mg/kg、1mg/kg及び0.3mg/kgのH−Ala−Pro−Gly−Pro−Arg(NO2)−OCH2CH2CH2CH3・HClを1日2回、ラットの背中に経皮で30日間投与した(n=10)。結果は、H−Ala−Pro−Gly−Pro−Arg(NO2)−OCH2CH2CH2CH3・HClが幼若ラットの過体重を効果的に制御することを示した(表10)。
【表15】

【0229】
第3の実験では、40匹の肥満メスDB/DBマウス(SLAC/DB/DBマウス、16週齢、53〜61g)を4つの群に分けた。A群では、1日2回、0.1mLの水をマウスの背中に30日間投与した(n=10)。B群、C群及びD群ではそれぞれ、0.1mLの水における15mg/kg、1.5mg/kg及び0.5mg/kgのH−Ala−Pro−Gly−Pro−Arg(NO2)−OCH2CH2CH2CH3・HClを1日2回、マウスの背中に経皮で30日間投与した(n=10)。結果は、H−Ala−Pro−Gly−Pro−Arg(NO2)−OCH2CH2CH2CH3・HClが肥満マウスの体重及び血糖値を効果的に低下させることを示した(表11)。
【表16】

Sprague DawleyラットにおけるH−Val−Pro−Asp(OEt)−Pro−Arg(NO2)−OCH2CH2CH2CH3・HClの抗肥満
【0230】
SDラット及びDB/DBマウスにおいてH−Val−Pro−Asp(OEt)−Pro−Arg(NO2)−OCH2CH2CH2CH3・HCl(経皮で投与した、ラットでは0.3mg/kgと低い)は、食物摂取と体重を低下させた。結果を表12、13及び14に示した。
【0231】
第1の実験では、40匹のメスSprague Dawley(SD)ラット(15週齢、320〜350g)を4つの群に分けた。A群では、1日2回、0.2mLの水をラットの背中に30日間投与した(n=10)。B群、C群及びD群ではそれぞれ、0.2mLの水における10mg/kg、1mg/kg及び0.3mg/kgのH−Val−Pro−Asp(OEt)−Pro−Arg(NO2)−OCH2CH2CH2CH3・HClを1日2回、ラットの背中に経皮で30日間投与した(n=10)。結果は、H−Val−Pro−Asp(OEt)−Pro−Arg(NO2)−OCH2CH2CH2CH3・HClがラットの体重を効果的に低下させることを示した(表12)。
【表17】

【0232】
第2の実験では、40匹の幼若メスSprague Dawley(SD)ラット(185〜220g)を4つの群に分けた。A群では、1日2回、0.2mLの水をラットの背中に30日間投与した(n=10)。B群、C群及びD群ではそれぞれ、0.2mLの水における10mg/kg、1mg/kg及び0.3mg/kgのH−Val−Pro−Asp(OEt)−Pro−Arg(NO2)−OCH2CH2CH2CH3・HClを1日2回、ラットの背中に経皮で30日間投与した(n=10)。結果は、H−Val−Pro−Asp(OEt)−Pro−Arg(NO2)−OCH2CH2CH2CH3・HClが幼若ラットの過体重を効果的に制御することを示した(表13)。
【表18】

【0233】
第3の実験では、40匹の肥満メスDB/DBマウス(SLAC/DB/DBマウス、16週齢、53〜61g)を4つの群に分けた。A群では、1日2回、0.1mLの水をマウスの背中に30日間投与した(n=10)。B群、C群及びD群ではそれぞれ、0.1mLの水における15mg/kg、1.5mg/kg及び0.5mg/kgのH−Val−Pro−Asp(OEt)−Pro−Arg(NO2)−OCH2CH2CH2CH3・HClを1日2回、マウスの背中に経皮で30日間投与した(n=10)。結果は、H−Val−Pro−Asp(OEt)−Pro−Arg(NO2)−OCH2CH2CH2CH3・HClが肥満マウスの体重及び血糖値を効果的に低下させることを示した(表14)。
【表19】

実施例5.ペプチドHPPs/HPCsによる勃起不全(ED)及び女性の性的不能の治療
【0234】
メラノコルチンIIは環状ラクタムペプチド、シクロ(1,6)−Ac−Nle−Asp−His−Phe−Arg−Trp−Lys−OHである。それは、男性及び女性の性的不能の治療のためのPalatinの(AMEX:PTN)新規薬剤候補である。メラノコルチン作動薬と呼ばれる新しい部類の治療法で初めて、メラノコルチンIIは、現在利用可能なED薬で見られる循環器への影響なしで勃起不全(ED)及び女性の性的不能を効果的に治療するのに有望であると示されている。メラノコルチンIIは、血管系に直接作用するのではなく、中枢神経系が関与するメカニズムを介して作用する。その結果、現在利用可能な製品を超えて有意な安全性と有効性の利益を提供する。
【0235】
メラノコルチンIIのHPP/HPCは、非常に高い比率(約0.3〜0.5mg/時間/cm2)でヒト皮膚を介して拡散し、勃起不全を治療する又は女性の性的覚醒を高める、ほとんど副作用のない方法を提供した。
【0236】
pH7.0のリン酸緩衝液(0.1M)0.2mL中の2mg/kgのシクロ(1,6)−Ac−Nle−Asp−His−Phe−Arg(diAc)−Trp−Lys−OCH2CH2N(CH2CH32・HCl(ペプチドA)を1日1回、オスラット(A−1群、30匹)の背中に5日間塗布した。同じ投与量のシクロ(1,6)−Ac−Nle−Asp−His−Phe−Arg(NO2)−Trp−Lys−OCH2CH2N(CH2CH32・HCl(ペプチドB)を別の群のラット(B−1群、30匹)の背中に塗布した。対照群のラットは薬剤処理をしなかった。結果は、陰性対照に比べてA−1群については誘惑行動で5倍の増加及び交尾行動で3倍の増加を示した。対照群と比べてB−1群については、誘惑行動で6倍の増加及び交尾行動で3倍の増加が認められた(表15)。
【0237】
pH7.0のリン酸緩衝液(0.1M)0.2mL中の2mg/kgのペプチドA及びペプチドBを1日1回、オスラット(30匹)とメスラット(30匹)双方の背中に5日間塗布した。対照群のラットは薬剤処理をしなかった。結果は、対照群に比べてA−2群及びB−2群の双方において誘惑行動で6倍の増加及び交尾行動で5倍の増加を示した(表15)。
【表20】

X:1日1回5日間背中にてHPP/HPC(pH7.0のリン酸緩衝液(0.1M)0.2mL中の2mg/kg)で処理した。
実施例6.エンケファリン及び関連化合物のHPPs/HPCsによる苦痛抑制
【0238】
オピオイドペプチド(たとえば、Met−エンケファリン(H−Tyr−Gly−Gly−Phe−Met−OH)、Leu−エンケファリン(H−Tyr−Gly−Gly−Phe−Leu−OH)、H−Tyr−D−Ala−Gly−N−Me−Phe−Met(O)−OL及びH−Tyr−D−Ala−Gly−Phe−Leu−OH)は、モルヒネ様の鎮痛作用を発揮する。マウスに酸性溶液を腹腔投与した際、生じる苦痛の数を数え、対照群に基づいたその抑制率を算出した。HCl・H−Tyr(Ac)−D−Ala−Gly−Phe−Leu−OCH2(CH24CH3(10mg/kg,B)、Ac−Tyr(Ac)−D−Ala−Gly−Phe−Leu−OCH2CH2N(CH2CH3)・HCl(10mg/kg,C)及びHCl・H−Tyr(Ac)−D−Ala−Gly−Phe−Met(O)−OL(10mg/kg,D)を経皮でマウスの頚部に投与し、30分後、酸性溶液を投与した。A群は対照群だった。結果を表16に示した。
【表21】

【0239】
オピオイドペプチドは動物によって産生される天然ペプチドであり、生体系では安定ではない。それらは中毒性ではなく、歯痛、頭痛、関節炎、そのほかの炎症、発熱、癌、月経困難症、及び急性偏頭痛による痛みの治療のためだけでなく、薬剤乱用の治療のためでもある。
実施例に出現したHPPs/HOCsの相当する親ペプチドを表Dにて以下で列記する。
【表22】

【図1−1】

【図1−2】

【図1−3】

【図1−4】

【図1−5】

【図1−6】

【図1−7】

【図1−8】

【図1−9】

【図1−10】

【図1−11】

【図1−12】

【図1−13】

【図1−14】

【図1−15】

【図1−16】

【図1−17】

【図1−18】

【図1−19】

【図1−20】

【図1−21】

【図1−22】

【図1−23】

【図1−24】

【図1−25】

【図1−26】

【図1−27】

【図1−28】

【図1−29】

【図1−30】

【図1−31】

【図1−32】

【図1−33】

【図1−34】

【図1−35】

【図1−36】

【図1−37】

【図1−38】

【図1−39】

【図1−40】

【図1−41】

【図1−42】

【図1−43】

【図1−44】

【図1−45】

【図1−46】

【図1−47】

【図1−48】

【図1−49】

【図1−50】

【図1−51】

【図1−52】

【図1−53】

【図1−54】

【図1−55】

【図1−56】

【図1−57】

【図1−58】

【図1−59】

【図1−60】


【図1−61】

【図1−62】

【図1−63】

【図1−64】

【図1−65】

【図1−66】

【図1−67】

【図1−68】

【図1−69】

【図1−70】

【図1−71】

【図1−72】

【図1−73】

【図1−74】

【図1−75】

【図1−76】

【図1−77】

【図1−78】

【図1−79】

【図1−80】

【図1−81】

【図1−82】

【図1−83】

【図1−84】

【図1−85】

【図1−86】

【図1−87】

【図1−88】

【図1−89】

【図1−90】

【図1−91】

【図1−92】

【図1−93】

【図1−94】

【図1−95】

【図1−96】

【図1−97】

【図1−98】

【図1−99】

【図1−100】

【図1−101】

【図1−102】

【図1−103】

【図1−104】

【図1−105】

【図1−106】

【図1−107】

【図1−108】

【図1−109】

【図1−110】

【図1−111】

【図1−112】

【図1−113】

【図1−114】

【図1−115】

【図1−116】

【図1−117】

【図1−118】

【図1−119】

【図1−120】

【図1−121】

【図1−122】

【図1−123】

【図1−124】

【図1−125】

【図1−126】

【図1−127】

【図1−128】

【図1−129】

【図1−130】

【図1−131】

【図1−132】

【図1−133】

【図1−134】

【図1−135】

【図1−136】

【図1−137】

【図1−138】

【図1−139】

【図1−140】

【図1−141】

【図1−142】

【図1−143】

【図1−144】

【図1−145】

【図1−146】

【図1−147】

【図1−148】

【図1−149】

【図1−150】

【図1−151】

【図1−152】

【図1−153】

【図1−154】

【図1−155】

【図1−156】

【図1−157】

【図1−158】

【図1−159】

【図1−160】

【図1−161】

【図1−162】

【図1−163】

【図1−164】

【図1−165】

【図1−166】

【図1−167】

【図1−168】

【図1−169】

【図1−170】

【図1−171】

【図1−172】

【図1−173】

【図1−174】

【図1−175】

【図1−176】

【図1−177】

【図1−178】

【図1−179】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペプチド又はペプチド関連化合物の高浸透性組成物であって、
(a)機能ユニットと
(b)リンカーと
(c)輸送ユニットを含み、
機能ユニットはリンカーを介して輸送ユニットに共有結合し、
機能ユニットはペプチド又はペプチド関連化合物の部分を含み、
輸送ユニットはプロトン化可能なアミン基を含み、
リンカーは、高浸透性組成物が1以上の生体バリアを横切った後、切断されることが可能である化学結合を含む、高浸透性組成物。
【請求項2】
化学結合が、共有結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、チオエステル結合、炭酸結合、カルバミン酸結合、リン酸結合、及びオキシム結合から成る群から選択される請求項1に記載の高浸透性組成物。
【請求項3】
切断可能な結合の切断の際、ペプチド又はペプチド関連化合物の部分がペプチド又はペプチド関連化合物に変換される請求項1に記載の高浸透性組成物。
【請求項4】
機能ユニットが、ペプチド又はペプチド関連化合物の部分の親油性誘導体を含む請求項1に記載の高浸透性組成物。
【請求項5】
親油性誘導体が、炭酸エステル、アミド、カルバメート、N−マンニッヒ塩基、エーテル、チオエーテル、チオエステル、リン酸塩、オキシム及びイミンから成る群から選択される請求項4に記載の高浸透性組成物。
【請求項6】
ペプチド又はペプチド関連化合物が、ペプチド、ペプチド代謝体、又はペプチド又はペプチド代謝体に代謝され得る剤、及びそれらの類似体から成る群から選択される請求項1に記載の高浸透性組成物。
【請求項7】
プロトン化可能なアミン基が、置換及び非置換の1級アミン基、置換及び非置換の2級アミン基、並びに置換及び非置換の3級アミン基から成る群から選択される請求項1に記載の高浸透性組成物。
【請求項8】
プロトン化可能なアミン基が、固有である、又は構造Na,構造Nb,構造Nc,構造Nd,構造Ne,構造Nf,構造Ng,構造Nh,構造Ni,構造Nj,構造Nk,構造Nl,構造Nm,構造Nn,構造No,構造Np,構造Nq,及び構造Nr:
【化1】

から成る群から選択され、その立体異性体及び薬学上許容可能なその塩を含み、式中、
11〜R16は、独立して、無、H、CH2COOR11、置換及び非置換のアルキル、置換及び非置換のシクロアルキル、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル、置換及び非置換のアリール、置換及び非置換のヘテロアリール、置換及び非置換のアルコキシ、置換及び非置換のアルキルチオ、置換及び非置換のアルキルアミノ、置換及び非置換のパーフルオロアルキル、置換及び非置換のアルキルハライドから成る群から選択され、その際、炭素又は水素はさらに独立して、O、S、P、NR11又はそのほかの薬学上許容可能な基によって置き換えられてもよい請求項7に記載の高浸透性組成物。
【請求項9】
以下の化学構造
【化2】

構造L−1
を有する高浸透組成物であって、その立体異性体及び薬学上許容可能なその塩を含み、式中、
Fは、構造F−1:
【化3】

を有するペプチド又はペプチド関連化合物の部分を含み、
各A1〜Amは、は独立して、2−ナフチルアラニン、置換及び非置換のアルキル、置換及び非置換のシクロアルキル、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル、置換及び非置換のアルコキシ、置換及び非置換のアルケニル、置換及び非置換のアルキニル、置換及び非置換のアルキルチオ、置換及び非置換のアルキルアミノ、置換及び非置換のパーフルオロアルキル、置換及び非置換のアルキルハライド、置換及び非置換のアリール、置換及び非置換のヘテロアリールの残基、構造A及び構造B:
【化4】

構造A
【化5】

構造B
から成る群から選択され;
1〜Amのpは独立して選択される整数であり;
各A1〜Am、ZNT、ZCT-1及びZCT-2についての各A1〜Am、ZA-2の各炭素におけるZA-1は独立して、H、CH3、C25、37、CF3、C25、C37、置換及び非置換のアルキル、置換及び非置換のシクロアルキル基、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル基、置換及び非置換のアルコキシ基、置換及び非置換のアルキルチオ基、置換及び非置換のアルキルアミノ基、置換及び非置換のアルキルカルボニル基、置換及び非置換のパーフルオロアルキル基、置換及び非置換のアルキルハライド基、置換及び非置換のアリール基、並びに置換及び非置換のヘテロアリール基から成る群から選択され;
各A1〜Am、RNT及びRCTの各炭素における各A1〜Am、RBの炭素におけるRAは、置換及び非置換のイミダゾリル、置換及び非置換のグアニジノ、置換及び非置換のカルボキシル、置換及び非置換のカルボキサミド、置換及び非置換のアルキル、置換及び非置換のシクロアルキル、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル、置換及び非置換のアルコキシ、置換及び非置換のアルキルチオ、置換及び非置換のアルキルアミノ、置換及び非置換のアルキルカルボニル、置換及び非置換のパーフルオロアルキル、置換及び非置換のアルキルハライド、置換及び非置換のアリール、並びに置換及び非置換のヘテロアリールの基から成る群から選択され;
1〜Amのpが2未満の整数である場合、各炭素上のRA又はRBは、同一であっても、異なっていてもよく、各炭素上のZA-1は同一であっても、異なっていてもよく;
ペプチド鎖におけるアミノ官能基及びカルボキシ官能基はさらにラクタム架橋を形成してもよく;
チオール基はさらにジスルフィド架橋を形成してもよく;
各A1〜Am、TC及びTNのTBは独立して、無、H、置換及び非置換のアルキル、置換及び非置換のシクロアルキル、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル、置換及び非置換のアルキルオキシ、置換及び非置換のアルケニル、置換及び非置換のアルキニル、置換及び非置換のアリール、置換及び非置換のヘテロアリール、構造Na,構造Nb,構造Nc,構造Nd,構造Ne,構造Nf,構造Ng,構造Nh,構造Ni,構造Nj,構造Nk,構造Nl,構造Nm,構造Nn,構造No,構造Np,構造Nq,及び構造Nr:
【化6】

から成る群から選択され、
11〜R16は、独立して、無、H、CH2COOR11、置換及び非置換のアルキル、置換及び非置換のシクロアルキル、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル、置換及び非置換のアリール、置換及び非置換のヘテロアリール、置換及び非置換のアルコキシ、置換及び非置換のアルキルチオ、置換及び非置換のアルキルアミノ、置換及び非置換のパーフルオロアルキル、置換及び非置換のアルキルハライドから成る群から選択され、その際、炭素又は水素はさらに独立して、O、S、P、NR11又はそのほかの薬学上許容可能な基によって置き換えられてもよく;
各A1〜Am、L1C及びL1NのL1Bは独立して、無、O、S、−N(L3)−、−N(L3)−CH2−O、−N(L3)−CH2−N(L5)−、−O−CH2−O−、−O−CH(L3)−O及び−S−CH(L3)−O−から成る群から選択され:
各A1〜Am、L2C及びL2NのL2Bは独立して、無、O、S、−N(L3)−、−N(L3)−CH2−O、−N(L3)−CH2−N(L5)−、−O−CH2−O−、−O−CH(L3)−O、−S−CH(L3)−O−、−O−L3−、−N−L3−、−S−L3−、−N(L3)−L5−及びL3から成る群から選択され:
各A1〜Am、L4C及びL4NのL4Bは独立して、無、C=O、C=S、
【化7】

【化8】

及び
【化9】

から成る群から選択され:
各L1B、L1C、L1N、L2B、L2C、L2N、L4B、L4C及びL4Nについて、L3及びL5は、無、O、CH2COOL6、置換及び非置換のアルキル基、置換及び非置換のシクロアルキル基、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル基、置換及び非置換のアリール、置換及び非置換のヘテロアリール、置換及び非置換のアルコキシ、置換及び非置換のアルキルチオ、置換及び非置換のアルキルアミノ、置換及び非置換のパーフルオロアルキル、置換及び非置換のアルキルハライドから成る群から選択され、その際、炭素又は水素はさらに独立して、O、S、P、NL3又はそのほかの薬学上許容可能な基によって置き換えられてもよく;
6は、H、OH、Cl、F、Br、I、置換及び非置換のアルキル基、置換及び非置換のシクロアルキル基、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル基、置換及び非置換のアリール、置換及び非置換のヘテロアリール、置換及び非置換のアルコキシ、置換及び非置換のアルキルチオ、置換及び非置換のアルキルアミノ、置換及び非置換のパーフルオロアルキル、置換及び非置換のアルキルハライドから成る群から選択され、その際、炭素又は水素はさらに独立して、O、S、N、P(O)OL6、CH=CH、C≡C、CHL6、CL67、アリール、ヘテロアリール又は環状の基によって置き換えられてもよく;
7は、H、OH、Cl、F、Br、I、置換及び非置換のアルキル基、置換及び非置換のシクロアルキル基、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル基、置換及び非置換のアリール、置換及び非置換のヘテロアリール、置換及び非置換のアルコキシ、置換及び非置換のアルキルチオ、置換及び非置換のアルキルアミノ、置換及び非置換のパーフルオロアルキル、置換及び非置換のアルキルハライドから成る群から選択され、その際、炭素又は水素はさらに独立して、O、S、N、P(O)OL6、CH=CH、C≡C、CHL6、CL67、アリール、ヘテロアリール又は環状の基によって置き換えられてもよい、
高浸透性組成物。
【請求項10】
ペプチドが、エンテロスタチン、メラノコルチンII及びオピオイドペプチドから成る群から選択される請求項9に記載の高浸透性組成物。
【請求項11】
図1に示すような構造2、構造3、構造4、構造5、構造6、構造7、構造8、構造9、構造10、構造11、構造12、構造13、構造14、構造15、構造16、構造17、構造18、構造19、構造20、構造21、構造22、構造23、構造24、構造25、構造26、構造27、構造28、構造37、構造38、構造39、構造40、構造41、構造42、構造43、構造44、構造45、構造46、構造47、構造48、構造49、構造50、構造51、構造52、構造53、構造54、構造55、構造56、構造57、構造58、構造59、構造60、構造61、構造62、構造63、構造64、構造65、構造66、構造67、構造68、構造69、構造70、構造71、構造72、構造73、構造74、構造75、構造76、構造77、構造78、構造79、構造80、構造81、構造82、構造83、構造84、構造85、構造86、構造87、構造88、構造89、構造90、構造91、構造92、構造93、構造94、構造95、構造96、構造97、構造98、構造99、構造100、構造101、構造102、構造103、構造104、構造105、構造106、構造107、構造108、構造109、構造110、構造111、構造112、構造113、構造114、構造115、構造116、構造117、構造118、構造119、構造120、構造121、構造122、構造123、構造124、構造125、構造126、構造127、構造128、構造137、構造138、構造139、構造140、構造141、構造142、構造143、構造144、構造145、構造146、構造147、構造148、構造149、構造150、構造151、構造152、構造153、構造154、構造155、構造156、構造157、構造158、構造159、構造160、構造161、構造162、構造163、構造164、構造165、構造166、構造167、構造168、構造169、構造170、構造171、構造172、構造173、構造174、構造175、構造176、構造177、構造178、構造179、構造180、構造181、構造182、構造183、構造184、構造185、構造186、構造187、構造188、構造189、構造190、構造191、構造192、構造193、構造194、構造195、構造196、構造197、構造198、構造199、構造200、構造201、構造202、構造203、構造204、構造205、構造206、構造207、構造208、構造209、構造210、構造211、構造212、構造213、構造214、構造215、構造216、構造217、構造218、構造219、構造220、構造221、構造222、構造223、構造224、構造225、構造226、構造227、構造228、構造237、構造238、構造239、構造240、構造241、構造242、構造243、構造244、構造245、構造246、構造247、構造248、構造249、構造250、構造251、構造252、構造253、構造254、構造255、構造256、構造257、構造258、構造259、構造260、構造261、構造262、構造263、構造264、構造265、構造266、構造267、構造268、構造269、構造270、構造271、構造272、構造273、構造274、構造275、構造276、構造277、構造278、構造279、構造280、構造281、構造282、構造283、構造284、構造285、構造286、構造287、構造288、構造289、構造290、構造291、構造292、構造293、構造294、構造295、構造296、構造297、構造298、構造299、構造300、構造301、構造302、構造303、構造304、構造305、構造306、構造307、構造308、構造309、構造310、構造311、構造312、構造313、構造314、構造315、構造316、構造317、構造318、構造319、構造320、構造321、構造322、構造323、構造324、構造325、構造326、構造327、構造328、構造337、構造338、構造339、構造340、構造341、構造342、構造343、構造344及び構造345の構造から成る群から選択される構造を含み、その立体異性体及び薬学上許容可能なその塩を含み、式中、
Rは、H、置換及び非置換のアルキル基、置換及び非置換のシクロアルキル基、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル基、置換及び非置換のアルコキシ、置換及び非置換のアルキルチオ、置換及び非置換のアルキルアミノ、置換及び非置換のアリール、並びに置換及び非置換のヘテロアリールの残基から成る群から選択され;
X、X4、X5、X6、X7、X8、X9、X10、X21、X22、X23、X24、X25、X26及びX27は独立して、C=O、C=S、COO、CSO、CH2OCO、COOCH2OCO、COCH2OCO、CH2−O−CH(CH2OR42、CH2−O−CH(CH2OCOR42、SO2、PO(OR)、NO2、NO、O、S、NR5及び無から成る群から選択され;
1、R2、R4、R5、R6、7、R8、R9、R10、R21、R22、R23、R24、25、R26及びR27は独立して、H、O、NO2、置換及び非置換のアルキル基、置換及び非置換のシクロアルキル基、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル基、置換及び非置換のアルコキシ、置換及び非置換のアルキルチオ、置換及び非置換のアルキルアミノ、置換及び非置換のアルケニル、置換及び非置換のアルキニル、置換及び非置換のアリール、並びに置換及び非置換のヘテロアリールの残基から成る群から選択され;
Arは、フェニル、2’−ナフチル、4−ヨードフェニル、置換及び非置換のアリール、並びに置換及び非置換のヘテロアリールの残基から成る群から選択され;
HAは、無、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸、硫酸、重硫酸、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、イソニコチン酸、酢酸、乳酸、サリチル酸、クエン酸、酒石酸、パントテン酸、重酒石酸、アスコルビン酸、コハク酸、マレイン酸、ゲンチシン酸、フマル酸、グルコン酸、グルカロン酸、糖酸、蟻酸、安息香酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、又はパモ酸から成る群から選択される
請求項9の高浸透性組成物。
【請求項12】
構造1a、構造1b、構造1c、構造1d、構造1e、構造1f、構造1g、及び構造1hから成る群から選択される構造を含み、
【化10】

構造1a
【化11】

構造1b
【化12】

構造1c
【化13】

構造1d
【化14】

構造1e
【化15】

構造1f
【化16】

構造1g
【化17】

構造1h
その立体異性体及び薬学上許容可能なその塩を含み、式中、
4、X5、X6、X7、X8、X9、R4、R5、R6、7、R8、R9及びHAは請求項11と同義である請求項9の高浸透性組成物。
【請求項13】
請求項9に記載の高浸透性組成物と薬学上許容可能なキャリアを含む医薬組成物。
【請求項14】
薬学上許容可能なキャリアが極性である請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
薬学上許容可能なキャリアが、アルコール、アセトン、エステル、水及び水性溶液から成る群から選択される請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項16】
請求項13に記載の医薬組成物を生体バリアに投与することを含む、生体バリアに浸透させる方法。
【請求項17】
所望の特性についてペプチド又はペプチド関連化合物のHPPをスクリーニングする方法であって、以下の工程:
(1)リンカーを介して、ペプチド又はペプチド関連化合物を含む機能ユニットを輸送ユニットに共有結合させて試験組成物を形成することと;
(2)生物対象又は生体バリアに試験組成物を投与することと;
(3)試験組成物が所望の特性を有するかどうかを判定することを
含む方法。
【請求項18】
所望の特性が
(1)生体バリアに浸透する試験組成物の能力;
(2)親薬剤又は活性剤に変換する試験組成物の能力;
(3)試験組成物の浸透率;
(4)試験組成物の効率、及び
(5)試験組成物の有効性
から成る群から選択される請求項17に記載の方法。
【請求項19】
生物対象における状態を診断する方法であって、以下の工程:
(1)生物対象に請求項9に記載の組成物を投与することと;
(2)生物対象において組成物の存在、位置又は量を検出することと;
(3)生物対象において状態を検出することを
含む方法。
【請求項20】
組成物が標識される請求項19に記載の方法。
【請求項21】
生物対象における状態を診断する方法であって、以下の工程:
(1)生物対象に請求項13に記載の組成物を投与することと;
(2)生物対象において組成物の存在、位置又は量を検出することと;
(3)生物対象において状態を検出することを
含む方法。
【請求項22】
組成物が標識される請求項21に記載の方法。
【請求項23】
生物対象における状態を治療する方法であって、請求項9に記載の高浸透性組成物又は請求項13に記載の医薬組成物を生物対象に投与することを含む方法。
【請求項24】
状態が、疼痛、外傷、炎症関連の状態、微生物関連の状態、神経ペプチド関連の状態、ホルモン関連の状態、腫瘍、異常な血圧、肥満、脳の傷害、アレルギー、男性及び女性の性的不能、転移、及びそのほかの、ツフトシン、分娩前、分娩後、抗AD活性、抗利尿活性、カルシウム恒常性、メラニン形成細胞、ホルモン放出、血小板凝集、CNSの活動、及び貪食作用に関連する状態から成る群から選択される請求項23に記載の方法。
【請求項25】
ホルモン関連の状態が、閉経、骨疾患、成長ホルモンの欠損、甲状腺機能亢進、甲状腺機能低下、代謝性障害の状態、異常な血圧、皮膚の状態、自己免疫疾患、眼疾患、高リスク女性における子癇前症性中毒症、男性及び女性における性的不能、アレルギー、喘息、不眠症、うつ病及び関連した状態、循環器疾患及び腫瘍から成る群から選択される請求項24に記載の方法。
【請求項26】
骨疾患が、骨粗鬆症、パジェット病及び骨転移から成る群から選択される請求項25に記載の方法。
【請求項27】
代謝性障害の状態が、肥満、異常な血糖値、異常な血液脂質レベル、糖尿病(I型及びII型)及び、糖尿病性網膜症、壊死性潰瘍及び糖尿病性タンパク尿を含む、糖尿病が誘導する合併症から成る群から選択される請求項25に記載の方法。
【請求項28】
異常な血圧が、高血圧症及び低血圧症から成る群から選択される請求項25に記載の方法。
【請求項29】
皮膚の状態が、乾癬及び乾癬性障害、ニキビ、嚢腫性座瘡、膿性又は発赤の瘤、面皰、丘疹、丘疹、結節、類表皮嚢胞、角化症、毛胞、異常な血管皮膚病変、母斑、あざ(神経)、軟性線維腫、強皮症、白斑、及び関連する疾患、又は加齢染み(肝斑)から成る群から選択される請求項25に記載の方法。
【請求項30】
自己免疫疾患が、円板状エリテマトーデス、全身性エリテマトーデス(SLE)、自己免疫性肝炎、強皮症、シェーグレン症候群、関節リウマチ、多発性筋炎、強皮症、橋本甲状腺炎、若年性糖尿病、アジソン病、白斑、悪性貧血、糸球体腎炎、肺線維症、多発性硬化症(MS)及びクローン病から成る群から選択される請求項25に記載の方法。
【請求項31】
眼疾患が、緑内障、眼内高血圧、眼科手術後の視力の低下、類嚢胞黄斑部浮腫によって損傷された温血動物の視力、及び白内障から成る群から選択される請求項25に記載の方法。
【請求項32】
循環器疾患が、心臓発作、不安定狭心症、末梢閉塞性動脈疾患及び卒中から成る群から選択される請求項25に記載の方法。
【請求項33】
腫瘍が、良性腫瘍、乳癌、結腸直腸癌、口腔癌、肺又はそのほかの呼吸器系の癌、皮膚癌、子宮癌、膵臓癌、前立腺癌、生殖器の癌、泌尿器の癌、白血病、又はそのほかの血液及びリンパ組織の癌から成る群から選択される請求項25に記載の方法。
【請求項34】
微生物関連の状態が、疼痛、外傷及び炎症関連の状態から成る群から選択される請求項24に記載の方法。
【請求項35】
炎症関連の状態が、前立腺の炎症(前立腺炎)、前立腺膀胱炎、前立腺肥大線維症、痔、川崎症候群、胃腸炎、1型膜増殖性糸球体腎炎、バーター症候群、慢性ブドウ膜炎、強直性脊椎炎、血友病性関節症、炎症性の痔、放射線照射後の(人工造設の)直腸炎、慢性潰瘍性大腸炎、炎症性大腸疾患、腺窩炎、歯周病、関節炎、及び肝臓、肺、胃、脳、腎臓、心臓、耳、眼、鼻、口、舌、結腸、膵臓、胆嚢、十二指腸、直腸、胃、結腸直腸、腸、静脈、呼吸器系、血管、肛門直腸から成る群から選択される臓器における炎症状態、並びに肛門掻痒から成る群から選択される請求項34に記載の方法。
【請求項36】
神経ペプチド関連の状態が、アルツハイマー病及びパーキンソン病から成る群から選択される請求項24に記載の方法。
【請求項37】
経口の、腸管の、頬内の、鼻内の、局所の、直腸の、膣内の、エアゾールの、経粘膜の、表皮の、経皮の、皮内の、眼内の、肺内の、皮下の及び/又は非経口の投与から選択される経路を介して組成物が生物対象に投与される請求項23に記載の方法。
【請求項38】
ペプチドが、アンギオテンシン、アンギオテンシンIIの拮抗剤、アンギオテンシンIIAT2受容体、抗菌ペプチド、抗オキシトシン、ホルモン、抗利尿ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、抗菌ペプチド、抗炎症性ペプチド、ブラジキニン、ブラジキニンの拮抗剤、エンドセリンペプチド、エンドセリンペプチドの拮抗剤、ガストリン、カルシトニン、メラニン形成細胞関連の抗原ペプチド、ラミニンペプチド、フィブリノーゲンペプチド、EAE誘導ペプチド、成長ホルモン、成長ホルモン放出ペプチド、ソマトスタチン、ホルモン放出ホルモン、黄体形成ホルモン放出ホルモン、神経ペプチド、メラニン形成細胞刺激ホルモン、睡眠誘導ペプチド、アミロイドペプチド、ツフトシン、レトロインバルソ型ツフトシン、エンテロスタチン、メラノコルチンII,及びオピオイドペプチド及び模倣体から成る群から選択される請求項23に記載の方法。
【請求項39】
エンテロスタチンが、Val−Pro−Asp−Pro−Arg(VPDPR)、Val−Pro−Gly−Pro−Arg(VPGPR)及びAla−Pro−Gly−Pro−Arg (APGPR)から成る群から選択される請求項38に記載の方法。
【請求項40】
オピオイドペプチドが、Met−エンケファリン(H−Tyr−Gly−Gly−Phe−Met−OH)、Leu−エンケファリン(H−Tyr−Gly−Gly−Phe−Leu−OH)、H−Tyr−D−Ala−Gly−N−Me−Phe−Met(O)−OL及びH−Tyr−D−Ala−Gly−Phe−Leu−OH)から成る群から選択される請求項38に記載の方法。
【請求項41】
ペプチドHPCの固相合成法であって、
(a)化学的に修飾された樹脂を提供すること;
(b)ペプチドHPCに従って所望されるように天然の又は修飾されたアミノ酸残基すべてのカルボキシル基を保護基によって保護してCOOH−保護のアミノ酸残基を提供すること;
(c)ペプチドHPCのN末端にてCOOH−保護のアミノ酸残基を化学的に修飾された樹脂に結合させてアミノ酸残基1つを有する不動化されたCOOH−保護のペプチドHPC前駆体を提供すること;
(d)脱保護試薬を用いて、不動化されたCOOH−保護のペプチドHPC前駆体の保護カルボキシル基を脱保護して、アミノ酸残基1つを有する不動化されたCOOH−非保護のペプチドHPC前駆体を提供すること;
(e)C末端アミノ酸残基を除いてすべてのアミノ酸を有する不動化されたC−非保護のペプチドHPC前駆体が提供されるまで、ペプチドHPCのCOOH−保護のアミノ酸残基を用いて工程c)とd)を繰り返すこと;
(f)共有結合を介してC末端アミノ酸残基をRTに連結し、修飾されたC末端アミノ酸を提供すること、その際、RTは、置換及び非置換のアルキル基、置換及び非置換のシクロアルキル基、置換及び非置換のヘテロシクロアルキル基、置換及び非置換のアルキルオキシ基、置換及び非置換のアルケニル基、置換及び非置換のアルキニル基、置換及び非置換のアリール基、置換及び非置換のヘテロアリール基、請求項8で定義されたような構造Na,構造Nb,構造Nc,構造Nd,構造Ne,構造Nf,構造Ng,構造Nh,構造Ni,構造Nj,構造Nk,構造Nl,構造Nm,構造Nn,構造No,構造Np,構造Nq,及び構造Nrから成る群から選択され:
(g)工程e)から得られる不動化されたC−非保護のペプチドHPC前駆体に修飾されたC末端アミノ酸を結合して不動化ペプチドHPCを提供すること;
h)樹脂から不動化ペプチドHPCを解放してペプチドHPCを提供することを
含む合成法。
【請求項42】
使用される樹脂が、塩化トリチル樹脂及び炭酸エステル樹脂から成る群から選択される請求項41に記載の合成法。
【請求項43】
保護基が、2−(4−ニトロフェニルスルホニル)エチル基及び9−フルオレニルメチル基から成る群から選択される請求項41に記載の合成法。
【請求項44】
カップリング反応が、HBTU/DIPEA/HOBt、TBTU/DIPEA/HOBt、BOP/DIPEA/HOBt、HATU/DIPEA/HOBt及びDIC/HOB及びそれらの組み合わせから成る群から選択されるカップリング試薬の存在下で行われる請求項41に記載の合成法。
【請求項45】
経皮治療用塗布システムであって、その親化合物によって治療可能な状態を治療するための活性物質として請求項9、10、11、12又は13に記載の化合物又は組成物を含み、システムは、水、エタノール、イソプロパノール、アセトン、DMSO、DMF及びそれらの組み合わせから成る群から選択される溶媒をさらに含むスプレー又は貼る溶液である経皮治療用塗布システム。
【請求項46】
経皮治療用塗布システムであって、その親化合物によって治療可能な状態を治療するための活性物質として請求項9、10、11、12又は13に記載の化合物又は組成物を含み、システムはさらに、活性物質を含有するマトリクスと非透過性の裏打層を含む主部を含む経皮治療用塗布システム。
【請求項47】
主部が貼付剤又は帯具である請求項46に記載の経皮治療用塗布システム。
【請求項48】
主部が皮膚に向いた透過性の底部を含む活性物質のリザーバであり、放出速度を制御することによって、システムは有効成分又は有効成分の代謝体が最適な治療用血中レベルに常に達し、有効性を高め、有効成分又は有効成分の代謝体の副作用を軽減することを可能にする請求項46に記載の経皮治療用塗布システム。

【図2】
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【公表番号】特表2012−526055(P2012−526055A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508891(P2012−508891)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【国際出願番号】PCT/CN2010/072561
【国際公開番号】WO2010/127640
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(509011581)テックフィールズ バイオケム カンパニー リミテッド (10)
【出願人】(509023539)
【Fターム(参考)】