説明

ペプチド性GLP−2アゴニスト

薬物動態特性が改善されている新規なGLP−2類似体ならびに疾患治療におけるその使用について記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GLP−2受容体においてアゴニスト活性を有する新規化合物、それを含む医薬組成物、および疾患治療用の医薬を製造するための該化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
グルカゴン様ペプチド2(GLP−2)は、小腸および大腸で腸内分泌細胞によって産生され、食後に循環へと放出される、33アミノ酸の消化管(GI)ホルモンである。GLP−2は、大脳皮質および星状細胞でも発現される。GLP−2は、特異的GLP−2受容体を介してその生物学的反応を示す。GLP−2は、プロホルモン転換酵素(PC)1/3によるプロセシングを受けたプログルカゴンから誘導される。このプロセシングでは、GLP−1、グリセンチン、およびオキシントモジュリンも生じる。膵臓のα細胞においてPC2によるプロセシングがなされるとき、プログルカゴンのプロセシングによりグルカゴンが生じる。
【0003】
全般に、GLP−2は、粘膜の栄養作用ならびに腸管吸収および栄養素同化の増進(Lovshin,J.およびD.J.Drucker、Ped.Diabetes、1(1):49〜57、2001);抗炎症活性;粘膜の治癒および修復;細菌に対する腸管透過性の低下;および腸間膜血流の増加(Bremholm,L.ら、Scan.J.Gastro.44(3):314〜319、2009)を含めた多種多様な重要なGI反応を調整する。このような特性は、様々な状態において治療上の利益をもたらすことが期待される。
【0004】
GLP−2は、出生前から小腸で役割を果たす。ヒトおよび動物の新生児および乳児を対象とした種々の研究で、小腸の発育におけるGLP−2の役割が調べられている。GLP−2は、出生時のヒト臍帯血中に、成人の絶食時レベルに匹敵するレベルで存在することがわかっている(Bode,S.ら、Neonatology 91(1)49〜53、2007)。GLP−2は、摂食に反応して分泌され、GLP−2が分泌される機序は、ヒト新生児では24週の時点で確立されると考えられている(Yoshikawa,H.ら、Pediatrics Intl.48(5):464〜469、2006)。GLP−2および他のプログルカゴン由来ペプチドは、小腸の正常な発育および栄養素の処理において役割を果たす(Amin,H.ら、Pediatrics 121(1):e180〜e186、2008)。摂食不耐症の未熟児においてGLP−2レベルが低下することも明らかになっている。したがって、GLP−2は、そのような未熟児に対して治療上の利益を有するといえる(Ozer,E.A.ら、J.Trop.Pediatr.55(4):276〜277、2009)。壊死性腸炎(NEC)は、未熟児と関連するもう一つの状態であり、GLP−2は、ラットおよびブタにおいて、NECからの防護と関連付けられている(Izumi,H.ら、J.Nutr.139(7):1322〜1327、2009およびSangild,P.T.ら、Gastroenterology.130(6):1776〜1792、2006)。非経口的に栄養補給された新生仔ブタは、アルギニン欠乏症になる。付加的なGLP−2注入を受けた仔ブタは、アルギニン合成レベルの向上ならびに小腸における粘膜質量および絨毛高さの向上を示した(Urschel,K.L.ら、J.Nutr.137:601〜606、2007)。
【0005】
GLP−2は、腸の損傷および機能不全を含めた様々な腸の状態を有する患者にとって治療上の利益となり得るものである。特に、吸収不良、炎症、および/または粘膜損傷を伴う疾患は、GLP−2を用いた治療によって回復させることができると示唆されている。GLP−2の治療上の利益についての概要を記述する総説として、Ziegler,T.R.ら、J Parenter.Enteral Nutr.23(増補6):S174〜S183、1999;Drucker,D.J.ら、J Parenter.Enteral Nutr.23(増補5):S98〜100、1999;ならびにEstallおよびDrucker、Ann.Rev.Nutr.26:391〜411、2006が挙げられる。
【0006】
炎症は、大腸炎の症状であり、炎症が消散した後でさえも持続する腸の機能変化には、GLP−2免疫反応性L細胞の増加が含まれることがわかっている(Lomax,A.E.ら、Am.J.Physiol.Gastrointest.Liver Physiol.292:G482〜G491、2007)。大腸炎のマウスをGLP−2で治療すると、体重減少が逆転し、インターロイキン1発現が減少し、大腸長さ、陰窩深さ、および粘膜面積が増大した。これは、腸の活動性炎症の存在下であっても、GLP−2が腸の治癒を促進し得ることを実証するものである(Drucker,D.J.ら、Am.J.Physiol.Gastrointest.Liver Physiol.276(1):G79〜G91、1999)。セリアック病も、腸の炎症を伴う。セリアック病のヒトを対象とした研究では、GLP−2が、セリアック病患者の粘膜治癒機序の一部であり得ることが示されている(Caddy,G.R.ら、Eur.J.Gastroenterol.Hepatol.18(2):195〜202、2006)。大腸炎のマウスは、GLP−2で治療後に炎症の軽減を示した。加えて、抗炎症活性の機序は、GLP−2によるサイトカインシグナル伝達抑制因子(SOCS)3経路の活性化である(Ivory,C.P.A.ら、Am.J.Physiol.Gastrointest.Liver Physiol.295:G1202〜G1210、2008)。SOCS3は、腫瘍抑制に関与する可能性もあるので(Lund,P.K.およびR.J.Rigby、Gastroenterology 131(1):317〜319、2006)、GLP−2がSOCS3経路を活性化することは、GLP−2が、腸癌に対する保護効果を有する可能性があることを示している。
【0007】
小腸の上皮層のバリア機能は、いくつかの障害と関係がある。例として、敗血症および細菌性腹膜炎が挙げられる。GLP−2は、小腸の上皮内層の透過性を低下さることに加えて、小腸の陰窩および絨毛におけるアポトーシスを減少させる(LovshinおよびDrucker)。上皮内層のバリア機能に関するGLP−2の保護効果は、中国で熱傷患者において示されている(Wang,S.L.、Zhonghua Shao Shang Za Zhi 24(5):396〜9、2008)。急性膵炎では、全身性の炎症反応が見られ、腸の透過性が増大して、腸の上皮を介した細菌の輸送が増加する。急性膵炎のラットにおいてGLP−2で治療を行うと、腸の透過性が低下した(Kouris,G.J.ら、Am.J.Surgery 181(6):571〜575、2001)。加えて、急性膵炎のマウスにおいてGLP−2を投与すると、腸の免疫機能が向上した(Kong,L.S.ら、Zhongguo Wei Zhong Bing Ji Jiu Yi Xue.21(2):103〜106、2009)。マウスにおける腸のバリア機能のストレスによる低下も、GLP−2での治療によって改善している(Cameron,H.L.およびM.H.Perdue.、J Pharmacol Exp Ther.314(1):214〜220、2005)。詳細には、GLP−2を用いた治療は、傍細胞および経細胞の両方の経路に影響を及ぼすことによりバリア機能を向上させることが実証されている(Benjamin,M.A.ら、Gut 47:112〜119、2000)。バリア機能の低下は、即時型過敏症および遅発相アレルギー性炎症にも関連している(Cameron,H.L.ら、Am.J.Physiol.Gastrointest.Liver Physiol.284(6):G905〜G912、2003)。腸管バリア機能は、糖尿病マウスおよび肥満マウスにおいて損なわれ、そのようなマウスに代謝障害をもたらす。こうしたマウスにおいて内因性のGLP−2産生を増加させると、腸管バリア機能は向上する(Cani,P.D.ら、Gut 58:1091〜1103、2009)。
【0008】
高齢者の吸収不良は、この個体群における栄養不良の一因であると考えられているが、GLP−2によって逆転することが示されている(Drozdowski,L.およびA.B.R.Thomson、World J.Gastroenterol.12(47):7578〜7584、2006)。GLP−2は、腸における脂質の吸収ならびに腸の腸細胞のトリグリセリド正常リポタンパク質(triglyceride−right lipoproteins)のアセンブリおよび分泌も調節する(Hsieh,J.ら、Gastroentorology 137(3):997〜1005、2009)。トリグリセリドおよび遊離脂肪酸の食後血漿濃度の増大によって証明されるように、GLP−2投与中のヒトにおいて脂質の腸管吸収は増進された(Meier,J.J.ら、Gastroenterology 130(1):44〜54、2006)。これらの結果は、GLP−2が脂肪便の治療薬であることを示唆するものである。
【0009】
GLP−2は、食物の摂取に反応した腸において分泌されるので、患者のエネルギー摂取が経腸以外の方法をとるとき、GLP−2の不足により、腸において様々な副作用が生じることがある。腸の機能不全は、往々にして癌およびその治療に付随する。癌治療を受けている小児において、エネルギー摂取が経腸的である場合、GLP−2分泌は正常なままであったことが示されている(Andreassen,B.U.ら、J.Ped.Gastroenterol.Nutr.40(1):48〜53、2005)。腸が完全に発育していない未熟児では、栄養法は、腸の発育を促進するために、大部分を非経口的としながら一部を経腸的とすることが多い。GLP−2の分泌は、腸の発育にとって重要であり、正常な粘膜の増殖および成長を確実にするために、総栄養摂取の40%を経腸的にすべきであることが明らかになっている(Burrin,D.G.ら、Am.J.Clin.Nutr.71(6):1603〜10、2000)。
【0010】
ラットを対象とした完全非経口栄養法(TPN)に関する研究では、TPNは、ひいては免疫反応の低下、ならびに腸から腸間膜リンパ節、肝臓、および脾臓への細菌移行の増加を伴う、腸粘膜の形成不全をもたらすことが示されている。GLP−2の投与は、この副作用から保護する(Chance,W.T.ら、Am.J.Gastrointest.Liver Physiol.273:G559〜G563、1997;Chance,W.T.ら、Peptides,27(4):883〜892、2006;およびKaji,T.ら、Eur.J.Pharmacol.596(1−3):138〜145)。
【0011】
GLP−2は、グルコースの調節に関与することがわかっており、糖尿病および低血糖の治療において有用である可能性がある。De Heerらは、GLP−2がラット膵島におけるグルカゴン分泌を刺激することを実証している(Diabetologia 50(10):2135〜2142、2007)。グルカゴンは、ひいては血中グルコースレベルを上昇させる。Widemanらは、マウスのα細胞におけるPCの発現をPC2からPC1/3に変更することにより、プログルカゴンは、プロセシングを受けて、グルカゴンではなくPC1/3の産物(GLP−1、GLP−2、オキシントモジュリン)を生じることを示している。したがって、著者らは、糖尿病治療におけるGLP−2の有用性を提唱している(Diabetes 56(11):2744〜2752、2007およびMol.Ther.17(1):191〜198、2008)。
【0012】
GLP−2は、短腸症候群(SBS)、および腸不全を含めた関連状態の治療において有用である。2年間GLP−2による治療を受けたSBS患者は、腎機能の向上、糞便重量の減少、ならびにより少ない経口摂取での腸液および電解質吸収の維持を含めて、様々な尺度での改善を示した。Jeppesen,P.B.ら、Gastroenterology Research and Practice、2009、論文番号616054。SBS治療のために腸管延長術(STEP)を受けているラットでは、STEPを受けなかったSBSラットと比べて、GLP−2の食後レベルが増大した。加えて、GLP−2受容体の発現も増加した。この研究は、GLP−2が、STEP手順の足掛かりとして使用するために有用となることを示唆している(Kaji,T.ら、J.Ped.Surgery.44(8):1552〜1559、2009)。その上、ラットにおいてGLP−2は、切除術後の腸の適応も助ける(Perez,A.ら、J Parenter.Enteral Nutr.29(2):97〜101、2005;Li,H.ら、Zhonghua Wei Chang Wai Ke Za Zhi 9(1):67〜70、2006;Kaji, T.ら、J.Surg.Res.152(2):271〜280、2009;およびGarrison,A.P.ら、Am.J.Physiol.Gastrointest.Liver Physiol.296:G643〜G650、2009)。
【0013】
腸は、癌の化学療法および放射線治療のどちらによっても損傷を受ける場合がある。γ線照射前にテズグルチド(teduglutide)(GLP−2類似体)を投与すると、マウスでは保護効果が示された(Booth,C.ら、Cell Proliferation 37(6):385〜400、2004)。Torres,S.ら、Int J Radiat Oncol Biol Phys.69(5):1563〜1571、2007も参照されたい。GLP−2治療はまた、化学療法の際にも腸に対する保護効果を有し、化学療法に関連した損傷からの回復を助ける(Boushey,R.P.ら、Cancer Res.61:687〜693、2001およびTavakkolizadeh,A.ら、J.Surg.Res.91(1):77〜82、2000)。
【0014】
GLP−2は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)によるマウスの腸損傷も緩和する(Boushey,R.P.ら、Am.J.Physiol.Endocrinol.Metab.277(5):E937〜E947、1999)。
【0015】
GLP−2は、マウスの胃の弛緩とも関連が示唆されている(Amato,A.ら、Am.J.Physiol.Gastrointest.Liver Physiol.296:G678〜G684、2009)。加えて、GLP−2は、ヒトにおいて腔内容物排出(antral emptying)を抑制する(Nagell,C.F.ら、Scan.J.Gastroenterol.39(4):353〜358、2004)。同じく食欲に関連して、GLP−2は、ヒトにおいてグレリン分泌を抑制する(Banasch,M.ら、Reg.Peptides.137(3):173〜178、2006)。
【0016】
GLP−2は、脳においても研究がなされている。GLP−2は、ラットにおいて星状膠細胞の再生に関与する(Velazquez,E.ら、Eur.J.Biochem.270(4):3001〜3009、2003およびVelazquez,E.ら、Mol.Neurobiol.40:183〜193、2009)。GLP−2は、ラット中枢神経系由来の細胞に対して細胞保護的な効果を有することが示されている(Lovshin,J.A.ら、Endocrinology.145(7):3495〜3506、2004)。GLP−2は、マウスにおいて抗うつ効果を有することが示されている(Iwai,T.ら、Behavioural Brain Res.204(1):235〜240、2009)。Vrang,N.らは、GLP含有ニューロンのサブグループおよびその機能を調査している(Brain Res.1149:118〜126、2007)。
【0017】
GLP−2はさらに、骨粗鬆症の治療においても有効であることが示されている(Henriksenら、Bone、45(5):833〜42、2009)。
【0018】
GLP−2についての追加の研究では、GLP−2と自閉症(Robertson,M.A.ら、J.Autism Dev.Disord.38:1066〜1071、2008)、3T3−L1脂肪細胞中のGLP−2およびcAMPレベル(Montrose−Rafizadeh,C.ら、J.Cell.Physiol.172(3):275〜283、1998)が調査されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかし、天然のGLP−2は、ペプチダーゼ(たとえば、DPP IV)によって速やかに分解されるので、適切な薬物候補ではない。そのため、天然のGLP−2は、半減期が非常に短く(ヒトではt1/2=10分)、クリアランス(CL)も速い。[Gly2]hGLP2(テズグルチド)ならびにZP−1846およびZP−1848を含めて、CLがhGLP−2より多少改善されている特定のGLP−2類似体が創出され、臨床開発に進んでいる(PCT公開第WO/2006/117565号)。天然のGLP−2より改良されてはいるものの、これら類似体の薬物動態特性では、依然として最適な薬物投与は見込めず、その臨床的な有用性は限定されると考えられている。したがって、薬物動態特性が改善されているGLP−2類似体が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
GLP−2受容体のアゴニストであり、現在入手可能なGLP−2類似体と比べて薬物動態特性が改善されている化合物、その化合物を含む組成物、およびその化合物の使用方法が提供される。
【0021】
一実施形態によれば、本発明の化合物は、一般式I
【0022】
【化1】

[式中、
1は、H、アルキル、アラルキル、およびアリールからなる群から選択され、
aは、0、1、2、3、4、5、6および7からなる群から選択され、
2は、ヘテロアリールであり、
bは、1または2であり、
3およびR4は、Hおよびアルキルからなる群からそれぞれ独立に選択され、
cおよびdは、0および1からなる群からそれぞれ独立に選択され、
5は、Hおよびアルキルからなる群から選択され、
eは、1、2、3および4からなる群から選択され、
6は、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、ビアリール、ヘテロアリール、および−C(O)−NH2からなる群から選択され、
fは、0、1、2および3からなる群から選択され、但し、R6がH以外である場合、fは0でなく、
7は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ビアリール、ジアリール、ヘテロアリール、および−C(O)−NH2からなる群から選択され、
gは、1、2および3からなる群から選択され、
8は、H、アルキル、−CH(OH)−CH3からなる群から選択され、
hは、0、1、2および3からなる群から選択され、
1は、GlnまたはArgであり、
2、X3、およびX4は、それぞれ独立に、存在するか、または不在であり、存在する場合、Val、Leu、Ile、Ser、Thr、Asp、およびGluからなる群から独立に選択され、
Zは、NR910またはOHであり、ここで、
9およびR10は、水素、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、アラルキル、および−(CH2x−[(CH22−O]y−(CH2x−[NH−C(O)−CH2−O−CH2z−C(O)−NHR11からなる群からそれぞれ独立に選択され、ここで、
11は、Hまたは−[(CH22−O]y−(CH2x−C(O)−NH2であり、
各xは、0、1、2および3からなる群からそれぞれ独立に選択され、
各yは、3、4、5および6からなる群からそれぞれ独立に選択され、
zは、0または1であり、
9およびR10は、任意選択で一緒になって、複素環またはヘテロアリールであってもよい4〜7員環を形成している]
および薬学的に許容されるその塩を有する。
【0023】
一実施形態では、化合物は、R6およびfがL−Asnを与えることのない式Iの化合物である。
【0024】
一実施形態では、化合物は、R7およびgがL−Asnを与えることのない式Iの化合物である。
【0025】
一実施形態では、化合物は、R5およびeがNleを形成する式Iの化合物である。
【0026】
一実施形態では、化合物は、R6とfの組合せおよびR7とgの組合せの両方が、Gly、L−Ala、L−Asn、L−Gln、L−Ser、L−Phe、L−Leu、L−Ile、L−Val、およびL−Hisからなる群から選択されるアミノ酸を与えることのない式Iの化合物である。
【0027】
一実施形態では、化合物は、R1がHであり、aが0であり、R2
【0028】
【化2】

であり、bが1である式Iの化合物である。これにより、化合物のN末端はヒスチジンとなる。
【0029】
一実施形態では、化合物は、X2、X3、およびX4がすべて不在である式Iの化合物である。
【0030】
一実施形態では、化合物は、X2、X3、およびX4がすべて存在する式Iの化合物である。
【0031】
一実施形態では、R6の側鎖と共に形成されるアミノ酸がD配置である。
【0032】
一実施形態では、R7の側鎖と共に形成されるアミノ酸がD配置である。
【0033】
一実施形態では、化合物は、表1の実施例化合物8であり、表1に示すように、16位のアミノ酸がD配置である。あるいは、化合物は、表1の化合物12、13、29、30、32、35、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、または70であり、各実施例について、表1に示すように、11位のアミノ酸がD配置である。
【0034】
一実施形態では、化合物は、ZがNH2またはOHである式Iの化合物である。
【0035】
一実施形態では、化合物は、ZがNR910であり、R9およびR10の一方が水素である式Iの化合物である。
【0036】
一実施形態では、化合物は、cが0であり、R3がHである式Iの化合物である。
【0037】
一実施形態では、化合物は、eが3であり、R5がメチルであり、fが1であり、R6がフェニルであり、gが1であり、R7がイソプロピルであり、X2がIleであり、X3がThrであり、X4がAspであり、ZがNH2またはOHである式Iの化合物である。
【0038】
一実施形態では、化合物は、R3が水素であり、cが0であり、R5がメチルであり、eが3であり、R6がフェニルまたは2−チエニルであり、fが1であり、R7がフェニルまたはイソプロピルであり、gが1であり、R8がHまたは−CH(OH)−CH3であり、hが0または1である式Iの化合物である。
【0039】
一実施形態では、化合物は、ZがNR910であり、R9が水素であり、R10がアラルキルまたはアルキルである式Iの化合物である。
【0040】
一実施形態では、化合物は、以下のもの、すなわち、
【化3】

からなる群から選択される。
【0041】
一実施形態では、化合物は、以下のもの、すなわち、
【化4】

からなる群から選択される。
【0042】
また、1種または複数の本発明の化合物を、場合により薬学的に許容される佐剤(adjuvant)、希釈剤、または担体と共に含む医薬組成物も提供される。
【0043】
また、胃腸傷害、下痢性疾患、腸機能不全、酸による腸傷害、アルギニン欠乏症、特発性精液過少症、肥満、セリアック病、異化疾患、化学療法剤誘発性腸炎、発熱性好中球減少症、糖尿病、肥満、脂肪吸収不良、脂肪便、自己免疫疾患、食物アレルギー、胃潰瘍、低血糖、胃腸バリア障害、敗血症、細菌性腹膜炎、熱傷による腸損傷、胃腸運動性の低下、炎症性腸疾患、腸不全、化学療法に伴う菌血症、腸外傷、腸虚血、腸間膜虚血、過敏性腸症候群、短腸症候群、栄養不良、壊死性腸炎、壊死性膵炎、新生児摂食不耐症、NSAIDによる胃腸損傷、栄養不足、完全非経口栄養法による消化管の損傷、新生児の栄養不足、放射線による腸炎、放射線による腸の傷害、粘膜炎、嚢炎、虚血、および卒中からなる群のうちの1つを治療する方法であって、その必要のある動物患者に、治療有効量の本発明の化合物を投与するステップを含み、動物にはヒトを含める方法が提供される。炎症性腸疾患には、その限りでないが、クローン病および潰瘍性大腸炎を含める。
【0044】
また、食欲を調節する;体重減少を増進、刺激、または促進する;胃の弛緩を増進、刺激、または促進する;グルコースレベルを制御する;空腹時満腹感(hunger satiety)を増進、刺激、または促進する;腸の免疫機能を増進する;腸の創傷治癒を増進、刺激、または促進する;若年時の体重減少を増進、刺激、または促進する;体重減少を増進、刺激、または促進する;新生児の腸発育を増進、刺激、または促進する;胎児または新生児の発育を増進、刺激、または促進する;腸癌を予防する;粘膜の完全性を増進または刺激する;腸内の細菌移行を最小限に抑え、緩和し、または予防する;手術後の腸の回復を増進、刺激、または促進する;たとえば手術後に、クローン病および潰瘍性大腸炎を含めた炎症性腸疾患の再発を予防する;あるいはエネルギー恒常性を実現または維持する方法であって、その必要のある動物患者に、治療有効量の本発明の化合物を投与するステップを含み、動物にはヒトを含める方法が提供される。
【0045】
また、うつ病、自閉症、骨粗鬆症、および外傷性脳損傷からなる群のうちの1つを治療する方法であって、その必要のある動物患者に、治療有効量の本発明の化合物を投与するステップを含み、動物にはヒトを含める方法が提供される。
【0046】
また、星状膠細胞の再生を増進、刺激、または促進する、あるいは中枢神経系の修復または成長を増進、刺激、または促進する方法であって、その必要のある動物患者に、治療有効量の本発明の化合物を投与するステップを含み、動物にはヒトを含める方法が提供される。
【0047】
また、胃腸傷害、下痢性疾患、腸機能不全、酸による腸傷害、アルギニン欠乏症、特発性精液過少症、肥満、セリアック病、異化疾患、化学療法剤誘発性腸炎、発熱性好中球減少症、糖尿病、肥満、脂肪吸収不良、脂肪便、自己免疫疾患、食物アレルギー、胃潰瘍、低血糖、胃腸バリア障害、敗血症、細菌性腹膜炎、熱傷による腸損傷、胃腸運動性の低下、炎症性腸疾患、腸不全、化学療法に伴う菌血症、腸外傷、腸虚血、腸間膜虚血、過敏性腸症候群、短腸症候群、栄養不良、壊死性腸炎、壊死性膵炎、新生児摂食不耐症、NSAIDによる胃腸損傷、栄養不足、完全非経口栄養法による消化管の損傷、新生児の栄養不足、放射線による腸炎、放射線による腸の傷害、粘膜炎、嚢炎、虚血、および卒中からなる群のうちの1つを治療するための医薬を製造するための、本発明の化合物の使用が提供される。炎症性腸疾患には、その限りでないが、クローン病および潰瘍性大腸炎を含める。
【0048】
また、食欲を調節する;体重減少を増進、刺激、または促進する;胃の弛緩を増進、刺激、または促進する;グルコースレベルを制御する;空腹時満腹感を増進、刺激、または促進する;腸の免疫機能を増進する;腸の創傷治癒を増進、刺激、または促進する;若年時の体重減少を増進、刺激、または促進する;体重減少を増進、刺激、または促進する;新生児の腸発育を増進、刺激、または促進する;胎児または新生児の発育を増進、刺激、または促進する;腸癌を予防する;粘膜の完全性を増進または刺激する;腸内の細菌移行を最小限に抑え、緩和し、または予防する;手術後の腸の回復を増進、刺激、または促進する;たとえば手術後に、クローン病および潰瘍性大腸炎を含めた炎症性腸疾患の再発を予防する;あるいはエネルギー恒常性を実現または維持するための医薬を製造するための、本発明の化合物の使用が提供される。
【0049】
また、うつ病、自閉症、骨粗鬆症、および外傷性脳損傷からなる群のうちの1つを治療するための医薬を製造するための、本発明の化合物の使用が提供される。
【0050】
また、星状膠細胞の再生を増進、刺激、または促進する、あるいは中枢神経系の修復または成長を増進、刺激、または促進するための医薬を製造するための、本発明の化合物の使用が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0051】
別段記載しない限り、本明細書および特許請求の範囲を含む本出願で使用する以下の用語は、以下に示す定義を有する。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用するとき、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈から明らかにそうでないと規定されない限り、複数の指示対象を包含することに留意しなければならない。標準の化学用語の定義は、CareyおよびSundberg(2007)のAdvanced Organic Chemistry第5版A巻およびB巻、Plenum Press、New Yorkを含む参考著作物で見ることができる。本発明の実施では、別段指摘しない限り、合成有機化学、質量分析、分取用および分析用のクロマトグラフィー、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術、および薬理学の従来の方法を、当分野の技術の範囲内で用いる。
【0052】
「アルキル」とは、任意選択で置換されているC16直鎖アルキル、またはiso−、sec−およびtert−配置を含む、任意選択で置換されているC38分枝鎖アルキルである。
【0053】
「アリール」とは、任意選択で置換されている、炭素原子5〜12個の単環式または二環式芳香族炭素環系である。典型的な単環式および二環式芳香族炭素環系として、任意選択で置換されているフェニルおよび任意選択で置換されているナフチルが挙げられる。
【0054】
「ビアリール」とは、
【0055】
【化5】

であり、Arはアリール基である。
【0056】
「ジアリール」とは、
【0057】
【化6】

であり、Arはアリール基である。
【0058】
「アラルキル」とは、置換基アリール基を有するアルキル基である。
【0059】
「ヘテロアリール」とは、任意選択で置換されている5員または6員芳香族ヘテロ環系である。5員ヘテロ芳香族環系は、5個の環原子を有し、1、2、3または4個の環原子が、N、OおよびSから独立に選択されたものである、単環式の芳香族環系である。典型的な5員ヘテロ芳香族環系として、任意選択で置換されているイミダゾリル、チアゾリル、チエニル、フリル、ピラゾリル、およびトリアゾリルが挙げられる。6員ヘテロ芳香族環系は、6個の環原子を有し、1、2、3または4個の環原子がN、OおよびSから独立に選択されたものである、単環式の芳香族環系である。典型的な6員ヘテロ芳香族環系として、任意選択で置換されているピリジル、ピリミジル、およびピラジニルが挙げられる。
【0060】
任意選択で置換されているとは、指定した部分上に1個または複数の置換基が存在していてもよいことを意味する。置換基部分は、たとえば、フッ素(F)、塩素(Cl)、および臭素(Br)原子、アルキル、ヒドロキシ(−OH)、アルコキシ(−O−アルキル)、アルキルチオ(−S−アルキル)、シアノ(−CN)、アミノ(−NH2)、アミド(−C(O)−NH2)、カルボキシル(−C(O)−OH)、C16アルキルエステル(−C(O)−O−アルキル)でよい。
【0061】
薬学的に許容される塩の例としては、酸付加塩、たとえば、塩化水素酸などのハロゲン化水素酸(hydrohalogen acid)、硫酸、リン酸、硝酸などの鉱酸、ならびに脂肪族、脂環式、芳香族、またはヘテロ環式のスルホン酸またはカルボン酸、たとえば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、ピルビン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、エンボン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、ハロベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸との反応によって生成される塩が挙げられる。(たとえば、Bergeら、J.Pharm.Sci.66:1〜19、1977、ならびにWermuth,C.G.およびP.H.Stahl編、Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use、Zurich:Verlag Helvetica Chimica Acta、2002を参照されたい)。
【0062】
使用する略語は以下のとおりである。
【0063】
【表1】

【0064】
【表2】

【0065】
【表3】

【0066】
別段指定しない限り、L−アミノ酸を使用しており、通常のアミノ酸用語法を使用する。20種の通常のアミノ酸以外のアミノ酸の例として、以下のものが挙げられる。
【0067】
【表4】

【0068】
化合物
一実施形態によれば、本発明の化合物は、一般式I
【0069】
【化7】

[式中、
1は、H、アルキル、アラルキル、およびアリールからなる群から選択され、
aは、0、1、2、3、4、5、6および7からなる群から選択され、
2は、ヘテロアリールであり、
bは、1または2であり、
3およびR4は、Hおよびアルキルからなる群からそれぞれ独立に選択され、
cおよびdは、0および1からなる群からそれぞれ独立に選択され、
5は、Hおよびアルキルからなる群から選択され、
eは、1、2、3および4からなる群から選択され、
6は、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、ビアリール、ヘテロアリール、および−C(O)−NH2からなる群から選択され、
fは、0、1、2および3からなる群から選択され、但し、R6がH以外である場合、fは0でなく、
7は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ビアリール、ジアリール、ヘテロアリール、および−C(O)−NH2からなる群から選択され、
gは、1、2および3からなる群から選択され、
8は、H、アルキル、−CH(OH)−CH3からなる群から選択され、
hは、0、1、2および3からなる群から選択され、
1は、GlnまたはArgであり、
2、X3、およびX4は、それぞれ独立に、存在するか、または不在であり、存在する場合、Val、Leu、Ile、Ser、Thr、Asp、およびGluからなる群から独立に選択され、
Zは、NR910またはOHであり、ここで、
9およびR10は、水素、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、アラルキル、および−(CH2x−[(CH22−O]y−(CH2x−[NH−C(O)−CH2−O−CH2z−C(O)−NHR11からなる群からそれぞれ独立に選択され、ここで、
11は、Hまたは−[(CH22−O]y−(CH2x−C(O)−NH2であり、
各xは、0、1、2および3からなる群からそれぞれ独立に選択され、
各yは、3、4、5および6からなる群からそれぞれ独立に選択され、
zは、0または1であり、
9およびR10は、任意選択で一緒になって、複素環またはヘテロアリールであってもよい4〜7員環を形成している]
および薬学的に許容されるその塩を有する。
【0070】
一実施形態では、化合物は、R6およびfがL−Asnを与えることのない式Iの化合物である。
【0071】
一実施形態では、化合物は、R7およびgがL−Asnを与えることのない式Iの化合物である。
【0072】
一実施形態では、化合物は、R5およびeがNleを形成する式Iの化合物である。
【0073】
一実施形態では、化合物は、R6とfの組合せおよびR7とgの組合せの両方が、Gly、L−Ala、L−Asn、L−Gln、L−Ser、L−Phe、L−Leu、L−Ile、L−Val、およびL−Hisからなる群から選択されるアミノ酸を与えることのない式Iの化合物である。
【0074】
一実施形態では、化合物は、R1がHであり、aが0であり、R2
【0075】
【化8】

であり、bが1である式Iの化合物である。これにより、化合物のN末端にある最初のアミノ酸がヒスチジンとなる。
【0076】
あるいは、化合物は、X2、X3、およびX4がすべて不在である式Iの化合物である。
【0077】
別の実施形態では、化合物は、X2、X3、およびX4がすべて存在する式Iの化合物である。
【0078】
一実施形態では、R6の側鎖と共に形成されるアミノ酸がD配置である。
【0079】
一実施形態では、R7の側鎖と共に形成されるアミノ酸がD配置である。
【0080】
一実施形態では、化合物は、表1の実施例化合物8であり、16位のアミノ酸がD配置である。あるいは、化合物は、表1の化合物12、13、29、30、32、35、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、および70であり、各実施例について、11位のアミノ酸がD配置である。
【0081】
別の実施形態では、化合物は、ZがNH2またはOHである式Iの化合物である。
【0082】
別の実施形態では、化合物は、ZがNR910であり、R9およびR10の一方が水素である式Iの化合物である。
【0083】
別の実施形態では、化合物は、cが0であり、R3がHである式Iの化合物である。
【0084】
別の実施形態では、化合物は、eが3であり、R5がメチルであり、fが1であり、R6がフェニルであり、gが1であり、R7がイソプロピルであり、X2がIleであり、X3がThrであり、X4がAspであり、ZがNH2またはOHである式Iの化合物である。
【0085】
別の実施形態では、化合物は、R3が水素であり、cが0であり、R5がメチルであり、eが3であり、R6がフェニルまたは2−チエニルであり、fが1であり、R7がフェニルまたはイソプロピルであり、gが1であり、R8がHまたは−CH(OH)−CH3であり、hが0または1である式Iの化合物である。
【0086】
一実施形態では、化合物は、ZがNR910であり、R9が水素であり、R10がアラルキルまたはアルキルである式Iの化合物である。
【0087】
本発明の実施例化合物を表1に示す。実施例化合物の構造は、His−Ala−Asp−Gly−Ser−Phe−Ser−Asp−Glu−Met−Asn−Thr−Ile−Leu−Asp−Asn−Leu−Ala−Ala−Arg−Asp−Phe−Ile−Asn−Trp−Leu−Ile−Gln−Thr−Lys−Ile−Thr−Asp(配列番号:1)である天然のhGLP−2と比較して規定する。
【0088】
【表5】

【0089】
【表6】

【0090】
【表7】

【0091】
【表8】

【0092】
【表9】

【0093】
【表10】

【0094】
【表11】

【0095】
【表12】

【0096】
【表13】

【0097】
合成
α−アミノ酸誘導体は、市販の供給者(Bachem、Novabiochem、およびPeptides International)から購入した。樹脂は、市販の供給者(Applied BiosystemsおよびNovabiochem)から購入した。追加の試薬、化学薬品、および溶媒はすべて、Sigma−Aldrich、Fluka、およびAcros Organicsから購入した。
【0098】
本明細書における化合物は、Fmoc法、およびApplied Biosystems Pioneer「Peptide Synthesis System」連続フロー自動ペプチド合成装置またはApplied Biosystems 433A自動ペプチド合成装置をApplied Biosystemsにより指定されたサイクルプロトコールを用いて利用する、固相ペプチド化学の標準的方法によって合成した。
【0099】
分取HPLCは、Waters Delta Prep LC4000において、PrepPackカートリッジDelta−Pack C18、300Å、15μm、47×300mmを使用し、100ml/分の流量で実施した。分析逆相HPLCは、Waters 600液体クロマトグラフにおいて、Vydacカラム218TP54、C18(5μm、4.6×250mm)を使用し、2ml/分の流量で実施した。最終化合物分析は、Agilent Technologies 1200 Seriesクロマトグラフにおいて、Phenomenex MAX−RP 80Å C18カラム(4μm、2×150mm)での逆相HPLCにより、0.3ml/分の流量で実施した。質量スペクトルは、MAT Finningan LCQエレクトロスプレー質量分析計で記録した。最終化合物分析の結果は、表1に実施例化合物について示している。
【0100】
別段規定しない限り、反応はすべて室温で実施した。以下の標準の参考文献が、一般実験装備、ならびに必要な出発材料および試薬の入手情報についてのさらなる手引きとなる。Kates,S.A.、Albericio,F.編、Solid Phase Synthesis:A Practical Guide、Marcel Dekker、New York、Basel、2000;Greene,T.W.、Wuts,P.G.M.、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley Sons Inc.、第2版、1991;Stewart,J.M.、Young,J.D.、Solid Phase Synthesis、Pierce Chemical Company、1984;Biselloら、J.Biol.Chem.1998、273、22498〜22505;Merrifield、J.Am.Chem.Soc.1963、85、2149〜2154;ならびにChangおよびWhite P.D.、「Fmoc Solid Phase Peptide Synthesis:a Practical Approach」、Oxford University Press、Oxford、2000。
【0101】
N−α−Fmoc−Pal−PEG−PS樹脂(Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティー)を、C末端の第一級カルボキシルアミドペプチドの出発材料として使用した。N−α−Fmocで保護したアミノ酸をNovaSyn(登録商標)TGT樹脂(Novabiochem、カリフォルニア州サンディエゴ)に結合させたものを、遊離カルボキシルC末端を有するペプチドの出発材料として使用した。
【0102】
所与のアミノ酸側鎖官能基の保護には、以下の保護基を利用した。2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾフラン−5−スルホニル(Arg)、t−ブチル基(Glu、Asp、Ser、Thr、およびTyr)、トリチル基(His、Gln、およびAsn)、t−ブトキシカルボニル基(LysおよびTrp)。
【0103】
Fmoc保護アミノ酸のカップリングはすべて、DMF中にてHATU/DIPEAの媒介により実施した。合成の際は、4倍過剰の活性化Fmoc保護アミノ酸を用いる35〜50分の単一カップリングを使用した。Fmoc保護基の除去は、PioneerではDMF中30%ピペリジンを用い、またはABI 433A合成装置ではUVモニタリングを行いながら20%ピペリジン/NMPを用い、ペプチド樹脂を6分間流れ洗浄(flow−wash)して行った。
【0104】
a=0であり、R1=Hであるペプチド類似体を、5位残基のカップリングがなされるまで、樹脂上に自動的にアセンブリした。次いでN末端Fmoc保護基を除去し、DMF中にてDIC/HOBtを媒介とする単一カップリングにおいて、2当量の完全に保護されたNα−Boc−テトラペプチドカルボン酸を用い、(1〜4)断片を手動で導入した。テトラペプチドは、H−Gly−2−Cl−トリチル樹脂(Novabiochem)上での手動合成により別途調製した。
【0105】
a≠0であるか、またはa=0である場合、R1≠H、d=0、R4=Hであるペプチド類似体を、4位Gly残基のカップリングがなされるまで、樹脂上に自動的にアセンブリした。Gly残基は、Fmoc−Hmb(Fmoc)Gly−OHとして、Hmb(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンジル)主鎖保護基と共に導入した。N末端Fmoc保護基を除去し、Fmoc−Asp(OtBu)−OH(5当量)を、DCM中にてDICを利用して手動でカップリングさせた。残りの2個の残基は、DMF中にて4当量のFmoc保護アミノ酸/DIC/HOBtを使用して手動で導入した。N末端Fmoc基を2−ニトロベンゼンスルホニル基で置き換え、樹脂に結合したスルホンアミドを、光延反応条件下(DME中にて10当量のアルコール/TPP/DIAD、終夜)、適切な第一級アルコールでアルキル化した。次いで2−ニトロベンゼンスルホニル基を、DMF中5%カリウムチオフェノレートを用いて除去した。
【0106】
ペプチド合成が完了した後、ペプチドをDCMで洗浄し、真空中で乾燥させた。ペプチドをTFA/H2O/TIPS 44:3:2(v/v/v、25ml)で2時間処理して、側鎖保護基を除去すると同時に、ペプチドを樹脂から切断した。ペプチドを濾過し、冷t−ブチルメチルエーテルを用いて沈殿させ、遠心分離し(固体は保持した)、t−ブチルメチルエーテルで洗浄し、アセトニトリル−H2O(70:30)に溶解し直し、凍結乾燥させ、分取HPLCによって精製した。
【0107】
ペプチドの精製は、分取HPLCにより実施した。各未精製ペプチドを、緩衝液系Pもしくは緩衝液系Cのいずれかで、またはPに続いてCで精製した。逆相分析HPLCで測定して93%を越える純度の画分をプールし、カラムに再充填し、緩衝液Tで溶離して、トリフルオロ酢酸塩を得た。酢酸塩を得るには、緩衝液PまたはCでの精製による画分をカラムに再充填し、カラムを5体積の0.1M酢酸アンモニウムで洗浄した。最終生成物を緩衝液Aで溶離した。画分をプールし、凍結乾燥した。
【0108】
【表14】

【0109】
追加の合成
C末端の第二級/第三級カルボキシルアミドペプチド(R9またはR10の少なくとも一方はHでない)を合成するために、完全に保護されたC末端カルボン酸ペプチドを、HIPF/DCM 1/4(v/v)カクテルを用いてNovaSyn(登録商標)TGT樹脂から切断し、引き続いて、クロロホルム/2,2,2−トリフルオロエタノール3/1(v/v)無水溶媒系中でDIC/HOAtを使用し、溶液中で適切なアミンとカップリングさせた。引き続いて、TFA/H2O/TIPS 44:3:2(v/v/v)カクテルを用いて保護基を除去し、類似体を分取HPLCによって精製した。方法は、たとえば、M.Goodman、A.Felix、L.Moroder、C.Toniolo編、Synthesis of Peptides and Peptidomimetics、Houben−Weyl、E22a〜E22e巻、Georg Thime Verlag、2004に記載されているように、当業界でよく知られている。
【0110】
別の実施形態では、R9が水素であり、R10が水素でない本発明の化合物などのような第二級アミドを、「Backbone Amide Linker(BAL) Strategy for Solid−Phase Synthesis of C−Terminal−Modified and Cyclic Peptides」、Knud J.Jensen、Jordi Alsina、Michael F.Songster、Josef Vagner、Fernando Albericio、およびGeorge Barany、Journal of the American Chemical Society 1998 120(22)、5441〜5452、ならびに「An Alkanesulfonamide “Safety−Catch” Linker for Solid−Phase Synthesis」、Bradley J.BackesおよびJonathan A.Ellman、The Journal of Organic Chemistry 1999 64(7)、2322〜2330に記載されているとおりに、固相上で作製することができる。
【0111】
さらに別の実施形態では、R9もR10も水素でなく、R9とR10が一緒になって環を形成していてもよい本発明の化合物などのような第三級アミドまたは環式アミドを、「Structure−Based Design and Synthesis of High Affinity Tripeptide Ligands of the Grb2−SH2 Domain」、Pascal Furet、Brigitte Gay、Giorgio Caravatti、Carlos Garcia−Echeverria、Joseph Rahuel、Joseph Schoepfer、およびHeinz Fretz、Journal of Medicinal Chemistry 1998 41(18)、3442〜3449に記載されているとおりに、固相上で作製することができる。
【0112】
GLP−2受容体アゴニスト活性
本発明の化合物のhGLP−2受容体におけるアゴニスト活性は、転写レポーター遺伝子アッセイにおいて、hGLP−2受容体発現DNAを、ヒト胚性腎臓(HEK−293)細胞系に、ホタルルシフェラーゼの発現を調節する細胞内cAMP反応性プロモーター要素を含んでいるレポーターDNAと共に一過性にトランスフェクトすることにより測定した。このアッセイに関するさらなる手引きについては、たとえば、Himmlerら、J.Recept.Res.(1993)、13、79〜74を参照されたい。半対数希釈した化合物の段階希釈物に、用量毎に5時間細胞を曝した後、細胞を溶解させ、ルシフェラーゼ活性を測定し、非線形回帰によって化合物の効力およびEC50値を求めた。33アミノ酸の内在性リガンドであるhGLP−2を、各実験で内部対照として使用した。データは、実施した個々のアッセイにおいて正規変動を示した。
【0113】
表1の化合物のin vitroアッセイ結果(ナノモル/l(nM)で示す幾何平均としてのhGLP−2受容体効力についてのEC50値)は、約0.01nM〜約1nMの範囲であった。試験した各化合物は、これらのアッセイにおいて、hGLP−2受容体における効力が内在性リガンドと比べて同等またはより強力であった。
【0114】
前述の結果は、本明細書で開示する化合物が、本発明の範囲内にあり、たとえば、ヒトの安全かつ効果的な治療において有用となり得ることを示している。
【0115】
薬物動態学
実例としてのGLP−2受容体アゴニストの薬物動態(PK)パラメータを、化合物を0.1〜1.0mg/kgの用量で静脈内ボーラス注射した後の成体雄Sprague−Dawleyラットにおいて求めた。二重にカニューレを挿入した、化合物1種につき3匹または4匹の動物に、頚静脈から投与を行い、間隔を空けて数回、頚動脈から血液サンプルを採取し、K2EDTAを抗凝固薬として使用して、全血から血漿サンプルを調製した。後続のサンプルの生体分析は、標準のLC/MS/MS法を使用した、化合物の抽出および血漿濃度の決定を含むものであった。分析物の濃度は、内部標準で正規化したピーク面積および検量線から算出した。
【0116】
PKパラメータの算出については、非コンパートメントデータ解析ソフトウェアパッケージPK Solutions 2.0(商標)(Summit Research Services、コロラド州Montrose)を用い、化合物濃度−時間曲線を分析した。体重1kgあたりの全身クリアランス(CL)は、体重1kgあたりの用量を、台形則による計算に基づく無限大に外挿したAUC(AUC∞)で割ったものとして算出した。報告する値は、表3で示すように、各化合物で使用した動物の数による算術平均および標準偏差である。
【0117】
試験した各化合物は、hGLP−2およびテズグルチドと比べて、クリアランスが同等であり、または著しく低いクリアランスを示した。試験した化合物のデータを表3に示す。
【0118】
【表15】

【0119】
【表16】

【0120】
医薬組成物
別の態様の本発明によれば、本明細書で規定する式(I)の化合物の医薬としての使用が提供される。
【0121】
別の態様の本発明によれば、活性成分としての本明細書で規定する式(I)の化合物を、薬学的に許容される佐剤、希釈剤、または担体と共に含む医薬組成物が提供される。
【0122】
医薬組成物は、経口、静脈内、局所、腹腔内、経鼻、頬側、眼内、耳内、舌下、筋肉内、および皮下投与、ならびにたとえばエアロゾルまたは空気懸濁微細粉末の形での呼吸路からの投与に適合させることができる。したがって、組成物は、たとえば、錠剤、カプセル剤、粉末、微粒子、顆粒、シロップ、懸濁液、溶液、経皮パッチ、または坐剤の形にすることができる。
【0123】
本発明による医薬組成物は、上で規定した化合物を2種以上含んでもよいことに留意すべきである。
【0124】
医薬組成物は、たとえば、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、着香剤、保存剤、着色剤、およびこれらの任意の混合物から選択される少なくとも1種の別の添加剤を場合により含んでもよい。こうした添加剤および他の添加剤の例は、「Handbook of Pharmaceutical Excipients」、A.H.Kibbe編、第3版、American Pharmaceutical Association,USAおよびPharmaceutical Press UK、2000に掲載されている。
【0125】
医薬組成物は、たとえば注射による非経口投与に適合させることもできる。非経口投与に適する製剤として、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および製剤を目的のレシピエントの血液と等張性にする溶質を含有してもよい水性および非水性の等張性滅菌注射溶液、ならびに懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、および保存剤を含有してよい水性および非水性の滅菌懸濁液が挙げられる。注射用溶液の液体担体には、例として、限定はしないが、水、生理食塩水、デキストロース水溶液、およびグリコールが含まれる。非経口製剤の例は、Avis K.、Lieberman H.、およびLachman L.編、Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications Volume 1、Marcel Dekker、New York、1992で見ることができる。懸濁液製剤の例は、Burgess,D.J.編、Injectable Dispersed Systems−Formulation, Processing,and Performance、Informa Healthcare、New York、2007で見ることができる。
【0126】
別の態様では、本発明は、胃腸傷害、下痢性疾患、腸機能不全、酸による腸傷害、アルギニン欠乏症、特発性精液過少症、肥満、セリアック病、異化疾患、化学療法剤誘発性腸炎、発熱性好中球減少症、糖尿病、肥満、脂肪吸収不良、脂肪便、自己免疫疾患、食物アレルギー、胃潰瘍、低血糖、胃腸バリア障害、敗血症、細菌性腹膜炎、熱傷による腸損傷、胃腸運動性の低下、炎症性腸疾患、腸不全、化学療法に伴う菌血症、腸外傷、腸虚血、腸間膜虚血、過敏性腸症候群、短腸症候群、栄養不良、壊死性腸炎、壊死性膵炎、新生児摂食不耐症、NSAIDによる胃腸損傷、栄養不足、完全非経口栄養法による消化管の損傷、新生児の栄養不足、放射線による腸炎、放射線による腸の傷害、粘膜炎、嚢炎、虚血、卒中、うつ病、自閉症、骨粗鬆症、および外傷性脳損傷を始めとする疾患を治療するための医薬を製造するための、上で概略を述べた化合物の使用を提供する。炎症性腸疾患には、その限りでないが、クローン病および潰瘍性大腸炎を含める。
【0127】
別の態様では、本発明は、食欲を調節する;体重減少を増進、刺激、または促進する;胃の弛緩を増進、刺激、または促進する;グルコースレベルを制御する;空腹時満腹感を増進、刺激、または促進する;腸の免疫機能を増進する;腸の創傷治癒を増進、刺激、または促進する;若年時の体重減少を増進、刺激、または促進する;体重減少を増進、刺激、または促進する;新生児の腸発育を増進、刺激、または促進する;胎児または新生児の発育を増進、刺激、または促進する;腸癌を予防する;粘膜の完全性を増進または刺激する;腸内の細菌移行を最小限に抑え、緩和し、または予防する;手術後の腸の回復を増進、刺激、または促進する;たとえば手術後に、クローン病および潰瘍性大腸炎を含めた炎症性腸疾患の再発を予防する;エネルギー恒常性を実現、維持する;星状膠細胞の再生を増進、刺激、または促進する;あるいは中枢神経系の修復または成長を増進、刺激、または促進するための医薬を製造するための、上で概略を述べた化合物の使用を提供する。
【0128】
別の態様では、本発明は、胃腸傷害、下痢性疾患、腸機能不全、酸による腸傷害、アルギニン欠乏症、特発性精液過少症、肥満、セリアック病、異化疾患、化学療法剤誘発性腸炎、発熱性好中球減少症、糖尿病、肥満、脂肪吸収不良、脂肪便、自己免疫疾患、食物アレルギー、胃潰瘍、低血糖、胃腸バリア障害、敗血症、細菌性腹膜炎、熱傷による腸損傷、胃腸運動性の低下、炎症性腸疾患、腸不全、化学療法に伴う菌血症、腸外傷、腸虚血、腸間膜虚血、過敏性腸症候群、短腸症候群、栄養不良、壊死性腸炎、壊死性膵炎、新生児摂食不耐症、NSAIDによる胃腸損傷、栄養不足、完全非経口栄養法による消化管の損傷、新生児の栄養不足、放射線による腸炎、放射線による腸の傷害、粘膜炎、嚢炎、虚血、卒中、うつ病、自閉症、骨粗鬆症、および外傷性脳損傷を始めとする疾患の治療方法であって、ヒトを含めた動物患者に、治療有効量の、上で概略を述べた化合物を投与するステップを含む方法を提供する。炎症性腸疾患には、その限りでないが、クローン病および潰瘍性大腸炎を含める。
【0129】
別の態様では、本発明は、食欲を調節する;体重減少を増進、刺激、または促進する;胃の弛緩を増進、刺激、または促進する;グルコースレベルを制御する;空腹時満腹感を増進、刺激、または促進する;腸の免疫機能を増進する;腸の創傷治癒を増進、刺激、または促進する;若年時の体重減少を増進、刺激、または促進する;体重減少を増進、刺激、または促進する;新生児の腸発育を増進、刺激、または促進する;胎児または新生児の発育を増進、刺激、または促進する;腸癌を予防する;粘膜の完全性を増進または刺激する;腸内の細菌移行を最小限に抑え、緩和し、または予防する;手術後の腸の回復を増進、刺激、または促進する;たとえば手術後に、クローン病および潰瘍性大腸炎を含めた炎症性腸疾患の再発を予防する;エネルギー恒常性を実現、維持する;星状膠細胞の再生を増進、刺激、または促進する;あるいは中枢神経系の修復または成長を増進、刺激、または促進する方法であって、ヒトを含めた動物患者に、治療有効量の、上で概略を述べた化合物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0130】
本明細書では、「治療」とは、本発明の化合物が適切な用量で投与されるときの症状の緩和、疾患発症の延期、および/または疾患の治癒を意味する。
【0131】
本発明による化合物の典型的な投与量は、広い範囲で様々であり、各患者の個々のニーズや投与経路などの種々の要素に応じて決まる。投与量は、1日1回または1日1回より頻繁に、たとえば断続的に投与することができる。投与される投与量は、たとえば、一般に、たとえば皮下注射により1日0.01〜5000μg、たとえば100〜2000μgの範囲内である。当分野の通常の医師ならば、投与量を状況に合わせてすぐに最適化することができよう。
【0132】
本明細書で引用した刊行物および特許出願はすべて、個々の各刊行物または特許出願が参照により援用されると明確かつ個別に表記されているのと同様に、参照により本明細書に援用される。
【0133】
前述の本発明について、明確に理解されるよう実例および具体例を挙げながらある程度詳細に説明してきたが、当業者には、本発明の教示に照らして、添付の請求項の精神または範囲から逸脱することなく、それに特定の変化および変更を行ってもよいことはいとも明白であろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化1】

[式中、
1は、H、アルキル、アラルキル、およびアリールからなる群から選択され、
aは、0、1、2、3、4、5、6および7からなる群から選択され、
2は、ヘテロアリールであり、
bは、1または2であり、
3およびR4は、Hおよびアルキルからなる群からそれぞれ独立に選択され、
cおよびdは、0および1からなる群からそれぞれ独立に選択され、
5は、Hおよびアルキルからなる群から選択され、
eは、1、2、3および4からなる群から選択され、
6は、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、ビアリール、ヘテロアリール、および−C(O)−NH2からなる群から選択され、
fは、0、1、2および3からなる群から選択され、但し、R6がH以外である場合、fは0でなく、
7は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ビアリール、ジアリール、ヘテロアリール、および−C(O)−NH2からなる群から選択され、
gは、1、2および3からなる群から選択され、
8は、H、アルキル、−CH(OH)−CH3からなる群から選択され、
hは、0、1、2および3からなる群から選択され、
1は、GlnまたはArgであり、
2、X3、およびX4は、それぞれ独立に、存在するか、または不在であり、存在する場合、Val、Leu、Ile、Ser、Thr、Asp、およびGluからなる群から独立に選択され、
Zは、NR910またはOHであり、ここで、
9およびR10は、水素、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、アラルキル、および(CH2x−[(CH22−O]y−(CH2x−[NH−C(O)−CH2−O−CH2z−C(O)−NHR11からなる群からそれぞれ独立に選択され、ここで、
11は、Hまたは−[(CH22−O]y−(CH2x−C(O)−NH2であり、
各xは、0、1、2および3からなる群からそれぞれ独立に選択され、
各yは、3、4、5および6からなる群からそれぞれ独立に選択され、
zは、0または1であり、
9およびR10は、任意選択で一緒になって、複素環またはヘテロアリールであってもよい4〜7員環を形成している]
および薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
6およびfがL−Asnを与えることのない、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
7およびgがL−Asnを与えることのない、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
5およびeがNleを形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
6とfの組合せおよびR7とgの組合せの両方が、Gly、L−Ala、L−Asn、L−Gln、L−Ser、L−Phe、L−Leu、L−Ile、L−Val、およびL−Hisからなる群から選択されるアミノ酸を与えることのない、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
1がHであり、aが0であり、R2
【化2】

であり、bが1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
2、X3、およびX4がすべて不在である、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
2、X3、およびX4がすべて存在する、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
6の側鎖と共に形成されるアミノ酸がD配置である、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
ZがNH2またはOHである、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
ZがNR910であり、R9およびR10の一方が水素である、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
cが0であり、R3がHである、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
eが3であり、R5がメチルであり、fが1であり、R6がフェニルであり、gが1であり、R7がイソプロピルであり、X2がIleであり、X3がThrであり、X4がAspであり、ZがNH2またはOHである、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
3が水素であり、cが0であり、R5がメチルであり、eが3であり、R6がフェニルまたは2−チエニルであり、fが1であり、R7がフェニルまたはイソプロピルであり、gが1であり、R8がHまたは−CH(OH)−CH3であり、hが0または1である、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
以下のもの、すなわち、
【化3】

からなる群から選択される、請求項1または14に記載の化合物。
【請求項16】
以下のもの、すなわち、
【化4】

からなる群から選択される、請求項1または14に記載の化合物。
【請求項17】
2がIleであり、X3がThrであり、X4がAspである、請求項14に記載の化合物。
【請求項18】
2、X3、およびX4がすべて存在する、請求項14に記載の化合物。
【請求項19】
ZがOHまたはNH2である、請求項14に記載の化合物。
【請求項20】
ZがNR910であり、R9が水素であり、R10がアラルキルまたはアルキルである、請求項14に記載の化合物。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項22】
活性成分としての請求項1から20のいずれか一項に記載の化合物を、薬学的に許容される佐剤(adjuvant)、希釈剤、または担体と共に含む医薬組成物。
【請求項23】
胃腸傷害、下痢性疾患、腸機能不全、酸による腸傷害、アルギニン欠乏症、特発性精液過少症、肥満、セリアック病、異化疾患、化学療法剤誘発性腸炎、発熱性好中球減少症、糖尿病、肥満、脂肪吸収不良、脂肪便、自己免疫疾患、食物アレルギー、胃潰瘍、低血糖、胃腸バリア障害、敗血症、細菌性腹膜炎、熱傷による腸損傷、胃腸運動性の低下、炎症性腸疾患、腸不全、化学療法に伴う菌血症、腸外傷、腸虚血、腸間膜虚血、過敏性腸症候群、短腸症候群、栄養不良、壊死性腸炎、壊死性膵炎、新生児摂食不耐症、NSAIDによる胃腸損傷、栄養不足、完全非経口栄養法による消化管の損傷、新生児の栄養不足、放射線による腸炎、放射線による腸の傷害、粘膜炎、嚢炎、虚血、および卒中からなる群のうちの1つを治療する方法であって、その必要のある動物患者に、治療有効量の請求項1から20のいずれか一項に記載の化合物を投与するステップを含み、動物にはヒトが含まれる方法。
【請求項24】
炎症性腸疾患がクローン病または潰瘍性大腸炎を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
食欲を調節する;体重減少を増進、刺激、または促進する;胃の弛緩を増進、刺激、または促進する;グルコースレベルを制御する;空腹時満腹感を増進、刺激、または促進する;腸の免疫機能を増進する;腸の創傷治癒を増進、刺激、または促進する;若年時の体重減少を増進、刺激、または促進する;体重減少を増進、刺激、または促進する;新生児の腸発育を増進、刺激、または促進する;胎児または新生児の発育を増進、刺激、または促進する;腸癌を予防する;粘膜の完全性を増進または刺激する;腸内の細菌移行を最小限に抑え、緩和し、または予防する;手術後の腸の回復を増進、刺激、または促進する;炎症性腸疾患の再発を予防する;あるいはエネルギー恒常性を実現または維持する方法であって、その必要のある動物患者に、治療有効量の請求項1から20のいずれか一項に記載の化合物を投与するステップを含み、動物にはヒトが含まれる方法。
【請求項26】
炎症性腸疾患がクローン病または潰瘍性大腸炎を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
うつ病、自閉症、骨粗鬆症、および外傷性脳損傷からなる群のうちの1つを治療する方法であって、その必要のある動物患者に、治療有効量の請求項1から20のいずれか一項に記載の化合物を投与するステップを含み、動物にはヒトが含まれる方法。
【請求項28】
星状膠細胞の再生を増進、刺激、または促進する、あるいは中枢神経系の修復または成長を増進、刺激、または促進する方法であって、その必要のある動物患者に、治療有効量の請求項1から20のいずれか一項に記載の化合物を投与するステップを含み、動物にはヒトが含まれる方法。
【請求項29】
胃腸傷害、下痢性疾患、腸機能不全、酸による腸傷害、アルギニン欠乏症、特発性精液過少症、肥満、セリアック病、異化疾患、化学療法剤誘発性腸炎、発熱性好中球減少症、糖尿病、肥満、脂肪吸収不良、脂肪便、自己免疫疾患、食物アレルギー、胃潰瘍、低血糖、胃腸バリア障害、敗血症、細菌性腹膜炎、熱傷による腸損傷、胃腸運動性の低下、炎症性腸疾患、腸不全、化学療法に伴う菌血症、腸外傷、腸虚血、腸間膜虚血、過敏性腸症候群、短腸症候群、栄養不良、壊死性腸炎、壊死性膵炎、新生児摂食不耐症、NSAIDによる胃腸損傷、栄養不足、完全非経口栄養法による消化管の損傷、新生児の栄養不足、放射線による腸炎、放射線による腸の傷害、粘膜炎、嚢炎、虚血、および卒中からなる群のうちの1つを治療するための医薬を製造するための、請求項1から20のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項30】
炎症性腸疾患がクローン病または潰瘍性大腸炎を含む、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
食欲を調節する;体重減少を増進、刺激、または促進する;胃の弛緩を増進、刺激、または促進する;グルコースレベルを制御する;空腹時満腹感を増進、刺激、または促進する;腸の免疫機能を増進する;腸の創傷治癒を増進、刺激、または促進する;若年時の体重減少を増進、刺激、または促進する;体重減少を増進、刺激、または促進する;新生児の腸発育を増進、刺激、または促進する;胎児または新生児の発育を増進、刺激、または促進する;腸癌を予防する;粘膜の完全性を増進または刺激する;腸内の細菌移行を最小限に抑え、緩和し、または予防する;手術後の腸の回復を増進、刺激、または促進する;炎症性腸疾患の再発を予防する;あるいはエネルギー恒常性を実現または維持するための医薬を製造するための、請求項1から20のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項32】
炎症性腸疾患がクローン病または潰瘍性大腸炎を含む、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
うつ病、自閉症、骨粗鬆症、および外傷性脳損傷からなる群のうちの1つを治療するための医薬を製造するための、請求項1から20のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項34】
星状膠細胞の再生を増進、刺激、または促進する、あるいは中枢神経系の修復または成長を増進、刺激、または促進するための医薬を製造するための、請求項1から20のいずれか一項に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2013−508398(P2013−508398A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535371(P2012−535371)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/053570
【国際公開番号】WO2011/050174
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(500297535)フェリング ベスローテン フェンノートシャップ (36)
【Fターム(参考)】