ペプチド提示アレイ
本発明はアレイ、アレイを構築する方法、およびそのようなアレイの使用方法を提供する。本発明のアレイは、基材の面上に、任意選択によりリンカー分子によって結合された2つ以上の別々の構築物または構築物の別々のセットを有する基材を含む。構築物は、目的のペプチドおよび親和性タグをコードする領域および非翻訳領域を含むオリゴヌクレオチド、目的のペプチドおよび親和性タグの両方を含む融合ペプチド、ならびに親和性タグと結合対を形成する捕獲剤を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペプチドベースのアレイ、そのようなアレイを作製する方法および関連する使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の議論において、ある物品および方法を、背景および導入目的のために記述する。本明細書に記載のいずれもが、先行技術の「容認」として解釈されるべきではない。本明細書で参照される物品および方法が、適用可能な法律の条項の下で先行技術を構成しないことを、出願人は、必要に応じて実証する権利を明確に保有する。
【0003】
プロテオミクス、すなわちタンパク質の機能、構造および相互作用に関する研究では、タンパク質を十分な量で生成し、かつスループットの高い方法でこれらのタンパク質を研究する能力が求められる。タンパク質マイクロアレイは、タンパク質のこのような高スループットな分析に対して非常に有益なツールである。しかし、大規模なプロテオミクス研究にマイクロアレイ技術を利用することは、タンパク質の生成の困難さおよび費用により、まだ非常に限定的である。(非特許文献1)。伝統的に、ペプチドアレイは、あらかじめ合成されたペプチドを面上にスポッティングすることにより(非特許文献2)、または、SPOT方法としても知られているが、標準的な固相ペプチド合成を使用してセルロースろ過シート上のスポットでペプチドを合成することにより(非特許文献3)作製する。数十〜数十万のペプチドを有するアレイを作成する費用は非常に高く、このようなアレイを大規模に、高スループットに使用することは、費用面で無理がある。最近になって、インビトロでの翻訳によるペプチドアレイ作製の方法が開発されており、タンパク質インシツアレイ(PISA)作製(非特許文献4)、核酸プログラム型タンパク質アレイ(NAPPA)作製(非特許文献5)、DNA−タンパク質アレイ(DAPA)構築(He M
Nat. Methods 5:175−177(2008))および、インシツのピュロマイシン捕獲を使用したタンパク質アレイ(非特許文献6)がある。しかしながら、これらのアプローチは個々に合成された鋳型核酸を必要とし、またその費用は、伝統的方法により配置された個々のペプチドの費用よりも高い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Henderson G and Bradley M,Curr Opin Biotechnol. Aug;18(4):326−30,(2007),Epub 2007 Aug 6;Tapia VE Methods Mol Biol. 2009;570:3−17(2009)
【非特許文献2】Salisbury CM et al,J Am Chem Soc. 2002 Dec 18;124(50):14868−70(2002)
【非特許文献3】Frank R,J Immunol Methods.2002 Sep 1;267(1):13−26(2002)
【非特許文献4】He M and Taussig MJ,Nucleic Acids Res,29,e73(2001)
【非特許文献5】Ranachandran N et al.,Science 305:86−90(2004)
【非特許文献6】Tao S−C and Zhu H,Nat. Biotech 24:1253−1254(2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高密度、高品質で、多様な配列のペプチドアレイを製作する能力は、高スループットな結合および酵素活性プロファイリングの研究を可能にし、研究、診断法および治療学上の開発において様々に利用されるであろう。本発明はこの要求に取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この「概要」は、数々のコンセプトを、以下の「詳細な説明」でさらに詳述される単純化した形態で紹介するために提供される。この「概要」は、特許請求される主題の重要なまたは基本的な特徴を同定することを意図しない。また特許請求される主題の範囲の限定も意図しない。特許請求される主題の他の特徴、詳細、有用性および利点は、添付された図面で説明され、添付された特許請求の範囲で限定された態様を含む以下の「詳細な説明」から明らかとなるであろう。
【0007】
本発明はアレイ、アレイを構築する方法、およびそのようなアレイの使用方法を提供する。本発明のアレイは、基材の面上に、任意選択によりリンカー分子によって結合された2つ以上の別々の構築物または構築物の別々のセットを有する基材を含む。構築物は、目的のペプチドをコードするオリゴヌクレオチド、および目的のペプチドそれ自体の両方を含む。オリゴヌクレオチドは基材面に、またペプチドはオリゴヌクレオチドに、直接またはリンカー分子によって結合されている。
【0008】
特定の態様において、アレイの構築物は、目的のペプチドおよび親和性タグをコードする第1のオリゴヌクレオチド領域、非翻訳領域を含み、第1のオリゴヌクレオチドに5’で配置した第2のオリゴヌクレオチド領域、目的のペプチドおよび親和性タグの両方を含む融合ペプチド、ならびに融合タンパク質の親和性タグと結合対を形成するオリゴヌクレオチドに結合した捕獲剤を含む。オリゴヌクレオチドの非翻訳領域は、転写開始点およびリボソーム結合部位を、目的のペプチドおよび親和性タグをコードする領域の5’に含む。
【0009】
捕獲剤は、オリゴヌクレオチドに直接的に、またはリンカー分子によって結合してもよい。好ましい態様において、融合ペプチドは、基材面から遠位にあるオリゴヌクレオチドの終端で、オリゴヌクレオチドに直接または間接的に結合した捕獲剤との結合によって、オリゴヌクレオチドと結合している。ある他の態様において、ペプチドは、オリゴヌクレオチドに結合した捕獲剤によって、または、オリゴヌクレオチドを基材面に取り付けるリンカーに結合した捕獲剤のいずれかによって、基材の面近くのオリゴヌクレオチドに結合される。好ましい態様において、捕獲剤は、オリゴヌクレオチドに連結したプライマー配列によって、例えば合成リンカー分子を使用して、基材面から遠位にあるオリゴヌクレオチド上の位置で結合される。
【0010】
ある態様において、アレイ基材は、平坦な担体、フィルム、ビーズまたはそれらの組み合わせである。オリゴヌクレオチドの1つの鎖は、オリゴヌクレオチドへ非翻訳領域を導入するために使用されるプライマー領域を含む。非翻訳領域は、転写反応の開始のためのリボソーム開始部位および転写プロモーター領域を含む。
【0011】
ある特定の態様において、構築物は、フローセル、好ましくは高スループットな配列決定に使用されるフローセルの面に配置される。配列をフローセルにおいてインシツでクローン的に任意に増幅できる。この態様において、配列はランダムに配置されるが、各クローン配列の同一性は、タンパク質の生成およびスクリーニングアッセイでの使用の前、または後のいずれかで決定できる。何百万もの鋳型DNAを配置し、かつそれらの配列を決定する能力は、鋳型オリゴヌクレオチドの合成の間に規定された位置で、塩基をランダム化することにより、より長い鋳型を形成するためにより短いオリゴヌクレオチドを組み合
わせることにより、またはゲノムDNAまたはcDNAライブラリーから配列のライブラリーを導き出すことにより、非常に安価に実行できる。
【0012】
本発明のある態様において、アレイの構築物は、ペプチドに結合した二本鎖のオリゴヌクレオチドを含む。他の態様においては、ペプチドが結合した後にオリゴヌクレオチド鎖のうちの1本を除去するのが望ましい場合もあり、アレイは、目的のペプチドに結合した一本鎖のオリゴヌクレオチドを含むことになる。
【0013】
本発明はまた、本発明のアレイを構築する方法を提供する。本発明のペプチドアレイを作製する特定の方法は、基材面(例えば平坦な基材、またはビーズの1セット)上で合成された核酸のセットを利用する。アミノ酸配列をコードする既知の配列の核酸は、例えば化学合成技術を使用して、面上で直接合成されるのが好ましい。アレイ上の個々の異なる位置または部位での配列の同一性はあらかじめ決定されてもよく、または固体基材上での合成、もしくはマイクロアレイ等の固定フォーマットへ集合させた(例えばビーズの場合)後に決定されてもよい。配列同一性もペプチドアレイの構築後に決定されてもよい。核酸を合成的に生成した後、所望の配列情報(例えばペプチドアレイの要素をコードする配列、転写または翻訳に必要な配列等)を含む核酸を、基材面上の合成された核酸に、化学的および好ましくは酵素的ライゲーション、プライマー伸長、増幅などの方法を使用して、追加で取り付ける。伸長した核酸は、インビトロの転写および翻訳による目的のペプチドおよび他のペプチドの要素(例えば親和性タグ)の生成の鋳型として使用される。
【0014】
ペプチドアレイを構築するための別の特定の態様において、アミノ酸配列をコードする、化学的に合成されたオリゴヌクレオチドを1セット含む核酸マイクロアレイが作製される。所望の配列情報(例えばペプチドアレイの要素をコードする配列、転写または翻訳に必要な配列等)を含む核酸を、化学的および、好ましくは酵素的なライゲーション、プライマー伸長、増幅等の方法を使用して、これらのアレイのオリゴヌクレオチドに追加で取り付ける。伸長した核酸は、インビトロの転写および翻訳による目的のペプチドおよび他のペプチドの要素(例えば親和性タグ)の生成の鋳型として使用される。
【0015】
ペプチドの生成後に、ペプチドは、基材面上の既知の位置で捕獲される。ペプチドは、ペプチドそれぞれの鋳型核酸の位置と、または実際の鋳型と直接、本明細書に詳細に記述された方法を使用して結合するのが好ましい。合成の、および、合成後の核酸構築の組み合わせを利用する本発明のこれらの方法は、基材面上の既知の配列のペプチドを多数生成するのに、特に有益である。例えば、これらの方法を使用すると、少なくとも100、少なくとも1000、少なくとも5000、および少なくとも10,000のアレイの分析可能なペプチドが、基材面上で生成できる。
【0016】
あるいは、伸長された核酸配列を(直接的に、または複製物として)面に移行させ、インシツで増幅し、ペプチドアレイ構築の残りのプロセスが実行される。
態様のいくつかにおいて、アレイは、目的のペプチドおよび親和性タグをコードする一本鎖の鋳型オリゴヌクレオチド領域を含む2つ以上の構築物を含む面を使用して作製できる。一態様において、一本鎖の鋳型オリゴヌクレオチドは二本鎖のオリゴヌクレオチド領域に変換され、転写開始点およびリボソーム結合部位を含む非翻訳領域は、二本鎖のオリゴヌクレオチド領域の5’末端に導入される。他の好ましい態様において、非翻訳領域は、一本鎖のオリゴヌクレオチドの二本鎖の鋳型への変換に先立って一本鎖領域に付加される。その後、二本鎖のオリゴヌクレオチド領域はインビトロで転写および翻訳され、目的のペプチドおよび親和性タグを含む融合ペプチドが生成され、この融合ペプチドは、オリゴヌクレオチドに直接的にまたは間接的に結合されている捕獲剤に、融合ペプチドの親和性タグ部分を結合することにより、構築物に捕獲される。捕獲剤は、任意選択によりオリゴヌクレオチドの非翻訳領域に結合しており、この非翻訳部位の領域に相補的な領域によ
ってオリゴヌクレオチドに導入される。あるいは、捕獲剤は、ペプチドコード領域によって、または基材面に鋳型オリゴヌクレオチドを取り付けるリンカーによって構築物に結合していてもよい。
【0017】
別の態様において、アレイは、目的のペプチドをコードする配列に相補的な、および親和性タグをコードする配列に相補的な配列を含む一本鎖の鋳型オリゴヌクレオチド領域を含む2つ以上の構築物を含む面を使用して作製できる。一本鎖の鋳型オリゴヌクレオチドは二本鎖のオリゴヌクレオチド領域に変換され、転写開始点およびリボソーム結合部位を含む非翻訳領域は、二本鎖のオリゴヌクレオチド領域の5’末端に導入される。その後、二本鎖のオリゴヌクレオチド領域を転写および翻訳させて、目的のペプチドおよび親和性タグを含むペプチドが生成され、この融合ペプチドは、捕獲剤に、融合ペプチドの親和性タグ部分を結合することにより、構築物に捕獲される。捕獲剤は任意選択により非翻訳領域に結合しており、この領域で構築物に導入される。あるいは、捕獲剤は、ペプチドコード領域によって、または基材面にオリゴヌクレオチドを取り付けるリンカーによって構築物に結合していてもよい。
【0018】
さらに別の態様において、本発明は、目的のペプチドおよび親和性タグをコードする一本鎖のオリゴヌクレオチド領域を含む2つ以上の構築物を有する面を含む基材を提供することによりアレイを構築する方法を提供する。転写開始点およびリボソーム結合部位を有する非翻訳領域を含む第2のユニバーサルなオリゴヌクレオチドは、構築物のオリゴヌクレオチドに取り付けられており、捕獲剤はユニバーサルなオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションによってオリゴヌクレオチドに結合している。構築物の一本鎖のオリゴヌクレオチド領域は二本鎖のオリゴヌクレオチド領域に変換され、また、二本鎖の鋳型オリゴヌクレオチド領域を転写および翻訳させて、目的のペプチドおよび親和性タグを含む融合ペプチドを生成する。この翻訳イベントから生成された融合タンパク質は、ペプチドの親和性タグによって捕獲剤により捕獲される。結果として生じるアレイは、核酸によりコードされたペプチドに結合した核酸を含む別々のユニットを含む。これらの別々の構築物ユニットは、別の目的のペプチドを有する他の構築物から区別可能な1つまたは複数の構築物を含むことができる。
【0019】
さらに別の態様において、本発明は、目的のペプチドおよび親和性タグをコードする一本鎖のオリゴヌクレオチドを含む2つ以上の構築物を有する面を含む基材を提供することによりアレイを構築する方法を提供する。転写開始点およびリボソーム結合部位を有する非翻訳領域を含む第2のユニバーサルなオリゴヌクレオチドは、構築物のオリゴヌクレオチドに結合されており、捕獲剤はユニバーサルなオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションによってオリゴヌクレオチドに結合している。構築物の一本鎖のオリゴヌクレオチド領域は二本鎖のオリゴヌクレオチド領域に変換され、また、二本鎖の鋳型オリゴヌクレオチド領域を転写および翻訳させて、目的のペプチドおよび親和性タグを含む融合ペプチドを生成する。この翻訳イベントから生成された融合タンパク質は、ペプチドの親和性タグによって捕獲剤により捕獲される。結果として生じるアレイは、核酸によりコードされたペプチドに結合した核酸を含む別々のユニットを含む。これらの別々の構築物ユニットは、別の目的のペプチドを有する他の構築物から区別可能な1つまたは複数の構築物を含むことができる。
【0020】
さらに別の態様において、本発明は、目的のペプチド、親和性タグ、および非翻訳領域をコードする領域を含む一本鎖のオリゴヌクレオチドを含む2つ以上の構築物を有する面を含む基材を提供することによりアレイを構築する方法を提供し、オリゴヌクレオチドはその5’末端で基材面に取り付けられている。オリゴヌクレオチドの非翻訳領域にアニーリングするプライマーは転写の開始部位で二本鎖領域を生成するが、これは目的のペプチドおよび親和性タグをコードするペプチドの転写および翻訳を開始するのに効率的である
。アレイの構築物は転写および翻訳の開始前には、二本鎖のオリゴヌクレオチドに変換されない。
【0021】
本発明はさらに、試料中の作用剤の有無の検出を含む、目的のペプチドに対する作用剤の結合を検出するための方法を提供する。これらの方法は、面を有する基材、基材の面上に結合した2つ以上の個別の構築物、目的のペプチドをコードするオリゴヌクレオチドおよび目的のペプチドそれ自体の両方を有する個別の構築物、を含むアレイを提供することを含む。特定の態様において、これらの検出方法において使用されるアレイは、目的のペプチドをコードするオリゴヌクレオチド領域、親和性タグおよび非翻訳領域をコードするオリゴヌクレオチド領域、目的のペプチドおよび親和性タグを含むペプチド、および親和性タグに選択的に結合する捕獲剤を含む2つ以上の構築物を有する。目的のペプチドへの作用剤の結合の検出がアレイを作用剤に接触させ、作用剤の目的のペプチドへの結合の有無の検出により行われる。個別の構築物はオリゴヌクレオチドと基材面との結合によってアレイに結合され、ペプチドは、例えば、捕獲剤への親和性タグの結合によってオリゴヌクレオチドと結合する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】A−F:本発明の複合オリゴヌクレオチドペプチドアレイにおいて使用される代表的な構築物を図示する。
【図2】同じ融合ペプチドを含む同一の構築物のセットを含むアレイを図示する。
【図3】異なる構成において同じオリゴヌクレオチド領域を含む構築物のセットを含むアレイを図示する。
【図4】同じペプチドを有するが、異なる親和性タグおよび捕獲剤を有する構築物を含むアレイを図示する。
【図5】本発明の複合オリゴヌクレオチド−ペプチドアレイを作製するための第1の一般的な方法を図示する。
【図6】捕獲剤を使用して、本発明の複合オリゴヌクレオチド−ペプチドアレイを作製するための第2の一般的な方法を図示する。
【図7】ビーズ上で捕獲剤および鋳型オリゴヌクレオチドを使用する、第1の作製方法を図示する。
【図8】平坦な面上で捕獲剤および鋳型オリゴヌクレオチドを使用する、第2の作製方法を図示する。
【図9】鋳型オリゴヌクレオチドにより生成されたペプチドのピュロマイシン捕獲を使用する、第3の作製方法を図示する。
【図10】翻訳後修飾を使用した、図9の作製方法のより特定の態様を図示する。
【図11】図10で図示した方法を使用する、FGEを使用した、LCTPSRペプチドを図示する。
【図12】配列決定フローセルを利用する一般的なアッセイシステムを図示する。
【図13】本発明のアレイ上での構築物の様々な構成の使用を図示する。
【図14】本発明のアレイ上で偽陽性を減少させるハロー効果を生みだすための拡散の使用を図示する。
【図15】図7のビーズアレイを使用して得られたペプチドの結合結果を図示する。
【図16】図8で示すように作製したスライドアレイを使用して得られたペプチド結合結果を図示する。
【0023】
定義
本明細書に使用される用語は、当業者が理解するような明白な一般的な意味を有することを目的とする。以下の定義は、読者が本発明を理解するのを助けることを目的とするが、そのような用語の意味を変えることも、限定することも意図しない。
【0024】
用語「親和性タグ」は、本明細書で使用される場合、捕獲剤に選択的に結合する結合対の一方のメンバーを指す。
用語「結合対」は、互いに選択的に結合することが知られているあらゆる2つの分子を意味する。2つのタンパク質の場合には、本明細書でより詳細に記述するように、分子は互いに選択的に結合する。このような結合は共有結合、および/または非共有結合を含んでいてもよい。例えば、ビオチンとアビジン、ビオチンとストレプトアビジン、抗体およびその特定の抗原決定基、等があるが、これに限定されない。
【0025】
用語「捕獲剤」は、本明細書で使用される場合、ペプチドの親和性タグとの結合によって、またはペプチドの親和性タグとの連結によって、ペプチドを捕獲できるあらゆる成分を指す。捕獲剤とその親和性タグとの間の結合は共有結合および/または非共有結合であってもよい。捕獲剤には、例えば、融合ペプチド上の親和性タグに選択的に結合する結合対のメンバー、組み換え技術、または他のメカニズムにより付加される化学結合等を含む。特定の態様において、捕獲剤は親和性タグの抗原決定基に選択的に結合する抗体である。捕獲剤はハイブリダイゼーション、クロスリンキング(例えばソラレンを使用した共有結合固定化)、翻訳後修飾による導入等を含む従来の技術を使用して、構築物に結合させることができる。
【0026】
用語「相補的な」は、核酸結合対の相互作用面の形態上の互換性または双方向性の構造を指す。好ましい相補的構造は、互いに結合親和性を有し、核酸が互いに有する相補性の程度が高くなるほど、構造間のハイブリダイゼーションがより強くなる。
【0027】
用語「診断ツール」は、本明細書で使用される場合、患者の試料の診断テストまたはアッセイを実行するために使用される本発明のあらゆる構成物またはアッセイを指す。診断ツールとして、本発明の構成物を分析物に特異的な試薬の集合と考えてもよく、これを用いて、米国連邦または州関係機関によって規制される診断テストの一部を形成してもよい。本発明の組成物を診断ツールとして使用することは、治療薬の開発においてこの組成物を使用することとの関連を意図しない。
【0028】
用語「オリゴヌクレオチド」を、ヌクレオチドモノマーの直線状の重合体を意味するために本明細書で使用する。この用語が本明細書で使用される場合、一本鎖または二本鎖の形態を指す場合がある。核酸とオリゴヌクレオチドを形成するモノマーは、天然のポリヌクレオチドに特異的に結合できるが、これはワトソンクリック型の塩基対形成、塩基スタッキング、フーグスティーン型または逆フーグスティーン型の塩基対形成等の、モノマー同士の規則的な型の相互作用による結合であり、この結合によって二本鎖または三重鎖の形態を作り上げる。このようなモノマーおよびこのヌクレオシド間結合は天然でもよく、またはその類似体、例えば天然もしくは非天然の類似体でもよい。非天然の類似体にはペプチド核酸、ロックド核酸、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合、蛍光体、もしくはハプテン等の標識が結合できる結合基等を含む塩基がある。オリゴヌクレオチドまたは核酸の使用において、ポリメラーゼによる伸張およびリガーゼによるライゲーション等の、酵素によるプロセシングが必要となる場合は常に、ヌクレオシド間結合、糖成分または塩基のある種の類似体が酵素反応と適合しない場合、上記のようなオリゴヌクレオチドまたは核酸には、どの位置にもそのような類似体を含めないことを当業者は理解するだろう。核酸の大きさは典型的には少数のモノマー単位、例えば5から40の範囲であり、数十万以上のモノマー単位の場合には通常「オリゴヌクレオチド」と呼ばれる。核酸またはオリゴヌクレオチドを文字の配列(大文字か小文字)よって、例えば「ATGCCTG、」等で表す場合は常に、別記しない限り、または文脈から明らかな場合、ヌクレオチドは5’から3方向へ、左から右に記載され、「A」はデオキシアデノシン、「C」はデオキシシチジン、「G」はデオキシグアノシン、および「T」はデオキシチミジン、「I」はデオキシイノシン、「U」はウリジンを表すと理解される。通常、核酸は、ホスホジエステル
結合によってつながった天然のヌクレオシド(例えばDNAのデオキシアデノシン、デオキシシチジン、デオキシグアノシン、デオキシチミジンまたはこれらに対応するRNAのリボース)を含む;しかしながら、非天然のヌクレオチド類似体、例えば修飾塩基、糖類、ヌクレオシド間の結合を含んでもよい。酵素が活性に必要な特定のオリゴヌクレオチドまたは核酸基質、例えば一本鎖DNA、RNA/DNA二本鎖等を有する場合、オリゴヌクレオチドまたは核酸基質に適切な組成物は、当業者の知識を持って選択でき、特にSambrookら,Molecular Cloning,Second Edition(Cold Spring Harbor Laboratory、New York、1989)等の専門書や同様の参照文献の手引きも参考にできる。
【0029】
用語「ペプチド」、「ポリペプチド」等は本明細書では交換可能に使用し、任意の長さのアミノ酸の重合形態を指す。これにはコードされた、およびコードされないアミノ酸、化学的または生物化学的に修飾した、または誘導したアミノ酸、およびペプチド骨格を改変したポリペプチドがある。
【0030】
用語「研究ツール」は、本明細書で使用される場合、本発明のあらゆる構成物またはアッセイを指し、これらは薬品による治療及び/又は生物学的な治療の開発等の、自然界を対象とした科学的、学術的、または商業的な研究で使用される。本発明の研究ツールの意図は、治療用ではなく、規制認可の対象とすることでもない。むしろ、本発明の研究ツールは、開発事業での研究を容易にし、開発活動を支援することを意図し、この活動には、規制当局への提出をサポートするための情報を作成するために実施されるあらゆる活動が含まれる。
【0031】
用語「選択的に結合する」、「選択的な結合」等は、本明細書で使用され、結合対(例えば、タンパク質、核酸、抗体等)を指す場合、指定の分析条件下で、高親和性および/または選択的なハイブリダイゼーションを保証する相補性を有する、2つ以上の結合対の結合反応を指す。典型的には、特異的結合はバックグラウンド信号またはノイズの少なくとも3倍、より典型的にはバックグラウンドの10〜100倍を超えるだろう。したがって、指定の条件下、結合パートナーは自身の特定の「標的」分子と結合し、試料中にある他の分子とはあまり結合しない。
【0032】
用語「Tm」は「融解温度」に関して使用する。融解温度は、二本鎖核酸分子の集団の半分が一本鎖へと分離される温度である。核酸のTmを計算するための等式がいくつかあり、当該技術分野においてよく知られている。標準的な基準に示されているように、核酸が1MのNaCl水溶液中にある場合、Tm値の単純な推定値を、等式、Tm=81.5+0.41(%G+C)で計算できる。(例えば、AndersonおよびYoung、Quantitative Filter Hybridization,in Nucleic Acid Hybridization(1985)参照のこと。)他の参照文献には(例えば、Allawi,H.T.およびSantaLucia,J.,Jr.、Biochemistry 36,10581−94(1997))は、Tmを計算するために、配列特性と同様、構造および環境特性をも考慮に入れる別の計算方法が記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本明細書に記述された技術の実行にあたり、別記しない限り、有機化学、ポリマー技術、分子生物学(組み換え技術を含む)、細胞生物学、生化学および配列決定技術の従来の技術および記述を採用する場合がある。これらは当該分野の範囲内である。このような従来の技術には、ポリマーアレイ合成、ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションおよびライゲーション、標識を使用したハイブリダイゼーションの検出がある。適切な技術の特定の例示は、以下の例に参考として含まれ得る。しかし、他の等価な従来手順もまた、当
然ながら使用され得る。そのような従来の技術および記述は、標準的な実験マニュアルにおいて見出すことができる。例えば、Green, et al., Eds. (1999), Genome Analysis: A Laboratory Manual Series (Vols. I−IV); Weiner, Gabriel, Stephens, Eds. (2007), Genetic Variation: A Laboratory Manual; Dieffenbach, Dveksler, Eds. (2003), PCR Primer: A Laboratory Manual; Bowtell and Sambrook (2003),DNA Microarrays:A Molecular Cloning Manual;Mount(2004)、Bioinformatics:Sequence and Genome Analysis;Sambrook and Russell(2006)、Condensed Protocols from Molecular
Cloning:A Laboratory Manual;およびSambrook
and Russell(2002)、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(全てCold Spring Harbor Laboratory Press);Stryer,L.(1995)Biochemistry(4th Ed.)W.H.Freeman,New York N.Y.;Gait,”Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach”1984,IRL Press,London; Nelson
and Cox(2000)、Lehninger, Principles of Biochemistry 3rd Ed.,W.H. Freeman Pub.,New York, N.Y.;およびBergら(2002) Biochemistry,5th Ed.,W.H.Freeman Pub.,New York,N.Y.があり、全文献を全目的のため本明細書に参照して組み込む
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形(「a」「an」および「the」)は、文脈が明らかに別途指示しないかぎり、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「基質」に言及する場合、基質の1つまたは複数のコピーを指し、「分析」に言及する場合、当業者等が認識している同等なステップおよび方法への言及も含まれる。
【0034】
別に定義しない限り、本明細書で使用される技術および科学用語はすべて本発明が属する業界の関係者により一般に理解されるのと同じ意味を有している。本明細書で言及する全文献を、本明細書に参照して完全に組み込むが、その目的は本発明に関連して使用され得る、デバイス、調剤および方法を説明および開示するためである。
【0035】
ある値の範囲が示されるが、各介在値、その範囲の上限値および下限値、ならびに表示範囲内の他の表示値または介在値が、本発明に包含されるものと理解される。これらのより狭い範囲の上限および下限は独立して、より狭い範囲に含まれてよく、表示範囲における任意の特定除外限度を条件として、これらも本発明の範囲に含まれる。表示範囲が一方または両方の限度を含む場合、それら包含される限度の一方または両方を除外する範囲も本発明に含まれる。
【0036】
以下の記述において、本発明を徹底的に理解するために、特定の詳細を多数提示する。しかしながら、本発明がこれらの特定の詳細を1つまたは複数欠いても実行し得ることは当業者には明らかであろう。他の例において、本発明を不明瞭にしないため当業者によく知られた特徴および方法は記述していない。
【0037】
本発明の一般的内容
本発明のアレイは新規のアレイ構成、および対費用効果の高い方法でこれらのアレイを生成する方法を提供する。本発明のアレイは、オリゴヌクレオチドのペプチドをコードす
る鋳型、および、好ましくは二本鎖のオリゴヌクレオチドのペプチドをコードする鋳型の両方を含み、これらは鋳型オリゴヌクレオチドによりコードされたペプチドに結合されている。本発明のマイクロアレイは、非常に安価なマイクロアレイベースの合成により得られた鋳型オリゴヌクレオチドのインビトロの転写/翻訳を使用して生成される。アレイのオリゴヌクレオチドは、アレイ面に取り付けたオリゴヌクレオチドの鋳型RNAへの転写、続くこれら鋳型のペプチドへの翻訳によりオリゴペプチド複合構築物に変換される。その後、翻訳されたペプチドは、化学的なリンカー基の使用、捕獲剤の使用等を含む異なるメカニズムによって鋳型オリゴヌクレオチドに結合される。アレイで利用可能なペプチドの種類は、アレイ上の元の鋳型オリゴヌクレオチドの複雑さを反映する。
【0038】
本発明の特定の態様において、アレイは、ペプチド上の親和性タグ領域に結合するために使用される捕獲剤を含む。この例において、ペプチドはC末端領域で捕獲剤と結合する親和性タグ領域を、N末端領域に目的のペプチドを含む融合ペプチドである。親和性タグは構築物内の鋳型オリゴヌクレオチドによりコードされ、転写および翻訳により生成された融合ペプチドの捕獲のために使用される。
【0039】
好ましい態様において、アレイの複数のペプチドが同一の親和性タグを含むと、構築物では共通の捕獲剤の使用が可能となる。例えば、アレイは、単一の共通の親和性タグおよび捕獲剤を有する様々な配列のペプチドを含んでもよい。これにより、アレイの構築において、単一のペプチド結合成分の付加が可能となり、複雑度および製造費が著しく減少する。
【0040】
別の実施例において、アレイは、同一の目的のペプチド配列を有するが、異なる親和性タグおよび捕獲剤を有する2つ以上の構築物を含んでもよい。この後者の方法は、目的のペプチドの活性がアレイを構築するまたは使用する過程により悪影響を受けないことを保証するための内部制御メカニズムを有するアレイの形成を可能にする。
【0041】
本発明のタンパク質マイクロアレイ産生の方法は信頼性が高く、再現性があり、また、同一の品質およびタンパク質量の同一のアレイを作製できる。本発明のアレイは、様々なクラスおよび大きさのタンパク質およびそのフラグメントを含む、ペプチドの広範な種類の提示に有益である。アレイユニットごとのタンパク質の産生量は十分に高く、特定のアレイユニットで再現可能であり別々の検出および/または活性が可能である。これにより、アレイを高濃度だが比較的低コストで、大規模に作製できる。
【0042】
重要なことは、本発明のアレイは、全てのタンパク質、ペプチド領域、タンパク質の活性サイト等を含む機能性ペプチドを提示する能力を有していることである。通常インヴィヴォのソースから単離するのが難しい機能性タンパク質、例えばプリオンまたはベータアミロイドペプチド等の非可溶性タンパク質を調査するためにペプチドアレイを生成することができるのが、本発明の特徴である。
【0043】
本発明のアレイは、基材面および目的のペプチドの両方に結合した二本鎖または一本鎖のオリゴヌクレオチドを含む。代表的な3つの分子が図1のA〜Fに図示される。図1のAにおいて、アレイ構築物は、非翻訳領域110、目的のペプチドをコードする領域112、および親和性タグおよび終止コドンをコードする領域114を含むオリゴヌクレオチド部分102を含む。オリゴヌクレオチドは面に直接結合していてもよく、または任意選択によりリンカー106を使用してアレイに取り付けてもよい。一般的に、一本の鎖がアレイ面に取り付けられており、この鎖をその3’または5’末端のいずれかで取り付けてもよい。アレイに対して遠位にあるオリゴヌクレオチドの部分は、鋳型オリゴヌクレオチドから生成されたペプチドを、インビトロの転写および翻訳後に構築物に結合可能とするペプチド結合成分116を含む。結合したペプチド150は、オリゴヌクレオチドのコー
ド領域112によりコードされ、オリゴヌクレオチドの領域114によりコードされる親和性タグ122に融合される目的のペプチド120を含む。親和性タグ122は、オリゴヌクレオチドにペプチド150を取り付け可能とする。図1のBにおいて、ペプチド結合成分116は捕獲剤、例えば抗体またはタンパク質結合対のメンバーを含む。図1のCにおいて、オリゴヌクレオチド構築物は、転写および翻訳後に除去される鎖を有してもよく、ペプチドをコードする配列またはペプチドをコードする配列に相補的な配列のいずれかを有する一本鎖の分子104が生じる。この一本鎖は、3’または5’末端のいずれかで基材面に取り付けてもよい。
【0044】
構築物は捕獲剤の近くに非翻訳領域を有するように図示されているが、非翻訳領域が基材面に取り付けられ、親和性タグをコードする領域が、捕獲剤に近くなるように、構築物が構成されてもよい。例えば、図1のDは、図1のBと同じ構成要素を有する構築物を図示するが、図1のDではオリゴヌクレオチド102の方向は事実上反転している。
【0045】
図1のEおよびFにおいて、捕獲剤116は、オリゴヌクレオチドに対して基材面の近くに結合される。捕獲剤116は、基材面108にオリゴヌクレオチド部分を取り付けるリンカー106(1のEに図示)、またはオリゴヌクレオチド102それ自体(1のFに図示)のいずれかによって構築物に結合させることができる。ここで示されたオリゴヌクレオチド構築物102は、図1のCで図示したように一本鎖であっても、または図1のA、BおよびDにおいて図示したように二本鎖であってもよい。一般的に、一本の鎖がアレイ面に取り付けられており、この鎖はその3’または5’末端のいずれかで基材に取り付けてもよい。
【0046】
アレイは、個別の構築物を含んでいてもよく、これは、目的のペプチドの分析のための別々の調査可能なユニットである。しかしながら、ある適用では、アレイ上に生成された信号の強度を増加させることが望ましい。本発明はしたがって、同じ目的のペプチドを提示する、2つ以上の同一の構築物を含む別々の調査可能なユニットを有するアレイも含む。例えば図2において、アレイは、2つ以上の構築物の別々のグループでアレイ上に配置された異なる構築物を有する基材を含み、この構築物は、オリゴヌクレオチドにペプチドを結合させるため、同じ捕獲剤および親和性タグを利用するのが好ましい。第1セットの構築物は、非翻訳領域210、第1の目的のペプチドをコードする領域212、および親和性タグおよび終止コドンをコードする領域214を含むオリゴヌクレオチド部分202を含む。第2セットの構築物は、非翻訳領域210、第2の目的のペプチドをコードする領域232、および親和性タグおよび終止コドンをコードする領域214を含むオリゴヌクレオチド部分204を含む。両セットのオリゴヌクレオチドは面に直接結合させてもよく、または任意選択によりリンカー206を使用してアレイに取り付けてもよい。アレイに対して遠位にあるオリゴヌクレオチドの部分は、鋳型オリゴヌクレオチドから生成されたペプチドを、インビトロの転写および翻訳後に構築物に結合可能とするペプチド結合成分216を含む。第1セットの結合ペプチド250は、214によりコードされる親和性タグ222に融合した第1の目的のペプチド220を含む。第2セットの結合ペプチド252は、第1セットと同じ親和性タグ222に融合した第2の目的のペプチド220を含み、親和性タグ222は、第1の構築物におけるのと同様、共通領域214によりコードされる。
【0047】
他の態様において、アレイは、同じオリゴヌクレオチド領域を、基材に関して異なる関係性で有する個別の構築物を含んでもよい。図3において、構築物は図1のBおよびDの構築物と同じ構成要素を有し、構築物の1セットは図1のBの構成におけるアレイ上の少なくとも1つの構築物を有しており、構築物の第2のセットは図1のDの構成におけるアレイ上の少なくとも1つの構築物を有している。第1セットの構築物は、非翻訳領域310、第1の目的のペプチドをコードする領域312、および親和性タグおよび終止コドン
をコードする領域314を含むオリゴヌクレオチド部分302を含み、後者の領域314は、基材面上に取り付けられている。第2セットの構築物は、非翻訳領域310、第1の目的のペプチドをコードする領域312、および親和性タグおよび終止コドンをコードする領域314を含むオリゴヌクレオチド部分304を含むが、この構成では、最初の領域310が、基材面上に取り付けられている。両セットのオリゴヌクレオチドは、直接基材面に結合されてもよく、任意選択によりリンカー306を使用してアレイに取り付けられてもよく、オリゴヌクレオチドは3’または5’末端のいずれかで面に取り付けられてもよい。基材に対して遠位にあるオリゴヌクレオチドの部分は、鋳型オリゴヌクレオチドから生成されたペプチドを、インビトロの転写および翻訳後に構築物に結合可能とするペプチド結合成分316を含む。
【0048】
本発明の他の態様において、異なる親和性タグに融合され、オリゴヌクレオチド上の異なる捕獲剤に結合されている同一の目的のペプチドを含む2つ以上の構築物をアレイ上に有することが望ましい。これを図4において図示する。ここで、図示されたアレイは、同一の目的のペプチドをコードするオリゴヌクレオチドを含む個別の構築物を含むが、各ペプチドは、オリゴヌクレオチド上の2つの異なる捕獲剤に結合している。オリゴヌクレオチド402および452の第1のセットは、同一の非翻訳領域410および第1の目的のペプチド420をコードする領域412を含むが、それらは異なる親和性タグをコードする異なる領域414および444に連結される。これらの2つの構築物から生成されたペプチドは同一の目的のペプチドを含むが、2つの異なる捕獲剤416および446を使用して捕獲される、2つの異なる親和性タグに融合される。同様にオリゴヌクレオチド404および454の第2のセットは、同一の非翻訳領域410および第2の目的のペプチド440をコードする領域442を含むが、これらは異なる親和性タグ422、432をコードする異なる領域414および444に連結される。
【0049】
ペプチドアレイ製作のプロセスのための一般的な方法
本発明のアレイは、数多くの技術のうちのいずれかを使用して、最初のオーダーメードのオリゴヌクレオチドアレイを使用して製作できる。アレイは平坦な面、または集合してアレイを形成する連続した別々の面、例えばビーズ上で製作することができる。複合オリゴペプチドアレイはいかなる一本鎖または二本鎖のオリゴヌクレオチドアレイを使用しても製作できる。
【0050】
そのようなオリゴヌクレオチドアレイの製作に適切な方法は、例えば、Chenchik et al.への2009年7月に発行された米国特許第7,556,919号明細書;Sampson et al.への2007年11月に発行された米国特許第7,291,471号明細書;Boyce−Jacino et al.への2001年9月に発行された米国特許第6,294,336号明細書;Pirrung et al.への2001年9月に発行された米国特許第6,291,183号明細書;Sabanayagam et al.への2001年9月に発行された米国特許第6,284,497号明細書;Pirrung et al.への2001年7月に発行された米国特許第6,261,776号明細書;Dellinger et al.への2001年4月に発行された米国特許第6,222,030号明細書;Daleへの2000年7月に発行された米国特許第6,087,112号明細書;SchlieferおよびMayへの200年6月に発行された第6,077,674号明細書;Sundberg et al.への1999年7月に発行された米国特許第5,919,523号明細書;Chee et
al.への1999年1月に発行された米国特許第5,861,242号明細書;Lipshutz et alへの1999年1月に発行された米国特許第5,856,174号明細書;Chee et al.への1998年11月に発行された米国特許第5,837,832号明細書;Lockhart et alへの19989年6月に発行された米国特許第5,770722号明細書;Rosch et alへの1998年5月
に発行された米国特許第5,750,669号明細書;McGallへの1998年12月に発行された米国特許第5,843,655号明細書;Southernへの1997年12月に発行された米国特許第5,700,637号明細書;Dehlingerへの1998年3月に発行された米国特許第5,723,320号明細書;Drmanac et al.への1997年12月に発行された米国特許第5,695,940号明細書;1997年5月、Stern et al.に発行された米国特許第5,631,724号明細書;1996年9月、Lockhart et al.に発行された米国特許第5,556,752号明細書;1996年7月、Drmanac et alに発行された米国特許第5,525,464号明細書;1996年2月、Drmanac et alに発行された米国特許第5,492,806号明細書;1995年8月、Fodor et al.に発行された米国特許第5,445,934号明細書;および1995年7月に発行された米国特許第5,436,327号明細書において見出すことができる。
【0051】
これら、またはこのような他のアレイ技術を使用すると、多数の鋳型オリゴヌクレオチドが、アレイ上で平行して合成できる。目的のペプチド(または目的のペプチドをコードする配列に相補的な配列)をコードすることに加えて、一本鎖のオリゴヌクレオチドは、非翻訳領域またはユニバーサルな非翻訳領域に相補的な領域に対応するユニバーサルなプライマー配列を含む。さらに、オリゴヌクレオチドは、翻訳後のペプチドの捕獲のための領域に結合している。
【0052】
オリゴヌクレオチドを、これらの要素の各々を有するよう合成でき、または、オリゴヌクレオチドを、基材面に結合した最初のオリゴヌクレオチドに様々な要素を追加することにより、基材上で構築できる。例えば、1実施例において、アレイの構築に使用されるオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの一端に親和性タグおよび終止コドンをコードする領域を、オリゴヌクレオチドの他端に長いユニバーサルな非翻訳領域を取り付けるためのプライマー領域を含む。一本鎖のオリゴヌクレオチドがアレイの構築に使用される場合、一本鎖のオリゴヌクレオチドはさらに一本鎖のオリゴヌクレオチドに相補的な鎖を合成するために使用されるプライマーに相補的な領域を含み、一本鎖のオリゴヌクレオチドを、インビトロの転写および翻訳反応で使用される二本鎖の鋳型オリゴヌクレオチドへ伸張させる。
【0053】
好ましい態様において、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの5’末端に非翻訳領域を取り付けるプライマー、およびオリゴヌクレオチドの3’末端に親和性タグをコードする配列を含むであろう。あるいは、基材に結合された一本鎖のオリゴヌクレオチドは逆の相補配列を含んでもよく、最初のオリゴヌクレオチドに相補的な鎖が転写されるであろう。後者の場合、非翻訳領域および親和性タグに相補的な配列を含む一本鎖のオリゴヌクレオチドが、基材に最初に結合される。
【0054】
欠失があるペプチド断片またはペプチドが選択されるであろうことは、本発明のアレイ上の構築物の特徴である。というのも、欠失または挿入(例えばオリゴヌクレオチド合成の副生成物または転写での誤りによる)を含む鋳型から発現された融合ペプチドは、翻訳中にフレームシフトし、親和性タグの正しい配列を提示しないため、通常アレイ上で捕獲されないためである。
【0055】
非翻訳領域は、5’末端で転写プロモーター領域を含むことが好ましく、アレイのペプチドを生成するための転写および翻訳イベントの開始に使用されるリボソーム結合部位(RBS)が続く。非翻訳配列を最初に合成されたオリゴヌクレオチドに含めることができ、または、様々な技術を使用して、鋳型オリゴヌクレオチドに取り付けられる。1実施例において、オリゴヌクレオチドの5’プライマー領域は制限エンドヌクレアーゼ部位を含んでもよく、また、ユニバーサルな非翻訳領域は消化およびライゲーションによりオリゴ
ヌクレオチドに5’に付加できる。別の実施例において、5’プライマー領域およびユニバーサルな非翻訳領域の両方に相補的なプライマーは、2つの分子のスプリントライゲーションに使用できる。
【0056】
図5は、一本鎖のオリゴヌクレオチドアレイを使用した、本発明のアレイの作製の一般的なスキームを図示する。この方法は、面508上に、任意選択によりリンカー配列506によって取り付けられ配置されたオリゴヌクレオチド500から始まる。オリゴヌクレオチド500はそれぞれ、親和性タグおよび終止コドンをコードし、オリゴヌクレオチドのプライマー伸長に使用されるプライマーに選択的にハイブリダイズする配列を含む第1の領域514、ペプチドをコードする、またはペプチドをコードする領域に相補的なコード領域512、およびユニバーサルな非翻訳領域518の取り付けのための第2のプライマー領域510および/またはコードされたペプチドのための捕獲剤516を含む。この捕獲剤516は、親和性タグに相互作用し結合する化学結合基であってもよい。
【0057】
プライマー領域514からの一本鎖の分子の伸張、およびステップ511における非翻訳領域の取り付けにより、構築物上で基材508に対して遠位に配置された捕獲剤516を含む二本鎖の鋳型502が生成される。この実施例において、コード領域512は目的のペプチドをコードし、捕獲剤516に結合する親和性タグのためのコード領域および終止コドンを含むプライマー伸長領域514。インビトロの転写および翻訳により、目的のペプチド520および親和性領域522の両方を含む融合ペプチド550が生成する。親和性領域522はペプチド合成後に捕獲剤516に結合する。
【0058】
本発明のある態様において、DNAは二本鎖の分子として生成される。この分子に捕獲剤を付加するため、オリゴdAと結合した捕獲領域がハイブリダイズできる一本鎖のオリゴdT領域を、末端転移酵素で末端に付加できる。
【0059】
図6は、一本鎖のオリゴヌクレオチドアレイおよび捕獲剤を使用する、本発明のアレイの作製のための別の一般的なスキームを図示する。この方法は、面608上に、任意選択によりリンカー配列606によって取り付けられ配置されたオリゴヌクレオチド600から始まる。オリゴヌクレオチド600はそれぞれ、親和性タグおよび終止コドンをコードし、オリゴヌクレオチドのプライマー伸長に使用されるプライマーに選択的にハイブリダイズする配列を含む第1の領域614、ペプチドをコードする、またはペプチドをコードする領域に相補的なコード領域612、およびユニバーサルな非翻訳領域618を取り付けるための第2のプライマー領域610および/または領域614によりコードされた親和性タグに特異的に結合する捕獲剤を含む捕獲剤616を含む。プライマー領域614からの一本鎖の分子の伸張、およびステップ611における非翻訳領域の取り付けにより、構築物上で基材608に対して遠位に配置された捕獲剤を含む二本鎖の鋳型602が生成される。この実施例において、コードされた領域612は目的のペプチドをコードし、また、プライマー伸長領域614は、捕獲剤616に結合する親和性タグおよび終止コドンをコードする。インビトロの転写および翻訳により、目的のペプチド620および親和性領域622の両方を含む融合ペプチド650が生成され、親和性領域622は、ペプチド合成後、ペプチド結合成分616に結合する。
【0060】
ある作製方法において、オリゴヌクレオチドは異なる面、例えば溶液内にあるビーズにつながれている。図7は、別々の面、例えばビーズへのオリゴヌクレオチドの取り付けを使用して本発明のアレイを構築するためのより詳細な方法を図示する。アレイは捕獲剤の導入のための領域710、目的のポリペプチドをコードする領域712および、終止コドンが後続する親和性タグをコードする領域714を含む鋳型オリゴヌクレオチド700を使用して構築される。領域714は、さらに一本鎖のオリゴヌクレオチドのプライマー伸長のためのプライマー部位を含み、任意選択によりリンカー分子708によってビーズ7
18の表面に取り付けてもよい。
【0061】
ビーズ718上のオリゴヌクレオチド700は、オリゴヌクレオチド伸張部の付加が可能となるよう、リン酸化体で提供される、またはステップ711でリン酸エステル化される。その後、オリゴヌクレオチド伸張部702は、ステップ713で、オリゴヌクレオチド800およびオリゴヌクレオチド伸張部802の両方に選択的に結合するライゲーションオリゴヌクレオチド840を使用した、スプリントライゲーション技術によって鋳型オリゴヌクレオチド700へライゲートされる。オリゴヌクレオチド伸張部702は、スプリントライゲーションで使用される、非翻訳領域およびプライマー領域を含む領域704;任意選択によりリンカー分子738;および捕獲グループ716の取り付けのためのオリゴヌクレオチド領域736を含む。アレイの作製の次のステップは、捕獲剤716およびプライマー伸長のためのプライマー724を付加する結合ステップ715である。オリゴヌクレオチド伸張部702の領域736に相補的なオリゴヌクレオチド742に結合した捕獲剤716、およびプライマー伸長のためのプライマーとして使用されるオリゴヌクレオチド724はその後、ビーズ上のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズする。
【0062】
目的のペプチドおよび親和性タグをコードする一本鎖のオリゴヌクレオチドを、インビトロの転写および翻訳で使用する二本鎖の鋳型に変換するため、プライマー伸長ステップ717を実行した。インビトロの転写および翻訳はこの二本鎖の鋳型からステップ719で実行され、目的のペプチド720および親和性タグ722を含む融合ペプチド750が生成される。生成した融合ペプチド750は、翻訳後に鋳型オリゴヌクレオチド領域から拡散するため、捕獲剤716により捕獲される。
【0063】
ビーズ上で直接合成される構築物は、例えばビーズ等の別々の面の集合上の構築物のアレイとして合成され使用されてもよく、または面上のオリゴヌクレオチド−ペプチド融合物の合成の前、または後に平坦な面に配置されてもよい。ビーズが配置される前に合成が実行される場合、通常、隣接する構築物とペプチドとの相互作用を阻止するための方法が取られ。例えば、転写および翻訳はプレートの異なるウェルにおいて分離された異なる配列を有する各ビーズタイプで実行され、1つの構築物を含むビーズセットのペプチドが異なるビーズセットにより捕獲されないことが保証される。これらの面、例えば、ビーズは、例えば、米国特許第7,060,431号明細書は2006年6月、Chee et al.に記載された技術を用いて単離し配置することができる。
【0064】
図8は、平坦なアレイへのオリゴヌクレオチドの取り付けを使用した、本発明のアレイを構築するためのより詳細で、好ましい方法を図示する。アレイは、捕獲剤の導入のための領域810、目的のポリペプチドをコードする領域812および、終止コドンが後続する親和性タグをコードする領域814を含む鋳型オリゴヌクレオチド800を使用して構築される。領域814は、さらに一本鎖のオリゴヌクレオチドのプライマー伸長のためのプライマー部位を含み、任意選択によりリンカー分子806によって基材804の表面に取り付けてもよい。
【0065】
平坦なアレイ804上のオリゴヌクレオチド800は、オリゴヌクレオチド伸張部が付加できるよう、ステップ811でリン酸エステル化される。その後、オリゴヌクレオチド伸張部802は、ステップ813において、オリゴヌクレオチド800およびオリゴヌクレオチド伸張部802の両方に選択的に結合するライゲーションオリゴヌクレオチド840を使用する、スプリントライゲーション技術によって鋳型オリゴヌクレオチド800へライゲートされる。オリゴヌクレオチド伸張部802は、スプリントライゲーションで使用される非翻訳領域、およびプライマー領域を含む領域804;任意選択によりリンカー分子838;および捕獲基816を取り付けるためのオリゴヌクレオチド領域836を含む。アレイの作製の次のステップは、捕獲剤816およびプライマー伸長のためのプライ
マー824を付加する結合ステップ815である。オリゴヌクレオチド伸張部802の領域836に相補的なオリゴヌクレオチド842に結合した捕獲剤816、およびプライマー824は、スライド上のオリゴヌクレオチドに同時にまたは順次ハイブリダイズされる。
【0066】
プライマー伸長ステップ817を、目的のペプチドおよび親和性タグをコードする一本鎖のオリゴヌクレオチドをインビトロの転写および翻訳で使用される二本鎖の鋳型に変換するために実行した。ステップ819のインビトロの転写および翻訳反応により、この二本鎖の鋳型から目的のペプチド820および親和性タグ822を含む融合ペプチド850が生成される。生成された融合ペプチド850は、翻訳後、鋳型オリゴヌクレオチド領域から拡散し、平面から離れるため、捕獲剤816により捕獲される。
【0067】
別の実施例において、本発明の構築物はピュロマイシン捕獲方法を使用して生成される。図9は、平坦な面上でこのようなアレイを構築するための一般的な方法を図示するが、アレイが図7に記述したようなビーズ上で形成され得ることも予見される。この方法は、基材面908上に、オリゴヌクレオチドの3’または5’末端で、任意選択によりリンカー配列906によって取り付けられ配置された、二本鎖オリゴヌクレオチド900から始まる。オリゴヌクレオチド900はそれぞれ、目的のペプチドをコードするコード領域912および、終止コドンが後続するRNA親和性タグを含む領域914、DNAのRNAの結合領域918およびピュロマイシン916が取り付く、転写プロモーターを含む非翻訳領域910を含む。インビトロの転写ステップ911により、目的のペプチドをコードする領域926および親和性タグ924を含むmRNA分子が生成される。親和性タグ924は、オリゴヌクレオチドの領域918に選択的にハイブリダイズし構築物にmRNA分子をつなぐ。翻訳中に、リボゾームは、RNA−DNAハイブリダイズ領域に到達した時に停止するであろう。インビトロの翻訳ステップ913後、ペプチド920はピュロマイシン残基領域916により捕獲される。
【0068】
翻訳後修飾によるペプチド捕獲
特定の態様において、化学的反応種(例えばアルデヒドタグ)は構築物の構築および他の結合領域の標識要素の導入を支援するために付加されてもよい。例えばホルミルグリシン生成酵素により認識されたスルファターゼコンセンサス配列の導入により、組換えタンパク質へアルデヒド基が部位特異的に導入される。このコンセンサス配列は6〜13個のアミノ酸でありえ、「アルデヒドタグ」等の最も低分子のものはHis6タグよりも長くない。ホルミルグリシン生成酵素(FGE)によるスルファターゼモチーフにおける酵素的な修飾により、ホルミルグリシン(FGly)残基が生成され、ヒドラジンまたはオキシム標識されたオリゴ鋳型上の共有結合性の捕獲により、捕獲剤または他の目的の成分のペプチドへの部位特異的な取り付けが可能となる。さらに、この修飾は可逆性であるので、組み換えのペプチドへのこのタグの導入は、アルデヒド標識されたタンパク質を複数の抗原決定基で可逆的に修飾できる。本発明で使用されるアルデヒドタグの例は、例えば米国特許出願公開第2008/0187956号明細書;T. Dierks and M.−A. Frese,ChemBioChem 10,425−427(2009);JS Rush and CR Bertozzi J. Am. Chem. Soc. 9 Vol. 130:37,(2008);J Landgrebe et al.,Gene 316 47−56(2003);I Carrico,Nat. Chem. Biology 3:6(2007);Carlson et al.,J Biol Chem. 2008 Jul 18;283(29):20117−25;およびWu et al.,Proc Natl Acad Sci U S A. 2009 Mar 3;106(9):3000−5;に記載されており、これら各々を、ペプチド修飾において有益なタグ、およびその使用を教示するために、その内容全体を本明細書に参照して組み込む。
【0069】
より具体的なアプローチにおいて、共有結合的に連結したペプチドアレイの生成を図10に示す。このアプローチは、図1に概説した、より一般的なスキームを実施するための代表的な方法であるが、共有結合を使用している。これは、ホルミルグリシン生成酵素(FGE)により認識される6−merペプチドコンセンサス配列(LCTPSP、アルデヒドタグとして命名)を使用した、組換えタンパク質へのアルデヒド基の部位特異的な導入のための方法を利用する。ホルミルグリシン生成酵素(FGE)は、システイン残基を酸化しホルミルグリシンを生成することが最近報告されている。この態様において、アルデヒドタグは、ペプチドアレイ生成の間にインビトロの転写/翻訳過程へFGEを付加するためにある。ペプチドはC末端のアルデヒドタグ、およびアレイ面上の鋳型DNAへ組み込んだ活性基と反応するホルミルグリシン残基に変換されたタグ内のシステイン残基とで作ることができる。これにより、鋳型DNAに共有結合で取り付けられている、ペプチドのアレイが作製される。
【0070】
この態様を、図10と図11により詳細に図示する。鋳型オリゴヌクレオチドは目的のペプチド配列1006、およびアルデヒド親和性タグ(LCTPSP)および終止コドンを含む領域1004をコードする。T7プロモーターおよびリボソーム結合部位(RBS)を有する非翻訳領域(UTR)を含むユニバーサルな配列1010は、遠位のタグ1018によって鋳型に付加され1001、鋳型を伸長して、捕獲基1014を含む二本鎖核酸1002を生成するために使用される。捕獲基1014は基材1008に結合した鎖の1006にコードされる目的のペプチド1016のためにある。反応基1022は、任意選択によりリンカー分子1012上で、二本鎖の鋳型オリゴヌクレオチド1002の一方の鎖に結合している。一旦、目的のペプチド配列1016およびアルデヒドタグ1020を含むペプチドが生成されれば1003、これは、目的のペプチドおよび捕獲基1014の相互作用により捕獲される。アルデヒドタグ1020はアルデヒド基1024に変換され1005、これが反応基1022と相互作用する。基材1008に結合されていない核酸の鎖の分離に際し1007、目的のペプチド1016をコードする一本鎖のオリゴヌクレオチドは、反応基およびアルデヒド基によってペプチド1016と結合され続ける。必要に応じて、捕獲剤1014を除去できる。
【0071】
図11において、目的の配列1116を有するペプチドは、FGE酵素の存在下、インビトロの転写/翻訳によって作られる。図11に詳細に図示したように、目的のペプチド1116に融合したアルデヒドタグ1120は、1116のヒドラジンまたはアミノオキシ酢酸残基とFGEとの相互作用によって生成でき、ペプチドに組み込んだLCTPSR領域をアルデヒド基1124へ変換する1101。このアルデヒド基は、反応基1122と相互作用し、目的のペプチド1106をコードするオリゴヌクレオチド、ユニバーサル配列、およびアルデヒドタグ1104をコードする配列へ目的のペプチド1116を結合するために使用される。
【0072】
配列決定フローセルを使用するアッセイシステム
特定の態様において、ペプチドアレイの作製に使用されるコード配列は、フローセル、例えば配列決定技術に使用されるフローセルの面上で提供される。コード配列は、フローセルの面上にランダムに配置できる。アレイの構築物は、オリゴ鋳型の合成の間に規定された位置で、塩基をランダム化することにより、より長い鋳型を形成するためにより短いオリゴを組み合わせることにより、またはゲノムDNAまたはcDNAライブラリーから配列のライブラリーを導き出すことにより、生成できる。一旦配列がフローセルの面上に置かれれば、各配列の同一性は、係留タンパク質の生成およびスクリーニングアッセイでこれを使用する前に、または後に決定できる。
【0073】
コード配列は、面上でのペプチドアレイの作製前に、クローン的に増幅したDNA分子
の「クラスター」を形成する各配列と一緒に、インシツで、任意にクローン的に増幅できる。この特定の態様において、非常に高い充填密度を達成でき、例えば、数億のクラスターをフローセル面に配置できる。何百万もの鋳型DNAを配置し、それらの配列を決定する能力により、大規模なコンビナトリアルタンパク質ライブラリーを非常に効率的で安価に作製する可能性が広がる。
【0074】
配列決定フローセルをアレイ基材に使用する一般的なスキームを、図12に示す。目的の配列1212、リンカー領域1204およびプライマー結合領域1214を含むオリゴヌクレオチド1202は、フローセル面1208上で構築される。面上の他のリンカー領域1206は、鋳型オリゴヌクレオチドのインシツ増幅のために任意選択により存在する。これらの構築物の配列決定後、オリゴヌクレオチド−抗体複合物1216はクラスターDNA配列の3’末端にアニールされる1201。DNA配列はすべてペプチドまたはタンパク質をコードし、効率的な転写を可能にするT7プロモーター(または同等物)、および効率的な翻訳に必要とされる非翻訳領域(UTR)を有する。複合物1216のオリゴヌクレオチド部分はDNAポリメラーゼで伸長され1203、取り付けられたオリゴヌクレオチド1202に相補的なオリゴヌクレオチド1222を生成する。一体化した転写/翻訳反応(TNT)1205により、クラスターDNA1202によりコードされたペプチドまたはタンパク質1220の生成および自身の鋳型への取り付けが導かれる。ペプチドはすべて、抗体を捕獲するために使用されるC末端の親和性タグを所有している(示さず)。捕獲分子と親和性タグの他の組み合わせを使用できる。そのような結合対の例には、ストレプトアビジンとビオチン、Ni−NTAとHis6タグ、または2つの化学的反応基(アルデヒドタグとヒドラジン残基)があるが、これらに限定されない。
【0075】
さらに、この方法は、単一分子のインビトロのクローニングを可能とする他のフォーマットに適用可能である。例えば、面上でのPCRを使用したフローセル面上の捕獲および増幅の代わりに、鋳型分子をビーズ上で捕獲し、エマルジョンPCRにより増幅できる。このプロセスは次世代のある配列決定技術のためのクローン鋳型を生成するために使用される。個々の鋳型が増幅されることが好ましいが、ある態様において、単一分子の配列は、クローン増幅の使用なしで決定できる。
【0076】
任意選択により、フローセルの面には、鋳型オリゴヌクレオチドのインシツ増幅目的のため、面上に他のリンカー領域を含んでもよい。これらの構築物は、ペプチド核酸ハイブリッドの構築前に、ならびに構築後に、および/または使用(示さず)後のいずれかで配列決定される。前者の場合、構築物はこれらのペプチド核酸構築物の生成前に配列決定され、オリゴヌクレオチド−抗体複合物は、面上のクラスターDNA配列の3’末端にアニールされる。あるいは、配列はアッセイフォーマットでの特定の配列の構築および/または同定後に決定できる。
【0077】
抗体は、フローセルの面上に付加され、プライマー部分に結合し、DNA−抗体複合体が伸長DNAのみにハイブリダイズするため、フローセル上のDNAクラスターだけを指向する。あるいは、面上のオリゴヌクレオチドに相補的なオリゴヌクレオチドに結合した抗体を、フローセル面に導入できる。この態様において、DNA−抗体複合体は、フローセルの面上に均一に分布したオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイズするため、抗体はフローセルの全表面に付加される。その後、ペプチドアレイは本明細書に記載の方法のうちの1つを使用して、これらの鋳型DNAから形成される。
【0078】
Illumina(商標)Genome Analyzer(商標)技術により提供されるような配列決定技術は、シーケンスリードの「ペアエンド」対を生成するために、鋳型DNAを両端部から配列決定できる。Illuminaの技術の場合には、a)1本の鎖の配列決定により対の1端の配列を得て;その後、b)逆の相補体鎖の配列決定により
対のもう1端の配列を得ることが含まれる。プロセスは配列決定のために適切な鎖を生成し連続して存在させるために実行される。したがって、アレイは第2の(すなわち逆の相補)鎖を使用して、単に、捕獲剤(すなわちこれらの例においては、抗体)に結合する適切な配列を選ぶことにより、構築することもできる。
【0079】
本発明のアレイは、鋳型オリゴヌクレオチドの長さ、したがってインビトロの転写および翻訳を通じて生成されるペプチドを長くするために複数のライゲーションイベントを利用できる。これは、制限酵素の消化およびライゲーション、または好ましくは、アレイに結合したオリゴヌクレオチド、およびアレイに付加されるオリゴヌクレオチドの両方に相補的なプライマーでのスプリントライゲーションを使用して行うことができる。例えば、非翻訳領域を含むオリゴヌクレオチドを付加するために記述したようなスプリントライゲーションを使用して、アレイ上の構築物のすべてまたはサブセットに、ある領域を付加できる。別の実施例において、2つ以上の異なる配列を有するオリゴヌクレオチドのプールを、対応する相補的配列を有するスプリントライゲーションプライマーと共に使用でき、基材に結合したオリゴヌクレオチドに複数の異なる可変オリゴヌクレオチドを付加できる。定常および可変領域の両方を含む付加領域を有する構築物を生成するために、任意選択によりこれらのアプローチを組み合わせることもできる。
【0080】
これらの技術は、より長いタンパク質を調査するアレイの生成には特に有益となり得る。例えば、多数のタンパク質には、ドメイン内のC末端またはN末端でわずかに変化している様々な代替のスプライスアイソフォームがあり、本発明のアレイは、基材面上で直接合成したこれらタンパク質の可変部、およびライゲーションによってこれらのオリゴヌクレオチドに付加した共通ドメインを有することができる。特定の実施例において、少なくとも27の代替スプライス神経系接着分子(NCAM)mRNAが生成され、NCAMの主要なアイソフォーム3つは、それらの細胞質ドメインにおいてわずかに変化している。本発明のアレイ上でより長い鋳型オリゴヌクレオチドを生成する能力により、様々な形態のタンパク質の活性およびタンパク質相互作用の解明を進めるためのツールが提供され、制御についての深い理解が、例えば治療学上の開発に関して与えられる。ある定常ドメイン、例えば、N末端、C末端および活性結合部位、酵素的な活性領域等を有する構築された領域の、このような使用は多数、本発明のアレイで予見される。これは、本開示を読んで当業者に明白となるであろう。
【0081】
これらの構築物の安定した性質により、あるアッセイシステムにおいて、アレイも、2回以上利用できる。親和性タグ−捕獲剤相互作用によるオリゴヌクレオチドへのペプチドの結合は、最もよく見られる一時的なタンパク質間相互作用で見られる結合よりもかなり堅固な結合であり、したがって、アレイを調査するために使用される多数のタンパク質および化合物を効果的に除去できるため、他の調査にアレイを使用できる。さらに、アレイは、構築物上のハイブリダイズされた部分を全て除去することで再生成できるため、ペプチドアレイの構築に使用された最初のアレイを効果的に再生できる。一本鎖のオリゴヌクレオチドは再び二本鎖のオリゴヌクレオチドに変換でき、本発明のアレイを含むペプチドを再生成するために使用される本発明の方法の残りのステップ。
【0082】
プライマー伸長
様々な態様において、最初のオリゴヌクレオチドは、基材面上で合成され、例えばプライマー伸長により二本鎖の分子に変換される、一本鎖のオリゴヌクレオチドである。プライマー伸長は、一本鎖の鋳型オリゴヌクレオチド上のプライマー結合領域へのプライマーのハイブリダイゼーションにより開始でき、伸張後に、非翻訳領域、ペプチドコード領域、および親和性タグをコードする領域を含む二本鎖の鋳型が生成される。プライマー結合領域は親和性タグ配列および終止コドンの3’側に位置させてもよいが、プライマー結合領域は親和性タグ配列および/または終止コドン配列を組み込むことが好ましい。
【0083】
プライマー伸長プロセスは典型的には鋳型オリゴヌクレオチドに相補的な1つまたは複数のプライマーを利用し、ポリメラーゼおよび遊離のdNTPの存在下、逆鎖の合成を行う。そのような態様において、典型的には、鋳型オリゴヌクレオチド領域の伸張後にDNA分子へ導入されたポリメラーゼ停止機構がある。この機構には、ポリメラーゼが使用できないヌクレオチド類似体であるポリエチレングリコール(PEG)等の合成リンカーを含んでいてもよい。二本鎖のプライマー領域の鋳型領域の上流に(例えばニッカーゼまたはウラシルの分解により)導入されたニック等の合成リンカーを含んでいてもよい。複数のプライマー/親和性タグコード領域を、単一の構築物において使用してもよく、これによりアレイの構築において単一のオリゴヌクレオチドを様々な親和性タグ−捕獲剤結合対と共に使用することが可能となる。構築物はさらに、捕獲剤の選択的なライゲーションを支援するために、基材面から遠位にこのような配列を有してもよい。
【0084】
本発明で使用される基材
典型的には、本発明の基材は、単一分子のランダムアレイを低容量のハイブリダイゼーション反応により分析する場合は特に、非多孔性である。適切な基材は、ガラス、ポリアクリルアミド被膜ガラス、セラミクス、シリカ、シリコン、石英、各種プラスチック等の物質からできている基材を含む。一態様において、基材はビーズである。別の態様において、基材は平坦な面である。従来の用途に対して、典型的には、平坦な面は、0.02〜20cm2までの範囲であり、またはこれよりも大きい。基材のサイズの範囲は、使用される検出方法および、面上の異なる構築物および/または構築物の領域の分解能(例えば、蛍光マーカーの場合には、光学的分解能)に基づく。検出方法は改善され続けているため、基材のサイズを大きくしてもよく、および/または、基材上の構築物の密度を増加させてもよい。
【0085】
本発明の基材のフォーマットは、実質上平坦な面と同様、基材面に、例えばくぼみ、ウェル、台座等の様々な形を導入した基材も含んでいる。そのような基材は、硬質の、または半硬質の面の面を有する物質または物質群で通常構成される。ある態様において、例えばウェル、高くした領域、台座、エッチング穴等を有するアレイ上の領域を物理的に分離することが望ましい。このような基材は、例えば、多重コーティング技術または当技術分野でよく知られる他の技術を使用することにより、作製できる。パターン形成した(pattered)アレイを作製する技術の例には、熱および/または電子ビーム蒸着、複製、転写または成膜;CVDタイプのプロセス(LPCVD、PECVD等);スパッタリング、例えばDCマグネトロンスパッタリング等のPVDタイプのプロセス;イオンアシスト蒸着プロセス、ならびにゾルゲルプロセスがある。基材の層は、結合または分子付着により基礎上に任意に移行する。
【0086】
本発明の異なる態様において、リンカーを、面にアレイ構築物を取り付けるために使用してもよい。様々なタイプのリンカーを使用でき、リンカーは通常、構築物のタイプ(アミノ酸、核酸等)、リンカーの所望の性質(長さ、適応性)、および他の同様の特性に基づいて選択されるであろう。そのようなリンカーにはヌクレオチド、ポリペプチドまたは適切な合成材料を含み得る。リンカー構造は、生体適合性の高分子材料(例えばポリエチレングリコール)で構成される炭化水素ベースのポリマーであることが好ましい。また、リンカーの選択は、捕獲剤が構築物のリンカー部分で構築物に結合しているか否かにも依存する。
【0087】
ある態様において、面に固定した構築物は、基材から特定の構築物を分離可能とする、基材に直接取り付けられた切断可能なリンカーを含む。態様のいくつかにおいて、切断可能なリンカーは同じであるか、または面に固定した構築物のすべてにとって同一のものである。他の態様において、面上の構築物のあるサブセットは同一の切断可能なリンカーを
有し、この切断可能なリンカーは、同じ基材面上の他のサブセットで使用されている切断可能なリンカーとは異なっている。これにより、ある構築物は基材から分離されるが、他の構築物は分離できない。
【0088】
ある態様において、ミクロ流体のガスケットシステムを基材面上で使用して、ペプチドアレイ上の各機構を効果的に分離させ、アレイの合成およびアレイを使用した分析の間に、拡散を制御できる。これにより、アレイの1つまたは複数の部分において、反応条件のより優れた制御が可能となる。例えば、密閉システムにより拡散が制限されるため、インビトロの転写および翻訳をより長期間実行することができる。さらに、一旦ペプチドが捕獲されると、洗浄および/または試薬交換ステップが実行され、ペプチドの共有結合のように、新しい反応を起こせる。最終的には、ガスケットにより提供される密閉システムにより、第2面上でペプチドを捕獲できる。このように、複数のペプチドアレイは、He M Nat. Methods 5:175−177(2008)において必要とされているような、膜による拡散の必要がない、原始的な鋳型DNAアレイから生成できる。
【0089】
ペプチド捕獲用結合対
多数の結合対を、本発明のアレイにおいて使用される親和性タグおよび捕獲剤を設計するために使用できる。結合対には、ストレプトアビジン、およびStrepTag(Schmidt et al,1996;Schmidt & Skerra,1994;Skerra & Schmidt,2000)、StrepTag II(Schmidt & Skerra,2007;Voss & Skerra,1997)および、HPQモチーフ(Giebel et al,1995;Helms et al,2007)等の短いストレプトアビジン結合ペプチド;オリゴヒスチジンペプチドタグおよびHis6結合グループ(Crowe et al,1994;Smith et al,1988);FLAGペプチドタグおよびHis6ペプチド基;ビオチンおよびストレプトアビジン、ビオチンおよびアビジン、および抗体抗原対、等があるが、これらに限定されない。
【0090】
ペプチド結合対の相互作用の強度は、所与の結合部位に対する、または、結合対の一方のメンバーの抗原決定基に対する、結合対の他方の「結合親和性」により特徴づけられる。例えば、免疫学の分野において、抗体は、所与の結合部位または抗原決定基に対する抗体の「結合親和性」により特徴づけられる。抗体はすべてアミノ酸の特別な3次元構造から成り、エピトープまたは抗原と呼ばれる別の構造に結合する。
【0091】
結合相手の組成物への選択的な結合は、単一の二分子による可逆反応であり、抗体の抗原への結合とは異なる。例えば、抗体をAbで、抗原をAgで表す場合、標準的な速度論によりこの反応を分析できる。単一の結合部位を想定すると、反応は以下のように等式Iにより表される:
【0092】
【数1】
式中Ag−Abは結合した複合体である。速度定数k1およびk2は正結合反応と逆結合反応をそれぞれ表す。抗原に対する抗体の「結合親和力」は、平衡状態での遊離の反応体と生成物との比により測定する。平衡状態における反応体の濃度が低いほど、抗原に対する抗体の結合親和力は高い。免疫学の分野では、結合親和力は「結合定数」によって表され、シンボル「K」で表され、「Ka」と呼ばれることもある。「K」を等式IIにより以下のように定義する:
【0093】
【数2】
式中角括弧は、モル毎リットル、リットル毎モルの濃度を意味する。
【0094】
結合親和力Kaの典型的な値は「K」とも呼ばれ、典型的な抗体の「結合定数」であるが、これは約105〜1011リットル毎モルの範囲にある。Kaは、抗原を含む溶液中にある抗体の結合部位の半分と結合するために必要とされる遊離の抗原の濃度である。リットル毎モルで測定したKa、つまり結合定数が高い場合(例えば1011)、溶媒が多く、遊離の抗原が非常に低濃度であることを意味し、したがって抗体が抗原決定基に対して高い結合親和力を所有していることが示される。
【0095】
リットル毎モルで測定したKaが低い場合(例えば10−11)、抗体結合部位の半分と結合する必要がある遊離の抗原の濃縮溶液が少なく、したがって高い結合親和力を示す。
【0096】
Kaを測定するために平衡状態を達成する。より具体的には、Kaは、抗原に結合した抗体[Ag−Ab]の濃度が、抗体[Ab]の濃度と等しい時に測定する。したがって、[Ag−Ab]を[Ab]で割ると、1に等しくなる。
【0097】
よって、上記の等式IIは以下のように等式IIIに分解できる:
【0098】
【数3】
等式IIIにおいて、Kの単位はリットル毎モルである。リットル毎モルの典型的な値は、約105から約1011リットル毎モルの範囲である。
【0099】
上記の等式の逆数はK=[Ag]であり、Kの単位はモル毎リットルであり、典型的な値は、10−6から約10−12リットルの範囲である。上記は、典型的な結合親和性が6桁超える範囲で変動することを示す。したがって、有益と考えられる抗体は、有益と考えられる別の抗体の結合親和力と比較して、100,000倍超の結合親和力を有している可能性がある。
【0100】
アレイ上の個々の構築物の分析性
アレイ構築のための複数の方法を、様々な調査技術を有するアッセイにおいて使用する場合、構築物がアレイ上に超高密度で存在する場合であっても、アレイ上の個別の構築物が分析可能であることを保証するために使用できる。個別の構築物から生成したペプチドが、ある程度の量で拡散するため、アレイ上の構築物の様々な構成を、この拡散により特定の構築物への結合を同定する能力が妨げられないよう保証するために使用でき、ある態様において、拡散は実際に有益な特徴として使用できる。
【0101】
本発明のある態様において、「空(empty)」、または構築物もしくは捕獲剤が存
在しない、アレイ上の1つまたは複数の機構を備え、ペプチドが自身の構築物から隣接の構築物へ拡散しすぎないよう余分な空間を設けることで、構築物の分析性を増強できる。インビトロの翻訳後のペプチド拡散は、比較的近距離(例えば75−225μm)では容易に制御可能であり、構築物間の空の特徴、好ましくは0〜2つの空の特徴を有することで、個別の構築物の分析可能で再生可能な同定が可能となり、したがって、目的の作用剤のアレイ上の特定のペプチドへの結合を同定できる。図13で図示したように、同一の捕獲剤を含む個別の構築物(図13のA)を有するアレイには、コード構築物1302の間に1つの空の機構1304があってもよい。より広範囲に拡散するペプチドを使用する場合、2つ以上の空の機構を構築物の間で使用できる。図13のCは、同一の捕獲剤を有するコード構築物1302の間に2つの空の機構1304があるアレイを図示する(図13のC)。これらの態様の各々において、コード構築物1302の各々は、特異的に捕獲剤に結合する同一の親和性タグをコードする。
【0102】
別の態様において、複数の捕獲剤および親和性タグを個別の構築物に使用でき、異なる捕獲剤−親和性タグ対を含む構築物は、構築物から生成されたペプチドの拡散および隣接した構築物による意図しない捕獲を阻止するための構成で、アレイ上に分散させる。例えば100%の密度でおよそ150μm以上の拡散による非特異的な信号は、図13のBで示すように、それぞれ異なる親和性タグ−捕獲剤対を有する構築物(1302、1306、1308および1310)の4セットを使用することにより防げる。別の実施例において、およそ225μm以上の拡散による非特異的な信号は、図13のDで示すように、それぞれ異なる親和性タグ−捕獲剤対を有する構築物(1302、1306、1308、1310、1312、1314、1316、1318、1320)の9セットを使用することにより防げる。たとえ、拡散が起こっても、拡散ペプチドは適合しない捕獲剤を有しているため拡散ペプチドは、隣接の機構で捕獲されないであろう。
【0103】
拡散の問題解決の一助に加えて、複数の捕獲剤−親和性タグ対を使用することにより、同一の目的のペプチドを有する複数の構築物を使用でき、これはそれぞれ、アレイ上の構築物のサブセットを標的とする捕獲剤と結合している。これにより、異なる捕獲剤−親和性タグ対を有する同一の目的のペプチドをアレイ上で提示できるようになる。例えば、ある目的のペプチドはあるペプチド親和性タグと不適合である可能性がある。異なる捕獲剤−親和性タグ対の使用により、このような対2つ以上と目的のペプチドとの結合が可能となり、たった1つではなく2つの異なる親和性タグを有するペプチドを提示することで、そのような作用を軽減するであろう。
【0104】
他の態様において、ペプチドの周囲の構築物への拡散は、アレイ上の陽性結果を測定する際に利点として使用できる。同一の捕獲剤を有する構築物間の少量のペプチド拡散は、特定の構築物で陽性結果を確認するために、実際に使用できる。なぜなら、周囲の構築物への少量の拡散が、結合の「ハロー」効果を生みだし、作用剤が選択的に結合する構築物を取り囲む構築物において、弱いが、同定可能な信号が発生する。図14は、作用剤に選択的に結合し、結合アッセイで陽性結果を示す構築物1402を有するアレイを図示する。アレイにはさらに信号のない多数の構築物1404、および偽陽性として誤って検出される他のある構築物を有する。構築物1402から周囲の構築物1406へのペプチド拡散により、周囲の構築物1406は、真の陽性構築物1402と比較して、弱いが検出可能な結合を示す。陽性の構築物1402とその隣接構築物1406の間の結合における違いは、統計的に有意で、したがって、真の陽性1402の同定が可能である。このハロー効果は、構築物上の結合活性を、構築物1408で示すような陽性結果を示す他の潜在的な偽のソースから区別し、内部制御メカニズムとしてアッセイにおいて偽陽性の数を減少させるものとして働く。
【0105】
実施例
以下の実施例は、本発明をいかにして作成及び使用するかの完全な開示及び記載を当業者に提供するために示されるものであり、本発明者らが本発明と見なすものの範囲を制限するためのものではないし、下記の実験が実施した実験の全てや唯一のものであることを示す、または意味するためのものでない。当業者は、特定の実施形態において示したように、広く記載されている本発明の精神または範囲から逸脱せず本発明の多数のバリエーションおよび/または改変を作製し得ることを理解するだろう。したがって、本発明の実施形態は限定ではなく説明のために提示されたと考えられるべきである。
【0106】
使用された数(例えば、量、温度等)に関しては正確さを保証すべく努力がなされたが、いくつかの実験の誤差及び偏差は斟酌されるべきである。特記しない限り、部分は重量部分であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏温度であり、圧力は大気圧又は大気圧付近の圧力である。
【0107】
実施例1:鋳型オリゴヌクレオチドの設計および合成
一本鎖のオリゴヌクレオチドをアレイの構築に使用した。最初のオリゴヌクレオチドは共通領域である、3’末端のFLAGペプチド(DYKDDDDK)(配列番号1)またはそのより短いバージョンのFLAGS(DDDDK)のいずれかの親和性タグをコードする領域;HAペプチド(YPYDVPDYA)(配列番号2)またはAU1ペプチド(DTYRYIDYA)(配列番号3)のいずれかの目的のペプチドをコードする領域;およびユニバーサルな非翻訳領域の取り付けのためのプライマー領域を含む60−merであった。プライマー領域は、リボソーム結合部位(RBS)が後続する5’末端でT7プロモーター領域を含む長い非翻訳領域の付加を可能とするように設計された。
【0108】
オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの5’または3’終端のいずれかにアルデヒド基を導入するためにホルミルインドールホスホラミダイト(Glen Research,Sterling,VA)を使用して、Expedite8909DNA合成装置上で合成した。3’末端修飾の場合には、合成をdT−CPG担体で開始し、全オリゴヌクレオチドの3’末端でホルミルインドール(Formylindol)−dT残基を生じさせた。内部のCy5修飾因子ホスホラミダイト(Glen Research)を、オリゴヌクレオチドの3’末端でCy5色素を導入するために使用した。この場合、合成はdA−CPG担体で開始し、オリゴヌクレオチドの3’末端にCy5−dA残基を生じさせた。
【0109】
実施例2:ビーズ上のアレイの作製
この方法は、確立されたプロトコルを使用して、アミノ修飾されたシリカビーズ上で本発明のアレイを合成するために開発された。最初に、アミノ基を、エタノール中0.5%の3−アミノプロピルトリエトキシ(thriethoxy)シラン溶液(Aldrich)で処理することにより3μmのシリカビーズ(Bangs Labs)へ組み込んだ。次に、アミノ基を含むビーズを、アセトニトリル中0.2Mジイソプロピルエチルアミンを含む0.1Mの塩化シアヌル溶液(Aldrich)で処理し、次いでDMF中2%ヒドラジン(Aldrich)溶液で処理した。エタノール、アセトニトリルおよびDMFでの洗浄を各ステップの間にそれぞれ実施した。このプロセスにより、ビーズ面上にヒドラジントリアジン基を含むビーズが生じた。3’アルデヒド基を有するオリゴヌクレオチドは、ビーズに共有結合で取り付けられた。この反応を、1.5MのNaClを含む、100mMのNa−クエン酸緩衝液、pH5.0で室温にて一晩実施した。一晩のインキュベーション後に、ビーズを、水で3回、エタノールで2回洗浄し、エタノールに10%ビーズ含量で再懸濁し、使用するまで冷蔵した。
【0110】
ビーズに共有結合で連結されたオリゴヌクレオチドは、捕獲剤の導入のためのプライマー領域、転写開始点およびRBSを含む非翻訳領域、目的のHAまたはAU1ペプチドの
いずれかをコードする領域、および終止コドンが後続するFLAG親和性タグをコードする領域を含む。FLAG領域は、さらに一本鎖のオリゴヌクレオチドのプライマー伸長のためのプライマー部位を含む。さらに、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド伸張部のライゲーションを可能にするために5’リン酸を含む。
【0111】
調製されたシリカビーズ0.05mgを各反応において使用した。記載した様々なインキュベーション間での溶液の除去に関しては、ビーズはペレットとして、従来のベンチトップ遠心機を使用して濃縮し、ペレットを壊さないように液体を注意深く吸引した。ビーズを0.2mlのPCRチューブに入れた。1×PBST[3mMのNaH2P04,1mMのKH2P04,150mMのNaCl,0.05%のTween20(pH7.4)]50μlを付加し、ビーズを1回洗浄した。1×PBSTを除去し、KB溶液[50mM Tris−HCl,10mMのMgCl2(pH7.5)]溶液50μlを付加し、ビーズをこの緩衝液で1回洗浄した。
【0112】
非翻訳領域、スプリントライゲーションで使用される領域、PEGリンカー分子、および捕獲基を取り付けるためのT30オリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド伸張部を、基材に連結されたオリゴヌクレオチドおよび伸張プライマーの両方にハイブリダイズするスプリントプライマーを使用してビーズに連結されたオリゴヌクレオチドにライゲートした。
【0113】
H2O、37.5μl、10×T4−DNAリガーゼ緩衝液(NEB)5μl、あらかじめアニールした伸張およびスプリントオリゴヌクレオチド(10μΜ)の5μl、およびT4−DNAリガーゼ(400,000U/ml、NEB)7.5μlを含むライゲーション混合物を各チューブに付加し、回転機で室温にて30分間インキュベートした。
【0114】
ライゲーション反応後、ライゲートされたオリゴヌクレオチド伸張部およびビーズに連結された鋳型オリゴヌクレオチドからスプリントライゲーションプライマーを変性させるためにビーズを処理した。1×PBST、50μlでビーズを3回洗浄した。95%ホルムアミド水溶液50μlおよび1mMのEDTAでビーズを処理し、室温で5分インキュベートし、この処理を再度繰り返した。その後、1×PBST50μlでビーズを3回洗浄した。
【0115】
オリゴヌクレオチド伸張部の領域に相補的なオリゴヌクレオチドと結合した抗FLAG抗体捕獲剤、およびプライマー伸長のためのプライマーとして使用するオリゴヌクレオチドを、その後、ビーズ上のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズさせた。1×Hyb緩衝液[450mMのNaCl、30mMのリン酸二水素ナトリウム、13mMのEDTA、0.025%のTween−20(pH7.4)]50μlでビーズを1回洗浄した。捕獲剤プライマー溶液[H2O、22.5μl、2×Hyb緩衝液25μl、伸張プライマー(100μΜ;TTACTTATCGTCGTCGTC)(配列番号4)0.5μl、捕獲剤[(A30−Cy5−抗−FLAG−IgG 約6.7μΜ)2μl]50μlをビーズに付加し、回転機で室温にて30分間インキュベートした。
【0116】
目的のペプチドおよびFLAG親和性タグをコードする一本鎖のオリゴヌクレオチドを、二本鎖のビーズに連結したオリゴヌクレオチドに変換するためにプライマー伸長を実行した。ビーズに連結したオリゴヌクレオチドにハイブリダイズしたプライマー伸長プライマーを有するビーズを1×Hyb緩衝液50μlで2回、1×ReactII[50mMのTrisHCl、10mMのMgCl2、50mMのNaCl(pH8)]50μlで1回洗浄した。伸張混合物[H2O、35μl、10×ReactII5μl、25mMのdNTP5μl、2U/μlの希釈したDNA Pol I(Large Fragment、(Invitrogen,Carlsbad,CA)5μl]50μlを付加し
、回転機で45分間37℃にてビーズをインキュベートした。
【0117】
インビトロの転写および翻訳を、FLAG親和性タグおよび目的のペプチドを含む融合ペプチドを生成するために二本鎖の鋳型上で行なった。プライマー伸長後、1×ReactII50μlでビーズを洗浄し、次に、IVTT緩衝液[50mMのHepes−KOH、13mMのMg−アセテート(pH7.6)]50μlで2回リンスした。PURExpress溶液(H2O、70μl、溶液A125μl、溶液B50μl、8U/μlのマウスRNアーゼ阻害剤5μl、NEB)をあらかじめ37℃で30分間加熱し、次に、ビーズにTNT溶液12.5μlを付加し、これを回転機で37℃にて60分間インキュベートした。
【0118】
目的のペプチドは、目的のペプチドそれぞれの抗原決定基を認識する一次抗体によりビーズ上で検出された。一次抗体を67nMの濃度で使用し、ビーズを室温で30分間、一次抗体の存在下でインキュベートした。特異的に一次抗体に結合する、標識された二次抗体を17nMの濃度で用いてインキュベーションを実施した。DM6000B自動蛍光顕微鏡および画像システムを使用して、ビーズを画像化した。
【0119】
実験の結果は図15のグラフに示す通りである。目的のHAペプチドを含む構築物は、抗HA一次抗体でよく検出され、AU1ペプチドはいかなる有意水準でも検出されなかった。同様に、目的のAU1ペプチドは、抗AU1一次抗体でよく検出され、HAペプチドはいかなる有意水準でも検出されなかった。
【0120】
実施例3:スライドガラス上のアレイ
捕獲剤の導入のためのプライマー領域、AU1(DTYRYIDYA)(配列番号5)、AU5(TDFYLKDYA)(配列番号6)、HA(YPYDVPDYA)(配列番号7)またはV5(IPNPLLGLD)(配列番号8)9−merペプチドをコードする領域、および終止コドンが後続するFLAG親和性タグをコードする領域を含むオリゴヌクレオチドを使用して、アレイを構築した。この領域にはさらに、一本鎖のオリゴヌクレオチドのプライマー伸長に使用されるプライマーのハイブリダイゼーションのためのプライマー部位を含めた。
【0121】
共有結合で連結させ取り付けたオリゴヌクレオチドを有するスライドガラスを、アミノ修飾スライドおよび、5’−アルデヒド基を有するオリゴヌクレオチドから生成した。アミノ基を含むES顕微鏡スライドガラス(Erie Scientific)を、アセトニトリルに0.2Mのジイソプロピルエチルアミンを含む0.1Mの塩化シアヌル溶液(Aldrich)で処理し、次いでDMF中2%ヒドラジン溶液で処理した。各ステップ間でアセトニトリルおよびDMFで洗浄を行なった。このプロセスにより、オリゴヌクレオチド上のアルデヒド基と反応するヒドラジントリアジン基を含むスライド表面が生成された。鋳型オリゴヌクレオチドを、3’−アルデヒド連結によって共有結合で活性化スライド表面に取り付けた。スライドを生成するため、100mMのNa−クエン酸緩衝液、pH5.1、1.5MのNaCl中200μΜの5’−アルデヒドオリゴヌクレオチド3の30μlを2つのリポータースライド間に付加した。この反応を加湿容器内で室温にて18時間進めた。スライドを水で3回2回洗浄し、乾燥させ、使用するまで冷蔵した。
【0122】
スライドを生成するため、スライド表面に3’−アルデヒド修飾オリゴヌクレオチド(クエン酸緩衝液[100mMのクエン酸ナトリウム、1.5MのNaCl(pH5.0)]中5μΜ)のマイクロリットル未満の液滴を付加した。この反応を加湿容器内で室温にて18時間進めた。スライドを水で洗浄し、乾燥させ、使用するまで冷蔵した。
【0123】
その後、オリゴヌクレオチドスライドを、アレイ構築のため、フロースルー装置内で1
00%ホルムアミドを150μl付加して調製した。1×PBST250μlを2つの125μlアリコートで各スライドに付加し、1分インキュベートし、次いでこれの洗浄ステップを繰り返した。ブロッキング溶液[1×Hyb緩衝液、5×デンハート溶液、および0.1mg/mlの変性サケ精子DNA]250μlを2つの125μlアリコートで各スライドに付加し、5分間インキュベートした。新しいブロッキング溶液250μlを付加し、スライドを10分間インキュベートした。
【0124】
その後、KB溶液[50mMのTris−HCl(pH7.5)、10mMのMgCl2]450μl溶液を、3つの均一なアリコートで各スライドに付加し、室温で30秒間インキュベートした。この洗浄ステップを4回繰り返した。キナーゼ溶液[H2O、195μl、10×PNK緩衝液(NEB,Ipsich,MA)25μl、10mMのATP25μlおよびT4ポリヌクレオチドキナーゼ(10u/μl)5μl]250μl(125μl、2回)を各スライドに付加し、その後、あらかじめ37℃に平衡させた加湿インキュベーション容器にスライドを入れた。
【0125】
スプリントライゲーションで使用される非翻訳領域およびT30領域、PEGリンカー分子、ならびに捕獲基を取り付けるためのオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド伸張部を、スプリントプライマーを使用して、鋳型オリゴヌクレオチドにライゲートした。スプリントプライマーは、基材に結合されたオリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド伸張部の両方にハイブリダイズする。ライゲーションのためのスライドを調製するために、その後、KB溶液450μl(150μl、3回)を3つの均一のアリコートでスライドに付加し、スライドを室温で30秒間インキュベートした。この洗浄を2回繰り返し、スライドを含むフロースルー容器を、冷蔵庫内であらかじめ4℃に平衡させた加湿インキュベーション容器に置き、10分間インキュベートした。
【0126】
H2O、112.5μl、10×T4−DNAリガーゼ緩衝液(NEB)15μl、20U/μl伸張オリゴヌクレオチド7.5μlおよびT4−DNAリガーゼ(400,000U/ml、NEB)2.5μlを含むライゲーション混合物を各スライドに付加し、スライドを室温で30分間インキュベートした。その後、追加で冷たいライゲーション混合物150μlアリコートを付加し、スライドを室温でさらに30分の間インキュベートした。生じた構造は、伸張オリゴヌクレオチドにライゲートした鋳型オリゴヌクレオチドを含んでいた。
【0127】
ライゲーション反応後、ライゲートされ基材に連結された伸長オリゴヌクレオチドからスプリントライゲーションプライマーを変性させるために、スライドを処理した。KB溶液[50mMのTris−HCl(pH7.5)、10mMのMgCl2]450μlを、3つの均一のアリコートで各スライドに付加し、スライドを室温で30秒間インキュベートした。1mMのEDTAを有する95%ホルムアミド水溶液450μlを、3つの均一のアリコートで付加し、スライドを室温で1分間インキュベートした。これを1mMのEDTAを有する別の95%ホルムアミド水溶液450μlを3つの均一のアリコートで付加して交換し、室温で5分間インキュベートした。
【0128】
伸張オリゴヌクレオチドの領域に相補的なオリゴヌクレオチドと結合した抗FLAG抗体捕獲剤、およびプライマー伸長のためのプライマーとして使用するオリゴヌクレオチドを、その後、スライド上のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズさせた。各スライドに1×Hyb緩衝液450μlを付加し、室温で30秒間インキュベートした。これを4回繰り返した。捕獲剤プライマー溶液[H2O、67.5μl、2×Hyb緩衝液75μl、伸張プライマー(100μΜ;TTACTTATCGTCGTCGTC)(配列番号9)1.5μl、捕獲剤[(A30Cy5−抗−FLAG−IgG 〜6.7μΜ)6μl]をフロースルー容器に付加し、加湿容器内で室温にて30分間インキュベートした。
【0129】
ライゲーション反応後、ライゲートされ、基材に連結された伸長オリゴヌクレオチドからスプリントライゲーションプライマーを変性させるため、スライドを処理した。KB溶液[50mMのTris−HCl(pH7.5)、10mMのMgCl2]450μlを、3つの均一なアリコートで各スライドに付加し、スライドを室温で30秒間インキュベートした。1mMのEDTAを有する95%ホルムアミド水溶液450μlを、3つの均一のアリコートで付加し、スライドを室温で1分間インキュベートした。これを1mMのEDTAを有する別の95%ホルムアミド水溶液450μlを3つの均一のアリコートで付加して交換し、室温で5分間インキュベートした。
【0130】
伸張オリゴヌクレオチドの領域に相補的なオリゴヌクレオチドと結合した抗FLAG抗体捕獲剤、およびプライマー伸長のためのプライマーとして使用するオリゴヌクレオチドを、その後、スライド上のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズさせた。各スライドに1×Hyb緩衝液450μlを付加し、室温で30秒間インキュベートした。これを4回繰り返した。捕獲剤プライマー溶液[H2O、67.5μl、2×Hyb緩衝液75μl、伸張プライマー(100μΜ;TTACTTATCGTCGTCGTC)(配列番号10)1.5μl、捕獲剤[(A30Cy5−抗−FLAG−IgG 〜6.7μΜ)6μl]をフロースルー容器に付加し、加湿容器内で室温にて30分間インキュベートした。
【0131】
目的のペプチドおよびFLAG親和性タグをコードする、基材に連結した一本鎖のオリゴヌクレオチドを二本鎖の基材に連結した分子に変換するためにプライマー伸長を実行した。スライドに連結したオリゴヌクレオチドにハイブリダイズしたプライマー伸長プライマーを有するスライドを、1×Hyb緩衝液450μlを3つの均一のアリコートで付加して処理し、30秒間インキュベートし、その後、1×ReactII450μlで2回処理し、30秒間インキュベートした。伸張混合物[H2O、105μl、10×ReactII15μl、25mMのdNTP15μl、2U/μlの希釈したDNA Pol
I(Large Fragment、(Invitrogen、Carlsbad,CA))15μl]150μlを付加し、スライドを、あらかじめ37℃に平衡させた加湿インキュベーション容器内で45分間インキュベートベートした。
【0132】
FLAG親和性タグおよび目的のペプチド、HAまたはAU1のいずれかを含む融合ペプチドを生成するために二本鎖の基材に連結した産物上でインビトロの転写および翻訳を行なった。プライマー伸長後、1×ReactII450μlを3つの均一のアリコートで付加し、室温で30秒間インキュベートした。その後、スライドを、IVTT緩衝液450μlで30秒間、2回リンスした。
【0133】
PURExpress溶液(H2O、70μl、溶液A125μl、溶液B50μl、8U/μlのマウスRNアーゼ阻害剤5μl、NEB)をあらかじめ37℃で30分間加熱した。その後、フロースルー容器を、あらかじめ37℃に平衡させた加湿インキュベーション容器に入れ、37℃で0.5分〜60分間インキュベートした。
【0134】
目的のペプチドは、目的のペプチドの抗原決定基を認識する一次抗体によりアレイ面上で検出された。一次抗体を6.7nMの濃度で付加し(Superblock内,The
rmoSci)、スライドを室温で15分間インキュベートした。その後、このステップを繰り返した。1×PBST450μlで3回洗浄した後に、特異的に一次抗体に結合する、標識された二次抗体を17nMの濃度で用いて(Superblock内)インキュベーションを15分間実施した。このステップを1回繰り返した。スライドを1×PBST450μlで3回洗浄し、次いでフロースルー容器から取り出した。1×PBSTでさらにもう1回洗浄した後、スライドを乾燥させて、次いでPE ScanArray Liteマイクロアレイ読み取り装置(GSI Luminomics)で画像化した。図
16の棒グラフは、スライド上の抗体蛍光検出の結果を図示する。AU1、AU5、HAおよびV5の9−merペプチドを同一のレイアウトでの3つの顕微鏡スライド上で構築し、1スライド当たりの各ペプチドの3つのスポットを形成した。AU1、AU5またはHAペプチドに対する特異的抗体で各スライドを処理することにより特定の信号を検出した。V5ペプチドを、3つのすべての検出条件に対してネガティブコントロールとした。図に示したように、ペプチドは適切な抗体により選択的に検出された:3つのAU1ペプチドは、抗AU1抗体(16のA)で検出され、3つのAU5ペプチドは、抗AU5抗体(16のB)で検出され、3つのHAペプチドは、抗HA抗体(16のC)で検出された。
【図1−1】
【図1−2】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペプチドベースのアレイ、そのようなアレイを作製する方法および関連する使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の議論において、ある物品および方法を、背景および導入目的のために記述する。本明細書に記載のいずれもが、先行技術の「容認」として解釈されるべきではない。本明細書で参照される物品および方法が、適用可能な法律の条項の下で先行技術を構成しないことを、出願人は、必要に応じて実証する権利を明確に保有する。
【0003】
プロテオミクス、すなわちタンパク質の機能、構造および相互作用に関する研究では、タンパク質を十分な量で生成し、かつスループットの高い方法でこれらのタンパク質を研究する能力が求められる。タンパク質マイクロアレイは、タンパク質のこのような高スループットな分析に対して非常に有益なツールである。しかし、大規模なプロテオミクス研究にマイクロアレイ技術を利用することは、タンパク質の生成の困難さおよび費用により、まだ非常に限定的である。(非特許文献1)。伝統的に、ペプチドアレイは、あらかじめ合成されたペプチドを面上にスポッティングすることにより(非特許文献2)、または、SPOT方法としても知られているが、標準的な固相ペプチド合成を使用してセルロースろ過シート上のスポットでペプチドを合成することにより(非特許文献3)作製する。数十〜数十万のペプチドを有するアレイを作成する費用は非常に高く、このようなアレイを大規模に、高スループットに使用することは、費用面で無理がある。最近になって、インビトロでの翻訳によるペプチドアレイ作製の方法が開発されており、タンパク質インシツアレイ(PISA)作製(非特許文献4)、核酸プログラム型タンパク質アレイ(NAPPA)作製(非特許文献5)、DNA−タンパク質アレイ(DAPA)構築(He M
Nat. Methods 5:175−177(2008))および、インシツのピュロマイシン捕獲を使用したタンパク質アレイ(非特許文献6)がある。しかしながら、これらのアプローチは個々に合成された鋳型核酸を必要とし、またその費用は、伝統的方法により配置された個々のペプチドの費用よりも高い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Henderson G and Bradley M,Curr Opin Biotechnol. Aug;18(4):326−30,(2007),Epub 2007 Aug 6;Tapia VE Methods Mol Biol. 2009;570:3−17(2009)
【非特許文献2】Salisbury CM et al,J Am Chem Soc. 2002 Dec 18;124(50):14868−70(2002)
【非特許文献3】Frank R,J Immunol Methods.2002 Sep 1;267(1):13−26(2002)
【非特許文献4】He M and Taussig MJ,Nucleic Acids Res,29,e73(2001)
【非特許文献5】Ranachandran N et al.,Science 305:86−90(2004)
【非特許文献6】Tao S−C and Zhu H,Nat. Biotech 24:1253−1254(2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高密度、高品質で、多様な配列のペプチドアレイを製作する能力は、高スループットな結合および酵素活性プロファイリングの研究を可能にし、研究、診断法および治療学上の開発において様々に利用されるであろう。本発明はこの要求に取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この「概要」は、数々のコンセプトを、以下の「詳細な説明」でさらに詳述される単純化した形態で紹介するために提供される。この「概要」は、特許請求される主題の重要なまたは基本的な特徴を同定することを意図しない。また特許請求される主題の範囲の限定も意図しない。特許請求される主題の他の特徴、詳細、有用性および利点は、添付された図面で説明され、添付された特許請求の範囲で限定された態様を含む以下の「詳細な説明」から明らかとなるであろう。
【0007】
本発明はアレイ、アレイを構築する方法、およびそのようなアレイの使用方法を提供する。本発明のアレイは、基材の面上に、任意選択によりリンカー分子によって結合された2つ以上の別々の構築物または構築物の別々のセットを有する基材を含む。構築物は、目的のペプチドをコードするオリゴヌクレオチド、および目的のペプチドそれ自体の両方を含む。オリゴヌクレオチドは基材面に、またペプチドはオリゴヌクレオチドに、直接またはリンカー分子によって結合されている。
【0008】
特定の態様において、アレイの構築物は、目的のペプチドおよび親和性タグをコードする第1のオリゴヌクレオチド領域、非翻訳領域を含み、第1のオリゴヌクレオチドに5’で配置した第2のオリゴヌクレオチド領域、目的のペプチドおよび親和性タグの両方を含む融合ペプチド、ならびに融合タンパク質の親和性タグと結合対を形成するオリゴヌクレオチドに結合した捕獲剤を含む。オリゴヌクレオチドの非翻訳領域は、転写開始点およびリボソーム結合部位を、目的のペプチドおよび親和性タグをコードする領域の5’に含む。
【0009】
捕獲剤は、オリゴヌクレオチドに直接的に、またはリンカー分子によって結合してもよい。好ましい態様において、融合ペプチドは、基材面から遠位にあるオリゴヌクレオチドの終端で、オリゴヌクレオチドに直接または間接的に結合した捕獲剤との結合によって、オリゴヌクレオチドと結合している。ある他の態様において、ペプチドは、オリゴヌクレオチドに結合した捕獲剤によって、または、オリゴヌクレオチドを基材面に取り付けるリンカーに結合した捕獲剤のいずれかによって、基材の面近くのオリゴヌクレオチドに結合される。好ましい態様において、捕獲剤は、オリゴヌクレオチドに連結したプライマー配列によって、例えば合成リンカー分子を使用して、基材面から遠位にあるオリゴヌクレオチド上の位置で結合される。
【0010】
ある態様において、アレイ基材は、平坦な担体、フィルム、ビーズまたはそれらの組み合わせである。オリゴヌクレオチドの1つの鎖は、オリゴヌクレオチドへ非翻訳領域を導入するために使用されるプライマー領域を含む。非翻訳領域は、転写反応の開始のためのリボソーム開始部位および転写プロモーター領域を含む。
【0011】
ある特定の態様において、構築物は、フローセル、好ましくは高スループットな配列決定に使用されるフローセルの面に配置される。配列をフローセルにおいてインシツでクローン的に任意に増幅できる。この態様において、配列はランダムに配置されるが、各クローン配列の同一性は、タンパク質の生成およびスクリーニングアッセイでの使用の前、または後のいずれかで決定できる。何百万もの鋳型DNAを配置し、かつそれらの配列を決定する能力は、鋳型オリゴヌクレオチドの合成の間に規定された位置で、塩基をランダム化することにより、より長い鋳型を形成するためにより短いオリゴヌクレオチドを組み合
わせることにより、またはゲノムDNAまたはcDNAライブラリーから配列のライブラリーを導き出すことにより、非常に安価に実行できる。
【0012】
本発明のある態様において、アレイの構築物は、ペプチドに結合した二本鎖のオリゴヌクレオチドを含む。他の態様においては、ペプチドが結合した後にオリゴヌクレオチド鎖のうちの1本を除去するのが望ましい場合もあり、アレイは、目的のペプチドに結合した一本鎖のオリゴヌクレオチドを含むことになる。
【0013】
本発明はまた、本発明のアレイを構築する方法を提供する。本発明のペプチドアレイを作製する特定の方法は、基材面(例えば平坦な基材、またはビーズの1セット)上で合成された核酸のセットを利用する。アミノ酸配列をコードする既知の配列の核酸は、例えば化学合成技術を使用して、面上で直接合成されるのが好ましい。アレイ上の個々の異なる位置または部位での配列の同一性はあらかじめ決定されてもよく、または固体基材上での合成、もしくはマイクロアレイ等の固定フォーマットへ集合させた(例えばビーズの場合)後に決定されてもよい。配列同一性もペプチドアレイの構築後に決定されてもよい。核酸を合成的に生成した後、所望の配列情報(例えばペプチドアレイの要素をコードする配列、転写または翻訳に必要な配列等)を含む核酸を、基材面上の合成された核酸に、化学的および好ましくは酵素的ライゲーション、プライマー伸長、増幅などの方法を使用して、追加で取り付ける。伸長した核酸は、インビトロの転写および翻訳による目的のペプチドおよび他のペプチドの要素(例えば親和性タグ)の生成の鋳型として使用される。
【0014】
ペプチドアレイを構築するための別の特定の態様において、アミノ酸配列をコードする、化学的に合成されたオリゴヌクレオチドを1セット含む核酸マイクロアレイが作製される。所望の配列情報(例えばペプチドアレイの要素をコードする配列、転写または翻訳に必要な配列等)を含む核酸を、化学的および、好ましくは酵素的なライゲーション、プライマー伸長、増幅等の方法を使用して、これらのアレイのオリゴヌクレオチドに追加で取り付ける。伸長した核酸は、インビトロの転写および翻訳による目的のペプチドおよび他のペプチドの要素(例えば親和性タグ)の生成の鋳型として使用される。
【0015】
ペプチドの生成後に、ペプチドは、基材面上の既知の位置で捕獲される。ペプチドは、ペプチドそれぞれの鋳型核酸の位置と、または実際の鋳型と直接、本明細書に詳細に記述された方法を使用して結合するのが好ましい。合成の、および、合成後の核酸構築の組み合わせを利用する本発明のこれらの方法は、基材面上の既知の配列のペプチドを多数生成するのに、特に有益である。例えば、これらの方法を使用すると、少なくとも100、少なくとも1000、少なくとも5000、および少なくとも10,000のアレイの分析可能なペプチドが、基材面上で生成できる。
【0016】
あるいは、伸長された核酸配列を(直接的に、または複製物として)面に移行させ、インシツで増幅し、ペプチドアレイ構築の残りのプロセスが実行される。
態様のいくつかにおいて、アレイは、目的のペプチドおよび親和性タグをコードする一本鎖の鋳型オリゴヌクレオチド領域を含む2つ以上の構築物を含む面を使用して作製できる。一態様において、一本鎖の鋳型オリゴヌクレオチドは二本鎖のオリゴヌクレオチド領域に変換され、転写開始点およびリボソーム結合部位を含む非翻訳領域は、二本鎖のオリゴヌクレオチド領域の5’末端に導入される。他の好ましい態様において、非翻訳領域は、一本鎖のオリゴヌクレオチドの二本鎖の鋳型への変換に先立って一本鎖領域に付加される。その後、二本鎖のオリゴヌクレオチド領域はインビトロで転写および翻訳され、目的のペプチドおよび親和性タグを含む融合ペプチドが生成され、この融合ペプチドは、オリゴヌクレオチドに直接的にまたは間接的に結合されている捕獲剤に、融合ペプチドの親和性タグ部分を結合することにより、構築物に捕獲される。捕獲剤は、任意選択によりオリゴヌクレオチドの非翻訳領域に結合しており、この非翻訳部位の領域に相補的な領域によ
ってオリゴヌクレオチドに導入される。あるいは、捕獲剤は、ペプチドコード領域によって、または基材面に鋳型オリゴヌクレオチドを取り付けるリンカーによって構築物に結合していてもよい。
【0017】
別の態様において、アレイは、目的のペプチドをコードする配列に相補的な、および親和性タグをコードする配列に相補的な配列を含む一本鎖の鋳型オリゴヌクレオチド領域を含む2つ以上の構築物を含む面を使用して作製できる。一本鎖の鋳型オリゴヌクレオチドは二本鎖のオリゴヌクレオチド領域に変換され、転写開始点およびリボソーム結合部位を含む非翻訳領域は、二本鎖のオリゴヌクレオチド領域の5’末端に導入される。その後、二本鎖のオリゴヌクレオチド領域を転写および翻訳させて、目的のペプチドおよび親和性タグを含むペプチドが生成され、この融合ペプチドは、捕獲剤に、融合ペプチドの親和性タグ部分を結合することにより、構築物に捕獲される。捕獲剤は任意選択により非翻訳領域に結合しており、この領域で構築物に導入される。あるいは、捕獲剤は、ペプチドコード領域によって、または基材面にオリゴヌクレオチドを取り付けるリンカーによって構築物に結合していてもよい。
【0018】
さらに別の態様において、本発明は、目的のペプチドおよび親和性タグをコードする一本鎖のオリゴヌクレオチド領域を含む2つ以上の構築物を有する面を含む基材を提供することによりアレイを構築する方法を提供する。転写開始点およびリボソーム結合部位を有する非翻訳領域を含む第2のユニバーサルなオリゴヌクレオチドは、構築物のオリゴヌクレオチドに取り付けられており、捕獲剤はユニバーサルなオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションによってオリゴヌクレオチドに結合している。構築物の一本鎖のオリゴヌクレオチド領域は二本鎖のオリゴヌクレオチド領域に変換され、また、二本鎖の鋳型オリゴヌクレオチド領域を転写および翻訳させて、目的のペプチドおよび親和性タグを含む融合ペプチドを生成する。この翻訳イベントから生成された融合タンパク質は、ペプチドの親和性タグによって捕獲剤により捕獲される。結果として生じるアレイは、核酸によりコードされたペプチドに結合した核酸を含む別々のユニットを含む。これらの別々の構築物ユニットは、別の目的のペプチドを有する他の構築物から区別可能な1つまたは複数の構築物を含むことができる。
【0019】
さらに別の態様において、本発明は、目的のペプチドおよび親和性タグをコードする一本鎖のオリゴヌクレオチドを含む2つ以上の構築物を有する面を含む基材を提供することによりアレイを構築する方法を提供する。転写開始点およびリボソーム結合部位を有する非翻訳領域を含む第2のユニバーサルなオリゴヌクレオチドは、構築物のオリゴヌクレオチドに結合されており、捕獲剤はユニバーサルなオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションによってオリゴヌクレオチドに結合している。構築物の一本鎖のオリゴヌクレオチド領域は二本鎖のオリゴヌクレオチド領域に変換され、また、二本鎖の鋳型オリゴヌクレオチド領域を転写および翻訳させて、目的のペプチドおよび親和性タグを含む融合ペプチドを生成する。この翻訳イベントから生成された融合タンパク質は、ペプチドの親和性タグによって捕獲剤により捕獲される。結果として生じるアレイは、核酸によりコードされたペプチドに結合した核酸を含む別々のユニットを含む。これらの別々の構築物ユニットは、別の目的のペプチドを有する他の構築物から区別可能な1つまたは複数の構築物を含むことができる。
【0020】
さらに別の態様において、本発明は、目的のペプチド、親和性タグ、および非翻訳領域をコードする領域を含む一本鎖のオリゴヌクレオチドを含む2つ以上の構築物を有する面を含む基材を提供することによりアレイを構築する方法を提供し、オリゴヌクレオチドはその5’末端で基材面に取り付けられている。オリゴヌクレオチドの非翻訳領域にアニーリングするプライマーは転写の開始部位で二本鎖領域を生成するが、これは目的のペプチドおよび親和性タグをコードするペプチドの転写および翻訳を開始するのに効率的である
。アレイの構築物は転写および翻訳の開始前には、二本鎖のオリゴヌクレオチドに変換されない。
【0021】
本発明はさらに、試料中の作用剤の有無の検出を含む、目的のペプチドに対する作用剤の結合を検出するための方法を提供する。これらの方法は、面を有する基材、基材の面上に結合した2つ以上の個別の構築物、目的のペプチドをコードするオリゴヌクレオチドおよび目的のペプチドそれ自体の両方を有する個別の構築物、を含むアレイを提供することを含む。特定の態様において、これらの検出方法において使用されるアレイは、目的のペプチドをコードするオリゴヌクレオチド領域、親和性タグおよび非翻訳領域をコードするオリゴヌクレオチド領域、目的のペプチドおよび親和性タグを含むペプチド、および親和性タグに選択的に結合する捕獲剤を含む2つ以上の構築物を有する。目的のペプチドへの作用剤の結合の検出がアレイを作用剤に接触させ、作用剤の目的のペプチドへの結合の有無の検出により行われる。個別の構築物はオリゴヌクレオチドと基材面との結合によってアレイに結合され、ペプチドは、例えば、捕獲剤への親和性タグの結合によってオリゴヌクレオチドと結合する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】A−F:本発明の複合オリゴヌクレオチドペプチドアレイにおいて使用される代表的な構築物を図示する。
【図2】同じ融合ペプチドを含む同一の構築物のセットを含むアレイを図示する。
【図3】異なる構成において同じオリゴヌクレオチド領域を含む構築物のセットを含むアレイを図示する。
【図4】同じペプチドを有するが、異なる親和性タグおよび捕獲剤を有する構築物を含むアレイを図示する。
【図5】本発明の複合オリゴヌクレオチド−ペプチドアレイを作製するための第1の一般的な方法を図示する。
【図6】捕獲剤を使用して、本発明の複合オリゴヌクレオチド−ペプチドアレイを作製するための第2の一般的な方法を図示する。
【図7】ビーズ上で捕獲剤および鋳型オリゴヌクレオチドを使用する、第1の作製方法を図示する。
【図8】平坦な面上で捕獲剤および鋳型オリゴヌクレオチドを使用する、第2の作製方法を図示する。
【図9】鋳型オリゴヌクレオチドにより生成されたペプチドのピュロマイシン捕獲を使用する、第3の作製方法を図示する。
【図10】翻訳後修飾を使用した、図9の作製方法のより特定の態様を図示する。
【図11】図10で図示した方法を使用する、FGEを使用した、LCTPSRペプチドを図示する。
【図12】配列決定フローセルを利用する一般的なアッセイシステムを図示する。
【図13】本発明のアレイ上での構築物の様々な構成の使用を図示する。
【図14】本発明のアレイ上で偽陽性を減少させるハロー効果を生みだすための拡散の使用を図示する。
【図15】図7のビーズアレイを使用して得られたペプチドの結合結果を図示する。
【図16】図8で示すように作製したスライドアレイを使用して得られたペプチド結合結果を図示する。
【0023】
定義
本明細書に使用される用語は、当業者が理解するような明白な一般的な意味を有することを目的とする。以下の定義は、読者が本発明を理解するのを助けることを目的とするが、そのような用語の意味を変えることも、限定することも意図しない。
【0024】
用語「親和性タグ」は、本明細書で使用される場合、捕獲剤に選択的に結合する結合対の一方のメンバーを指す。
用語「結合対」は、互いに選択的に結合することが知られているあらゆる2つの分子を意味する。2つのタンパク質の場合には、本明細書でより詳細に記述するように、分子は互いに選択的に結合する。このような結合は共有結合、および/または非共有結合を含んでいてもよい。例えば、ビオチンとアビジン、ビオチンとストレプトアビジン、抗体およびその特定の抗原決定基、等があるが、これに限定されない。
【0025】
用語「捕獲剤」は、本明細書で使用される場合、ペプチドの親和性タグとの結合によって、またはペプチドの親和性タグとの連結によって、ペプチドを捕獲できるあらゆる成分を指す。捕獲剤とその親和性タグとの間の結合は共有結合および/または非共有結合であってもよい。捕獲剤には、例えば、融合ペプチド上の親和性タグに選択的に結合する結合対のメンバー、組み換え技術、または他のメカニズムにより付加される化学結合等を含む。特定の態様において、捕獲剤は親和性タグの抗原決定基に選択的に結合する抗体である。捕獲剤はハイブリダイゼーション、クロスリンキング(例えばソラレンを使用した共有結合固定化)、翻訳後修飾による導入等を含む従来の技術を使用して、構築物に結合させることができる。
【0026】
用語「相補的な」は、核酸結合対の相互作用面の形態上の互換性または双方向性の構造を指す。好ましい相補的構造は、互いに結合親和性を有し、核酸が互いに有する相補性の程度が高くなるほど、構造間のハイブリダイゼーションがより強くなる。
【0027】
用語「診断ツール」は、本明細書で使用される場合、患者の試料の診断テストまたはアッセイを実行するために使用される本発明のあらゆる構成物またはアッセイを指す。診断ツールとして、本発明の構成物を分析物に特異的な試薬の集合と考えてもよく、これを用いて、米国連邦または州関係機関によって規制される診断テストの一部を形成してもよい。本発明の組成物を診断ツールとして使用することは、治療薬の開発においてこの組成物を使用することとの関連を意図しない。
【0028】
用語「オリゴヌクレオチド」を、ヌクレオチドモノマーの直線状の重合体を意味するために本明細書で使用する。この用語が本明細書で使用される場合、一本鎖または二本鎖の形態を指す場合がある。核酸とオリゴヌクレオチドを形成するモノマーは、天然のポリヌクレオチドに特異的に結合できるが、これはワトソンクリック型の塩基対形成、塩基スタッキング、フーグスティーン型または逆フーグスティーン型の塩基対形成等の、モノマー同士の規則的な型の相互作用による結合であり、この結合によって二本鎖または三重鎖の形態を作り上げる。このようなモノマーおよびこのヌクレオシド間結合は天然でもよく、またはその類似体、例えば天然もしくは非天然の類似体でもよい。非天然の類似体にはペプチド核酸、ロックド核酸、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合、蛍光体、もしくはハプテン等の標識が結合できる結合基等を含む塩基がある。オリゴヌクレオチドまたは核酸の使用において、ポリメラーゼによる伸張およびリガーゼによるライゲーション等の、酵素によるプロセシングが必要となる場合は常に、ヌクレオシド間結合、糖成分または塩基のある種の類似体が酵素反応と適合しない場合、上記のようなオリゴヌクレオチドまたは核酸には、どの位置にもそのような類似体を含めないことを当業者は理解するだろう。核酸の大きさは典型的には少数のモノマー単位、例えば5から40の範囲であり、数十万以上のモノマー単位の場合には通常「オリゴヌクレオチド」と呼ばれる。核酸またはオリゴヌクレオチドを文字の配列(大文字か小文字)よって、例えば「ATGCCTG、」等で表す場合は常に、別記しない限り、または文脈から明らかな場合、ヌクレオチドは5’から3方向へ、左から右に記載され、「A」はデオキシアデノシン、「C」はデオキシシチジン、「G」はデオキシグアノシン、および「T」はデオキシチミジン、「I」はデオキシイノシン、「U」はウリジンを表すと理解される。通常、核酸は、ホスホジエステル
結合によってつながった天然のヌクレオシド(例えばDNAのデオキシアデノシン、デオキシシチジン、デオキシグアノシン、デオキシチミジンまたはこれらに対応するRNAのリボース)を含む;しかしながら、非天然のヌクレオチド類似体、例えば修飾塩基、糖類、ヌクレオシド間の結合を含んでもよい。酵素が活性に必要な特定のオリゴヌクレオチドまたは核酸基質、例えば一本鎖DNA、RNA/DNA二本鎖等を有する場合、オリゴヌクレオチドまたは核酸基質に適切な組成物は、当業者の知識を持って選択でき、特にSambrookら,Molecular Cloning,Second Edition(Cold Spring Harbor Laboratory、New York、1989)等の専門書や同様の参照文献の手引きも参考にできる。
【0029】
用語「ペプチド」、「ポリペプチド」等は本明細書では交換可能に使用し、任意の長さのアミノ酸の重合形態を指す。これにはコードされた、およびコードされないアミノ酸、化学的または生物化学的に修飾した、または誘導したアミノ酸、およびペプチド骨格を改変したポリペプチドがある。
【0030】
用語「研究ツール」は、本明細書で使用される場合、本発明のあらゆる構成物またはアッセイを指し、これらは薬品による治療及び/又は生物学的な治療の開発等の、自然界を対象とした科学的、学術的、または商業的な研究で使用される。本発明の研究ツールの意図は、治療用ではなく、規制認可の対象とすることでもない。むしろ、本発明の研究ツールは、開発事業での研究を容易にし、開発活動を支援することを意図し、この活動には、規制当局への提出をサポートするための情報を作成するために実施されるあらゆる活動が含まれる。
【0031】
用語「選択的に結合する」、「選択的な結合」等は、本明細書で使用され、結合対(例えば、タンパク質、核酸、抗体等)を指す場合、指定の分析条件下で、高親和性および/または選択的なハイブリダイゼーションを保証する相補性を有する、2つ以上の結合対の結合反応を指す。典型的には、特異的結合はバックグラウンド信号またはノイズの少なくとも3倍、より典型的にはバックグラウンドの10〜100倍を超えるだろう。したがって、指定の条件下、結合パートナーは自身の特定の「標的」分子と結合し、試料中にある他の分子とはあまり結合しない。
【0032】
用語「Tm」は「融解温度」に関して使用する。融解温度は、二本鎖核酸分子の集団の半分が一本鎖へと分離される温度である。核酸のTmを計算するための等式がいくつかあり、当該技術分野においてよく知られている。標準的な基準に示されているように、核酸が1MのNaCl水溶液中にある場合、Tm値の単純な推定値を、等式、Tm=81.5+0.41(%G+C)で計算できる。(例えば、AndersonおよびYoung、Quantitative Filter Hybridization,in Nucleic Acid Hybridization(1985)参照のこと。)他の参照文献には(例えば、Allawi,H.T.およびSantaLucia,J.,Jr.、Biochemistry 36,10581−94(1997))は、Tmを計算するために、配列特性と同様、構造および環境特性をも考慮に入れる別の計算方法が記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本明細書に記述された技術の実行にあたり、別記しない限り、有機化学、ポリマー技術、分子生物学(組み換え技術を含む)、細胞生物学、生化学および配列決定技術の従来の技術および記述を採用する場合がある。これらは当該分野の範囲内である。このような従来の技術には、ポリマーアレイ合成、ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションおよびライゲーション、標識を使用したハイブリダイゼーションの検出がある。適切な技術の特定の例示は、以下の例に参考として含まれ得る。しかし、他の等価な従来手順もまた、当
然ながら使用され得る。そのような従来の技術および記述は、標準的な実験マニュアルにおいて見出すことができる。例えば、Green, et al., Eds. (1999), Genome Analysis: A Laboratory Manual Series (Vols. I−IV); Weiner, Gabriel, Stephens, Eds. (2007), Genetic Variation: A Laboratory Manual; Dieffenbach, Dveksler, Eds. (2003), PCR Primer: A Laboratory Manual; Bowtell and Sambrook (2003),DNA Microarrays:A Molecular Cloning Manual;Mount(2004)、Bioinformatics:Sequence and Genome Analysis;Sambrook and Russell(2006)、Condensed Protocols from Molecular
Cloning:A Laboratory Manual;およびSambrook
and Russell(2002)、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(全てCold Spring Harbor Laboratory Press);Stryer,L.(1995)Biochemistry(4th Ed.)W.H.Freeman,New York N.Y.;Gait,”Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach”1984,IRL Press,London; Nelson
and Cox(2000)、Lehninger, Principles of Biochemistry 3rd Ed.,W.H. Freeman Pub.,New York, N.Y.;およびBergら(2002) Biochemistry,5th Ed.,W.H.Freeman Pub.,New York,N.Y.があり、全文献を全目的のため本明細書に参照して組み込む
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形(「a」「an」および「the」)は、文脈が明らかに別途指示しないかぎり、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「基質」に言及する場合、基質の1つまたは複数のコピーを指し、「分析」に言及する場合、当業者等が認識している同等なステップおよび方法への言及も含まれる。
【0034】
別に定義しない限り、本明細書で使用される技術および科学用語はすべて本発明が属する業界の関係者により一般に理解されるのと同じ意味を有している。本明細書で言及する全文献を、本明細書に参照して完全に組み込むが、その目的は本発明に関連して使用され得る、デバイス、調剤および方法を説明および開示するためである。
【0035】
ある値の範囲が示されるが、各介在値、その範囲の上限値および下限値、ならびに表示範囲内の他の表示値または介在値が、本発明に包含されるものと理解される。これらのより狭い範囲の上限および下限は独立して、より狭い範囲に含まれてよく、表示範囲における任意の特定除外限度を条件として、これらも本発明の範囲に含まれる。表示範囲が一方または両方の限度を含む場合、それら包含される限度の一方または両方を除外する範囲も本発明に含まれる。
【0036】
以下の記述において、本発明を徹底的に理解するために、特定の詳細を多数提示する。しかしながら、本発明がこれらの特定の詳細を1つまたは複数欠いても実行し得ることは当業者には明らかであろう。他の例において、本発明を不明瞭にしないため当業者によく知られた特徴および方法は記述していない。
【0037】
本発明の一般的内容
本発明のアレイは新規のアレイ構成、および対費用効果の高い方法でこれらのアレイを生成する方法を提供する。本発明のアレイは、オリゴヌクレオチドのペプチドをコードす
る鋳型、および、好ましくは二本鎖のオリゴヌクレオチドのペプチドをコードする鋳型の両方を含み、これらは鋳型オリゴヌクレオチドによりコードされたペプチドに結合されている。本発明のマイクロアレイは、非常に安価なマイクロアレイベースの合成により得られた鋳型オリゴヌクレオチドのインビトロの転写/翻訳を使用して生成される。アレイのオリゴヌクレオチドは、アレイ面に取り付けたオリゴヌクレオチドの鋳型RNAへの転写、続くこれら鋳型のペプチドへの翻訳によりオリゴペプチド複合構築物に変換される。その後、翻訳されたペプチドは、化学的なリンカー基の使用、捕獲剤の使用等を含む異なるメカニズムによって鋳型オリゴヌクレオチドに結合される。アレイで利用可能なペプチドの種類は、アレイ上の元の鋳型オリゴヌクレオチドの複雑さを反映する。
【0038】
本発明の特定の態様において、アレイは、ペプチド上の親和性タグ領域に結合するために使用される捕獲剤を含む。この例において、ペプチドはC末端領域で捕獲剤と結合する親和性タグ領域を、N末端領域に目的のペプチドを含む融合ペプチドである。親和性タグは構築物内の鋳型オリゴヌクレオチドによりコードされ、転写および翻訳により生成された融合ペプチドの捕獲のために使用される。
【0039】
好ましい態様において、アレイの複数のペプチドが同一の親和性タグを含むと、構築物では共通の捕獲剤の使用が可能となる。例えば、アレイは、単一の共通の親和性タグおよび捕獲剤を有する様々な配列のペプチドを含んでもよい。これにより、アレイの構築において、単一のペプチド結合成分の付加が可能となり、複雑度および製造費が著しく減少する。
【0040】
別の実施例において、アレイは、同一の目的のペプチド配列を有するが、異なる親和性タグおよび捕獲剤を有する2つ以上の構築物を含んでもよい。この後者の方法は、目的のペプチドの活性がアレイを構築するまたは使用する過程により悪影響を受けないことを保証するための内部制御メカニズムを有するアレイの形成を可能にする。
【0041】
本発明のタンパク質マイクロアレイ産生の方法は信頼性が高く、再現性があり、また、同一の品質およびタンパク質量の同一のアレイを作製できる。本発明のアレイは、様々なクラスおよび大きさのタンパク質およびそのフラグメントを含む、ペプチドの広範な種類の提示に有益である。アレイユニットごとのタンパク質の産生量は十分に高く、特定のアレイユニットで再現可能であり別々の検出および/または活性が可能である。これにより、アレイを高濃度だが比較的低コストで、大規模に作製できる。
【0042】
重要なことは、本発明のアレイは、全てのタンパク質、ペプチド領域、タンパク質の活性サイト等を含む機能性ペプチドを提示する能力を有していることである。通常インヴィヴォのソースから単離するのが難しい機能性タンパク質、例えばプリオンまたはベータアミロイドペプチド等の非可溶性タンパク質を調査するためにペプチドアレイを生成することができるのが、本発明の特徴である。
【0043】
本発明のアレイは、基材面および目的のペプチドの両方に結合した二本鎖または一本鎖のオリゴヌクレオチドを含む。代表的な3つの分子が図1のA〜Fに図示される。図1のAにおいて、アレイ構築物は、非翻訳領域110、目的のペプチドをコードする領域112、および親和性タグおよび終止コドンをコードする領域114を含むオリゴヌクレオチド部分102を含む。オリゴヌクレオチドは面に直接結合していてもよく、または任意選択によりリンカー106を使用してアレイに取り付けてもよい。一般的に、一本の鎖がアレイ面に取り付けられており、この鎖をその3’または5’末端のいずれかで取り付けてもよい。アレイに対して遠位にあるオリゴヌクレオチドの部分は、鋳型オリゴヌクレオチドから生成されたペプチドを、インビトロの転写および翻訳後に構築物に結合可能とするペプチド結合成分116を含む。結合したペプチド150は、オリゴヌクレオチドのコー
ド領域112によりコードされ、オリゴヌクレオチドの領域114によりコードされる親和性タグ122に融合される目的のペプチド120を含む。親和性タグ122は、オリゴヌクレオチドにペプチド150を取り付け可能とする。図1のBにおいて、ペプチド結合成分116は捕獲剤、例えば抗体またはタンパク質結合対のメンバーを含む。図1のCにおいて、オリゴヌクレオチド構築物は、転写および翻訳後に除去される鎖を有してもよく、ペプチドをコードする配列またはペプチドをコードする配列に相補的な配列のいずれかを有する一本鎖の分子104が生じる。この一本鎖は、3’または5’末端のいずれかで基材面に取り付けてもよい。
【0044】
構築物は捕獲剤の近くに非翻訳領域を有するように図示されているが、非翻訳領域が基材面に取り付けられ、親和性タグをコードする領域が、捕獲剤に近くなるように、構築物が構成されてもよい。例えば、図1のDは、図1のBと同じ構成要素を有する構築物を図示するが、図1のDではオリゴヌクレオチド102の方向は事実上反転している。
【0045】
図1のEおよびFにおいて、捕獲剤116は、オリゴヌクレオチドに対して基材面の近くに結合される。捕獲剤116は、基材面108にオリゴヌクレオチド部分を取り付けるリンカー106(1のEに図示)、またはオリゴヌクレオチド102それ自体(1のFに図示)のいずれかによって構築物に結合させることができる。ここで示されたオリゴヌクレオチド構築物102は、図1のCで図示したように一本鎖であっても、または図1のA、BおよびDにおいて図示したように二本鎖であってもよい。一般的に、一本の鎖がアレイ面に取り付けられており、この鎖はその3’または5’末端のいずれかで基材に取り付けてもよい。
【0046】
アレイは、個別の構築物を含んでいてもよく、これは、目的のペプチドの分析のための別々の調査可能なユニットである。しかしながら、ある適用では、アレイ上に生成された信号の強度を増加させることが望ましい。本発明はしたがって、同じ目的のペプチドを提示する、2つ以上の同一の構築物を含む別々の調査可能なユニットを有するアレイも含む。例えば図2において、アレイは、2つ以上の構築物の別々のグループでアレイ上に配置された異なる構築物を有する基材を含み、この構築物は、オリゴヌクレオチドにペプチドを結合させるため、同じ捕獲剤および親和性タグを利用するのが好ましい。第1セットの構築物は、非翻訳領域210、第1の目的のペプチドをコードする領域212、および親和性タグおよび終止コドンをコードする領域214を含むオリゴヌクレオチド部分202を含む。第2セットの構築物は、非翻訳領域210、第2の目的のペプチドをコードする領域232、および親和性タグおよび終止コドンをコードする領域214を含むオリゴヌクレオチド部分204を含む。両セットのオリゴヌクレオチドは面に直接結合させてもよく、または任意選択によりリンカー206を使用してアレイに取り付けてもよい。アレイに対して遠位にあるオリゴヌクレオチドの部分は、鋳型オリゴヌクレオチドから生成されたペプチドを、インビトロの転写および翻訳後に構築物に結合可能とするペプチド結合成分216を含む。第1セットの結合ペプチド250は、214によりコードされる親和性タグ222に融合した第1の目的のペプチド220を含む。第2セットの結合ペプチド252は、第1セットと同じ親和性タグ222に融合した第2の目的のペプチド220を含み、親和性タグ222は、第1の構築物におけるのと同様、共通領域214によりコードされる。
【0047】
他の態様において、アレイは、同じオリゴヌクレオチド領域を、基材に関して異なる関係性で有する個別の構築物を含んでもよい。図3において、構築物は図1のBおよびDの構築物と同じ構成要素を有し、構築物の1セットは図1のBの構成におけるアレイ上の少なくとも1つの構築物を有しており、構築物の第2のセットは図1のDの構成におけるアレイ上の少なくとも1つの構築物を有している。第1セットの構築物は、非翻訳領域310、第1の目的のペプチドをコードする領域312、および親和性タグおよび終止コドン
をコードする領域314を含むオリゴヌクレオチド部分302を含み、後者の領域314は、基材面上に取り付けられている。第2セットの構築物は、非翻訳領域310、第1の目的のペプチドをコードする領域312、および親和性タグおよび終止コドンをコードする領域314を含むオリゴヌクレオチド部分304を含むが、この構成では、最初の領域310が、基材面上に取り付けられている。両セットのオリゴヌクレオチドは、直接基材面に結合されてもよく、任意選択によりリンカー306を使用してアレイに取り付けられてもよく、オリゴヌクレオチドは3’または5’末端のいずれかで面に取り付けられてもよい。基材に対して遠位にあるオリゴヌクレオチドの部分は、鋳型オリゴヌクレオチドから生成されたペプチドを、インビトロの転写および翻訳後に構築物に結合可能とするペプチド結合成分316を含む。
【0048】
本発明の他の態様において、異なる親和性タグに融合され、オリゴヌクレオチド上の異なる捕獲剤に結合されている同一の目的のペプチドを含む2つ以上の構築物をアレイ上に有することが望ましい。これを図4において図示する。ここで、図示されたアレイは、同一の目的のペプチドをコードするオリゴヌクレオチドを含む個別の構築物を含むが、各ペプチドは、オリゴヌクレオチド上の2つの異なる捕獲剤に結合している。オリゴヌクレオチド402および452の第1のセットは、同一の非翻訳領域410および第1の目的のペプチド420をコードする領域412を含むが、それらは異なる親和性タグをコードする異なる領域414および444に連結される。これらの2つの構築物から生成されたペプチドは同一の目的のペプチドを含むが、2つの異なる捕獲剤416および446を使用して捕獲される、2つの異なる親和性タグに融合される。同様にオリゴヌクレオチド404および454の第2のセットは、同一の非翻訳領域410および第2の目的のペプチド440をコードする領域442を含むが、これらは異なる親和性タグ422、432をコードする異なる領域414および444に連結される。
【0049】
ペプチドアレイ製作のプロセスのための一般的な方法
本発明のアレイは、数多くの技術のうちのいずれかを使用して、最初のオーダーメードのオリゴヌクレオチドアレイを使用して製作できる。アレイは平坦な面、または集合してアレイを形成する連続した別々の面、例えばビーズ上で製作することができる。複合オリゴペプチドアレイはいかなる一本鎖または二本鎖のオリゴヌクレオチドアレイを使用しても製作できる。
【0050】
そのようなオリゴヌクレオチドアレイの製作に適切な方法は、例えば、Chenchik et al.への2009年7月に発行された米国特許第7,556,919号明細書;Sampson et al.への2007年11月に発行された米国特許第7,291,471号明細書;Boyce−Jacino et al.への2001年9月に発行された米国特許第6,294,336号明細書;Pirrung et al.への2001年9月に発行された米国特許第6,291,183号明細書;Sabanayagam et al.への2001年9月に発行された米国特許第6,284,497号明細書;Pirrung et al.への2001年7月に発行された米国特許第6,261,776号明細書;Dellinger et al.への2001年4月に発行された米国特許第6,222,030号明細書;Daleへの2000年7月に発行された米国特許第6,087,112号明細書;SchlieferおよびMayへの200年6月に発行された第6,077,674号明細書;Sundberg et al.への1999年7月に発行された米国特許第5,919,523号明細書;Chee et
al.への1999年1月に発行された米国特許第5,861,242号明細書;Lipshutz et alへの1999年1月に発行された米国特許第5,856,174号明細書;Chee et al.への1998年11月に発行された米国特許第5,837,832号明細書;Lockhart et alへの19989年6月に発行された米国特許第5,770722号明細書;Rosch et alへの1998年5月
に発行された米国特許第5,750,669号明細書;McGallへの1998年12月に発行された米国特許第5,843,655号明細書;Southernへの1997年12月に発行された米国特許第5,700,637号明細書;Dehlingerへの1998年3月に発行された米国特許第5,723,320号明細書;Drmanac et al.への1997年12月に発行された米国特許第5,695,940号明細書;1997年5月、Stern et al.に発行された米国特許第5,631,724号明細書;1996年9月、Lockhart et al.に発行された米国特許第5,556,752号明細書;1996年7月、Drmanac et alに発行された米国特許第5,525,464号明細書;1996年2月、Drmanac et alに発行された米国特許第5,492,806号明細書;1995年8月、Fodor et al.に発行された米国特許第5,445,934号明細書;および1995年7月に発行された米国特許第5,436,327号明細書において見出すことができる。
【0051】
これら、またはこのような他のアレイ技術を使用すると、多数の鋳型オリゴヌクレオチドが、アレイ上で平行して合成できる。目的のペプチド(または目的のペプチドをコードする配列に相補的な配列)をコードすることに加えて、一本鎖のオリゴヌクレオチドは、非翻訳領域またはユニバーサルな非翻訳領域に相補的な領域に対応するユニバーサルなプライマー配列を含む。さらに、オリゴヌクレオチドは、翻訳後のペプチドの捕獲のための領域に結合している。
【0052】
オリゴヌクレオチドを、これらの要素の各々を有するよう合成でき、または、オリゴヌクレオチドを、基材面に結合した最初のオリゴヌクレオチドに様々な要素を追加することにより、基材上で構築できる。例えば、1実施例において、アレイの構築に使用されるオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの一端に親和性タグおよび終止コドンをコードする領域を、オリゴヌクレオチドの他端に長いユニバーサルな非翻訳領域を取り付けるためのプライマー領域を含む。一本鎖のオリゴヌクレオチドがアレイの構築に使用される場合、一本鎖のオリゴヌクレオチドはさらに一本鎖のオリゴヌクレオチドに相補的な鎖を合成するために使用されるプライマーに相補的な領域を含み、一本鎖のオリゴヌクレオチドを、インビトロの転写および翻訳反応で使用される二本鎖の鋳型オリゴヌクレオチドへ伸張させる。
【0053】
好ましい態様において、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの5’末端に非翻訳領域を取り付けるプライマー、およびオリゴヌクレオチドの3’末端に親和性タグをコードする配列を含むであろう。あるいは、基材に結合された一本鎖のオリゴヌクレオチドは逆の相補配列を含んでもよく、最初のオリゴヌクレオチドに相補的な鎖が転写されるであろう。後者の場合、非翻訳領域および親和性タグに相補的な配列を含む一本鎖のオリゴヌクレオチドが、基材に最初に結合される。
【0054】
欠失があるペプチド断片またはペプチドが選択されるであろうことは、本発明のアレイ上の構築物の特徴である。というのも、欠失または挿入(例えばオリゴヌクレオチド合成の副生成物または転写での誤りによる)を含む鋳型から発現された融合ペプチドは、翻訳中にフレームシフトし、親和性タグの正しい配列を提示しないため、通常アレイ上で捕獲されないためである。
【0055】
非翻訳領域は、5’末端で転写プロモーター領域を含むことが好ましく、アレイのペプチドを生成するための転写および翻訳イベントの開始に使用されるリボソーム結合部位(RBS)が続く。非翻訳配列を最初に合成されたオリゴヌクレオチドに含めることができ、または、様々な技術を使用して、鋳型オリゴヌクレオチドに取り付けられる。1実施例において、オリゴヌクレオチドの5’プライマー領域は制限エンドヌクレアーゼ部位を含んでもよく、また、ユニバーサルな非翻訳領域は消化およびライゲーションによりオリゴ
ヌクレオチドに5’に付加できる。別の実施例において、5’プライマー領域およびユニバーサルな非翻訳領域の両方に相補的なプライマーは、2つの分子のスプリントライゲーションに使用できる。
【0056】
図5は、一本鎖のオリゴヌクレオチドアレイを使用した、本発明のアレイの作製の一般的なスキームを図示する。この方法は、面508上に、任意選択によりリンカー配列506によって取り付けられ配置されたオリゴヌクレオチド500から始まる。オリゴヌクレオチド500はそれぞれ、親和性タグおよび終止コドンをコードし、オリゴヌクレオチドのプライマー伸長に使用されるプライマーに選択的にハイブリダイズする配列を含む第1の領域514、ペプチドをコードする、またはペプチドをコードする領域に相補的なコード領域512、およびユニバーサルな非翻訳領域518の取り付けのための第2のプライマー領域510および/またはコードされたペプチドのための捕獲剤516を含む。この捕獲剤516は、親和性タグに相互作用し結合する化学結合基であってもよい。
【0057】
プライマー領域514からの一本鎖の分子の伸張、およびステップ511における非翻訳領域の取り付けにより、構築物上で基材508に対して遠位に配置された捕獲剤516を含む二本鎖の鋳型502が生成される。この実施例において、コード領域512は目的のペプチドをコードし、捕獲剤516に結合する親和性タグのためのコード領域および終止コドンを含むプライマー伸長領域514。インビトロの転写および翻訳により、目的のペプチド520および親和性領域522の両方を含む融合ペプチド550が生成する。親和性領域522はペプチド合成後に捕獲剤516に結合する。
【0058】
本発明のある態様において、DNAは二本鎖の分子として生成される。この分子に捕獲剤を付加するため、オリゴdAと結合した捕獲領域がハイブリダイズできる一本鎖のオリゴdT領域を、末端転移酵素で末端に付加できる。
【0059】
図6は、一本鎖のオリゴヌクレオチドアレイおよび捕獲剤を使用する、本発明のアレイの作製のための別の一般的なスキームを図示する。この方法は、面608上に、任意選択によりリンカー配列606によって取り付けられ配置されたオリゴヌクレオチド600から始まる。オリゴヌクレオチド600はそれぞれ、親和性タグおよび終止コドンをコードし、オリゴヌクレオチドのプライマー伸長に使用されるプライマーに選択的にハイブリダイズする配列を含む第1の領域614、ペプチドをコードする、またはペプチドをコードする領域に相補的なコード領域612、およびユニバーサルな非翻訳領域618を取り付けるための第2のプライマー領域610および/または領域614によりコードされた親和性タグに特異的に結合する捕獲剤を含む捕獲剤616を含む。プライマー領域614からの一本鎖の分子の伸張、およびステップ611における非翻訳領域の取り付けにより、構築物上で基材608に対して遠位に配置された捕獲剤を含む二本鎖の鋳型602が生成される。この実施例において、コードされた領域612は目的のペプチドをコードし、また、プライマー伸長領域614は、捕獲剤616に結合する親和性タグおよび終止コドンをコードする。インビトロの転写および翻訳により、目的のペプチド620および親和性領域622の両方を含む融合ペプチド650が生成され、親和性領域622は、ペプチド合成後、ペプチド結合成分616に結合する。
【0060】
ある作製方法において、オリゴヌクレオチドは異なる面、例えば溶液内にあるビーズにつながれている。図7は、別々の面、例えばビーズへのオリゴヌクレオチドの取り付けを使用して本発明のアレイを構築するためのより詳細な方法を図示する。アレイは捕獲剤の導入のための領域710、目的のポリペプチドをコードする領域712および、終止コドンが後続する親和性タグをコードする領域714を含む鋳型オリゴヌクレオチド700を使用して構築される。領域714は、さらに一本鎖のオリゴヌクレオチドのプライマー伸長のためのプライマー部位を含み、任意選択によりリンカー分子708によってビーズ7
18の表面に取り付けてもよい。
【0061】
ビーズ718上のオリゴヌクレオチド700は、オリゴヌクレオチド伸張部の付加が可能となるよう、リン酸化体で提供される、またはステップ711でリン酸エステル化される。その後、オリゴヌクレオチド伸張部702は、ステップ713で、オリゴヌクレオチド800およびオリゴヌクレオチド伸張部802の両方に選択的に結合するライゲーションオリゴヌクレオチド840を使用した、スプリントライゲーション技術によって鋳型オリゴヌクレオチド700へライゲートされる。オリゴヌクレオチド伸張部702は、スプリントライゲーションで使用される、非翻訳領域およびプライマー領域を含む領域704;任意選択によりリンカー分子738;および捕獲グループ716の取り付けのためのオリゴヌクレオチド領域736を含む。アレイの作製の次のステップは、捕獲剤716およびプライマー伸長のためのプライマー724を付加する結合ステップ715である。オリゴヌクレオチド伸張部702の領域736に相補的なオリゴヌクレオチド742に結合した捕獲剤716、およびプライマー伸長のためのプライマーとして使用されるオリゴヌクレオチド724はその後、ビーズ上のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズする。
【0062】
目的のペプチドおよび親和性タグをコードする一本鎖のオリゴヌクレオチドを、インビトロの転写および翻訳で使用する二本鎖の鋳型に変換するため、プライマー伸長ステップ717を実行した。インビトロの転写および翻訳はこの二本鎖の鋳型からステップ719で実行され、目的のペプチド720および親和性タグ722を含む融合ペプチド750が生成される。生成した融合ペプチド750は、翻訳後に鋳型オリゴヌクレオチド領域から拡散するため、捕獲剤716により捕獲される。
【0063】
ビーズ上で直接合成される構築物は、例えばビーズ等の別々の面の集合上の構築物のアレイとして合成され使用されてもよく、または面上のオリゴヌクレオチド−ペプチド融合物の合成の前、または後に平坦な面に配置されてもよい。ビーズが配置される前に合成が実行される場合、通常、隣接する構築物とペプチドとの相互作用を阻止するための方法が取られ。例えば、転写および翻訳はプレートの異なるウェルにおいて分離された異なる配列を有する各ビーズタイプで実行され、1つの構築物を含むビーズセットのペプチドが異なるビーズセットにより捕獲されないことが保証される。これらの面、例えば、ビーズは、例えば、米国特許第7,060,431号明細書は2006年6月、Chee et al.に記載された技術を用いて単離し配置することができる。
【0064】
図8は、平坦なアレイへのオリゴヌクレオチドの取り付けを使用した、本発明のアレイを構築するためのより詳細で、好ましい方法を図示する。アレイは、捕獲剤の導入のための領域810、目的のポリペプチドをコードする領域812および、終止コドンが後続する親和性タグをコードする領域814を含む鋳型オリゴヌクレオチド800を使用して構築される。領域814は、さらに一本鎖のオリゴヌクレオチドのプライマー伸長のためのプライマー部位を含み、任意選択によりリンカー分子806によって基材804の表面に取り付けてもよい。
【0065】
平坦なアレイ804上のオリゴヌクレオチド800は、オリゴヌクレオチド伸張部が付加できるよう、ステップ811でリン酸エステル化される。その後、オリゴヌクレオチド伸張部802は、ステップ813において、オリゴヌクレオチド800およびオリゴヌクレオチド伸張部802の両方に選択的に結合するライゲーションオリゴヌクレオチド840を使用する、スプリントライゲーション技術によって鋳型オリゴヌクレオチド800へライゲートされる。オリゴヌクレオチド伸張部802は、スプリントライゲーションで使用される非翻訳領域、およびプライマー領域を含む領域804;任意選択によりリンカー分子838;および捕獲基816を取り付けるためのオリゴヌクレオチド領域836を含む。アレイの作製の次のステップは、捕獲剤816およびプライマー伸長のためのプライ
マー824を付加する結合ステップ815である。オリゴヌクレオチド伸張部802の領域836に相補的なオリゴヌクレオチド842に結合した捕獲剤816、およびプライマー824は、スライド上のオリゴヌクレオチドに同時にまたは順次ハイブリダイズされる。
【0066】
プライマー伸長ステップ817を、目的のペプチドおよび親和性タグをコードする一本鎖のオリゴヌクレオチドをインビトロの転写および翻訳で使用される二本鎖の鋳型に変換するために実行した。ステップ819のインビトロの転写および翻訳反応により、この二本鎖の鋳型から目的のペプチド820および親和性タグ822を含む融合ペプチド850が生成される。生成された融合ペプチド850は、翻訳後、鋳型オリゴヌクレオチド領域から拡散し、平面から離れるため、捕獲剤816により捕獲される。
【0067】
別の実施例において、本発明の構築物はピュロマイシン捕獲方法を使用して生成される。図9は、平坦な面上でこのようなアレイを構築するための一般的な方法を図示するが、アレイが図7に記述したようなビーズ上で形成され得ることも予見される。この方法は、基材面908上に、オリゴヌクレオチドの3’または5’末端で、任意選択によりリンカー配列906によって取り付けられ配置された、二本鎖オリゴヌクレオチド900から始まる。オリゴヌクレオチド900はそれぞれ、目的のペプチドをコードするコード領域912および、終止コドンが後続するRNA親和性タグを含む領域914、DNAのRNAの結合領域918およびピュロマイシン916が取り付く、転写プロモーターを含む非翻訳領域910を含む。インビトロの転写ステップ911により、目的のペプチドをコードする領域926および親和性タグ924を含むmRNA分子が生成される。親和性タグ924は、オリゴヌクレオチドの領域918に選択的にハイブリダイズし構築物にmRNA分子をつなぐ。翻訳中に、リボゾームは、RNA−DNAハイブリダイズ領域に到達した時に停止するであろう。インビトロの翻訳ステップ913後、ペプチド920はピュロマイシン残基領域916により捕獲される。
【0068】
翻訳後修飾によるペプチド捕獲
特定の態様において、化学的反応種(例えばアルデヒドタグ)は構築物の構築および他の結合領域の標識要素の導入を支援するために付加されてもよい。例えばホルミルグリシン生成酵素により認識されたスルファターゼコンセンサス配列の導入により、組換えタンパク質へアルデヒド基が部位特異的に導入される。このコンセンサス配列は6〜13個のアミノ酸でありえ、「アルデヒドタグ」等の最も低分子のものはHis6タグよりも長くない。ホルミルグリシン生成酵素(FGE)によるスルファターゼモチーフにおける酵素的な修飾により、ホルミルグリシン(FGly)残基が生成され、ヒドラジンまたはオキシム標識されたオリゴ鋳型上の共有結合性の捕獲により、捕獲剤または他の目的の成分のペプチドへの部位特異的な取り付けが可能となる。さらに、この修飾は可逆性であるので、組み換えのペプチドへのこのタグの導入は、アルデヒド標識されたタンパク質を複数の抗原決定基で可逆的に修飾できる。本発明で使用されるアルデヒドタグの例は、例えば米国特許出願公開第2008/0187956号明細書;T. Dierks and M.−A. Frese,ChemBioChem 10,425−427(2009);JS Rush and CR Bertozzi J. Am. Chem. Soc. 9 Vol. 130:37,(2008);J Landgrebe et al.,Gene 316 47−56(2003);I Carrico,Nat. Chem. Biology 3:6(2007);Carlson et al.,J Biol Chem. 2008 Jul 18;283(29):20117−25;およびWu et al.,Proc Natl Acad Sci U S A. 2009 Mar 3;106(9):3000−5;に記載されており、これら各々を、ペプチド修飾において有益なタグ、およびその使用を教示するために、その内容全体を本明細書に参照して組み込む。
【0069】
より具体的なアプローチにおいて、共有結合的に連結したペプチドアレイの生成を図10に示す。このアプローチは、図1に概説した、より一般的なスキームを実施するための代表的な方法であるが、共有結合を使用している。これは、ホルミルグリシン生成酵素(FGE)により認識される6−merペプチドコンセンサス配列(LCTPSP、アルデヒドタグとして命名)を使用した、組換えタンパク質へのアルデヒド基の部位特異的な導入のための方法を利用する。ホルミルグリシン生成酵素(FGE)は、システイン残基を酸化しホルミルグリシンを生成することが最近報告されている。この態様において、アルデヒドタグは、ペプチドアレイ生成の間にインビトロの転写/翻訳過程へFGEを付加するためにある。ペプチドはC末端のアルデヒドタグ、およびアレイ面上の鋳型DNAへ組み込んだ活性基と反応するホルミルグリシン残基に変換されたタグ内のシステイン残基とで作ることができる。これにより、鋳型DNAに共有結合で取り付けられている、ペプチドのアレイが作製される。
【0070】
この態様を、図10と図11により詳細に図示する。鋳型オリゴヌクレオチドは目的のペプチド配列1006、およびアルデヒド親和性タグ(LCTPSP)および終止コドンを含む領域1004をコードする。T7プロモーターおよびリボソーム結合部位(RBS)を有する非翻訳領域(UTR)を含むユニバーサルな配列1010は、遠位のタグ1018によって鋳型に付加され1001、鋳型を伸長して、捕獲基1014を含む二本鎖核酸1002を生成するために使用される。捕獲基1014は基材1008に結合した鎖の1006にコードされる目的のペプチド1016のためにある。反応基1022は、任意選択によりリンカー分子1012上で、二本鎖の鋳型オリゴヌクレオチド1002の一方の鎖に結合している。一旦、目的のペプチド配列1016およびアルデヒドタグ1020を含むペプチドが生成されれば1003、これは、目的のペプチドおよび捕獲基1014の相互作用により捕獲される。アルデヒドタグ1020はアルデヒド基1024に変換され1005、これが反応基1022と相互作用する。基材1008に結合されていない核酸の鎖の分離に際し1007、目的のペプチド1016をコードする一本鎖のオリゴヌクレオチドは、反応基およびアルデヒド基によってペプチド1016と結合され続ける。必要に応じて、捕獲剤1014を除去できる。
【0071】
図11において、目的の配列1116を有するペプチドは、FGE酵素の存在下、インビトロの転写/翻訳によって作られる。図11に詳細に図示したように、目的のペプチド1116に融合したアルデヒドタグ1120は、1116のヒドラジンまたはアミノオキシ酢酸残基とFGEとの相互作用によって生成でき、ペプチドに組み込んだLCTPSR領域をアルデヒド基1124へ変換する1101。このアルデヒド基は、反応基1122と相互作用し、目的のペプチド1106をコードするオリゴヌクレオチド、ユニバーサル配列、およびアルデヒドタグ1104をコードする配列へ目的のペプチド1116を結合するために使用される。
【0072】
配列決定フローセルを使用するアッセイシステム
特定の態様において、ペプチドアレイの作製に使用されるコード配列は、フローセル、例えば配列決定技術に使用されるフローセルの面上で提供される。コード配列は、フローセルの面上にランダムに配置できる。アレイの構築物は、オリゴ鋳型の合成の間に規定された位置で、塩基をランダム化することにより、より長い鋳型を形成するためにより短いオリゴを組み合わせることにより、またはゲノムDNAまたはcDNAライブラリーから配列のライブラリーを導き出すことにより、生成できる。一旦配列がフローセルの面上に置かれれば、各配列の同一性は、係留タンパク質の生成およびスクリーニングアッセイでこれを使用する前に、または後に決定できる。
【0073】
コード配列は、面上でのペプチドアレイの作製前に、クローン的に増幅したDNA分子
の「クラスター」を形成する各配列と一緒に、インシツで、任意にクローン的に増幅できる。この特定の態様において、非常に高い充填密度を達成でき、例えば、数億のクラスターをフローセル面に配置できる。何百万もの鋳型DNAを配置し、それらの配列を決定する能力により、大規模なコンビナトリアルタンパク質ライブラリーを非常に効率的で安価に作製する可能性が広がる。
【0074】
配列決定フローセルをアレイ基材に使用する一般的なスキームを、図12に示す。目的の配列1212、リンカー領域1204およびプライマー結合領域1214を含むオリゴヌクレオチド1202は、フローセル面1208上で構築される。面上の他のリンカー領域1206は、鋳型オリゴヌクレオチドのインシツ増幅のために任意選択により存在する。これらの構築物の配列決定後、オリゴヌクレオチド−抗体複合物1216はクラスターDNA配列の3’末端にアニールされる1201。DNA配列はすべてペプチドまたはタンパク質をコードし、効率的な転写を可能にするT7プロモーター(または同等物)、および効率的な翻訳に必要とされる非翻訳領域(UTR)を有する。複合物1216のオリゴヌクレオチド部分はDNAポリメラーゼで伸長され1203、取り付けられたオリゴヌクレオチド1202に相補的なオリゴヌクレオチド1222を生成する。一体化した転写/翻訳反応(TNT)1205により、クラスターDNA1202によりコードされたペプチドまたはタンパク質1220の生成および自身の鋳型への取り付けが導かれる。ペプチドはすべて、抗体を捕獲するために使用されるC末端の親和性タグを所有している(示さず)。捕獲分子と親和性タグの他の組み合わせを使用できる。そのような結合対の例には、ストレプトアビジンとビオチン、Ni−NTAとHis6タグ、または2つの化学的反応基(アルデヒドタグとヒドラジン残基)があるが、これらに限定されない。
【0075】
さらに、この方法は、単一分子のインビトロのクローニングを可能とする他のフォーマットに適用可能である。例えば、面上でのPCRを使用したフローセル面上の捕獲および増幅の代わりに、鋳型分子をビーズ上で捕獲し、エマルジョンPCRにより増幅できる。このプロセスは次世代のある配列決定技術のためのクローン鋳型を生成するために使用される。個々の鋳型が増幅されることが好ましいが、ある態様において、単一分子の配列は、クローン増幅の使用なしで決定できる。
【0076】
任意選択により、フローセルの面には、鋳型オリゴヌクレオチドのインシツ増幅目的のため、面上に他のリンカー領域を含んでもよい。これらの構築物は、ペプチド核酸ハイブリッドの構築前に、ならびに構築後に、および/または使用(示さず)後のいずれかで配列決定される。前者の場合、構築物はこれらのペプチド核酸構築物の生成前に配列決定され、オリゴヌクレオチド−抗体複合物は、面上のクラスターDNA配列の3’末端にアニールされる。あるいは、配列はアッセイフォーマットでの特定の配列の構築および/または同定後に決定できる。
【0077】
抗体は、フローセルの面上に付加され、プライマー部分に結合し、DNA−抗体複合体が伸長DNAのみにハイブリダイズするため、フローセル上のDNAクラスターだけを指向する。あるいは、面上のオリゴヌクレオチドに相補的なオリゴヌクレオチドに結合した抗体を、フローセル面に導入できる。この態様において、DNA−抗体複合体は、フローセルの面上に均一に分布したオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイズするため、抗体はフローセルの全表面に付加される。その後、ペプチドアレイは本明細書に記載の方法のうちの1つを使用して、これらの鋳型DNAから形成される。
【0078】
Illumina(商標)Genome Analyzer(商標)技術により提供されるような配列決定技術は、シーケンスリードの「ペアエンド」対を生成するために、鋳型DNAを両端部から配列決定できる。Illuminaの技術の場合には、a)1本の鎖の配列決定により対の1端の配列を得て;その後、b)逆の相補体鎖の配列決定により
対のもう1端の配列を得ることが含まれる。プロセスは配列決定のために適切な鎖を生成し連続して存在させるために実行される。したがって、アレイは第2の(すなわち逆の相補)鎖を使用して、単に、捕獲剤(すなわちこれらの例においては、抗体)に結合する適切な配列を選ぶことにより、構築することもできる。
【0079】
本発明のアレイは、鋳型オリゴヌクレオチドの長さ、したがってインビトロの転写および翻訳を通じて生成されるペプチドを長くするために複数のライゲーションイベントを利用できる。これは、制限酵素の消化およびライゲーション、または好ましくは、アレイに結合したオリゴヌクレオチド、およびアレイに付加されるオリゴヌクレオチドの両方に相補的なプライマーでのスプリントライゲーションを使用して行うことができる。例えば、非翻訳領域を含むオリゴヌクレオチドを付加するために記述したようなスプリントライゲーションを使用して、アレイ上の構築物のすべてまたはサブセットに、ある領域を付加できる。別の実施例において、2つ以上の異なる配列を有するオリゴヌクレオチドのプールを、対応する相補的配列を有するスプリントライゲーションプライマーと共に使用でき、基材に結合したオリゴヌクレオチドに複数の異なる可変オリゴヌクレオチドを付加できる。定常および可変領域の両方を含む付加領域を有する構築物を生成するために、任意選択によりこれらのアプローチを組み合わせることもできる。
【0080】
これらの技術は、より長いタンパク質を調査するアレイの生成には特に有益となり得る。例えば、多数のタンパク質には、ドメイン内のC末端またはN末端でわずかに変化している様々な代替のスプライスアイソフォームがあり、本発明のアレイは、基材面上で直接合成したこれらタンパク質の可変部、およびライゲーションによってこれらのオリゴヌクレオチドに付加した共通ドメインを有することができる。特定の実施例において、少なくとも27の代替スプライス神経系接着分子(NCAM)mRNAが生成され、NCAMの主要なアイソフォーム3つは、それらの細胞質ドメインにおいてわずかに変化している。本発明のアレイ上でより長い鋳型オリゴヌクレオチドを生成する能力により、様々な形態のタンパク質の活性およびタンパク質相互作用の解明を進めるためのツールが提供され、制御についての深い理解が、例えば治療学上の開発に関して与えられる。ある定常ドメイン、例えば、N末端、C末端および活性結合部位、酵素的な活性領域等を有する構築された領域の、このような使用は多数、本発明のアレイで予見される。これは、本開示を読んで当業者に明白となるであろう。
【0081】
これらの構築物の安定した性質により、あるアッセイシステムにおいて、アレイも、2回以上利用できる。親和性タグ−捕獲剤相互作用によるオリゴヌクレオチドへのペプチドの結合は、最もよく見られる一時的なタンパク質間相互作用で見られる結合よりもかなり堅固な結合であり、したがって、アレイを調査するために使用される多数のタンパク質および化合物を効果的に除去できるため、他の調査にアレイを使用できる。さらに、アレイは、構築物上のハイブリダイズされた部分を全て除去することで再生成できるため、ペプチドアレイの構築に使用された最初のアレイを効果的に再生できる。一本鎖のオリゴヌクレオチドは再び二本鎖のオリゴヌクレオチドに変換でき、本発明のアレイを含むペプチドを再生成するために使用される本発明の方法の残りのステップ。
【0082】
プライマー伸長
様々な態様において、最初のオリゴヌクレオチドは、基材面上で合成され、例えばプライマー伸長により二本鎖の分子に変換される、一本鎖のオリゴヌクレオチドである。プライマー伸長は、一本鎖の鋳型オリゴヌクレオチド上のプライマー結合領域へのプライマーのハイブリダイゼーションにより開始でき、伸張後に、非翻訳領域、ペプチドコード領域、および親和性タグをコードする領域を含む二本鎖の鋳型が生成される。プライマー結合領域は親和性タグ配列および終止コドンの3’側に位置させてもよいが、プライマー結合領域は親和性タグ配列および/または終止コドン配列を組み込むことが好ましい。
【0083】
プライマー伸長プロセスは典型的には鋳型オリゴヌクレオチドに相補的な1つまたは複数のプライマーを利用し、ポリメラーゼおよび遊離のdNTPの存在下、逆鎖の合成を行う。そのような態様において、典型的には、鋳型オリゴヌクレオチド領域の伸張後にDNA分子へ導入されたポリメラーゼ停止機構がある。この機構には、ポリメラーゼが使用できないヌクレオチド類似体であるポリエチレングリコール(PEG)等の合成リンカーを含んでいてもよい。二本鎖のプライマー領域の鋳型領域の上流に(例えばニッカーゼまたはウラシルの分解により)導入されたニック等の合成リンカーを含んでいてもよい。複数のプライマー/親和性タグコード領域を、単一の構築物において使用してもよく、これによりアレイの構築において単一のオリゴヌクレオチドを様々な親和性タグ−捕獲剤結合対と共に使用することが可能となる。構築物はさらに、捕獲剤の選択的なライゲーションを支援するために、基材面から遠位にこのような配列を有してもよい。
【0084】
本発明で使用される基材
典型的には、本発明の基材は、単一分子のランダムアレイを低容量のハイブリダイゼーション反応により分析する場合は特に、非多孔性である。適切な基材は、ガラス、ポリアクリルアミド被膜ガラス、セラミクス、シリカ、シリコン、石英、各種プラスチック等の物質からできている基材を含む。一態様において、基材はビーズである。別の態様において、基材は平坦な面である。従来の用途に対して、典型的には、平坦な面は、0.02〜20cm2までの範囲であり、またはこれよりも大きい。基材のサイズの範囲は、使用される検出方法および、面上の異なる構築物および/または構築物の領域の分解能(例えば、蛍光マーカーの場合には、光学的分解能)に基づく。検出方法は改善され続けているため、基材のサイズを大きくしてもよく、および/または、基材上の構築物の密度を増加させてもよい。
【0085】
本発明の基材のフォーマットは、実質上平坦な面と同様、基材面に、例えばくぼみ、ウェル、台座等の様々な形を導入した基材も含んでいる。そのような基材は、硬質の、または半硬質の面の面を有する物質または物質群で通常構成される。ある態様において、例えばウェル、高くした領域、台座、エッチング穴等を有するアレイ上の領域を物理的に分離することが望ましい。このような基材は、例えば、多重コーティング技術または当技術分野でよく知られる他の技術を使用することにより、作製できる。パターン形成した(pattered)アレイを作製する技術の例には、熱および/または電子ビーム蒸着、複製、転写または成膜;CVDタイプのプロセス(LPCVD、PECVD等);スパッタリング、例えばDCマグネトロンスパッタリング等のPVDタイプのプロセス;イオンアシスト蒸着プロセス、ならびにゾルゲルプロセスがある。基材の層は、結合または分子付着により基礎上に任意に移行する。
【0086】
本発明の異なる態様において、リンカーを、面にアレイ構築物を取り付けるために使用してもよい。様々なタイプのリンカーを使用でき、リンカーは通常、構築物のタイプ(アミノ酸、核酸等)、リンカーの所望の性質(長さ、適応性)、および他の同様の特性に基づいて選択されるであろう。そのようなリンカーにはヌクレオチド、ポリペプチドまたは適切な合成材料を含み得る。リンカー構造は、生体適合性の高分子材料(例えばポリエチレングリコール)で構成される炭化水素ベースのポリマーであることが好ましい。また、リンカーの選択は、捕獲剤が構築物のリンカー部分で構築物に結合しているか否かにも依存する。
【0087】
ある態様において、面に固定した構築物は、基材から特定の構築物を分離可能とする、基材に直接取り付けられた切断可能なリンカーを含む。態様のいくつかにおいて、切断可能なリンカーは同じであるか、または面に固定した構築物のすべてにとって同一のものである。他の態様において、面上の構築物のあるサブセットは同一の切断可能なリンカーを
有し、この切断可能なリンカーは、同じ基材面上の他のサブセットで使用されている切断可能なリンカーとは異なっている。これにより、ある構築物は基材から分離されるが、他の構築物は分離できない。
【0088】
ある態様において、ミクロ流体のガスケットシステムを基材面上で使用して、ペプチドアレイ上の各機構を効果的に分離させ、アレイの合成およびアレイを使用した分析の間に、拡散を制御できる。これにより、アレイの1つまたは複数の部分において、反応条件のより優れた制御が可能となる。例えば、密閉システムにより拡散が制限されるため、インビトロの転写および翻訳をより長期間実行することができる。さらに、一旦ペプチドが捕獲されると、洗浄および/または試薬交換ステップが実行され、ペプチドの共有結合のように、新しい反応を起こせる。最終的には、ガスケットにより提供される密閉システムにより、第2面上でペプチドを捕獲できる。このように、複数のペプチドアレイは、He M Nat. Methods 5:175−177(2008)において必要とされているような、膜による拡散の必要がない、原始的な鋳型DNAアレイから生成できる。
【0089】
ペプチド捕獲用結合対
多数の結合対を、本発明のアレイにおいて使用される親和性タグおよび捕獲剤を設計するために使用できる。結合対には、ストレプトアビジン、およびStrepTag(Schmidt et al,1996;Schmidt & Skerra,1994;Skerra & Schmidt,2000)、StrepTag II(Schmidt & Skerra,2007;Voss & Skerra,1997)および、HPQモチーフ(Giebel et al,1995;Helms et al,2007)等の短いストレプトアビジン結合ペプチド;オリゴヒスチジンペプチドタグおよびHis6結合グループ(Crowe et al,1994;Smith et al,1988);FLAGペプチドタグおよびHis6ペプチド基;ビオチンおよびストレプトアビジン、ビオチンおよびアビジン、および抗体抗原対、等があるが、これらに限定されない。
【0090】
ペプチド結合対の相互作用の強度は、所与の結合部位に対する、または、結合対の一方のメンバーの抗原決定基に対する、結合対の他方の「結合親和性」により特徴づけられる。例えば、免疫学の分野において、抗体は、所与の結合部位または抗原決定基に対する抗体の「結合親和性」により特徴づけられる。抗体はすべてアミノ酸の特別な3次元構造から成り、エピトープまたは抗原と呼ばれる別の構造に結合する。
【0091】
結合相手の組成物への選択的な結合は、単一の二分子による可逆反応であり、抗体の抗原への結合とは異なる。例えば、抗体をAbで、抗原をAgで表す場合、標準的な速度論によりこの反応を分析できる。単一の結合部位を想定すると、反応は以下のように等式Iにより表される:
【0092】
【数1】
式中Ag−Abは結合した複合体である。速度定数k1およびk2は正結合反応と逆結合反応をそれぞれ表す。抗原に対する抗体の「結合親和力」は、平衡状態での遊離の反応体と生成物との比により測定する。平衡状態における反応体の濃度が低いほど、抗原に対する抗体の結合親和力は高い。免疫学の分野では、結合親和力は「結合定数」によって表され、シンボル「K」で表され、「Ka」と呼ばれることもある。「K」を等式IIにより以下のように定義する:
【0093】
【数2】
式中角括弧は、モル毎リットル、リットル毎モルの濃度を意味する。
【0094】
結合親和力Kaの典型的な値は「K」とも呼ばれ、典型的な抗体の「結合定数」であるが、これは約105〜1011リットル毎モルの範囲にある。Kaは、抗原を含む溶液中にある抗体の結合部位の半分と結合するために必要とされる遊離の抗原の濃度である。リットル毎モルで測定したKa、つまり結合定数が高い場合(例えば1011)、溶媒が多く、遊離の抗原が非常に低濃度であることを意味し、したがって抗体が抗原決定基に対して高い結合親和力を所有していることが示される。
【0095】
リットル毎モルで測定したKaが低い場合(例えば10−11)、抗体結合部位の半分と結合する必要がある遊離の抗原の濃縮溶液が少なく、したがって高い結合親和力を示す。
【0096】
Kaを測定するために平衡状態を達成する。より具体的には、Kaは、抗原に結合した抗体[Ag−Ab]の濃度が、抗体[Ab]の濃度と等しい時に測定する。したがって、[Ag−Ab]を[Ab]で割ると、1に等しくなる。
【0097】
よって、上記の等式IIは以下のように等式IIIに分解できる:
【0098】
【数3】
等式IIIにおいて、Kの単位はリットル毎モルである。リットル毎モルの典型的な値は、約105から約1011リットル毎モルの範囲である。
【0099】
上記の等式の逆数はK=[Ag]であり、Kの単位はモル毎リットルであり、典型的な値は、10−6から約10−12リットルの範囲である。上記は、典型的な結合親和性が6桁超える範囲で変動することを示す。したがって、有益と考えられる抗体は、有益と考えられる別の抗体の結合親和力と比較して、100,000倍超の結合親和力を有している可能性がある。
【0100】
アレイ上の個々の構築物の分析性
アレイ構築のための複数の方法を、様々な調査技術を有するアッセイにおいて使用する場合、構築物がアレイ上に超高密度で存在する場合であっても、アレイ上の個別の構築物が分析可能であることを保証するために使用できる。個別の構築物から生成したペプチドが、ある程度の量で拡散するため、アレイ上の構築物の様々な構成を、この拡散により特定の構築物への結合を同定する能力が妨げられないよう保証するために使用でき、ある態様において、拡散は実際に有益な特徴として使用できる。
【0101】
本発明のある態様において、「空(empty)」、または構築物もしくは捕獲剤が存
在しない、アレイ上の1つまたは複数の機構を備え、ペプチドが自身の構築物から隣接の構築物へ拡散しすぎないよう余分な空間を設けることで、構築物の分析性を増強できる。インビトロの翻訳後のペプチド拡散は、比較的近距離(例えば75−225μm)では容易に制御可能であり、構築物間の空の特徴、好ましくは0〜2つの空の特徴を有することで、個別の構築物の分析可能で再生可能な同定が可能となり、したがって、目的の作用剤のアレイ上の特定のペプチドへの結合を同定できる。図13で図示したように、同一の捕獲剤を含む個別の構築物(図13のA)を有するアレイには、コード構築物1302の間に1つの空の機構1304があってもよい。より広範囲に拡散するペプチドを使用する場合、2つ以上の空の機構を構築物の間で使用できる。図13のCは、同一の捕獲剤を有するコード構築物1302の間に2つの空の機構1304があるアレイを図示する(図13のC)。これらの態様の各々において、コード構築物1302の各々は、特異的に捕獲剤に結合する同一の親和性タグをコードする。
【0102】
別の態様において、複数の捕獲剤および親和性タグを個別の構築物に使用でき、異なる捕獲剤−親和性タグ対を含む構築物は、構築物から生成されたペプチドの拡散および隣接した構築物による意図しない捕獲を阻止するための構成で、アレイ上に分散させる。例えば100%の密度でおよそ150μm以上の拡散による非特異的な信号は、図13のBで示すように、それぞれ異なる親和性タグ−捕獲剤対を有する構築物(1302、1306、1308および1310)の4セットを使用することにより防げる。別の実施例において、およそ225μm以上の拡散による非特異的な信号は、図13のDで示すように、それぞれ異なる親和性タグ−捕獲剤対を有する構築物(1302、1306、1308、1310、1312、1314、1316、1318、1320)の9セットを使用することにより防げる。たとえ、拡散が起こっても、拡散ペプチドは適合しない捕獲剤を有しているため拡散ペプチドは、隣接の機構で捕獲されないであろう。
【0103】
拡散の問題解決の一助に加えて、複数の捕獲剤−親和性タグ対を使用することにより、同一の目的のペプチドを有する複数の構築物を使用でき、これはそれぞれ、アレイ上の構築物のサブセットを標的とする捕獲剤と結合している。これにより、異なる捕獲剤−親和性タグ対を有する同一の目的のペプチドをアレイ上で提示できるようになる。例えば、ある目的のペプチドはあるペプチド親和性タグと不適合である可能性がある。異なる捕獲剤−親和性タグ対の使用により、このような対2つ以上と目的のペプチドとの結合が可能となり、たった1つではなく2つの異なる親和性タグを有するペプチドを提示することで、そのような作用を軽減するであろう。
【0104】
他の態様において、ペプチドの周囲の構築物への拡散は、アレイ上の陽性結果を測定する際に利点として使用できる。同一の捕獲剤を有する構築物間の少量のペプチド拡散は、特定の構築物で陽性結果を確認するために、実際に使用できる。なぜなら、周囲の構築物への少量の拡散が、結合の「ハロー」効果を生みだし、作用剤が選択的に結合する構築物を取り囲む構築物において、弱いが、同定可能な信号が発生する。図14は、作用剤に選択的に結合し、結合アッセイで陽性結果を示す構築物1402を有するアレイを図示する。アレイにはさらに信号のない多数の構築物1404、および偽陽性として誤って検出される他のある構築物を有する。構築物1402から周囲の構築物1406へのペプチド拡散により、周囲の構築物1406は、真の陽性構築物1402と比較して、弱いが検出可能な結合を示す。陽性の構築物1402とその隣接構築物1406の間の結合における違いは、統計的に有意で、したがって、真の陽性1402の同定が可能である。このハロー効果は、構築物上の結合活性を、構築物1408で示すような陽性結果を示す他の潜在的な偽のソースから区別し、内部制御メカニズムとしてアッセイにおいて偽陽性の数を減少させるものとして働く。
【0105】
実施例
以下の実施例は、本発明をいかにして作成及び使用するかの完全な開示及び記載を当業者に提供するために示されるものであり、本発明者らが本発明と見なすものの範囲を制限するためのものではないし、下記の実験が実施した実験の全てや唯一のものであることを示す、または意味するためのものでない。当業者は、特定の実施形態において示したように、広く記載されている本発明の精神または範囲から逸脱せず本発明の多数のバリエーションおよび/または改変を作製し得ることを理解するだろう。したがって、本発明の実施形態は限定ではなく説明のために提示されたと考えられるべきである。
【0106】
使用された数(例えば、量、温度等)に関しては正確さを保証すべく努力がなされたが、いくつかの実験の誤差及び偏差は斟酌されるべきである。特記しない限り、部分は重量部分であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏温度であり、圧力は大気圧又は大気圧付近の圧力である。
【0107】
実施例1:鋳型オリゴヌクレオチドの設計および合成
一本鎖のオリゴヌクレオチドをアレイの構築に使用した。最初のオリゴヌクレオチドは共通領域である、3’末端のFLAGペプチド(DYKDDDDK)(配列番号1)またはそのより短いバージョンのFLAGS(DDDDK)のいずれかの親和性タグをコードする領域;HAペプチド(YPYDVPDYA)(配列番号2)またはAU1ペプチド(DTYRYIDYA)(配列番号3)のいずれかの目的のペプチドをコードする領域;およびユニバーサルな非翻訳領域の取り付けのためのプライマー領域を含む60−merであった。プライマー領域は、リボソーム結合部位(RBS)が後続する5’末端でT7プロモーター領域を含む長い非翻訳領域の付加を可能とするように設計された。
【0108】
オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの5’または3’終端のいずれかにアルデヒド基を導入するためにホルミルインドールホスホラミダイト(Glen Research,Sterling,VA)を使用して、Expedite8909DNA合成装置上で合成した。3’末端修飾の場合には、合成をdT−CPG担体で開始し、全オリゴヌクレオチドの3’末端でホルミルインドール(Formylindol)−dT残基を生じさせた。内部のCy5修飾因子ホスホラミダイト(Glen Research)を、オリゴヌクレオチドの3’末端でCy5色素を導入するために使用した。この場合、合成はdA−CPG担体で開始し、オリゴヌクレオチドの3’末端にCy5−dA残基を生じさせた。
【0109】
実施例2:ビーズ上のアレイの作製
この方法は、確立されたプロトコルを使用して、アミノ修飾されたシリカビーズ上で本発明のアレイを合成するために開発された。最初に、アミノ基を、エタノール中0.5%の3−アミノプロピルトリエトキシ(thriethoxy)シラン溶液(Aldrich)で処理することにより3μmのシリカビーズ(Bangs Labs)へ組み込んだ。次に、アミノ基を含むビーズを、アセトニトリル中0.2Mジイソプロピルエチルアミンを含む0.1Mの塩化シアヌル溶液(Aldrich)で処理し、次いでDMF中2%ヒドラジン(Aldrich)溶液で処理した。エタノール、アセトニトリルおよびDMFでの洗浄を各ステップの間にそれぞれ実施した。このプロセスにより、ビーズ面上にヒドラジントリアジン基を含むビーズが生じた。3’アルデヒド基を有するオリゴヌクレオチドは、ビーズに共有結合で取り付けられた。この反応を、1.5MのNaClを含む、100mMのNa−クエン酸緩衝液、pH5.0で室温にて一晩実施した。一晩のインキュベーション後に、ビーズを、水で3回、エタノールで2回洗浄し、エタノールに10%ビーズ含量で再懸濁し、使用するまで冷蔵した。
【0110】
ビーズに共有結合で連結されたオリゴヌクレオチドは、捕獲剤の導入のためのプライマー領域、転写開始点およびRBSを含む非翻訳領域、目的のHAまたはAU1ペプチドの
いずれかをコードする領域、および終止コドンが後続するFLAG親和性タグをコードする領域を含む。FLAG領域は、さらに一本鎖のオリゴヌクレオチドのプライマー伸長のためのプライマー部位を含む。さらに、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド伸張部のライゲーションを可能にするために5’リン酸を含む。
【0111】
調製されたシリカビーズ0.05mgを各反応において使用した。記載した様々なインキュベーション間での溶液の除去に関しては、ビーズはペレットとして、従来のベンチトップ遠心機を使用して濃縮し、ペレットを壊さないように液体を注意深く吸引した。ビーズを0.2mlのPCRチューブに入れた。1×PBST[3mMのNaH2P04,1mMのKH2P04,150mMのNaCl,0.05%のTween20(pH7.4)]50μlを付加し、ビーズを1回洗浄した。1×PBSTを除去し、KB溶液[50mM Tris−HCl,10mMのMgCl2(pH7.5)]溶液50μlを付加し、ビーズをこの緩衝液で1回洗浄した。
【0112】
非翻訳領域、スプリントライゲーションで使用される領域、PEGリンカー分子、および捕獲基を取り付けるためのT30オリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド伸張部を、基材に連結されたオリゴヌクレオチドおよび伸張プライマーの両方にハイブリダイズするスプリントプライマーを使用してビーズに連結されたオリゴヌクレオチドにライゲートした。
【0113】
H2O、37.5μl、10×T4−DNAリガーゼ緩衝液(NEB)5μl、あらかじめアニールした伸張およびスプリントオリゴヌクレオチド(10μΜ)の5μl、およびT4−DNAリガーゼ(400,000U/ml、NEB)7.5μlを含むライゲーション混合物を各チューブに付加し、回転機で室温にて30分間インキュベートした。
【0114】
ライゲーション反応後、ライゲートされたオリゴヌクレオチド伸張部およびビーズに連結された鋳型オリゴヌクレオチドからスプリントライゲーションプライマーを変性させるためにビーズを処理した。1×PBST、50μlでビーズを3回洗浄した。95%ホルムアミド水溶液50μlおよび1mMのEDTAでビーズを処理し、室温で5分インキュベートし、この処理を再度繰り返した。その後、1×PBST50μlでビーズを3回洗浄した。
【0115】
オリゴヌクレオチド伸張部の領域に相補的なオリゴヌクレオチドと結合した抗FLAG抗体捕獲剤、およびプライマー伸長のためのプライマーとして使用するオリゴヌクレオチドを、その後、ビーズ上のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズさせた。1×Hyb緩衝液[450mMのNaCl、30mMのリン酸二水素ナトリウム、13mMのEDTA、0.025%のTween−20(pH7.4)]50μlでビーズを1回洗浄した。捕獲剤プライマー溶液[H2O、22.5μl、2×Hyb緩衝液25μl、伸張プライマー(100μΜ;TTACTTATCGTCGTCGTC)(配列番号4)0.5μl、捕獲剤[(A30−Cy5−抗−FLAG−IgG 約6.7μΜ)2μl]50μlをビーズに付加し、回転機で室温にて30分間インキュベートした。
【0116】
目的のペプチドおよびFLAG親和性タグをコードする一本鎖のオリゴヌクレオチドを、二本鎖のビーズに連結したオリゴヌクレオチドに変換するためにプライマー伸長を実行した。ビーズに連結したオリゴヌクレオチドにハイブリダイズしたプライマー伸長プライマーを有するビーズを1×Hyb緩衝液50μlで2回、1×ReactII[50mMのTrisHCl、10mMのMgCl2、50mMのNaCl(pH8)]50μlで1回洗浄した。伸張混合物[H2O、35μl、10×ReactII5μl、25mMのdNTP5μl、2U/μlの希釈したDNA Pol I(Large Fragment、(Invitrogen,Carlsbad,CA)5μl]50μlを付加し
、回転機で45分間37℃にてビーズをインキュベートした。
【0117】
インビトロの転写および翻訳を、FLAG親和性タグおよび目的のペプチドを含む融合ペプチドを生成するために二本鎖の鋳型上で行なった。プライマー伸長後、1×ReactII50μlでビーズを洗浄し、次に、IVTT緩衝液[50mMのHepes−KOH、13mMのMg−アセテート(pH7.6)]50μlで2回リンスした。PURExpress溶液(H2O、70μl、溶液A125μl、溶液B50μl、8U/μlのマウスRNアーゼ阻害剤5μl、NEB)をあらかじめ37℃で30分間加熱し、次に、ビーズにTNT溶液12.5μlを付加し、これを回転機で37℃にて60分間インキュベートした。
【0118】
目的のペプチドは、目的のペプチドそれぞれの抗原決定基を認識する一次抗体によりビーズ上で検出された。一次抗体を67nMの濃度で使用し、ビーズを室温で30分間、一次抗体の存在下でインキュベートした。特異的に一次抗体に結合する、標識された二次抗体を17nMの濃度で用いてインキュベーションを実施した。DM6000B自動蛍光顕微鏡および画像システムを使用して、ビーズを画像化した。
【0119】
実験の結果は図15のグラフに示す通りである。目的のHAペプチドを含む構築物は、抗HA一次抗体でよく検出され、AU1ペプチドはいかなる有意水準でも検出されなかった。同様に、目的のAU1ペプチドは、抗AU1一次抗体でよく検出され、HAペプチドはいかなる有意水準でも検出されなかった。
【0120】
実施例3:スライドガラス上のアレイ
捕獲剤の導入のためのプライマー領域、AU1(DTYRYIDYA)(配列番号5)、AU5(TDFYLKDYA)(配列番号6)、HA(YPYDVPDYA)(配列番号7)またはV5(IPNPLLGLD)(配列番号8)9−merペプチドをコードする領域、および終止コドンが後続するFLAG親和性タグをコードする領域を含むオリゴヌクレオチドを使用して、アレイを構築した。この領域にはさらに、一本鎖のオリゴヌクレオチドのプライマー伸長に使用されるプライマーのハイブリダイゼーションのためのプライマー部位を含めた。
【0121】
共有結合で連結させ取り付けたオリゴヌクレオチドを有するスライドガラスを、アミノ修飾スライドおよび、5’−アルデヒド基を有するオリゴヌクレオチドから生成した。アミノ基を含むES顕微鏡スライドガラス(Erie Scientific)を、アセトニトリルに0.2Mのジイソプロピルエチルアミンを含む0.1Mの塩化シアヌル溶液(Aldrich)で処理し、次いでDMF中2%ヒドラジン溶液で処理した。各ステップ間でアセトニトリルおよびDMFで洗浄を行なった。このプロセスにより、オリゴヌクレオチド上のアルデヒド基と反応するヒドラジントリアジン基を含むスライド表面が生成された。鋳型オリゴヌクレオチドを、3’−アルデヒド連結によって共有結合で活性化スライド表面に取り付けた。スライドを生成するため、100mMのNa−クエン酸緩衝液、pH5.1、1.5MのNaCl中200μΜの5’−アルデヒドオリゴヌクレオチド3の30μlを2つのリポータースライド間に付加した。この反応を加湿容器内で室温にて18時間進めた。スライドを水で3回2回洗浄し、乾燥させ、使用するまで冷蔵した。
【0122】
スライドを生成するため、スライド表面に3’−アルデヒド修飾オリゴヌクレオチド(クエン酸緩衝液[100mMのクエン酸ナトリウム、1.5MのNaCl(pH5.0)]中5μΜ)のマイクロリットル未満の液滴を付加した。この反応を加湿容器内で室温にて18時間進めた。スライドを水で洗浄し、乾燥させ、使用するまで冷蔵した。
【0123】
その後、オリゴヌクレオチドスライドを、アレイ構築のため、フロースルー装置内で1
00%ホルムアミドを150μl付加して調製した。1×PBST250μlを2つの125μlアリコートで各スライドに付加し、1分インキュベートし、次いでこれの洗浄ステップを繰り返した。ブロッキング溶液[1×Hyb緩衝液、5×デンハート溶液、および0.1mg/mlの変性サケ精子DNA]250μlを2つの125μlアリコートで各スライドに付加し、5分間インキュベートした。新しいブロッキング溶液250μlを付加し、スライドを10分間インキュベートした。
【0124】
その後、KB溶液[50mMのTris−HCl(pH7.5)、10mMのMgCl2]450μl溶液を、3つの均一なアリコートで各スライドに付加し、室温で30秒間インキュベートした。この洗浄ステップを4回繰り返した。キナーゼ溶液[H2O、195μl、10×PNK緩衝液(NEB,Ipsich,MA)25μl、10mMのATP25μlおよびT4ポリヌクレオチドキナーゼ(10u/μl)5μl]250μl(125μl、2回)を各スライドに付加し、その後、あらかじめ37℃に平衡させた加湿インキュベーション容器にスライドを入れた。
【0125】
スプリントライゲーションで使用される非翻訳領域およびT30領域、PEGリンカー分子、ならびに捕獲基を取り付けるためのオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド伸張部を、スプリントプライマーを使用して、鋳型オリゴヌクレオチドにライゲートした。スプリントプライマーは、基材に結合されたオリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド伸張部の両方にハイブリダイズする。ライゲーションのためのスライドを調製するために、その後、KB溶液450μl(150μl、3回)を3つの均一のアリコートでスライドに付加し、スライドを室温で30秒間インキュベートした。この洗浄を2回繰り返し、スライドを含むフロースルー容器を、冷蔵庫内であらかじめ4℃に平衡させた加湿インキュベーション容器に置き、10分間インキュベートした。
【0126】
H2O、112.5μl、10×T4−DNAリガーゼ緩衝液(NEB)15μl、20U/μl伸張オリゴヌクレオチド7.5μlおよびT4−DNAリガーゼ(400,000U/ml、NEB)2.5μlを含むライゲーション混合物を各スライドに付加し、スライドを室温で30分間インキュベートした。その後、追加で冷たいライゲーション混合物150μlアリコートを付加し、スライドを室温でさらに30分の間インキュベートした。生じた構造は、伸張オリゴヌクレオチドにライゲートした鋳型オリゴヌクレオチドを含んでいた。
【0127】
ライゲーション反応後、ライゲートされ基材に連結された伸長オリゴヌクレオチドからスプリントライゲーションプライマーを変性させるために、スライドを処理した。KB溶液[50mMのTris−HCl(pH7.5)、10mMのMgCl2]450μlを、3つの均一のアリコートで各スライドに付加し、スライドを室温で30秒間インキュベートした。1mMのEDTAを有する95%ホルムアミド水溶液450μlを、3つの均一のアリコートで付加し、スライドを室温で1分間インキュベートした。これを1mMのEDTAを有する別の95%ホルムアミド水溶液450μlを3つの均一のアリコートで付加して交換し、室温で5分間インキュベートした。
【0128】
伸張オリゴヌクレオチドの領域に相補的なオリゴヌクレオチドと結合した抗FLAG抗体捕獲剤、およびプライマー伸長のためのプライマーとして使用するオリゴヌクレオチドを、その後、スライド上のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズさせた。各スライドに1×Hyb緩衝液450μlを付加し、室温で30秒間インキュベートした。これを4回繰り返した。捕獲剤プライマー溶液[H2O、67.5μl、2×Hyb緩衝液75μl、伸張プライマー(100μΜ;TTACTTATCGTCGTCGTC)(配列番号9)1.5μl、捕獲剤[(A30Cy5−抗−FLAG−IgG 〜6.7μΜ)6μl]をフロースルー容器に付加し、加湿容器内で室温にて30分間インキュベートした。
【0129】
ライゲーション反応後、ライゲートされ、基材に連結された伸長オリゴヌクレオチドからスプリントライゲーションプライマーを変性させるため、スライドを処理した。KB溶液[50mMのTris−HCl(pH7.5)、10mMのMgCl2]450μlを、3つの均一なアリコートで各スライドに付加し、スライドを室温で30秒間インキュベートした。1mMのEDTAを有する95%ホルムアミド水溶液450μlを、3つの均一のアリコートで付加し、スライドを室温で1分間インキュベートした。これを1mMのEDTAを有する別の95%ホルムアミド水溶液450μlを3つの均一のアリコートで付加して交換し、室温で5分間インキュベートした。
【0130】
伸張オリゴヌクレオチドの領域に相補的なオリゴヌクレオチドと結合した抗FLAG抗体捕獲剤、およびプライマー伸長のためのプライマーとして使用するオリゴヌクレオチドを、その後、スライド上のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズさせた。各スライドに1×Hyb緩衝液450μlを付加し、室温で30秒間インキュベートした。これを4回繰り返した。捕獲剤プライマー溶液[H2O、67.5μl、2×Hyb緩衝液75μl、伸張プライマー(100μΜ;TTACTTATCGTCGTCGTC)(配列番号10)1.5μl、捕獲剤[(A30Cy5−抗−FLAG−IgG 〜6.7μΜ)6μl]をフロースルー容器に付加し、加湿容器内で室温にて30分間インキュベートした。
【0131】
目的のペプチドおよびFLAG親和性タグをコードする、基材に連結した一本鎖のオリゴヌクレオチドを二本鎖の基材に連結した分子に変換するためにプライマー伸長を実行した。スライドに連結したオリゴヌクレオチドにハイブリダイズしたプライマー伸長プライマーを有するスライドを、1×Hyb緩衝液450μlを3つの均一のアリコートで付加して処理し、30秒間インキュベートし、その後、1×ReactII450μlで2回処理し、30秒間インキュベートした。伸張混合物[H2O、105μl、10×ReactII15μl、25mMのdNTP15μl、2U/μlの希釈したDNA Pol
I(Large Fragment、(Invitrogen、Carlsbad,CA))15μl]150μlを付加し、スライドを、あらかじめ37℃に平衡させた加湿インキュベーション容器内で45分間インキュベートベートした。
【0132】
FLAG親和性タグおよび目的のペプチド、HAまたはAU1のいずれかを含む融合ペプチドを生成するために二本鎖の基材に連結した産物上でインビトロの転写および翻訳を行なった。プライマー伸長後、1×ReactII450μlを3つの均一のアリコートで付加し、室温で30秒間インキュベートした。その後、スライドを、IVTT緩衝液450μlで30秒間、2回リンスした。
【0133】
PURExpress溶液(H2O、70μl、溶液A125μl、溶液B50μl、8U/μlのマウスRNアーゼ阻害剤5μl、NEB)をあらかじめ37℃で30分間加熱した。その後、フロースルー容器を、あらかじめ37℃に平衡させた加湿インキュベーション容器に入れ、37℃で0.5分〜60分間インキュベートした。
【0134】
目的のペプチドは、目的のペプチドの抗原決定基を認識する一次抗体によりアレイ面上で検出された。一次抗体を6.7nMの濃度で付加し(Superblock内,The
rmoSci)、スライドを室温で15分間インキュベートした。その後、このステップを繰り返した。1×PBST450μlで3回洗浄した後に、特異的に一次抗体に結合する、標識された二次抗体を17nMの濃度で用いて(Superblock内)インキュベーションを15分間実施した。このステップを1回繰り返した。スライドを1×PBST450μlで3回洗浄し、次いでフロースルー容器から取り出した。1×PBSTでさらにもう1回洗浄した後、スライドを乾燥させて、次いでPE ScanArray Liteマイクロアレイ読み取り装置(GSI Luminomics)で画像化した。図
16の棒グラフは、スライド上の抗体蛍光検出の結果を図示する。AU1、AU5、HAおよびV5の9−merペプチドを同一のレイアウトでの3つの顕微鏡スライド上で構築し、1スライド当たりの各ペプチドの3つのスポットを形成した。AU1、AU5またはHAペプチドに対する特異的抗体で各スライドを処理することにより特定の信号を検出した。V5ペプチドを、3つのすべての検出条件に対してネガティブコントロールとした。図に示したように、ペプチドは適切な抗体により選択的に検出された:3つのAU1ペプチドは、抗AU1抗体(16のA)で検出され、3つのAU5ペプチドは、抗AU5抗体(16のB)で検出され、3つのHAペプチドは、抗HA抗体(16のC)で検出された。
【図1−1】
【図1−2】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面を有する基材と、
前記基材の前記面上に結合した2つ以上の個別の構築物と、を備えるアレイであって、前記個別の構築物は、
目的のペプチドをコードするオリゴヌクレオチドと、
前記目的のペプチドとを含み、
前記オリゴヌクレオチドは前記基材面に結合され、前記ペプチドは前記オリゴヌクレオチドに結合されている、アレイ。
【請求項2】
面を有する基材と、
前記基材の前記面上に結合した2つ以上の個別の構築物と、を備えるアレイであって、
前記個別の構築物は、
目的のペプチドをコードする領域と、親和性タグをコードする領域と、非翻訳領域とを含むオリゴヌクレオチドと、
前記目的のペプチドおよび親和性タグを含むペプチドと、
前記親和性タグに選択的に結合する捕獲剤とを含み、
前記オリゴヌクレオチドは前記基材面に結合され、前記ペプチドは前記親和性タグの前記捕獲剤への結合によって、前記オリゴヌクレオチドに結合されている、アレイ。
【請求項3】
前記非翻訳領域が転写開始点およびリボソーム結合部位を含む、請求項2に記載のアレイ。
【請求項4】
前記捕獲剤が前記オリゴヌクレオチドに結合されている、請求項2に記載のアレイ。
【請求項5】
前記オリゴヌクレオチドがリンカーによって前記基材面に結合されている、請求項2に記載のアレイ。
【請求項6】
前記捕獲剤が前記リンカーに結合されている、請求項2に記載のアレイ。
【請求項7】
前記基材が平坦な担体である、請求項2に記載のアレイ。
【請求項8】
前記基材がビーズである、請求項2に記載のアレイ。
【請求項9】
前記オリゴヌクレオチドが二本鎖である、請求項2に記載のアレイ。
【請求項10】
前記オリゴヌクレオチドが前記オリゴヌクレオチドへの前記捕獲剤の導入に使用される領域をさらに含む、請求項2に記載のアレイ。
【請求項11】
前記領域がリンカー分子によって前記オリゴヌクレオチドに結合されている、請求項10に記載のアレイ。
【請求項12】
アレイを構築する方法において、
(a)2つ以上の構築物を含む面を提供するステップであって、前記構築物は、目的のペプチドおよび親和性タグをコードする一本鎖のオリゴヌクレオチド領域を含む、前記ステップと、
(b)前記一本鎖のオリゴヌクレオチド領域を二本鎖のオリゴヌクレオチド領域に変換するステップと、
(c)前記二本鎖のオリゴヌクレオチド領域の5’末端に、リボソーム開始部位を含む非翻訳領域を導入するステップであって、前記非翻訳領域は、前記親和性タグと結合対を
形成する能力を有する捕獲剤に結合される、前記ステップと、
(d)前記目的のペプチドおよび前記親和性タグを含むペプチドを生成するために前記二本鎖のオリゴヌクレオチド領域を転写および翻訳させるステップと、を備え、
ステップ(d)において生成されたタンパク質は、翻訳後に前記構築物の捕獲剤により捕獲され、それによって前記ペプチドをコードするオリゴヌクレオチドに結合した前記ペプチドを含む個々の構築物が形成される、方法。
【請求項13】
アレイを構築する方法において、
(a)面を有する基材を提供するステップであって、前記面上に2つ以上の構築物が結合されており、前記構築物は、目的のペプチドおよび親和性タグをコードする一本鎖のオリゴヌクレオチドを含む、前記ステップと、
(b)前記構築物の前記オリゴヌクレオチドに対する第2のユニバーサルなオリゴヌクレオチドのライゲーションを行うステップであって、前記ユニバーサルなオリゴヌクレオチドはリボソーム結合部位を含む非翻訳領域を含む、前記ステップと、
(c)前記第2のオリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションによって前記オリゴヌクレオチドに捕獲剤を取り付けるステップと、
(d)前記構築物の前記一本鎖のオリゴヌクレオチド領域を二本鎖のオリゴヌクレオチド領域に変換するステップと、
(e)前記二本鎖のオリゴヌクレオチドを転写および翻訳させ、前記二本鎖のオリゴヌクレオチドからペプチドを生成するステップと、を備え、
ステップ(e)において生成されたタンパク質は、前記構築物の捕獲剤により捕獲され、結果として生じるアレイは核酸を含む別々のユニットを含み、前記核酸は前記核酸によりコードされた前記ペプチドに結合されている、方法。
【請求項14】
アレイを構築する方法において、
(a)2つ以上の構築物を含む面を提供するステップであって、前記構築物は、目的のペプチドおよび親和性タグをコードする配列の逆の相補的な配列を有する一本鎖のオリゴヌクレオチド領域を含む、前記ステップと、
(b)前記一本鎖のオリゴヌクレオチド領域を二本鎖のオリゴヌクレオチド領域に変換するステップと、
(c)前記二本鎖のオリゴヌクレオチド領域の5’末端に、リボソーム開始部位を含む非翻訳領域を導入するステップであって、前記非翻訳領域は、前記親和性タグと結合対を形成する能力を有する捕獲剤に結合される、前記ステップと、
(d)前記二本鎖のオリゴヌクレオチド領域を転写および翻訳させて、前記目的のペプチドおよび前記親和性タグを含むペプチドを生成するステップと、を備え、
ステップ(d)において生成されたタンパク質は、翻訳後に前記構築物の捕獲剤により捕獲され、それによって前記ペプチドをコードするオリゴヌクレオチドに結合した前記ペプチドを含む個々の構築物が形成される、方法。
【請求項15】
アレイを構築する方法において、
(a)面上で結合した2つ以上の構築物を有する前記面を含む基材を提供し、前記構築物は、目的のペプチドおよび親和性タグをコードする配列の逆の相補的な配列を有する一本鎖のオリゴヌクレオチドを含む、提供するステップ;
アレイを構築する方法において、
(a)面を有する基材を提供するステップであって、前記面上に2つ以上の構築物が結合されており、前記構築物は、目的のペプチドおよび親和性タグをコードする配列の逆の相補的な配列を有する一本鎖のオリゴヌクレオチドを含む、前記ステップと、
(b)前記構築物の前記オリゴヌクレオチドに対する第2のユニバーサルなオリゴヌクレオチドのライゲーションを行うステップであって、前記ユニバーサルなオリゴヌクレオチドはリボソーム結合部位を含む非翻訳領域を含む、前記ステップと、
(c)前記第2のオリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションによって前記オリゴヌクレオチドに捕獲剤を取り付けるステップと、
(d)前記構築物の前記一本鎖のオリゴヌクレオチド領域を二本鎖のオリゴヌクレオチド領域に変換するステップと、
(e)前記二本鎖のオリゴヌクレオチドを転写および翻訳させ、前記二本鎖のオリゴヌクレオチドからペプチドを生成するステップと、を備え、
ステップ(e)において生成されたタンパク質は、前記構築物の捕獲剤により捕獲され、結果として生じるアレイは核酸を含む別々のユニットを含み、前記核酸は前記核酸によりコードされた前記ペプチドに結合されている、方法。
【請求項16】
目的のペプチドに結合する作用剤を同定する方法において、
アレイを提供するステップであって、
面を有する基材と、
前記基材の前記面上に結合した2つ以上の個別の構築物とを備え、前記個別の構築物が、
(i)目的のペプチドをコードするオリゴヌクレオチドと、
(ii)前記目的のペプチドと、を含むアレイであって、
前記オリゴヌクレオチドは前記基材面に結合され、かつ前記ペプチドは前記オリゴヌクレオチドに結合されている、前記ステップと、
前記アレイを作用剤に接触させるステップと、
前記作用剤の前記目的のペプチドへ結合の有無を検出するステップと、を含む方法。
【請求項17】
前記作用剤が試料により提供され、前記目的のペプチドへの結合の存在によって、試料における前記作用剤の存在が示される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記作用剤が試料により提供され、前記目的のペプチドへの結合の不在によって、試料における前記作用剤の不在が示される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
目的のペプチドに結合する作用剤を同定する方法において、
アレイを提供するステップであって、
面を有する基材と、
前記基材の前記面上に結合した2つ以上の個別の構築物とを備え、前記個別の構築物が、
(i)目的のペプチドをコードすると、親和性タグをコードする領域と、非翻訳領域とを含むオリゴヌクレオチドと、
(ii)前記目的のペプチドおよび親和性タグを含むペプチドと、
(iii)前記親和性タグに選択的に結合する捕獲剤とを含むアレイであって、
前記オリゴヌクレオチドは前記基材面に結合され、前記ペプチドは前記親和性タグの前記捕獲剤への結合によって前記オリゴヌクレオチドに結合されている、前記ステップと、
前記アレイを作用剤に接触させるステップと、
前記作用剤の前記目的のペプチドへ結合の有無を検出するステップと、を含む方法。
【請求項20】
前記作用剤が試料により提供され、前記目的のペプチドへの結合の存在によって、試料における前記作用剤の存在が示される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記作用剤が試料により提供され、前記目的のペプチドへの結合の不在によって、試料における前記作用剤の不在が示される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
アレイを構築するための方法において、
a)固体基材上の既知の配列の核酸配列の1セットを合成するステップと、
b)前記固体基材上の前記核酸に1つまたは複数の追加の核酸領域を取り付け、前記基材上に伸長核酸を提供するステップと、
c)ペプチドの生成のための鋳型として前記伸長核酸を利用するインビトロの転写および翻訳を実施するステップと、
d)前記固体基材上の既知の位置に、生成したペプチドを取り付けるステップと、を備える方法。
【請求項23】
生成したペプチドは、前記ペプチドのその核酸基材に取り付けられる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記核酸が直接前記固体基材上で化学的に合成される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
ステップb)における前記追加の核酸が酵素的なライゲーションによって取り付けられる、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記核酸のセットが前記基材上に少なくとも1,000の核酸配列を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記核酸のセットが前記基材上に少なくとも5,000の核酸配列を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記核酸のセットが前記基材上に少なくとも10,000の核酸配列を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
b)固体基材上の前記核酸に1つまたは複数の追加の核酸領域を取り付け、前記基材上に伸長核酸を提供すること;
c)ペプチドの生成のための鋳型として前記伸長核酸を利用するインビトロの転写および翻訳を実施すること;ならびに
d)前記固体基材上に生成したペプチドを取り付けること、
を含む方法。
ペプチドアレイを構築するための方法において、
a)アミノ酸配列をコードする、化学的に合成されたオリゴヌクレオチドの1セットを含む核酸マイクロアレイを製造するステップと、
b)前記固体基材上の前記核酸に1つまたは複数の追加の核酸領域を取り付け、前記基材上に伸長核酸を提供するステップと、
c)ペプチドの生成のための鋳型として前記伸長核酸を利用するインビトロの転写および翻訳を実施するステップと、
d)前記固体基材上に、生成したペプチドを取り付けるステップと、を備える方法。
【請求項30】
生成したペプチドは、前記ペプチドのその核酸基材に取り付けられる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記核酸が直接前記固体基材上で化学的に合成される、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
ステップb)における前記追加の核酸が酵素的なライゲーションによって取り付けられる、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記マイクロアレイが少なくとも1,000の核酸配列を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記マイクロアレイが少なくとも5,000の核酸配列を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記マイクロアレイが少なくとも10,000の核酸配列を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項1】
面を有する基材と、
前記基材の前記面上に結合した2つ以上の個別の構築物と、を備えるアレイであって、前記個別の構築物は、
目的のペプチドをコードするオリゴヌクレオチドと、
前記目的のペプチドとを含み、
前記オリゴヌクレオチドは前記基材面に結合され、前記ペプチドは前記オリゴヌクレオチドに結合されている、アレイ。
【請求項2】
面を有する基材と、
前記基材の前記面上に結合した2つ以上の個別の構築物と、を備えるアレイであって、
前記個別の構築物は、
目的のペプチドをコードする領域と、親和性タグをコードする領域と、非翻訳領域とを含むオリゴヌクレオチドと、
前記目的のペプチドおよび親和性タグを含むペプチドと、
前記親和性タグに選択的に結合する捕獲剤とを含み、
前記オリゴヌクレオチドは前記基材面に結合され、前記ペプチドは前記親和性タグの前記捕獲剤への結合によって、前記オリゴヌクレオチドに結合されている、アレイ。
【請求項3】
前記非翻訳領域が転写開始点およびリボソーム結合部位を含む、請求項2に記載のアレイ。
【請求項4】
前記捕獲剤が前記オリゴヌクレオチドに結合されている、請求項2に記載のアレイ。
【請求項5】
前記オリゴヌクレオチドがリンカーによって前記基材面に結合されている、請求項2に記載のアレイ。
【請求項6】
前記捕獲剤が前記リンカーに結合されている、請求項2に記載のアレイ。
【請求項7】
前記基材が平坦な担体である、請求項2に記載のアレイ。
【請求項8】
前記基材がビーズである、請求項2に記載のアレイ。
【請求項9】
前記オリゴヌクレオチドが二本鎖である、請求項2に記載のアレイ。
【請求項10】
前記オリゴヌクレオチドが前記オリゴヌクレオチドへの前記捕獲剤の導入に使用される領域をさらに含む、請求項2に記載のアレイ。
【請求項11】
前記領域がリンカー分子によって前記オリゴヌクレオチドに結合されている、請求項10に記載のアレイ。
【請求項12】
アレイを構築する方法において、
(a)2つ以上の構築物を含む面を提供するステップであって、前記構築物は、目的のペプチドおよび親和性タグをコードする一本鎖のオリゴヌクレオチド領域を含む、前記ステップと、
(b)前記一本鎖のオリゴヌクレオチド領域を二本鎖のオリゴヌクレオチド領域に変換するステップと、
(c)前記二本鎖のオリゴヌクレオチド領域の5’末端に、リボソーム開始部位を含む非翻訳領域を導入するステップであって、前記非翻訳領域は、前記親和性タグと結合対を
形成する能力を有する捕獲剤に結合される、前記ステップと、
(d)前記目的のペプチドおよび前記親和性タグを含むペプチドを生成するために前記二本鎖のオリゴヌクレオチド領域を転写および翻訳させるステップと、を備え、
ステップ(d)において生成されたタンパク質は、翻訳後に前記構築物の捕獲剤により捕獲され、それによって前記ペプチドをコードするオリゴヌクレオチドに結合した前記ペプチドを含む個々の構築物が形成される、方法。
【請求項13】
アレイを構築する方法において、
(a)面を有する基材を提供するステップであって、前記面上に2つ以上の構築物が結合されており、前記構築物は、目的のペプチドおよび親和性タグをコードする一本鎖のオリゴヌクレオチドを含む、前記ステップと、
(b)前記構築物の前記オリゴヌクレオチドに対する第2のユニバーサルなオリゴヌクレオチドのライゲーションを行うステップであって、前記ユニバーサルなオリゴヌクレオチドはリボソーム結合部位を含む非翻訳領域を含む、前記ステップと、
(c)前記第2のオリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションによって前記オリゴヌクレオチドに捕獲剤を取り付けるステップと、
(d)前記構築物の前記一本鎖のオリゴヌクレオチド領域を二本鎖のオリゴヌクレオチド領域に変換するステップと、
(e)前記二本鎖のオリゴヌクレオチドを転写および翻訳させ、前記二本鎖のオリゴヌクレオチドからペプチドを生成するステップと、を備え、
ステップ(e)において生成されたタンパク質は、前記構築物の捕獲剤により捕獲され、結果として生じるアレイは核酸を含む別々のユニットを含み、前記核酸は前記核酸によりコードされた前記ペプチドに結合されている、方法。
【請求項14】
アレイを構築する方法において、
(a)2つ以上の構築物を含む面を提供するステップであって、前記構築物は、目的のペプチドおよび親和性タグをコードする配列の逆の相補的な配列を有する一本鎖のオリゴヌクレオチド領域を含む、前記ステップと、
(b)前記一本鎖のオリゴヌクレオチド領域を二本鎖のオリゴヌクレオチド領域に変換するステップと、
(c)前記二本鎖のオリゴヌクレオチド領域の5’末端に、リボソーム開始部位を含む非翻訳領域を導入するステップであって、前記非翻訳領域は、前記親和性タグと結合対を形成する能力を有する捕獲剤に結合される、前記ステップと、
(d)前記二本鎖のオリゴヌクレオチド領域を転写および翻訳させて、前記目的のペプチドおよび前記親和性タグを含むペプチドを生成するステップと、を備え、
ステップ(d)において生成されたタンパク質は、翻訳後に前記構築物の捕獲剤により捕獲され、それによって前記ペプチドをコードするオリゴヌクレオチドに結合した前記ペプチドを含む個々の構築物が形成される、方法。
【請求項15】
アレイを構築する方法において、
(a)面上で結合した2つ以上の構築物を有する前記面を含む基材を提供し、前記構築物は、目的のペプチドおよび親和性タグをコードする配列の逆の相補的な配列を有する一本鎖のオリゴヌクレオチドを含む、提供するステップ;
アレイを構築する方法において、
(a)面を有する基材を提供するステップであって、前記面上に2つ以上の構築物が結合されており、前記構築物は、目的のペプチドおよび親和性タグをコードする配列の逆の相補的な配列を有する一本鎖のオリゴヌクレオチドを含む、前記ステップと、
(b)前記構築物の前記オリゴヌクレオチドに対する第2のユニバーサルなオリゴヌクレオチドのライゲーションを行うステップであって、前記ユニバーサルなオリゴヌクレオチドはリボソーム結合部位を含む非翻訳領域を含む、前記ステップと、
(c)前記第2のオリゴヌクレオチドへのハイブリダイゼーションによって前記オリゴヌクレオチドに捕獲剤を取り付けるステップと、
(d)前記構築物の前記一本鎖のオリゴヌクレオチド領域を二本鎖のオリゴヌクレオチド領域に変換するステップと、
(e)前記二本鎖のオリゴヌクレオチドを転写および翻訳させ、前記二本鎖のオリゴヌクレオチドからペプチドを生成するステップと、を備え、
ステップ(e)において生成されたタンパク質は、前記構築物の捕獲剤により捕獲され、結果として生じるアレイは核酸を含む別々のユニットを含み、前記核酸は前記核酸によりコードされた前記ペプチドに結合されている、方法。
【請求項16】
目的のペプチドに結合する作用剤を同定する方法において、
アレイを提供するステップであって、
面を有する基材と、
前記基材の前記面上に結合した2つ以上の個別の構築物とを備え、前記個別の構築物が、
(i)目的のペプチドをコードするオリゴヌクレオチドと、
(ii)前記目的のペプチドと、を含むアレイであって、
前記オリゴヌクレオチドは前記基材面に結合され、かつ前記ペプチドは前記オリゴヌクレオチドに結合されている、前記ステップと、
前記アレイを作用剤に接触させるステップと、
前記作用剤の前記目的のペプチドへ結合の有無を検出するステップと、を含む方法。
【請求項17】
前記作用剤が試料により提供され、前記目的のペプチドへの結合の存在によって、試料における前記作用剤の存在が示される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記作用剤が試料により提供され、前記目的のペプチドへの結合の不在によって、試料における前記作用剤の不在が示される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
目的のペプチドに結合する作用剤を同定する方法において、
アレイを提供するステップであって、
面を有する基材と、
前記基材の前記面上に結合した2つ以上の個別の構築物とを備え、前記個別の構築物が、
(i)目的のペプチドをコードすると、親和性タグをコードする領域と、非翻訳領域とを含むオリゴヌクレオチドと、
(ii)前記目的のペプチドおよび親和性タグを含むペプチドと、
(iii)前記親和性タグに選択的に結合する捕獲剤とを含むアレイであって、
前記オリゴヌクレオチドは前記基材面に結合され、前記ペプチドは前記親和性タグの前記捕獲剤への結合によって前記オリゴヌクレオチドに結合されている、前記ステップと、
前記アレイを作用剤に接触させるステップと、
前記作用剤の前記目的のペプチドへ結合の有無を検出するステップと、を含む方法。
【請求項20】
前記作用剤が試料により提供され、前記目的のペプチドへの結合の存在によって、試料における前記作用剤の存在が示される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記作用剤が試料により提供され、前記目的のペプチドへの結合の不在によって、試料における前記作用剤の不在が示される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
アレイを構築するための方法において、
a)固体基材上の既知の配列の核酸配列の1セットを合成するステップと、
b)前記固体基材上の前記核酸に1つまたは複数の追加の核酸領域を取り付け、前記基材上に伸長核酸を提供するステップと、
c)ペプチドの生成のための鋳型として前記伸長核酸を利用するインビトロの転写および翻訳を実施するステップと、
d)前記固体基材上の既知の位置に、生成したペプチドを取り付けるステップと、を備える方法。
【請求項23】
生成したペプチドは、前記ペプチドのその核酸基材に取り付けられる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記核酸が直接前記固体基材上で化学的に合成される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
ステップb)における前記追加の核酸が酵素的なライゲーションによって取り付けられる、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記核酸のセットが前記基材上に少なくとも1,000の核酸配列を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記核酸のセットが前記基材上に少なくとも5,000の核酸配列を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記核酸のセットが前記基材上に少なくとも10,000の核酸配列を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
b)固体基材上の前記核酸に1つまたは複数の追加の核酸領域を取り付け、前記基材上に伸長核酸を提供すること;
c)ペプチドの生成のための鋳型として前記伸長核酸を利用するインビトロの転写および翻訳を実施すること;ならびに
d)前記固体基材上に生成したペプチドを取り付けること、
を含む方法。
ペプチドアレイを構築するための方法において、
a)アミノ酸配列をコードする、化学的に合成されたオリゴヌクレオチドの1セットを含む核酸マイクロアレイを製造するステップと、
b)前記固体基材上の前記核酸に1つまたは複数の追加の核酸領域を取り付け、前記基材上に伸長核酸を提供するステップと、
c)ペプチドの生成のための鋳型として前記伸長核酸を利用するインビトロの転写および翻訳を実施するステップと、
d)前記固体基材上に、生成したペプチドを取り付けるステップと、を備える方法。
【請求項30】
生成したペプチドは、前記ペプチドのその核酸基材に取り付けられる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記核酸が直接前記固体基材上で化学的に合成される、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
ステップb)における前記追加の核酸が酵素的なライゲーションによって取り付けられる、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記マイクロアレイが少なくとも1,000の核酸配列を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記マイクロアレイが少なくとも5,000の核酸配列を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記マイクロアレイが少なくとも10,000の核酸配列を含む、請求項34に記載の方法。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2013−512691(P2013−512691A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543208(P2012−543208)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/059327
【国際公開番号】WO2011/071943
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(512026008)プログノシス バイオサイエンシズ インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】PROGNOSYS BIOSCIENCES,INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/059327
【国際公開番号】WO2011/071943
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(512026008)プログノシス バイオサイエンシズ インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】PROGNOSYS BIOSCIENCES,INC.
【Fターム(参考)】
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